ハナ「ブルースター・ブルー」 (49)

ハナヤマタのSSです。

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なる「ねぇハナちゃん…… 相談したいことがあるの……」

ある日、なるから相談を受けました、その内容は……

なる「わ、わたし…… ヤヤちゃんのことが好きなの……」

ハナ「……? わたしもヤヤさんのことは大好きデスよ?」

なる「そ、そうじゃなくて…… わたし……『女の子』としてヤヤちゃんのことが好きみたいなの……」

ハナ「えっ……」

なるからの相談は恋愛相談、ヤヤさんに恋をしているというものでした

なる「い、いきなりこんなこと言われても困るよね……」

なる「でもね…… わたしやっぱりヤヤちゃんのこと好きみたいなの、ヤヤちゃんが下級生の子からラブレター貰うところ見てるのも凄く辛くて……」

なる「ヤヤちゃんが他の誰かに取られるなんて考えたくもなくて…… ヤヤちゃんにわたしだけを見て欲しくて……」

ハナ「な、なる……」

なるがどれだけ本気なのか、なるの流す涙がそれを物語ってるようでした

なる「うん…… いきなり泣いちゃってごめんね、こんな気持ち自分でもどうすればいいかわからないの……」

なる「やっぱり女の子が女の子好きになるなんて変だよね……」

大切な親友のなるが同じく大切な親友のヤヤさんに恋をしてる、それならわたしは……

ハナ「そんなこと無いデスよ! 何も悩むことありません!」

なる「え?」

ハナ「わたしの生まれたところだったら同性婚は認められていますし、それを変だって笑う人もほとんどいません」

ハナ「誰かを好きになることは悪いことなんかじゃないんデス、なるはヤヤさんのことが好き その気持ちを大事にしてください」

なる「ハナちゃん……」

ハナ「それに、ヤヤさんはきっとなるのことが好きデスよ?」

なる「えっ!? そ、そうなのかなぁ…… ?」

ハナ「誰がどう見ても二人は両想いデスよ、間違いないデス」

なる「で、でもヤヤちゃんあんなにかっこ良くて勉強も出来て…… わ、わたしのことなんて……」

うーん…… ヤヤさんがなるのこと大好きなのは肝心な本人に伝わってないみたいデスね……

ハナ「まぁでも、いきなり『好き』って伝えたらヤヤさんも混乱するでしょうし、少しタイミングを伺った方がいいと思います」

なる「そ、そっか、わかったよ!」

なる「うん、でもなんかハナちゃんに相談して気が楽になったかも」

ハナ「それは良かった、最近のなるは元気無かったデスからね~」

なる「えっ! そんな風に見えてたの!?」

ハナ「はい、時々空を見上げてため息ついていましたよ」

なる「うぅ~……」

なる「…… お話聞いてくれてありがとうね、ハナちゃん」

ハナ「大丈夫デス! わたしはなるの親友なんデスから!」

なる「うん…… ヤヤちゃんのことは『女の子』として大好きだけど、ハナちゃんのことは『親友』として大好きだよ!」

ハナ「…… なるー!」

また別の日、今度はヤヤさんから相談を受けました ……まぁだいたい内容は想像つくのデスけど

ヤヤ「ねぇハナ…… アンタだからこういうこと話せるんだけどさ…… 私、なるのことが好きみたい…… それも『女の子』として……」

やっぱり二人は相思相愛デスよね、まぁそのことをわたしの口から告げるのもブスイでしょうし、ここはわたしがうまく二人の恋のキューピッドにならなくては

ハナ「ヤヤさんがなるのことを好きなことなんて、それこそなる以外みんな知ってますよ」

ヤヤ「えっ? わ、私ってそんなわかりやすい態度してた!?」

本人は自覚無しなんデスね……

ハナ「ヤヤさんからなるに正面から告白すれば絶対大丈夫デスよ!」

ヤヤ「そ、そうかな……」

ハナ「はい! なるはヤヤさんのこと大好きデスから!」

ヤヤ「うん…… がんばる」

ヤヤ「なんかさ、今まで誰かから『好き』って言われても恋愛なんてよくわかんなかったし、女の子同士でそういうことするイメージもつかなかったけどさ」

ヤヤ「自分がそうなってみたら…… 苦しいね、なるのこと一人占めしたいって考えちゃって、やっぱりなるが他の誰かを頼りにしてるところ見たら嫉妬しちゃうし」

ハナ「ヤヤさん……」

ヤヤ「…… 聞いてくれてありがと、一人でこんな気持ち抱えてるの辛かったし、だけど軽々しく誰かに話せる内容でも無かったし」

ヤヤ「やっぱアンタって頼りになって、いい奴だよね!」

ハナ「おぉ……」

ヤヤ「なに?」

ハナ「ヤヤさんが素直に感謝するなんて珍しい…… 明日は雪デスかね……」

ヤヤ「はぁ!? せっかく少しは見直したのにそういうこと言うのほんともう……」

ハナ「ふふっ、それでこそいつものヤヤさんデス!」

ヤヤ「…… なんか納得いかないんだけど」

ヤヤ「ま、聞いてくれてありがと、なるは『恋愛』として好きだけど、アンタのことは『友達』として好き…… かな」

ハナ「や、ヤヤさ~ん!」

ヤヤ「引っ付くな!」

さて、謀らずもわたしは二人の恋心を知ってしまったわけデスが、知ったからにはわたしがすることはただ一つ、二人の恋を応援します!

なるもヤヤさんもきっと周りが見守るだけじゃずーっとこのまま、友達同士で終わってしまいます

だからこそわたしが恋のキューピッドとして二人をくっつけさせなきゃいけないんデス!

それこそ知ってしまった者のサダメ…… 陰ながら世のため人のため働くのカッコイイデス!

ハナ「なるー! ヤヤさーん! 今度の土曜日遊びに行きましょー!」

なる「土曜日? いいよ」

ヤヤ「私たちだけ? いつものアンタのノリだったら『よさこい部全員で遊びに行きましょう』とか言い出しそうなもんだけど」

ハナ「それは…… や、やっぱりたまには二年生だけで遊びに行くのもいいかな~ と……」

ヤヤ「ふ~ん まぁいいけど、どこ行くの?」

ハナ「それはデスね~」

わたしが提案したのは年ごろの女の子なら誰もが楽しめるようなデートプラン

なるはわかりやすく目を輝かせ、ヤヤさんも平静を保ってるつもりでしょうけどそわそわしています

ハナ「どうデスか?」

ヤヤ「ま、まぁいいんじゃない?」

なる「うん、今度の土曜日が楽しみだね!」

そしてやってきた土曜日、待ち合わせ場所に3人で集まっていざ出発 ……といきたいところデスけど

ハナ「あっ! パパから連絡が…… OMG!?」

なる「ど、どうしたの ハナちゃん?」

ハナ「ごめんなさい! 急用ができちゃって…… 今日は二人で楽しんでください!」

ヤヤ「えっ、ちょっ…… 理由ぐらい言いなさいよ!」

ハナ「急用なんデス~」

そう言ってわたしは去り際にヤヤさんへ視線を送ります、ヤヤさんは頭がいいからこれでわかりますよね?

ヤヤさん、ご武運を祈ります

なる、お幸せに!

なる「い、行っちゃったね……」

ヤヤ「あいつ…… まったく……」

なる「こ、これからどうしよっか…… ?」

ヤヤ「ハナの言うとおり今日は二人でいこ?」

なる「あ、うん……」

ヤヤ「…… ありがと、ハナ」

なる「え? 何か言った」

ヤヤ「ううん、今度ハナに会ったら言いたいことがあるってだけ」

その日の夜、わたしの携帯にはヤヤさんからのメッセージ『ばーか』の一言が届きました

うん、きっと上手くいった…… そうデスよね?

なるはヤヤさんのこと大好きだし、ヤヤさんもなるのことが大好き、だから二人は幸せに決まってます

わたしの大切な親友二人が付き合うなんてこんな幸せなことあるわけ無い、わたしだってとっても幸せ者デス

幸せ…… だけど……

何でしょうねこの気持ちは? わかんないデス……

わたしはヤヤさんからのメッセージを返さずに眠りにつきました

一旦休止します。11:30頃から再開します。

次の月曜日


なる「ハナちゃん、元気無かったね……」

帰り道、今日のハナちゃんの様子を思い出してわたしはヤヤちゃんに語りかけました

いつもは3人で歩く帰り道、でも今日はふたりきり

ヤヤちゃんとふたりなんていつもならドキドキして仕方ないはずなのに、ハナちゃんのことが気になって気になって……

こんな気持ちになっちゃうのは今日、ハナちゃんの元気な声を聞けてないから

事情を聞こうとハナちゃんに話しかけようとしてもかわされちゃって…… 避けられてるのかな…… ?

なる「わたし…… ハナちゃんに嫌われちゃったのかな……」

ヤヤ「そんなわけ…… ない、アイツが理由も無く私たちを避けたりなんかきっとしない、何か理由があるんでしょ……」

なる「理由……」

ヤヤ「アイツが私たちを避けてるのってやっぱり今朝のことがきっかけ…… なのかな」

今朝、わたし達のことをハナちゃんに伝えたあの時

そこからわたし達の関係性は変わってしまったのでしょうか?

なる「ね、ねぇハナちゃん、ちょっといいかな」

ヤヤ「アンタに言いたいことがあるんだけど」

ハナ「なんデスか?」

なる「わ、わたし達ね…… 付き合うことになったんだ」

ヤヤ「まぁ相談とか乗ってもらったし、アンタが気を効かせてくれたからってのもあるから、報告しなきゃってね」

ハナ「ほんとデスか!? おめでとうございます!」

ヤヤ「て言うかああいうこといきなりやられても困るんだけど、ほんと強引なんだから」

なる「『ああいうこと』って?」

ヤヤ「ほら、土曜日にハナがいきなり帰ったでしょ? あれって私たちを二人でデートさせる作戦だったのよ」

なる「そ、そうだったの!?」

ヤヤ「まぁ…… そのお陰で私も告白する決心がついたわけだけどさ……」

なる「あ、そう言えばヤヤちゃんもハナちゃんに相談乗ってもらってたんだね」

ヤヤ「なるもなの!? はぁ…… なんか両想いだったことと言い、凄く回り道してた気分」

なる「ふふっ、でもわたし ヤヤちゃんの彼女になれて幸せだよ」

ヤヤ「そんなの…… 私だって……」

なる「ヤヤちゃん……」

ヤヤ「なる……」

なる「あっ!? な、なんか変な感じになっちゃったね!」

ヤヤ「そ、そうね…… て言うかハナどうしたの? さっきから黙りっぱなしで」

ハナ「えっ、いえ! なんでもないデスよ!」

ヤヤ「ふーん、いつもうるさいアンタが黙ってるの珍しいなーって思ったんだけど」

なる「もうヤヤちゃんってば」

ヤヤ「ごめんごめん」

ハナ「あ、えと…… わたしお手洗い行ってきますね!」

ヤヤ「あ、ちょっと! もうすぐHR始まるわよ!」


思い返してみればあの時、わたしはヤヤちゃんのことばかり見ていてハナちゃんがどういう顔でわたし達の話を聞いていたかまったく覚えていませんでした

わたし達が付き合うって聞いてハナちゃんは嬉しかったのでしょうか? 寂しかったのでしょうか? それとも…… ?

屋上


わ子「それじゃあ、今日の練習はここまでにしましょうか」

練習が終わり、反省タイムになります

わ子「えっと…… ハナ先輩」

ハナ「は、はい!」

ハナちゃんの今日の不調は隣で踊っていたわたしでもわかるくらいのものでした

わ子「どこから話しましょうか……」

ラン「いつもの元気さはどこ行ったの!? 元気だけが取り柄みたいなもんなのに!」

ハナ「えっ!?」

わ子「集中も欠けていて、なんていうか…… 心ここに在らずって感じでした」

タミ「何かあった、ハナちゃん? わたし達に話せることなら話して?」

ハナ「あ…… えっと……」

ハナ「お昼ご飯食べ過ぎちゃって…… 少し眠かったんデスよ…… ははは」

ラン「はぁ!? ちょっとそんなことで

わ子「ラン」

ハナ「ご、ごめんなさい! 今日はすぐに帰って体を休めますね! ま、また明日!」

なる「……」

マチ「ねぇ、なるちゃん、ヤヤちゃん 二人はハナちゃんについて何か知ってるの?」

なる「えっと……」

ヤヤ「…… 私たちにもわからないんです、なんかアイツいきなり私たちのことも避け始めて」

タミ「ふーん、そっかぁ…… 二人にもわからないのかぁ……」

ヤヤ「……」

ラン「えっ! ていうかハナ先輩って悩みとか抱えたりするタイプなの?」

わ子「ちょっとラン!」

タミ「うーん、多分普段はそんなこと無いと思うけど…… それだけハナちゃんが今抱えてる悩み事がおっきいんじゃないかな、親友のなるちゃんとヤヤちゃんに話せないほどの」

マチ「まぁ、私たちって意地っ張りの集まりみたいなところがあるし、ハナちゃんだってそうそう人に悩みとか話せないんでしょ」

ラン「むー…… 今さらラン達に遠慮なんてする必要無いのに……」

タミ「寧ろわたし達にだからこそ話せないことなのかもしれないね」

ラン「?」

マチ「まぁとにかく私たちは様子を見ましょ、もしかしたらほんとに小さなことで悩んでいるのかもしれないし」

マチ「ね? なるちゃん、ヤヤちゃん」

なる「は、はい」

ヤヤ「……」

ヤヤ「……」

なる「……」

ヤヤちゃんとの帰り道、でも頭に思い浮かぶのはハナちゃんのことばっかり、きっとそれはヤヤちゃんも同じ

なる「ハナちゃん何を悩んでいるのかな…… わたし達に言えないことなのかな……」

なる「マチさんは様子を見た方がいいって言ってたけどやっぱりわたしこのままじゃ嫌だよ……」

ヤヤ「うん私もそう思うし、マチさんもこのままでいいなんて思ってないんじゃないかな」

なる「えっ?」

ヤヤ「きっとこの問題は私たち3人の問題で私たちだけで解決するべきだ、ってマチさんはそう言いたかったんだと思う」

なる「私たち3人の…… ?」

ヤヤ「それでさ、こういう問題ってハナに直接聞くしか無いと思うんだ」

ヤヤ「誰だって人に触れて欲しくないプライベートな問題だってある、だけど私たちはそれに土足で入り込むようなことを今までしてきたじゃない?」

ヤヤ「それが正しいことかはわかんないけど、少なくとも私たちはそうしてきたんだ だから今回もきっとそうするべきだと思う」

ヤヤ「て言うかそういうことを率先してやってきたアイツに今さら拒否権とか無いんだけどね!」

なる「ヤヤちゃん……」

ヤヤ「明日はアイツを縛り上げてでも話を聞きましょ!」

なる「うんっ!」

次の日、わたし達二人はひたすらハナちゃんに付きまとって、声をかけ続けました

なる「ハナちゃん!」

ハナ「な、なる……」

ヤヤ「なんで私たちのこと避けるわけ?」

ハナ「そ、それは……」

ハナ「……」

ハナ「言えないデス!」

なる「っ……」

ヤヤ「……」

お昼の時間もハナちゃんはすぐに教室から抜け出してどこかへ去ってしまいました

なる「ま、待って!」

ヤヤ「追うわよ!」

なる「…… あのさ」

ヤヤ「うん、これ私の時と同じだね」

ヤヤ「あの時、さんざん拒否してるのにいつまでも追いかけ続けてきて、心底空気読めないって思ったし、ウザいって思ってたけど……」

ヤヤ「ちょっと嬉しかった」

なる「ヤヤちゃん……」

ヤヤ「だから…… 逃がしたりしないわよ!」

結局、お昼の時間にハナちゃんを問いただすことは出来ませんでしたが、わたし達は諦めたりはしませんでした

なる「ハナちゃん!」

ハナ「ひ、一人にさせてください!」

ヤヤ「待ちなさいよ!」

ハナ「きょ、今日はよさこい部休むって皆さんに伝えておいてください!」

ヤヤ「部長のアンタが休んでどうすんのよ! 待てー!」

ハナちゃん、わたし達ハナちゃんのことが心配で ハナちゃんの力になってあげたいんだよ?

ハナちゃんにもそれはわかるでしょ…… ?

サリーちゃん「あれ? 今日は4人しか居ないの?」

マチ「そうだから部活はお休み、姉さんは帰っていいわよ」

サリーちゃん「むっ、何よその言い方」

マチ「今から中学生だけの思春期トークをするから姉さんは参加しなくて大丈夫」

サリーちゃん「ふーん…… ま、よろしくねマチちゃん」


わ子「えっと…… ほんとに今日はどうするんですか? 3人居ないと流石に練習は……」

タミ「ふふふ、今日は練習はお休みでお姉さん達が大人な話を

マチ「タミ」

タミ「は~い」

ラン「ていうかハナ先輩が休むのはわかるけど、なんで他の二人まで休んでるの?」

マチ「まぁ、今ごろ3人はお得意の追いかけっこでもしてるんじゃないかしら」

ラン「え? でも昨日は様子を見るって……」

マチ「お節介集団の私たちにそんなこと出来るわけないじゃない、私だって出来るならハナちゃんの悩みを解決してあげたいわよ」

マチ「だけど今度の問題はあの3人の中で解決させるべき、そう思ったから必死でこのお節介お嬢様を止めたの」

タミ「お節介お嬢様なんて酷いよ~」

ラン「え? 二人はハナ先輩の悩みがなんだかわかってるの?」

マチ「まぁ大体はね」

ラン「教えてくださいよ!」

マチ「ん…… これは私たちの口からは言えないわね」

タミ「二人がもっと大人になれば、きっとわかるよ」

ラン「?」

わ子「……」

マチ「ま、あの3人ならきっと大丈夫でしょ」

タミ「なるちゃんもヤヤちゃんもハナちゃんもみんな親友、だもんね」

なる「も、もう逃がさないからね…… ハナちゃん!」

ヤヤ「それじゃ、詳しく話を聞かせてもらおうかしら?」

ハナ「うぅ……」

放課後、下校した後もわたしたちの鬼ごっこは続きました

しかし、最終的にはハナちゃんがお得意のフリーランニングを始めたところでおまわりさんに見つかってしまい

注意されたハナちゃんは渋々わたし達のところへ降りてきてくれた、という次第です

なる「ハナちゃん何か隠してることあるんだよね? それってどうしてもわたし達に言えないことなの?」

ハナ「…… はい」

なる「それは…… わたしとヤヤちゃんとのこと?」

ハナ「……」

なる「もしかして、ハナちゃんはわたしとヤヤちゃんが付き合うの、嫌だった…… ?」

ヤヤ「……」

ハナ「そ、そんなことないデス! わたしにとって二人は大切な親友だから……」

いつまでも煮え切らないハナちゃんの態度に対してわたしはずっと考えていた『切り札』を切ります

なる「もし…… ハナちゃんの悩みがわたしとヤヤちゃんについてのことなら…… わたしとヤヤちゃんが付き合うことでわたし達の関係が変わっちゃうなら……」

なる「わたし…… わたしヤヤちゃんと別れる!」

ハナ「!?」

わたしの『切り札』に対してハナちゃんはもちろんヤヤちゃんもとても驚いているようです、もちろん相談なんてしてません

ハナ「だ、だめデスよ…… せ、せっかくお互いの気持ちに気付けたのに……」

なる「だ、だったら話して…… わたしは本気だよ……」

ハナ「……」

ヤヤ「まぁ、ちょっと驚いたけど私もそれに賛成」

ハナ「ヤヤさん!?」

ヤヤ「私となるのことでアンタが思うことあるなら私はそれを見過ごせない、もし原因が私たちにあるなら元に戻すしかないかもね」

なる「ハナちゃん!」

ハナ「…… わかりました、話します」

ハナ「でも、わたしにもよくわからないんデス……」

ハナ「二人に相談された時、これはわたしが頑張って親友二人を幸せにしなくちゃって思って」

ハナ「親友二人の幸せがわたしの幸せ、それは間違いないんデス、ヤヤさんが上手く告白できたかなって考えてるだけでドキドキして」

ハナ「だけど、なるとヤヤさんが二人で仲良さそうに話してるところを見てたら…… わたしは邪魔なんじゃないかって」

ハナ「寂しい気持ちはあったけど嬉しい気持ちもあって、わたし一人じゃこの気持ちを整理できないけど、二人に相談したらきっと迷惑になるって思って……」

なる「……」

これがハナちゃんの気持ち…… でもそれは……

ヤヤ「ばーか」

ハナ「いたっ」

ヤヤ「アンタはバカなんだからそんなめんどくさいこと考えなくていいのよ」

なる「や、ヤヤちゃん!」

ハナ「ひ、ひどいデス!」

ヤヤ「普段からうるさくて空気読めなくて急に変なことしたりして、私たちに迷惑かけてばっかりなのに今さら迷惑かけたくないなんて言わせないから!」

ヤヤ「私たちはアンタに相談して情けない姿見せたのに自分だけ逃げるなんて許さないんだからね!」

ヤヤ「達観して大人ぶって強がって、そういうのが一番カッコ悪くてダサいのよ!」

ハナ「うぅ……」

なる「ハナちゃんは優しいんだよね、だからわたし達のためにってずっと働いてくれたんだよね?」

なる「ハナちゃん、ありがとう」

ハナ「なる……」

ヤヤ「私となるの関係がどう変わったってなるとアンタが親友なことは変わらないし私とだって同じ、そうでしょ?」

ハナ「ヤヤさん……」

なる「わたし達、一生親友だよ」

ハナ「うぅ……」

ハナ「わーん!」

なる「ハナちゃん…… よしよし」

ヤヤ「ふふっ、こうしてるとほんとハナって見た目通り子どもね」

なる「そうだね、ハナちゃんはわたし達の子どもみたいだよね!」

ハナ「えっ?」

ヤヤ「えっ!? ちょっと!」

なる「へ? わたし何か変なこと言った!?」


おしまい

というわけで本日5/2はハナ・N・フォンテーンスタンドの誕生日デス!おめでとうハナちゃん!
読んでくれた方ありがとうございました。

ネズミ荘


イノ「ロコ先輩の誕生日プレゼント…… 何にしよう……」

そう、今日は同じフルーツタルトのメンバーで、とっても可愛いロコ先輩のえっと…… 何歳かわからないですけど誕生日です!

しかし、直前までわたし以外のみんなは誕生日のことを忘れていたため、ニナちゃんに上手く学校から帰る時間を稼いでもらい、はゆちゃんとへもちゃんと一緒にプレゼントを考えているわけですが……

へも「ロコ先輩が欲しいものって何でしょうか……」

イノ「まぁ多分……」

はゆ「『身長』じゃないかな……」

へも「それは流石にプレゼントするの難しそうですね……」

イノ「あとは…… やっぱり年ごろの女の子ですしちょっとしたアクセサリーとか」

はゆ「日々の生活にも困ってるはゆ達にそんなお金があるわけ……」

イノ「そうですよね……」

へも「じゃ、じゃあ何か心のこもった手作りのものを……」

はゆ「……」

へも「時間無いですね……」

はゆ「そもそも時間もお金もかけないでプレゼントって考えが間違ってると思うんだけど」

イノ「……」

へも「……」

はゆ「うん…… 同居して結構経つのに誕生日覚えてなかったはゆ達が悪いよね……」

へも「こ、このままじゃロコ先輩が帰ってきちゃいます~」

イノ「そうだ! まずは自分が欲しいものからプレゼントを考えていくってのはどうでしょうか?」

へも「な、なるほど!」

はゆ(なんかオチが読めるな……)

イノ「わたしが欲しいもの……」


イノ『ロコ先輩? 体にリボンなんて巻いてどうしたんですか?』

ロコ『ぷ、プレゼントだ』

イノ『プレゼント?』

ロコ『そう…… プレゼントは私……』

ロコ『きょ、今日は私のこと好きにしていいからな……』

イノ『ほ、本当ですか!』

イノ「そうだ! プレゼントはわたし自身って」

はゆ「却下」

イノ「いい案だと思ったのに……」

へも(イノ先輩がプレゼント……)

イノ「で、でも他にプレゼントなんて無いし…… やっぱりここは体を張るべき」

はゆ「体を張るの意味がちがーう!」

イノ「じゃあはゆちゃんが欲しいものって何ですか?」

はゆ「はゆの欲しいもの……」

はゆ(そう言われると困るな……)

はゆ(もしイノっちがプレゼントだったら……)


イノ『はゆちゃーん!』

はゆ「いやいやいや! やっぱりありえないから!」

イノ「?」

へも「あ、あのー」

イノ「何ですか?」

へも「わたし、イノ先輩の案 いいと思うんです」

はゆ「はぁ?」

へも「正直わたし知らない人と一緒に住むってすごく不安だったんです」

へも「だけど皆さんとってもいい人で、すぐに楽しくなったって言うか……」

へも「ここで暮らす皆さんとの生活が一番のプレゼントだと思うんですけど…… ダメですか…… ?」

はゆ「……」

イノ「い、いいよそれ!」

へも「はいっ」

イノ「へもちゃんとっても素敵です! わたし感動しちゃいました!」

はゆ「何か上手いこと乗せられたって感じがする……」

ロコ「…… なんで今日はこんなに寄り道してるんだ?」

ニナ「えっと……」

ロコ「怪しい……」

ロコ(一つ、思い当たることがあるとするなら……)

ロコ(まぁこいつらがそんな気をきかせてくれるとも思えない…… けどもしかしたら……)

ロコ(取り敢えずここはニナに乗ってやるか)

ロコ「で、次はどこに行くんだ?」

ニナ「え?」

ロコ「よ、寄り道もたまには悪くないって思っただけだ」

ニナ「あ、ちょっと待って…… あ、うん! もう帰ろう!」

ロコ「え? いいのか?」

ニナ「もう大丈夫みたい!」

ロコ(…… 隠す気あるのか?)

ニナ「ただいま~」

ロコ「…… ただいま」

イノ「お帰りなさい! ロコ先輩!」

へも「そして」

はゆ「誕生日おめでとう!」

ロコ「…… ありがとう」

イノ「えぇ! サプライズなのに驚いて無い!?」

ロコ「ニナが分かりやすすぎるんだよ! サプライズするならもっと頑張って!」

ニナ「うぅ…… 頑張ったのに……」

はゆ「まぁ祝おうって考えたのも今朝だったからね、グダグダになるのも仕方ないか……」

ロコ「はっ? わ、私の誕生日のことみんな忘れてたのか……」

イノ「あっ…… ロコ先輩落ち込んじゃった!」

ニナ「ぷ、プレゼントとかあるんじゃないかな?」

へも「そ、そうでしたね!」

ロコ「プレゼントあるのか!? 今朝誕生日だってこと思い出したのに!?」

イノ「それがあるんです! きっとロコ先輩とっても喜びますよ!」

ロコ「え…… どうせ大したことない物だろ?」

イノ「違います! すっごく素敵だから楽しみにしててください!」

ロコ「き、期待していいのか…… ?」

はゆ(え、イノっちハードル上げすぎ)

イノ「準備してくるからここで待っててください」

ロコ「4人がかりで準備するものなのか……」

ロコ「や、やたら準備に時間がかかってるな……」

ロコ「……」

ロコ「わくわく……」

イノ「準備出来ました! ドアを開けてください!」

ロコ「あ、あぁ……」

ロコ「……」

ロコ(なんで4人全員体にリボン巻いてるんだ? ニナは上手く巻けてないし)

ロコ(…… まさか『プレゼントはわたし達です!』なんて言う気じゃ)

イノ「プレゼントはわたし達です!」

ロコ「ほ、ほんとに言った……」

へも「よ、喜んでない…… ?」

イノ「そ、そんな……」

はゆ「いや二人とも本気で上手くいくと思ってたの?」

ニナ「な、なんかリボンが変なとこに絡まって……」

ロコ「あぁもう、私がほどくからじっとしてろ」

ニナ「あ、ありがとう……」

イノ「ろ、ロコ先輩! これには意味があってわたし達と暮らす普段の日常が一番の幸せで、後はいつも感じてる感謝のメッセージを伝えたくて」

ロコ「あぁ! もうそういう恥ずかしいのいいから!」

ロコ「…… なんだかんだ誕生日祝ってもらうの結構久しぶりだったし、そういうのやってくれるお前たちのことも…… 感謝してる」

イノ「あ…… ほ、ほんとですか……」

ロコ「って、何で祝われる側の私がこんなこと言ってるんだ!」

イノ「えへへ、それじゃお誕生日の歌みんなで歌いますね」

ロコ「やめろやめろ! そんな子どもっぽいこと!」

その日の夜


イノ「ロコ先輩」

ロコ「ん、なんだ?」

イノ「これ、受け取ってください」

ロコ「ん…… メッセージカードと……」

イノ「飴です、手作りの」

ロコ「え? これ今日いきなり用意した訳じゃないよな…… なんでさっき出さなかったんだ?」

イノ「あ、さっきのは同じグループの仲間としてのプレゼントで、これはずっと昔からの、ロコ先輩のいちファンとしてのわたしからのプレゼントです」

ロコ「イノ……」

イノ「テレビで見てたあの憧れの芸能人と同居してるって昔のわたしに教えたらきっと驚くだろうなぁ……」

イノ「テレビで見てる時は『可愛いのはテレビの中だけの幻』なんて言う人もいたけど、本物はテレビで見た以上に可愛くて、魅力的で……」

イノ「わたしロコ先輩と出会えて良かった! 生まれてきてありがとうございます!」

ロコ「……」

イノ「えっと…… わたし何か変なこと言いました…… ?」

ロコ「あのさ、イノってそういうことよく真顔で言えるよね」

イノ「?」

ロコ「…… ありがと」

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