遊星「7月7日」(13)


遊星(日付が変わる少し前、突然アキから電話があった)


アキ『ごめんなさい、こんな時間に。もしかしてもう寝てた?』
遊星「いや、昨日の夜からずっと起きてるぞ」
アキ『そうなの……って昨日の夜から!? 遊星、また貴方徹夜してるの?』
遊星「ああ、色々とやる事が多くてな」
アキ『駄目よ、そんなの! ちゃんと睡眠とりなさい! そんな生活続けていたら絶対何時か倒れるわよ!!』
遊星「わ、悪い……ところでアキこそこんな時間に何の用なんだ?」


アキ『えっと、それは……』

遊星「明日も学校なんだろ? あまり夜更かししない方がいいんじゃないか?」

アキ『子供扱いしないで。用ならあるわよ……その、遊星と少しお喋りしたいなーと思ったのよ。うん、そう」

遊星「突然だな。だが俺となんか話をしてもつまらなくないか?」

アキ『そんな事ないわよ! 少なくとも私には!!』


遊星「アキ?」

アキ『あっ……ご、ごめんなさい。やっぱり急だし迷惑、かしら?』

遊星「……俺は正直話をするのはそんなに得意じゃない」

アキ『…………』

遊星「だから話をするにしても殆ど聞き役に徹する事になるが……それでもいいか?」

アキ『! え、ええ!』


遊星(それからアキとの夜のお喋りが始まった)

遊星(内容は他愛のないものばかりで今日の学校の話だとか、夕飯は何を食べたのだとか)

遊星(最初に断った様に俺は殆ど相槌かアキの問い掛けに答えるばかりでこれで大丈夫なのだろうかと少し不安もあったが)

遊星(俺に話をするアキの声がとても嬉しそうに弾んでいたのでそのまま続ける事にした)

遊星(やがてポッポタイムの時計が零時を示し、新たな日付を告げた)


アキ『あら、何か音が聞こえない?』

遊星「ああ、時計の音だ。もう零時だからな。アキも明日は学校なんだしそろそろ……」

アキ『あーーー!?』

遊星「どうした、大声出して?」

アキ『もう、私の馬鹿! 遊星とのお喋りが楽しくて当初の目的をすっかり……あ、でもまだ大丈夫か!』

遊星「アキ?」

アキ『ゆ、遊星……』

遊星「何だ?」

アキ『…………』


アキ『誕生日、おめでとう』


遊星「…………」

アキ『その、今日は遊星の誕生日でしょ? 私、どうしても一番最初に貴方にお祝いの言葉を言いたくて……本当は直接言いたかったんだけど、難しいからこうやって電話でお喋りして日付が変わったら言おうと思ってたの』

遊星「…………」

アキ『べ、別に深い意味はないのよ? 一番に言いたかったのは、その、単なる気まぐれみたいなものだから……それ以上の意味とかは……』

遊星「……そうか」

アキ『え?』

遊星「今日って俺の誕生日だったのか……」


アキ『誕生日だったのかって……もしかして自分の誕生日忘れてたの?』

遊星「ああ」

アキ『呆れた……でもある意味遊星らしいといえばらしいけど……』

遊星「面目ない。だがおかげで思い出せたよ……アキ」

アキ『な、何?』

遊星「ありがとう。お前から俺の誕生日を祝えて貰えてとても嬉しい」


アキ『…………』

遊星「アキ?」

アキ『そう……それは何よりだわ』

遊星「ああ」

アキ『その、ちゃんとしたお祝いは今日またちゃんとするから。ジャックやクロウ達からも何かあるんじゃないかしら?』

遊星「そうか、それは楽しみだ」

アキ『それじゃあ言いたい事も伝えたし、そろそろ寝るから……またね』

遊星「ああ。おやすみ、アキ」

アキ『うん……おやすみなさい、遊星』


遊星(アキとの電話の後、俺は夜風を浴びに外に出た)

遊星(アキの言葉はとても嬉しく、自然と口角が上がっているのが自分でも分かった)

遊星(ふと空を見上げる。星が綺麗な夜だった)

おわり

今日中に書けて良かったです。

7月7日、蟹座の遊星誕生日おめでとう。

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