【安価】男「九死に一生を得る」【コンマ】 (24)

ゾンビA「うあああああ」ヨタヨタ

ゾンビB「うあああああ」ヨタヨタ

ゾンビC「うあああああ」ヨタヨタ


男「来るな、来るなぁ!!」

女「しまった! こっちは行き止まりよ!! 逃げ場がないわ!!」

男「そんな! もうどうしようもないのかよ!! 奴らに喰われて死ぬのなんて嫌だぞ!!」

女「私だって嫌よ!! どうにかしてあいつらを倒すのよ!!」

男「武器も何もないんだぞ、どうやって!!」

女「そんなの知らないわよ!! でも、諦めたらそこでおしまいじゃないの!! 何か考えるのよ!!」


コンマ下、一の位
1が出れば生き残り

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ゾンビA「」ガブッ

ゾンビB「」ムシャムシャ

ゾンビC「」ガリガリ


男「ぁ……ぃ……」ピクッ、ピクッ

女「ぅぁ……っ……」ピクッ、ピクッ

次のシチュ

『カルパチア号』


無線技士「おい、タイタニック号。そっちは氷山がある事が確認されてる」トントンツー、トンツー、ツーツー

無線技士「速度を落として気を付けて航海しろ」トンツー、トントン、トントン


『うるせえぇぇぇ! こっちは天下の不沈客船タイタニックだぞ!! 氷山がなんぼのもんじゃ!!』

無線技士「ちょ」


『こっちは乗客からの電報送るんで忙しいんだ! 黙ってろ! もう無線切るからな!』

無線技士「おいバカ、マジで危ないからやめ」ブツッ


無線技士「切っちまいやがった……。どうなっても知らねえぞ、バカ野郎……」

『タイタニック号・無線室』


無線技士「あー、忙しい忙しい。無線可能区域に入ったおかげで、電報めっちゃきてんだけど」トントン、ツートントンツー

無線技士「あー、あと何か氷山が近くにあるとか言ってたな。一応、船員に報告しとくか」

無線技士「船員さーん、何か近くに氷山あるらしいっすわ。注意してーとか言ってました。これ、そのメモ」スッ


船員「おー、あんがとよー」

船員「一応船長に報告しとくわー」


無線技士「ういっす。オナシャス」

『タイタニック号・甲板』


船員「うーみは広いなー、つうか、寒いよ!! しばれるよ!!」ブルブル

船員「あー、何か氷山だっけ? いいや、船長に報告しに行くのめんどくせーし」ブルブル

船員「どうせ平気っしょ。見張りも立ってるし、こんなメモはいーらね。ぽーいっだ」ポイッ

イズメイ(タイタニック号持ってる会社の社長さん)「船長、船長ー」

船長「はい?」

イズメイ「この船さー、世界一の豪華客船なんだわー。絶対沈まない船とか呼ばれてるしさー」

船長「はあ……」

イズメイ「ちょいとさあ、宣伝したいんよ。この海域での最高速度記録出したいからさー、もっとスピード出して」

船長「え゛」

イズメイ「いけるって。余裕余裕。だからスピード出してー」

船長「マジですか……。危ないんすけど……」

イズメイ「いいから出せや」

船長「oh……」

『タイタニック号甲板』


船員A「あー、さっびー」ブルブル

船員B「つかさあ、めっちゃ霧とか出てんじゃん。これ、この速度で平気なん?」

船員A「平気なんじゃねーの? 船長、めっちゃベテランだし。そこら辺はわかってるっしょ」

船員B「でもさあ、これでもし前に氷山とかあったらヤベえよなー」ハハッ

船員A「いやー、あっても平気平気。なんせこの船、絶対沈まない船だしさあ」ハハッ

船員B「それもそ……」

船員A「ん?」


ズゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……


船員B「氷山だあああああっ!!!」

船員A「ヤベえ、避けろおおおおっ!!!」

『操舵室』


航海士A「ひぎいいいっっ!! 舵を切れえええ!! 限界いっぱーい!!!」

航海士B「バカ野郎おおお!! 何で今まで氷山に気付かなかったんだよおおおっ!! ふざけんなっ!!」

航海士A「ぶつかるぶつかるぶつかる!! 避けろおおおおっ!!」


ゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリ……!!!


航海士B「正面衝突、回避ぃぃぃ!!!」

航海士A「でも、こすけたぁぁぁぁ!!!」

『客室』


紳士「いやー、はっはっは。ダンスは楽しかったなあ、おかげでもう真夜中じゃあないか」

淑女「ホントですわね、もうそろそろ寝ましょうか、あなた」


ガガガガガガ……


紳士「ん? 今、少し揺れたかい?」

淑女「みたいですわね。何かあったのかしら?」

紳士「とはいえ、騒ぎが起きてる訳ではないしな。揺れもちょっとだったし、どうせ大した事ないだろ」

淑女「そうですわね。気にせず、寝ましょう。ふふ」

『談話室』


犬「ワンワン!! ワンワン!!」

客「こら、ジョン。周りに迷惑がかかるだろ。少し揺れたぐらいで騒ぐな」

犬「くーん……」

客「しかし、さっきの揺れは何だったんだろうな。何かトラブルでもあったのか?」

霊媒師(予言者)「なに、大した事じゃないだろ。それより、ポーカーの続きをやろうぜ」

客「そうだな。君がそう言うなら平気なんだろ」

『船首近くの区画』


船員A「穴が空いた! マジヤバス!!」


ドババババババ……


船員B「何とかしろ! 浸水を止めろ!!」

船員C「穴を塞げぇぇー!!」


ドババババババ……


船員D「アカンアカン!! ムリムリムリむーりぃーーー!!」

船員E「退避、退避ぃぃ!!」ダダダッ

『20分後・船長室』


トーマス(造船家)「タイタニック、沈みます」

イズメイ「え゛」

トーマス「確認したら、船首から中央にかけての6区画から浸水してました」

トーマス「タイタニック号は設計上、5区画までの浸水からは耐えられる様に出来てます。でも、6区画はアウトです。こうなったらもう間違いなく沈みます」

船長「だから言ったじゃないですか!! あんなスピードは無茶だって!!」ダンッ!!

イズメイ「え、でも、この船、絶対に沈まないって。なのに10秒ぐらいこすけただけで沈むとかおかしくない!?」

トーマス「鉄で出来てる以上、沈まない船なんてありません」

イズメイ「」

トーマス「というか、この場合はむしろ、こすけたのが悪かったんです。横をかすったから、被害が横に長く広がった」

トーマス「いっその事、正面衝突してた方が良かった。そうすれば、船首辺りは当然壊れますが、少なくとも沈む事はなかった」

イズメイ「ふええええ……」

イズメイ「じゃあ、もうちかたない……。救命ボート出して救助を待とう……」

トーマス「救命ボートは人数分ありませんよ。60人乗りが20艘しかないです」

船長「この船には2212人が乗ってるんで、1000人ぐらいは乗れなくなりますな……」

イズメイ「何でそんな少ないんだよ! ふざけんなっ!!」ダンッ!!

トーマス「そんなにボートあったらデッキの見栄えが悪いとか狭いとか誰かさんが言ったからじゃないんですか!!」ダンッ!!

イズメイ「」

船長「……水の温度は氷点下2度。投げ出されたら10分も待たずに低体温症を起こしますね……」

イズメイ「悪い、俺、大事な用事思い出したんでこれで」シュタッ

イズメイ「」シュバババッ


トーマス「逃げんなゴラァァ!!」

船長「ファッキュー!!」

『一等客船』


コンコン

船長「夜遅くにスイマセーン、大事な話アリマース!」

紳士「なんだね、全く。今、何時だと思ってるんだ。つまらん用件だったら決闘も辞さないぞ」キリッ

船長「大変デース、実はこの船、沈みマース」

紳士「Why!?」

淑女「What's happened!!」

船長「救命ボートあるんで、それで脱出して下さい。急いで」キリッ

紳士「Really!?」

淑女「Oh my god!!」

『デッキ』


イズメイ「どけどけえい、邪魔だ邪魔だー!」シュバババッ

イズメイ「Hey そこのボーイ! 救命ボート一丁!」

船員「ダメっすよ! あんた一人じゃないっすか! このボート60人近く乗れるんすよ!」

貴族「いやいや待て待て。ワシらも乗るぞ」

紳士「私もだ。家内も」

淑女「ええ、だから出して」

船員「ダメっす! そんでも四人じゃないっすか!」

貴族「いやいや、だって私ら貴族だし」

紳士「それに荷物もたっぷりあるんだ。これは捨てられない」

淑女「そういう事よ。だから、出して。このボートは四人乗りなの」

船員「なに言ってんすか! ダメっす! 荷物は捨てて、女子供から優先するのが常識でしょう!」

イズメイ「イエーイ、貴族の旦那ー。ボート出しやすぜー、へっへっへ」ガコガコ、ボチャンッ

船員「ちょ、あんた勝手に!!」

イズメイ「さあ早いとこその荷物を積んで! 急がないと二等客船の貧乏人どもが沈没に気付いてわんさか来やがりますから、へへっ」

貴族「うむ。では行こうか」ピョン

紳士「ええ、お供します」ピョン

淑女「アデュー」ピョン

イズメイ「グッバーイ、HAHAHAHA!!」


船員「おおい!! ざけんなゴラァァ!! 人でなしがぁぁ!!」

『無線室』


無線技士A「船ーが沈むーよ、ふへへへへへへ。やっちまったぜえー」

無線技士A「すまん、オイラはこれで逃げる! アディオス、アミーゴ!」シュバババッ


無線技士B「おおい、マジかよ……」

無線技士C「くそっ! さっきから救難信号は送ってるのに、どこも反応しねえ!」

無線技士C「CQD、CQD、CQD! こっちヤベえ、助けて!」

無線技士B「おい、もうどうせだったら別の救難信号も使おうぜ。最近、SOSってのも出来たじゃん?」

無線技士B「救難信号送る機会なんて滅多にないし、こっちも使おうぜー。これ、打つの簡単だしさ」

無線技士C「トントントン、ツーツーツー、トントントンで覚えやすいんだっけ。ええいもうやけだ、こっちも使うぞ!」

『二等客船』


ギャーギャー、ワーワー

客「おいおい、何か真夜中だってのに騒がしいんだけど! 寝れないだろが!」ムクッ

ガチャッ

客「うっせーぞ! 何だよ一体!!」

「沈没とか嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ」

「助けてママー! 船が沈むよー!」

「もうダメだー! 嫌だ、死にたくねえー!!」


客「にゃんですと!!?」

『機関室』


船員A「えっさ、ほいさ、えっさ、ほいさ」ポイッ、ポイッ

船員B「石炭、石炭、ぶちこめ、ぶちこめ」ポイッ、ポイッ


ゴオオオオオオオ……


船員C「おい、お前ら! 船が沈むって話を聞いてないのかよ! とっと逃げるぞ!」


「ああん!?」ギロッ


船員C「ふぇい!?」


船員A「バッキャロー! 俺らが逃げたらタービン止まって、一緒に電気も消えるだろうがよ!」

船員B「電気が消えたらパニックになんだろが! だから俺らは最後まで燃料を入れ続けて、この船を動かすんだよ!」

船員A「逃げたい奴はとっと逃げろ! だけど、俺らに命令すんじゃねえ!」

船員B「最後まで俺らはここでタービンを回し続けるぜ! 船員の根性舐めんな!」


船員C「お前ら……!」

『タイタニック号・郵便室』


ピチャピチャ、ジャボジャボ

郵便局員「くそっ。もうここまで浸水して来てやがる」

郵便局員「だがな、この手紙やら郵便の山は絶対に濡らさねえぞ!」

郵便局員「抱えて全部上に持ってってやる! 俺は誇りある郵便局員だ! 一度預かった手紙は守りきる!」

郵便局員「ふんっ!」ズシッ

郵便局員「うおおおっ!! 絶対に手紙は濡らさねえ!!」ダダダッ

『デッキ中央付近』


ワーワー、ギャーギャー

「救命ボートに乗せろおお! 早くしろおお!!」

「俺が先だ!! 押すなバカ野郎!! 向こう行きやがれ!!」



オーケストラ奏者A「…………」チラッ

オーケストラ奏者B「」コクッ

オーケストラ奏者C「考えている事は全員同じか……」

オーケストラ奏者D「ああ、このままだと乗客全員がパニックに陥る」

オーケストラ奏者E「それを止めるのは俺達だ……。音楽に国境はないし、美しい音色は人の心を落ち着かせる」

オーケストラ奏者A「やるか……」スッ

オーケストラ奏者B「ああ、きっと俺たちは助からないだろうが、それで他の大勢の人間が助かるなら本望だ」スッ

オーケストラ奏者C「見せてやるぜ、俺達の心意気ってやつをよ」サッ


♪♪♪♪♪♪♪♪


客「これは……演奏?」

客「あんなところで……。こんな時に……。自分達だって逃げたいだろうに……」

『救命ボート付近の甲板』


船員A「女性と子供を優先して下さい!!」

船員B「押さないで! 落ち着いて! 勝手にボートに乗り込むな!!」

船員C「女性と子供が優先だ!! 指示に従え!!」



夫「まさかハネムーンがこんな事になるなんてな。さ、乗りな、ハニー」

妻「嫌よ、一人だけなんて嫌! あなたも一緒じゃないと嫌!」

夫「おいおい、君も聞いてただろ。優先されるのは女子供だけだって」

妻「でも!」

夫「心配するな。ちょっと遅れるだけで俺もボートに乗れるさ。少しの間、別々になるだけだ」

妻「……本当に? 本当の本当に?」

夫「ああ、救助されたらまた会おう。それまで浮気すんなよ」ニコッ

妻「こんな時に冗談なんて……。わかったわ、また後で」グスッ

夫「ああ、またな」

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