調「このままじゃマリアが」切歌「だめんずに引っかかってしまうデス!」 (25)

※シンフォギアSS



きりしら『……』

マリア「二人とも。急に仕事が入ったから私は出かけ――聞いてる?」

切歌「は、はいデス!」

調「……大丈夫。私たちみんなで守るから」

マリア「は、はあ? 貴女たちどうしたの。熱心に何か読んでいたようだけど?」

切歌「アハ、ハハハハハ。何でもないデスよ」

調「マリア、仕事なんでしょ。行ってらっしゃい」

マリア「何だか釈然としないわね。別に年頃なんだから人に隠したくなる本を読むのは仕方のないことだけど……」

切歌「い、いやらしいデスよマリア///」

調「仮にそうだとしても目の前で言っちゃダメ」

マリア「ンンッ。ともかく、ちゃんとやることをやってるのなら私は怒らないから。……この前の連休の宿題、ギリギリだったってクリスから聞いてるからね?」

切歌「クリス先輩!?」

調「学校でのことがお母さんに筒抜け……あれ、これ詰んでる?」

マリア「立花響からも話は……でもあの子楽しかったことしか話さないから、貴女たちの問題について参考にならないのよね。うまく学校でやれているのがわかるのは助かるけど」

マリア「それじゃあ行ってくるわ。多分夕方にはS.O.N.G.に寄って、それから家に帰ると思うから」

きりしら『行ってらっしゃい(デス)』


ガチャ、バタン


調「……行ったね」

切歌「行ったデス」

調「S.O.N.G.には夕方まで寄らないって言ってた」

切歌「だからそれまでに――」





きりしら『S.O.N.G.のみんなと相談する(デス)!!』キリッ、デスデスデース





クリス「いきなり人様を呼び集めておいて何言いだしてんだお前等」

弦十郎「マリア君について重要なことがあると聞いたんだが」

エルフナイン「マリアさん、マリアさんはどこにいるんですか……!」

翼「緒川さん?」

緒川「マリアさんなら今テレビ局で取材を受けている最中ですね」

未来「マリアさんのことでマリアさん抜きで話す重要なこと……?」

響「調ちゃん、切歌ちゃん! いったい何があったのか教えて!」

切歌「それは――」

調「――ズバリ」





調「このままじゃマリアが」切歌「だめんずに引っかかってしまうデス!」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1476443111

奏者・大人・幼女『……』

クリス「はあ?」

弦十郎「えっと……すまない。今何と言ったんだね?」

調「このままじゃマリアが」

切歌「だめんずに引っかかってしまうデス!」

未来「あっ……ああ、うん」

響「え、未来わかるの!?」

未来「心当たりが無いわけじゃなくてね」

翼「緒川さん?」

緒川「だめんずとはヒモ・浮気性・DVなどのダメな男のことです。だめんずに引っかかりやすい女性は確かにいますが……」

エルフナイン「マリアさんが……そんな路傍でさらされた汚物以下の存在に汚され……」フラッ

響「エルフナインちゃん、しっかり!」

クリス「さらっと毒吐きやがったぞコイツ」

弦十郎「どうもキャロルと合わさってからエルフナイン君の言動が過激になりやすくてな。まあ元気なのはいいことだ」

翼「臓器にも記憶は宿る。筋肉とて人を恨むのだ」

響「ええっと……なんで二人はマリアさんがだめんず? に引っかかるだなんて思ったの? マリアさんしっかりした大人じゃない」

クリス「このバカの言うとおりだ。バカが近づいてきても股ぐら蹴り上げておしまいだろ」

弦十郎・緒川『うっ』

調「そんなことはない。マリアは乙女」

響「お、乙女って///」

エルフナイン「そ、そもそも。だめんずに引っかかる女性の特徴とは何でしょう。ボクの知識にはそういったものは存在しません」

翼「緒川さん?」

未来(翼さん、さっきから『緒川さん?』ばかり言ってる。シンフォギアSSで一番の難関である翼さんのセリフを、まさかこの形で乗り切るつもりなの!?)

緒川「そうですね……僕も詳しくはないので一概には言えませんが、情が深くて相手のダメなところを受け入れるところがあり、そこをだめんずに付け込まれるパターンがあります」

エルフナイン「あ」

響「た、確かに当てはまるかもしれないけど、別に優しい人が全員だめんずに引っかかるわけじゃないよ。マリアさんしっかりしてるんだし!」

緒川「またこれは少し特殊ですが、あまりに器量が良すぎて高翌嶺の花として扱われ、男たちがしり込みした結果アプローチを受ける経験が乏しく、女性としての自信が無いパターンもあります」

緒川「だめんずの中でもヒモに部類する者は、そういった女性を見つけることが得意なことがあります」

切歌「デスデース」コクコク

未来(詳しくないって言ったのになんで特殊なパターンも抑えてるんだろう?)

クリス「女としての自信が無いとどうなるんだよ」

緒川「実際はそんなことはないのに、この人に捨てられたら私は終わりだと思い込み、だめんずのなすこと全てを受け入れるようになってしまいます」

エルフナイン「!!?」

響「えっと……もしかしてマリアさんの彼氏いない歴って」

調「響さんと同じ」

切歌「年齢と同じ」

響「あ、あはは~」

弦十郎「し、しかしだな! マリア君もあの歳だ、二人が気づいていないだけで異性と親密な関係になったこともあるのではないかね?」

翼「確かにマリアに声をかけることを気後れする輩は多いだろう。しかし今では高名なアーティストや俳優との出会いの機会も多い。私が知らぬうちに彼らがマリアに懸想したこともありうるのでは?」

きりしら『純白イノセント』

奏者・大人・幼女『……ッ』


――純白イーノセーント♪ しんせーかーいー♪


切歌「あの歌を歌えたということは、マリアは身も心も乙女という証明デス」

弦十郎「ま、まあ……あの歌をそう解釈できなくはないが」

響「いやー、自分が乙女だって大声で歌えるだなんてマリアさんすごいね」

傷ごとエグれば忘れられる人「おいバカやめろ」

こんなに好きだよ ねえ…大好きだよの人「///」

おきてがみ「デェェェェェェス!」バタリ

調「切ちゃん!?」

英雄故事「ハッハッハッハッ。流れ弾というより、まるで散弾銃をぶっ放したような有様だな」

響「え、師匠? わたし何かまずいこと言っちゃいましたか?」

翼「緒川さん?」

緒川「翼さんも十年ほどしてから若い頃の言動を思い起こせば、何があったのかわかるようになりますよ」

翼「はあ」

切歌「と、ともかく。このままいくとマリアは――――」ゼエハア、ゼエハア

※ ※ ※



マリア『ただいま』

洸(響パパ)『……ああ、うん。おかえりー』ポリポリ、ボサボサ

マリア『……ねえ。今日ちゃんと外に出たの?』

洸『え? そりゃあ約束だからちゃんと出たに決まってるじゃないか』

マリア『そ、そうね。疑ってしまってごめんなさい』

洸『ほら、ちゃんとオマエにお土産だって買ってるから』

マリア『本当!? 嬉し――』


つ パチンコの景品


マリア『』

洸『それよりもお腹空いたなー。早く作ってくれよ』

マリア『ねえ……その、ちゃんとお仕事を探しに行ったのよね?』

洸『なんだオマエ、俺が嘘ついてるって言うのか? あん?』

マリア『そ、そんなこと言ってないからっ』

洸『……本当か?』

マリア『本当よ!』

洸『良かった……俺、オマエにまで信じてもらえなくなったら、もう生きていけないからさ……』

マリア『そんな……お願いだからそんなこと言わないで』

洸『ごめんな。なかなか良い仕事が見つからなくって、少しナイーブになってしまったみたいなんだ』

マリア『こちらの方こそごめんなさい。貴方が疲れているのに気づかずに、無神経なこと言っちゃって』

洸『うん……あのさ、無理に仕事を見つけても長続きしなくてすぐ辞めることになると思うんだ。だからオマエには迷惑かけてしまうけど、時間をかけてでも俺に合う仕事をじっくり探してるんだ』

マリア『そうね。きっとそれがいいと思うわ』

洸『それでさ。今度隣の県での面接に行こうと思うから、ちょっとお金が必要なんだよ』

マリア『大丈夫。ちゃんと私が払――』

マリア(あれ……? 確か私先週10万円渡さなかったかしら? それとは別に毎日お昼代や交通費として5千円渡しているし……)

洸『マリア?』

マリア『……あ、ごめんなさい。少し疲れててボーッとしちゃったの。はい、これだけあれば大丈夫かしら――――』

※ ※ ※



切歌「――――ということに」


――嗚呼 終焉へのカノンが薫るー♪


奏者・大人『……ッ!?』

エルフナイン「殺戮のー、福音に 血反吐と散れ♪」ゴゴゴゴゴ

響「ちょっ……エルフキャロルちゃんストップストップ!」

エルフナイン「響さんどいて! そいつ殺しにいけない!」

響「さっきのはもしもの話だから! お父さんお母さんと仲直りしたし、試用期間で愚痴も言ってるけど働いてるから!」

翼「聖遺物が手元に無いのに歌いだすとは……どうやら相当錯乱しているようだな」

未来「で、でも足元に魔法陣みたいなものが浮き上がってますよ!」

切歌「あ、ありゃりゃーデス」

調「知っている男の人で一番の適役だったらつい……」

クリス「言ってる場合か!? おい、おっさん!」

弦十郎「どうれ」ズイ



――――

――――――――

――――――――――――



エルフナイン「お騒がせして申し訳ありません」ショボーン

弦十郎「ハッハッハッ! このぐらい元気があっていいじゃないか」

翼「話はずいぶんとこじれてしまったが……話の趣旨は、マリアがだめんずという輩に引っかからないようにすることだったな?」

切歌「はいデス!」

未来「対策としては……マリアさんが優しいのはいいところだし、今でも十分しっかりしてるから」

響「乙女なマリアさんが恋愛への耐性をつければいいってことかな?」

クリス「そんなすっとろいことしてねーで、マトモな野郎とくっつけてしまえば仕舞いじゃねえか」

調「それはわたしたちが寂しくなるからダメ」

クリス「お、おう」

エルフナイン「待ってください。何も男の人に限定する必要なんてありません」

響「え、どゆこと?」

エルフナイン「ボクがマリアさんをデートに誘えば解決する問題です!」

奏者・大人『……』

※ ※ ※



エルフナイン『ま、マリアさん!』

マリア『あら、どうしたのエルフナイン』

エルフナイン『ここ、今度の土曜日なんですけど! 時間は空いているでしょうか!』

マリア『土曜日なら大丈夫だけど、何が用事でもあるのかしら?』

エルフナイン『このチラシを見てください! 近くの水族館でセイウチの赤ちゃんが公開されるから、二人で見に行きませんか!?』

マリア『セイウチの赤ちゃんが? へえ……』

エルフナイン『……』ドキドキ

マリア(エルフナインは知識だけで実体験は乏しい。動物の赤ちゃんを見ることは情操教育で必要なことじゃないかしら。エルフナインは二人でって言うけど……そうね、二人っきりの方がエルフナインの最近の様子を見れるし、みんなと出かけるのはまた別の機会にしましょう)

マリア『誘ってくれてありがとうエルフナイン。土曜日が楽しみだわ』ニッコリ

エルフナイン『や、やったー!』

※ ※ ※



奏者・大人(ただの親子だ……)

エルフナイン「デートに慣れて恋愛への耐性をつければ、変な奴に声をかけれらてもマリアさんなら毅然とした態度で追い返せます!」

響「あ……うん」

調「対策の一つとして……考慮に入れよう」

クリス「まあ一番手っ取り早くて確実なのは、マトモな野郎に声かけさせて、感触が良ければそのままくっ付けちまうことだろ」

未来「けどマトモな人で、さらにスペックが高いマリアさんに気後れしない人ってなると……」ジーッ

翼「なるほど。身近なところに一人いますね」

緒川「…………あの、お二人とも?」

響「おおっ! 緒川さんマリアさんより背が高くてイケメンですし、翼さんのマネージャーでもあるから歌手としてのマリアさんを支えるこ

とだってできますよね!」

弦十郎「生々しい話だが、マリア君に近づく男がいればスパイを疑って身元調査をしなければならない。しかし緒川なら何の問題もないな」

切歌「まあ緒川さんなら……」

調「わたしたちからマリアを奪わないっていうのなら……」

エルフナイン「男なんて一皮むけば危険な狼ばかりだけど……緒川さんなら、百歩譲って」ギリ、ギリギリギリ

緒川「み、皆さん? 肝心のマリアさんと僕の意見を無視して進んでいますよ?」

響「まあまあ緒川さん! ここは一つ緒川さんとマリアさんがお付き合いしたらどうなるかをシミュレーションしてみましょうよ!」

未来「付き合い始めて三ヶ月――」

弦十郎「うららかな日差しのなか、二人は公園を歩く――」

緒川(いったい何が始まるんです……?)

翼(大阪冬の陣だ)

※ ※ ※



緒川『良い天気ですね』

マリア『ええ、本当に。郊外の静かな公園で、貴方とゆっくりするのって……私好きだわ』

緒川『ここのところ奏者としても、アーティストとしても仕事が忙しかったようなので公園を選んだのですが、喜んでもらえて何よりです』

マリア『気を遣わせちゃったかしら?』

緒川『気を遣わせてくださいよ』

マリア『フフ』

緒川『ハハ』

マリア(みんなが一緒だと充実した毎日で時間がいつの間にか経っているけど……緒川さんと一緒だと、ゆっくりとした時間に心から癒される)

マリア(気配りのできる人だし、私のこともわかってくれている。不満なんてない)

マリア(でも……何だか順調すぎるわ。これは恋なのかしら?)

???『アーハッハッハッハッハッハ!!!』

マリア『!?』

緒川『マリアさん下がって! 何者です!?』

???『笑えるねぇ。いい歳した男と女が、恋人“ごっこ”やってるんだからさぁ!』

マリア『ご……ごっこ?』

???『君は本気で恋をしたことがないんだろ? 僕はね、君がこれから本当の恋をする男だよ』

マリア『なっ……』

緒川『さっきから貴方は何ですか!? 失礼ですよ!』

???『僕かい? 僕はね――』





ウェル『僕こそは真実の相手、ドクター↑ ウェルウウウウウゥゥゥ!!」』




――どこまでも無限に! 続く空の下で! 永遠を 夢見てた♪

※ ※ ※



クリス「待て待て待て待て待て待てえぃ!」

響「うわ! どうしたのクリスチャン、まだシミュレーション途中だよ」

クリス「しゃらくせえ! どこの誰があの大バカを混ぜやがった! いやそれより、うまくいっていたのに不穏な空気出したのは誰だ!」

エルフナイン「あの男め……完膚なきまでに消え去ったと思ったが……」ゴゴゴゴゴ

調「大丈夫。あの男はきっと、多分、今度こそ死んだから、4期に出てくることはおそらくないから」

切歌「でもクリス先輩。不満が無いことに不満を抱くっていうのは少女マンガにある展開デスよ!」

クリス「オマエか!? オマエなのか!」グリグリ

切歌「デェェェェェェス!」

翼「緒川さん? どうしました」

緒川「いえ……ただのシミュレーションとはいえ、あのまま行くと僕は彼女を変な奴に取られる情けない男ということに……」ズーン

未来「普通に考えれば、あんな人より緒川さんの方がずっと上だから気にしなくっていいですよ。あ、でも――」

緒川「何か?」

未来「緒川さんがさっきみたいな事態に出会ったらどうしますか?」

緒川「そうですね……恋人が不審者に変な目にあわされないように、気をつけながらその場を離れ……未来さん?」

未来「ダメダメですよ」ハア

調「ダメダメすぎ」キリッ

緒川「え?」

翼「何がダメなんだ? 恋人の安全を考えた正しい行動に思えるが」

未来「いいですか翼さん。さっきのシミュレーションでのマリアさんは不満が無いことに不満を抱いていたんです。考えなくていいことを考えてしまったんです。だから緒川さんは余計なことを考えさせないようにしなくてはならなかったんです」

響「な、なんだか難しい話に……」

未来「響はとくに聞いていてね」

響「なんでさ!?」

緒川「ええっと……つまり僕はどうすることが正しかったんでしょうか?」

未来「ウェル博士の目の前でマリアさんを抱き寄せて、情熱的にキスするのが正解でした」

奏者・大人・幼女『!?』

調「もしくはウェルがマリアを狙っているとわかった瞬間に、殴り倒すべき」

奏者・大人・幼女『!!?』

未来「あ、確かにそれも燃える展開だよねー」

調「未来さんの案もとっても魅力的」

エルフナイン「確かに……あの男がマリアさんに粉をかけようとしたのも、二人の間にスキが見えたから。白昼の往来で堂々とキスできるのなら“ごっこ”呼ばわりはできません」

緒川「ま、まあ理屈はわかりますが。僕はそういった性格ではありませんよ」

翼「ならば月読の案ですね」

緒川「そんな。他に選択肢が無いというのならともかく、いきなり暴力に訴えるのは。まずは距離をとるか、もしくは話し合いでしょう」

響「そ、そうだよ! いくらあんなのが相手でも、暴力なんてダメだよ!」

調「響さん、よく考えてみて。マンガや映画で三角関係を解決する手段は何?」

響「そりゃあ拳で――――あ」

切歌「自分を巡って二人が争うというかっこうのシチュエーションを、話し合いで円満解決されたらがっかりデス」

未来「緒川さんはこのままだと良い人どまりの可能性があります。恋愛面に関してはもっとバイオレンスに行きましょう」

緒川「き、肝に銘じます……」ズーン

翼「しかしこれでマリアがだめんずに引っかからぬためには、単に異性と付き合うだけではなく、その交際相手が情熱的で荒事も辞さぬ覚悟の持ち主であることが必要だとわかった」

響「それなら! ここに最適な人がいるじゃないですか!」バンッ

弦十郎「ほう、響君。それは誰だね?」

響「師匠ですよ師匠!」

弦十郎「……俺だとぉ!?」

切歌「司令にならマリアを任せられるデス!」

調「マリアに余計な不満なんて考えさせないし、ウェルだって出てきた瞬間に吹っ飛ばしてくれる」

弦十郎「君たち……俺を何だと思っているんだね」

エルフナイン「でも……悔しいけど司令ならマリアさんを幸せにできそう」

翼「叔父様。もう結婚するべき歳はとうに超えていますし、マリアが義姉になるのは私にとっても喜ばしいことです」

弦十郎「おい、君たち」

未来「ちょっと、みんな――」





「だ、ダメだダメだダメだ!」





弦十郎「んお!?」

響「クリスちゃん……?」

調「クリス先輩?」

クリス「……え! あ、いやその……おっさんとマリアが並んでいるところ想像してみろ! 美女と野獣なんてもんじゃねえ! 7回ぐらい

職質されちまうぞ!」

弦十郎「おい」

未来「素直じゃないんだから、まったく……」

クリス「あ、今何か言ったか!?」

未来「言っていいの?」ニッコリ

クリス「……こええよ。オマエの親友兼ルームメイトこええよ」

響「え? 未来がなんで?」

弦十郎「ンンッ! まあクリス君が言うとおり、俺とマリア君では釣り合わないだろう。第一年齢が離れすぎ――」

クリス「ね、年齢が離れてちゃいけねえのかよ!」

弦十郎「んお!? 今度は何だ!」


ギャーギャー、ワイワイ


翼「緒川さん? いったい何が起きているんですか?」

緒川「よかったですね翼さん。マリアさんは義姉になりそうにありませんが、同じぐらい身近で仲が良い方が義姉になってくれそうです」

翼「は、はあ」

切歌「ええい、話がこじれてきてしまったデス!」

調「こうなったら切り札を出す」

エルフナイン「切り札……ですか?」

調「そう、それは……」

切歌「S.O.N.G.一のイケメンにマリアを口説いてもらうことデス」

未来「!!?」

響「S.O.N.G.一のイケメンって……でも師匠はクリスちゃんが反対で……え?」

翼「任せたぞ立花」

クリス「ああ、そういうことか」

緒川さん「響さんでしたら」

弦十郎「うむ」

切歌「デスデスデース!」

調「ジー」

エルフナイン「響さんでしたら安心です」

響「え……ちょっとなんでみんなわたしを見て――」

響「わ、わたしなのおおおおおお!?」





未来「……」

※ ※ ※



マリア(帰りにS.O.N.G.に寄ったのだけど……)

友里「冷たいもの、どうぞ」

藤尭「冷たいもの、どうも」

弦十郎「テラフォーマーのアクションシーンは最高だなー」

緒川「NARUTO実写化のあかつきには、ぜひ僕をアクション指導に呼んでもらいたいものですねえ」

マリア(みんな落ち着きが無いというか、無理して平静を装っているというか。そのうえ誰も私と目を合わせようとしないし)

マリア(いったい何が起きようとして――うん?)

クリス「あー、その……なんだ」

マリア「クリス? よかった、ようやくマトモに会話ができそうね」

クリス「薄々何か起きそうだってことは勘付いてるとは思う。だからあたしから言えるのは一つだけだ」

クリス「生きるのを諦めるな」

マリア「……へ?」

クリス「じゃ、じゃあな」タタッ

マリア「あ、クリス……何だったのかしら?」

「マリアさん!!」

マリア「今度は貴女? そんな大声出してどうしたの……って」


ズカズカ、ズカズカ


マリア「た、立花響? ちょっと、どうしたの思いつめた顔して」後ズサリー

響「マリアさん! 話があるんです」ズンズン

マリア「は、話があるのはわかったら一度止まりなさ――」ゴン

マリア(壁が!? これ以上は逃げられない!)

響「マリアさん!」

マリア「う、うん」

響「わたし約束します!」

マリア「何を……かしら?」

響「マリアさんに近づく悪い奴は、わたしが許しません」

響「マリアさんは、私が守ってみせます!!!」ドンッ、ピキィッ

マリア(これって……壁ドン!?)

マリア「ちょ、ちょっと! 悪ふざけはこのぐらいで――」

響「ふざけてなんかいません!」

マリア「!?」

響「マリアさんに迫る悪意がどんなものであっても、この命に代えても守り切って見せます!!!」

マリア「ひ、響……?」トゥンク

マリア(な、なんなの。その真っ直ぐで力のこもった瞳は)

マリア(胸が痛いほど高鳴って――――うん?)










未来「……」

マリア「」



正妻への恐怖>>>>>ビッキーのイケメンパワー





マリア「ひ、ヒイイイイイイイイィ!!!」

響「マリアさん!?」

翼「む。順調なようだったが、何があった?」ヒョッコリ

クリス「何もカニもねえ。こうなることなんざ目に見えてただろ」ヒョッコリ

切歌「アチャー、未来さんのこと忘れていたデス」ヒョッコリ

調「マリア、大丈夫?」ヒョッコリ

エルフナイン「マリアさんに壁ドン……キャロルみたいに体を大きくすれば」ヒョッコリ

マリア「あ、貴女たち……」

マリア「どういうわけなのか一から説明しなさい!!」

※ ※ ※



マリア「私がだめんずに引っかかるう!?」

翼「そうだ。暁と月読が最初にその懸念を抱き、みなと話し合った結果その可能性はありうるという結論に達した」

マリア「司令……緒川さん。貴方たちまでいて、なぜそんな結果になったのですか?」

弦十郎「いや……そのだな」

緒川「本人の前では申しあげにくいといいますか」

マリア「それに切歌、調! まさかとは思うけど、朝読んでいた変な本の影響じゃないでしょうね?」

調「ギクッ」

切歌「デース……」

響「変な本?」

エルフナイン「あの……ひょっとしてこの本のことですか?」

調「な、なぜそれが!?」

切歌「え、あ……ごめんなさいデス調」

エルフナイン「さっき話し合いをした部屋に置き忘れてあったんです」

調「切ちゃん!」

切歌「しょぼーんデス……」

緒川「ええっと……『少女マンガから学ぶ恋愛学【完全恋愛必勝マニュアル】著・架神恭介』?」

マリア「何なのそれは……?」

緒川「えーと……なるほど、なるほど」パラパラパラ

緒川「要約すると、これはモテたいと思っている男性向けの本で、少女マンガに出てくる男は女性の理想なのだから、その行動をマネればいいというものです」

翼「なかなか面白い着眼ですね。私はそういったものは読みませんが、少女マンガを参考にするというのは有効でしょう」

未来「あの……緒川さん。どういった少女マンガに出てくる男性の行動をマネるように書いてあるんですか?」

緒川「はっきり言うと新條まゆです」

未来「……やっぱり。切歌ちゃんと調ちゃんの発想が変わってるはずだよ」

切歌「ど、どういうことデスか!?」

調「少女マンガを男性向けに解釈した本。男と女の両方の視点を取り入れたこの本一冊を読むだけで、私たちは恋愛マスターになれた」キリッ

未来「……緒川さん。もっとはっきり、そしてわかりやすく言ってあげてください」

緒川「この本は少女マンガの中でも極端なものを意図的に選択し、それをアクロバティックに解釈したギャグです」

切歌「ギャ――」

調「グ――!?」

クリス「えーと、何々? モテたいなら他人の恋愛をニセモノと決めつけろ? モテたいなら三角関係は腕力で解決しろ? さっきのシミュレーションじゃねえか!」

響「うわー、他のもすごいのばっかだよ」

エルフナイン「モテたいなら人形とお話ししろ? モテたいならあることないこと言いふらせ? こんなのモテ男じゃないし、だめんずどころか精神異常者じゃないですか」

未来「少女マンガのチョイスもすごいけど、緒川さんの言うとおり解釈の仕方があさっての方向すぎるよ」

未来(あと緒川さん、やっぱりこういうのに詳しいんですね)

緒川(翼さんがこういうことに疎いので、僕が調べてそれとなく伝えるようにしているんです。途中から半分趣味みたいになりましたけど)

翼「緒川さん?」

緒川「何でもないですよ、翼さん」

翼「は、はあ」

調「そんな……」

切歌「あたしたちの心配は、まったくもって見当違いだったわけデスか……」

マリア「……まったく」ハア

マリア「切歌、調。さっきは怒っちゃったけど……たとえ的外れでも、貴女たちが心配してくれるのは、その……私は嬉しく思うわ」

きりしら『マリア……!』

マリア「それに安心して。もし万が一悪い男に騙されても、貴女たちが二人そろって反対する奴なんかと付き合い続けるなんてこと、有り得ないんだから」

調「マリア~~~ッ」ギュウ

切歌「あたし達も嬉しいデス~~~っ」ギュウ

マリア「まったく。まだまだ子どもなんだから」ギュウ

弦十郎「やれやれ。マリア君には二人がついている以上、どうやらいらぬ心配だったようだな」

響「安心して未来。未来がもし変な人に引っかかったら、全身全霊で止めてみせるから!」

未来「うん。“わたしには響がいるからありえないけど”、その時はよろしくね」

翼「……何だ今の気配は。一瞬だが、黄昏より昏く血の流れよりも紅いような存在が、両肩にのしかかって来たぞ」

クリス「ああ、うん。深く考えるとハゲちまうから気にすんな」

マリア「――ところで二人とも」ギュウウウ

調「ま、マリア?」

切歌「デ、デェェェス?」

マリア「やることやってるのなら、変な本を読んでいてもいいって今朝言ったけど……こんな一目でおかしいとわかる本を鵜呑みにした挙げ句、私が変な男に引っかかるなんて突飛な発想をするようじゃ話は別ね」ギュウウウ

切歌「ハハ、ハハハハハ。マリア? ちょっと抱きしめ方が強くなってきたデスよ?」

調「ク、クリス先輩助けて」

クリス「知るか、朝っぱらから妙なことに巻き込みやがって。おまえらが悪い」

調「鬼! 悪魔! 爆乳!」

切歌「やーい、クリス先輩の年上好きデス!」

クリス「……おい、今からこのバカたちの部屋を点検するんだろ? あたしも付き合うよ」

マリア「ええ、助かるわ」ギュウウウウ

切歌「デェェェェェス!?」

調「こんな、こ、これが人間のやること!?」
 

ズリズリ、キャー、爆死デース、手紙読マレチャウデース!





奏者・大人・幼女『……』

響「……師匠」

弦十郎「ああ」





弦十郎「こ れ に て 一 件 落 着 !」





~完~

最後まで読んでいただきありがとうございました。
シンフォギアを書くのは初めてで、普段はモバマスで島村さんに「へそ下辺りがむずがゆい」と言わせちゃったりしてます。

【モバマスSS】凛「プロデューサーにセクハラしたい」
【モバマスSS】凛「プロデューサーにセクハラしたい」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1446375146/)

私もそうでしたが、シンフォギアは他作品と比べてSSを書くのが難しいと考えている方が多いと思います。
実際に書いてみてわかったのは、いくつかSSを書いた経験とそれなりの適合係数があれば思ったよりも簡単につくれるということです。
書いてみたいけど難しそうと思っている方は、ぜひ一度挑戦しましょう。

今後もモバマスを中心に書いていきますが、この胸に宿ったカ・ディンギルのフォニックゲインが高まり過ぎてルナアタックしてフロンティア事変を巻き起こしそうになった時は、クリスちゃんが三者面談の保護者役を何とか司令以外にしようと悪戦苦闘するSSを書きます。





……それとマリアさんがだめんずに引っかかりそうだと思ったことがあるの、私だけじゃないですよね?

乙です 次回作も楽しみに待ってます
それと、そうしゃのそうは奏じゃなくて装ですよ

>>19
やだ、恥ずかしい///
次回作ではちゃんと装者にします

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