P「佐竹美奈子№1決定戦?」 (27)

P「№1佐竹美奈子P決定戦?なんだこれ?メールの送り主は美奈子みたいだが」

友P「お前も貰ったか」

P「友人P。ということはお前も?」

友P「ああ、どうやら美奈子担当の全プロデューサーに美奈子からそのメールが届いているらしい」

P「あいつ何を考えてるんだ?それに№1ならいつもランキングで決めてるだろう」

友P「ファン数によるランキングでは美奈子は不満なのかもしれない」

P「どういうことだ?」

友P「つまりだ。美奈子のファン数を最も稼いだ奴と、美奈子が上位のイベントで1位だった奴のどっちが№1美奈子Pか、って話さ」

P「確かにどっちも甲乙つけがたいな」

友P「他にも、美奈子目当てでガシャを一番多く回した奴が№1かもしれないし、逆に一発で美奈子を引いた奴こそ天の認めた№1かもしれん」


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P「どうやって判断するかまったくわからないな。もっとも、1枚取りが限界の俺には関係のない世界みたいだが」

友P「それはどうだろう」

P「何?」

友P「今言ったように、普通の方法で№1のプロデューサーを決めることなんてできない。なによりそれがわかってるから、美奈子はこんなイベントを開催したに違いない」

P「でも、それじゃあいったいどうするっていうんだ?どうやって判定するって言うんだ?」

友P「あるだろう、1つだけ。金持ちも貧乏人も、暇人も社畜も、美奈子Pならみんな持ってて、これだけは負けないと思っているものが」

P「そ、それは……まさか……」

友P「そうだ。それは……」

P・友P「美奈子への愛!!」

友P「その通り。それは親愛かもしれないし、情愛かもしれない。もしかしたら恋愛かもしれないが、とにかく!」

P「俺たちは、美奈子への愛を持っている!」

友P「そうだ!そして普通は愛を比べるなど無理難題だが、美奈子に限っていえば、方法はある」

P「食べること、だよな」

友P「ああ。俺はこの№1佐竹美奈子P決定戦、美奈子主催の大食い対決と予想する。早食いかもしれないが、美奈子のことだ。とにかく食に関するものに違いない」

P「それならずっと大盛りの食事を振る舞われてきた全美奈子Pであれば納得して戦えるな」

友P「ふふっ。腕が、いや腹が鳴るぜ」

P「決定戦が楽しみだ」

P「で、指定された会場に来たわけだが、広い倉庫だな。いつのまにこんな場所用意してたんだか」

友P「広めの倉庫だけど、美奈子によってもれなく太った全美奈子Pが一堂に会するとすごい密度だな。熱気も半端じゃない」

P「こんな場所で本当に食事をするのか?あんまり食堂って感じでもないが」

友P「いや、中央を見てみろ。調理台がセットされてる。どうやらここで料理をするつもりみたいだ」

P「これ社長の許可取ってるのか?」

友P「取ってなかったら後で説教だよな。……俺らが」

P「ともかく、美奈子が作った料理を俺たちが順々に食べていくことになるのか」

料P「それはどうでしょうね」

友P「あ、貴方は料理人P!」

P「知っているのか友P?」

友P「副業の料理人スキルを活用して、美奈子料理レシピを作って公開している美奈子Pだ。彼のレシピ通りに作れば、誰でも美奈子の手料理を自給自足できるらしい。まさか実際に会えるなんて」

P「らしいって、お前はそのレシピで作ったことないのか?」

料P「ふふっ、美奈子Pは全員美奈子からの手料理で十二分に食べていますから、私のレシピなんて必要ないんですよ。それより、中央をもっとよく見てください」

P「中央を?あれ?調理台は1つじゃないぞ!たくさんある!」

料P「ええ。あれだけの調理台をすべて美奈子が使用するとは考えにくい。私が思うに、あれは私たち美奈子Pが使用するためにあるのではないでしょうか」

P「つまり勝負内容は料理対決と?」

料P「少し自分に都合よく考えすぎている気もしていますが、おそらく」

P「しまった。俺、料理はここ何年もやってないぞ」

友P「俺だって美奈子を担当して以来、台所に入ったこともない」

料P「まだ勝負内容はわかりません。どちらにせよ、大切なのは美奈子を思う気持ちの強さです。貴方がたの健闘を祈っています。それでは、また後で」

P「あんな強敵がいたなんて」

友P「強敵は料理Pだけじゃないぞ。あっちを見ろ」

太P「腕が……否、腹が鳴るな」

P「お前と同じネタやってる彼は?」

友P「彼は太すぎP!美奈子のため太ることを決意し、カロリー消費を抑える電動車椅子生活をずっと続けている美奈子Pだ。もはや自力では歩けないと噂だ」

P「さすがに病院行ったほうがいいんじゃないか?」

友P「おい、あっちを見ろ」

P「今度はなんだ?」

ベテP「ふふっ、腹が鳴るぜ」

P「あれ流行ってるの?」

友P「彼はベテランP!3年前のサービス開始からずっと美奈子Pを続けている男。間違いなく強敵だ」

P「サービス開始時から……。ん?それってわりとふつ」

友P「ああっ、あれを見ろ!」

P「どうした?」

兼P「腹が鳴るネー」

友P「彼は兼業P!シンデレラガールズと兼業している美奈子Pだ。大きな壁になることは明白だろう。ちなみにあっちではフェイフェイを担当しているらしい」

P「中華料理が好きなだけなんじゃ」

友P「な!奴までいるのか!?」

P「なんだなんだ?」

若P「はぁ…はぁ…」

友P「彼は若輩P!先月初めてスマホを親に買ってもらい、何気なく始めたミリオンライブで一目見て美奈子Pになることを決めた中学生だ。ちなみにきっかけとなったのは『ぽかぽかサービス』のカードらしい」

P「『ぽかぽかサービス』ってあれだよな。前かがみで胸強調してるやつ」

友P「若者の情熱、甘く見ていると痛い目を見るぞ」

P「情熱っていうか……うん。すごそうだな」

友P「ともあれ、№1美奈子Pの座を手に入れるためには、これらの並み居る強豪に勝たなくちゃいけないわけだ」

P「……すごいな」

友P「自信がないなら帰ってもいいんだぞ。そうしてくれれば俺も敵が減って楽に」

P「ここにいる全員の前で、自分が№1美奈子Pだって言えたら、すごく気持ちいいだろうな」

友P「……一番の強敵はここにいたか」

P「何か言ったか?」

友P「いや、なんでも。お、天井からスクリーンが出てきたぞ」

P「美奈子が映ってるな。本人は別室にいるのか?」

友P「さあ?とにかく美奈子の話を聞こう」


美奈子『みなさーん、おはようございまーす』

P達「おはようございまーす!!」

美奈子『ちゃんと朝ご飯、食べましたか?』

P達「はーい!!」

美奈子『ちゃんとおかわり、しましたか?』

P達「はーい!!」

美奈子『もっと、食べたいですか?』

P達「おかわりー!!」

美奈子『はい。というわけで、本日は私主催の№1佐竹美奈子P決定戦に集まっていただき、本当にありがとうございます』

美奈子『さて、私にとって1番のプロデューサーさんと呼べるのはどんな人なんでしょうか。何を基準にすればいいんでしょう?』

美奈子『ファン数でしょうか?イベントのランキングでしょうか?課金額でしょうか?』

美奈子『普通アイドルとプロデューサーの関係なら、このうちのどれかかもしれません。でも私にとってプロデューサーさんとの関係はただ一緒に仕事をするだけではなく、長い道のりを歩むパートナーだと思っています』

美奈子『じゃあ、パートナーに必要なのは何か。それは相性』

美奈子『そして人に食べさせたい私と最も相性がいい人、それは食欲が強い人でしょう』

美奈子『もうおわかりですね?今日集まってくださった私を担当してくれているプロデューサーのみなさん!みなさんには今から、食欲を競ってもらいます!』

P達「うおおおおお!!」

美奈子『会場には、私が時間をかけて作ったカロリーたっぷりの料理を用意してあります。プロデューサーさんはそれらを食欲のおもむくまま自由に食べてください』

美奈子『料理はそのまま食べても美味しくなるように加工してありますが、一応調理台を用意しましたので、食べやすいように手を加えてもらっても構いません。好きな方法で食べてください』

P「美奈子の料理に手を加える奴なんていないだろ」

友P「まったくだ」

美奈子『料理には限りがあります。すべての料理が無くなり、最終的にもっとも多くのカロリーを摂取して残ったプロデューサーさんが、№1佐竹美奈子Pとなります』

P「つまり大食い対決か。友Pの予想通りだな」

友P「限りがあると言ってるからな。速さも大切みたいだ」

美奈子『ではあんまり食事を待たせるのも悪いですからね。№1佐竹美奈子P決定戦、スタートです!』

P達「うおおおおおお!!」

P「と決定戦が始まったわけだけど」

友P「料理、こないな」

P「トラブルでも起きたのか?」

友P「どうだろう?とにかく食べるものがないなら、何も始められないぞ」

「どうしたんだ?」「美奈子、大丈夫かな」「お腹空いた」

友P「困ったな。会場も落ち着かない雰囲気だ」

P「少ししたら美奈子からまた連絡があるだろうから、それまで待つとしかないだろう」

友P「暇だな」

P「こないな。料理も、美奈子からの連絡も」

友P「もう1時間たつぞ」

P「美奈子Pたちも美奈子主催の会という手前、大人しくしているけどイライラしてきている」

友P「無理もない。ただでさえ太った人間ばかりが一か所に集められて、感覚的な狭さと暑さが半端じゃない。その上空腹感とあっては、誰も暴れだしてないのが信じられないくらいだ」

P「あ、見ろスクリーンを!」

美奈子『みなさーん、食べてますかー?』

P「……やっときた」

美奈子『って、あれ?全然食べてないじゃないですか。どうしたんですか?』

「どうしたじゃないよー」「食べ物忘れてるぞー」「お腹空いた」

P「やれやれ、これでやっと食にありつける」

友P「ここからまた敵同士だな」

美奈子『食べ物がない?何言ってるんです?』

P「ん?」

美奈子『食べ物ならまわりにたくさんあるじゃないですか』

P「まわり?あるか?」

友P「何も見つからないが」

美奈子『ちゃんと見てくださいよ』

美奈子『私が最長3年、短くても1ヶ月もの間、たくさんの食事を与えて育ててきたカロリーの塊がたくさんあるじゃないですか』

友P「それって……俺たちのことか……?」

P「変な冗談はやめろ美奈子!お前、自分が何言ってるかわかってるのか!?」

「俺たちに食い合いをしろとでも言うのか!」「どうしちゃったんだ美奈子!」「なんの冗談だ!」

美奈子『みなさんは蟲毒って知ってますか?毒を持った虫を壺の中に何匹も閉じ込めて共食いさせて、最後に生き残った虫を毒殺に使う手法だそうです』

美奈子『私は私を担当するプロデューサーさんがたくさんできた時に、蠱毒を毒ではなく食欲でやろうと思いました』

美奈子『だってこんなにプロデューサーさんがいても、邪魔じゃないですか』

美奈子『私のプロデューサーさんは、私のそばで私の料理を食べてくれる人は、誰よりもたくさん食べてくれる1人で十分』

美奈子『もっとも強い食欲を持つ1人がいれば、他のプロデューサーさんなんて邪魔なだけです』

P「邪魔だなんてそんな……嘘だろ美奈子……」

美奈子『この日のために、私のプロデューサーさんたちは全員そのまま食べられるぐらい美味しくなるように仕上げてきました。味もカロリーも、すべて私が保証します』

美奈子『だからお願いです。№1佐竹美奈子Pを目指すみなさん。みなさんの食欲を見せてください』

美奈子『人としての常識とか、感情とか、本能とか。そういう面倒なものにこだわることなく、純粋にカロリーを求める衝動を発揮してください』

美奈子『そしてすべてを食べた人、もっとも多くのカロリーを体内に吸収した人を、私は私の唯一のプロデューサーと認めましょう』

友P「……く、狂ってる」

P「もう……やめてくれ……!」

太P「くだらん。こんな茶番に付き合ってられるか」

「そうだ、やってられるか!」「後でお説教だからな」「お腹空いてないんで」

太P「俺は帰らせてもらうぞ。こんな場所すぐに出て……ぎゃああああ!!」

P「太P!?」

美奈子『言い忘れましたが、スタートの合図をしてから扉には強い電気が流れるようにしておきました。迂闊に触るとこんがりしちゃいますよ』

美奈子『もっとも、食べる側からすれば味わいが変わるので調理方法としてはオススメです』

「嘘だろ…あれ死んで…」「そんな…」「ひ、ひぃぃ!」

P「こんなことって……」

友P「あ、あああ、ああああ!!やめて、やめてくれ!!」

美奈子『言いましたよね。蠱毒だって。最後の1人になるまで、終わりませんよ』

「いやだー!死にたくないー!!」「出してくれー!!」

P「お、落ち着け!みんな落ち着くんだ!!」

「ぐあああああ!!」

P「な、何だ!?」

「このガキがやりやがった!」「に、逃げろ!」

若P「食べる……僕は……食べるんだ……僕は……」

P(若P!調理台から包丁を取ってきたのか!)

若P「ぼ、僕は……死にたくない……!!」

「殺される!!」「わああああ!!」「みんなこっちに来るなああ!」「ぎゃあっ!!」

「こっちにも包丁持った奴が!」「こっちは危険だ!」「うわあ!」「ここもダメだ!!」

P「なんてことだ……なんて……」

友P「ああ……ああああ……」

P(……わからない)

P(俺は、俺たちはどこで間違えた?)

P(俺たちは、みんな美奈子を愛していた)

P(それなのに……)

P(わからない。わからない。わからない)

P(どうして……)

太Pだったもの「……」

P「……ゴクリ」

P(どうして焼けた太Pの臭いを、俺は美味しそうだと思ってるんだ?)

料P「美味しそう。そう思っていますね?」

P「ひっ!?」

料P「当然ですよ……私たちは美奈子の料理なんですから……」

P「俺たちが、料理?」

料P「ええ。この日のために……身体の材料となる食事をほぼすべて、彼女のレシピ通りに口に運んできた私たちです……美味しくないわけないじゃないですか……」

P「今まで俺たちが食べてきたものが全部、この日のためだった……う、うぐ……」

料P「ああ、いけません……戻さないでください……カロリーが減ってしまう……」

P「……料P?なにを?」

料P「美奈子の料理……私には食べる義務がある……私は……料理人……」

P「……!?友P、逃げるぞ!」

友P「触るな!!」

P「友P!?」

友P「来るな!来るな!来るな!来るな!」

P「お、落ち着け!俺は何もしない!」

友P「やめろ!やめろ!やめろ!」

料P「活きがいいですね……よすぎますね……止めますか……」

P「おい!動け友P!動け!」

料P「この包丁は……いい物です……さすが美奈子……」

友P「あああ!あああああ!!」

料P「……うるさい」

P「危ない友P!!ぐっ!?」

料P「ああ……貴方に刺さりましたか……では、貴方からいただくとしましょう……」

P「あ……ぐああ……」

料P「ちゃんと……あれを言わなくては……」

P(痛みで意識を失う直前)

P(包丁が抜かれ溢れ出てきた俺の血肉は、今まで食べたどんな料理よりも美味しそうに思えた)

料P「いただきます」

P(ああ、食べたいなあ)




美奈子「……さん。プロデューサーさん。起きてください」

P「はっ!?」

美奈子「もうお昼ですよ。これ以上寝てたら、お昼ご飯食べる時間がなくなっちゃいますよ」

P「あ、あれ?」

美奈子「ふふっ、それにしてもずいぶんお腹空いてたんですね。寝言で空腹を訴えるなんて」

P「……んん?」

美奈子「安心してください。今日も料理持ってきましたから、プロデューサーさんを満腹以上にさせてみせますよ」

P「他の美奈子Pは?」

美奈子「……はい?」

美奈子「なるほど、私1人にプロデューサーさんがたくさんいる夢を見ていたと。1人でアイドルたくさん担当している今のプロデューサーさんの反対ですね」

P「ああ、うん。大まかに言うとそんな夢だった」

美奈子「たくさんのプロデューサーさんですか。仕事は大変そうですけど、料理の作り甲斐はありそうですね」

P「作った料理を全員にわけるぐらいなら、1人に全部食べてほしいと思ったりしないのか?」

美奈子「思いませんよ」

P「即答か」

美奈子「だって食べてくれる人がどれだけ増えたとしても、全員をお腹いっぱいにするのが私ですから」

P「そうか。美奈子はそうだよな」

美奈子「はい。では手始めにプロデューサーさんをお腹いっぱいにしてあげますよ。プロデューサーさんが寝ている間に、チャーハン10人前作っておきましたから」

P「おいおい、いつのまにか美奈子のプロデューサーは10人になったのか」

美奈子「それなら今から残りの90人前作らなきゃですね」

P「勘弁してくれ」

以上です。美奈子のことは好きです。

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