一夏「コアが暴走した・・・?」(86)

シリアス系だから苦手な人は読まないほうがいい

後、書き溜めてないからまったり書く

俺は織斑・・・・一夏・・・・・・・

何かに載せられて運ばれている?

ガラガラガラガラ・・・・ガタガタガタガタ・・・・・・・

担架だ。担架に載せられて運ばれている。

運んでいるのは、数人の・・・・なんだおかしな格好をした3人ほどの人間

軍人だろうか・・・・マシンガンらしきものとフルフェイスのヘルメット・・・・性別も分からない。

ただ、とても急いで俺を運んでいる。

俺は、入院患者のような服を着ている・・・・。

軍人らしき、全身深緑色服を着た人間の話し声が聞こえる

「急げ!検体を早く・・・・奴らに勘付かれる前に」

声の主は俺の右隣の軍人。

「分かってる。『c班、車両の準備はできてる?』」

それにしてもなんて真っ暗な廊下だろうか。

蛍光灯がいくつも割れて・・・・・銃痕の後が壁一面に広がっている。

ここは・・・俺は記憶を辿る。確か、束博士と話をして・・・・

それから・・・・それから・・・・・思い出せない・・・・・・・・。

無線の音が漏れて聞こえてくる

『こちらc班、いつでも出せるぜ!』

車両の準備?俺を車に乗せるのか?

「ヤバイ、こいつらは絶対ヤバイ。」

俺は本能的に担架から降りようとするが、拘束具の所為で動けない。

もがく俺に向かって軍人が言う。

「少し我慢しろ、すぐ外してやる。」

深緑色のヘルメットが俺の顔を一瞥し声をかける。

セリフとは裏腹に、その声の主は女だった。

「お前らはなんなんだ!俺をどうするつもりだ!」

俺は声の主に荒い口調で問い詰めるように言う。

「静かにしろ。奴らに気付かれる。」

奴ら?奴らとはなんだ?

ガラガラガラガラ・・・・・

外に出たようだ・・・・・俺は外の眩しさから瞳孔が小さくなるのを待つ・・・・。

目が慣れてきた・・・・ここは船着場のようだ。

そこには既に暖機運転に入っている、大きいクラウザーが1隻。

そしてその周りを軍人5人が、アサルトライフルらしき銃を持ち周囲を警戒している。

俺は、船の隣に担架ごと運ばれ、3人に銃を向けられた。

さっきの軍人が俺の拘束具を外す。

逃げれば撃たれる。暴れても恐らく・・・・。

しかし、見たことの無い形状の銃だ。

俺は右手に目をやる。いつものガントレット・・・・。

白式はある・・・・暴れるか?

いや、現状把握が優先だ。とりあえず従うフリをしてから逃げ出しても遅くは無い。

女軍人「両手を頭の後ろで組みながら、船に乗れ。」

女の軍人が銃の先でクイッっと俺に促す。

『何も言わずに従え』

っと言うことらしい・・・・銃は向けられているが“まだ”発砲するつもりは無いようだ。

俺は船の鉄骨に手錠を付けられ、固定されてしまった。

なんとか外が見える。

さっきの場所はどうやら小さな島のようだ。

もしこの船が向かう先が本州の方向であれば・・・・・

俺は、気温から今が夏であることを考慮し、太陽の角度から大よその時刻を推測する。
午前10時というところだろうか。

軍人たちは相変わらず無口だ。

さっきまで俺を担架で運んでいた女が、ヘルメットの目の部分だけを上に持ち上げ
俺を見定めるように見てくる。

綺麗な・・・・青い瞳だった。

一体何時間船を船に揺られただろうか・・・・

どうやら陸地に着いたようだ。

女の軍人は、またヘルメットで目の部分を隠し、銃口を俺に向ける。

他の軍人が俺の手錠を外し、俺を後ろから蹴飛ばし船から降りるよう無言の指示する。

手首が痛いというのに・・・・。

「最高の待遇だな」

俺が皮肉たっぷりに言うと、女軍人が銃を向けながら言う、「早く降りろ」

船着き場俺は辺りを見渡す。

日本語の看板。軍人達の流暢な日本語から、予想通り、と言ったところか。
しかしあの瞳の色は・・・・。

しかし、そんなことがどうでもよくなるような光景が俺の周りに広がっていた。

半壊したビル。大型な銃による交戦の後・・・・。

「なんだこれ・・・・」

俺は見知らぬ場所にも関わらず、明らかに異質な雰囲気に圧倒されてしまった。

数秒固まってしまった俺をまた突き飛ばす軍人。

大型の、それもトレーラーサイズの深緑色の車両が2台そこに止っていた。

明らかに軍事用。車両にはc1iwsか、機関砲と思われる物まで付いている・・・・。

まるで戦争中のような・・・そんな印象を受けた。

俺は後部車両に詰め込まれた。

狭い。狭すぎる。

あんなに大型の車両にも関わらず、手錠を付けられ、手足を縛られて詰め込まれ、自由を奪われる。

まるで誘拐犯にでも捕まったようだ。

俺は考えを巡らせる。

俺を連れて行く理由は?

isの軍事転用として俺を使うつもりか?

このトレーラーは何だ?

もしisが軍事転用されているなら、機関砲やciwsでどうにかできるような物ではないはずだ。

結論は出ない。直接聞くしか無いようだが・・・・あいつらから聞きだせるとは到底思えなかった。

どうやらこの車両は区切られているようだ。その中の1つに俺は押し込まれた・・・。

恐らく隣は広い部屋のようになっている。先ほどからキーボードの音が絶えず聞こえてくるからだ。

車両が何度か止る度に、キーボードの音に耳を傾ける・・・。最低2人はいる。
向かい合ってはいない。背を向けながらの作業だろうか・・・。

すると、途中でキーボードの音が止む。男と女の声・・・・。男は2人、女が1人。

事が始まった・・・・・。女が喘いでいる。死地に追いやられての本能というものか。

そこまで切羽詰った状況、ということだろう・・・・。

何時間車で走っただろう。

1時間以上・・・・3時間未満と言ったところか。

俺の体内時計など当てにはならないが、どうしても考えてしまうのだから仕方が無い。

車が急停車する。俺は頭を思い切りぶつけてしまった。

何やら音がする・・・・先頭車両からだ!

バシューッ・・・・!バシュー・・・・!

何か、大きな扉が開くような音・・・・

ガキン!ガキン!ガキン!・・・・

続いて大量の地響き・・・・isでは無い。大きな・・・何か・・・・・。

そう思った刹那、機関砲が俺の耳を劈く。

戦闘が始まったようだ・・・・。

戦闘は長引いている。

すぐ近くで大型の機関砲の連謝恩と地響き・・・。

キーボードの音がカタカタと鳴り響く。恐らく情報収集。

一体何と戦っているんだ?

俺は耳を壁に当てて情報を探る。



『こちらd-2、もう保たない。残弾がそろそろ切れる!』

男a「近接戦闘に切り替えろ。左から回り込め、d-4、d-2の敵を足止めしろ。」

やはり情報収集と指示用車両。恐らく光学カメラを搭載しての指示。

しかし、『敵』とはなんのことだろうか。

そんなことを考えていると、俺の乗っているトレーラーに何かが突き刺さるような衝撃が走った。

それと同時に女の劈くような声・・・

男b「くそっ!やりやがったな!!」

マシンガンを『何か』に向けて連射する男達。

だが、そんな抵抗も虚しく男達の悲鳴とも嗚咽とも採れるような叫び声が1つずう減っていく。

ゴリ・・・ゴリ・・・・グキッ・・・・バキッ・・・・・・

一体何の音だ?

俺は耳を澄ませる・・・・人の骨の砕ける音・・・・・・・?!


ヤバイ!絶対ヤバイ!こいつらが戦っている相手は人間じゃない!

『こちらd-2、応答しろ!おい、どうした応答しろ!』

パイロットらしき男の声が虚しくこだまする・・・・・。

また地響きが伝わってくる。恐らくさっきのパイロットが戻ってきたのだろう。

「この状況をどうにかしてくれ!」俺は藁にもすがるような思いで目を瞑り地響きに耳を澄ませる。

トレーラーに向けて突っ込んでくる地響き・・・・。

いや、タイヤの音に変わった?
高速移動用だろうか、タイヤが付いているのだろう。

キュィイイイイイン!

耳を覆いたくなるような高音。続いて肉を引き裂く・・・いや、抉るような音。

グジュッ!

その衝撃でトレーラーが揺れる!

恐らく半身のみをトレーラーに突っ込んでいた『奴』に何かを刺し込んだのだろう。

それと同時に俺の詰め込まれていた場所のドアが開いた。

恐らく先ほどの衝撃のおかげだろう・・・・。

俺はすぐに外に飛び出し、周囲を警戒する・・・・・・。

俺の目の前に広がる光景は悲惨なものだった。

6mはあるであろうロボットらしきものが、銃を連射している。

銃口の先いる、『奴ら』はまるで人間を巨大化させて4つ足で歩いているようだった。
全身が真っ黒で、髪の毛は無い。目と口はあるが、鼻は形状が無く、ただ2つの黒い穴があるだけ。

そして全身に張り巡らされている太い血管のようなものがその異様さを際立たせていた。

確認できるだけでも6体。

俺は運転席へ這いつくばって向かう。

運転手は、辛うじて首と胴体が繋がっているような状態で死亡している。

血しぶきが天井と窓ガラスを真っ赤に染めている。

おそらく、さっきの衝撃でシートベルトを外した途端に、次の衝撃。
それにより頭を強く打ち・・・・と言ったところか。

俺は口を使いなんとかドアハンドルを開け、運転手を引きずり降ろし、ナイフを探す。
腕の手錠はどうにも成らないが、とりあえずこれで足は動ける。

しかし、引きずりおろした運転手の血しぶきに引き寄せられるように、『奴ら』がやって来た・・・・。

そこへ先頭車両からひとりの軍人・・・・さっきの女だ。

「伏せろ!」

俺は指示に従い運転手だった物に、覆いかぶさるように伏せた。

女は走りながら『奴ら』に向けてマシンガンを連射する。

『奴ら』の視線が女に向く。女がマガジンの交換をする瞬間に俺は女の後ろに隠れるように走る。

あわよくば、このまま先頭車両に乗せてもおうという算段だった。

女がマシンガンを連射しながら俺に問いかける。

女軍人「生存者は?」

分かりきっていることを平然と聞いてくる。女とは思えない低い声。

「いない。全員死んだ。」

用意していた答えを告げると女は、後退しながら俺を先頭車両の運転席へ誘導する。

先頭車両はトレーラー部に大きいハッチが4つあり、全て開いていた。
恐らくここにさっきのロボットが納まるのだろう。

俺は急いで先頭車両の運転席に乗り込む。
そこには男が1人、助手席からマシンガンを連射していた。

女から無線が入る。

「引くぞ。d-1、d-4は援護だ」

マシンガンの連射音に混じって女の声が聞こえる。

『d-2了解』
『dー3了解』

続いて男達の声。どうやらこの女がこの部隊の指揮官のようだ。

女がトラックのエンジンに火を入れる。そして2機のロボットを収容した瞬間に急発進する。
3人座席の真ん中に座った俺の手錠を外す助手席の男。

どうせ何を問いかけても答えはしないだろう。積極的な諦めが俺の心を支配する。
時が来れば話してくれる・・・・はずだ。

俺はそう自分に言い聞かせて、これまでの件を全て含めてから来る苛立ちを押さえ込んだ・・・。

5分ほど走った頃だろうか、先ほど援護に回っていたd-1とd-4が帰投してきたようだ。

追っては・・・いない。

トラックを止め、手際よく収容作業に入る軍人たち。

俺は、先ほどの戦闘で死亡した運転手の血で服が血みどろだ。
それを見た女が「これに着替えろ」と言って、俺に向かってバッグを投げ捨てるようによこした。

中には銃器以外の装備一式が入っていた為急いで着替える。
頬って置かれてはたまったものでは無いからだ。

収容を終えたトラックが走り出す・・・・。
すると突然、女が話し出した。

「私の名はセインだ。」

セイン「そして助手席にいるのがツヴェール」

ツヴェール「よろしくな。」

セイン「d-1パイロットがツェーン、d-2がフィル、d-3がアイン、d-4がツヴァイ。」

セイン「ちなみにアインとツヴァイは双子の姉弟だ。」

車両を1台失い、装備を渡された。しかも突然の部隊員の紹介を始めたセイン・・・
「俺にも戦え」と言うことだろう

あんな化け物相手に・・・・

しかしこいつらは一体どこへ向かっているのだろうか?

「一体お前らはどこに向かっているんだ?」

セインがトラックを運転しながら無機質に答える。

「成田だ。」

成田?飛行機にでも乗るつもりか?
しかし、先ほどとは打って変わって俺の質問に素直に答えてくれる、そう思わせてくれるような、雰囲気を感じる。

それに、あんな化け物が相手となれば尚更こいつらに付いて行くしか無い。

とにかく俺は情報が欲しかった。今のこの現状・・・・
先ほどから半壊したビルや建物しか見当たらない

高速道路を使わないのは、恐らく倒壊して使い物にならないから、だろう

これ以上、運転を続けながらのセインに質問をするのは無粋というものだろう
俺は助手席で警戒に当たっているツヴェールにいくつか質問することにした

「さっきの化け物は一体なんなんだ?」

ツヴェール「あれは、元は人間だった“モノ”だ。俺達は『リジェクト』と呼んでいる。」

ヘルメットを外しながら、少し物知り顔な横顔で答えるツヴェール・・・声通り男だが、
顔からは・・・・憶測でさえ年齢が分からない。白人はこれだから・・・・は?あれが人間?
何を言っているのかまったく理解できなかった

そんな俺の驚愕した顔を一瞥したツヴェールが、少し笑みを溢しながら説明を続けてくれる。
ツヴェール「あれはコアを埋め込まれた人間の末路、と言ったところか。成熟したリジェクトの体長は5~6m」
ツヴェール「リジェクトは体内でコアを分裂させ・・・・人間に埋め込む。」

ツヴェールが次に言いたいことは、もうわかる・・・・

ツヴェール「さっきお前が載せられていた車両で異変があったろう?つまり、そういうことだ」

ツヴェール「既にあいつらは・・・時間からみて既に幼生体になっているはずだ」

止めてくれ、コアはis用に作られた物だ。それがこんな形で人類に牙を向くなんて・・・
それにレジェクトの体内でコアが増殖する?

馬鹿げている。俺はもしかして夢の中にいるのか?

早く覚めてくれ・・・こんな夢、まっぴら御免だ!

俺はトラックのインパネに向かって、握り締めた両手を思い切り叩きつける。

痛い・・・夢じゃないんだ・・・・・

俺は唖然として天井を見つめる。そんな俺を気遣ってか、ツヴェールが話を続ける。

ツヴェール「安心しろ。俺達はお前を安全な場所まで運ぶ任務を帯びている。」

こんな状況で安全な場所などあるものか!
しかし・・・・ツヴェールの真剣な横顔を見る限り、嘘を付いているようには見えない・・・・・・。

すると突然セインがトラックを止めた。

トラックの真横には、この惨事にも関わらず少しの傾きで済んだビルがあった。

セイン「もう今日は遅い。このビルで一晩休む。」

『了解』

レシーバーを使い全員から返答が帰ってくる。
ビル内に奴らが居ないか各フロアを確認して周る・・・特に変わったところは無い。
食料も何もかも無いが・・・・。

そして索敵車両を失った今、交代でビルの屋上から見張りを行う。

1時間での交代・・・もちろん俺も駆りだされた。
しかし、「索敵しろ」と言われても要領を得ない俺のことを気遣って、
d-3パイロット・・・綺麗な栗色のロングの髪をポニーテールにしているアインが俺にアドバイスをくれる。
恐らく同い年ほどだろうが、女性に歳を聞くほど野暮ではない。

アイン「周辺視野で建物群を見れるようにするの。」
アイン「後は、可能な限りゆっくりと頭を動かして索敵すること。」
アイン「眼球を動かして索敵すること。大胆に動くと見つかっちゃうからね。」

匍匐をしながら俺に話かけてくるアインは、とても優しく、まるで学校の先生のようだった・・・。

それにしても寒い・・・毛布を巻いているとはいえビルの屋上。
そして索敵中としては致命的とも言える、寒さから来る眠気が俺を誘い始める・・・・。

セイン「交代だ」

やばかった。セインの気配に気付かない程に俺は眠けと格闘していたのだ。

「後は頼んだ」

俺はそう一言だけ言い残し、ビルの一室で眠りに就いた・・・。

夜が明けた、朝が来た。

俺達はトラックの音を響かせて急いで出発する。

すると突然、女の子がトラックの前に飛び出してきた!
セインはブレーキを思い切り踏み込む。
absが付いていないのか、セインは器用にブレーキを緩めては踏み込む!

ギリギリだ・・・ギリギリで女の子の目の前でトラックは停止した。

歳は10歳くらい。何か叫んでいる。
女の子「助けてください!お願いします!他にもいっぱい生きてる人がいるんです!」

俺は女の子の悲痛な叫びに耳を傾け、無口なセインを睨み付けながら言う。

「おいセイン!まだ生きてる人間がいる!助けてやらないと!」

セインは・・・・あくまでも無言だ。他の隊員も異変に気付き、部隊長であるセインの指示を待つ。

セインが窓を開ける。

俺は、セインが女の子や生き残った人間を助けてくれると思ったが、どうやら甘かったようだ・・・。

窓から銃を女の子に向け、威嚇するセイン・・・・。

女の子は少し怯んだ様子で逃げ出してしまった・・・。

再び発進するトラック。俺はセインを問い詰める。
「なぜ助けなかった!まだ生きている人間がいると言っていたじゃないか!」

セインは運転しながらも無表情で冷酷に言う。

セイン「任務に支障をきたす。それだけだ。」

俺はセインを更に問い詰めようとした瞬間にツヴェールが俺の肩に手をかける。

ツヴェール「仕方の無いことなんだ。他の部隊がきっと助けにやってきてやるはずだ・・・・。」

ツヴェールの言葉に俺は冷静さを取り戻し、思考を巡らせる。

そんなに任務が大事か?
俺を護送することがそんなにも大事なのか?

どんなに思考を巡らせても、最終的に行き着く先は、「コア」だった。
どうしてもその存在がネックになった・・・・。

重火器の音と振動が、俺の耳や体を伝わって戦闘状態に入ったことを告げた。

どうやら俺はいつの間にか眠ってしまっていたようだった。
見晴らしの良い・・・広すぎる空き地。

ゲリラ戦のような戦闘を仕掛けてくる奴らとの戦闘には打って付け、と言ったところか。

車両をそこに入れ、戦闘状態に入る。

トラックの周囲を囲むようにして・・・・。

ツヴェールが教えてくれた、「あのロボットの名前はm-a3、通称パイトスだ。」

パイトスが奴らと交戦に入る。援護としてツヴェールが車両に搭載された機関砲を連射する。

しかし・・・・敵の数が多すぎる!セインが車両から飛び出し、マシンガンを連射し始める。
ツヴェールがアイゴーグルを付けながら言う。
ツヴェール「悪いが、セインの援護を頼む。これを使え。安全装置は解除済みだ。後は引き金を引くだけだ。」

そう言ってマシンガンを俺に渡すツヴェール。俺は急いで外に飛び出し、セインの援護に回る・・・・。

セイン「なぜ来た!貴様が死んでは元も子もないのだぞ!」ダダダダダッ!

「お前に死なれたら、誰がトラック運転するんだよ!」ダダダダダッ!

セインは、奴らを睨み付けながらも観念したように俺に指示を飛ばす。

セイン「ちっ!仕方無い!奴らの口を狙え、そこが弱点だ!」

「わかった!」

しかし縦横無尽に動き回る奴らに当たるわけがない。
銃を撃つこと自体が初めてなのだから・・・初めてなのだから・・・・・初めて・・・・・・・・

俺は酷い頭痛に苛まれる・・・・。

???「すまない、一夏・・・・」

誰か、俺に語りかけている・・・・俺の記憶?

しかし今はそんなことを言っている時間は無い!俺はわざと腕にナイフで切り傷を作る。
痛みは2箇所同時に感じることは無い。意識を腕の痛みと奴らの口に集中させることで、頭痛を和らげる。

敵はさらに増える。音と視界に敏感な奴らだ・・・。

バイトスが後退し始める・・・もう保たない・・・・。

その時、アインから全員に通信が入った。

アイン「全員退避して下さい。私が囮になって敵を引き付けて後から合流します!」

ツヴァイ「そんなの無理だよ姉さん!俺も囮に・・・・」

アイン「良いから、早く行きなさい!」
アインの声は・・・・何か怯えを押し殺すかの様な・・・・自分の感情を押し殺す様な声だった。

セイン「・・・・・了解した。全機、車両を援護しつつ付いて来い!d-3、後は頼んだ・・・。」
なぜだ?今までのセインらしく無い、悲しみにも似た、自分を戒めるような声で、アインに命令を下すセイン。

セイン「d-4早くしろ、発進できない!」

ツヴァイ「でも、姉さんが!」ダダダダダッ・・・

アイン「早く行きなさい!後で絶対合流するから、早く!」
アインの声は・・・震えていた・・・・・・・。

ツヴァイ「分かったよ姉さん・・・絶対戻ってきてね、約束だからね!」

アイン「大丈夫、私が今まで約束を破ったことあったかしら?」

ツヴァイ「うぅん・・・・じゃあ待ってるね・・・・約束だからね・・・・・」

d-4が、ツヴァイがスキール音を立てながら後退し、車両の援護に回る。

アインは車両に集まる奴らの注意を引き付ける為、援護を行いつつ左右に・・・・めちゃくちゃに動き回る。
もう、戦術では無い。我を見失った鬼神のごとく・・・・。

アインのおかげで無事車両は脱出できた。そして200mほど走ったところでバイトス3機を収容し、再び走り始める・・・。

アイン「もう、大丈夫そうね・・・。」ダダダダ・・・・カチッカチッ・・・・・・
アインのバイトスの弾が切れた。

惹きつけられた奴らの数は40~50匹。
両腕の鋭利なシールドをスライドさせ、近接モードに移行するアイン。

アイン「一匹でも多く・・・一匹でも・・・・・・・」
奴らが雄たけびを上げ、仲間を呼ぶ。

アイン「そうよ、もっと叫びなさい・・・・!」

一体何匹集まっただろうか・・・

ディスプレイに映し出される敵の数が多すぎてほとんど真っ赤だ。
アイン「そろそろ・・・・頃合いかしら・・・・・・ごめんねツヴァイ・・・・・・」

アイン「約束守れなくて・・・・最後の私のわがままに付き合せちゃった・・・・・・・・。」

既に右腕を失ったアインのバイトス。
アインは、声を震わせながらディスプレイと両足以外への電力供給をシャットダウンする。

そして、跳ね上がり、一匹の敵に向かって勢いよく刃をを突き刺す。
アインは全ての足とディスプレイに回していた電力供給を全てシャットダウンさせる。

アイン「はぁ・・・はぁ・・・・・・」
声を震わせるアインに向かって奴らは容赦なく迫り来る。
足を、頭部を、腕を引きちぎられながらアインは覚悟を決める。

遂にハッチを開けられてしまった。
奴と目が合うアイン。

アイン「あら、こんにちわ。ナンパなら他を当たって貰えるかしら?」

そう言ってニコリと笑うアイン。同時に右腕でコクピットの右側にあるハンドルを回し、一気に引き抜く!

バイトスのエネルギーゲインが臨界を超える音が響き渡る・・・!キィイイイイイイ!!

アインの取った最後の抵抗はプラズマを発生させ、数千度の業火と直径1kmのクレーターを作った・・・。

その衝撃波が車両に届くまで数秒・・・。セインは半壊したビルに車両を止め、車両への衝撃波を最低限に抑える。

ツヴァイ「姉さん・・・・姉さんは?姉さんはどうなったの?ねぇ・・・」

セインは何も答えない。俺達はツヴァイの声に何も答えて上げられなかった・・・・。

後部車両の機体の中ですすり泣くツヴァイに、誰も声をかける事は誰にもできず、
ただただ見守ることしか出来なかった。

だが、俺は苛立ちを抑えきれずセインを問い詰める。

「お前、始めから分かっていたな?分かっていて見捨てたんだろう!?」

セインは相変わらず何も答えない。どうせ「任務の為だ」そう言い返すのだろう。

そこまでしてなぜ俺に拘る?俺は・・・俺は・・・・。

そんな俺にツヴェールが諭す様に言う。
「落ち着いてくれ。みんなお前と同じ気持ちなんだ・・・・だが、噛み殺しているんだ・・・・・・。」

俺はその一言で少し冷静さを取り戻し、黙り込んだ・・・・。

それから数時間が経った頃だろうか、幸いにも奴らと出会うことは無かった。

そして、「成田空港まで後2km」と書かれた看板が見えた。

一体、成田から飛行機でどこへ向かうのだろう・・・・?

そして成田空港らしき「建物群」が観えてきた。
俺は唖然とする。これが成田空港・・・?

明らかに異様だ。まず滑走路がおかしい。
通常であれば長い平地を使用して、滑走するはずだ。

だが、そこにあった建物はまるで・・・・まるでジェットコースターの昇りの部分だけを切り取ったような・・・。

機体のデザインもおかしい。平たく、コンコルドのようなデザイン・・・。
それが何台も滑走路付近に止められている。

一体これはなんだ?

そう思った瞬間。また頭痛が俺を襲う・・・・糞!頭が割れる様に痛い・・・・・。

???「ごめんね、いっくん」

いっくん?篠ノ之博士の声なのか?いや、俺の記憶・・・?

俺が頭を抑えて苦痛に耐えていると、セインが薬を寄こした。
セイン「即効性の頭痛薬だ、飲め」

俺はすぐに口に含み、水を使い飲み干す・・・・少し落ち着いたようだ・・・・・・。

すぐにセインが3機のバイトスで奴らを駆除するように指示する。

しかし、ツヴァイの様子がおかしい・・・。
姉を失った悲しみからか、無防備な・・・特攻とも言える戦い方をしている・・・。

他の2機がその援護に回るが、自分達の戦闘で手がいっぱいになってきていた。

セイン「d-4、先行しすぎだ。陣を乱すな。」

ツヴァイからの返答は無い・・・。

ツヴァイ「アハハハハ!死ね死ね死ねぇ!」
ただただ返って来る言葉はそれだけだった。完全に自分を見失い、制御できていない。

そんなツヴァイにセインが舌打ちをする。セインらしくも無い・・・明らかに苛立ちを抑えきれていない。

「セイン、落ち着け。d-1とd-2が援護に回っている。だから落ち着いて指揮を採るんだ」

俺はいつの間にかセインに声をかけていた。

そしてなぜそんな事を言ったのか、そんな自分に驚いてしまっていた。

セインはその言葉で落ち着きを取り戻した様子で、トラックで援護する様ツヴェールに指示し、トラックを走らせた。

敵がどんどん迫り来る。始めは20匹程度だった敵が、30・・・40・・・・・と増え続ける。
俺はセインに進言する。

「isでの出撃許可をくれないか?」

セイン「ダメだ」

即答だった。余りの即答さに俺は数秒固まってしまう。だがここで折れるわけには行かない。

「この空港を失えば、何か不都合があるんだろ?ならisを使って・・・・・」

俺が言い終わる前にセインがヘルメットを外して言う。

セイン「何が起こるか分からない。絶対にisを使用しての戦闘は行うな。」

綺麗な髪。整った可愛らしい顔立ち。
ブロンドの髪を後ろで束ねて、ポニーテールにした俺と同い年程の『女指揮官』がそこに居た。

しかし、『何が起こるか分からない』、とはどういう意味だ?

「奴らにコアが入っているのがネックになっている、ということか?」

セイン「・・・そうだ。奴らが活性化するかも知れない。停止するかも知れない。何が起こるか分からない。」

ブロンドの少女は俺を哀れむような・・・・いや、非力な自分を哀れんでいる様な目を俺に向けて言い放った。

セイン「どちらにしろ、突っ込むぞ!」

俺達は、道と言うには程遠い、整備などされていないルートをひた走る。

数分経った頃だろうか・・・・そろそろ丘を降りることができそうになったところで
ツヴァイが弾切れを起こし、近接戦闘に移行する。無駄弾を撃ちすぎた結果だ。

d-1とd-2はそんなツヴァイを援護するどころか、目の前の敵を倒すことで手一杯だ・・・。

奴らの雄たけびが聞こえる・・・・。
また増援が来るのだろう。

形勢は明らかに不利。セインは苛立ち、正常な判断ができないことにより指揮系統は麻痺。
さてどうするか・・・・。

そんな時、d-1から通信が入る。

「退路は俺達が確保する。なんとしても生き延びて、任務を遂行してくれ。」

d-2からも同じような内容の通信が入る・・・・。
「任務を最優先してくれ・・・」

そして、ダメ押しとも言える様にツヴェールが言う。
ツヴェール「機関砲が・・・・弾切れだ、セイン。」

もう終わりだ。残された道は2つ。

飛行機で逃げるか、トラックで一時退却を行う・・・・。
セインは決断を迫られていた。

そこに、ツヴェールから進言が入る。
ツヴェール「機関砲が使えないんじゃここに居ても意味が無いな。」

そう言うとツヴェールはマシンガンを持ち、敵地へと走って行ってしまった。
セインはハンドルに寄りかかり、ツヴェールの言葉に応えることもできない程に精神的に参っているようだった。

俺はそんなセインに何か声をかけなければいけない様な衝動に駆られる。

「何か迷っているんだろ?なら、迷っている方は止めておけ。」

するとセインは、一瞬唖然とした顔で俺の顔を見る。

セイン「本気で言っているのか?私が何を考えているのかさえ分からないお前に!」

「本気だ。お前はこの部隊の指揮官だ。皆、最善の策だと思ってくれる筈だ。いや、そう信じさせてやれ!」

セインは目を瞑り黙り込んでしまった。俺の進言を真摯に捕らえてくれている証拠だ。俺はそう思った。

セイン「逃げる・・・!」
どうやらセインは指揮官として自分を取り戻したようだ。
目が据わっている。良い顔だ。

セイン「房総半島の南、館山に海上自衛隊の空港がある。そこまで逃げるぞ!」

「分かった。」

俺達はすぐに出発した。

d-1「すまない、もう保ちそうに無い・・・」
d-2「なんとしても、任務を・・・・」

セイン「分かっている。お前達の死、無駄にはしない!」

そして次の瞬間ツヴァイから叫び声とも、狂気とも採れるような声が聞こえてきた。」

ツヴァイ「キィイイイイヒャヒャハッハハハハァ!!」

そして・・・・全てを飲み込む数千度の業火。それにより発生するプラズマが炸裂した・・・・・。
空港も、味方も敵も・・・吹き飛んでしまった・・・・跡形も無く・・・。

俺達は遂に2人になってしまった。

今は・・・・今はセインが落ち着くまで声をかけない方が良い。
俺は気を使い、地図を片手に最低限の会話をしながら外の風景を眺めていた・・・・。

しかし・・・・それにしても何かおかしい。誰かが乗り捨てたであろう、車のデザインに違和感を感じる・・・。

俺は何の気なしに地図を閉じる時に、表紙を見た。

俺の思考が止まる。
なんだこれは・・・・・?

そこには「2026年 最新版」と書かれていた・・・・。

俺はすぐにセインに問いかけた。

「おいセイン、今は西暦何年だ?」

セインは落ち着いた口調で言う。

セイン「・・・・・2038年だ」

俺の頭が混乱する。確かに、2026年と書かれた地図は日焼けして、ぼろぼろだが・・・。
意味が、分からない。
時間移動?それともここは別の世界?

「セイン、知っている情報を全て話してくれ。俺達は何の為に館山に向かっている?俺は何者なんだ?」
続けざまにセインに質問する俺。明らかに混乱していることがセインに伝わっている。
だがそんなことはお構いなしだ。情報を・・・もっと情報を・・・・・・・

セイン「お前は織斑一夏だ。それは保証する。館山の自衛隊基地に向かっているのは、宇宙へ行く為だ。」
セイン「西暦2038年についても保証する。」

動揺を隠すかのように、あくまで冷静に答えるセイン。あのセインが・・・動揺している・・・・。

罪悪感に押しつぶされそうになりながら答える・・・・ただの1人の少女がそこに居た・・・。

「宇宙へ行って、俺達を何が待ち受けている?」

俺はもう完全に吹っ切れていた。
何が起ころうと、何を言われようと、現実をそのまま受け止める以外には無かったからだ。

セイン「宇宙には、我々の・・・・人類だけの大型ステーションがある。」

セイン「そこでひっそりと我々は生き延びてきた。」

「そいつらは、地上の民間人を残してまで生き延びたかった、と?」
俺はセインを責めるわけでは無く、あくまでステーションの『人間達』へ問いかけたつもりだったが、
自分を責められていると思った様に、今まで見たことも無いような程興奮して取り繕った。

セイン「努力はした!だが、ステーションで生き延びられる人数は極少数・・・。せいぜい2000人といったところだ。」

セイン「だから優秀な人間だけを選別し、住んでいた・・・・。いや、選別というのはおかしいな。」

セイン「私は、優秀な遺伝子同士を掛け合わせ、人工授精で生まれたのだから・・・・。」

「セイン、落ち着け。俺はお前を責めているわけじゃない。一度深呼吸をしてみろ。」
俺の言葉に促され、セインは深呼吸を3,4回繰り返す。

セイン「済まなかった。取り乱してしまった・・・・だが、私の知っている情報で、その・・・」

「一夏でいい」

セイン「わかった。一夏が必要としている情報は全て話せたはずだ。他に質問は無いか?」

「俺はこれからどうなる?」

セイン「・・・・・分からない。何かしらの検査があるとは思う。」

「そうか・・・しかし、もうそろそろ夜だ。ずっとセインが運転している。休んだほうが良いんじゃないか?」

セイン「そうだな・・・そうさせて貰おうか・・・・そこのパーキングエリアが丁度良い。」

「警戒は任せろ、ゆっくり眠るといい・・・。」

セイン「わかっ・・・た・・・・・・」

「(しかし、夏だというのに夜は冷えるな・・・・海岸沿いを走っているせいか?)」

「(セイン・・・・こんなに冷たくなって・・・・・・・プロテクターを外して、抱きしめてやろう)」ぎゅぅ

セイン「ん・・・・ん・・・・・・・何をしている?」

「寒いと思ってな。」

セイン「そうか・・・・それは、ありがたい・・・・・・・。」ぎゅぅ

セインからはとても良い匂いがした。また、とても愛おしくも思えているじぶんが居た・・・・。

余程疲れているのだろう。恐らく午前10時、まだセインは起きない。
俺は膝枕をしてやり、頭を手櫛のようにして撫でてやる・・・・。

セイン「ん・・・はぅ・・・・んふぅ・・・・・」

呑気なものだ。さて、そろそろ起こしてやるか。
どうやって起こそうか・・・・よし、これで行こう。

「敵だ!奴らが来たぞ!!」

ガバッ!!

セイン「どぉこぉあぁ!れぇきはぁ~・・・・」

眠気眼で呂律が回っていない。俺は笑いを堪えるので必死だが、セインも必死だ。

「嘘だよ。あまりにお前が気持ちよく眠っているから悪戯をしただけだ」

セイン「・・・・・・ばぁかぁか~お前は・・・。」

「さぁ、早く行こう。俺は・・・・眠らせてもらうよ、一晩中警戒していた・・・・から・・・・な・・・・・・・・」

セイン「そうだったな・・・・敵だ!起きろ!一夏!敵だ!」

「その手は食わん。お休み・・・・」

セイン「ちっ・・・・・さっさと寝てしまえ!」

館山 海上自衛隊基地

セイン「一夏、着いたぞ。起きろ。」

一夏「なんだ、もう着いたのか・・・・ん~」

セイン「幸い、奴らは少なかったぞ。人が少ないせいかもしれんが・・・。」

「で、シャトルはアレか?」

セイン「そうだ。武装を整えて出発するぞ。」

「了解だ。さっさとこんな所、おさらばしよう。」

セイン「そうだな・・・・・。」
少し悲しそうな目をするセイン。同胞を失った辛さからだろう・・・・。

セイン「よし、出発できるぞ。」

「宇宙は初めてなんだ。お手柔らかにお願い・・・・ぐふぅっ!」

「(気絶させるつもりか、この野郎・・・朝の仕返しってことか・・・・!)」


セイン「着いたぞ。宇宙だ。」

「おぉ、星が綺麗だ!」

セイン「で、あれがステーションだ・・・・」

セイン「2850番 セイン ハッチを開けてくれ。被験者を保護した。」

「でかい・・・・なんて大きさだ・・・・・。」

セイン「回転軸あわせ完了・・・・・。」

『了解、3番ハッチを開ける』


作業者a「これが被験者か・・・こっちへ来て貰おうか。」

「別にいいけど・・・」

「うわっ、なんだ!?シャワー!?」

スピーカー『許してくれ、変な細菌を地上から持ち込まれると困るからだ。』

「はぁ・・・・何回シャワーを浴びただろうか・・・・・」

セイン「ふむ、ここでの軍服も似合っているな。」
そう言うとセインは顎に手を当てて俺の体を嘗め回すように見てくる。

「あ、あのさ・・・・あんまりジロジロ見られると恥かしいんだけど・・・・・・。」
「ただでさえピチピチの服だし・・・・。」

セイン「悪かったな、以後気をつけよう。」
そういうとセインは不適な笑みを浮かべてどこかへ行ってしまった。

『織斑一夏、至急医務室まで来てください』

「医務室ったって・・・どこだよぉ!」

周りの人間に聞いてなんとか医務室へ着いた。
俺を不思議がる人、逃げ出す人、興味津々な人・・・・色んな人がいるものだ。

少し深呼吸をしてから、医務室をノックする。
俺にとって、よく無い知らせが待ち受けているに決まっているのだから・・・・。

中に入ると、病室のような広い部屋になっていた。
そして、明らかに周りとは違う黒い服の男と、白衣の男が立っていた。

「織斑一夏です。何か御用でしょうか?」
通過儀礼とでも言うようなセリフ。どうせ後戻りは出来ない。逃げる場所も、恐らく・・・無い。

黒服の男「私はアデス、このステーションの司令官をしている。」
明らかに他の人間と違う。威厳とでも言うべきか、一言で空気を一気に凍りつかせるような、そんな口調。
歳は40代と言ったところか・・・。

アデス「疲労が溜まっている所申し訳ないが、今から精密検査を行わせて貰う。異存は無いか?」

「切り刻まれたりしなければ、異存はありませんよ」
疲れきっているが、俺もアデスに負けじとばかりに張り合う様に覇気を込めて答える

アデス「いい返事だ。こっちへ来てくれ・・・・」

何重にも張り巡らされたセキュリティを抜けると、広い部屋に出た。
教室ほどあるだろうか・・・・。しかし異質なものが、部屋の真ん中にあった・・・『奴』だ。

地下に押し込められ、防弾ガラスと思われる屋根の中に押し込められている。

それを見下ろす形で、白衣の男達が5人。

アデス「地上で捕縛したものだ。我々は対抗手段としてこいつの検査を毎日行っている。」
アデス「しかし一向にその手段が見つからない・・・・。そこで君の力を借りたい、ということだ。」
言いたいことは分かる。だが、何が起こるか分からないとセインが言っていた・・・・。

「何か起きたら、どうします?」
俺は脅しをかけるようにアデスに問いかける。

アデス「その際はこいつを射殺するまでだ。」
平然と言ってのける辺りが司令官らしい。もう、痺れを切らして藁にもすがるような思いで俺を呼んだのだろう。

「分かりました。それで、何をすればいいんですか?」

アデス「isを展開して欲しい。それで何も起きなければ、isを実戦投入できる。」
アデス「今のm-aシリーズではもう限界なのだ・・・」

明らかにアデスは焦っている。司令官として、そしてひとりの人間として・・・・。

「分かりました。少し離れてください・・・・」
俺は久しぶりに白式を呼ぶことに少し興奮していた。
今まで縛られていた手錠を外されたような気分だった・・・。

「来い、白式!」

いつも通りの感触。
周りの白衣の人間達は、俺と白式を驚いた様子で見た後、『奴』を見る・・・・。
俺も覗き込んでみた・・・・・。異常は特に無い。

アデス「やはり・・・・・」
意味深な言葉を言うアデス。何が『やはり』なのだ?

「なんのことでしょうか?」
俺は理解が追いつかないとばかりにアデスに説明を求める。

アデス「この騒動は、isのコアが原因で始まった。」

アデス「特に、『専用機持ち』と呼ばれる人間が最初の発端だった。」

アデス「専用機持ちが一瞬にしてこのような・・・奴らのような姿になってしまったのだ。」

じゃあ、箒やシャルや鈴達もこんな姿に・・・・。

アデス「そして人を襲い始めた。体内から分裂させたコアを何の能力も無い一般人に埋め込み」

アデス「仲間を増やしていった・・・・isでの迎撃は出来ない。コアを持っているからだ。」

アデス「そしてすぐに世界全土で迎撃を行ったが、3年足らずで現在の状況になってしまった。」

アデス「だが、君は違った。男性の専用機持ちだからか理由は分からないが、『奴ら』にならなかった。」

アデス「そこで、篠ノ之束博士は研究を続けた。君が『奴ら』にならない理由を・・・。」

アデス「しかし時間が無かった。もしも君が歳を取り、死んでしまったら研究できない。」

アデス「その為に、君を仮死状態にして・・・コールドスリープさせ、コアの解析に当たった・・・。」

仮死状態、か。頭痛がして、誰かの声が聞こえたのは、仮死状態前の俺の記憶というわけか・・・。

アデス「そして今から半年前。篠ノ之束博士が失踪した・・・。理由は恐らく・・・・。」

アデス「私達は、博士が研究を続けているという孤島へ向かったが、残されたのは君ただひとりだった。」

アデス「そこでisを使用しての奴らの駆除・・・・いや、戦争に協力して欲しい。」

アデス「戦地に赴いてくれとは言わない。ただ検査をしたいだけなのだ。」
先ほどまでの覇気はどこへ行ってしまったのか、アデスは俺に深々と礼をした。

「そこまで頼まれては断る理由もありません。好きに検査して下さい。」

アデス「ありがとう・・・・感謝するよ・・・・・・・。」

その後、俺は髪の毛や口の裏側の皮膚など、好きなだけ検査させてやった・・・・。
それが人類の為ならば・・・そう思っていた・・・・・。

半年後、俺はセインと談笑していた・・・・。

昔とはまるで別人のようだ。綺麗な髪を撫でてやる。
ベッドの上でセインが言った。

セイン「ずっと、こうしていたいものだな・・・・。」

「あぁ・・・好きだよ、セイン。・・・・・大好きだ。」



そしてアデスがisの量産に乗り出した。
しかし、パイロットがいないだろう?一体どうするつもりだろうか・・・。

その日は突然やってきた。

兵士「織斑一夏さんですね?」
プロテクターを付けた兵士が俺の部屋に入ってきた。
あくまで冷静に、上から目線では無く話かけられた。

「そうですけど?」
俺は特に警戒する理由も無い。兵士も特に武装している様子も無いからだ。

兵士「左腕にこれを付けてください。絶対に外さないで下さい。セキュリティ解除用の機能が付いています。」
兵士「また、もしそれを外すと・・・射殺される可能性があります。」
何を言っているんだ、この兵士は?それにこの白い腕輪・・・なんだか手錠を付けられるような錯覚を覚え気分が悪い。

「別に構わないけど・・・・。」
ガチャッ 濃厚な音をたてて腕輪は俺の腕にはまった・・・・。

ステーション 総司令部

アデス「目標はイギリス!イギリスを拠点に南下し、ユーラシア大陸を落とす!」

兵士1「is黒式a装備300機、is黒式b装備400機、輸送船発進完了しました。」
兵士2「突入タイミング合わせ完了、いつでも大気圏突入可能です。」
兵士3「軍事用ssps 50機のレーザー照射可能を確認。問題ありません。」

アデス「よし、全機突入させろ!(これで、世界が変わるのだろうか・・・・)」


パシューッ

「一体何が起こってるんですか?」

アデス「反抗作戦だよ。君の遺伝子情報を使わせて貰った・・・・礼を言う。」
なんだ?この後ろめたさを感じさせる言動・・・・雰囲気・・・・・・

アデス「すまないがここは作戦の司令部なんだ、あまり無下にしたくは無いが自室へ戻ってもらえないか?」
あくまで冷静に・・・・いや、今の発言はひとりの人間としての指示だった。司令としてではない・・・。
アデスの指が震えていたからだ・・・・・。

作戦は順調に進んだ。
a型が近接戦闘、b型がバックアップ・・・・。
エネルギーはsspsから無尽蔵に送られる・・・。

そして世界各地にある宇宙基地から物資が打ち上げられて来る・・・。
ギアナ宇宙センター、バイコヌール宇宙基地、プレセツク宇宙基地・・・・・

そのほとんどがis生産に回される。
ステーションの人間は、ディスプレイにかじりつき、毎日の戦況報告に歓んだ。

「遂にユーラシアを落としたぞ!」
「次はアフリカ大陸と日本だそうだ!」


だが、俺とセインは釈然としなかった。

一体誰がisを操縦している?無人機か?
俺はそれを確かめたかった。セインもそれを確かめたいと言って俺に協力してくれた。

セイン「こことは別に軍事ステーションがある。そこを当たってみてはどうだろう?」

俺達は恐らく禁断の果実に手を出してしまう事になるのかもしれない。
しかし確かめなければ・・・・これは俺の義務だ。

「付きあわせてしまってすまないな、セイン。」

セイン「気にするな。私はお前とずっと一緒だ。」
セインと俺は短いキスをする・・・・

「よし、行くぞ!」

俺達は兵士に向かって、少し宇宙旅行をしたいと申し出る。
俺の左腕を確認した兵士はすぐに小型の四角い宇宙船の手配をしてくれた。

娯楽の少ないステーション。男女が1組で宇宙旅行と言えば・・・・そういうことだと思ったのだろう。

セイン「レーダーで監視されているのは確実だ。」
セイン「それを取り外して、このあたりの宙域に放置する。そしてそのまま軍事ステーションへ向かう」

「わかった。取り外しは任せる。俺はステーションとの同期を行う。」
距離を一定に保てば何も疑われることは無いという算段からだった。

セイン「取り外しが完了した。」

「ゆっくり、な。」
あらぬ方向へ向かってしまうと勘付かれる・・・・。

軍事ステーションに到着した。

回転していないため遠心力が無い。銃を使えば後ろに吹き飛ばされる。
その為、セインからスタンガンを渡された。

厳重なロック・・・ロック解除と同時に俺がここにいることは気付かれる。
それなら一気に駆け抜けるのみだ!

1つ目、isの生産工場だ。コアまで量産している!?
50m先、2つ目の扉・・・・開いた・・・・・。

俺達は絶句する。俺が、俺が大量に入る。
まるでカプセルホテルを10段ほどに積み上げたような部屋の両側に俺が大量に寝かされている。
それが300m?400m?目算できない・・・・。いったい何人いるんだ?

セイン「・・・・クローンか。」
哀れむように、呟くセイン。

俺のクローンをisに載せて戦闘させていたのか・・・・。

兵士「そこまでだ」

俺達の後ろから図太い声が聞こえる兵士は5人。太刀打ちできない。
だがセインは・・・・やる気だ。愛する男を守る為、体を張って助けようというのだろうか。

俺はそんなセインを制止させ、投降する・・・・。

俺達はステーションへ運ばれ、独房に閉じ込められた・・・抵抗しても無駄な足掻きだ・・・・・。

そんな俺達の元にアデスがやってきた。
そして後ろ手に腕を組み話始めた・・・・。

アデス「見せたくは無かった・・・・もし見せたなら君達は罪悪感に駆られて何をするか分からなかったからだ。」
静かな口調で話し始めるアデス、俺は黙って話を聞くことにした。セインも、同じ態度だ。

アデス「だがこれだけは信じて欲しい。我々は地球を取り戻す為に戦っているということを・・・・」
アデス「もし私を恨むのなら恨んでくれて構わない。それ相応の罰を受ける必要が私にはある。」

「言い逃れだな。」
俺の一言に少し眉を顰めるアデス。しかし、そんなことは気にもしないという態度でまた話し始める。

アデス「もし地球奪還作戦が完了すれば、君達を自由にしよう。これは約束する。」

信用できるか?この男の言葉を・・・・不必要になった俺達を自由にするという事は、
危険因子を野放しにするということと同義。戦争が終わり次第、恐らく銃殺。

今は研究の必要がある為に生かされているに過ぎないだろう・・・・。

そういい残しアデスは独房フロアから出て行った。

そして、ご丁寧に戦況報告が分かるように独房にはディスプレイがあった。
まるで死へのカウントダウンだな。

セイン「既に投入されたisは1万機を超えてる・・・・。」
哀れだ。哀れすぎる。俺のクローンが1万人、今も生きるか死ぬかの瀬戸際で戦っている。

恐らく感情の部分はシャットダウンしているのだろう・・・・。
使いやすいような、道具として、駒として、使い捨てとして・・・・・。

既にアフリカは奪還。日本、東南アジア、オーストラリアも奪還した。
残るは北アメリカ大陸と南アメリカ大陸・・・・・・。

『北アメリカ大陸は広大な土地の為、さらに戦力の増強が・・・・・』
まだ・・・・まだ、isを投入するのか!?

『isを2000機ワシントンへ宇宙より投入。また、ヨーロッパから海域を経由し、8000機が・・・・』

セイン「もう・・・・聞いてられない。」

セインが消えてしまいそうなほど小さな声で呟いた・・・・。

それから1ヶ月半が過ぎた・・・・。

『遂に、遂に地球を我々人類が再び手に入れました!』
興奮気味に話すレポーター。

独房フロアまで聞こえる歓喜の声・・・・。
俺達は2万を超えた俺のクローンたちのことでとても憂鬱な気分になっていた・・・・。

さぁ、銃殺が待っているだろう。もう俺は用済みだ。

『ようずみ?』

「誰だ!?今、俺に声をかけたのは、誰だ!」
俺は周りを見渡す。誰もいない・・・セインが俺を宥める・・・。

セイン「どうした?私以外誰もいないし、声は聞こえなかったぞ?」
心配そうに俺を両腕で抱えてくれるセイン・・・・確かに聞こえたはずだった・・・・・・

『もう、用済みなのか?』
次ははっきり聞こえた。用済み?そうだ、俺はもう用済みだ。

『じゃあ俺達も用済みなのか?』
俺達?お前は誰だ?

『俺達はお前だよ、織斑一夏』
コアを介して俺と会話しているのか・・・・?
そうか、『お前達』とは俺のクローン達のことか。

『そうだよ。なぁ、俺達も用済みなのか?殺されるのか?』
分からない。ちょっと待っていろ、直接本人に聞いて見る・・・・。


カチャッ

兵士『こちら司令室』
「織斑一夏だ、大事な話がある。アデス司令と変わってくれ。」

兵士『・・・・わかりました。』

アデス『どうした?飯が不味かったかな?』
「大事な話だ。電話でもいいが、できれば直接聞きたい。」

アデス『わかった。今から行く。』

アデス「で、私に何のようかな?」
完全に上から目線・・・・俺を殺す気だ。

「ひとつ聞きたい。2万もの俺のクローンをどうするつもりだ?」
俺はストレートに聞く。言い逃れはさせない為に!

アデス「・・・・非常に危険な因子だ。排除する必要がある。」
アデス「そうだな・・・一箇所に集めて銃殺、と言ったところだ。」
淡々と事務仕事でもするかのように話をするアデス。俺はあくまで冷静に答える。

「そうか、分かった。あんたの腹積もりもな・・・・。」

アデス「何のことだ?」
あくまで白を切り通すらしい・・・。

「アデス、お前の考えはお見通しだと言っている。地球奪還作戦の司令官、英雄だ。」
「さぞや居心地の良い地位を手に入れられるだろうな。2万ものクローンを利用してまで・・・・」

アデス「ははははは、ジョークのセンスは中々良いな、織斑一夏君。まぁ、今後を楽しみにしていなさい」

そう言うとアデスは立ち去っていった。だが俺は見過ごさなかった。
思い切り右手を握り締めて、理性を保つように自分を律していた奴の行動を・・・・。

っというわけだ。奴らはお前達を・・・俺を殺すだろう。
所詮は使い捨ての駒だったということだ・・・・。

『どうする?俺達はお前の強い感情が、コアを通して伝わってきている。それで感情が芽生えた』
脱出するさ。こんな所で死ぬのは御免だ。

『怒りの感情だ・・・俺達ももう自分を抑えるのが限界らしい・・・・・・』
そうか、好きにすればいい。お前達は俺では無いんだから。それは事実だ。

『分かった。早く地球に逃げろ。じゃあな。』
それはどういう意味だ?おい、答えろ!

何か、変な胸騒ぎがする・・・コアを伝って怒りの感情か・・・・・?

セイン「一夏、大丈夫か?ずっと俯いていたが・・・・。」

「大丈夫だ、それよりもセイン。ここを脱出して地球へ行く。」
俺はセインの目を見つめて真剣に話す。

セイン「しかしどうやってここを・・・・」
俺はガントレットをおもちゃを手に入れた無邪気な子供のように揺らす。

セイン「し、しかし見つかれば銃殺だ!」
最もだ。だが今は俺を信じて貰う以外に無い・・・コアを通して伝わる感情、尋常では無い。

どんどん怒りの感情が近づいてくる・・・・

あいつら、何を仕出かすつもりだ?
とりあえず今は脱出だ。

「来い、白式!」

セインを抱え、俺はブーストを吐き出しながら廊下を突っ切る!

「どけぇぇえええええ!!」

それに気付いた兵士が発砲してくるがisに通常弾が効く訳が無いだろうが。
俺達はシャトル発射口に付いた。小型の大気圏突入用の機体。

俺は兵士を引き付けながらシャトル発射口のボタンを探しだし、押し込む。

一気に気圧が低下し、兵士数十名が宇宙に放り出された。
俺はブーストを掛けながら気圧低下が落ち着くのを待ち、isを解除してシャトルに乗り込む。

セインは俺の搭乗を確認すると、すぐに発進した。俺は壁に激突して背中を痛めてしまった。

「ははは、館山の件を思い出すな」
などと冗談を飛ばして余裕を見せてみるが、外の景色を見て俺は唖然とした。
大気圏脱出用のまみれじゃないか!

中に乗っているのは、俺のクローン達だ・・・・
いったい何をするつもりだ?

ステーションは、司令室のある居住ステーションと軍事ステーション、
他に医療ステーションと送電ステーションがあるが・・・。

多数のシャトルが・・・・全てのステーションへ向けて突入した。
中には特攻をかけて自爆するものまでいる・・・・。
地球の資源を使っての輸送用のシャトルが2万人分あるはずだ・・・。

ssps用の太陽光パネルにまで特攻をかける者が出始める・・・・

宇宙は一瞬にしてデブリまみれになった・・・・。

居住区内では一方的な虐殺が行われているのだろう・・・・。

そして各ステーションは秒速8kmで自転する地球に、少しずつ吸い寄せられていく・・・・・。

これが、あいつらの出した答えなのか・・・・・。

2万人を乗せた多数のシャトルを避けるセイン。
さすが訓練されているだけのことはある・・・・。そして大気圏内に突入した・・・・・。

地球だ。地球に帰ってきた。
後は自動操縦モードに切り替える。

現在地は・・・・東南アジアか。シャトルの方角は北東。

「お疲れ様、セイン。」
俺はセインの頭を抱き寄せて

セイン「しかし、よくわかったな。この騒動が起こることを・・・・」
俺に抱きつきながら、俺の胸から顔をむずむずと出してひょこりと俺を見つめるセイン。

「教えてくれたんだよ。みんなが・・・・・」
俺はそう言って、大気圏で空中分解するステーションを見上げた。

「どこへ行こうか?やっぱりハワイでバカンスか?」
少し冗談を言って、重たい空気を変えようとしたが、結構まともな返事が返ってきた。

セイン「遠すぎる。鹿児島空港で我慢しろ。」
そう言うとまた俺の胸に顔を埋めて擦り付けてくるセイン。

「そうだな、ゆっくりしよう・・・・・」
俺はそう言って、左腕に付いた輪を取り外し放り投げた・・・・。

e n d

なんだと…乙乙
設定の元ネタみたいなのはあるの?

>>81
ブルージェンダーっていうアニメ

キャラの名前はオリンポス12神をもじって俺が勝手に付けたからアニメとは関係無いよ


isである意味はあまりなかったような

>>83
マジその通り。
基本、書き溜め派だから今回のは書いてて方向性の修正やら大変ではあった
勉強になったよ

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