【艦これ】提督「時は2023年」 (63)




提督「つwwwいwwwにwwwきwwwたwwwうぇwww」

提督「苦節十年wwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」

提督「海軍兵学校wwwwwwwぼっちwwwwwwwwww」

提督「リアル駆逐艦で海戦経験wwww右足飛んだwwwww」

提督「嫌な上官殿の靴もwwwwwwペロペロwwwwwww」

提督「すべてはwwwwww提督になるためwwwwwwww」

提督「偉くなってwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」

提督「大破し身包み剥がれし生娘達を囲うためwwwwwww」





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提督「お主大破したでおじゃるか……愛い奴……ウイヤツ……」

提督「ペチャッ……ピチャッ……」クネッ

提督「ずびっ……れろっ……」ネトッ

提督「……っ、ふぅ……ん」




提督「ニコッ」





提督「いざくぐらんwwwwww鎮守府のwwwwww門wwwwwwww」

提督「艦娘どもよwwwwww我が毒牙にかけてくれようぞwwwwwww」





先代「遠路遥々よく来てくれた……」

提督「はっ」サッ

先代「本日を以ち、貴官は軍令部総長の命の下」

先代「晴れて一艦隊の提督だ……おめでとう」

提督「はっ……光栄です」サッ

提督「私は皇国の守護に粉骨砕身の覚悟を以て臨む所存です」キリッ

先代「良い返事だ……期待が持てる」フフッ

先代「私は既に年を取りすぎた……」

先代「皇国の興廃は貴官ら若い世代の手にかかっている……頼んだぞ」





先代「それから貴官の受け持つ艦隊だが……」

提督(ktkrwwwwwwwwwwwwwww)

先代「階下の応接間にて、今から秘書艦を選んで貰う」

提督「はっ!」サッ

提督「どのような艦娘に対しても、厳格に接する所存です!」

先代「艦娘……?」

先代「艦娘は海軍ではもう採用していないぞ」





提督「えっ」




提督「一体!それは!どういう!」オロオロ

先代「知らないのか?」


先代「開戦から10年……我が国の艤装の開発技術は著しく発達し……」

先代「もはや“旧海軍艦艇の記憶を持つ娘”だけを採用する意味はなくなった」

先代「……加えて、女性に露出の多い衣装を強要し、労働環境も劣悪だとして」

先代「フェミニスト団体からの批判や労働監督基準所からの指摘もあった……」

先代「これについてはテレビでも取沙汰されている」




先代「これでは今どきの若い女性が進んでこの仕事をやりたがるはずもないだろう」

先代「今この仕事に付きたがるのはパートか男の労働貧困層しかいないぞ」






提督「えぇ……」



……
…………
………………



この日、執り行われた面接には計四名の秘書艦候補から応募があった。
まずゲームデバッカー専門学校出身の29歳無職男性に、ボリビア出身の45歳男性出稼ぎ労働者。
パート雇用希望の56歳主婦と、最後には在宅ワークで食いつなぐ67歳独身男性が訪れた。

私はその夜、寝る間を惜しむ間もないほどの選択に迫られていた。
一期一会の心で顔を合わせた四人の顔が、脳裏をよぎる。
新卒で職につけなかった29歳……家族のために心細くも海を渡ったボリビア人。
日常の刺激を失った専業主婦……明日の知れない孤独な生活を強いられる高齢者。





彼等の事を思い、動悸が起こった。日本の社会問題の犠牲者たる彼等の事を
嘔吐感のために3度洗面台に伏しながら、夜通し頭を抱える。
嘗てない不安から、故郷の母親に電話もした。
六年ぶりに聞いた母親の声だった……私は溢れる涙を抑えられなかった。
齢36にして知った親の偉大さ、ありがたみ。

母は言った。股間で選べと。そして私はホモではない。

かくして私は選んだ。選ばれたのは56歳専業主婦だった。

安堵の朝。冷静になった私は再び泣いた。





提督(いつまでもがっかりしてはいられない……)

提督「今日からよろしくお願いします」ニコニコ

たかこ(56)「はい」

提督「我が艦隊は彼我戦力において不利な状況に置かれていますが」ニコニコ

たかこ(56)「あの……」

提督「はい?」ニコニコ

たかこ(56)「本当にこの服を着るんですか?」

提督「えぇ……そうですが……」




提督(はははっ、参ったな)

提督(大本営より告げられたのは、彼女が一等駆逐艦相当の素質だということ)

提督(駆逐艦であったことはむしろ良いことだ、財布に優しいから)

提督(だが……)

提督(肝心のキャラクターデザインが芳しくない)

提督(これがかつて400万人近い登録者をたたき出した艦これの現状だ)

提督(受け入れねばなるまい)キリッ




たかこ(56)「セーラー服だわ……」クルッ

たかこ(56)「おニャン子クラブを思い出すわぁ」フフッ


提督「」ヴォエ

提督(だが、良い)フフフ

提督(私はもとより、今後のドロップというものに期待している)

提督(ドロップ艦については雇用云々の難しい背景は無しだ)

提督(その筋の人がそう言っていた)

提督(それまでは肝を嘗めるとする)

提督(待っててねグラーフツェッペリンちゃんwwwwwwww)




提督(とにかく戦いは数だ、古事記にもそう書いてある)

提督(まずは建造で、味方を増やさねば……)

提督(最低建造値……というらしい、これでやってみよう)


20分後……


提督「」チラッ

たかこ(56)「」ペラッ

たかこ(56)「あ、新しい仲間が来たみたーい(棒読み)」




提督(それぐらいカンペしまえよな……)





キラキラ……


ゆうた(29)「ゆうたです。ゲームデバッカー専門学校を3年前に卒業しました」


提督(お前建造できるのかよ……)




提督(まぁいい、これで我が艦隊は二人)

提督(鎮守府の正面海域の攻略は比較的楽だと聞く)

提督(二人だが、これで何とかなるかな)

ゆうた(29)「…………」

たかこ(56)「…………」

提督(この二人、会話しないなぁ)

提督(でも……)

提督(確かに29歳の無職と56歳の主婦の会話なんて思いつかないな)

提督(かくいう私もまともに話せていない現状だ)

提督(かける話題がない)ハハッ



………………
…………
……



提督「作戦概要は以上です」

提督「では、健闘を祈ります」

「…………」


提督(この人ら返事しねえなぁ!)

提督(まるで教習所の違反者講習の休憩時間のような空気だぜ参っちゃうね)

提督(今に見てろよ……)

提督(得る者得た暁には、貴様らを元のワーキングプアに戻してくれる)




そして2時間に満たない作戦時間の後、彼らは還ってきた。
傷一つなく帰ってきた彼らを不審に思った私は、すかさずガンカメラの確認に入ったのだ。

驚愕の連続だった。
戦闘に入って間もなく、たかこ(56)の右腕の砲身に電磁パルスが迸ったかと思えば、次の瞬間には敵駆逐艦のバラ肉一帯が飛沫を上げていた。




次戦ではまたもたかこ(56)が行った。一隻の駆逐艦を屠る。弾ける水面、硝煙が舞う最中。
しかし敵も馬鹿ではない。たかこ(56)の攻撃時に生じるラグを狙っての砲撃だ。
だが、ゆうた(29)の放つSM3迎撃飛翔体がそれを許さなかった。
炸裂する二つの弾体。たかこ(56)は昔やっていたバレーボールの要領で身を翻し、3度目の光を放つ砲身が、すかさず軽巡洋艦のロース肉をミンチへと変えた。

艤装に懸けた妖精さんたちの10年に渡るドラマが頭を駆け抜けた。これは伊達ではない。
歓喜すると同時に、畏怖の念を彼女達に抱いた私は映写室で嘔吐した。ただの胃腸かぜだった。




その夜、私は二人を居酒屋に招いた。


提督「お疲れ様でした!」ニコニコ

提督「今日は2人の初出撃を祝って不肖私めが、一杯席を設けました!」

提督「今日の大金星、本当に見事でしたっ」

提督「では、乾杯ッ!!」

たかこ(56)「か、かんぱい」

ゆうた(29)「ゴクゴク………あっ」

提督(ゆうたくんもう飲み始めちゃってるよ参っちゃうね)キラッ



……
…………
………………


たかこ(56)「……そしたらウチの子、私立行きたい言い出してね!」ヒック

たかこ(56)「ウチの主人も行かせたらええやんとかなんとか言うて……ほんま!」

提督「は、はぁ」

たかこ(56)「家にはそんなお金ないって、分かってへんのやねあの二人!」

ゆうた(29)「すみませんカシオレください」

たかこ(56)「そんでねー?……」クドクド

提督(ゆうたくん助けてくれ……)





たかこ(56)「提督ぅ、もう一軒……私、いいとこ知ってるのぉ」トロン…

提督「ハハハ……遠慮いたしますよ、マドモアゼル」ニコッ

提督(雌の目やめろ!ほんとやめろ!)

ゆうた(29)「ヴォエッ、ヴォォォォエッ」

ゆうた(29)「オォゥエッ」

提督「ハハハハ……」

提督「ハハハハハハハハハハ」

………………
…………
……

ちょっと、離れます

休みすき
仕事ふつう

ぼちぼち書いていきます



あれから半年の時が流れた。
艦隊は誰ひとり欠けることなく順調に練度を上げて行く中、遂に開催された23年夏の期間限定作戦。
その時私に電流走る。
ここにきて、過去8年に渡ってドロップ報告のなかった一部の艦娘が限定ドロップするという、ネット掲示板での書き込みを見たのだ。
澱みに帰そうとしていた私の生きることへの執着が、再び燃え盛り蘇る。
艤装の発達したご時世だ。世の多くの提督は戦力にならないとして大した関心は持たなかったが、私は違う。

遂にこの時がきた。私は立ち上がる。
待っていろ艦娘たち。貴様らのけしからぬ腹部のライン、私の両人差し指がきれいに撫でてくれよう。




提督「……作戦概要は以上です」

提督「では、健闘を祈ります」

「「うーっす」」


モーガン(48)「hahaha、ヒトヒネリヤデー」

たかこ(56)「腰のコルセットがまだ取れてないのよね……」

たけお(24)「かったりーなぁ」

ゆうた(30)(携帯料金引き落とされてなかった……)

いわお(75)「ククク……若さは貴重だ……(至言)」


ちなみに足りない人員は私の体一つで埋めている……




そして始まった私の23年夏限定作戦
今回は大規模作戦を名打つだけあり、一筋縄にはいかない。海域数は7を数え、いずれも気を抜くことのできない布陣が待ち受ける。
今次の艦これでは、作戦海域の深部にほぼ現れる戦艦水姫のキャップ到達(正確にはクワドラブルダイソンの突破)が実用と産廃の目安となる。
だが、私の艦隊に抜け目は無い。23春の限定作戦は初参加にも関わらず甲勲章を授かっている(突破報酬は海外艦のモーガン(48)だ)。今回も例外は無いと宣言しよう。




そして迎えた最終海域。突破は目前。しかし、私は一抹の焦りを感じていた。
なぜなら、ここに至るまでに多大な資材(艤装の高性能化に相まってコストも増大している)を投入しておきながら、未だに艦娘のドロップがなかったからだ。
その筋では堀りとよばれる航路をとっていた私は、貴重な時間すら浪費していった。




モーガン(48)「hahahahahaha、コレハターノシイネー!」ドドドド

ガンッ!

いわお(75)「グェ」ハラっ

いわお(75)「死んじゃうカモ~」

たかこ(56)「あぁ、お父さん!」


あぁ、今度はいわお(75)が大破してしまった。
彼の入渠には(155㎜先進砲の部品を西側から取り寄せるのに)1週間かかってしまう……




提督(作戦は既に残り三日を切っている……)

提督(ここさえ切り抜ければ……せめて、突破報酬は得られるのだ……)

提督(無論、ドロップの希望を捨てたわけではないが……)



提督(もう限界だ、彼を見捨てて進撃するしかないのか……)




たかこ(56)「提督!お義父さんがぁ!!」ブワッ

いわお(75)「うぅ……」ヨタッ

たかこ(56)「提督!お父さんを……たすけて!」


提督「うっ・・・・・・・・・!」グニャ~

提督(なんて血の気のない顔をしているんだ……)

提督(しかし……私にはもう時間が……!)

提督(……すまんッ!!)グッ




いわお(75)「………た………」プルプル

いわお(75)「たかこさんや……いいのだ……」

たかこ(56)「お義父……さん……?」

いわお(75)「……若いの……前を向くの……だ……!」グッ……

提督「!」

いわお(75)「今の日本が……こうなってしまったのも……不甲斐ないわしらのせい……」

いわお(75)「これ以上……今を生きる者の足枷に……なることなど……ない……!」

いわお(75)「行け……!」


いわお(75)「………………行くのだ……!」




提督「……」


私は何も言わなかった。何も見ようとしなかった。何も考えられなくなった。


ただその刹那

私の身体はいわお(75)を抱え上げ、180°回頭を開始していた。


いわお(75)の怒声が意識の外側に響く。

何も言わなかったが、周囲の仲間は迷うことなくこれに追従した。





撤退は容易にはいかなかった。今次の戦闘で艦隊の艤装の7割を消耗したのだ。
私自身の尻を何かが噛み、右足の義足の付け根が激しく軋む。

命のやり取りとは、これほどの痛みを生み出すものか。

一兵卒の時代に過ぎ去った感情が再び舞い戻る。
それでも私は走った。皆、疲労を隠し切れないのが分かったが、足は止められなかった。

そして我が鎮守府の影が見えたとき、私の意識は途絶えたように思う。





提督(……はっ、クォクォア……?)

提督(……病院?)


提督(……情けない。まさか私自身が入渠の憂き目に遭うとは)ハハッ

提督(……!)


たかこ(56)「!」パァァ

ゆうた(30)「―――――!」


提督(みんな……)


そこには、仲間達が待っていた。
私は喋れなかったが、溢れる涙を抑えることもまたなかった。





それからというもの、私は艦娘に執着することは無くなった。

2023年の今を逞しく生きる仲間達。

たかこ(56)、モーガン(48)、たけお(24)、ゆうた(30)……そしていわお(75)……

こんなはずではないと思い込んでいた自身の人生。

この時を以て彼らと共に、私自身もまたやり直せる気がしたのだ。

彼らとともに、笑顔で過ごせる未来を作り上げるため……。


私は戦う事を今一度決意したのであった。





提督(……若い女……)フッ

提督(……付き合いたいな……)ポロ……ポロ……




――――――――――――fin――――――――――――――




これで以上となります

前の作品の夢落ちにしなくて本当によかった(迫真)


短かったですが、楽しく書かせていただきありがとうございました。


前のというとヲ級のかな

>>60
イエース

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