アシェラッド「ヴァルハラ・・・?」 町人「ここはラダトームの町です」 (62)

痛みはねぇ・・・手足も動く、何より刺されたはずの胸に傷がねえ・・・
ああくそ、ここがヴァルハラか・・・

ヴァルハラってのはあれだな、もっといい所かと思ったが
現実そのものじゃねえか・・・



「よぅ、アシェラッド。俺の友達。」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1457005812

友達?ああいたな。
血肉に塗れたデーン人、父親を殺されたはねっかえりのクソガキ。
楽園を築くと宣った若き王。
故郷の為に、そんな糞どもを利用してきた俺にもたったひとりだけ。

アシェラッド「久しぶり・・・でもねえか、なあビョルン。」

ビョルン「アンタに殺されてから1週間だぜ。随分と死に急いだじゃねえか。」

アシェラッド「まあ、いろいろあったのさ。ここはヴァルハラなのか?」

ビョルン「いやここは、

町人「ここは、ラダトームの町です。」

ビョルン「だ、そうだ。」

信者の方に「新スレあったの気づかなかったけど荒らしてくれたから気がつけたわ」と感謝されたので今回も宣伝します!

荒らしその1「ターキーは鶏肉の丸焼きじゃなくて七面鳥の肉なんだが・・・・」

信者(荒らしその2)「じゃあターキーは鳥じゃ無いのか?
ターキーは鳥なんだから鶏肉でいいんだよ
いちいちターキー肉って言うのか?
鳥なんだから鶏肉だろ?自分が世界共通のルールだとかでも勘違いしてんのかよ」

鶏肉(とりにく、けいにく)とは、キジ科のニワトリの食肉のこと。
Wikipedia「鶏肉」より一部抜粋

信者「 慌ててウィキペディア先生に頼る知的障害者ちゃんマジワンパターンw
んな明確な区別はねえよご苦労様。
とりあえず鏡見てから自分の書き込み声に出して読んでみな、それでも自分の言動の異常性と矛盾が分からないならママに聞いて来いよw」

>>1「 ターキー話についてはただ一言
どーーでもいいよ」
※このスレは料理上手なキャラが料理の解説をしながら作った料理を美味しくみんなで食べるssです
こんなバ可愛い信者と>>1が見れるのはこのスレだけ!
ハート「チェイス、そこの福神漬けを取ってくれ」  【仮面ライダードライブSS】
ハート「チェイス、そこの福神漬けを取ってくれ」  【仮面ライダードライブSS】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1456676734/)


ビョルン「まあ、再会を祝して酒でもおごるよ、と言いたいところだが。」

ビョルン「あいにく、手持ちが無くてな。稼ぎにいくところさ。」

ビョルン「大将、一緒にいくかい?」

いい笑顔をしやがって。

酒を飲むのに金が要る?
てことは、ここはヴァルハラではねぇみたいだな・・・
いや、そんなことぁどうでもいい

問題なのは、オレにも手持ちがねえってことだ

アシェラッド「付き合うぜ、ビョルン。」

驚いた・・・っ!
なんだこいつらは!

半透明の生き物?に、顔がやたらでかい蝙蝠?
挙句には、帽子を被った煙みたいななにか・・・
土着の獣なのか・・・?

しかも、こいつらは
獣とは思えねえほど好戦的だ
縄張り意識が強いのか・・・?

アシェラッド「おい!ビョルン!こいつらはなんなんだ!?」

ビョルン「あぁ!?これが俺の今の稼ぎよぉ!」

わけがわからん・・・ビョルンに聞いたのが間違いだった
考えが一向に追いつかねえが、剣は冴えてる
ビョルンと街を出て数時間だが、すでに50は斬り殺した

斬り殺した、斬り殺した
さんざん斬り殺しているのに・・・

アシェラッド「なんでこいつら、一向に数が減らねえんだ!!」

アシェラッド「気が付いたら沸いてやがる!」

ビョルン「おうよ!今日はこれぐらいにしておくかぁ!」

ビョルン「お、盛り上がってるねぇ。」

世界は違えど、酒場というものは何処も似たようなものだ。
屈強な男たちの巻き起こす喧噪が、安心を与えてくれる。

ビョルン「まあ、飲めよアシェラッド。この世界については、まあ俺も来たばかりでよくは知らねえ。」

ビョルン「それでも、俺がわかる範囲で教えてやるぜ。」

アシェラッド「・・・あぁ、頼むぜ。」

ビョルンの話をまとめるとこうだ。
ラダトームには、王城があり王国騎士団によって守りを固めている。
この世界に戦はほとんどねぇが、代わりに魔物どもが人間と敵対している。
何年か前に、魔物共を生み出す魔王を倒すために勇者が旅だったが音信不通。
王国騎士団は、王城から出征するつもりがないため街の外の魔物の駆除を傭兵共に委託している。

アシェラッド「正規の軍が出征しないってのは、なんだろうなぁ。」

アシェラッド「近くに、敵対国でもあるんかね?」

ビョルン「いや、どうもこの国の連中は俺たちとは考え方が違うらしい。」

ビョルン「打って出るって考えがねえんだろ。臆病共の集まりなのさ。」

アシェラッド「ふぅん・・・。じゃあ傭兵共ってのは、どうなんだ?」

ビョルン「あいつらは、別さ。」

ビョルン「俺たちと何ら変わらねえ、戦働きがなにより好きな連中さ。」

アシェラッド「傭兵共も、俺らと同じで外の世界から来たってことか・・・?」

ビョルン「さぁ?そこまでは、わからねぇよ。」

ビョルン「お、噂をすれば影だぜ。」

アシェラッド「ん?」

王国騎士「この場に、アシェラッドという男は居らぬか!?」

アシェラッド?
なぜ、俺の名前がここであがる?
なにか、やらかしたか。
いや、この土地にきてまだ半日だ。何もやらかしようがねえ。
じゃあ、あいつはなんだ。
名乗り出るか・・・いや今は様子見だ
なにがおこるかわからねえ。

ビョルン「おいおい、王国騎士殿。いったいどうしたんだ?」

ビョルン「その男がなにかやらかしたのか?」

いいじゃねえか、ビョルン。
流石に、場慣れしてやがるぜ。

王国騎士「いや、そうではない。新たなる勇者の出現に関するお告げがでたのだ。」

王国騎士「この場にいる者ども、よおく聞け。勇者アシェラッドを見つけしものは、王国騎士団詰所に申し出よ!」

王国騎士「少なからずの褒章も約束しよう!」


王国騎士の登場と共に白けていた酒場に
火が付いたがごとく歓声がひろがった。

アシェラッド「名前まで広めちまって、名を騙る奴が出ることは考えてないのかねぇ?」

ビョルン「臆病なうえに、馬鹿なんだろ?で、どうするよアシェラッド。」

アシェラッド「・・・まあ、急ぐことでもねえさ。今日はゆっくり飲もうぜ。」

ビョルン「そうだな。じゃあ、しきりなおしといこぉかぁ!」


そして夜が明けた


アシェラッド「さあて、ビョルン。騎士団詰所に案内してくれ。」

ビョルン「なにが、『急ぐことじゃねえ。』だ。昨日の今日じゃねえか。」

アシェラッド「今のところ、俺には何の拠り所もねえしな。いきなり国の騎士団様とつながりができるなら万々歳よ。」

ビョルン「でもよ。昨日の騎士様の言いぶりじゃあ、新しい勇者にされちまいかねないぜ。」

アシェラッド「それはそれでもいいさ。なんにしても『虎穴にいらずんば』さ。」

ビョルン「ま、それもそうか。」

-王国騎士団詰所-

王国騎士「ほぉ、おぬしが勇者アシェラッドか。思っていたより随分老いているな。」

アシェラッド「まあ、おっしゃるとおりです。ところで。」

アシェラッド「私が本人かどうかは確かめなくてもよろしいんですか。」

王国騎士「ま、そうであろうな。では本人かどうか確かめるとしようか。」

王国騎士「アシェラッド、我々はおぬしの本当の名を知っている。改めて名乗って頂きたい。」

アシェラッド「」

本当の名だと?何故だ、なぜ知っている。
俺が名乗ったことがあるのは、一度だけ
王の家での、あの時だけだ
あの場にいたやつが、他にもこの土地に来ているってことか・・・?

王国騎士「まあ、驚くのも無理はないが。神託というのはそういうものなのだ。」

王国騎士「私がカマをかけていると思うか?ルキウス殿。」

不気味ではあるが、今は乗っかるしかないか

アシェラッド「失礼した。真の名はルキウス・アルトリウス・カストゥスと申します。」

王国騎士「ふむ、間違いないようだな。」

王国騎士「アシェラッド殿。我が国の王に会っていただきたい。」

アシェラッド「承りました。」

なんてこった・・・
騎士団とのつながりどころか、王と会えると来たぜ
トントン拍子すぎて、考えが追い付かねえ

ただ、ひとつ確かなのは
何かやっかいごとを、押し付けられるってことぐらいか
まあ、いいさ
せっかく拾った命だ、今度こそ成し上がってやるぜ

王「アシェラッドよ、お主には魔王討伐の為、旅立ってもらう。」

王「詳しくは大臣に聞け、以上だ下がってよい。」

アシェラッド「承りました。陛下。」

大臣「アシェラッド殿。こちらへ。」


さてさて、魔王討伐と来たよ
なんの後ろ盾もない、この俺に随分期待してやがる
神託ってのは、こいつらにとって相当重要らしいな

さて、いったいどれくらいの兵を預けてもらえるのか
詳しい話とやらが楽しみだぜ

アシェラッド「・・・はぁ!?単身で魔王を討伐せよと・・・?」

大臣「そうは言っておらん、聞くところによるとお主には従者がいると聞く。」

大臣「その者と二人でということになるな。」

アシェラッド「畏れながら申し上げます。魔王とは、たった二人で討ち果たせるほどの存在なのですか。」

大臣「魔王と言っても、国を治めているわけではない。魔王は、ただ魔物を生み出すだけの存在。」

大臣「当然ながら、軍はおろか騎士団すらも存在せん。きやつが持つのは魔王城ぐらいのもの。」

大臣「戦闘を避け、城に忍び込むことができれば。さほど難しいことではない。」

アシェラッド「ならば、王国騎士を出征させればよいのでは?」


大臣「残念ながら、王国騎士団は首都防衛で手一杯。それゆえ、おぬしにやってもらいたいのだ。」

大臣「もちろん、支度金も出そう。金貨50枚を用意した、受け取るがよい。」

こいつら、頭がおかしいのか
魔王が国を持たないという話が本当だとしても
たった二人で、魔物と戦いつつ敵本拠地に向かうってのは無理がすぎる

こりゃ、勇者ってのは国民に対する言い訳だろうな
魔王を倒すために国も頑張ってますよって姿勢を見せるだけの
お飾りってことだろう

前の勇者が、音信不通にもなるわけだぜ

アシェラッド「お待ちください。酒場に燻っている戦士達を10名程を王の名のもとに雇用することはなりませぬか?」

大臣「申し訳ないが、我が国の財政も厳しく、そのような余裕は・・・。」


アシェラッド「わたくしが個人的に雇い入れます。それならばいかがでしょうか。」

これならどうだ?
国の財政にも、軍にも負担はかけない
人数も、これならいざという時に簡単に鎮圧できる・・・
あんたにとっちゃいいことずくめだろ
ただひとつ、懸念となるのは・・・王の名声ってところか?

大臣「・・・お主と従者を含まぬ、他10名の戦士団。それならば、許可しよう。ただし・・・」

ほらきた

大臣「お主一人で、10名の戦士を雇用するのは金銭的にも大変であろう。お主の戦士団の内2名は騎士団から派遣しよう。」

大臣「また、王の名のもとに集める戦士団であるからな戦士団の名称はこちらで決めておこう。」


まあ、こんなところだろう
最初は馬鹿ばかりかと思ったがそうでもねえ
ただし、どいつも俺の想定を超えてはいえねえ
こりゃあ、のしあがるのも、そう難しくはなさそうだぜ

ビョルン「・・・はぁ!?たった10名がそこらで魔王討伐ぅ!?」

アシェラッド「まあまあ、これは足がかりよ。」

ビョルン「ま、アンタが決めたことだ。考えがあるんだろ。」

ビョルン「ところでよ。ひとつ気になるんだが。」

ビョルン「金はどうするんだ?敵は魔物だろ、略奪しようにも物がねえぜ。」

アシェラッド「なあに心配するな。そこらへんも考えてあるよ。」

ビョルン「そうか。まあ、なんにしてもアシェラッド軍団。軍団と言える規模じゃねえが再結成だ。」

ビョルン「と、そうそう。忘れてた。」

アシェラッド「?」

ビョルン「騎士団詰所でアンタを待っている間に、面白ぇやつを見つけたよ。」

アシェラッド「なんだ、もう目を付けた戦士がいるのか。手がはえぇな。」

ビョルン「聞いて驚くなよ。」


ビョルン「『耳』さ。」

耳「・・・よう。アシェラッド。」

アシェラッド「よう、お前もこっちに来てたのか。他の連中は見てないか。」

アシェラッド「戦士団を作ることになったんだが、人手が足りねえんだ。」

耳「・・・あんた等以外は見てねえ。」

アシェラッド「お前も加われ。お前の耳は頼りになる。」

耳「おい、アシェラッド!俺たちが裏切ったこと忘れちまったのか!?」

アシェラッド「何言ってんだ、んなこたぁ気にしてねえよ。」

アシェラッド「戦場での斬った斬られたは恨みっこなしだぜ。」

アシェラッド「グジグジ根に持つのは・・・。」

ビョルン「トルフィンだけだ。」ニヤニヤ

大臣「ラダトーム義勇兵団、団長のアシェラッドよ。吉報を待っておるぞ。」

アシェラッド「はっ。承りました。」



-ラダトーム郊外-


ビョルン「へへっ、義勇兵団と来たぜ。ただの雇われの集まりなのによ。」

アシェラッド「まったくだ。笑えるぜ。」

耳「なあ、旅立つのはいいがどこに向かうかは決まってるのか?」

アシェラッド「そこはほれ。監視役の王国騎士殿が案内してくださるそうだ。」

王国騎士1「アシェラッド殿、我々は監視役ではなく魔王討伐の為に兵団に参加しております。」

王国騎士2「それに我々は、勇者アシェラッド殿の部下であります。なんなりと御使いください。」

アシェラッド「はいはい。じゃあ、早速仕事だ。案内を頼む。」


王国騎士1「はっ。魔王城はラダトーム東方の海上に在ります。」

ビョルン「・・・?船じゃだめなのか?」

王国騎士1「海には、大地以上に強く多くの魔物がおりますゆえ、海路は使えません。」

傭兵1(片目)「アレフガルドじゃ、常識だぜ?」

ビョルン「うるせえなあ。どうせ俺たちは新参者よ。」

傭兵2(指無)「おいおい、ビョルン殿がいじけちまったじゃねえか。」

アシェラッド「お兄さん方、ちょいと黙っててくれるか。話がすすまねえ。」

王国騎士1「それゆえ、魔王城には海岸線が最も近い東の大陸から向かう必要があります。」

ビョルン「うへぇ。大回りにもほどがあるぜ。」

王国騎士1「まずは、ラダトーム北方のケティルの町を目指しましょう。」

アシェラッド「っよおし。おまえら、まずは北だ。」

傭兵達「うーっすっ。」


旅は順調だった。
魔物は単独行動している場合が多く、10名以上から成る俺たちに襲いかかってくる者はごく僅かだった。
ラダトーム近郊の平原をすぎると、丘陵がひろがっていた。
そうしてケティルの町まで、あと半日という距離まで来た。


耳「・・・んっ。」

アシェラッド「全員、とまれ!」

傭兵3(火傷)「んああ?」

傭兵4(瘤)「どうしたんだ急に?」

ビョルン「静かにしろ・・・」

耳「・・・2マイル先。・・・こりゃあ、戦の音だな。」

ビョルン「いくさぁ?だれが?だれと?」


アシェラッド「王国騎士、ケティルの町ってのは敵対勢力がいるのか?」

王国騎士1「いや、そのような話は聞いたことがありません。」

王国騎士2「わたしも存じあげません。」

アシェラッド「・・・耳。数はわかるか?」

耳「鬨の声だからなあ・・・併せて、ざっと50ってところか。・・・。」

耳「それに、人間同士じゃねえな。魔物の声が混じってる。」

アシェラッド「・・・王国騎士1。この辺の地理を教えろ。」

王国騎士1「ケティルの町が北に4マイル程。2マイル先は丁度、丘陵を抜けたあたりですね。」

アシェラッド「よし、行軍を再開。無駄口は叩くな。耳は警戒を続けろ。」


どうにもきな臭くなってきやがった
やはり、大臣の言葉を全て鵜呑みにしねえほうがいいな
だがすべてが嘘だとは思えねえ
何が正しく、何が異なるか
まずはそこらへん、見極めていくとするか

sage進行が基本なんですね。失礼しました。
ご指摘ありがとうございます。

度々、失礼しました。


ビョルン「おお、やってるやってる。」

アシェラッド「人間側は軽装だな。装備から見るにケティルの町の防衛戦力だろうな。」

耳「魔物30に人間20ってところか・・・。魔物に囲まれちまってるぜ。」

しかし、街から2マイルで軽装ね・・・
最初は街近郊で戦闘してて、魔物を追撃したきたら囲まれた
ってところか・・・?
だとしたら、魔物共に統制がとれてるってことになるぞ・・・

ビョルン「アシェラッド、助けるか?」

魔物自体はラダトーム近郊の連中と変わらない
装備はまとも、数は劣る・・・
犠牲はでるだろうが、乗り切れんことはないだろう

それより、問題は魔物側だ・・・
統制がとれてると仮定すると・・・罠にかけた割には、伏兵に決定力がねえ。
てことは、殲滅戦じゃあなくて時間稼ぎが目的か

アシェラッド「無視だ。このまま脇をぬけて、街を目指す。」


王国騎士1「彼らを助けないのですか!?」

ビョルン「奴らを助けて、褒美に預かるってのも良いんじゃねえの?」

ビョルン「俺らが加われば数でタメはれるぜ。」

アシェラッド「駄目だ。魔物を狩ったところで褒美なんてタカが知れてる。」

アシェラッド「どうせなら、もっと簡単にでっかく稼ぎたいだろ?ビョルン。」

アシェラッド「王国騎士殿も従ってもらうぞ。俺たちの目的はあくまで魔王討伐だからな。」

王国騎士1「くっ・・・わかりました。」

アシェラッド「よし、急ぐぞ。」


-ケティルの町近郊平原-

耳「アシェラッド!街が襲われてるぞ!数は少ないが、街に戦力はないみたいだ!」

アシェラッド「ほらきたっ。」

アシェラッド「いいかぁ!野郎ども!よくきけ!」

アシェラッド「敵の数は極わずか!しかし街には防衛戦力がいないっ!街の連中は絶体絶命さ!」

アシェラッド「絶好の稼ぎ時だ!さっきの戦士共が囲みを突破して帰ってくる前に終わらせるぞ!」

ビョルン「へへ、いいねぇ!」

傭兵5(眉間傷)「上等だ!おらぁああ!」

傭兵6(頬傷)「どらあぁあああ!」

アシェラッド「ぃとつげきぃい!」


少数で街に入り込んでやること
まあ、略奪じゃあ無いとしたら火計だろうなあ
もしくは、領主の暗殺ってところか

アシェラッド「片目!お前は、兵を引き連れて街の穀物庫へ行け!」

片目「応っ!行くぞ野郎ども!」

アシェラッド「ビョルン着いてこい!王国騎士は街の領主のところに案内しろ!」


できれば、領主さまが死んでくれてると有難いんだけどなぁ


アシェラッド「敵は少数で入り込んでる!見つけたら必ず仕留めろ!」


なるたけ、ゆっくり行くとするか・・・


ビョルン「お、あれかな?」

王国騎士2「間違いありません領主様です!魔物に襲われています!」

ビョルン「王国騎士1殿、槍を貸してくれ。」

王国騎士1「は、はいっ!なにをする気ですか!」

ビョルン「んー投げるんだよ、よっ!と。」グオン

グャアァァアア

アシェラッド「へぇ、流石だなビョルン。この距離でも魔物に当てるか。」

ビョルン「へっ、朝飯前だぜ。」


アシェラッド「宴だー!!!」ドン

ビョルン「ぷはー、こっちの世界のビールもなかなかいけるよなぁ!」

傭兵7(口裂)「こっちの世界ってなんのこっちゃ!」

傭兵8(新品)「なははははっ!!」

王国騎士2「いやぁ!勝ち戦ってのはたまんないですねぇ!」

王国騎士1「・・・。」

アシェラッド「おうおう。しけたツラァしてんなぁ。王国騎士殿ぉ!」

王国騎士1「・・・丘陵地帯で囲まれていた戦士たち。帰ってきたのは半数だそうです。」

アシェラッド「それで?」

王国騎士1「我々が助けに入っていればっ・・・!」

アシェラッド「それじゃあ、街は救えなかっただろうなぁ。」

王国騎士1「・・・。」

アシェラッド「せっかく領主殿が酒を振る舞ってくれてるんだ。楽しく飲まなきゃ損だぜ。」

王国騎士1「・・・失礼します。」

アシェラッド「あーあ、いじけちゃった。」

ビョルン「ありゃあ、なかなか厄介だなぁ。アシェラッド。ああいうのは後々、邪魔になるぜ。」

アシェラッド「ああ、懐柔できなきゃ、アレすりゃいいさ。」



そして夜が明けた


アシェラッド「宴だー!!!」ドン

片目「おいおい、この町の女はすげえぞ!昨晩は一睡もできなかったぜ!」

新品「片目ぇ、おれにも分けてくれったいいだろう!独り占めしやがって!」

片目「あーっ!?んだ童貞野郎!」

新品「てめぇ!こらぁ!表でろ!」

王国騎士2「ひあはははっはっははあ!」


耳「アシェラッド。街で面白い話聞いたぜ。」

アシェラッド「もったいぶらずにさっさと話せ。」

耳「『鉄拳ケティル』って戦士の話知ってるか?」

アシェラッド「あー。怪力で武器がすぐ壊れちまうから、素手で殺しまくてったってやつか。」

耳「それそれ。それがさ、昔々この町を築いた奴も『鉄拳ケティル』だって言うんだ。」

アシェラッド「へえ。それで。」

耳「だから!何百年も前に、この町を作ったって言うんだよ『鉄拳ケティル』が!」

アシェラッド「偶然だろ?」

偶然・・・なのだろうか?




そして夜が明けた


アシェラッド「宴だー!!!」

ビョルン「ふへー、流石に3日続けてじゃ飲み飽きてきたぜ。」

火傷「んだなー。」

王国騎士1「アシェラッド殿は居るか!」

アシェラッド「んー。どうした?」

王国騎士1「いったいいつまで、この街に留まるつもりですか!」

アシェラッド「あー、どうしよっか。もうちょっと体を休めたいけど。」

王国騎士1「この街とて、無尽蔵に酒や食べ物があるわけではありません!」

王国騎士1「何より、我々は魔王討伐の旅の途中なんですよ!」

あー、こりゃ領主の奴が泣きつきやがったな
予定よりだいぶ早いがここらへんが潮時かな

アシェラッド「ふむ、それもそうだな。」

アシェラッド「野郎ども!出発は明日だ!それまで存分に楽しめ!」

アシェラッド「これでよろしいかな?王国騎士1殿。」

王国騎士1「・・・ぐ、有難うございます。」


そして夜が明けた


ケティルの町領主「食料と装備をよこせぇ!?」

アシェラッド「おいおい忘れるなよ、それと金もだ。」

領主「ゆ、勇者殿!それはあまりにも・・・っ!」

王国騎士1「アシェラッド殿!どういう御つもりか!?」

アシェラッド「我々は、王陛下より勅命を受け神託の基に任務遂行の中途である。」

アシェラッド「領主殿には、積極的に協力していただきたい。」

王国騎士1「アシェラッド殿!」

アシェラッド「王国騎士1殿。あんたの上司は、魔王討伐の費用にわずかな金しか用意しなかった。」

アシェラッド「俺たちが、任務を成すにはこうやって前に進むしかない。」

王国騎士1「ぐ・・・。」

アシェラッド「領主殿。よもや王陛下の勅命を軽んじるのか?」

領主「・・・用意いたします。」



ビョルン「なるほどなー。」

耳「ん、なにがだ?」

ビョルン「いやー、アシェラッドのことさ。」

ビョルン「実はな、お前らの給金は最初に支払った分で底はついてんのよ。」

耳「はぁ!?初耳だぜ!?」

ビョルン「魔物からは略奪なんてできねえし、どうすんのかと思ってたが。」

ビョルン「行く先々で、こうして豪遊して、略奪すりゃあ万事解決ってわけか。」

アシェラッド「おいおい。なに言ってんだビョルン。こりゃあイングランドで俺たちが散々やってきたことじゃねえか。」

アシェラッド「それによ、これは略奪じゃあねえ。」


アシェラッド「徴発って言うのさ。」


王国騎士1による報告書草案(と思われる物)

一)ケティルの町近郊にて、魔物の群れに囲まれている街の警護団を発見。
しかし、勇者の判断によりこれを無視。街に急行したところ、少数の魔物による襲撃が行われていた。
勇者アシェラッドは、魔物による統率のとれた軍行動を予期していたと思われる。
いままで、獣のように振る舞っていた魔物どもに何らかの変化が表れているのは明らかである。
早急に、首都防衛の戦略を改良する必要性があるものと進言す。

二)勇者アシェラッドは、「魔王討伐の為」と称しケティルの町より徴発を実施。
町々への徴発は、王国への不満を集めかねないと判断し説得を行うも実らず。
我々ラダトーム義勇兵団が食料と旅費を勇者殿の私費によって賄われているという現実に問題がある。
騎士団予算から賄うことができぬか検討を依頼す。

余白に書かれたメモ書き
アシェラッド殿は、街の戦力を削ることで徴発をやりやすくしたのでは・・・?
警護団を見殺しにしたのは、徴発を見越して・・・?


ケティルの町を出た俺たちは東のマイラという街を目指した。
この世界には、魔物の存在ゆえか村や集落というものがほとんど存在しない。
それゆえ、食い物がかつかつだ。
くそ、旅の途中に村々をつまみ食いしつつ向かうつもりだったが
とんだ誤算だぜ。

耳「アシェラッド!進行方向に魔物がいる。距離はわからねぇ。数は5。」

ビョルン「おいおい、わからねぇじゃあねえよ耳ぃ。」

ビョルン「それを探るのがお前の仕事だろ。」

耳「密林ってのは、音が反響して距離が探りにくいんだ!」

そう、密林。
俺たちが向かっているマイラは密林の中にあるそうだ。
当然、視界はふさがれ敵との遭遇戦も頻発する。
俺たちは確実に消耗を強いられていた。



耳「アシェラッド。やべえ、魔物のなかにアレが混じってる。」

アシェラッド「!」

アシェラッド「まほうつかいか・・・。」

耳「まほうつかい2。がいこつ5だ。」

アシェラッド「ケティルの街を出てから、人型の魔物が増えたな。」

ビョルン「俺は、人型のほうが戦いやすくて好きだけどな。で、どうするよ。」


できれば、やりすごしたい。
ケティルの街を出てから、単独で行動しているまほうつかいを何体か倒した。
最初は信じられなかったが、この世界には普通に魔法が存在しやがる。
正面からなら、なんなく倒せる。だが、遠距離から身を隠しながら魔法を使われたら。
たった一体の魔物に、兵団が全滅させられることも容易に考えられる。
やりすごしたい・・・が、食料ものこりわずか。
できれば、今晩中にマイラに到着したい。
密林の中でへたに迂回して、位置を見失ってはどうしようもなくなる。
数からして統率のとれた小隊だと見るのが妥当か。目的は、わからんが。
多少、無理しても突破するか。


アシェラッド「片目、王国騎士2、指無、火傷、お前らは先行しろ。魔物を見つけ次第、散開し潜め。」

アシェラッド「本隊が正面から遭遇戦を行う。お前らは後方のまほうつかいを仕留めろ。」

アシェラッド「いいかくれぐれも、魔法を使わせるな。」

片目「了解。」


さて、先行隊が出て少し経った。
密林のせいできょりはわからねぇが、そこまで遠いってこともねえだろ。
そろそろ、本隊も進めねぇと奴らが孤立しかねねぇな。


「やべぇ!見つかった!」

耳「!・・・片目の声だ!結構近いぞ!」

くそ!最悪じゃねえか!
思ったより敵が近づいていやがったか・・・
こうなったら、的を散らすしかねぇか。

アシェラッド「ちっ、仕方ねえ!全員、突撃ぃ!まほうつかいを優先して殺せ!」

「「「うぁおおおおおおおぉおお」」」

まほうつかい「~」

耳「やべぇ!魔法くるぞ!」

アシェラッド「散開しろ!」



「うわあぁああああああああ!!」


瘤「誰かに当たったみたいだぜ!」

アシェラッド「かまうな!乱戦に持ち込まなきゃ勝ち目はねぇ!」

ビョルン「だ、そうだ!ほら、走れ!走れ!」


見えた!
先行した連中はがいこつ共とやりあってる。
まほうつかいは・・・
いいぞ。一体は仕留めてる。
もう一体は、くそ潜みやがったな・・・

耳「アシェラッド!左だ!」

人の頭ほどの火球。当たったらただじゃあすまねえ。
だが。矢ほどの速さはねぇ。

アシェラッド「このぐらいならぁあああ!」

火球が耳をかすめる。髪が焦げたにおいがする。

アシェラッド「手斧!」

ビョルン「ほい。」

アシェラッド「どぉりゃあ!」

ビョルン「へへへ、やるじゃねえか!」

アシェラッド「あたりめぇよ!よし、このまま骸骨どもに突っ込め!」

「「「応っ!」」」


アシェラッド「被害は?」

ビョルン「口裂の姿が見えねえ、たぶん最初に魔法にやられたのはあいつだろう。」

ビョルン「あとは、先行してた指無と火傷が骸骨にやられた。意識はあるが傷が深い。もって半日かな。」

アシェラッド「被害は3人か。この先、補充がきくとは思えねぇし。結構きついな・・・。」

王国騎士2「いや、被害は1人です。」

ビョルン「あ?何言ってんだ。話聞いてなかったのか。」

王国騎士2「あ、いえ。勇者殿達は異世界から参られて魔法には詳しくないと聞いております。」

アシェラッド「まあ、その通りだが。」

王国騎士2「魔法の中には、傷を治すものや死者を甦らせるものもあるのです。」

王国騎士2「マイラにも、魔法を使える僧侶がいると聞いております。」

ビョルン「・・・まじかよ。」

・・・まじかよ。
いや、だったらなぜ?

アシェラッド「じゃあ、被害は0人じゃねぇのか?」

王国騎士2「私も詳しいわけではないのですが、傷を治す魔法はあっても火傷を治す魔法はないみたいです。」

王国騎士2「口裂はおそらく、炎魔法の直撃を食らってるでしょうから全身大やけどだと思います。」

ビョルン「あぁ、なるほど。」

アシェラッド「甦らせても、火傷は治せねぇってことか。」

王国騎士2「おそらく、もう一度火傷に苦しんで死ぬだけかと。」

ビョルン「うげぇ・・・そいつはきついな・・・。」

アシェラッド「とどめ刺して置いていこうかとも思ってたが、そういうことなら話は変わる。」

アシェラッド「瀕死の二人を、無理やり歩かせてマイラを目指すか。」

ビョルン「いやはや、こりゃあ俺らがヴァルハラに行けるのも当分先になりそうだなぁ。」


ビョルン「いやあ、久々の街だぜ。」

片目「じゃあ、アシェラッド殿、俺たちで指無と火傷の遺体を教会に持っていくわ。」

アシェラッド「ああ、わかった。終わったら広場で待機していてくれ。」

アシェラッド「ビョルン、王国騎士1。領主に話をつけにいく、着いてきてくれ。」

王国騎士1「わかりました。」

ビョルン「あいよー。」

王国騎士2「勇者殿ー。俺はいいんすかー?」

アシェラッド「てめえは、酒場で情報でも仕入れてろ。」

王国騎士2「おっ。さっすが勇者さま!おい、耳。一緒に行こうぜ!」

耳「おい!引っ張るなよ!」


王国騎士2は、もう大丈夫だろう。
酒をたっぷり飲ませて、女もあてがった甲斐があったぜ。
傭兵共とも、気が合うようだし。腕もたつ。
さあて、残るは王国騎士1だが。
どうも、あっちは堅物で困る。さっさと心変わりしてくれねえと、どうしようもなくなるぜ?


-マイラの酒場-

ビョルン「いやあ、この街の領主様は話が分かる奴で良かったぜ。」

アシェラッド「街の戦力も把握し切れてなかったし。徴発は今回は無理かと思ってたが。」

アシェラッド「神託ってのはすげえな。見返りもなしに、全力で支援してくれるとはな。」

ビョルン「この国の連中は、みんな信心深ぇんだな。」

耳「精霊ルビス様に祈って魔法の呪文を唱えりゃ死人が甦るんだぜ。そりゃあ信心深くもなるさ。」

ビョルン「ん?精霊ルビス様ってのは何だ。」

王国騎士2「アレフガルドの守り神みたいなものです。我らアレフガルドの民は、等しくその寵愛を受け。」

王国騎士2「ちょっと死んだぐらいじゃ、甦れるほどです。」

ビョルン「へぇー。すげえ神様だな。」

耳「まて。アレフガルドの民ってことは、俺たちは含まれねえんじゃねえか?」

ビョルン「まじかよ!?」

アシェラッド「どうだろなー。言っても俺たちは一回、向こうで死んでるわけだし。」

ビョルン「たしかに。」

アシェラッド「まあ、死んで確かめるわけにもいかねえし。せいぜい命大事に戦うこったな。」

ビョルン「なんだ、今までと大して変わらねえじゃん。」

アシェラッド「ま、そうだな。」

王国騎士2「あ、そういえば勇者殿。さっき面白い話を聞きましたよ。」

アシェラッド「もったいぶってねえで、さっさと話せ。」

王国騎士2「魔王城に最も近いまちリムルダールに行くには、大陸同士をつなぐ地下通路を使うんですけど。」

アシェラッド「それは、領主から聞いた。魔物に占拠されてるから易々とは通れないらしいじゃないか。」

王国騎士2「その地下通路の一角に、どうやらラダトームの姫が囚われているらしいです。」

王国騎士1「!」



アシェラッド「・・・ふぅん。」

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