マサキ「所詮は、人形だ……」【ゼオライマー×ドラえもん】 (63)

・冥王計画ゼオライマー(OVA)に[たぬき]が関わって冥王を何とかしようとする話。最後まで書き溜め済。
・けっこうマサキがメイン。デレる冥王とか見たくない方は注意。
・ゼオライマーは最終話後、[たぬき]達はアニメ基準の呼び方。
・ゼオライマーがそんなに活躍しない。
・ご都合主義。






お昼 空き地

スネ夫「行け―っ! 超合金イエオン!」ガシャーン

のび太「ああっ! ぼくのプラモデルが!」

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おっとすいません、saga忘れてました。

・冥王計画ゼオライマー(OVA)にドラえもんが関わって冥王を何とかしようとする話。最後まで書き溜め済。
・けっこうマサキがメイン。デレる冥王とか見たくない方は注意。
・ゼオライマーは最終話後、ドラえもん達はアニメ基準の呼び方。
・ゼオライマーがそんなに活躍しない。
・ご都合主義。

です。

ジャイアン「のび太の人形が弱えのが悪いんだよ! くらえっ、おれのマイティマン!」ドカッ

スネ夫「あー! ぼくのイエオンが踏み潰されちゃった!」

ジャイアンの持つ人形が、二人の人形をゴロゴロと蹴り飛ばす。


のび太、スネ夫、ジャイアン、そしてしずかは偶然起こった人形ブームにより、それぞれのおもちゃを持ちよりいつもの空き地で遊んでいた。
互いの人形をぶつけあって遊ぶ三人を見て、しずかは呆れた顔をしている。

しずか「お人形を戦わせるなんてかわいそうだわ。この子達だって、仲良くしたいはずよ」

のび太「人形がそんなこと思うもんか。しずかちゃんはどんな人形を持ってきたの?」

しずか「この子、ジャニーちゃんって言うの。前にも会わせたことがあるでしょ?」

スネ夫「ぷぷっ、駄目だよしずかちゃん。今時強~いロボットじゃないと流行りっこないんだから」

しずか「まあっ! スネ夫さんったらひどいわ」プンプン

のび太「スネ夫! なんてことを言うんだ!」

スネ夫のうっかりした言葉に、しずかは腹を立て空き地を出て行ってしまった。

スネ夫「し、しまった……しずかちゃん怒っちゃったかなあ」

ジャイアン「でもよ、あんなお人形じゃあ俺達とは遊べないぜ」

のび太「なんとか機嫌を直してもらわないと……そうだ、ドラえもんに頼んでみよう! ドラえも~ん!」



お昼 野比家

三人がのび太の部屋へ入ると、そこでドラえもんは雑誌付録の紙人形を動かして遊んでいる最中であった。

ドラえもん「そんなに慌ててどうしたの。え? しずかちゃんの機嫌を直したい? それじゃこの日曜農業セットで……」

ジャイアン「待てよ、今使ってる道具は何て言うんだ?」

ドラえもん「これは人形自動化音波、この音波を生き物の形をしたものに浴びせると一時的に動かすことができるんだ」

のび太「それだ! ねえドラえもん、それ貸して!」

以前ジャニーちゃんの恋人探しを行った時のように、ジャニーちゃんを動かしてあげれば喜ぶと考えたのだ。
さっそく三人とドラえもんはしずかの家へと足を運ぶ。

しずかママ「あら? しずかはさっき出かけてしまったわ。確か裏山へ、ジャニーちゃんにお花を見せてあげるからって」

のび太「裏山へ行っちゃったんだ。お人形にお花なんて、本当にジャニーちゃんと仲がいいんだなあ」




お昼 裏山

しずか「ふふ、ジャニーちゃんも嬉しそう。青い空がきれいだわ」ルンルン

ふと、しずかの目の前に大きな影が立ちふさがった。
岩のように地面から飛び出ていたもので、警戒することなく近づき数回ノックする。

しずか「何かしら、これ……金属みたい」コンコン

すると、それは今にも動き出しそうに振動を始め、しずかは思わずその場で尻もちを付いた。

のび太「しずかちゃん!」ダッ

しずか「の、のび太さん。この白い壁みたいなのが急に動き出して!」オロオロ

ドラえもん「これは……すごい! とてつもなく巨大なロボットの一部みたいだ。マズい! 動き出すぞ!」アワワワ

ドラえもんのその言葉に、四人はあっと言う間にパニックへ陥った。

ジャイアン「ド、ドラえもん! 何とかしろよ!」ドタバタ

ドラえもん「あれでもない、これでもない、あった! スモールライト!」ピカー

スモールライトの光を見て、のび太はようやく胸を撫で下ろす。
みるみる内にロボットは小さくなり、しばらく空洞に土や岩が転がり込むのを待った後、四人とドラえもんは恐る恐る観察し始めた。

ドラえもん「ふう、何とか動きみも止まったみたいだ」

のび太「うわあすごいや! かっこいい!! けど、ボロボロだね」

のび太はロボットを数回叩き、間に挟まった土がぱらぱらと落とした。

スネ夫「ちょっと待てって! どうしてこんな所にロボットがあるんだよ!」

ドラえもん「むむ、これはこの時代の技術じゃないな。詳しく調べてみよう」ジー

しずか「でも、もう壊れちゃってるわ」

ドラえもん「大丈夫、タイムふろしき~!」バサッ

その場にタイムふろしきをかけると、ロボットはかつての輝きを取り戻し両の足で地面へと立ち上がった。
が、すぐにのび太にひょいと拾い上げられプラモデルのようにいじくりまわされる。

夕方 野比家
四人とドラえもんはのび太の部屋で、ロボットに対し人形自動化音波を使用してみることにした。

のび太「……動かないね」

ドラえもん「うーん、駄目みたいだ。他にも色々とためしてみよう」

しずか「あら? 大変、ジャニーちゃんを裏山へ置いてきちゃったみたい。私はこれで帰るわね」ガチャ

ジャニーちゃんを迎えに帰ったしずかに手を振り、再びドラえもんはロボットへと向き直った。
その時、ロボットから小さな針金のようなものが飛び出し、ふらふらと床を這いだした。

スネ夫「なんだろ? 虫かな」

ドラえもん「待て、変形するみたいだ」

針金が、ピタッと動きを止める。

のび太「あっ!」

針金は瞬く間に人の形をとり、さらに一人の美少女となってその場に倒れてしまった。

のび太「わ、わ! 大変だ、この子裸だよ!」

慌ててハンカチで体を包むと、美少女はそっと目を開いた。

美久「ここ……は……?」ヨロヨロ

のび太「まさか、人形自動化音波で動いているのかな」

ドラえもん「君は誰? どうして裏山にいたの?」

美久「上手く、思い出せないの……」

のび太「ドラえもん、何とかしてあげられないの」

ドラえもん「よし、記憶映写とんかち~!」

スネ夫「それってそんな形だっけ?」ジトーッ

ドラえもん「っと、これは分身ハンマーだ。こっちはだるまおとしハンマーだし、こっちは……」ポイポイ

ジャイアン「また四次元ポケットの中を整理してないのかよ」

ドラえもん「しょうがないだろ、あったあった。これで……それっ」チョンッ

美久の頭をそっととんかちで叩くと、パッと壁に美少女の記憶が映し出された。

ドラえもん「こ、これは!」

何故戦っているのかは分からないが、このロボットがとてつもない力で色んな人物を倒している瞬間が次々と映っていく。
その中で、豹変していく少年と少女、その片方はここにいる美少女だ。
あまりの恐ろしさにのび太はロボットから一歩離れ、ドラえもんの後ろへと隠れた。

美久「うう、マサト……くん……」ガクッ

のび太「あっ! 大丈夫?」

ジャイアン「道具の効果が切れたのか?」

ドラえもん「いや。この子はもしかすると、自分の意思で動いていたのかもしれない。眠っているみたいだ」

スネ夫「マサトくん、だって。さっき映ってた男の人がそうなのかな」

全員の頭に、とある少女の姿が思い出された。

のび太「……まさかリルル、みたいな子なのかな」ハッ

ドラえもん「ともかく、今日はいったんこの子が目を覚ますまで待とう。それまでこのロボットはぼくがあずかろう」

スネ夫「でもこのロボットカッコイイなあ。ぼくんちであずかっちゃ駄目?」

ドラえもん「スモールライトの効果が切れないように定期的にかけないといけないからね。この子の言うマサトくんがいないのが気になるけど……」

夕方 裏庭

しずか「ええっと、この辺りかしら」キョロキョロ

しずかはロボットが埋まっていた場所へと近づいた。見回すと、草の中で手をあげているジャニーちゃんを発見する。

しずか「ああよかった。ごめんねジャニーちゃん、あたしを呼んでいたのね」ホッ

そしてジャニーちゃんへ手を伸ばそうとした時、隣に別の何かが倒れていることに気が付いた。
人形かと思い一緒に拾い上げ、しずかは彼をジャニーと共に家へと連れ帰った。




夜 野比家

美久「…………」スッ

何度もスモールライトをかけられ小さいままの美久は、ロボット……天のゼオライマーをのび太の部屋に残し、窓から外へ出ようと動き出した。
怪力で窓ガラスを割り、裏山へと一心不乱に走り出す。

のび太「う~ん、なんだか寒いな……」ムニャムニャ

ドラえもん「窓でも開いてるんじゃないの~?」ムニャムニャ

のび太「……あれっ! 大変だよドラえもん、窓ガラスが割れてる! あの子がいなくなったんだ!」ハッ

ドラえもん「なんだってー! すぐに追いかけよう!」ガバッ

夜 裏山
美久「マサトくん……マサトくん、どこにいるの……?」ウロウロ

のび太「見つけた! 駄目だよそんな姿で外に行っちゃ!」スタッ

ドラえもん「やっぱりただの人形じゃなかったんだね。ぼく達は味方だよ」スタッ

タケコプターで現れたのび太とドラえもんを見て美久は驚いたが、すぐに事情を察した。

美久(別のシステムが発達しているのね。見たところ、私より高水準だわ)

美久「のび太くん、ドラちゃん、ごめんね。私はマサトくんを探さないといけないから……」

のび太「マサトくんって、あの男の人?」

美久「秋津マサト。ゼオライマーのパイロットよ。私は氷室美久」

ドラえもん「話してくれないかな、ゼオライマーは一体何のために生み出されたロボットなんだい」

美久「でも、巻き込むわけにはいかないわ」

のび太「そんなこといいんだ! 事情があるんでしょ、心配するよ!」

美久「……隠しても無駄のようね。全部話すわ、そしてその不思議な道具で私達を助けてくれる?」

夜 源家

しずか「き、きゃあ! お人形が人間の大きさに!」

マサト「こ、ここは……?」フラッ


裏山でのび太がゼオライマーの土を払った時に飛び出したマサトは、しずかの部屋で元の大きさへと戻った。
タイムふろしきで傷は癒えたもののひどく疲弊しているらしく、ベッドに横たわらせて互いに自己紹介をする。

マサト「しずかちゃん、ありがとう。そうか学校の裏山に……あの時ゼオライマーだけが次元連結システムの作用で飛ばされてしまったんだな」

しずか「次元……?」

マサト「ううん、もう過ぎたことだ。でも、そうか。生き残ってしまったんだなあ……」

しずか「マサトさん、なんだか悲しそう」

マサト「ちょっとね。だけどもう」ハッ

マサトは急に頭を痛め、顔を歪めた。
タイムふろしきの作用により混ざり合った木原マサキの人格が今、再び一人の男として自我を取り戻そうとしていたのだ。

マサト「駄目だッ……僕の中の残忍な人格が……ッ!」クッ

しずか「どうしたの? 頭が痛いのね、今何か飲み物を持ってくるわ」ダッ

電話「ジリリリリリリ!」

しずか「はい、源です。あらのび太さん、どうしたの?」

のび太「大変なんだしずかちゃん! この町のどこかにマサキのマサトがタイムふろしきで……!」アワアワ

しずか「ええっ! 凶悪な人が?」

のび太「うんそうなんだ! 気を付けてね、詳しい話は明日するから!」ガチャ

しずか「あっ待っ……切れちゃったわ」ツーツー

まさか、先ほどまで会話していた人物はそのマサトだ。しずかは恐る恐る、ココアとパンを持って部屋の扉を開けた。
しかしベッドの上で上半身を起こしたマサトはとても悪人には見えず、しずかは思い切ってコップを差し出した。

しずか「あ、あのっ。ココアよ、体が温まるわ」

マサト「…………」ジッ

しずか「マサトさん?」

マサキ「マサト……? マサトなどではない!」バッ

しずか「きゃっ!」ガタッ

しずかの恐れる通り、マサトはいつの間にかマサキへと変貌していた。
マサキは乱暴にしずかの腕を掴み、明らかに凶悪な目つきで顔を睨み付ける。

マサキ「俺は木原マサキ。甦らせたことを後悔するんだな」フッ

しずか「ココアが服にかかっちゃったじゃない! ひどいわマサ……マサキさん!」

マサキ「俺に同情するつもりか? 源しずか」

しずか「食べ物も持ってきたのに……!」ウルッ

マサキ「食べ物だと?」

マサキはしずかの手からパンをひったくり、それからまたしずかの顔を見た。

マサキ「だが、貴様が俺を助けるというのなら食べてやらんこともない」

しずか「もう知らない! 勝手に食べてればいいんだわ、ふん!」スタスタ

マサキ「まだ子どもか……」モグモグ




マサキ「おいしずか! パンが一つしかないぞ」ガチャ

しずか「キャー! 着替えてたのに、マサキさんのエッチ!」イヤーッ

マサキ「恥じらうことはなかろう。いや、そうか……人間か」クックック

しずか「笑ってないで出てってよ! んもう!」プンプン

深夜 源家

マサキ「しずかは寝た、か」

マサキ「確か俺は一度秋津マサトと人格が統合したはずだ」

マサキ「あの八卦どものふざけた愛を見た時から……! 奴らは俺の作り出した存在、言わば人形とも変わりないというのになあ!」

マサキ「まあいい。こうして表に出られるというのなら…………また冥王になればよいだけのことだ」

マサキ「俺を止められる者はいない、この次元連結システムがある限りはな」ゴソゴソ

マサキ「ん?」

マサキ「秋津マサトめ、最後の出撃前に自衛手段を全て捨てたというのか」

マサキ「フン、しばらくはこの女を利用してやることにしよう」





マサト「木原マサキ、お前は……次元連結システムが無くなった時、どうするんだろうか」ハァ

次の日 学校

のび太「どうしたんだろうしずかちゃん、休みだなんて」

スネ夫「その、木原マサキって悪い奴に捕まったんじゃないだろうな!」

ジャイアン「もしそんなことがあったらこのおれがギッタンギタンにしてやるぜ!」

のび太「ともかく放課後、美久の話を聞くついでにお見舞いに行こう」




お昼 源家
しずかママ「しずかちゃあん、まだ具合は悪いの~?」

しずか「ゴホッゴホッ、うんママ、ごめんなさい。部屋には来ないで、寝てればよくなるから」

しずかは仮病を使い、マサトとマサキをかくまっていた。
彼らと話をしているうちに、のび太から伝えられたほど悪人とは思えなくなっていたからだ。
マサキは人当たりの良い性格であり、マサキは傲慢ではあるがしずかの施しを受け取っていた。

マサト「君は優しいね……だけどもう、僕は君の言うのび太くんの所へ行くよ」

しずか「もう動いて大丈夫なの?」

マサト「しずかちゃんが色々と世話をしてくれたおかげで。さすがに着替えまではどうにもならなかったけどね」アハハ

しずか「元気が戻ったみたいでよかった。……でも心配よ、皆に捕まえられたりしないかしら」

しずかママ「あら、のび太君達がお見舞いに来たわよ~!」

しずか「えっ? は、はあい!」

マサト「本当に、タヌキ型ロボットが動いてる……あ、あれはもしかして!」

美久「マサトくん!」

マサト「美久! 無事だったのか! こんなに小さくなって……」

美久「ゼオライマーの力がここで暴走しないように、小さいままにしてもらっているのよ。マサトくん、マサトくんなのね」ギュッ

のび太達はここにマサトがいることに驚いたが、美久があまりにも感激していることから声を荒げることはできなかった。
しばらくして、ドラえもんの咳払いによりハッとマサトが顔を上げる。

ジャイアン「よう! お前が秋津マサトか」

スネ夫「だ、だ、大丈夫なの? 凶悪なんじゃない?」ビクビク

マサト「君達が、しずかちゃんの言っていた子達だね」

マサトと美久は、次元連結システムによる次元震により空間の接点が歪み、全く別の場所へ飛ばされたということを説明した。
そしてゼオライマーがとても危険なこと、木原マサキという男の企みがどれだけの命を奪ったかということも……。

スネ夫「人間をそんな風に、ひどい!」ゾゾッ

ジャイアン「木原マサキ、許せねえぜ!」フンガー

マサト「だけど木原マサキにとっては、君達がやるような人形遊びにしか過ぎなかったんだ。プラモデル同士を戦わせることの、延長戦でしかない」

のび太「あっ……そうか、ぼく達もおもちゃを戦わせてるもんね」

しずか「かわいそう……」

スネ夫「だけどプラモデルは戦ってるロボットをモデルにして作られてるんだよ」

のび太「で、でも。戦うために生み出されたとしても、ぼく達みたいに生活したり、誰かを好きになったりするような人達は人形って言えるのかな?」

マサト「…………」

美久「……もう何もかも終わってしまったわ」

罰を受けるべきと言うのなら、マサキはもう二度殺されているに等しい。
のび太達は、おもちゃをぶつけあって遊んだこと、そして人形自動化音波のことを思い出した。

ドラえもん「人形自動化音波が一時的なのは、たとえ人形であったとしても
そこに人の心を付け加えた時、それは生きているということになってしまうからなんだ」

現に美久は次元連結システムであり、そしてドラえもんはロボットである。だが美久もドラえもんも人間と同じ心を持ち生活している。

マサト「本来なら僕達は生きていちゃいけないんだ。あの時ゼオライマーと一緒に、消えてしまうべきだった」

しずか「そんな悲しいことを言わないで!」

しずかは思わずマサトに向かって大声を出した。
人形に人の心を付け加えた時、生物と変わらないように。
マサトの中にいるマサキも、そしてマサキの隣にいるマサトも立派な一人の人間なのだ。

のび太「そうだよ、生きていちゃいけないなんてのはおかしいよ! その、マサキって人はいるけど、でも」

皆の目線が、マサトへと集中した。
今目の前にいるのは本当にマサトなのか、マサトは安全なのか……それぞれの思いがマサトへと突き刺さる。

のび太「ねえドラえもん、その悪い人格ってお医者さんカバンじゃ治せないの?」

ドラえもん「のび太くん、多重人格者は病気なんかじゃないんだよ。
もう一つの人格も君達と同じ人間で、たとえどんなに悪い奴だろうとぼくが勝手に消す権利はどこにもないんだ」

しずか「…………」

マサト「今はタイムふろしきの作用でまだ混乱しているみたいだ。もう少ししたらまた僕はマサトでもマサキでもない、どちらでもなれない男になる」

スネ夫「その、マサキってのが今目覚めて悪いことをし始めたらどうするんだよ!」

美久「そうならないよう、ゼオライマーはドラちゃんが預かっていてくれないかしら」

ドラえもん「分かった、見守っておくよ」


マサトの心が落ち着いたら、二人が戦いの無い場所で暮らしていけるよう手配するとドラえもんは約束した。
それはドラえもんの優しさであり、子ども達から危機を遠ざけたいという思いでもあるのだろうとマサトは納得する。


のび太「ところでドラえもん、冥府ってなに?」

ドラえもん「死んだ後、たましいが行く場所のことだよ。地獄だと考えるといい」

のび太「へーえ、何だかつまらなそうだね」


仮病を使ったしずかを部屋に残して、四人と美久とドラえもんは空き地へと出かけた。

夕方 空き地

マサト「普通の町、普通の日常……! 僕が以前住んでいた所に、そっくりだ!」

マサトは両手を広げ、新鮮な空気をいっぱい吸い込んだ。
その様子を見て、のび太達はどこかほほえましさを感じていた。

美久「ねえ皆。積もる話はあるけれど、今は彼と一緒に遊んであげて? けっこう素直でかわいいんだから、マサトくん」

ジャイアン「そういや、のび太とちょっと似てるかもな」

スネ夫「頭の良さは段違いだけどね」

のび太「よーし! マサトさん、追いかけっこしようよ!」


アハハ キャッキャッ

ワーイ ツカマエタ!


のび太「そうだマサトさん、空を飛んでみない? 町が全部見えるよ」

マサト「空? 君達はそんなこともできるのか、驚いたなあ」

ドラえもん「タケコプター! はい、これを頭に付けて」

マサト「わっ、わあっ! すごいや、どんどん飛んでいく!」

美久「ドラちゃんは、皆の友達なのね」フフッ

ドラえもん「うん。のび太くんも、皆、ぼくの大切な友達なんだ」

マサトと触れ合ううちに、のび太達は彼に対する警戒心を無くしていた。
子ども特有の単純さからだけではなく、ドラえもんという友達であり保護者でもある存在がいるからだ。

マサト「色々と遊んでくれてありがとう。何だか気が楽になった、皆に会えてよかったよ」

スネ夫「ぼく達も、なんだかマサトさんのこと誤解してたみたい」

ジャイアン「けっこー普通にいい奴じゃねえか! な!」

のび太「ぼく達も友達になろうよ。マサキと一緒になった後も、また遊ぼうね!」

マサト「うん……本当に、本当にありがとう」ニコッ

マサトは心からのび太達に感謝した。辛いことが続いた後、こうして当たり前に笑い合うなんてとてもできなかったせいだ。

美久「私は今日はのび太君の部屋に帰るわ。マサトくんは?」

マサト「僕は……」

ふと、マサトの頭の中でマサキの意識が顔を出した。

マサキ「……僕は一旦しずかちゃんの部屋に帰らせてもらうよ。彼女にお礼をしたいし、マサキが出てきそうになればすぐに出て行くから」スタスタ

美久「あっ……行っちゃった。久しぶりに楽しいことをして、胸がいっぱいになったのね」

夜 源家

しずか(皆はマサキさんが悪い人だと言っていたけど……確かにマサトさんはいい人だわ。マサキさんは本当に怖い人なのかしら)

マサキ「おいしずか、窓を割られたくなければ開けろ」コンコン

しずか「マ、マサキさん!? 帰って来たのね、今開けるわ」ガラガラ

マサキ「ゼオライマーを元に戻す方法を考える間はここを利用してやろう。呼び戻したところで小さいままだからな」

しずか「パパが帰ってくる前に、こっそりお風呂に入って」

マサキ「ほう、よほど俺の世話をしたいようだな」

しずか「もう、あたしが扉の外で見張ってるから、早く行きなさいよ!」

そう言うと、しずかは無理やりマサキを風呂場に押し込んだ。
息を切らしながら廊下に座り、彼らが満足するまではかくまってやろうと考える。
マサトの話を聞いて、色々と思うところがあったからだ。それにマサキが悪いからといってマサトが捕らえられては気分が悪い。



マサキ「おいしずか! 石鹸はどこだ!」ガラッ

しずか「キャー! マサキさんのエッチ! 前くらい隠してよ、バカ!」プンプン

夜 野比家

ドラえもん「ゼオライマー……色々調べてみたけど、せめてどうプログラムされてるかを見ないとよく分からないな」

美久「やっぱり、分からない?」

ドラえもん「多分ぼくと同じ部分があるんだ。だから内部構造をもっと調べれば何とかなるよ」

美久「ドラちゃんと同じ、かあ」

のび太が寝た後、押し入れの中で美久とドラえもんはゼオライマーについて調べていた。
もちろん下手をすれば美久の身体へ悪影響を及ぼしかねないので、あまり乱暴なことはできない。

美久「不思議ね。ゼオライマーは何もかもを消し去っていくのに、ドラちゃんは皆のお友達」

ドラえもん「でも美久も、マサトくんの友達なんだろう?」

美久「友達……そう見える?」フフッ

ドラえもん「それに気がかりなのは、木原マサキのことだ。タイムふろしきをかけたのはぼくだから、気になるんだ」ウーン

のび太「あれ……まだ起きてたの? こんな時間に……」ふぁぁ

美久「あら、起こしちゃった?」

のび太「ううん、いいんだ……ドラえもんも、ゼオライマーがあんまり嫌がらないように見てあげなよ」ムニャムニャ

ドラえもん「え?」

のび太「ぼくもこれから、なるべくおもちゃは大切にするから……」グゥ

ドラえもん「のび太くんったら……ちょっとズレてるけど、やっぱり君は優しいね」ハハッ

夜 源家

しずか「マサトさん。どうしてマサキさんは、冥王になろうとしたのかしら」

マサト「今となっては分からない、ただそういう男だったんだ。そして十五年間生きた秋津マサトはその怨念に引きずられていく」

しずか「その時、マサキさんはいなくなってしまうの?」

マサト「どちらでもない僕が僕の意識を強く受け継ぐ限り、消える……ということになるとは思うよ」

マサキの頭脳を受け継いでいない今、マサトの返答はどこか曖昧なものであった。

マサキ「また同情するか、しずか」

しずか「! ど……同情するわ。でももう二度と悪いことをしないと誓って。そうしたら皆許してくれるわ」

マサキ「どうしたところで俺は消える。そして八卦衆もハウドラゴンももういない。だが冥府の王となればそれも関係ないことだ」

しずか「……やっぱり」

しずかはある違和感を覚えていた。
それは八卦衆の話を聞いた時、人間らしく生きていた彼らの造物主にも同じ心があったのではないかという考えだ。
それともう一つ。

しずか「あなたは最初から、いつか自分が消えることを分かっていたのね。きっとそれ以上手の施しようが無かったんだわ」

マサキ「クローン再生技術は確立している、この体はあと八十年は生きられる」

しずか「それはマサトさんとしてでしょう? マサキさんは誰よりも死ぬのが怖かったんだわ」

マサキ「……本当にそう思うのか?」

しずか「だからクローンを沢山作り、自分の子を作り、冥府の王を目指した……だけどマサキさんが最後に戦いに出た時」

それはマサトから聞いたロクフェル、祗鎗、塞臥との戦いのことだ。あの時マサキは美久へ自分が死んでも構わないと言った。
しかしマサキは戦った。それは沖に命令されたからか、もしくは。

しずか「本当は、やっぱり死ぬのが怖くなったんだわ。たとえマサトさんの体でも、だから、その体で冥王になろうと……!」

マサキ「そこまで知っておきながら、何故この俺に同情する? 俺は……」ハッ

今の言葉は消えるのは知っていたということで、死ぬことに恐怖を抱いていたからではない、とマサキは慌てて自分に言い聞かせた。

しずか「自分の物語の上でしか生きてこなかった人には分からないわよ! でも、このまま消えてしまうのならせめてもう悪いことはしないと言って!」

マサキ「この俺に、善人で死ねというのか?」

しずか「違うわ! マサキさんの中にある綺麗な心を、皆にも知ってもらったほうがいいからよ。
そうすれば消えた後も生きた証が皆の手で残され続けるわ」

マサキ「ふざけるな! ……ゼオライマーさえこちらの手に戻れば済むことだ、それに俺は俺の正義を貫いている。だが」

しずか「…………!」

マサキ「善ではない! 分かったか、しずか!」キッ

しずか「ならどうして今、ゼオライマーを呼び戻さないの? 小さくても、いつか元の大きさに戻るわよ!?」

マサキ「…………貴様には関係のないことだ」フン


しずか(分かっているのね。一度マサトさんと一緒になった以上、もう何をしても冥王にはなれないってことに……)

しずか(なのにそれでも冥王にこだわるなんて。なんだか、あたし達と同じ子どもみたい)

ゼオライマーに乗っていようが、乗っていまいが。
戦いの最中で秋津マサトと人格が統合したという事実がある以上、この先マサキが残るという未来は無いのであった。


お昼 裏山

マサト「そうか、ここにゼオライマーが……」

のび太達はゼオライマーを家に置き、マサトを連れて例の場所へとやってきた。

スネ夫「しずかちゃん、大丈夫だったの? マサトさんはともかく、マサキが出てきたりしなかった?」

のび太「そうだよしずかちゃん、危ないことはなかった? マサキはすごく悪い奴らしいんだ!」

しずか「えっ……そ、そうね」

彼らにマサキのことを伝えれば、マサキとマサトはどうなってしまうだろうか。

しずか(マサキさん……やっぱり、反省しないのかしら)

確かにマサキは悪い人ではあるのだが、それを決め付けてしまうのをしずかはためらった。
消えることを承知する心、死ぬが怖い心、クローンの中にあった美しい心。
彼の人となりが、ようやく分かってきたのだ。

しずか「大丈夫よ。それにあたしが最初にマサトさんを連れて帰ったんだもの、今更別の人に任せられないわ」

ドラえもん「でもマサトくんの心が落ち着くのには時間がかかるかもしれないよ」

美久「何かあったらすぐに連絡してね。私も、しずかちゃんにはすごく感謝しているんだから」

美久「マサトくん、どう? ここは気持ちがいい所よね」

マサト「皆いい人だしすごく幸せだ。マサキの手が一切加わっていない世界……当たり前のことなのに、すごく新鮮だね」

美久「マサトくん。絶対、乗り越えましょ」

マサト「美久。うん……僕がマサトでもマサキでもなくなった時、一緒にいてくれるかい」

美久「もちろん一緒よ。それに私はずっと、マサト君を信じているもの」ニコッ

ジャイアン「おーい! こっちでサンドイッチ食おうぜ!」

美久「はーい、今行くわ!」

マサトは手を振るのび太達へ駆け寄ろうと振り返った。

マサト「皆美しい心を持っている。僕を受け入れ励ましてくれる、最高の友達だ」

だがその瞬間、妙な感覚が体を襲う。

マサト「なッ……こ、この感覚は!」

彼らは友達だ、傷つけたくない! そう叫ぶマサトの心に、マサキは非情な声で答えた。

マサキ「だが、単なる人形が人間の真似をしているに過ぎない……」クックック

美久「マサトくん!?」ハッ

マサキ「所詮は、人形……いやタヌキ形か?」

のび太達は慌てて、マサキから一歩引き下がった。
何も自衛手段を持っていないとはいえ、マサトの凄みに全員が圧倒される。

ドラえもん「誰がタヌキだ! 僕は猫型ロボットだぞ!」ムカーッ

のび太「ど、どうしたのマサトさん。様子が変だよ」

マサキ「俺は木原マサキだ。美久! そのタヌキからスモールライトとやらを奪え!」

美久「そ、そんなっ……」

突如現れた木原マサキに、美久は逃れることができなかった。
のび太達は怯えながらもジッと彼の動向を見守っている。
イメージだけの存在でしかなかった木原マサキがここに立っているということが、一瞬では信じられなかったからだ。

美久「ご、ごめんなさい……私は彼に逆らえないの……」

のび太「そんな! ドラえもん、何とかしてよ!」アワワワ

ドラえもん「だ、だけど無理に止めたら美久が」

のび太「友達じゃないか! ぼく達が友達なように、美久とも友達だ! もちろんマサトさんだって、友達だろう!?」

ジャイアン「そうだそうだ! 友達が悪いことをすんのを黙って見てらんねえぜ!」

マサキ「人形が友達だと? 造物主の手の平で踊らされて、何が楽しい」ハッ

ドラえもん「な、な、何だとーっ! 今のは取り消せ! ゆるさないぞ!」ウワーッ

美久はドラえもんの前で動きを止めた。このままマサキにゼオライマーを渡していいものか、美久自身の意思で迷っていたからだ。

ドラえもん「ぼくと皆の友情を馬鹿にしたな! ぼくは、ぼくは子守り用ロボットで、でものび太くんの友達で、それで……!」ムカムカ

のび太「ドラえもん落ち着いて! マサトさんも、目を覚ましてよ!」

マサキ「どこであろうと関係ない、俺は冥府の王となるのだ! 美久! 何をやっている、早くしろ!」

その時。今にも突進しそうなドラえもんを押さえつけている皆の背後から、何かが近づいてくる音がした。

ジャイアン「なんだあ? この音は」

スネ夫「あっ、あーっ! 皆、アレ見てよ!」

のび太「あれは……ゼオライマー!? どうしてここに!」

家に置いてきたはずのゼオライマーが、全員の視線を集めながら登場する。
そしてマサキの前へとゆっくりゆっくり移動し、命令されるでもなくピタッと止まった。

マサキ「ゼオライマー……? 呼び戻す前に来ただと?」

これにはマサキも驚いたようで、確かめるように手で触れたがもうゼオライマーはプラモデル同然に動かなくなっていた。

スネ夫「い、一体どうなってんの~?」ハラハラ

のび太「そうか、人形自動化音波だ! それでゼオライマーが自分の意思でここに来たんだ!」

ドラえもん「でも、効果はとっくに切れているはずだ。だからこうして来たのはもう執念としか言いようがない」

マサキ「執念、だと?」フッ

マサキは笑った。人形が、自分の作り出したゼオライマーが執念などというもので動くとは到底思えなかったからだ。

マサキ「笑わせるな! 人形が執念や愛などと、造物主のプログラムを超えて抱くものか。美久、お前がこのゼオライマーを呼び寄せたんだろう」

美久「…………」

マサキ「おい美久! どういうことだ、美久!」

マサキの手が、小さな美久へとのびる。

しずか「マサキさん!」ピシャリ

マサキ「!」

だがその前にしずかの手の平が、マサキの頬に当たった。
それは平手打ちと言うには弱弱しく、それでもマサキの動きを止めるには十分なものであった。

しずか「いい加減にして! 今すぐ皆に謝りなさい!」

目に涙を溜めるしずかを見下ろし、マサキは自分の頬へ手をやった。
かつて頬を殴られたことなどあっただろうか。自分を止められる者は誰もいないと認識した後であるため、余計に思考が停止する。
今までそうならないようにしてきた分、いざ誰かに叱られた時どのような反応をすべきか迷ったのだろう。

しずか「人形がお友達で何が悪いの!? あたしのジャニーちゃんは倒れているマサトさんを見つけたわ! このゼオライマーはあんたに会いに来たのよ!」

マサキ「俺に、だと……?」

しずか「ドラちゃんがロボットなのも一つの個性よ! あたしが女の子であるのと何も変わらないわ! そうでしょ!?」

マサキ「…………」

しずか「あんただって、死ぬのが怖くてたまらないただの人格なんだから!」ワッ



しばらく黙ってしずかに睨まれた後、マサキはゆっくり目を閉じた。



美久「……マサトくん……?」

マサト「……ごめん、皆。僕は今すぐこの町を出て行くよ。あんなひどいこと、僕が言ったも同然だ」

マサトは皆に背を向け、裏山の奥へと歩き出した。ドラえもんはゼオライマーを拾い上げ、ただその背中を見守っている。

のび太「ちょ、ちょっと待ってよ! 確かに驚きはしたけど、でも今のはマサキが言ったんでしょ!? マサトさんは関係ないよ!」

のび太に続いてスネ夫やジャイアンも慌てて呼び止めたが、それでもドラえもんはただ立ち尽くしているだけだった。

美久「何て言ったらいいか分からないわ……私達、少し甘え過ぎていたみたい。
本当は貴方達に助けてもらう理由なんて無いのに、今まで……ごめんなさいっ」バッ

美久もマサトの後を追って走り出した。

マサト「来ちゃだめだ!」

美久「!」

だが小さな体のせいですぐに転び、のび太の手の平に乗せられる。

マサト「何もかもが終わるまで、苦しむのは僕一人で十分だ……!」

のび太「いいんだ、いいんだよ美久はここにいて。ねえドラえもん、そう思うでしょ?」

ドラえもん「ぼくは…………」

ドラえもんの心には、マサキの言葉が反響していた。うなだれている美久を連れ、一旦山を下りてそれぞれの家へ帰る。

夜 野比家

のび太(…………)

のび太(本当は、こんなこと考えちゃいけないんだろうけど……)

のび太(駄目だ、全然言葉が思いつかない。なのにどうしてかすごくモヤモヤするんだ)

のび太もまた、しずかと同じ違和感を覚えていた。それはスネ夫やジャイアン、そしてドラえもんにとっても同じことであった。
木原マサキを目の当たりにして、彼が十五歳の少年と変わりない表情を見せた時……ただ悪と決め付けていたものを、一人の人間として認識したのだ。

のび太(マサキのしたことはすごく、すっごく悪いことだ)

のび太(だからせめて、反省して、そしていい人に戻ってほしいんだ)

皆、自分がもしマサキの立場だったらということを考えた。
明日か、明後日か。もしくは次の瞬間かもしれない。パッと自分が消えて、別の自分が、自分になる。
本当の悪人なら、反省しないまま消えてしまうだろう。
しかしマサキの作ったクローンは、人形は、マサトは。それぞれ美しい心を持ち合わせていた。

のび太ママ「のびちゃん、ご飯よ~!」

のび太「はあい、ママ!」

こうした何気ない日常のワンシーンも、彼はもう描けない。だからこそ反省し、余生を全うしてほしい。
マサキに対する恐怖と同情と、子どもながらの優しさが混ざった結論にのび太はたどり着いていた。

のび太「あれ? ドラえもんは?」

のび太ママ「食欲がないんですって。具合でも悪いのかしら」

美久「ドラちゃん……ごめんなさい」グスッ

ドラえもん「いいんだ、ぼくは気にしてないよ」

美久「でも。結局、私達はここにいるべきではなかったんだわ」

美久とドラえもんは、のび太の部屋でゼオライマーを囲み会話していた。

美久「本当はあの時何もかもが消えて、それで皆大冥界に落ちて。マサトくんも、八卦衆も、あの人も……皆等しくなれれば」

ドラえもん「でも、今君はここにいるんだ。だから仮定の話をしても仕方がないよ」

美久「ドラちゃん……」

ドラえもんは、美久に微笑んだ。

ドラえもん「いつか木原マサキは消えちゃうんだよ。
ぼく達が関わろうとそうじゃないとしても。それでも、のび太くんはマサトくんを探そうって言うだろうね」

のび太はそっと、部屋の前で扉に耳を近づけた。ドラえもんの声はいつになく穏やかだ。

ドラえもん「ぼくは正直、マサキの言葉にすごく傷ついた。だけどのび太くん達は優しいから、相手がどんなに悪人でも会話を試みようとするんだ」

のび太(……!)

ドラえもん「それが悪いこととは言わないよ。だって悪い人に反省する機会を与えるのは、優しい子しかできないことだから。
でもそれでのび太くん達が危険な目に遭わないよう、ぼくは見守って手助けすることしかできない」

美久「どうして、彼らの行動を止めないの? まさか……」ハッ

ドラえもん「ううん、ぼくがロボットだからじゃない。ぼくはのび太くんの友達で、のび太くんのことをどこまでも信じているから」

美久「!」

ドラえもん「のび太くんの手足を縛ることはできない。だけどずっと、のび太くんと手を繋いでいたい。だからさっきまで、ぼくは怒っていたけど」

扉の前ののび太も、ドラえもんの言葉に息を飲んだ。

ドラえもん「のび太君に『ドラえもん』って呼ばれるたび、のび太君はいつまでもぼくの友達だって思えるから、大丈夫なんだ」

美久「ドラちゃん……!」

美久はドラえもんと皆の絆が、人間とロボットという垣根を超えて繋がっているということを実感した。
ドラえもんは皆の保護者ではあるが、子ども達の友として対等な立場を確立している。
それこそしずかの言っていた通り、ロボットは一つの個性として受け入れられているということだ。

美久「この絆を、あの人に伝えられることができたらいいのに」

ドラえもん「明日、マサトくんを探そう。今マサトくんはすごく苦しんでいるかもしれない、だけどぼく達が側にいてあげよう」

美久「……そうね。これからのことを考えなくちゃ。一度辛いことがあったとしても、前向きじゃないとね!」クスッ

ドラえもん「うん、そうだね。美久が笑っていたほうがぼくも皆も嬉しいよ」ハハッ

お昼 裏山
スネ夫「おーい、マサトさぁん!」

ジャイアン「マサキー! どこだー!」


お昼 町
のび太「ドラえもん、人さがしがさはどう?」

ドラえもん「駄目だ、二人の心が一緒にいるせいで上手く反応しない。地道に探すしかないよ」


お昼 多奈川
しずか「マサトさん、マサキさん、いないの? やっぱりこの町を出て行っちゃったのかしら」

美久「しずかちゃんは、マサキさんにも優しいのね」

しずか「あたし、マサキさんと……ちょっとだけ、普通の話もしたわ」

美久「えっ?」

美久(あらら、流石に普通の小学生を目の前にしたら冥王もタジタジね)クスッ

しずか「夕飯の残りを持っていくと、ちゃんとした料理なんて二十年くらい前に見たきりだって言ってたわ。それに浴槽やベッドも」

美久「……しずかちゃんは彼を、怖いと思う?」

しずか「怖いわ。とても、すっごく……だからこそ、早く見つけてちゃんと反省させたいの。それに」

美久「それに?」

しずか「のび太さん達も、同じ様に考えているわ。きっと……ううん、絶対」

美久「ねえしずかちゃん、ずっと思ってたんだけど」

しずか「なあに?」

美久「しずかちゃんってのび太くんを見る目が他のことは違うわよね。もしかして、好きなの?」

しずか「えっ!? す、好きだなんてそんな。放って置けないのよ、のび太さんのことは嫌いじゃないわ、だけど」

美久「好きでもあり、大切な友達でもあるのね」

しずか「…………で、でも美久もマサトさんのことを好きなんじゃないの?」

美久「ええっ! わ、私は、マサトくんのこと……確かに彼カワイイし、でもカッコイイ時もあるし、けどまだまだ話足りないこともあるし」

しずか「好きなんじゃない。よかった、マサトさんも美久のことすごく好きみたいだから」

美久「そうなのよね。どうしようかな、マサトくん……愛してるよ、なんて言ってくれないかしら」キャッ


ガサッ、と二人の背後から何かが動く音がした。

見ると、きょとんとした顔のマサトがくさむらの影で二人を見守っていた。

美久「マサトくん!」

しずか「マサトさん!? よかった、まだここにいたのね!」

二人に腕を掴まれ、マサトは思わず顔を赤くした。

美久「さっきの話を聞いていたのね、もう! 皆許してくれたわ、一緒にいるって約束したわよね」

マサト「美久、だけど僕はまだ」

しずか「マサキさんを反省させるのよ! 無理だとしても、最初から諦めるよりはいいわ!」

マサト「美久、しずかちゃん……ぐっ! あ、頭が……ッ!」

美久「いけない! マサトくん、皆が来るまでは耐えて!」

マサト「に、逃げてッ……! マサキは昨晩で、新しい次元連結システムをッ……!」

美久「ま、まさか!」

しずか「きゃあっ!」バサッ

マサトの付け焼き刃次元連結システムのちょっとした応用で、その場に強い風が渦巻いた。
その中心で苦しむマサトの顔は、みるみるうちに凶悪なものへと変貌していく。

マサキ「クックック……フフフ……ハァーッハッハッハッ!! 何が愛だ、所詮はプログラムに過ぎん!」

だが、マサキの頭の中でマサトは抵抗した。

マサキ「きっ……貴様、何故抵抗をッ……!」

マサト「皆がお前を反省させてくれるッ……だけど彼女達を傷つけるなぁッ……!」

マサキ「俺はッ……俺は冥王なのだぞッ……貴様なんぞぉ……!」

マサト「!」

マサトの心の中に、マサキの意識が流れ込んでくる。
それはゼオライマーに乗って初めて戦った時のこと、目覚めたばかりのマサキは確かに勝利を喜んでいたのだ。

マサキ「止めろッ……やめろおっ……!」

あれはまだマサトの意識が強かったからか? 
それとも、『マサトの体で目覚めたマサキ』はもう一度死なずに済んだことを心より安堵したのではないか?

マサキ「あれはっ……あれはゼオライマーをッ……!」

美久「マサトくん!」

マサト「ゼ……ゼオライマー! 駄目だ、来るなぁッ!」

マサトが叫んだ瞬間、その場はカッと眩い光に包まれた。
二人が何とか目を開くと、そこには元通りのサイズに戻ったゼオライマーと、それに乗る木原マサキの姿があった。

美久「あれはゼオライマー! どうしてここに!?」

ゼオライマーは深い多奈川に着水後、腰より上を露わにしたままエネルギーをチャージし始めた。

マサキ「ゼオライマーよ、やはり冥王の下へ帰って来たか! パーツを呼び戻せ! お前の次元連結システムをな!!」

美久「あ……ああ! しずかちゃん、逃げてーッ!」

しずか「いや! 美久、行かないで! いやーっ!」


ドラえもん「そこまでだ!」バンッ

美久・しずか「ドラちゃん!」

ドラえもん「くらえ! ハッタリバズーカと見せかけミサイル~!」

のび太「これで四対一だ! 今すぐゼオライマーを止めろーっ!」ダダッ

マサキ「こんなこけおどしで俺を止めるつもりか!?」

ジャイアン「六対一だぜ! マサキ、ぶん殴ってやる!」

スネ夫「お、降りてこおい! じゃないと本当に撃っちゃうぞお!」

マサキ「何? フン、俺を傷つけるつもりはないらしいな。好都合だ、こいつらを……!」

マサト「ああっ……うぐ、駄目だッ……! 大人しく皆の前へ出ろッ……!」

マサキ「邪魔をするなッ……! こ、このっ……冥王である俺のっ……!」

マサト「うああああああーッ!!」バッ

ドラえもん「今だ! 皆で取り囲め!」


美久「マサト……くん……?」

のび太「美久! 大丈夫? 怪我はない?」

美久「マサト……くんが……」

のび太達はゼオライマーのコックピットにかけより、頭を抱えたマサトへ近づいた。
元のサイズに戻った美久がマサトの顔を覗き込むと、体を震わしながら彼は笑い始めた。

マサキ「反省だと……? そんな無駄な時間を消費して、貴様らは何を得られるというのだ!」

ジャイアン「いいから反省しろよ! 悪いことしたら謝れっていつもカーチャンに言われてんだぞ!」ポカッ

スネ夫「ぼ、暴力は止めた方がいいよ。とにかくここから降りようよお」

マサキ「俺のことなど放って置けばよかろう。貴様らのやることをいちいち気にかけてなどいないのだからな」

のび太「そんなの、よわむしのやることだよ!」

マサキ「弱虫だと?」キッ

睨まれて、のび太は思わず跳ね上がった。

のび太「あ、あれ? なんでだろ、すごくよわむしだって思っちゃって……」オドオド

ドラえもん「のび太くん、ゆっくりでいいから話を続けてみて」

のび太「う、うん。えっと、マサキは多分自分のやってることは無駄だって気づいているんだよね」ドキドキ

マサキ「この俺を誰だと思っている? 今までやってきたことは、全部ゲームに過ぎん」

のび太「だから今まで自分が作った人ばかりを巻き込んできたし、その人たちは誰かを好きになったり一生懸命生きてたんだよね?」

マサキ「……そうだ」

のび太「それじゃあそのパパのマサキにも同じ心はあったんだろうし、それにやろうと思えばもっと早くゼオライマーを呼び戻せたんじゃないの?」

マサキ「あのタヌキがゼオライマーを小さくしていたのを忘れたのか?」

のび太「うん、でもね。
小さくてもゼオライマーがあればさっきしずかちゃんのスカートをめくった風みたいなののもっと強いやつをすぐ作れたんじゃないかな」デヘヘ

しずか「み、見てたの!? のび太さんったら!」

のび太「それに手元にあった方が、スモールライトの効果はいつか切れるし。
しずかちゃんの所にいる間、いくらでもそんなことができたんじゃないかな。なのにそれをしなかったのはやっぱり」

マサキ「秋津マサトが邪魔をしたからだ!」

のび太「一度マサトさんと一緒になった記憶があるから、もう冥王にはなれないって気づいているはずなんだ。だけど、ええっと」

うーん、とのび太がうなる。

のび太「でも冥王にこだわるのはぼく達やドラえもん、マサキの考えたすじがきにない人達がたくさん出てきて……マサキのすじがきから外れるのが怖いんだ!
だからずっと苦しいままだし、怖い思いもしなくちゃならない。そうだ、ぼくはそれが言いたかったんだ!」

ぽん、とのび太が手を打った。回りくどいがようやく結論にたどり着いたからだ。
要はマサキはたとえこの先冥王になれないとしても、自分の考えた通りの物語から外れて反省することを嫌がっているということだ。

のび太「それが、よわむしだって言いたかったんだ」

しずか「マサキさん……」

マサキ「…………」

しずか「最後まで、あたし達が見届けるわ。だからせめて、もう悪いことをしないと言って」

マサキ「……貴様らはどこまでも俺を苦しめようというのか」ハッ

マサキ「ならばこの俺を甦らせなければよかったというのだ!」バッ

しずか「きゃあっ!」

マサキとマサトの葛藤により、ゼオライマーは大きく振動した。

のび太「しずかちゃ……うわっ!」

しずかの体が、跳ね上がった衝撃により宙へ浮く。このままでは水面に落ちるかと思われたが、すんでのところでマサキはしずかの腕を無理に引っ張った。

しずか「えっ!?」

最初は、皆あのマサキがしずかを助けたのかと思った。
が、マサキはしずかを掴んだままゼオライマーから飛び降り、逃亡する。

美久「ああっ! 待って、待つのよマサトくん!」

のび太「そんなあ! しずかちゃんがさらわれちゃったよ!」

マサキはあっという間に姿をくらました。ドラえもんが再びゼオライマーを小さくし、美久はただマサトを心配し涙する。

のび太「どどどどうしよう! し、しずかちゃあん!」

ドラえもん「落ち着こう、美久抜きではゼオライマーは本来の十分の一も力が出せないはずだ。一旦家に帰って作戦会議をしなくちゃ」

夕方 野比家
ドラえもん「…………」

美久「…………」

ゼオライマーを囲み、三人の少年と、ドラえもんと美久は考えていた。
そして、ドラえもんが結論を出す。

ドラえもん「過去へ飛ぼう」

美久「え?」

ドラえもん「まずこのゼオライマーを使ってもう一度マサトくん達の次元へ行くんだ。
その後タイムベルトでゼオライマーがぼく達の次元へ行く直前に飛び、最後の攻撃を止めさせるんだ」

美久「でも、そんなことをしたらその後は!」

ドラえもん「この数日で、ゼオライマーの仕組みは大体分かった。止めた後はぼくがゼオライマーを解体する。
そしてマサトくんにはマサキの意識が戻らないようゼオライマーとは無縁の生活を送ってもらうんだ」

美久「……そんなことが……!」

ゼオライマーを解体できるのなら、マサトも幽羅帝もこの先マサトの怨念にとりつかれず暮らしていけるかもしれない。
それは美久にとっても喜ばしいことだ。

のび太「で、でもそれってマサキを消しちゃうってことだよね!?」

スネ夫「いいんじゃないの? このまま放っておいてもマサキは消えちゃうわけだし、それに」

ジャイアン「あいつ、俺を甦らせなければよかったのにって言ってたな」

ドラえもん「マサキの望みをかなえつつ、彼の野望も、苦しみも断ち切ってあげよう。それもちゃんと、マサトくんの帰る場所で」

のび太「ドラえもん……」

ドラえもん「明日、このゼオライマーを使って出発する。だけどこれはとても危険なことだし、失敗すればどうなるかも分からない。
長い間向こうに留まることもできないから、チャンスは一度きりだ。本当はぼくもひとりで行きたくない、でも……」

ジャイアン「俺達も行くに決まってんだろ! 水臭いことを言うっての!」

スネ夫「じゃあぼ、ぼくも行かなきゃ変だよね……ハハ」

のび太「今までどんな時でも一緒だったじゃないか! ぼく達は友達なんだから!」

美久「皆……本当に、いいの?」

ドラえもん「うん、行こう! 全部を解決するにはこれしかない!」

信者の方に「新スレあったの気づかなかったけど荒らしてくれたから気がつけたわ」と感謝されたので今回も宣伝します!

荒らしその1「ターキーは鶏肉の丸焼きじゃなくて七面鳥の肉なんだが・・・・」

信者(荒らしその2)「じゃあターキーは鳥じゃ無いのか?
ターキーは鳥なんだから鶏肉でいいんだよ
いちいちターキー肉って言うのか?
鳥なんだから鶏肉だろ?自分が世界共通のルールだとかでも勘違いしてんのかよ」

鶏肉(とりにく、けいにく)とは、キジ科のニワトリの食肉のこと。
Wikipedia「鶏肉」より一部抜粋

信者「 慌ててウィキペディア先生に頼る知的障害者ちゃんマジワンパターンw
んな明確な区別はねえよご苦労様。
とりあえず鏡見てから自分の書き込み声に出して読んでみな、それでも自分の言動の異常性と矛盾が分からないならママに聞いて来いよw」

>>1「 ターキー話についてはただ一言
どーーでもいいよ」
※このスレは料理上手なキャラが料理の解説をしながら作った料理を美味しくみんなで食べるssです
こんなバ可愛い信者と>>1が見れるのはこのスレだけ!
ハート「チェイス、そこの福神漬けを取ってくれ」  【仮面ライダードライブSS】
ハート「チェイス、そこの福神漬けを取ってくれ」  【仮面ライダードライブSS】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1456676734/)


夜 源家
しずか「本当にそれでいいの? マサキさん」

マサキ「そうしろと言ったのはしずか、お前だっただろう」

しずか「マサキさんって、今でも美久や、誰かの手で作られた人達のことは嫌いなの?」

マサキ「別に俺の手で動かされていた人形とはいえ、何の感情も無いわけではない。それは『好き』、ではないがな……」フッ



夜 野比家
美久「ドラちゃん、本当にありがとう」

ドラえもん「ううん。お礼なら勇気を出してくれたのび太くん達に言うといいよ」

美久「……ねえ、当たり前のことだけど。
そうしてあの時のマサトくんやゼオライマーを止めることができたら、その時点で私達はもうこちらの次元に来ることはないのよね?」

ドラえもん「うん、そうだよ」

美久「そしたら、今ここにいる私はどこに行くの? 昨日までのび太くん達と遊んだ記憶や、友情は……」

ドラえもん「……誤魔化しても仕方がないから、言うね。おそらく今の美久やマサトくん、そしてマサキも全部消えちゃうんだ。
だけどぼく達だけに記憶が残る。だから成功した後出会う美久やマサトくんは、ぼく達のことを知らない」

美久「そうよね。だけど、それでいいんだわ。何度やり直したって、前を向いていれば必ずマサトくんと幸せになれるもん」

ドラえもん「…………マサキを救えなくて、ごめんね」

美久「まあ。そんなことを気にしていたの? ううん、多分あの人も子ども達にあれだけ言われて、堪えてるんじゃないかな。
結局冥王とか言っても体は十五歳だし。のび太くんの言う通り、自分のすじがきの上じやないと威張れなかったのね」

ドラえもん「今度生まれ変わったら、マサトくんと同じ……何てことのない男の子として、会えたらいいね」

信者の方に「新スレあったの気づかなかったけど荒らしてくれたから気がつけたわ」と感謝されたので今回も宣伝します!

荒らしその1「ターキーは鶏肉の丸焼きじゃなくて七面鳥の肉なんだが・・・・」

信者(荒らしその2)「じゃあターキーは鳥じゃ無いのか?
ターキーは鳥なんだから鶏肉でいいんだよ
いちいちターキー肉って言うのか?
鳥なんだから鶏肉だろ?自分が世界共通のルールだとかでも勘違いしてんのかよ」

鶏肉(とりにく、けいにく)とは、キジ科のニワトリの食肉のこと。
Wikipedia「鶏肉」より一部抜粋

信者「 慌ててウィキペディア先生に頼る知的障害者ちゃんマジワンパターンw
んな明確な区別はねえよご苦労様。
とりあえず鏡見てから自分の書き込み声に出して読んでみな、それでも自分の言動の異常性と矛盾が分からないならママに聞いて来いよw」

>>1「 ターキー話についてはただ一言
どーーでもいいよ」
※このスレは料理上手なキャラが料理の解説をしながら作った料理を美味しくみんなで食べるssです
こんなバ可愛い信者と>>1が見れるのはこのスレだけ!
ハート「チェイス、そこの福神漬けを取ってくれ」  【仮面ライダードライブSS】
ハート「チェイス、そこの福神漬けを取ってくれ」  【仮面ライダードライブSS】 - SSまとめ速報
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次の日 空き地

美久「いいわね? 皆」

ドラえもん「…………」コク

のび太「だ、大丈夫! 向こうでやることもちゃんと覚えてるよ!」

ジャイアン「でもよう、無事にたどり着けるのか?」

美久「マサトくんがいないから座標指定はできません。けどゼオライマーの近くにはでるはず」

スネ夫「か、帰ってこられるんだろうね!?」

美久「失敗した場合、貴方たちだけは必ず帰すわ。……またこっちに来ちゃったら、その時はよろしくね」フフッ

ドラえもん「さあ、小さいから慎重に。ゼオライマーの出力を上げるんだ!」

美久「はい! 行きます!」

カッ





マサト「行ってしまった、か……」コソコソ

しずか「さ、まだ次元の穴が開いているうちに追いかけましょ」コソコソ

シュン

のび太「ここは……?」

スネ夫「やった! 予想通りの場所だ!」

ジャイアン「この扉の向こうだな!? ようし、体当たりだ!」

のび太達がたどり着いたのは、ゼオライマーに外部から通信を送る制御室であった。
敬礼をしている沖達に美久は慌てて駆け寄り、訳を説明する。

美久「とにかく、このドラちゃんはゼオライマーを解体できるんです! まずはマサトくんを止めます!」

沖「ゼオライマーを解体だと!? しかし、今まさに……!」

のび太「ドラえもん、早く!」

ドラえもん「ええっと、これがこうでええっと、えい! 止まれえ!」

沖「……!」

のび太「……!」ゴクリ

スネ夫「うわぁん! 全然止まらないじゃないかー!」アワワワ

ドラえもん「あ、あれ? それじゃこっち! 違うか、これでどうだ!」

ジャイアン「しかたがねえ、次の作戦だ!」

のび太達はヒラリマントを持ってゼオライマーの近くへと飛んだ。
残り時間は一分も無い。ぎりぎりで全てが終わる前に、ゼオライマーから放出されているエネルギーを全て再吸収させ、パンクさせようというのだ。
もちろん無茶ではあるが、次元連結システムを最大出力で動かしている今だからこそできる作戦である。

のび太「お願い、止まって!」バサッ

スネ夫「とまれ! とまれ~っ!」バサッバサッ

ジャイアン「止まれよ、チクショウ!」バッ

美久「マサトくん……! マサトくん、気づいて!」

ドラえもん「皆……駄目だ、離れてっ!」バッ



メイ オウ





カッ

のび太「…………!」

ドラえもん「…………!」

美久「…………」

ジャイアン「…………ん?」

スネ夫「あ、あれ?」

美久「まだここにいる……それに」

のび太「ゼオライマーが止まってる!?」

ドラえもん「信じられない! 一体どうして!?」



ゼオライマーは停止した。
気を失っている幽羅帝を確認した後、ゼオライマーのコックピットがゆっくりと開く。

そこにいたのはマサトと、マサキと、しずかと、そしてマサキであった。

のびた「マサトさんが、三人!? これってどういうこと!?」

マサキ「フン、結果的に人形の道具を借りはしたが、俺……いや、私が生きるために利用しただけだ」

倒れたままのマサトとマサキを尻目に、マサキは不敵な笑みを浮かべた。

ドラえもん「そ、その手に持っているのは……!」

マサキはあの後、ゼオライマーのコックピット内に直接ワープしたのだ。
その手に、分裂ハンマーを持って。

ドラえもん「なるほど、その手があったか!」

マサキ「ようやく気が付いたか。しずかから説明を聞いてすぐ、これくらいは思いつくものだ」ハッ

のび太「心が二つあったから、マサトさんとマサキに分かれたんだ……!」

のび太の部屋の押し入れには、スペアポケットがある。
そうでなくてもぽいぽいと出しっぱなしにしていた分身ハンマーに、しずかとマサキは最後の望みをかけたのだ。
急に現れた自分により自分が真っ二つにされてしまえば、さすがにゼオライマーもその動きを止める。

しずか「でも、でも……マサキさんが……!」ワッ

ハッとなって、ドラえもんは気絶しているマサトとマサキを見た。
この二人が目を覚ませば、これまでドラえもん達と関わったマサトと美久は消えるだろう。

ドラえもん達の目的は、マサキの機転により達成した。
だがしずかはわんわんと泣き、彼らとの別れを惜しんでいる。

ドラえもん「これからぼくはゼオライマーを解体する。
そうしたらマサキはもう、何の力も無いただの少年として余生を過ごすことになるんだ」

これでもう、マサキがマサトに統合されることも、マサトがマサキに悩まされることもない。
本来ここにいてはならない人格ではあるため、寿命はそう長くないかもしれないけど……それでも、マサトとマサキは一人ずつの人間になることができたのだ。
ただし、ゼオライマーは分解され、マサキを取り巻く力は無くなる。

マサト「……だけど、少しでも長く生きられるほうを選んだんだな、奴は」

これから次元連結システムも没収され何もできなくなったマサキを、マサトと美久は最期まで見届けられるだろう。
最期まで、己の作り上げた存在に縛り付けられる。それが彼に課せられた罰だ。

ドラえもん「こちらの世界に長くは関われない。解体したらすぐに……分身ハンマーは、ぼくが持って帰るから」

マサト「皆……できればこれからも、君たちのことを覚えていたいけど」

美久「ドラちゃん。私達、また彼らに会えるかしら?」

ドラえもん「次元連結システムをこの先、戦いの為じゃなくちゃんと発展させるなら、きっと会えるよ」

マサト「さあ、もうすぐこっちの僕が、僕達が起きる。……今までありがとう」

美久「ありがとう、皆……!」

マサキ「…………」フン

ジャイアン「反省しろよ! って言っても、覚えてねえのか」

スネ夫「何だか、さびしいなあ」

のび太「絶対、絶対また会おうね。次も友達になるから!」

しずか「マサトさん、マサキさん……お元気で」グスッ

マサキ「…………おい、しずか」

しずか「えっ?」

マサキ「勘違いするなよ。しずか、お前はこの道具を探させるためにさらっただけだ」

しずか「……分かってるわよ。ふふ、それじゃ」

マサト「ありがとう…………」フッ



マサキ「ん……ここ、は……?」ムクッ

マサト「わ、わっ! タヌキ!? それに君達は……!?」

ドラえもん「ムキーっ! ぼくは猫型ロボットだ!」

のび太「えへへ……ゼオライマーを解体しに来た、君達の友達だよ!」



そして、のび太達はゼオライマーを解体し、元の次元へと戻った。
次元連結システムに関する情報は全て置いていくので、この先のび太達からこちらの次元に干渉することはできない。
それでも、のび太達は笑顔で手を振った。


のび太「バイバイ、皆!」

ドラえもん「またね~!」



美久「あの、ドラちゃん達……何者だったのかしら」

マサト「でも不思議と、初めて会った気がしないんだ」ハハッ

美久「不思議と言えば、あれからマサキさんはすっかりおとなしくなっちゃって。相変わらずの態度だけど」

マサキ「おい美久! 飯はまだか!」

美久「はいはい、テーブルの上のパンを食べていいわよ」

マサキ「なんだ、しずかのパンのほうがまだ食べごたえがあったな」モグモグ

マサト「え? しずかって?」

マサキ「次元連結システムのちょっとした応用だ。いずれ分かる……」フッ


以上です。ありがとうございました。

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