ギンコ「湿っ地屋敷?」 (8)

ジブリ作品「思い出のマーニー」と「蟲師」のクロスです。
誤字脱字などはご容赦下さい。

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ギンコ「まいったな…急ぎとは言え近道にムロなんて使うもんじゃなかったか…」

小さな港町で頭を掻いている銀髪の青年はギンコ。
職業は蟲師。

蟲と言っても昆虫では無く
この世とは別のもう一つの世界に生きる生物のような物。
二つの世界は決して交わらずに互いに影響しあっている。

その影響は人に取って良くない事ももちろんある。

その良くない物へ働きかけ解決するのが蟲師と呼ばれる者達の生業だ。

頭を掻いた所で始まらんか…辺りを見渡すとどうやら人には会えそうだ。
適当に歩いて情報を集めて見るか。

キョロキョロ辺りを見渡しながらと歩いていると
「よう、兄さん見ない顔だね?」と突然話しかけられた?

ギンコが振り向くと頭にはタオル。顔にはだらしないヒゲを生やした中年の…しかし人の良さそうな男性が立っていた。

中年「いい歳して迷子かい?」

ギンコ「いや…まぁ…実はそうなんだ。悪いが兄さんここがどこか分かるかい?」

中年「ここがどこかって?ここは北海道の海辺の町さ」

ギンコ「ほ…北海道?」

中年「お前さん北海道を知らないのか?見た所外国人かね?にしちゃ言葉が流暢だな」

ギンコ(外国人…って事にしといた方が話が早そうだな)

ギンコ「…あぁ実はそうなんだ。この辺の地図がありゃ有り難いんだが…」

中年「そりゃ大変だ。地図ならウチにくりゃある。このすぐ近くだ。着いてきな」

ギンコ「すまない。助かるよ」

とりあいずギンコはこの人の良さそうな中年を頼る事にした。

ギンコ(他に当てがある訳でも無いし世話になろう…)

地図を見せられたギンコは驚愕した。
現在地と言われて差された場所はギンコがいた時代では蝦夷地と呼ばれる場所だった。

名前は違えど確かに日本だ。
たがこの時代の日本は遥かに文明が発達している。
どうやら遠い未来に来てしまったようだった。

しかし…

時を超えるムロなんて聞いた事が無い。

中年「どうだい?帰れそうかい?」

ギンコ「…いや簡単には帰れそうにない…」

中年「そうかい?ならしばらくは家に泊まるといい。見た所怪しいが悪い男では無さそうだしな」

ギンコ「本当か?すまないな…」

中年「俺は大岩清正っていうもんだ。木工大工をしてる」

ギンコ「俺はギンコ。しがない旅の蟲師さ」

清正「蟲師?」

ギンコは蟲師という物を説明した。
清正はその手の話に興味がありそうで少し食い入るように話を聞いて「なるほどなるほど」と相槌を打った。

清正はセツという妻と夫婦二人で暮らしており、セツも困ってるギンコを快く受け入れてくれた。

数日世話になりギンコはもう一つ気がついた事があった。

この時代の日本には蟲の気配がほとんど感じられない。

確かにあるがほとんど無いに等しかった。

ギンコのいた時代に帰るには恐らく蟲の気配の濃い場所を探す必要があると判断したギンコはこの海辺の町を散策する事にした。

町を散策し、神社や近くの洞窟。様々な所を探して見たが蟲の気配はほぼ皆無だった。

溜息をつき途方にくれるギンコの前を一匹の蟲が横切った。

ギンコ「いた!」

蛍のように黄色く淡く光る蟲を見逃さないようにギンコは追いかけた。

フワフワと漂う蟲を夢中で追いかけるギンコの足が突然空を切った。

ギンコ「うわっ…!」

坂から転げ落ちたギンコの前に広大な湿地と奥に洋風な家が見えた。

追い掛けた蟲はふわりふわりとその洋風な家の方へ漂っていってしまった。

満潮を迎えた湿地は見た目より量(かさ)が深く、これ以上は無理か、と今日の探索は諦めた。

あの洋館の事を清正に聞いてみる事にした。

清正「湿っ地屋敷か…」

セツ「あそこがどうしたの?もう何年も使われてないみたいよ?」

清正「あそこには近づかない方がいいぞ」

ギンコ「何故だ?」

清正「幽霊が出るって話だ」

ギンコ「幽霊ねぇ…」

清正「でもギンコさんはそういうのが専門なんだっけか」

ギンコ「まぁ似たか寄ったかってとこだ」

清正「満潮じゃなきゃ歩いていける。明日の昼にでも行ってみな」

ギンコ「そうさせて貰う」

ギンコは薬箱を整理すると明日の昼を待った。

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