ある日、奉仕部にて……


比企谷八幡「石原夏織って可愛いよな」ﾎﾞｿｯ

雪ノ下雪乃「はい？」ﾋﾞｸ

由比ヶ浜結衣「えッ！」ﾋﾞｸ

結衣「ヒッキー、今なんて？」

八幡「あ、口に出ちまってたか。石原夏織って可愛いなって」

雪乃「比企谷君、あなたストーカーでも始めたのかしら？」

八幡「ストーカーなんてしてねえよ。だから電話取り出して通報しようとすんのやめてくれない？」

雪乃「スト谷君、その石原夏織という人は一体誰なのかしら？ 名前からして女性と思うのだけれど、その人のためにあなたを今ここで通報するのは当然のことだと思うわ」

結衣「ひょっとして、ヒッキーの彼女なんじゃ………！」ｶﾞﾀｶﾞﾀｯ

八幡「別にそんなんじゃねえから。石原夏織ってのはこの人気アイドルだよ」っ

雪乃「アイドル………」ｷｮﾄﾝｯ

結衣「うわ、ドルオタとかヒッキーマジキモい……」ｼﾞﾄｯ

八幡「おい、そんな引くんじゃねえよ。俺くらいの年齢でアイドルにハマる奴なんて他にもゴミのようにいるだろ」

結衣「いや、ヒッキーみたいなのがアイドルオタとか見てるとマジキモいし！」

雪乃「ふっ、誰かと思えばアイドルという不特定多数の残念な童貞男子から性的な目で見られてしまう大変な職業の子だなんて……。その石原さんという子も可哀想ね、雑誌越しにでもキモオタ谷君のような女子の肌の感触も感じたことのない男に見られてしまうなんて、私がその石原さんの立場だったら怖気が走って一生精神的に病んでしまうわ」

結衣「ヒッキーのオタク、マジキモいッ、最低ーーー！！」

八幡「俺はただかおりんのことを可愛いと言ってただけなのになんでそこまで言われなきゃいけないんだよ、マジ泣くよ、八幡泣きじゃくっちゃうよ」

結衣「いや、マジで泣かれたらそれはそれでキモいんだけど……」

雪乃「それと比企谷君、あなたさらっと『かおりん』と言っていたけれど」

八幡「かおりんってのはこの石原夏織ちゃんの愛称だぞ。他にもかおりだから"きゃりさん"とかって呼び方もあるぞ。ほら、このかおりんの写真可愛いだろ！」っ

http://fsm.vip2ch.com/-/hirame/hira101035.jpg




結衣「ヒッキーマジオタクじゃん！まあ、確かにこの子可愛いと思うけど」

八幡「さっきからオタクオタク言うな、ビッチ！」

結衣「ビッチって言うなーーーッ！」ﾌﾟﾝﾌﾟﾝ

その日の夜、雪乃のマンションにて…

雪乃「比企谷君をあそこまで虜にしてしまう石原夏織とかいうアイドル、一体何者なのかしら…」

雪乃「気に入らないわ、そんなアイドル気取りの小娘よりも私の方が比企谷君といつも一緒にいるというのねッ！！」

雪乃「アイドルだなんて所詮相手のいない残念な男が勝手に感情移入して一方的に好きになってしまうだけじゃないの！ その石原夏織とかいう娘は比企谷君のことなんて全く知らないとかいうのに」

雪乃「私が近くにいるのに、比企谷君のバカ………///」

雪乃「この私がこんなことに時間を費やしてしまうだなんて不本意ではあるけれども、まずは敵のことを知らなければならないわね」


ｶﾀｶﾀｶﾀ……！

雪乃「ネットで"石原夏織"と検索したのだけど、どうやら最近になってブレイクした新人アイドルのようね」

雪乃「それに検索ワードに『石原夏織 ポンコツ』とあるわ」

雪乃「つまり比企谷君はポンコツな女性が好きなのかしら？ 私のように何をさせても完璧な非の打ち所がない美少女よりも、少しダメなところがある子の方が可愛く見えるのかしら……」

そして次の日、

結衣「やっはろーー、ゆきのん！」

八幡「う〜す」

雪乃「こんにちは由比ヶ浜さんに比企谷君、今紅茶でも淹れるわ」

ｺﾎﾟｺﾎﾟｺﾎﾟ…

雪乃「はい、紅茶よ」
( ´･ω･)⊃旦

結衣「ありがとう、ゆきのん！」

八幡「おう、いただくか」

ｽﾞｽﾞｽﾞｽﾞ……


八幡「ッ！？ おい、何だよこの紅茶！？」

雪乃「あら、一体どうかしたのかしらドルオタ谷君？」

八幡「ドルオタは関係ねえだろ。それより何だよこの紅茶、凄え冷えぞ！」

結衣「わ、ホントだ！ キンキンに冷えててかき氷みたくなってるし！」

雪乃「あらごめんなさい、どうやら間違えて冷たくしてしまったようだわ」

結衣「ゆきのんでもそんなミスすることあるんだね」

八幡「……………」

雪乃(うふふ、さあ比企谷君、私のポンコツアピールの前に石原夏織のことなんて忘れて萌えまくりなさいッ///)

八幡「…………お前、なんか俺に恨みでもあるのかよ」ﾎﾞｿｯ

雪乃「えっ！？」

結衣「わッ、ヒッキーが怒っちゃった！！」

雪乃「いえ、あ…あの……比企谷君？」ｶﾞﾀｶﾞﾀｯ

八幡「こんな冬の寒い日にかき氷並みにキンキンに冷えた紅茶を出すなんて嫌がらせ以外に思えねえぞ」

雪乃「ち、違うのよ比企谷君！ ほら、比企谷君って確か猫舌だったと思うから、熱い紅茶よりも冷たい方が良いと思って……」ｱｾｱｾ

八幡「じゃあ、やっぱりわざとやったってわけかよ………」

雪乃「ち、違うわ比企谷君！ そんなつもりじゃ……」ﾌﾞﾙﾌﾞﾙ

結衣「ちょ、ヒッキー落ち着こうよ、ね？」

その日の夜……



雪乃「ポンコツアピール作戦は失敗してしまったわ。何がいけなかったのかしら……」

雪乃「まさかあの比企谷君があそこまで不機嫌になってしまうだなんて。あの後、由比ヶ浜さんが必死に彼のことを宥めてくれたから良かったけれど」

雪乃「気を取り直して、今日も石原夏織のことを調べてみようかしら。ポンコツがダメでも他に彼が惹かれた魅力があるはずよ」
ｶﾀｶﾀｶﾀ…！

雪乃「どうやらこの石原夏織という子は、お笑い芸人の佐倉綾音という人とネットのラジオ番組をやっているようね。そうだわ、この番組で彼女のトークを聴いてみれば、何かヒントがあるかもしれないわね」

佐倉綾音『さあ、トークテーマは"最近した悪いこと"です。かおりん、何か悪いことした？』

石原夏織『私、この間道を歩いてた時に、すれ違った人にコーラをかけちゃったんですよぉ〜』

佐倉『うわぁーーー、それは悪いなおいwww』

石原『えへへ〜』




雪乃「これだわ！」

次の日、学校の廊下で……

雪乃「あら、こんにちは比企谷君。昼休みからあなたと廊下ですれ違ってしまうだなんてついていないわ」

八幡「ならスルーすればいいだろ」

雪乃(今よッ！！)

雪乃「うわぁ〜、手が滑った(棒)」

ﾊﾞｼｬﾝ！！

八幡「うわッ！！」

雪乃「あらいけないわ、手に持っていたコーラが比企谷君にかかってしまったわ〜〜(棒)」

八幡「……………」

雪乃(うふふ、これで比企谷君のハートは私のものね////)

八幡「……………いい加減にしろよ！！」

雪乃「えッ！？」

ｻﾞﾜｻﾞﾜｻﾞﾜ……

葉山隼人「廊下の方から比企谷の怒鳴り声が聞こえてきたけど」

戸部翔「一緒にいるの、雪ノ下さんじね？」

三浦優美子「なんでヒキオびしょ濡れになってんの？」

戸塚彩加「うわ、八幡大丈夫？」

一色いろは「え、これって何があったんですか！？」

結衣「……………」

雪乃「あ、由比ヶ浜さん。これは………」


ﾊﾞｼﾝｯ！

雪乃「ッ！！」

結衣「ゆきのんバカ、最低ッ！！」

雪乃「ゆ、由比ヶ浜さん……！？」

結衣「私見てたし、ゆきのんがわざとヒッキーにコーラかけたところ」

雪乃「待って由比ヶ浜さん、これにはわけが………」

結衣「行こうヒッキー、あっちの空いてる部屋借りて着替えよう」ｸﾞｲｯ

八幡「……………ああ」

雪乃「ま、待って比企谷く____」

八幡「……………」ｷﾞﾛｯ

雪乃「……………」

数ヶ月後……

佐倉『続いてのお便りです。ラジオネーム"元奉仕部部長"さんからです』

石原『ありがとうございます』

佐倉『私は数ヶ月前、通っていた高校を転校してしてしまったのですが、そこでその高校で失恋をしてしまいました』

石原『うわ〜、失恋可哀想だな』

佐倉『原因は、私がその時好きだった男子にわざとコーラをかけてしまい、怒らせてしまったからです』

石原『ちょ、なにそれwwwww 全然可哀想じゃなかった、自分が悪いんじゃん！！』

佐倉『なんだよコイツwww あれ、そういえばかおりんってさ、前この番組でわざと人にコーラかけたとか言ってなかったっけ？』

石原『えぇ〜〜、言ってないよそんなこと。言ったとしてもネタだよ、ネタwww』

佐倉『そりゃそうだよね〜、マジでそんなことしちゃったらそりゃ嫌われるよwww』

石原『えぇ〜、続きましてラジオネーム"ヒッキーの嫁のFカップ"さんからのお便りです。私には最近、ヒッキー
いうあだ名の彼氏が出来ました_____』



END

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