翔太郎「リングだって?」フィリップ「興味深いねぇ」 (75)

仮面ライダーW × リングのクロスSSです。

初スレ&初創作です。

よろしくお願いします。

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2015年12月3日水曜日17:23


翔太郎「ただいま~。全く今年も寒い風が吹いてるな。」

亜樹子「あっ、翔太郎君おかえり!」

翔太郎「おっ、亜樹子それココアか。俺が一人寂しく猫探ししてる間に満喫しやがって。」

亜樹子「いいじゃない。これも所長権限ってやつよ♪」

翔太郎「何が所長権限だ、都合の悪いときだけ言い逃れやがって。」

亜樹子「だって今日寒いんだもん。こんな日にはココアが最高に美味しいのよねぇ~♪」

亜樹子「でもちょっと熱くなってきちゃった。暖房効きすぎたかな?」

翔太郎「おい亜樹子、暖房切るんじゃねえぞ。やっぱこんな寒い日にはコーヒーが1番だな。」

亜樹子「だったらどうしろっていうのよ。あぁ~もう汗かいちゃった。」

翔太郎「ほ~らみろ、自分一人楽したのが間違いだったな亜樹子。」ジョロロロ

亜樹子「もう~困ったわね……あっ、そうだ。」

ガサゴソ

翔太郎「何探してんだ亜樹子?」

亜樹子「熱くなったら、冷えるもの!
アイスにエアコン!そして、これでしょ!」

デン!!


翔太郎「おい亜樹子…そりゃ気持ちはわかるけどよ、この季節にホラーはないだろ…」


亜樹子「なによ!別にいいでしょ!暑い日にはホラー映画観てヒヤヒヤするのが定番ってもんでしょ!!」

翔太郎「いや、お前が暖房効かせすぎたのがいけねえだろ…」

亜樹子「いいじゃない。とにかく今はクールになりたいのよ私は。この映画ちょ~怖いんだから!!」

翔太郎「お前一人だけ勝手観てろ!!ただでさえ寒いのに、これ以上ヒヤヒヤさせられるなんて御免だぜ。」

亜樹子「おっ?さては怖いの嫌だから見たくないんじゃ~?」ニヤニヤ

翔太郎「そんなわけねえだろ。ハードボイルドな男は、寒空を見上げながら静かにコーヒーを飲むのがお似合いってもんさ…」


ピンポーン

亜樹子「あれ?もしかして依頼人かな?は~い!」

翔太郎「依頼か…また寒い外に出るハメにならなきゃなんねえのか…」

亜樹子「は~いどちら様で…」

バァン

―「頼む!!助けてくれ!!お願いだ!!」―

亜樹子「え!?ちょ、ちょっとぉ!?えぇええええ!?」



そのときは思いもしなかった。
依頼人が運んできた事件の風が俺達に味あわせたのは想像を絶する恐怖と
誰も知り得なかった、ある一人の少女の残酷な過去を…

Sの呪縛/負の輪廻を打ち切れ



亜樹子「ふぇぇ…いきなり抱きつかれるなんて私、聞いてないよぉ~」


―「すいません…俺…藁にもすがる思いで…とにかくヤバイんです俺…!!」―

亜樹子「いえいえ、大丈夫ですよ。とにかく落ち着いてください。」

―「……俺、聞いたんです。ここ(鳴海探偵事務所)だったら、ヤバイ依頼も解決してくれるって…
お願いします…!!俺には時間がないんです!!」

亜樹子「安心してください。私達はあなたのその依頼、解決してみせます。」

―「あぁ…ありがとうございます!!」―

亜樹子「コ…コホン!! それでは、あなたの名前をお願いします。」



―「は、はい。『吉野 賢三』といいます。風都TVでディレクターをしています。」―

吉野「依頼というのは…その…実は俺、呪われているんです!!」

翔太郎・亜樹子「「呪われてる?」」

吉野「先月の25日の金曜のことです。俺の先輩のディレクターの岡崎って人に
とあるビデオを見せられたんです。『コイツはすごくヤバイらしい』って、俺に見させたんですよ。」

吉野「それから1週間後に死んだんですよ…岡崎先輩…。
先輩言ってました…『コイツを観た人間はみんな1週間後に死ぬって』
最初はただの冗談だと思っていたんですが…」

吉野「死んだのは先輩だけじゃなくて…その同僚の小宮さんや早津さんまで呪いのビデオで死んで…
あの呪いのビデオは本物で次に死ぬのは俺なんですよ……」

翔太郎「あの…こういっちゃなんですが…俺らあんまりオカルトはあんまり詳しくないっていうか…」

吉野「風都で有名な除霊師に頼んだのですが、全然ダメなんです。
もしかしたら俺…とんでもないものを観てしまったかもしれないんです…」

翔太郎「なんでそんなことがわかるんですか。
大体呪いなんてあんまり、信じられる話じゃないというか…」

吉野「何言ってんだ!!俺は確かに呪われているんだ!!
嘘だと思うなら、何でもいいので俺を撮ってください。」


翔太郎はバットのメモリガジェットで吉野を撮った。
写真に写った吉野の顔は異様に歪んでいて
如何に彼の置かれている状況が普通ではないのが伝わるものだった。

翔太郎「え、嘘だろこれ…」

亜樹子「え、ええええ!?嘘!なによこれ!!私、聞いてない!!」

吉野「ビデオ見てからずっとこれなんです。最初はテレビに映った時に気づいて…
ああ…次は俺だ…あと3日で死ぬだ俺…」

亜樹子「(確かにこれはヤバイよ翔太郎君。モノホンだよ!モノホン!)」

翔太郎「(いや、そりゃそうだけどよ。どうするんだ?
ドーパントならともかく、幽霊とか呪いとかそういうのはお手上げなんだよな…)」

亜樹子「(確かにそうだけど、万が一ドーパントの仕業って可能性もないわけじゃあないじゃない?)」

翔太郎「(まあ、それもそうかもしれないけどよ…)」

フィリップ「ありえないね、『呪い』なんて」

翔太郎「おう!?フィリップ、いつの間に。」

フィリップ「呪いなんてものは、所詮は人間の恨みの感情に過ぎない。
ポルターガイストは排水口が原因で騒音や振動が発生したというケースがあるし。
墓地で幽霊を目撃したというものも、死体から発生したリン元素が死体の型を保ちながら
地上に噴出したものであるというものも証明されている」

フィリップ「心霊現象と呼ばれるものは今や、科学的に証明されつつあるものだ。
呪いというものは非科学的なものだよ。翔太郎。」

フィリップ「もしかしたら、この男はドーパントによって命を狙われているのかもしれない。
この風都じゃあそんなことがあってもおかしくはないだろ?」

翔太郎「まあ確かにそうだな。幽霊だろうが、ドーパントだろうが
俺達が蹴散らしてやるさ。」

吉野「ということは引き受けてくれるのですか!俺を助けてくれるのですか!!」

翔太郎「ええ、この依頼、引き受けましょう。」

吉野「あぁ…ありがとうございます!!俺には3日しかないんです。どうかお願いします…!!」

亜樹子「吉野さん、頭を上げてください。あなたの依頼は必ず私達が解決してみせます!!」

翔太郎「それでその呪いのビデオっていうのはどんなものですか?」

吉野「実は…持ってきているんです。ビデオ…ダビングしたものですけど。」

亜樹子「えっ!?本物持ってきたの!?」

吉野「現物持ってきたほうがいいかなと…でもこんな見せてもし間に合わなくて、あなた達まで死なせたら…!!」

翔太郎「まあとにかく、現物があるなら観るしかないよな・・・でもどうする。
うちにはビデオデッキないんだよな…」

亜樹子「なら買ってくるしかないでしょ。今まさに依頼人の危機なんだから、すぐに買ってこないと!」

吉野「あ…あの…」

翔太郎「しょうがねえな。でも今時そんなもんどこで売ってんだよ。
とりあえず、リサイクルショップで行ってくるか。」

翔太郎「ついでに照井刃野さんのところへ行くか。
ドーパントの仕業ってこともあるからな。ほんじゃあ行ってくる。」

亜樹子「私も行く!照井君のところなら私だっていってやるんだから!」

翔太郎「お前外嫌じゃあなかったか…」

亜樹子「そ、それとこれとは話は別でしょ!とにかく行くわよ。」グイグイ

吉野「あの…お二人さん…」

翔太郎「じゃあフィリップ。あとは頼んだぜ。」

フィリップ「ああ、いってらっしゃい。」

亜樹子「さあ、行くわよー!!」

バタン


ひとまずここまで
ちなみに映画版を軸にしてますが、設定無視とかしそうです。;;

同日17:35特殊犯罪捜査課

照井「それでここへ来たというわけか。」

翔太郎「ああ、今回の依頼はドーパントが絡んでいるかもしれない。
この写真だって普通じゃない」

照井「……なるほどな、呪いのビデオか…信じられんな。」

翔太郎「俺だって信じられねえよ。だけど、俺は何か引っ掛かるんだよ。
呪いのビデオには何かあるような気がするだ。」


亜樹子「竜くんも岡崎さん達の事件調べてるの?」

照井「まあな、この事件もドーパントが絡んでいる可能性がある。一応それでな。」

照井「そんなことより所長、外は冷えただろ。お茶でも飲むといい。」

亜樹子「ありがとう竜く~ん♪もう私も冷え冷えで凍えてたんだから♪」

翔太郎「まったく、寒かったり、暑かったり忙しいやつだな…」

刃野「まあまあ、こんな寒い日にはお茶がよく合うもんさ。
さあさあ所長、昆布茶をどうぞ。」

亜樹子「あっ、ありがとうございます。」

ズズー

亜樹子「アツ!!」

刃野「おおう、大丈夫かい?」

亜樹子「アツツツ…舌やけどしたかも…」ヒーヒー

刃野「まったく所長はあわてんぼさんだな。ハッハッハッ
ズズー あちっ!」

翔太郎「今日はやけにおてんばだな、亜樹子。最近いいことでもあったのか?」

照井「まあ俺も彼女の元気な姿を見られてなによりだ。
それより左、今回の連続変死事件の被害者は少し気になることがある。」

翔太郎「気になること?」

照井「これを見てくれ」


照井が見せた物は岡崎、小宮、早津の3人の遺体写真だった。
3人の顔はまるで、この世で最も恐ろしいにものに怯えながら死んでいったような
そんな悍ましいものだった。

翔太郎「なんて顔して死んでやがる…」

照井「被害者全員、心臓麻痺で死亡している。
そして、これらのビデオを全員が持っていた。」


3本のビデオがそこにはあった。
その3本すべてに『copy』のラベルが貼られてあった。

照井「彼らの家からビデオテープはそれだけ持っていた。
明らかに不自然だ。」

翔太郎「ますます怪しいな…照井、お前ビデオ観たのか?」

照井「いや、まだだ。これから観ようと思っていたが。
そういえば、被害者の同僚の吉野という男が『出来れば観ない方がいいと』言ってたな。」

翔太郎「そうか…俺達もすぐビデオを観るつもりだ。何かヒントがあるかもしれないしな。」

亜樹子「プハー!ほー温かい…昆布茶も悪くないわね…」

翔太郎「亜樹子、そろそろ帰るぞ。フィリップたちも待っている。」

亜樹子「えっ?あ、もうこんな時間かぁ。竜くんとはまたお別れか~」

照井「安心しろ。家に帰ったらまた会えるさ。」

亜樹子「それもそうよね!じゃあとっとと仕事終わらせて帰るわよ翔太郎!
じゃあね竜く~ん♪」

照井「ああ、俺もすぐに仕事を終わらすよ所長。」

鳴海探偵事務所20:03

翔太郎「今帰ったぜフィリップ。」

フィリップ「翔太郎、遅かったね。ビデオデッキを手に入れるのにそんなに苦労するとはね。」

亜樹子「いやいや、経費削減の為にいろいろ探してたのよ」

翔太郎「たっく…最初に見つけたやつで良かったろ亜樹子。
こんなもんあんまり使わねえからってよぉ。」

亜樹子「お金の使い方をもっと学んだ方がいいわよ翔太郎くん。
コストを減らせるなら、それでいいじゃないのよ。」

吉野「あの…俺そろそろ帰ります。今日はいろいろあって疲れましたし…
ゆっくり眠りたい気分なんです。」

翔太郎「今手掛かりを掴みかかっているところです。どうか安心して休んでください。」

吉野「はい…あの、最後にビデオ置いていきます。何か手掛かりになるから観るのでしょう。
観るならどうか気をつけてください。それでは…」

バタン

翔太郎「……このビデオに何か秘密がある…
観てみないことには始まらないな。」

フィリップ「呪いのビデオか…やはりあまり興味が湧かないなぁ。
あまりにも非科学的だ。」

亜樹子「まあまあ、とりあえず観てみましょう。さあ、どれだけ怖いのかな♪」

翔太郎「これはホラー映画じゃあねえんだぞ。まあいいや、それじゃあ再生するぞ。」

ビデオを再生し、砂嵐が画面を覆う。


夜空が映っている、しかし、なぜか丸い風景となっている。

着物を着た黒髪の女性が髪の毛を梳かしている。
一瞬、髪の毛で顔を覆っている白い服を着た女が鏡に写って。
着物を着た女性が右側に視線を送った。

火山の噴火について掲載された新聞の一面。
文字がまるで蟲のように這いずり回っている。

もがき苦しんで地を這っている多くの人々

白い布を頭に被った、男がどこかを指差している。

誰かの目が何度か瞬き、瞳には『貞』の字が写っていた。

そして、森のような場所にポツリとある古井戸。
井戸の一部が欠けていて、相当古いもののようだ。

やがてビデオが終わりを遂げていると
3人は静寂に数秒間支配されていた。

翔太郎「……い、意外と地味なもんだな。もっと電波なもんだと思っていたが。」

フィリップ「確かにくだらないねえ。でも、ヒントにはなりそうものが多かったが。」

亜樹子「……」

翔太郎「ん?どうした亜樹子?」

亜樹子「えっ?ううん何でもない。ただ…このビデオ何か気味が悪いっていうか。
少し怖いが感じがする…」

翔太郎「なんだよ、ビビったのか。まあ所詮お子様には、少しホラーは刺激が強かったってことか。」

亜樹子「とりゃ!!」バチコン!

翔太郎「痛って!!何すんだよ亜樹子!」

亜樹子「私がこんなものでビビるわけがないでしょ翔太郎くん。私はもう1人前のレディーなんだからね!」

翔太郎「言ってくれるじゃねえか。だが、確かに気味が悪かったな。明日、また調べるとするか。」

亜樹子「まあ、それもそうね!とにかくこれで終わり!早く竜くんのところへ行こ~と♪」

翔太郎「まったく、何か悪いもんでも食ったのかあいつは。
コーヒーでも飲むか…」


12月3日水曜日20:04
彼らにビデオの呪いが降り注いだ。
タイムリミットまであと7日…

今日はここまでで
ペース早めにするので少し待っていただけると幸いです。

鳴海探偵事務所12月4日10:12

フィリップは地球の本棚で、岡崎たちの死因に繋がる
ガイアメモリの能力を調べていたが、一向に状況が進展することはなかった。


フィリップ「心臓麻痺…ビデオ…呪い…
駄目だ、被害者の死因と一致する、メモリの能力が見つからない。」

翔太郎「ドーパントが原因じゃないってわけか?
だったら岡崎達は、本当に呪いで死んだっていうのか?」

フィリップ「有り得ないね。でも、これだけ探してもヒットしないということは
もしかすると『呪い』というものが実在していることになる。興味が沸いてきたね…」

翔太郎「仕方ない。フィリップ、検索ワード変更だ。
あのビデオの内容について調べれば、何かヒットするかもしれない。」

フィリップ「わかったよ翔太郎。それでは、検索をリスタートしよう。」

フィリップがそう言うと、地球の記憶が『本』という形で無数に現れ
辺り一面が膨大な情報の山と化していた。


翔太郎「まず1つ目のキーワードは…『噴火』」

翔太郎「2つ目のキーワードは…『布』」





翔太郎「そして3つ目が……女だ…」

フィリップ「…ビンゴだ。」


フィリップ「どうやら、伊豆半島で噴火があったらしい。」

翔太郎「伊豆半島だと?」

フィリップ「1956年、伊豆半島の『大島』で大噴火が発生し、島中に火山ガスが蔓延していたようだ。
当時の住民は毒ガスに対処する為、頭に布を被って、なんとかやり過ごしたそうだ。」

フィリップ「そして、噴火が起きる少し前に、それを予知した女性が大島にいた。
彼女の名前は『山村 志津子』。どうやら彼女は超能力を使えたようだ。」

翔太郎「超能力?おい…それってまさか…」

フィリップ「『クオークス』…だと言いたいのかい?」

亜樹子「クオークス…確かミーナさんみたいに超能力を使える人間のことだよね?」

フィリップ「だがありえない。クオークスは人体実験によって生み出される超能力兵士。
生まれつき能力を使えるなんてことは、あまり考えられない。」

フィリップ「しかも、山村志津子が使っていたとされる超能力は主に
未来予知や念写だったらしい。それ以外に念力などの能力は使っている記録がない。」

翔太郎「なるほどな…その山村志津子って女が、今回の事件の鍵を握っているらしいな。」
そんじゃあ、その大島ってところへ行ってみるとするか。」

亜樹子「え?今から行くの?伊豆まで!?」

翔太郎「当たり前だ。あんまり時間もないからな。
吉野さんがビデオを観たのが、28日の21:30頃だから、今日入れてあと2日しかねえ。」

亜樹子「た、確かにそれは急がないとまずいよね…」

翔太郎「ああ、早く呪いの原因を見つけて何とかしないと…。
フィリップ、山村志津子についてもっとよく調べておいてくれ。」

フィリップ「言われなくとも。事件のことを差し置いてでも、この女性はなかなか面白そうだ…
他にもいろいろ調べておくよ。」

翔太郎「よし、じゃあ行くか…大島へ…!!」

ここで訂正です。

2014年のカレンダー参考にしましたが、間違って今年になっていました。

それから、吉野がビデオ観た日が11月の28日金曜になっていますが
その日は火曜日でした…
以後11月28日の金曜にビデオに観たことにします。

すいません…

伊豆半島の(近くの伊豆)大島
伊豆半島(を含む伊豆諸島)の大島
このぐらいは脳内補完だろjk

同日14:00~伊豆大島

亜樹子「ああ~やっと着いたー!!」

翔太郎「ふう…伊豆行きのフェリー乗り場まで来て、更にそこから2時間か。
風都から結構時間かかったな。」

亜樹子「おっ?美味しそうなお土産があるじゃない♪ちょっと買っていこうっと。」

翔太郎「おい亜樹子、俺達は観光しに来たわけじゃねえからな。
あくまでも事件のために、ここまで来てんだ。」

亜樹子「わかってるよ翔太郎くん。でも、帰るときには竜くんにお土産買っていかなくちゃ♪」

翔太郎「やれやれ、ほんとにお転婆お嬢ちゃんになっちまったのかよ。
さて、山村家を尋ねるとするか。」

~山村家~

翔太郎「ここが山村志津子が住んでいた家か。」

亜樹子「へえ~こんなところに住んでいたのね。」

翔太郎「建て替えて、今じゃあ山村家の夫婦が旅館として使っているらしいからな。」

翔太郎「すいません!誰かいませんか!」

少々すると、奥から1人の女将が迎えに来た。
彼女は『山村 和枝』山村家に嫁いできた、女性だ。

和枝「いらっしゃいませ。ご予約をおとりになられたお客様でしょうか?」

翔太郎「いえ、俺達は『鳴海探偵事務所』の探偵です。
お聞きしたいことがあって。訪ねてきたました。」

和枝「はぁ…探偵の方ですか。」

翔太郎「実は『山村志津子』さんについて詳しく話を聞きたくて…」


その言葉を聞いた瞬間、山村和枝の表情は一瞬で暗くなった。
まるで、疫病神が舞い戻ってきたと口にしそうな、そんな顔をしていた…

和枝「すいません…お引取り貰いませんか…」

翔太郎「いや、俺達はただ話を聞きに来ただけd…」

和枝「帰ってください!その志津子さんという人なんて知りません…
わざわざお越しいただいて失礼ですが、何も話すことはありません。お引き取りください!」

翔太郎「……分かりました、こちらこそすいません。失礼しました…」

和枝「………」



亜樹子「ちょっと翔太郎くん。簡単に引いちゃったけどいいの?」

翔太郎「山村家には、何かでっかい傷跡があるみたいだ。
いくら俺達が問いただしたって、たぶん話せねえさ。」


翔太郎「他にもあたってみようぜ。きっと何か掴めるさ。」

亜樹子「う、うん…」



その後、二人は回れるだけ島を回って、聞き込みをしたが
島の人間は山村志津子のことを聞かれると、誰も答えなかった。
特に老人に至っては、皆が陰険な顔して「これ以上聞かないでくれ」と沈黙していった。


~フェリー乗り場~
翔太郎「なんてこった…誰も山村志津子について話してくれねえ。
それどころか、帰れだのなんだの、すぐに顔引っ込めるなんてな。」

亜樹子「ねえ、山村志津子って人…一体何したんだろ…
この島の人…みんな何も聞かせてくれない。もしかして、悪いことしてたのかな…」

翔太郎「そんなこと…まだわかんねえだろ。だけど、誰も答えてくれないってんなら
それならそれで、手掛かりを掴んでみせるさ…」

ポタ…ポタ…

翔太郎「ん?あ、雨だ…ってうぉお!?どんどん降ってきやがる!」

亜樹子「うわぁあ!土砂降りだよぉ!この島来た時には、晴れてたのに。」


ピンポンパーン

アナウンス「お客様へお知らせします。雨天候により、フェリーの運行が難航すると判断し
本日はフェリーの発航は不可能となっております。大変申し訳ありませんがetc…」


亜樹子「えぇええ嘘!?私…聞いてない!!」

翔太郎「マジかよ…日帰りのつもりがこんなことになるなんてな。」

亜樹子「どうしよう…私たち、宿の予約とかとってないよ!どうするのよ~!!」

翔太郎「ったく……どうしたものか…」

???「あ、あの…少しよろしいですか?」

翔太郎「ん?はい、なんですか?」

???「もし、私の家で良ければ泊まっていきませんか?」

一方…

同日~特殊犯罪捜査課~10:32

照井「(昨日観たあのビデオ…気味が悪くて、まるで訳がわからなかった。)

照井「(3本とも同じ内容…このビデオをどうやって手に入れた?)」

バタン

刃野「照井刑事、気になる情報が。」

照井「どうした、刃野刑事」

刃野「岡崎が死亡する数日前、不信な男が岡崎の家の周辺をうろついていたとの
目撃証言がありました。」

真倉「他にも小宮、早津の実家の周辺にも同様に不信な人物が目撃されているとのことです。」

照井「不信な人物…か…。3人に何らかの関わりを持っている人間の可能性もあるか。」

照井「ただの偶然か、或いは…ビデオの件も関わっているのかもしれんな。」

真倉「しっかしこの事件、妙に胡散臭いだよなぁ。絶対裏に何かあるに違いありませんよ。」

刃野「3人とも同じ死に方じゃあ気味悪くなるのも無理はないよな。
まあ、このままじゃあ、ただの変死事件で幕を閉じることになるけどな。」

照井「……吉野から、ビデオのことを聞き出す。岡崎たちが他にも何か言っているのかもしれない。」

刃野「あっ、はい、どうかお気をつけて」


吉野家~11:45

ピンポーン

吉野「はい、どちら様ですか…?」


照井「警察だ。例のビデオの件で話がある。」

吉野「ああ…ビデオのことですか…」

照井「そうだ、岡崎からビデオについて何か言っていなかったか?
どんなことでもいい、何か知らないか?」

吉野「……先輩が言ってたんですよ。呪いのビデオの呪いから逃れる方法を…」

──────
────
──

──────
────
──

吉野「これがその呪いのビデオですか?」

岡崎「ああ、昔の知り合いから貰ったもんだ。
これを見た人間はみんな1週間後に死ぬって話しさ。こいつは面白そうな物だろ?」

吉野「な…なんでそんなもの観なくちゃいけないんですか。
まさか、俺に[ピーーー]っていうんですか?」

岡崎「まあ待てよ、実はこのビデオの呪いに掛からない方法があるんだよ。
このビデオはな。ダビングしたものだと効果が消えるらしい。
ようはこの『オリジナルのビデオ』を見なけりゃいいだけの話だ。」

吉野「そ、そうなんですか。」

岡崎「ああ、現にコイツで死んだやつを見たのさ。
信じらんねえよ…ビデオ見ただけで死ぬなんてよ…コイツはいいもんもらったぜ。」


岡崎「丁度、ホラー物の企画でネタに困っていたところだったんだよ。
こいつで視聴率も取れるもんさ。」

岡崎「せっかくだ。小宮にこの『オリジナル』を見せてやるとするか。」

吉野「お、岡崎さん!何を言って…」

岡崎「あ?文句あるのか?アイツは昔から気に食わなかったんだよ…。
これでたとえ死んだとしてもそれはそれでいいってものさ。
『スタッフが呪われた、死を呼ぶビデオ』ってものにすればいい儲けもんになるぜこりゃ…」

岡崎「お前は口が堅いからな。特別に教えてやったのさ。ハハハハハ!!」

吉野「俺だって作り物だと思っていたんですよ。その結果先輩たちも死んで…
次は俺の番なんだ…もう俺…どうしたらいいんだ…」

照井「そういうことか。その昔の知り合いについて、他に何か知ってることはあるか?」

吉野「いえ…まったく…。あの…もう帰ってくれませんか…。
今は…一人になりたい気分なんです。」

照井「……ああ、すまなかった。また何か気づいたことがあったら連絡してくれ。」

吉野「………」


照井「(呪いのビデオを使って岡崎たちを死に追いやったということか。
一体そいつの目的はなんだ?)」

照井が思案していると、何者かが自分を見ているような気配に気づいた。
パーカーを着た一人の男が照井の様子を伺っていた。

照井「ん?なんだ、あいつは…」

―「………!!!」―

照井「おい!待て!」



照井「くそ、逃げられたか。」

照井「やはりこの事件、ただの変死事件じゃないな…」

>>59の訂正です

吉野「これがその呪いのビデオですか?」

岡崎「ああ、昔の知り合いから貰ったもんだ。
これを見た人間はみんな1週間後に死ぬって話しさ。こいつは面白そうな物だろ?」

吉野「な…なんでそんなもの観なくちゃいけないんですか。
まさか、俺に呪われてくれっていうんですか?」

岡崎「まあ待てよ、実はこのビデオの呪いに掛からない方法があるんだよ。
このビデオはな。ダビングしたものだと効果が消えるらしい。
ようはこの『オリジナルのビデオ』を見なけりゃいいだけの話だ。」

吉野「そ、そうなんですか。」

岡崎「ああ、現にコイツで死んだやつを見たのさ。
信じらんねえよ…ビデオ見ただけで死ぬなんてよ…コイツはいいもんもらったぜ。」


伊豆大島・民家~19:00

翔太郎「すいません…島の人間でもないのに、泊めていただいて…ご馳走までいただいて…」

女「いえいえ、気になさらないでください。困ったときはお互い様ってものですよ。」

女「それより、冷めないうちにどうぞ召し上がってください。温かくなりますよ。」


亜樹子「それじゃあ、いただきます」ズズー


亜樹子「ほわぁ…味噌汁…温かい~///」

女「よかったぁ。口に合わなかったらどうしようかなって、余計な心配しちゃった♪
おかわりもありますので、どうぞご遠慮なく食べてください。」

女「あっ、そういえば自己紹介がまだでしたね。私は『南都 直美』といいます。
不束者ですが、困ったことがあったら遠慮なく聞いてください。」

翔太郎「俺は、風都の鳴海探偵事務所の探偵、左 翔太郎です。」

亜樹子「そして私が、所長の鳴海 亜樹子です。」

直美「えっ!探偵の方なんですか!
『テレビに出てくる、ハードボイルド探偵みたいでカッコイイ人だな~』って思っていたんですけど
まさか本当に探偵さんだったなんて!!」

翔太郎「(ん?ハードボイルド…)
ええ…その通りですよ…レディー。事件があれば、クールに解決する大人の男…
それが…ハードボイルドな男ってもんですよ…」ドヤッ

亜樹子「ま、その割には甘いところがあるのよねえ。
いわゆる『 ハ ー フ ボ イ ル ド 』のくせに、かっこつけようとするんだから。」


翔太郎「おい亜樹子、それはないだろ?俺は固ゆで卵…
鉄のように冷たく…クールな男なのさ…。」

亜樹子「はいはい、まだ完熟しきってない半熟卵のくせに、それっぽく決めないの。」

直美「ふふふ、面白い方ですね。もしよろしければ、探偵のお話を聞かせてもらないでしょうか?」

翔太郎「ええ…もちろんですよ…。ハードボイルドに解決してきた事件の話を
風が俺達を連れて行くまで語りあげましょう…」

直美「あら、冗談も上手いのですね探偵さんは。ふふふ♪」


直美「そういえば、お二人はどうしてこの島へきたのですか?」

翔太郎「えっ?ああそうだった、実は俺達、山村志津子さんのことを調べに、この島へきたんです。」

直美「えっ?志津子おばさんのことですか?」

翔太郎「知ってるんですか?」

直美「ええ、私、志津子さん家の貞子さんとよく遊んでたから」

翔太郎「貞子…」


直美「志津子さんには、貞子っていう女の子がいるんです。
貞子さんも私と仲良くしてくれて、いつも楽しく遊んでたんです。」

直美「でも、貞子さん、あの事件があってから家族と島を出て
それっきり会ってないんです。」

翔太郎「あの事件?」

直美「もう何十年も前の話になります。
志津子さんが超能力の公開実験をしていたんです。」

直美「実験は成功したみたいなのですが…
実験を見に来た人たちが、インチキだって志津子さんを批判してたって聞きました。」


直美「それ以来、島の人たちも志津子さんのことを気味悪がって…
私が遊びにきた時も、とても冷たい性格になっていたんです。」

脱字がありました。訂正します。



直美「志津子さんには、貞子っていう女の子がいるんです。
貞子さんも私と仲良くしてくれて、いつも楽しく遊んでたんです。」

直美「でも、貞子さん、あの事件があってから家族と島を出て
それっきり会ってないんです。」

翔太郎「あの事件?」

直美「もう何十年も前の話になります。
志津子さんが超能力の公開実験をしていたんです。」

直美「実験は成功したみたいなのですが…
実験を見に来た人たちが、インチキだって志津子さんを批判してたって聞きました。」

直美「けど、そのときに記者の一人が急に亡くなって、
志津子さんが呪ったんだと、みんなが批判してたそうなんです。」

直美「それ以来、島の人たちも志津子さんのことを気味悪がって…
私が遊びにきた時も、とても冷たい性格になっていたんです。」

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