マイルズ「なぜ、人気がなかったのか、それを説明したまえ」

ギント「はっ、では要点だけを……」

マイルズ「今回は平時だ、説明に多少時間がかかっても構わん」

ギント「わかりました、司令。では一つ目の要因ですが」

マイルズ「うむ」

ギント「『出しゃばり過ぎた』」

マイルズ「………」

ギント「今回MDのメインとなったJ組とCG組」

マイルズ「うむ」

ギント「本来なら、MDはこの二組が中心となってストーリーが進んでいきます」

マイルズ「メインだからな、当然だろう」

ギント「はい、しかし今回……特にシナリオ面でJ組とCG組以上に、目立つ存在が現れました」

マイルズ「………」

ギント「それが司令です」

マイルズ「……そんなに目立っていたか？」

ギント「はっ、シナリオシーンにおける立ち絵使用回数と台詞の量は、今作ではトップクラスかと……」

マイルズ「………」

ギント「新キャラは必然的に出番が多くなるものですが」

マイルズ「そうだな」

ギント「司令の場合、メイン勢を差し置いて目立ちすぎたのが原因かと思われます」

マイルズ「……確かにそうかもしれんな」

ギント「はっ」

マイルズ「出番が多いからこその軋轢」

ギント「………」

マイルズ「出る杭は打たれる……ということか」

ギント「それは少し違うかと……」

マイルズ「ん？」

ギント「いえ、なんでもありません」

マイルズ「まあいい、続けたまえ」

ギント「はっ、第二の要因として、『他のキャラが目立たなかった』」

マイルズ「他のキャラが目立たなかった？」

ギント「はい、今作のシナリオは全体的に見て、過不足はありませんでした」

マイルズ「……それは良いことではないのかね？」

ギント「本来ならばそうなのですが、過不足が無いシナリオということは言い換えれば
　　　　必要最低限のシナリオ しか なかったということになります」

マイルズ「そうだな、全てを語ることが必ずしも良いことではないからな
　　　　　想像の余地を残したり、次回作への伏線の為に敢えて語らぬことも必要だ」

ギント「はい、しかしスパロボはご存知のとおりSRPGでありロボゲーでありキャラゲーです」

マイルズ「うむ」

ギント「そのようなゲームに必要最低限のシナリオというのは、些か難があったかと……」

マイルズ「要するに遊びが足りなかった、というわけだな？」

ギント「肯定です」

マイルズ「しかし、遊びというかコメディパートはそれなりにあっただろう？」

ギント「ありましたが、ほぼJ組の為のものでした。そして、この場合の遊びというのは
　　　　キャラ同士の掛け合い、といったものです」

マイルズ「掛け合いか……足りなかったのかね？」

ギント「過不足はなかった、とだけ……」

マイルズ「ベストアンサーではないな」

ギント「多い方がバランスがよかったと思われます」

マイルズ「なるほど」

マイルズ「シナリオ上の問題はわかったが、それが私の人気に関係あるのかね？」

ギント「はい、他キャラの掛け合いが物足りないところに、司令の出番は多めにあったのが要因かと」

ギント「なぜ、自分の好きなキャラの出番が少なかったのに、司令はこんなに多いのか？と……」

マイルズ「そういうことか、しかし鋼龍戦隊の司令官である以上、仕方のないことではあるがな」

ギント「その通りではありますが、納得できるかどうかは別問題ということでしょう」

マイルズ「なるほど、よくわかった」

ギント「そして第三の要因ですが」

マイルズ「まだあるのか？」

ギント「『規律に煩すぎた』」

マイルズ「むう……」

ギント「鋼龍戦隊は電撃戦を得意とし、様々な戦果を挙げてきました」

マイルズ「その通りだ」

ギント「電撃戦に必要なのは、一点突破型の戦力と隊員達の強固な連携、そして迅速かつ柔軟な対応」

マイルズ「………」

ギント「しかし、司令の場合 何かある度に司令部への指示を仰ごうとされて
　　　　その結果、後手に回ることも少なくなかった」

マイルズ「………」

ギント「第2次OGまでは、軍属でありながらも ある程度自由に行動できていた鋼龍戦隊からしてみれば
　　　　司令の存在が疎ましく感じるのも仕方ないことかと……」

マイルズ「なるほど……」

マイルズ「確かに、私自身 視野狭窄になっていた部分は認めよう」

ギント「はい」

マイルズ「だが、鋼龍戦隊という特殊な部隊を統合参謀本部直属で運用するには、
　　　　　今までのような現場の判断だけで動かすわけにはいかん、だから私が配属されたのだ」

ギント「はっ、軍属としては相応しい処遇と思われます」

マイルズ「そうだろう艦長」

ギント「ただ、残念ながら 正しいからといって、それが人気に直結するわけではありません」

マイルズ「………」

ギント「更に、終盤にて司令の心情の変化があり、やや熱血気味になられた時ですが」

マイルズ「う、うむ」

ギント「なぜ司令に覚醒イベントが？と困惑された方も少なからずいたようです」

マイルズ「覚醒というほどの変化ではなかったと思うが？」

ギント「司令官の覚醒イベントも王道展開だとは思うのですが……今更？と感じられたのでは？」

マイルズ「そうか、なんにせよ鋼龍戦隊に馴染みきれなかった、ということか……」

ギント「そして第四の要因ですが……」

マイルズ「まだあるのかね！？」

ギント「これは、司令に対して大変失礼な言い方に なってしまうのですが」

マイルズ「構わん、というか今更だろう」

ギント「は……」

マイルズ「言ってみたまえ」

ギント「司令がなぜ人気がなかったのか、最大の要因は」

マイルズ「うむ」

ギント「『見た目』かと」

マイルズ「それは失礼すぎないかね？」

ギント「先程も言わさせてもらいましたが、スパロボはSRPGでありロボゲーでありキャラゲーですので」

マイルズ「若く容姿端麗なキャラが、もてはやされると言いたいのかね？」

ギント「もちろん例外はあります、しかしカイ少佐やゼンガー元少佐といった濃い風貌や」

マイルズ「艦長、君もその濃い風貌に含まれるのではないかね？」

ギント「ラッセル少尉やミチル・ハナテンといったネタ……個性的な顔立ち」

マイルズ「ネタ？」

ギント「他にも、年配であるリシュウ・トウゴウ殿も一定の人気を獲得されています」

マイルズ「そして、私にはその一定の人気もない……と？」

ギント「私の知る限りは……」

マイルズ「………」

ギント「軍司令としては間違ってはいないのですが」

マイルズ「正しいからといって、それが人気に直結するわけではない……か」

ギント「はい……」

マイルズ「………」

ギント「…せめて」

マイルズ「………」

ギント「せめて、司令が……」

マイルズ「艦長……」

ギント「せめて司令が美少女キャラだったら、皆の評価が180°変わったと思うのですが……」

マイルズ「艦長？」

マイルズ「君は気でも触れたのかね？」

ギント「私は、いたって真面目ですが？」

マイルズ「そうか、真面目か……真面目なのか」

ギント「はい」

マイルズ「私も……」

ギント「はい」

マイルズ「……君への評価が180°変わりそうだよ」

ギント「光栄です」

マイルズ「褒めてないがね」

ギント「………」

ギント「しかし司令、想像してください」

マイルズ「なんだね？」

ギント「MDでの司令の立ち絵と口調と役割を美少女に変えた姿を……」

マイルズ「それは最早、私ではないぞ？」

ギント「………」(想像中)

マイルズ「………」

ギント「………………」(想像中)

マイルズ「………」

ギント「……良い」

マイルズ「……う、うむ？」

ギント「美少女の想像が付きにくかったので、修羅の乱で現れたティスという敵の幹部を参考にしました」

マイルズ「こんなことで参考にされるとは……敵ながら同情を禁じえんな」

ギント「少々違和感はありましたが、大変有意義なものでした」

マイルズ「いや、違和感しかないだろう！一応、准将で司令官なのだぞ！？」

ギント「年端もいかぬ少年少女がPTや特機に乗って戦っているのですよ？」

マイルズ「ぐっ、それはそうだが」

ギント「年端もいかない美少女が司令官をやっていても、おかしくはないかと」

マイルズ「ぐぐぐ……」

ギント「次回作ではマイルズ司令の代わりに、新たな美少女司令が来るかもしれませんなあ」

マイルズ「そ、そんな現実感を無視した展開があるわけ……」

ギント「展開があるわけ無いと？人気が出そうなキャラで、テコ入れがあると思いませんか？」

マイルズ「うっ、確かに無いとは言い切れんが……しかし、しかし……」

ギント「今更、現実感など……」

マイルズ「しかし、その場合は君もテコ入れされるのではないかね？」

ギント「……は？」

マイルズ「言ってはなんだが、君もそう人気があるわけでもないと思うのだが？」

ギント「………」

マイルズ「特に、後半で艦長を解任させられた時」

ギント「………」

マイルズ「そのままオノデラ副長に引き継ぐかと思いきや」

ギント「………」

マイルズ「そのまま、まさかの居座り。それも1話も経たず艦長復帰！」

ギント「………」

マイルズ「なぜ艦長交代イベントがない？と困惑した者も少なからずいた、と聞いているが？」

ギント「………」

マイルズ「………」

ギント「………」

マイルズ「………」

ギント「……司令」

マイルズ「なんだね？」

ギント「冒頭でお伝えした『どうやら司令は人気が無いようです』というのは間違いでした」

マイルズ「ほう」

ギント「司令」

マイルズ「………」

ギント「どうやら我々は人気が無いようです」

マイルズ「うむ、ベストアンサーだ」




終わり