理樹「ちっくしょー!!」 (46)

…………………………………………


……………………




理樹(気がつくと沙耶が隣にいた。ぼくらは裏庭のベンチに仲良く座っていた)

沙耶「ねえ理樹くん。今日はお弁当持ってきたわよ!毎日の戦いで疲れたろうなーっと思って、特別に用意してきたんだからありがたく食べなさいっ」

理樹「沙耶!?」

理樹(僕がびっくりすると沙耶も少し困惑した)

沙耶「どうしたの?大声あげて」

理樹「あっ、いや、なんでもない…もらうよ」

理樹(変な目で見られてしまった。しかし、僕はそんなことを気にしていられるほど冷静ではなかった。なぜなら沙耶が僕の隣にいるから!)

理樹(沙耶!なんで生きているんだろう!?めちゃくちゃ嬉しいよ。とても現実とは思えない!でも、沙耶が現にここにいる。別にそれでいいじゃないか。他に何も考える必要はない)

理樹「うわぁ美味しそう」

沙耶「えっ……そ、そう!?」

理樹「うん。とっても!」

沙耶「えへへ……」

理樹(沙耶の笑顔は美しい。最後に思い出せる彼女のそれとなんら変わりない。また、間近でこれに出会えるとは)

理樹「沙耶、ごめん。食べる前にちょっといいかな?」

沙耶「なに?」

理樹「抱きしめさせて!沙耶がいなくて今まで寂しかったんだ。いきなり気持ち悪いと言われるかもしれないけど、とにかくそうしたくてたまらないんだ!」

理樹(沙耶は空を見ながら少し困った顔をした)

沙耶「うーん………」

沙耶「ま、理樹くんの性格はだいたい分かってるつもりだし。……いいわ」

理樹「!」

理樹(もはや言う言葉が見つからない。餓死寸前の人間が食べ物でいっぱいの袋を見つけた時のように、夢中で沙耶を包み込み、体温を感じることだけを考えていた)

理樹「沙耶!」









ピピピピピピ…………

理樹「………………」

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理樹部屋

理樹「………………」

理樹(そりゃそうだ。沙耶が僕の前に現れてくれるはずがない。馬鹿理樹め。なんでいつも夢だとなにも違和感を感じないんだ)

理樹「…………寂しいよ。沙耶…」

理樹(悲しくって、虚しくって涙の玉が目の端に出来た。死んでしまいたい)

真人「ふぁぁ……」

理樹(ドアから真人が出てきた。朝のジョギングの帰りだろう。とりあえず目を擦って証拠を隠滅した)

真人「おー理樹、起きたか!食堂に行こうぜっ」

理樹「あー………もう凄く行きたくない」

真人「行きたくないって……飯はどうするんだ?」

理樹「1日抜いただけじゃ死なないよ。もう、今日はどこも行きたくない」

真人「……そっか。じゃ、そうするか?」

理樹「………………」

理樹(恥ずかしくて直接サボりたいと言えないからそのまま黙ってしまった。でも真人はそういうのにも結構鋭い)

真人「分かった。先生には適当に行っておく。また放課後な」

理樹(真人は財布をポケットに突っ込んでドアを静かに閉めて行った)

理樹「…………ありがとう真人」






理樹(ベッドから這い出たのは3度寝した後だった。結局夢の続きは見れなかった)

理樹「もう正午か」

理樹(やることはないし、なにかをやりたくもない。最近のことを考えるとこうなるのは当然だった。嫌なことが連続して起こっているからだ)

理樹(先生に失敗したことを誤魔化そうとしてバレたり(何故嘘をついたのか自分でも分からない)、女子からは身長の小ささを馬鹿にされ、クラスの課題に取り組むグループは苦手な人ばかりだ。逆に嬉しかったことなんて今週に入ってから一つもない)

理樹(一つ一つは小さい事でもそれが重なったら途轍もなく精神に負担をかける。嫌な事ってのは足し算じゃなく掛け算となって僕に襲いかかってくるんだ)

理樹(それに加えて今、僕を苦しめている最大の悩みが別にある。それは、孤独感だ)





理樹「…………………」

鈴「……っし。あたしは今のであがったぞ」

謙吾「と、なると残りは恭介と真人だな。さあ、どっちがジュースをパシられるか楽しみだな!」

恭介「高みの見物なんて趣味悪いぞ!?」

真人「よーっし…じゃあ引かせてもらうぜ」

恭介「くっ……来い!」

鈴「ざわざわ」

ピッ

真人「……………」

恭介「……………」

真人「よっしゃぁああああ!!!!」

恭介「くっそぉおおおおお!!!!」

謙吾「じゃ、頼んだぞ恭介。俺はコーラだ」

鈴「どろり濃厚ストロベリー」

真人「へへっ、前から味噌カツジュースっての飲んでみたかったんだ」

恭介「あ、慌てるな…ジョーカーってのは最後まで取っておくもんだぜ?」

鈴「はよ行け」

恭介「………へいへい、了解。ところで理樹はなにがいい?」

理樹(…………………………)

理樹「………恭介、僕が代わりに行くよ」

恭介「なに?」

自動販売機前


ピッ…ガコンッ

理樹(孤独。それは今の僕にはあまり関連性のない言葉だった。だけどその感覚だけは確実に僕を蝕んでいた)

ピッ…ガコンッ

理樹(確かに今の僕にはリトルバスターズがある。騒がしい毎日でも、頼もしくて面白い仲間がいる。だけど、いくら友達に囲まれても、心だけはどこか遠い場所にあるようだ)

ピッ…ガコンッ

理樹(この感覚をなんと言ったらいいのやら。外側だけ充実していても本質的にはどこか満たされていないような……ああ、イライラする)

ガコンッ

理樹「ちっくしょー!!」

ドゴッ…

理樹(今自動販売機から出てきたばかりの缶コーヒーを全力で木の幹に投げた。しかしそれは気持ちよく木っ端微塵にはならず、ただ鈍い音を立ててヘコんだだけだった)

理樹「はぁ……はぁ……!」

理樹「ふぅ………ふぅ……」

理樹「………………」

理樹(やはり外に出てきて良かった。今ので少しだけ気が晴れた。そう考えれば今の120円なんて安いものだ)

理樹「……懐かしいなあ。確かこの道を通って沙耶と出会ったんだっけ」

理樹「あの時の沙耶はまったく手加減なしでめちゃくちゃ怖かったな」

理樹「……うっ……うあぁ……」

理樹(誰も見ていないので泣いてしまった。きっと1時間はずっとそうしてた。でも、それも済むと、帰った時にみんなにバレないかどうか心配するだけの余裕が出来た)

理樹(みんなにはあらかじめ遅くなるかもしれないとは言っていたけど、そろそろお使いから帰らなきゃ。僕の荒れ具合はみんなには内緒にしてあるんだから)

理樹部屋

ガチャッ

理樹「ただいま……」

「「おかえりーーー!!!」」

恭介「フゥーー!!今日は朝までサタデーナイトフィーバーだぜぇっ!!」

真人「ほらほら見ろ理樹!これぞ最近編み出した胸筋ダンスだ!それっ!胸がピクピクするぜ!」

謙吾「はっはっはー!!なんだなんだ真人、それすっっっごく面白いじゃないかあっ!俺にもその踊りを教えてくれ!」

恭介「イェーイ!ナイットフィーバー!ナイットフィーバー!」

理樹(戻ってくると男3人がもれなく面白い事になっていた)

理樹「……………あ、あの。なにこれ?」

鈴「夜のテンションだ。理樹も踊れ」

理樹「ぼ…僕はいいよっ」

鈴「そっか」

理樹「それよりなんでこんなことになってるの?僕のいない間にいったいなにが……!」

鈴「ほとんどはお前のせいだ。なんか理樹が出て行く時、顔がショボくれてるからってみんなで帰ってきた時笑わせようって言ってたんだ。それでみんな踊った」

理樹(何故笑わせるのが踊ることになるんだろう)

理樹「っていうかそれなら僕が帰ってくるまでずっと踊ってたってこと!?いや、今も踊ってるけどっ」

鈴「まーな。いつ帰ってくるか分からん以上はそうするしかないって馬鹿兄貴が」

理樹「めちゃくちゃ過ぎるよ……」

真人「フゥッフゥッ!」

謙吾「すいみん、すいみん、すいみん、すいみん、すいみん不足ゥ!」

恭介「もあーざんあうーまん!」

理樹「ふっ……ははは」

理樹(でも、確かにこれは笑える)

2時間後

謙吾「ゼェ…ゼェ……」

真人「ハー…ハー……」

理樹(そろそろみんなの限界が来た。すかさず買ってきた飲み物を渡していく)

恭介「ングッ…ングッ……ぷはぁ!!ヒューッ生き返るな!」

真人「うめぇ!やっぱ疲れた身体には冷たい飲み物だな!」

理樹「お、お疲れ様……」

理樹(よくもあんなものが飲めるものだ)

恭介「で、どうだ。元気は取り戻せたか?あいにく理樹の悩みを知らない今の俺たちにはこうするしか出来ないからな…」

鈴「落ち込んでる奴にダンスで励ますなんてお前らくらいだぞっ」

理樹「あはは……うん、でも助かったよ。確かに恭介たちのヘンテコなダンス見てたら悩んでるのが馬鹿らしくなっちゃった」

真人「そいつは良かった!やっぱたまにはこうして頭を空っぽにしなきゃな!」

謙吾「お前は元々頭が空っぽだろう」

真人「な、なんだとコラァ!!」

鈴「やめろ!喧嘩するな!」

恭介「フッ…ハハハッ!」

理樹「アハハハ!ハハハッ!」



………………………………………………


………………………


次の朝

キーンコーン

理樹(みんなのお陰で今日は早めにベッドから抜け出す決心がついた。夢も、もう見ないだろう)

理樹(形がない何かに怯え、苦しむのはもうやめだ)

先生「ほら全員席に着けー!……な、直枝!お、お、お前……あれから生きて帰ったのか!!」

理樹(僕を見て驚愕する先生。……真人、いったい僕のことをなんと言い訳したんだろう)

先生「ゴ、ゴホン……それではHRを始めます」

「起立!礼!」

理樹(今日は僕に合わせてくれたのか、気持ちいいくらいの大空が広がっている。今の心はまるで銭湯でコーヒー牛乳を飲んでいる時くらいに爽やかだ)

先生「では、今日はみんなに重要な発表がある。……何故、直枝の後ろに席が一つ増えたと思う?」

ザワザワ……

真人「あー、そっかぁ…なんか教室に違和感あるなと思ったらそういうことか!」

謙吾「今日は欠席がない。だのにまだ誰か1人が座る用意をしてある……これが意味することは一つしかない」

「「「転校生!」」」

先生「その通りィ!まさか、長年教師として勤めてきたがまさかこのセリフを言えるとはな。スゥー……」

先生「さあ入りなさい転校生よ!!」



ガラッ

理樹(先生が高らかと宣言し、ドアが開けられた)

理樹(それにしても転校生…こんなもうすぐ冬が始まろうとしている時期に入ってくるなんて度胸があるな。でも、どうやら僕の後ろの席になるらしいし僕から話しかけないとっ。親しめるタイプだといいな)

謙吾「出てくるぞ……」

真人「へへっ、どんな奴だろうな!」

スタ……

スタ……

理樹(前の真人がキョロキョロと動くので見えづらい)

「……………………」

「「「オオーーッ!」」」

理樹(男子が歓声を上げた。転校生は女の子だったか)

理樹「ねえ、見えないよ真人!ちょっと横にズレて………真人?」

真人「……あっ…あ、あ、あ、あ………!?」

理樹(真人から滝のような汗が出ていた)

謙吾「な……ば、馬鹿な………ありえない……こっ、こんな事が……!!」

理樹(横を見ると謙吾も似たようなリアクションだった。まるで”幽霊”でも見たかのような……)

先生「さ、まずはクラスのみんなの顔を見渡して見てくれ。どこかに来る前パンを食べながらぶつかった男子はいないか?」

「「「はっはっはっ!」」」

理樹(先生の必殺ジョークが教室中に炸裂してもまだ見られなかった。しょうがないから少し目立つかもしれないけど立ってみよう)

理樹「よいしょっ」

ガタッ

「…………あっ…」

理樹「……………………」

理樹(………………………)

理樹「…………………あ」

理樹(その時、軽く崩れそうになった。頭がグラグラする。そりゃそうだろう。夢で起きた体験が現実でも起きたら誰だってこうなる。きっとそうだ。ましてや、その人と目があったなら)

「ふふっ………」

理樹(彼女は僕にだけ分かるくらい小さく微笑んで見せた)

先生「じゃあ自己紹介をしてもらおう」

「はい」

理樹(黒板に文字を書くために見せた後ろ姿もまさにリアル。染めたものではない天然の金髪が身体の動きに合わせて小さくダンスする。それが止まって、またこちらに振り向くまで、僕は座ることを忘れていた)

「~~~と言います。気軽に下の名前で呼んでください」

理樹「ううーん……」

バッターンッ

真人「あっ、おい理樹!」

謙吾「理樹が急に倒れた!しっかりしろ!!理樹ーーっ!!」



(…………これもまた夢なのか?いや、これがまだ夢なら一生…醒めなくても……い……)




    

続く

保健室


理樹「…………」

理樹(ふかふかのベッドに静かすぎる部屋。保健室に担ぎ込まれたな)

沙耶「ふふっ…真人君ったら凄く慌ててたわよ。それもそうよね。理樹君のアレはもう完治してるんだし」

理樹「………………!」

沙耶「あっ、また気絶しないでよね?せっかく起きるまで待ってたんだから」

理樹(まったく気配がしなかった。言われた通りもう一度気を失いかけてしまった)

沙耶「いやぁ~それにしても他の子の質問攻めから抜け出すのは苦労したわ。逆にあの2人が教室の隅っこでコソコソ話してるのが不気味だったけど」

「あら、起きたの?大丈夫そう?」

理樹(先生がカーテンの隙間から顔を出してきた)

理樹「あ、はい…特には……」

「じゃあ後で紙だけ書いて帰ってね」

沙耶「はーい」

理樹(うーん。やっぱり偽物には見えない)

沙耶「さて…それじゃここではなんだし場所移ろっか」

理樹「わ…分かった……」

屋上

理樹(沙耶は僕を屋上へ誘った。初めて会った日はここから突き落とされたっけ)

沙耶「うう……こ、この時期の屋上は寒いわね……寒いのはちょっと苦手なんだけど」

理樹「じゃあなんでこっちにしたのさ…」

沙耶「う、うっさいわね!どうせ私がここにいたのは初夏だけよ!」

理樹「いや、まあ…」

理樹(おかしいな。いつの間にか感動の対面のタイミングを完全に逃してしまった)

沙耶「はぁ……とにかく、ただいま理樹君」

理樹「そ、その事なんだけどさ……」

沙耶「え?」

理樹(これを口に出せば今まで覚めてなかった夢から起き上がってしまうような予感がしていたけど言うしかない)

理樹「…………沙耶!何故沙耶がここにいるのさ!?細菌とかで殺されたはずじゃ!?」

理樹(とうとう核心をついてしまった。だが、それに対し彼女は途端に恐ろしい悪魔に姿を表すわけでも、『そう、実はここは夢なのよ』と白状するわけでもなかった。ただ、きょとんと首を傾げた)

沙耶「えっ…恭介さんから言われてなかったっけ?」

理樹「はっ!?」

沙耶「ほら、タイムマシンでタイムスリップしたって。確かにいつ来るとは言ってなかっ……」

バンッ

恭介「こ、ここにいたか!!」

理樹(恭介がドアを蹴破ってきた。かなり息を切らせながら)

沙耶「おっとラスボス登場~……」

恭介「ま、真人達に聞いたぞ!まさか本当にいたとは……!」

沙耶「あ、あれ?おかしいわね…恭介さんが私の頼んだものをすり替えたんじゃ…」

恭介「た、確かに俺が用意したが、それだと色々と辻褄が合わねえだろ!例えばお前が”前”と違って事故に遭わずに済んできたとしても、”前”のお前を知ってる今の俺たちと出会うってことが……!!」

沙耶「なんでおかしいの?実際に恭介さん、タイムスリップしたことある?」

恭介「まずその『恭介さん』ってのはやめろ!なんかもやもやしてくる…」

理樹(恭介がかつて無いほどあせっていた。本来僕がパニックになる分まで背負ってくれているような気がした)

沙耶「じゃあ、恭介君。あのねえ、とある世界には光の玉を集めたら死んだ女の子が蘇ったりするのよ?ちょっと過去に戻るくらいなによ」

恭介「それはゲームかなんかの話だろ!?」

沙耶「ま…いいじゃない。この世は嫌な事ばかりで溢れかえってるんだしちょっとくらいこんな幸運が降り注いでも」

恭介「くっ……とにかく実際にこうして軽口叩きながら存在している以上は叫んだところで無駄か…」

沙耶「そーゆーこと」

理樹「なんか沙耶が隣にいたら非現実感凄いなぁ」

沙耶「り、理樹君酷いこと言うわね…ここは涙ながらに抱きしめたりしないの!?」

理樹「おかげさまでもうとっくにそんなムードじゃなくなったよ…」

沙耶「まあ、とにかくそういう事だからこれからもよろしくね2人とも!」

理樹「まだ夢なんじゃないかな…恭介、ちょっと頬つねってみて」

恭介「ぷにー」

理樹(恭介の指の圧迫はちゃんと僕の脳に痛覚を訴えた)

理樹「僕と恭介の頭がおかしくなったんでない限りは現実…だね」

恭介「まだ集団催眠という逃げ道も残されてるぞ理樹」

沙耶「超自然的なことに出くわしたら何でもかんでも集団催眠って言うのはいい加減使い古されてるわよ」

理樹(とにかく沙耶はもう誤魔化しようがないほど現実になってしまった。こうなればもう僕らは受け入れるしかない。でも、不思議なもので一度そう覚悟してしまったら後はどんどん喜びが溢れ出るのみだった)

理樹「……ありがとう沙耶。生きていてくれて…」

沙耶「うん……私もまた理樹君とこうして話せるとは思ってなかった……」

恭介「……さて。それじゃ俺はあの2人にお使いの脳みそは正常ですって説明しに行ってくるぜ」

理樹(恭介は僕らを2人っきりにして元来た道を引き返した)

今日はバイトをクビになったからここで終わり(∵)

理樹「……そうだ。ねえ沙耶、一つ相談があるんだけど」

沙耶「相談?」

理樹(僕ら2人の学園生活は敵を倒しては地下へ進むを繰り返すという、とてつもない激務だった。そのため沙耶はNPCでないにも関わらずみんなとの交流が薄かった。しかし、今は違う)

理樹「リトルバスターズに…入ってみない?」

沙耶「駄目よ」

理樹「え、ええぇーっ!?」

理樹(断られたばかりか即答された)

理樹「ななななんでさ!」

沙耶「だってあなた達って全員で10人でしょ?」

理樹「そ、そうだよ?」

沙耶「だからよ」

理樹「えっ、いや、分からないんだけど…」

理樹(僕が戸惑っていると、沙耶はため息をつき、察して欲しかったって感じの顔で言った)

沙耶「わ…私が入ったら1人余るじゃない…」

理樹「西園さんはマネージャーだし余ることはないよ」

沙耶「あ、あー……私日焼けしたくないタイプなの!」

理樹「どのみちこれからの時期に日焼けなんかしないよ」

沙耶「今急に入ったらみんなの輪を乱してチームワークがバラバラになるんじゃないかしら!?」

理樹「それは仲良くしたらいいんじゃないかな?」

沙耶「でも私、理樹君としか仲良くないのよ!?」

理樹「えっ?」

沙耶「なんか今更気まずくて入り辛いのよ!そりゃみんな良い人かもしれないけどそれがかえって気を使わせるようで………!!」

理樹「えっと…………」

沙耶「………あ…」

沙耶「うんがぁぁぁああ!!せ、せっかくそれっぽい理由つけて断ろうとしたのに自爆したーーーっっ!!」

理樹「あ……うん…」

理樹(久々にお茶目な所を見れた。結局その場は沙耶がゆっくり入るかどうか考えるという事になって終わった)

理樹(そして、放課後……クラスのみんなが転校してきた沙耶のために歓迎会を開こうという事になったんだけど……)



店内



クド「わふー!?く、来ヶ谷さん!店の中にそんなメニューありましたかっ!?」

小毬「ほわぁ…なんだか高級そうだねぇ」

来ヶ谷「ふふふ…なに、ただあったものを組み合わせただけだよ」

真人「うほぉ!!美味え……!やっぱ食べ放題は最高だなっ!!」

理樹「うん……そうだね……」

鈴「どうした理樹?元気がないな」

理樹「いや……なんでも……」

理樹(謙吾が鈴の耳にそっと囁いた)

謙吾「しっ……今はそっとしておけ。ちょっと転校生に妬いてるだけさ」

理樹「…………………」


ガヤガヤ

「へー!じゃあアヤちゃんって外国語話せるの!?」

沙耶「まあ英語はお父さんの仕事柄よく使ってたわ」

「すげえ!な、なんか話してみてよ!」

沙耶「なにかって言われてもね……Tha cake is a lie……とか?」

「「おおー……」」

「凄く英語っぽかったよ!流石アヤちゃん!」

沙耶「そ、そうかしら…?」

理樹(ちっくしょー)

理樹(ご覧の通り男子に四方八方の席を囲まれていた。いや、別に構わないけどさ。そりゃ転校生だからしょうがないけどさ。ただ、ほとんど初対面と言っていいのに下の名前で、それもちゃん付けって……僕には出来ないね。いや、別にいいけどさ)

西園「まったく…男の方は一度プライドを崩すとまるで獣のようですね」

理樹「そうだよ!まったくだ!もっと言ってやってよ西園さんっ」

西園「えっ?なんの話ですか?」

理樹「ん?」

理樹(どうも話が噛み合わないなと思っていたら…ははあ、なるほど本を読んでいた。西園さんの独り言だったのか)

西園「直枝さんも読んでみますか?読みやすいですよ」

理樹「なんていう本?」

西園「題名は『薔薇のように意地悪な幼馴染』です」

理樹(表紙は2人の男の人がお互いのことを見つめ合っている絵だった。嫌な予感がする)

理樹「あー……えっと…今はご飯食べてるしまた後でね!」

西園「そう言われると私も行儀が悪かったですね。それではまたの機会に」



「えーっ!でもアヤちゃん可愛いじゃーん!」

沙耶「あ、あはは…それは…ありがと」

理樹「~~~~!!」

理樹(た、田中君め!!)

理樹(おどけて言ってる風にしているんだろうけど僕には分かるぞ!あれは8割本気だ!あわよくば狙おうという魂胆のはずだっっ)

理樹(ふん。僕なんか沙耶に3回も狙われたんだからね。それに僕と沙耶は知り合いだったし。おまけに言うと僕らはパートナーであって、僕なんか沙耶って呼び捨てにしてるんだからな)

謙吾「うっ!お…お前、今凄い剣幕だぞ理樹っ」

「あっ、ねえねえ」

沙耶「なに?」

理樹(そうだ。ここはどんとさりげなく呼んでみんなに違いを見せつけなくちゃ…)

「アヤちゃんってなんか言い辛いから親しみを込めてアヤって呼んでいいかな?」

「おっ!いい提案だ田中!俺らも、もしアヤちゃんがよかったら……」

沙耶「え、ええーっと……い、いいけど…」

「「やったー!」」

理樹(ええぇぇええ!!)

理樹「沙耶!」

「「えっ?」」

沙耶「あっ、馬鹿っ…」

「おいおい、今アヤのことサヤって呼んだのか直枝?」

「ハハハッ、間違えんなよー!アヤが傷つくだろ~?」

沙耶「ま、まあ間違いは誰にでもあるし…」

理樹「あ…そ、そうだよね!ごめんアヤさん…ははは……」

理樹(忘れてた…2人きりの時はともかく沙耶の本当の名前はあっちなんだから他の人が聴いたら不自然に思われるな)

来ヶ谷「…それにしても君は最初に教室で会った時もそうだが彼女とは知り合いなのか?」

理樹(ぎくっ!)

理樹「ち、違うよ!全然そんなんじゃないってば!」

来ヶ谷「ふむ…そこまで言うなら信じるが…」

理樹(危ない危ない…さて、今度は冷静に会話を聴こう…)

「そういえばアヤの趣味ってなんなの?」

沙耶「そうね。ここに入る前は結構忙しかったからいつもコミックを読んでいたわ」

「俺も漫画大好きなんだよ!何読むの!?」

沙耶「革命学園スクレボ…ちょっと古い物なんだけど…」

「あーっ、俺それ知ってる!確かスパイが学園に隠された秘宝を探し出すっていう……」

沙耶「そう、それそれ!知ってるの!?」

「も、もちろん!」

理樹(坂本君は初めて食いついてくれた話題でつい離すまいと答えたようだが、それは間違いだった)

沙耶「あの第53話の主人公とライバルが共闘するシーン凄く燃えるわよね!あっ、そうそう、そこの『死の味見をしてみな』ってセリフは校長が実は父親だったというセリフの伏線になってたんだけど気付いてた?でもあれを語るのに外せないのはやっぱり銃の正確な描写よね!いつも半端な映画だと敵に構えてないのに指をトリガーに掛けてるけどそこはやっぱりスクレボ、本当に撃たない時以外はちゃんと指を伸ばしてるんだもの!」

「あー………ご、ごめん…ちょっとトイレ行ってくるわね…」

理樹(そう、沙耶のスクレボに対する愛情は世界一とも言っていい。なにせ小さい頃から今に至るまでずっと読んできたんだ。勉強する気で読まないと決して対抗出来ないだろう)

「それじゃあ、そろそろ帰るか…もう門限になっちゃうし」

「そうだなー」

真人「ぐふぅ……もう食えねえ…」

謙吾「お前は肉ばかりしか食べていないな…店員が呆れていたぞ」

鈴「謙吾は魚と肉だけいっぱい食べてたな」

謙吾「お、俺はバランス良く食べていたつもりだ…」

クド「わふー…ねむねむですぅ~」

「それにしても男子ったら結局アヤちゃんばっかり囲んでたわね…」

「う、うん…でも変わった子だったね。アヤちゃんって」

理樹(あのスクレボの一件でさっきよりも熱心に沙耶に近づく人は少なくなった。喜んでいいのか、哀れめばいいのか……本人は気付いていないようだけど)

駅前

理樹(帰る途中でも沙耶は相変わらずひっつき虫のように男子に囲まれていた。しかし、沙耶はあるものを見つけて歩みを止めた。僕が最初に気付いた)

沙耶「あっ……」

理樹「ん?……あ」

「どうしたのアヤさん?」

理樹(沙耶はゲームセンターの中にあるUFOキャッチーを見つめていた。そういえば2人で最後に遊んだ時もあれを………いや、なんだか思い出してはいけないような…)

「ひょっとしてゲームセンターに行きたいの?」

沙耶「あっ、ううん…ちょっと気になっただけ」

「きっと日本に帰ってきたばかりで珍しいんだろ。まだ時間に余裕はあるし…アヤ、少しやってみるかい?」

沙耶「い、いいの?」

理樹(なにが「かい?」なんだろう。紳士ぶった口調だけど下心丸見えなのがよく分かるね。そういうのは恭介や来ヶ谷さんのようにスマートな人間だからこそ許されるもので普通の人が使ったところでかえって不相応で滑稽な………)

真人「おい理樹、なんかみんなゲーセン入って行ってるぜ?行かなくていいのか?」

理樹「……ハッ!」

理樹(い、いま僕はなにを言っていたんだ……?なんだか今日の僕は色々とおかしいな…少し冷静にならないと)

ゲームセンター

パンッパンッ

沙耶「そこっ!」

機械『パーフェクトショット…!』

「す、凄え…なんて正確な射撃センスなんだ!リロードにも隙を見せず、相方の動きに合わせて牽制もこなす…まさに訓練を積んだ一流の兵士のようだ!」

理樹(UFOキャッチャーは最後のお楽しみということで

沙耶「ふふふっ…こういうのは小さい頃から得意だったの」

機械『YOU LOSE…』

「ああ、やられた!」

沙耶「あっ、ごめんなさい!カバー仕切れなかったわ!」

理樹(おっ、田中君がやられた!今だっ)

理樹「次、僕がやってもいいかな?」

沙耶「!」

「えっ?別にいいけどかなり進んだから結構敵強いぜ?」

理樹「大丈夫。僕もちょっと前に練習してたから」

「そうかい。じゃ、期待してるよ」

理樹(そう言いつつも僕の後ろに並ぶ田中君。律儀な事だ。君に番は巡ってこないけどね)

沙耶「理樹君…今日喋るの初めてなんじゃない?」

理樹(沙耶が他の人に聞こえないよう囁いた。転入してから最初の方はお互い不自然じゃないようあまり仲の良い仕草はしないことにしていたからだ)

理樹「沙耶が人気だから喋る間もなかっただけだよ」

沙耶「……そうね、ごめんなさい」

理樹「えっ、あ!いや、そんなつもりじゃ…!」

理樹(確かに少し当てつけっぽく言ったけど謝られるとは思わなかった)

沙耶「理樹君!」

理樹「!」

パンッ

機械『ヘッドショット…!』

理樹「あ、危なかった!」

沙耶「もう…頼むわよパートナー?」

理樹「わ、わかってるよっ」

ダダダダダッ

沙耶「リロードするわ!理樹君、左!」

理樹「分かってるっ」

パパパパッ

謙吾「凄いな…息がぴったりだ」

真人「ああ、理樹があんなにそういう才能があったなんてな!まったく水臭えぜ!」

ガヤガヤ


理樹(いつの間にか周りには人が集まってきていた。沙耶と2人でこうしていると冒険していた時の事を思い出すけど……ううん、やっぱり恥ずかしい)

機械『ラストステージ……』

沙耶「ふう…これで最後ね」

理樹「ちゃんと100円分は楽しんだかな」

理樹(画面には迫力のある巨大ゾンビが立ち塞がった)

沙耶「よぅし…行くわよ!」

理樹「うん!」

パンッ





理樹「…………………」

沙耶「あ、あはは……」

理樹(巨大ゾンビは倒し、2人の冒険家は無事恐怖の館から抜け出せた。抜け出せたはいいけど……)

「アヤちゃん凄い!ねえ、今の写真に撮っておきましょうよ!」

「まさかこの手のゲームでクリア場面を見る事になるとは!流石転校生、こりゃこれからの学園生活が楽しくなりそうだ!」

「おまけに美人だしな!」

「「はははははっ!」」

理樹「…………………」

理樹(その時、僕の肩を誰かが優しく叩いた)

来ヶ谷「今回の見せ場はアヤ君に譲ってやれ。真の男は功を焦るものじゃないよ」

理樹「いや、まあ…」

「「アヤ!アヤ!アヤ!」」

理樹(沙耶の人気がカルト的な域にまで達してしまった。僕は構わないけど沙耶がこのまま校内の人気者になってしまったらいずれは告白で迫る男達がたくさんやってきてそのうち沙耶はそのうちの誰かに返事を……)

理樹「いやいやいやいや、そ、そんなことないない!」

理樹「ない…………」

理樹(本当に、そう…言い切れるんだろうか……)

沙耶「あっ、そうだ。もうこんな時間だしUFOキャッチャーやってもいい?」

「もちろん!あっ、お金なら俺が…」

沙耶「いいわよ。自分のお金でゲットしてこそ獲物を捉えた時の達成感が味わえるんだから。……よっと」

理樹(そう言って元気よく100円玉を入れた。恐竜や猫など統一感のよく分からないぬいぐるみが無造作に並んである)

理樹「ううん…それにしても何か忘れてるような……」

すまん、明日終わらせる
お休み

チャリンッ

沙耶「よーし……そこっ」

理樹(巨大な二つの鉄の爪が綿で出来たターゲットに食い込む)

ウィンウィン…

沙耶「よしよし……」

理樹(それは逆さの状態で宙にあげられ、とうとう底なしの穴に落とされるというところで…)

ボトッ…

沙耶「あ………!」

理樹(逃げ切ってしまった)

「あーあ…おしかったな」

「そうね…でもUFOキャッチャーってだいたいそんな物だし、しょうがないといえばしょうがな…」

沙耶「あ…あ………」

「じゃあ今度こそ帰りますか」

沙耶「……ろで……んか…!」

「えっ?」

沙耶「こんなところで負けてたまるもんかぁーーっ!!」

理樹(沙耶が財布の小銭をUFOキャッチャーの台にあるだけ積み上げた。嫌な予感がする)

「ちょ、ちょっと待って!まだやる気っ!?」

ウィンウィン…ボトッ

沙耶「ッチ!もう一丁っ!!」

ウィンウィン…ガシッ…ボトッ

「あ、あの…そろそろ時間が…」

沙耶「まだまだ!」

ウィンウィン…ガシッ…ウィンウィン…ボトッ

理樹(今の沙耶は阿修羅をも凌ぐ存在だった。そうか、今やっと思い出した。沙耶はあの夜、結局自分の金が尽きるまで今のようなぬいぐるみを襲っていた。僕がなんか色々しても気付かないほどに!)

小毬「あ、あの~…そこまでにしておいたほうが……」

沙耶「フヘヘ…帰りの電車賃なんかに用はないわ…へへへ…門限も関係ない…へへへ…このぬいぐるみは絶対持ち帰ってやるんだから!!」

「なんなのこの人…」

「な、なんかアヤちゃんのイメージが……」

沙耶「アーハッハッハ!!面白いわ!精々そうやって足掻いてなさい!でも最後に笑うのはこの私よ!」

「か、変わってる……な」

「あっー!も、もうこんな時間だ!そろそろ俺は帰らせてもらうわ!」

謙吾「確かに悠長に構えている程の時間はないな。だが、どうする?この調子だとあいつは満足するまで…」

理樹「あー………」





……………………………………

…………………



ガコッ…

沙耶「いよっしゃ取ったぁああーーーっ!!」

理樹(とうとうぬいぐるみは敗れた。しかし、沙耶はその代償に色んなものを失ってしまった)

シーン

沙耶「あ、あれ?」

理樹(我に返った沙耶はやっと周りを気にした)

理樹「満足したかな」

沙耶「あ……う、うん…」

理樹(沙耶の顔がどんどん青ざめていくのが分かる。どうもこれからはあまりゲームセンターに近付かせない方がいいようだ)

沙耶「み、みんなは?」

理樹「今、何時だと思う?」

沙耶「………!」

理樹(既に時刻は8時を回っていた。今頃は用務員の人が門の鍵をしめているだろう)

理樹「女の子1人だけじゃ心配だからって僕だけ残ったんだ」

沙耶「えっと……じゃあそれまでみんなずっと私の暴走具合を見てたって訳…?」

理樹「多少はね」

沙耶「ふっ……ふふふ……」

沙耶「ええそうよ」

理樹「?」

沙耶「そりゃいくら私のためのパーティーだったとしてもその本人が他の全員ほっぽりだしてぬいぐるみ取るのに必死になってたら誰だって変な目で見て帰っちゃうわよ!どうせ私は一流のスパイ名乗ってたのにゲームに夢中で周りがなにしてるか分からないポンコツよ!あーとってもアホね、とてもアホアホよ。滑稽でしょう?ほら、笑えばいいわ!あーはっはっはって!」

沙耶「あーはっはっはっ!」

理樹「……っふ…はははっ!」

沙耶「あーーー!!ひどいわ理樹君!本当に笑った!」

理樹「はははっ…いやごめん。だってさ、なんか今日に来て初めて沙耶がいるって実感が湧いたから」

沙耶「なっ……ど、どういう意味!?」

理樹「やっぱり僕の知ってる沙耶はおっちょこちょいで、ピシッとしようとしてるのにボロを出すおてんばな女の子だからさ。無理やりお嬢さんって感じの雰囲気なんか出しててもらしくないよ」

沙耶「う……り、理樹君……」

理樹(と、彼女が突然肩を震わせた)

理樹「?」

沙耶「うわぁぁぁあん!!会いたかった…!!ずっとこんな日を待ってたんだから!」

理樹(沙耶が僕に抱きついてきた。前に見た夢の僕のように)

理樹「さ、沙耶…!」

帰り道

理樹「………………………………」

沙耶「………………………………」

理樹(帰りはほとんど話さなかった。今、特に話すことはない。話題はこれから作っていくんだ)

理樹「うーん……着いたけどやっぱり開いてないか」

沙耶「ごめんなさい。つい熱中して門限を超えるばかりか電車賃まで借りちゃって…」

理樹(僕は沙耶が胸に抱えている物を指して言った)

理樹「それはもういいよ。それより、そこまでして手に入れたんだからそれ大事にしてよ?」

沙耶「言われなくても!これは大事に部屋に飾っておくから」

理樹「それにしても……どうしようかな…学校に電話して事情説明する?」

沙耶「いや、それより良い方法があるわ」

理樹(そう言って彼女はヘアピンを取り出し、門の鍵穴の前でちょこちょこと数十秒格闘した。そして、そのあと心地良い音が2人の間に響いた)

カチャリ…

理樹「嘘っ!?」

沙耶「本当よ。銃は持てなくても知識だけは叩き込んであるんだから」

理樹(沙耶は扉を開き、僕に入るよう促した)

沙耶「まだまだ警報センサーは校内の色んな場所に張り巡らされているわ。私のせいで遅れちゃったんだから理樹君は私が責任をもってお届けする」

理樹「転校初日にしてはかなりハードなスケジュールだね」

沙耶「このくらい私くらいのエージェントにもなれば当然よ。パートナー、準備はいい?」

理樹「そういう事なら。伊達に君とタッグを組んでないよ」

沙耶「それじゃ…」

理樹(沙耶は満を持して決めゼリフを言った)


沙耶「ゲームスタート!」

おわり(∵)

またネタを思いついたらssを描くだけだ!
楽しみにしておいてくれ!

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