グラン「ルリアのチョコレート」 (16)
グラン「………」
オイゲン「おう、グラン」
グラン「あ、オイゲン…」
オイゲン「どうしたよ? 真剣な顔で何見てんだ?」
グラン「これ…なんだけど」
オイゲン「これは…チョコだな。こいつがどうかしたのか?」
グラン「これさ、ルリアから貰ったんだよ」
オイゲン「ほぅ? ハハッ、なんだ、ノロケかよ!」
グラン「…今年の2月にね」
オイゲン「…あ?」
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オイゲン「2月…つーことは、アレか? バレンタインの…」
グラン「うん…」
オイゲン「おいおい、なんでいつまでも持ってるんだよ」
グラン「………」
オイゲン「嬢ちゃんはおめえさんに食べて欲しくて作ったんだろ?」
グラン「そう…なのかな。そうだといいな」
オイゲン「もったいねぇのはわかるが、食べてやんないと嬢ちゃんが可哀想だろうがよ」
グラン「僕だってそう思う…そうしたいよ…だけど!」
ルリアのチョコレート
キャラクターの経験値が2140上昇します
グラン「食べられないんだよ!!」
グラン「僕が! 食べられないんだよ!! このチョコレート!!」
オイゲン「い、いや、でもよ…おめえさんが食えないって意味なら、他のチョコだってそうだろ? なんで嬢ちゃんのだけ手元に残ってるんだ」
グラン「武器はいい…」
オイゲン「あん?」
グラン「召喚石に食わせるのもいい…それはまだ我慢できる。自分で食べてるわけじゃないけど、自分で使うものだからね」
グラン「でも! キャラに食わせるのは無理だ!! 他の誰かに食べさせることになるからな!」
オイゲン「はぁ…」
オイゲン「あのよ。他の奴に食わせるモンなんて、他にいくらでももらっただろ。それはどうしたんだよ」
グラン「ああ。アーミラに全部あげたよ。レベルは全く上がらなかったけど…」
オイゲン「ああ…最終解放のレベル上げに必要な経験値はバカにならねぇからな」
グラン「誰からもらったのなんてわからなくなっても、僕がもらったものを他の人に食べさせるのは心苦しかったよ」
オイゲン「わからないとか本当でも言うなよ」
グラン「でも、これだけは…! どうしても、我慢できなかった! ルリアがくれたチョコレートを誰かに食べさせるなんて、そんなこと僕にはできない…!」
オイゲン「そうか…そういうわけで嬢ちゃんのだけ残ってんだな…」
グラン「銀天緩和でClass.Ⅳのジョブを取得したんだ。それに使えれば、僕はルリアのチョコが食べられる…ジョブは鍛えられる…何に問題もなかったのにね」
グラン「オイゲン…なんで僕はこんなに苦しんでいるんだろう…泣きたいよ」
オイゲン「いや、知らねぇよ。そこまで嫌ならもうとっておけばいいんじゃねぇのか」
グラン「バカ! とっておいたら、ルリアはどう思うと思う!?」
オイゲン「バカっつったかオメェ!?」
グラン「僕がいつまでもチョコレートを持っているのを知ったら、きっと来年のバレンタイン…」
ルリア『えへへ、グラン! 今年も作っちゃいました! 受け取って…』
ルリア『あれ…グラン、そのチョコ…去年の…?』
ルリア『あ…もしかして、口に合いませんでしたか…?』
ルリア『ごめんなさい…わたしがお菓子作り、ヘタだから…食べて…くれなかったんですね…』
グラン「僕がチョコを貰えないだけならまだいい! ルリアはきっと深く傷つく!!」
オイゲン「はぁ…おめえさん、ネガティブなのに来年ももらえると思ってるところはポジティブだねぇ。まぁ、実際そうなるだろうけどよ」
グラン「いや、貰えないならそれでいいんだよ。僕が心に深い傷を負うだけで済む」
グラン「そうだ…ルリアを傷つけるくらいなら、いっそルリアに嫌われてしまおうか」
グラン「うわああああああああああルリアに嫌われるだなんてそんなの耐えられねえええええええええ!!」
オイゲン「グラン…おめえさん、嬢ちゃんのことになるとすげえバカになるよな」
グラン「えへへ」
オイゲン「いや褒めてねぇよ」
オイゲン「まぁ、そういうことならよ、嬢ちゃんのために割り切るしかねぇんじゃないのか」
グラン「それしかないのか…くそっ!」ガンッ
オイゲン「ベルセルクで玄武甲槌床に叩きつけんのやめろよ」
グラン「でも、だったら…誰にあげればいいってんだ」
オイゲン「やっぱ、カタリナの姉ちゃんがいいんじゃねぇのか?」
グラン「はぁ!?」
オイゲン「おお!?」
グラン「なんでよりによってカタリナにあげなきゃいけないのさ!? 一番ダメな選択肢だよ!」
オイゲン「ダメなのか…? おめえさん以外だと、嬢ちゃんと一番仲いいし、嬢ちゃんも納得すると思うんだが」
グラン「だからだよ! カタリナになんて絶対ダメだからな!」
オイゲン「おめえさんまさか…姉ちゃんに嫉妬してんのか」
グラン「そうだよ」
グラン「カタリナはかっこいいし、美人だし、強いし…僕だって何度も助けられてきた。好きか嫌いかで言えば大好きだよ。モテモテなのもわかるし、尊敬もしてる」
グラン「ルリアを帝国から連れ出したのもカタリナだ…二人の間に入り込めないような絆があるのも理解出来る」
グラン「でも、だからって…だからこそ、譲れないものがあるんだ…!」
オイゲン「そ、そうか…」
グラン「僕がルリアのチョコをカタリナに渡すなんて、ヴィーラがカタリナからもらったチョコをファラに渡すようなものだよ」
オイゲン「それ、毒殺しようとしてるんじゃねぇか?」
オイゲン「まぁ…でもよ、おめえさんも嬢ちゃんと命で繋がってるだろ? 無論、それだけってわけじゃねぇ。嬢ちゃんと姉ちゃんのものとは違うが、おめえさんも嬢ちゃんと特別な絆で結ばれてると思うぜ」
グラン「そうかな…そうだといいな…」
オイゲン「そうだよ。だから、そのチョコはカタリナに…」
グラン「それは嫌だ」
オイゲン「そうかい…」
グラン「と言うかカタリナだけじゃなく誰にも食べさせたくない。男でも女でも、それがきっかけでルリアを見る目が変わったら…ああ」
オイゲン「心配しすぎじゃねぇのか…?」
グラン「ビィにあげられたらまだよかったんだけどな…僕の相棒だし実質僕が食べるようなものだ」
オイゲン「その感覚はわかんねぇけどよ…人にやるのが嫌なら人以外にやったらどうだ? 星晶獣とかよ」
グラン「星晶獣は…ダメだ…」
オイゲン「あ?」
グラン「ルリアは星晶獣を司る存在だ…近いんだよ…ルリアと、距離が…召喚石なら一方的に使役する側だからいいけどさ…」
オイゲン「はぁ…」
グラン「とにかく、駄目だ。ロゼッタもノアもヴェトルも」
オイゲン「それじゃ…お、そうだ。ベスにやりゃいいじゃねぇか」
グラン「ベスか…ベスはレベル最大にしちゃったからなぁ。それに、属性も変えたいから無駄になりそうだし」
オイゲン「じゃあ、ロボミでいいんじゃねぇか? 機械だしよ、既婚者だろ? 何の問題もねぇだろ」
グラン「そういう理由でロボミを選ぶのって、なんか単なる機械としか見てないみたいでメグミさんに失礼じゃないかな」
オイゲン「変なところで真面目だな…」
オイゲン「で、結局…」
グラン「………」
オイゲン「誰にもやれねぇワケか…」
グラン「ああ、どうしよう…」
オイゲン「あーもう、だったら俺が食ってやるよ!」バッ
グラン「あっ!?」
オイゲン「俺は死んだカミさんに操を立ててんだ、大体アポロより年下のヘンな気なんて起こらねぇよ!」
グラン「ま、待ってくれ! それなら、せめてリミテッド引いてから…」
オイゲン「天井も行かないのに引けるワケねぇだろ! それよか、おめえさんの懸念吹き飛ばす方が大事だ!」
グラン「う………」
オイゲン「あーん…」
グラン「うわあああああああああああああああああウェポンバーストッ!!」
グランが四象白空陵駆・北玄++を発動!
→1160866ダメージを与えた!
オイゲン「ぐあああああああああああああああああああああ」
オイゲン「何しやがんだテメェ! 有利属性じゃなかったら死んでたぞ!?」
グラン「………」
オイゲン「オレが信用できねぇのか!? それとも、こんなチョコ1つで嬢ちゃんの気持ちが動くとか本気で思ってんのか!?」
グラン「違う…」
オイゲン「あん?」
グラン「そんなことはどうでもよかったんだ…」
グラン「ただ、僕がルリアのチョコレートを食べたかった…ただ、それだけなんだ…!」
オイゲン「そうか」
オイゲン「でも、どうすんだ? 実際問題、おめえさんが食えねぇかこんな悩んでんだろ」
グラン「決めた…運営に要望を出そう」
オイゲン「う、運営? 要望?」
グラン「僕がこのチョコレートを食べられるようにシステムを変えてくれないか頼んでみるんだ」
オイゲン「システムを変える…そ、そいつは何かの星晶獣なのか?」
グラン「さぁ、トップページから届け僕の要望!」
ルリアのチョコレートを食べられない…そんな世界は間違っていると思わないか…?
要望だ…要望を出すのだ…
ルリアのチョコレートを、自分で口にするために…
そして、僕と同じ想いを持つ騎空士達よ…願わくば、僕に力を貸して欲しい…要望を…出して欲しい…
オイゲン「いねぇよ」
終わり
このSSまとめへのコメント
ワロタ
不利でも奥義減衰出してて草