晶葉「出来たぞ! 何でも答える装置だ!」 (20)
P「へぇ、なんで鏡の形をしているんだ?」
晶葉「白雪姫を参考にしたんだ。出てくるだろう? 魔法の鏡が」
P「ああ、あれか。なるほど。しかしどんなことでもか」
晶葉「ああ、何でもだ。例えば……明日のこの辺の天気を教えてくれ」
鏡「お答えします。一日通して晴れです。降水の心配はありません」
P「晶葉のパンツの色教えてくれ」
晶葉「なっ」
鏡「お答えします。白です」
晶葉「ちょっ」
P「では実際に確かめてみよう。晶葉、脱がすぞ」
晶葉「触るなっ!」
P「いてぇ! ばっか、スパナで殴ったら普通怪我するぞ!」
晶葉「人のスカートを脱がそうとしたんだ! それぐらい甘んじて受けろ!」
P「で、どうなの実際。白いの?」
晶葉「……ああ」
P「まじかよ……。白パンツ晶葉か……」
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晶葉「くっ……仕返しがしたい……」
P「俺恥かしいこと無いもんねー。パンツ見たい? 見る?」
ちひろ「プロデューサーさんの給料振込先に指定されている銀行口座の
暗証番号教えてください」
P「あっ」
鏡「お答えします。0222です」
ちひろ「すみません、ちょっと外に用事が出来たので出かけますね」
P「おい、待て。なんで俺の鞄を持って行く待てちひろおおおおおおおおお!!!!」
晶葉「……行ってしまったか。私はもう少しこれのテストを進めるか。
しかしいざ質問しろと言われても何をすればいいか悩むな」
桃華「戻りましたわ」
雪美「ただいま……」
晶葉「お、丁度いいところに来たな」
桃華「あら、どうかしまして?」
晶葉「そうだな……何でも教えてくれるとしたら二人は何が知りたい?」
雪美「何でも……?」
晶葉「ああ、何でもだ」
桃華「その鏡が答えてくれますの?」
晶葉「まぁそんなところだ」
雪美「……ある」
晶葉「お、なんだ。鏡に言ってみろ」
雪美「Pと……もっと仲良くしたい……。どうすればいい……?」
晶葉「もう十分仲はいいだろう」
桃華「仕事中でもいつでもねだれば膝の上に乗せてくれるのは雪美さんだけですわ。
わたくしも乗りたいのに……」
鏡「お答えします。現時点では現状以上の進展は不可能です」
雪美「えー……」
晶葉「つまりプロデューサーから雪美に対する親愛度はマックスってことだな」
桃華「でも現時点ってどういうことですの……?」
鏡「お答えします。今から四年後に一度、関係を発展させるチャンスが訪れます。
それを逃した場合、次は六年後になります」
晶葉「四年後? ということは雪美が十四歳か」
雪美「何が……起きるの……?」
鏡「お答えします。四年後の十二月に広範囲な停電が発生。佐城雪美はプロデューサー
と共にエレベーターに閉じ込められ一夜を過す可能性があります。そのエレベーター内
で体温の低下を防ぐために両名は体を」
晶葉「ストーップ!! はい待て待て!! ちょっと待て!!」
雪美「大事……! 今大事なところ……!」
晶葉「まだ早い! まだ早いから!! あと二年したら! 二年したらね!」
雪美「ぶー……」
桃華「……それにしてもこの鏡。未来のことがわかりますのね」
晶葉「え? ああ、そういえば四年後の十二月に大停電があるって言ったな。
そんなことがわかるほど性能がいいはずないのだが……」
桃華「まるで予言ですわね……。次にこの事務所に来るのは誰かしら?」
鏡「お答えします。双葉杏です」
晶葉「杏だと? そんなはずないな。だって今日はオフだぞ」
杏「うーっす」
桃華「来ましたわね」
雪美「予言通り……」
杏「んー? 予言? 朋さんの? それともサイキッカーの?」
晶葉「ああ、いや、私の発明品のだが……」
杏「へー、予言ねー。晶葉なんでそんなペンギンが水鉄砲食ったような顔してんのさ」
桃華「それ、ただ喜ぶだけだと思いますわ」
雪美「杏……今日、お休み……」
杏「まーね。ちょっと出かけててさ。近く通ったからプロデューサーに何か買って貰おうかと……。
あれ? プロデューサーは?」
晶葉「ちひろさんを追いかけて出て行ったぞ」
杏「えー……。いつ戻ってくんのさー。適当に理由つけてお菓子買ってもらおうと思ったのに」
桃華「自分のお金で買ってくださいまし」
雪美「プロデューサー……いつ戻るの……?
鏡「お答えします。プロデューサーがこの事務所に戻るまで残り十分です」
杏「ん? そうなの? というかそんなことまでわかるの、これ」
晶葉「一応は何でも答える装置ということで作ったのだが……」
杏「プロデューサーが戻ってくる時間なんてどうやって割り出しているやら」
雪美「魔法の……鏡……」
晶葉「『充分に発達した科学技術は、魔法と見分けが付かない』、と言ったところか」
桃華「晶葉さんはさしづめ魔法使いですわね」
幸子「フフーン! カワイイボクが舞い降りましたよ!
今日を世界記念日にしましょう!!」
杏「あー、幸子。ちょっとこっち来て」
幸子「え、杏さん? いや、あのボクちょっと」
桃華「怯えられてますわ」
雪美「泣いてる……」
晶葉「何かしたのか」
杏「何にもしてないよ。本当だよ? 幸子、何でそんな怖がるのさ」
幸子「だって杏さん今日オフなんですよ? それなのに事務所にいて
しかもボクを呼びつけるなんてきっと悪い事に決まってます!」
杏「え、ひどくない?」
晶葉「わかる」
杏「えっ」
桃華「大丈夫ですわ。幸子さん。わたくしたちも一緒ですの」
雪美「怖くない……」
幸子「そ、それじゃあ……カワイイボクに何か用ですか?」
晶葉「実はな、この鏡。白雪姫の鏡なんだ」
幸子「鏡さん、一番カワイイアイドルはボクですよね!」
杏「予想通り」
桃華「迷うことなく訊きましたわね」
鏡「お答えします。一番カワイイアイドルはあなたです」
幸子「聞きましたか! ああ、やはりボクのカワイさには神をも膝を折るということですね……」
杏「一番可愛いアイドルって誰?」
鏡「お答えします。一番可愛いアイドルは神埼蘭子です」
桃華「シンデレラガールの名は伊達ではありませんわね」
幸子「ちょちょちょっと待ってください! 一番カワイイアイドルはボクなんですよね!?」
鏡「お答えします。一番カワイイアイドルは輿水幸子です」
杏「一番可愛いアイドルって結構入れ替わるの?」
鏡「お答えします。メディアへの露出等で秒単位の入れ替わりが発生しています」
桃華「それでは今、一番可愛いアイドルは誰ですの?」
鏡「お答えします。一番可愛いアイドルは前川みくです」
みく「やったにゃ」
杏「あれ、いたんだ」
みく「今来たところにゃ。一番可愛いアイドルにいつの間にかなってたにゃ」
幸子「一番カワイイアイドルは!?」
鏡「お答えします。一番カワイイアイドルは輿水幸子です」
幸子「ボクが訊く時はいつもボクがカワイイですね」
雪美「可愛いとカワイイは……違う……?」
桃華「そういうことですわね」
幸子「どういうことですか……?」
みく「へぇ。何でも答えてくれる鏡かぁ」
晶葉「何か質問があるならしてくれ。どうやら未来のこともわかるようだし」
みく「未来のことも? うーん……」
幸子「そろそろボクの体を張ったお仕事は終わりになったりしませんかね……」
鏡「お答えします。しません」
桃華「無慈悲ですわ」
幸子「ほら、この前のノルウェーみたいな仕事なら歓迎なんですよ!
オーロラもボクに負けず劣らず美しいものでしたし!」
雪美「寒かった……?」
幸子「寒かったですよ。雪美さんなんて凍っちゃいますよ!
でも安心してください! カワイイボクが暖めてあげますから!」
雪美「寒中水泳……大変だった……?」
幸子「やってませんよ、そんなこと。誰ですか、言いふらしているのは」
鏡「お答えします。小関麗奈です」
幸子「あぁ……」
杏「あっちでも色々されたみたいだね。まぁ麗奈は大したイタズラしないし」
幸子「まぁそうですね」
晶葉「放っておいてもテストは出来ているようだし、無理に質問しろとは言わないが」
みく「……えっとね」
晶葉「言い難いことなのか?」
みく「…………」
晶葉「それなら誰もいなくなってからでもいいぞ」
みく「学校のテストの……ヤマを……」
晶葉「……」
みく「……てへっ」
晶葉「自分で勉強したまえ」
みく「最近お仕事で忙しくてテスト勉強してないのー! 次のテストやばいにゃー!」
P「疲れた……」
晶葉「お、戻ってきたな」
桃華「時間通りですわね」
P「なんかいつの間にか増えてるな」
杏「そうそう。ファミレスでパフェ奢ってよ」
P「何がそうそうなんだよ。何で奢らなきゃいけないんだよ」
雪美「だめ……?」
P「よっしゃ! おやつ休憩するぞ! 近くのファミレス行こうぜ!」
幸子「そういえばちひろさんの姿が見当たりませんね」
P「あのクソ……ちひろさんなら足りない物を買いに行ったよ。
みんな行くか。みくも行くだろ?」
みく「……みくはテストの勉強があるにゃ」
P「マジメネコチャンにゃ。じゃあついでに留守番頼むわ。電話は出なくていいぞ」
みく「わかったにゃ。お土産はシュークリームがいいにゃ」
P「おう、じゃあ行ってくるわー」
みく「いってらっしゃーい」
みく「…………さて」
みく「どんなことでも答えてくれるんだよね」
鏡「お答えします。その通りと考えてもらって問題ありません」
みく「例えばさ、未来のことがわかるみたいだけどその未来は変えられるの?」
鏡「お答えします。可能です」
みく「……それはつまりみくの望むあらゆる未来が叶えられるということ?」
鏡「お答えします。要望によっては不可能なものもあります」
みく「それは現実的に不可能なことだよね? 例えばみくが今すぐネコになるとか」
鏡「お答えします。不可能な要望はそういったものも含まれます。
あるいは現時点からの予測では実現が不可能なものもいくつか存在します」
みく「その中に……みくがトップアイドルになる未来は含まれているの?」
鏡「お答えします。含まれていません。前川みくがトップアイドルになる未来は実現可能です」
みく「じゃあさ……」
みく「じゃあどうすればみくはトップアイドルに」
「ちょっとまったああああああああああああ!!」
みく「ギャアアア!?」
「止まらなギャアアア!! 痛い!!」
みく「どどどっから出てきたにゃ! なんでロッカーに回転突撃してるにゃ!!」
「いててて……予測誤ったかな。そういえば事務所ってこんな狭かったっけ」
みく「あんた誰にゃ!!」
「服汚れちゃった……。代えの服なんてもうないのに……」
みく「……!? え、うそ、まさか」
「ふふふ、どうやらわかったみたいね」
みく「うそ……もしかして……みく?」
未来みく「こんにちは。昔の私」
みく「どういうことにゃ……? 本当にみくなの……?」
未来みく「髪も伸ばしてるし、この頃とは服の趣味も違うもんね。
わからなくても仕方ないよ。とりあえずちょっとこっちに来て」
みく「うー……にゃにがにゃんだか……」
未来みく「私はね、止めに来たの」
みく「何を?」
未来みく「一つはあなたがこの鏡にさっきの質問をするのをよ」
みく「それって……みくがトップアイドルになることを防ぎに来たってこと?」
未来みく「そうとも言えるし、違うとも言える」
みく「うーん……?」
未来みく「私はね、さっきの質問をして、その答えを受けてトップアイドルになった未来から来たの」
みく「なれたの!?」
未来みく「なれたよ。第……何回だったかな。シンデレラガールだよ」
みく「それじゃあ!」
未来みく「シンデレラのガラスの靴を履く為に足を切る。その覚悟がある?」
みく「どういうこと?」
未来みく「私がシンデレラガールとしてスポットライトの光を浴びたとき。
私の隣にはあなたの知っているプロデューサーはいないし、
私の周りにはあなたの知っているアイドルはいないし、
私の頭にはネコミミはなかった。そういうことよ」
みく「え……」
未来みく「その鏡はね。私がシンデレラガールになるまでの全ての道のりを予言、というよりも
命令したの。ただそれに従っただけ。その過程で他の事務所の引き抜きに独断で
応じたし、その結果ここが潰れても何もしなかったわ。猫キャラなんて速攻で捨てちゃった」
みく「……」
未来みく「私の意思なんて……そうね、この鏡に質問したぐらいじゃないかしら。
あとは鏡の命令を書いた手帳を読んで……その通りに動いただけ。
何かを得るために犠牲を払わなければならない。でも私はそれを犠牲にするべきじゃなかった」
みく「……」
未来みく「ねぇ、私。アイドルは好き?」
みく「……うん」
未来みく「じゃああなたはそのまま。アイドルが好きな前川みくとしてトップアイドルを目指して。
私はあなたの歩く道が、私よりも素晴しい未来に繋がっているって信じているから」
みく「うん!」
未来みく「さてと、あともう一つ仕事があってね」
みく「何かやるの?」
未来みく「えっとね、その鏡の破壊なんだけど……頼めるかな。なんか時間切れっぽくて」
みく「体が透けて来てるにゃ!」
未来みく「質問すれば壊し方も教えてくれるから! お願いね、私!」
みく「でもなんで!」
未来みく「……みくを信じるにゃ!」
みく「!! わかったにゃ!」
みく「……行っちゃった」
みく「みくはみくを信じるにゃ。例えネコミミがなくても」
みく「ねぇ鏡さん。あなたの――」
みく「ほんっとうにごめんなさい!!」
晶葉「えーっと……」
桃華「何も反応しませんわね」
雪美「ただの鏡……」
杏「いや、ヒビ入ってるし最早不良品だよ」
幸子「割れた鏡に映るボクはカワイイですけどわかりにくいですね」
みく「弁償します!」
晶葉「まぁ気にするな。テストした感じ過ぎた玩具にも思えたしな。
どちらにしろ解体しようと思っていたんだ」
桃華「確かに未来までわかるのは考え物ですわ」
杏「クジの当たり番号くらい訊いておけばよかったな」
P「俺、まだちゃんと遊んで無いんだけど。その発明品」
幸子「いえ、プロデューサーさんが遊ぶと他がひどい目に合うのでそれでいいと思います」
P「ひどい……」
雪美「大丈夫……四年後があるから……」
P「四年後?」
桃華「そういえば雪美さんだけちゃんと質問してましたわね」
晶葉「そうだな。今度感情反応型猫尻尾を作ろうと思っているから
みくはそれを手伝ってくれ」
みく「うん、わかったにゃ」
晶葉「よーし、じゃあ早速取りかかるかな……。尻尾の差込部分はやはり尻の……」
みく「それは勘弁してほしいにゃあ……」
みく「ただいま、晶葉」
みく「鏡、壊すところまではいられなかったけどきっと過去の私が壊してくれるから」
みく「これであの世界は救われる。きっと幸福な未来が待っている」
みく「だからもう安心してね」
みく「それにもうすぐ私も……」
以上
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