椿定光「IS学園?」 ポンコツ「回答の入力を要求する」 (6)

一夏「……しっかし広い試験会場だなあ。自分が今どこに居るのかわかんなくたってきたよ。この部屋かな?」 ガチャッ

教師「あら、アナタ新入生?」

一夏「あ、はい。そうです」

教師「じゃあさっそく奥で着替えて。後がつかえてるから急いでね」 ツカツカ

一夏「着替える? 新手のカンニング対策かな?」 ガチャン

一夏「……って、これはIS!? なんでこんなものがここに――」 ピトッ

教師「ってアナタ男!? どうしてここに……って――」

一夏「うおおお!? う、動いた!」 キインッ

教師「う、ウソ……。ISは男なんかには動かせないはずなのに……!」

一夏「すげえ、これがISの見せる――」 キィィィィィィィィィ……

???「――ゲハハハハ! オレが何を見せたって?」

2人「!?」

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???「ふぅ、窮屈でしょうがなかったぜぇぇ……」 ドルリ……

一夏「あ、ISがぐにゃぐにゃに溶けて、中から化け物が……」

教師「ヒィィィィィィッ!」 ダッ

???「おいおい、ひでえもんだな。ヒトサマのツラ見ただけでこれかよ。これでも善良な一流刑体だぜぇ?」

一夏「る、ルケータイ……?」

流刑体「お? おめー流刑体見んのは初めてか」

一夏「え? あ、はい」

流刑体「そーかそーか、得したなおめー。ゲハハハハハ」

一夏「はは、ははははは……」

流刑体「――んじゃあ[ピーーー]」 ガシャンッ

一夏「――え?」

ドガンッ!

一夏「あ……」

流刑体「おろ? いけねえ、寝ぼけちまってるわ。眉間ブチ抜くつもりが奥のドア吹っ飛ばしちまった。ゲハハハハ」

一夏「……」 ツー…

流刑体「んじゃあ今度はちゃんと当てっからよ、動くんじゃねーぞボウズ」 ガシャリ

一夏「……うわあああああああああああああああ!」 ダッ

流刑体「おいおい、動くなって言ってんだろボケがあ」 ドシンドシン

一夏「なんだよ、なんなんだよあれ!?」 ダッダッダッ

流刑体「お? ゲハハ、お誂え向きな場所に出たな!」

一夏「え? あ、行き止まり!?」

流刑体「ゲッハッハー、良い子にしてろよお、今ひき肉にしてやっからよお」 ニヤリ

一夏「な、なんでだよ……?」

流刑体「あ?」

一夏「なんで俺が殺されなきゃなんないんだよ!? 2年前だってそうだ! 俺がいったい何したっていうんだ!」

流刑体「なんでって……そりゃあ殺したいからさあ」

一夏「え……」

流刑体「物心ついてからずうっとそうだったあ。オレぁ昔っから人を殺したかったのよ! 臓物ブチ撒けて脳漿ブチ撒けて、そういうのを見るとイキリタツのさあ」 グニヤア……

一夏「ヒッ、ふ、普通じゃねえ……」

流刑体「普通やってちゃあ流刑体つとまんねーだろお! あばよ!」 キュイイイイイン

一夏(い、イヤだ! 死にたくねえ!)

ズドンッ!

一夏(千冬姉っ!)




???「誰が死んでいいっつったァあ!!!」

一夏「!?」

ガキィンッ!

一夏「は、跳ね返した!?」

流刑体「てめえは……随行体!? チクショオ、なんだってここに!」

???『間一髪だったな定光! この少年は無事だ』

定光「うしっ! 大丈夫か、チューボー!」

一夏「え……」

???『定光! ヤツの名は“籠贋(ロウガン)”、別の物体に潜り込み近づいてきた人間を餌食にしてきた流刑体だ!』

定光「へっ! その解説も久しぶりだな、ポンコツ!」

一夏(なんだ!? この人は誰と話してる? この声はどこから聞こえてくるんだ? そもそもこの人は――)

流刑体「クソッタレ! こんなとこで回収されてたまるかあ!」

定光「回収だあ? んな生温ぃこたぁもうとっくに廃業しちまったよ」

定光「今の俺は“破壊魔”、“破壊魔定光”サマよ!」 ジャキンッ

流刑体「ほざけぇッ!」 ガチャキッ

一夏(いったい、いったいオレの前で何が起こっているっていうんだ……!?)





教師「織斑先生、大変ですっ! 試験会場に化け物が――」

眼鏡の男「そら。来ましたよ、件の火種とやらが」

千冬「ええ、そのようですね」

教師「え……こ、こちらの男性は一体?」

千冬「おい君、彼は内閣調査部の人間だ」

教師「な、内閣!?」

眼鏡の男「ああ、別に構いませんよ。このご時勢だ、男は素直に女性様の下知に従いますから」

千冬「では佐藤室長、すぐに戦闘要員の教師を派遣しますので……」

佐藤「その必要がない事は、貴女が最もよくわかってらっしゃるのでは? 織斑先生」

千冬「……」

佐藤「“彼”が来たんでしょう? 貴女の予言通りにね」

千冬「……せめて格好だけは取り繕わせてください、五味丸刑事」

佐藤「その名で呼ぶのはナシのはずでは? 織斑さん」

千冬(……一夏)

アナウンス『教導機、戦闘不能を確認。試験終了です』

セシリア「ふん、ちょろいものですわね」

真耶「さすがはイギリスの代表候補生。良い筋をしてらっしゃいますね、オルコットさん」

セシリア「当然ですわ。他の受験生と公平を期して量産機を支給されようと、選ばれた力を持つわたくしの実力を以ってすればこの程度仔細ありませんわ」

真耶(イギリスの代表候補生、セシリア・オルコットさん。今年は入学が検討されている専用機持ちが不作とはいえ、他の受験生とは一線を画す実力者ですね)

真耶(惜しむらくは、その高すぎる自己評価と排他的な独善思想にありますが……)

セシリア「さ、山田先生。試験も終わった事ですし、わたくしは帰らせてもらう事にしますわ」

真耶「は、はい。ではその前に、試験修了の手続きがありますので外の係員の誘導に従って――」

ジリリリリリリリリリリリリリリリ!

2人「!?」

アナウンス『非常事態発生、非常事態発生。校内に待機している戦闘要員は速やかに第2棟へ急行してください。繰り返します。校内に待機して――』

真耶「戦闘配置……!? そんな、保安部隊の警備網をどうやって――」

セシリア「ふふ、チャンスですわね」

真耶「え?」

セシリア「こうもあっさり試験が終わっては物足りないと思っていたところでしたの。今は冬ですが、飛んで火に入る夏の虫というやつですわね」

真耶「お、オルコットさん、何を言って……?」

セシリア「それに、この“ブルー・ティアーズ”も早く実物のISと戦ってみたいと嘶<いなな>いておりますわ」 チャラ

真耶「……! ダメです! 資格のない操縦者が条約を無視してISを戦闘に行使してはいけません! それに何より、貴女が危険ですよ!」

セシリア「……先生、わたくしは貴女を下したのですよ?」

真耶「な……!」

セシリア「戦闘要員級以上の実力を持つ者であれば、戦闘はより優位になります。違いまして?」

真耶「そ、それは……!」

セシリア「たしか、第2棟でしたわね。では行きますわよ、ブルー・ティアーズ!」 キィンッ

真耶「お、オルコットさん!」

バシュウッ

真耶(ああっ、どうしよう! とにかく、織斑先生に連絡しないと……!)





セシリア(……第2棟まで来ましたが、この震動から察するに戦闘は既に始まっていますわね)

セシリア(まあ誰であろうと、このセシリア・オルコットとブルー・ティアーズの前には烏合の衆も同然、すぐに成敗してさしあげますわ)

ピピッ

セシリア(さっそくハイパーセンサーが索敵情報を拾いましたわ。さて、いったい敵はどんな装備を――)

定光『どりゃああああッ!』ザンッ、ガキンッ!

流刑体『このぉぉぉぉぉッ!』ドガゥッ、ドガゥッ!

セシリア(――!? なんですのこの御仁は!?)

セシリア(こちらは明らかにISを使っていますが頭部以外はほぼ生身、しかも殿方ですわよ!?)

セシリア(もう一方にいたっては、これはキグルミ? いえ、身体の端々から体液のようなものが漏れ出していますわ!)

セシリア(明らかに異常! いったい何が起こっていますの……!?)

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