京介「初夢の話をしようか」 (6)


京介「どこなんだここは? 真っ暗じゃねえか。 赤城に付き合って、アキバに来たところまでは…」

あやせ「お兄さん」

京介「あ、あやせ!? 何やってんだこんな所で? ていうか、俺にはここがどこだかさっぱりわからねえんだが」

あやせ「ここがどこだっていいじゃありませんか。 それよりも、お兄さんこれを見てください」

京介「見てくれって何を…。 うわっ! おまえそれロウソクじゃねえか。 それも真っ赤なロウソク…」

あやせ「これは、生命(いのち)のロウソクです」

京介「生命のロウソク? なんかそれって、まんが日本昔ばなしで見たか聞いたような…」

あやせ「知っていますか? 誰でもこの生命のロウソクを持っているんです。 お兄さんだって、ほら」

京介「あっ! いつの間に俺の手に!」

あやせ「問題はここからなんです。 わたしのロウソクをよく見てください」

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京介「…こう言っちゃなんだけど、もしかしてやばいんじゃねえのか?」

あやせ「お兄さんもそう思いますか」

京介「ああ。 なんだか今にも消えそうな感じじゃねえか」

あやせ「お兄さんがもし、わたしの立場だったらどうしますか?」

京介「どうするって言われても…。 それより、あやせは俺にどうして欲しいんだ?」

あやせ「お兄さんの持っているロウソクを見てください」

京介「俺のロウソク…。 おまえのと比べると、ちょっとやそっとの風が吹いても消えそうにねえな」

あやせ「もう一度聞きます。 お兄さんがもし、わたしの立場だったらどうしますか?」

京介「ま、まさか、俺のロウソクと交換しようって言うじゃねえだろうな」

あやせ「お兄さんは、わたしのことが好きですよね。 ラブリーマイエンジェルとかなんとか、仰っていませんでしたか?」


京介「いや、そうはっきり言われると返す言葉もねえけど、本気で言ってるのか?」

あやせ「ああ、わたしの生命のロウソクの炎が…」

京介「ちょ、ちょっと待てっつーの! まだ大丈夫だから、ここは冷静になって考えようじゃないか」

あやせ「お兄さんは、わたしのことが嫌いなんですか? だったら、わたしにも考えがあります」

京介「だから冷静になれ。 とりあえずおまえの考えは横に置いとけ」

あやせ「じゃあどうするんですか、この状況を」

京介「こうするのはどうだ? 俺のロウソクを半分折って、おまえにやる」

あやせ「それで、どうするんですか?」

京介「わからねえか? それをおまえの今にも消えそうなロウソクに継ぎ足すんだよ」

あやせ「ああ、なるほど!」


京介「俺もまだ死にたくねえし、二人とも生き延びるにはそうするしか方法はねえ」

あやせ「わたしの考えていたのとは少し違いますけど、まあいいでしょう」

京介「おまえの考えを採用したら俺は即死だ」

あやせ「なんのことだかわかりませんが、お兄さんに従います」

京介「じゃあほら、俺のを半分やるよ」

あやせ「ありがとうございます。 あ、でも上手く継ぎ足しが…」

京介「ほれ、俺がやってやるから、俺のをちょっと持っててくれ」

あやせ「はい、わかりました。 …ふっ」

京介「あっ、あやせ! おまえってヤツは…」


カーテンの向こう側は、まだ暗闇に包まれている。 初日の出には、少し間があるようだ。
さーてと、もう一寝入りするかな。

昔は俺妹の総合スレがあったのに…、超短編のSSは書きづらくなった。

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