勇者「嫌だ……もう死にたくない……」(62)

王様「……なーんてこと考えてたらどうしようかのぅ」

大臣「何の話ですか? 王様」

王様「いやあ、最近勇者が死んで戻って来ないじゃん? だから心配になって」

大臣「ああ、そういえば……」

王様「文字通り死ぬような痛みを受けてる勇者に、いっつも『死んでしまうとは情けない』とか言っちゃってたからなあ。嫌になったんじゃろか」

大臣「いやいや、死なないくらい強くなったということでは?」

王様「それならそれで活躍が耳に届きそうなもんじゃろ。それも最近はぱったり」

大臣「ふうむ」

王様「だから、もう死なないように危険なモンスターと戦うのをやめちゃってたりして」

大臣「いやいや、まさか。勇者様に限ってそんな……」

王様「分からんぞー。そうやって決めつけるから、男女の心はすれ違うんじゃ」

大臣「……何の話ですか。ともかく、心配なら調査団でも派遣しますか」

王様「ほ?」

大臣「酒場から腕ききを何人か集めて、勇者探しの旅に出てもらってはいかがですかな」

王様「良いね、大臣。それサイコー。採用」

魔法使い「わ、私たちがお城に呼ばれるなんて、な、な、なんでしょうね」

遊び人「………………」アソビニンハタノシソウニオドッテイル

僧侶「なんでも重要な使命だとか……。しかしそれほどの使命ならば何故勇者様に頼まないのか……。なんだか嫌な予感がするわねえ」

武闘家「難しく考えるなって。聞けばすぐに分かるんだからよ。オレみたいにどーんと胸張れよ、どーんと」

僧侶「張れる胸が無い人に言われても」

武闘家「あ”?」

遊び人「………………」アソビニンハタノシソウニオドッテイル

魔法使い「ふ、二人とも。落ち着いてください。王様が来ましたよ」

王様「良く来たのう、実はおヌシらに頼みたいことがあるんじゃ」

遊び人「………………」アソビニンハタノシソウニオドッテイル

魔法使い「(あの遊び人さんはなんなんでしょうか……)」

僧侶「(さあ……)」

武闘家「(王様を前にしてのあの態度……できる……!)」

王様「実は、勇者が行方不明になってのぅ。その捜索を頼みたいのじゃ」

魔法使い「……………なんですと?」

王様「死んだというのはあり得ぬ。しかしながら順調に冒険が進んでいるとも言えぬ。わしとしても非常に困っているのじゃ」
僧侶「ま、待って下さい王様!」

王様「む、なんじゃ?」

僧侶「そ、そのような重要な任務を、なぜ私たちのような者に!?」

王様「だって、おヌシらしか居なかったんだもん。ルイーダの酒場に」

魔法使い「………………」

僧侶「………………」

武闘家「なるほど! 選ばれし者たちってことですね!」

遊び人「………………」アソビニハタノシソウニオドッテイル

僧侶「(あたしが魔法使いなら、今頃この二人はメラで燃やしてるわ)」

魔法使い「あ、あの、お、王様……恐れながら……」

王様「む?」

魔法使い「レベル1の私には、とてもそのような任務がこなせるとは思えません」

僧侶「魔法使いだけではありません。私もレベルは2。武闘家もレベル1です」

武闘家「やる気なら! やる気なら! 百億千兆万を超えてるぜ!」

僧侶「黙れ」

遊び人「………………」アソビニンハスコシオドリツカレテイル

王様「なあに、わしも無駄死にを命じているわけではない。危険を感じたら、素直に戻ってきてそこまでの報告をしてくれればよい」

魔法使い「そ、そうなんですか。それなら、まあ……」

僧侶「そうですね。私たちにできる程度でよい、ということなら」

王様「うむ。それではさっそく、勇者が最後に訪れたらしいところへ行ってくれ」

僧侶「かしこまりました。して、その場所はどちらでしょうか」

王様「サマンオサ」

僧侶「無理です」

王様「早っ!?」

僧侶「サマンオサって超激戦地じゃないですか! ガメゴンキラーアーマーがいこつけんし! 辿り着くことすら不可能ですよ!」

武闘家「チョーゲキセンってなんだ? うまいのか?」

僧侶「だからお前は黙れ」

遊び人「………………」アソビニンハトツゼンハゲシクオドリダシタ

僧侶「お前は止まれ」

王様「ああ、それなら大丈夫じゃ。そのために、遊び人も呼んだのじゃよ」

魔法使い「ど、どういうことですか?」

遊び人「………………」アソビニンハタノシソウニオドッテイル

王様「その遊び人、話によると昔、サマンオサに行ったことがあるらしくてな」

僧侶「ああ、なるほど。キメラの翼でうひゃう!?」
遊び人「………………」アソビニンハスバヤクソウリョノシリヲナデマワシタ

僧侶「この男、コロス」
遊び人「………………」アソビニンハマンゾクソウダ

王様「その通りじゃ。城の前まで移動できれば、まず危険はあるまい。そういうわけで頼んだぞ。これはせんべつじゃ」








僧侶「で……渡されたのが銅の剣と100gってどうなのよ」

魔法使い「あはは……ま、まあ、勇者様と同じ待遇と思えば」

僧侶「勇者様もよくこれで投げ出さなかったもんだわ」

武闘家「オレ、装備できるぞ」

僧侶「攻撃力下がるでしょ」

遊び人「………………」アソビニンハモノホシソウニコチラヲミテイル

僧侶「……まあ、選択の余地はないか。はい、遊び人」パス

遊び人「………………」アソビニンハタノシソウニオドッテイル

僧侶「危なっ! 振り回さないでよ!」

武闘家「そういえば……遊び人はどうしてサマンオサに行ったことがあるんだ?」

魔法使い「ああ、そういえば……。あそこってよそ者に厳しいから国交も少ないし、モンスターも強いから相当行くの難しいと思うんですけど」

武闘家「そうそう。行ってもたいしたものもないしな」

僧侶「考えてみればそうよね。アリアハンからは船も出てないし。そもそもどうやって行ったのかしら」

遊び人「………………ナイショ」

魔法使い「喋った!?」

武闘家「意外と美声!」

遊び人「………………」アソビニンハタノシソウニオドリダシタ

僧侶「ぬう、なんか釈然としない」

魔法使い「まあ、言いたくないこともあるでしょうし、あまりしつこく聞くのはやめましょうか。それよりキメラの翼を買いに行きましょう」

僧侶「……そうね」

遊び人「………………」フルフル

武闘家「ん? どした? 行きたくないん?」

遊び人「………………」フルフル

僧侶「??? 分かんないわね。何が言いたいのよ」

遊び人「ルーラ」バヒュン

全員「!!!???」



サマンオサ



僧侶「な、何これ……。え……?」

魔法使い「な、なんで遊び人さんがルーラ使えるの……?」

武闘家「すっげぇ! 遊び人マジカッケー!」

遊び人「………………」テレテレ

魔法使い「いやいやいやいやいやいやいやいや、カッケーとかそういうレベルの話じゃないですから」

僧侶「ちょっと、遊び人! あんた一体……」

まほうおばばが現れた

僧侶「……しまった!」

モンスターは突然襲い掛かってきた

武闘家「ちょ……! 皆! 身を守れ!」

まほうおばばはベギラマを唱えた

魔法使い「いやあああああああ!」

遊び人は皆の前に立ち、攻撃を一身に受けた

全員「!!!???」

遊び人は41のダメージを受けた
遊び人は36のダメージを受けた
遊び人は40のダメージを受けた
遊び人は38のダメージを受けた

僧侶「な、何、今の技!?」

遊び人の攻撃
まほうおばばを倒した

魔法使い「一撃!?」

武闘家「カッケー! 遊び人マジカッケー!」

僧侶「な、なんだってのよ……」

武闘家はレベルが上がった
武闘家はレベルが上がった

魔法使い「遊び人さん、ただの遊び人さんじゃないんでしょうか……」

僧侶はレベルが上がった
僧侶はレベルがry

僧侶「ともかく……ここにいたらまたモンスターに襲われるわ。町に入りましょう」

町の中



僧侶「さあ、説明してもらうわよ。遊びに……あれ」

魔法使い「いませんね」

武闘家「遊び人ならさっきあっちに走ってったぞ」

僧侶「なんで止めないのよ!?」

武闘家「いやあ、ものすごい素早さで……。オレも追いかけようとしたけどあっという間に見失っちゃったよ」

魔法使い「武闘家さんより素早い遊び人って……」

僧侶「さっきの戦いであいつ一人だけレベル上がらなかったし……。もしかしてかなりの腕前なんじゃ……」

魔法使い「気にはなりますが……どうしましょう。探しますか?」

僧侶「……いえ。勇者の情報を集めましょう。運が良ければその途中で合流できるでしょ」

魔法使い「分かりました。じゃあ、行きましょうか」








武闘家「駄目だなぁ……」

僧侶「そうねぇ……。分かったことと言えば、数ヶ月前、魔物に支配されていたのを勇者様が助けたってことだけ」

魔法使い「王様に話を聞きたくても、門前払いだし」

???「………………」

武闘家「誰が田舎もんだ! あの門番め!!! ……ん? 今、なんか気配感じなかったか?」

僧侶「へ? 別に何も」

???「………………」

武闘家「いや、なんかこう視線というか邪心というか……不穏なものを感じるんだが」

魔法使い「別に周りを見てもなにもないし……気のせいじゃうひゃう!?」

僧侶「ど、どうしたの、魔法使い!?」

魔法使い「だ、だ、だ、誰かにお尻触られましたぁ」

僧侶「はぁ!? 誰かって誰よ。周りに誰も居なうひゃあ!?」

武闘家「だ、大丈夫か二人とうひゃはふぅん!」

僧侶「だ、誰なの!? 一体誰が!?」

きえさり草の効力が切れた

遊び人「………………」

僧侶「………………」

魔法使い「………………」

武闘家「………………」

遊び人「テヘ」ペロ

僧侶の攻撃
遊び人はダメージを受けなかった
僧侶の攻撃
遊び人は1のダメージを受けた
僧侶の攻撃
遊び人はダメージを受けなかった
僧侶の攻撃
遊び人はダメージを受けなかった
遊び人はヘラヘラ笑っている

僧侶「ぎぃぃぃぃぃぃぃぃっぃぃいぃぃ!!!!!」

魔法使い「落ち着いて! 僧侶さん! 落ち着いて!」

武闘家「遊び人、消えたりもできるんだ! 何から何までカッケー!」

僧侶「あんたらも少しは怒りなさいよ! こいつを殺してスライムの餌にしてやるー!!!!」

魔法使い「遊び人さんが消えてたのって、もしかしてその手に持ってる草の効果ですか?」

遊び人「………………」コクコク

僧侶「それがどうしたっていうのよ」

魔法使い「いや……これがあればお城の中に入れるんじゃないかなって」

僧侶「……あ!」

武闘家「なるほど! そしたらあの門番を殴れるな!」

魔法使い「違います」

僧侶「これで王様に話が聞けるわね!」

魔法使い「ええ! 遊び人さんお手柄ですよ! じゃあさっそくそれをみんなで使ってお城に入りましょう!」

遊び人「………………」コクコク

遊び人「レムオル」

遊び人たちは透明になった

僧侶「草は! 草はなんで使わないの!!!!」バンバン

魔法使い「しー! 僧侶さん! ばれちゃいますよ!」

武闘家「全くだ。僧侶も意外とバカだなあ」

僧侶「あんたらが! おかしいのはあんたらが!!!」バンバン

魔法使い「(ていうかあれって、きえさり草よね……。噂ではランシールでしか売ってないらしいのに……。本当に何者なのかしら……。遊び人さん……)」








王様「ヘイユー! イナカモノ! ヘイミー! トカイモノ hahahahahahahaha」

魔法使い「」イラッ

僧侶「」イラッ

武闘家「」イラッ

遊び人「………………」アソビニンハタノシソウニオドッテイル

王様「で、勇者の話を聞きたいとな?」

僧侶「普通に話せるなら最初から話しなさいよ」

魔法使い「まあまあ」

王様「ふうむ。しかしなあ、トカイモノのわしも詳しくは知らんのじゃ。ただ『変化の杖かあ……。偶然自力で幽霊船見つけたから意味無かったなあ……』と言っていたぐらいで」

僧侶「何のことでしょう」

王様「船乗りの骨を手に入れないとフラグが立たん筈なのにのぅ」

僧侶「何のことでしょう」

王様「ま、ともかくそれくらいじゃよ。……ああ、そういえばこうも言っておった。『これでもうすぐオーブが揃う』と」

武闘家「オーブ?」

遊び人「………………」

王様「六つのオーブがどうの……と。まあ、トカイモノのわしでもうろ覚えじゃ。役に立てなくてすまんのう」

魔法使い「いえ、そんなことはありません。しかしこうなると完全に勇者様の足取りが途絶えたことになりますね。どうしたものでしょう」

王様「ふむ。それならダーマの神殿に行ってみてはどうじゃ?」

僧侶「ダーマの神殿?」

王様「なんじゃ、知らんのか。プププ、やはりイナカモノじゃのう」

魔法使い「」イラッ

僧侶「」イラッ

武闘家「」イラッ

遊び人「………………」アソビニンハヘラヘラワラッテイル

王様「ダーマの神殿は転職のため、世界中からあらゆる冒険者が集まる神殿じゃ。そこなら、勇者のことを知っている奴がいるかも知れんぞ」

僧侶「なるほど。そこなら確かに……ありがとうございます」

王様「よいよい。イナカモノじゃが勇者には本当に感謝しておるからな。消息を絶ったとなるとトカイモノのわしもさすがに心配じゃし」

魔法使い「しかし、そのダーマの神殿とやらまで旅をする必要があるのですか……大変そうですね」

武闘家「遊び人ならもしかして、行ったことあるんじゃないか?」

僧侶「えっ」

魔法使い「確かにあり得るかも……どうなんですか?」

遊び人「………………」グッ

武闘家「大丈夫らしい……。やっぱカッケーわー」

ダーマの神殿



武闘家「おお……ここがダーマの神殿……デケェ……」

僧侶「なんて神聖な場所……」

魔法使い「人もたくさんですね。これなら本当に勇者様のことが分かるかも……」

神官「遊び人さん! 遊び人さんじゃないか!」

全員「え???」

神官「いやあ、久しぶりだな。どうしたんだ!」

遊び人「………………」

僧侶「あ、あの、お知合いなんですか?」

神官「ん? ああ、このダーマの神殿で遊び人さんのことを知らない人間はいないよ」

魔法使い「そ、そうなんですか?」

神官「ああ、何せ、伝説の最強の遊び人だからな」

武闘家「伝説!? 何それカッケー」

神官「盗賊→商人→魔法使い→僧侶→遊び人と転職し、あらゆる特技と呪文を覚え、のちにあらゆる種と木の実をむさぼり食ってステータスをカンストさせた、伝説の遊び人だよ」

武闘家「パネェ」

神官「おまけに独自に『におうだち』という仲間の代わりに全ての攻撃を受けるというオリジナル技まで開発している。使えないのは勇者の技くらいなもんだ」

魔法使い「あ、あの時のはそれだったんだ……」

神官「そんなわけで、彼は凄い人なのさ」

遊び人「………………」テレテレ

僧侶「認めないわ。断じて」

神官「で、遊び人さん。今日は一体どうして? もしかしてまた転職かい?」

遊び人「………………」フルフル

魔法使い「あ、あの、私たち、勇者様を探してるんです」

神官「勇者様を?」

魔法使い「はい、実は……」








神官「ふうむ、なるほどねぇ。勇者が行方不明と。それなら神殿にいる人たちに話を聞いてみよう。誰か知っている人がいるかもしれない」

魔法使い「ありがとうございます。感謝します」

神官「いやいや、遊び人さんの知り合いの頼みなら断れないよ」

僧侶「何が何でも認めないわ」

武闘家「マジパネェ」

神官「ま、ともかくその辺りで待っててくれ」








神官「分かったよ。ここ数カ月、ずっと同じところにいるらしい」

僧侶「本当ですか!? それは一体……!」

神官「ちょうどここからほど近いよ。北東にあるムオルという村だ」

魔法使い「ムオル……聞いたことないですね」

武闘家「遊び人は知ってる?」

遊び人「………………」コクコク

僧侶「それならルーラで行けるわね。助かるわ」

遊び人「………………」フルフル

魔法使い「え? どうして?」

神官「ムオルは小さな村だからね。ルーラではいけないんだよ」

僧侶「そんな……」

武闘家「モンスターと戦うことになるのか……腕が鳴るな」

神官「なあに、遊び人さんがいるならそれほど心配はいらないだろうさ」

僧侶「まあ……確かにねぇ」

遊び人「………………」テレテレ

武闘家「じゃあ、さっそく行ってみようぜ!」








ごうけつぐまが現れた

魔法使い「くっ! やはり私たちのレベルじゃ厳しいモンスターばかり……! 遊び人さんお願いします!」

僧侶「こいつに頼るのは釈然としないけど……お願い!」

武闘家「遊び人、頼りにしてるぜ!」

遊び人「………………!」グッ

遊び人は呪文を唱えた。

遊び人「パルプンテ」

全員「!!!???」

しかし何も起こらなかった。

遊び人「パルプンテ」

魔法使い「ちょ」

しかし何も起こらなかった

遊び人「パルプンテ」

僧侶「おま」

この戦いに勝ったら二倍儲かりそうだ

遊び人「パルプンテ」

武闘家「ストップ! マジストップ!」

全員のhpが回復した

遊び人「パルプンテ」

魔法使いのパンツがずり落ちた

魔法使い「ふひぇ!?」

遊び人「パルプンテ」

僧侶の衣服が透明になった

僧侶「ぎゃああああああ!」

遊び人「パルプンテ」

武闘家が突如巨乳になった

武闘家「うわっほう!?」ユサユサ

遊び人はヘラヘラ笑っている

僧侶「死ね! マジで死ねー!!!!!」

武闘家「この乳……マジパネェ……」タユンタユン

武闘家はうっとりしている








武闘家「戦闘が終わったら戻ってしまった……」ションボリ

僧侶「戻ってくれなきゃ大惨事よ……」ゲッソリ

魔法使い「お嫁にいけない……」エグエグ

武闘家「重くて肩がこっちゃうわぁ。みたいな……言ってみたかった……」ペタンペタン

遊び人「………………」アソビニンハタノシソウニオドッテイル

全員「」イラッ

僧侶「はあ……ともかくなんとか着いたわ……。ここがムオルの村ね」

魔法使い「本当に小さな村ですねぇ……」

武闘家「でもなんだか賑やかだな。ほら、特にあの家」

勇者「わはは、酒だ! もっと酒持ってこーい!」

僧侶「」

魔法使い「」

武闘家「」

遊び人「………………」

勇者「ほらほら、乳を揉ませろ裸になれー!」

女の子「イヤーン、勇者様のエッチー」

勇者「わはははははは……ん? 何だお前ら。見かけない顔だな。苦しゅうない、近ぅ寄れ。特別に乳を揉んでやろう」

僧侶「ちょっと魔法使い。メラお願い」

魔法使い「ええ!?」

武闘家「マジ幻滅だわ……」

遊び人「………………」

魔法使い「そういえば王様もそんなようなことを言ってましたね……。戦いから逃げたんじゃないか、みたいな……」

武闘家「本当だったのかよ……勇者ともあろう者が……」

遊び人「………………」フルフル

僧侶「どうしたのよ、珍しくマジな顔して。あんたも武闘家と同じ口? 『あんなのが勇者様だったなんてー』みたいな」

勇者「酒だー! 肉だー! 女だー!」

遊び人「………………」スタスタ

勇者「む、何だ貴様。遊び人なら遊び人らしく芸でも見せてみろ。ほら、踊らんか」

遊び人「………………」ガシッ

魔法使い「ああ! 遊び人さんが勇者様の持ってる杖を!?」

武闘家「あんなもの奪ってどうするんだ!?」

僧侶「え……ちょっと待って。なんで勇者が『杖』を持ってるの?」

勇者「あ、や、やばい! それを返せ」

遊び人は逃げ出した

勇者「早っ! ど、どこだ! どこに行った!?」

僧侶「何慌ててるのかしら……」

武闘家「なんかやけにおどおどしてて……」

魔法使い「うん、勇者様らしくないというか……」

勇者「あ、ああ、やばい! もう時間が……!」ボフン

変化の杖の効果が切れた

全員「ああ!?」

遊び人「………………」スタスタタダイマ

武闘家「タダの村人だ……」

魔法使い「勇者様に化けてたんだ……」

僧侶「まさにゲスの極みね」

村人「ごめんなさいごめんなさい……」

女の子「ウッソー。マジでー。チョーショックー。みたいなー」スタスタ

女の子は去って行った

僧侶「遊び人……あんた、知ってたの?」

遊び人「………………」

村人「てい! 今だ!」ハシッ

村人は変化の杖を奪い取った

魔法使い「ああ!」

村人は変化の杖を使った

セクシーギャル「あ、あんた、取引をしよう! この体でパフパフしてやるから見逃してくれ!」

武闘家「最低だ……」

僧侶「ゴミね」

遊び人「………………!」キュピン

遊び人の瞳が妖しく光る

セクシーギャル「へ? ひゃあ!?」

セクシーギャル「ちょ! パフパフだけって言ってるだろ……!」

セクシーギャル「や! ま、待てって! そこは……!」

セクシーギャル「むぐ! むぐぐぐぅ!」

セクシーギャル「無理! 無理無理無理! そんなの無理だっつうの!!!」

セクシーギャル「熱……っ! ぅ……ぁ……」

セクシーギャル「え、まだ!? ち、違う! そっちは違うって!!!」

セクシーギャル「ひぎぃ……っ!」

(以下略)








村人「うう……もうお婿にいけない……」サメザメ

武闘家「見ているだけで大人の階段を登った気分だ……」

魔法使い「………………」ドキドキドキドキ

僧侶「まさに鬼畜の所業だわ……」

遊び人「………………」ツヤツヤ

村人「全てお話します。実は、勇者様に頼まれまして……」

魔法使い「ええ!? 勇者様に!?」

村人「はい……この変化の杖で自分に化けて、できるだけ派手に遊んでくれ、と……まさかこんなことになるとは……」

武闘家「てことは……勇者が雲隠れするトラップとして村人を利用したってことか……」

僧侶「さすがに勇者ね……。知略に長けているわ……」

村人「……あの、勇者様に会うことがあっても、私がこうして喋ったことは言わないで頂けますか」

僧侶「え? なんでよ」

村人「言われたんです……。誰かにこのことを喋ったら殺すぞ、と……」

魔法使い「……勇者様が?」

僧侶「何よそれ。勇者ってそんな奴ってこと?」

武闘家「だとしたら幻滅だ……。自分が死にたくないからってそんな脅し方」

遊び人「………………」

魔法使い「なんだかそれ……おかしくないですか」

僧侶「どういうこと?」

魔法使い「勇者様らしからぬというか……各地で人助けをしてきた勇者様がそんなことをするなんてちょっと……」

武闘家「長旅をしてれば心境も変わるんじゃないかね。何か人間に幻滅するようなことでもあったとか」

僧侶「………………いいえ、違う。ありうるわ」

武闘家「ありうるって?」

僧侶「変化の杖よ。村人に渡す前にその杖で勇者に変化していれば……」

魔法使い「ああ!」

僧侶「ちょっと、あなた。思い出しなさい。勇者におかしなところはなかった?」

村人「そ、そう言われても……。私もそんな勇者様のことに詳しくないし……」

魔法使い「些細なことでも良いんです。思い出して下さい……」

村人「………………ううん、駄目だ」

遊び人「………………」スッ

遊び人は変化の杖を構えた

村人「いや! 本当に! 思い出せないんです! いきなりこの村に現れて、さっき言ったように私にこの杖を渡したら、すぐにキメラの翼を使ってどこかへ……!」

僧侶「キメラの翼を……? 待って。それ、おかしいわ」

武闘家「え、何がだよ?」

魔法使い「勇者様はルーラを使えます……。わざわざキメラの翼を使うとは……」

僧侶「mpが切れていた可能性もあるでしょうけど、考えにくいわね」

武闘家「ということは……偽物の可能性が?」

僧侶「高い……と思う」

魔法使い「なんだか……きな臭くなってきましたね」

遊び人「………………」アソビニンハソラヲボーットナガメテイル








僧侶「偽勇者がいるらしいことは分かったけど……」

武闘家「その偽勇者がどこにいるやら……」

魔法使い「偽勇者を探し出せば、必然的に本物の勇者様の元に辿り着けるとは思うんだけど」

僧侶「うーん………………」

遊び人「………………」スッ

遊び人は紙を差し出した

武闘家「ん? 何それ。えーと、なになに……『ムオルの村で乱痴気騒ぎの勇者。実は偽物だった』」

魔法使い「なんですか、それ」

僧侶「もしかして……偽勇者の言葉を利用するの?」

遊び人「………………」コクコク

武闘家「どゆこと?」

僧侶「言ってたでしょ。このことを誰かに言ったら殺すって」

魔法使い「ああ……!」

僧侶「このチラシをばらまいて、あの村人を殺しに現れた偽勇者を締め上げるってわけね」

遊び人「………………」コクコク

武闘家「遊び人マジ頼りになるわ」









深夜。ムオルの村

???「あの役立たずめ。こんなに早くばれてしまうとは。下手に誰かに喋られると困るからな。早々に消してしまわねば」

武闘家「やっぱり現れたな」

???「誰だ!?」

魔法使い「悪党に名乗る名前などありません! あなたこそ誰ですか!」

エビルマージ「ふ、我こそはバラモス様第一の部下! エビルマージよ!」

僧侶「……素直に名乗るって、バカじゃない?」

遊び人「………………」コクコク

エビルマージ「どうせ貴様らはここで死ぬのだ! 関係あるまい!」

エビルマージはメラミを唱えた
遊び人は71のダメージを受けた
遊び人は変化の杖を使った

全員「へ????」

エビルマージはセクシーギャルに変化した
遊び人の瞳が妖しく光る

(以下略)

エビルマージ「お婿に……お婿にいけない……」サメザメ

遊び人「………………」ツヤツヤ

武闘家「遊び人……恐ろしい人……! 魔物だろうとホイホイ食っちまうだなんて……!」

魔法使い「………………」ドキドキドキドキドキドキドキドキ

僧侶「と、ともかく。連れて行ってもらうわよ。勇者の元へ!」

エビルマージ「わ……分かりました……」








バラモス城

僧侶「って、ついつい来ちゃったけど……これ、王様に報告に戻った方が良いんじゃない?」

魔法使い「す、凄い強力なモンスターばかり……私たちのレベルじゃとても……」

武闘家「せ、せめてもう少しレベル上げしてから出直さない……?」

遊び人「………………」スタスタ

エビルマージ「(ふっふっふっ。貴様らの命もこの扉をくぐるまでだ。バラモス様の力で殺されるがいいわ)」

エビルマージは扉を開けた

???「エビルマージ……この愚か者よ。貴様のような役立たずに用はない。消え去るが良い」

バラモスはバシルーラを唱えた

エビルマージ「え? ぎゃあああああああ!」

エビルマージはどこかへ飛んで行った

バラモス「全く鼻の効く奴らだ。勇者を抑え込んで、これで脅威が消えたと思っていたというのに」

魔法使い「ああ! あそこの檻の中に勇者様が!」

勇者「………………」グッタリ

バラモス「勇者は精霊の護りを受けているため、死んでも復活する。ならば殺さなければいい。簡単な話だろう」

僧侶「幽閉……ってこと?」

バラモス「その通り。こうしていかさず殺さず、老衰を待てば良い。そう考えたのだよ」

武闘家「傍に棺桶が二つ……あれはまさか……」

バラモス「勇者の仲間のものよ。こいつらはどうせ復活せんからな。グハハハハハハ」

遊び人「………………」

バラモス「しかし貴様らも無駄な努力よ。こうして今から私に、はらわたまで食い尽くされるのだからな!」

武闘家「駄目だ! こいつにはとてもかなわない! 皆、逃げるぞ!」

バラモス「逃がさん!」

バラモスが襲いかかってきた
バラモスはイオナズンを唱えた
遊び人が皆の前に立ち、一身に攻撃を受けた
遊び人は145のダメージを受けた
遊び人は138のダメージを受けた
遊び人は138のダメージを受けた
遊び人は139のダメージを受けた

遊び人「ぐ……っ!」

遊び人の攻撃
バラモスに167のダメージを与えた
バラモスはメラゾーマを唱えた
遊び人は187のダメージを受けた。
遊び人はベホマを唱えた
遊び人の体力は全快した

武闘家「いける! さすが遊び人!」

僧侶「だめ……このままじゃ危ない……!」

武闘家「え!? なんでだよ!?」

魔法使い「敵の攻撃が激しすぎる……。あれじゃなかなか反撃できません……」

僧侶「しかもあいつ、治癒能力があるっぽいわ。さっきの傷がもう塞がってる……」

魔法使い「mpは有限です……この戦い方をしていたら、いずれ遊び人さんは……」

武闘家「そんな……! どうにかできないのか!?」

僧侶「私たちが……足手まといになってるのよ……私たちがいなくなれば……」

魔法使い「そうです……私たちが死ねば……!」

僧侶「大丈夫……全てが終わってからザオリクで生き返らせてもらえば……」

武闘家「……そう、だな」

遊び人「………………」フルフル

僧侶「そんなこと言ってる場合じゃないでしょう! どうせこのままじゃ全滅するだけよ!」

遊び人「……これを、勇者に」

遊び人は祈りの指輪を渡した

僧侶「これは……?」

遊び人「渡せば……大丈夫……」

バラモス「ぬぅ! させん!」

バラモスははげしい炎を吐いた
遊び人が皆の前に立ち、一身に攻撃を受けた

遊び人「ぐぁぁ……っ!」

僧侶「武闘家! あなたが一番素早い! お願い!」

武闘家「任せろ! 勇者様!」

勇者「………………ぅ」

勇者は祈りの指輪を受け取った
勇者は祈りの指輪を使った
勇者のmpが23回復した

バラモス「しまった!」

勇者はベホマを唱えた
勇者の体力が全快した

勇者「うおおおおおお!!!!!!」

勇者は最後の鍵を使った

魔法使い「(掛け声の割に地味……)」

僧侶「(しっ)」

勇者「バラモス……良くもやってくれたな……」

バラモス「く……! だが何も変わりはせん! 再びこれまでと同じように幽閉するだけよ!」

遊び人「勇者様……。その棺桶の数……仲間、増やさなかったんですね……」

勇者「……ああ」

武闘家「え、何? 何? 知り合い? 遊び人と勇者様、知り合いなの?」

勇者「話は後だ。今はバラモスを倒すぞ!」

遊び人「はい!」

僧侶「(なんか遊び人のキャラが逆に気持ち悪い)」

バラモス「イオナ……!」

遊び人「マホトーン!」

バラモスの呪文を封じ込めた

バラモス「ズン!」

しかし呪文は封じられている

バラモス「し、しまった! ならば激しい炎で!」

遊び人「ラリホー!」

バラモスは眠ってしまった

遊び人「ルカニ! ルカニ! バイキルト! ピオリム! ピオリム! スクルト! スクルト!」

バラモスは目を覚ました

遊び人「ラリホー! ラリホー! ラリホー! ラリホー!」

バラモスは眠ってしまった

(中略)

バラモスを倒した

武闘家「つ、強い……あの二人……マジカッケー……」

僧侶「(なんかずるい気がする)」

魔法使い「(マホトーンとラリホーが聞く魔王って……)」

勇者「盗賊……いや、今は遊び人と言うべきか」

遊び人「勇者様に出会ってなかったら、僕はまだケチな盗賊をやっていたことでしょう。本当に感謝しています」

勇者「お前が改心して商人になったのが、つい昨日のようだよ」

遊び人「そうですね。そして新しい町を作るために、と別れたのも……」

武闘家「何? 何の話? さっぱり分かんないんだけど」

僧侶「良いから黙ってなさい」

遊び人「町に隠しておいたオーブは見つけてもらえたようですね」

勇者「ああ、もちろんだ」

遊び人「結局私はだめな人間でした。調子に乗ってしまい、町の人たちの反感を買い、牢屋に入れられた」

勇者「だめなわけがないだろう。お前が頑張ったからこそ、あの町はあそこまで栄えたんだ」

遊び人「ありがとうございます。……私はまだあきらめたくなかった。あのまま町で檻の中で人生を終わらせることに耐えられなかった」

勇者「だから……盗賊だったころの技術を使い、逃げ出したのか」

遊び人「はい……悪いことだとは分かっています。でも、私はまた勇者様の役に立ちたかったんです」

勇者「………………」

遊び人「魔法使いになり、僧侶になり、あらゆる魔法を覚え、魔物に目をつけられないよう遊び人に転職しました。そして、商人だったころに商品として集めた種を使い強くなりました」

勇者「………………」

遊び人「こうしてお役には立てましたが、しかし、私は……私は……」

武闘家「スンマセン。眠くなってきたんでそろそろ帰りませんか」

僧侶「台無しだ!」

魔法使い「空気読みなさいよ!」

勇者「ははは。確かにその通りだ。眠くなるような話だよ」

遊び人「勇者様……?」

勇者「お前のやったことは間違っちゃいないさ。脱獄は悪いことかもしれないが、お前は世界のために脱獄したんだ」

遊び人「勇者様……!」

勇者「さあ。アリアハンに帰ろう。王様に報告しなくては。バラモスを倒した、とな」

遊び人「はい!」

棺桶×2「………………(俺たち空気かよ)」

勇者の冒険は終わらない

真の魔王の存在を知り、旅立っていったのだ

そして、僧侶、魔法使い、武闘家の三人は再びルイーダの酒場へと戻り、平和な日々を過ごしていた

僧侶「平和ねー」

魔法使い「ねー」

僧侶「バラモス退治手伝ったのに、なんでこんなレベル低いのかしら」

武闘家「あんま戦わなかったからなぁ。しかし、バラモスの経験値が0だとは思わなかった」

僧侶「全くそこが盲点だったわ」

魔法使い「まあ、でもこの程度にレベルを上がってれば、頑張ればアリアハン周辺でレベル上げもできますよ」

僧侶「まあねー……」

魔法使い「……遊び人さん、勇者様と一緒で頑張ってますかね」

僧侶「知らないわよ。私はあいつとの記憶はオール抹消したい派なの」

武闘家「あの時の遊び人、マジカッケかったなあ」

僧侶「あーやめてやめて。悪夢よ悪夢」

魔法使い「あはははははは」

遊び人「………………」アハハハハハハハ

僧侶「」

魔法使い「」

武闘家「」

遊び人「………………」ニヤリ

僧侶「なんで居るのよ! 勇者様と一緒に行ったんじゃなかったの!?」ガタッ

遊び人「………………」テレテレ

僧侶「照れてんじゃないわよ!」

魔法使い「ま、まあまあ……」

遊び人「………………」スッ

武闘家「ん? またチラシ?」

変化の杖で勇者をセクシーギャルにして色々やらかしたらここに戻されました。よろしく

僧侶「」

魔法使い「」

武闘家「」

遊び人「………………テヘ」ペロ


おしまい

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