【はいふり】みなみ「出来たぞ艦長。副長が不幸になるウイルスだ」 (42)

ミケ「マジかよみなみさん!」

みなみ「ああ、この注射器を副長に打てば、あっという間に副長は不幸になる」

ミケ「どれくらい不幸になるの?」

みなみ「時間が経つにつれ効果は増していくが……」

みなみ「普段の副長の不幸度を100とするなら、このウイルスのもたらす不幸度は最大で50000だ」

ミケ「ご、50000!?」

ミケ「凄いよみなみさん!」

みなみ「正直、やり過ぎたとは思う」

ミケ「いつもの500倍……何が起こるんだろう」

みなみ「百聞は一見に如かず。早速試してみるといい」

ミケ「うん!そうするね!」

みなみ「くれぐれも悪用するんじゃないぞ」

ミケ「分かったー!」


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ミケ「あ、シロちゃんシロちゃーん!」

シロ「艦長。どうしたんですかそんなに急いで」

ミケ「シロちゃんに用があって探してたの!」

シロ「はぁ……何の用ですか?」



ミケ「あのね、この注射を打って欲しいの!」

シロ「嫌です」

ミケ「ええーっ、どうしてー!?」

シロ「不思議そうな顔をするな!」

シロ「そんな怪しい注射、打つわけがないだろう!」

ミケ「えー、怪しくないよー」

シロ「どこからどう見ても怪し過ぎる……」

シロ「大体、その注射の中身は何なんだ?」

ミケ「え?えっと……」

シロ「答えられないってことはやっぱり怪しい薬なんじゃないか?」

ミケ「ち、違うよ!ちょっとド忘れしちゃって……」

シロ「普通は何の薬かド忘れなんてしない」

ミケ「そこはほら、私だし……」

シロ「……なるほど。それは一理ある」

ミケ「えっ」

シロ「それで、薬の効果は?」

ミケ「えっと……えっと……」

ミケ「!」

ミケ「あ、そうだ!思い出した!」

ミケ「(ツイてないシロちゃんを見て)楽しい気分になれる薬だよ!」

シロ「」


シロ「艦長……」

ミケ「?」

ミケ「ど、どうしたの?シロちゃん」

シロ「……一緒に警察に行きましょう」

ミケ「ええっ!?」

シロ「警察に全部話しましょう!一緒に付いてますから!」ガシッ

ミケ「し、シロちゃん誤解だよ!私何も悪いことしてないよー!」

シロ「話は署で聞かせてもらう!」グイッ

ミケ「!」

ミケ「隙ありっ!!」

チクッ

シロ「痛っ!?」

シロ「あぁーー!!」

シロ「な、何てことを……」

シロ「終わった……私の人生……」

シロ「これからやめようと思ってもやめられず、艦長から新しく買おうとするも値段をどんどん釣り上げられて気づけば何もかも搾り取られ破滅……」

シロ「終いには麻薬依存症の非行少女としてワイドショーで面白おかしく取り上げられるんだ……」




ミケ「(シロちゃんは何を言ってるんだろう……怖い……)」

ミケ「シロちゃん。体に何か変化はない?」

シロ「…………」

シロ「…………?」

シロ「…………そういえば……何ともない……」

ミケ「あれ?」

シロ「!」

シロ「まさか……イタズラだったのか!?」

ミケ「え……あ、」

ミケ「そ、そう!ただの水だったんだー!」

シロ「…………」

シロ「…………艦長……」

ミケ「(お、怒られる!!)」

シロ「はぁ……もう怒る気にもなれない……」

ミケ「えっ」

シロ「こんなことはこれっきりにして下さい……」トボトボ

ミケ「う、うん……ごめんね?」

ミケ「(ほっ……怒られなくて良かったー……)」

ミケ「(けど、シロちゃん何ともないのかな?)」

シロ「はぁ……」

シロ「全く、うちの艦長は……」

ツルッ

シロ「うわっ!?」

ドンガラガッシャーン!!

シロ「いたた……」

シロ「こんな何にもないところで転ぶなんて……」

シロ「……ツイてない……」

水を注射ってかなりやばいんじゃ

>>10-11
やべっ、何書いてんだろ
じゃあこの際水光注射ってことで!

シロ「あ……膝擦りむいてる……」

シロ「…………」

シロ「……この程度なら消毒して絆創膏でも貼っておけば大丈夫だろう」

ーましろの部屋ー

ぴたっ

シロ「これで…よし」

シロ「ふぅ……」

シロ「…………ん?」

シロ「あぁっ!!」

シロ「私のサメが破けてる!」

シロ「はぁ……ツイてない……」

シロ「…………いや、毎晩抱き締めて寝てたせいか……」

シロ「しかし、サメがいないと私は眠れないぞ……」

シロ「…………」

シロ「………仕方ない……」

シロ「…………」ソー……

ヒメ「あれ、副長?」

シロ「うわっ!」ビクッ

ヒメ「そんな所でコソコソして、なにやってんの?」

シロ「じ、実は……青木さんに用が……」

モモ「え、私っすか?珍しいお客さんっすねー」

シロ「その……青木さんは裁縫が得意だと聞いて……」

モモ「そうっすね~。みんなの服のサイズ直しなんかもやってるっす」

モモ「あ、もしかして副長も何か直しに来たっすか?」

シロ「あ、あぁ……これ……なんだが……」

モモ「……!」

モモ「こ、これは……!」

ヒメ「サメのぬいぐるみ……だね」

ヒメ「え……このサメ副長のなの!?」

シロ「そ、そうだが……悪いか?」

ヒメ「い…いや別に……」

シロ「うぅ…………///」

モモ「…………」

モモ「これくらいならすぐに終わるっす!ちょっと待ってて欲しいっす!」

シロ「!」

シロ「本当か!」パァッ

ヒメ「おおう……」

モモ「(副長って意外と……)」

ヒメ「(かわいいとこあるかも……)」

シロ「喉が渇いたな……」

シロ「何か買いに行こう」







自販機「ヴーーー」

シロ「…………」チャリン

シロ「あっ」

チャリンチャリン!

シロ「あ……自販機の下に……」

メイ「あー喉乾いたなー」

メイ「タマなんか買って来てよー」

タマ「うぃ」こくっ







タマ「うぃ…………うぃ!?」

シロ「もう少し……!くっ、届かない……!」

タマ「」

タマ「うぃ……うぃぃぃ……」ガクブル

シロ「!」

シロ「誰かいるのか!?」

タマ「うぃぃぃ……」

シロ「立石さん!……はっ」

シロ「ち、違う!これはその、お金に困ってるとかじゃなくて……!」

タマ「うぃぃぃぃぃぃぃ!」ダッ

シロ「あぁ!待って!」

シロ「………」

シロ「…………ツイてない……」







メイ「え、何?買えなかった?」

タマ「……うぃ」

メイ「いやいや、自販機で飲み物の一つも買えないって相当でしょ……」

タマ「うぃぃぃ……」

ー翌日・昼ー

ミカン『ご飯出来ましたー!』

ミケ「シロちゃんご飯だって!食べに行こ!」

シロ「はい………」

ミケ「あれ?なんか元気ない?」

シロ「どうにも最近ツイてないみたいで……」

ミケ「ツイてない?」

シロ「はい……いや、運が悪いのは元からですが、最近は特に酷いというか……」

ミケ「そうなんだ……何があったの?」

シロ「納沙さんが妙にしつこく絡んできたり、艦長がカスだったり、ソフトクッキーを食べようと思ったら多門丸に取られたり……」

シロ「昨日の夜なんかは納沙さんが私の部屋で『仁義のない争い 代理運航』から『仁義のない争い 完結編』まで見始めて……」

シロ「おかげで寝不足だ……ふわぁ……」

ミケ「あはは、シロちゃんがあくびなんて珍しいね」

シロ「他人事だと思って……」

ミケ「あっ、ごめん!」

ミケ「う~ん……でも、考え過ぎじゃないかなぁ」

シロ「…どういう意味なんだ?」

ミケ「シロちゃんは後ろ向きに考えてるから、嫌な事ばかり覚えてるんだよ」

ミケ「ちょっとついてないってこともあったかもしれないけど、シロちゃんが気づいてないだけで、その分楽しいことや嬉しいこともきっとあったんじゃないかな」

シロ「…………」

シロ「……艦長はいつも前向きですね」

ミケ「シロちゃんやみんながいるもん」

ミケ「ついてないなんて思わないよ」

シロ「…………私も前向きに考えられるように頑張ってみます」

ミケ「うん!」







シロ「すっかり遅くなってしまいましたね」

ミケ「うん。もうお腹ペコペコだよ~」

あかね「今日のおかずはお刺身ですよ~♪」

ミケ「シロちゃん、お刺身だって!」

ミケ「確か好きだったよね?」

シロ「はい。そういえば、しばらく食べてませんでした」

ミケ「ほら、早速良いことあったね」

シロ「な、なるほど……」

ほまれ「艦長どうぞー」

ミケ「ありがとー」

あかね「はい。副長」

シロ「ありがtズルッ!!

シロ「うわっ!?」






ガッシャーーーーン!!

あかね「えぇーーーー!?」

ほまれ「ちょ……大丈夫!?」

シロ「いたた……あ……あぁ……大丈夫だ」

ほまれ「良かったぁ……あ…でも……」

シロ「!」

あかね「全部ひっくり返っちゃったね……」

あかね「困ったなぁ……他のみんなの分はもう配っちゃったし、今日は残りも全然ないよ……」

シロ「はぁ……ツイてない……」






ズイッ

ミケ「シロちゃんシロちゃん」

シロ「…………なんですか艦長」




ミケ「いやーご飯美味しいなぁー!ほらほらこのお刺身すっごく美味しいよー!」パクパク




ミケ「あれ?シロちゃん食べないのぉ?あそっか!落としちゃったんだっけぇ!?」パクパク

シロ「ぐっ……!」


あかね「うわぁ……」


ほまれ「布巾持って来…………うわぁ……」

ミケ「ほらほらどうしたの?シロちゃ バキッ!!

ミケ「グエッ!!」

クロ「あの、宗谷さん」

シロ「黒木さん……」

クロ「良かったら私の分少し貰って?」

シロ「え、でも……」

マロン「おおっと、クロちゃんにばかり良いカッコはさせねぇ!マロンのも持ってけやぃ!」

シロ「柳原さん……」

ココ「水臭いですよ~私の分も食べて下さい」

リン「あ、じゃあ私も……」

シロ「納沙さん……知床さんも……」

クロ「私達の分を少しずつ分ければ、1人分くらいにはなるでしょ?」

シロ「あぁ……みんな、ありがとう……」

ミケ「あいたた……」

みなみ「大丈夫か」

ミケ「みなみさん!」

みなみ「どうやら副長は順調に不幸になっているようだな」

ミケ「うん。……でも周りがそれを邪魔してる」

みなみ「カスな艦長とは違って日頃の行いが良い所為だろう」

ミケ「みなみさんって私のこと嫌いなの?」

みなみ「だがもうじきだ。もうじき、周りの人間が介入出来ない程の不幸が訪れる」

ミケ「…………!」

ー数日後ー

シロ「おかしい……」

シロ「ここ数日の間、ツイてない出来事があまりにも多過ぎる……」

シロ「五十六が発情して妙に擦り寄ってきたり某国の密漁船が砲撃してきたり……」

シロ「お母さんも不祥事でポリスメンに捕まってしまった……」

シロ「カス長はああ言っていたが、やっぱり何かあるとしか……」

シロ「ん……カス長……?」

シロ「そういえば……私の不幸が悪化し始めたあの日……」

シロ「!」

シロ「まさか……あの注射が!?」

バァン!

ココ「た、大変です!」

シロ「納沙さん!?何があった!?」

ココ「い……隕石が……」

ココ「隕石が降ってきます!」

シロ「はぁ!?」

バァン!!

シロ「カス長!」

ミケ「シロちゃん。どうしたのー?」

みなみ「……カス長。どうやら勘付かれたらしい」

ミケ「…………!」

ミケ「そっか……気づいちゃったんだね」

シロ「本当に……カス長が……」

シロ「一体何が狙いだ!」

ミケ「…………」

ミケ「…………いいよ。教えてあげる」

ミケ「私はね。人気者になりたかった」

シロ「は……人気者……?」

シロ「それと私の不幸になんの関係がある!」

ミケ「……私が人気者になるにはね。ある人がどうしても邪魔だった」

ミケ「私はただ、みんなの寝顔をSNSにアップしたり、ダイエットしてる子の前でお菓子を貪っただけなのに……」

ミケ「それなのに……みんなは私じゃなくてその人を支持した」

ミケ「だから私が人気者になるには、その人に勝たなければならない」

シロ「『その人』って……」

ミケ「そう。シロちゃんだよ」

シロ「カス長……!」

ミケ「私はみなみさんに相談した」

ミケ「そして出て来たのが……」

シロ「あの……注射器……」

みなみ「そう。副長が不幸になるウイルスだ」

ミケ「普段のシロちゃんの不幸なら、困るのはシロちゃん本人だけだけど……」

ミケ「大き過ぎる不幸は周りにも影響するからね」

シロ「!!」

シロ「じゃあ、あの隕石は……!」

ミケ「そう、シロちゃんの所為だよ」

シロ「…………私の……所為……!?」

シロ「……ふざけるな……カス長の仕業だろう!」

ミケ「この際誰の所為かなんてどうでもいいよ」

ミケ「だって、このままだとみんな死ぬんだから」

シロ「そうだ……!みんな死ぬ!そうなれば人気者になんてなりようがないだろう!」

ミケ「ううん。私は人気者になるよ」

ミケ「この世界を救って……ね」

シロ「世界を……救う……?どうやって……!」

ミケ「簡単だよ。これを使えばいいの」

スッ

シロ「それは……注射器……?」

みなみ「注射といっても副長に使ったものとは中身が違う」

シロ「何!?」

みなみ「あれは……幸福を増幅する薬だ」

シロ「幸福を……増幅だと……!?」

ミケ「……うっ!」ブスッ!

ミケ「…………」

みなみ「具合はどうだ」

ミケ「まだ何ともないや」

ミケ「……でも、すぐに変わる。しばらくすれば私は幸福に満たされるようになる」

ミケ「そして……」

ミケ「シロちゃんの不幸は私の幸運を以って制する!」

シロ「カス長……」

ミケ「シロちゃんはそこで指を咥えてみていれば良い。私が世界を救う一部始終を!」

シロ「ぐっ……!なんて馬鹿なことを……!」

ー数時間後ー

ココ「隕石衝突まで残り1時間……」

タマ「世界の……終わり……」

ココ「ど、どうしましょう……」

リン「何処かに逃げようよ~!!」

メイ「逃げ場なんてないって!」

ミケ「みんな落ち着いて!」

リン「え、岬さん!?」

ココ「カス長!」

ミケ「大丈夫だよ!私がみんなを守るから!」

メイ「え?何言ってんの!?」



ミケ「やあぁぁぁぁぁぁぁ!!」

シーン……

ミケ「…………」

ミケ「あれ?」

みなみ「カス長」

ミケ「みなみさん!どうなってるの!?」

みなみ「副長の不幸値は想定していたより遥かに高かった」

みなみ「彼我の戦力差は10万対50万だ……」

ミケ「ヒガセン10万対50万……」

ミケ「えっと、つまり……?」

みなみ「今のカス長の幸運では、太刀打ちできないだろう」

みなみ「……このままだと世界は滅ぶ」

ミケ「ええっ!?」

ミケ「どうにかならないの!?」

みなみ「更に幸福薬を作ればあるいは……」

ミケ「じゃあ急いで作って!」

みなみ「薬草が足りないから無理だ……」

メイ「海から何か箱が流れて来たよ!」

タマ「……薬……草?」

みなみ「!!」

みなみ「これなら……幸福薬が作れる……」

ミケ「やったぁ!私ツイてる!」







みなみ「……どうだ?」

ミケ「うん。自分が幸福に包まれるてるのを感じるよ」

ミケ「これなら……行ける!」

ミケ「はぁぁぁぁぁぁぁ!!」



ココ「!!」

ココ「やりました!隕石は小惑星との衝突で軌道が大きくズレたそうです!」

ココ「これで地球には衝突しません!」

メイ「やったぁ!」

タマ「ウィ……!」

リン「良かったよぉ~……!」

ミケ「はぁ……はぁ……やった……!」

シロ「カス長!」

ミケ「シロちゃん……!」

ミケ「えっと……その……」

パシィンッ!

ミケ「ッ!!」

シロ「カス長!自分が何をしたか分かってるのか!?」

ミケ「…………ごめんなさい」

シロ「あんなことしなくても……私はカス長と一緒で……楽しかったのに……!」

ミケ「シロちゃん……」

ミケ「…………ごめんね」

みなみ「これが抗ウイルス薬だ」

シロ「これでやっと不幸から解放されるのか……」

シロ「そういえば、艦長の分はないんですか?」

ミケ「うん。私のは時間が経てば勝手に消えるから」

シロ「そうですか……よし」

ツルッ

シロ「あっ」

ガシャーーン!!

シロ「ああっ!薬が……!」

ミケ「シロちゃん大丈夫!?」

みなみ「…………カス長」

ミケ「どうしたの?みなみさん」

みなみ「代わりの薬が……もうない」

ミケ「…………えっ」

ミケ「ということは……」

シロ「…………ついてない……」




終わり

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