波平「わ、わしの髪が!」 (10)

波平「あー、よく寝たわい」

波平「ん?頭が涼しいような……」

ツルーン

波平「な!なんじゃこりゃああああ!」

波平「か、母さん!」

フネ「あらお父さん、自慢の髪をどうなさったんですか?」

波平「どうもこうも、昼寝していたらこうなっておった」

フネ「とうとう抜けてしまったんですかねえ」


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波平「部屋をくまなく探したが抜けた毛などなかったぞ」

サザエ「そういえばさっきカツオが父さんのほうに行ってたわ」

波平「な、なんじゃと!おいカツオ!」

フネ「お待ちなさいなお父さん。まだカツオのせいと決まったわけじゃないでしょう」

波平「こんなことをする奴が他にいるか!」

フネ「もうサザエったら」

サザエ「ごめんなさい」

波平「カツオ!」

ガラッ

カツオ「なあに父さん」

波平「わしの大事な髪を盗んだのはお前か」

カツオ「よくわかったね。確かに髪を抜いたのは僕だよ」

波平「……なっ」

カツオ「そろそろ未練を断ち切って欲しいと思ってね」

フネ「私もその気持ちはわかるけど、せめて私やサザエに相談してほしかったわ」

波平「カツオの狼藉の数々もはや勘弁ならぬ!髪はわしの命!お前の命で償ってもらうぞ」

カシャーン

カツオ「そ、それはかつてロシア軍で重宝されていたM1914手榴弾」

波平「さよう、お前を殺してわしも死ぬ」

カツオ「くっ、夏休みの自由工作で作ったアンチTNTなら防げるけどもし破片タイプだったらおしまいだ。どっちだ、どっちが来る」

ドーン

ワカメ「お兄ちゃん!」

モクモクモク

カツオ「どうやらTNT爆弾だったようだね」

サザエ「自分の子供の夏休みの宿題を把握しなかったのが敗因ね」

フネ「主要教科は手伝ってすらいたのに……」

カツオ「さあ、僕の反撃を受けて……くっ、あっちはもう準備してる」

波平「64式小銃じゃ!」

ズバババババ

カツオ「なんの!ゲームで鍛えた動体視力があればこのぐらい!」

スッスッスッ

ワカメ「すごい!的確に銃弾を回避してる」

波平「お遊びはここまでじゃ」ポチッ

……

カツオ「一体何が起きるんだ?」

ウーウーウー

ワカメ「何の音?」

フネ「空襲警報よ!」

波平「こんなこともあろうかと北朝鮮から水爆を買っておったのじゃ」

波平「磯野家もろともおしまいじゃあ!」

波平「さて、みんな地下の核シェルターに避難したようだが、カツオお前は行かんのか」

カツオ「こうなったら父さんとは決着をつけるまで[ピーーー]ないよ」

波平「ふっ、いい目をしておるな。ならば髪の恨みを晴らさせてもらう!」

カツオ「あ、覚えてたんだそれ」

ドゴーン

カツオ「うわっな、なんだ?」

波平「北朝鮮め何をやっておるか」

ノリスケ「ややっ、爆撃機が波平おじさんの家に墜落したようだよ」

配達員「電報でーす」

波平「ご苦労」

波平「『磯野波平同志。予算の都合で水爆を準備することが出来ずパイロットに特攻してもらった。これで許してね!てへぺろ』……ふざけとる!」

かくして磯野家の凄絶な戦いは幕を閉じ、北朝鮮から爆撃機を呼び寄せた波平は警察にこっぴどく叱られ
波平の髪を抜いたカツオは少年院に送られ、そこで3年を過ごすこととなった。

カツオ「ただいまー」

カツオ「……あれ?磯野家がない!マンションになってる……」

カツオ「よく見たら周りの建物もほとんど変わってる、一体どうして……ん?誰か出てきた」

ワカメ「サバ太、早く行きましょ」

カツオ「ワカメ……?」

サバ太「おばあちゃん、誰?」

ワカメ「知らない。中学生に呼び捨てされるなんて不愉快だわ」

カツオ「僕だよ、カツオだよ」

ワカメ「えっ……70年前に行方不明になったお兄ちゃん!?」

カツオ「70年?そうか、少年院にいたからサザエさん時空が無効になっていたんだ!」

ワカメ「父さん、母さん、タラオ!お兄ちゃんが帰ってきた!」

カツオ「え……父さんと母さん生きてるの?」

両親と感動の再会を果たそうとしたそのとき、世界に霧がかかって何も見えなくなっていった……

ガバッ

波平「あー、よく寝たわい。なんだか奇妙な夢を見たのう」

波平「ん?……」

波平「わ、わしの髪が!」



- 終わり -


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