【R-18 安価】種付け (138)
R-18要素含みます。
2~3日に1回程度の更新を目標にします。
基本的に安価は多数決か、集ったご意見を>>1の独断、レスのコンマ判定です。
次レスからスタートとなります。
《エピローグ》
満月の夜。
とある屋敷の一部屋では行為の真っ最中であった。
「.....挿れるぞ」
「はい....ご主人様」
男は女の秘所にソレを押し当てる。
挿入はしない。女を焦らしているのだ。
月光に照らされるのは頬を紅潮させた女の姿。
これほど美しく可愛らしい姿は唯一無二。
世界中から女を集っても代わりは存在しないだろう。
今まで抱いてきた女は皆一級品であった。
しかしこの女は一級すらも凌駕している。
つまり男が抱いてきた女は二級品だったのだ。
この女こそが一級の品。
認識を変えてしまうほどの魅力を兼ね備える女。
愛おしくて堪らない。
男は我慢の限界を迎えようとしていた。
だがその前に焦らして女にこう言わせたい。
『挿れてください』と。
男はあちら側からの要求を待ちわびる。
秘所に押し当て、焦らすこと十五秒の時。
室内に響くのは女が分泌した潤滑液が飛び散る音。
しかし一向に女は口を開かない。
もう我慢の限界であった。
見栄を張るのも限界。
せっかくの機会に聞きたい一言すらも馬鹿馬鹿しい。
男は女を愛し、女は男を愛する。
それ以上でもそれ以下でもない。
行為を通じて愛を確かめることこそが先決。
男は下半身を前に押し出す。
すると沼に沈む石のように亀頭が秘所に沈んだ。
これだけで至高の愉悦を感じた。
全方向から圧迫される先端。
当初はキツいと感じたが、すぐに慣れる。
女の膣がそれに順応したのだ。
男に子種を吐き出させるために。
女の女としての性が自然とそうさせた。
程良い圧迫感に射精感を刺激されるが、予想の範疇。
この女は最高の女。
これくらいやって貰わねば興が冷めてしまう。
男はようやく女を理解したつもりでいた。
しかし女はいつも予想を卓越してくる。
分かっていたはずなのに、気が緩んでしまった。
「ご主人様....き、キスをしていただけませんか?」
聞く震えた小動物のような声色。
涙目でそう訴える彼女に男は気分を高揚させる。
宝石のように輝く涙も相乗効果を引き出している。
嬉しいのか。悲しいのか。それとも痛いのか。
何れにしても、男に選択の余地は無かった。
≪第一話・記憶喪失≫
「此処は......」
男は独り、小さくボソッと呟いた。
周囲に人の影はない。
視界に入るのは高級な品だと検討のつく品々。
リビングだろうか。
革製のソファや重厚なテーブル、大きな液晶テレビ。
その他諸々。
気になるモノは幾つかあった。
しかし男が一番気になったのはモノではなく部屋。
一軒家にしては大きすぎる間取り。
そして部屋の数。
ホールのような部屋があるのからして、此処は屋敷。
洋風の屋敷だとすぐに想像がついた。
冴えない足取りと冴えない表情。
男は現在地だけでは済まされず自分のことまで。
寝起き以上に頭が回らず、何も思い出せなかった。
自分の名前さえも思い出せない。
不安と恐怖に男は焦りを感じ始める。
記憶を失っているとはいえ、人に変わりない。
どんな性格や経験をしていても、こうなる。
記憶を失っている者は焦りを感じて当然。
男は常識的な行動としてまずリビングへと戻った。
革製のソファに深く座り込み、頭を抱える。
何かヒントらしきものを思い出せないか、と。
「.....ダメだ」
独り言に抵抗がない。
もともとそういう性格だったのか。
それとも記憶を失っているからなのか。
はたまたこの場に自分だけだからなのか。
もう全てが分からなかった。
「どうすれば.....」
此処が何処だか分からない以上、外に出るのも危険。
だからと言って屋敷内を歩き回るのも非効率的。
誰かが現れるのを待つべきか。
なら、何処で人を待つか。
「.....テレビ」
一通りの環境は整っている。
時間を潰すのに苦労はしなさそうだ。
リモコンを手に取り、電源ボタンを押そうとした時。
「こちらにいらっしゃいましたか」
背後から程良いソプラノの可愛らしい声。
振り返るまでもなく美人な女性だと想像がつく。
しかし振り返らない訳にはいかない。
記憶は失っていても、常識は持ち合わせていた。
男は振り返る。
そこには貞淑に控えたメイドがいた。
黒と白を基調としたメイド服を身に纏った女性。
端正な顔立ち。
艶やかで手入れの行き届いた黒髪。
服の上からでも分かる綺麗な肢体。
タレントやモデルのコスプレを疑うほどである。
「君は....」
男は問う。
扉を開けた音も、気配も無く。
突如として背後に現れていた女性に。
「ご主人様のお仕事の手助けをする者です」
「ご主人様.....? それに仕事....とは?」
「委員会の方から連絡きていませんでしたか?」
「委員会.....。いや、それよりも前に」
ご主人様。仕事。委員会。そしてメイド服を着た女。
突然の情報量に戸惑う。
順を追って問い質すとして。
しかし男がまず最初に求めた情報は一つ。
「俺は誰だ?」
「......ご冗談ですか?」
「いや、本当に何も思い出せないんだ」
「記憶喪失....。心因性でしょうか」
「わからない」
「ともかく専門の機関に連絡しておきます」
「あ、あぁ。頼む」
メイドの従順な対応に男は言葉を詰まらせる。
外見だけでなく、内面まで使用人のようだ。
「しかし....となると、何からお話しましょうか」
「君のことを教えてくれ」
「畏まりました。お茶をお出し致しますね」
彼女についてだけではなく。
仕事や委員会についても話すとなると、長話になる。
男はメイドに促され、そのままソファに。
メイドは一旦部屋を出て、お茶を汲みに。
十分も経たないうちにメイドが戻ってきた。
「ありがとう」
「ご主人様の身の回りのお世話が生きがいですから」
仕事ではなく『生きがい』と宣言。
男が思っているよりもずっと。
使用人としての志が刷り込まれている。
「.....美味しいな」
「恐れ入ります」
こんなに美味しいお茶は飲んだことがない。
そう心の中で称賛するが。
その直後に記憶喪失のことを思いだした。
男は苦笑いを浮かべて、メイドの言葉に耳を傾けた。
「私は使用人養成学校の卒業生です」
「使用人....養成学校? 専門学校か?」
「いえ、小中高一貫の十二年教育となっております」
「それは凄いな」
「最大の特徴は卒業率の低さでしょうか」
「中退ばかりの不良が多いのか?」
「理由は様々ですが、卒業率は例年一%程度です」
「.....! それでよく運営できているな」
「富豪家からの出資ありきですから」
「そうか。使用人の養成に....」
「卒業生は出資者の下へ就職を義務付けられます」
「出資者の中から選ぶのか?」
「競争ですわ。一番多くお金を出した人が優遇されるのはどの業界でも同じことだと存じます」
「つまり選択権が無いってことか?」
「はい。卒業式にて、卒業証書の代わりに頂くのが主人の情報となっております。私の場合は例外でしたが」
「富豪家らによって勝手に決められるのか」
「拒否権はありません。例えどんな主人であろうと、その身を尽くして主人のサポートを致します」
「なるほど。理由の方は?」
「中退が多い理由。その大多数は教育の難易度です」
「具体的な例を挙げてくれ」
「約半数は使用人に求められる給仕で赤点を。もう半数は身の回りのお世話で躓きます」
「給仕というのは料理や掃除とかか?」
「はい。そして身の回りのお世話とは、主人のスケジュール管理から商談、そして五大欲にお応えすることも含まれております」
「五大欲?」
「遠回しに言わずに答えるとすると、性欲ですわ」
「.....そのお世話まで仕事に入っているのか?」
「仕事ではなく生きがいです。お給料を戴かないのが私たちプロのルールですから。心身ともに仕える。それが最大の悦びであり、生きがいを感じる瞬間です」
「洗脳...に近いな」
「実感しているところが救いでしょうか」
「教育方針に抗ったりはしないのか?」
「それ以外の道がありませんので」
「....そうか。中退した者はどうなるんだ?」
「提携を結んでいる企業に引き取って貰えます。成績を鑑みて、CAであったり看護師であったり」
「結構良いところに就職出来るんだな」
「ただ、成績が悪い者は.....」
「どうなるんだ?」
「女の使い道は幾らでもある、とだけ」
「......」
「話を戻しますね。卒業率は約一%。中退は約九十%。では残りの十%は何か。お分かりですか?」
「さすがに死者....なんてことは無いよな?」
「今のところ死者は一名も出ておりません。正解は引き抜きです。在学中の生徒にアプローチをかけ、卒業を待たずに中退というクッションを置いて就職。これが約十%を占めていますわ」
「案外少ないような、多いような」
「引き抜きは生徒の意思も尊重されますから。生徒が同意することで初めて契約は成立します」
「君はされなかったのか?」
「何千件か引き抜きのお話は戴きました。すべて丁重にお断り致しましたが」
「何千っていうのは普通なのか?」
「異常なことです」
「少なすぎるのか、多すぎるのか」
「....僭越ながら、類を見ない多さです」
「君は優秀なのか」
「一年おきに成績を割り出します。一般的にはAからC。しかし特に優秀な生徒にはSの成績が付きます」
「何千ってことは...Sか」
「はい。Sランクを戴けるのは平均して十年に一度。私の前は二年前の先輩になります」
「かなり珍しいことなんだな」
「三年間に二名のSランクは稀有な事例です」
「......! どうして俺のところにSランクが? 富豪家の連中は君のことを喉から手が出るほど欲しがっていてもおかしくないのに」
「そこでお仕事や委員会についてです」
「.....俺は何をすればいいんだ?」
「委員会の名前は少子化対策委員会。その名の通り、少子化を対策する委員会となっております」
「それで?」
「ご主人様のお仕事の内容は子作りですわ」
「子作り? .....冗談だろ?」
「相手はこちらでご用意致します。ご主人様はその女性の方の子宮に射精して頂けるだけで結構です」
「......」
「お仕事は一週間に一度。それ以外の日は私がご主人様の性欲処理を担当致します」
「魅力的な話ではあるが、冗談にしか聞こえない」
「追々事実だと認識して頂ければ充分です。失礼ですが、ご主人様は性交渉の経験は?」
「.....覚えてない」
「練習台が必要なようですね」
「練習台?」
「ご主人様の初めての相手です」
「.....君がやってくれるんじゃないのか?」
「デザートは最後にとっておくのが人間の性ですわ」
「じゃあ俺の性欲処理を担当するって話は?」
「口でご奉仕させていただきます。ご主人様が満足するまで何度でも、何時間でも、何処でも」
「....そうか」
「それでは早速ですが練習台を探しに行きましょう」
「それも用意してると思ったんだがな」
「さすがにそちらまでは。車を出します」
「運転技術も持ち合わせているのか?」
「必修科目でしたから。補足説明も車内で致します」
それとなく把握した現状。
男はご褒美のような仕事に心を躍らせる。
無理はない。
記憶を失っているとはいえ彼も男性。
それに若さも故あって性欲は有り余っている。
お金を払ってでも請け負いたい仕事である。
もし彼女の言うことが本当なら、の話だが。
「何処へ行くんだ?」
「闇競売ですわ」
あたかも当たり前のように。
メイドは主人を闇競売場へと誘った。
第一話はここまでとなります。
今後は第二話、第三話と区切りで更新していきます。
説明不足な部分も多々あると思いますので、何か疑問に思ったことなどは書いて頂ければお答えします。
文章の構成などのアドバイスも頂けたら幸いです。
いつまでも『男』と『メイド』では表現しにくいので、名前を安価で決めたいと思います。
6月16日の15時までに男と女(メイド)を明記した上で、皆様の名前のご意見をお聞かせ下さい。
今回の安価では多数決やコンマではなく、>>1の独断で決めさせて頂きます。ご了承下さい。
次回は≪第二話・奴隷≫です。
男:九条廉也
女:如月千鶴
男 高槻秋乃
メイド 水蓮寺ゆかり
「男」と「メイド」ってペルソナかぶせてたほうが楽じゃねえかな
それでも名前つけるなら結局自分のセンスで付けた方がしっくり来ると思うよ。キャラの中身や正体知ってるのは作者だけなんだし
というか女探しに行くより病院が先じゃねえの記憶喪失
メイドのこと訊くって言って学校のことしか聞いてなくね
エピローグではなくプロローグでは?
たくさんのご意見ありがとうございました。
名前についてですが、『男』と『メイド』のデフォルトネームの意見が多く見られました。
ですがせっかく名前の意見も戴いたので、名前を付けようと思います。
男:高槻秋乃(>>19) メイド:如月千鶴(>>12)
今後はこの名前で進めていきたいと思います。
次に名前を決める機会は奴隷に付けます。
>>26 車内での補足説明でメイドのことや記憶喪失について話題に出します。
>>27 エピローグではなくプロローグでした。ご指摘ありがとうございます。
次レスからスタートです。
≪第二話・奴隷≫
「申し遅れました」
闇競売場へと向かう一台の高級車内。
これまで沈黙を続けてきたメイドが口を開いた。
「私は如月千鶴と申します。呼び方につきまして、拘りはありませんので、お好きにどうぞ」
「あぁ。わかった」
如月千鶴、如月千鶴。
身の内で何度かメイドの名前を復唱する。
特別覚えにくい名前でもない。
それに記憶喪失のおかげか頭が冴えている。
きっと記憶が記されたメモ帳を一新したからだろう。
男はすぐに千鶴の名前を記憶した。
「他に何か聞きたいことは御座いますか?」
「如月さんに限る質問だけか?」
「どちらでも構いませんわ。それと、強制は致しませんが、可能な限り呼び捨てでお願い致します」
「.....質問だが、如月の趣味は?」
「私の趣味ですか? そうですね.....」
「なんでもいいぞ」
「なんでもいい、と申されましても。教育を受けた十二年間は趣味に没頭せず勉強をしていましたので」
「興味がある事とかは?」
「ありません。我々はご主人様のために身を捧げられればそれで満足ですから。使用人としての仕事が趣味と解釈して下さいませ」
「.....そうか」
「他に何か御座いますか?」
「如月は委員会に雇われてるんだよな?」
「雇用形態としてはそうなります」
「十年に一度と言われている稀少なSランクをよく俺のサポートに当てたな。賃金こそは皆無だが、如月を買うとすると相当高いだろう?」
「それだけ熱意の込められた計画ということです。それに私に当てられた購入資金は回収しようと思えばすぐ回収できますから」
「どういうことだ?」
「ご主人が女性の子宮に精液を流し込むだけでお金が発生するのです。ついでにクライアントのご令嬢を孕ませれば数百万から一千万ほどが委員会に入ります」
「.....利用されているのか」
「否定はできません。しかし悪い話ではないと思います。練習台の購入資金やご主人様の生活費も全て委員会から支給されますので、ご存分にお楽しみ下さい」
「ますます自分が何者なのか分からないな。俺の精液にはそんな価値があるのか?」
「委員会の言動を鑑みると、相当なものかと」
「知らされていないのか?」
「私に与えられた情報は最小限です。ご主人様についてはお名前しか存じません」
「俺の名前を知っているのか!?」
「はい。卒業証書の代わりに戴いた資料の中に」
「教えてくれ」
「高槻秋乃。そう記されていましたわ」
「たかつき....あきの....」
「何か思い出せましたか?」
「.....いや、依然変わらずだ」
「競売後に病院に行きましょう。学校と提携している病院ですので、そこそこ優遇して頂けるはずです」
「練習台も一緒にか?」
「練習台につきましては納品して頂けるかと。それなりに高額な買い物をした場合に限りますが」
「参考までにどれくらいの買い物だ?」
「競売の規定最高価格は五億。また、委員会から与えられた予算も同額となっております」
「五億....。それはどうやって回収するんだ?」
「子供を育てて稼がせる。それ以外ありませんわ」
「練習台を孕ませるのか」
「はい。最低でも七人程度は産んで頂きます」
「.....逆に最低価格はどれくらいだ?」
「競売では百万から。市場では十万からです」
「市場の方ではダメなのか?」
「女なら誰でも良いわけではありません。それなりに高品質な遺伝子を持ったご令嬢クラスでないと」
「そんなやつが競りに出されるのか?」
「はい。悲劇の財閥令嬢姉妹が出品されるそうです」
「姉妹か....」
「僭越ながら、ご興味がお有りですか?」
「.....いや」
男はメイドから外の景色へと視線を戻す。
『悲劇』の財閥令嬢姉妹。
世間を忘れた男にも的確らしい予想はついた。
────大方、会社が倒産したとかだよな
借金に溺れた両親が返済に当てたのは娘達。
メイドの発言からして、上質な女なのは間違いない。
こちらの軍資金はたったの五億。
数多の資産家が彼女らを汚そうと試みるはずだ。
よって、現実的でなかった。
姉妹を同時に犯す、という妄想は。
「こちらが本日の会場となります」
小さな山の麓にひっそりと建てられた洋館。
霧で包まれたそれは怪しいというより妖しく。
事件の一つや二つが起こりそうな雰囲気を感じた。
「そういえば人身売買って」
「非合法ですわ」
「バレたらヤバいんじゃないか?」
「政府御用達の競売ですから。言うなれば政府公認の非合法人身競売、と言ったところです」
「そ、そうか....」
これから行われるのは事件。
みすみす見逃すだけでなく、自らが参加者の一員。
詳細を知らされていない『美味しい仕事』のために。
意識を切り替えて、参加者としての心構えで入館。
外装に比べて内装は実に殺風景であった。
洋画の一つも無ければ、装飾品すら見られない。
「競売のために建てられたお屋敷ですから」
「金銭感覚が狂うな.....」
わざわざ屋敷を一つ建てるほどの催し。
早くも場違いな雰囲気を感じていた。
「この先が競売の行われるお部屋です」
「何か気をつけることは?」
「ご主人様は孕ませたい女性をお選び下さい。あとの手続きは私の方でやっておきますので」
スカートを指先で摘み、メイドは優雅に一礼をした。
どうやらこれから先は甘く見られたらダメなようだ。
とある若資産家を演じるのも骨が折れる。
「入るぞ」
「はい、ご主人様」
扉の隙間から差し込むのは眩い照明。
男は仕事成就のための第一歩をようやく歩み始めた。
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大きなステージに、多数の席。
多数の資産家に比例してメイドや執事。
かなりの人数が一堂に会していた。
皆の表情は明るい。
これから行われる犯罪を楽しみにしているようだ。
「.....如月のメイド服って一般的なやつなのか?」
「卒業生のみに支給される特製です」
「なら、結構居るな。一%に満たない卒業生が」
ざっと見渡す限り十数人。
つまりあの学校に多額の投資をしている資産家ばかりだ。
「これまで五億で落札した人は居るか?」
「今回の参加者では二名。特にあの女性」
メイドの視線を追うと、そこには豪奢なドレスを身に纏った高校生程度の幼い女性の姿が見えた。
陽気というよりは冷静沈着。
非常に冷たい眼差しをしている。
「おそらく彼女の目的は例の姉妹でしょう」
「レズなのか?」
「生粋の同性愛者との噂です」
「姉妹二人セットでの購入は?」
「充分にありえます」
「セットで売られたらどうするんだ?」
「その時は私が支払います」
「如月が?」
「委員会ではなく学校を通した所持金です。限度は二十億。これもSランクの特権です」
「すごいな....」
最初からその二十億で購入すれば良いのでは?
という質問は無粋であった。
一時的にでも借金の重みを知った方が仕事が捗る。
犯し甲斐が。
孕ませ甲斐があるというもの。
男としての本能に従うのは悪いことではない。
所有物を好き勝手扱うのは自分の勝手だ。
とやかく口出しする輩も居ないだろう。
「もう間もなく競売開始です」
メイドの声とほぼ同時に会場の照明が落ちる。
一瞬の暗闇。
すぐさまステージの中心に光が焚かれた。
「これより第二十四回闇競売を開始させて頂きます」
スーツを着た個性の無い男が宣言をすると会場の熱気が沸点に達し、拍手喝采が巻き起こる。
二十四回目という中途半端な回数。
多いのか少ないのか。
どれくらいの周期で行われているのか。
知らないことばかりの男は適当に流れに身を任せた。
「商品ナンバー001」
拍手が静まると同時に競売が開始される。
アナウンスと共に舞台袖から出現した小柄な女性。
資産家が彼女を見定めている間、司会は説明をする。
「彼女は・・・」
身分。経緯。三サイズ。
あらゆる情報が資産家の耳に届いた。
約一分ほどのスピーチを終えると、
「百万からスタートとなります!」
いよいよ競りが始まった。
百万、百五十万、二百三十万。
次々に値段が跳ね上がって行く。
「どうなさいますか?」
「スルーだ」
悪くない女。
金額もおそらく大したことないだろう。
しかし男の意欲は例の姉妹に偏っていた。
それまでは競りの様子を見届けることを伝える。
「畏まりました」
短い了解の旨。
メイドは一礼をするとステージの方を見つめる。
「三百二十万。他にはいらっしゃいませんか?」
司会が会場全体を見渡す。
誰も何も反応をしない。
つまりこれで人身売買は済まされた。
「九十二番の方、おめでとうございます!」
周囲から拍手が送られる。
男が予想していた殺伐とした競売ではなく。
ずっと明るく親しげな催しのようだ。
それからしばらくの競売が続き、
「お待たせいたしました。本日に目玉商品です」
一時間が経過した頃。
会場内の空気が改まった。
「商品ナンバー029と030。皆様も一度は耳にしたことあるのではないでしょうか。〇〇財閥の元ご令嬢」
例の姉妹が舞台袖から登壇。
今までにない熱気と怒声が各所で起こる。
「左の方が姉。高飛車な性格だそうです」
「見るからにそうらしいな」
「そして右が妹。一転して弱気で内気な性格だとか」
司会の説明に加えて、メイドの補足説明。
どちらも男の気を引くのには充分だった。
「今回は姉妹セットでの出品となります」
最後に寄せられた重大事項。
つまり今回の競りの最大規定価格は十億。
Sランクメイドの権限を活用しなければならない。
「それでは一億から」
他の娘と違い、令嬢姉妹は一億の高値から。
それなのにも関わらず千万単位で値段が跳ね上がる。
二億、二億六千万、三億三千万。
「四番! 五億!」
四億弱から急な跳ね上がり。
四番の資産家が通常の規定額限度を叩きつけた。
すると他の資産家は気圧され、黙る。
たかが二人を穢すために五億は払えない。
そんな雰囲気を感じ取った。
「五億。他にはいらっしゃいませんか?」
と、最後の確認。
そのタイミングに合わせてメイドが金額を提示した。
「じゅ、十億! 十億が出ました! 百二十番のお客様」
五億から五億の上乗せ。
セットでの限度額いっぱいだ。
これで姉妹は男の物となる。
そう気分を高揚させた瞬間。
「四番のお客様も十億! 他にはいらっしゃいませんか?」
四番の資産家がこちら側と同額を提示した。
限度額がある以上、この後は賄賂での勝負か。
「四番と百二十番のお客様は競売終了後、こちらからご案内させて頂きます!」
目玉商品を仮落札した。
達成感は無い。
仮を取り除き、落札するまでは。
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闇競売終了後、男とメイドは黒服に案内された。
もちろん用件は十億で仮購入した姉妹について。
同額の十億で購入した四番の資産家との穏便な話し合いがこれから行われるらしい。
話し合いの場は極普通の応接室のような場所。
しかしその場所は少し特殊な状況にあった。
「ん...くぅ....お嬢様ぁ....」
お嬢様と呼ばれる少女の口元には肌の膨らみ。
甘美な吐息を漏らすのは胸を弄られて感じるメイド。
人前だというのに躊躇や恥がる素振りは見せない。
気付いていないのか、そもそも気にしないのか。
男とメイドには他人のところの事は分からなかった。
「どうされますか?」
耳元で囁かれ、男は背筋を凍らせる。
前振りのない突然な近距離に緊張してしまった。
「どうする.....って言ってもな」
「声をかけましょうか?」
「.....頼む」
一流のメイドは度胸も兼ね備えている。
如月は人前で行為に及ぶ主人とメイドに声をかけた。
「あら」
お嬢様と呼ばれていた四番の女主人。
予想に反さず、冷たい声色をしている。
「ふふ、ごめんなさいね。我慢出来なくて」
と、女は呼吸を荒くするメイドの唇を奪った。
濃厚なキスの中には舌を絡める動作も含まれている。
五秒に満たない短時間のキスを切り上げ、
「醜態を晒してしまいましたわ」
謝罪なのか、嫌味を兼ねた戯言なのか。
人前であることを認知しながら、更なる醜態を晒す。
普通の人間なら到底出来ないことだ。
「お掛けになって。穏便なお話を致しましょう」
四番の女が促し、男は対面に座る。
その半歩後ろには如月が控える。
対して、あちら側は女主人の後ろにさっきのメイドとはまた別の凛々しい顔立ちをしたメイドの姿。
さっきのメイドはそそくさと去ってしまった。
おそらくきっちり待ち合わせをしているのだろう。
時間の心配は要らないようだ。
「さて。私に良い考えがあります」
「良い案?」
「えぇ。どちらもが幸せになれる手段です」
「幸せに....か」
「それは、半分ずつにすることです。ちょうど品は二つあることですし、別々で各々が購入致しましょう。支払い金額は五億ずつ。如何でしょうか?」
確かに合理的な案ではある。
こちらは優秀な子宮を手に入れるのが目的。
それに如月に借金をさせずに済むのなら、尚更だ。
「俺はそれで構わない。だが、先方はそれでいいのか?」
「片方でも手に入れば充分ですわ。愛で甲斐は半分ですけれど、確実に手に入れられるのなら及第点です」
「こちらも異論は無い」
如月の顔を見るまでもない。
孕ませ、子を産ませればそれで文句は無いはずだ。
「それでは交渉成立、と」
「問題はどちらがどちらを引き取るか、だが」
「お任せ致します。当方は余った方で構いません」
「.....いいのか?」
「今の私は気分が良いので」
選択権を与えらえ、男は悩んだ。
姉の方は高飛車な性格。
対して妹の方は弱気で内気な性格。
調教し甲斐があるのは前者。
しかし犯し甲斐があるのは後者。
一長一短で、なかなか決めにくい。
悩むこと数十秒。
ようやくどちらにするかが決まった。
どちらの奴隷にするかを多数決で決めます。
1.高飛車でプライドの高い、妹想いの姉
2.弱気で内気な、姉想いの妹
下5までで多い方に決定します。
名前はこの後決めます。
1.高飛車でプライドの高い、妹想いの姉 3票
2.弱気で内気な、姉想いの妹 2票
1の姉の方に決定しました。
次に名前を決めます。
苗字と名前(姉妹で2つ)をお願いします。
男やメイドと違って、姉妹ですので共通の漢字を使用した名前が出てくると思います。
ですので、別々で採用はしません。
同じ方のご意見を選ばせて頂きます。
>>1の独断と偏見です。ご了承下さい。
6月21日の18時まで。
橘 綾音 (姉)
橘 琴音 (妹)
大変お待たせしてしまい、申し訳ありませんでした。
>>48の
姉:橘 綾音
妹:橘 琴音
に決定致します。
次レスから再開致します。
「姉の方でいいか?」
「理由をお聞かせ下さいませ。いくら私の気分が良いとはいえ、多額なお金が動くショッピングですから」
「堕としたい。ただそれだけだ。不十分か?」
「いえ、十分ですわ」
本能的な性的欲求。
あの女は奴隷であり、今晩より自分のモノ。
早くも男らしい妄想の幅が広がった。
高飛車な女を徹底的に墜とす。
そんな空想を実現させようと意気込んだところで、
「それでは妹の琴音は私が戴きます」
四番の女主人が立ち上がった。
彼女も商品を早く手にしたいと意気揚々なのだろう。
女は凛々しい面立ちのメイドを引き連れ、応接室を去ろうと、メイドが扉の取っ手に手を掛けると同時に、
「早く、お上手になられて下さいね」
意味深な言葉を残してメイドと共に去ってしまった。
思うところはあるが、ひとまずは安堵しても良い。
商談は成立し、無事に目的を果たせたのだ。
これから帰って、納品を待って、奴隷を弄ぶ。
男としての欲望の数々が脳内で繰り広げられた。
「商品の手続きはもう完了しておりますので、あとは病院で検査をしてから帰るだけです」
「そうか、病院か」
いつの間にか商品の手続きが完了していることはさて置いて、秋乃は自身の記憶喪失についてを思い出す。
それじゃあ行くか、と。
秋乃が立ち上がろうとしたところで、
「お待ちください」
「....まだ何かあるのか?」
「ご主人様に辛い思いはさせられませんわ」
そう言って、背後に控えていたメイドは前へ。
ソファに腰をかける秋乃の前で膝立ちをし、
「お、おい....」
器用かつ慣れた手付きで秋乃のズボンを脱がせた。
そしてパンツの上から男性器に触れ、
「一回だけ、抜いておきましょうか」
魅惑な申し出に、秋乃は断れなかった。
固まった頭身に力を入れて、一度だけ小さく頷く。
ジェスチャーのみでその真意を理解した千鶴は、
「失礼致します」
丁寧な挨拶をした後、パンツを脱がせた。
露わになる異質な男性器。
記憶のない秋乃にでも、一目でわかった。
「委員会の資料にあった通り、ですわね」
秋乃の男性器は日本人の平均を大きく上回る。
統計学的には勃起時に十三センチ前後。
しかし秋乃のソレは、二十センチは確かにあった。
うっとりとした表情で千鶴は性器の先端を舌で触れる。
「う......」
異物が当たる感触に、ピクッと秋乃は反応した。
記憶喪失前の時点で経験があったのかどうかは未知。
早漏なのか遅漏なのか、自分はどういうことをされたら感じて絶頂に達しやすいのか。
全てがが分からぬまま。
プロのメイドによる奉仕が始まった。
「これならたっぷりと精子を出せそうですわね」
車内でもそうだったが、淫語に恥じることはない。
精液や精子、子宮を平気でこのメイドは口にする。
そこもやはり学園の教育の賜物なのだろうか。
「.....ぅ...」
千鶴は綺麗な手で丁寧に秋乃の男性器を扱く。
ゆっくりと優しく、少し焦らしながら。
もっと早く扱いて欲しい、とは言えなかった。
これだけでも十分なほどに気持ち良いからだ。
ゾクッとした感覚が股間を伝って秋乃を感じさせる。
「感じて下さっているようで何よりですわ。本当のことを話してしまうと、私たちプロのメイドは実戦経験ゼロの素人なのです」
「そ、そうなのか......? 学校では.....」
「実戦経験はありませんが、実戦を模した教養は十二分に受けております。バイブを相手にフェラチオなど、多岐に渡って入学当初の頃から練習してきました」
「十二年間も、か」
「はい。特にご奉仕は基本中の基本ですので」
手間をかけず、準備にも後処理にも時間を要さない。
メイドの奉仕は効率を重視し、かつ主人を満足させられるよう学校が配慮したということだろうか。
「もし、さっきの女主人みたいに主が女だった場合は十二年間の修行が無駄になる、ということか?」
「そうなります。十二年後、自分が誰の私有物になっているかなんて想像もつきませんから」
卒業生を獲得するには学校への多額の融資が必要だ。
秋乃が融資した訳ではないのでその辺りの実感は薄く、どれほどの融資をしたのかは不明瞭であるが、もうすでにこの時点で、それなりの価値があることは分かった。
男主人に仕えた場合は、こうなる。
ならば女主人に仕えた場合、どうなるのか。
さっきの女主人の行為をもう少し拝見しておくべきだったか、と秋乃は悔いた。
女同士の行為にも当然興味がある。
事実、先ほどの行為を目撃したのも手伝って、こうしてたたせているのだ。
「千鶴は、女同士も出来るか?」
「私は名誉あるSランクの評定を戴きました。男性も女性も、差分なくご満足させてみせますわ。もちろん五万ぞ気いただけるまで何時間でも、何処でも」
「.....そうか」
このとき妄想にまた一つシナリオが追加された。
奴隷とメイドが絡み合う姿。
壇上に見えた奴隷の容姿に申し分ない。
そしてこのメイドもまた申し分ない容姿をしている。
非常に魅惑的なモノになる、と秋乃は確信した。
「ふふ、理解して頂けたようですね。私、メイドには拒否権はございません。また、奴隷にも拒否権はありませんわ。レズセックスであろうと、ご命令戴ければご主人様のお好み通りに」
「期待している」
「仰せのままに」
短い肯定の返答と同時に、
「ぅっ.....」
千鶴の艶やかな唇が男性器の先に触れた。
無意識に出た半透明の液体を淫猥に吸い取り、その後、閉ざされていた口が開かれる。
鬼頭が暖かい吐息に触れながら、口の中に侵入したところで、千鶴が口を閉じた。
先端だけが千鶴の口内にすっぽりと収まった。
そのまま千鶴は卑しく、舌で亀頭全体を舐め回す。
「ん...っむ....ちゅ.....」
卑猥な音は隠しきれず、どうしても漏れてしまう。
しかしそれも技術の一つなのか、秋乃を興奮させるにまで至り、秋乃は千鶴の小さな頭部を両手で掴む。
「我慢、できない....!」
掻き立てられる欲。
まぎれもない性欲に抗うことも許されないまま、秋乃は千鶴の頭部を引き寄せた。
男性器において一番大きな部分が既に咥えられているため、そのまま規格外のソレは千鶴の口内へ。
さすがに全てを咥えさせるのはダメだ、と危機管理能力に助けられ、程々のところまでの挿入となったが、しかしそれは喉にまで達していた。
経験の有無に関わらず、普通の女なら拒否反応を起こして嘔吐いていただろう。
しかし優秀なメイドはすんなりとソレを受け入れる。
コクリ、と頷いたのが良い証拠だ。
好きにしても良い合図だとすぐに分かった。
秋乃は出会って間もない彼女に一言謝罪の言葉も掛けず、メイドの『生きがい』に則って、秋乃は千鶴の頭部を前後にストロークした。
メイドもそれに適応して舌を巧みに操る。
その適応力の高さにも驚かされるばかりであったが、今は自身のことに没頭した。
男が性欲を発散するために、女を使って。
従順なメイドを好きに操り、絶頂に達する。
生物らしい本能のままに秋乃は感度を高めていき、
「ぅ....で、出るっ.....っ!!」
遠慮無しに正真正銘メイドの喉奥にまで性器を突っ込んで、秋乃は絶頂を迎えた。
何度も何度も、何十回にも分けて尿道を伝って濃厚な性液が飲み込むという過程を飛ばして千鶴の胃に納められる。
そこでようやく多少苦しそうな表情をしてみせたが、秋乃はあいにくそのシーンを見逃してしまう。
「ん...んく....んっ....はぁ....たっぷり、出ましたわね」
ようやく射精を終えると、千鶴がうっとりと男に惚れた牝のような卑しい表情と色気のある声色で、尿道に残った精液を吸い出した。
いわゆるお掃除フェラというやつだ。
そういうところもやはり抜かりない。
一連の流れを終えると、
「もっと良くご主人の味を味わいたかったのが本音ですが、その機会はまた幾度となくあるでしょう」
「苦しく、なかったのか?」
「.....少しだけ。私もまだまだですね。精液は学校が用意した擬似精液というのを飲んでいましたけれど、ご主人のは比べものにならないほどの量と質、とても濃厚でしたわ。委員会がアナタを選んだ理由も分かりました」
「その辺り、もう少し詳しく聞きたいな」
「ふふ、畏まりましたわ。車内でお話します」
プロのメイドの卵が擬似精液を飲んでいた。
その光景と、授業の内容。
これまでにも幾つか気になる授業内容はあったが、そこまでしていたのかと今回ばかりは衝撃を受けた。
秋乃はその学校への好奇心を俄然と高め、詳細を聞き出すことも含めて短い後処理を済ませて車へと向かった。
第二話の中盤はこれにて終了です。
終盤は病院でキャラ(女)を出そうと考えております。
詳しい容姿の設定は考え中ですが、ひとまず名前だけを決めようと思います。
更新日が7月21日の15時ですので、24時までの9時間。
これも>>1に独断で戴いた意見の中から選ばせて頂きます。
第三話で橘 綾音との初体験をします。
乙
七里 凛花
病院のキャラ(女)の名前は>>64の『七里 凛花』を採用させていただきます。
訂正:>>60
「私は名誉あるSランクの評定を戴きました。男性も女性も、差分なくご満足させてみせますわ。もちろん五万ぞ気いただけるまで何時間でも、何処でも」
五万ぞ気いただけるまで → ご満足いただけるまで
次レスから開始となります。
「大きな病院だな」
競売が行われた屋敷より約一時間。
人気の無い山の麓から、街の方へとやって来た。
打って変わって人はそれなりに多く、ここが何処だかは分からないが、都心部もしくは限りなくそれに近い街だと推測される。
不謹慎かもしれないが、大きな街らしくそれなりの人数が受診しに、老若男女問わず此処を訪れていた。
秋乃は椅子に座らされ、その間に千鶴が手続きへ。
彼女曰く、此処は学校御用達の病院とのこと。
死者こそ出ていない学校のカリキュラムではあるが、稀に不注意で怪我人が出るらしい。
学校にももちろん保健室はあるが、所詮保健室止まりの施設で、重体な怪我人はここに運ばれてくるとか。
「お待たせ致しました」
施設を眺めていると、不特定多数の前でも一切恥じらうことなくメイド服に身を包んだ千鶴が手続きを終えて戻ってくる。
彼女は自分の立場を弁えて側で控えるという体裁を保とうとしたが、秋乃は千鶴を座らせた。
あくまでも命令ではなく、促す形で。
「ここは学校と提携を結んでいる病院です」
「屋敷でそんなこと言ってたな。就職先でもある、とかなんとか」
「看護師になるにはある程度の成績が必要となっております。具体的には最終評定でAランク以上、もしくは研修の際に何らかの形で功績を残す、あるいは医療に関しての十分な知識が必至となっております」
「最終評定?」
「評定は一年に二度戴きます。各分野ごとの成績を鑑みてAからCランクまでで分別され、学校からも企業からも、優遇具合が変化します」
「看護師でA以上ということは、職業ごとに一定の評価以上を貰わないといけないということか」
「はい。CAや理容師でしたらBランク以上、アナウンサーや秘書でしたらAランク以上など。提携を結んでいる企業の試験に合格すれば無事晴れて就職、という工程です」
それらしい説明に秋乃は納得した。
車内で聞いた話も含めて、評価を得るのには並々ならぬ努力が必要な学校らしい。
「ん、その説明の中にSランクの評定は.....俺が聞きそびれただけか?」
「いえ、Sランクは十二年間、計二十四回の評定で全てAランクを取ると戴ける評価です」
「そ、そうか.....」
やはり凄い人のようだ、と。
秋乃が改めて実感したところで、
「これからご主人様を診察する方も就職した方です。名前は七里 凛花。年齢は私と同じ。中学二年生の時に医者の道を志して、それからずっとこの病院で勤めているエリートですわ」
「中学二年生.....。さぞかし凄い人なんだろうな」
「順調に行けばAランクで卒業できたでしょう。彼女が医療に興味と適正を見せたのがプロのメイドとしての道が途絶えた瞬間です」
相当、千鶴が評価しているらしい。
彼女自身もまた、医療の知識はあるはずなのに。
Sランクの彼女が信頼している医者。
彼女、なのだから女性なのだろう。
偶然に間違いないが、これまで関わった女性は皆モデルをしていてもおかしくない美貌を持った女ばかり。
千鶴にしろ女主人にしろ、女主人にされるがままにしていたメイドや控えていた凛々しい面立ちにメイド、それからあの奴隷姉妹にしてもだ。
期待に胸を膨らませながら千鶴の先導され診察室に入ると、
「その人が千鶴ちゃんのご主人様ね」
穏やかで少し砕けた口調の七里凛花。
茶髪を背中の半ばまで伸ばし、半分程度を前に持って行き、毛先を緩く自然にウェーブがけた髪型をした彼女は女子大生らしい容姿をしていた。
記憶のない秋乃でも今時らしさは感じられた。
しかし髪型ではなく、それよりもずっと彼女の容姿を引き立てる部分といえば、
「.....相変わらずですね」
千鶴でさえも彼女の服装には呆れているようだ。
肝心の凛花の服装とは、医者らしい白衣姿なのだ。
そこまでは良いのだが、くっきりと形に出る胸の形と第三ボタンより下しか止めていないせいで見えてしまう胸の谷間より推察される内に何も着ていない疑惑。
医者らしくないふしだらな格好をしていた。
それに下半身に視線を移せばギリギリ隠れている秘部。
さすがに下は着ているだろう、と秋乃は信じ込む。
「ご主人様、彼女はいつもあのような感じで.....。しかし腕と知識は本物ですので、ご容赦下さいませ」
「あ、あぁ....。わかった」
「もう一度、抜きましょうか?」
「いや、車内で千鶴が言った通りだ。出来るだけ綾音で楽しみたい。我慢するよ」
「畏まりました」
性欲旺盛な秋乃は一度抜いただけでは本人が満足していても、身体が満足する様子を一切見せなかった。
時間を置くことで勃起状態は解消されたが、女医者の巨乳の谷間を見て興奮を抑えるのに苦労をする。
「じゃあ診察を始めるから、千鶴ちゃんは出て行って貰える? 大丈夫、何もしないわよ。委員会の意思に背いたら何をされるか分からないし。本当に我慢できないほどこの子の精液が飲みたくなったら正式に委員会を通して高いお金を払うわ」
女医者は千鶴に席を外すように言った。
秋乃には伝わらない言葉を添えて。
「彼女は大の精液好きです。お気に入りの患者の性欲処理を口でしているとか。ああ言っているから大丈夫だとは思いますが、もしもの時は私をお呼び下さい」
耳元で千鶴が簡単に説明すると、秋乃は大体のことを理解し、その旨を伝えるべく頷く。
千鶴は秋乃のことを信頼して、診察室を出た。
狭い密室空間に二人きりになり、こうしてみれば千鶴以外の女性と二人きりになるのは初めてだと思った。
魅惑的な女性に全身を舐め回すように見つめられ、どうにも居心地が悪い。
秋乃は凛花に勧められ、椅子に腰をかける。
早速診察が始まると思いきや、凛花の大胆発言で秋乃は自分の耳を疑った。
「えーと、高槻秋乃さん....くん、と呼んだ方が良いのかしら。唐突だけど、お姉さんとセックスしない?」
「.....!」
「この胸も好きにしていいから」
女医者は秋乃の手を取ると、胸の谷間に入れ込んだ。
暖かい人肌を前面から感じる。
それに、柔らかい。
とにかく柔らかく、揉みしだきたいと本能が示した。
「千鶴ちゃんも分かってくれるわ。貴方が私を犯したのなら。ふふ、セックスフレンドになってもいいわよ。都合の良いセックスフレンドを作るつもりはないかしら」
「......い、いや。俺は、いい」
「どうして? 私は魅力的じゃない?」
更なる追い打ちとして、女医者は秋乃の性器をズボン越しに触れ、少々雑に弄ぶ。
「もうこんなに大きくしちゃって....。可愛いわね」
「ぅ.....い、いや、ダメだ。千鶴との約束だ」
「ふぅん....」
艶かしい声を出しながら女医者は股間に触れていた手を下げ、胸の谷間から秋乃の手を取り出す。
「そう、わかったわ。なら、正式に貴方とセックスするしかないわね。お金を払って。あぁ、今すぐじゃないから安心して。手続きにはそれなりに作業と時間が必要なのよ」
「そ、そうしてくれ....」
秋乃は女医者と身体の関係を持ちたくて堪らなかった。
しかし千鶴は自分のことを信じてくれた。
信頼を裏切るような真似は、出来なかった。
「診察を始めるわ。ここからは真面目に、ね?」
スイッチを切り替えると、女医者は別人のように変貌を遂げた。
笑わず、艶かしくなく、至って生真面目に。
変貌っぷりに秋乃は性欲を忘れ、真面目に受診した。
しかし一点。
相変わらず女医者の胸の谷間は魅力的であった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
診察こそは早く終わったが、結果が出るのには時間がかかるそうで、秋乃と千鶴は今日のところは引き返すことにした。
おそらく原因は千鶴が最初に診た通り、心因性。
凛花も同じようなことを言っていた。
しかしどちらも医療への知識は程々にあっても、脳機能への専門的な知識は薄い。
結果が出るまでは月並みなことしか言って貰えず、今の段階では『きっかけ』が記憶を取り戻す鍵になる、とだけ女医者からの通告を受けた。
その事実だけを胸に、屋敷へと戻る車内で、
「凛花さんは如何でしたか?」
「......男には毒だ」
「ふふ、あれくらいの胸はお好きですか?」
千鶴の質問に、秋乃は思い出した。
白衣のボタンが今にも取れそうなほど豊満な胸。
ただ大きいだけでなく、しっかりと年齢に見合った若々しい胸の特徴を網羅していた。
柔らかく、ハリがあり、魅力的で。
「好きか嫌いかで言えば、好きだ」
「確か.....Gカップと仰っていたような」
「道理で。千鶴はどれくらいだ?」
このメイドに恥る必要はない。
彼女が躊躇なく淫語を口にするなら、こちらも。
好奇心のままに、訊いてみた。
「どれくらいだと思いますか?」
胸の真ん中に斜めに掛かるシートベルト。
ハッキリと大きく形の良い双丘がそこにはあった。
「Dくらいか?」
「つい最近まではそうでした。私もまだまだ成長期、ということで先日、Eカップに。これくらいの胸は如何でしょうか」
「ますますお前が良い女に見えてきた」
「恐れ入ります」
ふふっ、と千鶴は貞淑かつ優雅に笑ってみせた。
素直に可愛く、美人だという感想が思い浮かぶ。
「そういえば、綾音はいつ頃届けられるんだ?」
「私たちが屋敷に着いてから一時間後くらいです」
「ここから屋敷まで.....」
「もう間も無くです」
それは秋乃が心待ちにしていた奴隷が届くまで『もう間も無く』と同義であり、秋乃は気分を高揚させた。
正式に手続きが完了してから止まない妄想の数々。
何パターンものシミュレーションをするが、橘綾音の性格を高飛車だということ以外分かっていない以上、全てが決定打に欠けた。
窓の外に流れゆく景色を眺めていると、
「奴隷の納品前におひとつ、決めておかなければならないことがありました」
「決めること?」
「はい。橘綾音をどうするかです」
一、奴隷には奴隷らしい貧しい生活を
二、これまで通りお嬢様としての生活を
確かに決めておかなければならないことである。
どちらも魅力的で、それこそ二人居ればどちらも試してみたいと思ったが、あいにく商品は一つ。
二つに一つで、秋乃は悩んだ。
「お前に任せる、と言ったら?」
「ご命令戴ければ、そのように致します」
「.....任せる。お前の判断で決めてくれ」
「畏まりました。それでは.....」
決断能力に長けているのか。
それとも、最初から彼女の中では決まっていたのか。
千鶴はすぐに答えを出した。
第二話はこれにて終了となります。
第三話《橘綾音》は綾音が屋敷に着いたところから開始します。
多数決をします。綾音の生活について。
1.奴隷には奴隷らしい生活(屈辱的な生活)
2.お嬢様らしい生活(ある意味屈辱的な生活)
下3までで、先に2票を獲得した方を採用します。
1.奴隷らしい生活 ーー 2票
2.お嬢様らしい生活 ーー1票
多数決で1の奴隷らしい生活に決まりました。
しかし2のお嬢様らしい生活が無効票も含めて4票獲得していましたので、綾音の働きによっては改善される余地ありということにしたいと思います。
次レスから第三話≪橘綾音≫開始です。
≪第三話・橘綾音≫
奴隷の競売開始価格設定には項目が設けられている。
男女ともに五つから構成されるそれぞれの項目をゼロから十の数字で表現し、合計値が高ければ高いほど高価な商品として約束される。
最低が百万で、最高が五千万で。
全ての項目の合計値(最高五十点)に準じて、初期価格が本人の意思に関係無く決定される。
秋乃が購入した橘綾音という女性は類稀なる五十点を叩き出し、見事に妹共々、合計一億から競売が開始された。
女に求められる評価は以下の通りである。
一、三サイズを含めた容姿
二、遺伝子の質
三、健康体であるかどうか
四、資産家の需要に応えられる素質の持ち主か
五、処女であるかどうか(ゼロか十のどちらか)
橘姉妹は全ての項目を最高得点で審査された。
どの資産家も喉から手が出るほど欲しかっただろう。
しかし小娘一人を弄ぶ程度のことに五億や十億を支払う余裕がある者は二人を除いて皆無だった。
せいぜい出せても四億弱程度まで。
二人合わせて、四億弱までという資産家が多数。
女主人は一度その値段での購買履歴があるのであまり騒がれなかったが、今回初参加にして最高価格で競り落とした秋乃は一躍有名になる。
しかしその素性は知れず。
それは人身売買を行っている側も同じであり、商品の橘綾音にこれからどんな人が主人になるのかさえも伝えることは叶わなかった。
指定された住所まで綾音は両手に残る妹の暖かみを忘れないよう拳を握りしめ、無意識な身体の震えを抑えようと、呪文のように小言を口にするのであった。
「怖くない、恐くない、怖くない・・・」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
橘綾音のスタイルの良さに秋乃の感嘆を漏らした。
傍に控える千鶴も表情や口には出さないが、内心では奴隷の第一印象を高く評価していた。
「......ジロジロと見ないで下さる?」
立場を認めず、綾音は悪態をついた。
無理もない。
奴隷という立場は誰もが認めたくないものである。
つい最近まではジロジロと見れる側であったはずが、この悪夢のような一週間で見られる側に。
今でもこうしていることが信じられなかった。
「私の方から説明しましょうか?」
「あぁ、頼む。俺がやるよりずっと効率が良い」
信頼関係が築かれている、と綾音は思った。
主人とメイドの関係になってどれくらいか。
メイドの服装から察するに、アレは例の学校出身。
柔軟な対応力と適応力を鍛えた彼女は意図的に主人の性格に合わせることが出来るので、測りにくい。
出会って一日か、一週間か、二週間か、一年か。
どれもが彼女らには有り得るのだ。
主人に代わりメイドが、奴隷へと告げる。
「アナタは奴隷としてこの屋敷に引き取られました。今までの生活の真逆がこれから先待っていると考えて頂ければ解りやすいかと思います」
天蓋付きのふかふかなベッドにはもう寝れず。
一流シェフの料理はもう味わえず。
娯楽に身を投じることも許されず。
最愛の妹と会うことも、学校に行くことも。
何もかもが許されない環境へと適応を強いられた。
「叛逆行為はその腕輪」
綾音は自身の左腕首に付けられた腕輪に視線を落とす。
「適宜、罰が執行されるのでお気を付け下さいませ」
「その判断は誰がするのかしら」
「ご主人様が自分の判断ですると仰らない限り、私が致しますわ。二十四時間ずっと、監視し続けて」
「......そう」
一見、何の変哲もない腕輪である。
お洒落なアイテムとして街の若者に浸透されても不思議では無いデザインをしている。
しかしそれが『罰』を与える道具だと知れば、薄気味悪いセンスの無い腕輪のように見えてきた。
「それで私は、何をすればいいのかしら。ただ貧しい生活をするお嬢様を見ているだけって訳でも無いんでしょう?」
綾音の質問を待っていたかのようにメイドが流暢な口調で淡々と説明を始める。
「ご主人様の子を孕んで頂きます。アナタへ投じた金額は五億。サラリーマンが一生で稼ぐ額は二億から三億と言われています。ですので、ご主人様の子を孕む娘も含めて最低でも7人程度は産んで頂きます」
「.......!」
ここでようやく綾音の強気な仮面が剥がれた。
綾音はいずれ政略結婚として嫁に行っていただろう。
その際に産む子供の数は二人から三人が、世間体を鑑みた結果である。
しかしその二倍や三倍もの子供を産めと言われては、綾音も平常心を保っていられない。
「じょ、冗談はよして。確かに、奴隷が主の性欲処理をどうにかするっていうのは.....知ってるけど....」
「ご主人様の精子はとても優秀ですわ。しかし女の卵子が出来損ないというのは良いものを悪くしてしまう。だから五億もの額を投資したのです。良いものと良いものを掛け合わせて、良いものを作ろうと」
「.....狂ってる」
「ご安心ください。すぐにアナタも狂えますから」
綾音の発言に千鶴はすぐさま肯定してみせる。
事実、狂えるのは確かだった。
本人は知らないが、メイドは知っている。
秋乃の子供を作る際に必須となる性器は容易に、女を本能のままに狂わせることが可能であることを。
「今晩、ご主人様のお相手をして頂きます」
「心の準備ってものを知らないのかしら」
「子を産むだけの機械に心は要りませんわ」
綾音は勘違いを正されて言い返せなかった。
私は最初から人間扱いされていない。
私は最初から機械扱いされている、と。
愕然とその事実を受け入れる。
「ただし、適当に相手をされてもこちらは困ります。しっかりと人間の形をした機械には愛を紡いで貰わないといけません」
「結果論だけを主軸に考えていたアナタが良くそんなこと言えるわね。過程は所詮、過程に過ぎないわ」
「愛で生まれてくる子供の能力が決まるという諸説もございますので。愛の結晶を作る場において、愛は必要不可欠ですわ」
「.....それで私にそこの男を好きになれ、と?」
「好きになる必要はございません。愛というのは十人十色。こちらが促す愛は、ご自身への愛。ご主人様をどれだけ満足させられたかに応じて、アナタへの処遇を決めます」
処遇、と言われて綾音はピクリと反応する。
機械だという認識を覆すことが出来るのだろうか。
希望的観測を胸に、質問をした。
「具体的には....どれくらい変わるの?」
「ご主人様は、極力これまで通りの生活にさせても良いと仰っています。暖かいベッドや食事、ある程度の自由でしたら認めましょう」
魅力的な提案に綾音の中で葛藤が巻き起こる。
見ず知らずの男を満足させるのは嫌だ。
しかしメイドの口ぶりからして、今はベッドや布団を剥奪され、冷たく少ない食事を摂らされる段階。
ならば少しでも生活の質を高めるべく、頑張るべきではないか、と。
「処遇につきましては今晩次第です。これから先、一生変わることはありません。妊娠中はお腹の中の子供のために別の生活となりますが」
千鶴としてはとにかく綾音に秋乃を覚えて欲しいのだ。
一度挿入されれば病みつきになり、虜になって、自分から生活の質を下げると進言してまでも秋乃とセックスしたがるだろう。
それだけ秋乃の性器には麻薬のような中毒性があるのを千鶴は一度のフェラで見抜いていた。
「分かった......わ。今晩だけ、ね」
どうしても生活の質は高くありたい。
それが橘綾音の妥協できないプライドだった。
「......」
内心で微笑む千鶴。
主人である秋乃も事前に聞かされていた通りの展開に、微笑まずにはいられなかった。
元々有利な立場だったとはいえ、まさか千鶴のシナリオ通りに事が進むとは。
こうして橘綾音はまんまと嵌められたのであった。
以上で第三話の序盤が終了です。
説明部分が多く、かなり雑に駆け足になってしまいました。申し訳ありません。
多数決を取ります。
最終的な綾音への処遇は今回の多数決と二人の初夜中の安価を鑑みて決定します。
1.橘綾音が有利になるよう、千鶴が短時間で綾音に性教育(大)をする。
2.公平に、千鶴が短時間で綾音に性教育(小)をする。
3.秋乃が有利になるよう、綾音に性教育しない。
先に2票獲得したものに決定します。
千鶴によって綾音のモチベーションは上げられた。
しかし生半可に上げるような真似はしない。
危機感をその身体に沁み付ける必要があった。
陽が落ちてきた頃、千鶴は綾音を地下へと案内する。
空調の効いた一階や二階とは違って、ひんやりと淀んだ空気が肌に纏わり付くようで居心地が悪い。
恐る恐る綾音は先導する千鶴の後を追った。
「私を、何処に連れて行くのかしら」
「もし処遇に変化が無かった場合の、アナタがこれから妊娠中を除いた一生を過ごすお部屋です」
「部屋.....のような物は、此処には無いけれど....」
「着きました」
千鶴が立ち止まると、自然と綾音も立ち止まる。
目を凝らしてよく見てみると、そこは牢屋だった。
まぎれもなく、強固な鉄格子に囲まれた空間。
地は薄汚れ、壁は薄汚れ、光の無い闇の部屋である。
「今晩までは此処で暮らして頂きます」
「今は奴隷....だったわね」
「はい、今晩の成果次第で橘綾音への処遇はランクアップして行く形となりますので。まずこれが基準だということを残りの数時間でご理解下さい」
何処からか取り出した鍵で牢屋の鍵を解鍵すると、千鶴はこの中に入るよう綾音を促した。
「入らないのは、叛逆行為に含まれるかしら」
「現在は私の裁量次第です。あと十秒以内に」
「っ.....分かったわよ」
左手首に取り付けられた腕輪が視界にチラつき、忌々しくこれからは逃れられないことを実感した。
綾音が牢屋に入ったのを確認した後、千鶴は外からもう一度抜け出せないよう施錠し直す。
「二時間後、ご夕食をお持ちします。もちろんそちらも奴隷仕様となっておりますので、ご了承下さい」
「何か暇潰しの道具.....本とか」
「奴隷に娯楽は必要ありません」
「.....本当、その服を着たメイドは忠義な猫ね」
「そのように教育を受けて参りましたので」
千鶴と同じ学校出身のメイドが橘家には居た。
彼女はAランクで卒業した優等生。
綾音との関わりは当然あった。
その度に、彼女の能力の高さを見せつけられるのだ。
掃除を任せれば塵一つ無い綺麗な部屋に。
料理の腕は雇っている一流シェフと同レベル。
勉強は広く深く、専門的な知識足らず程度まで。
もちろん彼女は性技も身に付けており、父の性欲処理も夜な夜な担当していたことも綾音は知っている。
量より質を重視する学校。
明らかに二人以上でないと不可能な事を除いて、彼女らは完璧にこなす。
秋乃という主人に忠誠を誓っている千鶴に付け入る隙は一切無いだろう。
いくら娯楽を用意するよう懇願しても無駄だということくらい、容易に想像がついた。
「もういいわ。残りの時間、一人にして」
「失礼致します」
優雅で恭しい一礼をし、千鶴は去って行った。
その態度が癇に障ったが、ため息で誤魔化す。
何かに当たっても仕方が無い。
今はこの事実を受け入れなければならないのだ。
これまでに無い部類の適応力が綾音に求められた。
自分のポテンシャル次第によっては立場こそ変わらずとも、この夜冷めしそうな環境から抜け出すことは十分に可能だ。
性知識については人並みにあると自負している。
しかし彼女は自慰行為すら未経験であった。
一人という過程を飛ばして二人で。
見ず知らずの会ったばかりの彼とセックスするのだ。
怖くないはずが無かった。
現実逃避をしようと、楽しいことを考え、思い出す。
借金を返済するために愛娘二人を売り払った憎き両親の顔が何度か浮かび上がったが、大半が妹の琴音。
姉である自分を慕ってくれた彼女は、
「.....なにしてるんだろう」
今頃、どうしているのか。
琴音を購入した女主人の噂は予々聞いていた。
生粋の同性愛者だとか大財閥の子女であるとか。
ひとまずは猟奇趣味のある主人のところに行かなかったことを喜ぶべきだろうか。
そして女同士である限り、自分のように子供をたくさん産んで利益を得るような選択肢も自然と消滅する。
自分が女という性別だからなのだろうか。
女を、少なくとも男よりは信用できた。
決してそんなことは無いはずだが、妹の琴音は極力柔らかい表現をすると可愛がられているはずだ。
可能なプレイも男よりは限られる。
玩具を使って、せいぜい処女を奪われる程度。
そう考えると、ほっと一安心した。
自分よりはずっと良い環境に居る。
希望的観測に過ぎないが、信じるしかない。
「琴音......もう会えないのかしら」
最愛の妹を想い、綾音は一眠りついた。
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バシャッ、と。
綾音はバケツいっぱいの水を頭から掛けられた。
「な、なに.....っ?」
目を覚ました綾音は辺りを見回す。
すると空のバケツを床、ではなく、割れたコンクリートで構築された地面に置いたメイドの姿を視認する。
「お目覚めですか?」
「え、えぇ.....おかげさまで」
心底から湧き上がる苛立ちを抑え、綾音は返答した。
水に濡れた彼女はタオルをメイドに求める真似をせず、せめて肌に貼り付く髪を退かそうと、結おうとした。
しかしゴムも無ければ紐も無い。
髪を結ぶことは叶わなかった。
「はぁ」
「ため息をなさると幸せが逃げますよ」
「誰のせいだと思ってるのよ。普通に起こしてくれればいいのに」
「起こしましたが、起きませんでしたので」
だから水を掛けた。
なんとも、滅茶苦茶な行動だった。
メイドへの軽蔑の眼差しもそこそこに、
「ご夕食をお持ちしました」
「そう。ありがと」
「食事は三十分で済ませてください。その後、ご主人様との子作りの準備として水浴びをして頂きます」
入浴をして頂く、ではなく、水浴びをして頂く。
それは言葉通りの意味だろう。
綾音が頷くと、千鶴は木製のトレーを差し出した。
そこには上品な食器に反して、残念な食事が。
見るからにパサパサとしたパンに、冷たいスープ。
そして新鮮さが損なわれたサラダが夕食のようだ。
「でも.....予想していたよりはマシね」
「ちなみにこちらがご主人様のご夕食となります」
メイドはこの暗闇の地下空間で圧倒的な存在感を発揮するスマートフォンを綾音に差し出した。
嫌味だと承知した上でどんな物なのかを確認するべく覗き込むと、案の定それは嫌味だった。
飾り付けにまでこだわったフレンチ料理の数々。
つい数週間前まで綾音が食べていた物と遜色無い。
視線を移し変えれば、そこには自分の今晩の夕食が。
その差に、改めて綾音は愕然とした。
「....三十分後にまた来てくれるのね」
「はい。浴室へとご案内します」
と言い残して、千鶴は再び一礼をしその場を去った。
綾音は高級なフレンチ料理を脳裏から振り切り、粗末な夕食を口へと運んだ。
「.....思ってたより美味しわね」
パンはパサパサで、スープは冷たく薄味で、サラダは新鮮さが損なわれているが、食べれない程ではない。
商品として扱われていた頃に出された食事と比べればその差は歴然で、
「むしろ.....美味しい?」
元お嬢様の奴隷へのイメージは変貌しつつあった。
巧みなメイドによって、自然と。
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三十分後、三度メイドが目の前に現れた。
今度は起きていたため、水をかけられるようなことはなく、牢屋を施錠され、外に出るよう促される。
「浴室へ向かいます」
「それは奴隷専用の浴室かしら」
「いえ、そのような設備は生憎ございません。もしご希望でしたら、簡易的な物をお作り致しますが」
「普通の浴室に越したことはないわ。是非やめて頂戴」
「畏まりました」
思っていた以上にメイドは奴隷の言うことを聞く。
話が分からない人間ではないようだ。
綾音の認識は改められることばかりで、思っていたように事が運ばないことから、少し不安感を覚える。
予想外な事はこれからまだまだ起こりそうであった。
「う.....」
地下室から一階へと移動した綾音は久しぶりの照明に目を細める。
しかしそんなことに気にする素振りも見せない千鶴は綾音のことを無視して、歩く。
目を眩まされることにより生じた距離を綾音は数歩だけ千鶴に駆け寄り、元の距離をキープした。
「あのご主人様は?」
「お部屋で休まれています」
「ふーん。.....そういえば他の使用人さんは?」
「この屋敷には主人とメイドと奴隷しか居ませんわ」
「そ、そうなの? 珍しいわね.....。職業は何をしているのかしら。五億を出せるくらいなのだから、よっぽどなのでしょう?」
「女を孕ませるお仕事ですわ」
「貴女、あの学校出身の割には冗談が下手ね」
ふふっ、と綾音は微笑んだ。
元お嬢様の観念からしても、一般的な観念からしても、女を孕ませるなんて職業は想像もつかない。
千鶴は冗談だと受け取った綾音に一瞥をしたが、すぐに前を向いて目的地へと歩んだ。
上機嫌な綾音を相手にすること五分弱、目的地である浴室へと到着した。
その中は温泉そのもので、まず広い脱衣所があった。
「......わかったわよ」
メイドの監視から逃れることは出来ないようだ。
おとなしく千鶴の目の前でボロボロの服を脱ぎ捨て、
「これでいい?」
プロポーションの良い一糸纏わぬ身体を見せつけると千鶴は微笑んで見せた。
「それで結構です」
と言って、千鶴もメイド服を脱ぎ始めた。
「貴女も脱ぐの?」
「当然ですわ。奴隷の身体を隅々まで洗う際に、服まで濡れてしまっては業務に支障をきたしますから」
「洗われること前提なのね.....まぁいいけど」
その直後「あぁ、ダメよ」と綾音は内心呟く。
女同士だから気を許している。
馴れ馴れしくしてしまっている。
メイドのペースに乗せられている。
どうにか挽回しなければ、と。
一人で悔やんでいると、
「おまたせ致しました」
「は.....下着....じゃなくて、水着?」
「奴隷に見せる肌は最小限に抑えたいので」
「嫌な性格.....もういいわ」
白色のビキニを身に付けるメイドにまたもや乗せられるところで思い踏みとどまり、綾音は浴室へと向かう。
浴室の扉を開くと、もわっとした生暖かい蒸気が身体を包み込んだ。
冷えた身体にちょうど良く、暖かさが沁みる。
その蒸気を生み出しているのは、檜で出来た大きな湯船に張られた湯である。
観光地さながらの温泉がそこにはあった。
「処遇次第によっては入れるのかしら」
「はい、ご自由に利用して頂けます」
「.....そう」
「こちらへどうぞ」
入りたい願望を抑えて、千鶴に従う。
小さな椅子に座らされると、背後から声がかかる。
「これから身体の隅々まで綺麗に致します。その後、簡易的なエステを受けて頂きます」
「あら、エステも受けれるなんて、随分と好待遇ね」
「ご主人様にだらしない身体は見せられませんから」
そう言うと、千鶴はシャワーの蛇口をひねった。
綾音にかかるのは温水ではなく冷水。
身体の芯まで凍りそうな極寒が彼女を襲った。
「忘れてた.....」
「案外、大丈夫そうですね」
「水風呂とかそこそこ好きだから。.....でも寒いわ」
「なるべく早く済ませます」
千鶴は慣れた手つきで綾音の洗浄をし始めた。
少々手荒いのが奴隷への対応ということだろうか。
しかしそれでも言葉に嘘偽りなく、身体の隅々まで綺麗にしようと、今の段階ではまだ髪だけだが、しっかりと時間をかけて洗っているようだ。
「も、もう少し暖かく出来ない?」
「出来ません」
即返ってくるのは否定の旨。
綾音の身体がガクガクと震えても千鶴は温水に切り替えようとしなかった。
一度目のシャンプーが終わると、
「少し、ゲームをしましょうか」
「ゲーム? それよりも早く終わらせてくれた方がずっと嬉しいのだけれど」
「アナタが勝てば半分温水、半分水に致します」
「温水にはしてくれないのね.....」
しかし魅力的な発案には違いなかった。
メリットデメリットを質す前に内容を聞くことにした。
「ゲームの内容は?」
「簡単です。アナタがこの場でオナニーを出来るかどうか。愛液を確認できた時点でアナタの勝利です」
「受けるわけ無いじゃないっ! 聞いて損したわ。早く洗って頂戴。寒いんだから」
「身体を熱らせることが出来て一石二鳥かと思いましたが、そもそもアナタには難しかったようですね」
「挑発には乗らないわよ」
あらあら、と千鶴はわざとらしく笑って、シャワーの蛇口を再びひねった。
全身に浴びせられる冷水。
やっぱり受けようかと思ったが、自慰経験の無い彼女にはオナニーとは実際にやる以上に難しいものだという固定観念が出来てしまっていた。
「それでは二度目のシャンプーを致します」
奴隷として売られてから一週間弱。
まともに水浴びすらさせて貰えなかったため、髪と身体は何度か洗わなくてはならない。
通常の入浴の三倍程度は覚悟し、綾音はぎゅっと目を瞑って自分だけの世界に逃げ込んだ。
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しばらく時間が経つと、シャワーが止まった。
綾音には目を閉じてから数秒しか経ってないように感じ、
「もう....終わったの?」
「えぇ。アナタが気を失っている間に」
「もうちょっと心配しなさいよ....」
あまりの寒さに気を失っていたようだ。
これで数秒しか経ってないような気がしたのに辻褄が合う。
「こちらへどうぞ」
次に案内されたのは大理石の上に敷かれた防水シートの上だった。
ここに仰向けで寝るよう促され、
「足をM字に開いてください」
「嫌」
「次に断ったら叛逆行為として認めます」
「く.....」
まだ叛逆行為の罰は分からない。
確かめるべく迂闊に身をもって経験するほど綾音は馬鹿ではなかった。
ゆっくりと長くすらっとした脚をM字に開くと、パックリと閉じた秘部が露わになる。
千鶴は割れ目を人差し指と中指の両指で器用に開く。
「ん....ちょ、ちょっと.....」
「こちらも綺麗にしませんと。ですがその前に」
と、綾音が少し身を起こし千鶴の手元を見るとそこには様々な道具が揃っていた。
エステに使うであろう道具とクリーム、そして剃刀。
千鶴の言う隅々とはアンダーヘアも含まれているようだ。
ただ綺麗に揃えているだけではダメなようで、きちんと全てを剃らなければならないらしい。
「叛逆なさいますか?」
「....早くして」
「素直で結構です」
十分後、綾音の陰部は剃毛により少女のような秘部へと変貌した。
毛一本生えておらず、清潔感に満ち溢れている。
満足気に千鶴は、次の段階へと移った。
「次はエステ....の前に、こちらを」
「.....?」
ようやく楽しみにしてたエステかと思えば、そこにはまた一つ新しい品が増えていた。
小さな容器に満たされた液体。
「これは?」
「グリセリン、つまり浣腸をして頂きます」
身体の隅々とは、身体の中身まで含まれている。
今度こそ綾音は反抗しようと思ったが、どうにも左手首の腕輪が視界にチラついて仕方が無い。
「く....分かったわよ」
「お一人で出来ますか?」
「それくらい出来るわっ!」
「それではお任せ致します。ただし、しっかりと浣腸をしなかった場合は叛逆行為とみなしますので、ご注意を」
浣腸液をトイレに捨てることも許されないようだ。
綾音は下唇を噛みながら、脱衣所に設置してあったお手洗いへと一人で向かった。
「もうそろそろ反抗して頂きたいものですね」
メイドの呟きは浴室に反響することなく、掻き消された。
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二十分後、綾音は逃げ出すことなく戻ってきた。
しかし何処か屈辱に身を打たれたようで、表情が硬く、先ほどまでの陽気な笑顔は見えない。
「綺麗に致します」
エステの前に浣腸後の洗浄。
これも避けては通れぬ道だった。
冷水で正真正銘お尻の穴を綺麗にされた綾音はグッタリと大理石の上に敷かれたシートの上にうつ伏せで寝転がった。
豊満な胸が潰れて痛くならないようタオルでクッションをしてくれているところが千鶴の良心か。
「それではエステを始めます」
「やっとね....」
ここまで長かった、と。
綾音は目を閉じて幸せな時間に浸った。
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入浴を終えて身も心も綺麗になった綾音はプレイルームへと案内された。
そこには大きなベッドと幾つかの棚。
興味本位で棚の中身を覗くと、大人の玩具が大量に取り揃えられていた。
大中小様々なバイブとディルド。
同時に使用する場合を考慮した複数のローター。
首輪やアイマスク、麻縄、耳栓、鞭、蝋燭などのSMを目的とした道具に、媚薬と精力剤、オナホール各種。
物を使ったプレイには困らなそうである。
見なければ良かったと後悔した綾音は空調のリモコンを操作した。
バスローブ一枚を羽織っているとはいえ、ついさっきまで冷水を浴び続けていたのだ。
綺麗になった身体は冷え切っている。
リモコンを操作し終えると、ベッドに腰をかけた。
宣告されている時間まであと十五分。
前戯を含めて三十分から一時間後には......と、
「ああもう.....はぁ」
もともと親の決めた男性に処女を捧げる覚悟が出来ていたとはいえ、この状況はまたそれとは違う。
色々と心の整理がつかなかった。
さっきからずっとこんな感じだ。
心の整理がどうとかで、悩み続けている。
ならばいっそここは流れに身を流すという選択肢。
こういうのは男性がリードしてくれるものだろう。
そして男は欲望のままに女を弄ぶ。
つまりあの主人を満足させるのに、綾音が張り切って積極的に行動する必要は無いのだ。
綾音が彼のしたいことを拒否しなければ、必然と彼は満足して、晴れて好待遇へと変わる。
子供を七人産むという最終的に課せられた運命は覆せなくとも、まずは目前の自身の目標に向けて。
「堪えれば.....いいのよね」
何かをする、と考えたら難しそうなセックス。
しかし堪えればいい、と考えれば実に簡単だった。
楽観視している訳ではないが、私には出来る。
ふつふつとした希望が見えてきた。
確固とした決意が定められると同時に。
同じくバスローブ姿の主人が、扉から入ってきた。
「......始め、ね」
制限時間の無い地獄の時間が今、始まった。
以上で第三話の中盤終了です。
終盤は秋乃と綾音の初夜となります。
「ん....くぅ....胸、ばっかぁ....」
綾音は後ろから胸を触られていた。
はだけさせられたバスローブは下だけを辛うじて隠しているが、それも時間の問題だろう。
雰囲気を彩る照明が眩しいほど綾音の白い肌に反射して、十分弱もの間、綾音の胸を揉みしだいている秋乃を興奮させた。
胸へと伸びる手は、既にピンと立った乳首を刺激しており、たまに少し乱雑に揉まれる程度である。
緩急のあるそれに、綾音は甘い吐息を漏らす。
「なん....で、胸ばっかり.....んっ....」
正直ここまで自分が胸に弱いとは思わなかった。
性感帯の一部だとは知っていたが、身体を洗うときには何とも無かったし、ちょっとした興味本位でいつも以上に胸をボディーソープで洗っている体にして触ったことがあるが、相変わらず何とも無かった。
それなのに、今晩に限って。
いや、今晩だけでなくこれから先ずっと。
秋乃に抱かれる度に、このようにされるだろう。
「なにか、言いなさいよ.....んん」
この時折やってくるピクンとした刺激。
十分足らずでもう癖になりかけていた。
「ちょっと....ぁっ....そこ、だめぇ...」
段々と荒く、熱っぽくなる息。
秋乃はここまでずっと胸だけを弄ってきたが、そろそろ次の段階に入るべきだと本能が示した。
綾音の首を右に回し自分の唇と相手の唇を重ねる。
あまりに突然なキスに「んっ!?」という反応を見せたが、秋乃はそれを無視して自身の舌を伸ばして無理やり綾音の口を開けさせる。
少し手こずったが、綾音は口を開いた。
必然と舌と舌が絡み合うキスへと移行した。
「んっ...ちゅ....んむ.....はぁ....んぁっ....」
ファーストキスを奪われたことによる悔いる感情は一切なく、それを感じさせないまでに胸からくる刺激とキスの気持ち良さが彼女を高鳴らせていた。
「も、もう、なんか、変な、感じっ....ぁん....」
スラッと伸びた脚を擦り合せるようモジモジとした言動を見せたが、秋乃は胸とキスだけに集中した。
「キス、だめぇぇ......」
比較的凛とした表情だった彼女はキスがここまで気持ちの良いものだとは覚悟していなかったのか、目元をとろんとさせて情けない声を漏らした。
ここでいよいよ秋乃はバスローブの下に隠れる秘部に触れ、分泌された愛の蜜を人差し指ですくい取る。
綾音の顔の前まで指を持ってきて、どれだけ自分自身が感じているのかを認識させた上で彼女の唇にグロスのように丁寧に蜜を塗った。
「な、....なにをするの.....んんっ!」
体液を唇に塗り付けられて拒否反応を見せた綾音の唇をすぐさま秋乃は奪った。
秋乃の唾液と綾音の唾液と蜜が絡み合う。
さっきよりも粘着力のある液は、彼らが口を離したときに糸のような線を作った。
すぐにそれは途絶えてしまったが、綾音には十分すぎるほどの刺激となる。
「な、なんなのよ.....」
未知の体験の連続に彼女の瞳には涙が浮かべられた。
何も思い通りに行かず、先が不安なのだろう。
しかしそれは長続きしなかった。
改めて秋乃の右手が綾音の秘部に触れる。
クチュ、という艶かしい音が部屋中に反響した。
卑猥な音だからこそ、秋乃はわざと立てた。
赤面した綾音が耳を塞ごうとするが、未知の体験の連続で身体が言うことを聞かない。
いや、頭のどこかで静止しているのかもしれない。
今晩次第で、自分の生活の質が変わるのだから。
火照る身体に反して、未だそこだけは冷静だった。
自分への愛は非常に深く、尊いものである。
「ぁっ....そこ.....んんっ...ぁぁっ....!」
綾音が座るベッドの上の一部はすっかり濡れていた。
もともと愛液を分泌し易い体質なのか。
それとも受け入れる準備が整い易い体質なのか。
いずれも自分を淫乱へと導く選択だった。
極論、どちらも同義の意味なのだから。
すっかり秋乃の右手に翻弄されている綾音だが、ここでふと何かが背中の腰辺りに触れたのに気がつく。
面積的には小さいが、非常に硬くて反っているもの。
彼女とて十七歳の淑女である。
その物体が何かはすぐに検討がついた。
「ん....そ、その....当たって....んぅ....ますわ....」
下腹部への刺激から意識を逸らそうと、綾音は秋乃へ一つ指摘をした。
すると効果は覿面だったのか、秋乃の手は止まる。
この選択が正しかったのかどうか。
指摘をして良かったのだろうか。
今から先に進むのも、戻るのも。
どちらにせよ地獄が待っている。
先に進めば、いわゆるご奉仕の時間。
主人への当然の態度である。
後に戻れば、再び好き放題に弄られる時間。
二つに一つかと思いきや、綾音には指摘をした時点で選択権は失っていた。
指摘をするしないの二択の先に、分岐点は無かった。
「きゃっ....な、なにを....しますの....?」
突然、綾音は秋乃の押し倒された。
ベッドの上だったから良かったものの、奴隷としての彼女が本来寝るべき床で押し倒されていれば相当な痛みでムードがぶち壊しだっただろう。
秋乃は素早くバスローブを脱ぎ捨て、そのまま下着のトランクスも放り投げるように脱ぎ捨てた。
「ひっ.....」
初めて目にする男性器。
それは禍々しく、凶々しい凶器。
背中に当たったのはあの先端である。
確かに先端だけだとちょっとした異物程度だ。
しかしソレをまじまじと目撃した今、先端も含めて何とも形容し難い困惑に呑み込まれた。
「む、無理っ....! そんなもの.....!」
アレが私の中に入ってくる。
考えただけで、痛みが身体中から湧き上がってきた。
今や、自分の生活はどうでもいい。
安楽死させて貰えるなら即決していただろう。
しかしその辺りの都合を考えて貰えないのが今の立場。
綾音は、堪えるしかなかった。
秋乃の男性器の先端が綾音の割れ目に触れる。
手で触れられた時とはまた違う卑猥な音が響いた。
先端に十分すぎるほどの蜜が絡みつくと、
「く...ぐ.....」
自分でもあまり馴染みのない声。
それもそのはずだった。
馴染みのないことをされているのだから。
いわゆる亀頭の部分がすっぽりと埋まった。
この時点で、そこそこ痛い。
このまま処女膜を破られ、奥まで挿入されたら。
身の毛もよだつような妄想は程々にしておき、
「や、やるなら.....優しく....してください」
奴隷に権利はない。
しかし一応、お願いをすることはできる。
言葉の通じない生き物同士ではなく、同じ人間同士なのだから。
苦し紛れの綾音が導き出したおねだり。
それが効いたのか。
はたまた最初からそのつもりだったのか。
綾音は次の一瞬で。
自分の立場を思い出した。
「いっ....ぐっ.....」
お腹の奥に突き刺さる感覚。
張り裂けそうに痛い膣。
今頃、血がドバドバと出ていることだろう。
「や、優しくしてって....言いましたのに.....!」
躊躇なく肉棒を奥まで挿入され、気を失いそうになる。
ここで失えればどれだけ幸せだったか。
橘綾音が十七年守ってきた処女は、こうも簡単に、素早く一瞬で、乱雑に奪われた。
ほぼ想定されていた最悪なパターンで。
さっきまで感じていたじんわりとした快感は一瞬で消え去り、今や残るのはただの痛み。
痛みに堪えながら、堪えるしかなかった。
「んっ...い、....もう少し、ゆっくり....」
ベッドがリズムよく軋む音を立てる。
秋乃が腰を振っている証拠であった。
「ぁっ...んぅ....ぁぁ.....ん....」
一定の間隔で、奥だと分かる場所に突き刺さる肉棒。
無理やり、無理やり、無理やり。
その男らしい動作に痛覚から湧き出た涙で霞む秋乃の姿が良くも悪くも魅力的なように見えた。
身体も徐々に受け入れ始めている。
体質的に、潤滑剤を分泌し易いようだ。
すんなりとはいかないが、それでも。
「んぁっ...そ、そこぉ....いい、ですわぁ....!」
綾音は女としての快楽を感じられるようになった。
当初はあまりにも規格外な男性器に怯えるばかりだったが、十分どころか五分足らずで、膣が秋乃を喜んで受け入れている。
正直な身体は真っ白になった頭に訴えた。
快感とはどんなものであるか。
気持ち良いとはこういうことだ、と。
その感覚はすぐに刷り込まれた。
激痛を声に出して表現する綾音は消えた。
今や、その見る影もなく悦楽に浸る彼女。
この家に、奴隷としてやって来た運命を心の底から喜んでいるようにも見えた。
「はぁっ....ぁぁっ....ああんっ....もっとぉ....!」
自ら肉欲を求め、色欲に飢えたその姿はもう、
「堕ちるまで......案外、早かったですね」
始終を別室のモニターで確認していた千鶴は微笑みながら、綾音がまた一歩女に近付いたことを祝福し、
「あとは素直にさせるだけですわ、ご主人様」
麻薬のような中毒性のある男性器に一度犯されてしまえばその味はもう忘れることは出来ない。
あとは素直にさせてしまえば、明日以降、彼女からのセックスアピールがよく見られるだろう。
すればするほど、彼女が孕む確率は高くなる。
万々歳とはまさにこのことだった。
「........」
だが、一つだけ千鶴は怖れていた。
千鶴も秋乃の味を知ってしまっている。
膣を自由に使えるようになった今、十二年間鍛えてきた奉仕の技術を頼られないのではないかと。
「.....私のことも愛してくださいね」
肉欲と色欲に飢えているのは綾音だけではない。
その辺りの認識もして欲しい、と。
千鶴は切実に願って、主人と性奴隷の初夜の様子を続けて確認することにした。
以上で第三話の終盤の一部が終了です。
この後からは安価を取っていきます。
綾音が秋乃を満足させられたかどうかにも関わってきます。
安価下のコンマ1桁の数字が[4]を除いた[1][2][3][5][6][7][8][9][0]だった場合、第二回戦に進展して継続です。
もしその時に[5]が出たとしたら、次は[4]と[5]を除いて再び安価をとります。
同じ数字が出ない限り、長く続いて、最終的に出した数字によって綾音への処遇が変わります。
(例:[5][1][5]だった場合は3回戦で終了し、次の安価で[4]か[5]か[1]が出た場合、綾音はお嬢様扱いされます)
説明不十分で分かりにくいかもしれませんが、よろしくお願い致します。
あくまでも予定です。
二、三回目辺りまでは普通に。
四回目で綾音が通っていた高校の制服を着てセックス。
五回目で汗だくセックスなど.....を考えております。
また、長続きすればするほど、ただでさえ少ない語彙が削られていくので文章が滅茶苦茶になるかもしれません。ご了承ください。
それでは[4]を除いた[1][2][3][5][6][7][8][9][0]が出た場合、継続です。
安価下1のコンマ1桁。
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