陽炎「いつかまたみんなで」 (11)
注意
陽炎、抜錨しますを題材にした艦これSSです。
最終巻の後を妄想したのでもしかしたらネタバレあるかもです。
誤字脱字あったらすみません。
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「約束の時間に間に合うかな」
腕時計で何度も時間を確認しながら、急ぎ足で待ち合わせ場所まで急ぐ。
彼女に会うのはいつぶりだろう。第十四駆逐隊が解散して以来だろうか?
そんなことを考えながら急いでいると約束の店に到着する。
扉を開けて店の中に入り、待ち合わせをした彼女がいないか店の中を見渡していると
「陽炎」
どこか拗ねたような懐かしい声で陽炎を呼ぶ声が聞こえたので振り向くと
「十分の遅刻。この店の支払いアンタの奢りね」
そんなことを言いながら、曙が呆れたような視線を飛ばしていた。
「「乾杯!!」」
そう言って彼女とグラスとグラスを軽くぶつける。
「・・・・・・相変わらずビールは美味しくないわね」
「アンタが注文したんじゃない」
「だって皐月なら『どうせならビール飲もうよ!」って言うと思ったんだもん」
陽炎はわざとらしく頬を膨らませた。
「はぁ・・・・・・アンタって本当に変わらないわね」
「安心した?」
「いや、全然。むしろこんなのが呉の秘書官で呉も終わりね」
「なら終わらないように呉に優秀な駆逐艦を引き抜こうかしら」
「なに、私でも引き抜こうっていうの?」
「そしたら毎日あたしに抱きついてもらえるわよ」
そう言って陽炎は両腕を広げると、今からでも受け止めるような姿勢をする。
「遠慮しておくわ。あたしって駆逐艦が嫌いなの」
そんな陽炎の冗談を彼女は苦笑いしながら流す。
「ふふっ」
「なによ」
「いや、アンタも変わってないんだなって」
久しぶりに会うというのに、まるであの頃のようにやり取りが出来ることが嬉しくなってしまい、つい笑みがこぼれてしまう。
「そう言えば潮は元気にしているの?」
「元気よ。アンタに会いたがっていたけれど、明日出撃があるからって残念がっていたわ」
「やっぱり改二だと出撃とかで忙しいのね」
「ってか、霰はどうしたのよ?」
「あぁ、霰は夕雲達の教育のために呉に残ったわ。本当は私が残る予定だったのだけれど霰が『曙は陽炎と会いたがっているはずだから・・・・・・』と言われてね」
「・・・・・・別に会いたがってないし」
「あたしは曙に会いたかったわ」
「あ、そう」
曙は照れくさそうにしながらそっぽを向いた。
――数時間後
「あ、もうこんな時間ね」
時計を見ると日付が変わりそうになるまで曙と語り尽くしていた。
「そうね。これ以上遅くなると潮も心配するわ」
「なら帰るとしましょう」
そう言って席を立つ陽炎に曙がなにかを差し出してくる。
「・・・・・・なによ?」
「最初に言ったわよ?遅刻したからアンタの奢りだって」
どうやら最初に言ったあれは冗談ではなかったらしい。
「仕方ないわね。今回だけよ」
「さすが呉の秘書官は太っ腹ね」
「ありがとう。でも、太っ腹ではないわ」
「どうかしら?」
そう言って曙は陽炎のお腹まわりをつまみ始める。
「・・・・・・陽炎、太った?」
「アンタ殴るわよ」
店を出て、鎮守府へ繋がる暗い夜道を曙と一緒に歩く。
今日は久しぶりに彼女と話せて楽しかったし、なにより彼女があたしの知っている彼女ままでいたことが嬉しかった。
「ねえ、曙」
「なによ」
「次はみんなで集まろう」
彼女は驚きつつもどこか嬉しそうな顔をして
「みんなを集めてくれるんでしょうね」
「ふふっ、あたしは第十四駆逐隊の嚮導艦よ」
陽炎は自信満々に言う。そんな彼女をみて曙が笑う。
いつかまたみんなで笑い会えますように・・・・・・
おわり
読んでくれた方がいたら嬉しいです。
駆逐艦万歳!
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