ゴースト「楽しい旅行だな!」魔族「苦しい逃亡の間違いだろ!」 (48)


・このSSには以下の要素が含まれる可能性があります。

(中二病、魔法、意味不明な理論、矛盾、誤字脱字、理解不能な描写、etc.)


・更新は不定期です。


・アドバイスやご指摘は大歓迎です。


以上の点に注意をし、お読みになってください。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1465136109


人間界を侵略すると言った魔王ことオレのオヤジ。人間界に拠点を構え、日々人間たちと戦いをしていた。

年齢的にはまだ子供だったオレはいつも自室にいた。個人的には世界征服について全く興味がなかった。

魔界にいたって楽しく生きていけるし、何より侵略という行為に気乗りしない。

最近、軍隊が壊滅状態になったという話が城で広まっている。

そのせいで魔界に一旦戻るということになった。

人間側も相当強い。これを期になんとか和解にもっていけないだろうかと気軽に考えてた。

そして魔界に帰る前日の夜、事件が起こった。

とてつもなく大きな音が下から聞こえ、寝ていたオレは飛び起きた。


  ――ドカァァァンッ!!!――


 魔族「へぁっ!? 何が起こった!?」

 魔族(音が聞こえた方向は…… 確かオヤジのいるところだ!)

 魔族「一体何が起こったんだ!?」


俺はオヤジのところへ走って行った。


 魔族「ここだよな? オヤジ、入る……!?」

 魔族(知らない奴らが居る!? 隠れておこう!)

 「魔王は倒した、王国に帰ろう」

 「しっかし、あいつ結構粘ってたな~」

 「こっそり侵入してもすぐにバレたしね」

 魔族(オヤジが倒された?)

 「疲れたから早く帰ろ?」

 「そうだな…… やっとこれで戦争は終わりか……」


4人は去っていった。


 魔族「オヤジ…… 血まみれじゃねーか……」

 魔族(城に仲間が一人もいないな…… 速攻で皆を魔界に戻したのか?)

 魔族(そのせいで魔翌力が切れたのか……)

 魔族「仲間を庇って死ぬとか…… 世界征服を目論む魔王がやることじゃねーよ…… バカ……」


  ――バカッテイウホウガッ――


 魔族「チクショー……」


 「馬鹿なんだぞ!!」

 魔族「うわぁ!! “フレア”!!」


  ――バァァン!――


 「うわ! 危ないぞ!」

 魔族「って、オヤジィ!! 生きてたのか!!」

 「ワッハッハッハッ! そう! 死んでたのだ!」

 魔族「はぁ!? あっ透けてる……」

 ゴースト「ワッフッフッフッ! 息子よ! 勇者に負けたぞ!」

 魔族「――で、どういう状況なんだ? これは?」

 ゴースト「話はちょっと前まで遡る!」

 魔族「ああ……」

 ゴースト「魔界に帰るために荷物をまとめていた→勇者攻めてきた→ビックリした→テレポートしようとした→部下たちブーイング
      →部下たちを先にテレポート→魔翌力の調節間違え→魔翌力がほとんどなくなる→勇者と対決→負けた」

 魔族「オヤジが説明下手だってわかってたが、これだけは言っておく。口で『やじるし』って言うな、せめて紙に書け。すごいわかり辛い」

 ゴースト「ごめんちょ! じゃあ書くぞ!」

 魔族「今更書かなくていい。次から気を付けろ」

 ゴースト「わかったぞ! で、話の続きなんだけど、死に際に自分に蘇生術をかけようとして失敗しちゃったんだぞ!」

 魔族「笑顔で言うな!」

 ゴースト「で、こうなってしまったんだ!」

 魔族「随分気軽に言ったけど、オヤジ死んでゴーストになったのか…… 悲しむべきなのか……」

 ゴースト「楽しむべきだと思うぞ! 父親がゴーストなんて滅多にないからな! ワッハッハッハッハァー!」

 魔族「――こんなにオヤジがバカになってしまったことに悲しむべきだな……」


 魔族「で、これからどうする?」

 ゴースト「無論、帰る! 魔界に!」

 魔族「ああ。だがどうやって帰るつもりだ? 魔力ほとんどないだろ?」

 ゴースト「――あ! まあ大丈夫大丈夫! 溜まるまで待てばいいだけだから!」

 魔族「溜まるまでにどれぐらいかかるんだ?」

 ゴースト「1年も経てば余裕で溜まるぞ?」

 魔族「そうか、1年か…… 1年も!?」

 ゴースト「なあに、1年なんてあっという間だ! 我は300年近く生きているからな!」

 魔族「オレはまだ10代だよ! 1分1秒が大切なんだよ!」

 ゴースト「う~ん…… そうだ! 南の方に人間界に来た時の入り口が残ってるはず!」

 魔族「本当か?」

 ゴースト「魔王様嘘つかない! 母さんには嘘付くが!」

 魔族「まあ、帰れるならいいか…… どうやって行けばいいんだ?」

 ゴースト「テレポートでひとっ飛びだ!」

 魔族「ふーん? ちょっと待て! 今のオヤジには魔力が……」

 ゴースト「“我と一緒に飛んでいっちゃえ!”」

 魔族「嫌な予感しかしないんだけどぉ!」


  ――シュウィィィィィン――


――路地裏――

 
  ――ドシンッ!――


 魔族「ぐはっ!」

 ゴースト「……」

 ゴースト「失敗したぞ!」

 魔族「え、笑顔で言うな!」

 ゴースト「けど距離的には近づいた! ここは中央王国だ!」

 魔族「むしろ遠くなってないか? オレたちがいた城って中央王国より南だろ」

 ゴースト「視野が狭いな! 中央王国は交通網がすごいんだ!」

 魔族「――なるほど、馬車を使って南に行こうと言うつもりか……」

 ゴースト「そのとおり!」

 魔族「けどその前にオレたち魔族は馬車に乗れるのか?」

 ゴースト「息子よ! お前の体長は人間の子供と変わらん! 乗れるに決まっておろう!」

 魔族「いや、そうじゃなくて…… 魔族であるオレたちを人間が馬車に乗せてくれるかって話」

 ゴースト「乗せてくれないだろうな!」

 魔族「距離的に遠くなってるじゃねーか!」


 魔族「……」

 ゴースト「どうした? 息子よ?」

 魔族「さっきより若干透けてないか?」

 ゴースト「おお! 本当だ!」

 魔族「嬉しそうにするな!」

 ゴースト「おそらく魔力の不足が原因だろうな」

 魔族「魔力の不足?」

 ゴースト「霊体を保つのって結構魔力が必要なんだ」

 魔族「まあ、そうだろうな」

 ゴースト「死神っぽいのから逃れたり、あっちの世界に行かないように踏ん張ったりで大変なんだ」

 魔族「死神なんているのか?」

 ゴースト「死神がいるかは分からないが、お前の後ろに“ぽいの”はいるぞ」

 魔族「え? 何言って……」

 死神「こんにちは! あの世への御案な……」

 魔族「うわあぁぁぁ!! “ヘルフレイム”!!」


  ――バアアァァァァァンッ!!――


 死神「ぐはぁ! これが噂のクレーマーかぁぁ!!」

 ゴースト「ちょっと! こんなところで魔法を使ったら……」

 通行人1「なんだ今の爆発音は!」

 通行人2「翼が生えてる人だわ! 魔の物! 魔の物がいるわ!」

 通行人3「早く兵士さんに伝えなきゃ!」

 魔族「やばっ! 隠れな……」

 兵士「魔の物だと! 殺せぇ!」

 魔族「早すぎるだろ! ちょっと魔法で焼いて……」

 ゴースト「ちょっと待って、人間は魔法への耐性がないぞ! 当てたら死んでしまう!」

 魔族「オヤジの蘇生術で……」

 ゴースト「今魔力ないの」

 魔族「……」

 魔族「逃げるぞぉ!」

 兵士「逃がすな! 追うぞぉ!」

 兵士たち「「「「「うおぉ!!!」」」」」

 死神「……」

 死神「――たくさんの人に踏まれた……」


――3日後――


 ゴースト「我の魔力が暴発しちゃったぞ!」

 兵士「追えぇ! 逃がすな!」


――さらに3日後――


 ゴースト「息子よ! 通行人を脅かせることに成功したぞ!」

 兵士「魔の物は死ぬべきなんだ! 追えぇ!」


――さらに2日後――


 ゴースト「魔力がない者にも我の姿を見せることに成功したぞ! すごいだろ! 息子よ!」

 兵士「追えぇ!」


 魔族「ふざけんなよ! 毎回毎回!」

 兵士「追え! 逃がすな! 魔の物は全員ぶっ殺せ!」

 ゴースト「ワッハッハッハー! まあそう怒るな。こういう時こそ笑ってスマァーイル!」

 魔族「この状況を作った張本人に言われたくねーよ! バカオヤジ!」

 ゴースト「息子よ! 馬鹿って言った方が馬鹿なんだぞ! ワッハッハー!」

 魔族「うるせぇー!!」

 ゴースト「しかし親子二人で走ったのは何年ぶりだっけ? 昔を思い出すな!」

 魔族「こんな状況でそんなことを考えられるその頭が羨ましいわ!」

 ゴースト「そんなに褒めるな、照れてしまうだろう!」

 魔族「皮肉で言ってんだよ! バカ!」

 ゴースト「馬鹿って言うほ……」

 魔族「ループすんな! 壊れた蓄音魔道具か!」

 兵士「打てぇ!」


  ――パンパンッ!――


 魔族「うおっ危ね! “シールド”!!」


  ――カンカンッ!――


 ゴースト「ワッハッハッ! 我にそんな攻撃は効かないぞ!」

 魔族「防御してるのはオレだけどな……」


 魔族「ふぅ、やっとまけたぜ……」

 ゴースト「お疲れっちょ!」

 魔族「果てしなくうぜぇー……」

 ゴースト「息子よ、この逃走生活はどんなに多く見積もってもあと三日だ!」

 魔族「入口まで行くのにあと三日もかかるのか…… クソー……」

 ゴースト「それまで存分に楽しもう!」

 魔族「楽しめるか! アホ!」

 ゴースト「阿呆って言った方が阿呆なのか?」

 魔族「知るか!」


  ――ガサガサ――


 ゴースト「む? どうやら腹をすかせた子犬がおるようだな」

 魔族「子犬? 腹が減ってんならこの晩飯用の肉食わせようかな? そういえば犬って肉食うのか?」

 ゴースト「よく人間とか食うからたぶん肉食だよ」

 魔族「ふーん…… えっ人間を食う?」

 ウルフ「グガァ!!」

 魔族「う、うわぁ!! “ヘルフレイム”!!」


  ――バアアァァァァン!!――


 ウルフ「くふっ!!」

 魔族「ビックリした! 魔物じゃねえか!」

 ゴースト「あらら、可哀想に。骨すら残ってないじゃないか」

 魔族「親父! 子犬と魔物をどうやったら間違えるんだ!」

 ゴースト「えー、だってどっちも目と鼻と口の数が一緒だしー」

 魔族「親父にとっては人間もウルフもドラゴンも子犬なのかよ……」


 ゴースト「“魂戻っちゃえ、ついでにゾンビになっちゃえ”!」


  ――シュゥゥゥン!――


 魔族「久しぶりに成功したな、魔法」

 ゴースト「ちょっと可愛そうだったから蘇生術を施した! 偉い!」

 魔族「ちょっと待て、完璧に死霊術だったじゃねーか」

 ゴースト「どっちも似たようなものでしょ」

 魔族「似てない似てない。つーかまた襲われたりしないよな?」

 ゴースト「そこのところは心配無用! ちょっと細工をしたから」

 魔族「具体的には?」

 ゴースト「空気中の魔力を吸収できるようになったからお腹が空かなくなる! 安心!」

 魔族「ただ腹が減らなくなっただけかよ、心配だなぁ」

 ウルフ「!!」


  ――タッ!――


 魔族「お、おい! こっちに来たぞ!」

 ゴースト「今度は殺さないでね」


  ――ズサッ!―― 


 魔族「ん?急にひれ伏した?」

 ウルフ「魔王…… 様…… 先程の無礼…… 誠に…… 申し訳ありません…… でした!」

 ゴースト「うむ!」

 魔族「つっこむべきか? これは?」


 ウルフ「先程は本当に申し訳ありませんでした!」

 魔族「えっと、その前に質問していいか?」

 ウルフ「はい!」

 魔族「魔物ってしゃべれるのか?」

 ゴースト「ワッハッハッ! 息子よ! 魔物は……」

 魔族「オヤジは黙れ」

 ウルフ「いえ、基本的には喋れない魔物は大勢います。しかし体内の魔力の量が多ければ思想を飛ばす――テレパシーのようなことをして会話をすることが
     可能な魔物もいます。私の息子はそれです」

 魔族「ふーん…… けどお前はなんか普通にしゃべっているように見えるんだけど」

 ウルフ「それは魔王様が手を加えて下さったおかげです」

 ゴースト「ピース!」

 魔族「まあオヤジはバカだけど有能だからな」

 ゴースト「馬鹿って言……」

 魔族「聞き飽きたから黙れ」


 ウルフ「ところで、襲った身としては誠に申し上げにくいのですがよろしいでしょうか?」

 魔族「どうした?」

 ウルフ「実は…… 妻と息子に合わせて欲しいんです」

 魔族「――えっと? 詳しく話せ」

 ウルフ「はい! 私と妻と息子はこの森の奥に結界を張って生活をしていました」

 魔族「何気にすごいこと言ってるぞ、こいつ」

 ウルフ「結界を張ってるのは私の息子です」

 魔族「さっきから聞いていたがお前の息子すげーな」

 ゴースト「我の息子もすごいぞ! ただ口が悪いのが難点だが」

 魔族「おい、狼。こいつのことはバカって呼んでいいぞ」

 ウルフ「は、はぁ」

 ゴースト(そういえば全然関係ないけど、昔飼っていたポチ丸(犬)は全く別の生命体になってしまったんだった)

 ゴースト「どこで育て方を間違えたんだろう? ちょっと前までは可愛かったのに」

 魔族「はあ? オヤジがバカだからだろ、まったく」

 ゴースト「うーん…… そうか……」

 魔族「――あっ! か、勘違いするんじゃねーぞ! 親父がバカだからといって、嫌いではないからな!」

 ゴースト「――あっちょっと考え事してて聞いてなかった! ごめん! 何か言ってた?」

 魔族「バァカァオォヤァジィ!!! 心配して損した!!」

 ゴースト「馬鹿って言……」

 魔族「うるせぇぇぇぇぇ!!!」

 ウルフ(仲いいな)


 魔族「すまなかった。話を戻してもらっていいか?」

 ウルフ「はい。ある日私はうっかり結界の外へ出てしまいました」

 ゴースト「このうっかり者め!」

 魔族「オヤジのことは基本無視でいいぞ」

 ウルフ「はい。そしてその結界は一度出たら戻ることは困難なんです」

 魔族「まあ、簡単に入れたら結界の意味がないからな」

 ウルフ「そこでお願いがあります! どうか結界の入り口を探してくれませんか?」

 魔族「……」


 ウルフ「襲った身でこんなことを言うのはおかしいですが、何でもいたしますから!」

 ゴースト「言質とった! 今何でもするって……」

 魔族「よし! なかなか強力な結界だったから手間取っちまった! オレについて来い!」

 ウルフ「えっ? どうしたんですか?」

 魔族「だ、か、ら、見つけたんだよ。入り口を、結界の」

 ウルフ「もう見つけたんですか!? と言うよりいつから探してたんですか?」

 魔族「えっと、話終わった直後。ってそんな細かいことどうでもいいだろ。早く行くぞ!」

 ウルフ「ちょっと待って下さい! 私は仮にも貴方を襲ったんですよ!? そんなすぐに了承したんですか!? いいんですか!?」

 魔族「え? だってオレはお前のこと一回殺したんだぞ。罪悪感とか感じるだろ?」

 ウルフ「いえ、それは私が襲ったのが悪いのでは?」

 魔族「まあ、普通の魔物だったら罪悪感は沸かないけど、話せる奴だとな」

 ウルフ「いえ、しかし……」

 ゴースト「ワッハッハッハッ! 息子は我に似て優しいからな!」

 魔族「仮にも世界征服を企んでた奴が優しいとは世も末だな」

 ゴースト「ハッハッハッ! 照れるぞ、もっと褒めろ!」

 魔族「――なあ、何でもするって言ったよな」

 ウルフ「――はい、言いました……」

 魔族「じゃあひとつだけ命令しよう!」

 ウルフ「はい……」

 魔族「今後はオヤジのことはバカと呼べ!」

 ウルフ「!?」

 ウルフ「……」

 ウルフ「――はいっ! わかりましたっ!」

 ゴースト「君!! 最高の笑顔でOKするなぁー!!」


 魔族「ここだよな?」

 ウルフ「はい。おそらくは」


  ――ビリリリリ!――


 ウルフ「ウギャー!! は、はい!! この焼かれ加減は間違いなく息子の結界です!!」

 魔族「ちょっと待て!! 焼かれる必要はあったのか!?」

 ウルフ「息子の結界に焼かれる機会なんてあまりないので、体験できるときにやっておこうと……」

 魔族(こいつひょっとして変態じゃないのか?)

 ゴースト「我も試してみようかな?」

 魔族「やめろ」


  ――シュウィン――


 魔族「結界が開いたな」

 「――だれ!? そこにいるのは!?」

 ウルフ「そ、その声は!?」

 狼少年「!! ぱぱ!!」

 ウルフ「ソイールゥ(狼息子の名前)!! 元気だったか!?」

 魔族「――あいつ、人型だしどちらかというと魔族に近いな」

 ゴースト「おや! ここは我の知識が発揮できる場面だ! あやつはおそらくウルフと魔族、精霊の類とのキメラだな!」

 魔族「へえ~ 自信満々に言うけど、理由でもあるのか?」

 ゴースト「あやつの魔力の属性は土、肌の色は薄い茶色! それらから考慮すると地底に住んでると言われる土竜族かな! あやつの妻は!」

 ウルフ妻「ガウガ!!(あ、貴方!!)」

 ウルフ「ガウコォー(狼妻の名前)!! 会いたかったぞぉ!!」

 ゴースト「あれぇ~? おかしいな~? 魔物に見えるぞ~」

 魔族「ププッ!! 自信満々に言ったくせに!」

 ゴースト「わ、笑うなー!!」

 狼少年「……」

 狼少年「マインファーター、マインファーター。まおうがいるよ」

 ウルフ「マインゾーン。あれはただの馬鹿様だよ」


 ウルフ「本当にありがとうございました!!」

 魔族「そんなに感謝しなくていいから」

 ウルフ妻「ガウ!!(ありがとうございました!!)」

 狼少年「ありがとうございました!!」

 魔族「――まあ、感謝されて悪い気持ちはしないからいいが」

 ゴースト「ブーブー! 我だって頑張ったのに……」

 魔族「じゃあ、オレたちは行くからな! 元気でやっていけよ!」

 「「「さようなら!!」」」


  ――シュウゥゥゥン――


 魔族「――へへっ!」

 ゴースト「む! 病気か! 急に笑い出して!」

 魔族「ばっ! わ、笑ってねーし!」

 ゴースト「いや、確かに笑ったぞ! 病気なら薬を飲んだほういいぞ!」

 魔族「は? 病気?」

 ゴースト「病気じゃないのか? だったらなんで笑ったんだ?」

 魔族「い、いや…… だから笑ってないって……」

 ゴースト「うむ…… そうか?」

 魔族「そうそう!」

 ゴースト「病気じゃないならまあいいか」

 魔族「そうそう! 気にするな!」

 ゴースト「うむ! ――お、もう夜ではないか!」

 魔族「だな。飯食って寝るか」

 ゴースト「そうしようか! 今日はリトルドラゴンの丸焼きが食べたいな!」

 魔族「ツッコんで欲しくて言ってるのか?」


――その頃の暗い夜道――


俺はとある料理店で働いている普通の男だ。

お客さんがちょっとしたトラブルを起こしてしまったせいでいつもよりも少し遅くに帰ることとなった。

この道は夜になると真っ暗になる。手に持っているランタンの明かりのおかげで辺りが辛うじて見える程度だ。

特にすることはないので歩き続けながら考え事をした。

夕食は何がいいか、明日は休みだしどこに行くかとあれこれ考えていると同僚たちがとある噂をしていたのを思い出す。


 ねぇ。あそこの森の辺りって昔処刑場があったんだって。

 え! 何それ!

 当時の王様がそれはそれは残虐な暴君で少しでも気に入らない人がいると公開処刑をしていたそうだよ。

 えぇ~! 本当なのそれ~?

 まあ私も友達から聞いただけだから本当かどうかわからないけどその処刑方法がそれまた凄く残酷だったらしいよ。

 え?

 なんでも手、首、足にロープを引っ掛けて動物に引っ張らせたとか。

 うぁ。

 当然だけど体が引きちぎられるじゃん。

 想像したくない。

 その死体は処刑場の近くに穴掘って無造作に埋められたらしいよ。

 ひどいね。

 で、ここからが本題なんだけど、ある人の死体が見つからなかったんだって。

 え!? どういうこと!?

 引っ張った衝撃で手足がどっかに飛んでっちゃったとか。で、その日から手だけの幽霊が夜になると現れるようになったんだって。

 体のパーツを集めるため?

 そう、そのとおり!

 おーい、お前ら。話してないで真面目に仕事しろ。

 はーい。

 はーい……

 そういえば先輩の帰り道って森の近くを通るらしいですね。帰りは幽霊に気を付けてくださいね。

 うるさい、俺はそんな話信じてないからな。


そんな噂をふと思い出してしまった。くだらない。

この辺りは夜になると本当に真っ暗になる。だからもの好きが変な噂をでっち上げたに違いない。

改めて辺りを見回してみる。

普段は夕方に帰るからか、いつもと違った印象を覚える。

木々の葉っぱが夜風に揺られてざわめいている。

風がヒューヒューと音を立てながら息をしている。

暗闇が大きな口を開けて俺を食べようとしている。

ええい、やめだやめだ! 幽霊なんていない! そんなくだらない噂を信じてどうする?

俺は変な考えを振り払うように、頭を横に振った。

そのとき不注意のせいか、転んでしまった。

ランタンも放してしまい、地面に思い切りぶつけて壊してしまった。

しまった! こんな真っ暗闇の中では明かりなしで歩くのは困難だ!

馬鹿なことをしてしまった自分を心から呪う。

仕方ない。手探りで帰るしかないか。

そう思ったとき、背後で“ピチャン”と音がした。


振り返った。だが真っ暗で何も見えない。

今の音はなんだ? まるで水滴が落ちるような音だった。

いや、水滴というよりは水の塊と形容したほうがいいか。

心臓がバクバクと脈打ってる。俺の前には一体何がいるのか?

今にも逃げ出したい。だが、恐怖で体が動かない。

一秒が何時間にも感じられた。

そして、生暖かいものに足を掴まれた。

真っ暗なはずなのにそれだけははっきりと見えた。























それは地面から生えた茶色い“手”だった。

俺の意識は深い闇に消えてしまった。


  ――ピチャン――


 「ぷはっ! うやめしや~ 夜道を明かりもなしに歩くのは危険だよ~」

 男「……」

 「えれ~? もうキゼツしちゃってる?」

 「――まあ、いいか! これでおどろかせた人間の人数は10人をトッパしたよ、やったね!」

 「いや~ 怖いウワサを流せばたくさん人が来るんだ! ズノウメイセキなウォーナさん!」

 「しかし、う~ん。人間をおどろかせるのもいいかげんあきてきたな~」

 「魔界に帰ろうにも帰れないし…… どうしよう……」

 「――まあ、明日考えよっか、今はスイミンが必要だよ」


区切ります。

一か月前にこれと同じようなssを書いて、チルディッシュ発言をしてみんなから叩かれてベッドにうずくまった馬鹿がいました。
もしも覚えている人がいるのでしたら早急に忘れてください。

物語に関係ないことはこれで最後にします。以後、無駄な発言は慎むようにします。

再開します


 ゴースト「グッモニン!! おはよう、息子!!」

 魔族「朝から元気だな……」

 ゴースト「元気なのはいいことだ! 褒めるな、いや褒めろ!」

 魔族「ウザさもマックスだな……」

 ゴースト「怒るな! 怒ると体に悪いぞ! 笑え! ワッハッハッハー!」

 魔族「あははは…… オヤジは本当にウゼー…… 笑えるよ……」

 ゴースト「ん? 今なんて言った?」

 魔族「悪口が聞こえないなんていい耳だな……」

 ゴースト「もっと褒めろ! ワッハッハッハッ!」

 魔族「……」


 魔族「さて、腹ごしらえも済んだし行くか!」

 ゴースト「うむ! スリリングなことがあるといいな!」

 魔族「ふざけんな、次へんなことやったら許さないからな!」

 ゴースト「怒るな! 笑いこそ全てに勝る武器だ!」 

 魔族「その武器でオヤジのウザさを消すことができるならいくらでも笑ってやってもいいぞ」

 ゴースト「そうだ! その意気だ! 笑え!」

 魔族「笑えるか! 無意味に笑えるオヤジは本当に頭の中お花畑だな!」

 ゴースト「最近よく褒めてくれるな! 嬉しいぞ!」

 魔族「オヤジの耳はどうなっているんだよ! 本当に!」


 魔族「……」

 ゴースト「息子よ、気付いておるか?」

 魔族「ああ、“下に”なんかいるな」

 ゴースト「うむ。近づいてきておるな」

 魔族「魔族、魔物?」

 ゴースト「魔物だろう、魔力が低すぎるからな」

 魔族「目的は?」

 ゴースト「わからん。だが、こちらを襲おうとしておるのは確実だぁ!」

 魔族「そ、そうか……」


瞬間、魔族の居た場所から手が伸びてきた。魔族は素早く回避して、戦闘態勢をとった。


 (えれ?)

 魔族「お前は何者だ? なんでオレらを襲ってきた?」

 (あちゃ~ 魔族だったか~)

 魔族「答えろ!」

 「……」

 (めんどくさいことになっちゃったな~)

 魔族「答えないのか……」

 (あっちはやる気まんまんだね、戦いとかは嫌いなんだけど)

 魔族「答えないのならこちらから行くぞ!」

 (やるしかないか)

 魔族「“フレ”……」


腹のあたりに衝撃が走った!


 (ウォーナの地中での速さはだいたい…… えっと…… とにかく速い! 普通はついてこれないよ!)

 魔族「くは!」

 ゴースト「速いぞ! 気を付けよう!」

 魔族「見えなかった! あいつはどんな魔物だ!」

 ゴースト「速すぎて見えなかったぞ! 手が鱗で覆われていることしかわからん」

 魔族「オヤジでも見えなかったのかよ…… じゃあ、そういう魔物の情報ってあるか?」

 ゴースト「う~ん、どっかで聞いたことがあるような……」

 魔族「曖昧だなぁ……」

 「スキあり!」


背中に衝撃が走る!


 魔族「いつぁ…… 一撃一撃は弱いが、長期戦はマズイな!」

 ゴースト「広範囲に及ぶ魔法を放ったらどうだ?」

 魔族「そうだな……」


魔族は深呼吸し、手を掲げた。手の真ん中からドロドロとした黒い何かが吹き出ている。


 魔族「“インフェルノ”!!」


そして手を地面に押し当てた。


 「え?」

 ゴースト「ちょ、ちょっと待て!」


 ――ゴゴゴゴオオオオオオオオォォォ――


辺り一面が溶けた。地面が赤く染まり、おぞましい光を発している。


 魔族「はあ……」

 ゴースト「おーい…… やりすぎだぞ、絶体死んでるって」

 魔族「し、仕方ねーだろ…… 広範囲の魔法はこれだけしかないんだから……」

 ゴースト「いきなり必殺技を出す奴がいるのか?」

 魔族「まあいいだろ。相手も生き返ったら懲りて襲ってこないだろ。オヤジ、蘇生を……」

 「“水よ、わが周辺のリョウイキを浄化したまえ”!!」


地面が青い光を放った。そして次の瞬間、白い蒸気が発せられ、地面が元の状態に戻った。


 「ふぅ…… ちょっと! 何するのさ!」

 魔族「な!? 何で生きているんだ!? しかも喋ったぁ!?」

 「まともにくらったら死んでたよ! よけられたから良かったけど!」

 ゴースト「しかも魔法を使うとな…… 魔物じゃないの?」

 魔族「魔力が低いんじゃなかったのか!? 魔族じゃねーか!」

 ゴースト「どうやら魔力を隠していたようだな! 間違えたぞ!」

 魔族「さっき断言してただろ。オヤジは自信のないことを自信満々で言う癖をやめたほうがいいぞ」

 「ちょっとこっちの話を聞いてよ!」

 魔族「あっそうだった。オヤジ」

 ゴースト「うむ! わかったぞ!」

 「ん?」

 ゴースト「“落とし穴できちゃえ”!!」


謎の魔族の足元に真っ黒な空間ができた。


 「ずは!」

 魔族「さてと、準備はいいな?」

 「え? その……」

 (これはまずい状況だよ……)


 魔族「――で、なんで襲ったんだ?」

 「おそったっていうか、イタズラ? ちょっとイタズラをしただけだってば!」

 魔族「本当か? おらおら」

 「くひをひっはるんひゃない!」

 魔族「はあ…… 本当に勘弁してくれよ…… 追われる身としては一日中神経を使ってるんだから」

 「へえ~ 追われてるんだ」

 魔族「他人事みたいに言ってるけど、お前にも関係あるんだからな!」

 「――ええ!?」

 魔族「あの中央王国の国王が『人間界に存在する魔の物は全て滅せよ』とかいうお布令を出しただろ?」

 「本日二回目の、ええ!? 初耳だよ!?」

 魔族「はぁ?」

 「ウォーナはフダン土の中を泳いでるの」

 魔族「――土の中を泳ぐ?」

 「セイカクに言うと、コーブツの中を泳いでいるの! すごくない?」

 魔族「鉱物? 泳ぐ? どういうことだ?」

 ゴースト「――あっ! 思い出した! 地底にいる魔族!」

 魔族「急にどうした?」

 ゴースト「確か土魚族だっけ? 体外に水、土属性の魔法のベールをまとって地中での活動を可能にした魔族だ!」

 魔族「ベールをまとうって何だ? 全く理解できないぞ」

 ゴースト「詳しくは知らないから上手く答えられないけど、変身、回復能力に長けた水属性と、防御、不変に長けた地属性を
      上手くハイブリットさせて鉱物の形を変えずに土の中を移動できるらしい」

 魔族「理解できそうでできない」

 ゴースト「硬くなる→傷がつかない→跡が残らない……」

 魔族「口頭で『やじるし』って言うな! マジでわけわからなくなる!」

 ゴースト「じゃあ紙に……」

 土魚族「魔法なんて今の理屈で考えようとしても無駄だよ!」

 魔族「は?」

 土魚族「魔力ってのは本来今の物理法則にはない考え方なんだから、魔法は常識に囚われて使ってはいけない」

 土魚族「魔法を使うコツは、感じること」

 魔族「なんかいきなり知的になったぞ」

 土魚族「ふっふっふ…… ウォーナは覚えることだけは得意だからね! 一字一句ゼンブ先生の言葉だよ!」

 魔族「いい雰囲気が台無しじゃねーか!」


 魔族「で、ウォーナって言うのはお前の名前か?」

 土魚族「そのとおぉりぃ! ウォーナ・ハトロイド! 16歳! 趣味、悪ふざけ!」

 魔族「オレの2歳上か…… あと嫌な趣味だな」

 ゴースト「我の271歳下だな! さて問題! 我は何歳でしょう?」

 土魚族「えっと……」

 魔族「くだらないことするな」

 土魚族「287歳! さて、あなたたちの名前は?」

 魔族「げぇ!?」

 ゴースト「ワッフッフッフ…… 我は魔王! ゲフンフンフンフンだ!」

 魔族「ちゃんと言えよ!」

 ゴースト「さて問題! 我の名前はなんでしょう?」

 魔族「問題を出すことがブームなのか?」

 土魚族「うーむ…… わかった! ゲなんとかさん!」

 魔族「分かってねーじゃねーか!」

 ゴースト「そのとおり!」

 魔族「悪乗りするな!」


 土魚族「なんと! まさか、あなたがあの魔王、ゲノゼクス・ルートさんだったなんて!」

 魔族「わかってたのかよ……」

 魔族(まあ、魔王って魔界では結構有名だから当たり前か。昨日のウルフだってすぐに理解してたし)

 ゴースト「控えよ~!」

 土魚族「ははぁ~」

 魔族「――アホなことやってるが、まあいいか」

 土魚族「そういえば勇者に破れたって聞いたけど……」

 魔族「なんでそれ知ってるのに追われてることに気づかないんだ」

 ゴースト「ワッフッフッフッ! 確かに我は勇者一行に負けた!」

 魔族「笑い方がキモイぞ」

 ゴースト「しかし倒される直後、オートレイズを自分にかけたのだ!」

 魔族「失敗してオート“死霊術”になったけどな」

 土魚族「おお!」

 ゴースト「そして我はここにいるのだ!」

 土魚族「すご~い!」

 魔族「もっと訂正したいが、色々と疲れた」


 土魚族「で、あなたは誰?」

 魔族「まあ、そこの幽霊魔王の息子だ」

 土魚族「ふーん…… で、名前は?」

 魔族「!? いっいや、そんなのどうでもいいと思うぞ!」

 ゴースト「息子の名前は……」

 魔族「言うなぁ!! バァカァァァ!!」

 ゴースト「馬鹿言う奴が馬鹿なんねん!」

 魔族「口調変えるな!」

 土魚族「どうでもよくないよ。お名前は? 早く早く!」

 魔族「――ふぅ……」

 土魚族「え?」

 魔族「フウ! オレの名前はフウだ!」

 土魚族「フウ…… フウ・ルート……」

 土魚族「なんか木管楽器みたいな名前だね」

 魔族「うるさい……!」

 土魚族「モッくんとガッくん。呼ばれるならどっちがいい?」

 魔族「どっちも嫌だよ!」


 土魚族「さて、自己紹介も終わったし、この穴から出して」

 ゴースト「オッケイ!!」

 魔族「仲いいな」

 土魚族「いよっしゃぁ! 自由だぁ~! ところであなたたちはどうするつもり?」

 魔族「オレたちは魔界に帰ろうとしている途中だ。だいぶここで時間を食ったな」

 土魚族「え?」

 ゴースト「まあ気長に行こうではないか!」

 土魚族「魔界に帰る? どうやって?」

 魔族「南に入り口があって、そこから帰ろうとしているんだ」

 土魚族「――まさか知らないの? 石の中にでも入ってたの?」

 魔族「?」

 土魚族「入り口の存在はとっくに人間たちに知られてるよ。で、閉じられちゃったんだ」

 魔族「……」

 ゴースト「……」

 「「はぁっ!?」」

 魔族「どっどういうことだ!」

 土魚族「魔王さんがたおされたあと、人間界から魔界にソウコウゲキが始まったの」

 魔族「まじか!」

 土魚族「まじまじ」

 ゴースト「まあ、そうだろうな」

 土魚族「で、魔界の入り口の存在が知れわたったから入り口を閉めたの」

 魔族「人間界には他にも魔物や魔族がいるのにか?」

 ゴースト「まあ、仕方がないだろう。人間の中には勇者一行のような恐ろしい奴らもいるんだ」

 魔族「……」

 ゴースト「!? この雰囲気はいけるかもしれない!」

 土魚族「?」


――数分後――


 ゴースト「仕方ないな」

 土魚族「そ、そんな…… ウォーナたちは一生この人間界から出ることなくみじめに土とユウゴウするしかないの!?」

 魔族「仕方ない、か。オヤジが諦めるなんて珍しいな」

 ゴースト「諦めるだと? 我は諦めないぞ」

 魔族「だろうな…… やっぱり」

 土魚族「え? え?」

 ゴースト「入り口を作るか……」

 土魚族「えは!? ムリだよ! 入り口を作るって! 空間をねじ曲げるってことだよ! 例えるならどうなるんだろう!?」

 魔族「大丈夫大丈夫。だって……」

 ゴースト「我は魔王様である!!」

 土魚族「――じゃあ、期待するよ!」

 ゴースト「空間を捻じ曲げるには、空間に膨大な魔力を当てる感じで行けばいいのだ!」

 魔族「そんな曖昧でいいのか?」

 土魚族「魔法なんて今の理屈で考えようとしても無駄だよ以下略」

 ゴースト「うおぉぉぉぉぉ!!」

 土魚族「すごい魔力量! これならいくぇる!」

 魔族「いっけぇー!!」

 ゴースト「でりゃぁぁぁぁぁ!!」
















  ――ふわん――


 魔族「今の音はなんだ?」

 ゴースト「……」

 ゴースト「魔力が足りない!」

 魔族「やっぱり…… あと、笑顔で言うな」

 土魚族「あ~あ…… せっかくいいフンイキ作ったのに…… さっきの作戦会議が水の泡だ……」

 魔族「『シリアスムードを作って補正をかけよう作戦』って、よく考えなくても失敗するよな。協力したオレが言うなって話だけど」

 ゴースト「よぉし! もう一回やるぞ!」

 土魚族「おー!」

 魔族「昼飯作るからあっち行くぞ」


 ゴースト「魔力が切れた」

 土魚族「つかれた~」

 魔族「お前ら何やってんだよ……」

 ゴースト「あともうちょっとでいけると思って」

 土魚族「ムードを5回作ってた」

 魔族「って、溜めた魔力全部使ったのか!?」

 ゴースト「もちの」

 土魚族「ろん!」

 魔族「ふざけんな! どんどん帰るのが遅くなるぞ!」

 ゴースト「まあ大丈夫大丈夫!」

 土魚族「あれ? 魔王さんちょっとすけてない?」

 魔族「魔力がなくなったからか…… てことはつまり……」

 死神2「オイゴラ! テメーラ ヨクモ 後輩 ヲ イジメテクレタナ! コノオ礼ハ タップリト……」

 魔族「“ヘルフレア”!!」

 死神2「グハ! コレガ クレーマー ノ 真ノ実力 カ…… 無念ダァー!」

 土魚族「よくわかんないのが現れたと思ったらふっとんだ」

 魔族「はあ…… これじゃ一生魔界に帰れねーぞ……」

 ゴースト「ワッフッフッフッ…… 実はやってる最中にいい考えが浮かんだのだ!」

 魔族「浮かんだんなら無駄使いやめろよ」

 ゴースト「人間界と魔界は大昔にも戦争をしたそうじゃないか!」

 ゴースト「で、人間界にも古代の魔道具がたくさんあるはずだ!」

 魔族「要はそれを集めようと? 集めて魔力を抜き取って回復しようという訳か」

 ゴースト「そうだぁ!」

 土魚族「ウォーナの力がカツヤクできそう!」

 ゴースト「よし! 早速探そう!」

 土魚族「おー!」

 魔族「取り敢えず昼飯は食べろ」


――とある街――


 「……」

 「あの非生産的単細胞な脳筋糞チンピラさんたちめ! あの糞カスさんたちのせいではぐれてしまったじゃないですか!」


――

――――

――――――――


※回想省略。要は異世界のワープホールの近くで戦闘狂三人衆にエンカウントする。
 三人衆の一角の攻撃でワープホールが暴走した。
 仲間と一緒にワープホールに吸い込まれ離れ離れになる。
 つまり今喋っているヒトは異世界から来た外道。


――――――――

――――

――


 「ああもう!! 思い出しただけでイライラしてきましたよ!」

 通行人A「何だ? フードを被った子供が叫んでる?」

 「――こっち見ないでもらえませんか? 目障りです。カスで気持ち悪い低民さん」

 通行人A「何だとクソガキ! もういっぺん言ってみろ!」

 (――やれやれ、ちょっと煽られただけで感情を抑えられなくなる野蛮人でしたか……)

 通行人A「何か言えよ!」

 「……」

 「ぅ……」

 通行人A「う?」

 「――うっうわあぁぁぁん!! このおじちゃんにえっちいこといわれたぁー!!」


――タッタッタッタッタ!――


 通行人A「は? ちょっと待て! 行っちまった……」

 兵士「ちょっと来てもらえますか?」

 通行人A「え?」


 「はあ…… 面倒くさいカスさんが去ってくれましたね。この手段は好きではありませんが効率的ですので……」

 (それにしても彼らはどこにいるのでしょう? こんなに探しても見つからないなんて……)

 (ワタクシがそばにいなくて大丈夫でしょうか? あっ彼に合わずに23時間45分が経ちましたね)

 (幸いなことにこの世界での生存は可能ですね。言語は違いますが魔法でどうにか出来るでしょう)

 (こんなことになった原因のあの低脳で単細胞で非生産的なゲテモノ野郎さんたちにはとびっきりの苦痛を与えてやりましょう!)

 (蘇生薬を大量に使って、生かさず殺さず何時間も拷問にかけてやります!)

 (氷漬けにして皮だけを砕き、ヤスリで全身を磨く)

 (手足を切って、達磨にする)

 (爪を剥ぎ取って指に釘を何回も打ち付ける)

 (意識があるまま中身を綺麗に取り出し、見せつけてみせる)

 (某拷問屋さんの薬を使うっていうのも面白そうですね)

 (まあ、何はともあれ彼らを見つけることが先決です)


区切ります。

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