虎「オレ……詩人になるわ」 (19)

虎「オレ……詩人になるわ」

ライオン「……は?」

虎「おっと、詩人じゃなくて詩虎か」

ライオン「んな細かいことはどうでもいいけど、なんでまた急に?」

虎「オレさ……ようやく自分の才能に気づいちゃったんだよね」

虎「オレには詩の才能があるって! 自分でも恐ろしくなるほどの!」

ライオン「はぁ……」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1460634801

ライオン「詩人になるってことは、もういくつか詩を作ったのか?」

虎「ああ、これからこの山を下りて、人間たちの出版社に持ち込みに行くところだ」

ライオン「ふうん……ちょっと見せてもらってもいいか?」

虎「いいとも」スッ


ぼくはタイガー



ぼくはタイガー 鯛が好き

ぼくはタイガー ガタイがいい

ぼくはタイガー 阪神ファン


トラ・トラ・トラ



トラ・トラ・トラって知ってるかい

トラが三頭でトラ・トラ・トラ

四頭いてもトラ・トラ・トラ


タイガー魔法瓶



タイガー魔法瓶ってすごいんだぞ

お湯をいつまでも温めてくれるんだぞ

いつでもカップラーメンを食べられるってことなんだぞ

ライオン「……」

虎「どうだ? すごいだろ?」

ライオン「あ、ああ(こんなもんを持ち込みに行こうっていう、お前の度胸がね)」

虎「じゃ、行ってくるぜ!」スタタタッ

虎の詩集は――大ヒットした。





なぜ流行ったかは分からないが、流行ってしまったものは仕方ない。

数々の評論家がもっともらしく流行った理由を分析したが、どれも当たってるような当たっていないような、

そんな感じであった。





一つだけ言えることは、虎は大成功を収めたということである。

男「よっ、久しぶりだな」ザッ

ライオン「……? どなたですか?」

男「オレだよオレ、虎だよ」

ライオン「えええええ!? な、なんで人間になってるんだ!?」

男「詩集が売れに売れて調子こいてたら、いつの間にか人間になっちまったんだ」

ライオン「お前が成功したって話は風の噂で聞いてたけど、まさか人間になっちまうとはなぁ」

男「ああ、自分でもビックリだぜ」

男「今はオレ、李徴ってペンネームを名乗って本格的に詩人やってんだ」

ライオン「なんで李徴? お前、ロシア生まれのシベリアトラだったろ?」

男「なんとなく、ビビビッときてね」

ライオン「それはともかく、うまくやってるようでなによりだ。なにか秘訣でもあるのか?」

男「成功の秘訣は……そうだな」

男「とにかく自分に自信を持ちまくることと、恥ずかしがるごとをむしろ恐れるってところかな」

ライオン(……尊大な自尊心と臆病な羞恥心のおかげ……ってとこか)






― 終 ―

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom