恒興「信長様!光秀に謀反の企み有りとの事!」 (52)

天正10年5月 安土城

恒興「信長様!光秀に謀反の企み有りとの事!」
信長「・・で、あるか・・」
恒興「何を悠長なことを申しておられる!早急に手を打たねば!」
信長「恒興、そちも相変わらずよのうwww」

恒興「笑ってる場合ではござりませぬぞ!」
信長「のう、恒興。もしも余が光秀に討たれるとあれば、それも戦国の定め。騒いでどうとなる事でもあるまいて」
恒興「しかし・・」
信長「まあよい、それよりも高松城攻めはどうなっておる?」
恒興「その件ですが、秀吉の軍攻めあぐねておりまして、援軍の要請が届いております」

信長「うむ・・しからば、光秀に援軍に向かわせよ」
恒興「し・・しかしながら光秀は今、家康殿の接待のため・・」
信長「構わぬwww  あやつには接待は向いておらんwww」
恒興「・・・はっ!ならば早急に手配を整えまする!」

信長「恒興!」
恒興「はっ!」
信長「余が目指しておるのは何だと心得る?」
恒興「・・はっ?」
信長「申してみよ。余が目指しておるのはどのような世じゃ?」
恒興「そ・・それはもちろん、親方様が天下を統一し、泰平の世を作る事でございまする!」
信長「して、余にはそれが出来るとおぬしは考えるか?」
恒興「も・・もちろんにござりまする!
親方様以外に、この乱世の世を統一し、泰平の世を作ることが出来る方はおりませぬ!」

信長「で、あるかwww」
恒興「当たり前でござります!我々家臣一同、その事を固く信じ、親方様にお仕えいたしておりまする!・・ただ、光秀がそう思っておるかどうかは疑わしい限りでございまするが・・」
信長「うむ。恒興、この文を早急に秀吉に届けよ」
恒興「はっ!」
信長「して、この文は、光秀に届けよ」
恒興「・・はっ!」
信長「わしはこれより、中国遠征準備の為に上洛いたす。」
恒興「っ!!い・・いよいよでござりまするな!!」
信長「のう、恒興。忘れるでない。天下を治めるには、時と、器が大切なのじゃ」
恒興「・・はっ!しかと!」

高松城

秀吉「この文を信長様が・・?」
黒田「はい。ならびに、安土にて家康様の接待をしておられた光秀殿が援軍に来るとの知らせも届いておりまする」
秀吉「そうか・・光秀殿がのう・・信長さまも思い切ったことをなさる・・」
黒田「しかし、この堤防工事もほぼ完了に近く、高松城が水で囲まれるのも時間の問題。後は放っておいても清水宗治は降伏いたしましょうに・・」

秀吉「黒田、工事をさらに早急に進めよ!そして、ここに信長様をお呼びする件じゃが・・」
黒田「はっ!手はずは整っておりまする!」
秀吉「あれは・・中止じゃ」
黒田「はっ?」
秀吉「ここに直接お呼びするまでもない。信長様には高松城攻略も時間の問題ゆえ、今しばらくは京都の本能寺にお留まりになり、ゆるりと吉報をお待ちくだされと伝えよ」
黒田「・・はっ!」
秀吉「して、この文を・・こちらへ向かっておる光秀殿に届けよ」
黒田「はっ!」

亀山城

光秀「・・この文が、秀吉から?」
藤田「はい」
光秀「そうか・・とうとう、時が来たか・・」
藤田「・・と、申しますと?」
光秀「いや、よいのじゃ。藤田、早急に出立の準備を整えよ!」
藤田「は!いよいよ、毛利討伐でございまするな!」

光秀「いや・・藤田よ。そちには教えておくが、こたびの敵は、毛利にあらず!」
藤田「・・と、もうしますと?」
光秀「敵は・・・敵は本能寺にあり!」
藤田「っ!?な!・・なんと申される!?」
光秀「敵は、本能寺にあるのじゃ」

藤田「な・・!なりませぬぞ光秀殿!こ・・これは謀反にござりまする!」
光秀「謀反・・か・・」
藤田「い・・いかにも!何をしようとしておられるのか、わかっておられまするか!?今一度!・・今一度お考え直し下され!・・それとも・・もしや光秀様は、親方様に代わって・・天下を・・!そうお考えか!?」
光秀「www藤田よ。天下を治めるには、時と、器が大切なのじゃ。それを忘れるでない」

天正10年 6月2日(深夜) 本能寺

信長「騒がしいのう・・」
矢代「また、小兵どもが小競り合いを起こしているのでございましょうか」
信長「元気よのうwww」
矢代「親方様に皆、似ておりまするwww」

蘭丸「親方様!!!」
信長「どうした、蘭丸?」
蘭丸「む・・謀反・・!謀反にござりまするっ!!!!!」
信長「・・・で、あるか・・」
蘭丸「し・・四方八方を囲まれておりまする!!」
信長「ふむ・・して、誰の謀反じゃ?」
蘭丸「み・・光秀殿の軍にございまする!!!!」
信長「・・光秀!?・・」

矢代「や・・やはり光秀かっ!!殿!いかがいたしましょう!?」
信長「そうか・・光秀が・・来たか・・是非に及ばず・・」
矢代「かくなる上は、一矢を報いてやりましょうぞ!!」
信長「うむ・・それも良いかもしれぬなwww。蘭丸!堂に火を放て!豪快に燃やすのじゃ!!」
矢代「はっ!!」

天正10年 6月2日(辰の刻) 本能寺

藤田「明智殿!信長の躰、今もって見つかりませぬ!」
光秀「そうか・・」
藤田「探せ!!何としてでも探すのじゃ!!」
光秀「いや・・構わぬ!・・構わぬのじゃ・・これより儂は、天下を整える!」
藤田「はっ!!」

天正10年 6月4日(未明)

長谷川「秀吉殿!!!!!!!大事に・・・大事にござりまするっ!!」
秀吉「何事じゃ?」
長谷川「み・・光秀殿謀反にて・・の・・信長さま・・討死にとの事っ!!!!」
秀吉「・・・・・」
黒田「ひ・・秀吉殿!!!!」
秀吉「うむ・・そうであったか・・」

黒田「何を落ち着いておられます!!いかがいたしましょうぞ!!!???」
秀吉「清水宗治殿に使者を送れ。宗治殿お一人のお命と引き換えに、高松を後にする!」
黒田「して!?」
秀吉「信長様の弔いじゃ!!!早急に姫路に戻り兵を整え、明智を討つ!!」
黒田「お見事!!お見事な英断でござりまするぞ!!」

時は流れ18年 慶長5年の秋 山梨県のとある山郷の一軒家

男「そうか・・家康が、天下を取ったか・・」
恒興「はい」
男「そうか・・」
恒興「これで、よろしかったのでしょうか?」
男「ん?」

恒興「殿は本当に、これで良かったと思っておられまするか?」
男「wwwうむ。これでよいのだ」
恒興「殿・・そろそろ話してくれませぬか?」
男「ん?」
恒興「あの日、光秀殿と秀吉にそれぞれ送った文に、どのようなことを書いておられたのです」
男「www気になるか?  もう、話しても良いころかもしれぬな」
恒興「はい!冥途の土産に、是非教えて下され!!」

男「恒興は、わしが光秀に一時期つらく当たっておったことを覚えておるか?」
恒興「お・・恐れながら・・あれはちとやり過ぎではないかと思っておりました・・」
男「はっはっはっ!そうであろうなwww。わしも、やり過ぎたと思っておる!」
恒興「いかにもでございまする!それ故に光秀殿は謀反を・・」

男「うむ、そう思うであろうな。あのころわしは、光秀に言われたのじゃ。『殿は本当に泰平の世をもたらす事をお望みか?』とな。
もちろんわしはそのつもりじゃと答えた。しかし、あやつはわしにはっきりと言いおった」
恒興「何とでございまするか?」
男「殿には無理でございまするとなwww」
恒興「な!?・・なんと!!」

男「天下とは、時と、器に恵まれたものが取るモノであると。わしはその器ではないと、はっきりと言いおったwww。
わしは、血を流し過ぎた。
天下という餅を搗くため、ありとあらゆる・・時には僧侶どもや兄弟の血まで流してきた。
泰平の世には、それは仇となって帰ってくるとな」

恒興「し・・しかし・・」
男「わしは憤った・・あやつにつらく当たったのもそのせいじゃ」
恒興「そ、そうでありましたか・・」

男「だが、あやつの言っておることが正しいという事にわしは気づいた。
そして、本当にこの国に泰平の世、安泰の天下をもたらすために、わしは死ぬべきだと思った」
恒興「・・・」

男「あの日秀吉にあてた手紙には、わしを討ち、天下を取るようにと書いておいたのじゃ」
恒興「な!なんと!」
男「そして光秀には、わし亡き後秀吉を支え、泰平の世をもたらすようにと文を書いたのじゃ」

恒興「し・・しかし・・」。
男「ふむwwwしかし、秀吉はやはり、ずる賢い猿であった
自分がわしを討ったところで、他の家臣どもが奴に従わないという事に気づいたのじゃ。
わしはそれを見越して、まずは光秀が秀吉を支えるようにと命じたのじゃが、秀吉は光秀に別の文を送りおった・・

恒興「それは、どんな文で?」
男「本能寺にわしがいる事を告げたうえで、光秀にわしを討つようにとけしかける文じゃ。
そして、その後自分も光秀の配下に加わり、光秀が天下を統一する手助けをする・・とな」
恒興「な・・なんと・・」

男「じゃが、光秀はさらに賢い男よ。
すぐに秀吉の猿知恵に気づいた。
それであの日、本能寺にて襲撃のさなか、あえてわしを逃がしたのじゃ」

男「光秀には、分かっておった。秀吉が取って返して自分と戦をし、信長の仇を討った者としての信用を家臣から得、その上で天下を自分のものにしようとしている事をな」
恒興「光秀殿・・」

男「あやつは、あえて秀吉の策略に乗った。
自分の首と引き換えに、天下の餅を捏ねる事にしたのじゃ」
恒興「い・・いかにしてでしょうか?」
男「丹波亀山城主、小早川秀秋に
全ての事の流れをしたためた文を最期に送ったのじゃ」
恒興「こ・・小早川殿に!」

男「そうじゃwww
いずれ天下を分ける戦いが来るゆえ、その時には何があっても徳川家康のために助力すべしとの文をな」
恒興「そ・・それでは!!」
男「うむwwwこたびの関ケ原の戦いでの小早川の一件
全て光秀が天下のために整えたものよwww」
恒興「そ・・そうでありましたか・・」

男「天下には、時と器が大切・・わしがあの時言った言葉を覚えておるか?」
恒興「はい、もちろん!」
男「あれこそ、光秀の言葉よ。そして光秀は、その器が家康にあると思っておった」
恒興「な・・何という男・・」

男「今や天下は、家康のもの。
光秀の見立てが正しければ、家康の天下は世に泰平をもたらそうてwww
そして、この先100年、200年と続く徳川の世を作り上げるじゃろうなwww」
恒興「光秀殿・・・」

男「まことに、賢い男であった・・賢くて、腹の立つ男であったわwww
結局あやつの思惑どり、わしが搗き、秀吉が捏ねた天下餅を、家康がゆっくりと食うのじゃからなwwwww」


おわり

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