囚人「囚人のジレンマってやつか……面白いッ!」 (56)

取調室――

看守「しぶとい奴め……余罪があるのは分かっているんだ! いい加減自白したらどうだ!」

囚人「だれが吐くか!」

看守「仕方あるまい……ならば取引をせんか?」

囚人「取引?」

看守「そうだ、応じ方次第ではお前は今日にでも釈放になる」

囚人「……話してみろ」

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看守「先に、この取引は共犯者であるお前の恋人にも同時に持ちかけている、と前置きしておく」

囚人「……」

看守「まず、もしお前が今すぐ自白をして、恋人が黙秘を続ければ……」

看守「お前は今すぐ釈放となり、恋人は懲役10年となる」

看守「逆にお前が黙秘を続け、恋人が自白をすれば、お前は懲役10年の刑となり、恋人は釈放だ」

看守「両方とも黙秘を貫ければ両方懲役2年、両方とも自白をすれば両方懲役5年」

看守「さぁ……どうする?」

囚人「囚人のジレンマってやつか……面白いッ!」

看守「自白するか、黙秘するか……心は決まったか?」

囚人「答え? そんなもの決まってる!」





囚人「お前を倒して、恋人も助けて――ここを出るッ!」





看守「すばらしい答えだ」パチパチパチ…

看守「しかし、この私をそう簡単に倒せると思うなよ?」

看守「はあっ!」シュッ

バキィッ!

囚人「ぐっ!?」ミシッ…



看守のハイキック。防御に使った囚人の右腕に鈍い痛みが走る。



囚人(こいつ……できる!)ビリビリ…

看守「上段! 中段! 下段! この変幻自在の蹴り技、いつまでかわせるかな!?」ビュババババッ

囚人「ぐっ……!」バシッバシッ

看守(ほう……ほざくだけのことはある。カンガルー直伝の私の蹴りをよくさばいている)

看守(だが、私の本当の得意技は――右ストレート!)

看守(蹴りに気を取られ、私の足ばかりを気にするようになったその顎を、打ち抜くッ!)

看守「もらったァ!」ボッ

囚人「ぬんっ!」ガシッ

看守(右ストレートを掴まれた! まさか読んでたというのか!?)

囚人「だりゃあっ!」ブオンッ



ドシィン……



看守「ぐ……は……っ!」



見事な一本背負いが決まった。

看守「よくぞ私を倒した……。君なら恋人も救い出せるだろう」

囚人「……」

看守「だが、恋人と再会したのも束の間、君はすぐさま思い知ることになるだろう」

看守「この刑務所の“真の恐怖”を……!」

囚人「いかなる困難が待ち構えていようと、俺は必ず脱獄してみせる!」

看守「ふ、ふふ……その意気込みが虚勢でないことを願っているぞ」

ドゴォッ!

看守B「ぐぎゃあっ!」ドサッ…



囚人「さぁ、脱獄しよう!」

女「あなたなら必ず来てくれるって信じてたわ!」

囚人「出口はこっちだ! 走るぞ!」タタタッ

女「うんっ!」タタタッ

囚人(刑務所の“真の恐怖”か……。いったいなにが待ち構えているんだ……!?)タタタッ

刑務所の会議室――



猫「今、大変残念な報せが入った」ゴゴゴゴゴ…

猫「あの囚人が第1ステージ“囚人のジレンマ”を突破したというのだ」

犬「なんだってぇ!? あの看守がやられたってのかよ!」

猫「諸君、至急配置につけ!」

猫「この刑務所の副所長“シュレーディンガーの猫”の名(にゃ)にかけて、あの囚人を脱獄させるわけにはいかん!」

猫「にゃんとしても捕えろ! 無理なら始末してもかまわん!」



「ははーっ!」

――

――

囚人「ハァ、ハァ、ハァ……」タッタッタ…

女「ハァ、ハァ、ハァ……」タッタッタ…

女「妙な部屋があるわね……」

囚人「なんだ……この部屋は!?」



アキレス「待っていたよ、ミスター囚人」

亀「ここはワシらが相手したるでぇ」





第2ステージ【アキレスと亀】

囚人「邪魔する気か? だったら倒して進むまでだ!」シュッ

アキレス「フッ」サッ

囚人「このおおっ!」シュシュッ

アキレス「無駄だ」ササッ



囚人はパンチを連打するが、かすりもしない。



囚人「なぜだ……!? なぜなんだ!? なんで俺のパンチが当たらないんだ!?」

アキレス「フッ、知りたければ教えてやろう」

アキレス「君のパンチがある距離を進む間、当然私もよけるためにある距離を進むことになる」

アキレス「私が動き続けている以上、君のパンチは私に追いつけない……つまり当たらないのだよ!」

囚人「!」ガーン

囚人「俺のパンチは……アキレスには届かないというのか……!」

アキレス「勝ち目がないのが分かっただろう? 諦めて、とっとと牢屋へ戻りたまえ」

囚人「いや――」

アキレス「む?」

囚人「だったら、届くまで殴るまでだッ!」

アキレス「なにっ!」

囚人「うおおおおおおおおっ!」ブンブンブンッ

アキレス(こいつ……! あれだけ私がパンチをかわしたのに、まるで諦めていない!)

囚人「だりゃあ!」ブオンッ



バキィッ!



アキレス「ぐはぁっ!」ドサッ…



女「やったわ!」

亀(なんて奴や! 届かない分を、手数と気迫で埋めよったわ!)

アキレス「ぐうっ……!」ヨロッ…

亀「アキやん、ワシらの負けや……。あの囚人の実力はホンモノやで……」

アキレス「亀やん……」

亀「さ、ここはいさぎよく負けを認めて、また追いかけっこしようや」

アキレス「そうだな……亀やん」

アキレス「ミスター囚人、私の負けだ。ここを通るがいい」



囚人「……ありがとう!」

女「やったわね!」

――

――

囚人「またおかしな部屋にたどり着いたぞ……」

女「なんだか奇妙な奴がいるわよ!」

囚人「次の相手はお前か!」



ゲシュタルト「貴様という存在を“崩壊”させてくれよう。ゆくぞッ!」





第3ステージ【ゲシュタルト崩壊】

囚人囚人囚人囚人囚人囚人囚人囚人囚人囚人囚人囚人囚人囚人囚人囚人囚人囚人囚人囚人
囚人囚人囚人囚人囚人囚人囚人囚人囚人囚人囚人囚人囚人囚人囚人囚人囚人囚人囚人囚人
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囚人囚人囚人囚人囚人囚人囚人囚人囚人囚人囚人囚人囚人囚人囚人囚人囚人囚人囚人囚人
囚人囚人囚人囚人囚人囚人囚人囚人囚人囚人囚人囚人囚人囚人囚人囚人囚人囚人囚人囚人



囚人「うわああああああああああ!!!」

ゲシュタルト「フハハハハ、なにがなんだか分からなくなってきただろう?」

因人「俺はいったい何者なんだ……?」

因入「あれ……“しゅうじん”ってどんな字を書くんだっけ? あれれ……? あれ……?」

ゲシュタルト「“ゲシュ崩”してきたようだな、終わりだ!」

因入「……」

囚人囚人囚人囚人囚人囚人囚人囚人囚人囚人囚人囚人囚人囚人囚人囚人囚人囚人囚人囚人
囚人囚人囚人囚人囚人囚人囚人囚人囚人囚人囚人囚人囚人囚人囚人囚人囚人囚人囚人囚人
囚人囚人囚人囚人囚人囚人囚人囚人囚人囚人囚人囚人囚人囚人囚人囚人囚人囚人囚人囚人
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囚人囚人囚人囚人囚人囚人囚人囚人囚人囚人囚人囚人囚人囚人囚人囚人囚人囚人囚人囚人



囚人「いや……俺は俺だッ!」シャキーン

ゲシュタルト(バカな……あの状態から自力で立ち直っただとォ!?)

囚人「うおおおおおおおおっ!!!」



ドゴォッ!



囚人の飛び蹴りが、ゲシュタルトをふっ飛ばした。

ゲシュタルト「ぐはぁぁ……!」ドザァッ

ゲシュタルト「“ゲシュ崩”状態から立ち直れる人間がいるとはな……。まだまだ人間も捨てたものではない、な」

ゲシュタルト「次のステージへ……進むがいい!」



囚人「さあ行こう!」タタタッ

女「うん!」タタタッ

――

――

囚人「次の相手は……蝶々か!」

蝶「蝶の羽ばたきが巨大なハリケーンを生む」

蝶「我が“バタフライ・エフェクト”を喰らえッ!」バサバサッ



ビュゴォォォォォォォッ!!!



囚人「なんて風だ……!」グググッ

女「きゃああああああっ!」グググッ





第4ステージ【バタフライ・エフェクト】

蝶「このまま牢獄まで押し戻してやろう」バッサバッサ…



ビュゴォォォォォォッ!!!



囚人「俺は……負けない!」ズンズン…

蝶「このハリケーンに逆らって前進するだと!? なんという奴!」バッサバッサ…

蝶「ならばもっと風力を上げてくれる!」バッサバッサ…

囚人「……だったら!」

囚人「どおりゃあああああ!」スイッスイッ

蝶「この強風に逆らわず、蝶のように舞っているだと!?」

囚人「蜂のように――刺すッ!」



ドゴォッ!



蝶「ぐおおおおおおおおっ!」ドサッ

蝶「かつての名ボクサー、モハメド・アリを思い起こさせる動きであった……次のステージへ進むがいい」



囚人「ハリケーンのせいで、服がボロボロになっちゃったね」ボロッ…

女「あなたと一緒なら恥ずかしくないわ」ボロッ…

囚人「俺もだよ」ニコッ

――

――

ヤマアラシ「……来たか」

囚人「このネズミは……!?」

女「ヤマアラシだわ!」

ヤマアラシ「私は他人とうまく接することができない。なぜなら、他人に近づきすぎると針が刺さってしまうからだ」

ヤマアラシ「この寂しさ……君たちには分かるまい」





第5ステージ【ヤマアラシのジレンマ】

囚人「ああ、分からないね」

囚人「だって俺は――針なんか怖くない!」ギュッ

ヤマアラシ「よせ……! 刺さるぞ!」

囚人「痛くなんかないさ……」ギュウ…グササッ…

ヤマアラシ(この人間……! なんという温かさだ……! これが他人のぬくもり……!)

ヤマアラシ「私の……完敗だ……」



女「無茶するんだから! 体じゅう穴だらけじゃない!」

囚人「これぐらい血が出た方が、冷静になれるってもんさ」ダラダラ…

――

――

囚人(次の相手は……白いカラスか!)

カラス「ヒャッホウ! ようこそ! オレ様は“ヘンペルのカラス”ってもんだ!」

囚人「ヘンペルの……カラス!」

カラス「カラスが黒い、ってことを証明する方法を教えてやろうか?」

カラス「世界中のカラスを調べる? 世界中の黒くないものを調べる? ノンノン、そうじゃない」

囚人「?」

女「じゃあどうすればいいのよ!」

カラス「超偉い人になって、カラスは黒いっていえばいいんだ! アヒャヒャヒャヒャヒャ!」

囚人「なんというドス黒い心を持ったカラスだ……!」





第6ステージ【ヘンペルのカラス】

カラス「ヒャオッ!」ツンッ

囚人「いたっ!」

カラス「カァッ、カァッ、カァッ!」ツンツンツンッ

囚人(このカラス……目ばっかり狙ってくる! ずるい!)

カラス「よくよく考えたら、もっと簡単な方法があったわ!」カカカッ

カラス「自分以外の生物を失明させちまえば、もはや証明する必要すらねえ! アヒャヒャヒャッ!」

カラス「カァーッ!!!」ツンツンッ

囚人「ならば、目を狙ってきたクチバシを握って!」ガシッ

カラス「カァッ!?」

囚人「一本背負い!」グイッ



ドシィンッ……



カラス「ぐ、ぐおっ……!」

囚人「どうやら、白黒ついたようだな」

カラス「へっ、まさか……オレ様がやられちまうとはね……。やるじゃねえか……」ニヤッ

カラス(だけど、次のステージはあの“神”が相手だ……この囚人といえど――)

――

――

囚人「な、なんだ、この巨大ロボットは……!?」

デウス・エクス・マキナ「……」

女「これが“機械仕掛けの神”ってやつなのね……」

デウス・エクス・マキナ「……」

囚人「なんて威圧感だ! 勝てる気がしないぞ……!」

デウス・エクス・マキナ「ア、アノ……」

囚人「?」





第7ステージ【デウス・エクス・マキナ】

デウス・エクス・マキナ「アブラ……サシテ……クダサイ……」ギシギシ…





囚人「……」

女「……」

囚人「これでいいのか?」

デウス・エクス・マキナ「ドウモアリガトウ」

デウス・エクス・マキナ「デキレバ、恩返シシタイトコロナノデスガ――」

デウス・エクス・マキナ「残ル“犬”ト“猫”ノ実力ハ、私ヨリ上デス……私デハ“チカラ”ニナレマセン」

デウス・エクス・マキナ「ドウカオ気ヲツケテ」

囚人「そっちこそ、二度とメンテナンス忘れるなよ!」

囚人(残るは犬と猫……つまり2ステージか!)

女「……」

――

――

犬「とうとうここまで来たか! 囚人!」

犬「てめえはこのオレ“パブロフの犬”が始末してやるぜ!」

犬「ほれえっ!」ペッ

囚人「うわっ!(ツバを飛ばしてきた!)」サッ

ジュワァ…

囚人「唾液で……鉄製の壁が溶けた!?」





第8ステージ【パブロフの犬】

犬「オレの唾液はな、高い溶解性を誇る上に、超猛毒なのさ……」ジュルリ…

犬「一滴でも肌に触れたら、オシマイよ!」ペッペッペッ

ジュワァッ… ジュワァ… ジュワァ…

囚人「くっ!」

犬「避けるだけで精一杯か!? ほれ、逃げろ、逃げろ!」ペッペッペッ

ジュワァァァ…

犬「うへへへへ……」ダラダラ…

囚人(なんであの犬、こんなにヨダレを出せるんだ……!? あの量はおかしいだろ!)



リン… リリン…



囚人(――わずかにベルの音が聞こえる!)

囚人(そうか! このベルの音が奴の唾液を分泌させてるんだ!)

囚人「ベルは……そこだッ!」



バキィッ!!!



囚人は部屋に設置されていたベルを破壊した。



犬「し、しまったァ!」

囚人「これでもう、お前に唾液を出すことはできない!」

犬「くそっ……! ベルを止められたら、オレなんざただの犬っころよ……」

犬「だが……次に控える“シュレーディンガーの猫”は化け物だぜ! 覚悟しておくんだな!」

囚人(“シュレーディンガーの猫”……か)



囚人「さぁ、次がラストだ!」タッタッタ…

女「そうね!」タッタッタ…

――

――

囚人「この部屋が怪しいな……」



ガシャンッ!



囚人(し、しまった! いきなり扉が閉まって、彼女と分断されてしまった!)

猫「はじめまして」ゴゴゴ…

囚人(この猫が……“シュレーディンガーの猫”!?)





第9ステージ【シュレーディンガーの猫】

囚人「お前が……この刑務所の所長か!」

猫「“副”だがね……。貴様をここから出すわけにはいかん」ゴゴゴ…

猫「気の毒だが、貴様にはここで命を散らしてもらう」ゴゴゴ…

囚人「くっ……!」

囚人(今までの相手とは比べ物にならないほどのオーラを放っている!)

猫「スイッチオン」ポチッ



シュオォォォォォ…



囚人「これは!?」

猫「青酸ガスだ。貴様には吾輩と共に死んでもらう」

囚人「なんでこんなことを!?」

猫「貴様を逃がしたのはこの吾輩の責任だからだ。自らの死をもって償うのは当然であろう」

囚人(なんて猫だ……! 自分もろとも俺を倒そうとするなんて!)

猫「この部屋にガスが充満するまでの数分……せいぜい己の罪を悔いるがいい」

囚人「……死ぬものか」

猫「にゃんだと?」

囚人「そして、アンタも死なせるものか!」

猫「ほう? ではどうするというのだ」

囚人「こうする!」スゥゥゥゥ…

猫「青酸ガスを吸い込むだと!?」

囚人「うおおおおおおおおっ!」スゥゥゥゥゥ…

囚人「ふぅ……全部吸い込んだぜ」



猫「にゃるほど……どうやら、吾輩は貴様の力を見誤っていたらしい」

猫「この先へ出るがいい。恋人も待っていることだろう」ポチッ



ゴゴゴゴゴ……



囚人(扉が開いた! やっと刑務所から出られる!)

――

――

囚人「やったぁ! 脱獄成功だ!」

女「……」

囚人「どうしたんだよ? もっと喜ぼうよ!」

女「喜ぶ前に、あなたにはやるべきことが残ってるわ」

女「“悪魔の証明”をね!」

囚人「お前の正体は……まさか!」

女悪魔「そう、あたしこそこの刑務所の真の所長――“悪魔”だったのよ!」バサァッ





ファイナルステージ【悪魔の証明】

女悪魔「悪魔がいることを証明するのに比べ、悪魔がいないことを証明するのは遥かに難しい!」

女悪魔「ま、こんな話はどうでもいいわ」

囚人「どうでもいいのか!」

女悪魔「さぁ、あなたもなにか証明してみせなさいな! 証明できなきゃ魂を頂くわ!」

囚人「証明してやるさ……」

女悪魔「いったいなにを!?」

囚人「君への……愛を!」





女悪魔「え……」ドキンッ

囚人「愛してる」ギュッ…

女悪魔「ああ……証明されちゃったわ……」





Q・E・D(証明終了)――

囚人「さぁ、二人で刑務所を抜けて、幸せになろうじゃないか!」

女悪魔「いいの? あたし、悪魔なのよ?」

囚人「俺だって囚人さ。しかも脱獄囚さ。お似合いじゃないか」

女悪魔「たしかに……そうかも……」キュンッ

囚人「俺たち二人でなら、どこまでも行けるさ! さぁ行こう!」

女悪魔「そうね、行きましょう!」



こうして囚人と悪魔は二人で旅をすることになった。

それを見守る二匹の動物――



犬「猫よ、あの二人……どうなっていくんだろうなぁ」ダラダラ…

猫「にゃにしろ囚人と悪魔という最凶のカップルだ……きっと力強くやっていくだろうさ」ニコッ







― おわり ―

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