バズビー「星十字騎士団」 (53)

BLEACHのSSです

PCがスレ立て規制されてるので携帯から立てます

以降はPCから本文を投下します

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1468248700

見えざる帝国(ヴァンデンライヒ)
銀架城(ジルバーン)・回廊


バズビー「クソッ……気に入らねぇ……!」ズカズカ

悪態を吐きながら城内を歩く星十字騎士団“H”バズビー

マスキュリン「まーだ怒っとるのか」

バズビー「当たり前だろ! さっきはナックルヴァールのヤローに水差されて有耶無耶になっちまったがなぁ」ケッ

バズビー「あんなポッと出のガキが陛下の後継者だぁ? んなふざけた話納得できるかってんだよ!」

蒼都「気持ちは分かるけどね。僕だって今も腑に落ちちゃいない」

蒼都「これまで僕達は血の滲むような鍛錬をしてきた
   神聖滅矢(ハイリッヒ・プファイル)は勿論、陛下より授かった聖文字(シュリフト)の力を使いこなすための修練もだ」

蒼都「そうして今日まで背負って来た星十字騎士団(シュテルンリッター)としての矜持を……ああも簡単に踏み躙られるなんて」

e-mobileが連投規制を受けているので合間に携帯からレスを混ぜます

ご了承ください

バズビー「ハッ、珍しく意見が合うじゃねーか蒼都!」

バズビー「そうだよ矜持だよ! 俺らが必死こいて鍛えて、戦って、手柄も立てて!
      ようやく手に入れた今の地位を、あの眼鏡はあっさりすっ飛ばしていきやがった!」ダンッ!

バズビー「納得できる方がおかしいよなぁ? てめえはそうじゃねーのか、あぁ!? マスク・ド・マスキュリンよぉ!」ギロッ

激情を露わにしながらマスキュリンをねめつけるバズビー

マスキュリン「ぬぅぅ……そりゃあワガハイとて納得したワケじゃあないが……」

マスキュリン「しかし、どうしようもないだろう?
        ハッシュヴァルトも言っておった通り、他ならぬ陛下の御決定だぞ」

バズビー「陛下の決定だから指を咥えて従うってか?
      とんだ腰抜けヤローだな、“英雄(スーパースター)”が聞いて呆れるぜ」ヘッ

マスキュリン「なっ……き、貴様っ、正義のスターを侮辱する気かっ!?」ギロッ!

蒼都「よしなよ二人とも。それにバズビー、憤りは分かるけど陛下に直談判しにいくなんてのは流石に愚行だろ」

バズビー「じゃあどうしろっつーんだよ!? 黙ってあのガキを崇め奉れってのか!?」

蒼都「そうじゃない、示せばいいんだ。僕達の力を」

バズビー「あァ!?」

連投規制避け

蒼都「石田雨竜の力はこの先の戦いで僕達の知る所になる、そう陛下は仰った。けどそれはあの男に限ったことじゃない」

蒼都「前回の侵攻以上に手柄を挙げるんだ。そして陛下に今一度、僕達の能力を評価していただく」

マスキュリン「成る程な……口でなく成果で意見せよということか」

蒼都「案外、このタイミングでの後継者指名には、星十字騎士団たちを奮起させる意図もあったのかもしれないと、僕は睨んでる」

バズビー「……」

あくまで冷静な風に語る蒼都に、マスキュリンが同意する

バズビーは押し黙った

蒼都「さて、と……ということで僕はここで失礼する
    せっかく手に入れた卍解だ。完璧に扱いこなさせるようにならないといけないから」スタッ…

マスキュリン「うぅむ、卍解か……ワガハイはうっかり奪い損ねてしまったからなぁ……まぁいい!
       正義のヒーローたるもの、成り行きで手にした敵方の武器でなく己自身の力で戦い抜かねばな!」ニイィ!

バズビー「……俺はちっと頭を冷やしてくるぜ」

マスキュリン「うむ、それがよかろう。お前は聖文字通り、すぐカッとなるからな!」ガハハ

各々修練に向かう蒼都とマスキュリンに背を向け、バズビーは一人回廊を進んでいった



バズビー(俺たちを奮起させるため……んな殊勝なお考えなんざ、持ち合わせてねぇだろうよ、陛下は)フン

バズビー(だが、それよりも――)

バズビー(てめえは何を考えてやがんだ、ユーゴー……!)

連投規制避け


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バズ『――俺はバズ! こいつはユーゴー!
    その星十字騎士団てのに入隊希望だ!』

ユーゴー『ちょっ……ちょっとバズ…!』

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バズ『――ユーハバッハを殺すぜ、ユーゴー』

ユーゴー『……ぼくも行くの』

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バズ『大人に何言われても気にすんな
    わかんねえことは全部俺が教えてやる』

ユーゴー『………』

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バズ『――最強の滅却師になろうぜ、ユーゴー』

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連投規制避け


バズビー『――!』ハッ

自室のベッドで目を覚ますバズビー

乱雑にモヒカン頭を掻きむしると、ベッドから飛び降りた

バズビー「クソッ…なんであんな頃の事を……!」

部屋を出て、どこへともなく歩き始める

その様子からは、明らかに苛立ちが感じ取られた


するとすぐに、見知った顔と出くすこととなった


「よぉバズビー。えらく慌てた様子じゃねーか」


星十字騎士団“U”ナナナ・ナジャークープ

連投規制避け

ナナナ「どうしたよ? 何かあったのか?」ニヤリ

バズビー「うるせえよ、てめえにゃ関係ねえだろナジャークープ
      それとも何か? 俺に喧嘩でも吹っかけにきたのか?」

ナナナ「待て待て、落ち着けって。相変わらず喧嘩っ早い奴だなオメーは」

ナナナ「むしろ俺は礼を言いに来たんだぜ?
     オメーが咄嗟に炎を出したおかげで死なずに済んだんだからなア」

バズビー「あん? おう、あのジジイにやられた時の件か
     意外に殊勝じゃねーか、わざわざ礼を言いに来るなんてよぉ」

バズビー「ま、反射的に出したんで相殺しかできなかったがな」

ナナナ「相殺ねー、へー。オメーの地元じゃ『相殺』ってのは『辛うじて半殺しに抑えること』を言うのか?」ニヤニヤ

バズビー「てめえやっぱり喧嘩売ってんだろ!!」ゴォッ!

急に殺気立つバズビーに対し、ナジャークープは薄笑いを引っ込めて後ずさった

連投規制避け

ナナナ「だからやめろ冗談だっての! ったく今日はいつにも増してキレ易いじゃねーか」

バズビー「あァん!? んなこたぁねえぞ! 今日もキレッキレなのはこのモヒカンだけだぜ!」

ナナナ「お、おう……まぁ何だ、集会の最中に飛び出して行きそうになったの見た時にゃどうなることかと思ったが」

バズビー「ハッ、どいつもこいつもそればっかだな
      むしろ俺としちゃ、てめえらが何で黙って聞いてたのか不思議なぐらいだぜ」

ナナナ「黙って聞くのが当たり前なんだっつーの
     面と向かって陛下に意見しに行くようなバカはオメーぐらいだよ」

バズビー「あんだと?」ギロッ

ナナナ「まぁ待てよ。そりゃ俺だって不満はあるぜ?
     つーかオメーに限らず、あの発表に不満の無ェ星十字騎士団なんざひとりも居ねーさ」

ナナナ「けどな、だからってどうしようも無ェだろ? 陛下がお決めになった事にゃあ、従うのが俺らの本分てなモンだ」

バズビー「じゃあてめえは陛下に『死ね』って命じられたらすんなり死ぬのかよ」

ナナナ「極短な奴だなー……それに関しちゃ、『死ね』って命じられないよう精進するとしか言えねーよ」

連投規制避け

ナナナ「仮に一度は見限られたとしても、そこからしぶとく生き延びて手柄を挙げりゃあ、名誉挽回のチャンスだってあるかもしれねーしな」

言い聞かせるようにそう語るナジャークープ

奇天烈な風貌に反した、堅実な意見であった

バズビー「……俺はそこまで割り切れねぇぞ」チッ

ナナナ「ヘッ、だろーな。オメーは注意深く状況を観察する力が足りねーんだよバズビー。じゃ、礼は言ったからな」ニヤッ

そう得意げに笑って、ナジャークープはその場を後にする

星十字騎士団の中でも珍しく、直接の戦闘より仲間のサポートに適した能力を持つ彼は、その観察力と情報の蓄積によって戦い抜いてきた


バズビー(――甘ちゃんが)


そんなナジャークープでも、直情的なバズビーが内に秘めている真意までは、見抜けなかったようだが


バズビー(そんな保守的な考え方で、陛下に――近づけるかよ)

連投規制避け


「ちょっと、どいてくんない? そこに突っ立ってられるとすっごい邪魔なんだけど」


バズビー「……ぁあん?」ギロッ

不意に投げかけられた言葉にバズビーが振り返る

両手を腰に当てながら、負けん気の強そうな表情で仁王立ちするひとりの少女


星十字騎士団“E”バンビエッタ・バスターバイン


バズビー「何だてめえか。今日は腰巾着共をぶら下げてねーんだな」ハンッ

バンビエッタ「はぁ? そんなことアンタに関係ないでしょ。いいからさっさとどきなさいって言ってんの」フンッ

バスビー「おうおう今日はまたずいぶんと機嫌が悪そうじゃねーか。何か嫌なことでもあったのかぁ?」ニヤリ

素直にどくこともせず、あえて彼女を煽るような言い方をするバズビー

連投規制避け

バンビエッタ「うっさいわねえ、アンタには関係ないって言ってんでしょこのニワトリ頭! 焼き鳥にされたいワケっ!?」

バズビー「てめえの方こそ焼き豚にされてぇのかクソガキぃ!? この俺のモヒカンを指してニワトリだァ!?」


彼らの性格を考えれば、売り言葉に買い言葉となるのは自明であった


ゴォッ…と、周囲の空気が変わる


“爆撃(The Explode)”と“灼熱(The Heat)”


激情型の性格をそのまま形にしたような聖文字を持つ二人の対峙




バンビエッタ「――やめやめ、しょうもない。何が悲しくてアンタとこんな所で殺し合わなきゃなんないのよ、バカバカしい」フンッ

バズビー「ヘッ、そりゃそうだ。ぶち殺すんなら一人でも多く敵を殺る方がずっといい手柄になるぜ」ニィ

連投規制避け

あっさりと殺気を解く二人

ハッシュヴァルトに食ってかかった時に比べれば、バズビーもそれなりに冷静さを取り戻していたし、バンビエッタとて最低限の分別は持ち合わせていたようだ

バズビー「てめえも卍解を奪ったんだってなぁ? ったくどいつもこいつも手柄挙げやがって」

バンビエッタ「アンタは奪い損ねたどころか、死神のボスに半殺しにされたそうじゃない。ダッサ」

バズビー「うるせえ。陛下が敵の総大将と戦うってのに、加勢に行かねえ方がどうかと思うがなぁ、俺は」ケッ

バンビエッタ「しょ、しょうがないでしょ! 卍解奪ったら戦意失くすと思ったのにあのワンちゃん、思ったより粘って……!」

バズビー「それで結局そっちも殺せず終いってか。ダセえのはどっちだよ」

バンビエッタ「……っ!」ムッ!

バズビーの物言いにむくれるバンビエッタ

奪掠した卍解は癖が強く安易に発動できなかったこと、星章化の影響で完聖体を使えなかったことを差し引いても、敵を侮って戦闘を長引かせた結果タイムリミットになってしまった点は揺るぎようのない事実であった

バンビエッタ「……わかってるわよ。あんなワンちゃん、次は絶対に消し飛ばしてやるから」

連投規制避け

バズビー「せいぜい頑張るこったな。これ以上ヘマやらかして手柄逃したんじゃ、いよいよ陛下の心象が悪くなんぜ?」

バンビエッタ「……さっきから聞いてれば手柄手柄って。アンタの頭ん中には手柄のことしかないワケ?」ハァ…

バズビー「あァ? んなもん当たり前だろうがよ。てめえにゃそれが無えってのか?」

バンビエッタ「そりゃ私だって功績はあげたいわよっ! けど、それだけだと納得いかないじゃない……」

バンビエッタ「現世に残った最後の滅却師だとか、すごい素質があるとか、だから何なのよ……!」

バンビエッタ「あんなっ……ワケわかんない奴が、見えざる帝国の次期皇帝なんて!」キッ

バズビー「……てめえも内心ブチ切れてるクチか。なら話が早え、俺もそうだからな」

バンビエッタ「知ってるわよ。アンタが召集の場で陛下に文句言おうとしてたのみんな見てたんだから」

バズビー「なんだよ、てめえも無謀だ馬鹿だなんだって言いてえのか?」

バンビエッタ「当たり前でしょ。陛下の決定、それも後継者指名なんて重大発表にケチつけようなんて、死にに行くよーなもんじゃないの」

バズビー「それでビビッて声も出せなかったってか?」フンッ

バンビエッタ「うっさい! 死んだら元も子もないでしょーが!」

連投規制避け

キッと睨みつけてくるバンビエッタを見て、バズビーは考える

バズビー(……強気に喚いちゃいるが、結局は死ぬのが怖いただのガキか、こいつ)

バンビエッタ「なによ? 言いたいことあるんなら言えばいいでしょっ!」

バズビー「別に、何もねーよ」

バンビエッタ「……とにかく、アンタが勝手にバカやって死ぬのは別にどーだっていいけど、それが周りにまで飛び火したら大迷惑なのよ」

バスビー「へいへい、俺が軽率だったよ」ヘッ

バンビエッタ「ふざけてんじゃっ……ふんっ!」スタスタ…

ふくれっ面のまま、少女は立ち去って行った

その背に冷めた視線を投げつけながら、吐き捨てるバスビー

バスビー「てめえの方こそ、飛び火させる前に自分の身を滅ぼさねえようにな」

連投規制避け

銀架城・太陽の門


瀞霊廷の影に在りながら太陽の名を冠したその場所に、バズビーは来ていた

バズビー「……」


「こんなところで考え事かね? 君にしては珍しいな、バズビー」


バズビー「そういうアンタはただの散歩かよ?」

振り向きもせずに言い返すバズビー

彼の背後に立つのは、眼鏡をかけた老紳士だった


星十字騎士団“N”ロバート・アキュトロン


ロバート「これはおかしなことを訊く。私がわざわざ君を探しに来たとでも?」

バズビー「さあな。ただ、今日はヤケに色んな奴に会うもんでな
      てっきりあんたも、俺の行動にケチ付けに来たのかと思ったんだよ」

ロバート「ハハハ、成る程な。だが安心したまえ、別に私は説教しに来た訳ではないのでね」

連投規制避け

ロバート「なにぶん長い付き合いだ、君の無鉄砲さはよく知っている
      今更周りから何を言われたところで、変わる訳でもないこともな」

バズビー「そいつは誉めてんのか? けなしてんのか?」

ロバート「さてな。尤も、ハッシュヴァルトに噛みつくことはあっても、陛下に直接意見しようとすることは今まであまりなかったが」

不意に飛び出したハッシュヴァルトの名を聞いて、バズビーの表情が強張る

バズビー「そりゃまぁ、な……アンタはどう思うよ、アキュトロン? あいつが何を考えてるのか分かるか?
      散々陛下の傍で皇帝補佐として仕えてきた癖に、突然現れたガキに後継者の座をあっさり譲る気でいやがる、あいつの意図がよ」

ロバート「それこそ何とも言えないさ。ただ、私の知る限り彼が陛下に異を唱えたことは一度もない」

バズビー「……ハッ、そりゃそうだ。俺だってそんな光景は見たことがねえぐらいだからな」

ロバート「内心どう思っているのか……それすらも想像が及ばんよ。彼は冷徹なまでに己を殺している」


ロバート「ただ、君が関わる場合を除いてな」


バズビー「あ?」

連投規制避け

虚を衝かれたバズビーに、ロバートが続ける

ロバート「君が騒ぎを起こしそうになる時、ハッシュヴァルトは必ずそれを抑止していた」

ロバート「元より彼を憎んでいる君の前に、あえて居丈高に立つことで、君の敵意を己に向け、巧みに収めてきた」

ロバート「そうは思わんかね? バズビー」

バズビー「急に何言いだすんだよ、そんなワケねえだろうが」ケッ

ロバート「いやいや、大有りだよ。でなければ今日まで君が、星十字騎士団に籍を置いて生き続けてこられたわけがない」

バズビー「やっぱバカにしてんだろ!」ギロッ

彼が鋭く睨みつけても、ロバートは平然としている

ロバート「否定できるかね? 君のように血気盛んな男が、誰からのフォローもなく穏便にやってこれたとでも?」

バズビー「だからそれは――」

ロバート「君は入団した時から既に、一部の騎士団員からマークされていた」

ロバート「とりわけヒューベルト――当時の副団長からは、かなり執拗にな」

連投規制避け

バズビー「……ハッ、久々に聞く名前だぜ。そういやそんな奴も居たな」ケッ

ロバート「故人を悪く言いたくはないが、彼は高慢で――少々、陰湿な男だった」

ロバート「彼が目を付けたにも関わらず、最後まで君に直接手を出さなかったのは、他でもないハッシュヴァルトの存在があったからだ」

ロバート「ハッシュヴァルトは自ら君をいなすことで、ヒューベルトの独断専行を封じていた
      ヒューベルトだけでない、他の騎士団員たちも同じだ。公の場で、君が彼らと騒ぎを起こさぬように」

バズビー「そんなもん、組織と規律を守るために決まってんだろうが。アイツはグランドマスターなんだからな」

ロバート「それも勿論あるだろう。だが、それだけとは思えん」

ロバート「私の目には、ハッシュヴァルトが彼の立場なりに、君を守ろうとしていたように映ってならんのだよ」

そう言い切って、ロバートはバズビーを見据えた


バズビー「……そんな風に映るってんなら、眼鏡を変えた方がいいぜアキュトロン」

ロバート「いやはや、厳しい物言いだ。まぁ、確証があって言っている訳ではないがね」

そう返しつつも、ロバートは追求を緩めない

連投規制避け

ロバート「しかしながら、君たちは初めて陛下に謁見した時、仲良く一緒に行動していたと聞いたぞ?
      入団以前の事までは詳しく知らないが、おそらく友人同士で共に練磨しながら生活してきたはずだ」

ロバート「勿論、入団してから君が彼の事を目の仇にしていたことは皆知っている
      自分を差し置いて陛下に取り立てられた形だからな。君の不満も納得できる事だ」

ロバート「だがハッシュヴァルトの方はどうだ? 彼が君に敵意や、あるいは憐憫、侮蔑と言ったものを抱いているようには思えん」

ロバート「ハッシュヴァルトは、グランドマスターである以前に君の友だ
      遅れて入団してきた友の身を案じたとして、別に不思議ではなかろう?」


再び押し黙るロバート

相変わらずのポーカフェイスでバズビーを見やる


バズビー「――語るに落ちたぜ、アキュトロン。耄碌するにゃまだ早いと思うんだがな」

それに対し、バズビーは確信しているかのように言い捨てた


バズビー「あいつはダチである以前にグランドマスターで――陛下の後継者、ただそれだけだ」

連投規制避け

銀架城・バズビーの自室


部屋へ戻ったバズビーは、ベッドに横たわり目を閉じていた

バズビー「……」

過去に同志たちと交わしたやりとりを思い返す

連投規制避け


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ドリスコール『つれーつれーつれーつれーつれーつれー!
       先遣任務を命じられたのが自分じゃなくてそんなにつれーかバズビーよぉ!?』

ドリスコール『つれぇーよなぁ、実力を認められねーってのはよぉ』ニヤリ

バズビー『うるせえ、雑魚散らししか能の無えてめえに言われたかねえよ』フンッ

ドリスコール『ハッ、ザコだろーがゴミだろーが敵にゃ変わりねーさ
        それに、いい具合にザコを潰して回りゃ、それよりマシな上官を引き摺り出せるだろ?』

ドリスコール『殺し尽くして高めた力でそいつもブッ殺して、さらに上位の席官をおびき寄せてきゃ――気付いた時には大手柄だ』ニィッ

バズビー『大した自信じゃねえか。たかが副隊長一匹仕留めたぐらいで、せいぜい良い気になってろよ』



バズビー(なんで俺じゃねえ……! 宣戦布告に、敵総大将の副官をぶっ殺す――でけぇ役目だったはずが、なんでっ!!)


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連投規制避け


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ベレニケ『仕方ないさ、陛下の御意志だ』

バズビー『てめえらは悔しくねえのか? 他の連中に大役を奪われて、コケにされんのがよ!』

ジェローム『……必要ない…勝鬨も、嘲笑も……悲鳴も、懺悔も、聴く必要など、ない……』

ベレニケ『何より、陛下に“異議”を唱えるなんてこと、大地が裂けてもしようなんて思えないさ』

バズビー『……そんなに陛下が怖えかよ』ボソッ

ジェローム『……』

ベレニケ『その発言には“異議”がある――お前は恐ろしくないとでも?』



バズビー(恐ろしいかどうかなんざ関係ねえ。どんな化け物だろうと、最終的にはアイツを――!)

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連投規制避け


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キルゲ『――そうやって因縁をつけるのはやめてもらえませんか
     私が狩猟部隊(ヤークトアルメー)統括に任命されたのは、単に私の能力が捕縛に適していたというだけのこと』

キルゲ『私が貴男より秀でているだとか、信頼を得ているという話にはなりませんよ』

バズビー『前者はともかく、後者はどうだかな』ケッ…

キルゲ『ヤレヤレ……全く以て功名心の強い男ですねぇ貴男は
     功績を挙げ、昇進し、より陛下の御傍で仕えようとするその心意気は大したものですが』

バズビー『……』

キルゲ『第一、貴男ほどの滅却師が私のような凡才を警戒する必要がどこにあります?
     “灼熱”のような攻撃性能もなく、同士である滅却師に影響を及ぼすこともできない“監獄”の聖文字を』

バズビー『卑下してんじゃねえよ。聖文字に攻撃力が無い分、てめえにゃそれを補えるほどの基礎戦闘技術があんだろうが』

キルゲ『買い被りですよ。神聖滅矢ひとつ取ったところで、貴男のそれには遠く及ばないでしょう』

キルゲ『それを言うなら貴男の方こそ、恵まれた聖文字を与えられながら神聖滅矢の才能にも秀でている』

キルゲ『むしろ羨望を受けるべきは貴男ですよ』



バズビー(そうだ……俺は天才なんだ……!)


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連投規制避け

バズビー(あの日、ユーハバッハは言った)

バズビー(俺の才能も、成長も、すべてユーゴーが与えた力に他ならないと)

バズビー(確かにユーゴーと共に過ごした5年間で、俺の力は飛躍的に成長していった)


バズビー(だが、それだけじゃねえハズだ)

バズビー(あいつと初めて会うより前から、俺は神聖弓(ハイリッヒ・ボーゲン)を使いこなせていた)

バズビー(その後の成長を促したのはユーゴーだったかもしれねえ……それでも)

バズビー(俺に、滅却師としての才能があったのは間違いじゃねえんだ……!)



バズビー「俺の才能と努力の全てが、紛い物だったワケじゃねえ!!」

連投規制避け

ベッドから飛び起きたバズビーは、静かな面持ちで部屋を後にした


向かった先は、修練場

予備動作もなく自然な形で、右手に神聖弓であるボーガンが形成される


ユーハバッハより与えられた“灼熱”の聖文字

威力、射程、範囲、応用性、どれを取っても申し分ない攻撃性能を持ちながらなお、彼が神聖弓の鍛錬を怠った日は一日もない


それは、彼の矜持


ユーハバッハをその手で討ち取る日の為に、バズビー――バザード・ブラックが砥ぎ続けてきたプライドの矢に、他ならならない


そして今や、そのプライドを向けるべき相手は、ユーハバッハひとりではなくなっていた


バザード(もしもてめえが……あの日の誓いを棄てて、本気でアイツに仕える心積もりなら……)



バザード「――ユーハバッハの力共々、俺がてめえを殺すぜ、ユーグラム・ハッシュヴァルト」




BLEACH SS『A Warm FRIEND Heats up me』the END.

以上です

お付き合い頂きありがとうございました

なお、こちらのSSと時系列を同じくしておりますが、直接の関わりはございません

リルトット「見えざる帝国」
リルトット「見えざる帝国」 - SSまとめ速報
(https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1468141446/)

それではHTML化依頼を出してきます

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2016年07月12日 (火) 10:30:01   ID: TP1-6zwA

珍しくシリアスなbleach ssに感動した。応援してます!

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