侍「出兵はしゅっぺい」 (80)


兵隊「自分は明日死ぬのでありましょうか」

兵隊「あー、いくら最後の宴会になるかもしれないからってあんなこと言うんじゃなかったであります・・・」

ナ、ナンダキサマ?!! ドコカラハイッテキt グワァ-!!

兵隊「そ、外が騒がしいであります!何が起こったでありますか!?」

侍「助太刀いたすぞ兵隊殿」

兵隊「侍殿!?どうしてここに!」

侍「友を助けるのに理由なぞ不要」

兵隊「…侍殿」

侍「それに…実はまだッ兵隊殿に伝えねばならんことがあるのでござるよ」

兵隊「…なんのことでありますか?」

侍「……」

侍「拙者…『過去から来た』って言ったら笑う?」

兵隊「…え?」

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TV『物語はクライマックスへ!侍の秘密とは、兵隊の未来やいかに!次週「―大目本帝国万歳!―」』

男「これたぶん打ち切り…」

男「…うん今日も…平和だな」

男「発表日か…大丈夫、あれだけ頑張ったんだ。きっと合格してる」


【合格発表掲示板】


男「…あった!あったぞ!…ついにやったんだ…合格したんだ!エリート学園に!」クシャ

男「辛かった苦節十余年…ここまで長かったよ…男と言うだけで奴隷のように扱われ… 学校に行くだけでも大変だった…」

男「でもそれも今日までだ。今日からは僕も一人の学生として生きていけるんだ!」

人狼姉「おー!弟よ、受かってたみたいだな!」

吸血鬼姉「おめでとう」

男「狼姉にヴァ姉もわざわざ来てくれたんだ。こうして無事合格できたのも姉さんたちのおかげだよ。ほんとうにありがとう」

狼姉「ああ、流石にアイツは来れなかったが、おめでとうってさ」

男「そういう約束だったからね」

狼姉「あのヤロー死ぬほどグズりやがってメチャクチャ大変だったんだからな…」ボンヤリ

ヴァ姉「野郎ではないけど」

狼姉「こんな時まで細けーこと言うなよなぁ、まったくよー」


犬耳の獣人「せんぱーい!見たッスよ!おめでとうッス!」

男「後輩?!わざわざ来てくれたんだ!ありがとう」



ヴァ姉「アレはなにかしら?」

狼姉「せめて人扱いをだな…」



後輩「あー、いや、私用もあったんッスけどね」

男「?」

男「ご親戚の方が?」

後輩「いえ、自分の」

男「ん?自分って…後輩の?え…受けたの?そもそも、後輩はまだ受験じゃ」

後輩「飛び級したッス」

男「」



狼姉「あらま」

ヴァ姉「…犬風情が」



男「あ、ああ、そういえば頭良かったよね、ものすごく」

後輩「ちなみに!自分も受かってたので、これからはずっと一緒ッスよ!」

男「」



ヴァ姉「聞捨てならない単語が聞こえたわね」

狼姉「おいおい、今日は抑えてやれ。オレたちからの入学祝ってことでさ」

ヴァ姉「」ギリッ

ヴァ姉「…」ツー

狼姉「そこまでか…」



男「…うん…まぁ喜ばしいことなんだけど…そうも簡単に…僕が青春を犠牲にして手に入れたものをこうもあっさり…」

後輩「んなッ!なんで涙目になってるッスか!?そんなにいやなんスか…?」

男「いや、そんなことないよ。うれしいさ。後輩は僕を対等に扱ってくれた唯一の友達だったからね」

後輩「ならよかったッス!これからもよろしくお願いします、ッス!」

男「こちらこそよろしくね」

ヴァ姉「社交辞令は済んだようだし、もう帰りましょう」

狼姉「おいおい大人げねーな」

後輩「ほぁッ!?誰ッスか!?こちらのおねーさん方は!?」

男「ああ、この二人は」

ヴァ姉「この子の主人よ。それ以上私の所有物に近寄らないで」

後輩「」

男「ちょっ何を」

狼姉「何言ってんだお前は」

ヴァ姉「何もおかしくはない、弟は姉のもの、それは自然の摂理であり真理」

狼姉「お前いつもは冷めてる癖して稀にとんでもないこと言うよな」

狼姉「オレたちは両方こいつの姉だ、別に奴隷じゃないから安心しな」

男「的確な説明助かるよ…」

犬後輩「そうなんスか…心臓止まるかと思ったッス、いざというときは逃避行しようかと」

狼姉「あの一瞬でそこまで考えたのかよ…こいつも只者じゃねぇな」

ヴァ姉「夢物語ね。私から逃げ切るなんて不可能よ」

狼姉「なんでお前は張り合ってんだよ」

男「そしてなぜ当事者の僕がおいてけ堀くらってるの?」



狼姉「ああ、そうそう、本題忘れてた。これから家「ダメ」

狼姉「まだ何も「絶対にダメ」

狼姉「…」

ヴァ姉「…」


男「そういえば、家でお祝いしようかと思うんだけど後輩来てくれる?」

ヴァ姉「!」

狼姉「あ」


後輩「えッ!いいんスか!!」

男「もちろん「ダメ」だよ」


男「」

後輩「」

ヴァ姉「…」


狼姉「うぉい!?空気が凍りついちまったじゃねえか!お前の声真似はシャレにならん!」

狼姉「はぁ…実はもう準備してあるんだよ、今日はこっちに帰って来い」

男「あれ?そうなの?」

ヴァ姉「当然でしょう。約束は果たしたのだからもう別居の必要はないわ」

狼姉「別居て…まぁそういうことだ。実家からの方が近いんだし、それにアイツが…」

男「…あー」

後輩「あのぉ…話についていけなくて、端的に言っちゃうと寂しいッス。混ぜて欲しいッス」

狼姉「お、おお…素直だなお前。嫌いじゃないぞ」

ヴァ姉「雌犬には関係ないこと」

後輩「ヒドイッス…」

狼姉「お前は少し自重しろ」


男「言い過ぎだよヴァ姉」

ヴァ姉「…」

男「後輩は僕の唯一の友達なんだから」

後輩「セ、センパイ…!うれしいッス!一生ついていくッス!センパイ…いえ、アニキッ!わふっわふっ!」スリスリ

男「そんな大げさな、アハハ「良い話風にしようとしてるけど、他に友達居なかったの?」ハグゥァッ!」

狼姉「オレでもスルーしたのにお前ってヤツわーッ!?」

後輩「アニキー!!」

男「良いんだ…狼姉さん…事実だし、でも一人は居たんだ…僕は、幸せ、だったよ…」

後輩「アニキッ!死んじゃいやッス!」

男「犬後輩……、僕と…ま…まともにしゃべってくれたのは…君だけだった……。き…君といたこの数年……わ…わるく…なかったよ……。留年…しない…ようにね…… 後……輩……」

後輩「うわああぁぁぁぁぁぁぁぁッ!」

クスクス ナニアレ- ミチャイケマセン

狼姉「おい笑われてんぞ」

ヴァ姉「すぐに人工呼吸しなきゃ」

狼姉「お前も何言ってんだ!?」

ヴァ姉「気道確保」クイ

男「うぐッ」グン

ヴァ姉「大丈夫?すぐ楽にしてあげる」ムンズ

男「へぁ!?へぇふぁん?!あっへ!!ふぉーはんはから!!」

ヴァ姉「では頂きます」

狼姉「本音が出やがった!?」

後輩「衆人環視の中での羞恥プレイwith近親…薄い本が熱くなるッス!」

狼姉「お前も止めろよ!!」


スーツ姿にチョーカーを着けている麗人「君たちは何をしているんだい?」

狼姉「うぉおッ!唐突に出て来るなよ!」

ヴァ姉「首輪をつけた犬が二匹目…」フゥ

秘書「酷い言い草だね。それよりヴァ姉君少しはしゃぎ過ぎじゃないかな?嫌がっているよ」グイ

男「ぅあ」ポスン

ヴァ姉「あなたの目は腐っているのね」グイッ

男「んぐっ」ムギュ

狼姉「断言!?おもちゃ取り合う子供かお前ら!」

後輩「おお…!クールビューティVSイケメン…まさかこんな奇跡の連続を間近で見られるとは…!人生捨てたもんじゃないッス!」

狼姉「そんな年じゃないだろ…と言うかアイツはイケメンじゃないぞ?」

後輩「んなッ!?あんな二次元からそのまま出てきたようなイケメンがイケメンじゃない…!?さすがはアネゴッス!」

狼姉「誰がアネゴか。いや確かに美形だが、アイツ男じゃないぞ」

後輩「男装の麗人…!?そんなの、そんなのって…最高じゃないッスか!!」

狼姉「言うと思ったよ」

男「そろそろ助けて…」

秘書「安心して、僕がすぐに助けてあげるから。さぁ引きこもり君、嫌がっているのは分かっただろう。さっさとこちらに渡してくれないかな?」グイグイ

ヴァ姉「自覚がないの?これだから童貞は…磯臭いから近寄らないでくれる?」グイッ

秘書「ボクは女だ。ヒキニートと違って服もクリーニングに出しているしね」グイ-

ヴァ姉「毎度毎度イカ臭い服を預かる店員がかわいそうね。染みついた童貞臭がクリーニングごときで落ちるとでもおもうの?」ギュ-

秘書「相変わらず君の減らず口は一級品のようだね」スッ

ヴァ姉「あなたの語彙は貧困ね」バッ

秘書「フッまぁいいさ。君と言い争いをしに来たわけじゃない」

ヴァ姉「誰もあなたに用はないわ。早く土に還りなさい」ギュ

男「モガ…」ムギュ



後輩「心が軋むッス」

狼姉「奇遇だなオレもだ」



男「姉さん、少し言い過ぎじゃないかな?」ポン

ヴァ姉「…あいつが先に引きこもりって…」

男「それでも、さすがにあれは言い過ぎだよ。何故か僕も半泣きになったし」

ヴァ姉「……」

秘書「いや、いいんだよ。ボクが先に始めたのも事実だ。ごめん」

ヴァ姉「…ごめんなさい」

男「うん良かった、喧嘩するほど仲が良いって言うけど、親しき中にも礼儀ありとも言うし、気が置けない仲だからこそ言い過ぎに注意してね」ナデ

ヴァ姉「…ん」ニコ


後輩「お母さん…ッス」

狼姉「立派になったなぁ…」


秘書「…先に謝った僕にはしてくれないのかな?」

男「え、でも年上の女性にそ「その必要はない、右手が恋人なんだから恋人に撫でてもらえばいい。ついでに下半身でも慰めたら?」

秘書「ヒキニートの君と違ってボクは仕事が恋人だからね」

ヴァ姉「恋人がいるのに他の男に撫でてもらおうなんてとんだビッ○ね。そんなのだから童貞なんじゃない?」

秘書「童貞なのにビッ○?矛盾していないかな?とうとう現実と虚構の区別がつかなくなってしまったのかい?」

ヴァ姉「与えられた餌にはしたなく食い付く様はビッ○にしか見えないという意味だけど?」



男「まるで成長していない……!」

狼姉「だめっぽいなこりゃ」

犬後輩「だめっぽいッスね…」



狼姉「で、結局お前も祝いに来ただけか?」

秘書「おっと、ボクとしたことが忘れていたよ」

ヴァ姉「役立たず」ボソッ

秘書「理事長が倒れた」

男「」

狼姉「」

ヴァ姉「へぇ」

後輩「え、理事長って、アニキたちの関係者なんスか!?」

男「あ、ああ、うん、僕らの姉さん…」

狼姉「精神年齢は一番低いがな…しかし、風邪もひかないバカのアイツが倒れるなんて…」

後輩「ええ!?ちょ、さっきから置いてけぼり感ハンパないッス!!何がどうなってるッスか!?」

男「と、とにかく姉さんの容態は!?」

秘書「ああ、いや、たいしたことはないよ。禁断症状が出ただけだから」

男「え、まさか、姉さんが…!?そんな…」

狼姉「あいつ、いつの間にクスリなんて…!」


秘書「やっと弟君が帰って来ると思ったら我慢できなくなってそのまま倒れた、っていう感じかな?」

男「うん、意味は分からなかったけど無事なのはよくわかったよ」

狼姉「驚いて損したわ!」

ヴァ姉「案の定ね」

後輩「なんかよくわからないけど、無事なら良かったッス」

秘書「うん、でも、できればすぐに帰ってきてほしいんだ。車はボクが用意したから」

男「なにからなにまですみません…」

狼姉「世話かけてすまん…」

秘書「ふふっ、あれでも僕の雇い主なんでね」

ヴァ姉「私からも礼を言う。ありがとう」

秘書「…明日は嵐だな」

ヴァ姉「最低限の礼儀は通すわ。例え貴方でもね」

秘書「なんだ、『悪いな、このリムジンは四人乗りなんだ』とか言えない空気になってしまったね」

ヴァ姉「その時は私が運転するから安心してここに残りなさい。一人でね」


狼姉「やっぱり綺麗には終わらないな」

後輩「ッスねー」

男「姉さん…!」ウルッ

「「!?」」



【玄関前】

男「ああ、久しぶりの我が家だ。懐かしいなぁ」

狼姉「あれから数年、ほんとに一度も顔出さなかったもんな。まぁそういう条件で受験できたわけだが」

後輩「やっぱりそういうことだったッスね」

狼姉「ああ。しかもただでさえ溺愛してたし、隠してすらなかったからなぁ。大変だったぁ…」ボンヤリ

ヴァ姉「終わったことよ」

狼姉「一番わりくったのオレなんだが…」

ヴァ姉「あなたは隠すのが上手かっただけ。でしょう?」

狼姉「…」

秘書「昔話もいいけど、そろそろ構えておいたほうが良いよ?特に弟君はね」

男「アハハ、いくら姉さんでもそんな」ガチャッ

巨大な人影「」コォォォォォ

男「……バーサーカー……だと……!?」

狼姉「倒れてねーじゃん」

ヴァ姉「いつもより元気ね」

後輩「理性はどこかに置き去りっぽいッスけどね」

男「ツッコミどころ違う。いや合ってるけど何か違う。というか冷静に見てないで助けてくださいおねがいします」ガシ

男「ぁっ」グイッ

理事姉「」ダキッ

男「」

理事姉「…おかえり…なさい」ポロ

男「…ただいま。姉さん」ポンポン


狼姉「良い話だなー」

ヴァ姉「ずるい」

秘書「うらやましい」

後輩「萌えー!ッス」

狼姉「イイハナシダッタノニナー」


「「「「「カンパーイッ」」」」」

理事姉「ひゃっほーう!ヤローどもぉ宴だぁー!」

後輩「イェーー!!」

狼姉「はしゃぎ過ぎだろ」

ヴァ姉「ヤローではないけど」

狼姉「冷め過ぎだろ」

秘書「弟君はもう飲める年だったよね?ボクがとっておきのお酒を御馳走しよう。さぁ寝室へ」クイッ

男「」

狼姉「酔い過ぎだろ!?アホか!?」

秘書「大丈夫、まだ飲んでないよ。飲酒運転はいけないことだからね。」

狼姉「なおさらタチ悪いわ!」

秘書「…ん?ここで飲んでしまえば今日は泊まるしか…」

ヴァ姉「明日って燃えるゴミの日だったかしら」

狼姉「お前ら何する気だよ…」

理事姉「いえー!狼ちゃんも弟くんものんでるー?しゅやくがしらふじゃーかっこつかないわよー」ガシ

男「え、ちょ、うごっ」ガボンッ

狼姉「あ」

理事姉「そらのめー」グイ

男「」ゴポポポポポポ

狼姉「弟ーーーーーー!?」


秘書「何をしてるんだ君は」ベシッ

理事姉「あだっ」

秘書「弟君を[ピーーー]気か」

理事姉「だーいじょぶ、どすうひくめだから」ケラケラ

秘書「君の基準は当てにならないよ…」

狼姉「そもそもあれじゃ度数関係なくあぶねーよ!」

ヴァ姉「流石ね」

理事姉「てれちゃうなぁーもー」ケラケラ

ヴァ姉「羨ましいわ、その能天気さ」

狼姉「おい!大丈夫か!?」

男「」ビクンビクン

狼姉「あぁ…陸にあがった鯉のように…」

秘書「これはまずいね。早く寝室に連れて行ってカイホウしなければ」

狼姉「なにを!?」

秘書「ナニを」

後輩「イィィィエェェェ!!」

狼姉「うるせー!酔い過ぎだアホ!なんつーカオスか…」


ヴァ姉「」ガブッ

男「あっあっ」ビクンビクン


狼姉「拍車をかけるな、ツッコミ切れんから」


ヴァ姉「応急処置よ。幾らかマシになった?」フキ

男「…うー、あー……ちょっとだけ貧血気味だけど、楽になったよ…ありがとう」

秘書「それなら横になったほうが良いな。やっぱり寝室へ」

ヴァ姉「ここは貴方の家じゃないのよ」

秘書「…くっ」

狼姉「は、初めてまともなことを…!」

理事姉「わたしがゆるーす。秘書ちゃんもきょうからうちのこねー」

狼姉「勢いでとんでもないことを…!」

秘書「フッ、だそうだよ?」

ヴァ姉「…駄姉」チッ

男「悪態つきながらも従うんだ」

後輩「い、いぇ、うぶ、いう゛、イ゛ウ゛ェェェェ……」

男「…ヴァ姉、後輩にもしてあげてくれないかな…?」

ヴァ姉「ゲ○臭いから嫌よ」

狼姉「もう少しオブラートに包めよ…」

秘書「お風呂の用意はしてあるよ」

狼姉「おぉ!用意が良いな!」

秘書「ボクはそのままでもいいんだけど弟君に合わせようと思ってね。準備しておいたんだよ」

狼姉「そんなこったろうと思ったよ。まぁいいや、オレが入れてこようか?」

秘書「目に見えてツッコミが雑になったね」

後輩「アニキも一緒に入りましょー…お背中流すッスよ…」

男「遠慮しておきます」



理事姉「あー」

男「はい」ヒョイ

理事姉「パクッ」モグモグ

ヴァ姉「ん」

男「はい」ヒョイ

ヴァ姉「パクッ」モグモグ

男(楽しい)

狼姉「」スー…スー

後輩「ツッコミ疲れてアネゴは寝ちゃったッスね」

秘書「膝の上でね」

後輩「そういうのは犬の役割だと思うんスけど、今日は我慢するッス」

男「助かるよ。実は脚が痺れてきたんだ。できるだけ動かさないようにマッサージしないと」

秘書「フッならボクが揉んであげよう。主に下半身を隅々まで」

男「嘘ですごめんなさい」

ヴァ姉「ツッコミ役が寝てると大変ね」

男「他人事みたいに言わないでよ…」

理事姉「この子も寂しがってたからねー、隠してたみたいだけどお姉ちゃんの目はごまかせはしないわ」

ヴァ姉「あれだけそわそわしてたら誰でも気づくと思うけど」


後輩「ちなみに秘書さん何してるんスか?」

秘書「服の匂いを嗅いでるね」クンカクンカ

後輩「それアニキのじゃ」

秘書「当たり前だろう?」ハスハス

後輩「不思議そうな顔されても困るッス」

男「いやほんとに何してるんですか!?」

秘書「今構ってもらおうとするのは得策じゃないからね。脱ぎたての上着で我慢しようかと」スーッハーッ

ヴァ姉「それは我慢してるっていうのかしらね」

理事姉「手ー止まってるよー、もー」

男「あ、ごめん。じゃないよ、止めてよ!?」

理事姉「良いんじゃない?減るもんじゃなし」

男「恥ずかしいんだけど…」

理事姉「取り上げに行ったら狼ちゃん起きちゃうよ?」

狼姉「zzz」スヤー

男「くっ…守りたいこの寝顔…!」

秘書「計画通り」モグモグ

後輩「自分のアイデンティティが…」

ヴァ姉「ツッコミ役がいないと大変ね、ほんとうに」

【登校日】


男「今日が初登校だ。わくわくするなぁ!」

後輩「おはようッスアニキ。お迎えにあがったッス」

男「おはよう後輩」

後輩「実家が近くでよかったッス。これからは毎日来るッス!」

男「まさか歩いて行ける距離だとは思わなかったよ」

後輩「これはもう運命ッスね!」

男「そんな大げさな…でも毎日退屈しなくてすむよ」

後輩「そう言っていただけると嬉しいッス。んじゃ、行きましょう!」

ガヤガヤ ガヤガヤ 

男「うん、ほんとうに後輩が一緒で良かった」

後輩「当たり前のことッスけど女子ばっかッスね」

男「一人じゃ逃げ出してたかもしれないよ…」



後輩「心なしか視線を感じ…ん?なんかもっと注目されてそうな人が?」

男「?」クルッ





ザザーーーーーーーー



獅子娘「…」ザッザッザ…


シーン…




男「モーゼ!?」

後輩「みんな自然に道をあけてるッス」


獅子娘「…」ザッザッピタ…


【クラス分け掲示板】


獅子娘「…」ジー…


獅子娘「…」ザッザッザッ



………………ざわざわざわッ


後輩「ライオンの獣人ッスかー立派なたてがみだったッスね」

男「たてがみというかただの金色の長髪だとおもうけど…それにたてがみって雄だけなんじゃ…」

後輩「獣人をそこらの動物扱いすると怒られるッスよ?」

男「いやまあそうなんだけど、やっぱり関係ないんだね」

後輩「自分だってワンちゃん扱いは嫌ッスよ」

男「ここに三本のジャーキーがあるじゃろ」

後輩「ころしてでも うばいとる」

男「野犬並じゃないか!」



男「教室は…と」

後輩「あったッスよ!自分と同じッス!」

男「あ、ほんとだ。偶然って重なるんだなぁ」

後輩「んじゃ遅刻しないうちに行くッスよ」

男「そうだね」



【教室】

ガヤガヤガヤ

男「ここが僕らの教室か」

後輩「案外普通ッスね」

男「うん、まあ奇抜なのよりはずっといいよね」

後輩「座席表貼ってあるッスね…やったッス!また隣ッスよ!」

男「ここまでくるともう当たり前に感じるね」

後輩「あ、先生が来たみたいッス」


烏の羽を持つ獣人「おはようございます。まずは、みなさん入学おめでとう!」

ハピ先生「ワタシがあなたたちの担任になったハーピーです!これからよろしく~」


吸血鬼姉「私が副担任の吸血鬼よ」


理事長姉「お姉ちゃんが理事長で~す」


秘書姉「ボクはその秘書だ」


人狼姉「入学式そうそう何やっとんだ貴様ら」


ハピ先生「いやアンタもね?何してくれてんのアンタら他人のクラスで」ビキビキッ


理事姉「弟がクラスに馴染めてるか不安で…」オヨヨ

ハピ姉「理事長のせいで信じられないくらい浮いてるわね」


秘書「理事長が何かやらかさないか心配だったから付き添いをしている」

ハピ姉「アンタまで一緒になってやらかしてんじゃないの」


狼姉「こいつらが廊下歩いてるの見つけてな、嫌な予感がしたんでついてきた」

ハピ姉「アンタら二人に事前に止めるって考えはないの?」


ヴァ姉「副担任が教室に居て何かおかしい?」

地味な三つ編み眼鏡の新人教師「あ、あのぉ…副担任私なんですがぁ…」

ヴァ姉「そう、ならあなたは今日から副副担任ね」

新人教師「そ、そんなぁ…」グズッ


ハピ姉「新人イジメてんじゃないわよバカタレ!副副担任とか普通に考えて要らないし!」

ヴァ姉「概念は破ってこそ意味があるのよ」

ハピ先生「仮にも教師なら規則ぐらい守りなさいよ」


ハピ先生「理事長と秘書はともかく、いや十分ダメだけどね?とりあえず他二人は担任でしょ、クラスどうしたのよ?」

ヴァ姉・狼姉「新人に押し付けてきた」

ハピ先生「容赦ねーなアンタら」

ハピ先生「たぶん今頃半泣きになってるから、とっとと自分のクラスに帰ってやんなさい」

ヴァ姉「世間の荒波にもまれて人は成長するのよ」

ハピ先生「もっともらしいこと言ってるけど一番にもまれるべきはアンタでしょうね」

秘書「生徒の前でもまれるべきとかいやらしいな」

狼姉「存在自体が恥部のお前が言うな」



男「」

後輩「悪目立ち確定ッスね」

男「言っとる場合か!…ハッ!?」


ざわざわざわッ


男「すんごいみられてるぅーッ!」

後輩「大丈夫ッスよ!何があっても自分がいるッスから!」

男「嬉しいけど違う!このタイミングじゃ感動できない!誰かタスケテー!!」


ハピ先生「もういいからとっとと帰れ!みんなが困惑してるでしょうが!」

秘書「上司に命令口調とは感心しないね」

ハピ先生「上司らしい振る舞いをしてから言いなさいド変態野郎」

秘書「新入生の前で誤解されるようなこと言わないでくれるか?」


狼姉「いや事実だろ」

秘書「ボクは野郎じゃないぞ」

狼姉「そっちかよ」


理事姉「おーい!お姉ちゃん来たよー!」フリフリ

男「せっかく注意離れたのに戻すのはやめて!ボクのライフポイントはもう0よ!」

ハピ先生「自己紹介の時点で学級崩壊とか初体験だわ…そもそもしたことなかったけど」

新人教師「ぅう、何で私までこんな目にぃ…」


「これは何の騒ぎ?」


ハピ先生「げっ」ギョッ

新人教師「エヒィッ!」ビク


眼鏡スーツの先生「廊下に響き渡っているわよ。他のクラスに迷惑だからやめなさい」

ハピ先生「ごめんなさいちょっとイレギュラー共が「教師を」

ハピ先生「そこまで言う!?」

秘書「すまないね、理事長がどうしても行きたいと言って聴かないものだから」

理事姉「あー!ずっこい!自分だってソワソワしてたくせに!」

眼鏡スーツの先生「理事長、もう少し威厳を持ってもらわねば困ります」

理事姉「う、ごめん…」シュン

眼鏡スーツの先生「秘書、あなたはお目付け役も兼ねてるんだからもう少ししっかりしてちょうだい」

秘書「返す言葉もないよ」

眼鏡スーツの先生「吸血鬼と人狼は自分のクラスに戻りなさい。新人が涙目になってたわよ」

狼姉「う、まじかぁ?悪いことしたかな…」

ヴァ姉「情けないわね」

眼鏡スーツの先生「あなたと違って責任感が強いのよ」

眼鏡スーツの先生「…」チラ

男「?」

眼鏡スーツの先生「新人さん」

新人教師「ハイッ!」ビクビク

眼鏡スーツの先生「…怖がらせてごめんなさい、大丈夫…ではないでしょうけど」

眼鏡スーツの先生「悪い人達ではないからそのうち慣れるわ、大変でしょうけど頑張りなさい」

新人教師「あ、ありがとうございます」ビクビク

眼鏡スーツの先生「…それじゃあ私も行くわ」スタスタ


ハピ先生「お手数おかけしましたー」

後輩「すごいッスね…あの曲者シスターズを黙らせるなんて、おまけに美人だし」

男「只者じゃないのは確かなんだけど」

後輩「どうかしたッスか?」

男「…いや何でもない」

ハピ先生「ハイハイ、お話やめ!もうだいぶ時間食っちゃったから自己紹介は各自お願いね!資料配るわよ~新人ちゃんお願い」

新人教師「あ、は、はいっ!」

男「自己紹介の省略なんて聞いたことないよ!?」

後輩「たぶんさっきので結構コミュニケーション取れたからッスね。一部除き」

男「一部って、僕と後輩くらいじゃ…」クルッ




着崩した長い金髪の獅子娘「…」


豪華な椅子で紅茶を飲むお嬢様「…」ズズ


枕に突っ伏している猫耳「zzz」スヤー


目隠しをした中性的な少女「…」


布団をかぶりゲームする少女「…」カチャカチャッ


壺の蜂蜜を食べているクマ娘「クマー」モチャモチャ




男「僕の周りだけ面子濃過ぎィ…!」




ハピ先生「あ、あと弟君はあとで職員室来てねー」

男「え!なんで!?」

ハピ先生「今わかってないからかな?まあよろしく」

男「姉さん達のことは僕のせいじゃ…あ、まって!」

後輩「行っちゃったッスね」

男「どうしてこんなことに…」

後輩「自分も行くッスよ」

男「ありがとう。でも呼ばれたの僕だけだから、一人で行くよ」

後輩「うーん、なら仕方ないッス、分かったッス」

男「ごめんね。今日は先に帰ってて」

【職員室前廊下】

男「と、とりあえず職員室きたけど…何言われるんだろう…」

男「ああ、入りたくない…帰ろうかn…へ?」ポン

ハピ先生「いらっしゃーい」ニッコリ

男「」

ハピ先生「さー、立ち話もなんだから入りましょう?」

男「…ハイ」

【職員室】

ハピ先生「さて、何で呼ばれたのか、わかったかしら?」

男「姉さんたちのことかと…」

ハピ先生「まーそれもないこともないんだけどー、あれはあなたの所為じゃないでしょう?」

男「え、じゃあ何で?」

ハピ先生「あーやっぱりかぁ…まだ小っちゃかったもんねー」

ハピ先生「…あの娘のことは若干気づいてたのになぁ」

男「なにがなんだか…?」

ハピ先生「んー、ちょっと目閉じてくれるかな?」

男「ひ…ひと思いに右で…やってください」ギュ

ハピ先生「いや殴らないから…よいしょ」ファサ

男「!?」ムギュ

ハピ先生「何か思い出さない?」モフモフ

男「あれ、この感覚はどこかで…?」

ハピ先生「昔はよくこうやってお昼寝したんだけどなぁ」

男「まさか!?この高級羽毛布団に匹敵する肌触りと心良さは!?」


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ハピ姉「弟君ちょっと来てー」

男「はーい、ただいまー」

ハピ姉「早くー」

男「はいはい、なんでしょう?」

ハピ姉「近う寄れ」

男「?」

ハピ姉「お昼寝の時間だ」ガバッ

男「そ、そんなご無体なー!」

ハピ姉「よいではないかーよいではないかー」モゾモゾ

男「あっちょっ、ホントにまだ洗い物が、それにご飯の下準備も」

ハピ姉「んー、もう無理、寝ます。オヤスミナサイ」ムギュ

男「本気で寝るつもりだこの人。じゃなくて離して…」

ハピ姉「zzz」スヤー

男「あら可愛い寝息。でもなく!あ、ダメだこれ、羽根布団気持ちよすぎて寝ちゃう」

男「…ぅ……zzz」スー

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男「ハピ姉!?」

ハピ姉「やぁっと思い出したか!こいつめ!」ぐりぐり

男「あたた、ごめんなさいっ」

ハピ姉「何年振りかしらねー?こうして話すの」

男「僕も覚えてないですね」

ハピ姉「もうー敬語はよしてよー」

男「え、でも先生ですし」

ハピ姉「あなたのお姉さんたちに一人でも公私混同してない人いるかしら?」

男「ごめんなさい…」

ハピ姉「あはは冗談よ」

ハピ姉「でも他の娘が居ない時くらいは楽にしてくれると嬉しいかな?」

男「…うん、わかったよ。もう失うものなんてないし」

ハピ姉「ちょっと棘があるわね…」

男「冗談だよ」

ハピ姉「ちょっと見ない間にませちゃって~」モフモフ



狼姉「職員室でいちゃついてんじゃねーよ」

男「狼姉!?って、そういえばここ職員室だった」

ハピ姉「せっかく感動の再開を楽しんでたのに、やきもち?」

狼姉「アホか」

狼姉「周りの奴らが仕事手に就かねーってよ」

ハピ姉「んー、遊びすぎたわね。それじゃ今日はもういいわよ。また今度一緒にご飯でも食べましょう」

男「あっそれならいつでも家に来てください。こっちに住むことになったからいつでもご飯作りますよ」

ハピ姉「ほんとに!?最近お総菜とかばっかりだったから嬉しいわ。毎日通っちゃおうかしら?」

狼姉「教師としてどうなんだそれ」

男「僕は全然大丈夫ですけど」

ハピ姉「じゃあ早速今日から荷物まとめるわね」

狼姉「お前もいい加減壊れてきたな」


ハピ姉「家賃はちゃんと入れるから!!あれだけ広いんだから余ってる部屋あるんでしょ!?」

狼姉「必死過ぎだろ!マジで住む気かテメー!?」

秘書「楽しそうな話してるね?ボクも混ぜてよ」ヌッ

狼姉「目が笑ってないうえに青筋すげーんだけど」

男「いつの間にか雲行きが大変なことに…!」

狼姉「今回はお前のせいだぞ」

男「何も言い返せない…!」

秘書「だいたいそれならボクが先だろう、ずっと前から通ってるんだぞ!」

狼姉「クラブじゃねーから」

ハピ姉「大事なのは時間じゃなく思いの強さよ!」

狼姉「ぽっと出ヒロインかお前は」


「「ぐぬぬ」」


狼姉「おい言うことそれだけか!?もっと他何かないのかよ!?」

理事姉「逆に考えるんだ、一緒に住んじゃえばいいさと考えるんだ」


「「あなたが神か!?」」


狼姉「どこから現れた…そしてまた収拾がつかなくなったよ」



理事姉「いいじゃない、賑やかになって」

狼姉「アイツはどうすんだ」

理事姉「…なんくるないさー!」

狼姉「オレしらねーぞ…でもまぁそういうことだ弟よ。報告とフォローは任せたぞ」

男「」

理事姉「やったね弟ちゃん!家族が増えるよ!」

狼姉「苦労も増えるな」

男「ヒャメロー!」

狼姉「自分で蒔いた種なんだ、自分で収穫しなきゃな?」ニッコリ

男「姉さんが与えた肥料でとんでもない突然変異起きたんだけど!?」

秘書「それじゃボクはこれで。あ、ちなみに荷造りはもう済んでるから今日中にでも行かせて貰うよ」

男「予測してたの!?」

狼姉「用意周到過ぎるだろ、いつから準備してた?」

秘書「始めから」

狼姉「何の始めだよ!?会話か!?」

秘書「ボクは昔から弟君との暮らしを夢見ていたんだ」

ハピ姉「世間はそれを変質者、またはストーカーと言うのよ」

秘書「フッなんとでも言うがいいさ。だがそれでも、勝ったのはこのボクだ!」

理事姉「なぁんだ一緒に住みたいなら早く言えば良かったのに~」

秘書「」

ハピ姉「ボロ負けじゃない」

狼姉「身も蓋も無いな」

男「もうやめたげてよぉ!」

秘書「まぁいいさ。今夜は弟君の部屋でたっぷり慰めてもらうとしよう」

男「部屋までは勘弁して下さい…」

狼姉「めげねぇなこいつ」

ハピ姉「ここまでくると尊敬に値するわ」



ヴァ姉「何を言っているのか理解できない」

男「いや、あの、えっと、だから…」

ヴァ姉「どうしたの?怖いことでもあった?大丈夫、脅されているのなら言ってみなさい。明日には全部終わるから」

男「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなふぁいっ」ムギュ

ヴァ姉「怖いことなんて何もない。大丈夫よ。お姉ちゃんが全部なんとかしてあげるから」ギュ

男(僕もう疲れたよ)ナデナデ

男「姉さん!」ガバッ

ヴァ姉「どうしたの?」

男「これを…」オズ

ヴァ姉「?」ペラッ

『あなたがこれを読んでいるということは私はもう』ビリビリッ

ヴァ姉「案にたがわず駄姉の仕業ね」ボッ

男「」ガタガタ

ヴァ姉「こんなものを用意する暇があるなら自分で言いにくれば良いものを」

ヴァ姉「あなたも嫌なら嫌と言っていいのよ?」クルッ

男「ごめん、今回は僕が原因なんだ」

ヴァ姉「そう」ナデナデ

男「怒らないの?」

ヴァ姉「何か悪いことをしたの?」ナデナデ

男「してない…かな?」

ヴァ姉「ならいいわ」ギュ

男「…ありがとう姉さん」

ヴァ姉「姉は弟に甘いものなのよ」モフモフ


男(体が動かない。夢を見ているようだ)

男(首輪がされている)

凛々しい声「…お前は私のものだ、そうだろう?」スッ

凛々しい声「…」ナデ

チュンチュン…チチチチッ

男「なんだったんだろう…今の夢…」

男「懐かしいような…」

男「…起きよう」


秘書「おや?早起きだね。おはよう」

男「あ、おはようございます秘書さん」

秘書「ちょうどいい、紅茶でも入れようか」スクッ

男「では遠慮なくいただきます」ストン

秘書「遠慮なくと言いながら距離を感じるな」カチャカチャ

秘書「敬語もさん付けも無しにしよう。これからは一緒に暮らすんだ、君の姉たちと同じよう家族として扱ってくれ」トポポポ

男「うん、そうだよね。タイミングが分からなくなっちゃって。これからは気を付けるよ」

秘書「それとそろそろ同衾してもいい頃だと思うんだが」スタスタ

男「それは遠慮するよ」

秘書「残念だ」コトン

男「ありがとう秘書姉」カタッ ズズ

秘書「…もう一度言ってくれないかな?」ピクッ

男「ありがとう?」

秘書「そのあと」

男「秘書姉」

秘書「アッ…コレ…イイ…」ビクンビクン

男「顔が危ない」ガチャ「んー…くぁ~あっ弟くん~おあyぎゃにゃーーーーー!?」

男「第一の被害者が…」ドタドタドタ「ど、どうした!なにがあっうぉぉぉぉぉぉ!?」

ガチャ

ヴァ姉「朝からうるさいわね……この蠢く化け物はなに?」

理事姉「も~みんなうるさいよ~って秘書ちゃんどうしたの?静かな丘に住むクリーチャーみたい」


秘書「……ボクとしたことがつい取り乱してしまったよ」フゥ

男「あ、元に戻った」

ハピ姉「っあ、アンタなんつー顔してんのよ!?心臓止まるかと思ったでしょうが!」

狼姉「生物のしていい顔じゃなかったな…いやそもそも顔には見えなかったが」

ヴァ姉「生理的嫌悪感を催す動きだったわね」

秘書「酷い言われようだね」

ハピ姉「理事姉はともかく、弟君よく平気だったわね」

男「一部始終見てたからね。知らなかったら気絶してたと思うよ」

狼姉「ありゃ普通知ってても気絶するもんだと思うんだが…」

男「どんな姿になっても姉さんは姉さんだよ」

秘書「」キュン

ヴァ姉「気持ち悪いからときめかないでくれる?」ピキッ

理事姉「流石弟ちゃんね。頑張って育てた甲斐があったわ」フンス

狼姉「ある意味心配なんだが」

ハピ姉「あれを見た後だからこそ素直に喜べないわね…」


ハピ姉「えー今日は1限から自己紹介をします」

男「あれ?各自でするようにって」

ハピ姉「そんなクラス見たことないと同僚に叱られました」

後輩「あのメガネの先生っすね」

ハピ姉「そんなこたどうでもいいのよ。それと同時に出欠もとるから名前ははっきり言ってね」

ハピ姉「では、一番前の子から順にお願いします」

ワイワイ ガヤガヤ

ハピ姉「んじゃ次弟くんねー」

ジッ…

男「ハ、ハイ」

後輩「注目度ハンパないッスね」



男「人間種の男です!いつかは男として、一人の人間として認めて貰えるよう頑張ります!よろしくお願いします!」ガバ



パチパチパチ


ハピ姉「はい、ありがとー。んじゃ次ー、後輩ちゃんねー」



後輩「犬後輩ッス。アニキの唯一の友達兼第一の舎弟ッス。よろしくお願いするッス」スッ


パチパチパチ ザワザワザワ


男「舎弟は余計だったかなーって」

後輩「マーキングは大事なんス。右腕の座は誰にも譲らないッス」フンスッ



ハピ姉「次、獅子娘ちゃん」


ピタッシーン…



獅子娘 ガタッ「……獅子娘」ストン



シーン…パチ パチ パチパチ


後輩(怖そうな人ッスね)

男(そうかなぁ?)



ハピ姉「次ーお嬢様ちゃん」



豪華な椅子に座るお嬢様「朱雀一族の次代頭首、朱雀と申します。以後お見知りおきを」



パチパチパチパチ


男(朱雀って言ったら…あの名門のかぁ)

後輩(貴族で財閥っていうありえないほどの大金持ちッスね。成金とは違う気品を感じるッス)




ハピ姉「ほい次…って寝てんじゃないわよー。起きなさい」



枕に突っ伏していた猫耳「ん゛にゃ゛…うるさいにゃー…にゃんにゃのー?」


ハピ姉「自己紹介だっての。終わったら寝て良いからとっととなさい」


枕に突っ伏していた猫耳「んあぁー、んー、くかぁ~~あ」ノビー


ハピ姉「マイペース過ぎよ。もうだいたいどんな子か分かったから名前だけでも言いなさい」


枕に突っ伏した猫耳「猫娘」モフッ




後輩(すごいッスね…)

男(一応ここの入試って最難関な筈なんだけど…)



ハピ姉「どっと疲れたわ…えー、次ーって居ねーし…」


ハピ姉「あー…まあいいや次」


男(えっ良いの!?)

後輩(良くはなくともどうしようもないッスからね)




目隠しをした中性的な少女「天使です。仲良くしてください」



後輩(なんで目隠ししてるんスかね?)

男(聴いちゃいけない理由かもしれないから気を付けようか)


天使「この目隠しは正義を成すためのもの。目が見えないわけではありませんのでご安心ください」


後輩「あれで聞こえてたんスか!?」

男「ご、ごめんなさい!こそこそと…」

天使「いいえ、あなたの優しいお心遣い、胸が温かくなりましたよ」ニッコリ

男「うぅ…」

後輩「ぐうの音も出ない聖人っすね…」


ハピ姉「はいはい、次クマちゃんなんだけどー」


壺の蜂蜜を食べているクマ娘「クマー」モチャモチャ


ハピ姉「蜂蜜は後にしてくんないかしら」


壺の蜂蜜を食べていたクマ娘「クマッ!?」ベチャッ


ハピ姉「あ~もう!んじゃ食べてていいから名前!」


壺の蜂蜜を食べているクマ娘「クマクマー」モッチャモッチャ


ハピ姉「ああうんもういいわそれで」


ハピ姉「んじゃこれで自己紹介終わるけど弟君後で職員室来てね~」

男「いやちょっと本当になんでですか…?」

ハピ姉「ちょっとお願い事があるのよ。まぁ、話自体はすぐ終わるから」

男「嫌な予感しかしない」


【職員室】

男「それで話っていうのは?」

ハピ姉「話というのは他でもない、亀娘ちゃんのことよ」

男「他でもないと言われても全く知らない人なんですけど…」

ハピ姉「今日一人来てない子いたでしょ?」

男「ああ、そういえば」

ハピ姉「その子が亀娘ちゃん」

ハピ姉「その亀娘ちゃんの家のハウスキーパーをお願いしたいのよ」

男「家政婦ってことですか?」

ハピ姉「そんな感じ。んで、ついでに弟君から学校来るように説得してくれない?」

男「え!?説得ですか!?」

ハピ姉「一応学力的には全く問題ないしうちは実力重視だから試験さえパスすればOKなんだけど」

男「というか何でわざわざ僕なんですか?生徒会長とか風紀委員長とか相応しい人いっぱいいるんじゃ…」

ハピ姉「確かに普通そうなんだけどー、あの子怠け者でそういうタイプの人毛嫌いするのよねー」

ハピ姉「それにアフターケアも必要だろうし」

飽きてないです。続き書いてないのでいったん止めようかと


男「それで同じクラスで頼みやすく断りにくいであろう僕に白羽の矢が立ったと…」

ハピ姉「Exactly!(そのとおりでございます!)」

男「そんな気持ちよく肯定されましても!」

ハピ姉「それだけじゃないのよ?世話やくの好きなタイプだし適任かなーって」

男「確かにそうですけど」

ハピ姉「ちゃんと報酬も払うわよ?」

男「…報酬」ピクッ

ハピ姉「学食の券三ヶ月分」ポン

男「さ、三ヶ月分!?最高レベルの学食と噂の食堂で三ヶ月タダ…!」

男「ちょっと怖くなってきたんですけど…財閥のご息女さんとか?」

ハピ姉「まぁそんなところかな」

ハピ姉「とはいえ亀娘ちゃんマンションに独り暮らしだからあんま気にしなくても大丈夫よ」

男「独り暮らし!?お金持ちなのに自立してるなんてすごいなぁ」

ハピ姉「引きこもりなんだけどね」

男「いやまぁそうなんでしょうけど…」

ハピ姉「親御さん心配してるらしいのよねー家事なんてできない癖に独り暮らしするってメイドも連れてかないって」

男「よく独り暮らし許しましたね?!」

ハピ姉「こんなこと頼んでくるくらいの親バカだし」

男「理解があるんだかないんだか…」

ハピ姉「んでどうする?やる?」

男「やりましょう!やらせてください!」



秘書「そんなにヤりたいならボクが居るじゃない!」ガラッ



ハピ姉「出たな変態!どこから嗅ぎつけてきた!」

男「」

秘書「水臭い…いや磯臭いじゃないか弟君!ボクに頼めばいつだって」ガッシ

男「」

ハピ姉「言い直してんじゃねーよバカ!とっとと離れろ!そして帰れ!」ググッ

秘書「煩わしいな。ボクは今弟君と愛の語らいを」グググッ

ハピ姉「一方的な下ネタを語り合いとは言わないんだよ!弟君ショートしちゃってんじゃないの!」

男「助けて…」


男「…ここだ」

男「これかな?」カチ

男「…」

男「…部屋間違って…ないか」

男「扉開いてるのかな」カチャ

男「開いてる…不用心だなぁ」

男「ごめんくださ―――」ギィ

【室内】

男「」

男「なん…だと…!?」

男「足の踏み場がない…?!汚すぎる…!」

男「亀娘さん!?亀娘さんいますか!?」

盛り上がった布団「」モゾ

盛り上がった布団「…うるさい」

男「…とりあえず掃除させてもらいますよ!良いですね!?」

盛り上がった布団「勝手にやって…」

?掃除中?

男「カップ麺ばっかり…ろくに炊事してないな…」ガサ

男「ああああ絶対虫湧いてるよこれぇ…」

男「マスク買ってくればよかった…せめて窓開けよう…」ガラ

男「掃除機掛けますから!どいてください!」ガーガー

布団「……」モゾッモゾッ

?掃除終了?

男「終わった!すごい!僕すごい!」

男「見てくださいよこれ!こんなに綺麗になりましたよ!」

布団「zzz」

男「気持ちよさそうに寝てやがるぜ…ぐっすり…」

男「はぁ…ご飯作ろう」ガサ

トントントントン

布団「zzz…zz……?」

布団「…?」クンクン

布団「…味噌汁」モゾ

男「あ、起きた?」クル

男「お風呂湧いてるからご飯の前に入ってきたら?」コトコト

亀娘「……誰だっけ?」

男「クラスメイトの家政婦」ザッ

亀娘「そういえば…」

亀娘「…入ってくる」

男「はいはい」ガコッジャ-

?しばらくの後?

亀娘「上がった」ホカホカ

男「それじゃご飯出来たから帰るね」

亀娘「…食べていかないの?」スト

男「うん?お邪魔じゃない?」

亀娘「別にいい」カチャ

男「それじゃ、お言葉に甘えようかな」スト

「「頂きます」」

亀娘「おいしい」モムモム

男「それは良かった」ニコニコ

亀娘「何にやけてるの」

男「なんでだろうね」

「「ごちそうさま」」

男「それじゃほんとうに帰るね」

亀娘「なんで?」

男「え?だってもう暗いし」

亀娘「ハウスキーパーは普通住み込み」

男「え゙!?」

亀娘「契約書は?」

男「け、契約書…」

?回想?

ハピ姉「前が見えねえ…」ボロ

秘書「腕が痛くて動かないんだ…」ボロ

狼姉「職員室で暴れんなアホ」

目つきの鋭い灰髪の教師「馬鹿かテメェら?」

灰髪教師「おい」クル

灰髪教師「じゃれつくのは構わねえが俺様の目に入らねえトコで…」

男「す、すみませんでした…」チラ

灰髪教師「…」ウズ

灰髪教師「なぁお前ちょっと」

狼姉「うちの弟になんか用かよ」

灰髪教師「よりにもよってテメェかよ…」

灰髪教師「はぁ…興ざめだわ…飯行ってくる」

狼姉「失礼な奴だな」

狼姉「オレも行くけどお前らもう暴れんなよ」

秘書・ハピ姉「ウス」

秘書「ボクも書類片付けないと」

ハピ姉「あんたが仕事残してるなんて珍しいわね」

秘書「理事長が逃げたんでね」

男「ほんとすいません!」

ハピ姉「あんたも苦労してんのね…」

秘書「じゃまたね弟君」

男「お疲れ様です」


ハピ姉「そんでこれ契約書ね」

男「なんか本格的ですね」

ハピ姉「まあ形ばっかりだけど一応ね」

ハピ姉「名前書いて判子押してくれたら私が預かっとくから。あ、指でいいよ」

男「えと…これでいいですか?」サラサラッポン

ハピ姉「これが前金ね」

男「貰っていいんですか?」

ハピ姉「やり遂げてくれたらもう半分よ。契約期間はとりあえず半月」

男「短いんですね、三ヶ月きっちりかと思ったんですけど」

ハピ姉「そんなケチ臭いこと言わないわよ」

ハピ姉「上手くいってるようなら向こうから正式に依頼来るかもね」

男「正式にと言いますと…?」

ハピ姉「ガチ給料発生します」

男「!」

ハピ姉「ちなみにうちの新任より恐らく多いです」

男「!!」

ハピ姉「じゃ今日からだから頑張ってね」

男「ハイ!…って、え!?」

?回想終了?

男「読んでないです」

亀娘「基本以前の問題」

男「うぐ、ま、まあ今日はただ働きってことで…」

亀娘「違反したときの罰則は確認した?」

男「してないです…」

亀娘「なら帰らないのが無難」

男「ほ、ほら家族が心配するし!」

亀娘「電話そこ」

男「…」ppp

男「…」prrr

『もしもし』pi

男「あ、もしもし姉さん?」

『なんだ弟か、どこからかけてんだ?』

男「えと…バイト先」

『バイト?!どうした小遣いくらいやるぞ?』

男「いやうん、ハピ姉に頼まれたんだよ」

『なんだ訳ありか?アイツがそんなことさせるとは思ってねえけど危ないことはすんなよ?』

男「うん大丈夫」

『困ったことがあったらすぐ言うんだぞ。それから』

男「わ、わかってるよ…ハピ姉居る?」

『…呼んでくる』

男「うんお願い」

ゴト『オイ!デンワ!トットトコイ!――』ダダダ


ガチャ『はいはい私だけどなんかあった?』

男「契約書のことなんだけど」

『うんあるよ?』

男「契約条項なんて書いてある?」

『えっとー?期間は半月、ハウスキーパーの基本事項を遵守、ひいては雇い主に従うこと』

男「違反したときの罰則ってなんて書いてあるかな?」

『う~んとね~』ペラッペラッ

『…契約不履行、また一方的な契約破棄の場合…裁判を行う』

男「」

『いやぁまさかこんなガッチガチなの作ってるとは思わなかったわ』

『いやでもまぁ無茶は言わんでしょ?』

男「半月お泊まりが確定しました」

『』

『…え?じゃあご飯誰が作るの?』

男「…ご自分でどうぞ」

『まって、ちょっと、私が殺』pi

男「はぁ…帰りにご飯だけ作りに行かなきゃ…」

亀娘「終わった?」

男「うん許可下りたよ」

?しばらくの後?

亀娘「」ウトウト

男「おやすみ」

亀娘「…ん」トコトコ

男「…ソファで寝よう」

【翌朝】

男「…―――んー」

男「何時だろ」カチャ

男「―――よっし朝ご飯作ろう」モゾ

男「…足が重い」スッ

亀娘「zzz」スー

男「うん、もう慣れた」モゾモゾ

亀娘「」モゾ

男「ご飯出来たら起こすから」ソッ

男「んー」グッグッ

男「あー…みんな朝ご飯どうしてるかな」

【実家】

狼姉「…」

秘書姉「…」

ヴァ姉「…」

理事姉「…」

ハピ姉「…」

?昨晩の回想?

狼姉「そんでいつ帰るって?」

ハピ姉「……………ツキ」ボソ

狼姉「あん?何で小声なんだ?」

ハピ姉「半月ッス」

狼姉「」

狼姉「は?」

ハピ姉「半月泊まり込みらしいッス」

狼姉「」ボー

狼姉「うん」コクン

狼姉「うん?」カクッ

狼姉「おもしろいじょうだんだねけっさくだよあっはっは」カクッカクッ

ハピ姉「いやガチっす」


狼姉「うわあああああああああああああああああああああ」ガクガクッ

狼姉「おまえだけはゆるさない…!! ぜったいぜったいぜーーーーったいだ!! ゆるさないぞ!!!」ダンッダンッ

ハピ姉「反省してまース」ピ?


ガチャ「さっきから君達はいったい何を」

秘書「……普段まともな人が狂うと流石に怖いな」


スタスタ「今度はいったい何」トトト「どうしたのー?」

ヴァ姉「……酷いことになってるわね…久しぶりに言葉を失ったわ」

理事姉「な、なにこれ?」

?説明終了?

秘書「…そうか」

理事姉「…」

ヴァ姉「…」

狼姉「ッヒグ」グズ


ハピ姉「わざとじゃないんですほんとうに」ボロ

秘書「…まぁボクは比較的少ないダメージで済んだけど…」

理事姉「…」

ヴァ姉「…」

狼姉「…」グズ

秘書「どうしてくれるのこれ収拾つかないよ?」

ハピ姉「返す言葉もございません」ボロ

秘書「ごめんで済んだら警察要らないんだよ?」

ハピ姉「玄武さんの所に行って交渉してきます…」

秘書「そんなの無駄だよ。もしお嬢さんが気に入ったなら手放さないだろうし逆ならもう帰って来てる頃だ」

ハピ姉「ハイ…」


秘書「はぁ…君を責めても仕方ない。問題はこの半月をどう乗り切るかだ」

ヴァ姉「…寝るわ」スタスタ

狼姉「…」トボトボ

理事姉「………」

秘書「早くも一家離散の危機だな」

ハピ姉「やっぱり玄武さんの所行ってくるわ…」

秘書「…折角更生の兆しが見えてるのにその機会を奪うのかい?」

秘書「それは余りにも残酷だと思うけど」

ハピ姉「で、でもあそこまで落ち込まれたら…」

秘書「確かにあのお人好し一家だ…事情を話せばすぐにでも契約を解いてくれるだろうね」

秘書「でも与えたそばから取り上げるなんてそれは身勝手すぎるんじゃないかな」

ハピ姉「せっ、せめて期間を短くしてもらうとか!」

秘書「きみはじつにばかだな」フゥ-

秘書「それじゃあ全員にしこりが残るだけだ」

ハピ姉「正論だけどクッソムカつく……!」ギリッ


秘書「あのブラコン共が折れてくれたんだ、汲み取ってやってくれ」

ハピ姉「…あとでなんかお詫びするわ」

秘書「別に要らない。どうせ大したものじゃないし」

ハピ姉「そろそろアンタだけは殴ってもいいと思うのよね私」ビキッ

秘書「気が変わった、お詫びは手羽先が良いな。調理はボクがしよう」

【至る現在】

狼姉「…」モグ

秘書「…」ズズ

理事姉「…」

ハピ姉「…」

ヴァ姉「…」スクッ

スタスタ「…」

ガチャ「」スタスタ

ピンポ-ン「おはようございまース!先輩いるッスかー!」

秘書「…」スタスタ

秘書「すまないね弟君は今出張中だ」ガチャ

後輩「え?!あれ!?何で秘書さんいるんスか!?」

秘書「色々あってね。ハーピーと一緒に引っ越ししたんだ」

後輩「…教師と生徒が一つ屋根の下ってありなんスかね?」

秘書「バレなければどうということはない」

後輩「あと出張中っていうのはどういうことッスか?」

秘書「そのままの意味だよ」


【説明中】

後輩「なるほど大体わかったッス」

後輩「これからは亀娘ちゃんちにお迎えにあがれば良いってことッスね」

秘書「理解できたかは置いといて大体あってるね」

後輩「んじゃお先に学校行ってくるッス」

秘書「そういわず少し上がっていきなよ、時間はまだまだあるんだからね」

後輩「え、でも早く先輩に会いたいんスけど」

秘書「特別にボクがコーヒーでも入れよう」グイグイ

後輩「自分コーヒー飲めないッス、ミルクの方が好きッス」

秘書「この台詞が弟君だったらなぁ」


狼姉「…」

ハピ姉「…」

理事姉「…」

後輩「…」

秘書「さあ座って」スタスタ

後輩「いやなんスかこれお通夜じゃないッスかやだー」ボソボソ

秘書「君を一人で逝かせはしない」カチャカチャ

後輩「道連れにする時に言っていい台詞じゃないッスよねそれ」ボソボソ

秘書「この現実をぶち殺してくれ」ボソボソ

後輩「現実逃避は一人でやってほしいッス…」ボソボソ


ハピ姉「…いらっしゃい後輩ちゃん」

後輩「あ、おはようございまス…」

ハピ姉「…朝から甲斐甲斐しくお迎えなんて仲が良いのね」

狼姉「」ピク

後輩(この状況で話振ってくるとかなんなんスか!)

ハピ姉(死なば諸共、ここに足を踏み入れたのがあなたの運の尽きよ)

後輩(教師の言っていい台詞じゃないッス!鬼畜の所業ッス!)

ハピ姉(なんとでも言うが良いわ!もはや失うものなんてないのよ!)

後輩(鬼畜!馬鹿!鶏頭牛後!)

ハピ姉(ぶっ飛ばすわよ)

後輩(…)

狼姉「!」ダッ

ガチャ「」バタン

ハピ姉「な、なに?どうしたのあれ?」

秘書「学園に行けば会えることに今気づいたんだろうね」

後輩「自分も早くいきたいんスけど」


理事姉「あーーーーーーーーーー!!」

「「!?」」ビクッ

秘書「今度は何だい?」

理事姉「お姉ちゃん良いこと思いついたわ!」

ハピ姉「だからっていきなり大声出さないでよ」

ハピ姉「アンタまで発狂したかと思ったわ…」

後輩「びっくりしたッス」

【高層マンション】

亀娘「zzz…zz…?」モゾ

亀娘「…居ない」

男「おはよう、もうすぐご飯できるから顔洗ってきな」

亀娘「ん」トコトコ

「「いただきます」」

男「亀娘ちゃん学校は?」

亀娘「面倒だからいかない」

男「必要ないっていうのは聞いてるけど」

男「できれば行って欲しいかなぁ…」

亀娘「なんで?」

男「ご両親が心配してる、先生もね」

亀娘「面倒」

男「寝ててもいいから一応学園に行くっていうのは?」

亀娘「歩きたくない」

男「…ここから学園すごい近いと思うんだけど……」

亀娘「降りるのが面倒」

男「エレベーターあるのに?!なんでマンション借りたの!?」

亀娘「お母さんに任せた」

男「下見ぐらいしようよ…」

亀娘「amezonがあるから問題ない」

男「配送業者さんごめんなさい…」


【しばらく後】

男「それじゃ学園行ってくるから」

亀娘「まだ時間あるはず」

男「お弁当届けなくちゃいけないからね」

亀娘「…やっぱり行く」

男「それじゃあ待ってるよ、着替えアイロンかけておいたから」

男「あと亀娘ちゃんの分もお弁当作ってあるから安心してね」

亀娘「謀ったな!」

男「謀ってないよ」

亀娘「仕方ないから今日は許す」

男「ありがとうございます」

【職員室】

灰髪教師「……」

狼姉「」ソワソワ

狼姉「」チラ

狼姉「」ソワソワ

灰髪教師「…………」

狼姉「」ソワソワ

狼姉「」チラ

灰髪教師「オイ鬱陶しいから止めろや」

狼姉「…」チラ

狼姉「…はぁ」フルフル

灰髪教師「」イラッ

灰髪教師「テメエあんま調子扱いてッと――!」

狼姉「!」ピクッ

狼姉「……」キョロキョロ

灰髪教師「無視してんじゃねえ!」


狼姉「」スタスタ

狼姉「」ガラッ

男「うあ!」

狼姉「うお」

男「び、びっくりしたぁ…おはよう狼姉」

狼姉「おうおはよう、ちゃんと寝れたか?」

男「子どもじゃないんだから…それとこれお弁当」スッ

狼姉「なんだわざわざ作ってきてくれたのか」

男「姉さんたちどうせ学食で食べようとするでしょ?しかも一番高いやつ」

男「面倒だからってあんなに高いの食べてたらお金すぐ無くなっちゃうよ」

狼姉「おまえなぁ、オレたち結構貰ってんだぞ?学食ぐらいで飛ぶかよ」

男「それにもしここの高級料理に慣れちゃったらもうご飯つくる自信ないよ…」

狼姉「そいつは困るぞ、毎日外食なんか自炊より面倒だ」

男「帰りにご飯作っていくからちゃんと食べてね?」

狼姉「くぅう良くできた弟だなぁ!こいつめー!」ワシワシ

男「あがががが!ちょっと力加減を!もげちゃう!」グワンッ

狼姉「おっと悪ぃ!」パッ

男「ん、他の皆は?」コキッ

狼姉「さあな、ヴァ姉の奴はどっかに居ると思うが」

狼姉「他の奴らはまだ来てないんじゃねえか?」

男「お弁当渡すために早く来たのが裏目に…」


ヴァ姉「そろそろいいかしら?」ギュ

男「」

狼姉「お前はいつも唐突だな」

男「流石に恥ずかしいからやめて…」

ヴァ姉「見せつけてやればいいのよ」モフモフ

狼姉「やだなんか卑猥」


男「これ姉さんの分ね」

ヴァ姉「ありがとう」

男「それじゃ用は済んだし仕事の邪魔しちゃ悪いからそろそろ戻るね」

ヴァ姉「気にしなくていいのよ。誰もろくに仕事なんてしてないから」

狼姉「いや他の奴らは普通にやってるからな」

ヴァ姉「それにしては仕事が遅いようね」

灰髪教師「」イラ

狼姉「全方位に喧嘩売るなよ…」

男「じゃ、じゃあ僕はこれで…」

スッ「理事長はまだご自宅?」

男「うわっ」

眼鏡教師「あらごめんなさい」

狼姉「あー今日は先に出ちまったからわかんねえや」

ヴァ姉「三馬鹿なら生徒連れてお茶会だそうよ」

眼鏡教師「…ご自分の立場わかってるのかしらあの人」

狼姉「まぁ今まで問題なかったし」

眼鏡教師「そういう問題じゃないのだけど」

眼鏡教師「それでこの子は?」

男「すいません、すぐに戻りますので…」

ヴァ姉「私の弟」

眼鏡教師「知ってるわよそんなこと」

狼姉「弁当届けに来てくれたんだとよ」

眼鏡教師「そう、他に用が無いなら長居しないように」

男「す、すみません」

眼鏡教師「それと人狼、これを理事長に渡しておいて」スッ

狼姉「おう」

眼鏡教師「次の準備があるから私は行くわね」スタスタ

ヴァ姉「私も行くわ」

男「うん、いってらっしゃい」

ヴァ姉「またね」スタスタ

男「あ、狼姉お弁当もついでに」

狼姉「それはお前が持ってってやれ、でなきゃ教室まで来るぞ」

男「確かに自分で渡した方が早そうだね…」


灰髪教師「…」スンスン

灰髪教師「オイ犬コロ」ガタ

男「え、あ、ハイ!?」

灰髪教師「そいつ余ってねえか?」

男「お、お弁当ですか?一つなら…」

灰髪教師「寄こしな」ポン

男「え、これ」

灰髪教師「俺様の昼飯代だ、足りんだろ?」

男「こんなに貰えないですよ!」

灰髪教師「ここじゃ普通だぞ?」

男「金銭感覚狂い過ぎでしょ…」

狼姉「おい他人んちの弟に粉かけてんじゃねえよ」

灰髪教師「うるせえ迷惑料だ」

男「と、とりあえずお弁当箱は放課後取りに来ます」

灰髪教師「おうありがとよ」

男「そ、それじゃ失礼します」スッ

灰髪教師「…」ジッ

狼姉「…オイ」

【教室】

男「ただいま」

亀娘「おかえり」 

男「久しぶりの通学はどう?」

亀娘「つかれた」

男「そっか」


ガラガラ「ホームルーム始めるわよー」


後輩「アニキおはよございまッス」

男「おはよう」

後輩「そちらが亀娘センパイッスか?」

亀娘「誰?」

男「友達」

後輩「舎弟ッス」

亀娘「どっち?」

後輩「友達兼舎弟ッス」

亀娘「そう」

男「…なんでもいいか」


【昼休み】

男「また少し席開けるね」スクッ

亀娘「ん」

後輩「どこか行くんスか?」

男「お弁当渡しに」

後輩「んじゃ待ってるッス」

男「すぐ戻るから」

亀娘「フラグ」

男「……戻ってこなかったら先食べてていいから…」

【職員室前】

男「えーと…」キョロキョロ

秘書「どうかしたのかい?」

男「おわぁッ!」フラ

秘書「おっと」トス

秘書「ごめんよ大丈夫かな?」

男「なんとか…」

秘書「後ろから声をかけるのは良くないな、気を付けよう」

男「なぜか今日すごい不意打ちされてる気がする」

秘書「ふふっ、みんな寂しかったんだろうね」

男「とんだとばっちりだよ…」

秘書「見たところお弁当を届けに来てくれたみたいだね」

男「うんハピ姉と理事姉と、これ秘書姉の分ね」

秘書「ああ…!これだよ…!これを待ってたんだ…!」ゾクゾク

男「勘違いされるから止めて…」

秘書「ふぅ…それから理事長なら」


理事姉「呼んだー?」ヒョコ

秘書「ここに居るよ」

男「これ姉さんの分のお弁当」スッ

理事姉「おー!ありがと」

理事姉「それでバイトの方はどう?」

男「順調だよ」

理事姉「ならよかった!後で連絡行くと思うからちゃんとでてね」

男「連絡って?」

理事姉「ヒミツ」

男「だと思ったよ…」

秘書「まぁ悪いようにはならないから安心して」

男「秘書姉もグル?」

秘書「事情を知ってるだけだよ」

男「釈然としないけど…みんな待たせてるしそろそろハピ姉にも届けないと」

秘書「一晩で説得したのか、流石だね」

男「あの一言でそこまで察する秘書姉もね」


【職員室】

男「失礼します」

ハピ姉「どうしたの?亀娘ちゃんの家で何かあった?」

男「お弁当届けに…ってもう今日何回言ったか分からなくなってきた」

ハピ姉「アハハ!ご苦労さま!まさかこっちにまで気回してくれるとは思わなかったわ」

男「元々六人分だったし今更一人分増えたところで変わらないからね」

男「問題は届けるのに物凄い手間がかかったことだよ…」

ハピ姉「ご、ごめんね?ちょっと朝は用事があって」

男「けどみんなちゃんと自分でご飯用意してくれてたみたいで安心したよ」

ハピ姉「私は結構酷い目にあったけどね…」

男「ご愁傷さま」

男「それじゃ僕は戻るね」

ハピ姉「うんありがとねー」

男「さて、自分の分買いに学食行こうかな」

男「そういえばなんだかんだ初めてだなぁ」

【学生食堂】

男「高い」

男「なにこれ…どんな食材使ってたらこんな値段に…」

男「フォアグラ弁当!?お昼からじゃ胃がもたれるよ…」

男「普通の値段のもあるみたいだ、助かった」

男「戻ろう」

【教室】

男「ごめん遅れた!」

後輩「お帰りなさいッス!ちゃんと待ってたッスよ!」ブンブン

亀娘「遅い」

男「ごめんね二人とも、ちょっと色々あってお弁当買いに行ってたから」

後輩「…」ジッ

男「……」ナデ

後輩「~♪」ブンブン


「「「いただきます」」」


男「すごい!値段は普通だったのに市販品とは比べ物にならないくらい美味しい!」モグ

後輩「自分も一口欲しいッス」

男「どうぞ」スッ

後輩「あー」パク

後輩「まぁまぁッスね」モゴモゴ

男「ハードル高いなあ」

亀娘「私も」

男「はい」スッ

亀娘「ん」パク

亀娘「…味薄い」モゴモゴ

男「家庭的な味の方が好きみたいだね」

亀娘「一口あげる」

後輩「いいんスか!んじゃ遠慮なく」パク

後輩「んー!こっちのが好きッス!」ブンブン

男「冷めた時のために少し濃いめに作ってあるんだよ」

男「上品な味は合わなかったみたいだね」

後輩「もう一口…」スッ

亀娘「駄目」ヒョイ

後輩「…」

男「そんなに喜んでくれるなら後輩の分も作ってこようか?」

後輩「マジッスか!お願いするッス!」ブンブン


【昼休み職員室】

灰髪教師「飯か」グキ

狼姉「ふぅー」コキッ

灰髪教師「どれ」パカ

灰髪教師「」ヒョイ パク

狼姉「つまむんなら手ぐらい洗えよ」ヒュ

灰髪パシ「ふまんな」モゴモゴ

灰髪教師「旨いじゃねえか」ゴク

狼姉「十年以上飯担当だからな」パカ

灰髪教師「…作らせるのもアリか」

狼姉「あいつが良いっていうならオレは止めねえよ」パク

灰髪教師「言われたとこで気にしねえけどな」

狼姉「…お前他に何か狙ってたりしてねえだろうな」モゴモゴ

灰髪教師「あいつの首筋ってなんかふげえうまほうはんはよな」モガモガ

狼姉「喋りながら食うんじゃねえよ、というか物騒なこと言ってんじゃねえ」

灰髪教師「別に食い千切ろうって訳じゃねえ、ちっと齧ってみたいだけだ」

狼姉「結果的に千切れんじゃねえか!絶対止めろよ」

灰髪教師「まぁこいつで我慢ふるは」モゴモゴ

狼姉「…不安だな」


【放課後】

男「それじゃちょっと用事があるから先に帰ってて」

亀娘「なんの?」

男「お弁当箱の回収と買い物と、ついでに姉さん達の夕飯も作り置きしておかないと」

後輩「忙しそうッスね、お弁当作ってもらう代わりに荷物持ちは任せて欲しいッス!」

男「ありがとう、正直すごい助かるよ」

亀娘「私も一緒に行く」

男「ごめんね雇い主なのに手伝わせちゃって」

亀娘「問題ない」


【職員室】

男「お弁当箱回収に来ました」

灰髪教師「旨かったぞ」ポン

男「そう言ってもらえると作った甲斐があります」

灰髪教師「おう明日からも頼んだ」

男「え!?」

灰髪教師「なんだ足りなかったか?」

男「いえ、全然そんなことは…というよりかなり余ったのでお返しします」スッ

灰髪教師「おいおい恥かかす気か」

男「こんな大金貰えませんって…」

灰髪教師「ならそいつでこれからも飯作ってくれ、足りねーようならいつでも言えよ」

男「いや、あの」

灰髪教師「なんだ面倒か?」

男「滅相もない!」

灰髪教師「あと敬語止めろ違和感が半端じゃねえ」

男「め、目上の方にため口は」

灰髪教師「なんだ今更それ言うのか」

男「でも」

灰髪教師「俺様が良いっつってんだ」

男「ハイ…」

灰髪教師「あん?」

男「…わかったよ」

灰髪教師「それでいい」


灰髪教師「フェンリルだ。フェリと呼べ」

男「じゃあフェリ先生で」

フェンリル「お前ハーピーのことなんて呼んでた?」

男「……フェリ姉」

フェリ姉「良ぉお~~~~しッよしよし甘いの三個やろう」

男「いらないよ…」

フェリ姉「なんだノリ悪ぃな」


【廊下】

男「それじゃあ買い物行こうか」

後輩「出番ッスね」

亀娘「疲れたから早く」

後輩「座ってゲームしてただけじゃないッスか」

亀娘「布団の外はダメージエリア」

後輩「ベリーハードっすね」

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【スーパー】

男「今日何食べたい?」

亀娘「なんでもいい」

後輩「美味しいものが良いッス」

男「また困ることを言ってくれるね」

男「やっぱり作り置きできるカレーかなぁ」

亀娘「カレーは逃げ」

後輩「自分甘口しか無理ッス」

男「この娘たちは…」


「試食いかがですかー?」スッ


試食係「あらあら妹さんとお買い物?偉いわねぇ」

男「あ、いえ妹じゃなくて」

亀娘「主人」

男「間違ってないけどちょっと待って」

後輩「自分は舎弟ッス」

男「見解の相違が激し過ぎるよ?!」

試食係「あ、あらまあごめんなさい…お若いのに複雑なご関係なのね…」

男「案の定変な空気に!」

試食係「し、試食どうかしら!美味しいからぜひ食べてくださいな!」

男「そ、それじゃあ一口いただきます」スッ

亀娘「ん」パク

男「あ」

試食係「まあっ!仲が良いのねぇ」


亀娘「まぁまぁ」モゴモゴ

試食係「あら手厳しい」

後輩「ずるいッス!」

男「」

試食係「お婿さんがお料理上手なんだろうねえ、負けてられないわ」

亀娘「婿でもない」

試食係「え゛!?じゃあ…」

男「家政婦ですッ!」

試食係「そ、そうなの?おばちゃんてっきり…」

後輩「自分の分まだッスか?」

試食係「あ、あぁごめんなさいね…ハイどうぞ」スッ

後輩「んじゃ」スッ

男「あ、うん」スッ

後輩「あー」パクッ

試食係「あらあらまぁまぁ!」

男「今更だけど恥ずかしくなってきた」

後輩「ん~む…まぁまぁッスね」モゴモゴ

試食係「やだわ~もう~、おばちゃん嫉妬しちゃう」

男「ほ、本当にすみません…」

亀娘「焼いただけなら当たり前」

男「わかってるなら感想にも反映させてよ…」

試食係「いいのよぉ、焼き加減だって大事なんだから!おばちゃんの腕もまだまだってことね」

【実家】

コレコッチデ ソッチモッテクレ ガンガンガンッ

男「」ガサッ

亀娘「入れない」

後輩「工事中ッスね」


男「帰宅したら帰る家がなかった…」

亀娘「ウチくる?」

後輩「自分ちもあるッスよ!」

男「優しさが目に染みるよ…」ホロッ


作業員「あぁ、すんませんね、すぐ終わらしますんで」


男「あっ、あのこれは一体…」

作業員「あー、玄武さんとこのご依頼でしてね?なんでも『今日中に増築してくれ』だそうで」

作業員「相変わらず御三家は無茶を言いなさる!アッハッハッハ!」

亀娘「お母さんだ」

男「お母さんッ!?じゃあまさか」

亀娘「玄武ですがなにか?」

男「馴れ馴れしくちゃんづけで呼んですみませんでした…」

亀娘「くるしゅうない」

後輩「考えてみれば自然なことッスね。特権階級がクラスに二人とかびっくりッスけど」

男「えっと、これから何て呼べば…」

亀娘「今まで通りでいい。バレると面倒」

後輩「庶民派なんスね」

男「ならこれからも普通にするね」


作業員「話はまとまりましたかい?」

男「あ、すいません遮っちゃって」

作業員「玄武さんとこにゃ世話になってますんで、ウチのプライドにかけてやり遂げますが…」

作業員「夜まで時間潰してきて頂けると助かりやす」

男「なら先に亀娘ちゃんの家でご飯作ろうか」

亀娘「もう歩きたくない」

男「お茶くらい出すつもりだったんだけどごめんね…」


作業員「なんならお荷物預かっときましょうか?」

男「いいんですか?」

作業員「お安い御用でさ」

亀娘「おんぶ」

男「どうぞ」スッ

後輩「大丈夫ッスか?」

男「そんなに遠くないから大丈夫だよ」

後輩「なら食材は自分が持つッスよ」

男「ありがとう、っと」スクッ

亀娘「少し寝る」モゾ

男「着いたら起こすね」

後輩「んじゃ行きましょうッス」

打ち切り

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