【ミリマス】リリィナイトと天空の騎士団 (115)

かつて、剣と魔法の世界があった

しかしその世界は、突如現れた魔王と名乗る異形により滅亡の危機に瀕していた

魔王は人類に対し宣戦布告を行うと、全世界子豚ちゃん計画を実行し人間を次々と自らの手駒にしていった

子豚となった者は人間を襲い、襲われた人間は子豚となり子豚の数は爆発的に増えていった

人類の約半数が子豚となり、追い詰められた人類は魔王の討伐を決意

勇者を選びだし、魔王を討伐させようと試みた

勇者に選ばれたのはプロ・デューサーという名の青年だった

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1470922405

彼は765村と呼ばれる村にいた普通の青年だったが、妖精が見えるという特殊な力を持っていた

言い伝えには勇者は妖精族と対話することが出来ると伝わっており、妖精の見える彼が勇者に選ばれたのだった

彼は魔王を討伐するために村を出る、たった一人の家族を残して

そして彼が旅立ってから数年が経った

未だ魔王の脅威は健在で、彼は行方知れずとなっていた

「ユリコさんユリコさん」

私の周りを妖精のセリカちゃんが飛んでいる

「どうしたの、セリカちゃん?」

セリカ「今日は凄く良いお天気ですね!」

「うん、風が気持ちいいね」

私達は今、草原を歩いていた

とても天気が良くてこのまま寝転がりたくなる

セリカ「もうすぐ村が見えてくるみたいです」

セリカちゃんが妖精族の地図を見ながら言う

「じゃあ野宿しないで済むかな?」

セリカ「はい!」

村を出て早々に野宿はちょっと嫌だし

少し高い丘に立つと辺りが良く見渡せた

少し離れた所にちいさな村が見える

「…」

私は村を出るのはこれが初めてだ

今まではプロデューサーさんが守ってくれてたから

でもプロデューサーさんは数年前から行方知れずになってしまった

私を守ってくれる人はもういない、だから自分の身は自分で守るしかない

…勇者に選ばれてしまったから尚更だ

セリカ「プロデューサーさんもこの景色を見たんでしょうか…」

私の隣でセリカちゃんがそう呟いた

「行こう、セリカちゃん」

プロデューサーさんの遺志を継げるのは私しかいない

プロデューサーさんの分まで、私が戦うんだ

そんな決意を胸に、私は眼前の村へと歩き出した

勇者ユリコの物語が、今始まる



あれからしばらく歩き、ようやく村についた

ユリコ「ぜはー…ぜはー…ぜはー…」

私は歩き疲れて死にそうになっていた

セリカ「ゆ、ユリコさん大丈夫ですか?」

ユリコ「だ、だいじょばない…」

道中子豚ちゃんに襲われなかったのは幸運だった

ユリコ「宿…宿は…」

私は宿を探して辺りを見渡す

ちょうど村人らしき女の子がいたので宿の場所を聞いてみることにした

ユリコ「あの、宿の場所が知りたいんですけど」

ロコ人A「ここはヴィレッジです」

ユリコ「いえ、宿の場所を」

ロコ人A「ここはヴィレッジです」

ユリコ「あの」

ロコ人A「ここはヴィレッジです」

ユリコ「…」

ロコ人A「…」

ユリコ「あ」

ロコ人A「ここはヴィレッジです」

結局自力で宿を探し出し、そこに泊まることにした

ユリコ「ふええ…」

柔らかいベッドに体を沈める

ユリコ「疲れた…」

冒険の旅は始まったばかりなのに私はすでに満身創痍だった

ユリコ「プロデューサーさん…」

でもプロデューサーさんの失踪の真実を知るために頑張らないと

ユリコ「…よし」

今日は英気を養おう!

翌日、私は筋肉痛で動けなかった

一旦ここまでー

二日後、私は荷物をまとめて宿を離れた

ユリコ「うう…重い…」

村の本屋さんで面白そうな本を見つけてしまい、ちょっと5、6冊ほど買ってしまった

セリカ「えーい!えーい!」

セリカちゃんが必死に後ろから押してくれているが効果はなかった

村を出てしばらく歩くと、なにやら視線のようなものを感じた

ユリコ「…?」

すると茂みから子豚ちゃんが飛び出してきた

ユリコ「こ、子豚ちゃん!?」

子豚ちゃんは私に向かって走ってくる

不意を突かれた私は咄嗟に背中を向けて逃げようとするが、本の重みにバランスを崩して転倒してしまった

ユリコ「きゃあ!」

セリカ「ユリコさん!」

転倒した時に分厚いハードカバーの本7冊を入れた袋が勢いよく飛び、子豚ちゃんの頭に直撃した

ユリコ「あっ」

子豚ちゃんは錐揉みしながら吹き飛び、地面を転がった後動かなくなった

倒れた子豚ちゃんから奇妙な気配が抜けていくのを感じる

ユリコ「これは…」

どうやら人間に戻ったようだ

噂通り勇者が子豚ちゃんを倒すと倒された子豚ちゃんは人間に戻るみたい

私は倒れた人の財布から4Gを貰うと、再び歩き出した

ユリコ「エアロ!」

風の魔法が子豚ちゃんを吹き飛ばす

吹き飛ばされた際に財布が落ちるので回収する

ユリコ「ふう…」

セリカ「ユリコさん、お疲れさまです!」

ユリコ「そろそろ魔力がピンチかも」

すでに5人ほど子豚ちゃんと戦っており、魔力は枯渇寸前だ

セリカ「でもユリコさんの魔法、凄いです!」

ユリコ「あはは…私の取り柄はこれしかないから」

私は確かに魔法が使える

でも使えるのは風の魔法だけだ

他の魔法は基本魔法のファイアやブリザド、ケアルさえ使えない

プロデューサーさんは

「エアロが使えるなら扇風機は要らないな」

と頭を撫でてくれたっけ

プロデューサーさん…

セリカ「あ!ユリコさん、町が見えてきましたよ!」

セリカちゃんの言葉に顔を上げると遠くに町が見えた

太陽はまだ余裕があるけど、なるべく早くに行こう

ユリコ「…また筋肉痛かなぁ」

遠くに見える町を見ながらそう呟いた

ユリコ「かふっ…かふっ…」

セリカ「ゆ、ユリコさん…」

かなりの距離を歩き、私は死にそうになっていた

ユリコ「早く…宿で…」

休まないと死んでしまう

ユリコ「宿…宿は…」

宿を探し辺りを見渡すと村人らしき女の子が立っていたので宿の場所を聞いてみることにした

ユリコ「すみません、宿の場所を伺いたいんですけど…」

ロコ人A「ここはタウンです」

ユリコ「あの、宿の場所を」

ロコ人A「ここはタウンです」

ユリコ「…」

ロコ人A「…」

ユリコ「あ」

ロコ人A「ここはタウンです」

無言でベッドに倒れ込む

町の広場でへたり込んだ私の代わりにセリカちゃんが宿を見つけてきてくれた

ユリコ「し、死ぬ…」

昔は本で見た広い世界に憧れたものだが今は狭い世界に憧れる

ユリコ「…」

手をかざし、握ってみる

子豚ちゃんを倒したことでレベルが上がったのか、少しだけ強くなった気がする

ユリコ「もっと子豚ちゃんを倒せば強くなれるかな」

強くなってプロデューサーさんを探し出して、一緒に村に帰りたい

そしてまた二人で一緒に暮らして…そのうち子供も出来ちゃったりして

ユリコ「私達の輝かしい未来のために、もっと強くならないと」

そのためにはもっと子豚ちゃんを倒してレベルアップしよう

ユリコ「おやすみなさい」

明日は朝から子豚ちゃん狩りだ

翌日、私は筋肉痛で動けなかった

一旦ここまで

それから数日

ユリコ「この辺りの子豚ちゃんもかなり減ったね」

セリカ「はい、少なくなってると思います!」

私はアイテム袋から飴を取り出して口に入れる

すると魔力が漲ってきた

ユリコ「ちょっと試してみようかな」

ここ数日子豚ちゃんを狩り続け、レベルも上がっている

…今なら撃てるかも

セリカ「ユリコさん、西に子豚ちゃんさんがいます!」

ユリコ「うん、わかった」

子豚ちゃんに気付かれないよう後ろに回り込む

そして

ユリコ「エアロラ!」

魔法を放った

倒した子豚ちゃんの財布を懐にいれ、私達は町へ戻った

セリカ「ユリコさん、風属性の中級魔法も使えるんですね!凄いです!」

ユリコ「あはは…実は私風属性魔法は古代魔法のトルネドまで覚えてるんだ」

セリカ「そうなんですか?」

ユリコ「でも魔力が足りないから撃てなくて…いや、撃てるには撃てるんだけど倒れちゃうんだ」

ユリコ「昔ふとした拍子にトルネドを撃ったら1週間意識を失ってプロデューサーさんにすごく怒られちゃった」

でもそのあと抱き締めてくれてとっても優しかった

ユリコ「それよりもセリカちゃん、ほら」

私はセリカちゃんに財布を見せる

ユリコ「子豚ちゃん狩りのおかげでお金がいっぱいあるよ」

連日の子豚ちゃん狩りで所持金は大体20000Gちょっとくらいだ

この町の宿が3食付きで一日15Gなので後四年はここで暮らせるくらいは稼いだことになる

ユリコ「でもそろそろ次の町へいかないと」

セリカ「そうですね」

ユリコ「それじゃあ今日はこのくらいにして、明日は早めに出発しよ」

私達は宿に戻り、明日に備え眠ることにした

魔王城

「…あら」

「どうしました、魔王様」

「町の周辺にいた私の子豚ちゃん達がいなくなっているみたいですね~」

「ではありさが確認してきましょうか?」

「うふふ、それじゃあお願いしますね~、四天王のアリサさん♪」

アリサ「むふふ!魔王様のご命令とあらばありさは例え火の中水の中草の中あのアイドルのスカートの中です!」

「…うふふ♪」

アリサ「ごめんなさい真面目にやります」

アリサ「それでは魔王様!ありさ、行きまーす!」

アリサと呼ばれる人物は魔王城から飛び立った

「…私の子豚ちゃんに手を出す人は許しませんよ~」

魔王は立ち上がると後ろの扉を開ける

そこには牢があり、一人の青年が鎖に繋がれていた

「うふふ、もう1人、ここに並べることになりそうですね~♪」

魔王は微笑み、青年の頬を撫でる

青年はぴくりとも動けなかった

翌日、町を出た私達は次の街に向けて歩を進めていた

しかし

セリカ「ゆ、ユリコさん大変です!」

ユリコ「どうしたの?」

セリカ「強い力がこっちに来ます!」

次の瞬間、空からナニカが降ってきた

突然の衝撃に思わず吹き飛ばされそうになる

ユリコ「い、一体なにが」

「むふふ…」

降ってきたナニカが笑った

「あなたがこの周辺の子豚ちゃんを狩ってたんですね」

ユリコ「あなたは…」

「ありさはアリサ!魔王様直属の四天王が1人!」

ユリコ「ま、魔王直属の四天王!?」

魔王直属の四天王…すごく憧れる響きだ

アリサ「魔王様の命によりありさがあなたを倒します!」

ユリコ「私は、こんなところでやられるわけにはいかない!」

ユリコ「私も、あなたを倒します!」

私と四天王の戦いが幕を開けた

ユリコ「やあああ!」

まずは手始めに剣を振るう

アリサは立ったまま動かない

ユリコ「はあ!」

そして剣が直撃した

アリサ「あう!」

アリサはあっけなく吹っ飛んだ

ユリコ「…あれ?」

あまりにも手応えが…

アリサ「じ、実はさっきの着地で脚を捻りまして…」

ユリコ「あ、そうなんですか」

かなり勢いよく着地してたからなぁ

アリサ「と言うわけでちょっと浮きながら戦いますね」

ユリコ「あ、どうぞ」

その言葉通りアリサは少し浮き上がった

アリサ「さあ!仕切り直しです!」

私は剣を青眼に構える

アリサ「行きます!ファイア!」

アリサが炎の魔法を放つ

私はそれを回避し

ユリコ「エアロ!」

カウンターで風の魔法を放った

アリサ「風使い!むふふ、珍しい相手ですね」

アリサはエアロを回避すると一旦距離を取る

その隙に私は風を纏わせたナイフを投げ、接近した

ユリコ「たああ!」

剣を振るう



アリサ「…むふふ♪」

私の剣はアリサの背中から生えている腕のようなものに防がれていた

ユリコ「うっ!?」

アリサ「ありさにそんなものは効きませんよ-!」

副腕に力がこもり、私は弾き飛ばされる

ユリコ「!」

私は副腕を狙いナイフを投げるがやはり弾かれてしまう

アリサ「無駄ですよ無駄無駄!ありさのこの腕は如何なる物理攻撃をも跳ね返す鉄壁!そんな剣じゃ何億回叩いたって壊せません!」

ユリコ「くっ!なんて憧れる武器を!」

私も欲しい!言ってみたい!

アリサ「では!反撃開始です!」

副腕から何かが伸びる

…光の棒?

アリサ「たあ!」

副腕が熊手のように開き私に襲いかかる

ユリコ「わわ!」

アリサ「む、避けましたか」

ユリコ「地面が、燃えて…!?」

アリサ「りゃあ!」

今度は横薙ぎだ

ユリコ「っ!エアロ!」

私は私の目の前にエアロを放ち、風圧で自分を吹き飛ばす

アリサ「自分自身にエアロを使って躱すとは!あなた面白いですね!」

ユリコ「ありがとうございます」

なんとか平静を保っているが体力はかなり削られている

…筋トレして体力つけないと駄目かなぁ

あの副腕に物理攻撃が通らない以上本体を狙うしか無いけど…

ユリコ「や!」

ナイフをアリサに投げるがすぐさま副腕に防がれてしまう

本体を狙ってもすぐに副腕が反応し、ダメージが与えられない

だからといって副腕を攻撃しても意味が無い

…あれ、これって詰んでるんじゃ

セリカ「ユリコさん、ユリコさん」

隠れていたセリカちゃんが話し掛けてくる

ユリコ「セリカちゃん、どうしたの?」

セリカ「私達妖精は魔力の流れが見えます、アリサさんのあのお手々は魔力で構成されているみたいで」

セリカ「魔力を変質させることが出来たら攻撃も通るかも知れません」

ユリコ「魔力を変質させる…つまり魔法で攻撃すれば良いのかな」

セリカ「はい、ただ普通に魔法を使っても避けられてしまいますから…」

ユリコ「大丈夫、ありがとうセリカちゃん」

…切り札を使うしかないみたい

アリサ「む、雰囲気が変わりましたね」

アリサが少し警戒する

ユリコ「私の今できる全力を!」

私は魔力を高め…

ユリコ「エアロラ!」

魔法を放った

アリサ「!」

強力な風がアリサを切り刻まんと迫る

アリサ「むふふ、確かに強力な魔法ですが、当たらなければどうということはありません!」

しかしアリサは難なく回避してしまう

だが回避してくれるのは好都合だった

その隙に私は飴を口に放り込み、アリサに向けて駆けだした

アリサ「バカの一つ覚えですね!アリサの腕に物理攻撃は効かないと言ったはずです!」

ユリコ「知ってます!」

私が放つのは物理攻撃じゃない

ずっと隠してきた必殺技

ユリコ「エンチャント!」

それは

ユリコ「魔法剣、エアロラ!」

魔法を物に纏わせる力!

アリサ「!?」

魔法剣を受けたアリサの副腕はあっさりと剣を通し、切断された

アリサ「ま、魔法剣!?そんな力が!」

ユリコ「たああああ!」

振り向く勢いで剣を振る

初撃以来の感覚、魔法剣がアリサに直撃した

アリサ「ノォォ-!」

アリサが再び吹き飛び地面に叩き付けられた

アリサ「ぐ、ぐぬぬ…アリサにここまでのダメージを…!」

アリサは傷を押さえながら立ち上がる

アリサ「一旦退きます!ありさは逃げるんじゃ無いです!後ろを向いて全力で走るだけです!」

そう言い残すとアリサは飛び去った

ユリコ「…走ってない」

私は剣を地面に刺すとその場にへたり込んだ

一旦ここまで

>>48の流れにやられた......一旦乙です
このCD新曲はいいし、ジャケットは面白いし楽しみにしてる
http://i.imgur.com/I7iRdhB.jpg
https://www.youtube.com/watch?v=YINUSSum3z0

>>3
ユリコ役? 七尾百合子(15) Vi
http://i.imgur.com/PABrgaq.jpg
http://i.imgur.com/3rSsAOB.jpg

セリカ役? 箱崎星梨花(13) Vo
http://i.imgur.com/S9SORxq.jpg
http://i.imgur.com/LMH3aXe.jpg

>>7
ロコ人A役? ロコ(15) Vi
http://i.imgur.com/ehJscEI.jpg
http://i.imgur.com/e1VMRzi.jpg

>>30
アリサ役? 松田亜利沙(16) Vo
http://i.imgur.com/uEJSLF3.jpg
http://i.imgur.com/1lAiFOu.jpg

セリカ「ユリコさん、四天王さんがいた場所に何か落ちてますよ?」

ユリコ「ホントだ、なんだろ」

一つは財布、もう一つは…なんだろ

ユリコ「うーん?」

私は四角い箱のようなものを拾った

あちこちにボタンがついている

ユリコ「ま、いっか」

そんなことより財布の確認だ

ユリコ「こ、これは…!」

私はアリサさんが落としていった財布の中身を見て驚愕した

セリカ「どうしたんですか?」

ユリコ「セリカちゃん、これ…カードだよ」

セリカ「カード?」

ユリコ「うん、町の銀行で使うと無限にお金が手に入る伝説のマジックアイテム!」

ユリコ「使用するには専用のスペルが必要だけど一緒に入ってた切れ端に記されてる」

セリカ「そんなアイテムが…凄いです!」

ユリコ「早速町に戻って装備を整えないと!」

武器屋

ユリコ「ああ…ああ~!憧れのミスリル装備!」

ただでさえ魔法金属という心惹かれる響きを持っているのに加工されたそれは、蒼く、美しかった

ユリコ「この際ミスリル一式にしたいけど…」

いくら軽いミスリルといえども、アーマーを買ったら重くて動けないよね…

ユリコ「とりあえずミスリルソードと、後はミスリルアクセサリー一式にシルクのローブっと」

「お、お買い上げありがとうございますぅ!お支払は?」

ユリコ「カードで」

一度言ってみたかった!

店を出ると村人の女の子が目の前に立っていた

ロコ人A「…」

ユリコ「あ、村人さん」

ロコ人A「ウェポンやアーマーはイクイップメントしないとユースレスです」

ユリコ「え?」

ロコ人A「ウェポンやアーマーはイクイップメントしないとユースレスです」

ユリコ「えーっと、装備すれば良いのかな」

私はミスリルブレスレットをはめてみた

ロコ人A「…」むふー

村人さんは満足したようにどこかへ去って行った

町を出ると何かが高速で飛来してきた

アリサ「むふふ…」

ユリコ「あなたは…アリサさん!」

アリサ「昨日ぶりですねぇ…実はあなたに伝えたいことがありまして」

ユリコ「まさか、リベンジを…!?」

アリサ「いえいえ、そうじゃなくて…」

アリサさんはそう言いながら地面に正座し…

アリサ「カードだけは返してくださいお願いします」

流れるように美しい土下座をした

一旦ここまで

アリサ「本当にお願いしますなんでもしますから」

アリサさんは土下座したまま私に頼み込む

ユリコ「ええ…」

私は目の前の光景にどん引きしていた

昨日殺し合った相手が目の前で土下座している

そうそう見られるものではない

ユリコ「えーっと、カードを返せば良いんですか?」

アリサ「はいお願いします」

土下座しているアリサさんを見ていると少し悪戯がしたくなってきた

ユリコ「…アリサさん、本当に何でも良いんですか?」

アリサ「はい」

ユリコ「じゃあ…カードを私に下さい」

アリサ「何卒お許しを!何卒お許しを~!」

ユリコ「冗談です、はい」

私はアリサさんにカードを返す

アリサ「ありがとうございます!ありがとうございます!」

アリサ「神様仏様勇者様!」

ユリコ「…勇者」

もしかしたら何か知ってるかも

ユリコ「…アリサさん、一つだけ教えて欲しいことが」

アリサ「何でしょう?ありさにわかることなら」

ユリコ「プロデューサーさん…先代勇者の行方を知りませんか?」

アリサ「…」

アリサ「…勇者さんは生きてますよ」

ユリコ「!」

アリサ「でもごめんなさい、居場所は教えられません」

ユリコ「何でですか!?」

アリサ「その事は魔王様との契約で口に出すことが出来ないんです」

アリサ「だからありさは先代勇者さんは生きていると伝えることしか出来ません」

ユリコ「契約を破れば…」

アリサ「契約を破棄したありさに待つのはこの髪を千切り取られ、誰お前と誰からも認識されなくなって消滅する未来だけなんです」

ユリコ「…」

アリサ「だから本当にごめんなさい!」

アリサさんが頭を下げる

ユリコ「…気にしないでください」

プロデューサーさんが生きている…生きててくれた

これがわかっただけでも大きい

アリサ「あなたの望む情報じゃなかったと思いますが…」

ユリコ「大丈夫です、ありがとうございました」

アリサ「それじゃあありさは帰ります!」

ユリコ「あ、はい、お疲れ様でした~」

アリサさんは帰った

それから数日後

「アリサさん?カードの支払いが来てますよ~」

アリサ「あ、はい、ありがとうございます…ふぐっ!?」

「?」

アリサ「な、何でも無いです…」

「そんなに冷や汗を流して何でもないわけないですよね~?利用明細、見せてくれませんか~?」

アリサ「だ、大丈夫です!ちゃんと支払いを…」

「見せなさい」

アリサ「はい…」

「…」

アリサ「…」

「…ふ、ふふ…」

「ふふふ…うふふふふふふふ♪」

アリサ「ひぃっ!」

「これ、何ですか~?カードを奪われただけならまだしもがっつり使われてますね~」

「アリサさん、敵を強化したんですね~?裏切り?裏切りですか~?」

アリサ「ち、違います!魔王様を裏切るなどありさにはとても」

「正座なさい」

アリサ「はい…」

その日、アリサの叫びが魔王城に響き渡った

セリカ「ユリコさん!もう少しです、頑張ってください!」

ユリコ「はあ…はあ…ゴクッ」

私はスパークドリンクを流し込む

前の町を離れて数日が過ぎた

私達は今、かつて魔女に滅ぼされた国へ向かっていた

その国は一度は滅びたものの、逃げ延びた王女が立ち上がり魔女を討滅

今では以前より栄えているそうだ

しかし…

ユリコ「と、遠い…」

町からかなりの距離があった

一旦ここまで

ユリコ「や、やっとついた…」

私は息も絶え絶えに歩き続け、ようやく目的地のベスボ王国に到着した

セリカ「ユリコさん、お疲れ様です!」

ユリコ「早く宿に行きたいな」

宿を探して歩いていると走ってきた人とぶつかってしまった

「うわっ!」

ユリコ「きゃっ!」

「悪ぃ!」

ユリコ「こっちこそ、ごめんなさい」

「っと、まずい」

ユリコ「どうしたんですか?」

「ちょっとこわーい奴に追われてるんだ」

ユリコ「それならこっちの路地に隠れましょう!」

私はフードを目深に被った少年と路地裏に隠れた

少ししてから

「スバル-!スーバール!…もう、また執務を放り出して逃げちゃったヨ~」

「エミリーちゃんの占いだとこの辺りに隠れてるって言ってたわ~」

「…アレ?アズサ、北を捜しに行ったんじゃ」

「あら~?」

フードを被った少年を捜していると思われる二人組の会話が聞こえてくる

なんだか聞いたことのある名前が…

ユリコ「…スバル?」

「」

フードの少年が一瞬ビクッとした気がした

ユリコ「でもベスボ王国のスバルって女王様だったはずだし…同名の別人かな」

「そ、そうそう、別人別人」

セリカ「あの、ユリコさん、この人…」

「しーっ!」

ユリコ「…え!?」

この人…セリカちゃんが見えてる?

ユリコ「あの…もしかしてこの子が見えてますか?」

「あっ」

しまった、という表情になる少年

その直後

「見つけた」

少年がゴーレムに摘まみ上げられた

「うわわ!」

ユリコ「ゴーレム!?」

「もう、すぐ逃げるんだから」

ゴーレムの肩に女の子が座っている

「だって退屈だからさ…」

「退屈でもやらなきゃ駄目でしょ?」

「ちぇー」

ユリコ「あなた…もしかして召喚師?」

「そうだよ、呼べるのはこの子だけだけど」

「…ん?妖精?もしかして…」

どうやらこの子にもセリカちゃんが見えているようだ

「スバルさん、この人」

「ああ、間違いないと思う」

「だったら尚更お城に戻らないと駄目だよ」

「しょうがないなか…なあアンタ」

ユリコ「あ、はい」

「これを渡すからさ、明日城門にいる兵士に渡してくれ」

少年から何やら紋章の刻まれたスフィアを受け取る

ユリコ「これは…?」

「明日になればわかるって、それじゃあ」

少年はゴーレムに摘ままれたまま去って行った

一旦ここまで

謎の少年と別れた後、宿を見つけた私はようやく一息吐くことが出来た

ユリコ「ふう…」

ベッドに腰をかけると、今日貰ったスフィアを取り出す

ユリコ「うーん…どこかで見たような…」

見覚えがあるもののそれがどこで見たものなのか思い出せない

ユリコ「セリカちゃん、何かわかる?」

セリカ「ごめんなさい、私にも良くわからないです…」

ユリコ「明日になるまで待つしか無いね」

考えるのをやめ、私は城下町で見つけた本を読み始めた

ユリコ「…」

翌日、目を覚ますと太陽は既に傾いていた

ユリコ「…セリカちゃん、今の時間って」

セリカ「17時です!」

ユリコ「」

新しく手に入れた本が面白くてついつい読み過ぎてしまった

…そういえば眠りにつく頃には太陽が見えてた気が…

ユリコ「い、急がないと!」

私は身支度を整え、宿を飛び出した

城に急いでいると見知った村人さんを見かけた

急いでいたので無視しようとすると、村人さんは私の前に瞬間移動してきた

ユリコ「わっ!」

突然目の前に現れた村人さんに驚き、足を止めた

ロコ人A「ここはベスボキングダムです」

ユリコ「はあ」

ロコ人A「ここはベスボキングダムです」

ユリコ「…」

ロコ人A「ここはベスボキングダムです」

村人さんをエアロガで吹き飛ばし、私はようやくお城に到着した

ユリコ「おっきいなぁ…」

お城を見上げていると色々と妄想出来そうだったが、今は先に目的を果たさないと

ユリコ「すいません、これを預かったんですが」

城門を警備している兵士さんに昨日渡されたスフィアを見せる

すると城門が開き、私は中に迎え入れられた

中に入ると

「ようこそだヨ~」

昨日誰かを捜していた人が私を出迎えた

…お城の人だったんだ

「昨日、スバルから渡されたボールを見せてくれる?」

ユリコ「あ、はい」

スフィアを手渡す

「…うん、間違いないネ!それじゃあ案内するから着いてきてネ」

メイドさん?はそういうと歩き出したので、私は着いていく

ユリコ「あ、昨日の」

「オレはスバル、一応この国の女王だ」

「一応じゃなくてちゃんと自覚持って欲しいヨ~」

スバル「固っ苦しいのは苦手なんだよ」

ユリコ「あの、どうして私を?」

話が長くなりそうだったので本題を切り込む

スバル「っと、そうだった」

スバル「昨日そこの妖精が名前呼んでたけど、ユリコ…だったっけ?」

ユリコ「はい」

スバル「ユリコのことは以前一緒に戦った男から聞いたことがあるんだ」

ユリコ「え?」

スバル「プロ・デューサーって男だったけど、知ってるか?」

ユリコ「は、はい」

プロデューサーさんの手がかりがこんなところで…

ユリコ「プロデューサーさんの行方を知ってるんですか?」

一縷の望みを託し、私はスバルさんに聞く

しかし…

スバル「ごめん、行方はわからない、エミリーにも占って貰ったんだけどわからなかった」

ユリコ「そう…ですか」

私の希望は打ち砕かれた

スバル「でも、プロデューサーから預かってる物がある」

ユリコ「預かってる…もの?」

スバル「ああ、着いてきてくれ」

そういってスバルさんが立ち上がり歩き出す

私はそれに着いていった

ユリコ「ここは?」

スバルさんに着いてお城の地下を抜け、封印の施された洞窟に辿り着いた

スバル「アズサ、頼む」

アズサ「わかったわ」

アズサと呼ばれたお姉さんが、封印を解く

凄い魔力だ

スバル「この奥だ、着いてきてくれ」

洞窟の奥へと進むほど、私の魔力が漲ってくる

今ならトルネドだって撃てるかも

スバル「着いたぞ」

スバルさんが立ち止まって道を空ける

その先には広場があり、魔力が広場に充満していた

そしてその中心には

ユリコ「…剣?」

岩に剣が刺さっていた

一旦ここまで

ユリコ「スバルさん、あの剣が?」

スバル「ああ、プロデューサーから預かったものだ」

アズサ「あれはストームブリンガー、風の力を宿した聖剣」

いつの間にか入口にいたアズサさんがこっちに来ていた

アズサ「持つ者に風の加護を与え、一度振るえば嵐が敵を切り刻むと言われているわ」

ユリコ「ストームブリンガー…」

プロデューサーさんが、私のために…

アズサ「ちなみにストームブリンガーは自身のサイズを持ち主の好きなように変えられるから、包丁サイズにして風で野菜を切ったりも出来るのよ~」

ユリコ「それは便利ですね!」

スバル「あれを見つけたとき、プロデューサーはすっげー喜んでてさ」

スバル「これでユリコが魔法を使っても倒れなくて済む、安心だって」

スバル「でも自分が無事に帰れるか保障はないから、これを預けた」

ユリコ「プロデューサーさん…」

私のために…

スバル「だからこのストームブリンガーは、ユリコに渡す、さあ、抜いてくれ」

ユリコ「はい!」

私はストームブリンガーの柄に手をかける

柄を握っただけでわかる、この剣の力が

荒れ狂う嵐も、穏やかなそよ風も、世界創造の始まりの風も、全てこの中にある

風を感じて、大地と呼吸を合わせて…今、私はこの剣を抜く!

ユリコ「あ、重い…!」

片手じゃ無理だった…!

結局私は、両手でぷるぷるしながら剣を抜いた

抜いた瞬間、重かった剣がまるで手に馴染むように、羽根のように軽くなる

ユリコ「…」

試しに一振りしてみる

すると剣から風の刃が飛び、剣の刺さっていた岩を両断した

ユリコ「すごい」

それしか感想が出て来なかった

視界の隅でスバルさんが何故か石を拾った

そしてそれを

スバル「せやっ!」

私のほうにサイドスローで投げた

ユリコ「きゃっ!?」

避けようとするが間に合わない

しかし…

ユリコ「…あれ?」

いつまで経っても石の衝撃はこなかった

スバル「やっぱりな…ユリコ、目を開けてよく見てろ」

ユリコ「は、はい」

今度はさっきよりも大きい石を、私のほうに放り投げる

するとその石は、私に辿り着く前に空中で粉々になった

ユリコ「今のは…」

アズサ「ストームブリンガーがユリコちゃんを守っているのね…持ち主に風のバリアを張る力もあるみたい」

風が私を守ってくれている…まるでプロデューサーさんのように

お城に戻ると、私はスバルさんが持ってきてくれた鞘にストームブリンガーを納め短剣サイズにする

ユリコ「スバルさん、アズサさん、ありがとうございました」

スバル「いや、こっちこそ本当は村に持っていくつもりだったのに…悪いな」

ユリコ「いえ、プロデューサーさんが私のために残してくれていたものを預かっててくれましたし」

アズサ「私達に出来るのはここまで、後はユリコちゃんに託すわ」

スバル「応援してるぜ!」

ユリコ「はい、必ず魔王を倒します!」

こうして私は、新たな力を得てお城を後にした

一旦ここまで

RPG2の後の設定だったか
一旦乙です

>>81
ゴーレムの肩に座った女の子役? 周防桃子(11) Vi
http://i.imgur.com/9ljd6Vu.jpg
http://i.imgur.com/jRRijdE.jpg

>>90
お城のメイドさん?役? 島原エレナ(17) Da
http://i.imgur.com/H1DFYLK.jpg
http://i.imgur.com/cjK3BDX.jpg

>>99
スバル役? 永吉昴(15) Da
http://i.imgur.com/stsBybJ.jpg
http://i.imgur.com/GaPwKRQ.jpg

>>101
アズサ役? 三浦あずさ(21) Vo
http://i.imgur.com/T7EFMaj.jpg
http://i.imgur.com/cwP1x4Y.jpg

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