勇者「仲間TUEEEEEEEEEEEEEE!!」2 (221)

前スレ

勇者「仲間TUEEEEEEEEEEEEEE!!」
勇者「仲間TUEEEEEEEEEEEEEE!!」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1455599085/)


三行でわかる前スレのあらすじ
1、仲間TUEEEE!!
2、魔王TUEEEE!!
2、勇者SUGEEEE!!

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1459487077

立て乙
2、が二つある不思議

立て乙です
2が二つあるのは、ミナデインが凄すぎて魔王が忘れ去られたからだよ(震え声)

前スレのあらすじは四行の方が分かりやすそう
1、仲間(騙)TUEEEE!!
2、魔王TUEEEE!!
3、仲間(真)YABEEEE!!
4、勇者SUGEEEE!!

建て乙

ああ、ホントだ。2が二つある
まあ、脳内補正で

ー 少しだけ時間を遡って

     神界、女神の間 ー


パリィィィンッッ……!!!



女神「封印が……」

大天使「解けましたね」


女神「ええ……。勇者が魔王を倒してくれたようです……。これで私も自由に動けます」

大天使「では、すぐに」

女神「はい。勇者が魔王を倒した事を世界中の人々に知らせましょう……」


女神「今いる全ての天使にこの事を伝えなさい。私も世界中の教会へと御告げを出します」

大天使「はい!」

勇者が魔王を倒したというその事実は、女神の御告げと世界中に降臨していた天使によって、瞬く間に伝わった。

町には歓喜の声が上がり、その日はどこもかしこも大々的なお祭り騒ぎとなった。



「勇者様、バンザァァァイ!!!」

「魔王が倒された!!! これで平和な暮らしになるぞっ!!!」

「もう魔物に怯えながら暮らさなくて済むんだ!!!」

「町の防壁も、もう必要ない!!! 大手をふって外を歩けるぞっ!!!」

「自由に外を歩き回れるんだっ!!! 世界中を安全に旅出来るっ!!!」

「勇者様、ありがとうっ!!!」

「この世界を救ってくれてありがとうっ!!!!」

皆、仕事も家事も忘れ、全てをほっぽりだして、ひたすら祝いあった。

酒場から祝いの酒樽が幾つも広場へと運び込まれ、飲める者は揃って何度もそこで乾杯した。

楽隊がパレードさながら町中を練り回り、その音楽に合わせて人々は感謝のワルツを踊る。

花火魔法が空に何発も打ち上げられ、吟遊詩人は勇者を讃える歌を即興で何曲も唄った。

踊り子は満面の笑顔で喜びのダンスを披露し、子供たちははしゃぎながらそこら中を走り回った。


あちこちで夢見る子供たちの願い事が聞こえる。


「ボク、大きくなったら絶対に勇者になるんだ!!」


母親は困ったような笑顔で、その必要はないと優しく諭した。


「大丈夫よ。だって、もう魔王はいないんだから。これからは平和な世の中になっていくんだから」

「全部、勇者様のおかげなの。あなたがこの先、魔物にやられる心配をしなくて済む様になったのも全部……」

ー 南の国、王宮 ー


国王「祝え! 全ての酒蔵を開けよ! 皆の者に振る舞うのだ!」

国王「今日は記念すべき日だ! 夜が明けるまで歌い、踊り、祝い尽くせ!」

「ははっ!!」


ーーーーーーーーーーーー


王妃「姫……。あなたの結婚相手が決まったわね。今日はその前祝いも兼ねましょうか」スッ (ワイングラスを差し出す)

姫「ええ、お母様。祝福して下さい。世界で最も気高き御方の妻となる私を」スッ



「勇者様に乾杯」カチンッ……


ーーーーーーーーーーーーー


騎士団長「見てるか……。親友。お前の息子が伝説となったぞ」

騎士団長「旅立ちからわずか十日と一日だ。それだけで魔王を倒してしまった……。女神様の加護と祝福を受けたとはいえ、あれだけ強くなっているとは私も知らなかった……」

騎士団長「生きていたら、お前は勇者にどう言うかな……。誉める前に泣きそうな面になってそうだがな……」

騎士団長「私の息子だと言えないのが残念だ。だが、心の中だけではそう誇ってもお前は許してくれるよな……」

騎士団長「お前の息子に。そして、私の息子に乾杯……」スッ (グラスをそっと掲げる)

ー 騎士団長の家 ー


幼馴染み「勇者……。本当に魔王を倒しちゃったんだね……」

幼馴染み「嬉しいけど、何か寂しいよ……」

幼馴染み「私の勇者が……。みんなの勇者みたいになっちゃった感じがして……」グスッ

幼馴染み「それに、姫様との結婚もしちゃうんだよね……。わかってる……。元からどうしようもないってわかってたんだけど……」グスッ

幼馴染み「うっ……」ポロポロ……


幼馴染み「こんなおめでたい日に泣いちゃうとかダメだよね……。でも、何か涙がね……自然と……」ポロポロ

幼馴染み「だけど、大丈夫、大丈夫だから……。勇者が帰ってきた時にはちゃんと笑顔でいるから……」ポロポロ

幼馴染み「それで、勇者の事をいっぱいいっぱい誉めてあげるから……。勇者が引くぐらい誉めてあげるから……。だから……」ポロポロ

幼馴染み「今日だけは泣かせて……。それでちゃんと心の整理つけるから……」ポロポロ

幼馴染み「勇者……。本当に好きだったよ……。勇者、勇者……」ポロポロ

大勢の人々からの感謝、歓喜、尊敬、憧れ……。

そういったより大きなものに呑まれ、一つの小さな失恋は歴史の影へと消えていく……。

彼女もまたいつか恋をして、それらも過去の良き思い出へと変わる日がきっと来るだろう……。


だが、世界の流れは止まらない。

勇者の名は一分一秒ごとに伝説として深く刻まれ、人々に感謝と畏敬の念を叩き込んでいく。


また、その一方で、大半の人とは真逆の感情を覚える者達もわずかながら存在していた。

焦燥や不安などがそれに該当する。
勇者が魔王を倒すまでがあまりに早すぎたが故の失策。
彼等はまだ、勇者を勇者として正式に認めていない。


言わずと知れた教会本部である。

ー 中央国、大聖堂 ー


女「弁明があるのならば、お聞きします。もし、あるのであればの話ですが」

地海竜『ギルルルッ!』ギロッ

天使「…………」フワリ



教皇「っ……」

枢機卿A「わ、私達は勇者の事を認めていた! ただ、公表が遅くなったというだけで!! それだけだ!! 決して勇者を軽く扱った訳では!!」


女「戯れ言を! あなた方が私にどのような取引を持ちかけたのか、それを忘れたとお思いですか!」

女「勇者様の排除をちらつかせ、この世界の平和を取引の道具として用いたではありませんか!」

女「その様なあなた方に、聖職者を名乗る資格はありません! 女神様の名のもと、然るべき処分を受けて頂きます!」


枢機卿A「ぐっ……」

枢機卿B「し、神殿騎士団!」

神殿騎士A「…………」ザッ、ザッ
神殿騎士B「…………」
神殿騎士C「…………」


枢機卿B「この女は『聖女』様を騙し、勝手に『奇跡の鐘』を鳴らし、今また、ある事ない事を吐き続ける大罪人だ! 裁判にかけるまでもない! 今すぐ処刑せよ!!」

神殿騎士A「」チャキッ
神殿騎士B「」チャキッ
神殿騎士C「」チャキッ


女「…………」


神殿騎士A「申し訳ないが、失礼する」ガシッ
枢機卿B「!?」

神殿騎士B「枢機卿殿……。動かれない事をお勧めする。私達も不要な殺戮はしたくない」スッ (剣を喉元に)
枢機卿B「な、何故だ!!」


神殿騎士C「あなた方もどうか大人しくお願いします」ガシッ、サッ
枢機卿A「反逆するつもりか!? 放せ! その剣をどかせ!」

神殿騎士A「反逆? ご冗談を」

神殿騎士B「天使様が味方についておられる御方のお言葉が正しくないとでも言われるのですか?」

神殿騎士C「女神様も女殿の事をーーいえ、『紅の天使』様の事を認めておられる証拠。正義はこちらにあり。あなた方ではない」

枢機卿B「ぐっ……!」


神殿騎士D「当然、あなた方も……」チャキッ

枢機卿C「……!」


神殿騎士E「大人しくお願いします。聖地を血で汚す事はこちらも本意ではない……」チャキッ

枢機卿D「いつのまに背後に……」


神殿騎士F「団長もそのまま動かないで頂きたい。既に神殿騎士団の三分の二は我等の味方となっております。つまらない事は考えないよう……」チャキッ

神殿騎士団長「クーデターか……。女殿の口先に乗ったか」

神殿騎士F「いいえ、勇者様と『紅の天使』様の活躍を見て、何が悪で何が正義かに目覚めただけの事です。我等は規律を大切にすれど、飼い慣らされた犬ではない」

神殿騎士G「御理解頂けたのなら剣をこちらに……。一時の身の安全だけは保証します」

神殿騎士団長「わかった。投降する……」ガチャッ…… (剣を渡す)


神殿騎士G「教皇猊下もです。あなたと言えど例外ではない。御無礼つかまつります」チャキッ

教皇「…………」

女「あなた方の裁きは聖女様と女神様に託します。それまでは身柄を拘束させて頂きます」

女「地下牢獄の件、及び、不透明な金の流れ。その全てを公表し暴かせてもらいますから、身に覚えのある方は覚悟をしておいて下さい」

女「もちろん、あなたもですよ。大司教」


大司教「……私とあなたとで、何が違う。虎の威を借る狐に変わりはない。その立場が逆になっただけではないか」ギリッ


女「違いですか……。そうですね……一言で言うのであれば」

女「信仰の深さが、です」


大司教「下らない事を! 信仰など生きてく上で何の役に立つのか!」


女「役に立たないと言うのであれば、あなたは何故今その様な状況に立たされているのですか? 魔王は何故、勇者様に倒されたのでしょうか?」

大司教「それは……!」

女「それを考えれば答えは出るでしょう……」


女「全員を隔離部屋にお連れして下さい。他にこの件で関わっていた方も含めて全員です。この機に教会に溜まった汚れを吐き出し一掃します」

神殿騎士たち「はっ!」


女「教会を本来あるべき姿へと。皆から慕われ尊敬される教会へと、聖女様共々変えていきましょう。引き続き皆の協力をお願いします」

神殿騎士たち「ははっ!」

歴史の流れは大きなうねりとなって、一つの終着地点へと進んでいく。

それは人間のみならず、魔物や竜にも同じ事が言えた。



ー 妖魔の森、北部、暗黒要塞 ー


魔軍師「引き上げる! 魔界へと戻るぞ! 全軍、撤退の準備をせよ!」

魔軍師「魔王様は既に倒れた! 我等は負けたのだ!」

魔軍師「だが、勇者の計らいにより、我等は生還を許された! 敗北を悔しく思うのは当然だが、まず我等は生きて故郷へと帰れる事の幸運を噛み締めよ!!」

魔軍師「他世界で無意味に散るよりは、魔界へと戻り、華々しく散る事を選べ!!」

魔軍師「全軍、整然と帰還する! 魔界へと帰るぞ!!」


「はっ!!」

がっくりと項垂れる魔物もいる。

気持ちの整理をつけられず、空へと咆哮する魔物もいる。

故郷へ帰れると、内心で安堵する魔物もいる。

やり場のない怒りを、木や建物にぶつけた魔物もいる。

納得出来ず、軍を飛び出して脱走した者もそれなりにはいたが、しかし、大半は意気消沈とした様子で粛々と撤退の準備を整えていった。


剣聖・聖女・女闘神・真魔王・女大富豪ら、勇者の仲間達五人も妖魔の森の各拠点に散り、それへと見張りに立ち会う。

時には過激な反抗者もいて、彼等は勇者の仲間達の姿を見るやいなや、怒りをあらわにして飛び掛かったが、全て一撃の元に倒された。

また、一部の武闘派が集まって拠点の一つを占拠し、第二の魔王たらんと独立をはかったが、これは魔軍師率いる八大将軍の手により即日陥落され殲滅された。

どさくさに紛れ、魔結晶等の軍事物資を懐に掠めようとした不届き者も多数いたが、これらの大半はすぐさま露見し、例外なく粛清された。

こうした大小の事件、出来事、襲撃、離反、立て籠り、それらを何個か重ねながらも、全体としては魔物達の撤退は全世界から速やかに行われていった。

また、戦後処理に加えて今後の事も勇者を中心に話し合われた。

勇者は基本的に全ての中核であり、代表者であり、無自覚的にその素質を持っていた。
全ての処理は勇者の決断に委ねられ、勇者もまたその決断を下すだけの器量と才覚と勇気とを有していた。

女神の神託は、意図はともかくとして、その結果は間違っていなかったと言える。

また仲間達も勇者をその様に扱った。彼等は自分達を勇者の手足と考え、良き手足であろうと努めた。
彼等の後押しと信頼がなければ、勇者もまた、この様な責任重い決断を下せなかったであろう事は間違いない。

勇者と竜王との会談が行われたのもその為だった。戦後に関する二つの重要な案件について、勇者は竜王と対談する事となる。

ー 妖魔の森、東部、竜王のねぐら ー


(鳴き声省略。聖女による通訳の省略)


竜王『なるほどの……。【次元の扉】の封印か……』

勇者「はい。魔軍師の話によると、そこから魔王軍は攻めいったとの事でしたので、これを封印すべきではないかと思いまして」

竜王『ふむ……。確かあれは元々、この世界が三つに分断された時の名残じゃったな……』

竜王『聖と魔、そしてそのどちらでもなくどちらも併せ持つ我等……』

竜王『その三者が遥かな大昔、覇権をかけて世界大戦を行ったと聞いておる……。だが、その戦争により三者とも絶滅の危機に追いやられ、仕方なく世界を三つに分けて住み分けを行ったとか……』

竜王『その時、お互いの世界の行き来が出来ないと支障をきたす恐れがあるのではと、あの扉は創られたそうじゃが……』

竜王『しかし、今回の事を思えばその必要はないかもしれぬな……。あの扉は今となっては不要なものかもしれぬ……』

勇者「では、竜王様もあの扉を封印する事に賛成をして頂けますか?」

竜王『他の世界に行く必要など、最早、今の世にはあるまい……』

竜王『構わぬ……。あの扉を封印せよ、勇者よ』

勇者「ありがとうございます。では、魔王軍の撤退が終わり次第、聖女と真魔王の二人にそれを行ってもらうようにします」

聖女「うん。わたしたちに任せて。二人で聖魔最強の封印結界をかけておくから。誰も通れない様にしておくよ」

竜王『うむ……。頼んだぞ、勇者。そして聖女よ』

勇者「はい」

聖女「うん!」

勇者「それと、竜王様」

竜王『なんじゃ』

勇者「魔王軍の代表と皆で協議した結果、魔王軍にはこれまでの賠償金として、こちらへと持ち込んだ軍事物資・魔結晶・金銀財宝・秘宝の類いを全て差し出してもらう事が決定しました」

竜王『そうか……』

勇者「ですので、その事も竜王様に御報告を。今のところ、得た物は全て竜族と人とで折半にしようかと考えております。その事で何か御不満や御要望があれば仰って下さい」

竜王『律儀な事を……。じゃが、我等は金銀財宝に価値を見出ださぬ。また、それを得たところで既に失われた命は決して戻っては来ぬ……』

勇者「はい……。確かにその通りなのですが、その報復として魔物を皆殺しにしたところで結果は変わりません……」

勇者「償いではなく、傷痕を埋める為に、あなた方もお受け取り下さい」

竜王『不要だ……。我等の仲間への絆は、どの種族よりも強く重い。仲間を多く失った此度の侵略を我等は未来永劫忘れぬし、不倶戴天の敵として今後も永久に魔物を憎み続ける……。故に、償いは受けぬ』

竜王『魔物の無傷での撤退を赦したのも、勇者よ、そち達の顔に免じての事だ。でなければ、竜族総出で生き残った魔物どもを八つ裂きにしておるところだ』

勇者「……申し訳ない」

竜王『いや、お主はそれで良いじゃろう……。魔物は憎めど、此度の件で勇者を憎む竜は一匹もおらぬ……』

竜王『お主はそのまま真っ直ぐでい続けよ……。それは暗闇を照らす一筋の光となる……』

勇者「はい……」

竜王『得た物はお前たちで全て分けると良い……。我等は欠片たりとも受け取らぬ。それが我等の、勇者と魔物達に対する心情と返事だ』

勇者「……わかりました。魔王軍にもそう伝えておきます」

勇者「それと……。私達に対するお心遣い、感謝致します、竜王様」

竜王『うむ……。お主は皆の希望であり続けよ。それを皆も望んでおるじゃろうからな』

失われし時間や命はもう戻らない。

だが、それでも、全てのものは前へと歩み続ける。

過去を嘆くより、未来を見つめよう。


それが、この時代、この時、この瞬間に生きる多数の人々の心情だった。


災厄が降り注いだ後に、最後に残ったのは『希望』だった。

『勇者』という揺るぎない希望がある限り、人々は前向きに生き続けるだろう……。

ー 数日後、次元の扉近く ー


剣聖「これで最後か……」

聖女「うん。この第八大隊が魔界へ戻るのに使ったらそれで終わり。封印するから」

女闘神「短かったな。思い返せば、あっという間だった気がするよ」

真魔王「うん。……早かったね」

女大富豪「少し複雑な気分ね……。これだけ早く、あっさりと片付いてしまったものだから……」



魔軍師「……それでは、我等はこれで魔界へと戻ります。短い間でしたが、勇者殿達の寛容さと御尽力に感謝致します」

勇者「いえ……。おかげでこちらも無用な犠牲を出さずに済みました。本音を言えば、わだかまりがなくはないですが……。あなた方とは別の形でお会いしたかったです」

魔軍師「申し訳ない……。御容赦を」

勇者「魔軍師殿はこれからどうするつもりなのですか?」

魔軍師「魔王様がいなくなってしまったので……。これから魔界はまた群雄割拠の時代へと逆戻りするでしょう。その戦乱の中、新しい主君を探すつもりです。向こうが敗軍の将である私を必要としてくれるなら、ですが」

勇者「あれだけの事があったのに、争いは止めないのですね……」

魔軍師「そういう種族なのです。好戦的で争いを好む血が私達には流れている。一時とはいえ、魔王様が君臨していた頃の魔界が一番平和でした。しかし、誰も平和を求めてなどいないのです」

勇者「そうですか……。残念です」

魔軍師「ですが、これでそれも魔界内部のみで留まるでしょう。別世界へと遠征をしに行くのは不可能になるとの事ですから」

勇者「ええ。私達は争いではなく平和を望むので。二度とこの様な事態が起きないようにしていきたい」

魔軍師「あなたなら、それをこの世界で作れるでしょうね……。敵ではありますが、その強さには敬意を払っています。魔界では強さこそが正義ですから」

勇者「嫌な正義です。強ければ全て認められるというのは、弱者を踏みにじる行為だ」

魔軍師「魔界ではそれが常識です。だからこそ、皆、強さに憧れる。魔王様もその一人でした」

勇者「…………」

魔軍師「失礼……。無用な話をしてしまいましたね。では、これで本当にお別れです。軍を離反した者や脱走した者の事については、申し訳ないが、あなた方にお任せします」

勇者「ええ、共存を望むのであれば、出来る限り手を尽くします。ただ、争いを望むのであれば、こちらもそれなりの対応をします」

魔軍師「はい。お願いします。それでは……」


魔導師A「魔軍師様。準備、整いました。外部盤は魔界へと繋がってる事を示しています。しばらくは安定しているはずです」

魔軍師「よし。始めよ。第八大隊全て魔界へと帰還する」

魔導師B「はっ! では、『次元の扉』、開けます!」

魔導師C「魔力を注ぎ込め!」サッ

魔導師D「」サッ

魔導師E「」サッ

魔導師F「」サッ


ヒュイーーーーーーーンンンンン……



魔軍師「最後にあなた方にこの言葉を……」


「武運長久を。強き勇者とその仲間達よ」


フインッ (まとめて次元移動)



シーン……

勇者「……去っていったね」

勇者「聖女、それに真魔王。次元の扉の封印を頼む」

聖女「うん」サッ

真魔王「わかった」サッ


「時間と空間を越えし力を持つものよ……。その働きを休め永久の眠りへとつきなさい……。またこの地を禁断の土地とし、如何なる者からもその侵入を阻みたまえ……」パァァッ……

「我が真魔王の名において命ず。幾星霜の長きに渡り、その虚無の力を封じよ。闇は闇に、光は光に、そして虚無は虚無へとあるべき場所に戻れ」ピカッ



次元の扉『』ゴゴゴゴゴッ……

パリッ、ピキッ、ガギッ (封印&結界&無力化)



勇者「これで……本当に終わりだね……」

勇者「魔王を倒す旅が、これで……」


剣聖「ああ……」

聖女「うん……」

女闘神「そうだな……」

真魔王「終わったね……」

女大富豪「うん……」

勇者「それじゃあ……みんな」


剣聖「ああ」

聖女「戻ろう、わたしたちの生まれ故郷に」

女闘神「派手に騒がないとな!」

真魔王「だね。みんなで最後の一戦をして」

女大富豪「締めだね! 頑張らないと!」


勇者「!?」


剣聖「それからだな! 勇者の凱旋パーティーは!」

聖女「そうだね。勝って気持ちよく終わりたいし」

女闘神「久々だからな、腕が鳴るぜ!」

真魔王「みんなで戦うのこれが初めてだからね、何か楽しみだな」

女大富豪「だよね! じゃあ、行こっか!」


勇者「え、え!?」オロオロ


「俺たちの戦いはまだ終わってないからな!」


勇者「ちょ、あ、あの!!」


真魔王「じゃあ行くよ! 天馬とか魔導機神も巻き込むからね! 全体移動魔法!!」


「ま、待っ」


ヒュインッ!!!

ここまで

ー 山奥の村外、訓練場 ー


ヒュインッ……


真魔王「到着っと」スタッ

女大富豪「それじゃあ行こうか。天馬や鳳凰達はきっとここに置いていった方がいいね」スタッ

女闘神「ああ、危険だしな。お前達は適当にそこらで遊んでてくれ」


天馬「」ヒヒーン
鳳凰「」コクッ
天海竜『グルルッ』


剣聖「じゃあ、少し歩くか。牧場はもう少し先だしな」

聖女「そうだね。あと、それまでに勇者に軽く説明しておく?」

女大富豪「そうね。秘密にして欲しいって言われてるけど、魔王はもう倒したし、ある程度は私達で話してもいいでしょ」

真魔王「うん。いいと思う。いきなりだと話がややこしくなるだろうし、きっと勇者が困惑するだろうから」


勇者「え、え??」オロオロ

剣聖「とりあえず、勇者。歩きながら聞いてくれ」テクテク

女大富豪「簡単に説明するから」テクテク

勇者「ど、どういう事??」

真魔王「今から行くのは村の外にある牧場なんだ。って行っても普通の牧場じゃないけどね」テクテク

勇者「牧場? 何でそこにいくの?? まさか、そこで戦うの??」

聖女「うん。そうだよ」

勇者「何でわざわざ? 仲間同士なのに……。訓練って事……?」

女大富豪「ん? ああ、違う違う。訓練ってのは合ってるけど」

聖女「えっと、勇者。初めからきちんと説明するから、ちょっとそれを聞いてて」

勇者「あ、うん……。わかった……」


女大富豪「大元を辿ると、今から十年ぐらい前の話になっちゃうんだけど……」

ー 十一年前

  山奥の村外、訓練場 ー


少年B「さーて、今日こそ師匠に片足を使わせてやる。見てろよ」ブンッ、ブンッ (素振り)

魔老師「ふぉっふぉっふぉっ。そうじゃのう。今のお前ならそれぐらいは出来るかものう」


少女A「がんばってねー、少年B」

少女C「どうせまた最後にはやられちゃうだろうけど、応援してるぞー」

少年D「素直に応援してあげればいいじゃない」

少女E「だよね。昨日は惜しいところまでいったし、今日は本当に出来るかもしれないから」


少年B「当ったり前だ! 今日の俺は気合いが違ーー」ピクッ

魔老師「ふむ……」ピクッ


少女A「?」

少年D「どうしたの?」

少女C「今、この山に結構強めの魔物が来た……。その気配がしてる」

少女E「え、それ大丈夫なの?」


少年B「師匠、俺たちで見てきます。全員なら勝てない感じはしないですし」

魔老師「いや……必要ない。殺気や闘気は感じられんしのう。それに、この感じ……。ひょっとしたらワシの昔の知り合いかもしれぬ……」

少女A「え、お爺ちゃんの?」

魔老師「うむ……。しかし、何故あやつが竜界に……? おかしいのう……。何かあったのじゃろうか……」

ー 再会 ー


魔学者「ああ、ようやく見つけましたよ、魔老師さん。風の噂を頼りにここ何年かずっと探してましたから。会えて良かった」ニコッ

魔老師「やはりお前じゃったか……。久しぶりじゃのう。しかし、どうした? 確かアスタロトの下で気ままに研究をしておったのではなかったか?」

魔学者「ええ。ですが、魔老師さんも恐らく御存知でしょうが、アスタロト様も魔王様へと忠誠を誓う事になりましたので……」

魔学者「部下の私も出向という形で魔王軍に軍事研究要員として徴兵されまして……」


魔老師「そうか……。それはそうじゃろうな……。お前ほどの偉才をあの魔王が埋もれさせる訳がない」

魔学者「偉才かどうかは知りませんが、それで魔王軍の元に強制的に所属する事になってしまいましてね。ろくでもない扱いでしたよ」

魔学者「今まで趣味で好き勝手に好きな研究をやらせてもらえていたのが、一転して仕事に代わり、更には軍事研究所の所長として責任まで負わされる始末でしたから」


魔老師「今までがむしろ特別じゃったんだろうがな……。アスタロトみたいな物好きぐらいじゃぞ、お前のよくわからん研究に金をはたくような奴はな」

魔学者「千年先の研究は常に周りから理解されないもので」

魔老師「お前が言うと冗談に聞こえんからやめい」

魔老師「まったくのう……。ワシもあまり人の事は言えんが、お前は魔界の中でも相当な変わり者じゃったからな……。異端児と言ってもええ」

魔老師「魔導の研究に没頭するあまり、攻撃衝動を忘れてしまったような奴じゃ。おまけに、天才であるが故に誰からも理解されぬ。あの魔王ですら、さぞ扱いにくかったじゃろうて……」


魔学者「確かに魔王様からはあまり良い顔はされませんでしたね。それはこちらもでしたけど。資金を気にせず使えたのだけが救いでしたが、どうにも窮屈でして」

魔老師「それで、宮仕えに嫌気がさして逃げてきたというところか?」

魔学者「そんなとこですね。私が興味を持って取り組んでいた研究が途中で中断させられましたし。もういい加減、嫌になってきてたので」

魔学者「なので、次元の扉の解析が終わったところで、もう役目は果たしただろうと、ついでにこちらに逃げて来ました」


魔老師「……まあ、魔王から逃げる場所と言えば竜界ぐらいしかありはしないからのう」

魔学者「ええ。それに、噂で魔老師さんも竜界に行ったというのは聞いていましたからね。また秘術やら気功やらについて教わりたいという欲求が出てきてしまいまして、こうして探し回りましたよ」

魔老師「よくもまあ諦めずに見つけたもんじゃ……。しかも、たったそれだけの理由でのう……」

魔学者「私の理解出来ないものがこの世にあると知ったのは衝撃でしたからね。学者の好奇心や知的探求心は生存本能より強いですから、それぐらいの苦労はしますよ」

魔老師「それはお前ぐらいじゃ……。特に魔族の中ではな……」

少年B「なあ、師匠……。このおっさん、じゃなくて……この人は師匠の友達なのか?」

魔老師「友達……ではないのう。知り合い以上の関係ではあるが……」

魔学者「そこの少年らは? 人間にしては有り得ない程の強さを持っているようですが……」

魔老師「ワシの弟子達じゃ。全員筋がええぞ。将来が楽しみな逸材揃いじゃて」

魔学者「ほう……。魔老師さんがそう言うからにはそうなんでしょうね。なるほど……」


少女A「あの……。おじさんは、お爺ちゃんとはどういう関係なの?」

魔学者「んー、そうだな……。持ちつ持たれつの関係ってのが一番しっくりくるかな。魔老師さんが私に気功だとかのよくわからないものを教える代わりに、私は魔老師さんに色々な学問を教える感じで」

魔老師「ワシの弟子であり、同時に師匠じゃな……。今、女大富豪に教えとる事のほとんどはこやつから教わったものじゃ。知力だけで言えば、こやつを越える奴はどこにもおるまいて」

少女E「そうなんだ! 先生の先生なんだね! スゴい!」

魔学者「ありがとう。だけど、私より魔老師さんの方が凄いからね。私は生憎、武術の才能はあまりなかったから、そっちはからっきしだし」

【一万年先を生きる孤高の天才学者】
『体力 :  4万
 攻撃力: 25万
 防御力: 73万
 魔力 :319万
 素早さ: 47万』

 知力 :9999兆

ー 現在 ー


女大富豪「っていう事があってね」テクテク

真魔王「それで、それ以来、その人はこの村のすぐ近くに住む様になったんだ。そこで牧場をやってるから、僕らは牧場のおじさんって呼んでるんだけど」

勇者「へえ、そうなんだ……。とにかく、凄い人なんだね」

聖女「うん。あと、良い人だよ。十年も前から、わたしたちは皆、色々お話とか聞かせてもらったり、色々な事を教えてもらったり、訓練に付き合ってもらったりしてたんだから」

剣聖「俺達全員、かなりお世話になってるんだ。本当なら、勇者に先に紹介したかったんだけどな」

女闘神「だよね。だけど、おじさん、勇者に対して引け目を持ってたからさ」

勇者「引け目?」

女大富豪「さっき言った通り、次元の扉の解析をして、どこの世界に繋がっているかわかる様にしたのがそのおじさんなの。だから……」

真魔王「立場が違ったとはいえ、僕達からしたら侵略の手伝いをしたって事になっちゃうでしょ? その事をおじさんは気にしているんだよ」

聖女「仕方ない事だと思うし、わたしたちは別にもう気にしてないんだけど……」

剣聖「だけど、おじさん自身が気にしてるからな。だから、勇者が魔王を倒すまでは秘密にしておいて欲しいって言われてたんだ。魔王を倒したら、自分から言うからって」


勇者「そっか……。そういう事か……」

女大富豪「ただ、私達は勇者の事を信頼してるし、勇者の人柄も知ってるから、もう先に話しておこうと思って。もう魔王も倒した訳だし」

女大富豪「魔軍師の降伏を受けた勇者だから。きっとおじさんの事も許してくれると私達は思ってるんだけど……」


聖女「勇者、さっきも言ったけど、おじさん自身はとても良い人だよ。村の人達もおじさんの事を知ってるけど、みんな良い風にしか言わないし」

真魔王「うん。悪い人じゃないのは確かだから。それは保証するよ」

女闘神「だから、勇者。おじさんの事は責めないでやってくれないか」

剣聖「俺からも頼む。罪を憎んで人を憎まずの精神で、おじさんのした事は水に流して欲しいんだ。魔王に命令されてやった事だしな」


勇者「うん。大丈夫。わかってる」

勇者「皆が言わなくても、俺はきっと何も言わなかったと思うし、怒ってもいなかったと思う」

勇者「もう過去の事はいいよ。今、そのおじさんが何も悪い事や迷惑な事をしてないなら、それで良いと思うから」


聖女「良かった……。ありがとね、勇者」

剣聖「ああ、俺達もこれで安心しておじさんを紹介出来るな」

女大富豪「あ、着いたね。ほら、あれ」

女闘神「あの柵で囲ってる場所な。メチャクチャ広いだろ」

真魔王「あれがおじさんのやってる牧場。通称、『魔物牧場』だよ」


勇者「!?」

ー 魔物牧場、敷地内 ー


チビ暗黒ヒョウ「」トテトテ、タタタッ

【奇妙な魔物・タイプ豹】(全長3メートル)
『体力 :194万
 攻撃力: 67万
 防御力: 21万
 魔力 : 16万
 素早さ: 89万』


チビ皇帝ウマ「」パカラッ、パカラッ

【奇妙な魔物・タイプ馬】(全長4メートル)
『体力 :679万
 攻撃力:215万
 防御力:274万
 魔力 :116万
 素早さ:382万』


チビ三角クマ「」ノソノソ (全長8メートル)

【奇妙な魔物・タイプ熊】
『体力 :728万
 攻撃力:240万
 防御力:415万
 魔力 :133万
 素早さ: 92万』


チビ幻想ネコ「」タタタッ

【奇妙な魔物・タイプ猫】(全長2メートル)
『体力 :251万
 攻撃力:437万
 防御力: 85万
 魔力 : 26万
 素早さ:304万』


チビ幻想ネコ「」ガジガジ

女闘神「あ、こら、柵を噛んじゃダメだろ」ガシッ

チビ幻想ネコ「ニャー?」

女闘神「もうすんなよ、悪い子め」ペシッ

チビ幻想ネコ「フニャ」イタイ……


女大富豪「みんな、遊びたい盛りだからね。仕方ないか」

真魔王「まあ、柵には僕と聖女で、聖力と魔力のコーティングをかけてあるから、そうそう壊れる事はないけどね」

剣聖「ただ、数が多いからな。雨垂れ、石を穿つってやつだ。ちょっとずつ老朽化してくんだよな」

聖女「でも、この前替えたばかりだから、しばらくは大丈夫だろうけどね」


勇者「み、見た事ない魔物ばかり……」(呆然)

真魔王「あ、勇者、やっぱりびっくりした? そうなんだよね、ここにいる魔獣って全部合成魔獣だからさ。多分、図鑑とかにも載ってないはずだよ」

勇者「ご、合成魔獣って、あのキメラとかの!?」

真魔王「うん。合成魔獣を考えたのおじさんだからね。魔王がその研究に目をつけて、おじさんを引き抜いた様なものだし」

勇者「……な、何て言ったらいいか」←キメラに殺されかけてる

真魔王「あ、でも、キメラと違ってここにいる魔獣は全部大人しいよ。おじさん曰く、愛情を持って子供の時から育てれば魔獣は攻撃衝動に駆られない様になるんだって」

勇者「そ、そうなの? でも、魔王軍の軍師の人は元から争いを好む種族だって言ってたけど……」

真魔王「それは魔物に子供の時がないからだよ。魔物って魔界にある『煉獄の泉』から生まれてくるそうなんだけど、その時既に成人していて、子供期間がないらしいから」

女大富豪「魔界だと、力の弱い子供や妊婦はすぐ殺されるだろうからね。種族の繁栄が成り立たないから、そうなったんじゃないかっておじさんは言ってたね」

勇者「え? ……それ、何か話がおかしくない? 子供期間がないのは元からなんでしょ? 元々そういう生まれ方をする種族だったんじゃないの?」

真魔王「とは限らないんだよ。魔獣にこうして子供期間がある以上、逆説的に大元は魔物にも人間のような生殖機能があって、妊娠・出産をしていたと考える方が自然なんだ」

女大富豪「ところが妊娠期間や子供期間があると種族繁栄が上手くいかない。だから進化の過程を経てそうなったのか、もしくは、そういう風に誰かが調整したのかはわからないけど、『煉獄の泉』から成人して生まれる様になったと考えるべき……」

女大富豪「らしいんだけどね。正直ここら辺は私にも難しすぎてよくわからない」

真魔王「そもそも『煉獄の泉』自体がよくわからない代物らしいからね。決まった場所になくて突然現れたり消えたりするし、魔物がそこから出てくる事はあっても、こっちから入ると二度と戻ってこれないらしいし」

女大富豪「おじさんはそこを『生命の可能性が詰まってる空間』って定義してて、そこでは時間が一秒毎に何千億年単位で進んだり戻ったりの変動を繰り返してるらしいの。ただ、もうその話自体が私達じゃ説明を聞いてもよくわからないし」

真魔王「その『煉獄の泉』に似た小さな擬似的空間をおじさんは作って、更にそこで魔獣の毛とか爪だとかを元におじさんは魔獣を合成して、全く別の種類の新しい子供の魔獣を生み出してる……って言ってもきっと理解出来ないよね?」

女大富豪「実際、詳しい説明を何回か聞いたんだけど、私達の誰も理解出来なかったから。ある意味、聖女の奇跡みたいなものよ。おじさんの話は、本当、時たま難しすぎて何言ってるのか謎な事が多すぎるから」

勇者「…………あ、うん」

真魔王「まあ、あまり細かい事は考えなくていいと思うよ。ここにいる魔獣は全部大人しいって事だけわかってもらえたらいいから」

勇者「あ、ひょっとして……」

真魔王「?」

勇者「ここに来る前に、何匹も奇妙な魔物を見たんだけど、それって……」

剣聖「ああ、それはここの牧場の魔獣達の食料として、山で放し飼いにしてる弱い合成魔獣達だな。だから、全部デカかっただろ?」

勇者「」

聖女「ちゃんと山全体に魔物専用の特殊な結界を張ってあるから、勝手に他の場所には行かない様になってるよ。そこは安心して」

勇者「で、でも、そのせいで近くの町の人達から魔境みたいな感じで言われてたんだけど!」

女闘神「そうなのか? でも、あいつら、こっちから攻撃しない限りは大人しいもんだぞ? 植物や、特定の種類の魔物しか食べないから、人間が襲われる事なんてないし」

女大富豪「そもそも昔から交流とかほとんどなかったしね、この村。別に困る事はないんじゃないかな? 村の人達も何人か移動魔法覚えてるし……」

真魔王「この村だけでほとんどの事が賄えるから、町に行く必要もあまりないしね。僕らもちょこちょこ里帰りしてるから、その時に必要な物とかは全部調達してるしさ」

剣聖「まあ、何か問題があれば村長とかが言うと思うんだ。でも、この十年間、特に何もなかったからな」

女闘神「魔境は言い過ぎだけど、みんなもう慣れちゃってるからさ。別にいいんじゃないか?」

勇者「」

魔学者「」トコトコ

魔学者「おや……」


聖女「あ、おじさん! ただいま!」

剣聖「魔王を倒して戻ってきたぜ!」


魔学者「ああ、うん、聞いてるよ。おめでとう。魔老師さんもきっと冥界で喜んでくれてると思う。良かったね」ニコッ


真魔王「ありがとうございます!」

女闘神「おじさんにそう言ってもらえると嬉しいよ!」

女大富豪「あ、それで約束通り勇者を連れてきたわよ! 勇者、この人が魔学者さんね」

勇者「え、あ、うん!」


魔学者「そうか……君が例の勇者か」

魔学者「初めまして、勇者。ひょっとしてもう聞いてるかもしれないが、私は魔物でね。……申し訳ない。今更だが、勇者を含めてこの世界の人達には悪い事をしたと思ってるよ」

魔学者「虫のいい話かもしれないが、私の話を最後まで聞いてくれないかな。それで、私の事を判断して欲しい。その上で、出来れば私の罪を許してくれると嬉しいんだが……」

魔学者「どうか、お願い出来ないかな」


勇者「あ、いえ! もう皆から話は聞いているので……。少なくとも俺はあなたの事を恨みもしなければ、過去の事をどうこう言うつもりもないです」


魔学者「そうか……。もう聞いていたか……。すまないね、勇者。君の器量に感謝するよ。本来なら殺されても文句は言えない立場だからね」

勇者「いえ、気にしないで下さい。あなたは亡命してこちらに来たようなものなので。亡命者を冷遇するつもりはありませんから……」

魔学者「そう言ってもらえると、私も気が楽になるね。ありがとう」ニコッ

勇者「いえ。俺は大した事は何も」


魔学者「ところで……」チラッ

魔学者「君ら全員がここへ来たという事は、勇者を紹介するだけじゃないんだろう? 例の『あれ』かい?」

聖女「うん。そうだよ」

剣聖「魔王も倒したし、これで気持ちよく最後を飾りたいからな!」

魔学者「はははっ。そうだろうね。それに今回は勇者もいるし、尚更か」ニコッ

魔学者「だけど、今回、私が生み出した合成魔獣は強いよ。君達で相手になるかな?」

女大富豪「それ、必ず言うよね、おじさん」

真魔王「そして、毎回その『例のセリフ』を聞くたびに苦労させられてきたからね。だけど、今回は勇者もいるし、結構あっさりいくと思うよ」

女闘神「だな! あたしらも相当強くなってるし、今回こそはすぐ終わりにしてやるから!」


勇者「??」

勇者「あの……女大富豪、これは……」


女大富豪「ああ、いつもの事なの。おじさんが魔獣を掛け合わせて作った合成魔獣が毎回とっても強くてね」

女大富豪「だから、私達は子供の頃から、その合成魔獣で腕試しをしてきたのよ。牧場の奥の方に、おじさんが作ったそれ専用の洞窟があるから」

女大富豪「その中に強力な合成魔獣が何匹もいるって訳ね」

勇者「……それってもしかして、人工的に造ったダンジョンって事?」

女大富豪「そうね。仕組みは私達にもよくわからないんだけど、その洞窟は何か難しい装置で異空間と繋がる様にしてあるのよ。おじさんが言うには『次元の狭間』と繋げてあるらしいわ」

女大富豪「だから、そこでどれだけ派手な事をやっても平気なの。修行にはもってこいの環境になってるから」

勇者(……もう、何が何だか)


女大富豪「勇者、私達がこうやって強くなれたのも、そこでひたすら強敵と戦ってきたからなの。皆と協力して、おじさんが生み出した魔獣を倒していったから」

女大富豪「私はその中でほとんどおいてけぼりだったんだけど、今回は魔導機神があるから一緒に参加出来るし、ちょっとそれが楽しみなんだ」

女大富豪「それに、どれだけ強くなったか実感出来るから、今じゃ皆も楽しみにしてるみたいだしね。女闘神なんか特に」

女大富豪「って事で、勇者も一緒に参加して戦いましょ。これが皆でやる最後の締めだと思って。勝って気持ちよく終わりたいって皆が思ってるし、ね?」

女大富豪「どんなに強いって言っても、魔王よりは弱いだろうしさ。勇者なら楽勝だよ」ニコッ

勇者「……う、うん」


勇者(皆と一緒なら、多分、大丈夫かな……? それに、いざとなれば、ミナデイン使えばどうにかなるだろうし……)


勇者「わかった……。じゃあ、俺も参加するよ。皆がそこで一緒に戦いたいっていうなら、折角なんだし」

女大富豪「やった! じゃあ、決まりだね!」

ここまで
ちょいと予想より長くなったんで、ここで分ける

ー 牧場奥の謎の洞窟 ー


魔学者「さてと……ここだよ。こうしてるとただの普通の洞窟なんだけどね。異空間と繋げる事で、無限の空間が広がる様になってるから」

勇者「はあ……」


剣聖「それで、ここの端にあるこの四角い巨大な機械な。これを操作すると異空間と繋げる事が出来るんだ」

聖女「おじさん、こういうの造るの得意なの。改めて思うけど、凄いよね」

女闘神「で、その異空間の中は階数式に作られてて、今のところ地下1861階まであるんだ」

真魔王「新しく強力な魔獣を生み出す度にフロアを一つずつ増やしていってるからね。つまり、これまで合計で1861体いるって事だね」

女大富豪「ただ、私達はそのフロア全部を今までに踏破してるから、今度行くのは地下1862階って訳だけど」

魔学者「そうだね。それじゃ、その地下1862階まで空間を繋げるから。少し待っててくれ」カタカタ、カタカタ、ポチッ


ヒュイーン…… (洞窟の中の景色が揺れる)


魔学者「うん、いいよ。繋がった。それじゃあ、皆で頑張って倒してきなさい」

魔学者「倒せるものならだけどね」ニコッ

剣聖「ああ! 任せてくれ! 目にもの見せてやるからな!」

魔学者「そうかい。期待しながら牧場で待ってるよ。魔獣達に餌をあげる時間なんで、私はこれで失礼するからね。また後で」ニコッ

女闘神「ああ、ありがとな、おじさん! すぐに勝利報告持って来るよ!」

魔学者「ははっ、了解。それじゃ」テクテク

聖女「うん、またね、おじさん」

剣聖「さて。それじゃ、行くか! 気合い入れてくぞ!」

女闘神「ああ! 魔王にぶつけられなかった分の拳を、ここで全部ぶつけてやる!」

聖女「勇者も女大富豪ちゃんも来るし、六人とか初めてだよね! 頑張ろうね!」

真魔王「そうだね! 勇者を含めた最強のパーティーの初お披露目なんだから!」

女大富豪「全力で一気に片付けるよ! ゴーレム、来なさい!」


ドヒュンッ……!!

魔導機神「」ドガァッシャン!!! (着陸)


女大富豪「よっと!」ピョンッ

女大富豪「それじゃ、準備はこれでオーケー!」ガコッ、ウィーン…… (搭乗)


聖女「行こっか、勇者!」ニコッ

勇者「あ、うん。そうだね。じゃあ、俺も気合い入れていくかな」


勇者「みんな、勝とうな!! そして、気持ちよく終わらせよう!!」


「おーーーっ!!!」


勇者「行くぞっ!」タタッ (洞窟内へ)

「うん!!」

ー 洞窟奥、異空間

  地下1862階 ー



ウニューン…… (ワープ)


勇者「ん……。何か変な感覚だね、これ。ちょっと揺れるっていうか……」

剣聖「初めてだとそうかもな。俺達はもう慣れてるけど」テクテク

聖女「でも、中は普通でしょ? 明るいし、いかにも洞窟の中って感じになってるし」テクテク

真魔王「そこら辺は幻想らしいんだけどね。僕らのイメージがそのまま景色になってるらしいから」テクテク

女大富豪『それで、魔獣がいるのはあの大きな扉の向こうね。初回は必ず周りのダンジョンを作ってないから、すぐ奥に今回おじさんが生み出した魔獣がいるはずよ』

剣聖「こうして、ここで一旦、戦いの準備が出来る様になってるんだ。それじゃ、聖女と真魔王、いつものを頼むぞ」

聖女「うん」

真魔王「了解」


勇者「いつもの?」


女大富豪『補助魔法。先にかけておいた方が良いからね』

勇者「ああ、そういう事か。確かにね」

聖女「それじゃ」チラッ

真魔王「うん。いくよ」


「世界に潜む全ての精霊達よ。この地、この場にいる者達に、聖なる加護と祝福を与えたまえ……」パァァ

「時の支配者よ。我らに力を貸せ。一時の加速を我らに与えよ」キュイーン

「慈愛と幸運をもって、わたしたちに再生の力を与えたまえ……」パァァ

「障壁魔法! 物理・魔力、その全ての攻撃に耐えうる力を我らに!」ピキンッ

「そして、わたしたちの身体を浄め祓いたまえ……。毒や麻痺などから身を守る力をわたしたちに……」パァァ

「倍力魔法! 物理・魔力、その全てを強化せよ!」ビキッ


『勇者達の全ステータスが8倍に上がった!!』

『勇者達の素早さが3倍に上がった!!』

『勇者達に自動回復がかかる様になった!!』

『勇者達の防御力が4倍に上がった!!』

『勇者達の状態異常が全て無効化された!!』

『勇者達の攻撃力が4倍に上がった!!』




女大富豪『で、私はエネルギーを先に出力限界までチャージしといてっと』ガチッ

魔導機神「」ギュイーン!!

女大富豪『そして、リミッター解除!』ガコンッ!!

女大富豪『よーし、準備完了よ。これで、二十分の間だけ、鬼の様に強くなるからね! 燃費とか全く考えないから、後から完全に動けなくなるけど!』ガチャッ

魔導機神「」ピカッッ!!!

『ウイングフリーダムゴーレムの性能が30倍に上がった!!』


剣聖「俺も久々に二刀流を使うぞ。一年ぶりだな」チャキッ、チャキッ

『剣聖の攻撃回数が倍に増えた!!』


女闘神「あたしも殺意を拳に混ぜてくぜ。鬼神化モードに入る!!」ゴオオオッ……

女闘神「滅ッッ!!!」グオオアアッ!!!

『女闘神の攻撃力が2倍に上がった!!』



ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…… (震動)



勇者(なにこれ怖い……。みんなの気合いだけで空間揺れてるんだけど……)ガクガク

女闘神「」フシュルルルルルッ!! (鬼神化)

女闘神「殺ス……! 何モカモ……!!」グオオオオオッ!!


剣聖「理性まで完全に飛ばすなよ。抑え込めよ」

女闘神「ワカッテル……大丈夫……」フシュルルルルルッ!!


真魔王「勇者も準備はいい?」

勇者「あ、うん! 俺はこのままで大丈夫だから!!」アセアセ

真魔王「よし! じゃあ、みんな。開けるよ!」


「おうっ!!」



真魔王「突撃っ!!!」ガチャッ



女闘神「ウォアアアアアアアッッッ!!!!」ダダダダッ、ダンッ!!!

剣聖「推して参るっ!!!」ダンッ!!!

聖女「女神様、わたしたちに祝福を!!」ダダッ

真魔王「覚悟してもらうよっ!!!」ヒュインッ!! (飛翔)

女大富豪『いっけえええっ!!!』ガコッ
魔導機神「」ズギュンッッ!!! (急発進)


ドンッ!!! (衝撃&風圧)


勇者「うわああああっ!!」ゴロゴロ、ドンガラガッシャーン!!!




バタンッ!!! (扉閉まる)


『勇者は取り残された!!』

ー 扉の奥 ー



「いたぞっ!! 奴だなっっ!!」



全てを超えし者(竜タイプ)『む……?』ジロッ (全長78メートル)



剣聖「先手必勝!!」ダンッ!!! (大ジャンプ)

女闘神「覚悟ッッ……!!!」ダダダダッ!!!

聖女「みんなの最強技で一気に決めるよ!」サッ (構える)

真魔王「終わらせる!」ヒュインッ!! (空中旋回)

女大富豪『突撃っっ!!』ガコッ
魔導機神「」ドギュッッ!!!




全てを超えし者『ほう……。我に挑むのか……。無謀な挑戦者達よ』

【全種族を超えた最強の存在】
『体力 :物凄い
 攻撃力:計れない
 防御力:半端ない
 魔力 :ヤバい
 素早さ:おかしい』

特殊能力:即死攻撃無効
    :全ステータス異常無効
    :自動回復・自動再生
    :自動魔力回復
    :一撃死無効
    :強化変身(残り3回)

剣聖「刻めっ!!」

剣聖「我が魂を賭けた一撃っ!!!」


「最強奥義!! エ ン ド オ ブ ハ ー ト !!!」

「 二 刀 流 !!!!」

『右手で聖なる力を用いた魔法剣技を、左手で暗黒の力を用いた剛剣技を、流れる様に交互に連続で相手に斬りつけていく、全ての剣技を極めた剣聖ならではの最高技!』



剣聖「はあああああああっ!!!!」

ザシュッ!! ドシュッ!! ズバッ!!!! ズババババババッッ!!!

『9999億(攻撃力)×32倍(補助魔法効果)×100倍(技威力)×18連撃×2回(二刀流)!!!』
(トータル、3199兆×36撃)



全てを超えし者「ふむ……」

『全てを超えし者に36のダメージ!!』


剣聖「!!??」

女闘神「殺スッ!!!」グオオアアッ!!!

女闘神「アタシノ最強奥義デッッ!!!」ザッ!!


「 超 烈 波  真 滅 撃 乱 舞 !!!!」

『魔力を拳と足に凝縮させて強化し、更に全身を硬気孔で包みながら突撃して、一撃必殺の攻撃を連続して相手に叩き込む、攻撃に特化した最凶の荒技!』



女闘神「ウオオオアアアアアアアッッッ!!!!」ダンッ!!!


ズガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガッ!!!!!

『9999億(攻撃力)×32倍(補助魔法効果)×240倍(技威力)×19撃!!!』
(トータル、7679兆×19撃)



全てを超えし者『この程度か……』

『全てを超えし者に19のダメージ!!』



女闘神「!!??」

聖女「行くからね!!」

聖女「月よ! 星よ! 太陽よ!!」

聖女「この世の闇を払い、光と幸福をもたらす大いなる存在よ!!」

聖女「この者に裁きの鉄槌を!!!」


「 終 末 の 光 !!!」

『この世で最も質量の大きい存在である惑星や恒星の力を借りて、巨大な裁きの光を与える、五人の仲間の中でも最強に位置する全体攻撃!』



ピカッ!!!


ズドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッッッッ!!!!!

『9999億(聖力)×32倍(補助魔法効果)×6000倍(技威力)』
(トータル、19京1980兆)


全てを超えし者「…………」

『全てを超えし者に1のダメージ!!』


聖女「!!??」

真魔王「万物を司りし七種の魔力元素よ!」

真魔王「我が名の下、一つに集い、その力の全てを解き放てっ!!」ゴゴゴゴゴ


「七種合成!! ア ル テ マ レ イ ン !!!」

『火・水・風・土・木・光・闇、の七大魔法攻撃を全て一つに融合する事で、どの魔力属性にも属さない無属性の爆発魔法となるアルテマ。それを天から雨霰の様に降り注がせる真魔王オリジナルの最強全体攻撃魔法!』



真魔王「終われっ!! 終焉の時を見ろっ!!!」


キランッ!!!!


ヒューーーーーーーーーーーーンンンッッッ!!!

ズガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガッッッッッ!!!!!

『9999億(攻撃力)×32倍(補助魔法効果)×2倍(技威力)×2500撃!!!』
(トータル、63兆×2500撃)



全てを超えし者「……消えよっ!!」バリンッ!!!

『全てを超えし者は気合いでかき消した!!!』


真魔王「!!??」

女大富豪『今こそこの技を使う時よっ!!』ガコッ

女大富豪『背面大型魔力サーベル起動! 出力最大! 限界突破して目一杯まで!』グイイッ!!!

魔導機神「」バサアアアアッ!!! (光の翼が出現)


『背後に取り付けられた巨大な魔力サーベルが展開されると、その形状から光る翼の様に見える事からこの名前がつけられた。本来は空中を駆け抜け敵を葬り去る多対一用の武装だが、出力の高さからその威力は最も大きい!』



女大富豪『突撃するよ!! 喰らえっっ!! 滅亡のプレリュード!!!』ガコッ!!!

魔導機神「」ドギュアアアアアアアアアアアアアアッッッ!!!!

『9999億(攻撃力)×30倍(リミッター解除)×1000倍(技威力)!!!』
(トータル、2京9997億)



全てを超えし者『効かぬっ……!』ガギッ

『全てを超えし者は光の翼を止めた!!!』



女大富豪『まだよっ!! ここからが本番っ!! 喰らいなさい、零距離ツインバスターライフルをっっ!!』ガチッ!!

女大富豪『この距離なら防御も効かないわっ!!! いくわよっ! 破滅のレクイエム!!!』ガコッ!!!


女大富豪『光になりなさいっ!!!』

魔導機神「」ドッッゴゴゴゴゴゴゴゴゴオオオオオンンンンンンッッッ!!!

『9999億(攻撃力)×30倍(リミッター解除)×800倍(技威力)×6倍(距離補正)!!!』
(トータル、14京3985兆)



全てを超えし者『……それで終わりか。無駄な事を』

『全てを超えし者に1ダメージ!!』


女大富豪『!!??』

剣聖「お、俺達の攻撃が全く効いてないっ!?」

女闘神「ア、アリエナイッ……!!!」

聖女「わたしたちの最強の技が全部……!!」

真魔王「ろくなダメージを与えられないなんてっ!!」


女大富豪「そうだっ! ゆ、勇者は!! 勇者ならきっと!!」アセアセ

剣聖「ああ! 俺達じゃ駄目だが、勇者なら必ず……!! い、いない!!??」キョロキョロ

聖女「な、何で!? 何でいないの!?」オロオロ

女闘神「勇者! ドコニ消エタッ……!?」アタフタ

真魔王「まさか! いきなりやられたとかそんな事は……!!」オロオロ

女大富豪「そ、そんな訳ない!! 勇者の事だから絶対に無事よ!! どこに行ったのよ、勇者!!」アタフタ


ガチャッ


勇者「あいたたた……。まさか、あれだけで吹き飛ばされるなんてなあ……」


「勇者ぁぁ!! 良かった!! ちゃんといたんだね!!」


勇者「え、あ、うん……? そりゃいるけど……」

剣聖「勇者! 悪いが頼む、あいつを倒してくれ!!」

勇者「あいつ?」



全てを超えし者『……ほう。お前が伝説の勇者とやらか』(全長78メートル)


勇者「デカッ!!!!」



女大富豪『私達じゃダメだったの! 強すぎて歯が立たなかったわ! だから、勇者!!」

聖女「うん! お願い、勇者!! わたしたちの攻撃がほとんど効かなかったから、もう勇者に頼るしかないの!!」


勇者「!!??」


真魔王「勇者、魔王を倒したあの魔法を!!」

女闘神「アア! 『ミナデイン』ヲ!!」


勇者「え! で、でも……!!」



全てを超えし者『面白い……。これも一興だ……。試して見るがよい』


剣聖「勇者!! 決めてくれ!! ここなら全力で撃っても構わないから!!」

聖女「お願い、勇者!!」


勇者「う、うん……! わかった! よくわからないけど、皆がそう言うなら信用するよっ……!!」

勇者「最強の一撃を、あいつに!!」

勇者「」スッ (手を上にかざす)

勇者「加減はしない!! 全力で行くっ!!」


「伝説魔法!! ミ ナ デ イ ン !!!」



ピカッッッッ!!!

ズゴゴゴゴゴゴッッッ……!!!! (雷雲が一気に現れ、雷鳴が激しく轟く)


ドガガガガガガガガガッシャアアアアアアアアアアァァァァァァンンンッッッ!!!!!  (落雷)


『158兆(補正が入った全員の総攻撃力)×8倍(技威力)×20倍(仲間からの信頼補正)』
(トータル、2京5280兆)



全てを超えし者『む……』

『全てを超えし者に1のダメージ!!』


全てを超えし者『期待外れだな……』
残り体力:物凄い



勇者「」
剣聖「」
聖女「」
女闘神「」
真魔王「」
女大富豪「」

全てを超えし者『つまらぬな……。余興の時間もこれで終わりとするか……』

全てを超えし者『無へと帰すが良い』フインッ……


『全てを超えし者は魔力を溜めている!!!』


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!!!



勇者「あ、あ、あ……」ガクガク、ブルブル

剣聖「か、勝てない……!! 何だこの膨大な魔力は……!!」ガクガク

女闘神「む、無理だ……! こんな化物……!!」ガクガク

聖女「け、結界を張らないと……! し、真魔王も急いで……!!」ガクガク

真魔王「う、うん……!! ぼ、防御結界を早く……!!」ガクガク


『我らを救いたまえ!! 巨大な災厄からどうか我らを守りたまえ!!』ビキキキッ!!!


女闘神『ガ、ガードモード!! シールドに全魔力を注ぐわよ!!! 何とか耐えてっっ!!!』ガクガク

魔導機神「」ガキッ、ギュイーン!!! (盾を構える)

全てを超えし者『』ピタッ

シーン……


全てを超えし者『終わりだ』

『 世 界 が 崩 壊 す る 日 』

『 オ ー バ ー ザ メ テ オ !!!!』

(一撃で世界を崩壊させる巨大魔法弾。それが限りなく無限に近い個数、墜ちて来る)



ギガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ!!!!

『計測不能(攻撃力)×メチャクチャ(技威力)×ほぼ無限(攻撃回数)』
(トータル、激ヤバい威力×ほぼ無限の回数)



剣聖「ぐあああああああああああああああっっっ!!!!」バリンッ!!! バキンッ!!!

『天騎士の鎧が砕け散った!!』
『名剣デュランダルが折れた!!』
『伝説剣エクスカリバーが折れた!!』


聖女「きゃああああああああああああああっっ!!!!」バキンッ、バリンッ!!!

『奇跡のイヤリングが砕け散った!!』
『守護の宝石が砕け散った!!』


女闘神「うぎゃあああああああああああああっっ!!!!」バキンッ、バリンッ!!!

『豪力の籠手が壊れた!!』
『痛撃の具足が砕け散った!!』


真魔王「ぐああああああああああああああっっ!!!!」バキンッ、バリンッ!!!

『創成の勾玉が砕け散った!!』
『真実のペンデュラムが砕け散った!!』


女大富豪『きゃあああああああああああああっっ!!!!』

魔導機神「」メキャッ、バキッ、ボキッ、ズガンッ!!

『魔導機神は大破した!!!』


勇者「がああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっっっ!!!!」バキンッ、バリンッ、ゴキッ、メキャッ、ボキッ、ガキンッ、ズガゴラグワキィィィィーンンン!!!!

『伝説の剣が折れた!!』
『伝説の鎧が砕け散った!!』
『伝説の兜が壊れた!!』
『伝説の盾が砕け散った!!』


『勇者達全員に【とてつもなく恐ろしい】ダメージ!!!!』

全員の残り体力:→0



『勇者達は全滅した……!!!』

全てを超えし者『他愛なし……』



剣聖「」…… (骸)

聖女「」…… (骸)

女闘神「」…… (骸)

真魔王「」…… (骸)

女大富豪『』…… (骸)

勇者「」…… (骸)



全てを超えし者『いや……。これは……』



フワリ…… フイーンッ…… キラリッ……

『生命の波動が剣聖の体を優しく包む』

剣聖「っ……」ピクッ
残り体力:0→1


ピカーッ…… (どこからともなく光が照らされる)

【この者に祝福を……】

キラキラキラキラキラキラキラ…… (蘇生の光に包まれる)

聖女「ぅ……」ピクッ
残り体力:0→1


ドクッ…… ドクンッ……!!!

『自己蘇生の秘術』

女闘神「ぐっ……」ピクッ
残り体力:0→1


【まだです……。戻りなさい……】

『不老不死の秘法』

真魔王「ぅっ……」ピクッ
残り体力:0→1


魔導機神「生命維持装置、作動……」ガガッ、プシューッ……

バチンッ!!! ガコッ……(電気ショックによる心臓マッサージと、魔結晶の投与)

女大富豪『ぅぅ……』ビクンッ
残り体力:0→1



勇者「」…… (骸)
残り体力:0

全てを超えし者『…………』



女闘神「み……みんな……無事か……」

女大富豪『ギ……ギリギリ……だけど』

勇者「」…… (骸)

剣聖「なら……退くぞ……。逃げる……!」

聖女「お願い……真魔王……」

真魔王「……だ、脱出魔法……!」キランッ


フッ…… (脱出)



全てを超えし者『消えたか……』

全てを超えし者『ならば……腕を磨き、またいつでも来るが良い』



全てを超えし者『弱き者達よ』



全てを超えし者『我はそれまで眠りにつく……』

全てを超えし者『我を超えし者が現れるまで、我はここでいつまででも待とうぞ……』

ここまで

ー 牧場奥の謎の洞窟前 ー


フインッ…… (テレポート)


剣聖「うっ……」ドサッ (その場に倒れこむ)

聖女「あうっ……」ドサッ

女闘神「ぐぁ……」ドサッ

真魔王「くっ……」ドサッ

女大富豪「ぅっ……」ドサッ


魔導機神「」グラッ、ガラガラ (壊れて崩れ落ちる)



剣聖「な、何とか……帰って来れたな……」ゴロンッ (仰向けになって、その場に大の字で寝転ぶ)

聖女「うん……。でも……しばらく一歩も動けなさそう……」ゴロンッ

女闘神「あたしもだ……。ちょっとダメージがデカ過ぎだな……。キツい……」ゴロンッ

真魔王「うん……。想像以上でさ……」ゴロンッ

女大富豪「体、全然動かない……。みんな、よく生きてたよね……」ゴロンッ

剣聖「本当だよな……。全員よく生きて帰って来れたもんだ……」

聖女「うん……」

女闘神「だよな……。ヤバかったよ……今回は」

真魔王「強すぎだよね……あの魔獣……」

女大富豪「全滅するかと思ったもんね……」


剣聖「…………」

聖女「…………」

女闘神「…………」

真魔王「…………」

女大富豪「…………」


剣聖「wwwwwwwwwwwwwww」

聖女「wwwwwwwwwwwwwww」

女闘神「wwwwwwwwwwwwwww」

真魔王「wwwwwwwwwwwwwww」

女大富豪「wwwwwwwwwwwwwww」


剣聖「参ったよなwwwwwどれだけ強いんだよwwwwwwwwあの魔獣wwwwwwwwwwww」

聖女「反則だよねwwwwwあんなのwwwwwwwwww」

女闘神「ムリムリwwwwwww今のあたしらじゃ絶対ムリだしwwwwwwww」

真魔王「勝ち目ないよwwwwwあんなのwwwwwwwwww」

女大富豪「不可能だってwwwww勝てる訳ないしwwwwwwwwww」

剣聖「俺なんか名剣を二本も折られたぞwwwwwwもう修復も出来ないぐらい粉々にwwwwwwwwww」

女大富豪「私のゴーレムもwwwww完全に壊されちゃったwwwwwww造るの苦労したのにwwwwwwww」

聖女「もうあまりにも強すぎてwwwww逆に笑えるよねwwwwwwwwww」

女闘神「おじさんwwwwどうやったらあんな化物育てられるんだよwwwwwwwwwww」

剣聖「だよなwwwwwあれはもうズルいよなwwwwwwwwww」

真魔王「ここまで手も足も出なかったのwwwwww初めてだしwwwwwwwwww」

聖女「おじさんwwwww今回は気合い入りすぎだよねwwwwwwwwww」

女闘神「大口叩いといてwwwwwぼろ負けしてるしなwwwwwあたしらwwwwwwwwww」

真魔王「おじさんのwwwww勝ち誇った様な顔が浮かぶねwwwwwwwwww」

女大富豪「悔しいwwwwwww見たくないのにwwwwwwww」


ダヨナ、アハハッ、ハハハッ、ハハハッ


剣聖「いやあ、笑った笑った」

聖女「負けちゃったけど、なんか楽しかったね」

女闘神「ああ、そして次の良い目標が出来たな」

真魔王「うん。どれだけかかるかわからないけど、皆であの魔獣を倒そう」

女大富豪「そうね。とりあえず、一年二年じゃ無理だろうけど。……三年後ぐらいかしら?」

剣聖「それぐらいなら、どうにかいけそうだな。その間、みっちり鍛えて出直しと行くか」

聖女「うん! 次こそはみんなであの魔獣を倒そう!」

女闘神「だな! 三年後にまた!」

真魔王「ここに全員集まって、今回の雪辱を晴らそうか!」

女大富豪「そうね! 私も新しい魔導機神をそれまでに造っておくわ! 今度は更にパワーアップさせてね!」

剣聖「おう! 勇者もそれでいいよな!」


シーン……


剣聖「?」

聖女「あれ……勇者……?」キョロキョロ

女闘神「え……」

真魔王「いない……? 何で……」

女大富豪「……え、ど、どうしていないの!? 何でまたいなくなってるの!?」


「勇者ぁぁぁ!!! どこに消えたの!!?」

ー 洞窟奥、異空間

  地下1862階 ー



勇者「」…… (骸)




全てを超えし者『…………まだ一人いたのか』

勇者「」…… (骸)


全てを超えし者『屍ゆえ、脱出魔法にかからなかったようだな……』

全てを超えし者『そして、置いていかれたか……。哀れな……』


勇者「」…… (骸)


全てを超えし者『…………』

全てを超えし者『せめて……蘇生ぐらいはしてやるか……。肉体の損壊が激しいが問題なかろう……』スッ


全てを超えし者『蘇生術!』ピカッ

『全てを超えし者は自分の魔力を勇者に分け与えた!!』


勇者「っ……」ピクッ
残り体力:0→1

『勇者の全パラメータが上がった!!』

【伝説の勇者】
『体力 :307
 攻撃力:213
 防御力:210
 魔力 :175
 素早さ:192』
    ↓
【強さを極めし伝説の勇者】
『体力 :2487
 攻撃力:1592
 防御力:1375
 魔力 :1080
 素早さ:1266』

タラッタラッタッター♪
『勇者のステータスが最大上限値まで上がった!!』

勇者「ぅ……こ、ここは……」


全てを超えし者『気が付いたか……勇者よ』


勇者「え……あ、ああ……」

勇者「そうか……。俺は……やられて……」

勇者「でも……どうにか生きてたのか……。きっと女神様が守ってくれたんだな……」


全てを超えし者『…………』(哀れみの目)

勇者「でも……体が全く動いてくれない……」

勇者「結局……殺されるのか……」

勇者「みんなは……」


全てを超えし者『……生きているぞ。辛うじてだったが』


勇者「良かった……」

勇者「なら……頼みがある」


全てを超えし者『……何だ?』


勇者「殺すなら……俺だけにしてくれ」


全てを超えし者『…………』(困惑)


勇者「みんな、俺の大切な仲間なんだ……だから。……頼む」

勇者「みんなは見逃してくれ……。後生の頼みだ……」


全てを超えし者『…………』(憐憫の目)

全てを超えし者『良かろう……。お前のその仲間を想う心に免じて、他の仲間は見逃してやる』

全てを超えし者『それまでお前は眠りにつくが良い……』スッ

全てを超えし者『催眠魔法』キランッ


勇者「……そうか……良かった」

勇者「感謝……す……る…………」トロンッ……

勇者「」スヤスヤ、スヤスヤ



全てを超えし者『…………』(同情の目)

ガチャッ!!!

剣聖「ゆ、勇者!! まだここにいるのか!?」


全てを超えし者『ふんっ!!』バッ

ドッゴオオオオンンンンッ!!!!


剣聖「ぐはあああああああっっ!!!」ドンガラガッシャーン!!!


バタンッ!! (扉閉まる)



「ちょっと、剣聖! また死んでるじゃない!!」

「聖女、蘇生と回復を!!」




全てを超えし者『…………』

勇者「」スヤスヤ


全てを超えし者『強さはともかく……仲間想いの見上げた男だな……』

全てを超えし者『勇者に選ばれただけはある』

全てを超えし者『あの者らの中では一番弱いが……器量は誰よりも大きいかもしれぬな』

全てを超えし者『どれ……我の力を多少貸し与えてやるか……。褒美だ。今よりはマシになるだろう……』

全てを超えし者『むんっ』パァァ


勇者「ん……」ムニャムニャ

「剣聖、勇者は中にいた!?」

「いや! 暗いし一瞬だったから、確認出来なかった!」

「とにかく、もう一度準備を整えて突撃しよう!」

「勇者を見つけ次第、すぐに逃げるよ! あたしらじゃ、まだ歯が立たないから!」

「真魔王は脱出魔法の用意を! 突撃は俺と女闘神でやる!」

「あたしらが何とか足止めだけでもするから、その間に聖女と女大富豪は勇者を探して! 頼んだよ!」

「よしっ! それじゃあ、もう一回!!」

「うん! 扉を開けるよ!」


ガチャッ!!!


剣聖「うおあああああっ!!」ダダッ、ダンッ!!!

女闘神「ぬぐあああああっ!!」ダダッ、ダンッ!!!


聖女「勇者ぁぁ! いるっ!?」ダダッ

女大富豪「いたら返事をして! 勇者!」

真魔王「勇者、ここにいるの!?」



全てを超えし者『……消えよ』

『 強 制 全 体 移 動 魔 法 !!!』


「しまった! また戻」

シュインッ!!!


『勇者達は全員地上へと飛ばされた!』



全てを超えし者『……あの勇者に祝福あれ』

ー 牧場奥の謎の洞窟前 ー


フインッ…… (テレポート)


剣聖「くそっ!」スタッ

聖女「戻されちゃった!」ストッ

女闘神「ちくしょう! 先に無効魔法かけておくべきだったな! 迂闊だった!」ストッ

真魔王「慌てすぎたね! とにかくもう一回行かないと!」ストッ

女大富豪「ええ! 勇者は多分まだあそこにいると思うからもう一度……え?」スタッ


勇者「ん……」ドサッ

勇者「」スヤスヤ、スヤスヤ


「ゆ、勇者!!!???」

剣聖「勇者、何でここに!!??」

聖女「さっきはいなかったよね!??」

女闘神「しかも寝てるぞ!? 勇者、起きろ、勇者! 起きろ!!」ユサユサ

勇者「ん……」

勇者「」ムニャムニャ


聖女「目覚めの言魂! 起きて、勇者!」パァァ

勇者「ん……?」パチッ……


真魔王「勇者、大丈夫!? 平気!?」

勇者「……う、うん。あれ……でも、何で俺……生きて」

勇者「殺されたと思ったのに……」


女大富豪「勇者がそんな簡単に死ぬ訳ないじゃない! きっと女神様が守ってくれたのよ!」

勇者「そう……なのかな……? 不思議だけど……まあいいか」

真魔王「それより、勇者、ごめん! 何故かわからないけど、勇者にだけ脱出魔法が効かなかったみたいで!」

女闘神「悪かった! あたしらだけ逃げ帰ってさ! 悪気はなかったんだけど、それで許される事じゃないよな! 本当にごめん!」


勇者「……?」

勇者(……状況がよくわからない。みんな、俺の代わりに助けてもらったはずだよね……?)


剣聖「すまない、勇者……。俺達、あまりの事に気が動転していたというか、浮かれていたというか……」

勇者(どうにか皆で夢中で脱出して……。それで、俺の事に気付かず急いで逃げ帰っちゃったって事かな……?)


聖女「本当に何て謝ったらいいか……わからなくて……」グスッ

女大富豪「ごめんなさい……勇者……」


勇者「いや……みんなが無事ならそれでいいよ。……俺もこうして生きてるしさ」


聖女「で、でも……」

女大富豪「うん……。それでもやっぱり……」

剣聖「ああ……。勇者は良くても俺達が自分自身の事を許せないんだ。だから……」


勇者「……気にしないで。あの後、どうなったか俺は知らないしさ。……だけど、こうして全員無事に生きてるんだし、それでいいよ」

勇者「……絶対に死んだと思ってた俺も、運良く生き残れたんだ。それだけで俺は満足だよ」


勇者「だから、帰ろう。みんなで」

勇者「俺達の村に。あの魔獣にはやられちゃったけど、魔王を倒したんだし、それで十分だよ」


「ゆ、勇者ぁぁぁぁ!!!」グスッ

「ありがとうっっ!! ごめんねっっ!!」ポロポロ


勇者「うん」ニコッ

勇者「それじゃあ……」ムクッ

聖女「あ、待って、勇者。まだ起き上がらないで。今、回復してあげるから」サッ

「この者の失われし体力を元に戻したまえ!」パァァ


勇者「ん……」
残り体力:1→9999億

聖女「どう? これでもう大丈夫、勇者?」

勇者「ん……何かまだ。もう一回お願いしてもいい?」

聖女「え、足りないの? う、うん、じゃあもう一度さっきより強めで」パァァ!!

勇者「…………」
残り体力:9999億→3兆


聖女「これでもう平気? 勇者」

勇者「あ、うん……。大丈夫だけど……」

勇者(……何だろ? おかしいな……)

勇者(……正直、まだ全然回復してない気がするけど。そんなにダメージ受けたのかな……?)

勇者(あ、違う……。そうじゃない……。聖女が俺が弱いとわかって、手加減してくれてるのか……)

勇者(気持ちはありがたいけど……そこまで手加減しなくてもいいんだけどな……。まだろくに回復してない感じだし……)

【伝説を超えし最強の勇者】
『体力 :8623京
 攻撃力:5807京
 防御力:5598京
 魔力 :4031京
 素早さ:5207京』


勇者(でも、これ以上回復してもらうのもあれだし、もういいか……。後で自分で回復させよう)

聖女「どうしたの、勇者?」(心配)


勇者「あ、ううん。何でもないよ、それより村に帰ろう」

勇者「帰って村長さんとか村の皆に報告して、それで魔王を倒したお祝いをしよう。きちんとお祝いするの、これが初めてだしさ」


「うん!!」


勇者「それじゃあ、行こう、みんな!」

勇者「凱旋するよ!」


「うんっ!!!」

こうして少しの寄り道をした後で、勇者達全員は村へと戻る道を歩み出す。

その途中、魔学者にも報告しに行き、魔獣にあっさりと負けた事を告げると、魔学者は笑って「また今度挑戦しなさい」と得意げな顔を見せた。

勇者以外は全員笑って「はい!」と元気よく答えた。勇者は困惑しながらも、修行しようと心に決める。


彼もまた、あの仲間の一員。強き向上心を持つ者。


負けようとも、仲間に気後れを覚えようとも。最終的には、彼は前を向いてその先を目指す。


例え、強さの才能はなくとも。時に、弱き心を見せようとも。


勇者は常に歩み続ける。真っ直ぐに、道を間違える事なく。


そんな勇者だからこそ、仲間達は信頼し、その命を勇者に預け共に前へと進む。


強いだけが勇者ではない。強さだけでは勇者になれない。


先に立って前へと進める者。その後ろに人はついていく。


だからこそ、人は勇者を必要とし、憧れる。


彼は正真正銘の勇者、その事に一切の間違いはない。


勇者に栄光あれ、幸福あれ、そしてその道に光あれ……。


勇者の先に道はなく、しかして勇者の後に道は出来るのだから……。


ー 夜、宴会後

  約束の木の切り株近く ー


勇者「……楽しかったな、宴会。みんな喜んでくれて、祝ってくれて……」

勇者「お墓参りも済ませたし……。魔老師さんにも、俺の両親にもきちんと報告する事が出来た……」

勇者「ついこの前まで、こんな事、想像もしなかったな……。でも、本当に魔王を倒したんだよな……俺」

勇者「あっさり過ぎるぐらいに終わっちゃったから、感慨はあまりわかないけど……」

勇者「……でも、こうして祝われたり、報告したりすると、その実感が少しずつわいてくるから不思議だな」

勇者「素直に嬉しい……。それがどんどんはっきりした形になっていって……」

勇者「今まで魔王を倒す事を目標にしてたけど、実際はそうじゃなかったんだってのがよくわかるや……」


勇者「俺はきっと……」

勇者「魔王を倒したその先にある、平和な世界が欲しかったんだ……」

勇者「みんなが、ずっと楽しく笑顔でいられるようなそんな世界が……」


「いかにも勇者らしいな」


勇者「?」クルッ


剣聖「よう、酔いざましに外に散歩に出たって聞いたからな。俺も出てきたよ」

勇者「剣聖……」


剣聖「平和か……。確かにそれが一番だよな。師匠もよくそんな風に言っていた。争いは人を悲しませるだけで他には何も生み出さないってな」

勇者「うん。その通りだと思う。平和が俺は好きだよ。もっと言えば、人の笑顔が好きなんだ」

勇者「子供の頃に散々泣いたり、泣かされたりしてきたからかな……。泣くのが嫌でさ。自分だけじゃなく、誰かが泣いてるのを見るのも辛いよ」

勇者「だから、みんなが仲良く出来たらそれが一番だと思う。そして、そうなる様にしていきたい」


剣聖「師匠の教えを受けてないのに、師匠の教えを知る、か……。流石は勇者だな。俺では多分そうはいかないだろうからな」

勇者「そんな事ないよ。立場が逆だったら剣聖もきっと俺と同じ事を思うんじゃないかな」

剣聖「どうだろうかな……。俺がもしも子供の頃、勇者の境遇に立たされていたら、ひねくれて暴力に走ってそのまま育ちそうな気がするからな」

剣聖「勇者みたいに、人の辛さや痛さがわかる人間にはならなかったと思う。今でもどうだか。その自信がないしな」

勇者「そんな事はないよ、剣聖は立派だよ」

剣聖「いや……この歳になって、更には国王にもなったってのに、未だに俺は半人前だ。成長すればするほど師匠の偉大さが身に染みる日々だよ」

剣聖「これまでした失敗は数多くあるし、後悔はその倍以上あるからな。今日の事にしたってそうだ」

勇者「今日?」

剣聖「ああ、勇者がいない事に気が付かないまま、俺達だけで盛り上がっていた事だ」

勇者「ああ、なんか宴会の時、みんなからも似たような事を言われて、また謝られたっけ。全員、気にしないでって言っておいたんだけど……」

剣聖「酒も入ってて感情が出やすかったんだろう。みんな、許してもらったとはいえ、まだ気にかけていただろうからな」

勇者「前も言ったけど、正直、あの時の事を俺はほとんど覚えてないから、いいんだけどね。みんなが助かってほっとした事しか記憶にないし……」

剣聖「とはいえな。勇者はそれで良くても、俺自身にはわだかまりというか、しこりが出来てしまっているからな」

剣聖「だから、今からけじめをつけさせてくれないか、勇者」

勇者「けじめ?」

剣聖「ああ、俺を一発殴ってくれ。勝手な言い分かもしれないが、それですっきりさせたいんだ」

勇者「殴れって……。やめようよ、剣聖。そんな事しなくても」

剣聖「いや、頼む。それで俺は今回の事にけじめをつけるつもりだ。そういう気質だからな」

勇者「そういえば……昔もこんな事が一回あったけ。子供の頃にさ」

剣聖「ああ。あの時も最初は勇者は拒否したけど、最終的には一発殴ったよな。だから、今回も頼む」

勇者「……わかった。なら、これでお互い忘れようか。もうこの話はなしで」

剣聖「ああ。そのつもりだ。だから、勇者。手加減とかせずに、思いっきりいってくれよ」

勇者「うん。じゃあ……」スッ (構える)

剣聖「おう」(歯を食い縛る)


「行くよ!」

「来い!」


「せーのっ!!」



ズガゴラバキボキガッキーーーーーンンンンッッ!!!!!!!


「ごぶがらぎぶごふごあああああああああああああああああああああっっっ!!!!」


ヒューン……キラーン!!!



「け、剣聖ーーーーーーーーーーーっっっ!!!!」


その日、夜空に一つの流れ星が舞った。


それを眺めた人の何人かは、揃って夜空に向けて似たような願い事をした。


「この平和がずっと続きますように……」



その願いはきっと叶うだろう。

勇者と、その勇者の仲間達がいる限りは、永遠に……。



残された記録によると、勇者達の旅はここで終わりを迎える事になる。


勇者は途中でなついた天海竜と共に王都へと戻り、しばらく経った後で姫と結婚式を挙げた。

その後は、王族の一員として勇者として、教育制度や福祉制度の改善、軍から離脱したはぐれ魔物への対処などに尽力を注いだ。


剣聖は東の国へと戻り、王として再び政務に取り組んだ。後に東の国は完全な立憲君主制の国家へと変わる。


聖女は中央国へと戻り、女と共に教会の悪しき風習や規則を一新した。その後は妖魔の森へと旅立ち、そこで竜と暮らす道を選択する。


女闘神はアジトへと戻り、海賊団を解散させて新しく巨大な貿易商会を立ち上げる。


真魔王は異界へと戻り、そこで変わらず魔法の研究と開発の日々を過ごした。


女大富豪は各国を旅しながら、魔物がいなくなった為にこれから必要とされるであろう、街道の建設や整備、交易事業、交通事業、観光事業などに精力的に着手した。


全員が全員とも、自分の責務を果たし、平和でより良い世界を作る努力を惜しまなかった。


その傍ら、修行や訓練・研究や開発も怠る事なく、自身を磨き続けた。


そして、三年後……。

ー 山奥の村、牧場奥の謎の洞窟前 ー


名馬「」パッカ、パッカ


勇者「どうどう」

名馬「」ヒヒーン


勇者「ここに来るの、懐かしいな。全然変わってないや」ストッ

名馬「」バルルッ


「あ、来たよ! 勇者ぁー!!」


勇者「久しぶり、みんな! 元気にしてた!」

剣聖「ああ、この通り元気だ! 勇者も元気そうで何よりだな」

【天下無双の大剣聖】
『体力 :9999垓
 攻撃力:9999垓
 防御力:9999垓
 魔力 :9999垓
 素早さ:9999垓』


聖女「うん! わたしも元気だよ! 勇者だけなかなか会えなかったから寂しかった」

【竜に愛されし大聖女】
『体力 :9999垓
 攻撃力:9999垓
 防御力:9999垓
 聖力 :9999垓
 素早さ:9999垓』


女闘神「子供が生まれて大変だったのはわかるけどさ! あたしらの事も気にかけなよ!」

【武を極めし女大闘神】
『体力 :9999垓
 攻撃力:9999垓
 防御力:9999垓
 魔力 :9999垓
 素早さ:9999垓』


真魔王「みんな、勇者になかなか会えなくてがっかりしてたんだからさ」

【異界に君臨せし超真魔王】
『体力 :9999垓
 攻撃力:9999垓
 防御力:9999垓
 魔力 :9999垓
 素早さ:9999垓』


女大富豪「だよね。集まる度にまた勇者がいないんだってみんな残念がってたんだから」

真魔導機神「」…… (全長49メートル・人型)

【最終決戦兵器・真魔導機神ディスティニーエボリューションゴーレム、ミーティア装備】
『耐久力:9999垓
 火力 :9999垓
 装甲 :9999垓
 運動性:9999垓
 持続力:9999垓』


勇者「ごめん、各国を回る事が多かったし式典式典で都合がつかない時が多くてさ」

【伝説を超えし最強の勇者】
『体力 :8623京
 攻撃力:5807京
 防御力:5598京
 魔力 :4031京
 素早さ:5207京』

魔学者「おや、揃ったようだね」

勇者「はい。魔学者さんもお久しぶりです」

剣聖「おじさん、ようやく前回の雪辱を果たせそうだぜ。俺もあれから修行して相当強くなったからな」

女闘神「あたしも! 三年前とは比べ物にならないぐらい強くなったよ! 今度こそ、倒してみせるから!」

聖女「うん! わたしも頑張って特訓したからね!」

女大富豪「私だって、前回より格段にパワーアップさせた機体を開発したんだから!」

真魔王「僕も新しい魔法を幾つも開発したよ。今度こそは必ず倒してみせるから」

勇者「俺もそうだよ。皆に負けないよう限界まで修行してきた。今回はそう簡単には負けないつもりでいるから」


魔学者「そうですか。それは頼もしい。ですが、そう簡単にはいきませんよ」


剣聖「いや、いけるさ。みんな、装備も一新してきたし、次こそは」

聖女「うん!」


魔学者「ふふっ。わかりました。期待してまた待っていましょう。頑張って下さいね」


勇者「それじゃあ、行こうか、みんな! これで本当に最後の戦いにしよう!」


「おーっ!!」


魔学者「」ニコニコ

ー 洞窟奥、異空間

  地下1862階 ー




全てを超えし者『……そろそろあやつらが来る頃か』

全てを超えし者『再び絶望の狭間へと叩き落としてやろう……』

ー 洞窟奥、異空間

  地下1863階 ー




真・全てを超えし者『……奴が倒されたら我の出番か』

真・全てを超えし者『どこまでやれるか、見届けてやろう……』

真・全てを超えし者『我が元まで来れればの話だがな……』

ー 洞窟奥、異空間

  地下1864階 ー




絶・全てを超えし者『……奴らが倒されたら我の出番か』

絶・全てを超えし者『まだまだ当分はかかりそうだがな……』

絶・全てを超えし者『果たして生きてる内に我まで辿り着けるかどうか……』

……勇者に関する伝承は相当数残されているが、その中のどれ一つとして、勇者達がこの様な際限なき戦いに挑んだという記録はない。

勇者の戦いは魔王で終わり、それ以降は訓練以外で一度も剣を振るった事がないとされる。


だが、『名もなき告白』によると、この終わりなき戦いは28年後まで続き、そこで勇者達一行は遂に最下層の魔物を仕留めたと記述されている。


なお、その頃には、勇者は完全についていけなくなり、仲間の帰りを洞窟前で待っていたとある。


勇者はその時の心境をこう綴る。


「寂しくなかったと言えば、嘘になる。でも、同時に誇らしくもあった。これだけ強い仲間達が、それでもこんな弱い俺をいつまでも慕ってくれているのだから」


『名もなき告白』は最後にそう締めて、「ありがとう」という言葉と共にその物語にピリオドを打っている。


果たしてこの書物は、空想で紡がれた物語なのか、はたまた現実にあった出来事なのか。それは最早誰にも判別がつかない。


勇者もその仲間達も、多くを語らなかったから。


後に残るは人の噂とそれをまとめた記録のみ。


ただし、この二点だけは間違いなくはっきりとしている。


一つは、この勇者パーティーが、歴史上最も強いパーティーだという事。


そして、もう一つは……。


彼等の働きによって、この世界は長い間、平和な歴史が続いたという事である……。




今でも人々は勇者達に対して感謝する心を忘れない。

この平和をありがとう、と……。



かくて勇者の偉業は、親から子へ、子から孫へと、永遠に語り継がれていく……。



FIN

長くなったけど、これで終わり

魔王倒したところで止めときゃスッキリ終われて良かったなと後悔。毎回、終わり方で悩む

何にしろお疲れ様

過去スレおしえてくれ

>>213
ほい。他にもあるけど、黒歴史とかもあるんでそれは勘弁


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シンジ「僕はエヴァに乗らなくていいんですかwwwwwwミサトさんwwwwwwwwwwww」【Q】

CA「お客様の中に>>4な方はいらっしゃいませんかー!?」
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碇シンジの日常
碇シンジの日常 2スレ目
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同作・修正版
シンジ(またアスカが横で寝てる……)

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保育士「はーい。クズのみんなー、今日も楽しく過ごそうねー」

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ゲンドウ「出撃」 シンジ「わかった! 行ってくる!」

りーさん「めぐねぇに届けて、別れの歌を」
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ゲンドウ「シンジとの距離を縮めようと思う」

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みーくん「ゆき先輩が元気一杯なので全力でカンチョーをしてみる」
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魔王「フハハハハッ! よくぞ来たな、勇者よ!」
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