祝!映画化!
きんいろモザイクのSSです
注意!
・このSSの前に二作SSがあります。これはその続編です
・ほのカレ……に加え、今回はしのアリ有り
・R-18なイチャイチャは入れるか未定
・更新遅め
考えてみると私は、周囲の人に大きな影響を与えたのかもしれない。
大切な、愛しい人と一緒に近くにいようとして、常識を踏み外した私達。その道は『認められて』いるところもあれば、『認められていない』ところもある。
つまりは歩くことに勇気が要る道で。
けど私、松原穂乃花はあの人と一緒に歩くことを決めた。
最初は怖くて見ない振りをして、曖昧な態度をとっていたけど――でも、みんなが背中を押してくれたから。
認める、認めないの話じゃない。
友達がどうしたいか。それだけを考えて、彼女達は見守ってくれた。
そしてめでたく結ばれた私達。
日々幸せで、けど時には後ろめたくて、辛くなる時もあるけど、そんなのは今気にならない。
あの人と……カレンちゃんと別れることに比べたら、きっと。
……って、のろけちゃってるかな。えへへ。
えっと、本題に戻ろうね。
平たく言えば、私とカレンちゃんの特別な関係、それを築くまでの道のり、そして結果。
それらは私達の周囲に大きな影響を与えているのだと思うのだ。
はっきりとその影響は何かとは言えないけれど、最近妙に感じることがあるのだ。
例えば、朝。
穂乃花「ふんふふーん。今日は調子が良かったー。特技って言ってもいいレベルになってきたかな」
私は朝練を終えて、すっきりとした気分で校舎へと歩いていた。
今日の私の絶好調っぷりはすごかった。ミスもほぼなくてばしばしとサーブも決められて、転ぶこともなくて。
服にかすかに感じる汗すらも爽やかに思え、まさに一仕事終えた、って感じ。部員のみんなも褒めてくれたしご機嫌だ。
女生徒「ま、松原先輩! おはようございます!」
ルンルン気分で歩く私。校舎へ入るそのタイミングで、声がかかる。
なんだろうと顔を横に向ければ、そこには見知らない女の子が三人ほど。
緊張した様子で私を見つめ、声をかけてくれたらしい真ん中の子はもじもじとしている。
だ、誰だろう……先輩ってことは部活の? ……記憶にないけど、私忘れっぽいから……。
穂乃花「おはよう。今日も一日頑張ろうねー」ニコッ
笑顔で挨拶。なるべく悪い印象を持たれないよう、柔らかい口調で。
女生徒「! は、はいっ」
すると女の子達は何故か恥ずかしそうに、そそくさと去っていってしまう。どうしたのだろう、と首を傾げていると――
香奈「穂乃花最近人気だねー」ヒョコッ
穂乃花「わっ!?」
横から香奈ちゃんが顔を出してきた。
す、すごく心臓に悪いよ……。
穂乃花「か、香奈ちゃん。びっくりするよ――え? 人気?」
香奈「人気」
ぽかんと返事をする私へ香奈ちゃんは復唱して返す。人気。私の人気。今まで縁のない言葉に、理解が遅れてしまう。
穂乃花「人気ってそんな。私だよ?」
で、出た結論はジョークの類いだと言うこと。香奈ちゃんお茶目なんだから。
香奈「そんなことないって。なんかキラキラしてて上品でお嬢様? お姫様っぽいんだってさ」
穂乃花「お嬢様? お姫様?」
まったくそんなこと言われる覚えがない。カレンちゃんならともかく、私がお姫様だなんて。
香奈「んー、でも何となく分かるかな。穂乃花、近頃大人っぽいというか、色気みたいなものを感じるから」
穂乃花「なっ!?」
大人。色気。
瞬時に脳裏に浮かぶのは、温泉での一件。大人の階段を登ってしまったから? 見た目で分かっちゃうの?
穂乃花「そ、そんなことないよー」
香奈「あはは、まぁそうだね。今も真っ赤だし」
穂乃花「自分で言っておいてあれだけど、肯定されるとちょっと悲しい……」
顔真っ赤なのは自分でも痛いほど自覚してるから尚更。私の耐性、まだ全然上がってないみたい。
香奈「冗談冗談。ま、噂だから気にしない方がいいって」
穂乃花「うん。すごく恥ずかしいし」
こくんと頷いて、私と香奈ちゃんは自然と校舎へと歩きはじめる。
あの女の子達が部活の後輩じゃなかったら、香奈ちゃんの言っていたことは本当になる……のかな。
前はこんなことなかったのに、やっぱりカレンちゃんと付き合ってから何か変わったような気がする。
自分の価値観とか、そういう話じゃなく。
……一体、なんなのだろう?
私は無性に気になって仕方がなかった。
※今日はここまで
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