小鬼「良い天気ですね」(240)

山奥の小屋
鬼の少年(次から小鬼)「今日も良い天気ですね」

妖狐のお姉さん(次から妖狐)「そうね」

妖狐「今日も薬の材料探しかい?」

小鬼「はい!」

妖狐「毎日毎日ご苦労様」ナデナデ

小鬼「えへへっ」

妖狐「たまには休めばどう?」

小鬼「え?」

妖狐「(子供は元気ねー)」

小鬼「?」

小鬼「休むわけにはいかないですよ」

妖狐「そうかい?」

小鬼「そうです」

妖狐「はいはい、働き者ね」

小鬼「それに休んだら妖狐さん、暇とかいって休んでる僕にイタズラするじゃないですか」

妖狐「反応が楽しいんだよ」

小鬼「ヤですよ」プイッ

妖狐「ふふっ」クスクス

小鬼「長居しすぎましたのでもう行きます」

妖狐「はいはい」

小鬼「行ってきまーす」

妖狐「行ってらっしゃい」

妖狐「さて、………もう一眠りしようかしら」

小鬼「天気が良いから材料が見つけやすいや」

(しゃがんで、薬草を取り)

小鬼「商人さんが来る日は近づいてるな」

小鬼「後、2日くらいかな?」

小鬼「妖狐さんも油揚げ楽しみにしてるし」

小鬼「薬の材料も見つかったし、早めに帰って薬作ろっかな」

小鬼「�・♪」

小鬼「あ、蝶々だ」

夜 山奥の小屋

小鬼「蝶々に気を取られすぎた」シュン

妖狐「おや、おかえり」

小鬼「あ、妖狐さん! また小屋で寝てたんですか」

妖狐「居心地が良いんだよ」

小鬼「あんな広い家あるのに」

妖狐「良いじゃないか、いつもの事だし」

小鬼「もうっ」

妖狐「飯はまだかい?」

小鬼「帰ってきたばかりですよ」

妖狐「えー」

小鬼「ちょっと待って下さい」

妖狐「むー」



妖狐「野菜汁の茸にがーい」

小鬼「茸は栄養あるんです」ホカホカ

妖狐「小鬼のキノコはちっさいじゃん」ムスッ

小鬼「?」

妖狐「まだお子さまには早かったね」

小鬼「?」

妖狐「んー、今の小鬼も悪くないけどね」ズイッ

小鬼「んぇ?(妖狐さん、顔近い」

妖狐「このまま味見しようかな?」ダキッツキッ

小鬼「!!」

妖狐「ふふふっ?」ムニッ

小鬼「ちょっと、…妖狐さん?(胸当たってる…」

妖狐(照れてる、照れてる♪)

妖狐「早くご飯食べないと冷めるよ」ニヤニヤ

小鬼「邪魔したのは妖狐さんです」

妖狐「良い男は細かいことは気にしない」

小鬼「まだ僕は子供です」

妖狐「蝶々に夢中になってるくらいだしね」

小鬼「!? ……また、“遠見”ですか」

妖狐「よーぉく、見えてたわよ」

小鬼「…妖術でしたっけ?」

妖狐「あら、覚えてたんだ?感心なことね」

小鬼「その妖術で色々されましたから」

妖狐「あら、そうだったかしら」ニコッ

小鬼「覚えてなさそうですね……」

妖狐「忘れっぽいから」

小鬼「もう良いですよ……」ハア

妖狐「久しぶりにお風呂入りたいなー」

小鬼「薬を作るので、今日は駄目ですよ」

妖狐「」


小鬼「終わったし、早く寝ようかな」

小鬼「ん、?」

小鬼「妖狐さん、僕の布団取らないで下さい」

妖狐「春先といってもまだまだ寒いわね」モゾモゾ

小鬼「ええ、寒いです」

妖狐「だから、布団に入ってるの」

小鬼「僕の寝るところが無いじゃないですか」

妖狐「ここに小鬼の場所空けておいたから」

妖狐「小鬼はあったかいからね、一緒に寝よ?」

小鬼「………ッ」

小鬼「僕は予備の布団で寝ますから」テキパキ

妖狐「一緒に寝ないの?」

小鬼「妖狐さん、寝相悪いじゃないですか」

妖狐「小鬼も寝相悪かった時、あったわね」

小鬼「…いつ、ですか?」

妖狐「何度か小鬼、私をお母さんと間違えて胸に吸い付いたりとk」

小鬼「あの話は忘れて下さい!!」アセアセ

妖狐「うふふっ、赤ん坊みたいに夢中で可愛かった」

小鬼「」カーッ

妖狐「小鬼が人肌恋しいならいつでも言えば良いのに」

小鬼「そ、そんなこと、頼みませんってば!」

妖狐「お姉さんは全然構わないけどね♪」クスクス

小鬼「……ッあ、もう寝ますよ!(布団被り」

妖狐「あらあら?」

妖狐(まだまだ子供ね)

深夜
妖狐「……やっぱり寒いわね」

妖狐「……移動しよっ」

妖狐「……小鬼?起きてる?」

小鬼「zzz……」スヤスヤ

妖狐「おじゃましまーす(侵入」

小鬼「zzz……」

妖狐「あったかいわね、さすが小鬼ね」ギュッ

妖狐「……案外、私の方が人肌恋しいのかな」

小鬼「…ぁ…さん」

妖狐「ん?」


小鬼「……お母さん、お父さん……」ギュッ

妖狐「寝言、ね」

妖狐「………」





妖狐「………」ムギュッ



小鬼「妖狐さん、夜中忍び込んだんですね」ジト

妖狐「ん�・、後10分�・」

小鬼「寝過ぎです」

妖狐「小鬼ぃ�・♪」スリスリ

小鬼「寝ぼけてるっ!?」

小鬼「明日は商人さんが来るので掃除です」

妖狐「えー、あのムッツリスケベ来るのー」

小鬼「ムッツリスケベじゃないです、商人さんです」

妖狐「どっちでも良いじゃない」

小鬼「手伝って下さい」

妖狐「ヤダ」プイッ

小鬼「明日は油揚げを多く貰いますから」

妖狐「やる」コーンッ

妖狐「で、何をするの?」キラキラ

小鬼「色々ありますが」

小鬼「まずは薬室の掃除を」

妖狐「あ、入れてくれるんだ」

小鬼「危険物がありますから。普段は入れないのはそれが理由です」

妖狐「小鬼の危険物なんて、私にとって可愛いものよ」

薬室
妖狐「えらい散らかってるわね」

小鬼「新薬に手を出そうかと」

妖狐「新薬?」

小鬼「商人さんからリクエストが」

妖狐「ふーん……どんな薬?」

小鬼「惚れ薬、でしたかね」

妖狐「もしかして、媚薬?」

小鬼「媚薬?本にはそうは書かれて……」

妖狐「媚薬って直接かいたら焚書指定されるから言葉を濁して書いてるのよ!」

小鬼「禁書の薬だったんですか?」

妖狐「子供に何てもの作らせてるのよ、あのムッツリ」

小鬼「じゃあ、できた分は焼却しますね」

妖狐「小鬼」

小鬼「はい?」

妖狐「私が処分しとくから」キランッ

小鬼「薬室はこれくらいで良いかな」

妖狐「ふふふっ」

小鬼「嬉しそうですね」

妖狐「思わぬ収穫があったから」ニヤニヤ

小鬼「……ちゃんと処分して下さいよ」

妖狐「分かってるわよ」

小鬼「では、次いきますよ?」

妖狐「了解」

夕方

小鬼「時間が経つのは早い」

妖狐「全くね」

妖狐「んー、汗かいちゃったわね」パタパタ

小鬼「ご飯にしますか?」

妖狐「汗かいちゃったのよね、私」パタパタ

小鬼「……風呂の準備しますね」

妖狐「小鬼、気が利くわね」ケラケラ

風呂

妖狐「こういう時って妖術便利ね」

小鬼「火番要らずだから楽ですけど……」

妖狐「けど?」

小鬼「妖狐さん、一緒に入るのはどうかと」テレテレ

妖狐「子供に裸見られたって何とも思わないわよ」ヌギヌギ

小鬼「ぼ、僕が気にするんです」アセアセ

小鬼(流れで入ってしまったーっ!)カポーン

妖狐「良い湯ねー、そう思わない」

小鬼「あの、妖狐さん?」

妖狐「私は小鬼にまっすぐこっちを向いてもらって話してほしいな」プカプナ

小鬼「妖狐さんは今裸ですよ!?」

妖狐「恥ずかしくないし、構わない構わない」

小鬼「うー」カーッ

妖狐「お♪」

小鬼(妖狐さん、スタイルが良いし顔も美人で銀髪も綺麗だし目のやり場に困る)

妖狐「やっぱり、相手の方を向いて喋らないとね」

小鬼「……ぅー。」

妖狐「ね、小鬼?」ズイッ

小鬼「は、はい?」

妖狐「小鬼としてみたいことあるんだけど」

小鬼「し、してみたい、こと?」

妖狐「洗いっこしよ?」ニヤッ

小鬼「む、無理です、よ」

妖狐「私の体洗いたくない?」

小鬼「妖狐さんの体……」ゴクッ

妖狐「男の子なら興味ないことはないでしょ?」

小鬼「で、でも妖狐さんの、なんて……僕には……」

妖狐(小鬼には刺激が強すぎたかな)

妖狐「じゃあ、髪を洗ってほしいな?」

小鬼「それくらいなら、……?」

小鬼(妖狐さんの髪、手触り凄くいいや……)

妖狐「整髪料も切れるところだったし、ちょうど良かったね」

小鬼「そう、ですね」ボーッ

小鬼(髪の香りもいいし)

小鬼(何だか髪に触ってるだけなのに)

小鬼(凄いドキドキする……)

妖狐「……ぉに」

小鬼「」ボーッ

妖狐「小鬼?」

小鬼「ひゃっ……」ビクッ

妖狐「見とれてたのかな?」ケタケタ

小鬼「う……妖狐さんの髪……だから」

妖狐「えー、今なんて?」

小鬼「だから……」



小鬼「……妖狐さんの髪は綺麗だなって」

妖狐「…………ぁ」ズキンッ

妖狐「もっかい、小鬼に今の言葉を言って欲しいな」

小鬼「え?」

妖狐「お願い?」

小鬼(う、上目遣い…!)ドキッ

小鬼「は、はい。……妖狐さんの、銀髪とても綺麗ですね」

妖狐「んっ、……ありがとっ?」

妖狐「浴衣もたまには良いわね、でも湯冷めする」ブルッ

小鬼「ぅー、ぅー」マッカッカ

妖狐「体洗ってあげたのがそんなに恥ずかしかった?」

小鬼「体の隅々まで洗われるなんて……」

妖狐「嬉しかったの?」

小鬼「そ、そんなこと、は……」デレッ

妖狐(分かりやすいわね)

小鬼「明日も早いので今日はもう寝ます」

妖狐「そうね、今日は疲れたしね」

小鬼「明日は約束通り……」

妖狐「油揚げを頼むわよ」

小鬼「商人さんからいつもより多めに貰います」

妖狐「ふふふっ、楽しみ」ニヤッ

小鬼「それでは、おやすみなさい」

妖狐「おやすみね」

区切りが良いので、
ここらへんで一旦区切ります。
明日早いので寝ます。

もし、明日も残ってたら
予定では昼ぐらいから再開します
それでは

小鬼「」むくっ

小鬼「また妖狐さん、僕の布団に入ってる」

小鬼「………。」

妖狐「zzz」スースー

小鬼「」カミナデナデ

小鬼「」ナデナデ…




小鬼「妖狐さん、朝ですよ」

妖狐「ねむーい」ボケーッ

小鬼「早起きは三文の得ですよ」

妖狐「私は夜型よ」

小鬼「知ってますよ」

妖狐「夜型なんだから」

小鬼「それは聞きました」

妖狐「大事な事だから二回言った」

妖狐「お粗末様でした」

小鬼「ごちそうさまでした」

妖狐「毎日、汁に油揚げが入ってたらね」

小鬼「我が儘ですよ」

妖狐「んー、後は酒かな」

小鬼「朝から酒は駄目です」

妖狐「小鬼のお屠蘇も美味しいと思うな」ニタッ

小鬼「僕のお屠蘇?」クビカシゲ

小鬼「そろそろ商人さんが来ますね」

妖狐「」ツーンッ

小鬼「商人さんが来ますよ」

妖狐「私はあのムッツリ嫌い」

小鬼「商人さんは良い人だと思うんだけどなあ」

妖狐「小鬼はまだまだ甘いのよ」

小鬼「むーっ」



「おーーい、小鬼」

小鬼「あ、商人さんだ」

(背中に大きい箱を担いだ商人が入ってくる)

商人「やあやあ」

小鬼「こんにちは」

商人「おやおや、妖狐さん相変わらずお綺麗で」

妖狐「あんたに誉められても嬉しくないよ」

商人「そいつは手厳しいね」ヘラヘラ

商人「なあ、小鬼君?」ヒソヒソ

小鬼「どうしたんですか?」ヒソヒソ

商人「頼んでおいた惚れ薬は?」ヒソヒソ

小鬼「あの薬は駄目なものって、妖狐さんから聞きましたよ?」ヒソヒソ

商人「!?」

商人「薬どしたの?」ヒソヒソ

小鬼「(妖狐さんが)処分しました」

妖狐「」コーンッ

商人「薬の評判はとても良いよ」

小鬼「そう、ですか」テレテレ

妖狐(嬉しそうね)

商人「薬の数を増やせると嬉しいな」

小鬼「えーっと…………」

商人「もっと評判があがると思うんだ」

小鬼「ッ」ピクッ

商人「どうかな?」

小鬼「それは……。」

妖狐「商人さん?」

妖狐「前任の小鬼父ならまだしも、まだ子供の小鬼にそれは酷じゃない?」

商人「ちょっとだけ増やs」

妖狐「小鬼が良いって言ってるから聞き逃してるけど、薬の値段もう少し上でも良いんじゃないかなって私は思ってる」

商人「横から何様…」

妖狐「商人さんがどんな値段で薬を売ってるか知らないけどね」

商人「」

小鬼「妖狐さーん」

妖狐「何」

小鬼「商人さんを苛めないで下さい」

妖狐「これは彼のためになるのよ」

小鬼「そうなんですか?」

妖狐「そうなのよ」

小鬼「……妖狐さんがそういうなら」

妖狐(小鬼はまだまだ子供ね)

商人「小鬼?」

小鬼「はい?」

商人「よくあんなおっかない女狐といれるな」

小鬼「めぎつね?」

商人「いや、やっぱりいいわ」

商人(本当にガキだよな、小鬼って)

商人「足りなくなってた日用品の補充と食糧、調味品を……」

小鬼「ありがとうございます」ペコリ

商人「それと……」ゴソゴソ

商人「あったあった、コレな」スッ

小鬼「あ、油揚げ多めに持ってきてくれたんですね」

商人「あの妖狐って名前だったかな、女のためか」

小鬼「はい。これでいなり寿司でも作ろうかと」

商人「よく尽くすよな」

商人「これらはおまけ、な」スッ

小鬼「本、ですか」

商人「小鬼が欲しいって言っていた海外の国についての記述本」

小鬼「わっ……」キラキラ

商人「それと、これ」

小鬼「これは……」

小鬼「また西洋の飲み物ですか、前回は酷かったですよ」

商人「今回のやつはガスを瓶の中に閉じ込めることに成功した奴でな」

商人「らむね、っていうらしい」

商人「蓋に硝子の珠が入ってるだろ、押してみな」

小鬼「(ポンッ)わっ、泡が泡が!」

商人「ははっ」ケタケタ

小鬼「手が………」ベタベタ

商人「驚いたろ?」

小鬼「驚きましたよ」

商人「瓶に口当てて飲んでみろよ」

小鬼「�・�・�・ッ」ゲホッゴホッ

小鬼「口の中で、爆発した……」

商人「予想通りだな?」

小鬼「あれ? でも甘い……」

商人「クセは強いが、甘いんだよ」

小鬼「変わった飲み物ですね」グビッ

小鬼「……」ゴクンッ



小鬼「美味しいですね」

商人「くくくっ」

商人「今日はもう帰るから」

小鬼「次はいつくらいですかね?」

商人「一月後くらいかな」

小鬼「分かりました」

商人「あ、それと一つ注意が」

小鬼「注意?」

商人「山で誰か見たら、注意しろよ」

小鬼「?」

商人「気を付けろよ」

小鬼「妖狐さーん」

小鬼「いないや?」キョロキョロ

小鬼「せっかく、らむね、を多めに貰ったから妖狐さんにも飲んでほしいのに」

小鬼「あ、妖狐さんっ」

妖狐「……んぅ、んー?」

小鬼「寝てたんですか?」

妖狐「そうよ……って、それ何?」

小鬼「あ、これですか?らむね、という飲み物です」

妖狐「らむねぇー?」

小鬼「眠気が抜けていないみたいですね」

小鬼「まだ寝ておいたらどうですか?」

妖狐「そう、するー……zzz」グーグー

小鬼「おやすみなさい」






妖狐「小鬼の、バカ………」ブツブツ

小鬼「うーん………。」

小鬼(妖狐さんと生活するようになって数年)

小鬼(この生活にも慣れてきた)

小鬼(外の世界は知らない)

小鬼(けど、ここでの生活は楽しい)

小鬼(妖狐さんは色々とエッチなイタズラとかしてくるのが悩みくらいかな)

小鬼(……そろそろ、子供扱いはやめてほしい)

深夜

小鬼「………」

小鬼「寝れないや」ムクッ

小鬼「あれ? 妖狐さん、いないや」

小鬼「うーん……」

小鬼「ちょっと探そうかな」



小鬼「って、簡単に見つかったや」

妖狐「小鬼……?(縁側で酒飲み」

小鬼「こんばんは、妖狐さん」

妖狐「子供は寝る時間よ」

小鬼「寝つけなくて……」

妖狐「いいから、子供は寝なさい」ムスッ

小鬼「(ムカッ)もう子供じゃないですよ!」

妖狐「小鬼はまだまだ子供よ」

小鬼「子供扱いは止めて下さい!」



妖狐「ほぅ………?」ギラッ

小鬼「あ……」ビクッ

小鬼(妖狐さんが少し怒ってる……)

妖狐「もう、小鬼は子供じゃないって言うのよね?」ズイッ

小鬼「は、はい……ええ、そうですよ」コクリッ

妖狐「じゃあもう大人よね?」

小鬼「大人、です」アセッ

妖狐「大人って証明してくれるかな?」

小鬼「大人の、証明……?」

妖狐「そ」

小鬼「うっ………」

妖狐「早く証明してくれる?」ニタニタ

小鬼「えっと……」

小鬼(どうしよう、ひけにひけなくなった……証明しないと……)

妖狐「」ハァー

小鬼「そのお酒を飲みます」

妖狐「へぇー、小鬼はもうお酒飲めるんだ?」

小鬼「飲めます」

妖狐「大人だねー」ニヤニヤ

妖狐「どうぞ?(手渡して」

小鬼「うっ……」チャプッ

小鬼(妖狐さんが飲んでる酒の中で特にキツイ酒だ、これ……)

妖狐「早く飲んでくれるかな?」

小鬼「ええ、わ、分かりました、よ」ドウヨウ

妖狐「何せ小鬼は大人だもんね」

小鬼「大人ですよ」ピクッピクッ

妖狐「……早く?」

小鬼「………!」ゴクッ

小鬼「うぇっ! げえっ……」ゲホゲホッ

妖狐「小鬼」

小鬼「σ!」ビクッ!

妖狐「お酒、もったいないわよ」

小鬼「ごめんなさい……」シュンッ

妖狐「うんうん、小鬼?」

小鬼「え?」

妖狐「私が聞きたいのは謝罪じゃないの」

小鬼「え、じゃあ……」

妖狐「お酒はまだまだ残ってるわよ?」

小鬼「」サーッ

小鬼(一気に飲むからいけないんだ)

妖狐「早く?」ギロッ

小鬼「んくっ、んくっ、……」

妖狐「」ジロジロ

小鬼「うぇぇっ、、にが、苦い……」ゴホゴホ

妖狐「あー、またもったいないことして」ニヤッ

妖狐「私のお酒、一人で小鬼が飲んじゃうのかな?」ニコニコ

小鬼「今、飲んでみますから……」

妖狐「でも、さっきから何度も吐いてるじゃない」

小鬼「それは……その」

妖狐「まあいいけど」

妖狐「でもね」

妖狐「一人で小鬼が飲んじゃったら許さないからね?」

小鬼「」

小鬼「うっ……」ウプッ

小鬼(口の中で酒が暴れて、全然飲めたもんじゃない)

小鬼(それに頭も痛い)クラクラ

妖狐「酒、もうちょっとしかないわね」

小鬼「後、少しで……ウプッ」

妖狐「吐いたら、また一杯飲んでね。吐いちゃ狡いもんね」

小鬼「うげっ………はあはあ」

小鬼(結局、吐いちゃった)

妖狐「んー、もうお酒全然ないわね」

小鬼「………ぅっ」グスッ

妖狐「小鬼?」

小鬼「ッ!」

妖狐「もうお酒は飲まないのかな?」

小鬼「」ブンブンッ

妖狐「懸命に首振って……可愛いわ」

小鬼「もう、飲めないです……」

妖狐「一升でも駄目?」

小鬼「ごめんなさい……ごめんなさい」

妖狐「だから、私が聞きたかったのは謝罪じゃないんだけど」

妖狐「まあ、許してあげる」

小鬼「良かった……んむっ!?」チュウッ

小鬼「妖狐さ、んむっ……」チュパッ

小鬼の唇を何度か重ねてから妖狐が強引に小鬼の口を開けさせると、口移しで酒を流し込んだ。

妖狐「小鬼、……んちゅ、はっ」トロトロッ

小鬼「ふあぅ……んっ、」チュパッ

小鬼の口内の酒に妖狐の唾液を混ぜて、薄めてゆく。

妖狐「はふっ……っ、ん」レロッ

小鬼「……さんっ、んんんんっ!?」ゴクコクッ

妖狐の唾液と小鬼の口内の酒がカクテルし、苦しくなった小鬼が遂にカクテル化した酒を飲み込み荒い息を整える。

小鬼「はぅ………」トロンッ

妖狐「お酒は飲めたけど、私の力を使ったから大人には認めてあげないから」

小鬼「もう、いいですよぉ……」クラクラ

妖狐「でも、許してあげる」

小鬼「!!」

小鬼「本当ですか?」

妖狐「ええ、それは本当よ」

小鬼「妖狐さんにはずっと怒っていて欲しくなかったですから」ニパー

妖狐「」ズキューン

妖狐「小鬼ー?」

小鬼「はぇ?」

小鬼(さっき、飲んだ、お酒の、せいで、頭がくらくらする)

妖狐「別の方法で大人になってみない?」

小鬼「どうやったら、なれるん、ですか?」

妖狐「んー、と。筆下ろしっていうんだけど」ニコッ

小鬼「」ビクゥッ!

小鬼(何だろう………凄い寒気が)

妖狐「まず、服を脱いで……」

小鬼「ふく?」

妖狐「まぁまぁ、男の子が大人の男になるには身体の(一部分の)逞しさを見る必要があるのよ」

小鬼「………それ、今、じゃないとらめれすか?」

妖狐「駄目よ」

妖狐(酒のせいで舌が時折回ってないわね)

妖狐(………もう少し飲ませて思考が全然できないところを襲った方が良かったような?)

小鬼「んー」ヌギヌギ

小鬼「……」ピタッ

妖狐「……止まってるわよ?」

小鬼「寒いれす」

妖狐「もう………しょうがないわね」ギュッム

小鬼「あー……妖狐さん、あったかいれすね」

妖狐「」キュンキュン

妖狐(さっきから小鬼にすごく母性本能刺激されちゃうんだけど)

小鬼「んー」スリスリ

妖狐(可愛いから、ね)

小鬼「妖狐さん、お母さんみたいれす……」

妖狐「!」

小鬼「んーんー」スリスリ

妖狐「……」

妖狐「」ナデナデ

小鬼「お母さん……」クリッ

妖狐「ひゃっ………!」ピクンッ

小鬼「んぅ………」

妖狐「こら小鬼っ、まだ早いわy」

小鬼「………」

妖狐「……小鬼?」

小鬼「zzz……」グーグー

妖狐(寝たーっ!?)ガーンッ

妖狐「………そっか、まだ子供だもんねー」ナデナデ

小鬼「zzz……」

妖狐「……」

妖狐「私、焦ってるのかしら………?」

妖狐「小鬼は私以外の異性なんて知らないから焦る必要なんて……」

妖狐「こんな山奥だし、小鬼は外の世界にも行かないという意志もないし」

妖狐「焦る要因なんてこれ一つも無いのに……」

妖狐「……」





妖狐「小鬼父……」

回想

妖狐「あの忌々しい陰陽師……め」ズタボロ

妖狐「あーあー……せっかくここまで逃げてきたのに」

妖狐「せめて、傷口の止血さえ出来れば……」

妖狐「止血の為の札も、妖力も逃げる時に使っちゃったのがまずかったわね」

妖狐「もう、駄目かな……」クタッ

妖狐「……………くっそ」








「大丈夫か……!?」

妖狐「!?」パチクリ

「酷い傷だな……」

妖狐「ふ、触れないで!」バッ

妖狐「痛っ……」

妖狐(視界が霞む……)フラッ

「おいおい……全然大丈夫じゃねぇだろぉ」ウケトメッ

妖狐「!?」

「とりあえず応急処置で勘弁な」ギュッ

妖狐「離してっ……私は妖怪の狐よ!?」

「見りゃ、分かる」

妖狐「…! そんな見ず知らずの妖怪を助けよう、なんて……」

妖狐「あなたには何の得もないのよ!?」

「まぁ、あれだ。」

「同類を見捨てるなんて俺にはできねぇよ」

妖狐「………」

妖狐「」

妖狐「はぁ!?」ズーンッ

妖狐(あれ、よく見たら、こいつの頭から……角が…)

「あんたを助けても………俺には得がない」

「って、話だったな?」

妖狐「えぇ……そうよ」

「薬作って傷を治しての、人助けの稼業の自分が……傷だらけで虫の息の人を見捨てるわけにはいかない」

「俺は、前にも傷ついた動物とか人とか妖怪とか助けてきたよ」

「手遅れだったヤツもいるさ」

「でも、ほとんどの命は救ってきた。」

「救える命は救いたいのさ」ニカッ

妖狐「………自己満足ね」

「自己満足?難しい言葉はわからんな」

妖狐(アホだ………こいつ)

「坊さんは人を助ける…つまり善行で徳を積むらしいじゃねぇか」

妖狐(そういうことは知っていて、何で自己満足を知らないの!?)ガーンッ

「得無して徳を為す」

「だから俺の自己満足……だったっけ?自己満足ってヤツにつきあってくれよ」

妖狐「………」

妖狐「後悔するわよ」

「後悔なんて今までに罪(積み)過ぎたんだ。今更一つぐらいどうってことねぇよ」

妖狐「」ハァッ

妖狐「妖狐よ」

「おっ! 妖狐か、良い名前だな。うんうん、妖狐妖狐」

妖狐「何度も呼ばないで、その名前嫌いなのよ」クワッ

「俺は良い名前だと思うな、妖狐妖狐」

妖狐「……さっきから、私しか名乗ってないけど?」ムスッ

「おおっ、といけねぇや。そいつは悪かった」ニカニカ

「俺の名前は―――小鬼父だ、よろしくな」



<回想終了>

妖狐「………」ハァー



小鬼「」ズキンズキン

小鬼「頭痛い………」ズキンッ

小鬼「あれ?僕、いつの間に布団で寝たんだろ?」

小鬼「……」

小鬼「……」

小鬼「ま、いっか」

妖狐「」グーグー

小鬼「んー、今日はもう少し寝かせてあげようかな」

小鬼「味噌が手に入ったから、みそ汁でも作ろうかな」

小鬼「油揚げも少量入れて……」

小鬼「妖狐さん、喜んでくれるかな?」

小鬼「楽しみだよー」ニパー

妖狐(“遠見”で全部見えてるけど)

妖狐(小鬼が頑張ってくれてるし……)

妖狐(……油揚げ)ジュルッ

妖狐「」耳ピコピコ

小鬼「」モグモグ

小鬼(あ、妖狐さん喜んでくれてる)ニコニコ

妖狐「ん? 私の顔に何かついてる?」耳ピコピコ

小鬼「ついてませんよ?」

小鬼「ふふふっ」ニパー

妖狐「?」耳ピコピコ

妖狐(油揚げ、おいしっ……)耳ピコピコ

小鬼「今日は出かける予定とかありますか?」モグモグ

妖狐「今日?」

妖狐「んー、特に無いかな」

小鬼「そうですか……」

妖狐「……やっぱり、ちょっと用事があるかな」

小鬼「はい?」

妖狐「昼から夕方にかけてね」

小鬼「! 分かりました」

妖狐「夕飯は楽しみにしてるから」

小鬼「はい!!」

小鬼(夕飯頑張らないと)

妖狐(分かりやすい……)

妖狐「そこが小鬼のいいところなんだけどね」

小鬼「?」

妖狐「あ、小鬼?」

小鬼「はい?」キョトン

妖狐「薬の材料さがしにいくの?」

小鬼「探しに行きますよ」グッ

妖狐「そう」

妖狐「東には行っちゃダメよ」

小鬼「え」ガーンッ

妖狐「鬼が出るから」

小鬼「鬼……」

小鬼「……鬼?」

妖狐「んー、鬼ってのは冗談」

小鬼「なーんだ」ホッ

妖狐「本当はね、群れからはぐれた狼がいるから」

小鬼「お、狼?!」ガガーンッ

妖狐「だからかわいい小鬼なんてペロリと食べられちゃうの」

妖狐「私はそんなの嫌よ」

小鬼「」コクッコクッ

小鬼「東にには絶対に行きません!」

小鬼「行ってきまーす」ノシノシ

妖狐「行ってらっしゃい」ノシ

妖狐「さて……昼からどうしようかしら」

妖狐「久しぶりに家にでも帰りましょうかね」

妖狐「………うん、そうしよっ」スタスタ

妖狐「それまで二度寝ー♪」

小鬼「」トコトコ

小鬼「狼さん、か」

小鬼「前に野生の狼、と出会ったんだけど…」

小鬼「」プルプル

小鬼「あの時の仕返しでもしにきたのかな?」

小鬼「謝ったら許してくれるかな……」薬草ヒロイヒロイ

小鬼「その時に考えようかな」

小鬼「後、東にしかない東草さえあれば」

小鬼「次の時に楽なんだけど………」

小鬼「狼さんに会わなかったら良いんだよね」

小鬼「うん、気をつけていかないと」

小鬼「」

小鬼「狼さん狼さん」ボソボソ

小鬼「どうか出てこないで下さいね」

小鬼「」キョロキョロ

小鬼「良かった」

小鬼(狼さんがいなくて)

小鬼「前みたいに……なっちゃう」ブツブツ

小鬼「さて、急いで帰らないと」

小鬼「夕飯の支度をしなくちゃ」

小鬼「!」

小鬼「…あれ? 誰か倒れてる?」

商人【山で誰か見たら、注意しろよ】

小鬼「」ハッ

小鬼(商人さんが言ってたのはこの人?)

小鬼「困ってるから倒れたんだよね、この人」

小鬼「……」

小鬼「………うん」




小鬼「助けないと」ヒョイ

「………っ!」

小鬼「うわ、酷い傷が一つと……」人セオイ

「……ッ、…ッ!」ジタバタ

小鬼「暴れちゃ、駄目!」

小鬼「傷口が広がっ…」

「……アグッ」肩ガブリッ

小鬼「痛っ……!」ジワッ

「……ッ!」ガブガブッ

小鬼「………ッ、ゥゥッ!」ジワァッ

「グゥーッ……」ガリッ

小鬼「…ッ…、歯、イツッ……」

「ムググッ……」傷口グリグリィ

小鬼「落ち着い……ッ」ブワッ

小鬼(痛いよ痛いよ痛いよ痛いよ痛いよ痛いよ痛いよ肩の噛まれてるところが凄く痛い!)

小鬼(でも、今背負ってる人はもっと痛いはず)

小鬼(耐えないと……)

小鬼「……もうすぐ、家…ッ、だから…ッ、ッあ!」ジワリッ

小鬼「家についた……ッ」

「グガッ……」

小鬼(あ、妖狐さんが寝てた布団を使おう)

小鬼(緊急事態だから妖狐さんも許してくれるよね)

小鬼「今寝かせて……」

「あああああああっ!」オソイカカリ

小鬼「!?」

小鬼「ようやく寝てくれた……」ボロッ

「」グーグー

小鬼「あー、部屋のなか凄いことに……」グチャグチャ

小鬼「直して……痛っ!」

小鬼「うわっ、肩が酷いや……」

小鬼「(´;ω;)」ブワッ

小鬼「とりあえず、傷薬と包帯を……」

小鬼「服を脱がせて……血が固まってるから後で捨てないと」

小鬼「? 布、いや…さらし?」シュルッ

「zzz」プルンッ

小鬼「」

小鬼「んなっ……!?」カアアアア

小鬼「女の人!?」顔マッカッカッ

小鬼「……」薬ヌリヌリ

「」プルッ

小鬼「……」ヌリヌリ

「」タプッ

小鬼「……」包帯マキマキ

「」プルップルッ

小鬼「……」マキマキ

小鬼(平常心平常心平常心平常心平常心平常心平常心平常心平常心平常心平常心平常心平常心平常心平常心)

「んっ……」

小鬼「」ビクゥッ!

「」ネガエリ

小鬼「」ホッ

小鬼「って、傷口に障るから仰向けに……」

「」タプッ

小鬼(平常心平常心平常心平常心平常心平常心平常心……)テレテレ

小鬼「仰向けにするだけ、仰向けにするだけ、仰向けにするだけ……」カアアアア

「」スースー

小鬼「服脱がすんじゃなかったよ……」

小鬼「あ、そろそろ準備しないと妖狐さんが帰って……」

妖狐「ちょっと早いけど、小鬼が恋しくてお姉さん帰ってきちゃ……」ピタッ

小鬼「あ……」サーッ

「」プルンップルンッ

妖狐「小鬼? ダ レ そ こ で 寝 て る女 は ?」ギラッ

妖狐「」セイザ

小鬼「」セイザ

妖狐「それでぇ? あの女は誰で、何で私の布団で寝ちゃってるわけ?」ムカムカ

小鬼(よく分からないや……妖狐さん、凄く怒ってる………?)

小鬼「東の森で…」

妖狐「!? 危ないから東の森には行っちゃ駄目って、今朝言ったばかりなのに?」

小鬼「ぁう………」

妖狐「注意事破ってまで狼さんでも会いたかったのかな? 興味本位で見たかったのかなぁ?」

小鬼「ち、違っ…」

妖狐「………」ニコニコ

小鬼(あ、やばい……)

妖狐「で、怪我人を拾ってきたと」

小鬼「……う、うん」ビクビクッ

妖狐「……」ウルッ

小鬼「え?」

妖狐「……っとと」ゴシゴシ

小鬼(涙……?)

妖狐「私が前にした、人間と私たちが触れ合っちゃ駄目って話は覚えてる?」

小鬼「」コクリッ

妖狐「商人さんは例外ね、彼は私たちの正体を知ってるしお互いがどういうモノなのかも理解できている。商人は私たちが人間を取って食おうなんて微塵も思ってないことは百も承知」

小鬼「?」シューッ

妖狐「小鬼には少し難しいかな?」

小鬼「ちょっと難しいや」

妖狐「そうね………小鬼は商人さんを食べたい?」

小鬼「? 商人さんからは色んな食べ物もらうけど、それを?」

妖狐「そうじゃなくて、ね」

妖狐「商人さん自体を」

小鬼「…………」

小鬼「?」キョトンッ

妖狐「ごめんなさい。小鬼には少々早かったわね」

小鬼「」ガーンッ

小鬼「(´・ω・`)」ショボーンッ

妖狐「とにかく、知らない人がね私たちを見たら驚いてしまうの」

小鬼「……? 僕たち、をよく知らないから?」

妖狐「少しは話を理解できてるね、偉い偉い」ナデナデ

小鬼「(`・ω・´)」

妖狐「だから、ね」

妖狐「ソレは後で捨ててきなさい」

小鬼「捨てる…とは?」

妖狐「どのみちもう長くはないわよ、その女」

小鬼「どういうことですか?」

妖狐「傷口が深いし、体力を酷使してるし、体内の血の量も少ないし………今生きてる方が不思議ね」

妖狐「だから、もう……長くはない」

小鬼「!!」

妖狐「だから………ソレは後で捨ててね」

小鬼「ほ、方法は無いんですか……?」

妖狐「んー……無いこともないんだけど」チラリッ

小鬼「自分ができることならなんでもしますから!」

妖狐「本当にこの女、助けたいの?」ピッ

「」スースー

小鬼「はい!」

妖狐「これからもあなたはきっと色んな人を拾って帰ってくるかもしれない」

妖狐「私が使うこの方法はこれっきりね」

妖狐「それに、この方法……妖術は私の力をかなり使うんだけど……あ、小鬼?」

小鬼「はい?」

妖狐「な ん で も し て く れ る の よ ね ?」

小鬼「…………えぇ」ブルッ

小鬼(なんだろ、今までにない悪寒が……)

妖狐「そ。楽しみね♪」ケラケラ

小鬼「……お願いします」

妖狐「それと、もう一つ大事な話」

妖狐「人を助けることには責任がつきまとってくるの」

小鬼「責任とは?」

妖狐「大人になったら分かるわよ」ニコッ

小鬼(あ、スルーされた…)

妖狐「あなたはこの人を助けた、という事実だけが残る。これは変わらないし変えられない。今助けた人は死にたがっていたのに助けた、これも大事よ。本人の意志を尊重できてない。苦しかった世界からの解放を自殺によって行い死にかけていたのを邪魔した」

妖狐「小鬼が一方的に助けたい、という気持ちだけじゃ駄目なの。そういった助けた側は助けた責任を背負わないといけないの」

妖狐「分かった?」

小鬼「???」シューッシューッ

妖狐「思考回路がパンクしてるみたいね?」

妖狐「今まで動物を拾ってきた事を思い出したわ」

小鬼「だって……怪我して可哀想です」

妖狐「小鬼が優しい心の持ち主だということが嬉しいわ」

妖狐「小鬼は布団の上でも優しくしてくれそうだし♪」

小鬼「……?」

妖狐(……ああ、セクハラが通じないってのも悲しい)

妖狐「妖術使うシーンはあまり人に見せたくないの」

小鬼「…はい」

小鬼「部屋から出ますね」スッ

妖狐「物分かりがよくてよろしい」ニコッ

妖狐「遅くなったけど…いなり寿司お願いしてもいい?」

小鬼「あ、はいはい今作ってきます」トテトテ

妖狐「……ふぅ」

妖狐「………さて、とりかかろうかしら」

妖狐「しかし、この子の傷」

妖狐「………よく生きてるわね」

妖狐「時間も気力もある内にさっさと始めようかしら」ヒュインッ





小鬼「……大丈夫かな、あの人?」

【zzz】プルンッ

小鬼「わ、わっわっ……!」カァァァァッ

小鬼「わ、忘れよっ……」

小鬼「妖狐さん、お疲れ様です」ペコリッ

妖狐「……命の妖術はやっぱり疲れる」コテッ

妖狐「むっ稲荷寿司!」コーンッ

小鬼(妖狐さんの尻尾が出てる)

小鬼(普段は耳くらいしか出さないのに)ウキウキ

小鬼「どうぞ、召し上がって下さい」ニパーッ

妖狐「じゃあ、遠慮無く?」オシタオシ

小鬼「!?」タオサレ

小鬼「何してるんですか…っ?!」ビックリ

妖狐「私は小鬼のお稲荷さん食べようとしてるだけだよー?」ゴソゴソ

小鬼「わけが分からないです。服を脱がさないでくだ……ひゃっ」ピクッ

妖狐「あ、指冷たかったかなー?」ゴソゴソ

小鬼「ちょっと待って下さい!」

妖狐「何ー?」ピタッ

小鬼「お礼はどんな……え、えっちなことでもいいですけど、先に夕飯を!」

妖狐「据え膳食わぬは女の恥っていうんだよー」

小鬼「なんですか、それっ!」

妖狐「むー、分かったわよ」

妖狐「小鬼が私好みに甘味を濃くしてくれたから美味しかったわ」ホクホク

小鬼「喜んでくれて、良かったです」

妖狐「さて……と」ズイッ

小鬼「あ、ここでですか?」

妖狐「あの女に見せつけながらやりたいの、小鬼は?」クスクス

小鬼「……ぅ」

妖狐「口ごもって、可愛い♪」ギュッ

小鬼(ううっ……何されるんだろ)

妖狐「小鬼、口開けて」

小鬼「こほですか?」カパッ

妖狐「んっ」レロッ

小鬼「むがっ!?(舌が入って……!?」

妖狐(戸惑ってるわね)チュプッ

小鬼(妖狐さんの、唇が、舌が…!)レルッ

妖狐(♪)レロッ、ニチュ…

小鬼「ふぁ、あ……」ポケーッ

妖狐「小鬼、どんな気分?」耳ピコピコ尻尾フリフリ

小鬼「何だか、凄いれす…」ホワホワ

妖狐「小鬼の唇、柔らかいから今度は普通に…」チュッ

小鬼「ん、ふっ…」チュゥッ

妖狐「あふ、っ…」チュッ、チュッ

小鬼(思考が、よく、まと、まらない…)

小鬼(唇、の感、覚とか…他に集中、できない…)チュッ

妖狐(今、目があったかしら……?)ニチュッレロッ

小鬼「!!」ピチュッ

小鬼(また、舌、が……)レルレルッ

妖狐「こっ、鬼ぃ…」レロッチュゥッ


妖狐「あふ、んっ、ふっ」ピチャピチャ


妖狐「小鬼、こおにぃ…」トロッチュルルッ


妖狐「……っ、んぁ」リチュッチュチュッ


妖狐「…………ぷはっ」

妖狐「あはっ♪唇と唇で糸引いてる♪」テカテカ

妖狐「ん?小鬼ー? 生きてる?」

小鬼「は、はひっ!」クラクラ

小鬼「呼吸がまとまらない、ですぅ…」

妖狐「慣れてないもんね」

小鬼「これで終はり……?」

妖狐「まだまだ♪ 夜は永いわよ~」

小鬼「」

妖狐「小鬼ー」

小鬼「」ビクッ

妖狐「そんなに身構えなくてもいいのに?」

小鬼「」首フルフル

妖狐「ふふーっ」下ヌガシ

小鬼「妖狐さん、っ! 下半身はちょっと…!」テイコウ

妖狐「小鬼ー? 何だか服の上から自己主張はじめちゃってるけどー?」ヌギヌギ

小鬼「そ、それはっ…違うんれすっ!」カアアアッ

妖狐「邂逅邂逅ーっ」ズルッ

小鬼「あっ……」カチカチッ

妖狐「勃起してるねー」

小鬼「ぅー、妖狐さんのいぢわるぅ…」カチカチッ

妖狐「触ってみるねー」サワッ

小鬼「ひぃや!?」後ズサリッ

妖狐「わー、すっごい固かったねー」ニコニコ

小鬼(触られた瞬間、変な気分に…)ドキドキ

妖狐「変な気分になってきたー?」

小鬼(見透かされてる!?)

妖狐「今度は…」ニギッ

小鬼「っあ、!?」

妖狐「どこらへんが弱いのかな…?」ニギニギ

小鬼「……ぁぁぁぁっ!」ビクゥゥッ!

妖狐「!?」

小鬼(体に、電気が走った、みたいに…)

妖狐「あー、小鬼イッたのかな?」サワッ

小鬼「……ぁぅぅ」カチカチッ

妖狐「まだいけそう?」シュッシュッ

小鬼「妖狐…ぁぅっ、指っ……さんの好きなように」

妖狐「そ?」パクリッ

小鬼「妖狐、さんっ!?」

妖狐「ろうしたほー?(どうしたのー?」パクパクッ

小鬼「そこ、汚い、です…ぁぁっ!」ビクンッ

妖狐「こほにのらからきはなくらいよー?(小鬼のだから汚くないよー?」コロコロッ

小鬼「ッ!」

小鬼(妖狐さんの口の中がすごい…すごいぃぃぃっ!)ビクンビクンッ

妖狐「」チュポンッ

妖狐「あ、またイッた?」

妖狐「んー、でもまだまだ精通してないわね…?」

小鬼「はぁはぁ…」ガックリ

妖狐「そろそろ本番イッちゃう?」

小鬼「ほ、本番……?」

妖狐「小鬼のお稲荷さんを私の中に入れて…」

小鬼「ふぇ?」

小鬼「……ぇ」

小鬼「えぇぇぇぇぇえぇぇぇっ!?」

妖狐「小鬼が大人になって……って、小鬼?」

小鬼「……はい?」

妖狐「肩の傷、どうしたの?」


小鬼「え? わっ…!」血ベットリ

妖狐「………酷い傷じゃない?」

小鬼「あ、これは、その……」

妖狐「………」ジトッ

妖狐「小鬼?」

小鬼「……。」

妖狐「今日はこれで止めにしておいてあげる?」

小鬼「………え?」ビックリ

妖狐「その代わり、……そうねその肩の傷からして」

妖狐「傷が治ったくらいになるかな」

妖狐「私は狐の妖怪。私にも発情期ってものがあってね」

小鬼「……発情期?」

妖狐「hな気分にずっとなっている時期っていえば分かりやすいかな」

小鬼「!」カァァァ

妖狐「そろそろ、そういう時期があるんだけど……」

妖狐「その時期にまた相手してね?」

妖狐「でも覚悟してね?」

小鬼「?」

妖狐「私の発情期は……凄いから?」

小鬼「」ドキッ

妖狐「ふふっ……今日はごちそうさまね?」ペロッ

小鬼「σ」顔マッカッカッ

妖狐「また明日?」タッタッタッ

小鬼「…………」

小鬼「………」

小鬼「……」

小鬼「」コテンッグーグー

まだ続きますので皆様ご付き合い下さい




…みんなついてきているのだろうか

回想

妖狐「私はいつまでもここにいたら邪魔かな?」


妖狐「せっかくの二人のラブラブライフを邪魔してるのは知ってる」


妖狐「二人が何をしているかは……知ってるし?」


妖狐「愛し合ってるのは知ってるよ」


妖狐「でも、私とあなたが会ったのは私の方が早いはず」


妖狐「あなたと初めての時も覚えてるわよ。それから何度かしたことも」


妖狐「でも、あなたは後から来たあの女選んだわね」


妖狐「恨んではないわよ、ただちょっと悔しいだけ」


妖狐「あなたが私を選ばなかった理由も知ってる」

小鬼父「………あんたは」

妖狐「言わなくてもいい。」

妖狐「私は最初にあなたに拾われた時からずっと立ち位置は変わってないことも」

妖狐「私はあなたの“患者”ってことね」

妖狐「私がこの呪いみたいな傷っていえばいいかな」

妖狐「治していたら私との関係は変わっていたのかな」

小鬼父「………済まない」ペコリッ

妖狐「謝らなくても良いの」

小鬼父「俺の技量が足りなかったばっかりに…」

妖狐「そんな今すぐ死ぬんじゃないわよ」

小鬼父「………」

妖狐「………」

妖狐「ねぇ」

妖狐「私はね   のことなんて最初 嫌いだった」

妖狐「寝床は汚い 、飯 ひんそうで、あな は不器用だ たしね」

妖狐「ほんとう さいあくの印象な に」

妖狐「でも、あなたはやさしかっ 」

妖狐「だか ひかれたのか ね」

妖狐「 から私は」

妖狐「   のことが」

妖狐「  になれたのかも」

妖狐「ずっと   のこと 大好きでした」

<回想終了>

妖狐「頭が痛い……割れそう」

妖狐「助けてよ、私はあなたの“患者”なんでしょ……っ!」

妖狐「ねぇってば!」



「zzz」

小鬼「まだ寝てる……」

小鬼「しばらく起きそうにないかな」

小鬼「いつまでも名前無し呼べないし……」

小鬼「うん、君は少女でいいかな」

少女「zzz」

小鬼「今日は妖狐さん帰っちゃったし」

小鬼「昼頃にまた帰ってくるかな?」

小鬼「………まずは自分の朝ご飯作ってみよう」

小鬼「ごちそうさま」

少女「」グーグー

小鬼「いつくらいに起きるかな?」

小鬼「ずっと寝てるね」

小鬼「……あれ?」

小鬼「こんなところに女性用の替えの服が」

小鬼「妖狐さん、かな?」

小鬼「……気を遣ってくれたんだ、後で来たときにお礼いわないと」

小鬼「今日はどうしようかな」

小鬼「流石に怪我人を置いていくわけにはいかないし」

小鬼「今日は付きっきりで看ておかないと」

小鬼「少女………さん?」

少女「」ハラリ

小鬼(寝相で凄いことになってる……っ!)

少女「」スースー

小鬼「はぁ……風邪引きますよ?」服モドシモドシ

少女「」スースー

小鬼「」ドキッ



小鬼「結局、今日は起きなかったや」

小鬼「妖狐さんも帰ってこなかったし」

小鬼「服着替えさせた方が良いかな、やっぱり」

小鬼「汗とか拭かないといけないよね」

小鬼「失礼します」

少女「zzz」ヌギヌギ

小鬼「ッ」カアッ

小鬼(裸を直視できない……っ)

小鬼(けど、やらないと……)

小鬼「お、終わった…」

少女「んぁっぁ…zzz」ゴロゴロ

小鬼(冷静に考えたらこの家って今僕と少女さんの二人だけか)

小鬼「意識せずに、普通にすごそう……」チラッ

小鬼「……って、夕飯作らないと」トテトテ

少女「zzz」グーグー

小鬼「んー……」ソワソワ

小鬼(目を離していても大丈夫かな)

小鬼「夕飯食べたらもう一度様子見に行こうかな」

小鬼「……」ジーッ

小鬼(最初会ったときも髪が邪魔で性別分からなかった)

小鬼「……気になる」ズイッ

少女「…zzz…」

小鬼「寝込みを襲うようで申し訳ないけど…」サワッ

少女「………!」ピクンッ

小鬼「……?」ピタッ

少女「………」

小鬼「起きたのかと思ったけど……違ったのかな?」サラッ

小鬼「うん。髪で隠れてて分からなかったけど、こうしてみると」

小鬼「綺麗な人……美人さんだね。何歳くらいだろ? 僕より年上みたいだし」

小鬼「妖狐さんとはまた違ったタイプ」

小鬼「」ウツラウツラ

小鬼「……そろそろ僕も寝ようかな」

小鬼「おやすみなs」

小鬼「あ、そうだった。妖狐さんはいないや」

小鬼「………今日は帰ってこなかったんだ」

小鬼「会えないと寂しい」シュンッ

小鬼「………zzz」クークー

少女「…zzz」

少女「zzz……」

少女「………」ムクリッ

小鬼「」グーグー

少女「」ニヤッ

少女「……」ズイッ

小鬼「……妖狐さん…zzz」

少女「」フーッフーッ

少女「」首ツカミ

少女「」ギリギリ





妖狐「何をしているのかしら?」

少女「……!?」

妖狐「目を離すとすぐにコレとはね……まさかとは思ったけど」

妖狐「命の恩人を殺そうとするなんて」

少女「……命の恩人?」キッ

妖狐「えぇ」

妖狐「そうよ。その子はあなたの命の恩人。……ねぇ犯罪者さん?」

少女「!?」

妖狐「あら、やっぱり鎌かけて正解ね」

少女「……ッ!」

妖狐「人界を覗き込んでみたら殺人を犯した元服前の女が逃走中……人相書きをどう見ても、あなたそっくり」

少女「……どう、したい」カタカタッ

妖狐「んー私としてはあなたなんて邪魔なわけなの」

妖狐「今すぐにでもいなくなってほしい」

妖狐「あなたも気づいているでしょ?」

妖狐「私たちがどういう部類の生き物なのかを」

少女「………」

妖狐「沈黙もまた答えよ」

妖狐「で、あなたをどうするかって話だけど……」

少女「………」ビクッ

妖狐「私の可愛い可愛い小鬼を殺そうと首を絞めたよね?さっき」

少女「!」ギクッ

妖狐「それは許されざる行為、今にでもあなたを殺してあげてもいいのよ?」ニコッ

少女(……)

少女(殺気って、目にみえるものだっけ…)汗タラッ

妖狐「でもね、小鬼に感謝しなさいよ?」

少女「……え?」

妖狐「小鬼があなたの命を拾ったの。言うなればあなたは小鬼の所有物に相違ないの」

少女「……所有物?」

妖狐「そう。あなたが今生きているのも全て小鬼のおかげ……言っている意味分かってるぅ?」

少女「………っ」コクコク

妖狐「そう。良かった。この言葉を理解できるおつむに感謝なさいな」

妖狐「私はもう行くけど」

妖狐「力を使いすきだせいかしら……」ボソッ

妖狐「とにかく、忠告よ」

妖狐「次小鬼を殺そうとしたら……嬲ってあげる」

妖狐「言ってる意味わかるぅ?」

妖狐「死んだ方がマシだって思わせてあげるからね」サラッ

少女「……!」ビクッ

妖狐「」タッタッタッ

少女「……行った」ハァ

少女「」チラッ

小鬼「zzz…」

少女「命の恩人」

少女「………私はこの子の所有物」

少女「………」トサッ




少女「……zzz」グーグー



小鬼「はじめましてっ」

少女「……はじめまして」

小鬼「小鬼といいます」

少女「私は……」

少女「………少女」

小鬼「え?」

少女「ずっと少女…………って呼んでくれてた」

少女「もう……少女でいい」

小鬼「えーっと……じゃあ少女さん」

少女「ん」コクッ

少女「私は君の所有物………なんだってさ」

小鬼「………はぇ?」ポカーンッ

少女「だから許可なく君から離れないから」

少女「持ち主さん」

小鬼「いただきます」

少女「……食べてもいいのか?」

小鬼「食べて下さい、あなたの分ですから」モグモグ

少女「………いただきます」モグモグ




少女「服を着替えても良いか?」

小鬼「着替えはそこにありますので」

少女「ん」ヌギヌギ

小鬼「ちょ、僕の目の前で着替えなくても…」

少女「許可無しに離れられない」ヌギップルンッ

小鬼「!!」カアッ

小鬼「別の部屋で着替えて下さい!」

少女「ん」トテトテ

少女「あの」内股スリスリ

小鬼「どうしたんですか?」

小鬼「苦しそうですけど」

少女「許可を欲しい」スリスリ

小鬼「何の許可ですか?」

少女「トイレ」モジモジ

少女「そろそろやばい」ギュッ

小鬼「すぐに行ってきて下さい!」

少女「ん」ヌギッ

小鬼「違うっ!」

少女「え」カシゲッ

小鬼「トイレで!」

少女「どこ」

小鬼「こっちですっ!」

小鬼「薬草摘みの時は家で待っていてくれれば…」

少女「嫌」

少女「君は私の所有物」

少女「道具はすぐ傍にあるべき」

小鬼「?」

小鬼「少女さんは道具なんかじゃないですよ?」

小鬼「女の子じゃないですか」

少女「ううん」

少女「私は道具」

小鬼「もう、いいですよ…」

小鬼(ここらへんはゆっくり変えていけばいいか)

少女「あ……ウサギ」

小鬼「もうどこかへ行きましたね」

少女「……」キラッ

小鬼「どうしたんですか?」

少女「追う。………離れる許可を」

小鬼「良いですよ?」

少女「ん」ダッ

小鬼「……?」

小鬼(ウサギでも捕まえて飼うのかな?)

小鬼「しばらく待とっ」

小鬼「あ」

小鬼「帰ってきたんです……ね!?」

少女「ウサギ………取った」ドヤッ

ウサギ「キュウッ……」チーンッ

小鬼「ウサギ死んでますよ……?」

少女「?」

少女「食べる」

小鬼「ウサギをですか?」

少女「ん」コクリッ

少女「食べる?」スイッ

小鬼「いいですいいです!」

少女「んー……」

少女「美味しいのに」ポイッ

小鬼(ウサギを食べるなんて……聞いたことがないよ)

少女(ウサギ……駄目)

夕方

小鬼「ただいまー」

少女「ただいま」

小鬼「ご飯作るから…」トテトテ

少女「ん」トテトテ

小鬼「少女さんは待っておいて下さい」

少女「分かった」スタッ

小鬼「……何だかやりづらい」

妖狐「大変?」ヒョコッ

小鬼「わっ!?」

小鬼「妖狐さん、帰ってたんですね…」

妖狐「御邪魔だったかしら?」ムスッ

小鬼「いえ、むしろ居てくれた方がありがたいです」ホッ

妖狐「嬉しいわ?」ニコニコ

妖狐「いただきます」

小鬼「いただきます」

少女「……食べても?」

妖狐「いいわよ?」モグモグ

少女「あなたには聞いてません」プイッ

妖狐「ん、んんーっ?」ピクッ

少女「食べても……よろしいですか?」

小鬼「どうぞどうぞ?」ニコッ

妖狐「…………」ムーッ

小鬼(お二人とも喧嘩しないといいけど…)ハァッ

妖狐「小鬼?」

小鬼「はい?」

妖狐「あの女に手を出したら怒るからね?」ヒソヒソ

小鬼「て、手なんか出しませんよっ」ヒソヒソ

妖狐「んー、約束してくれる?」ヒソヒソ

小鬼「約束しますよっ!」

妖狐「……ならいいんだけどね」シュンッ

小鬼「もしかして今日も泊まらずに……」

妖狐「えぇ、帰るわよ?」

妖狐「だから確認したかったの」

小鬼「今日もですか」シュンッ

小鬼「最近、調子が悪そうですけど……」

小鬼「妖狐さん、大丈夫ですよね?」

妖狐「……」

妖狐「大丈夫よ?」

俺にも少女くれ

>>154
先着一名様で小鬼の物なんだ……。
諦めてくれ

小鬼(少女さんと二人っきり)

小鬼(何だか……苦手)

小鬼「悪い人じゃないと思うけど……」ムッ

少女「?」コロコロ

小鬼「……」

少女「……」コロコロ

小鬼「……」

少女「……」ゴロンッ

小鬼「……そろそろ寝ますか」

少女「ん」コクリ

少女「寝る前に」

小鬼「前に?」

少女「……ぅーっ」カァッ

小鬼「?」

少女「……えぃっ」オシタオシ

小鬼「!?」タオサレ

小鬼(なんだろ既視感が…)

小鬼「!?」

少女「すぐ……終わる」サワサワ

小鬼「ちょ、はっ、えっ、ええっ!?」

少女「……服、邪魔」下ヌガシ

小鬼「や、止めて……!?」

少女「?」

少女「すぐ……終わる」ズラシズラシ

小鬼「なっ、何がっ!!?」

少女「夜伽」

小鬼「よか?」キョトンッ

少女「あの女……君にしてたこと」

少女「必要なら……私もする」

小鬼「……してたこと?」

小鬼「!?」ドキッ

小鬼「見ていたんですかっ!?」

少女「……………ん」カアアアッ

少女(恥ずかしい……)

少女(他には……)

少女「ん」チュッ

小鬼「!?」

少女「実は………初めて」

少女「緊張する」

小鬼「だから……んむっ!?」チュッ

少女「………ん」チュゥ

小鬼「少女さ、ん、んっ、ん…」チュッパッ

少女「不思議」チュッ

少女「君となら悪くない」チュゥッ

小鬼(このままだと、流される……っ)

小鬼「っ……!」ガシッ

少女「………ぷはっ」

少女「どうしたの」

小鬼「少女さん、駄目です……こういうことは」

少女「?」

少女「あの女はしてたよ?」

小鬼「妖狐さんは、その……別です」

少女「?」

小鬼「それにこういうことは……少女さん」

小鬼「好きな人とやるべきで……」

少女「好きな人?」

少女「いない……私は君の所有物」

少女「好きな人なんていらない」

少女「ただ、君に尽くしたい」

少女「………駄目?」ジッ

小鬼「駄目です駄目です……それに僕はえっちなことは苦手です」シュンッ

少女「……そう?」

少女「でも……ここは正直」ニギッ

小鬼「ぁうっ……だ、駄目ですっ!」

少女「……。」

少女「……分かった」コクッ

小鬼「良かった……寝ますよ?」

少女「……寝ていいn」

小鬼「構いませんよ!」

少女「分かった」

小鬼「」グーグー

少女「……」

<回想>

「何で遠い親戚の子なんて引き受けたのか……見ろよ、あの真紅の瞳」
「悪魔の子め………っ!」

「邪魔ばっかりして」
「あっちにでも行ってろ」
「お前なんて生まれてこなければ良かった」
「遊郭にでも売り飛ばしてやろうか」
「いてもいなくても一緒なんだよ」


「そういえば、最近お前やらしくなってきたよな」
「夜、ちょっと俺の寝床に来いよ」
「来たらお前の優遇考えてやるよ」
「ほらっ、一緒に気持ちよくなろうぜ?悪いようには」
「まだ触っただけじゃねぇか……ひっ」
「ぎゃぁぁぁぁぁぁっ、腕がぁぁぁぁ」
「よくも、よくもぉぉぉぉ」





「……お前なんて死ねば良かったのに」

「お前、まさか噂の真紅の……っ!」
「ぎゃあああああっ!」グシャッ


「悪魔の申し子めっ!」
「来るな、寄るなっ!汚らわしい!」
「ぷぎゃぁぁぁぁぁぁっ」メキメキッ


「へへっ、ねぇちゃん良いからだして…る、な」
「ぎぃやっ!このアマ…っ、俺の指をっ!」
「ひでぶっ…」プチッ


「………お前が例の真紅か」
「随分と殺したそうだな」
「罪人にはしかるべく罪を」
「ここでお前の人生は行き止まりだ」
「………その傷ならもうどこへ逃げても死ぬだろうに」
「あばよ」

<回想終了>

少女「ぅ………っ」

少女「……」チラッ

小鬼「zzz」

少女「一緒に寝たい」

少女「………駄目?」

小鬼「zzz」

小鬼「んっ………」コクッ

少女「………」ノソノソ

少女「あったかい…」ギュッ

少女「…………」

少女「……」

少女「zzz」グゥグゥ

今日はもう眠いので引き上げます。



随分と書いた物である



小鬼「おはようございまs」

小鬼「……」

小鬼「いつのまに僕の布団に?」

少女「」ガシッ

小鬼「……離れない」

小鬼「僕が許可しないと入ってこないと思ってたけど…」

小鬼「もしかして良いこと?」

小鬼(これは喜んで良いのかなー)

少女「」スヤスヤ

小鬼「」モグモグ

少女「」モクモク

少女「肉……いらない?」

小鬼「肉、とはなんですか?」

少女「肉は………肉」

小鬼「?」

少女「む」

少女「取ってくる」

少女「許可を」

小鬼「無茶さえしなけれb」

少女「」ビュンッ!

小鬼「って早っ!?」

小鬼「………無茶しないといいけど」

小鬼「」薬ヅクリ

小鬼「少女さん、どこまで行ったんだろ?」

小鬼「遅いなぁ……」

小鬼「」ゴリゴリ

小鬼「」パラパラ

小鬼「」ゴリゴリ

小鬼「」チョウゴウ

小鬼「ストックができたら楽だけど…」

小鬼「やっぱりノルマ分と少しの余りで精一杯」ハハ

小鬼「商人さんは後どれくらいかな?」

小鬼「後二週間……足らずくらいかな」

小鬼「一月後って言ってたし」

小鬼「……んー」

少女「ただいま」ボロッ

小鬼「少女さんっ!?」アセアセ

少女「鹿を取ってきた」

小鬼「し、鹿っ!?」

鹿「death」キュゥ

小鬼「……角が欲しかったところですけど、乱暴は」

少女「肉……鹿の肉」

小鬼「?」

少女「食べない?」ズイッ

小鬼「あの……肉とは?」

少女「………」

少女(鹿………駄目)トテトテポイッ



小鬼「……ほとんど傷が塞がって良かった」包帯トリ

少女「ん」

小鬼「傷は残らないと良いけど」

少女「残る…?」

小鬼「分からないけど」

小鬼「………」

少女「………」ジッ

小鬼「?」首カシゲッ

少女「………君の肩」

小鬼「?」

少女「噛んだ」

小鬼「あの時?」ズキッ

少女「ごめんなさい」ペコリッ

小鬼「……」ンー

小鬼「深い傷でもないし」

少女「……ほんと?」

小鬼「はい」

少女「………見せて下さい」

小鬼「…。」ハァ

小鬼「駄目ですよ」

少女「どうして?」

小鬼「見せたくない……ので」

少女「……ん」ヒュッ

小鬼(………速い!?)

少女「……」グイッ

小鬼「……ぁう」ジワッ

少女「何……これ」

少女「……酷い」

少女「私の……せい?」

小鬼「気にしなくていいです」

小鬼「……そんなに痛くないので」

少女「嘘」

小鬼「……大丈夫です」ニパーッ

少女「………っ」

小鬼「zzz」グーグー

少女「……」スヤスヤ

少女「……」

少女「……」ムクッ

少女「………誰」






妖狐「気づいてたんだ?」

少女「……」

妖狐「やっぱり私我慢できない方でね」クイクイ

妖狐「ちょっとツラ貸しなさいな」ニコッ

妖狐「良い半月の日ね……」

妖狐「そう思わない?」ニコニコ

少女「要件………は」

妖狐「あら、気が利くわね」

妖狐「んー、ちょっと歯止めかな?」

妖狐「私の持ち物にちょっかいかける間女を躾ないとねー」

少女「間女?」ピクッ

妖狐「そう」

妖狐「単刀直入に言うわ」

妖狐「あなたのことよ」

少女「………ッ」

妖狐「やっぱり小鬼には嘘言って、処置が間に合わずに殺せば良かったわね」






妖狐「【「……お前なんて死ねば良かったのに」】」

少女「………れ」ボソッ

妖狐「小鬼は私の大切な人よ」

妖狐「所有物の意味を履き違えて小鬼にベタベタ」

妖狐「人界で奴隷のような生活」

妖狐「もしくは人の輪から外れて生きていたのかな?」ケタケタ

少女「………れ、……れっ!」ブツブツ

妖狐「誰かの中古だからって、今まで自分には無かった愛情を」

妖狐「人並みたいに小鬼から注いで貰えるとでも思ったの?」ケタケタケタ

少女「だ………れっ!」ブツブツ

妖狐「ん?」



少女「黙れぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!」

妖狐「やっと本性でてきたわね」

妖狐「その小刀でどうする気かしら」

少女「」ギンッ

妖狐「私を殺すつもりかしら」

妖狐「ふーん………じゃあ、正当防衛よね」

妖狐「あなたを殺しても」

少女「」フーッフーッ

妖狐(小鬼、あなたには悪いけど……)

妖狐(この女、好きにはなれないわ)




小鬼「………少女さん?」ムクリッ

妖狐(見たこともない妖術に対してこの反応)

妖狐(しかも、この暗闇で夜目も利く)

妖狐(何より俊敏)

妖狐(たくさんの人を殺してきた経験というのも嘘ではなさそうね)

妖狐(それでも……)

妖狐「息が上がって来てるわよ?!」札ナゲツケッ

少女「!」ボォォォッ

妖狐「怯んだ…!もらっ……!」





小鬼「やめて下さい!」

妖狐「!?」ビクッ

少女「!?」ピクッ

小鬼「これは………?何ですか?」

妖狐「………」

少女「………」

小鬼「妖狐さん、答えて下さい!」ウルッ

妖狐「……その女から聞きなさいな」プイッ

小鬼「………っ」

妖狐「私帰るわ、あなたが来るのは想定内だけど邪魔されるのは計算外」

小鬼「それはどういうことですか?」

妖狐「どうとでもとってくれればいいわ」

小鬼「………。」

妖狐「……小鬼?」

小鬼「………はい」

妖狐「後二週間足らずよ」

妖狐「満月の日の夜に私の家に来なさい、約束を果たしてもらうわ」

妖狐「私は自宅にしばらく籠もるから」

妖狐「あ……でも、小鬼の意志を尊重するわ」

妖狐「来ても来なくても」

妖狐「どっちでもいい」

妖狐「あなたの意志が一番大事だからね」

妖狐「………じゃあね」




小鬼「……少女さん?」

少女「」ギュッ

小鬼「………帰りますよ」

少女「………」トボトボ

小鬼「少女さん?」

少女「ん」

小鬼「……大丈夫ですか?」

少女「ん……大丈夫」カタカタ

小鬼「震えてますよ」

少女「……! これは、違っ…」カタカタ

小鬼「……」

小鬼「………」ギュッ

少女「………あ」

小鬼「……」ギュゥッ

少女「………や」ワタワタ

小鬼「……」ギュッ

少女「……ん」ワタ…

小鬼「………」ギュッ

少女「……」

少女「ん」ムギュッ






小鬼「……落ち着きましたか?」

少女「…………んっ」コクリッ

小鬼「良かった」

小鬼「もう遅いですし、早く帰って寝ましょうか」ニコニコ

妖狐「………小鬼」

<回想>

小鬼父「今度、子供が生まれるんだ」

妖狐「え………」

小鬼父「男の子だ、そうだ」

妖狐「そ、そうなの?」

小鬼父「どんな子に育ってくれるか、楽しみだ」ニカッ

妖狐「……」

妖狐「きっとお母さん似よ」

小鬼父「何だとっ!?」

妖狐「きっと礼儀正しくておとなしくて……優しい子よ」

小鬼父「何故、そう決めつける」

妖狐「女の勘よ」ドヤッ

小鬼父「………むぅ」

小鬼父「妖狐、お前の勘はよく当たるから困る」

妖狐「………え?」

その知らせを聞いたとき、私は心底驚いた


世界が変わってしまったのだから、一夜にして


今まで平気そうに笑っていたあの夫妻が死んでしまった


まだ6歳にも満たない小鬼を置いて死んでしまった


死因は嵐に巻き込まれて


夫妻に世話になっていた商人がぐちゃぐちゃになった二人の死体を


私の元に届けに来てくれた


それは酷いものだった、顔すら分からなくなっていた

もしかしたら二人はまだ生きてるんじゃないかと思ってしまった


けれど目の前に横たわっていた二人の死体は


誰の目が見ても明らかで明確で確実にあの夫妻の死を決定づけていた


私は泣き崩れてしまった、もう泣かないと決めていたのに


貴方があの女を選んだ日からもう随分と泣いてなかったのに


私はどうすればいいのかしばらく分からなかった


もう私が生きる意味も希望も消えつつあった


どうせ苦しむくらいなら――そう考えていた


小鬼「………ぉかあしゃん?」


小鬼、あなたと出会い一緒に生活するまでは

<回想終了>

もう残すところクライマックスまで一直線です。
ここまでこれを見ている方々、後もう少し
長々とシナリオは続きますがご付き合い下さい



本当に長いな、このss

昼 森

小鬼(……明日が満月か)トテトテ

少女「君」トテトテ

小鬼「はい?」トコトコ

少女「どこへ……向かう」トテトテ

小鬼「……妖狐さんの家です」

少女「…!」

小鬼「もう少し先に行けば着きます」トコトコ

少女「………明日」

小鬼「?」

少女「満月の日」

小鬼「………ああ」

小鬼「そうですね」

少女「……ッ!」

小鬼「時間の流れは早い……と妖狐さんは言ってましたけど。今なら……よく分かる」

少女「……駄目」

小鬼「え?」

少女「君………行っちゃ駄目…?」裾ギュッ

小鬼「……」

小鬼「……分からないです」

少女「……どうして!」

少女「……行っちゃ駄目」

小鬼「まだ行くか決めてないです」

少女「……!」パァッ

小鬼「もしかしたら行くかも……」

少女「」ビクッ

小鬼「まだ決めてないんです」

少女「……」

小鬼「……だから」

小鬼「分からないです」

少女「………ん」コクッ

小鬼「………」トコトコ




小鬼「あ、着きましたね」

少女「大きい………?」ミアゲ

小鬼「とても大きいです」

小鬼「ちょっと行ってきます」

少女「………ついてく」

小鬼「駄目です」

少女「………ん」コクッ

小鬼(……今日はすんなりいったかな?)

小鬼「………」ガチャッ

小鬼「いつ来ても……本当に広いや」キョロキョロ

「誰ですか」

小鬼「!?」

「ここをどことお思いですかっ!?」

小鬼「………って式神さん」

式神「……あれ、小鬼君ですか」

式神「ようこそおいでに」

式神「どうしたんですか? 明日、来ると聞いてますが」

小鬼「はい、そうですが……これを」

式神「いなり寿司……ですか?」

小鬼「妖狐さん、弱ってる……と思って」

式神「………察していたんですか」

小鬼「最後に会ったときも苦しそうでした」

式神「……」

式神「……このいなり寿司は私が渡しておきます」

小鬼「……っ」

式神「お引き取り下さい」

小鬼「……分かりました」

式神「それと」

小鬼「…?」

式神「……明日の夜は嵐かもしれませんので」

式神「気をつけて来て下さい」

小鬼「……分かりました」

式神「よろしい」

小鬼「……ふぅ」ガチャ

小鬼「明日に備えて……さっさと帰ろうかな」

小鬼「」ピタッ

小鬼「……少女さん?」キョロキョロ

小鬼「少女さんっ!?」

小鬼(いないっ……!)

小鬼「どこに行ったんだろ……」

小鬼「少女さんっ!!?」キョロキョロ



小鬼「結局、見つからなかった……」

小鬼「帰っても来てない……」

小鬼「どこに行ったんだろ…」

小鬼「うぅ……っ」

小鬼「明日は嵐かもしれないのに」

小鬼「……」

小鬼「探しに……」

小鬼「いや、でも入れ違いになったら駄目だし」

小鬼「うぅ……ぅぅぅぅっ」

小鬼(少女さん……っ)

満月(約束)の日 昼

小鬼「」ビュゥゥゥゥゥッ

小鬼「風がきつくなってきたや」

小鬼(結局、少女さんは昨日帰ってこなかった……)

小鬼(どこへ行っちゃったんだろ…)





少女「ただいま」

小鬼「!?」ビクッ

小鬼「今までどこに……」

少女「……狐狩り」ニヤニヤ

小鬼「……え?」

少女「てこずった」

小鬼「?」

少女「もう安心」

小鬼「え?」

少女「あの女は死んだ」ゴロンッ

小鬼「………」

小鬼「!!?」アトズサリッ

小鬼「よよよよ、よう、ようようこざんの………」






小鬼「くくく、首………っ!?」

少女「」クスクスッ

少女「安心して……いい」

少女「もう何も」

少女「誰にも邪魔されない」

少女「……私と君だけ」スルッ

小鬼「は、わわっ……」ガタッズルッ

少女「ふふっ……」

小鬼「いゃっ……そんなっ、嘘……嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘」

少女「……」

少女「本当のことよ」

小鬼「少女さんは、そんなことする人じゃない……っ」

少女「」クスッ

少女「君はなぁんにも知らない」



少女「私がどういう人物であったのか」

少女「私がどういう人生を送ってきたのか」

少女「私がどういう環境に身を置いてたのか」

少女「私はね――」






商人「おい、小鬼大丈夫かっ!?」

小鬼「………!?」ガバッ

小鬼「え、あ、はれ……?」キョロキョロ

小鬼(夢………良かった)ホッ

商人「だいぶうなされてたけど、大丈夫か?」

小鬼「あ、はい……」

商人「あー……昨日寝てなかったろ?目の下のクマがすげぇぞ」

小鬼「………」

小鬼「人を待っていたので」

商人「妖狐……だっけ?」

小鬼「いえ……少女さんです」

商人「少女?」

小鬼「……東の森で倒れていたのを助けたんです」

小鬼「僕より少し年上の女の子で」

小鬼「ちょうど一ヶ月前に」

小鬼「一緒に生活してたんですけど……」

小鬼「昨日、突然いなくなって」

小鬼「ずっと待ってたんですけど、帰ってこなくて」

商人「ふーんっ………それで夜更かししたのか」

小鬼「……」

小鬼「はい」

商人「嵐が近いってのに…」

商人「そいつ命落とすぞ」クワッ

小鬼「………!」ブワッ

商人(やべっ………「嵐」は禁句だったっけ)

小鬼「う、…ぅぅぅっ…ぅっ」グスッ

商人「!」ギョッ

商人「お、男が泣くな! 小鬼、男の子だろっ!?」

小鬼「で、でも……っ!」

商人「その……えーっと、少女さんだっけか!?」

商人「一緒に探してやっから!」

小鬼「……!」パァッ

小鬼「ほんとですか?」

商人「おうよっ」

小鬼「じょうにん、ざんっ……」グスグスッ

商人「だから、いつまでもメソメソすんな?な?」

商人(あの女狐に俺が殺されるっ……!)

小鬼「ばぁ、い……」ズズッ

商人「それで……どんな特徴なんだ? 分かりやすい特徴を言ってくれないか?」

小鬼「僕より身長高くて、美人で、あと……真紅の瞳です」

商人「」ピクッ

商人「………真紅の瞳だぁ?」

小鬼「え?」

商人「おい、坊主」

小鬼「……?」

商人「そいつはな――」

商人「……その前に」

小鬼「?」

商人「小鬼、その少女ちゃんはどんな娘だった?」

小鬼「?」

商人「もし、その少女ちゃんが今まで平気で人を殺してきたような」

商人「残忍なヤツって言ったらお前、どう思う?」

小鬼「……!」

小鬼「そんなの信じられません!」

小鬼「とてもそんな風には……」

商人「………そうか」

商人「前に忠告した時の気をつけろは、その少女ちゃんに対してのものだったんだ」

小鬼「……!」

商人【山で誰か見たら、注意しろよ】

小鬼「………っ」

商人「あいつの本性を言ってやろう、小鬼」

小鬼「本性?」

商人「いや、本質と言うべきだな。少し難しいお話だ。お前も鬼だよ、種族的に」

商人「でもな、人間にも鬼はいるんだ」

小鬼「え?」

商人「知らなかったろ?」

商人「種族的にじゃなくて」

商人「いるんだよ、畏怖の念を込めて少女ちゃんを指さしてな」

小鬼「……?」

商人「人が人を殺し続けるとな、こう言われるんだ」

商人「殺人“鬼”ってな」

夜 家(小鬼)

小鬼「もう、夜だ」アセアセ

小鬼「嵐は強くなってきたし……」ビュウービュウー

小鬼「……妖狐さんのところに行くか、どうしよっ」

小鬼「……少女さん、どこ行ったんだろ」

小鬼「………」

少女【君はなぁんにも知らない】

小鬼「………ッ」ザワッ

商人【殺人“鬼”ってな】

小鬼「……違う」フルフル

小鬼「僕は……そんな風に見てないし」

小鬼「でも、商人さんが嘘言うわけ無いし……」

小鬼「ぅぅぅっ」ギリギリ

小鬼「僕は………僕は」

小鬼「これからどんな風に少女さんを見れるんだろうか」

小鬼「………人を何人も殺したなんて」

小鬼「妖狐さんっ」








妖狐【良い男は細かいことは気にしない】


小鬼「そうだ、………そうだよ」

小鬼「少女さんが、どんな人であるかは僕自身が一番知ってるんだ」

小鬼「この一ヶ月で見てきた少女さんが全て」


小鬼「過去にどんな事をしていようとも……」


小鬼「僕は気にしない」


小鬼「少女さんは優しくて美人で許可をいつも求めてきた」


小鬼「ただ、それだけ」


小鬼「殺人鬼だろうが何だろうが……」


小鬼「少女さんは少女さんで……」


小鬼「少女さんなんだ、僕の見方は変わらないんだ」

妖狐の家の道 嵐 夜

少女「………」ビュゥッビュゥッ

少女「馬鹿」

少女「やっぱり来た」ピクッ

小鬼「……少女さん」

小鬼「こんばんは」

少女「こんばんは」

小鬼「……」

少女「……」

小鬼「商人さんって人から………少女さんの話を聞いたよ?」

少女「!?」ドキリッ

少女「え、……ぇっ?」

少女(え、……嘘。…誰誰誰……商人?)

少女「………そう」

小鬼「でも、僕はそんなことで見方は変わらない」

少女「」ドクンッ

少女「へ?」

小鬼「少女さんは少女さんで少女さんなんだよ?」

小鬼「人界では殺人鬼だろうが何だろうが」

小鬼「僕は知らない」

小鬼「今ここにいる世界では少女さんはただの少女さん」

小鬼「そう答えを出しました」

少女「…………っ」

少女(拒絶………されたんじゃない?)

小鬼「だから」

少女「………ぁ」

少女(今まで、拒絶………しかなかった)

少女(私を………受け入れてくれる人ができた)

少女(???)

少女(すごく嬉しい………)

少女「」カァァァッ

小鬼「だから、少女さん?」





小鬼「妖狐さんを殺しにいっちゃ駄目だよ?」ニコッ

少女「!?」小刀ニギリシメ

少女「え……や……」ギクリッ

小鬼「………小刀を捨てて下さい」

少女「や……嫌……」ギリギリ

小鬼「お願いです」

少女「やだ………ヤダッ」ギリリリリッ

小鬼「何故ですか」

少女「………から」ポタッ

小鬼「え?」

少女「狐の元へ………行く、よねっ!?」

少女「君が取られる………あの狐に」ポタポタッ

少女「………嫌」


少女「私の場所」


少女「やっと………」


少女「受け入れてくれた」


少女「ずっと………」


少女「……ずっと探してた」


少女「拒絶しない人を」


少女「死にたかった」


少女「もう良かった」


少女「けど」

少女「君が」


少女「助けてくれた」


少女「もう良かったのに」


少女「………けど、居場所を与えてくれた」


少女「拒絶しなかった」


少女「優しかった」


少女「私、嬉しかった」


少女「ずっと、君の隣………良かった」


少女「でも、………その隣に座っているのは私じゃない!」

妖狐【人を助けることには責任がつきまとってくるの】

妖狐【あなたはこの人を助けた、という事実だけが残る。これは変わらないし変えられない。今助けた人は死にたがっていたのに助けた、これも大事よ。本人の意志を尊重できてない。苦しかった世界からの解放を自殺によって行い死にかけていたのを邪魔した】

妖狐【小鬼が一方的に助けたい、という気持ちだけじゃ駄目なの。そういった助けた側は助けた責任を背負わないといけないの】



小鬼「……今、分かりました」

小鬼「これが僕の責任ですね」スッ

少女「………!」

少女「行っちゃ………駄目!」タチフサガル

小鬼「………少女さん、ごめん」

小鬼「約束なんだ」

小鬼「………」スタスタスタ…

少女「あ、待っ……!」ピタッ

小鬼「………」スタスタスタ……

少女「ぅ、ぅぅぅっ」グスッ

少女「………」グスグスッ

少女「小鬼……」グスッ




商人「」ザッ

少女「!?」ビクッ

商人「生きていたか」

少女「!?」

少女「あ、あぁぁぁぁっ………!」

商人「……ふんっ、顔を思い出してくれたか」

商人「いやーっ、死体が見つからなくて焦った」

商人「ふむ……?」

少女「………ぅぅぅっ、殺せ…」

商人「どうやら、もう生きる希望も無くしたか」

商人「やっぱり、鬼は二人もいらんな」

商人「一人くらいの方が良いもんさ」

商人「向こうは善い鬼だからな」

商人「悪くて罪深い鬼には……いや、罪人か」



商人「罪人にはしかるべく罪を」グシャッ

小鬼「妖狐さんっ……?」

小鬼「どこ、ですか?」

妖狐「ふふっ、どーこだ?」

小鬼「妖狐さん!」ダッ

妖狐「……一発で見つけてくれるなんてね」ナデナデ

小鬼「……えへへっ?」ウキウキ

妖狐「あの子を選ばなくて良かったの?」

小鬼「……約束は果たさない、と」

妖狐「……そう」

小鬼「それに……妖狐さん?」

妖狐「なぁーに?」




小鬼「……僕の顔や声、体を覚えてる?」

妖狐「………」

妖狐「………半々ってとこかな?」ニヤッ

小鬼「やっぱり」

妖狐「ふふっ、……にしてもどうして気づいたの?」

妖狐「頑張って隠してたんだけどなー」

小鬼「あの時くらいから……ですかね」


妖狐【忘れっぽいから】


小鬼「って言っていた辺りから」

妖狐「でも、それだけじゃ気づかないわよね?」

小鬼「確定的な理由はありましたけどね」

妖狐「ふーん、それは何かな?名探偵小鬼君?」

小鬼「二つあります。一つは軽い理由です……」

小鬼「妖狐さんは僕に“遠見”しか妖術を使ったことがなかったのに」

小鬼「あの時に僕は」

小鬼【その妖術で色々されましたから】

妖狐【あら、そうだったかしら】ニコッ

小鬼「と言いましたねいつもなら【“遠見”しか使ったことないのに】といつものおきまりではなかった」

妖狐「……ふーん」

妖狐「でも、それじゃあ全然理由にならないわよ」

妖狐「私の症状を勘で勝手に言い当てられた、だけじゃない」ムスッ

小鬼「だからそれは疑いで済むはずでした」

小鬼「問題は二つ目です」

小鬼「半月の夜に言ってくれました」

妖狐【満月の日の夜に私の家に来なさい、約束を果たしてもらうわ】

妖狐【私は自宅にしばらく籠もるから】

小鬼「違和感です」

妖狐「どうして?違和感が出るの?」

小鬼「妖狐さんは家が二つあるのに、あたかも小屋は自宅の候補から除外されていた」

小鬼「どうして、ですか?」

妖狐「二つ?私の自宅はここよ?」

小鬼「いいえ」





小鬼「あの小屋は昔からずっと妖狐さんの家ですよ?」

小鬼「満月の夜に……自宅で待つなんて何だか変です」

小鬼「どっちの自宅?」

小鬼「賢い妖狐さんならどっちの家と指定するはずだし」

小鬼「だから妖狐さんはやっぱり」

小鬼「忘れてはじめているんだな、って思いました」

小鬼「……どう、ですか?」

妖狐「……さすが、私の小鬼ね?」ニコニコ

妖狐「………小鬼?」

小鬼「はい」

妖狐「成長したね」

小鬼「……はい?」

妖狐「6歳くらいから今までずっと一緒に住んでたけど」

小鬼「はい」

妖狐「今、何歳だっけ?」

小鬼「13歳です」

妖狐「そっか……」

妖狐「もう7年になるのね」

妖狐「……おっきくなったね」

小鬼「はい」

妖狐「今だから全部言えるんだけどね」

小鬼「?」

妖狐「私はあなたの父親……小鬼父を愛していたわ」

小鬼「父さんを、ですか?」

妖狐「そう。多分、彼も私を愛してくれた」

妖狐「でも、彼は私じゃなくて……あなたの母親…小鬼母を選んだわ」

妖狐「理由は分かってたんだけどね」

小鬼「……え?」

妖狐「私、実は昔小鬼父に拾われた時に瀕死の傷と共に陰陽師から」

妖狐「変な毒もらっちゃったのよ」

妖狐「治らない傷」

妖狐「変よね、表面上は治ってるように見えて内臓がずっと痛んでるの」

妖狐「その内臓を治さない限り、私の記憶が少しずつ消えていく呪いもあってね」

妖狐「二重でキリキリ蝕んでくの」

妖狐「えぐい手口よねー」ケタケタ

小鬼「……それで?」

妖狐「あぁ、うん。それでね」

妖狐「小鬼父、その内臓を治すために色々薬を作ってくれたの」

妖狐「拾われたときから私はずっと彼の“患者”よ」

妖狐「彼の信条として“患者”は愛の対象から外れていたみたいね」

妖狐「だから最終的に小鬼母を選んだ、って私は考えてる」

妖狐「今じゃ真相は聞けないけど」

妖狐「でも、ずっと一緒だったし。それくらいは分かったわ」

妖狐「で、その時の二重傷が今も私を蝕んでるの」

妖狐「もってあとどれくらいかな」

妖狐「……っていうのが今の現状かな」

小鬼「………っ」

妖狐「でもね」

妖狐「私は幸せよ?」

妖狐「小鬼が来てくれたからね」ウズウズ

小鬼「発情期、でしたっけ?」

妖狐「そう。それは本当。ガチよ」

妖狐「本来は年に一回くらいなんだけど……ね」ハアハア

小鬼「約束ですからね」

小鬼「お供しますよ」

妖狐「……大丈夫かなー?」ハァハァ

小鬼「え?」

妖狐「この前の比じゃないわよ?」フゥフゥ

小鬼「いってみないと分からないです」ビクッ

妖狐「イッてみるのは小鬼ばっかりかもしれないけどね」ウズウズ

小鬼「え?」

妖狐「それっ!」オシタオシッ

小鬼「んっ」トサッ

妖狐「?」ピクンッ

妖狐「……なかなか素直ね?」ムラムラ

小鬼「覚悟は決めてきましたから」

妖狐「ふーんっ?」ハァハァハァ

小鬼「……決めてきました」

妖狐「……何だか心配ね」ハァ

小鬼「妖狐さん?」

妖狐「なぁに?」

小鬼「愛してます」

妖狐「~~~~~~~ッ///」ドキッドキッ

小鬼「?」

妖狐「今夜は……寝かさないから///」

小鬼「はい」コクリッ

妖狐ルート end

~エピローグ

「妖狐さん?」

妖狐「なぁに?小鬼ー?」

「……その名前はどうかと」

「元服して成人名がついたのに」

妖狐「あははっ、そうね。今は鬼ね」

妖狐「そっちこそ妖狐さんはやめてくれるかな?」

妖狐「私はあなたの奥さんなのに」

鬼「そうでしたね」ニコッ

「おとうさーんっ?」

鬼「どうしたんだい、子鬼?」

子鬼「おとうさんにしゅじゅちゅして欲しい人が来てるヨー」ニコニコ

鬼「手術か……こんな山奥まで頼みに来るなんて」

鬼「また出張かな?」

妖狐「また行った先で角出しちゃ駄目よ?」ケラケラ

鬼「あ、あれは……もうしないよっ!」カァッ

妖狐「ほんとかな~?」ニャリッ

鬼「本当だとも」




鬼(………まさか異国の治療法で助かるなんて妖狐も思ってなかったろうに)

鬼(海外の国の中に西洋で発祥した治療法“手術”)

鬼(まさか、刃物で身体の表面を切るなんて)

鬼(最初は信じられなかったけど)

鬼(商人から頼んで読んでいた本に書かれてあって良かった)

鬼(あれを見てなかったら、今こうして自分は“手術”についての技能も)

鬼(妖狐の命も、子を授かることもなかったろうに)

鬼(……本当に良かった)

妖狐「何、ニヤニヤしてるの?」

鬼「え、あ、いやっ!?」

妖狐「ほら、さっさと行ってきなさいな」

妖狐「“遠見”であなたの活躍見ておいてあげるから」

子鬼「あげるからーっ」

鬼「分かったよ、早めに帰るから」

妖狐「ふふっ?…浮気したら許さないから」

鬼「できないですよ?“遠見”があるんですから」

妖狐「そうだったわね」ニコニコ

鬼「……」ニコッ

妖狐「いってらっしゃい」

鬼「行ってきます」




鬼「おや昨晩の嵐も去ったみたいだ」

鬼「うんうん。今日は……」




             鬼「良い天気ですね」



                          小鬼「良い天気ですね」fin.

スレタイを上手く回収できて自分としては満足でした、この作品。

最初は妖狐と小鬼がラブラブエッチして終わろうかと思いましたが
スレタイ回収できねぇ!ってことに気づいたので長篇に引き延ばしました

いやー、ssは処女作でこの掲示板系統は初投稿です
他の作品は色々と見てきましたが自分で書くとなるとこうも大変だとは
普段は地の文ばかりなので台詞だけというのも新鮮です。

いやー、自分勝手で自己満足で自家発電なオナニー小説でした。
記憶の片隅にでも残ればこれ幸いです。


ご付き合いしてくれた皆様、お疲れ様でした。

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