木村拓哉「未来でちょ待てよ」 (38)

 
─── 2016年 1月18日 フジテレビ 第1スタジオ


木村「…という訳で、僕たちSMAPは、今日限りをもって解散します」

中居「えー、これまで応援してくださった皆さん、本当にありがとうございました」

吾郎「…精一杯やってきたので、悔いはありません」

草彅「これからはSMAPではなく、個人の活動となりますが、応援よろしくお願い致します」 ペコリ

慎吾「グスッ…グスッ…」

森「泣かない泣かない」 ヨシヨシ

中居「よし、それじゃあ…せーの…!」

 「「「「ありがとうございましたー!!!」」」」

  …パチパチパチ… パチパチパチパチ!

   パチパチパチパチ!




アナ『ええ、という訳で、SMAPは25年の歴史に幕を下ろした訳ですが…』

アナ『これからはそれぞれの得意分野を生かしてソロ活動を続けていくということで。』

コメンテーター『はい。メンバーひとりひとりが個性を持ってますからね。 色んな分野で活躍して欲しいですね』

アナ『えー、木村さんは俳優業、中居さんは歌手、草彅さんは舞台、稲垣さんは除霊、香取さんは捕鯨の分野に興味があると…。』

アナ『で、えー…森さんは未定、だそうです』

コメンテーター『それぞれ自分で選んだ道をまっすぐに進んで、輝いて欲しいですね』

アナ『皆さん人気ですからね。 ソロでも十分活躍してくれることと思います』
 

 
アナ『一方で、SMAPの解散を悲しむ声も聞こえてきます』

コメンテーター『まあ、悲しい気もしますが、これも彼らのステップアップの為と考えて…』

アナ『そうですね。 今回の解散も、特にトラブル無くスムーズに行われたということで…。』

コメンテーター『それぞれのメンバーが、事務所に頼らずともやっていける…
       そしてそれを事務所側も分かっている、というのが大きいんではないでしょうかねぇ』

アナ「と言いますと」

コメンテーター『木村くんはマルチな才能がありますし、中居くんは歌唱力が抜群です。
       草彅くん、稲垣くんもこれまで何のトラブルも起こさず、事務所に迷惑をかけてこなかった優等生として知られています』

コメンテーター『スムーズに解散する流れになったのは当然と言えるでしょう』

アナ『なるほどー。 さて、今日をもって解散となったSMAP。 各メンバーの今後の活躍に期待です』
 

 
────
──


中居「それじゃ…カンパーイ!!!」

 「「「「カンパーイ!!!」」」」 ガシャーン

 ゴクッゴクッ プハーッ

木村「いや~皆おつかれさん!」

中居「解散宣言って初めてだからさー緊張したべよー」

草彅「そだよー僕ちょっと声裏返っちゃったよー」

香取「グスッ…皆…また会えるよね…?」

木村「会えるってーほら飲め飲め」

香取「うん…」 ゴクゴク

草彅「飲みすぎは気を付けてよー あ、僕はウーロン茶で」

木村「剛はほんと酒飲まないよなー」

草彅「うん。 昔からお酒苦手だもん」

木村「さすが優等生~」 ツンツン

草彅「やめてよーw」

 ワイワイ  ガヤガヤ

木村「あれ? 森は?」

中居「んー? さっき酔いを醒ますって屋上行くっつってたけど」

木村「屋上? ったくしゃーねーなー 呼んでくるわ」

中居「うーい」
 

 
─── 屋上
 
森「……」

木村「おーい」

森「!」

木村「お前、何してんの。 下盛り上がってんぞ」

森「うん……」

木村「?」

森「…」

木村「おい、どうしたってんだよ」

森「なんか…心にぽっかり穴が空いちゃってな…」

木村「んーまあ分かるけどなー」

木村「25年間……ずっと俺たちSMAPだったんだもんな」

木村「それが明日から元SMAPになるんだもんなー、まあ気持ちは分か…」

  ガシャ

木村「お、おい!! 何やって…」

森「……」

木村「おい!降りろよ! 危ねぇだろ!」

森「皆が解散に乗り気だったから…言い出せなかったけど…」

木村「……」

森「俺……ほんとは……」

木村「分かった!! 分かったから!! とにかくそこ降りろって!!」

木村「か、解散が嫌だったら!! 俺が皆を説得する!! 今からだって間に合う!! 
    そうだ、すぐ記者会見開こうぜ! それで、解散やめますって…ドッキリでしたって…!」

森「ダメだよ……だって皆…SMAPを辞めた方が輝けるんだ…」

木村「……!!」
 

 
森「でも…俺はもうダメだぁ……なんか、プッツリ糸が切れちまった」

木村「おい…! 待てって!! 考え直せよ!!」

森「木村くん…今まで…ありがとな」

森「生まれ変わったら…レーサーになりたいな」 グッ

木村「っ!? ちょ、待てよ!!!」

 ……

  …

  『深夜の惨状 人気アイドルに一体何が』


 『人気アイドルグループ、SMAPのメンバー、森且行さんの死亡が確認されました』
  『前日の解散宣言が関係しているとの見方もあり』
『警察は事件・事故両面からの捜査を…』  
    『現場には同グループのメンバー、木村さんがいたとの情報も入っており』
   『関係者各位』  『報道陣は』 『ファンからは悲しみの声が』



木村「……」

中居「……」

木村「んでだよ……」

木村「なんでだよッッ!!」 ドンッ!

中居「木村…」
 

 
草彅「……僕もショックだよ…森くんがそんなに悩んでたなんて…」

香取「……」 グスグス

木村「…終わらせねぇ…」

中居「木村?」

木村「こんなんで終われっかよ! だって…だっておかしいだろ! こんな結末って!」

草彅「木村くん……」

中居「そりゃ俺だって……時間を戻せるなら戻したいよ…でも……」

吾郎「………戻せるかも」

中居「え?」

吾郎「……時間、戻せるかも」

中居「吾郎、何言って…」

木村「吾郎! どういうことだよ! 時間って、戻せるって…」 グッ

中居「落ち着けって!」

木村「言えよ!!」

吾郎「昔……番組で一緒になった霊能者の人に教えてもらったんだけど…」

中居「霊能者って…」

木村「…続けろ」

吾郎「5人の魂を削ることで…1人を過去に送ることができる儀式だって…」

中居「なんだよそれ、バカバカしい」

木村「……やろう」

中居「え?」

草彅「木村くん、本気?」

香取「……」

木村「本気だ。 俺はやる……絶対に、森は死なせない」

中居「木村……」 

 
────
──

 
吾郎「まず、誰が戻るかだけど…」

木村「……俺が行く」

吾郎「だよね。 こういうのは…一番信じてる人間が成功率高いって言うし」

木村「…それで、どうすりゃいいんだ」

吾郎「まずは、お米が必要なんだ」

木村「お米?」

吾郎「木村くん、お米を10粒用意して」

 …

木村「これでいいのか? 普通の米だけど…」

吾郎「うん。 それを、2粒ずつ、僕含め他の4人に配って。」

木村「はいよ」

中居「ん」

草彅「うん」

香取「…」

吾郎「うん。 それでね…」 ゴソゴソ

吾郎「全員に、一枚ずつタロットカードを引いてもらうの」 スッ

中居「タロットカード?」

草彅「占いで使う奴だよね?」

吾郎「うん。 それで引いたカードが、各人の"犠牲"を表すんだって」

中居「犠牲ぃ?」
 

 
吾郎「うん……詳しくは僕も分からないけど…」
 
吾郎「それで、引いた後はお米をまた木村くんに返す。 それで、木村くんに10粒の米を集めて、第一段階はおしまい」

木村「フム……じゃあ、とりあえずカード引くか」

吾郎「はい」 ビラッ

木村「じゃあ…これ!」 ビッ

 『 太陽 THE SUN 』

木村「太陽……? これ、どういう意味だ?」

吾郎「ええと……ちょっと調べるね」 ペラペラ

吾郎「芸能人の人気…仲直りの象徴…だって…」

木村「…? どういうことだ?」

吾郎「分からない…」

中居「ん~、まあいいべ。 次は俺」 ビッ

 『愚者 THE FOOL』

中居「愚者?」

吾郎「意味は…芸を磨く、だって」

中居「??」
 

 
草彅「…次は僕だね」 ビッ

 『節制 TEMPERANCE』

吾郎「意味は…控え目、名誉、節酒…」

草彅「?」

慎吾「じゃ…僕……」 ビッ

 『星 THE STARS』

吾郎「ええと、意味は健全な精神状態…」

香取「……」

吾郎「最後に僕だね」 ビッ

 『魔術師 MAGICIAN』

吾郎「意味は…学習…運転免許を持つ、か…」

中居「なーんかよく分かんないなぁ」

吾郎「僕もよく分かんない」

木村「とにかく、これで"誓いの米"は集まったわけだよな?」

吾郎「うん。 そのお米は、次の儀式で使うんだよ」

木村「……教えてくれ。 次の儀式を」
  

 
─── 

 2016年 1月某日

  東京 茅場駅

木村「……」


 吾郎『まずは、秋葉原駅から日比谷線に乗って、茅場町駅で降りるんだ』

木村「…」 コツコツ

 吾郎『ホームを八丁堀方面に行くと、鉄格子の下に塩がおかれてるから、それを足で蹴散らす。』

木村「…これか」

木村「…」 ゲシッ 

 吾郎『そのまま東西線に乗り換え、高田馬場駅で降りる。』

木村「…」 コツコツ

 吾郎『ホームを西武新宿線乗り換え方面に行くと、鉄格子の下に塩がおかれているから、それを足で蹴散らす』

木村「…」 ゲシッ

 吾郎『そのまま、もう一度東西線で茅場町駅で降りて改札をくぐって、4a出口の階段の下に米を10粒たらす』

木村「米…」 ゴソゴソ

 ポタ…ポタ…

 吾郎『そのまま、日比谷線の茅場町駅に乗り、築地駅で降りてホームを築地本願寺方面に行く。
    するとまた、鉄格子の下に塩がおかれているので、それを足で蹴散らす。』

木村「…」 ゲシッ

 吾郎『そのまま、日比谷線に乗って、目を閉じてあなたが一番したいことを考えながら手を組んで、そのまま乗っていると…』
 


電車「パァー」

木村「……」 (乗客少ないな…) スッ

 ストッ

木村「……」(目を閉じて…)

木村「……」

 時間よ戻れ… 時間よ戻れ…

木村(本当にこんなんで…)

 時間よ戻れ… 時間よ戻れ…

 ガタンゴトン… ガタンゴトン…

   ガタン…

  ゴト…

「くん…」

 「…むらくん!」

 「木村くん!」

木村「ハッ!?」

 ざわざわ…  こっち来てくれー ういーす


木村「!? !? こ、ここは!?」

香取「ここは、って…どうしたの?」

木村「慎吾!? うわ、若っ!?」

香取「え~何言ってんの、変な木村くん」
 

 
木村「!? !? こ、ここは!?」

香取「ここは、って…どうしたの?」

木村「慎吾!? うわ、若っ!?」

香取「え~何言ってんの、変な木村くん」

木村「お、お前、今何歳?」

香取「え? 15歳だよ?」

木村「15…うわ~ わっけぇ……」

香取「?」

木村「今って…何年の何月?」

香取「92年の3月に決まってるじゃん。 ねえ、ほんと大丈夫? これから撮影なのに」

木村「撮影?」

香取「夢がMORIMORIの」

木村「う~~わぁ~~~MORIMORIかぁ~~~」
 
木村「って……成功……したんだな……」 ゴシ…

木村「すげぇ…本当に…成功した」

香取「飯島さーん木村くんが変ですー」
  

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