サトリちゃん (オリジナル百合) (144)

頭を空っぽにして読む百合





街の人全員に監視されている。
自分の家は盗聴されている。
マフィアから命を狙われている。
床から白い系の人達がビビってたアレな電磁波が出ている。

そういう事を言い出した人がいたら、その人は間違いなく、統合失調症とかか宗教の人。
すっごい妄想だね、と普通は思う。
だって、ありえないから。
現実的に考えて、そりゃないわってなるから。

妄想とか幻聴とかは、『あなた、疲れてるのよ』の一言で済ませられてしまう。
そういうものなの。
普通はね。


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――――
―――


とある高校

すみか「なるほど、相手が浮気しているか知りたいのね」

ひろみ「そうなんです! やす君最近デートに誘っても全然応えてくれなくて……」

すみか「それで、私にパパラッチして欲しいってことか」

ひろみ「もし、黒だった場合は、できれば証拠とかもがっつり押さえて、やす君を社会的に抹殺したい」

すみか「こわっ!」

ひろみ「私、本気で、好きで……ッうううう――」ブワっ

すみか「うん、分かった。この写真部のすみかに任せてよ」

ひろみ「お願いしますうううっ」

すみか「何事も無かったらいいわね」

ひろみ「はい……」

すみか「じゃ、また連絡するね」

――――
―――


ピポピポパ
プルルル
ピっ

すみか「あ、さとりちゃん? 今、どこにいるの?」

さとり『……今、妹と買い物してる』

すみか「えー、そっか、じゃあしょうがない」

さとり『……なに』

すみか「さっき依頼受けてね」

さとり『……行く』

すみか「え、いいよいいよ」

さとり『……でも行く』

すみか「うーん、妹ちゃんにごめんって言っておいて」

さとり『うん』

15分後

サッカー部部室前

すみか「わざわざ学校に戻ってきてくれてありがとね」

さとり「いいよ……」

すみか「あそこの不細工な丸刈りが、依頼人の彼氏なんだけど」

さとり「……」チラ

すみか「ゴリラが玉遊びしてるようにしか見えないね」

さとり「……」

すみか「どうも、マネージャーと浮気してるかもって彼女さんは踏んでるの。ちょっと、覗いてみてくれる?」

さとり「……うん」

スっ

やす「おーい、こっちパス回せよ!」

やす(……今日のマネの下着めっちゃ透けてるじゃん。やっべえ、誘ってんのかな。後で抱きしめよ……)

やす「違うって、バカ、反対に蹴る奴があるか!」

やす(たくっ、運動神経ねえなあの後輩)

やす「そうそう! いいぞ!」

やす(だめだ、こいつ使えねえ)

やす「っしゃ、上がれ!!」

やす(あれ、なにあの二人こっち見てんじゃん……もしや俺のこと好きなんじゃ? やっぱすみかの胸でけえなあ。もみた)

プツンっ

さとり「……」

すみか「どしたの。眉間にしわなんて寄せて」

さとり「……ううん」チラ

すみか「ん?」

さとり「……なんでもない」

すみか「それより、どう? 有力なのあった?」

さとり「この後、二人で逢引きする予定っぽい」

すみか「でかしたっ。そこを写真で収めてやりましょう」

さとり「……」

むにょん

すみか「なに私の胸揉んでるの?」

さとり「……ううん」

むにょん
むにょん

部活後


やす「お前、今日の下着透けてるの知ってた?」

マネ―ジャー「え、うそっ」

やす「なに、誘ってた?」

マネージャー「なわけないじゃん、ばか!」

バシっ

やす「いてっ、ごめんごめん」

ぎゅう

マネージャー「や、やだこんな所で」

やす「いーじゃん。もう、みんな帰ったしさ」

ぎゅう

すみか「ギルティね。二人とも」

ミシっ

さとり「カメラ……」

すみか「おとと、まあ、私には可愛い幼馴染がいるからいいけどねえ」

さとり「……誰のこと?」

すみか「ふふん」

グリグリ

さとり「……痛い」

すみか「さーて、証拠写真を一枚」

パシャっ

すみか「よし、これでずらかるわよ」

スクっ
テク――カランカラン

すみか「やば、空き缶蹴った」

やす「誰だっ?!」

すみか「げっ」

マネージャー「なに?」

さとり「……すみかちゃん」

すみか「ご、ごめんね」

やす「な、なんだすみかか。って、なんだよ、そのカメラ……」

すみか「あ、なんでもないなんでもない。じゃ」

やす「お前まさか、ひろみに頼まれて……!」

マネージャー「え、ひろみ? 誰?」

やす「あ、いや」

すみか「知らない方がいいよ?」

マネージャー「なんのこと?」

やす「て、てめえ、まさかさっきの写真に」

すみか「同じクラスなんだから、私の噂くらい聞いたことあるよね?」

やす「それ、寄こせ!」

ガバっ

すみか「さとり!」

さとり「……すみかちゃんに近寄らないで」

スっ

やす「あががががが!?」

すみか「さとり、廃人にしないようにね」

さとり「……」

やす「……」ピタっ

マネージャー「や、やす君?」

やす「オレ、ジツハ、カノジョガイルンダ。オマエトハアソビダッタンダ」

マネージャー「そんな……酷い」

やす「オマエ、ムネデカイカラ、イチドモンデミタカッタンダ」

マネージャー「最低!」

バシっ

やす「ぶほっ!?」

マネージャー「もう二度と話しかけないでっ」

タタタっ

やす「あ、お、俺は何をっ」

さとり「……帰ろ」

すみか「そうね。あ、証拠写真は彼女さんに渡しておくから」

やす「ひいいいいっ」

さとり「ちょっと寒くなってきた」ブル

すみか「しょうがないなあ。ほら、こっちおいで」

ぎゅう

さとり「……温かい」

すみか「あんたの方が温かいけど?」

さとり「……そういう意味じゃない」

すみか「ん? まあいいけど」

テクテクテク――

――――
―――

次の日

ひろみ「あいつ、ほんとに浮気してたんだ」

すみか「みたい。でも、浮気するような奴だって早めに分かって良かったじゃん」

ひろみ「確かに……」

すみか「これ写真」

ひろみ「ありがとっ。高校の掲示板にアップしてやるわ」

すみか「はは……」

ひろみ「でも、よくこんなすぐに撮れたわね」

すみか「え、ああ、この子のおかげ」

ポンっ

ひろみ「え? ああ、さとりさんいたんだ」

さとり「……」

すみか「もお、一心同体なんだから、いっつも隣にいるから」

ひろみ「ふーん」

すみか「あげないわよ」

ひろみ「いらね」

さとり「……」

昼休み

すみか「人間て嘘ばっかりで嫌よねえ」モグモグ

さとり「……うん」モグ

すみか「かと言って、正直に生きるのもバカなのよねえ」モグモグ

さとり「……うん」

すみか「げ、ピーマンの肉詰め入ってる!」

さとり「から揚げと交換する?」

グサっ
スっ

すみか「するするっ、さとり愛してるっ」

あむっ

すみか「うまいっ…」モグモグ

さとり「……」ジっ

すみか「あ、ごめんそのままいった……あっはは!」

さとり「あーん」

すみか「なに? しょうがないなあ」

グサっ

すみか「ほれほれ」

スっ
ぱく

さとり「……おいひ」モグモグ

すみか「うむ。欲しいものを手にする時はそれなりに代償が必要よね」モグモグ

さとり「……」モグモグ

すみか「そう言えば、やす君お昼ご飯も食べずにどこ行ったんだろ」キョロ

さとり「……あ」

すみか「何か聞こえた?」

さとり「心の悲鳴」



おわり

1話的なのが終わったので、次のは2話にします

2話

さとりの家


さとり「……」

ピっ

さとり「……」

まな「お姉ちゃん、お風呂沸いたよ?」

さとり「うん……ありがと」

まな「テレビ何か面白いのしてる?」

さとり「分からない」

ピっ

まな「あ、それ見たいやつ」

さとり「そうなんだ。お風呂入るね」

スクっ
トタトタ

まな「……うん」

母「お姉ちゃん、まなのことよく見てるわねえ」

まな「そうだね……」

父「しかし、さとりは家で全然話さないけど、学校でちゃんと上手くやってるのか?」

まな「お姉ちゃんはあんまり喋らないけど、話すときはちゃんと話してるよ」

母「そうなの?」

まな「すみかちゃんもいるし、大丈夫だよ」

父「いつまでもすみかちゃんに甘えているわけにもいかないぞ」

まな「それは、私じゃなくてお姉ちゃんに言わないと」

母「まなちゃん頼りになるから、ついつい言っちゃうのよ」

父「どっちがお姉ちゃんか分からないからな」

まな「お姉ちゃんはお姉ちゃんだよ」

お風呂後


ペたぺた

さとり「……喉乾いた」

まな「はい、牛乳」

さとり「ありがと……」ゴクゴク

まな「ホントに大きくなるのかな?」

さとり「……なる」

まな「背も胸もあんまり変わらないような」

さとり「まな、うるさい」

まな「ごめんごめん」

さとり「まなが羨ましい」

まな「そう?」

さとり「背も高いし、胸もあるし、頭もいいし」

まな「そんなことないよ。お姉ちゃんだって、私にないものたくさん持ってるよ」

さとり「そんなことないよ」

まな「そんなことあるよ」

さとり「……」ジっ

まな「あ……私、そろそろ寝るね」

さとり「うん」

次の日

高校

すみか「さとり、次の問題当てられてるよ」

さとり「……うん」

すみか「うん、て。あんた答え分かったの?」

さとり「ううん」

すみか「もお、何してんのよ。ちょっと机寄せなさい」

さとり「うん」

すみか「いい、ここはね」

スラスラ

すみか「数学は公式覚えてないと無駄な時間費やすんだからね。こうして、こう。で、こう。分かった?」

さとり「……」ブンブン

すみか「なぬっ」ガク

さとり「ごめん」

すみか「あ、私の心の中読んでみて解いたら?」

さとり「無理」

すみか「じゃあ、地道に頭を動かすしかない!」

次の授業

すみか「美術って眠いわよねえ」

さとり「……」

シャシャっ

すみか「私の顔書けた?」

さとり「できた」

スっ

すみか「……あんた、ほんとド下手くそね」

さとり「……」

すみか「ほら、どうよこれ」

スっ

さとり「すごく似てる。ひろみちゃんに」

すみか「あんたの顔よ」

さとり「……」

放課後

すみか「あ、さとり」

さとり「なに、すみかちゃん」

すみか「今日さ、まだ大丈夫?」

さとり「どうしたの」

すみか「一年のるりこちゃんて子から依頼受けてるの。この間、商店街の入り口で占い師のおばさんに占ってもらったんだけど、億万長者になれるとか石油王と結婚できるとか色々上手い話が10年後に舞い込んでくるって出たんだけど、うますぎて信じきれないから、占い師が本物かどうか調べて欲しいって」

さとり「わかった」

すみか「その占い師の人、他の生徒も受けたことあるんだけど、どれも話が上手すぎるってことらしくてね。一回3000円するから、それなりにリアリティも欲しいってわけね」

さとり「……占いは占い」

すみか「あんたの言いたいことは分かるわよ。でも、夢くらい見させてあげて」

さとり「その夢を壊すことになるかも」

すみか「そうねえ。でも、夢から覚める時、人はもっと逞しくなってるもんなのよ」

さとり「ふーん……」

すみか「よし、じゃあさくっと行くわよ」

さとり「うん」


――――
―――

眠いのでここまで

商店街

占い師「あらあ、そこのお嬢さん。安くしときますよ?」

めぐ「えー、どうする?」

みるく「私、昨日財布失くしたのよね。それ、どこに行ったか教えて欲しい」

占い師「そんなピンポイントな占いできません」

みるく「じゃあ、なんなら占えるの」

占い師「10年後のあなたがどうなっているかですよ」

めぐ「いくらなんですか?」

占い師「5000円ぽっきりです」

めぐ「たかっ」

みるく「それ以外に何か占えないの?」

占い師「あなたが明日死ぬか、生きるかなら」

みるく「何それ超笑えるんですけど」

めぐ「そんなの占う必要ないじゃん。いこ?」

みるく「……う、うん」

占い師「いいんですか?」

めぐ「明らか危ないし、いこーよ」

占い師「明日、死ぬかもしれないのに知らなくていいんですか?」

みるく「う……」

めぐ「ちょっと、本気? 5000円とかぼったくりでしょ。前に聞いた時は3000円だったし」

占い師「私は別にかまいませんよ。あなたが明日いつどこでどんな風に死のうが生きようが関係ありませんから」

みるく「払います。払いますから、教えてください!」

めぐ「ちょ」

占い師「あなた、あなたは、いいんですか?」

めぐ「やりません」

占い師「友達が明日死んでもいいと?」

めぐ「別に、そんなこと言ってないですから」

みるく「お金……今、ない」

めぐ「ええっ」

占い師「さっきから、お二人とも態度が悪かったですね。今日中に払わないと、占いませんよ」

みるく「めぐ……助けてよお」

めぐ「いや、だって」

占い師「さあ、さあ。お友達を見捨てる酷い女になりますか」

みるく「うう……」

めぐ「みるく……わたし」

パンパンパン

すみか「なにこの占い。聞いてたら、夢も希望も何もないじゃん。覚めすぎでしょ」

さとり「……」

占い師「お客さん、もうちょっと待ってもらっていいですか? こちらのお客さんが先だったので」

すみか「明日、その子が死ぬなんてどうしてわかるの?」

占い師「占いでわかるんですよ」

すみか「ホントに?」

占い師「ええ。」

すみか「そうやって脅してお金むしってるだけでしょ」

占い師「あなたは、明日の人生がどうなっているか知りたくないんですか? 死ぬか生きるかですよ?」

すみか「そりゃ知りたいけど、明日精一杯生きようって思ったら、明日死んでも死ななくても一緒でしょ?」

占い師「あなたは命が惜しくないんですか」

すみか「なんで占うだけで、そんな話になるのか」

さとりちゃん「……嘘つき」

占い師「なっ、人聞きの悪いことを」

ねます

すみか「さとりが嘘つきって言う時は、絶対に嘘つきなの」

占い師「お嬢さんたち。占いに、嘘などありませんよ。あるのは、そういう運命の選択肢があるという事実です。それが明日起こらないかもしれないけれど、その未来もあり得るというのは100%事実なんです。あなたがたは明日の自分に怯える人間は何も考えるなと言うんですか? そうは言いませんよね? 明日のことを知りたいという気持ち、知らないという不安から解き放たれ安堵したい気持ち、私はそんな方のお役に立てればいいだけなのです」

さとり「……」スッ

占い師(なんなのこのジャリンコ共ッ。商売の邪魔してくれちゃって! 早くどっか行きなさいよねッ。しッ!しッ! あとちょっとで私の催眠術で落とせそうだったのに!! こんなちょろいガキ久しぶりだってのに!! てか、なに、このチビの方、さっきから私の方睨んで、気持ち悪ぅッ)

さとり「……」

すみか「どうしたの、さとりちゃん。腐った牛乳飲んだみたいな顔して」

さとり「ううん」

占い師「うふふ」ニコ

さとり「……」

占い師「さ、分かったら、私の邪魔をしないでください」

すみか「明日の不安を駆り立てたのは、そもそもあなたじゃない」

占い師「ぐッ」

すみか「二人とも、目覚ましなさいよ」

パンッ

みるく「あがッ!?」

パンッ

めぐ「あふっ!?」

すみか「目、覚めた?」

みるく「あれ、私……なんで占ってもらおうなんて思ってたんだろ」

めぐ「わ、私も全然乗り気じゃなかったのに……」

すみか「ほら、無駄遣いする前に散った散った」

みるく「か、帰ろっか」

めぐ「よ、よくわかんないけど、うん」

占い師「ああ、チョっ、お客さんっ、まッ」ガタッ

すみか「これに懲りたら、もうちょっとマシな占いすることね」

占い師「あなたたちッ……許しはしません」

すみか「お、やる気?」

占い師「すう……きゃああ!!! 誰かッ! た・す・け・てええ!!」

すみか「は?」

占い師「やめてッ壊さないでください!?」

ボキッ!
パリン!

すみか「ちょ、何自分で壊して」

警官「なんだ、なんだッ!? どうされました?!」

占い師「この女子高生達が、占いの結果が気に食わなったからお店の道具を滅茶苦茶にしたんです!」

通行人「なになに?」

ガヤガヤ

すみか「ろくでもないババアね。呆れた」

占い師「ほら、口も悪い! 親の顔が見てみたいですね!」

警官「君達、どこの高校だ」

すみか「面倒ねえ、さとり……あれ、さとり?」

さとり「……お腹痛い」

すみか「ええ!?」

さとり「昨日の牛乳当たった……」

すみか「ちゃんと賞味期限確認しなさいばか!」

さとり「……う、うん」タラ

警官「大丈夫か? とりあえず二人とも一緒にそこの交番に来なさい」

すみか「え、いや、やって……あー、私! 私だけですやったのは! その子は、私が脅して連れてきただけです」

警官「そうなのか。じゃあ、君ちょっと来て」

すみか「あんた、早くトイレ行きなさい」ボソ

ゲシッ

さとり「あうっ」

占い師「あらあら、罰が当たったんですかねえ」

警察は自分から目をつけた以外、こんな雑な対応しないが
作り込み適当すぎじゃねえ?

トイレ

ジャー

さとり「……ふう」

フキフキ

さとり(すみかちゃんを迎えに行かなきゃ)

テクテク

さとり「交番てどっちだっけ」

さとり「あのおばさんに聞こう」

>>34
ギャグ漫画みたいな感じでみてください

商店街

占い師「あー、せいせいしたわ」

さとり「あの」

占い師「ひッ、って、なんですか、あなたまだいたんですか」

さとり「交番の場所を教えてください」

占い師「交番? 自分から補導されに行くなんて酔狂ですね」

さとり「……」

さとり(すいきょうってどういう意味だろ)

占い師「あっちですあっち」

さとり「ああ」

占い師「早くお行きなさい。邪魔邪魔」

さとり「あの」

占い師「なんですか」

さとり「10年後に億万長者になったり、石油王と結婚できる女子高生っていると思いますか?」

占い師「それは、もちろん、そういう素敵な未来を持った女性っていうのはいるものです。先日もそのような未来の選択肢を持つ女子高生が来ましたよ? 若いというのは、それだけで未来に溢れているのですね」

さとり「……」スッ

占い師(あー、確かそんなこと言ってキチガイみたいに喜んでたやついたわね。傑作だったけど! 笑うの我慢するのに必死だったわ、あの時は。絶対、無理に決まってるじゃない。そんな未来がある人間は、だいたい、まずこのオンボロ商店街でほっつき歩いてないわよねえ! あっはははは!!)

さとり「あなたが、どういう人間なのか分かりました」

占い師「はい?」

さとり「昔のあなたが泣いてますよ」

占い師「……は?」

フッ

子ども「……」

占い師「え、誰? あ、れ、私商店街にいた……のに」



子ども「おばさん」

占い師「誰がおばさんよ!」

子ども「何やってるの?」

占い師「なにって、占いよ。あんたこそ、子どもは家にまっすぐ帰りなさいよ」

子ども「家? 帰りたくない。だって、お母さんがタロットカードのこと無理やり教えてくるんだもん」

占い師「そんなの嫌って言えばいいじゃない」

子ども「言ったら、お母さん哀しむから。お母さんが信じてるものを私も信じなくちゃいけないの」

占い師「……」

占い師(……どこかで聞いたような)

子ども「お母さん、私の未来が見えたの。いつか、人に騙されて自殺してしまうって。だから」

占い師「だから、私が未来を占えるようになればその危険を回避できるかもしれない」

子ども「そうだよね?」

占い師「そうよ」

子ども「お母さんの言ってること本当だったのかな」

占い師「知らないわよ。もう、25年も前の話よ」

子ども「もしかして、未来、占えるようになった?」

占い師「……ぼちぼちわね」

子ども「自殺、しなかったね」

占い師「そうね……」

子ども「しなくてよかった」

占い師「してたまるもんですか」

子ども「未来を変えたのかな?」

占い師「まあ、そうなのかもね」

子ども「ふふふ」

占い師「なんで笑ってるの」

子ども「今、自分で未来は変えれるて言った」

占い師「それが、どうしたって……言うのよ」

子ども「占い楽しい?」

占い師「これで生活してるんだから、楽しいとかの問題じゃないの」

子ども「……でも、占いの道具壊れちゃったよ」

占い師「あんなのいくらでも買えるから」

子ども「まだ続けるの?」

占い師「仕方ないの」

子ども「そっか、最後にお願い。私の未来、占ってよ」

占い師「あんたの未来?」

子ども「うん」

占い師「あんたの未来……は」

子ども「幸せな未来がいいな」

占い師「やめてよ……私だって、私だって! お母さんにあんなこと言われなければ、もっと幸せな夢を持てたはずなのに!」

子ども「……」

占い師「私だって……幸せな未来が良かった……」

―――
――

商店街

ザワザワ

占い師「うッ……ひッく……ウワアアア――」ボタボタ

通行人「お、おい。あれ、大丈夫か」

通行人「酔っ払いか?」

さとり「……」スッ

テクテクテク

交番


ウイーン

すみか「お、さとり。スッキリした?」

警官「あれ、君、戻ってきたのか……うッ」

さとり「……帰ろう」

すみか「大丈夫?」

さとり「大丈夫」

警官「またのご来店をお待ちしておりますー」ペコ

公園

すみか「肩凝ったー」コキコキ

さとり「何もされなかった?」

すみか「されるわけないじゃんかー。やだなあ、心配してくれたのありがと」

ワシャワシャ

さとり「う……むッ」

グワングワン

すみか「そういや、あの占い師のおばさんめっちゃ泣き叫んでたけど、あんた何したの?」

さとり「別に、何も」

すみか「うそつけえ」

ギュウ

さとり「はうッ」

すみか「うりうり」

ギュウウ

さとり(いい匂い……)

さとり「もう、占いができないようにした……」

すみか「いつものあれ? 相手の心に侵入する系の?」

さとり「うん。あれで生活してるって言ってた。だから、きっとこれから困ると思う」

すみか「あんた、落ち込んでんの?」

さとり「ちょっと……。すみかちゃんに酷い事をしたから、その復讐をと思っただけなんだけど」

すみか「あんたたまに怖いことをさらっという子ね」

さとり「そう?」

すみか「まあいいわよ。さとり、一つだけ教えてあげる。悪は滅びるべくして滅びるのよ。だから、あんたが悪なら、あんたにも同じようなしっぺ返しがくる。だから、その時まで深く考えんなってこと!」

バシッ

さとり「いたい」

すみか「それとね、あんたが自分で選んだ事なら文句は言わないの。もっと良くしたいなら、次どうするか考えればいいじゃない。ね、それだけよ」ニコ

さとり「うん……」ニコ




2話 おわり

3話


10年前―――

まな「お」

さとり「明日行けるよ」

まな「私、まだ何も言ってないよ」

さとり「え」

まな「なんで分かったの? すごーい!」

さとり「まなの声が聞こえた気がして」

まな「まなとお姉ちゃん仲良しだもんね!」キャッキャ

さとり「そうだね」

まな「じゃあ、今、まなが何考えてるのか当ててみて!」

さとり「まなも、お姉ちゃんの声聞きたいって、思ってる」

まな「せいかい!! すごーい! すごーい! そうだ、パパとママ、あ、すみかちゃん! すみかちゃんの声もききにいこうよ!」

さとり「え、だ、だめだよ」

まな「どうして? だって、お姉ちゃんすみかちゃんのこと大好きだって言ってたよね? きっとすみかちゃんもお姉ちゃんのこと大好きだよ?」

さとり「そうじゃなかったら……こわいよ」

まな「絶対好きだよ!」

さとり「ほんと?」

まな「うん!」

さとり「んー……じゃあ、ちょっとだけ行ってみようか」

まな「いそげーいそげー!」

ダダダダッ

すみかの家


ピンポーン!

さとり・まな「こんにちわー!」

さとり「……」ドキドキ

まな「すみかちゃん、きっとびっくりするよ!」

さとり「そうだね」

まな「どきどきするー!」

ガチャ

すみか「もー、まな、朝から声でかーい。中まで聞こえてたよー」

まな「ごめんなさーい!」ニカ

すみか「もー!」

まな「ねえねえ、それよりお姉ちゃんすごいんだよー!」

さとり「もお、まな」

すみか「なになに? 身長伸びたの?」ニヤニヤ

さとり「むっ、すみかちゃんのばか」プクー

すみか「ごめんごめん。なあに?」ニコ

まな「お姉ちゃんね心が読めるの! ほら、お姉ちゃん」

すみか「うっそだー。まな、あたま大丈夫?」

さとり「ほんとだよっ。じゃあ、今から質問するから心の中で答えて。すみかちゃんの好きな色は」

すみか「……」

さとり「赤」

すみか「それ、知ってるよね?」

まな「お姉ちゃんたら! あ、じゃあ、すみかちゃんの今日の朝ごはんは」

すみか「……」

さとり「おにぎり、サンマ、野菜サラダ、みそ汁」

すみか「合ってる……」

まな「ね!」

さとり「えへへ」

すみか「さとり……」

まな「じゃあじゃあ、すみかちゃんのお父さんがくれた今年のプレゼントは?」

すみか「……」

さとり「カメラ……」

すみか「ほんとなんだ」

まな「お姉ちゃん、とって質問しないと」ニコ

さとり「う、うん」ジっ

すみか「な、なに?」ビク

さとり「すみかちゃん私の事好き?」

すみか「……」



さとり、怖い――



さとり「え」

まな「お姉ちゃん、すみかちゃんなんて?」ニコニコ

※訂正 まな「お姉ちゃん、とっておきの質問しないと」

すみか「……あ、さとり、そんなこと聞かなくたって分かるじゃん」

さとり「あ……」

まな「お姉ちゃん?」

怖い―

まな「これ、誰の声?」

すみか「え……」

怖い―

まな「すみかちゃん?」

すみか「私、何も言ってない」

さとり「あれ……」

すみか「あれ……なにこれ、違う、私、そんなこと思ってな、うっ……なにっ」

グラっ
ドサっ

まな「すみかちゃん!?」

すみか「……好き、さとりのこと大好きだよ?」ニコ

さとり「え、あ、すみか……ちゃん?」

すみか「ふふっ……ずっと大好きだった」

まな「やったね、お姉ちゃん! お姉ちゃん?」

すみか「ぎゅー!」

ギュっ

さとり「……ひぁ」ブルっ

ドサっ

さとり「すみかちゃん……じゃない」

すみか「何言ってるのさ。すみかじゃんか。さとり、ずーっと一緒にいよ?」

まな「ど、どうしたの?」

さとり「あ、私……すみかちゃんの心を変えちゃった……ッ」

まな「何を変えたのっ?」

さとり「……すみかちゃん、本当は……私じゃなくて


プツン――

さとりの家

チュンチュン


バッ

さとり「アアア――!?」

さとり「はッ……」ドッドッドッ

さとり「ふーッ……」ドッドッ

さとり「……」クラクラ

ガチャ!

まな「お姉ちゃん、どうしたの!?」

さとり「……まな」ポタポタ

まな「え、ちょっと泣くほど怖い夢でも見たの?!」

さとり「え」

ゴシッ

さとり「……?」

まな「どんな夢見たらそんなことに」

さとり「覚えてない……」

まな「お水持って来ようか?」

さとり「ありがと、もう降りる。ごめん、びっくりさせた」

まな「うん……何かあったら言ってね」

さとり「うん」


バタンッ

さとり「?」

ゴシゴシ
ムクッ

さとり「どうして、泣いてるんだろ」

さとり「分からない」

グー

さとり「お腹空いた……」

トタトタ

今日はここまで

バシャバシャ

さとり「……」

キュッ
フキフキ

さとり「……」

まな「ねえ」

ポン

さとり「わッ、びっくりした」

まな「お姉ちゃん、昨日商店街にいた?」

さとり「いたけど」

まな「人だかりすごくできてたって、友だちがいってたの」

さとり「そう」

キュッ
ジャー

まな「何か……」

さとり「何?」

まな「なんでもない。ごめん」

バシャバシャ

さとり「……」

――――
―――


まなの中学校

ガラッ

まな「おはよー」

たかよ「まな」

ガタッ
グイッ

まな「な、なになに」

たかよ「ちょっとこっち」

まな「た、たかよ?」

ズルズル――

廊下

たかよ「ねえ、小学校の頃、あんたのお姉ちゃんがさ……」

まな「……う、うん」

たかよ「私のこといじめてた女子に制裁加えてくれたじゃん」

まな「そう、だったけかな……」

たかよ「あんた、あの時いたじゃんか。てか、あんたが頼んでくれたんじゃん」

まな「えー、だったかな」

たかよ「だった!」

まな「……それで、どうしたの?」

たかよ「実は、私の知り合いの子がさ、いじめに合ってて、けっこう酷くて……私の力じゃどうにもできないの。だから、助けて欲しい……」

まな「先生に言ったの?」

たかよ「言えるわけないじゃんか」

まな「そうだよね……」

たかよ「チクったのばれたら、私も何されるかわかんないしッ……でも、なんとかしなきゃって」

まな「たかよ……」

たかよ「ね、だから」

まな「ごめんね、お姉ちゃんには無理だよ」

たかよ「うそッ。だって、昨日の商店街で私見たんだから。あそこのインチキ占い師があの時のいじめっ子みたいに、サトリさんにひれ伏す所!」

まな「ひれ伏すって、そんな」

たかよ「できるんでしょ? 今もさ、あの心を読んだり、操ったりするやつうぐッ!?」

まな「それ、誰にも言ってないよね?」

たかよ「……んぐ」コクコク

まな「私からは、お姉ちゃんに頼めないよ」

パッ

たかよ「どうしてよッ。親友が困ってるのに、人助けだよッ?」

まな「お姉ちゃんは! 正義のヒーローとかじゃないから!」

たかよ「ま、まな……」

まな「ごめん、私が手伝うから、お姉ちゃんに相談しないで。お願いだよ……」

たかよ「分かったわよ……でも、どうするの?」

まな「うん、ちょっと考えてみるから誰が誰を苛めてるのか、もう少し詳しく教えてもらっていい?」

―――
――

さとりの高校


昼休み

すみか「え、なに、今なんて言った?」

よしの「あの、先輩のクラスにいる、桃崎先輩の下着姿を一枚お願いします」

すみか「いや、うち、そういうとこじゃないから」

よしの「しょんなああッ」ブワッ

ガシッ

すみか「ちょっと、離れてくんないかなあ」

よしの「最近、先輩を見ると、こう……心がズキュンズキュンして、弾けて消えて無くなりそうになるんです」

すみか「あんた女の子よねえ?」

さとり「……」

グイッ

よしの「うわッ」

ヨタタ

さとり「あんまり引っ付かないで」

すみか「ヨシヨシ、ドードー」

ワシャワシャ

さとり「……」

よしの「い、いたんですね」

さとり「いた……」

よしの「下着じゃなくても、パンチラでも、エロい表情でも、ちょっと高揚したところでもなんでもいいので今夜のおかずになったらなんでもいいんです!」

すみか「あんた、キモ過ぎる」

よしの「私だって、桃崎先輩に会うまでは普通の女の子でしたもん!」

すみか「んー」チラ


キャッキャッ

桃崎「もー、どこ触ってるの、ばか」

栗山「定期検診でーす」

柿野「栗山ちゃん、手つきえろーい」

ウフフフ


すみか「まあ、体つきはエロいよね。女子から見ても魅惑的」

よしの「ですよね!」

すみか「私も嫌いじゃないよ」

よしの「え、あげませんよ!? 絶対に!!」

すみか「あんた、ホントキモイわね」

よしの「次、体育ですよね? これ、私のカメラです。あと、バレた時用のもう一つのカメラ。これでカモフラ写真も撮っておいてください。ヤバくなったらカメラ一つおじゃんになってもいいです」

すみか「……いつから計画してた?」

よしの「先月から」

すみか「あんたの性欲に負けたわ」

よしの「やった!!」

すみか「頼まれたからには最高にエロティックで官能的なの撮るから期待しといてね」

よしの「しゃっあああ!!!」

すみか「うるさい!」

バシッ

更衣室


さとり「……」ぷくー

すみか「たこ焼きみたい」

ツンツン
グニュ
プシュー

さとり「……」ぷくー

すみか「拗ねないでよ」

さとり「拗ねてない」

すみか「さとりが一番好きよ?」

さとり「え」

さとり(あれ、デジャブが)

すみか「どうしたの」

さとり「ううん……」

すみか「さとりはお子ちゃまねえ」

さとり「……」

さとり(気のせいかな)

すみか「さって、とりあえずこれだけ人がいるからね。まずは、全員出てもらわないとね」

さとり「分かった」スッ


「早く着替えて、行こー」

「もう、何やってるの。おいてくよ」

「はやーい、もう?」

「あ、忘れ物したから先行くねー」

「トイレ行ってくるから、行ってていいよー」


ザワザワ
バタバタ

桃崎「……」ポツン

すみか「……」

桃崎「あれ、みんないない? 時間まだあるよね」

すみか「ほんと、私達だけになっちゃった」

桃崎「私、まだ何も準備してないよぉ」

ヌギヌギ

さとり「……」スッ

桃崎(すみかさんと一緒って、なんか緊張しちゃうなあ。顔立ち綺麗だし、カッコいいし)ドキドキ

さとり「な……」フルフル

すみか「どしたの?」

さとり「撮らないの。早くして」

すみか「おうおう、そう急かすでない」

さとり「……」スッ

桃崎(ちょっと着替えてるとこ見てもいいかな、あ、目が合ったらどうしよ、わあ変な事考えちゃう)ドキドキ

すみか「準備オッケ」

さとり「……」

ググッ

桃崎「……」

ヌギヌギ
パサッ
ヌギヌギ

桃崎「あ、あの」ピタッ

すみか「はい?」

さとり「……すみかちゃん、いいよ」スッ

桃崎「……」トロン

すみか「っしゃ」

パシャッ

すみか「脱ぎかけてる所って、真面目に見るとそそるわね」

さとり「変態」

すみか「さとりが一番好きだって」

さとり「言わされてる感ある」チクン

さとり(……?)

すみか「そんなことないよ。そんなこと言うなら、私の心覗いてみなよ」

さとり「いいよ。すみかちゃんは、いつも正直に言ってくれるから」チクン

さとり(なんだろ……チクチクする)

サスサス

――――
―――

放課後


よしの「ありがとうございますううう!」

すみか「楽な仕事だったわ」フー

よしの「今日の夜はハッスルしちゃいますううう!」ハーハー!

すみか「そういうの、言わなくていいわよ?」

よしの「依頼の成功率100%って、ホントだったんですね! でも、いったいどうやって頼んだんですか?」

すみか「それは、企業秘密っていうか、部活の最重要機密だから言えないかな」

よしの「そうですか、残念……まあ、物が手に入れば十分ですけど。二人しかいない写真部(仮)頑張ってくださいね!」

すみか「余計なお世話だから! ちょっと前はもっといたのよ! ねえ?」

さとり「うん」

よしの「へえ、そうなんですか? なんでいなくなっちゃたんですか?」

すみか「それは……あれ、なんでだっけ……?」

よしの「?」

さとり「飽きて辞めちゃった」

すみか「そうだっけ……」

キーンコーン
カーンコーン

よしの「あ、私部活あるので、これで! ありがとうございました!」ニコ

タタタタッ

帰り道

すみか「あれ、あそこにいるのまなじゃん。おーい」

さとり「ほんとだ。まなー」

まな「お、お姉ちゃん。すみかちゃん」

たかよ「あ」ペコ

さとり「たかよちゃん、こんにちわ」

たかよ「こんにちわ。お久しぶりです」

まな「ほ、ほらたかよ、急ぐよ」

さとり「どこか行くの?」

まな「うん、今日はたかよの家に泊まるね」

さとり「そっか、いつも妹がお世話になってます」ペコ

たかよ「あ、いえいえ……あ、あのさとりさん」

さとり「なに?」

まな「たかよ」

たかよ「あ、な、なんでも……あはは」ペコ

まな「じゃあね」

タタタッ

すみか「なんだろ」

さとり「さあ」

すみか「あ、それより家来るんでしょ? ちょっと片づけるから待ってよ」

さとり「うん」

すみか「もお、散らかし過ぎて大変」

さとり「……」

すみか「さとり?」

さとり「……」



たかよ(今夜のこと話した方がいいと思うんだけど……しょうがないか)



さとり(なんのことだろう)

すみか「さとりちゃん、置いてくざますよ?」

さとり「あ」

タタタ

すみかの家

すみか「オレンジジュースしかなかった、ごめんね」

さとり「ううん、ありがと」

カラン

すみか「写真を整理してたのよね」

ペラペラ

さとり「見ていい?」

すみか「いいよ、さとりの全裸写真もあったわ」

さとり「!?」

ガバッ

すみか「これかな」

さとり「あ、だ、だめ、見ちゃだめ!」

ワタワタ

すみか「こっちだったかなあ?」

パラパラ

さとり「やだッ……」カア

すみか「じゃん!」

さとり「ひゃ! あ……赤ちゃん?」

すみか「二人一緒にお風呂入れてもらってた写真」

さとり「ばか……」

さとり(すみかちゃん、ちっさい可愛い)ドキ

すみか「えへへ、他にも色々あってね」

さとり「これ、小学校の?」

すみか「そうそう。私、この頃まなに抱きついてばっかりの写真が多くてね。きっと妹みたいに思ってたんだな。最近は全然喋ってないけど」

さとり「そうだね。昔から、すみかちゃんまなのこと可愛がってたよね」

ペラ

すみか「なのに、いつの間にかさとりにべったりになってたから不思議よね」

ぎゅう

さとり「苦しい」

すみか「あ、これ、お父さんにカメラ買ってもらって、初めて自分で撮ったやつ」

さとり「私だ」

ペラ

すみか「不愛想な表情よね。下手くそなモデル」

さとり「悪かったね」

すみか「愛想がなくても可愛いわよー」

さとり「お世辞はいらないもん」

すみか「ホントよ。さとりが一番好き」

ギュウ

さとり「……」

すみか「もっと抱きしめてくれないの?」

さとり「うん」

ギュ

すみか「こっち、向いて」

さとり「……ん」

すみか「目も瞑って欲しいな」

さとり「……」スッ

さとり(あれ、力が勝手に)

すみか(……)

さとり(え)

すみか(……)

すみか「いただきます」

フニ

さとり「んむッ……ぁ」

すみか「ん……」

さとり(なんで)

さとり「……ッ」

すみか(……)

すみか「好き、さとり……」

さとり「 ぁ 」

さとり(なんで、何も聞こえないの――――)

すみか「顔、真っ赤」

さとり「はぁッ……ん」

すみか「おいで?」

さとり「だ、だめ」

すみか「聞こえない」

グイ――ドサッ

さとり「あ……すみかちゃ」

すみか「無理やり、しちゃうぞ?」

さとり「やめ」

すみか「ふふ……ッん」

ペロ

さとり「耳、舐めないで……」

すみか「好き、大好き……可愛いさとり……私のさとり」

さとり「私も、好き」チク

さとり(なのに、おかしい。胸が痛い……)

すみか「……どうしたの?」

さとり「胸が痛いの」

すみか「胸?」

サワ

さとり「んぁ」ビクッ

すみか「ここ?」

さとり「……」フルフル

すみか「こっち?」

コスコス
コリッ

さとり「そんなことしないで」カア

すみか「どこが痛いのか言ってくれないと分かんない」

さとり「もっと、奥。もっともっと奥だよ。外からじゃ触れない」

すみか「私にも?」

さとり「……」コク

すみか「なんで痛いの?」

さとり「わかんない」

すみか「そっか。きっと自分で治さないといけない傷なのね」ニコ



さとり「傷?」

すみか「傷があるから、痛むんでしょ?」

さとり「うん」

すみか「知ってる? 心って、体より傷の治りが遅いのよ。ただ、あんたの場合、いつも痛くないのはなんでだと思う?」

さとり「忘れてるから?」

すみか「そうよ。じゃないと、いつまでも前に進めないでしょ」

さとり「忘れてていいのかな」

すみか「いいのよ。それを思い出した時は、ちゃんと傷を治すための準備が整った証拠なんじゃないかしら」

さとり「そうなのかな……」

すみか「……」

さとり「ごめん、変な事言って」

すみか「ううん。無理に思い出さなくていいのよ」

さとり「うん……あの、ごめん今日はやっぱり帰る」

すみか「さとり……」

さとり「ごめんね」

スクッ

―――
――



さとりの家

さとり「ただいま」

母「お帰り」

さとり「ねえ、お母さん」

母「なに?」

さとり「すみかちゃんて、よく家に来てたっけ」

母「そうねえ、まなが生まれてからよく遊びに来てくれてたわよ。可愛がってくれてたっけ」

さとり「そう……」

母「あんたとすみかちゃんはそんなに喋ってなかったのにね。大きくなると変わるものよねえ」

さとり「……」

母「早く手洗って豆の皮むき手伝ってくれる?」

さとり「うん……」

ムキムキ

さとり「……」

ムキ
ポンッ
ポト

さとり「あ」

ヒョイ

さとり「……」

母「そう言えば、すみかちゃん、最近家に来なくなったわねえ」

ムキムキ
ポンッ
ポト

さとり「……」

母「今度、みんなでお出かけする?」

さとり「温泉がいい」

母「寒くなってきたしね。お父さんに頼んでみようかしら」

――――
―――

商店街

まな「こっち?」

たかよ「うん」

まな「学校の外で人の目のつかない所といったら、確かにあの古い神社しかないよね」

たかよ「不良のたまり場って感じで、昔から近所の人も寄り付かないの」

まな「今日は何の準備もしてないから、いきなり飛び出したりしないでね」

たかよ「わ、分かってる」

ドンッ

たかよ「あ、すいません」

占い師「いいえ、いいのですよ。こちらが悪かったのです」ニコ

たかよ「……あ」

まな「……」

占い師「失礼」ニコ

たかよ「ひー、びっくりした。あの人、なんか性格そのものが変ってない?」

まな(お姉ちゃん……)

神社


ドンッ――ドサッ

昭子「今日、何する?」

明「こいつ、最近、反抗しないしねえ」

大「女一人じゃつまんねえしさ、友達呼んでもらえば?」

昭子「大ちゃんは、女の子がいじめられるの見たいだけじゃん」

明「大ちゃんは用心棒で連れて来ただけなんだから、黙ってて」

大「へえへえ」


みほ「ごほ……」

ポトッ

大「携帯落ちたぜ」

みほ「あ」

大「預かっといてやるから、遠慮なく」

昭子「みほ、昨日持って来いって言ったやつ持ってきた?」

明「なに?」

みほ「……」

ゴソゴソ

昭子「プリ帳」

みほ「……」

スッ――ガシ

昭子「借りるね? 大ちゃん、ライター」

大「ん」

ゴソッ
ぽいッ

明「うわあ、あんたがやることってホント黒いよね」

昭子「みほ、あんたがいなければ、私がレギュラー入りしてたんだよ? たかよみたいに、体育館の隅でトス練だけしておけば良かったのにねえ」

カチッカチッ――シュボッ

チリチリッ

みほ「……あ」

ガシッ

明「まあ、見てなって」

昭子「これ、たかよじゃん。あいつ、ほんと不細工だよね。笑い方とか引き過ぎ」

チリチリッ
バラッ
パサッ

みほ「やめて……」

バッ

昭子「え」

ドンッ

昭子「きゃッ?!」

ジュッ

みほ「ッう?!」

バンバン!!
バンバン!!

明「うわ、こいつ熱くないわけ?!」

昭子「頭可笑しいじゃない」

みほ「はあ、はあ、はあ」

ボロッ

みほ「……ごめんね」

昭子「燃えカスみたいなのに謝ってるんですけど」

明「傑作」

昭子「邪魔したからペナルティね」

明「はーい、新しいゲームを考えましたので、脱いでください」

みほ「や、やだ」

昭子「いや?」

明「拒否権とかありませんけど」

昭子「断ってもいいけど、代わりにたかよ呼んできて」

みほ「……ッ」

昭子「え、呼ぶの?」

大「検索してやるよ」

カチカチ

大「苗字は?」

明「安部野」

大「えーっと、あ、いたいた」

スッ

大「指示があれば、いつでも押すぜ?」

――――
―――

神社裏手

たかよ「……ッ」ブルブル

まな「たかよ携帯切って」

たかよ「……ッ」

まな「お願い」

たかよ「……」

ゴソッ
カチカチ

まな「今行っても、私達あの男に返り打ちにされるよ」

たかよ「でも、でも」ポタポタ

まな「たかよ…」

――――
―――

パサッ

みほ「……ッ」カア

ギュウッ

大ちゃん「全裸すげ……マジでやっちゃったよ」

昭子「それで、ラジオ体操させよ」

明「完璧にできたら服着ていいよ」

大ちゃん「やば、全部丸見えじゃん」

昭子「良かったねぇ。大ちゃん。大勝利じゃん」

大ちゃん「嬉しくねえなこれ。興奮はするけど」

明「ホントに脱ぐなんて思わなかったけど」

みほ「もお……やめて」フルフル

昭子「なに? 日本語? 聞こえない?」

明「ラジオ体操始めまーす」

みほ「や……」

明「ぽちっとな」

~♪

明「いつまでしゃがんでるの?」

~♪

昭子「音楽始まったんですけど」

みほ「……」

昭子「ねえ?」

ギュッ
グイッ

昭子「ほら、立って!」

みほ「いやッ」

昭子「……ふざけんな。大ちゃん、やっぱり電話して。たかよに」

みほ「だ、だめんむ?!」

バタバタッ

明「静かにしなよ。あんたがゲームを放棄したんだから」

大ちゃん「了解」

カチカチ

大「ふんふんふんっと」

ピリリリ!
ピリリリ!

大「え」

昭子「まぎらわしいわね、誰の携帯よ」

明「え、私のじゃないよ」

大「俺のじゃない。昭子のだろ」


ザッ

たかよ「……」

ギュッ
ミシッ

みほ「……あ」

たかよ「ごめんね、設定間違えちゃった……」


まな(たかよ、ばかッ)

みほ「なんで、来たの……」ポロポロ

たかよ「なんでかな……」

昭子「あんた、一人?」

たかよ「そうだよ。その全裸でラジオ体操だっけ? 私がやるからみほを家に帰して」

明「だってさ」

大「ひゅー、男前」

明「でも、これから全裸でラジオ体操するけどね」

昭子「みほ、助かったわね? 今日は、もう、用はないから」

たかよ「みほ、早く着替えて帰んなよ」

みほ「やだ、やだよ……」

昭子「はーい、じゃあたかよさっさと脱げー。ねえ、動画で撮っとこうよ」

明「おっけ、任せて」

――――
―――


まな(……たかよ)

まな(どうしよう……)

まな(行く? でも、でも)

まな(私が今出て行って、どうするの? 私がやるから二人を家に帰して?)

まな(なんの解決にもならない)

まな(お姉ちゃん……だめ。お姉ちゃんのことは考えちゃだめ)

まな(もう、お姉ちゃんにこれ以上同じ過ちを繰り返させちゃだめ……)

まな(私が、私が悪いんだから……お姉ちゃんに頼れるわけない……)

まな(考えたら、伝わっちゃう)

まな(考えちゃ……だめだ)

――――
―――

さとりの家


ムキムキ
ポンッ

さとり「……終わった」

母「ありがと」

さとり「ううん」

――ダメだ

さとり「お母さん、今、何か言った?」

母「え? 何も?」

――ダメだ

さとり「?」

母「いやよ、また、昔みたいに幻聴が聞こえるっていうのは。せっかくお薬で治したのに。最近、疲れてる? お医者様がね、病気にはストレスが一番良くないって言ってたわよ」

――お姉ちゃん

さとり「まな……?」

母「まなちゃんなら、お泊りに出かけたわよ? さとり? ねえ、さとり?」

さとり「……まなの声が」

ダダダッ

母「ちょっと、お姉ちゃん?!」

母「もお、元気なのはいいけど、お行儀が悪いわね」


――――
―――

ガチャ
バタン

さとり「聞こえる」


考えるな――
考えるな――
考えるな――

さとり「まな……そんなに嫌だったの?」

お姉ちゃんに、聞こえる――

さとり「私の力、そんなに」

タタタッ

さとり「まなの声、商店街の方から聞こえる」

――――
―――

さとり「はあッ、はあッ」

さとり「こっちから」

やっぱり、行くしかない――

さとり「まな?」

ここまでされて――
ほんとに見てるだけでいいの?――
もっと穏便に解決したかった――
たかよのバカ――
友だち見捨てる方がもっと嫌だよね――

さとり「何する気?」

タタタッ

ああ、私にもあったら良かったのに――
お姉ちゃんみたいに、人の心に触れる力が――
もし私にもあったら、すみかちゃんを元に戻せたのに――
お姉ちゃんを傷つけずに済んだのに――
二人の関係を壊すことなんて、なかったのに――

タタタ――ピタ

さとり「何を言ってるの……まな」

神社


さとり「……はあッ、はあッ」

さとり「まな?」

さとり「どこにいるの?」

ガサッ

たかよ「……ひッく」

みほ「うッ……うう」

さとり「だ、大丈夫?」

たかよ「おね、さ……なんで」

さとり(二人とも、なんで服着てないの?)

たかよ「け、警察……呼んで」

さとり「警察?」

たかよ「早くしないと、まなが、まなが」

みほ「あっちの倉庫の方に連れてかれて、男の人に」

たかよ「大学生くらいの人がッ、来てッ」

さとり「……まなの声が聞こえなくなった」

たかよ「え?」

さとり「まなッ」

タタタタッ

倉庫


大「……ごほッ」

ゴロッ

昭子「……ひッ」

明「助けてッ……ごめんなさいッ」

つよし「あんな所で、ストリップとはねえ」

けん「最近の中学生はやることがえげつないわ」

ピっ

まな「はあッ……はあッ」

つよし「薬、効いてきた?」

まな「……ぁ……つい」ビクビク

けん「はい、じゃあちょっとここで待っててね」

つよし「おい、そこのガキ押さえてろ」

けん「ういー」

ガシッ

明「やだ!やだ!やだ!やめて!」

けん「お注射嫌い? でも、この後、もっと太いの差しちゃうから、このくらいで怖がってちゃだめだよ?」

昭子「め、明!」

けん「めいちゃんて言うんだ。可愛い名前だねえ」

つよし「はーい、気持ちよくなれる薬たっぷり注入してあげるからねえ」

ピっ

明「やだあああ!?」

ガラガラ

さとり「……」

けん「あれ、お友だち?」

つよし「だれだれ?」

大「このくそヤロウ!!!」

ガシッ

つよし「お、力あるじゃん!」

ゴスッ

大「げほぉッ!?」

ドシャッ

さとり「……」

テクテク

つよし「あ、怖がらなくてもいいからな?」

けん「君、小学生か中学生くらい? 一緒にあそぼっか」

さとり「まな……」

けん「まな?」

まな「……ぁ……おね……ッはぁ……」ビクビク

けん「あ、もしかしてこの子? この子もね、ちょっとお注射打って気持ち良くなってきたところだから、そこに座ってたら順番回ってくるからね」

まな「まなの声が聞こえなくなったのは……それのせい?」

けん「うん?」

つよし「……」

ブスッ

けん「え」

つよし「……」

けん「え、つよし君さ、な、なんで俺の腕に、それ刺してくれてるわけ?」

つよし「え……あれ、俺?」キョトン

けん「ふざけんなよ!? お前!? くそか?!」

バキッ

つよし「がはッ!?」

ドサッ

けん「……」

さとり「……」

さとり・けん「「許さない」」

カランッ
ブンッ

つよし「ひ!?」

ブンッ
ゴシャッ

つよし「な、なんだよッ、止めろよ?! 俺が、何したってぎゃ?!」

カランカランッ

けん「……」

ガンッ
ガンッ
ガンッ

大「じ、自分で床に頭打ち付けてる……」

けん「……あ」フツ

ドサッ

さとり「……あなたたち」

大・昭子・明「「「……」」」ビクッ

さとり「悪いことをしたら、自分にも降りかかってくるんだよ」

まな「おねえ……ちゃ」ビクビクッ

さとり「……まな」

けん「……う」

さとり「……」スッ

けん「うぐあ!?」

けん「……」

さとり「まなを運んで」

けん「……」コク

さとり「……」

トタトタトタ

ピタッ

さとり「次、もし、まなに何かあったら、命の保証できないから」

大・昭子・明「は、はいッ」

トタトタ――


――――
―――


さとり「……」

たかよ「ま、まな!」

みほ「ど、どうやって……」

さとり「二人とも、警察呼んだから、早く着替えて帰って」

たかよ「あの、まなは」

さとり「大丈夫」

けん「……」

みほ「ひッ」

さとり「大丈夫、何もしないよ」

まな「ハアッ……ハアッ」ブル

たかよ「く、苦しそうッ……なに、されたの?」

さとり「知らなくていい。早く帰ってね」

トタトタ――

――――
―――


(あれ、ここどこ?)

(たかよは?)

(私、変な注射打たれて……それからどうなったんだっけ)

パキッ
パキパキパキッ
パラッパラッ

さとり「まな」

まな「お姉ちゃん……?」

さとり「どうして、あんな無茶したの」

まな「普通のことをしただけだよ」

さとり「まな、それで危ない目にあったんだよ」

まな「私にはお姉ちゃんみたいに、特別な力がないからね。仕方がないよ」

さとり「まなも特別な力、持ってるんだよ」

まな「ないよ、そんなの」

さとり「まなの声は特別なんだよ。まなの声ね、願うだけでどこにいたって私に届くの」

まな「知ってる……」

さとり「まなの声に私は弱いんだよ」

まな「知ってるよ。だから、私は呼びたくなかったのに、どうしてかな……どうしてもお姉ちゃんには、声、届いちゃうんだ。私が、いつまでもお姉ちゃんとすみかちゃんを縛ってる」

さとり「……思い出したよ」

まな「何を?」

さとり「まなが、昔、私とすみかちゃんにしてくれたこと」

まな「ごめんなさい……そのせいで、すみかちゃんはお人形みたいになった」

さとり「私の欲しい言葉をくれて、私を愛してくれてる。ホントは、そうじゃなかった、すみかちゃんがホントに好きだったのは、まなだった。可愛い妹のようなまながすみかちゃんは好きだったの。暗くて地味な私なんかより」

まな「全部思い出しちゃったんだね……」

さとり「まなが、ずっと私の幸せを守ってくれていたんだね」


まな「私が悪いの。私が、言い出さなければ」

さとり「ううん、いいの。私が思い出したのは、思い出しても大丈夫になったからなんだよ……思い出さなくちゃいけなかったんだ。すみかちゃんが教えてくれた……ああ、でも、私の理想だったのかな、そわかんないや……あはは」

まな「お姉ちゃん、ごめんね……もう、全部終わりにできると思う」

さとり「どうして?」

まな「私、変な注射打ってから自分が保てないの。だから、お姉ちゃんとすみかちゃんの関係もこれでおしまい。お姉ちゃんは、私から解き放たれるし、すみかちゃんはお姉ちゃんから解き放たれる」

さとり「……まな」

まな「……自分がどんどん壊れていってるのが分かるの」

さとり「まな、願ってよ。私を、頼ってよ。お願い。さっきから、ずっと私を拒んでるよね。だから、私の力届かない」

まな「私がいない方が、お姉ちゃんはもっと自由になれるよ」

さとり「まな……何をそんなに隠してるの?」

まな「何も、隠してないよ」ニコ

さとり「お、お母さんがみんなで温泉旅行に行こうって言ってたの。まなも一緒に行こうよッ、ね?」

まな「……」ニコ

さとり「まなッ、嫌だよ。私、まながいないと……」

ぎゅッ

まな「お姉ちゃん……」

さとり「まなだけなんだよッ。まなだけが、私の本当なの……」

まな「私は違う。私は、お姉ちゃんだけ嘘にしてしまう」

さとり「……いかないでよぉ、ずっと一緒にいてよ」

まな「……」

さとり「お願い、まなッ」ポタポタ

まな「もし、私の事を治してくれた後に、私が最初に言った言葉を肯定しないって約束してくれたらいいよ」

さとり「どういうこと?」

まな「約束するのしないの?」

さとり(迷ってる間に、まなが壊れちゃう……)

さとり「分かった」コク

まな「約束だからね」

さとり「うん」

まな「私も、強く願うから。絶対に肯定しないでって」

――――
―――

公園

バサッ
バサッ

さとり「葉っぱがついてる」

まな「……ん」

ムクッ

さとり「起きた?」

まな「……」クラ

ガシッ

さとり「急に起きるからだよ」

まな「お姉ちゃん……」

さとり「上着、着て。風邪ひくよ」

まな「うん」

ソッ

さとり「少し休んだら帰ろうね」

まな「……」

さとり「何か飲む?」

まな「ううん……お姉ちゃん。助けてくれてありがとう」

さとり「心配したよ」

コツン

まな「……温かい」

私、お姉ちゃんが好き――

さとり「まな……?」

まな「もう聞こえてるよね。ずっとずっと、これだけは悟られないようにって、秘密にしてたの」

大好き――
やっと、言えるんだね――
もう、言ってもいいよね――

まな「私、お姉ちゃんに好きって言われたいの……」

さとり「……」

否定して――
肯定しないで――
大好き――

さとり「……言わないよ」

大好き――
私のお姉ちゃん――

さとり「まだ、その答えは出せない」スッ

まな「うッ……ぁッ」ビクン

さとり「まなの力、今までありがとう。ばいばい」

まな「ァ……」ビクン

キイイン――

まな「お姉ちゃん、もしかして私の力……」

さとり「消した」

まな「あ……あははッ……そんなこともできるんだ」

まな「やっぱり、お姉ちゃんはすごい」

さとり「まだ、消すものがあるの……」スッ

さとり「ん……」ビク

まな「お姉ちゃん? まさか、自分の力も……」

さとり「ッ……う」ビク

キイイン――

まな「あ……」

さとり「ハアッ……ハッ……ハァッ」

トサッ
ズルズルズル――

さとり「ん……」ビク

キイイイン――


―――――
――――
―――

まな「おねえちゃん……ッ」

さとり「うん……」パチ

まな「死んだのかと思ったよ……ぐすッ」

さとり「ははッ」

まな「笑い事じゃないから」

さとり「……はは」

まな「無くなったの?」

さとり「……うん、何も聞こえない」

まな「……そっか」

さとり「残念そう」

まな「ちょっとはそりゃね」

さとり「もう、いらないよ。ねえ、まな、さっき言った事もう一回言って」

まな「え……あ、ああ……そう何回も言うの恥ずかしいよ」カア

さとり「え、そのために全力で能力消したんだけど」

まな「言わないとだめ?」チラ

さとり「う、うん」ドキ

まな「むりッ!」

ガバッ
タタタタッ

さとり「え、まな!?」

ガタッ
ヨロヨロ
ドテッ

さとり「あうっ」

まな「あ」

さとり「待って、まな」

ムクッ
ヨロ
ドテッ

さとり「あいた……」

まな「何してるの、もお」クルッ

さとり「えへへ」

ムク
パンパン

まな「……」キュン

さとり「言って?」

まな「お姉ちゃんに、好きって言われたい、です」

さとり「……」

まな「……」ドッドッ

さとり「……好き」

まな「ホントに……」

さとり「うん」

まな「ひッ――うあああッ」ボロボロ

ぎゅッ

さとり「ずっと、我慢させてごめんね」

まな「お姉ちゃんッ……ひっ」

さとり「最初から、やり直そう……」






おわり

3話長すぎた。しかも、いつの間にかすみかとさとりから姉妹百合にすり替わってた。
旅行編は必要ですか?蛇足ですか?

ください。すみかがどうなったのかも知りたいです

あと登場人物が誰が誰だかわかんなくなりました...

>>108
すみか……を旅行編に出すか迷いますね。姉妹の心中がきついので


登場人物紹介と3話までのネタバレ含むあらすじ

主人公組

さとり(17歳)
メインヒロイン。暗くて地味で、勉強もスポーツも苦手なタイプ。一見小学生に見える。人の心を読んだり、操ったりできる。
人助けをする写真部(仮)に所属。すみかのことが好きだったが、偶然すみかの心を覗いた時に、彼女の心がないことを知る。
3話では、妹に本当の自分の心で答えるため、自らの力を消した。

まな(14歳)
さとりの妹。文武両道。さとりを何かと気にかけていて、好意を寄せていることをひた隠しにしていた。
姉にだけ自分の声を届けることができ、その声はさとりの心に影響を与えることができる。
幼少期にさとりとすみかを無理やりくっつけ、二人の人生を自分のせいで狂わせてしまったことに後悔していたため、一度死のうとする。
3話で、さとりによって力を失い、さとりに告白し。嘘のない答えをもらい、成就した。

すみか(17歳)
さとりとまなの幼馴染。明るくてノリの良い性格。写真部(仮)の部長。
昔、さとりによって、まなへの好意をさとりへとすり替えられてしまった。
姉妹の能力が無くなってから元に戻ったと思われる。


中学生組

たかよ(3話)
まなの親友。バレー部。コートの隅っこでいつもトス練をしている。
元、いじめられっ子。みほを助けるためにまなへさとりに協力してと頼むが断られる。
まなと二人でいじめの現場に偵察にいったが、いても立ってもいられず自分が代わりになると飛び出してしまう。
さとりが来たことにより助かる。いじめも無くなったと思われる。

みほ(3話)
たかよの友だち。バレー部。性根の優しい子。
いじめられ、神社で裸でラジオ体操させられそうになる。
さとりが来たことにより助かる。いじめも無くなったと思われる。

昭子(しょうこ)・明(めい)・大(だい)(3話)
女子バレー部と男子バレー部のレギュラー。いじめっこ。
昭子がリーダー的な存在。みほにレギュラーを取られた腹いせに、みほをいじめる。
たかよのことも上手くないのに出しゃばるので、昔いじめてコートの隅に追いやった。
3話でさとりが大学生を倒した所を目の当たりにし、これ以上すると命の保証はないと告げられ、いじめをやめたと思われる。


高校生組

ひろみ・やす(1話)
さとり達と同じクラス。ひろみが彼氏のやすは浮気しているのではないかと疑問を持ち、それを暴いて欲しいと依頼した。
案の定、やすは所属しているサッカー部のマネと浮気していて、パパラッチされ、ひろみに制裁を受ける。嘘は良くない。

るりこ・めぐ・みるく(2話)
さとり達と同じ高校の1年生。
るりこは自分を占った占い師が適当を言ってるのではと、占いは本当だったのか確かめて欲しいと依頼した。

桃崎・栗山・柿野(3話)
さとり達と同じクラス。桃崎さんの体つきはエロい。女子も誘惑するレベル。

よしの(3話)
さとり達と同じ高校の1年生。
性欲が強い。桃崎に好意を寄せていて、下着姿を撮って欲しいと依頼した。


その他

サッカー部マネージャー(1話)
やすが浮気してたことは知らなかった。

占い師(2話)
インチキ占い師。脅迫に近い催眠術を使う。
子どもの頃のトラウマで占い師を始める。
さとりによって品行方正に変えられる。

警官(2話)
ちょいキャラ。

けん・つよし(3話)
薬中の大学生。昭子らのいじめの現場に出くわす。
昭子らを黙らせ、倉庫に連れていき、まなに謎の注射をして、エロイことをしようとしていた。
さとりによって制裁を与えられた。
けんはその後、まなを運ぶためにさとりの精神操作によって使いッパシリにされる。

さとりの父・母
昔、さとりが統合失調症にかかったと誤解して、薬で治そうと試みた。
そのうち、さとりが両親の前で使わなくなったので、治ったと思っている。

写真部
さとりのことを不気味に思ったため、さとりとすみかを部から追い出そうとした。
逆にさとりによって部を追い出された。
さとりは飽きて辞めたと嘘をついて誤魔化している。

主人公組以外の登場人物は各話限りのちょいキャラだと思ってください

元に戻ったのならまなに対する気持ちが再燃するのか、小さい頃の一時だったのか...
はたまたさとりへの想いが残ってるのか、二人共好きでモヤモヤするのか......

>>112
姉妹もそれが心残りです
すみかの性格はお姉さん気質なので、難しい所です

4話


チュンチュン

さとりの家

ピピピッ!

さとり「んッ……」

ポチッ
ムクッ

さとり「眠い……ふわあ」ゴシ

さとり「もう一回寝よう」

コンコン
ガチャ

まな「お姉ちゃん、やっぱり二度寝してる」

さとり「むにゃ」

まな「旅行行くよ? 準備ちゃんとできてる?」

さとり「うん……」

まな「もお」キョロキョロ

まな「全くバックも何も出してないよ?」

さとり「うん……」

まな「もお! すみかちゃん、来てるよ?」

さとり「……」

ガバッ

さとり「はいッ」

まな「なんですみかちゃんの名前出すとやたらきびきび動くのかなあ」

さとり「だって、すみかちゃん怒ると怖いから」

まな「んー……そう? 私は、お姉ちゃんの方が怖いけど」

さとり「そうかな」

ヌギヌギ
バタバタッ
がしゃッ
ぐいッ
ドテン!

さとり「あいた……」

まな「お、お姉ちゃん、大丈夫?」

さとり「大丈夫」

サスサス

トタトタ

母「まなー、さとり起きた?」

まな「うん、起きたー」

さとり「おはよう」

父「さとりは、父さんに似て朝に弱いなあ」

さとり「昨日、まなが寝かせてくれむぐ」

まな「ご、ごほごほッ」

母「それ、さとりが勉強見てもらってたんじゃないの?」

まな「そ、そうなの。お姉ちゃんと勉強してて」

さとり「……」

まな「……」ほッ

さとり「……」チラ

まな「……」ギロッ

さとり(何で怒ってるの?)

まな(お姉ちゃんて、朝は余計におバカなんだから! そこも可愛いけど!)

さとり「むぐむぐ……ぷはッ」

すみか「朝から仲いいねえ、二人とも」

さとり「すみかちゃん……」

すみか「おじさん妬いちゃうなあ」

まな「すみかちゃん、おじさんじゃないでしょッ? ほら、お姉ちゃんは早くご飯食べて」

ガチャッ

さとり「う、うん」

すみか「?」

さとり「……」モグモグ

まな「えっと、牛乳は」

まな(すみかちゃんは、前のようにお姉ちゃんと一緒に行動をしなくなった。でも、本人はまるで昔からそうだったように振舞ってる。実際の所、本来のすみかちゃんはそうだったのだと思う。写真部のみんなも戻って来て、お姉ちゃんは帰宅部になった。前のように、何かの依頼を受けて解決したりすることもなくなった。元の大人しくて優しいお姉ちゃんになった)

すみか「まな? 考え事?」

まな「え」

すみか「眉間にしわなんてよせて。老けるよ?」

まな「も、もー! 何言ってるのすみかちゃんてば!」

すみか「ごめんごめんッ」

まな(すみかちゃんは、家によく来るようになった。部活がない日とか。休日とか。なんでか分からない。力の無くなったお姉ちゃんにはすみかちゃんの気持ちはもう分からない。でも、きっと、お姉ちゃんは、まだすみかちゃんのことが……)

さとり「まな、牛乳こぼしそう」

まな「わ!?」

すみか「何やってるの……あはは!」

まな「はー、焦った。はい、牛乳」

さとり「ありがとう」

――――
―――

ガチャ

父「忘れ物ないか」

母「ええ」

けん「おはようございます!」

まな「え、誰」

すみか「なに、彼氏?」

さとり「誰?」

けん「さ、さとりさんそりゃないっすよ! ボク、けんです! ほら、先日神社の倉庫で」

さとり「あ……何しに来たの」

けん「け、警戒しないでください」

父「父さんたち先に乗ってるぞ!」

まな「あ、うん!」

さとり「逆恨み?」

けん「ち、違いますって、さとりさんの舎弟にしてもらえたらなって思って」モジモジ

すみか「さとり、どっかの番長か道場でも破ってきた?」

さとり「……」フルフル

さとり「出発しよ」

けん「ああん!そんな!」

テクテク

ブロロロ――

すみか「良かったの?」

さとり「うん」

まな「あんなのと関わるとろくなことないよ、きっと」

すみか「ふうん、あ、それよりパンフレット一応買ってきたんだー」

まな「すみかちゃん、一番楽しみにしてたもんね」

すみか「まあね」

さとり「温泉……」

まな「お姉ちゃんの行きたかった所は、この山の頂上の所だね」

さとり「……うん」

すみか「温泉とか久しぶり」

まな「私もだよー」

さとり「……」

まな「お姉ちゃん、チョコいる?」

ガサ

さとり「いる」

すみか「まな、私も欲しい」

まな「はいはい」

ガサ

まな「二人とも口開けて」

さとり・すみか「「あー」」

ポイッ

まな「お猿にエサあげてるみたい……ふふ」

すみか「まあ、酷い子」

さとり「……」もきゅもきゅ

今日はここまで
ほのぼのか修羅場かはまだ未定です


修羅場からのほのぼので2度美味しい

さとりは東方のさとりで脳内再生される
まなはこいし......っぽくないな

>>121
なるほど
それでいこう

>>122
ああ…‥
自分の中では現在放映中のレガリアの姉の方がビジュアル的にも中身的にもさとりに近くて
妹の方はけいおん!の唯の妹の方がまなに近いかな

―――
――

まな「あ、見てタヌキ歩いてるッ」

さとり「可愛い……」

すみか「へー、この山タヌキなんていたんだ。まなに似てない?」

まな「ちょっ、私あんなにずんぐりむっくりじゃないよ?」

すみか「ほら、この辺が」

グニ

まな「どこ触ってるの、もう! お姉ちゃん、助けてよ」

さとり「二人とも暴れないで」

すみか「ほれほれ」

まな「すみかちゃんってば!」

さとり「元気」

まな(お姉ちゃんの前でいちゃいちゃしたくないのにッ、もうッ)

すみか「まな、前よりおっきくなったんじゃない」

まな「何がかなッ」

すみか「温泉で確かめないとね?」

まな「だから、何をなのッ」

さとり「……すみかちゃん」

すみか「うん?」

さとり「その辺にしてあげて」

すみか「しょうがない。この続きは向こうで」

まな「はあー」ガク

母「すみかちゃんがいると賑やかでいいわね」

父「ホント、急に花が咲いたみたいだなあ」

すみか「えー、こんなに可愛い花が二人もいるじゃないですか」

まな(すみかちゃんに、こんなに絡まれたことなかったのに……)チラ

さとり「……」

まな(きっと、これ普段お姉ちゃんにしてたことなんだ)

まな(うう、お姉ちゃん、今何考えてるんだろう……)

さとり「まな」

まな「は、はい」

さとり「楽しいね」ニコ

まな「そ、そうだね」

すみか「あ、あれ旅館じゃない」

まな「ホントだ」

まな(お姉ちゃんが楽しいなら、いいんだけど……)

――――
―――

旅館

父「じゃあ、お母さんとこっちの部屋に泊まるから、3人は一緒にそっちな」

さとり「うん」

母「お昼にでかけるからそれまでに準備しておいてね」

まな「分かった」

ガチャ
バタン

3人の部屋

すみか「私、下の売店でお菓子買ってくるけど何かいる?」

まな「んー、大丈夫」

すみか「さとりは?」

さとり「私も」

すみか「はーい」

タタタッ
ガチャ
バタン

まな(はー……)

さとり「まな」

まな「ん?」

さとり「ずるい」

まな「何が?」

さとり「すみかちゃん、まなにべったり」

まな「待って!? 私、そういう気は」

さとり「そうなの?」

まな「第一、私はお姉ちゃんが好きだし、お姉ちゃんも私の事好きって言ってくれたよね」

さとり「まなのことも好きだよ。でも、まなもすみかちゃんにべったり」

まな(ん? それって、つまり私にもすみかちゃんにも妬いてるってこと?)

今日はここまで

もうちょい続けます

さとり「……」

ゴソゴソ

まな「お姉ちゃん、拗ねないでよ」

さとり「拗ねてないよ」

まな「すみかちゃんは、ああいう性格だったじゃない」

さとり「そうだね」

ゴソゴソ

まな「すみかちゃんの心が分かればいいのに……」ボソ

さとり「……」ピク

まな「あ、な、なんでもない。ごめん」

さとり「謝らなくてもいいのに」

まな(なんか、上手く噛み合わない)

さとり「……すみかちゃんがね、まなを好きでもいいの」

まな「え」

さとり「すみかちゃんの心がちゃんとあるなら、誰が好きでもいい。分からなくても、そこにちゃんと心があるなら。心がないよりマシ」

まな(色々大変だったよね)

ここまで

さとり「まな、すみかちゃんをライバル視しないで」

まな「そういうつもりは」

さとり「つもりが無くても、まなはそうするから。念押し」

まな「そうかなあ……」

さとり「そう」

ナデナデ

まな「もお、またそうやって」

ガチャ

すみか「ただいまー」

まな「あ」

さとり「早かったね」

すみか「まあね、それより何二人でいちゃついてんのさー」

まな「な、仲良し姉妹だからね」

ギュウッ

さとり「苦しい」

まな(お姉ちゃん、たぶんすみかちゃんが私に本気で告白してきたら譲る気なんだッ……せっかく元に戻れたのに、それは回避しないと)

すみか「ね、それより旅館の中ちょっと見学しない? 写真撮ってもいいって許可もらったんだ」ウズウズ

さとり「いいよ」

まな「うん、行く」

まな(この旅行、すみかちゃんには悪いけど、白黒つけさせてもらうよ……)

まな「よしッ」

さとり・すみか「「?」」

すみか「まな、置いてくよー」

まな「あ、うん」

2階 宴会場前

すみか「うわ、ここの廊下オシャレ……」

パシャ
パシャ

まな「ねえ、お姉ちゃん」

さとり「どうしたの? トイレ?」

まな「違うよッ」

まな「キスって、いつからしてもいい?」

さとり「……」チラ

まな「……」ジッ

さとり「……すみかちゃん」

すみか「なにー?」

さとり「まながすみかちゃんにチューして欲しいって」

すみか「えー、仕方ないなあ」

まな「言ってない言ってない!? お姉ちゃん」

さとり「まな、何言ってるの?」

すみか「ぐへへ」

パシャ

まな「止めてッ、撮らないでよぉッ」

パシャ
パシャ

すみか「はい、では誓いのチューを」

ぐいッ

まな「や、やだやだ違うの違うの! わ、私、お姉ちゃんにして欲しいのッ」

バタバタ

すみか「へ?」

さとり「まな、何言ってるの」

まな「あ……」

まな(しまった)

まな「って、言うのは冗談ね!?」

すみか「ああ、だよねッ。驚いた。まなもそんな冗談言うんだぁ、さとりもなんか砕けてるし……二人とも可愛いなあ! もう!」

ぎゅう

まな「わぁッ」

さとり「ふぇッ」

すみか「よしよし」

すみか「私としては、どっちも好きだから、二人からして欲しいかな?」ニコ

まな「す、すみかちゃん……」ドキ

さとり「……?」

まな(だめだめ、私にはお姉ちゃんがいるんだから……って、二人?)

さとり「すみかちゃん……小さい時にね、私のこと好きか聞いたことあったよね」

すみか「ん……? あ! あー、あったね」

さとり「あの時、なんて言ったのか覚えてる?」

すみか「えー、そんなの忘れたって、どしたのさ」

さとり「ちゃんと思い出して?」

すみか「覚えてないってば。まあ、でも、今と同じ気持ちだったと思うよ」

さとり「……」

ぎゅ

すみか「一人になんて絞れないかな」ニコ

まな「え、ええええ?!」

さとり「そっか……そうだったんだ」

すみか「もお、何なの」



さとり「私、中途半端に聞いちゃってたんだ」

すみか「おーい」

まな「じゃあ、勘違いで……私、すみかちゃんに……」

すみか「二人とも?」

さとり「土下座するしかない」

まな「そうだね、それしかない」

すみか「うん?」

ズシャッ
ズシャッ

さとり「たぶんよく分からないと思うけどごめんね」

まな「ごめんなさい、すみかちゃん」

すみか「お二人さんや、分かるように説明して欲しいんだけど」

まな「あのね、全然説明になってないんだけど、私達ずっとすみかちゃんを騙してしまってて、それが今勘違いからそうなったのが分かったの。それで、私達とてつもない罪悪感に襲われたの」

さとり「あの時、まだ幼かったから……きっと、まなの声とすみかちゃんの声を混同したんだ」

まな「あ……なるほど」

すみか「うわぁ、全然何も分からなかった」

まな「あの時、ちゃんとそれが分かってたら」

さとり「……違っていた」

すみか「もしもし? まあ、なにはともあれ解決したんならいーんじゃない?」アハハッ

まな・さとり「「……」」

すみか「じゃあ、よくわかんないけど許して欲しければ、二人で両頬にキスしなさい」ニコ

さとり「……ん」

スッ

まな「お、お姉ちゃんッ?!」

さとり「ほら、まな」

まな「し、仕方ない……ん」

スッ

チュ




おわり



続編と言うのはたぶん一部の才能のある人のみが作れるんだと思いました。
読んで頂き、ありがとうございました。

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