提督「安価でますますみんなと遊ぶ」 (1000)

―魔王城―

提督「よくここまで来たな、金剛勇者よ」

金剛「魔王提督ー。アナタに会うためにここまできたデース」

提督「俺も待ち遠しかったぞ、この時を」

金剛「魔王提督も待っててくれたんですネー!」

提督「だが、ここまで来たお前の技量をここで失わせるには惜しい」

金剛「?」

提督「そこで提案だ。勇者金剛よ、俺と組まないか。その暁には世界の半分をくれてやろう」

金剛「組む、ですカー?」

提督「ああ、そうだ」

金剛「それだけでは首を縦に振れませんネー」


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1456411931

提督「クックック、いいだろう。ならば他に何を欲す?」

金剛「そちらが提案したことデース。考えるのはそちらですヨー?」

提督「ふっ、交渉がうまいやつだ。ならば、一つだけ何でも言うことを聞こう」

金剛「それは本当ですネー?」

提督「ああ」

金剛「言質はとったデース! 魔王提督!」

提督「ふっ、なんだ勇者金剛」

金剛「結婚してくだサーイ!」

提督「!?」

金剛「さっき言いましたよネー。何でも言うことを聞くと」

提督「い、言ったが……お前と俺は敵だぞ!?」

金剛「それが燃えマース!」

提督「勇者としての使命はどうした!」

金剛「貴方に会った時から気にしないことにしたデース!」

提督「ダメだろそれ!」

金剛「諦めて婿になりまショー!」

提督「嫌だ! 俺はまだ結婚せんぞ!」

金剛「だったらいうことを聞かせるまでデース!」ジャキン

提督「絶対に負けんぞ勇者!」シャキン


暁「……え、私は世界の半分をもらってもいいの?」

~~~~~~~~

金剛「……シット! あと数秒遅く起きれば結婚まで漕ぎつけられましター!」

金剛「もしかしたら続きが見れるかもしれまセン。早く寝るデース!」

<ヤセンダー ウオオオオオオ ドーンドーン

<ナカチャンダヨー カンタイノアイドルダヨー

金剛「……」イラッ

ゴソゴソ

榛名「ん……金剛お姉さま……? どこへ行くのですか……?」

金剛「ちょっと魔王退治に行ってきマース」

榛名「魔王、ですか?」

金剛「睡眠を邪魔をする魔王デース」

榛名「? はあ、がんばってください」

バタン

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※雑談自由・キャラ崩壊注意
※安価は自由にしてます(遊ぶに縛られなくてもいいや)
※人生がENDにいきそうな安価は曲解します
※毎日亀更新
※sage進行(E-mail欄に『sage』と記入してからの書き込みをお願いします)

―執務室―

提督「なんか川内と那珂ちゃんがドックに入ってたんだけど」

霞「勇者に退治されたらしいわよ」

提督「またユニークな言い訳してるなぁ」

霞「ま、あんたも体調気をつけなさいね」

提督「お、珍しく優しいじゃないか」

霞「だって、そのチョコの量……」

提督「これで全部じゃないんだぞ……」

霞「……頑張りなさい」

バタン

提督「秘書官に似合わない優しい瞳を向けられてしまった」

下2

―スキー場―

提督「スキーは実は簡単だ」

朝潮「はい!」

提督「滑れない、という人は心に恐怖心があるか、そもそも滑り方が間違っているかのいずれかだ」

朝潮「そうなんですか?」

提督「多分」

朝潮「はあ……」

提督「真実などどうでもいい。どうせ来たのなら、共に中級者コースを滑れるようになるくらいまでなりたいと思ってな」

朝潮「はい、司令官のために頑張ります!」

提督「ちょっと違うな。あくまでもスキーは楽しむために来たんだ。そんな心構えじゃ楽しく滑れないぞ」

朝潮「あ……そうですね、すみません」

提督「謝ることはない。さあ、今よりゲレンデへレッツゴーだ!」

~数時間後~

ズザァ

朝潮「司令官! 中級者コースすごく楽しいですね!」

提督「お、おう」

提督(え、朝潮上達早すぎない?)

朝潮「もう一回行きましょう!」

提督「うむ」

提督(楽しそうで何よりではあるが……いや、楽しいからいいのか。うん、朝潮のこんな姿を見るのは珍しいしな)

朝潮「司令官、何か考え事ですか?」

提督「いや、なんでもないさ。じゃあ、また一緒に行こうか!」

朝潮「はい!」

~さらに数時間後~

提督「ふう~……年甲斐もなく遊んでしまった」

朝潮「そうですねー……はっ」

提督「ん、どうした?」

朝潮「あの、す、すみません。引っ張りまわすようなことをしてしまって……」

提督「なんだよ、今更だな」

朝潮「そうですよね……」

提督「別に謝る必要もないって。俺が楽しいことが好きなことは知ってるだろ」

朝潮「はい」

提督「なら、問題ないだろ。むしろ次来た時も存分に連れまわしてくれ」

朝潮「……ふふ、はい、わかりました」

提督「さーて、明日は筋肉痛かなー」

朝潮「えっ、司令官って筋肉痛になるんですか」

提督「朝潮、それが今日一日で吐いたセリフの中で一番失礼な言葉だぞ」

―執務室―

提督「ちょっと真面目なのがたまにキズ。しかし融通が利かないわけでもない」

提督「そして遊んでいると自然と出る笑顔は素敵なものだ。朝潮評」

下2

―提督私室―

提督「……」ジャラ

扶桑「……」カタッ

山城「……」トン

陸奥「……ちょっと待って、急に麻雀なんてどうしたのよ」

提督「いやー、久しぶりにしたくなってな。そういうの無いか?」

陸奥「なくは……ないけども」

山城「今日こそ姉さまにいいところを見せます……!」

扶桑「改二になってから運も少しは上がりましたから。今度は戦えます!」

陸奥「私は一切変わってないんだけどねぇ」

提督「運を覆す実力を発揮すればいけるだろう」

陸奥「簡単に言わないでちょうだい」

~~~~~~~~

提督「っと、これだ」トン

陸奥「それロン」

提督「しまった……壁は確認したんだけどな」

陸奥「それはブラフよ」

提督「知らんうちにうまくなったな……まあ、南二局で初上がりではあるが」

陸奥「い、いいじゃない」

扶桑「そうですよ。私はいまだに提督からロン上がり出来ませんし……」

山城「私はむしろされる方なんですけど……不幸だわ……」

提督「山城は単純に実力不足だからな。牌が透けて見えるようだ」

山城「運がまだ低いのかしら……」

提督「それ言ったら陸奥の方が低いんだが」

山城「そうだった……不幸だわ……」

扶桑「お、落ち込ませないでください提督」

提督「すまん、つい面白くて」

~~~~~~~~

提督「ツモ。役牌三色同順ドラ1。2000オール」

山城「ハコ割れしました……」

陸奥「えっと、今回のルールではこれで終わりね」

扶桑「山城、大丈夫?」

山城「姉さま、すみません……いいところを見せることができませんでした……」

扶桑「いいのよ。また頑張ればいいのだから」

山城「姉さま……!」

提督「山城はあれだったが、扶桑と陸奥はうまくなったな」

陸奥「麻雀は最終的には運だけれど、技術でもどうにでもなるわけだからよ」

扶桑「そうですね。本当に運がいい人には勝てる気はしませんけど……」

提督「それもそうだな……まあ、また暇だったら付き合ってくれ」

扶桑「はい」

陸奥「今度は負けないわよ」

山城「絶対に復讐しますから……」

提督「山城だけ怖いんだけど」

―執務室―

提督「意外と技術も結構必要なんだよな、麻雀って」

提督「最終的には運だが……本当に運がいいやつは麻雀をあまりしなさそうだからなぁ」

下2

―廊下―

提督「よう天龍、元気か?」

天龍「おう、そんなことで声をかけてきたのか?」

提督「そうとも言えるし、そうとも言えない。何か変な感じとかないか?」

天龍「特にないが」

提督「そうか……」

天龍「変な提督だな」

提督「俺が変なのはいつものことだろ」

天龍「それもそうか。じゃあ、俺はもう行くな」

提督「おう、引き留めて悪かったな」

天龍「別にこれくらいなら構わないぜ。じゃあな」

提督「……」

木曾「おい提督」

提督「ん? 木曾じゃないか」

木曾「提督だろ、これやったの」

提督「木曾は気づいたのか」

木曾「当たり前だろ。いつもつけてるやつだぞ」

提督「だよなぁ、気付かない方が変だよなぁ」

木曾「ったく、元の眼帯はどこだ?」

提督「ん? それはまあ、気付かない人がいてなぁ」

木曾「気づかない人だと?」

提督「ああ」

木曾「……ああ、ほかに眼帯つけてるやつって言ったら一人しかいないな」

ドドドド

天龍「提督!!」

提督「天龍、どうした?」

天龍「よく見てみれば、これ俺のじゃねえだろ!」

提督「その通りだが……いつ気づいた?」

天龍「そりゃあ……気づくだろ!」

木曾「龍田に教えてもらったとかそのあたりだろうな」

提督「だろうな」

天龍「! あ、俺のじゃねえか!」

木曾「そうだな。だけど、つけてるのなら今交換ってわけにもいかないな」

天龍「まあ、そうだな」

木曾「明日には返してくれ、じゃあな」

天龍「……すげえな。木曾さん」

提督「ああ、すごいな」

―執務室―

提督「スピード解決だった。さすが木曾、我が鎮守府代表のイケメン」

提督「そして天龍が気づいたきっかけは……多分木曾の言う通りだったんだろうな」

下2

―陽炎型の部屋三号室―

提督「浦風のそれってファッションか何か?」

浦風「それってなんじゃ?」

提督「その袖と髪型」

浦風「……提督さん的には苦手なんか?」

提督「いや、浦風に似合っているとは思うが、たまにはおろしてるところもみたいなーとか」

浦風「おろしている姿じゃと?」

提督「ああ、ダメか?」

浦風「……それくらいなら構わんが」

提督「おお、そうか!」

浦風「なんだか、改めて見せるのは恥ずかしいなぁ」

提督「あ、ちょっと待った」

浦風「ん、なんじゃ?」

提督「髪は俺に解かせてくれ」

浦風「……提督さんは本当に好きじゃな」

提督「ははは、まあいつも通りだな」

浦風「それなら、好きにしんさい」

提督「じゃあ、そうさせてもらおうか」

~~~~~~~~

提督「……なんかすごい大変そうなゆい方だな」

浦風「そうなん?」

提督「ああ、少なくとも毎日これをしているのはなかなかな」

浦風「うん……なんか褒められると照れるなぁ」

提督「こうして髪をおろしていると、やっぱ印象変わるな」

浦風「そうなん?」

提督「ああ、普段も可愛いけど、こういうのもたまにはいいな」

浦風「……っ。ど、どうせ誰にでもいっとるんじゃろ」

提督「まあな」

浦風「……そういう時は嘘でも否定するもんじゃろ」

提督「正直だろう」

浦風「はぁ……提督さんらしくはあるけどなぁ」

―執務室―

提督「なんかがっかりしたようだったな」

提督「うん……理由はわかってはいるけど、まあ正直に言いすぎたゆえの恥ずかしさがな」

下2

―阿賀野型の部屋―

酒匂「司令! ツイスターゲームしよっ!」

提督「ツイスター? いいぞ」

能代「だ、ダメよ! そんなゲーム!」

酒匂「えー、なんで?」

提督「俺も理由が気になるな。どうしてだ?」

能代「え、その……えっと……」

阿賀野「能代、阿賀野はみんなで楽しめるゲームならいいと思うよ!」

矢矧「ええ、私も同じ考えね」

能代「楽しめるゲームと言えば楽しめると思うけど、うー……」

酒匂「ねーねー、なんで?」

能代「わ、わかった。やってもいいから」

酒匂「ぴゃー! ありがとう、能代ちゃん!」

能代(私がしっかり見てないと……)

~~~~~~~~

能代「右手青」

阿賀野「無理無理! 阿賀野の手はそんなに伸びないよー!」

矢矧「提督の近くにも青はあるわよ」

阿賀野「やだー! あの顔は絶対妨害してくるよ!」

提督「そんな顔はしていませんよ」

阿賀野「ほらー! なんだかすごい他人行儀!」

能代「無理ならリタイアで負けだけど、いいの阿賀野姉」

阿賀野「うぅ~……諦める……」

酒匂「じゃあ次あたしね!」

能代「酒匂はさっきやったじゃない。次は私か矢矧のどっちかでしょ」

矢矧「ええ、そうね」

酒匂「そうなの? じゃあしょうがないかー」

提督「どちらだろうと、相手にはならんな。圧倒的な体格差の前にひれ伏すがいい」

能代「提督、あんまり余裕を見せていると、足元掬われますよ」

矢矧「見たところ、体の柔らかさも重要ですからね。そこのところ、気を付けたほうがいいですね」

提督「ご忠告ありがとう。だが、世の中には埋められない絶望的な差があるということも覚えているといい」

阿賀野「……そういえば能代」

能代「なに、阿賀野姉」

阿賀野「どうしてダメって言ったの?」

能代「そんなの……はっ」

能代(そういえばわたし、普通に楽しんじゃってる!)

―執務室―

提督「自身ありそうだっただけに、矢矧は強かった」

提督「しかし、能代は途中から何か気にしていたようだったがどうしたのだろうか」

下2

―秘書官室―

霞「ふー、冬も過ぎるって言っても、寒いのは変わらないわね」

バタン

提督「話は聞かせてもらったぞ!」

霞「……何その恰好」

提督「ふっふっふ、これかぁ? ふっふっふ……」

霞(あ、これは聞いたのが間違いだったわね)

提督「なんと、これはきるんけっとというんだ!」

霞「……」

提督「これは手足まですっぽりという優れもの」

霞「……」

提督「冬の夜は寒い、だが、これは全身を包んでくれるから、どこまでも温かい!」

霞「……」

提督「袖も締まっているから、事務作業の邪魔にもならない!」

霞「……」

提督「生地の感触も全く悪くない!」

霞「……」

提督「これなら暖房いらず! さあ、秘書官もお試しあれ!」

霞「……」

提督「……聞いてる?」

霞「終わった? なら帰りはあちらよ」

提督「聞いてなかった!」

霞「そもそも夜遅くまで残るような仕事量を任せる方がおかしいのよ!」

提督「それを言われると耳が痛い」

霞「まったく……」

提督「でも、だからこそ、秘書官にはこれを試してほしいんだ」

霞「……」

提督「余計なお世話だというのなら悪かった。じゃあ、俺は部屋に戻るから……」

霞「……どんな感じよ」

提督「ん?」

霞「どんな感じなのかって聞いてるの」

提督「秘書官……! だったらこれをお試しあれ!」

霞「わ……っと! いきなり投げてこないで!」

提督「ではさらばだ!」

霞「あっ……! ったくもう、本当に本能で生きてるわね……」

―執務室―

提督「秘書官のことだから、見てる前では着替えてくれないだろうと思って下がった」

提督「いやぁ、気に入ってくれるといいな」

下2

―古鷹型の部屋―

提督「古鷹の、ちょっといいとこ見てみたい」

古鷹「なんですか、それ」

提督「文字通り古鷹のいいところを探してみようかと思って」

古鷹「は、恥ずかしいですよ……」

提督「突然な頓珍漢な上司の台詞にテレを見せるところはいいところだな」

古鷹「あ、もう……本当にするんですか」

提督「自分アピールじゃなくて重巡アピールなのも奥ゆかしい感じがしていいな」

古鷹「奥ゆかしいだなんて、本当に思っているだけですから!」

提督「こう、家庭的だったり」

古鷹「そんなことないですよ」

加古「いや、古鷹は十分家庭的だね」

古鷹「加古!?」

提督「ほう、やはりそうなのか」

加古「まあ、家庭的というよりはお母さんみたいなものかもしれないけど」

提督「例えば?」

加古「朝起きるのが遅いと、布団を引っぺがしてまで起こそうとするんだよ」

提督「あー、わかる。なんかお母さんっぽい」

加古「それでも起きないと、朝ご飯を人質にとるんだ」

提督「まさに親って感じだな」

加古「で、古鷹の料理っておいしいものだから、それで起こされてさぁ」

提督「俺も昔はそういう経験あるな」

加古「へー、提督もなんだ」

提督「しかし、そんなにお母さんっぽいとは、今すぐにでも結婚できそうだな」

古鷹「えぇっ!?」

加古「おー、見る目あるね提督」

提督「見る目というより当然のことだろう」

加古「いま古鷹をもらえば、もれなくあたしもついてくるよー?」

古鷹「か、加古!」

提督「ははは、よく寝る子供付きか、そりゃまたいいところの一つだな」

加古「でしょ。そんなわけで、どうよ?」

古鷹「……」

提督「この戦争が終わったら一考することにするよ」

加古「へー、待たせるのかい」

提督「じっくりと待つことができるのも、古鷹のいいところだろ?」

加古「確かにそうだっけ。よく見てるね」

提督「そりゃ大事な部下だからな。……どうした、古鷹」

古鷹「はぁ……いえ、なんでもないですよ」

―執務室―

提督「褒めていたつもりか呆れられてしまった」

提督「ううむ、会話の流れが悪かったか」

下2

―高雄型の部屋―

提督「ぷはぁー! 夜通しってのも悪くないな」

高雄「飲みすぎには気を付けてくださいね」

愛宕「あら、それは高雄にも言えることだと思うわよ~」

高雄「う……気を付けます」

提督「んー、テレビでもつけるか」

鳥海「私たちとの会話だけではご不満ですか」

提督「いやいや、そういうわけじゃなくて、今の時間何やってんだろうなーって」

高雄「特に面白いものはやっていませんよ?」

摩耶「まあ、深夜番組っていったら、テレビショッピングか売れない芸人の番組のイメージしかないしな」

鳥海「それはそれで偏ってる気がするけど……」

提督「暇つぶしには最適だろ」ピッ

『――劇場、第二幕~~』

高雄「この番組今日だったのね」

愛宕「でも再放送みたいね。次見てみましょう~」

『おーっと! 十番が前にでたー! ディフェンスの壁をすり抜け――』

提督「お、サッカーやってる」

摩耶「知ってるチームなのか?」

提督「いや、知らない子ですね」

『なんと、この冊子もつけて、さらにもう一つおまけをして、なんとこのお値段!』

摩耶「ほら、ショッピングもやってるじゃねーか」

提督「深夜のショッピングは当たりはずれが多いよな。買ったことないけど」

高雄「少し疑いますよね、こういうのをみたら」

『本日のニュースです――』

提督「でたでた、深夜のニュース番組」

摩耶「深夜にこういうの見ると眠くなるよな」

鳥海「キャスターの方は大体落ち着いているから、なおさら眠気を誘いますね」

『「だからそれは違うゆーとるやろ!」「そうなん?」「アホか!」』

愛宕「売れない芸人ね~」

高雄「売れないとつけるのはあんまりよくないわよ」

摩耶「いや、この人結構売れてるぞ。前にテレビで見た」

提督「深夜番組もテレビだからな」

鳥海「それで、何見るか決まったんですか?」

提督「あー……お前たちとだべってる方が楽しいや」

―執務室―

提督「ラジオとかで音楽番組は聞くが、テレビだとなかなかなぁ」

提督「スポーツだと海外の試合があったりするから、全く見るものがないわけでもないが」

下2

―秋月型の部屋―

提督「歓迎会だ!」

秋月「と、突然ですね」

提督「前々から準備していただろう! 色々イベントも終わった事だし、ゆっくりでしようと思ってな」

秋月「なるほど、そうですか」

提督「で、だ。創る料理を口出しする予定だったが、作る物は決まったのか?」

秋月「それが……」

照月「ちょっと決めかねてるんだよねー」

提督「何か理由でもあるのか?」

秋月「今までの料理だと、歓迎会としては少しばかり質素かと思いまして」

照月「初月にはせめて、この鎮守府なら普通の方だよー、みたいなのが分かる料理が良いかなって」

提督「なるほどな。二人の普段があれだから決まらないと」

秋月「あれ……否定はできませんが」

提督「そうか……では、カツレツにしようか」

秋月「考えていたんですか?」

提督「いや、ちょうど足柄から勝利のカツと称して大量の材料を貰ったから」

秋月「それなら丁度良いですね」

照月「あれ、でも足柄さんの作るカツはとんかつの方じゃ無かったですか?」

提督「大した差は無い。万事俺に任せておけ」

秋月(たしか、自信満々の時は信用しきらない方が良いとは霞さんから聞いてますけど)

照月(大丈夫かなぁ)

提督「大丈夫だ。むしろ、飾りつけとか一切目に入らないほど美味しいカツを創ってやろう」

照月「そんな大口叩いて大丈夫なんですか?」

提督「ああ、もちろんだ」

秋月(これがフラグってやつですね)

~当日~

秋月「初月、いらっしゃい」

照月「これからよろしくね!」

初月「歓迎会という物は照れるな……提督も、ありがとう」

提督「なに、お礼を言われる程のことでもない。それよりみろ、このカツの量を!」

初月「カツ……?」

提督「……なんだか、驚きが薄いな」

初月「いや、カツを見たのは初めてでね」

提督「あー、やっぱ初月もそういう系か……」

秋月「そういう系ってなんですか」

照月「失礼するんですけど」

提督「とりあえず、食べてみるといい」

初月「分かった。あむ……む!? こ、これは……」

提督「どうだ? ……って、聞くまでも無さそうだな」

秋月「凄い速さで食べてますね……」

照月「私も食べるー!」

―執務室―

提督「歓迎会というよりは、カツレツパーティになってしまった」

提督「いや、今回は俺のせいではない。予想以上にカツが人気だっただけだ」

↓2


―ザラ級の部屋―

リットリオ「ここが貴女の部屋よ」

ザラ「わぁ……いい部屋ですね」

ローマ「妹たちが着任する可能性を考えて、少し広めに作られているらしいわ」

ザラ「本当ですか? 感謝しないといけませんね、早くポーラが来てくれないかな……」

リットリオ「うふふ、きっとすぐに来るわ」

ザラ「はい!」

ローマ「では、このまま歓迎会と……」

「歓迎会と聞いては俺も参加しないわけにはいかんな!」

ローマ「……! 提督の声、どこから……」

提督「窓からだ!」<ガシャーン

ザラ「きゃあ!? 窓から人が!?」

ローマ「しかも窓ガラス割れる音がしなかったかしら!?」

提督「さて、ザラにはプレゼントとして……」

ローマ「いえ、そんなことよりも窓はどうするのよ!?」

リットリオ「窓? 割れてないけれど……」

ローマ「え? ……本当」

提督「着任したての子の部屋を壊すわけないだろー。演出だよ演出」

ローマ「はぁ……」

ザラ「え、確かここの提督、だったよね?」

提督「おう。これからよろしく頼むな」

ザラ「ええ、その、駆逐艦のカスーミから聞いてたけど、本当にこんな人なんだ……」

提督「む、なんだか懐疑的な視線を感じる。まあいい、へいリベ!」

リベッチオ「はーい! どうぞ、ザラちゃん、大きなケーキだよ!」

ザラ「大きなケーキ?」

リベ「提督さんがね、お祝いにってマミーヤに頼んで作ってもらったの!」

ザラ「提督が……」

提督「大きいからみんなで食べれるぞ。歓迎会といったらやっぱりおいしい食べ物をみんなでつつくことだしな」

ローマ「むしろ、提督にはそれ以外のネタがないと聞きくわよ」

提督「と、登場は演出的にしたからいいだろ!」


リットリオ「……ザラ、こんな提督だけどどう思う?」

ザラ「……うん、楽しそうな提督でよかった、かな。これならポーラもすぐなじめそう!」

リベッチオ「うん! きっとたくさん友達ができるからね!」

―執務室―

提督「ローマの言う通り、そろそろ歓迎会に幅を持たせないとけないな……」

提督「しかし、こんな提督でザラは本当に安心できたのか。自分でいうのもなんだが、だいぶん破天荒な気がするのだが……」

下2

―提督私室―

提督「第十回マリオカート対決!」

秋月『とうとう二ケタに突入ですか』

提督「皆の応援のおかげだな!」

照月『配信とかしてたんですか?』

提督「いや、別に」

照月『応援されていないじゃないですか』

秋月『実はここまでの内容、青葉さんがまとめているんですけどね……』

照月『えっ、そうなの?』

提督「知らなかった」

秋月『多分これも青葉さんがどこからか撮影されているんでしょうね』

提督「怖いこと言うなよ……ところで、初月もちゃんといるんだよな」

初月『ああ、呼ばれたからにはやっているが……なんともなれなくてな』

提督「まあじきに慣れるさ」

~ダイジェスト~

秋月『あ、今回はバイクじゃないんですね』

提督「前にそれでフルボッコにされたからな……」

照月『あれ、提督って強いんでしたっけ?』

秋月『前はバイクを使っていたかららしいけれど……』

提督「そういっていられるのも今のうちだからな!」

初月『バイクか……なら使ってみようか』


提督「ちょっと前にやったからブランクはゼロだぜ!」

照月『提督早いですね……』

秋月『本当にこんなに早かったんですね……』

提督「二人なんて敵じゃな……なに、前に誰か走っているだと!」

初月『あれ、どうして提督が後ろにいるのかな。先に行ったはずでは』

照月『初月、もしかして』

秋月『初心者だからね』

初月『このバイクというものは慣れるとなかなか……』

照月『な、なんだか初月がどんどんうまくなっている気がするんだけど』

提督「これが戦闘民族ってやつだな」

秋月『いえ、司令は余裕があるんでしょうけど、私たちが今追いつかれそうなんですけど……』

提督「秋月なんかはあまりゲームやらないし、別に実力も離れてないじゃないか」

照月『それを踏まえても危ない気が……』


秋月『あっ、インを突くのが上手!』

照月『私もきれいに緑甲羅を当てられたー!』

提督「うわ、まじで二人抜いてきた……何か感想とかないのか?」

初月『すまない、集中しているので何も返せそうにない』

提督「おおう、めっちゃ本気でしているのね」

照月『なんだか、姉としては妹にすぐ抜かされて微妙な気持ち……』

秋月『私も本気でやっているわけではないけれど、この結果を考えると……』

提督「なんか姉二人の落ち込みようが深い」


―執務室―

提督「最終レースでの初月は強さが垣間見えた」

提督「秋月たちも真面目に研鑽をつんでいたら負けてはなったと思うが……まあ、あんまりゲームしそうにないしな」

下2

―談話室―

赤城「およびと聞いたのですが」

加賀「執務室では無くここ、というのがどうにも嫌な感じがしますが」

提督「ここに一枚の間宮券がある」

赤城「はあ」

加賀「提督の事だから、それだけじゃなさそうですね」

提督「よく分かっているじゃないか。この間宮券は今から行うパントマイム勝負にて行方を決めようじゃないか」

赤城「パントマイム、ですか?」

提督「身振り手振りであたかもない物をあるようにパフォーマンスすることだ。審査員は二航戦と五航戦の四人だ」

飛龍「面白いものが見れると聞いて」

瑞鶴「私も」

蒼龍「私は気になって……」

翔鶴「お恥ずかしながら私も……」

赤城「提督、こんな見世物にされるようなものを参加するとでも思ってますか」

提督「しないのか? 残念だな、ただの間宮券じゃない、満開全席フルコース版なのに。さらに、次の出撃では旗艦を務めさせてやろうと思ってたんだが」

赤城「やりましょう」

加賀「腕がなります」

提督(ちょろい)

~数十分後~

提督「さて、準備は整ったか?」

赤城「はい、大丈夫です」

加賀「何時でもいいです」

提督「まあ、まずは言いだしっぺの俺から」スッスッ

赤城(? 手を当てて何かしていますね)

加賀(手を当てて……手を当てる?)

飛龍「おーっと、基本的な見えない壁動作だね」

翔鶴「流石提督、本当に壁があるかのような動作ですね」

赤城「あっ! そうです、提督は何かに手を当ててるように見えるんです!」

加賀「これがパントマイム……」

提督「出初めはこんなものだろう。さて、二人の番だ、好きにやってみると言い」

赤城「確かにすごかったですが、私も負けませんからね。……」

提督「何か置いて……いや、あの眼のかがやきは!」

加賀「見えるわ、赤城さん。貴女の目の前には間宮アイスが大量に積まれているのね」

蒼龍「わ、演技だって思えない。自分を再現できるのすご……」

瑞鶴「手を合わせる食後の動作まで完璧。これもなかなかレベルが高いわね」

赤城「……では、加賀さんどうぞ」

加賀「ええ、分かったわ」

提督「加賀は……なんだあの動き」

赤城「なんだか一部分が微動だにしませんけど」

蒼龍「抑えてる? ……ちょっと違う」

瑞鶴「あっ、あれよ。いつしか提督が顔入れる奴で引っかかった動きに似てる」

提督「あの写真撮る奴? なんで覚えて……いやまて、加賀の動作、たしかに似ている」

翔鶴「あっ、あれですか。さすが加賀さん、まるで見て来たかのような上手さですね」

提督「……加賀」

加賀「なに」

提督「伝わり難いモノマネじゃないんだから失格」

加賀「!」

―執務室―

提督「とりあえず、赤城と加賀でそれぞれわけあえって言って渡しておいた」

提督「パントマイムとしては出来が良かったからな。モノマネだったけど」

↓2

―朝潮型の部屋―

提督「こっくりさんやろーぜ!」

朝雲「こっくりさん?」

山雲「こっくりさんていうのはね~五十音などを書いた紙の上で行う降霊術なのよ~」

朝雲「こ、降霊術!? 大丈夫なの?」

提督「そんなに恐れなくても、ただの遊びだ」

山雲「そうよ~。ごめんね~ちょっと驚かせたくて~」

朝雲「そ、そうなの。まったく……」

提督(色々逸話はあるんだけどな)

山雲(言わないでおいた方が良いかしらね~)


~数十分後~

提督「準備できたぞ」

~数十分後~

提督「準備できたぞ」

山雲「司令さ~ん、十円です~」

提督「ありがとう。さて朝雲、この十円の上に人差し指をおくんだ」

朝雲「わ、私一人にやらせないでよ」

山雲「朝雲~これは皆でするものだから~」

提督「びびってるびびってる」

朝雲「司令!」

提督「すまん。あんまり準備に時間をかけるのもなんだし、始めようか」

山雲「はい~」

提督「ええと、こっくりさん、こっくりさん、おいでください」

山雲「……」

朝雲「……なによ、こないじゃない」

提督「待て、手を離すな」

山雲「そうよ~。途中で止めたら~、こっくりさんが現世にとどまってしまうから~」

朝雲「こ、怖いこと言わないでよ」

提督「それに、まだ質問をしていない」

朝雲「質問って……」

提督「朝雲の朝ごはんはなーんだ!」

朝雲「は? それって……え」ス

山雲「動いたわね~」ススス

提督「ふむふむ、ごはんに焼き魚、味噌汁。さらに漬物と純和風だな」

朝雲「……」

提督「どうした、固まって」

朝雲「や、山雲が動かしたんでしょ?」

山雲「私~しらないわ~」

提督「おいおい、人を疑うなよ。そうだな……じゃあ、朝雲のプライベートなことを聞いてみるといい」

朝雲「私の……わかったわよ。じゃあ、私の好みをあててみなさい」ススス

山雲「おお~」ススス

提督「『ていとくみたいなひと』……ほほう、なるほどなぁ」

朝雲「……ふぅ、やっぱりインチキね」

提督「お?」

朝雲「こんな答えが正解なわけないじゃない。まあ、こんな遊びもたまにはいいけどね」

提督「あー、そう判断しちゃったかー。ま、恐る恐るやられるよりいいか」

山雲「そうですね~」

朝雲「はいはい。じゃあ次は何を聞こうかしらね」

―執務室―

提督「その後はつつがなく終わった」

提督「しかし……二人共司令って呼んでるのに提督みたいな人……しかも俺を指しそうな奴らじゃないんだけどな」

↓2

―プール―

提督「さて、まるゆは浮けないらしいな」

まるゆ「う、浮くことくらいできますよ!」

提督「知ってる。で、沈むときも溺れるようなだとか」

まるゆ「潜ってますから!」

提督「知ってる。だがまあ、泳ぎが上手くないことは自分でもわかっているだろう」

まるゆ「それは……はい……」

提督「そんなわけで近所のプールだ。温水だから年中開店!」

まるゆ「まるゆは海でも大丈夫ですよ?」

提督「まだ水温低いんだから俺が入れんだろう」

まるゆ「え」

提督「何その意外そうな顔」

まるゆ「な、なんでもないです、はい!」

提督「まあいい。とりあえず泳ごうか」

まるゆ「はい!」

提督「ちなみにまるゆは普通に泳ぐ場合はどうするんだ? 潜水?」

まるゆ「隊長はどうしてもまるゆを溺れさせたいんですか?」

提督「ちょっとした冗談だ。……いやでも、割と本気かも」

まるゆ「もー! ひどいですよぉ!」

提督「じゃあ、そのうきわをつけてどう泳ぐんだ。バタ足以外で」

まるゆ「……すみません隊長、まるゆは……」

提督「あー、うん。みなまで言うな。俺も悪かった」

まるゆ「うう……」

提督「そうだな、なら何か泳ぎを教えようか」

まるゆ「本当ですか?」

提督「ああ、今日中に綺麗に泳げるように俺が直接教えてやるぜ!」

まるゆ「お願いします、隊長!」

~~~~~~~~

まるゆ「見てください隊長! 綺麗に泳げるようになりましたよ!」

提督「さすがだまるゆ! 俺はできると信じていたぞ!」

まるゆ「私にも泳げる泳ぎ方があるなんて、まるゆうれしいです!」

提督「お前には才能があると思っていた。そう犬かきの才能が!」

まるゆ「隊長のおかげです!」

提督「……なあまるゆ、本当に犬かきでうれしいのか?」

まるゆ「たいちょう、まるゆはだいじょうぶです」

提督「すまん、まじすまんから、黒猫に横切られた山城みたいな目をするのやめて」

―執務室―

提督「まあ、なんだかんだいってまるゆも潜水艦なわけだから、泳げるんだけど」

提督「そうでなくても犬かきをきれいに泳げる人はまれなんだけど」

下2

―鳳翔の店―

提督「こちら提督、通信は良好か。オーバー」

龍鳳『こちら龍鳳、通信はだいじょうぶです。オーバー』

提督「今より鳳翔のお店に潜入する。オーバー」

龍鳳『お店に行くだけなのに、わざわざ通信する必要があるんですか? オーバー』

提督「たまにはこうした遊びもいいと思ってな。オーバー」

龍鳳『それと、オーバーという必要性はあるんですか? オーバー』

提督「雰囲気出るだろ。オーバー」

龍鳳『はあ……』

提督「……」

龍鳳『……あっ、オーバー』

提督「店の中に入った。まずは現地民と会話をしてみようと思う。オーバー」

龍鳳『げ、現地民ですか。誰ですか、オーバー』

提督「酔いどれ軽空母だ。オーバー」

龍鳳『隼鷹さんですか』

提督「……」

龍鳳『……あ、オーバー』

提督「……」

龍鳳『……? おっ、おーばー!』

提督「……こちら提督、声は届いている。今接触を完了させた。オーバー」

龍鳳『うう……なんだか振り回されているだけな気がします。オーバー」

提督「ふむ? まあいい。なんと有力な情報を手に入れたぞ。オーバー」

龍鳳『有力な情報、ですか? なにか求めている情報とかありましたか? オーバー』

提督「明後日鳳翔の店で割引らしいじゃないか。これはとても有力な情報だ。オーバー」

龍鳳『そういえば、鳳翔さんもそう言ってましたね』

提督「……」

龍鳳『……あっ、えっと、どうしてそれが有力だと思うんですか? オーバー』

提督「え? そりゃ……」

龍鳳『……』

提督「……あ、明後日一緒に呑むか? オーバー」

龍鳳『はいっ、お願いします!』

鳳翔「あら、龍鳳さん嬉しそうですね」

龍鳳「ちょっと嬉しい事がありましたので」

提督「?」

―執務室―

提督「同じところに居るので通信するってなかなかあほらしいよな」

提督「しかし付き合ってくれるのが龍鳳。まあ、どうでも良い遊びに付き合ってくれたお礼もしたいしな」

↓2

―白露型の部屋―

提督「そういえば、春雨にはいろいろと世話になっているが、こちらからは何もなかったな」

春雨「えっ、気にされなくてもいいですよ?」

提督「いいや、なにもなしじゃ俺の気が済まないね」

春雨「そうですか……」

提督「さあ、何でも言ってみるがいい。可能な限りこたえてやろう」

春雨「……あの、それなら撫でてくれませんか?」

提督「む、そんなことでいいのか」

春雨「むしろ、それがいいです!」

提督「お、おう、そうか」

春雨「はい!」

提督「じゃあ……」ナデ

春雨「えへへ……」

提督(なんだかんだで、こうして撫でてやる機会もなかったし、きちんとしてやるか)ナデナデ

春雨「んぅ……」

提督「……」ナデナデ

春雨「あ……司令官、そこは……」

提督「大丈夫、楽にしていろ」ナデナデ

春雨「はい……ん……」

提督「強すぎたりしないか?」ナデナデ

春雨「だいじょうぶ、ですよぉ……」

提督「そうか、それならいい」ナデナデ

春雨「司令官の触り方、やさしーですね……」

提督「そりゃ……いや、春雨にそういわれると素直にうれしいな」ナデナデ

春雨「そうですか……? なんだか、私もうれしいです」

提督「そろそろ……」ナデナデ

春雨「ふぇ……? ひゃっ、司令官、そこ……」ピクッ

提督「心配するな。すぐに気持ちよくなる」ナデナデ

春雨「ふわぁ……ほんとぉ、です……」トローン

提督「春雨もこういうのを望んでいたんだろう?」ナデナデ

春雨「は、いぃ……」

提督「正直だな。正直者の春雨には、もっとすごいことしてやろうかな」ナデナデ

春雨「これ以上、すごいこと……?」

提督「そうだ。どうした、期待しているのか」ナデナデ

春雨「ん……」コクリ

提督「じゃあ次は……ん、どうした時雨、じっとこっちを見つめて」

時雨「提督には羞恥心というものがないのかなと思って」

提督「羞恥心?」

時雨「……ごめん、提督にそういう考えはなかったね」

―執務室―

提督「頭から首筋に移していっただけなんだがな……」

提督「……首筋はアウトだったか? いや、頭が許されているのだから……うーむ」

下2

―す○屋―

提督「なんかカード貰えるらしいな」

鳳翔「そうなんですか?」

提督「市民に顔を広めるためだというけど、それ以外の意図も見え隠れするけどな」

鳳翔「……あれ、私達に関係するカードなんですか?」

提督「というか、モロそれだな。何人かに撮影頼んで、それがカードになっているらしい」

鳳翔「そうなんですか」

提督「一部撮影したのは俺だから、誰のがあるのか知ってるけど」

鳳翔「ふふ、皆さんの分を集めるつもりなんですね」

提督「ん、さすがにわかってるな」

鳳翔「提督のことですからね」

提督「というか、誘って悪いが牛丼でよかったのか」

鳳翔「あら、どこに行っても提督の一緒というのは変わりませんよ?」

提督「……まいったな、鳳翔には勝てないわ」

鳳翔「では、何を注文しましょうか?」

提督「俺? 俺はな……キング牛丼だ」

鳳翔「きんぐ……? メニューにはメガ牛丼ならありますけど」

提督「ちっちっち、甘いな。メニューには存在しないがキング牛丼は昔からあるのだ」

鳳翔「なるほど、そうなんですか」

提督「そしてそのキングは並盛の六倍の量が入ってるんだぜ」

鳳翔「きちんと調べているんですね」

提督「まあな。まあ、頼んだことはまだないけど……」

鳳翔「うふふ、では頼んでみますか」

提督「そうだな、すみませーん!」

~~~~~~~~

提督「……」

鳳翔「大丈夫ですか?」

提督「いや、余裕、余裕なんだけど……飽きが来るな」

鳳翔「量が量ですしね……トッピングを頼めばよかったのではないですか?」

提督「なんとなく負けた気になってな。っと、そういや会計時にカード貰ったな。見てみるか」

鳳翔「誰のがもらえましたか?」

提督「加賀とか時雨とか、いろいろ頼んだんだが……あ」

鳳翔「? どうしたんですか」

提督「いや、そのだな……」

鳳翔「少し見せてもらえますか?」

提督「いやー、これは……」

鳳翔「……見せてください」

提督「はい」

鳳翔「……いつの間に撮ったんですか。撮影は提督とおっしゃってましたよね」

提督「ははは……奇跡的に牛丼を食べる姿を撮れたんだ。本当だぞ?」

鳳翔「はぁ……いいです、でも危ないことはしないでくださいね」

提督「はい」

―執務室―

提督「まさか北方棲姫のカードがもらえるとは……というか、ネタで撮ってたやつなんだがな」

提督「てか、本当に大丈夫だよな。問題になったりとかはしないよな。くっそ不安なんだが……」

下2

―睦月型の部屋―

提督「睦月、十回クイズを出しあわないか?」

睦月「十回クイズですかにゃ? それってどういう物なのかわからないのですけど……」

提督「む、そうなのか?」

睦月「すみませんにゃぁ」

提督「よーし、なら……ピザって十回言ってみて」

睦月「ピザですか? ピザピザピザピザピザピザピザピザピザピザ」

提督「じゃあ、ここは?」

睦月「ひざ……あっ!」

提督「残念、答えはひじだ」

睦月「なるほど、そういうものなんですね……」

提督「うむうむ、物覚えが良い子は好きだぞ。では、睦月の方からも何か出してみるといい」

睦月「と、突然言われても困っちゃうにゃ~」

提督「何も思い付かないならそれでもいいけれど」

睦月「あっ、待って、今考えるから……」

提督「んー、ゆっくり考えろ」

睦月「……では、シャンデリアって十回言ってください!」

提督「シャンデリアシャンデリアシャンデリアシャン(ry」

睦月「毒りんごを食べたのは誰ですか!」

提督「白雪姫だろ」

睦月「う、うう……流石司令官……」

提督「その程度で騙そうってのは早いな」

睦月「む、睦月だって次は引っかかりませんから!」

提督「ほほう、言ったな。なら好きって十回言ってみてくれ」

睦月「すき?」

提督「言い難いなら変えるが」

睦月「大丈夫です! す、すきすきすきすきすきすきすきすきすきすき」

提督「好きの反対は?」

睦月「きす……じゃなくて嫌いですか?」

提督「一回間違えたなー」

睦月「司令官、問題が意地悪にゃー……」

提督「じゃあ、睦月も引っ掛かりそうなものを出してみな」

睦月「うー……」

提督「思い浮かばないなら良いけど」

睦月「……じゃあ……好きって十回言ってください」

提督「すきすきすきすきすきすきすきすきすきすき」

睦月「私もだよ、司令官!」

提督「あっ……くっ、してやられたな」

睦月「えへへ……」

―執務室―

提督「うーん、それなりに予想はしていたつもりだがストレートに言われるのはどうにもな」

提督「まあ、何にしても楽しそうならよかった」

↓2

―母港―

提督「二式大艇を操作するすべを手に入れたぞ!」

秋津洲「本当かも?」

提督「ラジコンのようなものだけどな。妖精さんに頼んだらさらっと出て来たぞ」

秋津洲「それはすごいかも!」

提督「そんなわけで秋津洲、一緒に操縦しようか」

秋津洲「分かったかも!」

提督「じゃあ、このカメラを設置してと……」

秋津洲「ねえねえ、このカメラはなにかも?」

提督「このラジコンっぽい二式大艇にはカメラを搭載していて、映像を送信する仕組みになっているんだ」

秋津洲「それって凄いかも!」

提督「これぞ妖精さんのなせる技よ!」

~~~~~~~~

提督「で、どんな感じだ?」

秋津洲「これが二式大艇ちゃんの見ている景色だと思うと楽しいかも」

提督「なるほど、二式大艇ちゃんか……」

秋津洲「二式大艇ちゃんがどうかしたかも?」

提督「実はな、これには二式大艇ちゃんとは違うギミックが仕込んでいるんだ」

秋津洲「違うギミック?」

提督「そう、このボタンを押すと、砲門が出て攻撃が出来る!」ポチッ

秋津洲「わあ! すごいかも!」

提督「何かを壊せる程じゃ無いが、遊び程度に使えるぞ!」

秋津洲「ロマンあふれるかも!」

提督「さらに半日ほど滞空も可能。操作しないと墜落するけど」

秋津洲「おおー!」

提督「さて、この二式大艇、今だけご覧の価格で販売しております!」

秋津洲「安いかも!」

提督「さらに、今ならこちらの替えの弾薬三個セットで三割引きのこの価格! お求めは以下の番号より!」

秋津洲「買うかも!」

提督「何処かで突っ込んでくれないと困るんだけど!」

秋津洲「え?」


~~~~~~~~

秋津洲「映像の景色が良いかもー」

提督「そりゃ夕日だしな。ふわぁ……もう戻らないか?」

秋津洲「もうちょっと操作しているかも」

提督「すごく気に入ったのはいいけど……じゃあ、ちゃんと妖精さんに返しておけよ」

秋津洲「おっけーかも!」

提督(あんなに目を輝かせて、本当に二式大艇が好きなんだな。完成度の高いラジコンだけど)

―執務室―

提督「なんだかあのまま貰っていきそうな雰囲気だったな」

提督「まあ、二式大艇も大切に扱ってくれる人の方が良いだろうけども」

↓2

提督「夕立、俺は髪を触るのが好きだ」

夕立「いきなりどうしたの?」

提督「だが、くせ毛と格闘するのも大好きだ」

夕立「さっきのセリフと繋がっていないっぽい」

提督「だからその髪を触らせてくれ」

夕立「よく分かんないけど良いっぽい!」

提督「よっしゃ! じゃあさっそくお風呂へ行こう!」

夕立「……ぽい?」


―お風呂―

提督「夕立、水着着用しないとこちらも困る」

~数分後~

提督「さっきNGシーンがあったが気にしない。さて、最初に言っておくことがある」

夕立「なにっぽい?」

提督「水にぬらして元に戻らないのなら正直諦めた方が賢明だ」

夕立「そうなの?」

提督「というか、それで直らないならすぐには無理だろ」

夕立「言われてみればそうっぽい」

提督「じゃあまずは流すぞ」

夕立「はーい」

提督「……」バシャァ

夕立「どうっぽい?」

提督「うん、まあ……予想通りかな」

夕立「?」ピン

―脱衣所―

提督「なんとなく、これは治る気がしないなー。改二になってできた物なんだけどな」

夕立「んー……」

提督「というか、くせ毛と言っても耳みたいになってるだけだし、それがまた可愛いんだけども」

夕立「提督さんに褒められると嬉しいっぽいー……」

提督「シャンプーつかって直すのが一番有力という話もあるし、すぐには治るわけないか」

夕立「えへー……」

提督「……さて、このくらいでいいか」

夕立「えー、もっとマッサージしてほしいっぽい!」

提督「タオルドライな。十分髪も拭いたし、必要無いだろ」

夕立「じゃあ、またやってくれる?」

提督「そりゃ難しいな。夕立には濡れた髪でここを出してくれない姉妹がいるだろう」

夕立「う……確かにそうっぽい」

提督「はは、まあ機会があったらやってやるよ」

夕立「約束っぽい!」

―執務室―

提督「くせ毛ももはやキャラの一部だな。それを直すなんてとんでも無い」

提督「何で出来たのかは本当に謎だが。オーラで逆立つという可能性も……」

↓2

霞「そういえば司令官」

提督「んー?」

霞「本土の方であんたがアカなんじゃないかって噂になってるわよ」

提督「ふーん」

霞「……」

提督「……アカってなんだ?」

霞「簡単に言えば共産主義ってことね」

提督「ふーん……」

霞「……」

青葉「ちょっと待ってください、なんでそんなにどうでもよさげなんですか」

提督「どうした青葉、赤城がおなかでも壊したか」

青葉「それはそれで大事件ですけど、違います。司令官がアカという噂について言及されるかと思ってきました」

提督「ふーん」

青葉「すごくどうでもよさそうですね!」

提督「実際、本土で騒がれるくらい気にしないしな……」

青葉「でも、あんまりうわさが広まりますと、大本営の方が黙っていられなくなりますよ」

提督「え、そんなにやばいの」

霞「危険思想ととらえられてもおかしくないわけだから、相当やばいわよ」

青葉「憲兵が来てもおかしくない事態ではありますね」

提督「なんでお前らそんなに冷静なの!?」

霞「いや、それあんたがいう?」

提督「そもそもどこ発端なんだ」

青葉「青葉が調べた限りだと、少し前に共産主義の真似をしたとき、鎮守府のものがSNSで呟いたことが始まりですね」

提督「ええい! さっさと訂正文を出させろ!」

青葉「調べた限りだと、電さんらしいですけど」

提督「おおぅ、プラズマぇ……」

~~~~~~~~

響「ごめん、そんなに大事になると思わなくて」

提督「いや、元はといえばあんなつまらないことをした俺が問題だったからな。で、当の本人は?」

響「電なら火消しをしているよ。電の手腕ならじきに収まると思う」

提督(電の手腕って、あいつ笑顔の裏にとんでもない才能もってんな……薄々思ってたけど)

響「電の方は大丈夫だろうけど、ほかの人にはいいのかな」

提督「ほかの人?」

響「一部の戦艦や空母の人もご飯の量で嘆いていたから、何人か呟いているんじゃないのかな」

提督「……」

響「一人二人じゃないからこそ噂に発展しているわけだしね」

提督「……ええい! SNS使ってるやつ全員呼び出せ! 電に火消し頼む!」

~~~~~~~~

提督「ようやく終わった……ほとんどまかせっきりだったけど」

提督「もう二度と共産主義とか言わん……」

下2

提督「……よし、しっかり乾燥している。遂に完成だ」

日向「提督、何か用があると聞いたが」ガチャ

提督「おおう、ノックぐらいしろよ」

日向「したが、返事が無かったのだが」

提督「え? そうだったか」

日向「ああ。何かに夢中になっていたのか? どれ」

提督「おっと、別に覗き込まなくても見せるって。ほら、これ」

日向「こ、これは……瑞雲ではないか!」

提督「はっはっは、実は秘密裏に作っていたのだ」

日向「すごいな、これは……細部まできちんと作り込んであるではないか」

提督「近くに本物があるからな。完成度も上がる」

日向「……提督よ」

提督「これが欲しい……か?」

日向「そんなにわかりやすかったか」

提督「いや、ただの予想だ。だがはずれではなかったようだな」

日向「その通りだ。提督、よければその瑞雲をくれないだろうか」

提督「もちろんだ」

日向「い、いいのか! 少し見ただけでも手間がかかっていると思うのだが」

提督「なんていっても、日向の為に作ったからな」

日向「そうか……ありがたい、提督。この恩はいずれ返す」

提督「ああ、期待して待っておく」

日向「では、早速だが部屋に戻って飾る場所を考えたいと思う、ではな」

バタン

提督「……さて、こっそり取り付けておいた盗聴器で様子でも探るか」

伊勢『あら、それどうしたの?』

日向『提督から貰ったのだ!』

伊勢『そ、そう。すごく嬉しそうね』

日向『ここまで完成度が高い瑞雲などお目に掛かれないのだぞ! これで興奮しないとなれば何で興奮すればいい!!』

伊勢『は、はぁ』

日向『伊勢よ、これをどこに飾ればいいと思う』

伊勢『どこでもいいんじゃ……』

日向『いいや、この瑞雲が最高に栄える場所に置くべきだ!』

伊勢『本当に好きね……それじゃあ、明日買い物に行きましょ』

日向『そうだな。こいつに合った舞台を用意してやらねばな』

伊勢『舞台って……ショーケースだけで済むのかしら…………』

ブツッ

提督「……電池切れか。盗聴器自体は妖精さんに回収して貰おう」

提督「十分喜んでもらっていたし、特に言うことは無しで」

↓2

―縁側―

提督「お茶がうまいなぁ、そう思わないか龍田」

龍田「そうですねぇ、提督」

提督「……まて、こんな場所あったか?」

龍田「あら、最初からありましたよ~」

提督「……まあ、日本だしこういうところがあってもおかしくないか」

龍田「うふふ、そうですよ~」

提督「それで天龍はどうした。一緒じゃないのか?」

龍田「天龍ちゃんは濃いお茶は飲めないから~」

提督「あいつそんなに子供舌だったのか……」

龍田「本人には言わないであげてくださいね、結構気にしますから」

提督「可哀想だし言わんでおく……」

龍田「うふふ、それで私とお茶をしたいってどういう風の吹き回しかしら~」

提督「龍田とお茶をしたいって、そんなにおかしいことか?」

龍田「ええ、私のことそんなに得意じゃありませんよね?」

提督「そいつは偏見だな。龍田の事は好きだぞ」

龍田「……あらあら~、そんな冗談を言うのはこの口かしら~?」ギュウウ

提督「すふぁんすふぁん! ひゃからくひをひっはらないへくへ!」

龍田「何て言ってるのか分からないわ~」

提督(やっぱ龍田超ドSだ! 知ってたけど!)

龍田「……でも、そう言われるのは嫌ではないわ」

提督「えっ」

龍田「どうかしましたか?」

提督「龍田がデレるなんて、こりゃあした雨が降るな……」

龍田「提督は~どうしても私を怒らせたいみたいですね~」ゴゴゴ

提督「すみません」

龍田「あんまりそういうこと言ってますと、背中から刺されますよ」

提督「そいつは恐ろしいな。気を付けるよ」

龍田「ええ……」

提督「……あ~、お茶がおいしい」

龍田「お茶請けも持っているんですけど、食べますか~?」

提督「気が利くな。それじゃあ貰おうかな」

龍田「うふふ、どうぞ」

提督「まんじゅうか。なかなか悪くない選択だ。……うむ、甘みもなかなか良い感じだ」

龍田「お茶に合うよう選んできましたからね~」

提督「ん、わざわざ選んでくれたのか?」

龍田「そうですよ」

提督「そっか」

提督(やっぱ龍田がデレるとか、今に雨が降るな)

龍田「あら、なんだか失礼な事を考えているみたいですね~」グググ

提督「ギブギブ……苦しいから絞めないで……」

―執務室―

提督「まったりするつもりだったのにまったりできなかった」

提督「いや、俺の言葉が原因というのは分かっているけども」

↓2

―デパート―

提督「ふーん、これとか結構安いな」

磯波「そうですね」

提督「それで、何か欲しいものがあるのか?」

磯波「えっと、少しは……はい」

提督「何か欲しいものがあれば買ってあげるぞ?」

磯波「そんな、司令官に勝ってもらうだなんて、恐れ多いことはできません……!」

提督「恐れ多いて……別に気にすることねーんだけどな」

磯波「でも、こうしてみて回るだけでも、私は楽しいですよ……?」

提督「そっか。それならいいんだけどな」

磯波「はい、気をつかっていただいて、ありがとうございます」

提督「それにしても、やっぱいろいろ売ってるよな、ここ」

磯波「そうですね……」

提督「ほらみてみろよ、馬の被り物だぞ」

磯波「本当ですね……司令官、前につけたことなかったですか……?」

提督「あるかもしれないな……うーん、ゲテモノ度的には明石の店とどっこいか」

磯波「その言い方は、明石さんがかわいそうですよ」

提督「明石なら自覚してるだろうから苦笑いを浮かべるだけだと思うぞ」

磯波「自覚しているんですか……」

提督「だと思うぞ。頼めばなんでもおいてくれるしな」

磯波「な、なんでもですか」

提督「ああ、なんでもだ」

磯波「そ、それでしたら、わざわざここまでくる必要は無かったかもしれませんね……」

提督「……いや、すまん、何でもは言い過ぎだわ。明石が気が向いたものだけだった」

磯波「えっ、そ、そうですか」 

提督「さてと、そろそろほしいものは見つかったか?」

磯波「……えっと、このまま見るだけというのも、いいと思いませんか?」

提督「別に悪くはないが……どうかしたのか?」

磯波「その……」

提督「……ははーん。もしかして財布を忘れたくちか」

磯波「……」

提督「なーんて、冗談」
磯波「すみませんっ! そうなんです!」

提督「……そうだったのか」

磯波「デパートについてから気づいて……すみません司令官、余計な時間を使わせてしまって……」

提督「おいおい、そりゃないだろ」

磯波「はい、ほんとうにすみません……」

提督「……ああ、ないだろって言ったのは財布を忘れたことじゃないぞ」

磯波「え? では……」

提督「余計な時間って部分だ。磯波と出かける時間が余計なわけないだろ」

磯波「そんな、私となんて……」

提督「はいはい、財布がないなら今日は見るだけだ。俺は見るだけも好きなんだ」

磯波「……ふふ、それじゃ冷やかしみたいですよ」

提督「いいなそれ、今日は冷やかしデーだ!」

磯波「……ありがとうございます、司令官」

―執務室―

提督「そういやなんで磯波と出かけることになったんだっけな……」

提督「……楽しかったし、理由なんていいか」

下2

―演習場―

赤城「……」シュッ

提督「ほー、真ん中か。うまいもんだな」

赤城「いいえ、このくらいなんでもないですよ」

大鳳「私もボウガンですが、この距離くらいなら打ち抜けますよ」

龍驤「うちだって狙えるで。弓やボウガンとちゃうけどな」

提督「何争ってるんだよ。なら、そうだな……獲物を統一してみるか」

大鳳「獲物を統一?」


~~~~~~~~

提督「レミントンM700。弾は308Winのガチな狙撃用だ。そうだな……300M先のあの的を狙ってみようか」

加賀「なかなかの距離ね」

飛龍「弓と勝手が違うから難しいなー」

蒼龍「狙撃という時点で使い方がだいぶん違うからね」

翔鶴「これはまた大人数ですね」

提督「空母勢を適当に誘ったからな。とりあえず、一番手は誰が行く?」

『……』

提督「うーん、さすがにいきなりは誰もやらないか」

雲龍「提督、質問」

提督「なんだ?」

雲龍「うまく当てれたら何かくれますか?」

提督「現金だな。まあ、中心に当てれた奴は装備を一つ上のものに変えてやろう」

ターン
ターン

提督「って、みんな本当に現金だな!」

葛城「装備の新調となればみんなやるき出すわよね」

瑞鶴「そうね。……当たらなかったけど」

飛鷹「というか、私達すごい不利じゃない? 弓すら使わないのよ」

祥鳳「弓使ってても何とかなるものでもないですよ」

瑞鳳「むしろ、やりにくさも感じます……」

隼鷹「みんな同条件ってことだねい」

グラーフ「銃を使っている者がいなければ、ではあるけどな」

提督「狙撃銃なんか扱ったことあるやつはいないだろう。てか、誰か一人でもあたったか?」

龍鳳「実は……」

鳳翔「あの、当てちゃいました」

提督「お艦すげぇ……」

―執務室―

提督「あんまり見れなかったけど、物珍しさからみんな結構撃ってたな」

提督「……銃弾、安くないんだけどな」

下2

―食堂―

提督「お、長良型全員そろってるな。食後にマラソンに行くぞ!」

長良「私は良いですよ!」

五十鈴「……いきなり何よ」

名取「私も、ですか?」

由良「マラソンは得意じゃないんだけど……」

鬼怒「マラソン、いいですね!」

阿武隈「完走出来る自信ないんですけど……」

提督「まあ、完走できなくても問題は無い。今回重要なのは自分の体力を理解することだからな」

五十鈴「もっともらしいこと言って……」

提督「五十鈴は反対だと?」

五十鈴「はぁ……私は構わないわ。提督の言葉にも一理あるわけだし」

名取「うん、自分の事を知るのは、重要ですからね……」

由良「そんな風に言われると断る理由も見つからないし……参加するね」

鬼怒「完走なんて簡単ですよ!」

阿武隈「みんな走るの? ……うん、私も改二になって自身も付いたし、やってみる」

提督「みんなやる気十分だな。一時間後に鎮守府の前に集合だ。今回は山も少し登るから覚悟しとけよ」

―鎮守府前―

長良「司令官、来たよー」

提督「まってたぞ。準備運動は万全か?」

長良「もちろん!」

鬼怒「私だって成長したし、簡単には負けないから!」

名取「目標は完走だね」

阿武隈「そうねっ」

五十鈴「約三名凄くやる気に満ちているけど、体力持つのかしら」

由良「どうかな……でも、提督さん達がずっと全力で走っていても違和感はない、かな」

五十鈴「……確かにそうね」

提督「よーし、それじゃあこのコインを投げるから、地面に落ちたらそれが合図な。よーい……」ピンッ

鬼怒「おっさきー!」ダッ

提督「汚っ!?」

~~~~~~~~

提督「……」タッタッタ

長良型『……』タッタッタ

提督「いやまて、何で後ろにぴったりとついている」

長良「風よけって重要だよ?」

五十鈴「しかも今日は風が強いわけだからなおさらね」

提督「そりゃわかってるが、そうじゃない。そもそも鬼怒は先に飛び出したのになんで真後ろに居るんだ」

鬼怒「流石に山道はきついなーって」

提督「なんだそりゃ!?」

由良「だったら提督さん一人で飛び出せばいいんじゃないかな?」

提督「一人で飛び出せるならそれでもいいが、長良と鬼怒は多分ついて来るしなぁ……」

阿武隈(まだ半分も行ってないのに飛び出す選択肢があるんだ……)

五十鈴(出来ないと言わない辺りが提督らしいわね……)

鬼怒「あっ」

長良「どうかした?」

提督「やめろ長良、今の思い付きの声は嫌な予感しかしない」

鬼怒「先公も登山じゃとーざん(ぜん)先行できない」

提督「ほらみたか! くっそつまらんギャグが飛んで来たぞ!!」

五十鈴「なんか気温下がったかしら……」

名取「なんだか急に疲れが……」

阿武隈「目の前がかすむような……」

鬼怒「あれ、辛いマラソンの空気を和ませようかと思ったんだけど」

由良「やる気と雰囲気が最悪になっただけだね……」

―執務室―

提督「……いや、なんというか、あの空気になってからは皆ゾンビみたいに生気抜けてたから……」

提督「うん、ゆっくり走って余計なギャグ聞くより、やっぱ飛ばしてた方が良かったかも……」

↓2

―演習場―

提督「今日はちょっとした戦術を試してみようか」

168「ちょっとした戦術?」

提督「ああ、群狼戦術……ウルフパックといえば分かるか?」

呂500「あっ、聞いた事あります!」

58「でも、随伴艦をきっちり入れてくる相手には効かないんじゃなかったでちか」

提督「それもそうだ。だがお前たちが普段行っている場所は何処だ?」

8「オリョール……」

提督「そうだ、この戦術を覚えて奴らから資源を根こそぎ奪い取るのだ!」

8「……でも、そんな戦術覚えなくても資材をとって来るだけならできるけど?」

提督「向こうが慌てふためくと思うと楽しいだろ?」

19(オリョール一点狙いなのね)

58(提督は嫌がる事をするのが好きでちからね)

提督「そんなわけで、今回は練習相手に遠征に行かせた艦隊を相手にしようと思う」

168「え、それ大丈夫なの?」

提督「輸送部隊には伝えてある。護衛は……まあ、本気で迎撃してくるだろうな」

401「それって伝えてないって事?」

提督「そろそろ戦術の説明に入るぞ。時間も無いしな」

401「提督ー?」

58「無駄でち。今は何も言っても聞かないよ」

まるゆ「……まるゆも御一緒するんですか?」

提督「あ、悪いけど戦闘が出来ないまるゆは今回お休みな」

まるゆ(少しホッとしました)

~~~~~~~~

川内「夜だー、夜戦したいなー」

神通「今は護衛中よ。気を抜き過ぎないように」

川内「分かってるけどさー」

那珂「こんな時間に敵が現れるわけ無いよー」

神通「はぁ…………レーダーに反応?」


168「輸送部隊発見。みんな、準備はいい?」

8『大丈夫、囲んでる』

19『早く帰って間宮アイスを頂くのねん』

呂500『ちょっとドキドキします!』

401『殆ど実践みたいなものだからね』

58『向こうも夜戦は強いから、気を付けていくでち』

168「じゃあ、行くわよ!」

―執務室―

提督「報告書では遠征失敗と。夜戦で潜水艦の時点で無謀に等しいよな」

提督「資材を奪うくらいなら十分行けそうだな。実戦投入は……思ったより被害でたから辞めといた方が良いか」

↓2

―天龍型の部屋―

提督「なあ天龍」

天龍「なんだ?」

提督「実はこの前龍田とお茶を共にしたんだよ」

天龍「龍田と? 何で俺を呼んでくれなかったんだよ」

提督「えー。天龍、お茶の味分かるのか?」

天龍「分かるに決まってるだろ!」

提督「……」

天龍「なんだよ、その顔は」

提督「はいはい、背伸びしても良い事無いぞ」

天龍「ぐっ……そこまで言うのなら飲ませてみろ! 俺でもお茶の味が分かる事を教えてやる!」

提督(俺でもって、自分自身あんまり自信が無さそうな雰囲気だな……)

~~~~~~~~

提督「できたぞ」

天龍「お、おう……なんか色が濃くないか?」

提督「龍田と飲んでたやつと同じだろ。だったらこれで間違ってない」

天龍「そ、そうか。そうか……」

提督(すごい落ち込んでいくのが分かる。明らか呑みにくいってのが分かる色だしな)

天龍「……本当にこれを飲んだのか? 龍田が?」

提督「龍田は美味しそうに飲んでたなぁ」

天龍「うぐぐ……の、飲んでやらぁ!」ゴクゴク

提督「あっ、流石に一気飲みは」

天龍「うっ――」

提督「あっ――」

~数十分後~

天龍「……」

提督「ま、まあそう気を落とすな。誰にでも苦手な物はある」

提督(まさか一気飲みするとは思わなかったけど……というか、一気飲みしたからだと思うけど)

天龍「あんなものを飲めるなんて、流石龍田だな……」

提督「冗談で出した時は流石の龍田も顔をしかめたけどな」

天龍「そうか……」

提督「お、おいおい、天龍らしくないな」

天龍「へへ、笑ってくれよ。意気揚々と飲んで、この様だぜ……」

提督(すっごい哀愁漂ってるーー!! やばい、このまま放っておけば、後で龍田に怒られる事必至!)

龍田「あらあら、何をしているんですか~?」

提督「」ビクッ

龍田「天龍ちゃんを虐めていいのは、私だけって言いましたよね~?」

提督「……忘れていたでは……」

龍田「許されませんね~」

<ギャアアアアアア

―執務室―

提督「ふぅ、なんとか生きて帰る事が出来た」

提督「天龍を虐めるのもやりすぎないように気を付けよう……」

↓2

―会議室―

提督「チキチキ! 重巡型ひいては古鷹の良い所を話し合う会!」

青葉「……なんですか、それ」

提督「重巡型の良い所は言うまでもないから、今回は古鷹の良い所を話そうと思ってな」

青葉「本当に古鷹さんの事好きですね」

提督「好きというか、なんかいじらしくていいだろ?」

青葉「その言葉新聞にしたらひと騒動起こりそうですね」

提督「そういうのやると、またお仕置きするぞ」

青葉「あ、あはは、冗談ですよ」

提督「今回はそういう話をするわけじゃない」

青葉「わかってますよー。それで、古鷹さんですよね」

提督「語りつくしたような気もするが……どんな良い所があると思う?」

青葉「そうですね……何かと優しいですね」

提督「厳しい所もあるけどな」

青葉「それは司令官が無茶なことするからですよね」

提督「そうともいう」

青葉「そして……家庭的なところがあります」

提督「それは加古と話した」

青葉「すでに話し合ったことあるんじゃないですか!」

提督「ほら、妹の視線と同重巡からの視線とじゃ違いがあるだろ?」

青葉「そうは言いましても、実際にはそこまで接点ありませんよ?」

提督「あれ、そうなのか?」

青葉「青葉は何時もスクープを追いかけていますからね」

提督「なるほど、平和主義で温和な古鷹とは接点が無いと言う事か」

青葉「なんだか含みがある言い方ですね……」

提督「気のせいだ。だったら、文屋としてここだけの話とか」

青葉「それ趣旨が変わっていませんかね……そうですね、それでしたら、やはり裏で頑張りやなところがありますよ」

提督「詳しく」

青葉「詳しくと言っても、演習場とかで一人で練習する姿を見掛けるだけですよ」

提督「あー、なんか想像できる」

青葉「誰かと共にいる時はさりげなく飲み物とか準備していたりですね」

提督「ふむふむ、良い所だな」

青葉「他にも、何かと融通を利かせてくれたり……あれ、古鷹さんって本当にいい人なんでしょうか」

提督「おいおい、古鷹は昔からいい人だろ」

青葉「そうではなくて、その……怒ったところが想像できないって言いますか……」

提督「怒ったところ? それなら俺は数えきれないくらい見て来たぞ」

青葉「それは司令官が不真面目なだけだからですってば!」

―執務室―

提督「やはり少し距離を話してみると古鷹は聖人のようにいい人という事だな」

提督「そして身内と自分……と俺には厳しい」

↓2

―食堂―

間宮「どうしましょうかね……」

伊良湖「そうですね……」

提督「何かお困りのようだな」

間宮「提督……」

提督「どれ、何か知識を与えられそうなことなら言ってみるがいい」

伊良湖「間宮さん、言ってもいいですかね?」

間宮「ええ、提督なら何か考えてくれるかもしれませんし」

伊良湖「実はかくかくしかじかで」

提督「なるほど、もち米が余ったのか」

間宮「すみません、在庫の確認ミスで……」

提督「誰にでもミスはあるものだ。日々の食事に関しては一任しているんだし、この量をミスなく管理することこそ難しい」

間宮「提督……」

提督「まあ、余ったのなら使えばいい」

伊良湖「使う?」

~数時間後~

提督「はい次できたぞ!」

間宮「はい。桜の葉をつけて……次お願いします」

伊良湖「はい! ここにあるもの持っていきますね!」

提督「あとどれくらいだ?」

伊良湖「えーっと、まだまだありますよ」

提督「そうか。作った分だけ食べてくれるやつがいるからあまりはしないと思うけど、疲れてきたな」

間宮「すみません、お手数をおかけして……」

提督「いや、こうして量を作るのは久しぶりだから楽しんですり、謝る必要はない」

伊良湖「でも、そろそろ疲れてきたのは同意します……」

提督「だろ、間宮も少し休もう」

間宮「わかりました」

提督「それにしても、二人ともこんなに忙しいんだな」

間宮「普段とは少し違う忙しさですけどね」

提督「ほお、そうなのか」

伊良湖「同じ種類のものをこれだけ作ることはなかなかないですから」

提督「あー、なるほどな」

間宮「でも、提督がこんなに作るのが上手なのは少し驚きました」

伊良湖「そうですね、手慣れてるって感じはありましたね」

提督「餅を作るのは毎年正月に小さいころからやってきているからな」

伊良湖「そういえば、今年のお正月にお餅がありましたね……」

間宮「ふふ、おおいしかったですよ」

提督「そういってもらえるとありがたい。さて、そろそろ休憩を終えて量産に入るぞ」

間宮「後半も頑張りましょう」

伊良湖「後半で終わればですけどね」

提督「そういうオチは勘弁」

―執務室―

提督「あー、疲れた……さすがに食べきれなかったのか少し余ったな」

提督「あんまりもたないけど、ちょっとずつつまんでいくか」

下2

―庭―

照月「……なにしているんですか?」

提督「鬼のいないかくれんぼ」

照月「たのしい?」

提督「わりと」

照月「どのあたりがですか?」

提督「空想内で鬼がどのあたりにいるかとか考え、見つかるか見つからないかのドキドキ感が味わえる」

照月「私には少し難しいですね……」

提督「やってみるか?」

照月「え?」

提督「意外と楽しいかもしれないぞ」

照月「……」

~~~~~~~~

初月「……なにをしているのだ」

提督「鬼のいないかくれんぼ」

初月「たのしいのか?」

提督「わりと」

初月「……いや、すまない、僕にはよくわからないよ」

提督「なら初月もやってみるか」

初月「え」

提督「やってみないことには良し悪しなんてわからないだろ」

初月「それには一理あるかもしれないが……」

提督「善は急げだ、さあ隠れるがいい」

初月「え、ちょっと、それは……」

~~~~~~~~

秋月「……なにをしているのですか?」

提督「鬼のいないかくれんぼ」

秋月「たのしいですか?」

提督「わりと。てか、お前たち三人とも同じことを聞くんだな」

秋月「それは……って、三人ですか?」

提督「おそらくその辺に隠れていると思うぞ」

秋月「照月はともかく初月まで? それはまた、珍妙ですね」

照月「私はともかくってどういう意味!」ガサッ

秋月「本当にいた……」

提督「おいおい、今はかくれんぼ中だぞ。姿を見せてはだめだろう」

初月「鬼に見つかっていないのだからいいのではないか?」ガサッ

提督「む、確かに一理あるな」

秋月「いえ、そういう問題ではないと思うのですけど」

提督「なに、秋月もしたいって」

秋月「そんなことは言ってな……」
照月「まあまあ秋月姉、こっちの方が空いてるよ」

秋月「ちょっと、引っ張らないで……!」

初月「……そうだな、多分空虚に感じてきたんだろう」

提督「空虚に? ……ああ、一人で隠れるって状況にか。まあ、想像力がないときついだろうしな」

初月「そういう問題じゃないと思うのだが」

―執務室―

提督「率直に言えば時間の無駄だな」

提督「だが、ああしているのも、それはそれで楽しい気もするんだよ。うん」

下2

―大和型の部屋―

提督「新たな特技を覚えて来たぞ!」

大和「提督は本当に多芸ですね……」

提督「芸は身を救うというしな」

大和「それでその、特技というのは?」

提督「画像加工だ」

武蔵「画像加工だと? ふん、つまらんな」

提督「つまらんとはなんだ。そんなに言うのであれば、その技術を今ここで見せてやろう」ゴソゴソ

大和「そのかばんの中に何か道具でも?」

提督「いや、完成品だ。っと、これだな。はい」

大和「? ……これは!?」

武蔵「ほう、意外と面白いではないか」

提督「大和と武蔵の顔だけ交換してみたぞ!」

漣「俗にいうクソコラですね!」

提督「ん? 今漣が居たような……」

漣「いますよ! こんなネタになりそうなもの、漣が放っておくわけないじゃないですか!」

大和「それで、その、これを見せられて私はどう反応したらいいでしょうか?」

提督「百点満点中で評価してくれ」

大和「……ご、五十点です」

武蔵「三十だな。もう少し楽しめる物が良い」

提督「辛口だな……うーちゃん程度の知識では笑わせる事は出来んか」

大和「えっ、これ卯月ちゃんのだったんですか?」

提督「正しくは卯月のネタを俺がフォトショで作った物だ。しかし、これで駄目か……」

漣「次の案を考えましょう、ご主人様!」

提督「そうだな、少し待ってろよ二人共!」ダッ

バタン

大和「……な、なんだったのかしらね」

武蔵「くくっ、一つ言えるのは提督は面白い奴だと言うことだな」

~~~~~~~~

提督「完成したぞ!」

大和「は、早いですね」

武蔵「さて、次はどんなものを見せてくれるのだ?」

提督「今回のクソコラはこれだ! 肌の色を移植してみたぞ!」バッ

大和「わ、わあ……私が褐色ですね」

武蔵「逆に、この武蔵が色白か。なるほど、細部にも凝っているようだな」

提督「そりゃあ、これくらいできないと特技とは言えないからな」

大和「……特技を増やすのはいいんですけど、役に立つ時が来るんですかね?」

提督「来ないだろうな」

大和「……」

武蔵「ふっ、芸は何とやらと言っただろう。身につけておいて損は無い」

提督「だよな。それで、今回の点数は?」

大和「六十点です」

武蔵「四十点だな」

提督「この二人採点は厳しい!」

―執務室―

提督「やっぱり、あっと驚くような装飾を施した方が良かっただろうか」

提督「しかし、クソコラは元の素材が生きなければ意味が無い……ううむ」

下2

―暁型の部屋―

提督「ははぁー、どうかご機嫌を直してくださいませ!」

電「……」


響「あれはなにをしているのかな」

雷「電がなにかしていたみたいなんだけど、それに対して何もないから怒ってるみたい」

響「なにか? ……ごめん、聞くまでもなかったね」

雷「響はなにかがわかるの?」

響「この前あったことだから。雷は知らなくてもいいことだよ」

雷「そう?」

響「でもあれは、元々電から始まったことなんだけどね……」

提督「そう、それだよ! 響の言う通り元をたどれば電のつぶやきじゃないか!」

電「今更それに気づいたのですか」

提督「なんというプラズマ言動……って、じゃあどうして機嫌が悪いんだ? てっきり労わらなかったからだと思ったが」

電「労わってもらえるのならうれしいのです」

提督「現金な電とか、昔の電しか知らない人が見たら卒倒するぞ」

電「電は司令官さんたちの前以外では昔通りなのです」

提督「……ん、じゃあもしかして機嫌が悪いのって」

電「察しがいいのか悪いのかわからないのです。SNSで火消しをしたせいで、キャラがいまいち定まらなくなったというのが、電の今の悩みなのです」

提督「擦れてるなぁ……」

電「ほとんど司令官さんのせいなのです」

提督「でも理由はわかった。まあ、奔走したのは本当だし、これをプレゼントしよう」

電「クソコラ写真集……て、なんなのですかこれ」

提督「昨日適当に作ったやつ。お礼の品だと思って受け取ってくれ」

電「これを受け取って喜ぶ人はいないと思うのです……」

提督「え、気に入らなかったか?」

電「……一応司令官さんのプレゼントなので、受け取っておくのです」

提督「いやぁ、でも助かりましたよ、電さん」モミモミ

電「し、司令官さん、どこをもんでいるのです!」

提督「肩だけど」

電「いきなり触ってこないでほしいのです!」

提督「え、えー……やっぱ機嫌悪い? もっとクソコラいる?」

電「嫌がらせですか!」


雷「無事仲直りしたみたいね!」

響「あの二人の関係性は姉妹でも謎に思うよ」

―執務室―

提督「返答が刺々しいのは悩んでたかららしい」

提督「実は最初の時点で怒ってはいなかったみたい……ってか、SNSの悩み事って……」

下2

―談話室―

提督「空からクッキーが降ってくるとかないかな」

大淀「でしたら、地面からクッキーが生えてくるというのもありでは?」

提督「そりゃ農場と被るだろう」

大淀「そういえばそうですね」

赤城(談話室に来てみたら、謎の談義をしている二人が居るのですが)

大淀「うーん、ならクッキーが出てくる次元ホールとかどうでしょうか」

提督「タイムマシンとかポータルとかの亜種に近いな」

大淀「プリズムのクッキー生産にかなう者ってありませんよねぇ」

提督「光をクッキーに変えるって、なんかかっこいいよな」

大淀「対象がクッキーの時点でかっこいいかはちょっと微妙なところですけどね」

赤城(光をクッキー? な、なんでしょうか……大淀さん、そんなキャラでしたっけ……)

提督「というか、あのクッキーって本当に美味しいのか?」

大淀「掘り起こしたりしたものは食べられたものじゃないと思うんですけど」

提督「それを言うなら神殿のクッキーはどうだよ」

大淀「金からクッキーを錬成もなかなかな物だと思いますけど」

提督「反物質でクッキーを創るって何だよって話だな」

大淀「うふふ、確かにそうですね」

赤城(ふ、二人は何のクッキーの話をしているんですか? 少し気になるんですけど……)

提督「そもそも、あれってクッキーじゃないのかもしれないな」

大淀「と、いいますと?」

提督「ほら、実は名称がクッキーなだけで、やばい物だったり」

大淀「ちょっと、そういうのはやめてくださいよ。クッキーが何か怪しいものに感じるんですけど」

提督「クッキーって、単体の言葉だけだとヤバイ物でも使われてそうだな」

大淀「何かそれっぽく聞こえるのでやめてください!」

赤城「……二人共、何の話をしているんですか?」

提督「ん? ああ、クッキーだ」

赤城「クッキーの話でタイムマシンとか反物質とか錬成とかって単語が出て来るんですか!?」

提督「普通だよ。なぁ?」

大淀「ええ、普通といえば普通なんですけど……」

赤城「ふ、普通とは一体……」

提督「……あ、もしかしてクッキーだと思ってたのか?」

赤城「クッキーですよね!?」

大淀「? ……ああ、そういうことですか。正しくはクッキークリッカーと言うゲームのクッキーの話ですよ」

赤城「??」

提督「駄目だ、赤城はこういうのに疎いから……」

大淀「有名と言っても、全体的な知名度は例のダービーと同じくらいですか。知らなくてもあまりおかしくないと思いますよ」

提督「それもそうか」

赤城(クッキークリッカー……ちょっと気になりますね)

―執務室―

提督「なんか加賀から赤城がPCの画面にくぎ付けとか言ってたけど、まあ放っておくか」

提督「ある程度進めれば放置でも結構溜まるし、くぎづけってほどにはならなくなるだろう」

↓2

提督「お花見行くぞ!」

春雨「と、突然ですね」

提督「俺が突然でないことがあったか、いやない」

春雨「自分で断言するんですか……」

提督「というわけで、早速花見の準備をするぞ」

春雨「準備ですか? ええと、シートとかお弁当でしょうか」

提督「腰を据える花見も良い。だが、今日は歩きながら花を見ようではないか」

春雨「歩きながらですか?」

提督「ああ、それもまた風流なもんだろ」

春雨「……そうですね」

―公園―

提督「うーん、きちんと桜が咲いてるなぁ」

春雨「そうですねぇ」

提督「満開まではもうちょっとってところでもあるが、これはこれでなかなか」

春雨「司令官とこうして、桜並木の道を歩けるなんて思ってませんでした」

提督「昨年は宴会みたいに花見をしていたしな」

春雨「はい。ですから、他の皆にはちょっと申し訳ないかも……」

提督「何で申し訳なさを感じるんだ?」

春雨「真面目に花見をする司令官って珍しいですから」

提督「おま、なかなか酷い事を言うな……」

春雨「ふふふ、冗談ですよ」

提督「で、春雨はどうだ、桜を見て」

春雨「桜を見て……そうですね、とても綺麗だと思います」

提督「その返答だと面白くないなぁ」

春雨「桜を見て面白い返答ってなんですか……」

提督「華やかなつぼみが芽吹いて、まるで春の訪れを感じさせる……みたいな?」

春雨「あっ、確かにその返答ならなかなかいいですね」

提督「どこぞの表現を真似ただけだけどな」

春雨「もう、感心した私がばかみたいじゃないですか!」

提督「ははは、だけど、桜が綺麗なことには変わりないだろ」

春雨「話を逸らさないでくださいよ……でも、はい、そう思います」

―執務室―

提督「意外と歩きながら桜を見る機会ってのは無いように思える」

提督「じっと座ってみるのとまた違った良さもある。そもそも花より団子の人には意味は無いかもしれないけど」

↓2

―初春型の部屋―

提督「初春」

初春「なんじゃ。妾に何か用かや?」

提督「実は、深海側に寝返ろうかと思うんだ」

初春「な、なんじゃと!?」

提督「向こうに行けばきっとよりよい生活が待っているに違いないと思うんだ」

初春「待っているわけ無いと思うのじゃが!?」

提督「……なーんて、うっそぴょーん! 冷静に考えたら寝返りとかありえないだろ」

初春「それは今までの自分の行いを考えてのセリフか?」

提督「……ああ、ごめん、シャレにならないか」

初春「分かっているのならそういう冗談は大概にせい……」

提督「そうはいっても、こんな日を逃すほかは無い。もっと他のネタを考えるから、ちょっと待ってろ」

初春「そこで目の前でネタを考えてどうするんじゃ……」

提督「うーん……ひらめいた」

初春「早いのう」

提督「初春、この鎮守府に幽霊が出るって噂があるだろう」

初春「うむ、まあ聞いた事はあるのう」

提督「それなんだが、実は半年くらいめっきり見なくなったらしいんだ」

初春「良い事ではないか」

提督「で、その幽霊なんだけどな……誰かに取りついてるって噂があるんだ」

初春「……ほう? その憑りついた相手が貴様とでもいうか?」

提督「……」ガチャ

初春「何故鍵を……も、もしや……」

提督「その幽霊はな、仲間を探しているみたいで、こうして油断するタイミングを計っていたらしいんだ」

初春「ど、どうせまた嘘じゃろ。早く扉の前から離れんか」

提督「ヒヒヒッ」

シャッ カチッ

初春「カーテンが勝手にしまったじゃと!? ど、どうなって……」

提督「一緒に逝こうか? 初春さん――」

初春「ひっ――」


~~~~~~~~

初春「う……わ、妾は……」

提督「お、やっと起きたか」

初春「……!」バッ

提督「さ、さっきまでのは冗談だって! 幽霊とか嘘だって!」

初春「な、なんじゃ、妾とした事が冷静さを失ってしもうたわ」

初春(しかし、勝手にカーテンが閉まったのはどういう原理なんじゃろうか)

―執務室―

提督「全部嘘。幽霊が居るとか、そのあたりな」

提督「まあ、本当にいたとしても季節はずれなんだから出て来ないでしょ」

↓2

―二航戦の部屋―

提督「超リアルにお前たちを作り上げたぞ!」

蒼龍「作り上げた、ですか?」

飛龍「どういうこと?」

提督「ふっふっふ、括目してみるがいい。雲龍!」

雲龍「ここに置けばいいんですか?」

提督「ああ、テレビにつなげて……」

雲龍「コントローラー足りませんよ」

提督「え、マジで」

蒼龍「あの、提督……」

提督「ごめん、ちょっと待って。接続に時間がかかってるから……」

蒼龍(嫌な予感しかしない)

~~~~~~~~

提督「待たせたな。さて、キャラはすでに作ってある」

蒼龍「作ってあるって、いえ、なんですか、これは」

飛龍「えっと、これ私?」

提督「エキプロというゲームでな、自分の好きなようにキャラを作ることができるんだ」

蒼龍「それ以前に私の名前が付けられてるキャラがいるんですけど」

飛龍「なんか異様にごついというか……うん、率直に言って気持ち悪い」

提督「えー、雲龍のお墨付きなんだけどな」

蒼龍「えっ」
飛龍「えっ」

雲龍「よくできてると思うんだけど」

飛龍「それって、自分の分がないから言ってるんじゃないよね」

雲龍「私のもよくできてると……うん、なに?」

飛龍「なんでもない」

提督「じゃあ、試合開始だ」

飛龍「……」<ドガッバシッ

蒼龍「……」<バシッドゴッ

提督「なんか冷めてるな」

飛龍「いやだって、全然似ていないとはいえ、自分がプロレスしてるんだよ」

蒼龍「なんだか、ねえ」

提督「そうか? 爽快感があると思うんだけど」

飛龍「それは提督だけだから」

雲龍「あっ、蒼龍の両手足が真っ赤っか」

蒼龍「その言い方やめて!」

提督「頭にこんなにダメージを喰らってたら日常生活に戻れそうにないよな」

飛龍「こっち見て私のキャラに攻撃するのやめて!」

―執務室―

提督「エキプロのダメージシステムすき」

提督「しかし、自分を投影するとなんかやられているようにも感じるという」

下2

提督「売れない幽霊退治屋とかじゃなく、普通にゴーストバスターしよう」

古鷹「今回はいつにもましておかしな始まりですね」

提督「初春から依頼されてな。割としょうがなしにやることになった」

古鷹「幽霊退治をですか」

提督「ああ」

加古「別に幽霊とかどうでもよくないー?」

提督「なら加古は寝てる時に幽霊が来てもいいということか」

加古「どうせ鑑賞してくるわけじゃないでしょー」

提督「そういっていると……」

加古「じゃあ、古鷹はどう思うの」

古鷹「えっと……見て回るくらいなら」

加古「古高は優しいねぇ」

提督「本当にやさしいな、うん」

―廊下―

加古「あてはあるの?」

提督「ないな」

加古「帰って寝よ……」

提督「まてまて、こんなところに古鷹一人置いて行っていいのか」

加古「だって寝てる方が有意義っしょ」

提督「ありもしないものを探すとなればそう思うのも仕方ないが、探さないことには見つけることもできないぞ」

古鷹「でも、情報なしで幽霊なんか相手にできるんですか?」

提督「……無理かな」

古鷹「無計画ですね……」

加古「相手は幽霊だからね、そう簡単に見つからないでしょ」

提督「そうそう、相手にするか以前にいるかすら怪しいんだから」

古鷹「そんなもの相手にするのに安請け合いしないでください」

~~~~~~~~

提督「……いない!」

古鷹「幽霊なんていませんね」

加古「結局無駄足か」

提督「いないということが分かったんだ。決して無駄足ではない」

古鷹「でも、これだけ噂になるのも不思議ですよね」

加古「どうせほとんどが勘違いか夢か見間違いでしょ」

提督「大体そのあたりだと思うが、夢も希望もないな」

古鷹「幽霊がいることに対して希望はないと思うんですけど……」

加古「とりあえず、用件は終わり?」

提督「ああ、わざわざつき合わせて悪かったな」

加古「ふわぁ……もうひと眠りしよっと……」

古鷹「ええと、では失礼します」

提督「おう。ああそれと」

古鷹「はい?」

提督「使わなかった清めの塩とかあげる」

古鷹「ありがとうございます。ずっと持ってたんですか?」

提督「おう」

古鷹(……それ持ってたから幽霊が近寄らなかったってことないですよね)

―執務室―

提督「もしかして、除霊グッズを持ってたから幽霊が近寄らなかったわけじゃ……」

提督「……まあ、いいか」

下2

提督「初代ストレッチマンのタイツを再販だと……!」

提督「これは買うしかない!」


―庭―

提督「ストレッチマン参上!」

睦月「およ、なんなのですか?」

提督「なんだ、ストレッチマンをしらないのか」

睦月「知らないですね」

提督「ストレッチパワーにより、悪い相手をやっつけていく正義のヒーローだ」

皐月「正義のヒーロー! いいね!」

長月「だが、その恰好は何とかならないものだろうか」

提督「馬鹿言うな、これがストレッチマンの正装だぞ」

菊月「変な正装もあったもんだな」

提督「変ではない、タイツだ」

如月「それで、その姿を見せるためだけに呼んだんですか?」

提督「朝のこの時間、やることは決まっているだろ」

文月「ラジオ体操だね~」

望月「さすがにそんなことのために呼んだわけないっしょ」

提督「いや、その通りだけど」

望月「まじで……」

皐月「健康的でいいと思うよ」

三日月「そうですね、ラジオ体操なら喜んで行いますよ」

菊月「ラジオ体操は健康に非常に良い動きだからな。特に異論はない」

長月「そうだな。姿は気になるが提案自体には断る理由はないな」

望月(真面目三人が否定しないなら決定なんだよなぁ)

提督「じゃあ、まずは背伸びの運動からー」

卯月「ちょっと待つぴょん!」

提督「どうした卯月」

卯月「司令官はそんな恰好をして何もしないような軟弱な人間じゃなかったはずだぴょん!」

弥生「こら、卯月……」

提督「そうか、卯月の指摘はもっともだ。だが、今回はそういう目的ではないのだ」

長月「目的……その発言だと身構えてしまうのだが」

提督「そう構えることはない。俺の目的はただ一つ、お前たちとラジオ体操をすることだ」

睦月「睦月達とですか?」

提督「ストレッチマンとは本来みんなでストレッチをするために存在している。だからこそ、みんなとストレッチをしようと思ったのだ」

皐月「キャラになりきってるってこと?」

提督「そういうことだ。ほかに質問は?」

卯月「一応納得しておくぴょん」

提督「よし。じゃあ今度こそ始めるぞー――」

―執務室―

提督「完全にただのラジオ体操だった」

提督「うむむ、それでいいのだが、ちょっと物足りない」

下2

―談話室―

提督「島風は早いのが自慢なんだろ」

島風「もっちろん!」

提督「ならばスピードで勝負だ」

島風「スピード? 何のスピードで勝負するの?」

提督「もちろんトランプのスピードだ!」

島風「いいよ、早さだけは負けないからね!」

提督「実はすでに色分けはしてある。さあ、適当にシャッフルしてスタートだ!」

島風「それで提督」

提督「なんだ?」

島風「スピードってどういうルールなの?」

提督「ズコー」

~~~~~~~~

島風「5の次は6……」
提督「6っと」パシッ

島風「……5を置いて」
提督「7置き」パシッ

島風「……提督、私が置こうとしたところにおいてるー?」

提督「当たり前だろう。スピードとはそういうものだ」

島風「そうなんだ……じゃあ、遠慮はいらないね」

提督「最初から遠慮が必要なわけないだろう」

島風「島風の速さには勝てないから!」

提督「では、その後自慢の速さを見せてもらおうか」

島風「うん!」

~~~~~~~~

島風「10、9!」サッサッ

提督「なるほど、なかなかのスピードだ。だが、スピードはそれだけではない」スッ

島風「10……あれ、8になってる」

提督「確かに速さでは勝てないだろう。だが、スピードは頭脳も重要だ」

島風「じゃあ右の……ところもQになってる!」

提督「敵の手札を見て出せない数値にしておく。これは重要なテクニックだぞ」

島風「うっ……さすが提督! だけど、それなら隙間を与えないような速度を出すだけだよ」

提督「なんだと?」

島風「一枚手札から出し合って……こうっ」シャシャシャ

提督「馬鹿な! 一瞬のうちに三枚置いただと!」

島風「早さならだれにも負けないよ!」

提督「なるほど……面白くなってきたじゃないか」

―執務室―

提督「なんとか辛勝した……やはり速さも重要ということか」

提督「島風は考えておくようになるとかなり強いかもしれんな」

下2

―工廠―

明石「……」カーンカーン

夕張「すみません明石さん、そちらの工具箱取ってくれますか?」

明石「はーい。どうぞ」スッ

夕張「ありがとうございま――」バキッ

明石「あっ」
夕張「あっ」

ガシャーン

提督「失礼するぞー……って、何やってんだ?」

明石「その、工具箱の取っ手の部分が壊れて」

夕張「道具が大惨事に……」

提督「あっちゃぁ……壊れてるのもあるな。しゃあない、緊急メンテだ」

明石「手伝ってくれるんですか?」

提督「暇してたし、少しくらいなら」

夕張「ありがとうございます……」

提督「まずは見るからに壊れてそうな物からだな」

明石「さすがにそんなものは無いですよー。さっきまで使っていたんですから」

夕張「でも、さっきの落下の衝撃がありますし、全ての工具を使っていたわけでもないですよね」

明石「確かにそうかも……」

提督「とりあえずさっさとメンテだ。まずはドライバー類だが……」

夕張「落とした衝撃で散らばっちゃいましたね」

明石「替えのも飛んでいっちゃってますね」

提督「というか、このハンマー頭取れてる」

夕張「そう簡単にハンマーが壊れるなんて……本当ですね」

明石「良く見たらやすりも変えてません」

夕張「あれ、このニッパー少し錆が……」

提督「……お前達、ちゃんとメンテナンスしてるか? 道具は基本だぞ?」

明石「提督にそういうの言われるのは……正論ですけど」

夕張「実際何も言い返せませんしね」

提督「しかし、これじゃあ殆ど取り替えることになりそうだな」

明石「そうですね。劣化した道具を使い続けるのにも問題がありますし」

夕張「メンテナンスというより唯の買い替えになりますね」

提督「今後はちゃんとメンテしておけよ。道具はキチンとメンテをしていれば推定の寿命よりはるかに生きる物だからな」

明石「肝に銘じておきます」

提督(……ふと思ったが、妖精さんに頼めば壊れた工具も修理してくれそうだな……いや、流石に管轄外か)

―執務室―

提督「結構な工具が使い物にならなくなってたから、しばらくは二人の仕事は休みかな」

提督「まあ、ここ最近は平和だし、問題無いだろう」

↓2

―母港―

菊月「長月、誰にも見られていないだろうな」

長月「もちろんだ」

菊月「そうか、ではいくぞ」


提督(なーんて、なんか怪しい二人発見! 一体どこに向かおうとしているのだろうか、わくわく)


―近海の岩盤―

提督(なんだってこんな場所に? 何も無さそうだが……)


長月「出ておいで」

菊月「大丈夫だ、ご飯も持って来てやったぞ」

「あうー……?」

菊月「まだ慣れてないようにみえるな」

長月「しょうがない、こうして素直に出て来てくれただけでも良しとしよう」

提督「……な、なんだあの子。艦娘? いや、しかしあんな子は聞いた事無いぞ……」

ヲ級「あれはイ級です」

提督「珍しいな、そっちから話し掛けて来るなんて」

ヲ級「今回は目的が同じようでしたので……」

提督「はあ、なるほどな。しかし、あれはイ級には見えないが」

ヲ級「こちらでも解明できていないので、突然変異で産まれたイ級としか言えませんよ」

提督「突然変異ねぇ……あの子を連れ戻しに来たのか」

ヲ級「一応様子を見に来ただけです。イ級の仲間達から仲間はずれにされたとはいえ放っておくわけにもいかないので」

提督「なるほどな。そう言うことなら少し待ってろ」

ヲ級「?」


提督「二人共、こそこそどこか行ったと思ったら、こんな所に居たのか」

長月「し、司令官……」

菊月「む、これは……」

提督「いや、弁明は必要無い。えーと、君ー?」

「ぅー……」

長月「警戒しているみたいだ」

菊月「向こうもお腹が空いているはずだ。ご飯を持って近付くというのはどうだろう」

提督「それだ。ほーれほれー。美味しい御飯だよー」

「うー?」ノソノソ

提督「お、おー。寄ってきてくれたぞ!」

長月「そうみたいだな」

菊月「しかし、司令官は何も言わないのか?」

提督「この子と戯れていた事か? まあ、いいんじゃないかな」

長月「適当だな」

提督「一応理由はあるぞ。この子自体に害は無いと言うのもだし、特に鎮守府に連れ帰ろうとしているわけでもないからな」

長月「連れ帰ろうとすると嫌がるからな」

菊月「だからこうして様子を見に行っている」

提督「ふーん、やりすぎない程度にしろよ」

長月「もちろん」

菊月「こちらも抜かりない」

提督「さて……」

「モソモソ……」

提督「癒されたら俺は帰るとするよ」

長月「なんだか司令官がご飯をあげただけみたいだな」

菊月「確かにな」

―執務室―

提督「仲間外れにされた人型のイ級な……」

提督「……まあ、放っておいても大丈夫か。あの様子だとヲ級が回収しそうだしな」

↓2

―鳳翔の店―

提督「居酒屋だしここもバーだろ」

早霜「誰に言っているんですか……?」

提督「ごほん、さて早霜、今日は奢りだ。好きに飲むといい」

早霜「今日、何かありましたか?」

提督「何にもないぞ。個人的に祝いたいこともあるが、早霜には何にも関係ないしな」

早霜「?」

提督「それとも、こうして俺と飲むのはいやか?」

早霜「意地悪ですね……」

提督「ははは、冗談だ」

早霜「でも、珍しいですね、司令官が誘ってくださるなんて。どうして私なんですか……?」

提督「その疑問が答えではある」

早霜「疑問が答え、ですか?」

提督「ああ、まあ詳しいことはいいじゃないか。今はゆっくりと飲む時間だ」

早霜「よくわかりませんけど……納得しておきます」

提督「そうしておけ」

早霜「では、とりあえず一杯……いただきますか?」

提督「じゃあ、貰おうかな」

早霜「では、どうぞ……」

~~~~~~~~

提督「んー、結構時間たってるな」

早霜「そうですね……でも、早く感じます」

提督「奇遇だな。俺もそう感じていたところだ」

早霜「ウフフ、気が合いますね……」

提督「一応朝まで飲み続けるつもりだけど、早霜は大丈夫か?」

早霜「私としては、一緒に朝日を眺めるのも悪くないと思いますけど……」

提督「愚問ってことか。そうだな、じゃあ付き合ってもらうか」

早霜「はい、司令官のおそばに……ウフフ」

―執務室―

提督「こうしてゆっくりとした時間を過ごすのも悪くない」

提督「ただし朝までは次の日が開いてる時に限る」

下2

青葉「司令官、取材の許可を貰いたいのですが」

提督「わざわざ許可を取ってくるなんて珍しいな。だが、そういうことは秘書官に……」

青葉「なぜ司令官に聞いたのか、言わなくてもわかりませんか?」

提督「ああ、そういうことな。だったら、俺も付き添わせてもらおうか」

青葉「監視ですか?」

提督「それこそ言わなくてもわかるだろう」

青葉「そうですね、失礼しました」

提督「じゃあ、早速動くとしようか」

青葉「はい!」

霞(またなにかしようと企んでいるわね……)

―食堂―

提督「取材といっても、本人に聞いても素直に答えてくれるわけないだろう」

青葉「そんなことは百も承知しています。長く報道してきた青葉を甘く見ないでほしいですね」

提督「なるほど、何か案があるようだな」

青葉「今回は周囲の人にインタビューをするんです」

提督「それだけならいつもと変わりないと思うが……」

青葉「後ろからこっそりついていきながら、対象と会話した直後の人にインタビューを行うんですよ」

提督「……なるほど、直前までの印象が残っているから、本音を引き出しやすいということか」

青葉「その通りです。では、さっそく対象が動き出したようなので、行きますよ」

提督「おう」

~~~~~~~~

曙「別に特別仲良くないわよ。まあ、頑張ってるとは思うわ、クソ提督相手にね」


明石「いろいろお世話になってますし……根を詰めすぎないように気を付けてほしいですね」


伊良湖「すごいですよね……いろいろ尊敬しています」


58「気にかけてくれてたでちねー。提督もあまり迷惑かけないように気を付けてね」


神通「しっかりした子ですよ。私としても学ぶことが多いです」


提督「なんか思ったより高評価なんだが」

青葉「司令官の付き合いに同情する部分も多く見えましたしね」

提督「後をつけてもこれといって面白いことはなかったし……で、どうするんだ、面白そうな記事にはならなさそうだけど」

青葉「これはこれで需要がありそうですし、このまま記事にしますよ」

提督「本人には無許可のままでか」

青葉「多分許可貰えませんし。司令官も同じ権限持ってますし、大丈夫ですよね!」

提督「……遠回しに、記事にしたことがばれたら俺のせいにするという……やっぱ青葉、記事にするのは……って、居ない!」

―執務室―

提督「記事にしたことがばれたら絶対乗り込んでくるだろ……」

提督「いつでも逃げれるように窓は開けておこう」

下2

提督「ありません」

時雨「なんでいきなり投了?」

提督「いや、夕立に勝てなかったのに時雨に勝てるわけないなって」

時雨「どういうことかよくわからないけど、やってみなければわからないと思うよ」

提督「ううむ、じゃあやってみるか?」

時雨「? うん」

提督「なら一時間後にお風呂場に集合だ」

時雨「……えっ」

提督「一緒に入るぞ」

時雨「えっ」

―風呂場―

時雨「勝てないって、くせ毛のことだったんだね」

提督「むしろ、それ以外に何かあるか?」

時雨「それ以外って……うん、僕が悪かったみたいだね……」

提督「? まあいいや、始めるぞ」

時雨「どうぞ……」

提督「一応夕立の時のように確認……うん、知ってた」

時雨「どうかしたのかい?」

提督「予想通り、勝てなかったなって」

時雨「ああ、そうなんだ……」

~~~~~~~~

提督「夕立と同じ結果になってしまった……」

時雨「うん……」

提督「……なんだか、いつにもまして言葉少なだな」

時雨「こ、この状況で平然としゃべれるほど、僕は気にしてないわけじゃないから」

提督「気にしてない……ああ、もしかしてデリカシーなかったか」

時雨「もしかしてじゃないからね……」

提督「すまん、すぐに出ていく」

時雨「あっ」

提督「どうした?」

時雨「そのだね……僕も、夕立にやってもらったようにしてほしいな、とも思うよ」

提督「……! ははは、時雨も可愛いなぁ」

時雨「夕立がうれしそうに話すものだから、気になってたんだよ……」

―執務室―

提督「くせ毛には勝てません。諦めてください」

提督「時雨も何だかんだで本気で嫌がってなかったみたいでよかった」

下2

電「司令官さん、労わってもらえるという話は今も有効なのですか?」

提督「ああ、クソコラじゃ気に入らないと言って、後でまた考えるって言われた奴か。いいぞ」

電「説明口調が気になるのですが……ええと、お付き合いしてほしいのです」

提督「すまん、俺には故郷に残してきた大切な人が……」

電「嘘なのです」

提督「嘘なんだけどな。で、どこに付き合うんだ?」

電「二時間後に鎮守府の前に集合してほしいのです」

提督「分かった。で、どこに?」

電「失礼するのです」バタン

提督「……意趣返しか。電もなかなかやるではないか」

―喫茶店―

提督「……お、おしゃれだな。前に来た頃と雰囲気が大分違って見えるぞ……」

電「模様替えしてから女の子に人気のお店なのです。司令官さんは落ち着きませんか?」

提督「俺も空気くらいは読むからな……周りカップルだらけだし、そうじゃないなら女性ばかりだぞ」

電「今日はカップル割りをしているから当然なのです」

提督「へー、カップル割り……ん?」

電「さらにカップル限定の特別メニューもあるのです」

提督「待て待て待て、この展開読めるぞ。それはだめだ、自分の見た目を考えろ」

電「司令官さんがアレな人に見られても、電には何の影響もないのです」

提督「絶対俺の事恨んでるよなぁ!?」

電「店員さん、ご注文いいですか?」

店員「どうぞ」

提督「ちょ、え、マジで」

電「このカップル限定『イチャラブパニックDXパフェ~ハートに盛られて☆ズッキュン~』が欲しいのです」

店員「え……」チラッ

提督「ほらやっぱり見られた! てか、そのパフェそんな名前だったの、羞恥心ないの!?」

電「羞恥心に関しては司令官さんが言えた言葉ではないの思うのです」

~~~~~~~~

電「ん~~美味しいのです♪」

提督「……」

電「まだ気に掛けているのですか? 普段からそういう視線で見られているから、慣れていると思っていたのです」

提督「俺だって体面は気にするからな……鎮守府では実の家のように思ってる所もあるし」

電「そうなのですか」

提督「はぁ……」

電「……司令官さん、そのまま口を開けててください」

提督「あー?」

電「あーん、なのです」スッ

提督「あむっ…………ああ、確かに美味しいな」

電「来た甲斐、あったと思いましたか?」

提督「もう一口欲しいかな」

電「しょうがない司令官さんなのです」スッ

提督「ちょっと待て、頬にクリームついてるぞ」

電「そうなのです?」ゴシ

提督「そっちじゃない。じっとしてろよ……あむっ」

電「あっ……もう、司令官さんの方が羞恥心が無いのです」

―執務室―

提督「店から出る時、暖かい視線で見送られたんだが、どういうことだったのか」

提督「まさか本気でカップルに見られていたとか……まさかな」

↓2

―鳳翔の店―

提督「さーて、今日も飲むとしようかねー」

陸奥「あら、提督も?」

提督「そういう陸奥もか。せっかくだし、一緒に飲むか?」

陸奥「いいわね、たまにはそういうのも」

提督「鳳翔、まず二人分頼むー」

鳳翔「はい。飲みすぎないように気を付けてくださいね」

提督「今日はしっかりしたお姉さんもついてるから大丈夫」

陸奥「あら、しっかりしたお姉さんって私のこと?」

提督「ああ。嫌だったか?」

陸奥「いえ、たまにはそういう役回りも面白いかもしれないわね」

~~~~~~~~

提督「で、最近何か困ったこととかないか?」

陸奥「どうしたの、突然」

提督「こういう席ではやっぱり愚痴から始まるかなと思って」

陸奥「飲みといえば愚痴の言い合いもあるけれど……特にはける愚痴はないわお」

提督「なんだ、つまらん」

陸奥「つまらんって、もう」

提督「……なら、何もないならなおさら一人でここに飲みに来ていた理由が気になるな」

陸奥「それを言うなら提督もよ」

提督「俺は単純に飲みたいなーっと思っただけだけど」

陸奥「なら、私の答えもそれよ」

提督「……はぁ、なんか流石って感じがするよ」

陸奥「でも、最近は提督も大人しいわね」

提督「そうかぁ?」

陸奥「……う、うーん、比較的といったところかしら。ほら、こうしてのんびり飲むこともなかったでしょう」

提督「一人じゃあなかったけどな」

陸奥「私が来なかったら一人じゃない」

提督「結果オーライだ」

陸奥「……やっぱり、大人しくなったとかそんなことはないわね」

提督「褒め言葉だな」

陸奥「ま、理由なんてどうでもいいわね。今はこの時間を愉しみましょう」

提督「ああ、乾杯」

陸奥「乾杯」

―執務室―

提督「やばい、相手が陸奥だと飲みすぎてしまう……」

提督「……まあ、その分楽しかったしいいか」

下2

―談話室―

提督「この部屋にピアノが入荷されたぞ」

飛鷹「へー、結構良いものじゃない」

提督「やっぱり、分かる人にはわかるものか」

飛鷹「まあね」

提督「しかし、問題が一つある」

飛鷹「あら、何かしら」

提督「立派なピアノも、使われなければ唯の置物だということだ」

飛鷹「ああ、そういうことね」

提督「邪魔になるなら、いっそ物置に置いておこうかなー」

飛鷹「提督は演奏できないの?」

提督「さすがに楽器に関してはリコーダーくらいしか出来んなぁ」

飛鷹「珍しいわね」

提督「人をなんだと思ってるんだよ……」

飛鷹「……なら、私が教えてあげよっか?」

提督「いいのか? というか、飛鷹はピアノ出来るのか」

飛鷹「ええ、これでも元豪華客船よ」

提督「それもそうか。……ということは、もしやあの隼鷹も?」

飛鷹「やらせてみる?」

提督「お、おう……」

飛鷹「じゃあ、呼んで来るから……」
隼鷹「何か呼ばれた気がしたんだけどー」

提督「噂をすればってやつだな、どうだ隼鷹、一曲」

隼鷹「一曲って……ピアノ? なんだか、このためだけに呼ばれたって感じがするねぇ」

~~~~~~~~

提督「……」~~♪

飛鷹「へえ、それなりに出来るじゃない」

隼鷹「でも、まだ音が軽いな。こう、ガツンと来ないわ」

飛鷹「初心者にしてはなかなかだと思うけれど?」

隼鷹「初心者にしては、な」

提督「隼鷹、急に口がでかくなったな」

隼鷹「でも、この隼鷹サマの演奏には惹かれただろう?」

提督「ぐっ、たしかにその通りだ……」

隼鷹「まあ、礼さえもらえればあたしとしては何でもいいんだけど。おっと、そこは右手を移動させた方が良いぞ」

提督「はいはい、礼ね」

飛鷹「飲み過ぎには気を付けなさいよ」

隼鷹「……あたしが言うのもなんだけどさ、礼=酒って即決されるのは何だか腑に落ちないんだけど」

提督「日ごろの行いを考えろ」
飛鷹「日ごろの行いを考えなさい」

隼鷹「提督、そこテンポ違うぞ」

提督「くっそ、こっちで仕返ししてくるとは、隼鷹らしくない……」

―執務室―

提督「さすがに一日そこらで上手くなれるはずもない。日を見て練習しよう」

提督「しかし、あの隼鷹があんな繊細な演奏するとはな……元豪華客船は伊達じゃない」

↓2

―食堂―

提督「食後の飲み物はエスプレッソ……うーん、至福の一時」

暁「……」

提督「どうした、暁も飲んでみたいのか?」

暁「そ、そういうわけじゃないけれど……コーヒー苦いし……」

提督「これはコーヒーではないぞ、エスプレッソだ」

暁「えすぷれっそ?」

提督「……一口飲んでみるか?」

暁「に、苦くない?」

提督「砂糖とかも入れてるから、少し甘いぞ」

暁「う、うん…………」ゴクッ

提督「どうだ?」

暁「うぅ、しれいかんのうそつき……」

提督「ちなみに、エスプレッソは本場では二口くらいで一気に飲むのだが……暁にはまだ早いか」

暁「……! は、早くないわ! 全部飲んで見せるんだから!」ゴクゴク

提督「おお、良い飲みっぷり」

暁「うぇぇぇぇ……」

提督「うんうん、よく頑張った」

暁「り、立派なレディーなら当然よ!」

提督「じゃあ、もう一杯いくか」

暁「えっ」

提督「どうした、やはり暁には苦すぎたか」

暁「う、うう……ど、どんと来なさい!」

提督「その言葉を待っていた!」

リットリオ「提督、おかわりは本場では無しですよ」

提督「おっとリットリオ。さすがにリットリオの前ででは嘘はつけないか」

暁「嘘……? し、司令官!」

提督「すまんすまん。だが、間違ったマナーはおかわりについてのみだ。だから、砂糖も混ぜてないし、二口くらいでクイッと飲むのは嘘じゃない」

暁「そうなの?」

リットリオ「ええ、その通りよ。あとは、そこに残った砂糖を食べておしまいね」

暁「……し、知ってたわそれくらい! だって暁はレディーなんだからね!」

提督(リットリオに聞き返してたくせに……可愛い奴め)

―執務室―

提督「ちなみに、ミルクなどを入れると名前が変わる。でも、暁が飲むとなると……カプチーノ……いや、カフェ・モカくらい甘くした方が良いか」

提督「うちには本場の人も居るし、それっぽい味が再現出来たら振舞ってみるか」

↓2

青葉「実際、陸軍ってどういう風に戦っているんでしょうね」

提督「なんだ、藪から棒に」

青葉「青葉たちは海軍ですから海の戦い方は知っているんですけど、陸でどのように戦っているのか気になってですね」

提督「なんで突然そんなことを考えたのは知らんが……やってみるか?」

青葉「はい?」


~~~~~~~~

提督「最上隊、右の通路に敵歩兵三名。おそらく突撃兵、頼む」

最上『分かった。全員で向かえばいいんだね』

提督「ああ、そこを抜けられると後ろに回られる。あと妙高隊、偵察のオイゲンからの情報によると地雷が設置されているみたいだ、頼む」

妙高『戦車が通る前に片づけておけばいいんですね』

那智『それだけなら四人もいらないだろう、そっちに救援は居るのか?』

提督「いや、仕掛けられていたということは他に敵もいるはず、四人で向かってくれ』

足柄『なるほどね。さあて、怯える子猫ちゃんはどこかしらね~』

青葉『……あの、青葉達は何しているんでしょうか』

提督「なにって、BFだが」

青葉『陸軍の戦い方を聞いたのに、なぜゲームに……』

提督「このゲームはリアルな戦争を楽しめるともっぱら評判だぞ」

青葉『そうですけど……』
古鷹『提督、拠点内の戦車が固くて突破が出来ません!』

提督「青葉、お前工兵だっただろ、衣笠連れてバックアップしろ」

青葉『あ、はい……というより、みんな上手ですね』

提督「実は一部の奴らとはこっそりやっていたり」

青葉『陸軍どうこうより、そっちのほうが記事にしたくなってきましたよ……』

利根『すまん、ヘリを落とし損ねてしもうた!』

提督「じゃあ、そっちは俺とザラで片づける。青葉、とにかく北のA地点で古鷹と合流しろ」

青葉『分かりましたよ……』

ザラ『提督、落とせるんですか?』

提督「見たところ相手のヘリはそんなにうまくないみたいだからな。簡単に撃墜できる」

高雄『私達はどうしますか?』

提督「とりあえず、このヘリを落としたら……」
青葉『あっ』

古鷹『青葉さん! 提督、敵がここからリスポーンしてるみたいで、増えているのですけど!』

提督「……戦車持って急行するぞ。摩耶だけはトラックでここまで迎えに来てくれ」

高雄『了解しました』

妙高『なら、私達も向かった方が良いですか?』

提督「そうだな、そのまま敵の背後を付くように移動してくれ。オイゲンの偵察では敵はいないらしい」

妙高『なるほど、戦車だけでも落としますか』

提督「出来るなら頼む」

妙高『分かりました』

青葉『……ガチ勢ですか!? あんなのあっさり倒せるわけないじゃないですか!』

提督「いや、戦車破壊は何故か羽黒が得意でな、敵の数が不安だが、おそらくやってくれるだろうと」

青葉『いえいえ、そんな上手くいくわけ……』
羽黒『目標撃破です』

提督「よくやった。その他の歩兵たちはこのまま戦車で押しつぶす。あ、青葉は多分敵が攻めて来るからそこの拠点で待機な」

青葉『な、なんだか初めて青葉がついていけない話になったんですけど……』

―執務室―

提督「まあ、あれだ。戦い方や戦略の勉強にもなるからとゲームをしない一部の奴らを進めたらな……」

提督「なんにしても、この人数で出来る事は稀なんだが」

↓2

―公園―

提督「おー、前来た時より、綺麗に咲いてるなぁ」

大和「そうですね」

提督「一枚、どうだ?」

大和「一枚ですか?」

提督「ほら、カメラを持ってきたんだ。桜はいつか散るものだが、この箱の中に収めたものは散ることはないだろう」

大和「……そのセリフ、どこからの受け売りですか?」

提督「雑誌」

大和「ですよね」

提督「だが、共感したことは本当だぞ。だからこそ、こうしてカメラを持ってきたわけだしな」

大和「……そうですね、私もその言葉、いいと思いますよ」

提督「だろう。だから、桜をバックに一枚撮ってもらおうか」

大和「はい」

~~~~~~~~

提督「いい物が撮れたな」

大和「たまたま通りがかった人がカメラマンの仕事をしている人で良かったですね」

提督「ああ、この幸運に感謝だな」

大和「そういえば、お弁当も作ってきたんですよ」スッ

提督「そうか! 大和の手作りか?」

大和「はい。間宮さんや鳳翔さんほどは上手に作れていないですけど……」

提督「あの二人と比べたらだれの料理でも勝るわけがないだろう」

大和「それもそうですね」

提督「でも……いただきます、もぐもぐ……うん、こういう大和が作ったというのがわかるような味も好きだぞ」

大和「褒められているのか微妙にわかりづらいですね。そんなにわかりやすいですか?」

提督「大和ホテルというだけあって、ちょっと豪華な味がするんだ」

大和「もう! ホテルじゃないですよ!」

提督「はっはっは、すまんすまん」

大和「……ここは平和ですね」

提督「どうした、突然感傷に浸って」

大和「桜が舞うこの公園にきて、なんとなく、思ったんです」

提督「……そうだな、だが、これはお前たちが守り続けているからこそ見ることのできる光景だ」

大和「はい」

提督「だから、共に守り続けよう、この平和を」

大和「提督……」

提督「……よし、ビデオカメラはばっちり。これを流せば落ちた俺の威厳も取り戻せるだろう」

大和「……はい?」

提督「桜を背景に大和を諭す姿、これなら復権間違いなしだな。……ん、どうしたやま――」

―執務室―

提督「なんか怒らせてしまったな……」

提督「というか、撮った内容も青葉からNG貰ったんだが、何かいけないシーンでもあったか……?」

下2

~夜・庭~

木曾「……提督、どうした」

提督「げっ、気付かれた」

木曾「そんな離れた所に居なくてもいいだろ。近くにこいよ」

提督「いや、なんだか夜桜に木曾が一人で酒をあおっている姿が様になっててな」

木曾「なんだそれ。寂しい奴と思ってるのか」

提督「いやいや、そんなつもりはないから!」

木曾「なんてな、冗談だ。褒められて悪い気はしない」

提督「冗談か……木曾が冗談を言うなんて珍しいな」

木曾「俺だって冗談の一つや二つくらい言う。それに、少し酔ってるのもあるからかもな」

提督「そうか」

木曾「……提督も飲むか」

提督「いいのか?」

木曾「一人酒も飽きてきたところだからな。っと、そういえば昼にも花見に行ったって聞いたが、もしかしてこの桜じゃ肴にならないか」

提督「いや、少ない桜を見るのもそれはそれで一興だ」

木曾「ふっ、そうだな」

提督「なんだ、木曾も同じことを思っていたのか」

木曾「桜に囲まれて酒を飲むのも良いが、一人で飲む分にはこれだけで十分だ」

提督「木曾とはうまい酒が飲めそうだ」

木曾「俺も今日は気分よく飲めそうだ」

~~~~~~~~

提督「んくっ……はぁー……しかし、こんな所に桜の木なんてあったんだなぁ」

木曾「ここは隠れてるし、すぐに花も散るからな」

提督「え、マジで? ……そういや、そうだな」

木曾「桜は散り際が一番美しい……良く言ったもんだよな」

提督「それには同意しかねるな。長く咲き続けるからこそ、美しさを感じる事が出来るんだろう」

木曾「……かもな。まあ、桜が散るなんて、あたりまえのことではあるが、わざわざ口に出す事ではないな」

提督「だな」

木曾「……」

提督「……だが、この桜が綺麗なのは俺も同意だ」

木曾「……だよな」

―執務室―

提督「夜に見る桜と昼に見る桜はやはり違うものだと思わせられる」

提督「そうだ、あの桜も写真に収めておこう」

↓2

―デパート―

村雨「つきあわせてごめんなさいね」

提督「問題無い。暇してたしな」

村雨「あら、本当に暇だったのかしら? 霞ちゃんに聞いちゃってもいい?」

提督「それは勘弁してくれ。暇だったとしても怒られる」

村雨「うふふ、それで、私のお買い物に付き合わせちゃったし、私も提督のお買い物に付き合うわよ」

提督「それは本当か」

村雨「ええ」

提督「だったら、大分前にしたかったことがあったんだ」

村雨「したかったこと?」

~~~~~~~~

提督「こっちの方が良いかな!」

村雨「そうですねー」

提督「どうした、女の子といえば、服とか見るともっとキャーキャー言うところじゃないのか」

村雨「うーん、どちらかというと、ノリノリな提督に引いてたりするかな」

提督「な、なんだと……!」

村雨「なんて、冗談でよ。私の為に選んでくれているのだから、もちろんうれしいわ」

提督「そ、そうか……じゃあさっそくこれを着てくれないか!?」

村雨「はいはーい、村雨の違う一面、ちゃんと見てね♪」

提督「ああ、あとこれとかこっちの方とか……」

村雨「もう、ちょっと急ぎ過ぎよ。ちゃんと着てあげるから、焦らなくて良いのよ」

提督「すまんすまん、前にここに来てからずっと村雨に似合いそうな服を考えていたもので」

村雨「あら♪ 提督の意外な一面が見えて嬉しいかも」

提督「そんな意外か?」

村雨「ええ。そろそろ着て来るわね」

提督「ああ。期待しているぞ」

~~~~~~~~

村雨「提督、どう?」

提督「おお、予想通り、似合ってるぞ!」

村雨「ありがと。提督が選んだこのカーディガンも良い感じよ」

提督「じゃあ次はこっちの方を……」


村雨「このチュニック、どうかしら? うふふ、春の季節にもぴったり」

提督「うん、俺の見立ても間違ってなかったみたいだ。可愛いぞ!」


村雨「このシフォンはどうかしら?」

提督「そのゆったりした感じが色気を誘って素敵だぞ!」


村雨「セーラーワンピースかしら、やっぱりいつも通りがお好きなの?」

提督「似ている服でも、ちょっと違えば印象って変わるもんだろ」

村雨「あら、なら感想はどうなの?」

提督「とても似合っている。ここにしかない可憐さも秘めているように感じるぞ!」

―執務室―

提督「話に落ちは無いが、まあいろいろ買ってあげたということで……」

提督「……出費に関しては、見なかったことにしよう」

↓2

―売店―

明石「あ、提督? 今良いものが入荷したんですよ」

提督「へー、どんなのだ?」

明石「肩たたき券です!」

提督「売り物じゃない!」

明石「冗談ですよ。さすがに肩たたき券が売り物になるとは思っていませんよ」

提督「……」

明石「提督? じっと見つめてどうかしましたか」

提督「いや、やっぱりこれを貰おうか」

明石「え、ええっ! こんな紙切れに強制力はないですよ!?」

提督「別に強制力とかいらんし。ただ、使い道を早速発見したから使ってみようかなって」

明石「使い道ですか?」

提督「おう、それでいくらだ」

明石「さ、流石にお金は取れませんって。ジョーク商品なんですから」

提督「ふうん、それなら……ほら」

明石「? どうしたんですか、肩たたきしてほしいんですか?」

提督「逆だ、してやるから好きに使え」

明石「え、えっと……」

提督「交渉の仕事もだが、こうして店番もしてくれているだろう。その感謝だ」

明石「て、提督が感謝……!?」

提督「なんだ、意外か?」

明石「い、意外といえば意外ですが……」

提督「ですが?」

明石「その……嬉しくて……」

提督「……」

明石「で、では、もししてほしい時が来たら、ありがたく使わせて頂きますね」

提督「……うーん、まだ固いな」

明石「固い、ですか」

提督「やっぱ、物だけの労わりじゃ足りないか」

明石「そ、そういうわけでは……!」

提督「いや、明石、お前は頑張ってくれている。これからもよろしく頼むな」ナデナデ

明石「て、提督……ありがとうございます」

―執務室―

提督「肩たたき券が売られてなかったら、こういうことしようと思わなかっただろう」

提督「とはいえ、感謝の念を抱いていたのは本当だ。良い機会だった」

↓2

―秋月型の部屋―

提督「今日のおやつは桜餅だ!」

秋月「……だいぶ前に量産した奴じゃないですよね」

提督「さすがに違う。余ったもち米ではあるけども」

秋月「それなら、いいですけど」

提督「……でも、秋月の事だから、あの時の桜餅でも食べるだろ」

秋月「そ……! そんなことはない、ですよ?」

提督「さすがに冗談って事にしておけ」

秋月「はい……」

提督「一応言っておくと、これは俺が作った物だから、味に関しては保証しないぞ」

秋月「それは保障されてるって事じゃないですか?」

提督「……褒めても何も出んぞ」

秋月「そういうつもりじゃないですよ」

提督「とにかく、まずは食べてみろ。自信作なんだぞ」

秋月「で、では……」パクッ

提督「……うむ、自分で作って言うのもなんだが、結構上手に出来てるな」

秋月「そうですね……すごくおいしい……」

提督「これなら間宮のデザートにも勝てるかもしれんな」

秋月「いえ、それは無理かと」

提督「正直だな秋月」

秋月「あっ、すみません」

提督「真面目なトーンで謝られても……」

秋月「で、ですけど、凄く美味しいのは本当ですよ」

提督「それでも間宮には勝てないんだろ」

秋月「それは……」

提督「……なんて、別に何とも思ってないぞ。そう簡単に間宮を越えれると思ってないし」

秋月「ほっ……ですが、本当に美味しいと思いますよ。この葉っぱとかどうしたんですか?」

提督「どうしたって?」

秋月「なんだか、凄く食べやすいんです。味もしっかりしてますし……」

提督「ああ、そりゃ作ったからな」

秋月「……作った? もしかして、味付けからですか?」

提督「ああ、だから葉も本物だ」

秋月「そ、それは凄いですね」

提督「はっはっは、そうだろう」

秋月(凄いには凄いんですけど……その情熱を別の所に注いでも良いと思うんですけどね)

―執務室―

提督「なんだかんだと楽しみながら食べた」

提督「じつは餅の色も桜から取った物だったり」

↓2

―庭―

漣「あれー、どこに行ったんだろ」

卯月「おや、誰か探してるぴょん?」

漣「そんなところ」

卯月「実はうーちゃんも探してるぴょん」

漣「おやおや、それはそれは――」

卯月「……」

漣「ご主人様が怪しいね」

卯月「ぴょん」

~~~~~~~~

提督「おー、よしよしよし」

巻雲「司令官様、巻雲にも触らせてください!」

提督「じゃあ、かわりに巻雲のウサギも触らせてくれ」

巻雲「いいですよ、はい」

提督「ありがと」

漣「あーっ! ようやく見つけましたよ!」

提督「げっ、もう見つかったか」

卯月「うーちゃんたちのウサギを勝手にとるなんて、よくもやってくれたぴょん!」

巻雲「え、でも可愛いですよ?」

漣「可愛いのは知ってる、そういうことじゃないから」

巻雲「??」

卯月「……はぁ、なんだかもういいぴょん」

漣「これが脱力系巻雲ちゃんの力……」

卯月「司令官はどうしてうーちゃんたちのウサギを狙ったぴょん?」

提督「飼育してみたかった」

漣「うーん、イエローピーポーですかね」

巻雲「黄色の救急車のこと?」

卯月「ここまで救急車来てくれるかな?」

提督「カー! ボケがいのない子たちだよ!」

漣「突っ込みいないですからね」

提督「とりあえず、飼育は半分冗談で半分本気だ」

卯月「うーちゃんに対してのイタズラじゃないぴょん?」

提督「いたずらでウサギをさらったりするか。まあ、真面目な話をすると、生態の管理だな」

巻雲「せいたい……?」

提督「なんだ、このウサギたちはお前らに引っ付いてきたものだろ。それ故に疑問も尽きないわけだ」

漣「でも、ご主人様はそこまで気にしていなかったですよね」

提督「上の方がな……ほれ、ニンジンだぞ」

巻雲「ウサギってニンジンをあまり上げない方がいいんですよ。あげるなら葉の方がいいです」

提督「えっ……そ、そうなのか?」

兎<コクコク

漣「は、初めて知りました……」

卯月「うーちゃんも……」

提督「ま、巻雲に教えられる日が来るとは……」

巻雲「?」

―執務室―

提督「意外とウサギは凶暴だし、構いすぎるとストレスがたまるという……」

提督「想像のウサギとは大違いだな……そして、それをまさか巻雲に教えられる……」

提督「いやまて、そもそもあいつらのウサギは実際のウサギと同じように扱ってもいいのか!?」

下2

―食堂―

提督「三周年パーティだ!」

吹雪「はあ、そうですね」

提督「どうした吹雪、もっと盛り上げてもいいんだぞ」

吹雪「いえ、この鎮守府もそんなにたつんだなぁ、と思いまして」

提督「感慨深いというやつだな」

吹雪「そう、かもしれませんね」

電「こうして過ぎた時間もいいことばかりではないのです」

五月雨「そうですねぇ」

電「司令官さんには困ったことです」

五月雨「そういう意味で同意した訳じゃないつもりだけど……」

提督「そんなことはどうでもいいだろう」

電「どうでもよくはないのです」

提督「今はとにかく祝う気持ちがあることが重要だ」

叢雲(祝う気持ちがある人なんているのかしら)

電(そんな気持ちがある人は司令官さんだけだと思うのです)

提督「なんか祝う気のないやつの心の声が聞こえた気がするが……」

叢雲「気のせいじゃない」

提督「そうか、気のせいか。じゃあ、まずは乾杯からするぞ!」

叢雲(ちょろいんだけど、ここの司令官は大丈夫なのかしら)

~~~~~~~~

提督「……」

叢雲「大体あんたは――」クドクド

電「どうせ司令官さんは何にも考えてないのです」

吹雪「それはそうかもしれませんね」

提督「……こいつら酔ってない?」

五月雨「す、すみません、私が間違えて頼んでしまったみたいで……」

提督「またドジっこか」

五月雨「ど、ドジっこって言わないでください」

提督「だが実際に祝う状況じゃなくなったし……って、そういや漣は?」

五月雨「……あっ」

提督「……それは謝っておけよ」

―執務室―

提督「また別の機会にすることにした」

提督「初心のころからの付き合いだし、その時に何かお礼するべきかもしれんな」

下2

―庭―

提督「さて、今日も今日とで……あれは霰?」

霰「? 司令官……」

提督「こんなところで何をしているんだ?」

霰「ん……飼育」

提督「し、飼育? 動物とかは飼うのは禁止だぞ」

霰「動物じゃない……」

提督「動物じゃない? ……昆虫、か?」

霰「少し当たり……」

提督「少し?」

霰「正解はこれ」スッ

提督「……お、おう」

提督(なんか知らんが芋虫を見せられた。何の幼虫だこれ)

提督「気持ち悪いと思わないのか?」

霰「むしろかわいい……かも……」

提督(マジかよ)

霰「最初はあまり……だったけど、飼ってみると意外と……」

提督「飼ってみるとって?」

霰「んー、朝潮に言われたから、です」

提督(なんかあったのかな……)

霰「司令官は、虫苦手?」

提督「そうでもない。だが、幼虫育てる奇特な奴がいるとは思ってなかったってのがな」

霰「そう……」

提督「……ちなみに、育ててどれくらいなんだ?」

霰「半年くらい、です」

提督「半年ねぇ……」

提督(……あれっぽいが、まさかなぁ)

霰「どうかした……?」

提督「いや、なんでもない。まあ、生き物育てること自体はいいことだ。迷惑にならない程度に頼む」

霰「うん……」

提督「……」

霰「……?」

提督「一回だけ餌やりやらせてくれ」

霰「いいよ……」

―執務室―

提督「流石に半年も育ててるんだから、何が育つか知ってて育てているだろう」

提督「一応こっそり飼育しているみたいだし、このまま見守っておくか」

下2

―母港―

神通「……」

提督「どうした、何か見えるのか」

神通「提督……見えるとするのなら、黒に染まった海ですね」

提督「そうか、それもそうだな」

神通「今日は静かですし、少し涼みに来たんです」

提督「涼みに……なるほどな、確かに今日は良い風が吹いている」

神通「提督はどうしてここに?」

提督「なに、俺も涼みに来ただけだ」

神通「ふふ、奇遇ですね」

提督「まったくだ」

神通「……そういえば、手に持っているそれはなんですか?」

提督「ああ、桜餅だ。いるか」

神通「いいんですか?」

提督「ああ、外を歩いて出会った奴と適当に食べようと思ってたからな」

神通「適当な選び方ですね、それ」

提督「それぐらい気楽な理由の方がもらいやすいだろ?」

神通「そう言われると……もしかして、提督」

提督「考えても無意味だろう、いいから食べろ」

神通「提督は不器用ですね」

提督「今日はなんとなくそんな気分なんだ」

~~~~~~~~

提督「……そろそろ部屋に戻るか」

神通「はい、私はもう少し海を見ていますね」

提督「ん、そうか」

神通「体を冷やさないように気を付けて下さいね」

提督「それは神通の方もだろ」

神通「はい、気を付けるようにします」

提督「……いや、やっぱいかに春といえども舐めてはかかれんな」

神通「?」

提督「ちょっと後ろむいてろ」

神通「はい……えっ?」パサッ

提督「上着を貸しといてやる。じゃあな、なるべく早く戻れよ」

神通「そんな、気にして頂かなくても……」

提督「春だからこそできる芸当だからやってみたかっただけだ。風邪が温かくなってはいるが、夜だとまだ寒い今だけのな」

神通「……本当に、今日の提督は不器用ですね」

―執務室―

提督「近々また作戦があるからって緊張してるのだろうか」

提督「だがまあ、あの様子なら自分で解決するだろう。きっとな」

↓2

霰「司令官、新しい技覚えた……」

提督「新しい技? ははは、いったいどんな技なんだい」

霰「ここで見せても良いの……?」

提督「もちろんさ。さあて、どんな技を見せてくれるのかな」

霰「うん……」

提督(どうせ可愛い感じの攻撃だろう、暖かく見守ってやろう)

霰「スゥ……んちゃーーーーーーーーーーーーーー」

ドゴーン!!

提督「……う、うん? あれ、おかしいな……砲撃にも耐えれるように作った執務室が……あれ」

霰「どう……ですか?」

提督「いや、どうっていうか……いやいやいや! ちょっ、何その破壊力!?」

霰「何って……んちゃ砲です……」

提督「マジで!? というか、執務室の半分が壊れたんだけど!? 生きてるのが不思議なくらいなんだけど!?」

霰「当たらないように撃ったから……」

提督「すごいなおい!」

霰「えっと……どうします……?」

提督「どうするって……執務室はまた修理だな……つーか、その技があったら武器とかいらないんじゃ……」

霰「そうですか……?」

提督「つーか、これ相当やばいんだけど、どうやって出したんだ?」

霰「気付いたら……出せるようになってた……」

提督「気付いたら……まあ、こんな技術をもっているのは妖精さんくらいだし、そこの線を当たってみるか……」

霰「……あっ、司令官……後ろ」

提督「ん? うごっ!!」ゴンッ

~~~~~~~~

提督「……あれ、ここは……」

明石「あ、起きましたか。ここは医務室です」

提督「えっと、俺何をやってたんだっけ」

明石「すみません、改装用の資材が飛んでいってしまって」

提督「ああ、そうか……」

提督(流石にんちゃ砲は夢か……)

明石「その代わりと言ってはなんですが、今度は壊れないように部屋を修理してあげますから」

提督「……え、部屋の修理?」

明石「はい。なぜか部屋が大破していたので、直さないといけませんから」

提督「……その、原因は分かっているのか?」

明石「誰かの砲撃が誤射したと聞いていますけど……でも、砲撃くらいじゃ壊れないようにしたはずなんですけどね」

提督「……」

―提督私室―

提督「跡地は治るまで見に行かない。あれを現実だとは思いたくない」

提督「うん、夢だ、あれは夢に違いない……事実だったとしても、無かったことにしておこう」

↓2

提督「何、いまだに炬燵に潜って出て来ない艦娘が居る?」

吹雪「はい、そうみたいです」

提督「はぁ、まったく……もう春だというのに」

吹雪「気に入るのはいいんですけどね」

提督「そうだが、度が過ぎるというのは何でもいけないぞ」

吹雪「そうですね。……司令官、どこに行くんですか?」

提督「ちょいと問題の部屋をな」

吹雪「一応見に行くんですね」

提督「どうせ初雪やもっちーだと思うんだけど」

吹雪「いえ、今回は――」

―G・ツェッペリン級の部屋―

提督「……まさかお前等とはなぁ、ビス子にグラ子」

ビスマルク「私はそんなビスケットみたいな名前じゃないわよ!」

グラーフ「グラ子とは私のことか?」

提督「とりあえずビスマルクはその亀みたいな恰好をやめろ」

ビスマルク「座ると背中が寒いじゃない」

提督「今は春だからそんなに寒くないだろ!?」

ビスマルク「アトミラールにしては真面な事を言うわね……貴方誰」

提督「いや、元から季節の行事に関しては厳格な方なんだけど」

グラーフ「ふむ、つまり私達からこたつを引き離そうと?」

ビスマルク「出来る物ならやってみなさい」

提督「じゃあ遠慮なく。ふっ!」グイッ

グラーフ「ふん、軽いな」

ビスマルク「ふっふっふ、その程度の力しかないの?」

提督「二人がかりな上に艦娘の御前らが負ける方がよっぽどだと思うんだが」

ビスマルク「負けを認めるということで良いのかしら」

提督「いいや、これだ」ピッ

ゴォォォォ

グラーフ「……なんだか、心なしか熱くなってきていないか」

ビスマルク「確かに……あ、アトミラール、それはなんなの?」

提督「クーラーだ。もっとも、今は暖房にしているのだがな」

ビスマルク「だ、暖房ですって!?」

グラーフ「くっ……」

提督「はーははは!! 何時まで耐えられるのか見ものだなぁ」

ビスマルク「ぐっ、ううう、つ、次は屈しないわよ!」ダッ

グラーフ「あっ……すまないな、この場は預ける」ダッ

提督「ふっ、虚しい勝利だ」

―提督私室―

提督「初雪とかならもっと対策は完璧だっただろうな。相手が弱くて助かった」

提督「……あ、そいえば暖房切ってない……まあ、まだ春だし室温もそこそこで元に戻るだろう。食べ物置いてたら悲惨だが」

↓2

提督「jailhouse height chart wall……それは海外において監獄に入る際、取られる写真……」

大淀「それがどうしたんですか?」

提督「かっこいいと、思わないか」

大淀(また何か変なものに影響受けましたね)

明石「なんですか、撮りたいならおひとりでどうぞ」

提督「どうした明石、機嫌が悪そうだが」

明石「それを貴方が言うんですかね……部屋の修理に徹夜したんですよ……」

間宮「ま、まあまあ明石さん、提督が壊したわけじゃないんですから」

伊良湖「謎の砲撃もそれはそれで怖いんですけどね」

間宮「それで、私達を呼んだ理由とは?」

提督「一緒に写真、撮ろうか」

提督「jailhouse height chart wall……それは海外において監獄に入る際、取られる写真……」

大淀「それがどうしたんですか?」

提督「かっこいいと、思わないか」

大淀(また何か変なものに影響受けましたね)

明石「なんですか、撮りたいならおひとりでどうぞ」

提督「どうした明石、機嫌が悪そうだが」

明石「それを貴方が言うんですかね……部屋の修理に徹夜したんですよ……」

間宮「ま、まあまあ明石さん、提督が壊したわけじゃないんですから」

伊良湖「謎の砲撃もそれはそれで怖いんですけどね」

間宮「それで、私達を呼んだ理由とは?」

提督「一緒に写真、撮ろうか」

―監獄室―

伊良湖「こんなところがあったんですね……」

明石「地下に一応作っただけですよ。まさか、初めて使うのがこんな使い方だとは思いませんでしたけど」

提督「むしろ、このために作っておいたのだろう」

明石「何言ってんのこの人……」

大淀「明石さん、寝不足がたたってキャラ崩壊してます」

間宮「でも、本当に個のためだけに作ったかのようにそろってますね……」

伊良湖「囚人の服に背景の壁、ううん……確かにそんな感じにも見えますね」

提督「まあまあ、ご都合主義てことで……早速着替えようか」

大淀「本当にとるんですね」

提督「当たり前だ。俺は基本的に撤回はしないからな」

大淀「はぁ……」

~~~~~~~~

提督「よーし、よく撮れてるな」

間宮「は、恥ずかしいですね」

伊良湖「どんな感じですか?」

提督「伊良湖は唯一無邪気な表情だな。うん、ほかの奴との対比で悪人に見えないこともないけど」

伊良湖「ど、どういうことですか?」

提督「間宮とかは、撮るときに少し頭を振ったのか、髪が顔にかかってちょっと暗い感じになってな」

間宮「ほ、本当ですね。恥ずかしい……」

大淀「提督も、無駄に決めポーズしたせいで、明らかに危ない人に見えますよ」

提督「うわ、撮るタイミングミスったな……って、大淀なんてメガネが光って頭脳派犯罪者みたいになってるぞ!」

大淀「ず、頭脳者犯罪はさすがに……いえ、なんだか否定できない気も……」

提督「明石なんてマッドサイエンティストみたいな感じだぞ」

間宮「目の下にクマがあるのが原因ですけどね」

提督「……なんか、本当に犯罪者の写真みたいだな」

―執務室―

提督「明石の犠牲のおかげで執務室は復活した」

提督「しかし、その対価としてこちらの写真黒歴史が永遠と刻まれることに……」

下2

―鳳翔の店―

あきつ丸「そもそも海軍がしっかりしていれば問題なかったのであります」

提督「陸を守るのは陸軍の務めだろ。むしろ、滅多に敵が上がってこない陸で陸軍何やってたの? お遊戯会?」

あきつ丸「言うに事欠いて自分の失態は棚上げでありますか!」

提督「失態って、むしろあの人数を完ぺきに抑えろってのが無理だろ」

あきつ丸「失態は失態であります」

提督「仮に失態だとして、陸は何やってんだって話だ。やすやすと敵を見逃して、スパイなのか?」

あきつ丸「早く情報をもらえれば見逃しもしなかったであります」

提督「情報を与えなけりゃ気づかなかった時点で警戒を怠ってたってことだろ」

あきつ丸「最初に敵を逃した海軍殿には非はないと?」

提督「少なくとも、のんきにしていたそっちほどは、な」

霞「……あれ、何してんの」

鳳翔「いがみ合う陸軍海軍将校ごっこだそうです」

霞「ただの口げんかに見えるんだけど……」

鳳翔「架空の事件でいろいろ設定を重ねているうちにああなったみたいですね」

霞「馬鹿なのかしら……」

鳳翔「……」

龍鳳(否定しないんですね、鳳翔さん)


提督「つーか、そもそも陸軍弱すぎなんだよ」

あきつ丸「はぁ、海の敵を陸が倒せとおっしゃるつもりでありますか?」

提督「いやいや、陸も守れない陸軍にそんな無謀なことを頼むわけないじゃないか」

あきつ丸「海をさっさと平和にできない海軍に頼まれても聞くことなんて何もないでありますよ」

提督「ほお、守れてないのは認めるわけか」

あきつ丸「事実無根の出来事を並べられても認めるも何もないであります」

提督「なるほど、事実を改ざんか。現実を直視しない陸軍らしい反応だ」

あきつ丸「そんなことはないでありますのに……どうしても責任転嫁をしたいみたいで」

提督「事実だけを見れば圧倒的に陸軍が悪いというのがわかるというのに……哀れだな」

あきつ丸「哀れなのは海軍の方であります」

提督「は?」


霞「……あいつら黙らせてもいい?」

鳳翔「……」

霞「無言は肯定をみなすわね」

龍鳳(ああ、鳳翔さん表情まで消して……気持ちはわかりますけど)

―執務室―

提督「ちょっとヒートアップしちゃったな、ごっこのつもりだったんだが」

提督「実際はまあ、もうちょっと陰湿な感じでやりたかったんだけど……」

下2

提督「そろそろ季節も変わるな」

五月雨「四季的にはまだ春だと思いますが……」

提督「卯月から皐月に変わるな」

五月雨「どうして旧暦で言ったんですか?」

提督「そうなると、五月雨も来るだろう」

五月雨「私ならここに……あ、五月雨ってそういう……」

提督「さあ、この季節にふさわしい飾りつけをするぞ!」

五月雨「今回も独断決行ですね……はい、つきあいます」

提督「まずはかしわ餅だな」

五月雨「かしわ餅ですか、確かにちょうどいいですね」

提督「このかしわ餅を、棚の上に置きます」

五月雨「すごく大量に置きますね……」

提督「誰かがつまみ食いすること前提だ。多分一週間後にはすべてなくなっている」

五月雨「想像できますね」

提督「次にこいのぼり……は、ちょっと合わないか」

五月雨「どうしてですか?」

提督「こどもの日は男の子の日だからな。鎮守府に飾るには合わん」

五月雨「そ、そうなんですか。初めて知りました……」

提督「さて、五月雨が置きたいものはあるか?」

五月雨「わ、私ですか? うーん……」

提督「そんなしっかり考えなくていいぞ。あくまで案だからな」

五月雨「そ、そういわれても、すぐには思いつきませんよ……」

提督「そうか、ならしょうがないか……」

五月雨「……月に合わせるなら、皐月ちゃんの写真を飾れば、なんて……」

提督「それだ!」

五月雨「え」

提督「さすが五月雨だ、なかなかの慧眼」

五月雨「いえ、その、冗談で……」

提督「さっそく等身大パネルを用意だ。さあて、わくわくしてきたぞー」

五月雨(……ご、ごめんなさい。五月雨、またドジをしてしまったようです……)

~~~~~~~~

提督「妖精さんの出来は素晴らしかったが、あまりに素晴らしすぎたのか、皐月が怒って破壊してしまった……」

提督「しょうがないから、予備は自室に飾っておこう」

下2

―デパート―

提督「さて、今日は蒼龍とお買い物だが……来たことあったっけ?」

蒼龍「ありますよ。とりとめもないことですから、もう忘れているかもしれませんけど」

提督「あー、そっか。んで、今日は一体何の用事で?」

蒼龍「少し買い替えるものが多くあったので、すみませんがその付き添いにと……誘った時も言いませんでした?」

提督「すまん、執務から逃げられればいいやと聞いてなかった」

蒼龍「はぁ、提督らしいですけど」

提督「それよく言われる。い、一応心配されるほどさぼってはないからな」

蒼龍(そういう提督だからこそ、誘いやすいんですけどね)

~~~~~~~~

蒼龍「あ……」

提督「どうした、何か欲しいものでもあったか?」

蒼龍「私の、というよりは飛龍なんですけど、これ……」

提督「ほお、かわいらしい小物じゃないか。飛龍はこういうの好きだっけ?」

蒼龍「こういうの、というわけではないですけど、気に入ったみたいなんです」

提督「じゃあ買って帰ってやろうかなっと」

蒼龍「あっ、私が払いますよ」

提督「まあまあ、普段頑張ってる礼ってことで」

蒼龍「礼、ですか……」

提督「……あっ、蒼龍に何もないってわけじゃないぞ。もちろん考えてある」

蒼龍「珍しくフォローが早いですね……」

提督「俺だって成長しているってことだな」

蒼龍「でしたら、何を買ってくれるんですか?」

提督「え? えーと……」

蒼龍「……」

提督「……こ、このオルゴールはどうだろうか」

蒼龍「オルゴール……」

提督「も、もちろん嫌だというのなら別のを考えるのもやぶさかではないぞ」

蒼龍「……いえ、せっかく考えてもらったプレゼントですから、大事にしますね」

提督「お、おう」

提督(大事にするって、適当に選んだものだとは言えないな……)

蒼龍(なんて、思ってそうですけど、そこは黙っておきましょうか)

―執務室―

提督「今日は珍しく振り回されてしまった」

提督「蒼龍に振り回されるとは……一度下手に出るといかんな」

下2

―山―

提督「山は便利だな、いろいろな用途に使える」

青葉「そのいろいろな用途に使おうとする人は司令官一人だけだと思いますけど」

若葉「山に行く人自体が少ないものだからね」

提督「とにかく、今日の目的はわかってるな」

青葉「森林浴ですよね」

若葉「そうだな、だが提督に一つ聞きたいことがある」

提督「言ってみろ」

若葉「なぜ若葉を連れてきた。安らぎを求めるならば、もっと他に適した子がいるだろう」

提督「甘いな若葉、確かにそうかもしれない。だが、俺はあえてネタになる方を選ぶ」

若葉「ネタになるだと? どういう意味だ」

提督「新緑だけに若葉……そういう意味だ」

若葉「」
青葉「」

青葉「……はっ、あまりの寒さに青葉まで凍ってしまいました」

提督「なんだどうした、いい風が吹いてるが寒いというほどでもないだろう」

若葉「それくらい面白くないシャレだった」

提督「お、おう、ズバズバ言ってくるな」

青葉「自分の名前を使われたのなら当然だとも思いますけどね……」

提督「さて、こうして歩いているが、周りはちゃんと見ているか?」

青葉「司令官の相手をしていてそれどころじゃないですよ……」

若葉「……いや、確かにこれは見ておいた方がいい」

青葉「え? うわ……」

提督「ちょっとした知り合いから教えてもらったんだ。絨毯が敷かれているようなこの緑の道。あ、もちろん緑の道は暗喩だぞ」

青葉「そこ、説明はいりませんて」

若葉「だが、本当にすごいな」

提督「写真で送られてきて行って見たかったんだ」

青葉「そうですね、深くまで上るわけでもないですからちょうどいいですし」

若葉「ああ、気に入ったぞ」

提督「そうか、それならばよかった」

―執務室―

提督「公園でもきれいな風景になっているが、人が来ないといえば森だからな」

提督「二人とも満足そうだし良かった」

下2

―カラオケ店―

提督「きーみーがーあーよーおーはー」


漣「初手君が代とはなかなか乙なものですね!」

提督「だろう。漣も真似していいんだぞ」

漣「それはお断りしておきます」

提督「そ、そうか」

漣「それより、漣は何を歌えばいいと思いますか?」

提督「好きなものでいいと思うぞ。カラオケとはそういう場だろ」

漣「そうですかね、では、漣はのれる曲にしますね」

提督「のれる曲? あっ……」

漣「やっぱり電波曲でしょー!」

提督「うむ、さすが漣というべきか」

漣「さあさあ、漣も今日はどんどん歌いますよ!」

漣「……七〇点ですね」

提督「うーん、もうちょっと点はのせられたな」

漣「そうですねー。来るのは久しぶりですから」

提督「とりあえず適当に何か頼むか」

漣「ご主人様の奢りですかな~?」

提督「そうだな。それでいいぞ」

漣「じゃあ、ゴチになりまーす」

提督「漣は素直だな、ほかの奴なら警戒して断りそうなものなのに」

漣「ご主人様からの親切は善意であることが多いですからね」

提督「それだけの理由で?」

漣「一応漣だってご主人様とずっといるんですよ」

提督「ああ、なんとなく察した」

漣「それより、どうしてご主人様は漣をカラオケに誘ってくれたんですか?」

提督「伝達ミスで漣にわたっていなかったパーティがあったから、その埋め合わせだ」

漣「なるほど……だったら、まだその埋め合わせは有効ですよね」

提督「カラオケにいる間はな」

漣「だったら、デュエットのある曲を一緒に歌いましょう」

提督「そ、それもいいな」

漣「じゃあ、そっそくいろいろな曲を入れておきますね!」

提督「その前に何か頼むんじゃ……まあ、いいか」


―執務室―

提督「漣は満足してくれたようだ」

提督「得点はあんまり芳しくなかったが、ネタ曲ばっかりだったからなー……」

下2

提督「今回は読唇術を学ぼうと思う」

如月「読心術ですか?」

提督「なんか微妙にニュアンスが違うな……口の動きを読み取る方の読唇術な」

如月「読唇術、ですか」

提督「ああ」

如月「どうして突然……いえ、なんで学ぼうと思ったんですか?」

提督「戦略の幅って奴だな」

如月「戦略の……?」

提督「ほら、声の届かない範囲でも命令を受けたりできるだろう」

如月「そう? その距離だと唇の動きは見えないきがするのだけど」

提督「……か、かっこいいだろ、読唇術」

如月「うふふ、ですね」

提督「ええい、とにかくやってみるぞ!」

如月「強引なんですから……如月はどうすればいいんですか?」

提督「そうだな、俺が如月の口の動きをみてりかいしてみるから」

如月「なんらかの言葉を喋ればいいんですね」

提督「ああ、じゃあさっそくやってみるか」

如月「はい。――――――――」パクパク

提督「なんか、なにか食べているみたいだな」

如月「司令官?」

提督「す、すまん。真面目にみるからそう怒らんで」

如月「わかりました。もう一回だけですからね」

提督「おう」

如月「――――――――」パクパク

提督「ふむふむ」

如月「――――――――」パクパ

提督「ふむ?」

如月「……あ、あの」

提督「どうした」

如月じっとみられるのって、恥ずかしいですね……」

提督「恥ずかしい? うーん……かもな」

如月「……もう、司令官ったら、反応薄すぎよっ」

提督「今は読唇術できるように練習しているわけだしな、そういうことに気が回りにくいんだ」

如月(練習でなくても気にかけてくれないのだけれど……)

~~~~~~~~~

提督「少しなら理解できるが、完璧とは言い難いな」

提督「ちなみに如月がいった言葉は……まあ、いいか、何でも」

下2

―談話室―

提督「おー……」

島風「はっやーい!」

涼風「……なんか見てんのか?」

提督「レースやってたから、適当に見てる」

涼風「へーぇ」

江風「でも、なかなか面白いな!」

海風「あの黄色い車……ええと、名前は忘れましたけど、あの車がコーナーで追い越したシーンは少々興奮してしまいました」

涼風「そんなにいいもんか? どれ、今はどんな感じだ」

提督「今はえっと……日産だっけ、あそこがトップを譲るかってところだ」

江風「あの赤い車も頑張ってるんだけどなぁ」

島風「速いよね!」

涼風「……」

提督「どうした、涼風」

涼風「もしかして、全員よくわかってないのに見てるのか」

江風「……おいみろよ、あの青い車追い上げがすごいぞ!」

提督「おお、本当だな!」

涼風(まあ、スポーツカーなんてあたいらに関係はないけどさぁ……)

提督「まあまあ、細かいことはいいじゃないか。みんなで仲良く見ようじゃないか」

涼風「だな……」

島風「でも、トップ速いねー」

提督「ブレーキングが上手いんだろ。後続もうまくふさいで抜かせないようにしてるしな」

江風「上三つは団子だから、いつ抜かれてもおかしくないんだよな」

海風「そこからは少し間が空いているから、後続は無理でしょうけど」

提督「だが、そっちはそっちで固まっている。なんにせよどこで仕掛けるか、それが結果を握るんだよな」

涼風(にわかっぽい感じで実況続けてんなぁ……ま、楽しそうならそれはそれで)

―執務室―

提督「車とか知らないのに見ても面白く……いや、面白かった」

提督「スポーツは先入観ない方が肩ひじ張らなくて見れるから、知らないなら知らないなりに楽しめる」

下2

―デパート―

提督「……」

天津風「何見てるの? ゲームセンター?」

提督「正しくはエアホッケーだ」

天津風「あなたって本当、こういう子供っぽい遊びが好きよね……」

提督「なにを! エアホッケーは海外で世界大会が行われているほどの有名スポーツだぞ!」

天津風「そ、そうだったの?」

提督「ああ。そこで天津風、一発どうだ?」

天津風「一発って言い方はちょっとアレだけど……いいわよ」

提督「よし、そうときまれば――」

提督「百円投入」
舞風「百円投入」

提督「……! 舞風、お前もか」

舞風「提督、この場は譲りませんよ」

提督「……」

舞風「……」

提督「かかってこい!」
舞風「かかってきてください!」

天津風「なにこれ」

萩風「なんなんでしょうかね」

提督「天津風、サポート頼んだぞ」
舞風「こっちもお願いね!」

天津風「私も!?」

萩風「いつの間にか参加することになってる……」

~~~~~~~~

提督「こいつでとどめだ!」カーン

舞風「リズムに乗りますよ!」コーン

提督「まだ甘い!」カーン

舞風「そっちこそ、遅いですよ!」コーン

天津風「あら、私も混ぜて欲しいのだけれどっ」ポーン

舞風(っ! 思ったより速い!)

萩風「それはこっちの台詞でもありますよ」キン

天津風「あら、なかなかやるわね。じゃあ、これはどうかしらっ!」コォーン

萩風「壁にあてた販社でかく乱ですか。でも、それは無意味です」トス

天津風「なっ、止めた……!」

萩風「反射したくらいなら、全然簡単ですね」

天津風「……いいわね、なかなかに楽しめそうじゃない」

提督「……なあ舞風、二人超ノリノリだったな」

舞風「は、はい、そうですね」

―執務室―

提督「一番反応薄いやつがはまりやすい気がする」

提督「ちなみに結果的には天津風が僅差で勝ったけど、実力そのものは決行していたな」

下2

―公園―

秋津洲「バードウォッチングに来たかも!」

提督「誰に説明しているのか、みたいな不毛な問いはしないぞ」

秋津洲「それで……b-度ウォッチングが何かわからないかも」

提督「バードウォッチングがわからないって、そのままだぞ?」

秋津洲「そのまま?」

提督「……鳥を観察するんだ。そのためにもカメラとかも持ってきたわけだしな」

秋津洲「へー、よくわからないかも」

提督「すぐに思考を放棄するなよ……」

秋津洲「とりあえず、鳥を見ればいいかも?」

提督「そうかも」

~~~~~~~~

秋津洲「うーん、あんまりいないかも」

提督「公園にいる鳥なんてカラスとか鳩とかスズメくらいしかいないしな」

秋津洲「う~、面白くないかも……」

提督「まあ、見るだけだとそうかもしれないな」

秋津洲「見るだけだと? 何かあるの?」

提督「なぜ今回、山ではなく公園を選んだのかというと、これを使うことができるからなんだ」

秋津洲「そ、それは……たべもの?」

提督「察しないのか? これをこう、ばらまくことで……」

バサバサッ

秋津洲「鳥たちが集まってきたかも!」

提督「ここの公園は餌付けが許されているからな。どうだ、秋津洲もやってみるか?」

秋津洲「いいの?」

提督「趣旨とは離れるかもしれないけど、別に大丈夫だろ」

秋津洲「わーい、じゃあいっぱい餌やりするかも!」

提督「じゃあ、俺はこっちの方で観察してるから」

秋津洲「わかったかも!」

提督(まあ、元々俺は自然の鳥ではなく人と戯れる鳥を撮りたかったわけだから、ちょうどいいんだけど)

秋津洲「……あ、あれ、鳥さんたちが寄ってこないかも~!」

提督「……あいつ、鳥から好かれてないタイプなのか」

―執務室―

提督「意外と公園の鳥を見るだけでも楽しかったりするのだが」

提督「今回はまあ、秋津洲に持ってかれたな」

下2

―談話室―

提督「DTMやってるなー」

ビスマルク「DTM?」

グラーフ「見たところレースのようだが……」

提督「え、お前ら知らないのか。自国でやっているというのに」

ビスマルク「し、知ってるわよ。車が競い合うんでしょ?」

提督「本当に概要だけだな……」

プリンツ「今はスーパーGTとの寄り合わせもあるので、詳細は変わる可能性もありますからね」

提督「それもそうか。まあ、テキトーなこといってるだけの可能性もあるが……」

ビスマルク「そ、そんなことないわよ!」

マックス「で、そのDTMがどうかしたんですか」

提督「ああいや、今ちょうどテレビでやってるなーって」

マックス「ドイツのレースがですか?」

提督「いんや、誰かが差しっぱなしのDVDに入ってた」

マックス(それって見てはいけなんじゃ……)

レーベ「でも、面白そうだね!」

ビスマルク「そうね、どれが優勝するのか当ててみたりするともっと面白いんじゃない?」

レーベ「それいいね!」

プリンツ(あれ、でもDVDに入ってたなら、すでに行われているレースじゃ……あ、でも単体のレースじゃわかんないか)

グラーフ「ふむ、ならば私はメルセデスのベンツだな」

マックス「……もしかして」

グラーフ「ふっ、いくら何でも速い車は知っているぞ」

ビスマルク「わ、私もメルセデスよ!」

グラーフ「後出しだな」

ビスマルク「私もそれにしようと思ってたのよ!」

プリンツ(メルセデスが優勝していたのは……いえ、いつの勝負かわからない以上、可能性としては十分にあり得る、か)

提督「……」

プリンツ「……アトミラール?」

提督「オイゲン、ある程度結果を知っているなら、こっちで傍観者となろうではないか」

プリンツ「傍観者?」

~~~~~~~~

ビスマルク「そこ、そこよ! あーもう! 抜けるでしょ!」

グラーフ「く……まどろっこしい……」

マックス「これドライバーが悪いんですよ、そうですよ」

レーベ「一位の人、すごく早いねー」


プリンツ「……あの、私たちを呼んだのって」

提督「まあ、レース本体を知ってたら、こういう見方もあるんだなっていう楽しみ方だ」

プリンツ「上等な趣味とは言えませんよ、アトミラール」ジト

提督「ははは」

―執務室―

提督「えーと、まあ趣味は悪かったかな」

提督「ただ、あんなわかりやすく盛り上がられると、こっちも楽しみがいがあったというか……反省はしない」

下2

グラーフ「アウディ……強いな」

ビスマルク「総合はBMWじゃない!」

レーベ「すごく面白かったね」

マックス「……結果、知ってましたね?」

提督「だからこそ参加しなかったわけだしな」

プリンツ(なんだかんだでみんな楽しそうで良かった)

―睦月型の部屋―

提督「歓迎会だおらぁ!」

睦月「睦月型……じゃないんだよね?」

提督「新型だからな。でも、お前達ならそう言うことを構わずに祝ってくれるだろう」

睦月「もちろん!」

長月「……その新型って、もしや神風型か」

提督「良く分かったな」

長月「私達に話をふるという事はそう言うことかと考えただけだ」

如月「神風型……私達にとっては先輩で良いのかしら」

菊月「この鎮守府の着任順ではこちらが先輩になるのだがな」

三日月「そういうのは来てからでも良いでしょう、まずは準備しないと」

提督「というわけで、突貫作業行くぞー」

~~~~~~~~

パーンパーン

皐月「着任おめでとー! で、いいのかな?」

望月「いいんじゃない? クラッカー鳴らしたからもういいよね……」ノソノソ

提督「もっちーはぶれないなぁ」

神風「作戦中なのにこんな……いいの?」

弥生「うちはいつもこんな感じ……」

神風「やっぱり不服よね」

弥生「怒ってないです」

卯月「うーちゃんたちも作戦の息抜きもしたいから、こういうのは大歓迎ぴょん!」

提督「うーちゃんは悪戯とかいっつもしてるから、息抜きとか必要無いだろ」

卯月「イタズラと息抜きは別物だぴょん!」

神風「な、なんだか変な鎮守府ね」

文月「すぐなれるよ~」

長月「そうだな。これでもやることはやっている、心配することはない」

神風「そ、そう。信頼しているのね」

長月「まあな」


提督「さあて、まずは歓迎会の一発芸を」

皐月「自信満々だね」

弥生「面白くなかったらどうするんですか」

提督「え……ご、ごめん、そんなに怒るとは」

弥生「怒ってないです。その反応わざとですよね」

提督「おう。そして今は怒っているのも気付いている」ダッ

卯月「しれーかんが逃げたぴょん! 追えー!」


神風「……信頼、できるのかしら?」

長月「……」

三日月「だ、大丈夫ですよ! ……多分」

―執務室―

提督「春風の着任は少しずれるらしいとのこと。また別に歓迎会をしておくか」

提督「というか、初っ端から懐疑的視線を送られていたのだが、何かしたっけ」

↓2

―???―

提督「……」E:黄色のタイツ

ヲ級(また何か始めましたね……あ、このお茶美味しい)

北方棲姫「それなにー?」

駆逐棲姫「どうしてそんな格好してるの?」

提督「……怪人ヲ級、覚悟しろ!」

ヲ級「ブーーッ! ごほっ、ごほっ……な、なんで私に矛先が向くんですか!」

提督「二人共、ストレッチパワーでこいつをやっつけるぞ!」

北方棲姫「すとれっちぱわー?」

提督「腕を伸ばしたり体を解したりする運動の事だ」

駆逐棲姫「人間ってそんなことするんですね」

提督「そんなにおかしなことか? 体が無い奴も居るから習慣が無いのかな」

ヲ級「それで、私が敵とは一体……」

提督「そうだ、怪人ヲ級よ、ストレッチパワーを受けてみるがいい!」

ヲ級「そもそもストレッチパワーとはなんですか!」

提督「さあ、みんなでこのポーズをとるんだ!」

ヲ級「私はスルーですか」

北方棲姫「こうでいいのかな……」

駆逐棲姫「んー、ストレッチって言うのがどういうのか分からないから……」

提督「わからない? そうだなぁ、こんな感じで」スッ

駆逐棲姫「あっ、ありがとうございます」

ヲ級「……馴染んでますね」

提督「じゃあ、皆で来たところで数を数えるぞ! いーち!」

北方棲姫「にー」

駆逐棲姫「さーん」

ヲ級「……えっ、私も言うんですか? し、しー」

提督「ごー! ストレッチパワーがここに集まってきただろう」

北方棲姫「なんとなく、そんなかんじがする!」

駆逐棲姫「なんとなくですけど、そんな気も……」

ヲ級(それは気のせいだと思いますが……)

提督「よし、それじゃあ今日の所は帰るな」

北方棲姫「またね!」

駆逐棲姫「また遊びに来て下さい」

ヲ級(この人の要件これだけ? というより、敵の総大将を平気で送り出すというのも……やっぱり一番恐ろしいのはあの人間かもしれません……)

―執務室―

提督「部屋に置いておいても腐るだけかと思って着て来たが、反応が無かったな」

提督「うーん、深海でストレッチマンは流行ってないのか……うむ」

↓2

コンコン

「あきつ丸であります。報告書を持ってきたのであります」

提督「報告書? まあ、いい、入れ」

あきつ丸「失礼するのであります」ガチャ

提督「さて、何の報告書だ? 何か報告が必要になる事は任せていなかったと記憶しているが」

あきつ丸「これは秘書官殿からのであります」

提督「秘書官が? 一体何の報告書だ」

あきつ丸「執務室爆破による被害、またその事件の詳細をまとめたものであります」

提督「…………」

あきつ丸「提督殿?」

提督「いや、その報告書はいい、そこにおいておいてくれ」

あきつ丸「ですが、自分には報告書を口頭でお伝えする義務が……」

提督「そんな義務は無視だ。あれは唯の事故だ」

あきつ丸「しかし、どのようにして起こった事故かは提督殿もきちんと把握する必要があるのであります」

提督「それは後で確認しておく」

あきつ丸「提督殿がそういうときは見ないと、秘書官殿から教えて貰ったでありますが……」

提督「くっ、秘書官め……ええい、早く説明するがいい」

あきつ丸「はっ! 事故当日午後過ぎ、謎の砲撃により執務室は……」

提督「謎の砲撃?」

あきつ丸「威力自体は砲撃ではないのでありますが、提督殿がいる方から放たれているので、誰かの砲撃という線が濃厚との調査であります」

提督「誰かの砲撃、ねぇ……」

あきつ丸「明石殿も『戦艦の主砲でもここまで木端微塵にはならない』と言っていたのでありますが、他に可能性が考えられないのでこうなったであります」

提督「戦艦の主砲でも……」

あきつ丸「あ、ですが、明石さんは今まで以上に執務室を頑丈にしたので、安心して頂戴とも言っていたのであります」

提督「そ、そうか……」

あきつ丸「……提督殿は忘れたと仰っていたようでありますが、自分に何か隠しているのでありますか」

提督「な、なーんにも隠してないぞ」

あきつ丸「……」

提督「……」

あきつ丸「……まあ、いいであります」

提督「ほっ……」

あきつ丸「さて、被害については奇跡的に壁以外にほとんど損傷が無かったらしいであります。衝撃でいくらか壊れたものもありますが」

提督「ふーん」

あきつ丸「提督殿が大切にしていたっぽい執務室のガラクタについては木端微塵……とも報告されているのであります」

提督「――なん、だと……」

~~~~~~~~

提督「ショックでほとんど聞いていなかった……いや、ガラクタといえばガラクタなんだが」

提督「ああ、やはり報告なんて聞くべきでは無かった……結局謎の砲撃ってことになってるし……」

↓2

―とある軒下―

ザーザー

提督「買い物から帰ろうとしたら、すごい土砂降りだなぁ……」

五月雨「そうですね……」

提督「この前も雨だったし……これが五月雨ってやつかな」

五月雨「司令官、それが言いたかっただけですよね」

提督「そうともいう。だが、雨は偶然だぞ」

五月雨「流石にそれはわかってますよ」

提督「……で、いつ止むんだろうか」

五月雨「どうでしたっけ……確か今朝の天気予報では……」

「今日は深夜まで雨降るらしいぜー」

「マジか、こんな日に傘忘れる奴はやばいな」

提督「……一日中雨だそうだな」

五月雨「はい、そうでした……」

提督「こうしていても埒があかない。いっそ駆け抜けるぞ」

五月雨「駆け抜けるって……この雨の中をですか!」

提督「どうせ後は帰るだけだ、誰に迷惑をかけるでもない」

五月雨「そ、そうかもしれませんけど」

提督「こうしていてもしょうがないぞ。さあ五月雨、覚悟を決めろ」

五月雨「いえ、私は海に出るので濡れるのは慣れてますけど、司令官が……」

提督「なら問題ないな、行くぞ」ダッ

五月雨「あっ!」

~~~~~~~~

提督「こうして雨に濡れながら帰るのは久しぶりだ!」

五月雨「前にもしたことあるんですか!」

提督「あんときは風邪ひいてな! 五月雨も、帰ったらすぐに風呂に入って体を温めろよ!」

五月雨「司令官もですよ!」

提督「ははは、わかってる!」

五月雨「もう……あっ」ツルッ

提督「おっと、危ない」ガシッ

五月雨「あ、ありがとうございます」

提督「ドジっこも気をつけろよ、水たまりに突っ込むところだったんだから」

五月雨「ドジっこ言わないでください! ……でも、水たまりも今更ですね」

提督「それもそうか。すでに濡れてないところなんてないくらいずぶぬれだしな」

五月雨「ふふ……帰りましょうか」

提督「そうだな。たまにこうして雨に濡れるのも、悪くない」

―執務室―

提督「さすがにこの季節でも濡れて帰るのは寒いな……」

提督「ま、雨の中濡れて歩くのは嫌いじゃないが」

下2

提督「皐月? 可愛いね!」

皐月「な、何、突然」

提督「例のあのセリフはいつ聞いてもよくてな」

皐月「あのセリフ?」

提督「そう、これ」

皐月『ボクとやりあう気なの? かわいいね!』

皐月「い、いつの間に撮ってたの!?」

提督「そりゃ通信からさっと音源だけ」

皐月「うぅ、恥ずかしいよ司令官……」

提督「で、改二にもなっただろう」

皐月「うん」

提督「こりゃ今一度皐月の可愛さを再確認するときかなって」

皐月「可愛さを再確認って、司令官いつにもましていきなりだよね」

提督「嫌か?」

皐月「それは意地悪だよ……」

提督「ふふん、断れないと思って聞いたからな」

皐月「いい性格してるよね、司令官」

提督「そもそも、皐月の方だってよく可愛いって言ってくるだろ」

皐月「え、そうかな?」

提督「たしかホワイトデーの時とか言ってなかったか」

皐月「あ……」

提督「だから、こう、お返しをな」

皐月「具体的にどうするのさ……」

提督「そうだな……ほら、こっちこい」ポンポン

皐月「? うん」

提督「ほら」グイッ

皐月「わっ、ひ、引っ張らないでよ。もう、ボクを膝の上に座らせてどうするつもりなの」

提督「可愛い可愛い皐月ちゃんには、こうして愛でてあげようかと思ってな」ナデナデ

皐月「く、くすぐったいって、司令官」

提督「だが嫌ではないんだろ」

皐月「う~、そうやって先回りしないでほしいな」

提督「ふふ、まあ今日の皐月には拒否権はない。のんびり撫で繰り回されるといいわ」

皐月「撫でって…………えへへ……」

提督(あ、本当に嫌じゃないんだ)

―執務室―

提督「冗談じゃなく皐月は可愛い」

提督「ちょっとお姉さんのようでまだまだ子供っぽいところとかかわいい」

下2

秋津洲「ラップっていうのが巷の町で大流行かも!」

提督「何年前だよ……」

秋津洲「ラップが何か知ってるっぽい?」

提督「何かは知っているが、作ったりはないな」

秋津洲「ラップがどういうのか教えてほしいかも!」

提督「うーん……夕立、ゆうだちー」

夕立「提督さん呼んだっぽい?」

提督「こちらのお嬢さんにラップを教えてやれ」

夕立「適当なこと言わないでほしいっぽい。夕立、ラップなんてうたったことないよ」

提督「あれ、そうだっけ? 誰かから妙にテンポのいい歌を聞いたんだけど……」

秋津洲「とにかく、教えてほしいかも!」

提督「まあ、簡単に言えば今日のテンポに合わせて言葉を連ねることだな」

秋津洲「どういうことかも」

提督「そうだなぁ……ヘイ秋津洲お前は無茶ぶり大杉あり得ないついでにかもかも大杉マジあり得ない」

秋津洲「いきなり馬鹿にするなんてひどいかも!」

夕立「音楽がないとやっぱり変っぽい」

提督「お前ら……」

秋津洲「ほかに何か例は出せないの?」

夕立「提督さんは見てるものが偏ってるっぽいから」

提督「夕立すらフォローに回らないとか、そんなにさっきのラップひどかったか!?」

秋津洲「とにかくテンポに合わせればいいかも?」

提督「そうだよ」

秋津洲「……かもかもかもかもかかもかも」

提督「!?」

秋津洲「かもかもかもかもかかもかも」

夕立「っぽいぽいぽいぽいぽぽいぽい」

提督「!?」

秋津洲「かもかもかもかもかかもかも」
夕立「ぽいぽいぽいぽいぽぽいぽい」

提督「……秋津洲、突然何かましているんだよ。夕立まで一緒になって。まじこいつらクレイジーだぜ」


霞(なにやってるのかしら……巻き込まれたくないから放っておきましょ)

~~~~~~~~

提督「意味なく言葉をつなぎ合わせても、それがテンポ良ければラップ」

提督「まるでロックみたいだな……」

下2

―食堂―

提督「ふーん、深海から使者ねー。どうせまたただの噂なんだろうけど」

赤城「提督、おはようございます」

提督「ああ、おはよう」

赤城「新聞ですか、いいですね。そういえば面白い記事があるの知ってますか?」

提督「面白い記事?」

赤城「はい、なんでも高濃度エネルギーがどこからか放出されたとか」

提督「なんだそれ、怖いな」

赤城「それが、この鎮守府の方から放出されていたみたいなんです」

提督「あー……もしかして、あきつ丸の報告って」

赤城「それはよくわかりませんが、敵からの攻撃かもしれないと思うと、警備はもっと厳重にしないといけませんね」

提督「敵から、ねぇ……」

赤城「?」

~~~~~~~~

青葉「で、そこのところどうなんですか?」

提督「知らん」

青葉「嘘ですよー、何か事件があったらまずは司令官を疑えって言われますから」

提督「誰が言ってんだそれ。間宮券没収するぞ」

青葉「あ、青葉に言われてもわかりませんよ。それで、本当に知らないんですか?」

提督「知らない」

青葉(司令官が目をそらして一言の時は絶対に何か知っているときなんですけどねー)

提督「もういいだろう、さっさと朝食を食べさせろ」

青葉「しょうがないですね、いつか聞かせてもらいますからね」

提督「知らん」

―執務室―

提督「ったく、鎮守府からエネルギーほだなんて、そんなことありえるわけないだろう。気分転換にテレビでも見よう」ピッ

『――鎮守府より観測された高濃度のエネルギーは海の方を伝い――敵に対して放たれたものだと解釈が――』

提督「」

霞「何ぼーっとしてんの」

提督「いや、そのこれ……」

霞「ああ、まあ気にしなくていいんじゃない。適当に言い訳はしておいたし」

提督「え、本当に大丈夫?」

霞「一応大丈夫のはずよ。まあ、こちらとしてもわかってないことに対して追及されてもね」

提督「だ、だよなー」

霞「はぁ……今後は気をつけなさい」

バタン

提督「気を付けろっても、俺もよくわかってないんだけど……」

提督「いや、あれは意地でも夢ってことにするぞ、うん」

下2

―朝潮型の部屋―

提督「朝潮、クイズをしよう」

朝潮「クイズですか?」

提督「ああ。こうした戯れもたまにはいいだろう」

朝潮「戯れ、ですか。はい、いいですよ」

提督「よしよし、では第一問だ。パンはパンでも食べられないパンは?」

朝潮「フライパンですか?」

提督「……では第二問」

朝潮「え、あれ、一問は?」

提督「第二問だ」

朝潮「正解だったんですか?」

提督「第二問。荷物を運んでいたトラックが急カーブをしました。何をおとした?」

朝潮「速度ですか?」

提督「……第三問」

朝潮「正解なんですね」

提督「誰も仕事の遅刻をしない日はどんな日だ」

朝潮「休みの日です」

提督「なぜひっかからない!」

朝潮「どこかで聞いたようなものが多かったのでつい……」

提督「即席でなにか考えろと言うことか」

朝潮「い、いえ、そんなつもりでは!」

提督「いや、フォローなどいらない。自分の実力不足だということはわかっている」

朝潮「実力不足だなんて、そんなことは……」

提督「少し待て。なにかすぐに考えてみる」

朝潮「そ、そこまでしてもらわなくていいんですよ?」

提督「…………」

朝潮(すっかりやる気になってますね……)

提督「よし……第四問。改装設計図を十個持った状態で、最も多く改装できる艦はだれでしょうか」

朝潮「ビスマルクさん……は違いますよね?」

提督「さすがに即席で考えたものはすぐには解けないか」

朝潮「……あ、わかりました」

提督「えっ」

朝潮「正解は――」

―執務室―

提督「まさかこんなに早く分かるとは……」

提督「真面目は子ってこういうの苦手だと思ってたんだがなー」

↓2

提督「アイオワか」

霞「ええ、失礼の無いようにしなさいよ」

提督「何故共に戦う仲間に気を使わなければならん」

霞「一応今回はアメリカの艦娘よ。いつものような馬鹿なマネをするのはよくないわよ」

提督「いつものような馬鹿なマネ? はて、知らんな」

霞「……まあ、あんたは馬鹿ではあるけど間抜けではないから、その辺はまかせたわよ」

提督「心配しなくても無謀なマネなんてしない。で」

霞「?」

提督「まさか秘書官がそれだけの為に話しに来たわけでもないだろう」

霞「半分以上はさっきのが用事なんだけれど……なにか変な事をしようとしているという噂を聞いたのよ」

提督「ふーん」

霞「……まあ、いいわ」

提督(……)

―工廠・深夜―

提督「馬鹿め、俺が大人しくしていると思ったか」

夕張「何を言ってるんですか。こんなもの突然仕入れさせて」

提督「おお、これがフェアレディか。いいではないか」

夕張「また何を考えているんですか」

提督「なに、ちょっとしたサプライズだよ」

夕張(ぜった碌な事しませんよね……)

提督「というわけで、これをここに配備して置け」

夕張「……もしかして、これに乗って扉を突き破って登場とか」

提督「そこまで派手な事はしない」

夕張(それくらい派手な事はするんですね)

提督「ふふふ、まあその時のお楽しみな」

夕張(久しぶりに不安をあおられましたよ……)

―執務室―

提督「といっても、特に何も考えては無かったが」

提督「あっちでもなかなかに有名だろうという気持ちそれだけだったし」

↓2

―提督私室―

提督「さーて、そろそろ寝るかー」

コンコン

提督「ん? 入っていいぞ」

霞「失礼するわ。……もしかして寝てた?」

提督「今からな」

霞「そう、ならいいわ。おやすみなさい」

提督「……どうした、何か悩み事か?」

霞「はぁ……こういう時ばかり鋭いんだから」

提督「そりゃ、いつも見てるからな。様子がおかしいのなんてすぐにわかる」

霞「つまり、あんたがもうちょっと真面目なら見破られることもなかったってことね」

提督「言いたいことはわかるし否定しない」

霞「さて、ちょっと愚痴になるけど」

提督「どんと来い」

霞「……正直、不安なのよ。アメリカ艦、しかも既存で存在している艦娘が来るのは」

提督「なんだ、だからあんなに言ってきたわけか」

霞「ドイツとイタリアの子も今でこそ折り合いはついてるけれど、最初は大変だったし……」

提督「そうか?」

霞「あんたが入ると喧嘩している余裕もなくなるんじゃない」

提督「今日は微妙にけなしてるとも取れる発言するよね」

霞「いつものことじゃない」

提督「それもそうか」

霞「とにかく、今回に限っては私だけで納められるか正直不安よ……」

提督「何かあれば俺が」
霞「あんたは被害を大きくさせるだけでしょ」

提督「それをいわれちゃあおしまいだ」

霞「……なんて、嘘よ」

提督「お?」

霞「司令官が馬鹿なことをしてくれているおかげで、新しく着任した子もなじみやすくなっているのよ」

提督(大真面目にやっていることも多いんだけど)

霞「司令官、一応何もないと思う。けれど、何かあった場合は頼むわね」

提督「おう、まかせとけ」

霞「普段からこれくらい頼りになってくれればいいんだけど……」

提督「ていうか、秘書官はもっとツンデレっぽく打ち明けてくるのかと思ってた」

霞「はぁ……そういうこと言わなければ、素直におわれたのだけれど」ギュッ

提督「え、何その手は――」

―執務室―

提督「気づいたら寝ていた」

提督「秘書官が何か言ってきたような……うーん……まあ、いいか」

下2

―金剛型の部屋―

『本日もまた晴天であり、こんな日にはお寺にも人が訪れ――』

比叡「ひえぇ、お姉様と同じ名前の象とかあるんですね」

提督「なんだ、知らなかったのか?」

霧島「有名ですし、聞いた事くらいあると思いますけど」

比叡「実物は見た事無かったから……」

榛名「少し遠出しなきゃいけませんしね」

提督「写真くらいならすぐに見られるぞ」

比叡「そうですね。金剛お姉様は知っていますかね?」

提督「流石に知ってるんじゃないか。まあ、知らなかったとしても言わない方が良いと思うけど」

比叡「?」

提督「そうだな、分かりやすく作って来てやろう」

霧島(また変なこと考えましたね)

~数十分後~

提督「作って来たぞ」

霧島「一回私に見せてください」

提督「な、なんだよ、ちょっとしたジョークだから怒るなよ?」

霧島「怒るような物作って来たんですか……どれ」

提督「金剛力士像の顔を金剛にしたぞ」

霧島「……絶対に金剛お姉様に見られないようにしてくださいよ」

提督「分かってるって」

比叡「見ても良いんですか? ……ひえーっ!」

榛名「あっ、比叡お姉様、そんな突然手を離しては……!」

ビュオオオオオオオオ バサッ

提督「大変だ! 風でクソコラが飛んで行ったぞ!」

榛名「たしか、もう金剛お姉様が帰ってくる時間ですよね!?」

霧島「分かっていた展開でしたけど!」

―母港―

金剛「フー、今日も近海は平和でしたネー」

天城「そうですね。……あれ、こっちに走ってきているのって、提督じゃないですか?」

金剛「提督ー!? もしかしてワタシに早く会いたくて迎えに来てくれたんですネー!」

天城(あの提督でそれは無いと思いますけどね)

金剛「提督ー!」ダッ


提督「やばい、もう金剛が帰って来てる!」

霧島「どうするんですか、気付いてないみたいですけど、良い感じにお姉様の方へ紙が飛んで行ってますよ!」

比叡「というより、目の前に落ちます!」

提督「こうなったら比叡! 俺を思いっきり投げろ!」

比叡「なるほど、お姉様が手にする前に奪えればいいんですね! 気合! 入れて! 投げます!」ブンッ

提督「投げるの早てか勢い付き過ぎぃいいいいいいいいい!!」バシャァン

榛名「う、海に落ちましたよ!?」

比叡「ちょっと力を入れ過ぎちゃったみたい」


金剛「……て、提督ぅー!」

天城(何だか変な紙を奪っていったみたいですけど……とにかく、今は提督を救助しなきゃいけませんね)

―執務室―

提督「なんとかクソコラは守りきった……」

提督「今思えば別にみられるくらい良かったような気がしないでもない」

↓2

―工廠―

提督「わが軍誇る二式大艇ちゃんを陸上攻撃できるようにしよう」

明石「それ、きちんと秋津洲さんに許可を取ったんですか?」

提督「とってないに決まってるだろう」

明石「決まってませんし、きちんととってください」

夕張「そうですよ、勝手に改造して怒られるのは私たちもなんですからね」

提督「怒られるって、誰に?」

夕張「被害者と秘書官の方に」

提督「なんだ、一蓮托生じゃないか」

明石「勝手に巻き込まないでください」

提督「ふう、どうしても改造してくれないと」

明石「せめて許可を取ってからにしてください」

提督「……へーい、妖精さん!」

妖精さん「はい?」

提督「これを陸上型にしてくれ」

妖精さん「よろしいので?」

提督「おう」

妖精さん「かしこまり」

明石「……もう知りませんからね」

夕張「今回は私たち関係ないですから」

提督「どうしてもだめなら止めりゃよかったじゃないか」

明石「さーて、私はお店にもどろっと」

夕張「少し用事を思い出しました」

~~~~~~~~

秋津洲「すごくかっこいいかも!」

提督「ふふふ、だろう」

秋津洲「早く秋津洲も使ってみたいかも!」

提督「まあ待て。これを実践投入するには問題があるんだ」

秋津洲「問題?」

提督「陸上型にするうえで装甲が薄くなった」

秋津洲「それが何か問題あるの?」

提督「ついでに速度は二式大艇のままだ」

秋津洲「それが……」

提督「つまり、マッチ棒になってしまった」

秋津洲「……早く元に戻すかも!」

―執務室―

提督「うーん、想像ではいいとこどりするつもりだったのだが……」

提督「予想と現実は違うってことがよく分かったよ」

下1

―神風型の部屋―

提督「神風、百人一首をしよう」

神風「は?」

提督「いや、百人一首……」

神風「そんな暇あるんですか」

提督「あるといえばあるけど……」

神風「……」ジー

春風「あら、よいのではありませんか?」

神風「春風……」

春風「神風お姉さまはもう少し気を楽にしてもいいと思うのです」

神風「……そうね。司令官、いいわ、相手になってあげる」

~~~~~~~~

春風「春すぎて 夏来にけらし――」

神風「はい!」パァン
提督「はい!」パァン

神風「……私の方が速かったみたいね」

提督「くそ……神風速すぎだろ」

神風「ふふん、このくらい朝飯前よ」

提督「しかもやる気なさそうにするのかと思ったら、意外とノリノリだし」

神風「そりゃ、やるからには全力よ」

提督「そうか……なら、こちらも遠慮はいらないようだな」

神風「遠慮してたの?」

提督「ああ、まだ俺は変身を五回残しているぞ」

神風「それが本当だとしても、嘘だとしても、残り四枚しかないから意味がないわね」

提督「なんと、もう四枚しかないのか」

神風「しかも、すでに司令官とは少なくとも十枚差、もう逆転は無理よ?」

提督「……残りの四枚は一つ十枚分だ!」

神風「はぁ!?」

提督「春風次ぃ!」

神風「ちょっと、待ちなさいよ!」

春風「村雨の 露もまだひぬ――」

神風「はい!」パァン
提督「はい!」パァン

神風「……残り十枚分にしても、負けたら意味がないと思うのだけど」

提督「うん」

―執務室―

提督「見た目で百人一首とかどうかなって思ったけど、予想以上に強かった」

提督「……いやほんと、多分十枚なんてもんじゃなかった」

下2

―陽炎型の部屋三号室―

提督「広島焼というのを作ろうと思う」

浜風「広島焼ですか? あの、そばが入っている方の」

浦風「それはちいと違うんよ」

浜風「でも、よく広島焼といえばそれですが」

提督「地元の人でも勘違いしている人はそれなりにいるらしいからな」

磯風「ふむ、ではどのようなものを広島焼というのだ」

提督「そばや肉が入っていないパターンだ」

浜風「それは関西風のお好み焼きでは?」

提督「関西風はいわゆる混ぜ焼だろう。それをしないんだ」

浜風「?」

谷風「今から作るんだろう。なら、実物を見せておくれよ」

提督「百聞は一見に如かずというしな。よし、では作るぞ」

~~~~~~~~

提督「はい完成」

磯風「なんだか、作っている最中の記憶がないが……」

提督「どうせ生地焼いて野菜入れるだけだしな。それに磯風だし」

磯風「私だからなんだというのだ?」

提督「とにかく、召し上がってくれ」

浦風「ん~、さすがじゃ、この手軽に食べれる感じがたまらん」

浜風「……たしかに、おいしいですね」

谷風「なかなかいけるじゃないかい!」

磯風「このソースも程よく甘くておいしいな」

提督「縁日とかじゃはしまきとして売られることも多いぞ」

浜風「そうなんですか、見たことありませんね」

浦風「多くは西日本限定なんじゃ」

浜風「そうなんですか……」

谷風「もし行くことがあればさ、そのはしまきってのも買ってみようじゃないか」

磯風「そうだな。私もいいと思う」

提督「どうやら気に入ってくれたようだな」

浜風「はい。でもどうしてこれを?」

提督「ちょっとお腹すいたから、手軽に食べられそうなこれをな」

浦風「提督さんらしい」

谷風「また食べさせてな!」

提督「おお、いいぞ。作り方は簡単だから、自分たちで作ってみるのもいいと思うけどな」

磯風「ならば、この私も……」

提督「磯風にはあと五年は早いから……」

磯風「簡単ではなかったのか!」

―執務室―

提督「案外手軽に作れるからおすすめ」

提督「おかずにも悪くないから、食卓に並べるのもいいと思う」

下2

―ザラ級の部屋―

ザラ「ふう、遅くなっちゃった。先に始めてるらしいけど、大丈夫かしら」

羽黒「あ……ザラさん」

ザラ「えっと……ハグーロ? 入り口前でどうしたの?」

羽黒「その、今は入らない方が良いと思います……」

ザラ「? ……もしかして、またポーラがお酒を飲んで?」

羽黒「それもなんですけど、それ以上に……」

ザラ「それなら大変! ポーラ、また考えずに飲んでいるんでしょう!」

ガチャッ

ポーラ「えへへ~、提督~、良い体~してますね~」

提督「そういうポーラだって、いいからだしてるじゃないの。ん?」

那智「のんでいるばかりのやつより、わたひのほうがすごいにきまってひる!」

足柄「あら、私だって脱いだらすごいのよ!」

高翌雄「ふふふ、誰を前にしてその言葉をいっているんですか……」

提督「お? お? 出るか?」

高翌雄「ばかめ、といってさしあげますわ!」

足柄「でたわ! 重巡高翌雄の名言よ!」

那智「ぐわあああああ! ぐすっ、どうせわたしなんて筋肉の方が大井肉質女なんだ……」

提督「大井に風評被害!」

ポーラ「辛い事は~飲んで忘れましょ~」

那智「ありがとう……優しい奴だな……」

提督「ポーラ、こっちにも一杯」

ポーラ「わかめ酒とかいかがですか~?」ポト

提督「おいワカメ入れんな。」

バタン

ザラ「な、なにあれ」

羽黒「その、皆さんがボトルを開けて、飲み比べとかしているうちに……」

ザラ「そんなものじゃ無かったけれど!?」

羽黒「え? …………っ!!」ガチャ バタン

ザラ「ハメはずし過ぎじゃない!? どうして誰も気にしないの!?」

羽黒「どど、どうしましょう」

ザラ「……さすがの私もあれは止められないわ」

羽黒「ですよね……うう、こうなるまで放っておいてすみません……」

ザラ「ううん、これは私でも逃げ出すわ。ポーラだけじゃ無く、ほかのジュージュンもこうなるなんて……」

羽黒「それに、提督さんまで……」

ポーラ「……とりあえず、片付けの事を考えておきましょう」

羽黒「そうですね……」

―執務室―

提督「昨夜の記憶が無い」

提督「頭痛いし間違いなく飲み過ぎたな……」

↓2

提督「なに、新聞に載せる写真?」

青葉「はい。三周年を祝して、何かないかと」

提督「何かねぇ……今から撮りに行くか」

青葉「いいんですか?」

提督「まあ、暇してたからな」

青葉「暇ですか……」


~~~~~~~~

村雨「被写体に?」

提督「ああ。どうだ?」

村雨「うふふ、もちろんいいわよ」

提督「お、ありがたい。じゃあ、そっちの方に立ってくれ」

村雨「えっと、こうでいいのかしら?」

提督「そうそう。もうちょっと首をかたむけて……そうそうそう! いいねー!」パシャパシャ

村雨「提督ったら、すごくノリノリね」

提督「なんだかんだ、こうして写真をとる行為は楽しいからな」

村雨「そういうものなのかしら」

提督「個人差はあるしな」

村雨「……」

提督「……」パシャパシャ

村雨「……」

提督「……なんだか、これを新聞だけに使うのはもったいないな」

村雨「どうしたの、突然?」

提督「今日はいつにもまして写真がきれいに撮れやすい。そんな日に白黒の新聞を作るだけというのもな」

村雨「じゃあ、ポスターとか作ってみる? なーんて」
提督「それいいな!」

村雨「ほ、本当にノリノリね」

提督「三周年とか適当に加工して、新聞用とは別の写真も作ろうじゃないか!」

村雨「もう、わかったわ。付き合ってあげる」

提督「そうと決まればもっと適した写真を撮るぞ、村雨!」

村雨「本当、今日の提督は強引なんだから♪」

―執務室―

提督「結構いい写真が撮れた」

提督「青葉に渡したものの、やっぱり出すかどうかは微妙な表情をされた」

下2

提督「資材がない」

大淀「そうなんですか?」

提督「すごい空襲されたからな」

大淀「そういえば、ここ最近はとても忙しそうにしていますよね」

提督「俺は忙しくないぞ?」

大淀「いえ、霞さんがです」

提督「ああ、資材の管理とかは秘書官に任せてるからな」

大淀「……手伝わないんですか?」

提督「そうしたいところではあるが、あまりに機嫌悪くしててな」

大淀「機嫌悪い……なるほど、気持ちはわかります」

提督「俺もわかる。だが、秘書官の怒りはそんなものじゃない」

大淀「?」

提督「例えば、俺が出撃のために資材の量を確認しに行ったとするだろう」

大淀「はい」

提督「秘書官は右手に束ねていた紙バサッと崩して『そこにあるわ』って冷たい一言」

大淀「それは確かに機嫌が悪そうですね……」

提督「気持ちはわかるんだよ。大本営は作戦の詳細の発表が遅いし」

大淀「作戦要項だけでしたからね。空襲のことについても初めは対策もできてませんでしたし」

提督「それだけ深海の奴らも成長してるってことかもしれんが」

大淀「なるほど、そういう考え方もありますか」

大淀「なるほど、そういう考え方もありますか」

提督「まあなんだかんだようやく終わるわけだが、こうなった以上ただじゃ終わらないかもしれない」

大淀「どういう意味ですか?」

提督「もしかすると、いつもの海域でも空襲が起こるかもしれないということだ」

大淀「あっ、深海棲艦が成長しているのであれば、それも確かにありえますね」

提督「そして、何より不安なのが……」

大淀「なのが?」

提督「秘書官の機嫌が最大まで悪くなった時だ……」

大淀「同意します」

~~~~~~~~

提督「おそらく大本営自身も詳細はわからなかったのだろうが……」

提督「それで秘書官の機嫌を悪くするのは勘弁してくれ……」

下2

―秋月型の部屋―

提督「雪見だいふくを手に入れた」

秋月「明石さんのお店で売っていたものですよね」

提督「ああ、懐かしいだろ」

秋月「いえ、私は見たこと自体はありますけど、食べたことはないですから」

提督「なんともったいない! ならばひとつあげようじゃないか」

秋月「気になさらなくても……」

提督「遠慮しなくても……ほら、雪見だいふくは二個入りだ」

秋月「あ、本当ですね」

提督「この値段で二個入り。なんとリーズナブル」

秋月「そうですね。ええと、ではいただきます」

提督「んー、このアイスもおいしい」

秋月「……あ、アイスだったんですね」

提督「ああ、見ただけじゃ本当に大福だと思ったか」

秋月「お恥ずかしながら……」

提督「ははは、まあいいじゃないか。大福を見た目に、窓から見える雪をイメージとしたアイス。これこそが雪見だいふくの妙だからな」

秋月「なるほど……あれ、ではこれって冬向きの商品なんですか?」

提督「そう、そこだよ。雪見だいふくの面白いところは」

秋月「面白いところですか?」

提督「本来アイスは夏。だが、あえてそれを冬に売るという逆転の発想!」

秋月「なるほど……たしかにそれはすごいですね」

提督「とはいえ、材料の関係で夏向きではないというのもあるけどな」

秋月「そうなんですね。ということは、そろそろこれは食べられなくなるということですか」

提督「どうした、気に入ったか?」

秋月「う……少しですが」

提督「それはそれで心配することはない。夏場はミニ雪見だいふくがある!」

秋月「ミニ?」

提督「ミニサイズ九個入りだ。お前たち三人姉妹だからちょうどいいだろう」

秋月「はい。そういえば、どうして私の部屋に来たんですか?」

提督「この時期に手に入れた雪見だいふくを自慢したかった」

秋月「そ、そうですか……」

―執務室―

提督「冬になれば新種類やらいろいろ発売されることも多い」

提督「つまり今年の冬も楽しみ。こたつが許される数少ないアイスでもあるしな」

下2

―海岸―

提督「海だー!」

葛城「砂浜だー!」

雲龍「まだ夏じゃないから言えないのだけど」

天城「そもそも順番的には最初に言わなければならないんですけどね」

提督「そんなことはどうでもいい。今日は潮干狩りだ」

葛城「今日の夜ご飯は貝汁ね」

提督「そんな余裕で大丈夫なのか?」

葛城「どういうこと?」

提督「潮干狩りシーズンは終わりを迎える。そんな状態、まだ貝がたくさん残っているとでも?」

葛城「はっ!」

提督「そう、運が悪ければまったく取れないといったこともおかしくはないのだ!」

葛城「で、でも負けないんだから!」

提督「せいぜい頑張るんだな」

天城「どうして提督は勝ち誇っているんでしょうか」

雲龍「提督だから」

天城「……す、少し納得してしまいました」

~~~~~~~~

提督「……ここだ!」ザクッ

葛城「そんな適当にやっても……」

提督「それは、これを見てもそう言えるのかな?」ガリッ

葛城「な、なんですって! 貝がいっぱい!」

提督「この程度軽い軽い」

天城「そういえば、提督は下調べをしっかりしていたらしいですね」

雲龍「コツとか調べてたって、吹雪型が言っていたわ」

提督「お前たち、どうしてわざわざネタバレをした?」

天城「い、いえ、なんとなく思い出しただけで……」

雲龍「そう? ネタ晴らしをしたかっただけに見えたけど」

天城「ち、違いますよ!」

葛城「準備をしていたのは本当なのね!」

提督「……と、とれればよかろうなのだ!」

雲龍「この開き直り、まさに提督ね」

天城「まさにと思うところがおかしいのでは……」

―執務室―

提督「ふう、満足いくくらいにはとれたかな」

提督「別に勝負をしていたわけではないが、葛城には圧勝した。雲龍がいつの間にかたくさんとっていたのは驚いたけど……」

下2

―金剛型の部屋―

提督「し、しまった……やってしまった……」

霧島「ど、どうするんですか。このティーカップは榛名が命より大事にしているものですよ!」

提督「まさか落ちるとは思わなかったんだ……ど、どうする?」

霧島「どうするといわれましても、謝るしか……」

ガチャ

榛名「ただいま戻りました。あれ、二人ともこっちを見てどうしたんですか?」

提督「あ、いや、なんでもないぞ!」

霧島「そ、そう。だから気にしなくていいから」

榛名「? はあ……」

霧島「(ほら、今のうちに謝ってくださいよ!)」

提督「(そ、そうだな。よし)」

提督「あー、なんだ、榛名、実はな……」
榛名「あ……だ、誰ですか、これをやったのは」

提督「!」

霧島(あ、そういえば片づけていなかったわね……)

提督「そそ、それはな」

榛名「だれ、ですか?」ゴゴゴゴ

提督「……」ダラダラ

霧島「……」ダラダラ

提督「こ、ここに来たときにはすでに壊れていたぞ」」

霧島「ちょ、提督!?」

榛名「それはおかしいですね、提督と霧島以外は私が出た後に入ってませんよね」

提督「な、なぜわかる……」

榛名「だって、お姉さま方は今日一日お買い物ですから」

提督「oh……」

霧島「て、提督が壊してました」

提督「霧島ァ!」

榛名「へぇ、そうなんですか」

提督「いや、その……榛名さん? ちょっと、目が笑ってませんよ?」

榛名「榛名は大丈夫です」ニッコリ

提督「ひいっ!」

~~~~~~~~

榛名「もう、謝ってもらえればそこまで怒りませんよ」

提督「しかし、命よりも大事と聞いていたもんだから……」

榛名「それはありますけど……ものはいつか壊れてしまうものですし」

提督「榛名……その優しさに感動した! これは責任もって俺が修理しよう!」

榛名「そ、そこまでしていただかなくても」

提督「いいや、俺が決めた。少し時間は貰うが、絶対に元通りにしてやるからな!」ダッ

榛名「あ……」

霧島「また暴走していますね。それで、本当に許すの?」

榛名「もともと提督からもらったから大事にしていたものですから。提督が元通りにするというのであれば、してくれると思います」

霧島「確かに、きちんと元通りにしてきそう……」

―執務室―

提督「道具は足りないものは借りるか買うかしようか」

提督「しかし、ああは言ったがさすがに元通りにできる気はしないな……」

下2

―母港―

アイオワ「ここが鎮守府ね。アドミラルが迎えに来ると言っていたのだけど」

ブオオオオオオ キキー

提督「やあ、ミスアイオワ。今からツーリングにでもゴーしないか?」

アイオワ「ビューティフォー! でも、いいのかしら?」

提督「ここのインチャージは俺だ。気にするな、このためだけにこのフェアレディをディプライメントしていたわけだしな」

アイオワ「そうなの! 素敵なドライブにしてよね」

提督「オフコース。まかせておくれよ」


霞「まかせてじゃないわよ!」

提督「? どうしたんだ秘書官」

霞「基地内で走らせるんじゃないわよ! しかも、さっきから変な言葉の使い方をして!」

提督「? 何が言いたいんだろうね」

アイオワ「さあ、ジャパニーズ艦娘はナーバスネスなの?」

提督「It’s not like that.」

アイオワ「Then why? Why are you so mad?」

提督「I do not even know...」

霞「なんか無駄にペラペラで腹立つわね! まともにしゃべりなさいよ!」

提督「じゃあ普通に日本語で話すか」

アイオワ「そうね」

霞「頭痛くなってきたわ……」

提督「ともかく、実は事前に文通していたんだ」

アイオワ「ジャパニーズランゲージも完璧よ」

霞「……そうなの?」

提督「おう、艦隊のこともあらかた話してるし、うちはキャラ付け以外は日本語ペラペラで頼むって言っておいてる」

アイオワ「アドミラルの忠告は厳しかったわ。聞かないと手作りのお菓子を送ってくれなくなっちゃうんだから」

提督「おいおい、忠告なんてしていないだろ? ただ、俺が運営にばかり手をまわすとほかに手につかなくなるってだけだぞ」

アイオワ「そうだったわね」

霞「ああ、そう……なんだか心配してたのがあほらしくなったわ……」

提督「そんなわけで、町案内に町へ繰り出してくる」

アイオワ「素敵なデート、楽しみにしてるわね」

提督「まかせておくれ」

霞「目の前で変な劇をするくらいなら、さっさと行きなさい!」

提督「オーケー! さあ行くぞアイオワ!」

アイオワ「ヘーイ!」

バタン ブロロロロ

霞「……なんだったのかしら」

―執務室―

提督「今日もいい一日だった」

提督「……しまった、フェンスに突撃して基地を出るとか派手なこともすればよかったな」

下2

―食堂―

間宮「すみません、少し足りないものが出たので、買い出しに行ってきますね」

伊良湖「はい!」

間宮「少し時間がかかるかもしれませんから、先に戻っておいてもいいですから」

伊良湖「はい、間宮さんもゆっくりしていてくださいね」

間宮「よろしくお願いしますね」

伊良湖「……行きましたね。悪いとは思うんですけど……」

『提督との交換日記』

伊良湖「こ、これを見つけてしまったら、さすがの私でも開いちゃいますからっ」

○月×日
今日もいい天気。出撃した皆さんにはねぎらいでおやつを作ってあげました。
私にはこんなことしかできないけれど、少しでも助けになればと思います。

○月△日
こんなことといってはいるが、間宮の作ったおやつはとても助けになっているぞ。
今日だって、皆嬉しそうに間宮のおやつを食べているところを見た。

○月□日
今日は山菜をもらったので、それに合わせた料理にしました。
提督、私の数少ない頑張りで誰かの助けになっているのであれば、とてもうれしいです。
提督も無理をせずに頑張ってくださいね。

○月☆日
何もしていないのに秘書官に怒られた。
それはともかく、俺は間宮の方が心配だ。
休みをあまり与えられないのは心苦しく思う。
もし必要であれば、いつでも相談に来てくれ。

○月◇日
霞さんに怒られたのは何もしていなかったからでは……?
私の心配をしてくれてありがとうございます。
もし何かあれば、頼らせてもらいますね。

伊良湖「……な、なんだか甘いです」

間宮「……」

伊良湖「ま、間宮さん!? す、すみません! 勝手に見てしまって」

間宮「いえ、ここに置きっぱなしにしていた私が悪いのもありますから……で、でも、あまり読まないでほしいです……恥ずかしいですから……」

伊良湖「そ、そうですよね。はい」

間宮「ふう、今度からしっかり片付けておかなくちゃいけませんね」

伊良湖「でも間宮さん、提督のいうとおり、ちゃんと休んでくださいね」

間宮「はい、ありがとうございます」

―執務室―

提督「んー、今日は特に何もなかったな」

提督「どこかで日記を見られたような気はするが、別に気にしないし」

下2

提督「長門、そろそろ衣替えの時期だと思うのだが」

長門「そうだな。なぜそれを私に言う?」

提督「暇そ……ごほん、しっかりと見てくれそうだからな」

長門「なるほど、暇そうといったのは聞かなかったことにしておこうか」

提督「あ、はい」

長門「そのように信頼してくれるのであれば、聞かないわけにもいかないな」

提督「じゃあ、適当に周知させておいてくれ」

長門「待て」

提督「? 何かわからないことでも?」

長門「恥ずかしながら、私はあまりファッションに対して詳しくはない。だから、どのようなものが適しているのか教えてくれないだろうか」

提督「ああ、確かに相談されたときに困るか……うーん、陸奥あたりに聞いてくれた方がいいと思うのだが」

長門「暇だろう」

提督「暇です」

長門「では、付き合ってもらおうか」

提督「はーい……」

―長門型の部屋―

提督「ほーん、それなりにいいの持ってるじゃないの」

長門「う、うむ。陸奥に押し付けられてな。私には似合っていないと思うのだが……」

提督「そんなことはないと思うぞ。長門はスタイルもいいし、美人だ。陸奥の見立ては間違っていないと思うぞ」

長門「ほ、本当か!」

提督「お、おう。うーんと……長門ならイメージ的にちょっとカジュアルな感じがいいかな」

長門「ふむ、このような服とかか」

提督「そうそう。意外性を取ってワンピースタイプとかもいけてると思うけどな」

長門「そ、それはさすがにな……」

提督「ははは、まあその気になった時でいいと思うぞ。しかし、これだけそろっているなら、俺を呼んだ意味はなかったんじゃないか?」

長門「いや……助かったぞ」

提督「そうか? なら、いいんだけど」

―執務室―

提督「陸奥はセンスいいからな。似合っているものが多かった」

提督「しかし……陸奥が長門に勧めるにしては、微妙に違和感があったか」

下2

提督「ボールを相手のゴールにシュウウウゥゥゥゥゥーーー!」

アイオワ「超、エキサイティン!」

提督「というわけでバトルドーム!」

漣「ドラえもん、バトルドームもでぇたぁ(だみ声)」

ビスマルク「えっ、何その声」

アイオワ「フゥ! さすがねアドミラル! ちゃんと人数もいるじゃない」

提督「あったりまえさ! バトルドームはやっぱり四人じゃなければな!」

ビスマルク「私は突然連れてこられただけなんだけど」

漣「私はエキサイティンできそうな匂いがしたので」

ビスマルク「エキサイティンてなに」

提督「とにかく、席につけ。大丈夫、じきに楽しくなる」

アイオワ「ふふ、このアイオワに勝てると思わないことね」

漣「何を言っているんですか。バトルドームはエキサイティングした人が勝つんですよ」

提督「つまり、俺が最もエキサイティングするってことだな」

アイオワ「いえ、ミーよ」

ビスマルク(どうしよう、ついていけてない……)

提督「さあ、始まりだ。おおおおお!! 超エキサイティン!」カチカチ

アイオワ「そんな適当にやってもいいのかしら。エキサイティン出来てないように思えるけど」カシャカシャ

漣「いえ、冷静に打っていてはエキサイティングなんてできませんよ!」カタカタ

ビスマルク(なんなのこれ。エキサイティンって何……)カタカタ

提督「どうやら一番エキサイティンしているのは俺のようだな!」

アイオワ「なるほど……適当に打っていると見せかけて、エキサイティンしているのを感じるわ」

漣「漣だってエキサイティン度は負けてませんよ」

ビスマルク(エキサイティン度……?)

提督「……っと、終わりのようだな」

アイオワ「フフフ、一杯散らばったわね」

漣「エキサイティンできた証ですね」

ビスマルク(片づけるの大変なだけじゃ……はっ、私としたことが、ずっと受け身になってしまったわ!)

―執務室―

提督「超エキサイティンできた」

提督「地味に玉詰まりやら飛び跳ねたり、微妙な不具合が多いのもご愛敬」

下2

嵐「眼帯ってなんかかっこいいよな」

提督「なんだ嵐。ファッションに興味のあるお年頃か?」

嵐「お年頃っつーか……天龍さんや木曾さんみてたらああいうのもありかと思ってな」

提督「ふむふむ、ちなみにここに未使用の眼帯がある」

嵐「準備良いな」

提督「もしかしたら使うかもしれないから、一応な」

嵐「何に使うっていうんだよ……」

提督「それは個人的なこととしか言えんな」

嵐「……まあいいか」

~~~~~~~~

提督「ほお」

嵐「ど、どうだ?」

提督「なんか海賊船の乗組員みたいだな」

嵐「褒められてる気がしねえんだけど」

提督「一応ほめてるぞ。似合ってるって意味で」

嵐「似合ってる方向性がうれしくねえな」

提督「んじゃ、見せに行くか」

嵐「見せに? 誰にだ」

提督「天龍と木曾に」

嵐「い、いやいや、なんか恥ずかしいだろ!」

提督「大丈夫大丈夫。少なくとも天龍は喜ぶと思うぞ」

嵐「喜ばれる方向性が……!」

―廊下―

提督「おっと、都合よく二人一緒にいるな。おーい」

木曾「なんだ、提督か」

天龍「オレたちに何か用か?」

提督「ここにまた一人眼帯少女が増えた。仲良くしてやってくれ」

嵐「な、なんかすんません」

天龍「お、おう! いや、いいんじゃないかな!」

提督(微妙に声が上ずってる)

嵐(数少ないファンができた時の那珂さんみたいだ)

木曾「ふーん。ファッションでつけているのならいいんじゃねえのか」

嵐「ほ、本当ですか?」

木曾「ああ。だが、それで戦闘に出るのとかはやめておけ。ただのハンデにしかならねえしな」

嵐「し、シビアですね」

木曾「シビアな世界に生きてるからな」

提督(なんかかっこいい)

―執務室―

提督「眼帯はあまりつけすぎても視力に問題が出ることもあるらしい」

提督「まあ、そもそもそういう人以外はわざわざ眼帯なんてつけないと思うけど」

下2

大淀「では、ここに報告書を置いておきますね」

提督「ああ。今日はもうあがりだろう。ゆっくり休んでくれ」

大淀「ありがとうございます」

提督「……」

大淀「……」

提督「……? どうかしたか」

大淀「まじめに仕事している提督はいつもより素敵に見えますね」

提督「うーちゃんみたいなこと言いおって。冗談が下手だな」

大淀「本心なんですけどね」

提督「そうかいそうかい。部屋に戻ったら漫才でも見ておけ」

大淀「もう……」

大淀(真面目なときの提督は軽口を交わしながらでも仕事ができるんですよね……いつもそうすればいいのに)

―演習場―

香取「そこ! 少し隊列が乱れてますよ!」

「は、はい!」

提督「うん、演習も滞りないみたいだな」

香取「提督、すみません、今は演習の指導の時間なんですが」

提督「いや、知っている。今は見回りだ。あと……鹿島!」

鹿島「はいっ! どうかしましたか、提督」

提督「こちらの備品の要請は少し待て。今、秘書官が流通相手を変えているところだ」

鹿島「そうだったんですか。すみません、それだけのために」

提督「いや、あくまでこれはおまけだ。今は見回りの最中だからな」

鹿島「そうですか……でも、あれがないとあれができないんですよね……」

提督「それなんだが、代わりに倉庫にあったやつで代用が――」

香取(提督がまじめにしているときはいつも異様な光景に見えますね)

―鳳翔の店―

提督「すまん鳳翔、適当につまめる食事を作ってくれないか」

鳳翔「はい、わかりました。お忙しいのなら、後で龍鳳さんにもっていくのを頼みますけど」

提督「そう、だな。悪いが龍鳳、頼めるか」

龍鳳「はい! お任せください!」

提督「じゃあ鳳翔、いきなり悪かったな」

鳳翔「いいえ、提督の方こそお疲れ様です」


龍鳳「……提督が真面目にお仕事をしているときって、雰囲気変わりますね」

鳳翔「明日の青葉さんの新聞がまた広まりますね」

―執務室―

提督「あー、なんかいろいろ事後処理が溜まってたのが一気に終わったー……」

提督「もうしばらくは真面目にしない」

下2

提督「あ゛~~~~、、、、」

曙「遠征から戻ったわよ……って、なにそんなにだらしない恰好してんのよ」

提督「いや、昨日真面目に仕事をしたせいで筋肉痛に……」

曙「なんでまじめに仕事をして筋肉痛になってるのよ! クソ提督はいつも無駄に走り回ってるじゃない!」

提督「足腰じゃないんだ、腕と背中がが……」

曙「慣れないことをしたから筋肉痛ってわけ。はぁ~……」

提督「頼むぼのちゃん……湿布を……」

曙「ぼのちゃんいうな!」

提督「じゃあ、もう言わないから湿布を……」

曙「何がしっぷよ! 仕事の筋肉痛には必要ないでしょ!」バシン

提督「おうっ!? ……」

曙「な、何よ、謝らないわよ」

提督「今の、もう一回」

曙「な、なに言ってんのよ! 変態じゃない!」

提督「そ、そういう意味じゃない!」

曙「じゃあ、どういう意味なのか言ってみなさいよ!」

提督「今の力の強さが、いい感じに響いたんだ」

曙「えっ」

提督「いやだから違うって! マッサージ的な意味でだよ!」

曙「……はぁ、別にこれくらいいいけど」

提督「おお、助かる」

曙「……」ペシッペシッ

提督「おお、いい感じ……」

曙「……」ペシッペシッ

提督「……」

曙「……や、やっぱりやらないわよ!」

提督「えー、なんでだよ」

曙「なんだか変なことしている気分になるからよ!」

提督「変な気分って何」

曙「そ、それは……っ! このクソ提督!」ダッ

提督「え、えー……」

提督「一体何が気に障ったのだろうか」

下2

―高雄型の部屋―

提督「まずこちらから行かせてもらうぞ」

愛宕「ええ、いつでもいいわよ~」

提督「愛宕、また胸が大きくなったんじゃないのか?」

愛宕「そうかしら? うふふ、自分じゃあんまりわからないのよね~」

提督「絶対嘘だろ」

愛宕「どうかしら~。提督、私の番ね」

提督「かかってこい」

愛宕「じゃあ失礼しま~す。ふぅ~」

提督「っ!」ビクッ

愛宕「あら、可愛い♪」

提督「耳に息を吹きかけるなんて汚いぞ!」

愛宕「あら、これってそういうものでしょう?」

提督「くっ……ならばこちらの攻撃だ! くらえ!」モミモミ

愛宕「やんっ♪」

提督「これが俺の真の実力ってやつだよ」モミモミ

愛宕「あっ……はっ……提督ったらっ……お上手なんですから♪」

提督「マッサージの実力は一人前って評判だからな」

愛宕「ちなみに提督、私の二の腕はどう?」

提督「……やわらかかったぞ」

愛宕「あらあら、ありがとうございます。じゃあこちらの番ね」サワッ

提督「か、下半身に触れてくるだと……! そこは確実にアウトだろう!」

愛宕「膝を優しくさすってるだけよ? アウトかしら?」

提督「くっ……! 微妙な判定だな……」

愛宕「提督はもっと際どいことができるかしら?」

提督「な、なめるなよ……超えてみせる!」


摩耶「何やってるんだ、あれ」

鳥海「セクハラはどこからセクハラなのか、ギリギリのラインをついたほうが勝ち……とか言ってました」

摩耶「なんだか、呆れてものも言えないんだが……」

鳥海「同じ気持ちです」

―執務室―

提督「だめだ、愛宕は大体何をやっても許してくれそうな気がして、超絶不利だ……」

提督「いや、セクハラは駄目だから勝ったところでどうしようもないんだが……」

下2

―工廠―

如月「みてみて~、この輝く肌」

提督「なんだと? くっ、こっちも負けてられないな!」

如月「あら、司令官、いったいどこに……」


~~~~~~~~

提督「待たせたな!」テカテカ

如月「きゃっ! 司令官、どうして脱いでいるの!」

提督「おっと、気になるところはそれだけか?」テカテカ

如月「え? それは……なんだか、ぬるぬるしてるように見えるけれど……」

提督「ふふふ、このかがやく肌を見て感想はそれだけかな!」

如月「その輝く肌と如月の輝く肌の意味は違います!」

提督「なんだと、輝く肌とはこういう意味じゃないのか」

如月「こう、瑞々しい肌、みたいな意味です」

提督「そりゃ駆逐艦の身体年齢で瑞々しくなかったらそれはそれで拙い気もするぞ」

如月「もうっ! 司令官は分かってないんだから!」

提督「な、なんかすまんな」

如月「とりあえず、その何か微妙にぬるってしているのを落としてきてください」

提督「うーん、不評かー……」スタスタ

如月「もう……」

如月(でも、司令官、結構良い身体してたわ)ドキドキ

~~~~~~~~

提督「なるほど、ちょっと別の奴に聞いたら意味がわかったぞ」

如月「あら、本当ですか?」

提督「ああ、つまりは肉体美って事だな!」

如月「そ、それは間違いではない気もしますが……誰に聞いたの?」

提督「日向だ」

如月「あの人は輝くというか、輝いても意味が少し違うから……」

提督「そうなのか? むう、なかなか輝く肌てのは難しいものなんだな」

如月「普段のお手入れによるものでもありますし……というより、どうして司令官は如月と張り合おうとしたの?」

提督「そりゃあ、共通する話題があれば、如月ともっと仲良くなれるかもなって」

如月「……!」

提督「な、なんだ、変なこと言ったか?」

如月「はい、普段の司令官とは大分キャラが違う事を」

提督「なんだと、仲を深める為にこうして親交しているというのに!」

如月「うふふ、その考え自体はとても嬉しいですよ♪」

提督「……なんか、最近振り回すより振り回されることの方が増えてきた気がする」

如月「慣れってやつね♪」

―執務室―

提督「うーん、昔は勝ってた気がするんだけど……勝ち負けの判定は感覚だけど」

提督「もっとぶっ飛んだことした方が良かったかな」

↓2

提督「これがあの、とてつもない力を手に入れる事が出来るという仮面か……」

提督「……」

提督「なーんて、ただのおもちゃなんだけど。このとおり、ちょっと怪我した際の血を付けてもなーんにもない。つか、なんで明石はこんなものを売っていたのか」

提督「そして、なぜそれを買ってしまったのか……単に、完成度が高かったからと言わざるを得ない」

提督「……独り言してないで出かけてこよ……そういえば、秘書官が呼んでたっけ」

バタン

~~~~~~~~

親潮「失礼します。司令、報告に……あれ、いませんね」

親潮(どうしましょう、また後で報告に……いえ、もしかしたらすぐに戻ってくるかもしれませんし、少し待っていましょう)

親潮「……あれ、ここにあるのは……」

<石仮面>

親潮(そういえば、黒潮さんが持っていた漫画の中に、こんなものが登場していたような、なんでしたっけ……)

黒潮『この二人の確執はな、とある仮面から始まったんや』

親潮『とある仮面?』

黒潮『なんと、吸血鬼になる石仮面でな、血を浴びると仕掛けが作動して――』

親潮「――!!」

ガチャ

提督「はー、そんなに時間が掛からないと思ってたんだけど……あれ、親潮?」

親潮「しし、司令!?」

提督「えっと、たしか遠征に言ってたんだっけ。報告か」

親潮「そ、そんなことはどうでもいいです!」

提督「は?」

親潮「この仮面はなんですか!」

提督「仮面って、おいそれ」

親潮「こんな仮面を使って何しようとしていたんですか!」

提督「何って、そりゃ……いや、特に何かしようと思った訳じゃ無いな」

親潮「隠さなくても良いんです、これが何かわかっていますから」

提督「分かっているなら話は早い。早くそれを返してくれ」

親潮「いやです!」

提督「は?」

親潮「こんな恐ろしい仮面、こうして!」

提督「いやいや、おま、やめ!」

ガシャーン

提督「結構高かったのに壊しやがった! てか壊れた!」

親潮「はぁ……はぁ……あっ、破片で怪我を……」

提督「ああ、もういい、怪我したなら見せてくれ。救急箱ならそこに……」

親潮「も、もしかして、仕掛けが作動しちゃう!?」

提督「は?」

親潮「ど、どうしましょう! このままじゃ……いやあああああ!!」

提督(誰だ、中途半端に知識を与えたやつは)

~~~~~~~~

提督「なんとか落ち着かせて部屋に戻ってもらった」

提督「なんというか、勘違いとは恐ろしい」

下2

提督「突然だが摩耶、セクハラをしようと思う」

摩耶「なんでだ!?」

提督「そりゃ、このためだけに愛宕と鍛えたからな」

摩耶「なんて迷惑な姉と上官だ……」

提督「へっへっへ、愛宕と鍛えたこのセクハラ技術で摩耶を追い詰めてやるぜ」

摩耶「どうしてあたし対象なんだよ!」

提督「そりゃ、面白い反応をしてくれそうだからに決まってるじゃないか」

摩耶「迷惑だな!」

提督「だが、摩耶はもはやセクハラを受けるしかあるまい」

摩耶「誰が受けるか!」ダッ

提督「逃げたか……ふむ、セクハラとは行動だけではないのだよ」

提督『あーあー、マイクテス。逃亡した高雄型重巡摩耶、直ちに執務室に戻ってきなさい。さもなければ、摩耶の机に隠してあった可愛いお人形が白日の下に――』

摩耶「ほんっと嫌がらせ好きだな!」

提督「嫌がらせが好きなんじゃない。嫌がる摩耶の顔が好きなんだ」

摩耶「悪趣味だ!」

提督「さて、戻ってきたということは、大人しくセクハラを受ける覚悟ができたということだな」

摩耶「うぐ……ふ、ふん、勝手にすればいいじゃねーか!」

提督「ほう、そんなに甘く見てていいのか」

摩耶「提督程度のセクハラなんて、絶対に屈しないからな!」

提督「その威勢、どこまで続くかな」

~十数分後~

摩耶「くっ……な、なんだこれは……」

提督「どうだ? くくく、体が求めているみたいだぞ」

摩耶「さ、触りたいなら触ればいいだろうが!」

提督「おっと、そう簡単に楽にはさせないぞ」

摩耶「なんだっていうんだ……くそっ……!」

提督「ふふふ、この触れるか触れないかという絶妙な触れ方。気になって仕方がないんじゃないか?」

摩耶「あああ! なんだこの微妙にくすぐったいような感じ! 気になってしょうがない!」

提督「このタッチはあの愛宕ですら音を上げた技の一つ! 摩耶程度じゃ抵抗などできまい! ふははははは!」

摩耶「セクハラっぽいけどなんかセクハラっぽくないところも気になるぞこれ!」

提督「はっはっは!」

~~~~~~~~

提督「通りすがりの高雄に怒られてしまった」

提督「確かに調子乗りすぎていたのは認めるが」

下2

―川内型の部屋―

川内「提督、ハイクよもー!」

提督「お、おう」

川内「何を戸惑っているの?」

提督「夜戦夜戦言っている奴が、普通の文化に興味を持つとは思わなかったからな」

川内「ひどいなー、提督は」

神通「でも、いいと思いますよ」

那珂「よーし、那珂ちゃんも読んじゃうぞー!」

川内「じゃあ私からね。んー。夜戦で 深海棲艦と戦うの 楽しいな」

神通「……」
那珂「……」
提督「……」

提督(そうか、川内のやつ、漣から中途半端にニンジャについて聞いたんだった……!)

川内「どうしたの?」

神通「五・七・五でなくてもいいとは言うけど……季語がないのは厳しいと思うの」

川内「あー、そっか」

那珂「そういう問題なのかな……」

提督「まあ、初心者だと意識しないとこうなることも珍しくない。ルールすら知ってるか怪しいが」

川内「じゃあ、次は那珂ちゃんね」

那珂「え? えーっと……那珂ちゃんは 艦ドル目指して 頑張りまーす!」

提督「川内、カイシャク」

川内「わかった」

那珂「ま、真面目にやったんだよ!?」

川内「じゃあ、神通、頼むね」

神通「はい。黒南風の 海に揺蕩う 月の影」

川内「……ふ、普通」

那珂「面白味ないよね」

提督「ザ・即席俳句って感じだな」

神通「もう、なんですか、みんなして……」

提督「ラストは俺か。ゴホン、古池や 蛙飛び込む 水の音」

川内「ラストでパクリはない」

那珂「ないね」

神通「ないですね」

提督「なぜわかった!」

―執務室―

提督「ニンジャにもマツオはいるのか……初めて知った」

提督「次やるときはもうちょっと真面目なの考えておこう」

下2 

霞「……」スッ

提督「どうした、そんな暗い顔して。何々、大本営からの指れ……」

『秘書官といちゃつけ』

提督「……時折、大本営の頭はどうかしているんじゃないかって思う」

霞「奇遇ね。あまりの頭の悪さに一瞬黄色の救急車を呼びそうになったわ」

提督「つーか、無視していいだろ。無視無視。シュレッダーにかけとこ」

青葉「おっと、そうはいかんざきですよ!」

提督「なんだよ、死語言うの流行ってんのかよ。というかどうした」

青葉「残念ですが、青葉、大本営の方々からきちんと証拠を撮ってくるように言われているのです」

霞「……青葉、あんた」

青葉「まあ、ちょこーっとコレ、貰いましたし、大本営の命令に逆らうのもなんですから」

提督「コレ貰ったからだろ! あと、コレの言い方なんか超嫌な感じするぞ!」

青葉(本当は面白そうだから引き受けたんですけどね)

霞「はぁー……ちなみに、命令を反故にした場合はどうなるの」

青葉「格式高いパーティに一か月くらい連続で出席してもらうと」

提督「うわっ、地味な嫌がらせを……」

霞「ここでグダグダ言ってもしょうがないわね。さっさとするわよ」

提督「えっ、秘書官が乗り気になるなんて珍しいな」

霞「乗り気じゃないわよ! ったく、命令っていうからには、具体的な行動もあるのよね」

青葉「はい。えーっと、腕組み、ハグ、キスだそうです」

霞「却下」

提督「そんな恐ろしいことをしろというのか!」

青葉「さ、流石にキスまではしなくてもいいと思いますよ。でも、ある程度やっていただかないと、満足しないと思いますし……」

霞「しょうがないわね……司令官、そこに座りなさい」

提督「こうか?」

霞「そう、胡坐をかいて……腕を前に出して…ええ、じゃあ座るわね」ポス

提督「お、おおう」

霞「何よ、変な声を出して」

提督「いや、あの秘書官が俺の膝の上に座るなんて、おそらく一生ないと思っていたのに」

霞「上の命令だから仕方なくやっているだけよ。ほら、手も前に回しなさい。それならハグにもなりえるでしょう」

提督「お、おう」

霞「……」

提督「……」

青葉「全然イチャイチャできてませんよ!?」

霞「知らないわよ!」

~~~~~~~~

提督「ひとまずはあれで満足してもらうことにした」

提督「しかし、個人的にはあれだけでもやってきた秘書官にびっくりした。絶対嫌がると思ってたのに」

下2

提督「づほやんづほやん」

瑞鳳「づ、づほやん?」

提督「艦載機の足が可愛いって言ってたよな」

瑞鳳「は、はい。そうですけど」

提督「じゃあ、スツーカは?」

瑞鳳「スツーカ? どんなものでしたか?」

提督「ほら、グラーフが持ってるじゃないか。あれだよ」

瑞鳳「そういえば、一度拝見させてもらったことがある気がします」

提督「ぶっちゃけ、スツーカの足は可愛いと思う?」

瑞鳳「いえ、そこまで」

提督「なんか意外だな」

瑞鳳「むしろ、意外に思われる方が心外です。足ならなんでもかわいいってわけじゃないんですよ」

提督(え、そうなの)

瑞鳳「九十九艦爆にはどことない愛嬌があって、スツーカはそれとは別に武骨なかっこ良さがあるんです」

提督(さっぱりわからん)

瑞鳳「まあ、スツーカの方もじっと見たわけじゃありませんから、もしかしたら隠れた良さがあるのかもしれませんけど」

提督(いやー、瑞鳳のこれは日向の瑞雲並みに理解できん)

瑞鳳「……す、すみません! 熱心にしすぎました!」

提督「いや、瑞鳳にも語りたくなる時が来るよな」

瑞鳳「なんだか、私のこれって理解を得られにくいんですよね……」

提督「そりゃあ、ねえ」

瑞鳳「うう……」

提督「……でも、こういう語りを聞くのはたまにはいいと思うぞ」

瑞鳳「そうですか?」

提督「自分の知らない一面を見ることができるというか、わからなかった良さを感じるとか……」

瑞鳳「……」

提督「すまん、やっぱりいいフォロー思いつかなかった」

瑞鳳「気を使ってしまってすみません……」


~~~~~~~~

提督「スツーカはあの逸話達に対して中二心をくすぐられるから、見た目はあんまり気にしなかったな」

提督「ふむ、そうして改めてみると、なかなか……」

下2

―食堂―

金剛「ハァ……」

提督「どうした金剛、ため息なんて珍しいな。棒アイスのアイスでも落としたか」

金剛「加賀でもないのにそんなことでため息つかないネー」

提督「そこで加賀を出すところがさすがわかってるな」

金剛「それ聞いたら加賀が落ち込むと思いマース」

提督「それで、金剛は何で溜息を吐いてるんだ?」

金剛「……実は、アイオワが着任しましたよネ」

提督「ああ、そうだな。それが?」

金剛「キャラが被っているような気がするのデース」

提督「アイオワと、金剛が? はははは! 無い無い」

金剛「提督、ひどいですヨー!」

提督「いやだって、うちの日本語ペラペラなアイオワと一緒ってないでしょ。それでなくても、金剛はエセ感満々なのに」

金剛「まったく褒められた気がしないデース」

提督「いや、貶す意図はないぞ。俺が言いたいのは、金剛にも金剛らしさがあるってことだから」

金剛「そうですカ?」

提督「そうそう」

アイオワ「でも、コンゴーだって『デース』とか『マース』ばっかりよね」

金剛「アイオワ!」

アイオワ「うふふ、心配はノープロブレム! 私とコンゴーは違うから」

金剛「アイオワはそう思うのですカ?」

アイオワ「ええ、私はあなたほどアドミラルを好きじゃないから」

提督「お、おう。さりげなく俺の方にも飛び火が来たような気がしたが、おおむねそんなところだ、パッと見似ていても、その実は似ても似つかぬからな」

金剛「提督、アイオワ……ありがとうございマース!」

―執務室―

提督「金剛も心配いらないことを心配するな」

提督「アイオワもタイミングよかったのは、どこかで気にしていたからなにおかもしれない」

下2

ザーザー

提督「雨か……だが、こんな日に必要なものができてしまった。ううん、誰か生贄……いや、一緒に言ってくれる人がいないだろうか」

ガチャ

夕張「提督、新しい装備についてなんですけど、五月雨ちゃんがドジっこしちゃって……」

五月雨「うぅ、すみません」

提督「……よし、お前らに決めた」

夕張「え?」
五月雨「はい?」

―デパートまでの道―

提督「いやー、一人で雨の日を歩くのはなかなか面倒でな」

五月雨「それで私たちを? かまいませんけど……」

夕張「五月雨ちゃんがドジっこしちゃった分はどうするんですか?」

提督「五月雨のドジっことかいつもだし、それ込みで考えてあるぞ。だから、心配するな」

五月雨「それはそれで、何とも言えないんですけど……」

提督「まあまあ、それにしても、急に出かけることになったが準備も早かったな」

五月雨「私は雨の日も好きですから」

夕張「私も……まあ、元々準備してましたし」

提督「そういえば、傘を持ち出してたっけ。なるほど、そのままか」

夕張「わ、悪いですか?」

提督「そんなことはない。ただ、口ではあまり好きではないみたいなこと言ってるわりに、準備は万端だなって」

五月雨「夕張さん、雨嫌いだったんですか?」

夕張「機械が錆びやすくなるからって理由だから、雨自体は嫌いじゃないわよ?」

五月雨「そうですか!」

提督「嫌いだったらわざわざ準備しているわけないしな」

夕張「もー! 提督は人の図星ばっかりつかないでくださいよ!」

五月雨「そういえば、司令官はどうしてお買い物に行くことにしたんですか?」

提督「……五月雨がドジっこすることはわかっていたが、それ用の予備を用意してなかったんだ」

五月雨「司令官、意地悪です!」

―執務室―

提督「今日の五月雨は鋭かった。嘘を嘘と見抜けるとは……」

提督「夕張はなんだかんだで楽しそうだったかな。嫌なら付き合わないし」

下2

―喫茶店―

提督「俺はこのパフェとアイスティーで。親潮はどうする?」

親潮「私は……司令と同じものを」

提督「そうか。じゃあ、注文は以上です」

親潮「……それにしても、司令はこういうところよく行くんですか?」

提督「そうでもないぞ。誰かと一緒に行くでもないとこういうところは入りにくいしな」

親潮「誰かと一緒に?」

提督「ああ。とはいえ、ここはこの前に見つけたばかりだから、一緒に行くのは親潮が初めてだけど」

親潮「わ、私が初めてですか。そうですか……」

提督「やっぱり、ちゃんとどんな店か見てから行けばよかったか?」

親潮「い、いえ、とても素敵な喫茶店だと思いますよ!」

提督「そうか? 結構無理に誘った感じがしていたんだが、気に入ってくれたのなら幸いだ」

親潮「はい、誘っていただいてありがとうございます。しかし、本当に私でよかったんですか?」

提督「よかったかと聞かれても、自分の意志で親潮を誘ったわけだしなぁ」

親潮「うっ……今日の司令は、なんだか明け透けな発言をしますね……」

提督「ふむ、ちょっと期待でテンションが上がってるからかもしれないかもな」

親潮「期待?」

提督「ああ。どうやら評判によると、ここのパフェはとてもおいしいらしいからな」

親潮「そういえば、姉さんたちが司令は甘いものが好きだって……」

親潮(それに、前に違う店では恋人用のパフェを食べるためって理由もあったって聞きましたが……はっ、も、もしかして)

提督「楽しみだなー」

親潮「……」ドキドキ

提督「……どうかしたか? 親潮」

親潮「い、いえ! それにしても、本当に雰囲気良いですよね!」

提督「ど、どうした、そんな慌てて。言っていることには同意するけど」

親潮「いえ、慌ててなんて、い、いないですから。はい」

提督(な、なんだか調子悪そうだな……親潮は真面目だし、無理させたのかもしれないな)

―執務室―

提督「流石、評判だけあっておいしかった。なぜかよくある恋人限定とかってわけじゃないし、頼みやすいのもいい」

提督「……なぜか親潮には不評だったみたいだけど」

下2

―利根型の部屋―

利根「……」スッ

提督「……」シャシャッ

利根「……」ササッ

提督「……」ペラッ

利根「……おおっ。提督よ、降りるなら今のうちじゃ」

提督「降りる? 言っておくけど、それはこっちの台詞だぞ」

利根「ほう? ならば勝負をしてみるか」

提督「いいぞ。なんなら、持ち金全部かけてもいい」

利根「いいじゃろう、その話乗った! さあ、公開じゃ、ストレートフラッシュ!」

提督「残念だったな、こっちはロイヤルストレートフラッシュだ」

利根「なん……じゃと……」

提督「というわけで、持ち金全部取ったから俺の勝ち。残りのアイスは俺が貰うということで」

利根「くうう! 提督の余裕をもっと勘繰るべきじゃった!」

提督「だったら、もう一度チャンスをやろうか?」

利根「チャンスじゃと? もちろん乗るぞ!」

提督「じゃあ、もう一度山を配って……」ササッ

利根(……ううむ、なんとも悪いものよ。じゃが、ここから三枚交換すれば、スリーカードくらいにはなるやもしれん)

提督「……」

利根「……くっ」

利根(やはりでないぞ。じゃが、ツーペアではあまり勝てる気はしないのじゃ……)

提督「くくっ」

利根「ど、どうした?」

提督「こいつはとんでもないペアができてしまったな。利根、降りるなら今のうちだぞ」

利根「そ、そんなに高いのか?」

提督「おっと、ライバルには教えられんぞ。さあて、どうする?」

利根「……お、降りるぞ」

提督「……くくっ、やはりだめではないか」

利根「何?」

提督「俺の手札は……豚だ」

利根「な、なんじゃと!?」

提督「せっかくのチャンスを逃すなんてな。はーっはっはっは!」

利根「く、悔しいのじゃ!」


筑摩(文句は口にするけど楽しそう、姉さん)

―執務室―

提督「口でほんろうするのも一種の作戦」

提督「利根はまあかかりやすすぎなのも連勝の要因なんだけど」

下2

―鳳翔の店―

提督「さーて、今日もお疲れの一杯でも……お、響じゃないか」

響「司令官も飲みに来たのかい」

提督「おうよ。でも珍しいな、響がここにいるのは」

響「私だって、ウォッカばかりを飲むわけじゃないよ。たまにはここで飲めるお酒だって飲みたくなるさ」

提督「それもそうか。……相席いいか?」

響「もちろん。断る理由はないよ」

提督「そっか。端っこに座ってるから、てっきり一人がいいのかと思ったよ」

響「今日は嗜む程度にするつもりだったからね。とはいえ、司令官が来たのなら話は別だよ」

提督「それは、俺のお酒に付き合ってくれるということか?」

響「そうだよ。でも、もしかしたら司令官が付き合うようになるかもね」

提督「響、強いからなぁー……」

響「じゃあ、そろそろ乾杯をしようか」

提督「ん、ここにあるものをいただいてもいのか」

響「うん」

提督「それじゃ、お言葉に甘えて」

響「では、司令官と飲み交わせる今日に乾杯」

提督「乾杯。……」

響「――はぁ。久しぶりにウォッカ以外を飲んだけど、おいしいもんだね」

提督「だな。そういえば、今日の響きは口が軽いな」

響「おしゃべりな私は嫌かな?」

提督「とんでもない。積極的な響もいいぞ」

響「ふふ、ありがとう司令官。お世辞でもうれしいよ」

提督「お世辞のつもりはないけどな」

響「うれしいこと言ってくれるね。鳳翔さん、追加でまた頼むよ」

鳳翔「はい。でも、飲みすぎには気を付けてくださいね」

響「大丈夫だよ、これくらいのお酒、水みたいなものさ」

鳳翔「響さんならそのあたりは大丈夫だと思いますけど、気を付けてくださいね」

響「わかっているよ」

提督「……なあ響。お前、すでにどれくらい飲んでいる?」

響「さあて、あんまり覚えてないよ」

提督(ううん、おそらく予想以上に飲んでいるんだろうが、響は全く表情に出ないからな……)

提督「響なら大丈夫だと思うが、飲みすぎには気を付けろよ」

響「おや、司令官も心配してくれるんだ。ふふふ、スパスィーバ司令官」

提督(……なんか、今日の響はお酒の力も相まって、いつもより成熟した大人に見える)

―執務室―

提督「あれからも浴びるように飲んでいたのに、次の日はケロッとしてた」

提督「さすがにあれには勝てないなー……相手としては申し分ないが」

下2

―暁型の部屋―

提督「いかづち~! また秘書官に怒られたよ~!」

雷「よしよし司令官。大丈夫よ、司令官のことは私はしっかりわかっているからね」

提督「雷は優しいな、その優しさを秘書官に少しでも分けてほしいよ」

雷「でも、霞だって司令官のことを思って言っているのよ」

提督「そうかもしれないけど、あいつは優しさが足りない」

雷「もう、司令官ったら。よしよし」

提督「はぁ~……雷のお膝は癒されるなー」

雷「うふふ、もっと私に甘えてもいいのよ」

提督「あー~、どんどん駄目になっていく気がする~」

電「というかすでに手遅れなのです」

提督「なんだ、電。俺は今雷お母さんに癒されているんだ」

電「この映像を出すところに出したら司令官は軍法会議なのです」

提督「……よし、雷、このままじゃまずい。やめておこう」

雷「えー、もっと頼ってもいいのよ」

提督「いや、それだと電がシャレにならん可能性が……まてよ、逆に頼ってみるのはどうだ」

雷「私が、司令官に?」

提督「ああ、どうだ?」

雷「……たまにはそういうのもいいわね。しれいかーん!」バッ

提督「おお、俺の胸に飛び込んでこーい!」

雷「えへへ、実は私もこうして甘えてみたかったの」

提督「うんうん、誰にでもそういう気持ちはあるぞ。なんなら今日はずっとこうして甘えてもいいんだぞ」

雷「でも、私は司令官に甘えてもらうのも好きなの。だから、ずっとっていうのも……」

提督「よーし、それじゃあ甘え合うぞ! それで二人とも喜び合えるな!」

雷「流石ね司令官! それじゃあ、私から……いいかしら?」

提督「もちろんだ。ふふふ、可愛いな、雷は」

雷「そうかしら? えへへ、ありがとう司令官。司令官もかっこいいわよ」

提督「そうか? ありがとう、雷」


電「……」

響「目に見えてイライラしているね、電」

電「今からすぐに大本営にこの映像を持っていきたいくらいなのです」

響(さ、最近の電の冗談が過激だね)

―執務室―

提督「雷はなんというか、包容力があっていいよね」

提督「頼りにもなるし、いい子だと思う」

下2

提督「舞風、朗報だぞ。社交ダンスを踊れるパーティに呼ばれた」

舞風「本当ですか! じゃあ、今度こそ踊れますよね」

提督「ああ。ほら、これが招待状だ」

舞風「ありがとうございます!」

提督「ああ、楽しんできな」

舞風「……? 提督はいかないんですか?」

提督「ああいうパーティは嫌いなんだよ。知ってるだろ」

舞風「知ってますけど……」

提督「部下でも艦娘が行けば面子もたつだろう。まかせたぞ」

舞風「……はい」

~当日・会場~

舞風「はぁ……」

舞風(提督は本当に来ないし、私は誰とでも踊りたいってわけじゃないのに……)

舞風「提督の意地悪……」

提督「誰が意地悪だって?」

舞風「提督!?」

提督「まったく秘書官の奴め、それで面子が立つわけないって言いやがって」

舞風「そ、それは当たり前だと思いますけど」

提督「もしかしたらあるかもしれないだろ」

舞風「さすがにそれは……」

提督「まあ、それはいいや。それでこんなところでなにをしているんだ?」

舞風「私は……」

提督「ふむ、別にいいか。俺も踊らないでいると変な奴から誘われるかもしれないからな。付き合ってくれないか?」

舞風「いいんですか?」

提督「その返答はおかしいな。誰がいいかは俺が決めるんだ。だから、それに対して返してくれたらいい」

舞風「……はい、提督。その誘いをお受けします」

提督「せっかく来たんだ、楽しいパーティにしよう」

舞風「はい!」


飛鷹「あら、心配はいらなかったみたい。あの二人、ずいぶん楽しそうに踊ってるわ」

霞「まったく、どうせ来たって部下と踊るんだから関係ないじゃない」

―執務室―

提督「舞風と踊るのは楽しいんだが、ああいう席の空気はどうにもな」

提督「本人は楽しそうだったし、よかったとするか」

下2

―朝潮型の部屋―

提督「朝潮の紙って長くて触り心地よさそうだよな」

朝潮「そ、そうですか?」

提督「だからいじらせてくれ」

朝潮「はい、いいですよ」

荒潮「司令官~、いつもそういう頼み方をしていますよね」

提督「そうか? ……そうかもな」

荒潮「やっぱり、そういうことは正直な言葉で頼んだ方がいいと思いますよ」

朝潮「わ、私はそんな、全然気にしませんよ!」

提督「いや、荒潮の言うことには一理ある」

朝潮「司令官……」

提督「だから朝潮、その艶やかな綺麗な髪を自由にさせてほしい」

朝潮「……あの、その頼み方も前に誰かにしていたような」

提督「真面目だなぁ!」

朝潮「でも、司令官に触れられるのは私もうれしいので……その、よろしくお願いします」

提督「ああ。大事に触らせてもらうからな」

満潮「……で、変態プロデューサーは朝潮で何しようってのかしら」

提督「何って……髪型を変えるとか」

大塩「それ面白そうですね!」

荒潮「でも、何か似合う髪型ってあるかしら?」

提督「そうだなぁ……王道所でツインテールとかどうだろうか」

霰「あり……かも」

提督「よーし、じゃあさっそくやってみるか」

朝潮(みんな見てきて、少しいたたまれない……)

~~~~~~~~

提督「完成!」

荒潮「あら、可愛いじゃない」

満潮「結びも間違ってないし、確かにいいわね」

朝潮「そんな、みんなからほめてもらえるほどは……」

大塩「ううん、可愛いと思うよ!」

霰「同感……」

朝潮「司令官は……」チラ

提督「? ああ、俺も可愛いと思いますよ」

朝潮「ぅぅ……」

荒潮「あら、お顔を真っ赤にして可愛い♪」

大塩「次は三つ編みとかどうでしょう!」

提督「それいいな、よーし、次は三つ編みだ」

朝潮(は、恥ずかしい……)

―執務室―

提督「いろいろな髪形を試したけど、やっぱり朝潮はおろしている方がいいかもな」

提督「みんなノリノリだったことには驚いたけど」

下2

提督「そういえば大潮、なぜかお前が反乱起こしそうな男性に見えていたんだが」

大潮「そうだったんですか!?」

提督「どうだったって、もしかして俺の視界がおかしかっただけか」

大潮「……あっ、そういえば、明石さんと夕張さんが、何かの実験になってって言われた気がします!」

提督「なにそれ」

大潮「確か……対象の存在を別のものと認識させる?だったような気がします」

提督「しっかり覚えてるじゃん。ってか、そんなのどうするんだよ」

大潮「あっ、大潮そっちの報告忘れてました!」

提督「ああ、うん。何に使うのか知らないけど、頑張れって言っておいて」

大潮「はい!」

―陽炎型の部屋三号室―

提督「陽炎型ってみんな結構制服が違うけど、それをネタにしたりするの?」

秋雲「こりゃまた突然だね。することもあるよ」

提督「ふむふむ、モデルしてもらったりとかは?」

秋雲「あんまり頼める相手がいないんだよね」

提督「ほう、ならいい案を授けてやろう」

秋雲「本当!?」

提督「それは、自分で着ることさ」

秋雲「……いいや、いくら姉妹でも、簡単に制服を借りるなんてこと……」

提督「ふっふっふ、実はすでに持っているのだ。さあ、着て己の糧にするがいい!」

秋雲「えぇ……こういう時の行動力って本当にすごい……」

~~~~~~~~

提督「まずは陽炎の服! 秋雲とあまり変わらないし、これは余裕だろう」

秋雲「姉のコスプレって、なかなか勇気がいるものなの……」

提督「こらこら、もじもじしてたら資料用の写真が撮れんぞ。ほれ、ひしっとして、びしっと」

秋雲「資料なら、提督が着れば……」

提督「え、それ本気で言ってるのか」

秋雲「……な、なんでもない」

~~~~~~~~

提督「親潮の服だ。陽炎とはスパッツがないところが違いかな」

秋雲「は、早く撮ってよ」

提督「どうした、撮られるのが楽しくなったか」

秋雲「結構落ち着かないからよ」

提督「まあ、さっきとあまり差はないからいいんだが……」

~~~~~~~~

提督「こっちは特殊だからしっかりと撮らなきゃな!」

秋雲「あ、天津風の服ってかなり無防備だよ!?」

提督「やばいよな。でも大丈夫、見えないようにできてるから」

秋雲「そ、そういうレベルじゃないってば!」

提督「実際、俺が着るとしたら絶対お断りだしな。女の子が着るからこそ許される」

秋雲「うぐぐ……は、はやくしてよ!」

~~~~~~~~

提督「谷風の服だ。谷風が一番似合いそうな気がしたから、谷風のにした」

秋雲「それって、なんとなく裏を感じるんだけど」

提督「気のせいだって気のせい。普通のセーラーだし、これはちょっとでいいだろ」

秋雲「同部屋だからね……なおさら着る理由がわからなくなったけど」

提督「しかし、こういうの書いてるもんだから、コスプレもお手の物かと思ったぞ」

秋雲「書くのと着るのじゃだいぶん違うの……」

―執務室―

提督「秋雲が漫画の締め切り以外で疲れているところを見るのは久しぶりだ」

提督「コスプレも何度かやってくうちに楽しくなってくるらしいし、秋雲はそっち方面もありだと思うんだけどなぁ」

下2

陸奥「提督、暇?」

提督「忙しい」

陸奥「そう」

―デパート―

提督「……待て、忙しいと答えたはずなのに、どうして俺はここにいるんだ」

陸奥「あら、書類を紙飛行機にして遊んでいた人が何を言っているの」

提督「あ、遊んでなんていねーし。現実逃避だし」

陸奥「なお悪いじゃない」

提督「……ここまで来たのなら仕方ない。付き合おうではないか」

陸奥「うふふ、提督ならそう言うと思ったわ」

提督「で、何を買うんだ?」

陸奥「オーブンレンジよ」

提督「はあ、なんでまたレンジを?」

陸奥「使っていたのが壊れて、この際だからしっかりしたものでも買おうかと思ったのよ」

提督「なるほどなぁ。なら、長門もいたほうがいいんじゃないか?」

陸奥「……え、役に立つと思う?」

提督「さりげなくひどいよな。まあいいか、確かに俺は料理もするから、そのあたりもある程度わかってるし」

陸奥「ええ、だから適任だと思ったのよ」

提督「んじゃ、家電コーナーの方に行きますか」

陸奥「ええ」

~~~~~~~~

提督「基本的に高ければ高いほどいいもの……だが、必要な機能から探した方がいい。いらん機能ばっかりで高いってこともあるしな」

陸奥「なるほどねぇ……提督はどんなの使ってるの?」

提督「俺はいろいろ持ってるぞ。メーカーごとに違いもあるしな」

陸奥「無駄じゃない?」

提督「とはいえ、大量に作るときなんかは複数あった方が重宝するぞ。陸奥には必要ないかもしれないけどな」

陸奥「じゃあ、何かおすすめを教えてくれない? いろいろ持ってるなら特徴もわかってるでしょ?」

提督「使い勝手なら東芝じゃないか。撤退するから次買うときはまた考えなきゃいけないが。そうじゃなけりゃ最近は日立……かなぁ」

陸奥「……今回はいやに真面目に教えてくれるわね」

提督「な、なにを! 俺はいつも真面目だぞ!」

陸奥「書類を紙飛行機にしていた人が何を言ってるのよ」

提督「うぐ……」

陸奥「でも、助かったわ。ありがとう」ニコリ

―執務室―

提督「素直にお礼を言われたのってかなり久しぶりなような……」

提督「……そういえばこの書類どうしよ……まあ、なんとかなるか」

下2

―暁型の部屋―

提督「――ってな具合で、なんとか怒られずに終わらせられたわけよ」

電「司令官さんらしいのです」

響「それは褒めてないよね」

暁「そうなの? あっ……」グゥー

提督「よういえばそろそろお昼か。今日は確か間宮がいないから、各自でとらなきゃならないんだっけ」

雷「そうなの? ならちょうどいいわ、実は今日の新聞にピザ二枚目無料券がついてたのよ!」

提督「お、でたな。たびたび割引をするピザ屋」

響「日本のピザは高いからね。好きな人でもなければあんまり食べないから」

雷「どうする司令官?」

提督「いいんじゃないか。電と暁もそれでいいか?」

電「電はかまわないのです」

暁「暁もよ!」

提督「じゃあ、どんなんにしようかな」

暁「ぴざといえば、チーズが入ってるのがいいわね」

提督「いや、入ってないピザの方が珍しいからな」

暁「し、知ってるわ!」

雷「私は司令官が決めたのでいいわ」

響「それでとても辛いものが選ばれたらどうするつもりなのかな」

雷「し、司令官が選んだものなら……」

電「司令官さんは子供舌だから、電たちが決めても大丈夫なのです」

雷「そうなの?」

提督「子供舌ってわけじゃない。ただ、昔から好みが変わってないだけだ」

響「つまり、どれがいいの?」

提督「餅のやつとフルーツが入ってるやつ」

暁(暁と同じ……!)

~~~~~~~~

提督「んー、久しぶりに食べたが、おいしいな」

暁「はふっ……甘くて食べやすいわ!」

雷「このチーズが伸びる感じがいいわ」

電「パクパク……うん、おいしいのです」

響「……でも、あんまり食べすぎると、ピザはカロリーが高いからすぐに太っちゃうよね」

「「「……」」」

暁「た、食べ多分動くから大丈夫よ」

雷「し、司令官。あーんして、あーん」

電「……モグモグ」

響(電だけ動揺しなかった)

電(あと一枚、あと一枚……なのです……)

―執務室―

提督「なんかみんな遠慮してたな。響のあの一言にはそんな威力が……」

提督「……というより、響だけ手を止めなかったし、もしかしてそれを狙って?」

下2

―工廠―

提督「おーい」

夕張「どうかしましたか? また変な改造とかやめてくださいよ」

提督「改造ではないが、変なものを作っているだろう」

夕張「? ……ああ、もしかしてあれのことですか」

提督「あれが何かわからんが、おそらくあってるだろう」

夕張「うーん、まだまだ完成品とは言えないので、秘密にしておきたかったんですが」

提督「秘密にされるこっちの身にもなれ」

夕張「そうですねぇ。提督には話しておいた方が良いですかね。明石さーん!」

明石「はいはい、なんですか?」

夕張「提督があれの存在に気付いたみたいです」

明石「そうなの? まあ、言わなかっただけで隠しているわけでもないからね」

提督「とにかく、二人だけで会話をするな。詳細を話せ、詳細を」

明石「ふむ、ちなみにどこまで知ってますか?」

提督「大潮が大塩平八郎になってたところまで」

明石「この前の実験ですか。少し粗があったみたいですからそれですね……あれは自分の見た目をホログラムにして、さらに対象に変化を悟らせないようにすることで――」

提督「いや、そんな御高説は聞いても多分分からん」

明石「では、何を聞きに来たんですか?」

提督「なんで大塩平八郎に見えるようにしたんだ」

明石「似てるから、ですかね」

提督「どこがだ!」

夕張「まあまあ、大潮と大塩では似ていますよね」

提督「名前だけならな」

夕張「そういうことですよ」

提督「……いや、どういうことだよ」

明石「少しでも似ているものであれば、変化が気取られ難いということですよ」

提督「いや、流石にその理由は無理が……しかし、名前を呼ぶ際には違和感が無くなるか……」

明石「納得していただけましたか?」

提督「納得できないが……どうせ理論を聞いても分からん。目的は分からんが、好きにしろ」

夕張「やりましたよ! ついに提督の許可が下りました!」

明石「では、今後はもっと本腰を入れる事が出来ますね」

提督(怪しいが……いざとなれば秘書官が止めるだろう)

―執務室―

提督「基本的に意味が解らない話だった」

提督「しかし、大潮本人は大塩に見られても良かったのだろうか……いや、多分誰も気付いてなかったけど」

↓2

―夕雲型の部屋―

朝霜「あー、最近雨多いなー!」

提督「そうだな。それが?」

朝霜「わかんねーのか司令。外に出れねーじゃねえか」

提督「え? ……出てくればいいんじゃないか」

朝霜「濡れるだろ」

提督「海に出てる奴がいまさら何を」

朝霜「雨と海は違うんだよ!」

提督「よくわからんが……とにかく、外に出て暴れたいって事か」

朝霜「暴れたいって言い方は引っかかるが、そういうことだ」

提督「なら、髪型を変えてみるか」

朝霜「話聞いてたか!?」

提督「失礼な、ちゃんと聞いてたぞ」

朝霜「じゃあ、なんでそんな結論になった。さっぱり意味が解らん」

提督「言うなれば、形から入るんだ」

朝霜「なんのだよ。雨にぬれても良い髪型か」

提督「いや、外に出る気を減少させる髪型だ」

朝霜「根本的な解決になってねーな……」

提督「どうせ後もうちょっとで梅雨も終わりだ。ほれ、その頭を貸せ!」

朝霜「あっ、ちょっ――」

~~~~~~~~

提督「完成だな」

朝霜「……みつあみだと?」

提督「内気少女御用達の素晴らしい髪型だろ。これで外に出ず、読書をしたくなるはず」

朝霜「前々から思ってたけど、司令って馬鹿だよな」

提督「すまん、それは朝霜が言って良い台詞じゃないと思う」

朝霜「よーし、良い度胸だ。歯ぁくいしばれ」

提督「待て待て、何もそれだけのために朝霜をみつあみにした訳じゃ無い」

朝霜「へえ、もちろん納得出来る理由だよな」

提督「……みつあみの朝霜を見てみたかったんだ」

朝霜「……はぁーあ、興がそがれた。今日の所は勘弁してやるよ」

提督「興だけに今日ってか。ははは、つまんねー」

朝霜「おらぁ!」バキッ

提督「ありがとうございますっ!」

―執務室―

提督「まったく髪型の効果が出てなかったじゃないか。いや、三つ編みにしたくらいで効果出るとは思ってないけど」

提督「というか、朝霜ちょっと機嫌が悪そうだったな。やっぱ雨の季節は外に出られないからか」

↓2

―庭―

清霜「司令官! これ面白いね!」ブンブン

提督「おいおい、傘を振り回すのは危ないぞ」

清霜「ごめんなさいっ。でも、これ一つで野球もゴルフもできるのよ」

提督「昔はよく見たなぁ、その光景」

清霜「そうなの?」

提督「ああ。駅で待っているおじさんとかが、逆手にもってこう……ブンッて」ブンッ

清霜「今の司令官の姿勢綺麗だったわ!」

提督「恥ずかしながら、俺もよくやってたものでな。清霜は何かやってみたいものとかないのか?」

清霜「私はチャンバラがやってみたいの」

提督「チャンバラ? 一人じゃできないからか?」

清霜「それもあるけど、武蔵さんと長門さんがやっていたの」

提督「なにやってんだあいつら……そういえば、すごい折れ方した傘が捨てられてたって……」

清霜「ねー、司令官。一緒にしようよ」

提督「ん、いいぞ。それくらいならお安い御用だ」

清霜「ありがと! じゃあじゃあ、ついでにひとついい?」

提督「どうした。もっと柄の長い傘の方がいいとか?」

清霜「うーん、それもいいけど、そうじゃなくて――」

~~~~~~~~

提督「ここまで来たか、清霜」

清霜「この試練をクリアすれば、戦艦になれるのよね」

提督「ふっふっふ、どうだかな。もしかすると、徒労に終わるかもしれんぞ」

清霜「ううん、そんなこと言っても無駄だよ。私は進むって決めたの!」

提督「くく、さすがにこれくらいで揺さぶられないか。だが、逃げるなら今のうち、とだけは忠告しておくぞ」

清霜「くどいよ!」

提督「ならばいいだろう、剣を抜け。ここでその希望を打ち砕いてやる!」

清霜「そんなことにはさせない! えいっ!」ブンッ

提督「軽いわ! はああああ、散沙雨!」シュシュシュ

清霜「っ!? は、早い突き……でも、このくらいなら!」ガッガッ

提督「まだまだ! 魔神千裂破!」バッガガガ

清霜「ちょ、ちょっと司令官!? きゃっ」ポキッ

提督「とどめだ! 襲爪雷斬!」ドゴーン

清霜「きゃああああああ!」

提督「ふっ、まだまだだな」

清霜「もう! 司令官本気出しすぎよ!」

提督「そりゃ、戦艦になる最後の試練なんだし、手加減してちゃつまらないだろ」

清霜「うっ……そうかもしれないけど、最後の雷とかなんだったの?」

提督「便利な便利な妖精さん作の電撃装置だ。見た目は派手だけど静電気くらいの威力しかない」

清霜「なにそれかっこいい!」

提督「よーし、じゃあ次は工廠の方に行くぞ!」

清霜「おー!」

―執務室―

提督「清霜といろいろ遊ぶのは楽しいなぁ」

提督「そういや、使った後の傘どこにやったっけ。……まあいいか」

下2

―会議室―

提督「諸君ら、きちんと準備はしてきただろうか」

筑摩「ええ、ばっちり」

千代田「いつでも始めていいわ」

提督「よし、では『第一回、最愛姉発表の場』とする! 各々書類はばっちりだな」

比叡「気合い! 入れて! 行きます!」

山城「姉さま、みていてくださいね……山城、頑張りますから」

龍田「うふふ、天龍ちゃんの魅力を見せてあえるんだから」

提督「……まあ、正直な話、誰が一番とかどうでもいいんだけど。なんかお互い収まりがつかなかったみたいだからこの場を借りただけだからな」

筑摩「わかってますよ。お互いの姉の良さを再認識、ですよね」

龍田「平和に終わることに越したことはないですよね」

提督「お前ら二人は割と姉にとっての外敵に容赦ないからな……そういうセリフはむしろ怖いぞ」

比叡「まずは私から行きますね! 金剛お姉さまは、いつも私のためを思って行動してくれるんです! 応援にもいつも来てくれますしね! この間なんて、私が帰ってきたときに大好物の――」
提督「ストップストップ」

比叡「な、なんですか! 今いいところでしたのに!」

提督「いやお前、そのまましゃべらせてたら終わらなかっただろ。なるべく一言に収めてくれ。そういう長いのは書類にまとめとけ」

比叡「うう、わかりましたよ……とにかく、金剛お姉さまはいつも私のこと思ってくれる優しい姉なんです!」

千代田「あら、その点なら千歳お姉も負けてないわ。千歳お姉だって、千代田のために晩酌してくれたり、そのためのおつまみだって作ってくれるのよ」

提督「それって自分一人のお酒が寂しいから巻き込んでるだけじゃ……」

千代田「そうだとして何か悪いことでもある?」

提督「……ないか」

山城「優しさなら、扶桑姉さまも負けてませんから。私がアイスを落としたら、姉さまの分を半分ずつにしてくれたんです」

千代田「そのくらい、千歳お姉もやってくれるんだから!」

山城「そのあと、姉さまがこけて、二人まとめてアイスがダメになったんですけど……」

千代田「ご、ごめんなさい」

提督「相変わらず不幸の星に生きてるな。そっちの危険な二人はどうだ」

筑摩「危険って、ひどい言われようですね」

龍田「うふふ、私達はちょっと自分の姉が可愛いと思っている普通の妹よ~」

提督「その言い方からして怪しいわ!」

筑摩「ついでに、昨日の姉さんは寝苦しいからってお腹を出して寝てました」

龍田「天龍ちゃんもなのよね~、はしたないけど、そういうところも可愛いのよねぇ~」

提督「お前ら二人は他のシスコンと違って弄る方面だからな……」

筑摩「何を言っているんですか、姉さんを可愛がっているだけです」

龍田「そうよ~、ちょっとした愛の鞭ね」

提督「こいつらの愛は怖すぎる」

―執務室―

提督「愛は感じるが、あの二人の姉妹にはなりたくないな……なんか恐ろしい」

提督「というか、この書類どうしよ……なんか百ページ以上あるんだけど」

下2

―睦月型の部屋―

弥生「司令官、見てください」

提督「どうした弥生、珍しく目を輝かせて」

弥生「目、輝いてました……?」

提督「いや、いつもの無表情だけど、雰囲気的に輝いてたかなって」

弥生「そう……」

提督「それで、何を見つけたんだ?」

弥生「これ……卯月が持ってた、です」

提督「DVD? ……ドリフって書いてあるな。個人的に録画した奴か」

弥生「ドリフ?」

提督「あの『押すなよ、絶対押すなよ』で有名な奴だ」

弥生「……面白いんですか?」

提督「俺は好きだぞ」

弥生「なら、見てみます」

提督「じゃあ、再生ーっと」

~~~~~~~~

<イイシツモンダ グッドクエスチョン

提督「これ俺が見たのと違うなー。最近のかな」

弥生「……」

<アイムソーリー

提督「っくく……なんかもう、この時点で笑っちゃうわ」

弥生「……」

提督(弥生の表情変わらんな。つまんないのかな?)

提督「弥生、見るのが苦痛なら、止めてもいいぞ」

弥生「いい、です」

提督「えっと、そのいいって……」

弥生「続き、みます」

提督「そ、そう」

提督(これ雰囲気が面白いって言ってるわ)

弥生「……」

<ボクノセイセイカツハ

提督「あ、これ見た事あるわ」

弥生「司令官」

提督「なんだ?」

弥生「せいせいかつって何? どういうこと、ですか?」

提督(……まさかドリフを見てこんな質問されるなんてなー)

提督「知らなくても、コントは見れるぞ?」

弥生「気になる……ネタの追及……」

提督「弥生、俺が想像しているよりハマってるな」

弥生「……」プイッ

提督「可愛いけど、これは教えられることじゃないぞー」

ガチャ

卯月「あー! 何勝手にうーちゃんの見てるの!」

弥生「卯月、せいせいかつってなに」

卯月「ぴょん!?」

―執務室―

提督「卯月には悪いが、抜け出させてもらった。あとであのDVD借りよう」

提督「弥生ってあれで色々なもの好きだからなー。それでも、笑ってる姿は想像できないけど」

↓2

―食堂―

金剛「ヘイ、アイオワー」

アイオワ「ミスコンゴー? ミーに何か用事?」

金剛「それデース」

アイオワ「?」

金剛「その中途半端な英語をやめるデース!」

アイオワ「ホワイ?」

金剛「私と! キャラが! 被ってるデース!」

アイオワ「……アドミラル、コンゴーは何を言っているの?」

提督「しらね。それより、ソースとってもらっていいか」

アイオワ「アドミラル、スクランブルエッグにソースは有り得ないと思うの」

提督「気分だ気分。俺はケチャップ、マヨネーズ、塩コショウなど日によってかける調味料を変えるからな」

アイオワ「個人的に一番好きなものは何?」

提督「そのままが一番だな。料理人が優秀だから、何もかけずに食べる方が美味しかったり」

アイオワ「素材の味を楽しむってやつね」

金剛「無視するな、デース!」

提督「なんだよ金剛、別にルー語くらいゆるせよ」

アイオワ「ルー語?」

提督「文章の単語だけを英語にして話す手法だ。日本語詳しくない時のお前みたいなものだ」

アイオワ「なるほど、でもコンゴー、今はそんなにイングリッシュでトークしてないわ」

金剛「その英語はわざと使いましたネー!」

提督「おいおい、あんまり煽るなよアイオワ」ガタッ

アイオワ「どこに行くの、アドミラル」

提督「なんとなく牛乳を飲みたい気分になったから、間宮から貰ってくる」

アイオワ「私も付いていくわ」

提督「なんだ、お前も飲むのか」

アイオワ「前にのんだ時、美味しかったからね!」

提督「あんまり飲み過ぎてお腹壊すなよ」

アイオワ「そんなことするわけないじゃない」

金剛「だ・か・ら! 無視するなデース!」

アイオワ「どうしようか、アドミラル」

提督「俺は個人の確執には関与しない。決闘でも何でもして好きに決めろ」

アイオワ「フーム……ミスコンゴー、大丈夫よ」

金剛「な、なにがですカー」

アイオワ「ルーランゲージは、ユーにイントラストするわ。ユーだけのキャラクターよ」

金剛「そのわざとらしい英語をわざわざ使ってる所が腹が立ちマース!」

アイオワ「困ったわ、コンゴーに話が通じないわ」

提督「煽るの無駄にうまいな。イントネーションはずしているところは俺が相手でも少しイラッとくるぞ」

アイオワ「あら、そうかしら? アドミラルのお蔭ね」

提督「いや、俺そんな事は教えてないと思うんだけど……」

金剛「二人共自分たちの世界に入らないでくだサーイ!」


霧島「……どうして金剛お姉様はわざわざ絡みにいってるんですか?」

榛名「さあ……初めに会話をしに行ったときは、そこまででも無かったと思うのですが」

比叡「前に好きでもないって言ってたのに、よく朝食とかを一緒にしているかららしいよ。しかも、あんな風に毎回追い返されてるから……私はお姉様がここに戻って来てくれる方が嬉しいから、見てるだけだけど」

霧島「……! 比叡お姉様がそんな計算をできるなんてびっくりです!」

比叡「ひどくない!?」

―執務室―

提督「別に仲悪いってわけじゃないと思うんだけどなー」

提督「俺はむしろ、二人は仲良くなりそうだと思ってたんだが……意外とわからないものだな」

↓2

―二航戦の部屋―

ジュージュー

提督「……」

飛龍「……」

蒼龍「はいはい、二人共そんなに顔を近づけないの」

提督「……うお熱っ!」

飛龍「脂が飛び散る!」

蒼龍「だから言ったでしょ。はい、野菜も入れるわよ」

提督「まて、肉を隠すんじゃないぞ!」

飛龍「どうせならもっと提督の方に!」

蒼龍「はいはい」ポイポイ

提督「入れ過ぎだ馬鹿め!」

飛龍「雑な入れ方に野菜が泣いてるよ!」

蒼龍「肉を囲むように入れないと、二人共肉ばかり取るじゃない」

提督「くっ、バレバレじゃないか!」

飛龍「提督の目がギラギラしてたからっ!」

提督「何だと! 飛龍なんて肉の真上で箸が止まっていたぞ!」

蒼龍「はいはい、喧嘩しないの」

飛龍「……そうだね、落ち着くよ」

提督「少し本気になり過ぎたな。気を付けよう」

蒼龍「そもそも、お肉は十分な量があるのに、なんで真っ先に取ろうとするの……」

飛龍「それは……ねえ、提督」

提督「そうだな、テンプレってやつあのかもしれないな」

蒼龍「良く分からないテンプレですね……」

飛龍「って言ってるうちにいただき!」バッ

提督「あっ、卑怯な奴め! なら俺も!」バッ

蒼龍「野菜を避けない!!」

飛龍「はい」
提督「はい」

~~~~~~~~

提督「あー、特上カルビ美味しいー」

飛龍「こっちのサーロインもいけるよ!」

蒼龍「いえ、そんな上等なものは無いんですけど……」

提督「いや、そう思って食べてるとそんな気分になれないか?」

飛龍「プラシーボプラシーボ」

蒼龍「じゃあ私が用意したお安いお肉は私が責任もって処理しますね。あ、お二人は二人で持ってきたお肉をどうぞ」

提督「俺ら殆ど持って来てないです! お許しください!」

飛龍「申し訳ありません蒼龍様!」

蒼龍「いえ、そこまで言われなくても……って、五体投地は止めて!」

提督「いやー、悪いな。殆ど蒼龍が安いからって買ってきたものなのに」

飛龍「突然の焼き肉なものだから、ちょっとテンション上がっちゃってさ」

蒼龍「まあ、それはいいんですけど……焦げますよ、野菜」

提督「ん? おわ! 飛龍取るぞ!」

飛龍「だね!」

―執務室―

提督「焼肉はやっぱりワイワイしてこそだな」

提督「一人焼肉は一人焼肉で楽しい所もあるけど」

↓2

―公園―

金剛「平和ですネー」

提督「だなー」

金剛「でも、提督は散歩に出かけてて大丈夫なんですカー?」

提督「問題はない。書置きはしてきた」

金剛「また帰ったらカスミに怒られますネー」

提督「ははは、思い出させるな」

金剛「だったらちゃんとしてから出かければいいデース」

提督「それはそれ、これはこれ。そもそも、今じゃなかったら金剛を呼んで散歩なんてしてないぞ。たまたまあったから誘っただけだし」

金剛「それはそれ、これはこれでいいデース」

提督「でも、金剛の方に用事はなかったのか?」

金剛「特にありまセーン。提督散歩できるのなら、すべてキャンセルしマース」

提督「金剛も人のこと言えないぞ。……まてよ、もしかして元々あった用事って」

金剛「比叡とティータイムネー」

提督「……帰ったら怒られそうだな」

金剛「ちゃんと私からも言っておきますからネー」

提督「マジ頼むぞ。怒られるならまだしも、料理の差し入れは勘弁だからな」

金剛「料理……そういえば、そこで何か売ってマース」

提督「んー? ほう、まさかのたい焼きか。こういう場面じゃクレープだと思ったんだが」

金剛「タイヤキ……なるほどデース」

提督「ほしいなら買ってこようか?」

金剛「本当ですかー! ……でも、一緒に買いにいきまショー!」

提督「そうか? ついてきてもいいけど……」

金剛「一緒に選んだ方がデートみたいですからネー」

提督「はは、そうか。なら、一緒に選ぼうか」

金剛「オッケーデース!」

―執務室―

提督「普通にのんびりするのが久しぶりに感じる」

提督「最近金剛に構ってあげられなかったし、こういうのもたまにはいいか」

下2

―近海の岩盤―

提督「さすがにもういないか」

提督(菊月と長月が少し落ち込んでいたように見えたのはこれか。まあ、よかったのだろうな)

提督「……しかし、結局あれはなんだったのだろうか」

ヲ級「どうなんでしょうかね……」

提督「さらっと話し掛けて来たな。で、何か解明できたのか」

ヲ級「いえ、実は……その、逃げられまして」

提督「逃げられた!?」

ヲ級「こう、徐々にお互いの距離を縮めて、お互い合意の上に連れて行こうと思いまして……」

提督「はぁー、お前頭良さそうに見えたけどアホなんだな」

ヲ級「それを人間に言われるのは――」

ヲ級「――すみません、少し甘く見ていたみたいです」

提督「自分の発言を変えるの早いな」

ヲ級「とにかく、正体も掴めていないので、そちらの方でも気を付けて下さい」

提督「お、心配してくれているのか?」

ヲ級「いえ、余計なお世話でしたね」

提督「ははは、そうか、お前も気を付けろよ」

ヲ級「一応仲間なので……ん、仲間? ……」

ヲ級(普通に話し掛けてるけど、これって拙いんじゃないでしょうか。その、誰かに見つかったらお互い無事にすまないような……)

提督「んじゃ、居ないことも確認したし、お暇するわ」

ヲ級「は、はい。というか、あなた一人でもう海に出ないでください」

提督「なんだ、やっぱり心配してくれているのか?」

ヲ級「一応敵同士なんですから、心配ではないです。ただ、あなたが海に出てくるときはだいたい何かがあるんですから」

提督「そうか? そんなことはないと思うけど。それじゃ」


ヲ級「……はぁ、本当に恐ろしい人です」

レ級「どうかしたの?」

ヲ級「ああいえ、それより、全く足取りがつかめないみたいですね」

レ級「目立つ見た目をしてたんだけどねー。かくれんぼ上手だよ」

ヲ級「私の偵察機にも引っ掛かりませんし、ここには居ないと見て良いですね。私達も撤収しましょう」

―執務室―

提督「突然変異で解明できないどころか、逃がしたなぁ……」

提督「居ないものはしょうがないし、相談できる内容でもなさそうだし、気にするだけ無駄かもな」

↓2

―デパート―

提督「木曾もファッションに気を遣うんだな」

木曾「おいおい、それはいくらお前でもひどいんじゃないのか」

提督「おっと、確かにその通りだ。すまんな」

木曾「まあ、俺とお前の仲だしな。ただ、そういう言葉は気を付けろよ」

提督「わかった」

木曾「んじゃ、きちんと水着選びに付き合ってもらうからな」

提督「おっけ。木曾に似合う水着をきちんと選んでやるからな」

~~~~~~~~

木曾「ふーん、思ったより種類もあるんだな」

提督「木曾は……うーん、派手なのは微妙だよな」

木曾「そうだな、自分でもそう思う。なら普通にビキニとかか」

提督「ちなみに、誰と海に行くんだ? 相手に合わせるのもいいんじゃないか」

木曾「ああ、姉貴たちが海に行くから用意しとけって話だから……まてよ、そういや聞いてないな」

提督「おや、木曾もそういうミスをするんだな」

木曾「ふっ、どうやら俺としたことがちょっと浮かれていたみたいだな」

提督「ははは、そうか。そういうイベントを楽しみにするのはいいことだ。だが、その話だと姉妹は確定だな」

木曾「ああ、そういうことになるな」

提督「姉妹と行くなら、やっぱり機能性重視でいいろうな。木曾もそっちの方がいいだろう」

木曾「わかっているじゃないか。なら、こっちの見た目重視のより、あっち側の本格的な奴の方がいいかもな」

提督「そんなコーナーがあるのか。なら、そっちの方に行ってみるか」

木曾「そうだな」


多磨「話しかけないのにゃ?」

球磨「邪魔になるかと思ってたクマ。でも、今は……混ざってもいい気がするクマ」

多磨「あの二人、仲の良さがよくわからんにゃ」

球磨「お互い下心ないと、ああもつまらなくなることが分かったクマ……」

―執務室―

提督「姉妹で海に行くやつは機能性重視ということになった」

提督「……人に見せるための水着を選んだならどうなったんだろうか」

下2

―睦月型の部屋―

提督「睦月型の諸君ら、今ならたかいたかいをしてあげるぞ!」

長月「また司令官は変なことを……」

睦月「睦月、ちょっとしてもらいにゃしぃ」

如月「それなら、如月も頼もうかしら」

文月「文月も、してもらいたいなぁ~」

皐月「あ、じゃあボクも!」

卯月「じゃあうーちゃんもしてもうぴょーん!」

提督「はっはっは、しょうがないやつらだな。順番だぞ」

菊月「……あれは放っておいてもいいのか?」

望月「司令官だから、相手してもしょうがないしー……」

三日月「ええと……」チラチラ

長月「はぁ……三日月も気になるのならされてきたらどうだ」

三日月「い、いえっ! そういうわけにも……」

望月「あんまり遠慮しても意味がないぞー。ほら、弥生だって並んでる」

三日月「あっ、本当……」

菊月「私としては、あんなことをしていていいものかと思うのだがな」

望月「あれで喜ぶ子がいるならいいんじゃなーい。私には関係ないしー」

長月「そもそも受け入れる子が多い状態で私達だけどうこう言えんしな」

三日月「そ、そうですよね。でも……」

長月「……しょうがないな。私もしてもらおう、だから、三日月も素直になれ」

三日月「は、はい!」

提督「飛行機ー! ブーン!」

睦月「わー、すごーい!」

弥生「……!」

皐月「司令官すごいね! 二人を軽々と持ち上げて!」

提督「鍛えているからな。それに、お前たち位なら軽いものさ」

如月「あら、それなら人数を増やしていただけませんか?」

文月「順番待ちがながいのー」

提督「え、いやそれは……す、すぐに交代するから」

長月「微妙にかっこ悪いね」

提督「長月! いや、これは……」

長月「まあ、司令官が力あってもなくてもいいんだけど……三日月と望月にもやってあげてくれないか」

提督「二人にも? ……ははーん、いいぞ!」ガシッ

三日月「あっ! あ、えと……!」
望月「別にあたしはどうでもいいんだけど~……」

菊月「長月は良いのか?」

長月「まあ、後でやってもらうさ」

菊月「ふっ、そうか」

―執務室―

提督「たかいたかい、大人気だったな」

提督「あれに喜んでいるうちはまだまだ子供だな」

下2

―朝潮型の部屋―

提督「そういえば朝潮、改二になったんだっけ。どんな感じだ?」

朝潮「はい、これなら司令官との約束も守り通せます!」

提督「……親潮?」

朝潮「っ!」

提督「いやすまん、さすがに冗談だ……が、それにしても大人びたな」

朝潮「そ、そうですか? 実は妹たちにも言われたんです……」

提督「悪い変化じゃないし、悲観することなんて何もないんだが……ううむ」

朝潮「やっぱり、どこか変ですか?」

提督「いやいや、喜ぶべきことだ! うん、だがなぁ、なんというか、もったいないというか……」

朝潮「司令官のおっしゃりたいことがよくわかりません」

提督「俺自身よくわかってないからな。まあなんだ、女らしくなったなってことだ」

朝潮「司令官……」

満潮「あら、どこぞのロリコン司令官は前の方がよかったってことかしら」

霞「言葉に特別な意味がないところがクズっぽいわね」

提督「な、なんだお前ら。別にいいだろ、思ったことをそのまま口にしてるだけなんだから」

大潮「大潮わかります、天然ってやつですね!」

霰「リアルの天然は好まれない」

荒潮「あら、私は可愛いと思うわよ~」

山雲「私も~、そう思うわ~」

朝雲「みんな、話がずれてきてるわよ」

提督「それで、朝潮に対して素直な感想を言うのに、どこが悪いっていうんだ」

満潮「言われなきゃわからないわけ?」

提督「言われなきゃ? うーん……」

朝潮「わ、私はさっきの言葉で十分うれしいですよ!」

霞「なに朝潮にフォローさせてんのよ。このクズ!」

提督「……ああ、なるほど。朝潮」

朝潮「はい!」

提督「綺麗になった、似合ってるぞ」

朝潮「は、はいっ……!」

大潮「あれ、顔が真っ赤だけど大丈夫?」

荒潮「だめよ、今はそっとしておいてあげましょ」

朝雲「相変わらず司令はジゴロね」

満潮「こんなんに振り回される子がかわいそうね」

霞「鈍感というより、何も考えていないというのが一層酷いわ」

提督「なんで更に罵倒されなきゃいけないんだ!?」

―執務室―

提督「あの部屋が一番厳しい言葉を投げかけられる気がする」

提督「しかし、あの変化だとほかの子もどう変わるのか、子供の成長を見るようで寂しくも楽しみだ」

下2

―瑞穂型の部屋―

提督「へい瑞穂」

瑞穂「……? 私に何か用ですか」

提督「瑞穂って季節に合わせて三方に置く物を変えてるよな」

瑞穂「はい、そうですけど」

提督「なら、今の季節は何か置かないのか?」

瑞穂「と、言われましても……今の中途半端な時期に何を置いたらいいのでしょうか」

提督「初夏だろ? なら、夏に関係する物を置いても良いんじゃないか」

瑞穂「なるほど、たとえばどんなものでしょうか」

提督「カブトムシとか」

瑞穂「いえ、生き物は流石に……」

提督「ならセミの抜け殻とか!」

瑞穂「そういう物は置きませんって!」

提督「なに、冗談だ。さて、今の時期に相応しいものだろう……」

瑞穂「あの、無理に置く必要は無いですからね?」

提督「……海岸の砂とかどうだろうか」

瑞穂「三方に置くほどのものとは思えないのですけど……汚れますし」

提督「そうか? じゃあ、スイカとか」

瑞穂「重量的に難しいですよ」

提督「それもそうか。でも、牛丼を置いてたくらいだし、小さめのスイカなら」

瑞穂「いえ、あれもずっと持ってたわけじゃないですから……食べ物は粗末にできませんし」

提督「文句が多い奴だなー」

瑞穂「う……す、すみません」

提督「すまん、真面目に受け取られるとは思わなかった」

瑞穂「とりあえず、今はこのままでいいですよ」

提督「かねぇ……」

瑞穂「提督としては、やはり何かを持ってもらっておきたいということですか?」

提督「いや、実は話す前に一つ良いものを考えていたんだが、思い出せなくて」

瑞穂「……もしかして、ずっと冗談を口にしていたのも」

提督「時間稼ぎってやつだな」

瑞穂「提督、私は逃げませんから、思い付いたときで良いんですよ」

提督「そうだな。じゃあ、思い付いたら……思い出した」

瑞穂「は、早いですね。それで、何ですか?」

提督「短冊だ。小さな笹を乗せて、短冊を括りつけるんだ」

瑞穂「あ……なるほど、分かりました」

提督「時期的にちょうど良さそうだしな。ああ、もちろん無理そうなら……」

瑞穂「いえ、たしかにその案は良さそうですね。ありがとうございます、頑張ってみますね」

―執務室―

提督「季節に合わせて変えれるなんて、三方は便利だな」

提督「もともとそういう物でも無い気はするが……」

↓2

―青葉型の部屋―

衣笠「ねえ、提督」

提督「んー?」

衣笠「青葉にスカート履かせてみたくない?」

提督「……あれ、青葉ってズボンだっけ」

衣笠「ハーフパンツね。提督、よく青葉と話すのに知らなかったんだ」

提督「逆に考えるんだ。服装を気にしない仲なんだって」

衣笠「気にしていなかったのは提督の方だけだと思うけど……知ったら青葉が拗ねるわよ」

提督「わざわざ言わなければいいんだ。それで、作戦はあるんだな」

衣笠「もちろん。やっぱり提督はこういうのノリノリね」

提督「まあな。どちらかといえば、衣笠の方が珍しいぞ」

衣笠「さすがに……ねぇ、私でも我慢ならないこともあるのよ」

提督(触れないようにしておこう)

~~~~~~~~

青葉「あれ、あれれ?」

衣笠「……どうしたの、青葉」

青葉「青葉のハーパンの予備がないんだよ。あれー? おかしいなぁ……」

衣笠「探すのはいいけど、早くしないとお風呂の時間が過ぎちゃうわよ」

青葉「ガサは知らないの?」

衣笠「青葉の服に興味なんてないわよ。どうせ誰かのイタズラじゃないの」

青葉「イタズラ……ここの鎮守府には心当たりが多すぎる……」

衣笠「代わりの服は……私のスカートでも使う?」

青葉「着回し……は、青葉も嫌だし……うぅ、じゃあ、貸してくれる?」

衣笠「ええ」

青葉「……本当に知らないんだよね」

衣笠「な、なにを疑っているのよ。自分で心当たりが多いって言ったくせに」

青葉「はぁ……」

―廊下―

青葉「うぅ……なんだか、違和感がある……」

衣笠「……」

青葉「な、なんなの、そんな顔で青葉を見ないでよお……」

衣笠(なんだか恥ずかしがっている姿も相まって、いつもより……こ、女らしくなっているように見える)

提督「ほうほう、面白いものが見れると聞いてやってきたぞ。それ、一枚」パシャッ

青葉「し、司令官!」

提督「残念だが青葉、お前の姿は鎮守府内で拡散されている。今もこの写真を使って拡散しておいた」

青葉「な、なんてことしているんですか!? 今すぐやめてください!」

提督「嫌だね。誰かの陰謀が見えて、自分がスカート履いていることを意識しちゃっているんだろう。くくく、なかなか可愛いじゃないか」

青葉「もしかして、これは司令官の仕業ですか!」

提督「さてな。次の青葉新聞の一面は決まったな。報道記者青葉、恥ずかしそうに鎮守府内を歩く姿を目撃される、とな」

青葉「そ、そんな新聞が見てもらえるわけないじゃないですか!」

提督「それは間違いだ。なぜなら、俺は見るからな!」

青葉「う、うう……し、司令官が変態です!」ダッ

衣笠「……いいの? 主犯だって思われたと思うんだけど」

提督「間違いでもないだろう。それに、あんな顔を真っ赤にしている青葉が見れただけでそれだけの価値があった」

―執務室―

提督「自分が対象になると途端にテンパる青葉」

提督「……こっそり撮った写真使って、マジで記事にしようかな。こっそりとな」

下2

―庭―

提督「今日は七夕だな。みんな、準備はしているか」

大和「飾りつけは準備完了しています。後は、短冊を付けるだけですね」

長門「ふむ、短冊の内容はどのようなものでもいいのか」

提督「公序良俗に違反しないのならな。匿名でもいいから、気軽に飾り付けとけ」

扶桑「なら来年はこれね……来年は、今年より少しでもいいことが起こりますように」

山城「私は……私も、姉さまと同じもので」

比叡「今年もいろいろなことが上手くいきますように」

霧島「比叡お姉さまが……真面目!?」

金剛「霧島、それは失礼ネー」

天龍「来年こそ、もっと俺の活躍を……!」

木曾「来年は、もっと歯ごたえのあるやつが出てきてもいいかもな」

天龍「! お、俺も強敵に出会いたい!」

龍田「天龍ちゃん、身の丈に合わない願い事はやめておいた方がいいわよ~」

球磨「あそこの妹は相変わらずきっついクマ」

川内「夜戦……夜戦……」

神通「二つも三つも飾り付けちゃダメです」

那珂「那珂ちゃんは……! もうちょっと出番がほしいかな」

五十鈴「提督の訪問をもう少し静かにしてほしいわ」

名取(なんだか本気の願いのような……)

暁「私はもっと立派なレディになることよ! 他の皆はどうかいたの?」

響「スパシーバ」

電「なのです」

暁「……あの、短冊に書いてあることとは違うよね」

響「細かいことは気にしちゃだめだよ。ほら、あっちをみてごらん」


白露「来年はもっと出番が……」

夕立「っぽい!」

時雨「もっと長い雨が続いてくれてもうれしいかな」

陽炎「来年もみんな仲良く、ね」

雪風「雪風の幸運が、みんなにも与えられたらいいな」

―執務室―

提督「……なんだかんだ、みんないるよなぁ。自由参加なのに」

提督「あんまり回る時間なかったから詳しくは知らないけど、みんな楽しんでいるようでよかった」

下2

―睦月型の部屋―

文月「しれいかぁ~ん。マッサージが上手って聞いたのー」

提督「おお、大分前の話題のような気もするが、確かに自信はあるぞ」

文月「あたしにもしてほしいなぁ~」

提督「もちろんいいぞ。じゃあ、そこのベッドに寝転がってくれ」

文月「はぁ~い」ゴロッ

提督「さあて、どの辺りを重点的にやってほしい?」

文月「どういうことぉ?」

提督「ほら、凝ったところとか……いや、すまん。文月はそういうのとは無縁だよな」

文月「?」

~~~~~~~~

文月「ふみぃ~……」

提督「どうだ文月。気持ちいいか?」

文月「これが、てくにしゃんってやつだねぇ~」

提督「微妙に文月に似つかわしくない言葉が出てきたな」

文月「あたしだって成長してるんだよぉ」

提督「口でプンスカ言うレディよりかは成長してるかもな。でも俺にとってはまだまだ子供だ」

文月「むぅ~」

提督「ほれほれ、今はマッサージの方に集中しろ」

文月「ん……ねぇねぇ、あたしにもさせて?」

提督「何をだ?」

文月「まっさーじ。司令官にしてあげたいの~」

提督「なるほど。じゃあ、好意を無下にするのも何だし、してもらおうかな」

文月「じゃあ、そこに横になって~」

提督(さて、文月はどんなマッサージをしてくれるのかな)

文月「じゃあ、いっくよぉ~」フミッ

提督「!」

文月「えい、えい」フミフミ

提督(文月だけに足踏みマッサージだと!)

文月「司令官、どんな感じ~?」

提督「な、なんか上手だな……あれか、体重が丁度良いのか」

文月「そうなのぉ?」

提督「少なくとも、俺にとっては丁度良いぞ」

文月「えへへ~、じゃあ、文月は司令官専用だねぇ」フミフミ

提督「専用、なるほど、なかなかいいではないか」

文月「文月、もっと頑張るよぉ~」フミフミ

提督「あ゛~」

―執務室―

提督「意外な才能というか、相性ばっちりというか」

提督「でも、あの場面を誰かに見られてたらいろいろ誤解されてたかもな。ずっといたもっちーは気にも留めてなかったけど」

↓2

―神風型の部屋―

提督「お前たちは和服なんだな、めずらしい」

神風「そう? 私からすると普通なんだけど」

春風「空母の方たちも着ていますしね」

提督「それはそうだが、駆逐艦では初めてだろう」

神風「まあ、そうみたいね」

提督「だからこそ、お前たちに頼みがある」

神風「なにかしら」

提督「ドレスを着てくれ」

春風「……えーっと、どういうことでしょうか?」

提督「そのままの意味だ。和服少女のドレスを着る姿が見てみたい」

神風「訳が分からないわね……でも、ドレスは遠慮するわ」

春風「私も少し……」

提督「ふむ、そういうとは思っていたぞ。だが、俺はそのパターンを何回も見てきた」

神風「何回もやってるんだ……」

提督「そのドレスな、もうすでに用意してあるんだ」

神風「は……早いわね」

提督「そして、お前たちが着ないのなら、○○万円かかったこのドレスは……ごみ行きだ!」

春風「や、やめておいたほうがいいですよ」

提督「いいや、お前たちのためにとオーダーメイドした分だ。二人が着ないのであれば、価値などない」

神風「そ、そういわれると断りづらいじゃない……」

提督「そりゃ断れない状況を作っているわけだしな」

神風「……はぁ、わかったわ、着てあげる。いいわね、春風」

春風「着なければ捨てるのなら、着ないわけにもいきませんからね」

~~~~~~~~

神風「き、着替えてきたわよ……」

春風「どうでしょうか?」

提督「素晴らしい! 普段と着慣れない服に恥じらう姿、ドレスから醸し出される煌びやかな雰囲気! 二人ともいいとこのお嬢さんみたいだぞ!」

神風「ほ、褒めすぎよ!」

春風「悪い気はしませんけどね……」

提督「やはり、俺の目には狂いはなかった。じゃあ、ついでに」パシャパシャ

神風「あっ、撮影!」

春風「お恥ずかしいですから、消してください!」

提督「やだね! じゃあな!」ダッ

神風「あ、もう……これがしたかっただけ?」

―執務室―

提督「流石に洋服と和服だと印象が違いすぎるな」

提督「ま、いつも通りの服装は服装でもちろんいいけど」

下2

―カラオケ―

提督「まず誰入れる?」

深雪「それより先にドリンク入れてこよーぜ。せっかくのフリードリンクなんだからさ」

大潮「じゃあ、大潮が入れてきます!」

提督「三人分だぞ。大丈夫か?」

大潮「はい!」ダダッ

深雪「行動するの早いな……まて、大潮コップを忘れてるぞ」

提督「結局全員行くのか……」

~~~~~~~~

提督「で、誰から入れる?」

深雪「開幕はまかせろ」

提督「ほお、何を歌うんだ」

深雪「吹雪」

~歌唱中~

深雪「ふう……」

提督「肝心な場所がカットされたような気がしたが、よかったぞ」

大潮「すごかった!」

深雪「やっぱ全力で歌える曲に限るよな」

提督「そういう曲じゃない気もするがな。で、次は大潮か」

大潮「海色です!」

~歌唱中~

大潮「大潮、歌い切りました!」

提督「もはや勢いだけだったな。へたではなかったけど」

深雪「カラオケってこういうもんだろ。ほら、次は司令官だろ」

提督「二人がその気なら、こっちだって考えがある」

大潮「何を歌うんですか?」

提督「粉雪」

~~~~~~~~

提督「こなあああああああああああああああゆきいいいいいいいいいいいいいいいいい!!」

深雪「やっぱここだよな!」

大潮「全力投球ですね!」

~~~~~~~~

深雪「積み上げたものぶっ壊して! 身に着けたもの取っ払って!」

提督「これ叫ぶような曲だっけ」

大潮「それもまたいいと思います!」

~~~~~~~~

大潮「どーんーなー運命が待ってーいーるんだーろ!!」

深雪「くーやーみーたーくーなーいーよー!」

提督「うーまーれたーこーと!」

~~~~~~~~

提督「あいまいみーでゴー!」

深雪・大潮「「ごー!」」

提督「まいまいんみんでズー!」

深雪・大潮「「ずー!」」

提督・深雪・大潮「「「気分爽快 あぁそーですかい!」」」

~数時間後~

提督「ごほっ……やばい、声は張り上げすぎた」

大潮「大潮、充実しました……」

深雪「……」

提督「喉指さして首を横に振っても伝わら……いや、伝わるわ」

―執務室―

提督「メンバーがよすぎた……ストップかからないどころか、お互いに加速しあってしまった」

提督「そもそも休憩を入れない時点でやばい。数時間持っただけでもいい方だ」

下2

―工廠―

提督「明石ー」

明石「はいはい、なんですか」

提督「これ、直せるか?」

明石「これって……石仮面ですか? なんでこんなところに……」

提督「いや、それタダのおもちゃだぞ」

明石「そりゃおもちゃでしょう。私が言いたいのは、どうしておもちゃの修繕を私に頼んだということです」

提督「そういうの得意分野だろ?」

明石「それはそうですけども」

提督「だったらまかせた!」

明石「はあ、別にいいですけど、どうしてこんなふうになったんですか?」

提督「親潮がパニックになってな。それでそのままパリンと」

明石「はぁー、そんなこともあるんですね。てっきり提督が壊したのかと」

提督「なんでも俺のせいにすればいいってもんじゃないぞ」

明石「それを提督が言いますか?」

提督「……さ、最近はましだし」

明石「信頼できる要素はゼロですね」

提督「ええい! とにかく、修理は任せたぞ!」

明石「それくらいならおやすい御用です」

―執務室―

提督「本当に頼むだけになってしまった」

提督「しかし、工廠なんかにもっていったらいろいろ改造されそうな気もするが……」

下2

―阿賀野型の部屋―

提督「好きだ、能代」

能代「だ、ダメです、貴方には阿賀野姉が……」

提督「阿賀野のことは関係ない。今はお前と、俺との関係だろ」

能代「そ、それは……」

提督「それとも、俺のことが嫌いか」

能代「そんなことは、ないですけど……」

提督「じゃあ、いいだろ」

能代「あっ……」

矢矧「な、なんてこと……二人がそういう関係だったなんて」

矢矧(こうしちゃいられないわ、阿賀野姉に伝わらないようにしないと……)

阿賀野「……」

矢矧「! い、いつからそこに……」

阿賀野「阿賀野ね、二人がこういう関係だったの、しってたんだ」

矢矧「そ、そうなの?」

阿賀野「うん。でも、提督さんはもう浮気なんてできないから」

矢矧「どういうこと?」

阿賀野「阿賀野のお腹にはね、提督さんとの愛の結晶があるから」

矢矧「!?」

阿賀野「うふふ、能代にはちゃんと教えてあげないとね」

矢矧(な、なんてこと……もう二人はそんな関係まで進んでいたなんて)

酒匂「……ぴゃー、なにやってるの?」

提督「昼ドラごっこ」

阿賀野「どうだった酒匂! 阿賀野、名演技だったと思わない!?」

矢矧「なんで私はこんな役回りなのかしら……」

酒匂「うーん……よくわかんない」

提督「あちゃー、お子様な酒匂には伝わらなかったか」

酒匂「お子様じゃないもん!」

能代「前後の展開もやってないから、わかるわけないと思いますけどね」

阿賀野「えー? 阿賀野が提督さんとお付き合いしていたってだけでしょ?」

矢矧「私の台本には、提督が阿賀野姉と付き合ったのは能代姉との接点を増やすためって注釈があるけど」

能代「何その昼ドラ!?」

提督「だから昼ドラごっこだろ」

―執務室―

提督「こういうドロドロ感が昼ドラらしい感じがする」

提督「最近の流行はよく知らないけど」

下2

―夜・波止場―

天津風「今日もいい風が吹いてるわね。あなたもそう思わない?」

提督「そうだな、それに空模様もいい。星がきれいに瞬いてるぞ」

時津風「しれー、臭い台詞だね」

雪風「雪風はいい言葉だと思いますよ!」

提督「なんだろう、雪風のフォローは気を使われているように感じる」

初風「フォローってそういうものでしょ」

提督「そうなんかね……」

天津風「でも、そうね、星もきれい」

時津風「ねえしれー、星座ってわかる?」

提督「それなりにはな」

雪風「じゃあ、あの星はわかりますか!」

提督「あれはデネブ、それとアルタイル、ベガ。夏の大三角形ってやつだ」

初風「全部有名なものじゃない。星座の名前ではないし」

提督「だからそれなりって言っただろ」

初風「聞きかじった情報を見せびらかしてるだけじゃないの」

時津風「しれーって雑誌の言葉とかよく覚えてるからねー」

天津風「悪いことではないのだけど、たまに間違った情報もそのままだから」

提督「な、なんで星座を言っただけでここまで突っ込まれなきゃならんのだ」

雪風「だ、大丈夫ですよ!」

提督「うん、フォローありがとう」

~~~~~~~~~

天津風「でも、綺麗ね」

提督「お気に召したようで何より」

雪風「ほかにどんな星座があるんですか!」

提督「んー、あっちがはくちょう座。明るいから見やすいだろ」

雪風「はい!」

天津風「それで、わし座とこと座でしょ」

時津風「三つで夏の大三角形だね」

提督「ネタバレされた!」

初風「むしろ同じネタを使おうとしていたことが驚きよ」

―執務室―

提督「星座って意外と難しいんだぞ。町中じゃ一等星くらいしか見えないことも多いし」

提督「今日はいろいろ状態が良かったからかよく見えたけど」

下2

―球磨型の部屋―

提督「愛ってなんだ」

大井「それを私に聞くんですか」

提督「お前常日頃から北上北言ってるだろ」

大井「それがどうかしたんですか?」

提督「否定しないのか……でだ、それなら大井は愛というものを知っているんじゃないかと」

大井「……たまに頭のおかしいことを言うのもいつものことでしたね」

提督「辛辣だなぁ」

大井「そもそも、そういうのはむしろ提督の方が教えてくれるべきではないんですか?」

提督「と、いうと」

大井「私たちは兵器なんですから。人間である提督が感情を兵器に聞くというのもおかしな話でしょうに」

提督「なーにが兵器だ。そんな悪感情をガンガンに向けてきて」

大井「別に、そんなつもりはありませんけど」

提督「だが、正直愛とかどうでもいいとはいえ、部下に聞くのは恥ずかしいことではあるな」

大井「そういう意味で言ったんじゃないんですけど」

提督「そうだ、ならここで試してみようではないか」

大井「はぁ?」

提督「だから、愛というものを確認するために、大井に愛をささやいてみようかと」

大井「今日の提督はいつにも増して頭がおかしいですね」

提督「ふふふ、実は最初からこのつもりだったのさ」

大井「はぁ……だったら早くやってください。一言で切り捨てますので」

提督「いいだろう、やってみるがいい。……大井」

大井「……」

提督「まだ声をかけただけだぞ、期待しているのか」

大井「なっ、そ、そんなわけないじゃあにですか!」

提督「顔真っ赤にして、口も回ってないぞ。フフ、可愛いな」

大井「い、怒りですから!」

提督「そういうわりには、大人しくしているじゃないか。そうやって、虚勢を張っているところも可愛いぞ」

大井「虚勢って……!」

提督「さあ、俺の目を見ろ。伝わってくるだろ」

大井「な、なにがよ」

提督「大井に対しての、熱い気持ちだよ」

大井「……っ!」

ガラッ

北上「提督ー、大井っちの反応どうだ……あ、ごめーん。最中だったんだ」

提督「来るの早いぞ北上。もうちょっとでオチそうだったのに」

北上「面白い冗談言うね。大井っちー、これは……提督、後ろ後ろ」

提督「うん?」

大井「て・い・と・く? 一遍、死んでみますか?」

提督「待って、その武器、どこから取り出し――」

―執務室―

提督「知っていた、知っていたが……あれは確実に殺意がこもっていた。あれだけさんざん気持ち悪い台詞を吐いてたから当たり前とも思うが」

提督「というかいつも怒らしてばかりだな。次会ったとき、マジで魚雷撃たれるんじゃないか。誤射で」

下2

―母港―

提督「今日はラジオ体操をするぞ!」

大和「今日はいつにも増して元気ですね」

長門「ラジオ体操は悪いことではないが、突然すぎはしないか」

提督「何を言う、毎日きちんとしている人からすると、むしろ日常だぞ」

夕張「ふわぁ……毎日朝に運動する人なんているんですかぁ?」

提督「眠そうだな。だが、そういうやつもいるぞ。ほら、軽巡なんかは多いんじゃないか」

長良「え? そりゃあ、ねえ」

五十鈴「別ん健康に気を使ってるわけじゃないわよ。訓練の一環」

鬼怒「朝に体動かすの、楽しいよ?」

夕張「あれと同じにしないでください」

提督「とにかく、お前らもせっかく集まったんだ、今からラジオ体操を行う」

望月(面倒だな……こっそりさぼろう)

提督「さぼろうとか考える奴のために、二人で向かい合ってやってもらう。やり方が悪かったら相方を指導してやってくれ」

初雪(ちゃっかりしてる……)

吹雪「はい! 相手は好きに選んでもいいんですか?」

提督「二人組作ってはトラウマがあるやつがいるかもしれないからなしだ」

ビスマルク「ちょっと待って、私達はそのラジオタイソウとなるものを知らないんだけど」

プリンツ「そうなんですか? 私はたまに参加しているから知ってますけど……」

ビスマルク「……し、知らない子もいるから、その場合はどうするの? 私はもちろん知ってるけどね!」

提督「知ってるやつと組め。いないなら俺のところに来い」

金剛「提督ー! 私ラジオ体操がなにかわかりまセーン!」

提督「嘘つくな。仮に知らなくてもお前の姉妹は知ってるからそっちと組め」

アイオワ「じゃあミーと組んでくれるかしら、アドミラル。相手もいないから困ってるの」

提督「そういや同じ国籍の艦もいないか……ああ、いいぞ」

金剛「……アイオワ、私が教えてあげマース」

アイオワ「本当? コンゴウって優しいわね」

提督「あー、じゃあ始めるぞ」

青葉「あの、司令官」

提督「今度はなんだ!?」

青葉「いえ、ラジオ体操自体は覚えていても、順番とか怪しい子はたくさんいるんですけど……」

提督「……さっさと始めたいから、そういうやつはそこに並んどけ! 直々に指導してやらぁ!」

金剛「提督ー! 私ラジオ体操がなにかわかりまセーン!」

提督「嘘つくな。仮に知らなくてもお前の姉妹は知ってるからそっちと組め」

アイオワ「じゃあミーと組んでくれるかしら、アドミラル。相手もいないから困ってるの」

提督「そういや同じ国籍の艦もいないか……ああ、いいぞ」

金剛「……アイオワ、私が教えてあげマース」

アイオワ「本当? コンゴウって優しいわね」

提督「あー、じゃあ始めるぞ」

青葉「あの、司令官」

提督「今度はなんだ!?」

青葉「いえ、ラジオ体操自体は覚えていても、順番とか怪しい子はたくさんいるんですけど……」

提督「……さっさと始めたいから、そういうやつはそこに並んどけ! 直々に指導してやらぁ!」

―執務室―

提督「結局結構な数を指導してしまった……わかってるやつも絶対いただろう……」

提督「今度やるときは集まったやつだけでいいや……全員は時間がかかる」

下2

―会議室―

提督「――そんなわけで、各人には姉の自慢をしてもらう」

霧島「質問良いですか?」

提督「どうぞ」

霧島「提督のことですから、理由は問いません。ですけど、末っ子というには少々人数が足りないようですが……それに、末っ子ではない子も混じっているようですが」

提督「四人以上の姉妹で、艦娘となっているもので末っ子だ。細かいことは気にするな」

58「なら、ゴーヤは違うでち」

提督「え? ……なんでここにいるの?」

58「てーとくが呼んだんでしょ!」

提督「冗談冗談。58は潜水艦内でどうなっているのか聞くために呼んだんだ。軽空母はよく話を聞いてるから呼ばなかったがな」

霞「そもそも、こんなことをして何の意味があるのよ」

提督「前シスコン共に自慢させあったらなかなかこれが人気でな」

霞「人気?」

提督「はいはい、じゃあまずは……今にも寝そうなもっちーからね」

望月「んー? といっても、特に何もないけど。まあ、強いて言うならあたしのことをよく知ってるから、色々気をまわしてくれるってところかな」

清霜「気をまわしてくれるっていえば、私の姉さんたちは、選管になる夢を応援してくれたりするの!」

秋雲「そういえば、こっちも本当の姉妹のように接してくれるんだよね」

提督「秋雲のそれは自分の勘違いだろ。でも、駆逐艦達も姉らしいことはしてるんだな」チラッ

電「どうしてこっちを見るんです?」

提督「まあ、全員ではなさそうだって思っただけだ」

電「暁ちゃんのことなのです? 結果は伴わなくても、姉らしいことはよくしてくれているのです」

提督「一言余計な言葉がついていなければ素直に感心したんだがな……」

涼風「まあ、そういうのも珍しいことじゃないと思うね。あたいの姉なんて、姉らしいことした記憶がないからさ」

熊野「わたくしたちみたいに、姉妹というより友達みたいな感じであれば、そうおかしくもないと思いますわ」

阿武隈「そうですねぇ。あたしたちも姉妹という感覚は薄いですね」

提督「ふーん、じゃあ、逆にちゃんと姉をしている奴とかいるのか」

霧島「それこそ金剛お姉さまは姉としてよくしてくれてますよ」

木曾「俺の方も意外かもしれないが、面倒見がいいぞ」

提督「へー、木曾は意外だな。球磨とか寝っ転がってクマーといってる印象しかないわ」

木曾「リラックマじゃねえんだから。ま、気が向いたときに頼ってみな。意外とちゃんと応えてくれるぜ」

酒匂「能代ちゃんはお姉ちゃんって感じがするよ! お部屋の掃除とかもしてくれたり!」

提督「そこ阿賀野じゃないのか」

鳥海「まあ、同型艦どいっても、それぞれの関係は違いますから。私も摩耶とは友人のような感じですし。喧嘩とかよくしますしね」

羽黒「えと……提督さんも知っているでしょうけど、私の方はしっかりした姉です」

提督「半々ってところか。磯波はどうだっけか。潮も」

磯波「えっと、どうでしょう……友人、ですかね。叢雲ちゃんはしっかりしてますけど」

潮「みんなにはとってもお世話になってます! えっと、でも、ちょっと困ったところもある、かな?」

提督「はー、まさに十人十色の姉像ってやつだな」

58「とりあえず、ゴーヤの方は呂500が部屋に入り浸るのをやめてほしいでち」

提督「そういや、妹分のことを考えたらゴーヤは姉みたいなもんか。ちゃんとお姉ちゃんしてるか?」

58「勝手に姉にしないでほしいでち!」

提督「しかし、シスコン共と違って、これといったエピソードがないな」

鳥海「どのような話があったんですか?」

提督「姉さまが幸運のお守りを買ってきたり、お姉さまが専用のカップを買ってくれたり、お姉と夜酒をしたりとか」

木曾「思ったより普通の内容だな」

提督「こんなんが何百個と話されたのがな……ん、どうした秘書官」

霞「……どうりで、おかしいと思った」

提督「? ……!」

霞「こんなところに隠しカメラを置いて……まったく」

提督「くっ……見つかってしまうとは」

霞「今日の話、記事にするつもりでしょう。しかも、外向けに」

提督「そこまでばれてしまったか……ならば仕方ない」ガラッ

霧島「? 窓を開けて何を……」

提督「逃亡あるのみ! さらばだ!」バッ

木曾「おい! ……逃げる必要あったか?」

霞「いえ、破棄したらそれで終わりのつもりだったのだけど」

羽黒「……そういえば、あっちの方で新作地雷の実験をするって明石さんが言っていたような……」

霞「……まさか、さすがにあいつもわかって――」






                               ヽ`
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あきつ丸「ん? 今提督殿の声が聞こえなかったでありますか?」

明石「まさか」

夕張「流石の提督も、自分から地雷を踏むはずがないですよ」

まるゆ「あれ、でも、まだ起爆ボタン押してないですよ? これって、センサーで爆発した分じゃ……」

明石「どうせネズミか何かですよ」

夕張「そうです、気にしないでおきましょう」

まるゆ(いいのかな……)

終わり

オチが思いつかなかったので無理矢理感

また明日スレたててきます。

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2016年07月22日 (金) 00:04:42   ID: dRtGM7KN

一番最初のSSから読んでます!
所々の誤字が気になるけど、それを次のネタにする所(わざとかも知れない)が面白いです。
次回作も期待しています!頑張ってください(*^^*)

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