ヒバリ「あたしの好きな人は……」【あんハピ♪】 (38)

原作9話、アニメ3話のとこから


小平先生「それでは、雲雀丘さんの『好きで好きでたまらない人』の名前を大声で叫んでください」

ヒバリ「うっ……」

ヒバリ(どうしよう…… 先生は『あの人』のことを知ってる、居ないって言ったらさっきの萩生さんみたいに……)

ヒバリ(だからってみんなの前で『あの人』のことを言うのは……)

ヒバリ「っ……」

小平先生「どうしました、雲雀丘さん?」

はなこ「ヒバリちゃん……」

ヒビキ(早く言え…… 言うことによってヒビキ達をワースト『1位』にするのだ!)


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ヒバリ(やっぱり言えな……)

ヒバリ「あっ」

ヒバリ(そうか…… これなら乗り切れるかもしれない……)

はなこ「わたしは

ヒバリ「待ってはなこ、今はあたしの番だからあたしに答えさせて」

はなこ「ヒバリちゃん…… ?」

ヒバリ「大丈夫よ、はなこ」

小平先生「授業終了が迫ってるって言ってんだろさっさと言えよ」

ヒバリ「はい、ごめんなさい」

ヒバリ「あたしの好きな人は…… はなこ、あたしの隣に居る花小泉杏さんです」

はなこ「えっ!」

ヒビキ「何っ!?」

ぼたん「きゅ~」

レン「zzz……」

小平先生「…… なるほど」

ヒバリ「あたしははなこのことが『友達』として好き」

ヒバリ「はなこはあたしが高校生になって出来た初めての友達、とっても友達思いの子で後ろ向きな考えになりがちなあたしをいつも励ましてくれる」

ヒバリ「そんなはなこのことが、あたしは好きで好きでたまらないです」

小平先生「……」

ヒバリ(お願い…… これで何とか……)

小平先生「はい、いいでしょう 花小泉さん、雲雀丘さん、久米川さんチームクリアです」

ヒバリ「やった…… これで補修を回避できた……」

はなこ「やったねヒバリちゃん!」

ぼたん「ん…… 終わったのですか…… ?」

ヒビキ「やった! やったぞレン! ヒビキ達がワースト『1位』だ!」

レン「あ、終わったんだ」

小平先生「喜んでいるところ失礼しますが、最下位の二人は補修で~す」

ヒビキ「な、そうだったのか!」

レン「面倒なやつじゃないといいな……」

お昼休み


はなこ「それでね、ヒバリちゃん『あたしははなこのことが好きで好きでたまらない』って言ってくれてね」

ヒバリ「ちょ、ちょっとはなこ! 恥ずかしいからあんまり言わないでよ!」

はなこ「えー、わたしヒバリちゃんに『好き』って言ってもらって嬉しかったんだけどなー」

ヒバリ「そ、それは友達としてって話で……」

ぼたん「ふふふ、それでも私たちが最下位、補修を回避出来たのはヒバリさんのお陰ですよ」

ぼたん「それに引き換え私はすごろくでは役立たず、後半のゲームではただ寝ているだけとまるで塵、いいえそれ以下の存在で、ヒバリさんに友達と認められないのも当然の結果で……」

ヒバリ「ち、違うから! あ、あそこではなこの名前しか挙げなかったのは二人以上の名前を挙げるとまたアウトになるかと思って……」

ぼたん「ふふ、冗談ですよ」

ヒバリ「ご、ごめんなさい…… もちろんぼたんも友達よ」

ぼたん「まぁ、こんな大気中の塵以下の存在である私を友達と言ってくれるとは…… ありがとうございます」

ぼたん「それにしても、やっぱりヒバリさんははなこさんなのですね」

ヒバリ「え?」

ぼたん「あ! いいえ…… 今のは私ごときが出過ぎた発言でした、お忘れください」

ヒバリ「?」

ヒバリ(でも確かに…… なんであたしはあの時はなこの名前だけ挙げたのかしら……?)

ヒバリ(別にはなことぼたん、二人の名前を挙げても良かったと思うけど……)

ヒバリ(はなこは私にとって特別……?)

はなこ「わー…… お弁当のソース……中濃ソースじゃなくて黒酢が入ってた……」

ぼたん「あら……」

ぼたん「で、でも黒酢は健康にいいですし! 私もよく飲んでこの通り、健康な体に!」

はなこ「そ、そうだよね! いただきまーす」

ヒバリ(やっぱりはなこは特別心配なんだわ……)

はなこ「ん、ヒバリちゃん! 黒酢をかけたコロッケ結構美味しいよ!」

ヒバリ「て、そのコロッケ焦げてるじゃない!」

ヒビキ「やった! やったぞレン! ついにヒビキはあの女を追い越し『1位』となることが出来たのだ!」

ヒビキ「雲雀丘瑠璃、思えば入学前からあの女には煮え湯を飲まされ続けてきたが……」

ヒビキ「ヒビキはついにあの宿敵を倒し頂点に立つことが出来たのだ!」

レン「ふーん」

ヒビキ「レン! もっとヒビキの話に興味を持ってくれ! 今日はヒビキがこのクラスで初めて『1位』を取った記念すべき日なのだぞ!?」

レン(ワースト1位でなんでこんなに楽しそうなんだろ……)

レン「補修、簡単な奴だといいな」

ヒビキ「補修…… そうか、そんなものもあったな……」

レン「『一日中家で寝続ける』とかにならないかな」

ヒビキ「おい! どれほど眠るつもりなのだ! それにその課題はレンにとっては簡単かもしれないがヒビキにとってもとてつもない難題ではないか!」

レン「そうなの?」

ヒビキ「そ、そうだ!」

ヒビキ「だ、だって…… せ、せっかくの休日に一日中眠っていたらレンと会えないではないか…… 家は隣なのに会えないなんて…… 寂し過ぎ

レン「zzz……」

ヒビキ「寝るなー! まだヒビキの話をちゃんと聞いてくれー!」

レン「あ、ごめん全然聞いてなかった…… もう一回言って」

ヒビキ「も、もう一回だと……」

ヒビキ「そんなの言えるわけ無いではないか!」

レン(聞いて欲しいのか聞かれたくないのかどっちなんだ)

帰り道


はなこ「今日のすごろく、とっても楽しかったねー」

ぼたん「ええ、楽しみながら運を向上させられるとは…… 素晴らしい授業です」

ヒバリ「あたしはもう二度とやりたく無いわ……」

はなこ「えー、なんでー?」

ヒバリ「だ、だって…… あんな恥ずかしい思い……」

はなこ「?」

ヒバリ「もう! この話はやめましょう!」

ぼたん「…… そろそろですかね」

ヒバリ「何か言った? ぼたん」

ぼたん「いいえ、それより私学校に忘れ物をしてしまって……」

はなこ「えー、大変! すぐに取りに帰ろう!」

ぼたん「いいえ! 私などの忘れ物に皆さんを付き合わせるなんて恐れ多い! 私一人で行って参ります」

ヒバリ「そんなこと言って、貴女一人で行ってまた怪我でもしたらどうするの」

ぼたん「大丈夫です! 今日の幸福実技で体も鍛えられましたし!」ギュッ ビキッ

ぼたん「あぁっ! いま拳を握った衝撃で爪が……」

ヒバリ「ほらやっぱり…… 取り敢えず学校まで近いんだしぼたんはここで待ってて、それで忘れ物はあたしとはなこで取ってくるわ」

ぼたん「も、申し訳ありません……」

学校


ヒバリ「そう言えば」

はなこ「なに?」

ヒバリ「あの時、あたしが止めなかったらはなこは何て言おうとしてたの?」

はなこ「あの時?」

ヒバリ「ほら、幸福実技の最後に『好きで好きでたまらない人の名前』を言うって問題よ」

はなこ「あぁ~ 確か……」

ヒバリ「……」

はなこ「イリオモテヤマネコって答えようとしたんだ! わたしイリオモテヤマネコがすっごく好きなんだ~」

ヒバリ「それじゃきっと好きな『人』じゃないって先生に言われちゃうわよ」

はなこ「あ、そっか~」

ヒバリ「それで、はなこは誰が好きなの?」

ヒバリ(あれ、なんであたしこんなにしつこく聞いてるんだろう……)

はなこ「う~ん……」

ヒバリ「……」

はなこ「やっぱりヒバリちゃん」

ヒバリ「えっ……」

はなこ「とぼたんちゃん、それにヒビキちゃんとレンちゃんとも仲良くなれたらいいなぁ」

ヒバリ「そう……」

ヒバリ(…… どうしてこんなにがっかりしてるのかしら、あたし)

ヒバリ(はなこならきっと『みんな大好き』って言うだろうってわかってたはずなのに)

ヒバリ「あたしは……」

はなこ「え?」

ヒバリ「あたしは、はなこが好き」

はなこ「へ?」

ヒバリ「はなこは…… ドジで運が悪くて、少し目を離したらすぐにトラブルに巻き込まれちゃうからいつも心配で」

ヒバリ「それなのに本人はいつも明るくて『わたしはとってもついてるよ』なんて言っちゃうんだもん、笑っちゃうわ」

ヒバリ「だけど、はなこを見てて気付いたの、自分が不幸か幸福かを決めるのは自分自身なんだって」

ヒバリ「あたしは今まで自分はなんて運の無い、不幸な人間なんだろうって思ってた」

ヒバリ「でもどんなに辛くても、不憫でも今ならこう思えるの 『頭の上に隕石が降って来ないなんてあたしはついてるな』って」

ヒバリ「それに、あたしははなこと出会えて変われたんだもん、とってもラッキーだわ」

ヒバリ「あたしははなこと友達になれてとっても良かったわ、大好きよはなこ」

はなこ「ヒバリちゃん……」

ヒバリ「…… あっ!」

ヒバリ(い、今のってまるで告白の台詞みたいじゃない!? あたしなんてこと言ってるのよ!)

ヒバリ「ち、違うわよ! はなこのことは友達として好きってだけで…… も、もちろんとっても感謝はしてるけど……」

はなこ「うん! わたしもヒバリちゃんのこと大好きだよ! わたしだってヒバリちゃんと出会えてとってもラッキーだよ!」

ヒバリ「っ……」

はなこ「あ! 早くぼたんちゃんの忘れ物取りに行かなくちゃ!」

ヒバリ(あぁ、そっか…… 先生があの答えで正解にしてくれた理由、わかったわ)

はなこ「ヒバリちゃーん、早く早く~」

ヒバリ(あたし、はなこのこと…… 好きで好きでたまらないんだ…… 友達としてじゃなくて)

ヒバリ「ちゃんと前見なくちゃ危ないわよ!」

はなこ「大丈夫だいじょ、あっ!」

ヒバリ「はなこー!」

はなこ「床…… 抜けちゃった……」

ヒバリ「ほら! ちゃんと注意して歩かないから……」

ヒバリ「……」

ヒバリ(やっぱり、『恋する』ってとっても幸せね)

ヒバリ(もしあたしの不幸が『悲恋』でも、こんな幸せな気持ちになれるなら……)

ヒバリ「あたし、とってもついてるわ」

職員室


小平先生「それでは、あなた達への補修課題ですが……」

ヒビキ「……」

レン「z……」

小平先生「そうですね…… 『好きで好きでたまらない人を遊びに誘う』なんてどうでしょう?」

ヒビキ「なっ…… !」

レン「え」

小平先生「確か江古田さんは居ないんでしたね、なのでこの課題は萩生さんだけにやってもらいましょうか」

レン「やったぁ」

ヒビキ「ひ、ヒビキにも居ないと言っているだろう!」

小平先生「先生に嘘をついてはいけませんよ」

ヒビキ「うっ…… そ、それに不公平ではないか! 補修課題がヒビキだけとは!」

小平先生「果たしてそうでしょうか?」

ヒビキ「うぅ……」

レン「?」

小平先生「とにかく、次の月曜日に遊びに行った時の絵日記の提出をお願いします」

ヒビキ「小学生か!」

ヒビキ「……」

レン(課題、ラッキーだったな ヒビキだけなんて)

ヒビキ「……」

レン(先生が何か不穏なこと言ってたけど…… まぁ今度の週末は寝て過ごせばいいか)

ヒビキ「……」

レン「…… どうしたのヒビキ? さっきからずっと黙って」

レン「ヒビキなら『ヒビキだけ課題なんて不公平だ!』ってずっとゴネるかと思ったのに」

ヒビキ「ひ、ヒビキはそのような子どもみたいなことなど言わぬ!」

レン「ふーん」

レン(1位に拘るなんて子どもそのものだと思うけど)

ヒビキ「ヒビキは…… ど、どうやって遊びに誘うか考えていたのだ……」

レン「あ、もう誰を誘うかは決まってるんだ」

ヒビキ「あぁ……」

レン「誰?」

ヒビキ「な、何故それを言わなくてはならんのだ!」

レン「あ、そっか…… ごめんちょっとデリカシーなかったね」

ヒビキ「あっ、いや……」

ヒビキ「そ、その…… ヒビキが誘いたいのは…… レンなのだ」

レン「え、私?」

ヒビキ「あぁ……」

レン「そっか」

ヒビキ「ち、違うぞ! こ、この場合の『好きで好きでたまらない』というのはあの女と同じで友達として…… 幼馴染として好きという意味であってだな……」

レン「うん」

ヒビキ(くっ…… 何故このヒビキがあの女と同じ言い訳をせねばならぬのだ……)

レン(あー、先生が言ってたのはこういうことだったんだなぁ)

ヒビキ「だ、だから…… ヒビキと出掛けてくれるか…… ?」

レン「うーん…… どうしようかな」

ヒビキ「なんでだー!」

レン「だって土日はずっと眠るって決めてたし……」

ヒビキ「これは一応学校の課題なのだぞ!? もし出来なかったらあの担任が何と言うか…… 想像するだけで恐ろしい!」

レン「うーん…… でも今回の課題って要するに友達と出掛ければいいんでしょ? それなら花小泉さんたちを誘ったら」

ヒビキ「だから奴らは友達ではなーい! ヒビキ達の敵だ!」

レン(『達』ってなんだ?)

ヒビキ「それに! この課題はレンじゃなきゃダメなのだ! 絶対!」

レン「なんで?」

ヒビキ「だって…… ヒビキの『好きで好きでたまらない人』は…… レン以外居るわけ無かろう!」

レン「…… そうなんだ」

ヒビキ「あっ! いやだからこれはだな……」

レン「……」

レン「うん、わかった 一緒に出掛けよう」

ヒビキ「い、いいのか!?」

レン「いいよ」

ヒビキ「ほ、本当か…… やった、やったぞ!」

レン「ヒビキ 本当に私以外に友達が居ないんだね」

ヒビキ「んっ?」

レン「確かに、それなら私が頑張らないとヒビキが大変だもんね」

ヒビキ「な、なんでそうなるのだ!」

レン「違うの?」

ヒビキ「うっ」

ヒビキ(ここで下手なことを言ってまた話をややこしくするのは下策…… ここは一旦レンの言うとおりにしよう……)

ヒビキ「そ、その通りだ! ヒビキにはレンしか居ないのだ!」

レン「まぁ私にもヒビキしか居ないけどね」

ヒビキ「はう……」

ヒビキ(ま、真顔でなんてことを言うのだ……)

ヒビキ(だ、だが何にしろ今度の休日にレンと一緒に出掛けることが出来るのは事実)

ヒビキ(そう考えるとレンと出掛ける口実を与えてくれた幸福実技も悪くないな……)

ヒビキ(否! この結果を導いたのはヒビキ自身の類い稀なる実力と運のお陰)

ヒビキ(何が7組だ、やはりヒビキはついているではないか!)

ヒビキ「ふふ…… ふふふ……」

レン(何か凄いところに連れ回されそうだな……)

小平先生「『幸福』と一口に言ってもそれは絶対的なものと心理的なものの二つがあります」

小平先生「例えば幸福クラスのみなさんはきっと今まで不憫な思いをし続けてきたでしょう」

小平先生「ですが、そのことを思い悩む必要はありません」

小平先生「『幸せ』とは自らの手で掴むもの、自分のことを幸せだと思えばそれが貴方の幸せなのです」

小平先生「そう全ては心持ち次第、そして人の心をもっとも豊かに、幸せにするものが恋」

小平先生「時は短し、恋せよ乙女! です」

鷺宮先生「さっきからお前は誰に向かって話しているのだ」

小平先生「あら、居らしたんですね 鷺宮先生も生徒達を見習って恋なんてどうですか?」

鷺宮先生「余計なお世話だ」


おわり

読んでくれた方ありがとうございました。

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