【ネタバレ】日向「希望の戦士?」 (58)

狛枝「うん。そういう名称で活動してた絶望の残党がいてね」

澪田「え?もしかしてやっつけに行くとか?それはちょっと……っていうかかなり唯吹たちの領分じゃない気がするっす」

九頭龍「暴力的じゃない方向でって話し始めたばっかだしさすがに暴力沙汰は考えてねえだろ。で?そいつらはお前に関係あんのか?」



*ダンガンロンパのネタバレがたくさんある系SS(1、2、AE、ゼロ、3)
*希望編の後の話
*勝手な脳内補間と勝手なその後捏造系
*誤字脱字大量にあるとおもいます
*勢いで書く(目標一週間以内に完結)
*一応ネタバレなので書き終わるまではsage進行


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1475375416

狛枝「ああ、もちろん。ボクは彼らの活動のサポートをしてたんだ。彼らの目論見は潰えたけど、たしか全員生きてはいるはずなんだよね。
  更にその中の一人とはしばらく一緒に居て絶望としての教育をしてたから……自分のしたことを回収するためにも塔和シティーに一度行っておきたいんだ」

罪木「教育、ですか?」

狛枝「小さい子供たちだったんだよね、彼ら。江ノ島盾子の事もよく話してたよ、優しくて戦う勇気をくれた大事なおねえちゃん……だってさ」

罪木「ぅゅ……」

花村「……」

西園寺「んぐぅ……」

終里「あー、アイツ酷いコトしたの言うと褒めてくれんだよなー。小さいガキならオレたちみてーなことしなくてもついてっちまうか」

日向「心当たりのあるやつ多いみたいだな」

御手洗「人当たりはすごく良かったからね、彼女……えっと、その子達の回収が目的でいいの?」

狛枝「それと、巻き込まれた人たちのフォローもかな。塔和シティーが若干特殊な場所なのは知ってる人もいるよね?」

左右田「ああ、実戦投入された兵器類の大量生産はあそこが担ってたからな」

詐欺師「その上、実質の江ノ島の資金源だったからな。未来機関に対してのネガティブキャンペーンも市民に行っていたはずだ」

小泉「写真をばらまくための印刷施設なんかの用意もしてくれてたし、一時期いたけど
  ……そうね、たしか未来機関こそがこれらの事件の元凶だなんていう謎本が出版されちゃう程度には未来機関の信用なかったわね」

日向「未来機関による救助に疑念を抱く可能性があるなら、俺達が有志としてこれからどうするか考えてやる必要があるって事か」

狛枝「大体そんな感じだね。そんな感じだから、次の目的地は塔和シティーにして欲しいと思うんだけど……どうかな?」

九頭龍「そういう理由なら特に反対する事もねえな」

弐大「物理的な被害状況はどうじゃ?」

狛枝「かなり酷いままだと思うよ。十神クンが数名救助した後はその後の接触を控えさせているからね」

弐大「それなら、ワシや終里の役目もあるのう!ガレキの撤去等、力仕事も必要じゃからな!!」

終里「んー?ガレキどかすのよりも作る方が得意だぞ?」

辺古山「崩れかけの建物等、いっそ壊した方がいいものは壊してしまうという役目もあるぞ」

田中「その姿を見ぬことには如何ともしがたいが、ひとたび崩れ去った場所なら我が眷属の場でもある」チュイ!!

ソニア「探し物や探し人で皆さん頑張ってくださるそうです!」

花村「これまでの寄港で食材の回収は順調だし、おなかのすいた人がいるようなら簡単な物は作ってあげられると思うよ」

日向「反対はなさそうだな。俺も一度行ったけどたしかにひどい有様だったからな、様子を見に行ってもいいかもしれない」

狛枝「なんだ、来てたの?その時接触してくれれば良かったのに」

日向「目的のものを回収することしか考えてなかったからな……よし、じゃあ進路を切り替えてくる」

ソニア「到着はいつごろになりますか?」

日向「日本国内だから2日後ってところか。途中寄れそうな港には寄るから、各自準備しておいてくれ」








ブォ――――……



こまる「ん……うぅ……?」むくり

こまる「……?  汽笛……お兄ちゃん?!」バサッ! たたたたたっ

  バンッ!!

こまる「冬子ちゃん!」

腐川「……」

こまる「船、来てるでしょ?!未来機関だよね?!」

腐川「……どうも、違うみたいよ」

こまる「えっ?」

腐川「実物を見ると早いんじゃない?」

こまる「うん……   ?  未来機関の名前、入ってないね……?」

腐川「あ……あたし、白夜様に連絡を入れるわ……!迎撃が必要な対象じゃないならどうすればいいか教えてくださるでしょうし……!!」

こまる「えーっと……十神さんと話したいだけじゃないよね?」

腐川「だ、だけじゃないわよ!話したいのは当然だけど必要な事でしょ?!いいから、アンタはとっとと着替えてきなさい!」

こまる「うん、出られるように準備しておくね!」





御手洗「あ、通信機の反応があるよ」

日向「場所はわかるか?」

御手洗「えっと、建物があるなら……ここ、この地図のこれ  ホテルの一室かな?」

日向「そうか。悪いけど一旦妨害させてもらうか。タイミングが良すぎるし、残留した未来機関員っぽいからな」

    ピッ




腐川「……??」

腐川「おっかしいわね……妨害電波用の電波塔は見つけられる限り壊したし……何より、これまでちゃんと通じてたのに」

腐川「見つけきれてなかったとしても、出力を上げる勢力なんかもうここにはいないはず……」

腐川「……ってコトなら……やっぱり、アレよね。あの船に、なんか悪いのが乗ってきてるんだわ」

腐川「塔和製品使ってればこまるのメガホン銃で何とかなるけど……そうじゃなかったら"アタシ"が頑張るしかないか」




ソニア「着岸完了しました!」

日向「よし、それじゃあ先行部隊は降りるぞ!」

詐欺師「他は指示が来るまで待機だ」

御手洗「妨害電波はどうする?」

日向「さっきの場所から、あるいはさっきの場所への通信があるようならそのたびに妨害してくれ。ちょっとめんどくさい役目になってすまない」

御手洗「ううん、画面を見続けるのは慣れてるから。じゃあ、行ってらっしゃい」


  ザッ  ザッ  ザッ  ザッ

田中「悪意の落とし子の容貌、電子的攻略にて得たマテリアルを使用して良いのだな?」

狛枝「手に入ったのはボクが彼らに会うよりも昔の写真だったけど、おおよその特徴は一致してるはずだよ。髪色とか、顔立ちとか」

罪木「ええっと、手分けして探すんですよね?」

左右田「つか、日向はもうどっか行ってるな」

狛枝「おやおや……困ったもんだね」

左右田「オメーにだけは言われたくねえセリフだよなそれ」

罪木「怪我人が居たら手当、栄養失調を発見したら花村さんの要請、暴徒の場合は規模によって澪田さんを要請、ですよね」

田中「左様  ふむ、奴が自由行動をとっている以上、もはやまとまる意義はないな」

狛枝「ボクは心当たりを見に行ってみるよ。まずは、あの子の秘密基地かな」

罪木「ええと、じゃあ私は資材回収を兼ねてあの建物に行ってみますねぇ。確か観光スポットだったはずですし」

左右田「俺は地下施設に行くぜ!工場が無事そうなら作り変えりゃまだまだなんかできるはずだからな!」

田中「本来の目的を忘れるな。今回は資源や施設の回収とは違う内容だ」

左右田「わ、わかってるって?!」

田中「ならば良い」



―塔和タワー

罪木「ふわぁぁぁ……」

罪木「近くで見ると、改めておっきいですぅ……えーっと、どこか入れそうなとこは……って、あれ?」 ウィーン

罪木「自動ドアがあいちゃいました……電気系統、生きてるんですねぇ。発電が持っているなら生存者の状況もよさそうですぅ」

罪木(……でも電気系統の確保がされているという事は……ここは人が逃げ込んだ場所というよりも利用された場所の可能性が高そうです)

罪木(希望の戦士さんたちを探すという意味では、当たりかもしれませんが、死体の放置状況から見ても絶望的と思った方がいいでしょうね……)

罪木「はぁ……」

罪木(……前は、こんな状況の場所を往くの、楽しかったんですよね……)

罪木(助けられなかった人たちが命とも思われないように乱雑に積み重なって   或いは、その山に私自身が見知らぬ誰かを放り込んで……)

罪木「……そこから逃げちゃだめですから、今はやろうと思ったことをやらなきゃ」


罪木「エレベーターは生きてるところと生きてないところの差が激しいみたいですねぇ……階段……は……」

罪木「えーっと」ガサゴソ

罪木「ぅぅ……私じゃ無理そうですぅ……忌村さんの強化剤も回収分は戦闘メインの方々に預けちゃってますし……」

罪木「うーん……とりあえず、最上階直通の中央エレベーターからためしてみましょうか」


罪木「……」

罪木「服に、獣の爪痕のような跡がありますねぇ……この方以外にも床や柱にそういったものがありますし、ビーストモノクマが運用されてたんでしょうか」

罪木「制御がほぼできなかったはずですけれど、ここで活動した方々は実用化に成功していたんですねぇ」

罪木「このエレベーターは、使えるみたいですね」

ウィーーーーン……ポーン

罪木「あ、あれ?」

罪木「途中で止まっちゃいましたよ?!」カチカチカチカチ

罪木「うゆぅ……最上階からいろいろ確認していけばいいと思ったんですけれど……仕方ありません」

罪木「えーっと、直通ですけど途中回の業務員通路にも止まれるんですね……そちらも確認してみましょうか」


カツ  カツ

罪木「……うぅ……」

罪木(今までは、大人の死体ばかりだったのに)

罪木(なぜ、ここには子供ばかり倒れてるんでしょう……?)

罪木(見た限り、突然死に近い状況みたいですけれど……いえ、それ以上に)

罪木(子供たちの被り物が、モノクマさんなのがどういう事か察してしまえて……)

   ピクッ

罪木「?!」

罪木「……この子、生き……」

 ギュイーン
         ポテッポテッポテッポテッ
モノクマ『ミーツケタ』

罪木「ひぇっ?!」だきっ

モノクマ『マテーイ!』

罪木「ひゃあぁぁぁぁぁぁぁ!!!??」ダッ

罪木「えっ、エレベーター!!!えれべーたーーー!!!!!」バンバンバンバン

「……」

  ポーン♪

罪木「ふぁっ」ダダッ  カチカチカチカチ

モノクマ『マテー』ポッポッポッポッポッ

       ウィーン

罪木「はぁ……逃げきれましたぁ……い、いったん戻りましょう……この子も、衰弱してるようですし」ハァ ハァ

  ウィーン……

罪木「ぅぅ……えっと、連絡をしないと」

罪木「も、もしもしぃ 罪木です……衰弱した生存者を一名確保しましたぁ
  ええっと……その、それで、汎用モノクマが襲いかかってきたのでそこでの探索は打ち切りました
  その一人を今から連れて帰りますので、ご飯の用意をお願いしますぅ」

「……」

罪木「え、えーっと、大丈夫ですからねー……?」

「……」

罪木(だ、大丈夫でしょうか……?)

罪木(このヘッドギア、簡単にはずれない仕組みみたいですね
  ……ご飯の用意お願いしましたけど、点滴で延命して左右田さんか日向さんを待った方がいいかもしれません)

罪木「うーん……アタリかとおもったんですけれど、危険な場所だったみたいですね
  ……でもこの子がいたという事はまだ生きてる子がいるかもしれませんし……」ブツブツ

ポーン

罪木「ん、一度戻ってから戦力をお借りするのがいいですね。おんぶ……は、この子が抱きつける体力なさそうですし」

罪木「抱っこしておくしかないですねぇ」よっと

「……」

罪木「お姉さんと一緒に行きましょうね、ちゃんと手当してあげますから、もうちょっとだけ我慢してくださいねぇ」



  ざっ  ざっ

罪木「といっても、ここから船までちょっと遠いですよねぇ……ん?」

  キュピーン
                       キュピーン
            キュピーン

罪木「えっ?  えっ?!」

モノクマ『がおー!』

モノクマ『ミーツケタ』

モノクマ『マテマテー』

罪木「ふえぇぇええぇぇぇ?????!!!!!!!」

ジャキンッ     ジャキッ     ジャキン!!!

罪木「ひっ……きゃあああああああああ!!!!!!!!!!!!」たっ

「……」

罪木「なっ、なんで?!なんでですかぁ?!来る時狙われなかったのにぃーーーー!!」

「……」

罪木「ふえぇぇぇぇぇん!!!!だっ、だれかあぁぁぁぁぁーーーーーーー!!」





―モナカの秘密基地

狛枝「……たしかに、江ノ島がやったように自己主張をしろとは言ってたけど……」

狛枝「すでに半壊済みの上にどう考えてもバカにしか見えないレベルで自己主張してるって言うのはいったいどういう事なんだろうね?」

狛枝「うーん……モノクマの残骸もたくさんあるし、もしかしてもうあの二人組につかまっちゃったかな……?」スタスタ

狛枝「ま、そうだとしても手荒な真似できるほど振り切れてないし、ジェノサイダーがそうするとしても彼女の方が止めるよね」


狛枝「どうだったっけな……あ、あったあった。ここの隠しパネルの番号が……1224っと……」シュイーン

狛枝(うーん……中に何かあった場合はみんなに来てもらわなきゃいけないし、中からしめずに開けっ放しにしとこうかな)

  カツン  カツン

「……」

「今……ここに入って行ったよな……?」

「モナカちゃんが宇宙に行っちゃったなんて嘘で、ここに隠れてるかもしんないって……ことだよな?」


(きょうはここまでです 一週間以内に終わるのを目指して暇を見て書きに来ます)
(ほぼ、思いつきを今のうちにやっとけ的なSSですので好みに合いそうであればよろしくおねがいします)

カツン
     カツン
          カツン

狛枝(たしか結構深い場所まで下りたよね……ふふっ)

狛枝(案外、覚えていられるものだね)

狛枝(思考回路が違ったころの記憶なのに、間違いなくボクが経験した事として覚えていられるって言うのは不思議な気がする)

狛枝(……いや、それをいうならあそこでの出来事だってそうか)

狛枝(皆を知らないボクだからやった事も、江ノ島と同じ価値観だからやった事も、たいした違いはないんだろうし)

狛枝(才能に惹かれるのも、人を英雄にしたいのも、平凡を蔑むのも、自分が英雄になりたいのも)

狛枝「選んで行動した以上、責任が消えるわけじゃないもんね……っと、ここか」

狛枝「鍵はどうしよっかな?ドアノブ捻れば開いたり……開いちゃったね……うーん……?」 ギィ

  パチッ

狛枝「電気は生きてる……っと、隠しパネルが作動した時点でわかってはいたけど」


狛枝(資料や設計図、機材はあるけど……彼女の自室だったところは家具を含めてもぬけの殻か)

狛枝「もうここには居ないのかな?」

狛枝「あとはこの机ぐらいだけど」 ガラッ

狛枝「引き出しの中に手紙か……一応、ボクが訪ねてくることは考えてたのかな?」ピリリッ

狛枝「……」ふんふん

狛枝「……?」

狛枝「へぇ……っははは……そっかぁ」

 何かに夢中になれるモナカにとどめを刺してくれたから
 この手紙を読んでいるお兄ちゃんにモナカから絶望的な最期のプレゼントを置いていくね!
 外に出てから読んだなら元の部屋に戻ってきてね?
 ハイパー絶望少女モナカちゃんとしての最後の置き土産、ちゃんと受け取ってね?


    ギュィーン

狛枝「それで、このロボットが動いてきてるのか……いやまずいな。どうしよっかな」

狛枝(ブラックサスペリアンだったっけ?改めて気持ち悪い造形だよね)よっと

   ドォン!!!

狛枝(しかもあきらかに)ひょい

            ガァン!!!

狛枝(ボクを狙ってるもんなぁ)

狛枝(出入り口ほどは大きくないし、すり抜けて外にでればなんとか……いやでもどうやって隙を作ればいいんだろ)

「うわっ?!」

狛枝「?!」

  ギュイ

大門「なんでコイツが動いて……?!」

狛枝(敵の注意が後方に向いた!今なら)  だっ

大門「?!」

狛枝「よし、すり抜けられたっと 逃げようか。キミに反応した以上、ボクだけじゃなく人を狙うみたいだから」

大門「お、おう?!わかんねえけどわかった!」

  タッタッタッタッタッタッ

狛枝「扉の幅よりも大きいから出ては来れないと思うんだけど……」

大門「んなわけあるかバーカ!!アレには勇者ロボのドリルも僧侶ロボの爆弾もついてるんだぞ!?」

  ギュィィィィィン    ガガガガガガガガガガガガ

狛枝「いやぁ、まいったね まさか建物壊しながら追ってくるとはおもってなかったよ」

大門「壊しながらだから遅いけど、このままじゃマズいぞ!?どうすんだよ!」

狛枝「逃げながらボクの仲間を呼ぶしかないね。荒事が得意な人に来てもらおうかな」

大門「……い、今は一緒に逃げてやるけど!後で色々聞くからな!?モナカちゃんどうなったんだとか!!」

狛枝「それはボクが聞きたい事でもあるんだけどね」

      ギューン  ガガガガガガ
                      ドォン!!!ドォン!!!!!



―船内部

ソニア「狛枝さんから連絡が入りました!敵性ロボットにより追跡を受けている模様です!
  狛枝さんはこちらにむかってくるそうなので、迎撃をお願いしたいと!!」

詐欺師「何?!罪木も生存者をつれてこちらに向かっているんだろう?!」

ソニア「一方的に通信が入って切れてしまったもので」

弐大「ふむ、ワシらがまとめて出てちぎって投げるのが一番じゃろうな  終里!」

終里「おう!機械退治だな!」

弐大「左右田がそういった奴らの対処は得意じゃが、奴は先行部隊として出ておるからのう」

辺古山「私も出よう。罪木の通信によれば汎用モノクマも出ていると言っていたな?それらの弱点を突くのであれば竹刀でも可能だ。
  狛枝が何に追われているかはわからんが、それの可能性もあるなら対処を知っている者が出た方が安定するだろう」

九頭龍「俺も出るか。少し離れておいて現場指示を出す」

ソニア「はい!弐大さん、終里さん、辺古山さん、九頭龍さん、敵性存在の迎撃をおねがいいたします!」


花村「……うーん、暴力沙汰にしないって言ってたのになんだかすでに大騒ぎになってきてるみたいだね」

小泉「左右田も言ってたけど、兵器の量産にかかわってた場所だから在庫が反応しちゃったのかもしれないわね」

花村「あ、どうかなぼくの白くてトロリとした逸品は」

小泉「お粥ね」

花村「弱ってるみたいだからね」

小泉「物を食べられない可能性に備えて医務室の準備をしておいた方がいいかしら」

花村「うーん、ソニアさんに聞いてからにした方がいいと思うよ?」

小泉「でも目を離すのも不安なのよね」

花村「料理人として料理はまじめに作るってば!あのころのぼくじゃないんだし!」

小泉「学生時代も薬盛ってたじゃない」

花村「あれは西園寺さんのせいであってぼくのせいじゃないって何回だっていうからね?!」

詐欺師「おい、花村」

花村「十神くん、どうしたの?」

詐欺師「終里が出るから補給ができるように奴用の食事の用意もしてくれ」

花村「はいはーい」

小泉「あ、医務室開けといたほうがいいかなって話してたんだけど、そういう話は出てた?」

詐欺師「いや、ソニアが連絡の受け取りと判断をしているが彼女はその処理で手いっぱいだな」

小泉「今提案しても大丈夫そう?」

詐欺師「ああ、大丈夫だろう。当人からの発案が出にくいだけで意見の集合とその判断に関しては問題ない」

小泉「じゃあ、私はちょっとそっちに行ってくるわね……大丈夫よね?」

花村「……」

詐欺師「大丈夫だ」

小泉「じゃ、ここは任せたわよ」

花村「い、行ってらっしゃ~い…………うーん」

詐欺師「なんだ、不満か」

花村「いや、なんというか……やっぱり罪悪感ってあるじゃない?」

詐欺師「そのあたりについては話し合ったはずだぞ。償う気があるならばそれこそ普段通りで居ろとな」

花村「わかってるよ、わかってるけど、ぼく自身が人を責めちゃう方だから本当にそれでいいのかなって」ガチャッ

詐欺師「その感覚があるなら大丈夫だ。新世界プログラム内の事をそう思えるなら、絶望だった頃の事にも償いの意思を持てる。
  それが、俺達が共に往く理由だ。そして、同じ目的を持つ以上は同列……そういうことになっただろう」

花村「よっと……   それでも気まずいものは気まずいってば。狛枝くんぐらい吹っ切れてたらともかく」ゴトン

詐欺師「こちらが追及せずともか」

花村「……クロになった人たちで話し合ったことがあったんだけど、基本は許されるのがより気まずいというかなんというか
  むしろ許してくれる人がいない絶望だった頃の所業を償うんだって言う方が精神的に楽まであるというか……」ザクザク

詐欺師「自分を許すのと他者から許されるのは別の事だからな」

花村「……許すのって、それだけで努力がいるじゃない。自分が何かした人にその努力強いてるとおもうとほんと……」チチチチチ ボッ

詐欺師「ほぅ、許せないことでもあるのか」

花村「まだ納得できてないことならあるよ」トクトクトク

詐欺師「……言わんとすることは判る」

花村「きみは許せるの?」

詐欺師「そも、俺の存在は彼女のようなものだ。誰かから姿を与えられるか、誰かの姿を借りねば存在できん。
  今も、十神白夜を勝手に拝借しているからな。状況によって姿を借り換える、誰でもない人物だ」

花村「……」

詐欺師「無論、俺だって当初は困惑した。あの委員長は誰だったんだと、目覚めた時説明を求めた。
  怒りを感じなかったわけではない。偽物を用意されて喜ぶと思われるのは心外だ
  ……だが、彼女は七海千秋の姿を借りた俺のようなものだと思うと納得できた」

  クツクツクツ

詐欺師「……」

花村「……ぼくにはまだそう思えないや」

詐欺師「そうか」

花村「でも、皆が許している人を許せないぼくがきみに許されてしまうって言うのがなんか」

詐欺師「ええい、調子が狂う!貴様は若干人格が破綻してるぐらいでいい!うだうだ言うんじゃない!!」

花村「ちょっ  ちゃんと物事考えてるのにちょっとひどくない?!」

詐欺師「俺達は生きている、お前も人の話を聞いてればいずれ納得する日が来る!今はやることがあるだろうやれ!!」

花村「やってるよ?!ちゃんと煮込んでるじゃない!」

詐欺師「鍋物ひとつで終里のあの胃袋が満足するわけないだろうもっときりきり働け!!!」

 ワーワー
  ギャーギャー

西園寺「……あーあ、うるさいったらないね~」

澪田「日寄子ちゃん、出られるように準備してなくていいんすか?」

西園寺「特に出る予定無いし。人が来たらその手伝い位はするけどさ」

澪田「ん、そっすか」

西園寺「アンタこそいいの?出る状況が結構はっきり決まってるんじゃなかったっけ?」

澪田「チューンは完璧だからね!」

西園寺「……ところで、今の聞こえてた?」

澪田「あー、千秋ちゃんの事。まあしょうがないんじゃない?真昼ちゃんも若干納得しきってはいないし」

西園寺「おねぇあたりまではさ、過ごした時間や内容が少なすぎるもんね」

澪田「一緒にステージしてくれたり、いい子だったんだけどね……」

西園寺「おねぇのための祭壇もわかってくれたし……あ!
  あいつの分と委員長の分、両方の祭壇作れば花村とかおねぇも別々の人って思って納得してくれるかな?」

澪田「それはやめよう」

西園寺「えー?なんでー?!」

澪田「いや、うん……日寄子ちゃん不器用自体は治ってないしあの時の二の舞やるだけだって」

西園寺「おにぃに手伝ってもらうもん。おにぃとかの最初に起きてた人たちはあいつのこと大好きだし」

澪田「ハジメちゃんに無理させるのはもっとダメ。ホントはあの世界にいたころのハジメちゃんでいたいってのはちゃんと聞いてるでしょ」

西園寺「……才能使わなくたっていいもん」

澪田「んじゃ、それは唯吹が手伝ったげるから。ほら、行こう。ソニアちゃんにまた誰かから連絡はいってるかもしんないっすよ」

西園寺「はぁーい」



―神社

田中「ふむ……よもや、ここまで静謐な空間が残されていようとは」

  カァー  カァー

田中「…………屍肉を喰らう者共が多いな いや、それよりも其処から湧く白と黒こそが現在のこの空に数多の翼が舞う元凶か」

(意訳:カラス等のスカベンジャーならびに、死体から湧くハエと蛆を食する肉食の鳥が現在多い)

田中「む?他の大陸の強靭な翼も舞うか……舞うべきでない雲が蒼穹を覆い尽くす煉獄から逃れてきたか。
  奴らにとって約束の地……しかし、いずれ種ごと覇権を求めるであろう。滅ぶことが判り切っている楽園のなんと無様な事か」

(意訳:大気汚染から逃れてきた外来種も確認できる
  現在は食料ならびにスペース的にたくさんの鳥をこの街で養えるがいずれそれも持たなくなるだろう)

  チュチュッ  チーッ

田中「何か見つけたか」ザッ ザッ

田中「……ほぅ これは……まだ、生きているか?」そっ

   ゴゥッ

田中「」ゾクッ

田中「成程……この覇気、黒き群れが寄らぬわけだ」

田中「このような力がある者、このままここで朽ちるのを待つのは惜しい。しばし待たれよ」

田中「ソニアか。衰弱した成人男性を発見した。罪木との中継を頼む」

田中「……」

田中「通じない、だと……?ならば、こちらから翼もつものに探らせよう。何かわかり次第再びつなぐ」

田中「……ふむ……致し方ない」

田中「まだ、生きていられるな?」

「……」

田中「此方の癒し手を探さねばならなくなった。もう少し、我慢してもらうぞ……」スーッ

田中「聞け!轟け!!わが名は眼蛇夢!!魔王にして覇王、貴様らの頂上、田中眼蛇夢!!」

  カァー!!  バサバサバサッ

「……?!」

田中「我が同胞たる朱線灯す白き衣、彼女を探し、その状況を報告せよ!往け!」

   バサバサバサッ

田中「さて……水は飲めるか?」

「……」コクリ

田中「少しづつだ。死に水とはならぬようにな」

田中(それにしても……よく生きていられたものだ。この様子、まるで病院から抜け出してきたかのようではないか)

田中「この場に至るまで、よくぞ持った。しかし、もっと隠れうる場所もあったであろう」

「……」スッ

田中「?  あの石灯籠が、どうした?」

「……」ボソ ボソ

田中「ふむ……脱出路か。きさまが行かなかったのは、この腕輪せいか?」

「」コクリ

田中「……しゃべる気力が湧いたら、何が起こったのか聞かせて欲しい。俺は、絶望が活動を行いそして頓挫したという事しか知らぬ」

   バサバサバサッ

田中「戻ったか 見つけたようだな……ふむ?」

田中「敵性存在に追われている……だと?!」

「……」

田中「くっ、しかしこの男を置いていくわけにも……」

「行け」

田中「……良いのか。奴は奴で弱った人物を確保している。後回しになるぞ」

「良い……俺には、会うべき人が、居る……」

田中「ならば、大丈夫だな   すまぬ、一旦行かせてもらうぞ!  案内せよ!」

    カァーーーー!!!
                 ザザザザッ

「……」

「……さく……ら……」





―ホテルの一室

腐川「……」

こまる「冬子ちゃーん!私準備できたよー?」

腐川「……やっぱり、何度やっても」

こまる「冬子ちゃん?」

腐川「こまる……多分だけど、あの船に乗ってるのは絶望の残党よ」

こまる「……ホントに?」

腐川「通信が阻害されているわ。妨害電波を今更利用したい奴なんてまだまだやる気満々の絶望の残党ぐらいしか……いな……?」

こまる「冬子ちゃん?」

腐川「……?」ゴシゴシ

腐川(気のせい……?だれか、この部屋に入ってきた気がしたのに)

こまる「冬子ちゃん、どうしたの?」

腐川「えっ?う、うーん……なんでもないわ。多分」」

こまる「?  あっ」プルルルルルル  プルルルルルル

こまる「はい? 新月君?どうしたの?   えっ?!モノクマが町中であばれてる?!」

腐川「ハァ?!」

こまる「わ、わかった!どのあたり……?!えっ?大門君や召使さんも追われてる?!どういうこと?!わ、わかった!とにかく行くから!!」

こまる「冬子ちゃん!」

腐川「聞こえてるわよ!電波妨害の挙句モノクマを起動?!もうこの場所にロクな企業や利用できるものなんか残ってないってのに!……あ、あら?」

こまる「行こう!大通りを走ってるって言ってた!」

腐川「ま、待ちなさいよ?!スタンガン銃が無いのよ?!」

こまる「待ってたら危なくなる人がいるんだよ!先に行ってるね!」ガチャッ バタン!!

腐川「ちょ、ちょっと……  どういう事よ?!さっきまでたしかに持ってたはず……    ??!!」

日向「よぉ」

腐川「……あ、あんた……誰よ……」

日向「……ちょっとだけ、話をつけておきたくってな」クルクル

腐川「それ……あたしの……」

日向「ああ、返すよ。そのかわり、ちょっとだけ話を聞いてくれないか?流石に、苗木の妹は一般人だし巻き込めないからな」

腐川「……思い出した  アンタ、未来機関で起きたコロシアイの黒幕って映像で言ってた……!!!」

日向「日向創、絶望の残党として指すなら、カムクライズルでもいい」ポイッ

腐川「わわっ」ぱしっ

日向「ここで起きた騒ぎの後始末に少しかかわらせてほしいんだ。具体的には、首謀者の子供たちを回収させてほしい
  ついでで、未来機関を頼るように残存している大人たちに向けた説得を行うってところだな……俺の知る限り殆どの大人は暴徒化してたはずだけど」

腐川「……認めると思う?」

日向「一応、認めてほしいから姿を消してみたり武器を奪ってみたりしたんだけどな」

腐川「あ、あ、あたしはっ、そのぐらいじゃひるまないわよ!?」

日向「いや、思いっきりどういう事だろうって顔してたしさすがに引っかかってもらわないと困るというか」

腐川「未来機関を頼るように説得って言っても、もう一つが問題すぎるわよ?!子供たちの回収?勢力増強のためって事?!」

日向「……未来機関が原因の子供たちを回収したとしてだ、その後どういう処置になるかは考えたことはあるか?」

腐川「……」

日向「処分、或いは再教育だろうが……その再教育を行えるであろう人材が先のコロシアイに関連して失われている」

腐川「元・超高校級のセラピスト……月光ヶ原美彩」

日向「ああ。知っているなら話は早い。彼女の才能を再現出来得る新世界プログラムは残っているけど、
  それを利用して正しく作動した場合、子供たちは自分のしたことを忘れてしまうんだ。
  忘れたことで赦されるのか、忘れたうえで償わされるのかはわからないが……少なくとも俺にはそれがちょっと残酷に思えてしまってさ」

腐川「……」

日向「だから、すべてを抱えられる状態のまま、ついてくるのを望む奴だけでも連れて行きたいんだ」

腐川「……未来機関の一員としての返事は、NOよ」

日向「お前個人としても、無理か?」

腐川「うるさいわね。あたしは白夜様を裏切らない。ここでのことを任せて置いてくださった白夜様に顔向けできないことはしない!」カチャッ

日向「えっ?ちょっ、自分に銃向ける要素あったか?!」

腐川「実力行使で黙らせてもらうわ!  行くわよ!」
                                    バチィッ!!


 ジャキン!
            ジャキン!!

ジェノ「んんー?アンタがお相手?マジで?」

日向「……!!」

ジェノ「ま、いっか♪殺すのはNGだけど死ななきゃどーとでもなるっしょ!」ダッ

日向「くっ?!」

日向(不味い、自力で殺人鬼の方を引き出せるようになっていたのか!?くっ、避けないと!)

  ジャキジャキジャキジャキッ!!

ジェノ「ホラホラホラホラ!!!ボサっと突っ立ってんじゃねーぞ?!!」

日向(戦闘能力はまだ解放したくない……けど、ある程度観察力と運動神経を活性化しないと斬られる!)

    シュッ  ヒュン!!

日向「う、わっ  話を……しにきただけなんだけどなっ?!」

ジェノ「あら残念?それじゃーよっぽどハラ立つ内容だったってコトね?
  感情とかなり強い直前の記憶ぐらいなら共有できてんだけどさ……テメーを見ると、アタシはともかくあいつが心の奥底からムカっ腹立つんだよ!!」

日向(突進……!!横に避ければ)

  ダッ   ジャキッ
                バシュッ

日向「う、ぐっ?!」

ジェノ「チィッ、浅い!」

   ポタッ  ポタ……

日向「……出し惜しみはできない、か」

日向(超高校級の殺人鬼、という異名をとられるだけの事はある……避けるのを悟らせてなかったつもりだけれど、
  そもそも、それてもいいように側面への攻撃も繰り出していた……殺意、害意に於いて、こいつはそれそのものの挙動を取る)

日向「なら、僕も今はこうするしかありませんね……」スッ

ジェノ「……いーい顔すんじゃん?ヘタレっぽく表情筋動かしてなきゃソコソコってカンジじゃない?」

日向「……それはどうも」

ジェノ「やだ殺したくなっちゃう……これダーリンへの浮気よね……やだ、アタシをこんな気持ちにさせるなんて罪な男だわ」

日向「……(目標、対象の沈黙)」タッ

ジェノ「しゃらくせえ!!」ブンッ!!  ブンッ!!  ブブンッ!!

日向(一投目、投擲一秒後の推定右眼球  二投目、投擲2秒後の推定心臓部 三投目、左右へ避けた時の推定下腹部)

  ダッ  バンッ!!

日向(進行右側へ避けつつ跳躍で鋏を回避 対象が用意していた次の攻撃は右手の鋏であるため対象の左から回り込む)

ジェノ「っはぁ!」ビュンッ

日向(回転攻撃 着地と同時にしゃがみ脚を狙う)ドンッ  がしっ  ぐいっ

ジェノ「ぎゃぁっ?!」ぐらっ

日向(電撃による人格入れ替えの推定残り時間10秒)

日向(腐川冬子に応じる意思なし)

日向(よって、気絶させることで対処する)

日向(確保した脚を使用し、壁にぶつける  頭部殴打による脳震盪で30分程度意識不明と予測)

ジェノ「っぁ  ちょいまってパンツみえるぱんっつぅっ?!」

    ブンッ      ドゴッ

ジェノ「っ……がっ……」

                 ドサッ

日向(戦闘終了  ……ふぅ)

日向「……はぁ……」

日向(命に別状があるほど強くはしてなかったはずだけど……話し合うはずだったんだけどな)

日向(才能をつかわないようにと思ってたけど、ちゃんと前もって相手に納得させる話ができるように考えておくべきだったか……?)

日向(いや、けどそこでカムクライズルとしてふるまってしまうと多分なあなあに全部才能に頼っちまうし……うん、俺が不甲斐ないだけだな)

日向「……悪いけどジャマできないように少し動きを封じさせてもらっとこうかな……このままパンツ丸出しで気絶させとくのもかわいそうだし」

腐川「うぅ……」

日向「」ビクッ

腐川「……」ぐったり

日向「……だ、大丈夫だよな?よし」

  ぐーるぐーる
             きゅっ

日向「起きた時ジェノサイダー翔だったらぬけられるだろうけど、腐川冬子だったらこれで大丈夫だよな……よし、じゃあ通りの方の援護に行くか」



―大通り

   ダダダダダダダダッ

罪木「ふぇぇぇぇぇぇん!!!」

狛枝「いやあ、思った以上に大変なことになっちゃったね」

罪木「ふぇっ はぁ  もう、もうむ゛り゛でずぅぅぅぅ~~~!!ひっ  ひと、かかえたままじゃ……!!」

大門「おれっちがせおう!貸せ!」

罪木「びえええええ~~~ ずみま゛ぜぇ~ん!!! おねがいじまずうぅぅぅぅ!!!」

 ポテポテポテポテポテポテポテ

               マテー!!
   ガオー                     がおー!!

罪木「ひいいいいっ?!!」

大門「あいつらは遅いからきにすんな!それより、魔法使いロボの突進の方がヤバイ!」

   ギュイィィィィィン

狛枝「でもなんかつっこんでこないよね?」

大門「よっ  どっちに逃げるんだった?!」

狛枝「あっち側。船が見えてくるはずだよ、そこに救援を頼んである」

罪木「は、はやく、はやくいきましょう!」

九頭龍「……おい、聞いてた以上のモンがきてるぞ」

辺古山「想像以上に多いな。だが、問題はあるまい」

終里「あいつら全部ぶっ壊せばいいんだな!?」

弐大「そういうことじゃ!」

終里「そんじゃあさっそく……うおりゃああああ!!」ダダダッ

辺古山「迎撃、開始する!」タッ

弐大「うおおおおおお!!!!」ダァン!!

   がしっ  ブンッ

モノクマ『あーれー』 ドゴォン!!!


大門「すげえ!モノクマつかんで吹っ飛ばしやがった?!」

狛枝「やっと援軍と合流できたね」

罪木「ふぇぇぇぇん……もうだめかとおもいましたあああ~~!!」

九頭龍「大げさだな  おい、そのガキ連れてとっとと戻れ。ここは俺達がなんとか……」

大門「……いや、オレっちとこいつはここにいたほうがいい」

九頭龍「あ?」

狛枝「……あー、なるほどね  ようやくなんであのロボが突っ込んだり爆弾使わなかったのか合点が行ったよ。
  ボクの考えがあってたら、群れの中に突っ込んでいった3人はちょっと危ないかもね」

九頭龍「……!!終里、その場から避けろ!」

終里「あん?」

九頭龍「でけえ奴がてめえを狙ってる!!」


  ギュィィン   ギュオン!!!

終里「うおっと?!」

モノクマ『やーらーれーたー』
   ドォン
                ドドドドォン!!!

終里「ラッキー、オレのちかくにいたの一気にいなくなったぜ!」

九頭龍「ちっ  俺はあっちに集中する!」


罪木「あ、あの、どういうことですか?」

狛枝「えっとね、基本的にこの街に出てきてたモノクマは子供たちが指揮してたんだ。
  で、自動操縦系は意図的にオンオフをしない限り子供を巻き込まないように設定されててね……そのための発信装置がこのヘッドギアってわけ」

罪木「じゃあ、なんで私モノクマさんに追いかけられてたんですか?子供を巻き込まないんです、よね?」

大門「……大人に連れてかれてひどい目に合わせられるって思ったんだろ」

罪木「ひ、ひどいことなんてしませんよぉ!?」

狛枝「この街の子供たちはそう思うようになってるんだよ。そう、ボク達が絶望を求めたように、オトナを拒絶するんだ」

罪木「え……」

狛枝「ボクたちのときと、ほとんど同じ理屈でね」


  ガォン!!

弐大「ぬぅ、動きに溜めがあるから見切れるが……いかんせん固いのう!」

終里「モノクマをぶつけて爆発させんのが一番効いてるな!おい!どんどんぶっさせ!オレとおっさんであいつにぶつける!!」

辺古山「承知」

 ザッ

辺古山(ここから最も左目を突きやすいのは……あいつか)

辺古山「やぁっ!!」

     シュッ     バチッ

辺古山「使え!」

終里「よっしゃあ!!」がしっ  ブンッ

モノクマ『ヤーラーレーター』ドォン!!! 

  グラッ

九頭龍(ペコがモノクマの弱点をついて、爆発前に終里と弐大でぶつける。現状これでなんとかなりそうだが
  ……あいつら攻撃に集中して敵の行動が見れてねえときがあるからオレも気を抜けねえか)

九頭龍(あいつらの話も気にはなるが……次、斧が来るな)

九頭龍「弐大下がれ!斧が来る!」

弐大「合点!」

  ブンッ   ドガンッ!!

弐大「迫力満点じゃのぉ!!」

九頭龍「いいか、敵から見て俺達と同じ方向に居ろ、裏に回り込むなよ!どうもガキを巻き込まないために近接以外つかわねえらしい!」

辺古山「有利を狙って裏を取ると容赦なく銃とバズーカを使用するという事か」

終里「わかった!モノクマのりこえんのはやめとく!」



大門「……とりあえず、生きててモノクマヘッドつけてたらモノクマやロボに攻撃されない……はず」

罪木「あ、ああ あなたたちがつくったんですよね?!」

大門「そーゆーのモナカちゃんの担当だったから、オレっちはさっぱり……どーする?
  モノクマ呼ばないためには外した方がいいけど、はずしちゃったらモノクマも魔法使いロボも本気出しちゃうぞ?」

罪木「……え、っと  はずせるんですかぁ?」

大門「ちょっと無理矢理になるけど、外せる。ほんとは蛇太郎がいたら取り外すの安心だったんだけどな」

狛枝「九頭龍クン、状況はどう?」

九頭龍「現状殲滅力の方が上だが、もうちょい戦える奴がいなきゃ消耗が上回るかもしれねえな
  ……かといって、弱ってるやつがいる中で澪田をよぶわけにもいかねえ   ……ん?」


こまる「コワレロ!」

モノクマ『ギャー』 ボンッ

こまる「大丈夫ですか?!」

終里「ん?なんだお前、あぶねえぞ!?」

こまる「あの、人が襲われてるって聞いたので!」

辺古山「……有効武器を持っているのか。坊ちゃん、いかがなさいますか?!」

九頭龍「丁度いい、悪いが協力してくれ!」

こまる「もちろん!」


大門「げっ」

罪木「わぁ……あの子、凄いの持ってるんですねえ」

狛枝「ハハッ、会いたかった人の一人が来てくれるなんてね……ここの広さで会えるかわからなかったけど、どうも運が良かったみたいだ」

九頭龍「とりあえず数を減らしてくれ!でなきゃ身動きがとれねえ!」

こまる「わかった!  コワレロ!」

モノクマ『ウワー』  ドォン!!

終里「おい、爆発寸前のやつかってにつかってもいいか?!」

こまる「えっ?  あ、危ないよ?!」

終里「いいって!さっきからモノクマの爆発であのデカブツに攻撃してたんだからよ!」

こまる「ええっ?!」

辺古山「彼女が減らす分とは別に、こちらはモノクマの利用を続けるぞ!」
   バキッ
         がしっ
弐大「承知!」         ブンッ

こまる「ホントだ……」

終里「でもモノクマ止められんのが辺古山だけでさ!これで今までよりもっと戦えるぜ!……ん?」

  フィィィィィィィィーーーーン
             ドガガガガガガッ

ウワー   ヤーラーレーター

  ドォン!!
                 ドンッ!!

こまる「ひえっ?!」

九頭龍「クルマ?!」

  ドガッ……プスン

田中「ちっ、ここまでか」ガチャッ

辺古山「なっ  田中、早くこちら側へ!」

田中「む?」

  ジャキッ
              バァン!!

田中「遠距離武装か」

九頭龍「こっち側のほうにくりゃつかわねえ!相手の行動の制限を優先しろ!!」

田中「フン、そういう事か  今そちら側へ抜ける!」 ダッ

九頭龍「田中の合流まででかいやつの注意を此方側に向けさせろ!!」

辺古山「っ モノクマへの攻撃頻度を上げる!弐大、終里、ありったけぶつけろ!」 ビュッ ザンッ

こまる「私も手伝う!  こ、コワレロ!!」 バチィッ

  ガシッ     ガッ
弐大「うおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
               ブンッ  ビュンッ
終里「喰らいやがれ!!」

           ドォン!!!
  バチッ
     バチバチッ

弐大「行動パターンが割れているというのは良い事じゃ!ついに動きを止めさせてやったのう!!」

終里「まだまだやるぜ!!」

こまる「コワレロ!」
                 ボンッ
辺古山「せいっ!!」
      ザシュッ   ドンッ!!

田中「うおおおおおおっ  覇王、田中眼蛇夢ここに推参!!」

九頭龍「おい、粗方動ける奴がそろった!追加が無きゃ多少敵が強くなってもいけるはずだ!」

大門「こいつのモノクマヘッドはずせばいいんだな!」

九頭龍「おう、んでもって外したらとっとと船に逃げ込め!巻き込まれないようにすんのが面倒だ!」

九頭龍「おい!追加を止めるための作業をこっちでやる!それが終わったらそのでかいのが攻撃全部使ってくるようになるはずだ!」

田中「それまでに追い込めという事か」

九頭龍「おう、周囲のモノクマの殲滅も怠るなよ!」

こまる(あれとは一度戦ったことあるけど、あの時は冬子ちゃんの力も借りたんだよね……っていうか
  冬子ちゃん遅いよ?!まさか、何かあった?!)

日向「……なあ、それには一網打尽にできるような機能はないのか?」

こまる「ええっ?えっと、水たまりとかあれば電撃で一気に倒せるけど……?」

日向「わかった  みんな少し距離を取ってくれ、そこの消火栓から水を撒く」

九頭龍「一旦モノクマをでかいのにぶつけろ!右腕あたりだ! そこの消耗が激しいからもう一撃で多少動きがとまるはずだ!」

終里「はいよっと」がしっ
                     ブンッ        バキッ
弐大「よし、下がるぞ!」

日向「行くぞ  それっ!!」
                   ブシャアアアアアアアアッ!!!!!
日向「これで行けるか?!」

こまる「多分!みんな、水踏まないようにしてね!!!     シビレロ!!」

    バチッ  バチバチバチッ!!!
           バァン!!!
   ドォン!!             ドォン!!

田中「ほぅ……まさに雷神の一撃」

九頭龍「そっちはどうだ?!」

大門「もうちょっと……」ガチャガチャ  バキッ

大門「よっしゃ、首のとこのがとれた!」 ズルッ

「……」

罪木「うぅ……こんなに顔色が悪く……!!」

大門「……」

九頭龍「よし、行け!」

狛枝「じゃ、ボク達はいったん戻るね  ああ、そうそう  事が終わったらその子にも話聞きたいから、連れてきてくれるとうれしいな」

こまる「わ、私だって聞きたいことあるよ?!なんでここにいるのかとか、いろいろ!!……っ  シビレロっ!!」 バチィッ!!

辺古山「放水がもう止まっただと?まずいな、アレが水たまりから抜けてくるぞ」

日向「街の仕組み自体が止まりかけてるようなもんだからな。水圧が下がってたんだろう……逃れたモノクマが来るぞ!」






罪木「はぁ  はぁ……つきましたぁ!」

狛枝「ありがとう大門クン、協力してくれて」

大門「……この船……なんか鳴ってたとおもったらこれだったのか」

罪木「先ずは一刻も早くこの子の手当てをしないと……!」タッ タッ タッ タッ

大門「……」

狛枝「おいで」

大門「……いや、でも」

狛枝「互いに聞きたいことがあるんだよね?」

大門「……わかった」









―船内・医務室

罪木「ありがとうございますぅ。医務室の用意って言うの忘れちゃってましたぁ……」

小泉「ううん、気づいたし大丈夫……ところで、本当なの?」

罪木「狛枝さんがそういった、というだけなんですけれど……この子達にも洗脳技術が使われているそうですぅ」

小泉「使用されていた機材は、さっき御手洗が持っていったので合っているのよね?」

罪木「はい……電波や通信関連のチェックを西園寺さんに引き継いで、十神さんと御手洗さんでどういうものか確かめるそうですね」

小泉「日寄子ちゃんにそういうことさせるのちょっと不安だけど……あ、花村が作ってくれてた食事、食べてくれそう?」

罪木「それが……機材を外したらすぐ寝てしまって……今は点滴を使用していますぅ」

小泉「そう……あ、さっきソニアちゃんに戦闘が終わったって連絡が入ったわ。途中で参加してくれた子のおかげで弱点の集中攻撃ができたって」

罪木「ふわぁ……よかったぁ……!!」

小泉「こっちが落ち着いたら、田中も衰弱した人発見してたらしいしそっちに行ってほしいって」

罪木「うゅ……ええと、なら、小泉さんこの子の事をお願いしてもいいですか?」

小泉「ええ、わかったわ。蜜柑ちゃんも大変だと思うけどがんばってね」

罪木「……私がしたことに比べれば、まだまだですから。たくさん頑張ってきます」

小泉「多少は無理してもいいけど、無茶しちゃだめよ」

罪木「はぁい!」

小泉「……さてと……今は寝てるけど……洗脳の影響がどんな風になるかはわからないのよね……ここにいたほうが良さそうね」


―船内・会議室

ガチャ

日向「よう」

狛枝「おかえり、そしていらっしゃい」

こまる「……え、ええっと……おひさしぶり、です?」

大門「……」むーっ

日向「まあ、まずは座ってくれ  狛枝、その子との話はどうなったんだ?」

狛枝「えーっとね……とりあえずボクが当初目的にした子……モナカちゃんについてはもう捕捉不可能っぽいのはわかったかな」

大門「モナカちゃんがどこいったかの手がかり探ししてた時に見つけたから関係あると思ったんだけど、大外れだった」

こまる「だから、言ったじゃん!モナカちゃんは宇宙に――」

大門「信じられるわけねーじゃん!たしかに、やりかねないけど、オレっちたちだって勉強はたくさんさせられてたんだい?!
  そう簡単に宇宙に行けないぐらいは、オレっちも新月も言子ちゃんも蛇太郎もちゃーんと知ってるんだからな!?」

日向「……狛枝から見て、そういうことができそうな子だったか?」

狛枝「できるんじゃないかな?子供たちに指令を出す洗脳ヘッドギアも彼女が作ったものだって言ってたし
  ……一応そっちは協力者いたはずだけどでもそれも塔和製のAI搭載ロボットだったから実質彼女が一人で……になるのかな?」

日向「白か黒に塗られたモノクマの事だったら江ノ島が関ってる」

狛枝「ああ、納得した」

大門「?ジュンコおねーちゃんが?いや、でもモナカちゃんがああいうの作ったのも全部ジュンコおねーちゃんが死んでからだったぞ?」

こまる「……わ、私も、その人死んだってことぐらいしか」

日向「その辺も含めて、ちょっとゆっくり話そうか」

日向「先ずは、自己紹介からだな。俺は日向創」

大門「大門大」

こまる「苗木こまる、です」

狛枝「キミたちには召使いさんだったはずだけど……狛枝凪斗。改めてよろしくね」

大門「知ってる」

こまる「モナカちゃんがそういってたって言子ちゃん越しに伝わってたみたいで、私も彼らと連絡取った時に知ったかな……」そわそわ

狛枝「そういえば、腐川さんが居ないね?ケンカでもした?また?あの時結構友情深まったてきなシーンだったけど?」

こまる「ち、違うよ?!確かにおいて出てきちゃったけど……」

日向「すまん、腐川は俺が倒した」

こまる「?!」

狛枝「……何してるの」

日向「いや、これからする話をちょっと認めてもらえないかなと思って
  ……外部への発信を行ってる場所に未来機関の残留者がいるはずと思って向かったんだけど、攻撃しかけられたからそのまま無力化してきた」

狛枝「断られるに決まっている内容だとおもうんだけど」

日向「少しは通じるかなと思ったんだけどな……あ、気絶してるだけだから大丈夫。一応後遺症残ったりしない感じなのは確かめてきたぞ」

こまる「冬子ちゃんが攻撃しかけるような話って、何……?」

日向「交渉の結果次第ではあるけど……大門だったな。お前と、お前の仲間たち、俺達と一緒にこの船に乗っていかないか?」

大門「? なんで」

日向「今この船で活動しているのは、俺を含め絶望の残党と言われている連中だ」

こまる「えぇっ?!モノクマ野放しにせず倒してたりしたのに!?」

日向「別に、絶望として世界を滅茶苦茶にしたいわけじゃない。むしろ、逆だ。自分たちが滅茶苦茶にしてきたものを少しでも戻す事を目的としている」

狛枝「そ、だから今回はボクがかかわったこの塔和シティーにきたってわけ」

大門「召使いのためにオトナを見逃せってことなら、嫌だ」

日向「そういう事じゃないさ……お前は、自分のやったこと全部、後悔していないって言えるか?」

大門「……」

日向「俺や、俺達は……以前は間違いなく、世界を絶望に落とすことにためらいが無かった。
  でも、今は……そうだな、許されなくても仕方ないってわかってながら、償わないと気が済まない。そういう感じだ
  お前は、そういうことを感じたことはあるか?」

大門「……後悔は、してると思う」

日向「そうか。絶対に許されないのも、わかっているな?」

大門「……うん。けど、今でもオトナは嫌いだ。オレっちだけじゃない。希望の戦士は、みんな」

日向「そういうの全部忘れてなかったことにできるとして……それで済むとおもうか?」

大門「済まない……許されないし、大事な事だけ忘れて平気でいるのは、嫌だ」ぎゅっ

日向「だよな。だったら、俺達と同じだ。覚えているために、自分が許されなくてもやった事の分誰かを助けていく。そういうことを一緒にしていかないか?」

大門「……オレっちじゃ、答えるの無理だ……新月や、言子ちゃんや、蛇太郎にもきかねーと……それに、まだやってないこともたくさんあるし」

こまる「……えっと、聞いていいかな?」

日向「?」

こまる「……少なくとも新月君とやりとりしてるとき、あなたたちはまだ大人を許してないっていうのは伝わってるの
  でも、なんか……後悔してることがあるんだよね?それって、なんで?どういうこと?」

大門「みんなはどうかわかんないけど、オレっちは……仲間にしたみんな、モノクマキッズのみんなに謝りたいし許されないと思ってる」

狛枝「へぇ……以外だな。キミは希望の戦士の中では一番楽観的だと思ってたけど」

大門「バカにすんなよ?!オレっちはな、オレっちは……みんなを助けられると思ってたんだ!
  オトナがいなくなればコドモは自由で、特に家族なんて言ってみんなを怒ったりいじめる、親って連中が一番いちゃいけないと思ってて……!!
  ……でも」

日向「洗脳用のヘッドを外したら、そいつらはそう思ってくれなかったんだな?」

大門「……ああ……なにしたか覚えてないやつらが『パパは?ママは?』って、聞くんだ……もういないって言うと、泣くんだ……!!」

  ぐっ
大門「だから……間違ったのは、わかってる……」

日向「そうか。それなら、俺はお前がここに来て欲しいし、歓迎する」

大門「……けど、そうするなら今街にいるやつらぜんいんなんとかしねーと。許してくれなさそうだからって、ほっといていくのは嫌だ」

日向「手伝うさ。というか、大人も子供も今後未来機関の手が入る以上保護のための基盤整えなきゃどうしようもならないからな」

こまる「あっ、えっと」

日向「?」

こまる「今、外の方って落ち着いてきてるんですか……?その、お兄ちゃんに、絶望とかそのあたりのこと全部済ませたら来てって言ってて」

狛枝「そこそこ活動もしてるけど、特に大きな活動をしてたボク達がおちついてるからもうかなり下火って言っていいと思うよ」

こまる「……ええと、でもそれならまだ時間はかかるんですね」

日向「ああ。けど正直俺たちがここに来たのは腐川が起きれば未来機関に伝わるし、そうなれば未来機関の部隊が派遣されてくるはずだからな」

こまる「ええっ?!そ、それはちょっと困るよ?!」

日向「ああ、そっか。大門たちを動かしてた黒幕はここを戦場にするつもりで未来機関や絶望の残党を呼び寄せる気だったんだっけ」

こまる「そうだよ!だからそういうことにならないためにも、外の事が落ち着くまで結論出さないようにして……」

日向「……それは、子供たちが絶望としての振る舞いをやめて、暴徒もひとまとめにしてすぐ保護できるようにすれば問題なくなるよな?」

こまる「……できるの?」

日向「ちょっと無茶するけどできる」

狛枝「いいの?」

日向「というか、手を付けたんだからやらざるを得ないだろ
  ……それに、数は減っているようだけどモノクマの製造自体は止まっていないらしいのがさっきの集まり具合でもわかるしな。
  工場を止めて、罪木が見つけたようなまだモノクマヘッドをつけられている子供からそれを外して、暴徒化してる大人は止める。こんなとこか」

大門「……むぅぅ」

日向「ああいうのが活動して街を滅茶苦茶にし続けたら、大人も子供も関係なく全滅するのは判るよな?」

大門「……ああ。でもそれ止めるの新月や言子ちゃんは許すかな……オレっちはもうそれでもいいけどさ」

  ドンドン

狛枝「はい?」ガチャ

弐大「おお、やはりここじゃったか!うろうろしていた子供がいたから連れてきたぞ!」

新月「はなせっ はなせぇっ!!」じたばた

大門「新月!? 新月をはなせー!!!」

弐大「む?おお、さっき追いかけられてた方か。なんじゃ?おまえもかかえられたいのか?よっと」がしっ

大門「うわああああああーーーー!!!!」じたばた

こまる「モノクマも投げてたけど……子供とはいえ二人小脇に抱えられるなんて力持ちだね」

狛枝「力持ちなのは間違ってないけどね……やあ、久しぶり」

新月「」キッ

狛枝「やだなぁ、そんなに睨まないでよ。……日向クン、警戒心解くコツとかない?」

日向「狛枝は会議室から出てくれ。多分そいつにはそれが一番安心できるんじゃないかと思う あと、弐大もだな」

弐大「ワシもか」

日向「問答無用で抱えられて驚いたり怖がったりしない方が不思議だろ?」

弐大「むぅ……では仕方ない」

狛枝「じゃあボクはまた街中の探索に戻るね」

日向「ああ、頼んだ」

弐大「よーし、じゃあ日向の話をきくんじゃぞ!」 そっ

新月「……っ」すとん

大門「うわ」すとん

(やはり一週間は無理だったようです)
(勢いで行くというのは決めてあるので短期で終わらせる予定のままですがたぶんまだちょっとかかります)

新月「……」

日向「えーっと……そうだな、もっかい説明が必要か」

こまる「あっ、その時に何があったかとかも詳しくお願いします!」

狛枝「ふふふっ、ガンバってね。ま、キミなら大丈夫だと思うけど」

弐大「ワシらの得意分野ではないからのう。任せたぞ!」



狛枝「さてと……ボクはさっき言ったように街中の探索に戻るけど、キミはどうするの?」

弐大「待機の予定じゃが、ああいったものがまた出てくるかもしれんなら随伴したほうが良いか?」

狛枝「そうだね……でも終里さん見て制御できるのもキミか日向クンぐらいでしょ?花村クンでもいいけど維持食材馬鹿にならないし」

弐大「その方が常に全力出させることもできるんじゃが……ふむ」

終里「ん?おー、オッサンと狛枝か!ガキ連れてきたんだよな?今どうしてるんだ?」

弐大「日向による説明と説得中じゃ」

狛枝「気になるの?」

終里「まあな。きょうだい多かったし、ガキの面倒見るの嫌いじゃねえんだ♪お前と一緒に来たやつも元気そうだし遊びがいありそうだよな!」

弐大「そうなるためにも、まずは日向に任せるんじゃぞ」

終里「わかってるって!あ、そうだ。オレちょっと左右田の手伝い行ってくるから、オッサン誰かに呼ばれるまで待っててくれってソニアが」

弐大「無っ?大丈夫なのか、お前一人でというと若干不安なんじゃが」

終里「人が全員そろいきってるわけじゃねえし、平気だって!……それに、無茶したりしねぇよ」

狛枝「左右田クン、何かあったの?」

終里「なーんかなー、モノクマの工場がなんとかって……まあいいか!細かいことは西園寺に聞きゃいいぞ!
  ソニアは忙しいみたいだし、小泉も弱ってる方のガキみてるから前に何があったかって言うのは西園寺がまとめるから!」

弐大「もうハラは満ちたか?」

終里「おう!あ、でも途中でなんかあった時用って今花村が弁当もつくってくれたぜ!左右田と合流してから食えってさ!」

狛枝(その前に食べちゃいそうだね)

弐大(メシの我慢が効くかのう……)

終里「んじゃ、ちょっと行ってくる!オッサンはここの事たのんだぜ!」ブンブン  タタタタタッ

弐大「ふむ……」

狛枝「頼まれちゃったね……じゃあ、何かあるまで待機しててよ。ボクはボクでなんとかするからさ」

弐大「そうするか。一応、西園寺に何があったかも聞いておくか……人手が必要そうなら出ればいいじゃろ」

―廃マンション


言子「……」

言子(……様子を見に行く、と言って出た新月君が戻ってきませんね……爆発音等は聞こえてましたから一方的に負けたわけではないと思うのですが)

言子(彼らに何かあった場合、指揮を行うのはわたしになりますけど……こうなっては大人に対抗するよりも手を取った方がよいかもしれませんね)

言子(……日常を非日常にする術なら、ジュンコおねえちゃんからよくよく教わっていますもの。ええ、大人への逆襲はそこから始めればいい)

言子「……汽笛……この島に留まった船でしょうか……?でしたら、きっと未来機関の方々ですよね……」

言子(それだったら、大人に虐められてた子供の一人として大人を避けて媚を売れば保護してもらえそうですし、ここのみんなも引き取ってもらえる)

言子(ウソの内容を考える必要はありますけど、沢山お芝居してたくさんの台本を読んできましたもの。今から考えれば……)

言子(けど、そうなると蛇太郎くんは邪魔になりますね……きっと彼だけは納得しないしつくろう事も出来ない……いっそ……)

言子「――っ」ふるふる  ぺしぺしっ!

言子「んっ  状況を確認しなければいけませんね」


コンコン

言子「失礼します」

蛇太郎「うん?なぁに、言子ちゃん」

言子「……新月君たちが戻ってきていませんので様子を見に行きます。夜までに戻ってこなければそのままあなたが子供たちの事を引き継いでください」

蛇太郎「ボクちんはムリだよ」

言子「でしょうね。ですから何としてでも戻ってきます。入れ違いになったようだったらその旨を大門くんや新月君に伝えてください」

蛇太郎「わかった」コクリ

  チャプッ  ギュッ ギュ   ふきふき

「うう……ぅ」

蛇太郎「お湯ないから、ごめんね」ふきふき

「のどかわいたよぉ…」

蛇太郎「うん、ちょっとまってて」

言子「……いってきます」

言子(……みんなの記憶の中にない顔の蛇太郎くんだけが、誰からも拒否されずに相手に触れるって言うのもものすごい皮肉ですね)

言子(とはいえ、わたしたちの事をちゃんと覚えてる子も殆どいませんけど……ヘッドを外したら本当にお友達いなくなっちゃいました)ハァ

言子(野良モノクマはよほどのことがなければオトナたちが壊していますし、
  自分で動ける子たちは新月くんが秘密の出入り口の場所を教えていますから今いるのは動けない子ばかり)

言子(……なのに、弱っていても自分に命令をしていたわたしたちの事を何となく拒否する)

言子(ご飯をもらわなくては、体を拭いてもらわなくては、何もできない状態なのに、それでも……)

言子(けど、見捨てては汚いオトナたちとおなじになってしまいますからね。できる限りは保護しないと)

 コツン コツン コツン

言子「……この棟からみるかぎりでは……うーん……やっぱり結構遠くに行っちゃっているみたいですね?」

言子「屋上からならちょっとは……」


  キィ
     ヒュオォォォォォ
            カァー カァー!!


言子「……鳥が多いですねぇ  ま、汚いもののお掃除をしてくれますから歓迎ですけど……うーん……あっ」

言子(船、ちゃんと来てますね……それに、モノクマ達が倒れてるのも何となく見えますし……)

言子「うーん」ゴシゴシ

言子「……もしかしたら、大門くんも新月くんも船の人たちにつかまっちゃったかもしれませんね?
  その場合でもどんな方々かは調べる必要がありますしー……彼らがどうなったか、どうしているかはやっぱり自分の足で見に行かなきゃですね」

   カァー  カァー

言子(にしても)

言子(普段は好き勝手にケンカしたり飛び回ってる鳥たちが今日はなんだか探し物をしてるみたい)

言子(見慣れないものが来てそわそわしてるんでしょうかね?)

言子(やはり、自分の足で動かねばいけませんか……意識すべきは様子見、情報取得のヒット&アウェイ)

言子(深入りすれば絡めとられるなんてことは山ほどありましたから、そうならないようにするのが基本ですよね)




てってってってっ

        そろーり

言子(……このあたりには見かけない人はいないみたいですけど……)

灰慈「……」フラァ

「オラァ!!出てこい!!」  ガンッ!!  ガンッ!!

言子(……先を急いだ方がよさそうですね。まだ下水道に立てこもっていると思っているというのは後で改めてみんなと共有しましょう)





「どうする?ちかづいてみるか?」

「いや、けどなあ……表通りでモノクマ達を倒した人達とあの子が入って行ってたし出てきてからでも」

言子(直線距離ではなく少し膨らむようにして移動していますけど……やはり移動距離が長くなる分オトナを見かけますけど
  ……オトナたちもアレにどう対処すべきか迷っているみたいですわね……ん?)

澪田「ぅぃっすー  どもどもー♪」

言子(あの人は見たことありませんわね  身なりも今いる大人たちより若干整っていますし……)じっ

「アンタは?」

澪田「アレに乗ってきたっす!母体とかそういうのがない有志のボランティアみたいなもんでー、今生活基盤とか危うい人達がまとまるおてつだいとかしてるっす!
  で、なんかここかなり落ち着いてたはずなのに事件が起こったって聞いてきたんすけど……今は割と人まとまってる感じっすかね?未来機関の救助待ち?」

「……未来機関なんか信用ならない」

「だから君たちも有志での活動をしているんじゃないか?」

澪田「うーん……絶望にかかわったやつは殲滅!って派閥と過去に利用された人も保護しようって派閥があったりするらしいけど
  現状まっとうに人の救助に動ける組織が未来機関しかないんすよねー。だから頼った方がお得だとおもうよ?
  唯吹たちはあそこに入る気はないけどお手伝いしようって感じっす!組織に入るとフリーな行動ができないからそれは避けてるって思うといいよ!」

言子(……なるほど)

澪田「そんで今おにーさんたちをまとめてる人とかいるのここ?」

「いや……」

澪田「うーん……んじゃああくまで小康状態なだけって感じ?」

「そうだな、以前はオトナとコドモで別れてたんだが……オトナのリーダーだった灰慈さんがな……」

「完全に理性失ったような状態の連中と、まだ何とかしようとしてる連中の温度差もあってそれぞれが緩く連絡取りあいながら生きてる感じだ」

澪田「そっかそっかー……暴徒っぽい感じの人だったら止めなきゃなーって思ってたけど唯吹の第一発見町人がお兄さんたちで助かったっす!
   あ、他に話通じそうな人とお話ししたいけど連絡取れる?その人たちと話してみてから暴徒っぽい感じの人の対処しようと思ってるんだけど」

「大丈夫なのか?」

澪田「フフーン  唯吹たちの戦力には戦闘も余裕な人らが山ほどいるっすからねー!
  あ、表通りのロボとかもここであった子の協力有りつつだけど唯吹たちがやっつけたんだよ!褒めて!唯吹じゃなくて仲間がしたけど!!」

言子(……ふむふむ  つまり、あの方々はここの状況をよくするために来たと その上で未来機関ではない……となると
  モナカちゃんの思惑だった、ここでの惨劇に反応して未来機関と暴徒となった方々の戦争という事態には発展しないという事ですね)

言子(生半可な方々なら暴徒と化したほうのオトナたちのエジキでしたけれど……モノクマを倒せる程度ならいまだに冷静になって無かったり、
  破壊衝動を私たちを言い訳に発散してるようなオトナの相手位は可能でしょうから抑えることももしかしたらちょっとだけできるかもしれませんね?)

言子(……大門くんたちがどうなったかもしりたいのですけれど……それもぽろっといってくれないでしょうか?)そわそわ

「じゃあ先ずは浩子さんからかな」

「コドモたちの餌食になってる人たちを見つけたら集めるようにって言ってくれてた人がいるんだ。
 何人かは回収できて、今連絡取ったりなんだりしているし……そうだな、暴徒化した人への対処ができる警察さんとかもいる」

澪田「ケーサツっすか」

「そうだ、君たちに機械に詳しいやついないか?浩子さん含めて外に出ないように爆弾つけられてる人がいるんだ。
  それ外さないと彼らは避難したくても……」

澪田「うーん、いまちょいとここが機械とかそういうのでゆうめいだったからって調べに出てる子がいるんすよー。
  その子ならむっちゃ詳しいはず……まあ、和一ちゃんがなんかあってもなんとかはできるっすけど……ま、まずはそっち連れてって欲しいっす」

「わかった」

澪田「おっとそのまえに……  あ、ソニアちゃん!協力的な人見つけたからその人たちについてくっすね!  よし、連絡入れたしいこっか!」

言子(……むう……いえ、しかし有用な言葉も聞こえた気がしますよ?)

言子(……ジュンコおねえちゃんがたくさんの召使いさんを持っていたのは、聞いていますし知っています
  あの方が言った名前どっちも、ジュンコおねえちゃんの召使いさんの名前としてききおぼえありますよ?)

言子(少し避難して思考をまとめましょうか)



言子「ふぅ……この部屋なら人もきていないようですし、大通りなら確認できますね」

言子「さて……今ここにきている中に、召使いさん……狛枝さんがいらしてるのは確実。追いかけられてるのを新月くんと確認しましたものね」

言子「そして、召使いさんと一緒に来た方々の中にジュンコおねえちゃんの召使いさんが混じっている
  ……けど、イブキさんでしたっけ?彼女の様子を見るに嘘をついている感じはないんですよねぇ……モノクマ達も破壊していましたし」

言子「オトナ達をだますつもりか、オトナ達を取り込むつもりか
  ……ジュンコおねえちゃんを裏切って、希望の側についたか……何が目的にしてもわたしが彼らの下に足を運ぶのは悪手ですね」

言子「戻って、蛇太郎くんに彼らと話させた方がよさそうですね
  わたしたちがジュンコおねえちゃんの事が大好きだとわかれば、お姉ちゃんの召使いさん達ならわたしたちのなかまをしてくれるはず
  ……そうじゃなかったら、蛇太郎くんにならわかっちゃいますから、その時不意を打てばいいだけの話です」

言子「ああでも……未来機関じゃなくとももし保護してくれそうなら最初に考えた通り被害者を装うこともできますね?」

言子(結局のところ来訪者の出方しだいですか。面白くないです)

言子(ただ、どちらにしても蛇太郎くんを矢面に立たせたほうが良さげですし、そうしましょう)

言子(大門くんや新月くんも、イブキさんの話が本当であれば生きてるでしょうし
  どんな話をしたにせよ、蛇太郎くんがどう思うかはわたしたちが相手をどう扱うかの判断材料にはなるでしょうから)



―船内会議室

日向「……ってわけでだ。主に超高校級の絶望と呼ばれていた連中は、バグを利用して記憶を保持したまま起こされて
  今は過去の記憶を全部持ったまんま絶望の価値観が修正されてるってことになる。
  例外は俺と御手洗……途中でモノクマヘッドの解析結果もってきたやつだな」

新月「……」

大門「……」

こまる「……」

日向「あー、えっと  さすがに相槌とか反応欲しい所なんだが」

新月「色々と吹っ飛びすぎていてな……けど、クロクマにジュンコおねえちゃんが入ってたというのは若干納得しないところが無いわけじゃない。
  あれだけ求めていたお姉ちゃんに気づかなかったというのは本当に不覚だけどな……モナカちゃんや蛇太郎が波長合ってる時点で気づくべきだったか」

日向「より正確には、江ノ島アルターエゴをモノクマ用AIとして転用してたって感じだけどな。
  AIチップに分割されてた両方を使用しないと正式な江ノ島アルターエゴとしては機能しなかったし、
  統合前はキャラクターが完全にシロクマとクロクマで分割されてたからそのとき気づかないのもまあしょうがないさ」

大門「なんかこんがらがってきた」

こまる「私も……」

日向「と、とりあえず江ノ島が自分のコピー作ろうとしててそのコピーが俺達を殺し合わせたって点だけ抑えてくれればいいさ」

こまる「えっと、その影響でこの船の人達が絶望じゃなくなったのはわかったよ。一応」

日向「あー、まあ……けど新月や大門に仲間になってほしいって言った時の事も事実でさ。過去の事を忘れたわけじゃないし、
  全員その時の事を自分がやった事って自覚もあるんだよ。だから周囲から絶望の残党として見られるのは否定しない」

大門「お前とさっきのがちがうっていうのは?」

日向「……俺の場合は、人格をいじった奴が江ノ島じゃなくて希望ヶ峰学園で……絶望してたんじゃなくて、何にも興味が持てなかったんだ
  新世界プログラムで過去の人格が再構成されて、それを引き継いで起きれてるって点で、今こうしていられる仕組みは皆と同じなんだけど」

新月「……じゃあジュンコおねえちゃんとは関係なかったのか?」

日向「いや、絶望が予測がつかなくて面白いぞって勧誘されてそれで手を組んでた」

こまる「それって、洗脳されてないのに自分から手を組んだってことで他の人よりもっとひどくないですか?」

日向「だよなぁ  その時はとにかく何もかもがつまらなくて何でもできることがわかっててで予想外の事っていうのがすごく気になってしまってさ
  けど、それはそれとして俺がそのとき江ノ島と手を組むことをえらんだのは事実だし、その結果してきた事が酷いことも理解はしているつもりだ」

こまる「……」むぅ

日向「開き直っているように見えるか?」

こまる「……開き直ってたらこの子達にさっきの話してないと思うけど……けど」

日向「そうだな、自分たちで整理つけきってるから普通の状態すぎるように見えるだろうな」

新月「……大門、どう思う?」

大門「日向の兄ちゃんがずっとオレっちたちとおなじようなことかんがえてるのはきいてたし、なんかが違ってもそこは同じならいい」

日向「そうか。御手洗も経緯は違うけどそこは同じだから安心してくれ。
  御手洗は、皆を洗脳映像の作成者だ。御手洗の技術を使って江ノ島が作った、っていうべきなんだが、あいつはそのこと全部まとめて自分の罪だと思っている」

日向「脅しによって江ノ島に能力を提供した過去を、未来機関の一員として人の役に立つことで償おうとしていたんだ……していたんだけどな
  その過程で作った絶望消去映像に目をつけられて未来機関内で殺害沙汰を起こされてしまって精神的に限界を迎えたとこを保護した。
  お前が苗木と連絡を取った時に起こっていたコロシアイがそれだな」

こまる「えぇっ……でも、あれ私は見せてもらってないけど絶望の残党の仕業って……あっ、かかわってるならあなたたちってことだよね?!」

日向「ああ、未来機関内でそういう事があっているって言うのは情報として流れてたし、それを何とかするために俺たちがしたことだって言う映像流したな。
  苗木が来た時にでも聞けば分かるけど、あれは未来機関内での内輪争いというか……御手洗に才能使わせるために仕組まれたことというか」

こまる「……勝つのは誰かの希望って、そういうことだったんだ」

新月「モナカちゃんが関ってるかもしれない事があるから探してるって言って情報提供求めてきてたな、そういえば」

こまる「うん、かかわってたのは事実だったんだけどね」

大門「そのあと宇宙に行ったとかなんとかいわれて完全にだまされたんだろうなってなったよな」

新月「モナカちゃんならやりかねないのと流石に無理だろうが両方全員の心に配分は違えど存在していたからな……」

日向「新月はどう思ったんだ?」

新月「やりかねない6割、嘘だろう4割」

大門「えっ?新月そんなに信じたのかよ!オレっちとか7割ウソだと思ったぞ?!」

新月「言子ちゃんも嘘だろうなって思った方だろうな……多分一番事実だと素直に受け止めてたのは蛇太郎だろうし」

大門「あいつはわかんねーからなー……信じてそうだったか?」

新月「『モナカちゃんならやるよねぇ。気温の変化で凍ってたり燃料不足で流れ星になってたらいいなあ』って言ってたから小突いといた」

大門「流れ星になってほしい気持ちはわかる」

新月「ダメだからな、ちゃんと見つけて謝らせないと」

こまる「い、一応友達だったんでしょ?ね?」

大門「友達でも嫌な事されたらそれなりの目にあわせたいだろ?!」

日向「まあな。けどやっぱりそれはちゃんと会ってケンカしとくべきだろ?どっかで勝手に死んでたってのはすっきりしないもんだしな」

大門「……んー?そうかー?……そうかもなー」

新月(……しかしまずいな。僕もだけど、かなりここにいていいかもという思考になりつつある
  手を打ってくれるみたいだし、それ自体は受け入れた方がいいだろうけど……だけど)

日向「まあ、とりあえずこっちの状況も話したしそろそろお前たちの意見を聞きたいんだが」

新月「……大人と子供のじょうきょうをなんとかするというのは、受け入れたい。僕達は現状、これ以上のオトナへの報復は望めない段階にある。
  報復を続けるにしろ、やめるにしろ、いまの街の状況を何とかすべきなのは変わりがないだろう。子供の重傷者の面倒もあるしな」

こまる「重傷者?あんまり聞いたことないんだけど?  あ、私も何とかしてくれるなら賛成!」

日向「そうか、そういってくれると信じてたよ。  そのあたりの事は他の面々に振り分けるとして、俺は大門や新月の仲間と話がしたい
  大門は皆が来るというならって言ってたし、新月もそんな感じだろ?」

新月「そうだな。特に感情的な言子ちゃんや蛇太郎がどう思うかは割と大事だと思う。
  すくなくとも彼らが不快に思うようなら、僕がいくら利点を考えてついて行ってもいずれ合わなくなるだろうしな」

――地下工場関係者用通用口


左右田「……」はぁー……

終里「おーい!!おっ、案外見つけやすいとこにいたな!どうしたんだ?」

左右田「終里か!良かった!ここがモノクマの生産工場の、オレが知ってる出入り口の一つなんだけど……ちっとシステムが暴走してるみたいなんだよ」

終里「あー、よくわかんねえけどぶっ壊せばいいやつだろ?」

左右田「そうなる。目的の機械に数発ぶっこんでくれればいいんだが……未来機関施設に乗り込んだ時並みにそこに行くまでのザコ戦が多くなる」

終里「マジかよ。そんならやっぱ花村かオッサン連れてきたほうが良かったか?」

左右田「この入口からならそこまで遠くねえし、お前とオレで十分だとおもうぜ?  メシくってきたよな?」

終里「弁当もあるぞ!」

左右田「よくここに来るまで持ったな」

終里「弁当箱が鍵かかってんだよ。左右田ならなんとかできるだろ?開けろ」どしっ

左右田「あ?自分で壊して食えばいいんじゃ……これ爆弾じゃねーか!?」

終里「左右田が作ったから左右田なら開けられる  ってメモ入ってたぜ?」

左右田「たしかに『食料を守るために無理矢理開けたら爆発する鍵つくって』って頼まれて作ったけど、味方用かよ!」

終里「ちゃんと左右田の役に立つタイミングで食べてくれって言われてさー
  それでもハラ減ったらしょうがねーじゃんと思って途中で開けたら鍵かかってんだぜ?ひでーよなー」

左右田「花村もオメーの扱いに慣れてるというか慣れざるを得なかったというか……お疲れ様だな
  んじゃ、開けてやるよ。喰ったら地下工場攻略戦開始な!」

終里「おう!まかせとけって!」

~数分後~

終里「よっしゃ!ごちそーさまでしたっと!」

左右田(開ける時間の半分もかからず食い切りやがった!!)

終里「んで?どうすんだ?ここあけりゃいいのか?!」

左右田「おう。オレが開けるから合図するまではいるなよ  ちょっと下がってな」

終里「ん」

   ピッ  ポポッ ポーン

『認識しました』

左右田「んじゃ、開けるか」

            ギィィィィ  ぴたっ

終里「ん?なんか中途半端にしかあけてないけど?」

モノクマ「がおー!!」 ぽててててて ガッ!!

終里「お、おお?!!いきなりだな!?」

左右田「一度入った時追ってこられたから出待ちしてると思ってな。ちょっとだけあけて止めちまえば一体づつ処理できるって寸法よ!
  んじゃ、終里!引っかかった奴をどんどんぶったおしてくれ!!」

終里「なるほどなー  左右田はセコイな!!」 バキッ

モノクマ「ヤーラーレーター」  ドォン!!

左右田「なんだよ!戦いやすくしてやってるんじゃねえかよ?!」

終里「オレじゃ思いっきり突っ込んでいくしか思いつかねーからな!こんなせこいこと考えるなんてさすがだぜ!」ガンッ   ドォン

左右田「褒め言葉?!それ褒め言葉のつもりかよ?!もっと別のなんかあるだろなんかが!!」

終里「近くに居るの割と少ないみたいだ  なっ!!」 ズゴッ!!   ドォン!!

左右田「改めて拳で機械ぶっ壊すのむちゃくちゃだよな……ていうかよく抵抗なくできるな?」

終里「こっちに来る前にもやったからな」

左右田「マジかよ、また別にモノクマ退治してたのか」

終里「それ以外にも、でっかいのが来てて面白かったぜ!」 ガンッ!!   ドォン!!!!

左右田「なんだよそれ!オレも見たかった!!」

終里「工場だしここにもあるんじゃねーか?  っと  最後ぉ!!!」    ドゴッ!!!  ボォン!!

左右田「どれどれ……よし、行けそうだな。できるだけ隠れていくんだぞ」

終里「えー?めんどくせーな。一気にぶっ壊せばいいだろ?」

左右田「いやいやいや、今も工場動いててどんどん出てくるんだからな?川の水を延々相手にするような事はしねえっての」


  ザッ   スタタタタタタッ


終里「……クン」

左右田「どうした?」

終里「……くせぇな……外もかなりだったけど、まだマシだったぞ?」

左右田「ここには肉をもってくような動物が来ねえからな。腐るばっかりだ」

終里「チッ、これじゃあハナで何とかしようとすんのはムリだな。耳の方が大事みてえだ」

左右田「おう、音の異常は任せたぜ。とりあえずこっちだ。見張ってるモノクマが別の方向いた時に突っ切るぞ   いまだ!」

      ダッ   タタタタタッ

終里「向こうに見えるのはどうする?!」

左右田「ぶっ飛ばせ!こっちに気づく前にだ!」

終里「わかった!」  ダダッ   ダンッ!!
                            バキッ!!!            ドォン!!

終里「っしゃ!」

左右田「よーし、いったん止まれ!進むのはもっかい周囲を見てからだ!」

終里「なあ、オレ達むっちゃ声あげてるけど、音は気にしなくていいのか?」

左右田「一旦入った時に確認したんだが、集音センサーはあまり上手く働いてないみたいだな……素材不足じゃねーかな?止まっているラインもあるし」

とても間が空いてしまいすみません
今日~明日にかけてゆっくり投下します

終里「……!!」

左右田「どうした?」

終里「あっちから人の声が聞こえたぞ!」

左右田「マジか。生き残りが調査してるって事か?  ……そんじゃあそっちに行った方がいいかもな」

終里「機械止めるのはどうすんだ?」

左右田「まあまあ、任せとけ  あっちだな?」




石丸「仲島くん、そっちをたのむ」

仲島「はーい!!  コワレロ!!」  バチッ  ドォン!!!!

 ポテポテポテポテ

     パァン!!!
            バチチッ   ドォン!!!!!!

石丸「バリケードを作って封じ込めていたが、やはり作られ続けている以上限度があるな」

仲島「工場の中を調べたら腕輪を外せるかもとおもったけど……うまくいかないなぁ……んっ?」

  ジャキッ

石丸「誰だ」

左右田「うわ!!武装してる?!終里武器の気配があるなら言えよ!!」

終里「火薬のにおいなんてわかんねーよ。ハナ効かねえっていっただろー?」

石丸「……何者だ?」

左右田「外部から救助と調査に来た感じの有志グループです!!」

終里「えーっと、なんだ?未来機関とは別口っつーか、未来機関が動けない分勝手に動くとかなんとかそういう感じだったよな?ボランティア?」

左右田「そうそれ!」

石丸「……」

仲島「えっと……そっち側、モノクマすっごいいっぱいいるんじゃなかった?」

終里「おう!ちゃんとぶっ壊しながら来たぞ!」

仲島「……素手だよね?」

終里「おう!モノなげて壊せばいける!」

石丸「……何者だ?名乗れ」

左右田「左右田和一です!!」

終里「終里赤音だ。オッサンとそこの金髪は?」

仲島「仲島花音。私とこっちの石丸さんは、この爆弾のついてる腕輪のせいで外に出れないから、コレの手がかり探してここに来てたの」

石丸「石丸高秋、元警官だ」

左右田「あぁー どうりで武装がしっかりしていらっしゃる上視線がお鋭い……」

終里「生き残りがいたらソニアに連絡だったよな?」

左右田「あ、ああ  すんません、一緒に来てる人に連絡しても……?」

石丸「……かまわない。が、このあたりは電波が届きづらいはずだ」

仲島「地下だしね」

左右田「まずは試しておくか   あ!つながった!!さすが俺の作った通信機!!!
  ソニアさん聞こえますか!地下で生存者と遭遇しました!え?敵意…?えっと……警戒はされてると思います」

仲島「……石丸さん、この人達どう思う?」ヒソヒソ

石丸「……双方名前は知っている、呼びかけで聞こえた名前にも聞き覚えはある」

仲島「じゃあ、大丈夫な人?」

石丸「……話を聞いてみるしかない」コソコソ

終里「左右田はソニアの声しか聴いてねえけどオレには聞こえてっぞー?」

仲島「?!」

終里「オレ達がこっちに来たのもオレが人の声聞こえたと思ったからだからな」

石丸「なら、きいてもいいな?  お前たちは希望ヶ峰学園の生徒の名を名乗った。
  だが、希望ヶ峰学園はテロの対象となり殆どの生徒が殺害されている。生き残ったのは……私の息子を含めた1クラスだけのはずだが?」

終里「ん?そりゃー……」

左右田「そん時命からがら逃げ延びたからに決まってるだろ!!!っつーわけでだ!その才能を活かすつもりでこういう活動をしてます!!」

仲島「……元希望ヶ峰学園の人って、だいたい未来機関にいるんじゃなかったっけ?」

左右田「……そ、ソニアさん……はい、すみません。説明お願いします」スッ

石丸「……いいのか?」

左右田「オレや終里が説明するよりも納得いただけると思うので……あ、ココおしたらスピーカーモードになりますんでそれで」ポチッ

ソニア『ええと、こちらからの声はそこにいる皆さんに聞こえる状態になっているという事でよろしいでしょうか?』

仲島「わ、きれいな声」

ソニア『おほめにあずかり光栄です。  はじめまして、私はソニアと申します。左右田さんや終里さんと同じく、希望ヶ峰学園の生徒だった者です』

仲島「仲島花音、女子高生です!」

石丸「石丸高秋、元警官……それで?希望ヶ峰学園の生徒は当時通っていた人物はほぼ死亡、OBや生き残りは未来機関に所属しているという認識だったが」

ソニア『わたくしたちは、生き延びた際に"超高校級の絶望"の手に落ちていたんです。
  未来機関は絶望排除思考勢力が強いので、いくら今の私たちが自由意思をもっていても残党として処分するという判断を下すでしょう。
  ですので、そうならない自衛のために未来機関とは少々距離を置いて、別視点の有志として活動しているんです』

仲島「……葉隠はそんな感じに見えなかったけど」

ソニア『組織である以上、一人一人の思考や性質はまた違いますから……ええと、これで疑問は解消できましたか?』

石丸「おおよそは」

ソニア『なら、よかったです。左右田さん、終里さん、一区切り付き次第彼らを安全なところに避難させてくださいね。他の方の連絡を受け取るため切ります』

左右田「お任せください!!」

仲島「あっ!工場に来た理由は?」

左右田「ん、それはオレが。ラインをみて心臓部止めたら危険なモノクマの製造を止められると思ってな。
  つーか絶望側に居た時に監修させられたからどこを壊せば全体が止まってくれるかは大体わかるぜ」

仲島「工場を止めるのが目的か……中の探索が目的だし、一度機械止めたかったんだよね 渡りに船かな?」

左右田「あー、一区切りついてからでいいならそっちもオレが見る。多分オレか日向に回る案件だろうし」

終里「そっち?」

左右田「そっちの目的の……腕輪な。仕組みによっちゃ苦労するかもしんねえけど」

石丸「……」ジッ

左右田「ヒッ ま、また視線が鋭くなっていませんか?!」

石丸「元々だ」

左右田「……終里……サクッと行くぞ!!」

終里「おう!弁当がハラに残ってるうちでなきゃ力でねえからな!」

石丸「……仲島くん、そんなに私は目つきが悪いか?」

仲島「えっ  うん。最初ヤクザさんかなって思ったぐらいには」

石丸「……そうか」しゅん

仲島「警察なら威厳があっていいんじゃないですか?    あ、モノクマ退治は私にもまかせて!効くやつもってるから!!」





――廃マンション

 ウウ
          うぅぅぅぅ
                                        グス グス
    ぐすっ                  いたいよぉ


蛇太郎「……」ぎゅっ ポタポタ

蛇太郎「汗、ふこうね」ふきふき

「……おねえちゃん」

蛇太郎「おにいちゃんだけど」

「……パパたちとあいたい……」

蛇太郎「君たちのパパもママももういないよ」ふきふき

「グス グスッ」

蛇太郎「……ごはんとってくるから、まっててね」


  ゴソゴソ
蛇太郎「えーっと  ダイエット用のたべものがあと3箱と……保存のきくのはもっとあとにして……でもこの部屋に置いてる食べ物の箱も結構少なくなっちゃった」

蛇太郎「……ぐちゃぐちゃのバキバキで、血しぶきになって死ぬんだって思ってたのに、ゴハンたべらんなくってひょろひょろになってカピカピに枯れて死んじゃうかも」

蛇太郎「…………みんなまだかな……ぼくちんひとりじゃ何をどのぐらいもってったら丁度いいかわかんないのに」

蛇太郎「…………」

蛇太郎「…………しなせたら悪い人になっちゃうから生かすのって、残酷だよね」

蛇太郎「自分の手を汚したくないだけで、なーんもたのしいことなくて、いたくてくるしくて、きもちがまっくらなままなんて」

蛇太郎「……包丁の箱はアレ、毒にもなるお薬はあっち、ロープはそこにかかってる」

蛇太郎「…………早く帰ってこないと、誰もぼくちんとめられないよ?いいの?」

蛇太郎「……みんな、まだかな……変なこと考えちゃうから、やだな……」

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom