【白猫プロジェクト】カティア「研究室に客人?」 (155)

ヨシュア「ここは飛行島にある空き部屋を借りたカティアさまの研究室」

ミレイユ「私たちはそこでカティアさまのお手伝いとして日々頑張っています♪」


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ヨシュア「そんな研究室には時々カティアさまを訪ね、お客様がお見えになります」

ミレイユ「カティアさまは研究に忙しくて快くは思っていないようですが…そんなお話です」

コンコン

ヨシュア「どうぞー開いてますよー!」

リリエル「はあ……はあ……」

ミレイユ「どうしました!?顔色悪いですよ!?」

リリエル「お、お気遣いなく……私は、だいじょ……ゴハッ!」

ヨシュア「うわあああああ!!吐血ううう!?」

ミレイユ「お兄ちゃん落ち着いて!!と、とりあえず中に…」

リリエル「あ、ありがとうございます……でも平気ですので…」

ヨシュア「平気ってレベルじゃないですよコレ…」

カティア「むっきィ――――!!うるさいわよ双子たち!!!研究が進まな…ってアラ、いつぞやの吸血鬼さん」

リリエル「お、お久しぶりです。カティアさん…」

ミレイユ「えっ、カティアさまのお知り合いなんですか?」

カティア「知り合いっていうかクライアントね。その点滴台、私が作ったモノだし」

リリエル「この点滴台は、どれだけ乱暴に扱っても絶対に壊れないのでとても重宝しています…」

ヨシュア「す、すごい…」

カティア「あっっったりまえよ!この天才に不可能なんてないわァ!!んで、今日は何の用なの?」

リリエル「はい…どうしてもこの虚弱体質というか貧血を治したくて…お力を貸していただけませんか?」

カティア「うーんと、ムリ」

ヨシュア(さっき不可能はないって言ってたのに!?)

リリエル「そ、そんなあぁ……」

カティア「待ちなさい、今はムリってことよ!時間とお金さえあれば天才に不可能はないのっ!!」

カティア「吸血鬼自体のデータも少ないし、思うように進まないのよねェ…」

ミレイユ「確かに…カティアさまの研究資料に吸血鬼のことは少なかった気がする…」

カティア「とりあえず今日は身体検査と採血。ヨシュアは吐血の掃除!ミレイユは私の部屋にある文鎮を消毒して頂戴。」

双子「は、はい!!」

リリエル「文鎮…?」

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カティア「とりあえず一通り終わったわね。ハイ、これ処方箋の代わり」

リリエル「これは…文鎮ですよね?」

カティア「そうよ。鉄でできた文鎮。料理するときに具材と一緒に入れるの」

カティア「文鎮からの鉄分で気休めの貧血予防くらいになるでしょ。何回も使えるからちゃんと使いなさいよォ?」

リリエル「あ、ありがとうございますぅ…!!」

ヨシュア「文鎮にそんな使い方があったとは…」

ミレイユ「驚きだね、お兄ちゃん…」

カティア「その体質を治すのはまだ時間かかりそうだから、忘れた頃に来て頂戴」

リリエル「はいっ…!では今日はこれで…これはお代です…」ポンッ

カティア「ハイッ♪毎度ありー!!」

ミレイユ「…お兄ちゃん、私たちの元の家は結構裕福だったけど…」コソコソ
ヨシュア「ああ…あんな大金は見たことないな…」ヒソヒソ

カティア「このくらいの小銭じゃ研究費ですぐになくなるわよ」

双子「」

カティア「さ、検査の後片付けを手伝って」

双子「はーい!」

書きためます

またある日

コンコン 

ヨシュア「はーい、開いてますよー」

ガチャ

フローリア「失礼いたします」

ヨシュア(うわぁ…綺麗な人だなあ…)

ミレイユ「お兄ちゃーん!見とれてないで案内してあげてー!」

ヨシュア「っ!わ、わかったよ!!」

フローリア「ふふ……♪」

ミレイユ「どうぞ、ローズヒップのハーブティーです」

フローリア「ありがとうございます。ローズヒップティーは好物なんです」

ミレイユ「それは良かったです♪もうすぐカティアさまが来れれると思います…あっ」

カティア「はいはーい、定期健診のフローリアさんねェ~。準備できてるからこちらにいらっしゃ~い」

ミレイユ「ではこちらに…」

フローリア「はい」

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カティア「はいはい、目に異常なしっと。次、視力検査はヨシュアに頼むわねェ」

ヨシュア「はーい!任せてください!」

イキマスヨ!コレハ! ミギデス

ミレイユ「…カティアさま」

カティア「なに?」

ミレイユ「この島にはビートさんというお医者さまがいらっしゃると聞きました」

カティア「それで?」

コレハ! ウエデス

ミレイユ「先日もそうですが、どうしてカティアさまが医者まがいのことを…」

カティア「簡単よォ、この私が天才だから!!私にしか治せないものがあるのよ」

コレ! シタデス

カティア「フローリアも吸血鬼も、あの熱血ポンコツロボが私に泣きついてたから仕方なくやってんのよ」

カティア「あいつが手術して、私が投薬してってカンジね」

ミレイユ「…ふふ♪お優しいんですね」

コッチ! シタデス

カティア「なーに言ってんのよ。お金のため、研究費のためよ」

カティア「それに私の研究成果のその後は私が診てあげないとね。ヤブ医者ロボに渡すものですか」

ヨシュア「カティアさまー!終わりましたー!両目2.0以上で問題ありません!」

カティア「はいはい、ありがとね、ヨシュア。フローリアもお疲れさま」

フローリア「いえいえ、いつもお世話になっております。ではこちらを…」スッ

カティア「おっほォーーー!ありがとうございますゥ!!これでまた研究できるわァ~~~!」

フローリア「それでは失礼します」

カティア「ハ~~イ!また忘れた頃にくるのよォ~!!」

ヨシュア「…話してみるとフローリアさんは元々貴族の庭師として仕えてたみたいなんだ」コソコソ
ミレイユ「ああ…それであんな大金…もしかしてカティアさまはお金持ちしか診ないかな…?」ヒソヒソ

カティア「聞こえてるわよ」

ミレイユ「っ!す、すいません!!」

カティア「金持ちしか診ないじゃなくて、バカを診ないだけよ」

カティア「ときどきいるのよねェ~ここを病院かなんかと勘違いして来るバカが」

ヨシュア「大変なんですね…いろいろと…」

カティア「むっきィ――――!!思い出すだけで腹が立つ!!今度来るバカは私のオモチャにしてやるゥ――――!」

ミレイユ(カティアさまがおっしゃるバカってどんな人が来るんだろう…?)

ある日

カティア「…」イライライライラ

ヨシュア「…」

カティア「…」イライライライライライライライラ

ミレイユ「…」

ヨシュア「なあミレイユ…今日のカティアさま、どうされたんだ?貧乏ゆすり半端ないんだけど…」コソコソ
ミレイユ「うん…なんか今やってる研究の内容がうまく進んでないみたい…」ヒソヒソ

ヨシュア「こういう日は静かにしておいてあげたほうが良さそうだね…」

ミレイユ「そうだね。3日もすれば「おっほォーーー!素晴らしいアイデアが浮かんだわァ!!」で解決しちゃうから」

ヨシュア「それもそうだね」

カティア「…」イライライライライライライライライライライライラ

コンコン


クライヴ「失礼する」
ゼロキス「し、失礼しま~す…」

ヨシュア「! あ、あのっ!今日は…」アセアセ

クライヴ「わかっている。お金だろう?」

ヨシュア「へ?」

クライヴ「ここは大金さえ払えばどんな病や悩み事を解決してくれるとウワサで聞いた」

ミレイユ(アレ…この人たち…)

カティア「…」イライライライライライライライライライライライライライライライラ

ヨシュア「え?いや、そうじゃなくて…」

クライヴ「俺たちは今、ひっっっじょうに苦しい病を抱えているのだッ!」

ミレイユ(もしかして、前にカティアさまが言ってた…)

ヨシュア「えっと…そ、それは…?」

クライヴ「恋の病だッ!!彼女ができんッ!!!」ドンッ!
ゼロキス「イヤ…、あの…正確には僕は彼女が欲しいんじゃなくて…なんというか恋愛っていうか、そうというか…」ゴモゴモ
ヨシュア「……はい?」

ミレイユ(バカなのかな…?)

カティア「」プチン

カティア「おっっっっっほおおおオオオォォォォォーーー!!!!」

ヨシュア「」ビクッ!
ミレイユ「」ビクッ!
クライヴ「」ビクッ!
ゼロキス「」ビクッ!

カティア「まさかそんな私利私欲のために、この崇高なる天才の私のラボを訪れたってワケねェ~いい度胸だわァ~。まあ!、いいわ!今回は特別に!そのバァカげた恋の病ってヤツを!この天才の私が!無料で!バァカげた凡人のために!治してあげるわァ~~!!」ウットリ

ゼロキス「ほ、ほ、本当ですか!?」
クライヴ「タダでか!?それは有り難い!!」

ヨシュア「…カティアさまのあの目」
ミレイユ「…うん。新しい動物実験体、もといオモチャを見つけた目だね」

カティア「それじゃ、善は急げよォ~!この紙にちゃっちゃとサインして頂戴」

クライヴ「この紙は…?」

カティア「んもう!薬打つんだから診断書みたいなものよォ~!さあ! は!や!く!」

クライヴ「そ、そうか…そういうものか…」カキカキ

ミレイユ(絶対違う…後で何があっても責任を取らない同意書だ…)

ゼロキス「え、薬打つんだ…」

カティア「なによ、聞き分けの悪い患者には一生モテない薬打つわよ」

ヨシュア(正しくは聞き分けの悪い実験体ですね…)

ゼロキス「あ、す、すいません」カキカキ

カティア「ちゃ~~~んと書いたわねェ~!ちゃ~んと!!早速投薬するわァ~~~!!!」

カティア「まずは銀髪のバァカの方~♪竜を宿した少年の生き血を配合したモテまくる新薬よォ~!」

ヨシュア「え」
クライヴ「おお!なんかカッコイイなそれ!」

カティア「ヘタレバァカインキュバスには不死鳥を宿した少女の涙を配合しとくわァ~!」

ミレイユ「え」
ゼロキス「この人さっきからバァカバァカ言い過ぎじゃないかなあ…今日はもうダメかもしれない…」

カティア「じゃ、それぞれの薬をこの極・エリクシルメイカーにセットして…」

ミレイユ(カティアさまの餅がさらに進化してる…)

クライヴ「うんうん」
ゼロキス「うんうん」

カティア「ケツ出しなさい」

クライヴ「へ?」
ゼロキス「へ?」
ヨシュア「へ?」
ミレイユ「へ?」

カティア「へ?じゃなくて、座薬だから。コレ」

クライヴ「あ、ああ、そうなのか…少しビックリしただけさ…」

ゼロキス「あ、あのぉ~…」

カティア「なによ」

ゼロキス「コレ、今からキャンセルってのは…」

カティア「却下よ」

ゼロキス「ですよね~」

カティア「さ、2人ともその台に乗ってケツをこっちにだしなさい」

クライヴ「お、おう…」ヌギッ
ゼロキス「はい…」ヌギッ

カシャッ

クライヴ「お?」
ゼロキス「ん?」

カティア「ああ、動かないように手足固定しといたから」

クライヴ「」
ゼロキス「」

ヨシュア「ここから先は僕が話します」

ヨシュア「カティアさまはまず
     ①極・エリクシルメイカーは毎秒10発のカプセル型座薬を打てること
     ②投薬数は100発ということ
     ③薬の効果は3日間ということ
     を説明しました」

ヨシュア「その時点でお二方は怖じ恐れる顔をしていました」

ヨシュア「やっと気づいたのでしょう。自分たちが今いる状況に…」

ヨシュア「最初の犠牲者は騎士の方でした」

ヨシュア「2mほど騎士の方から離れた所でカティアさまは銃…もとい投薬器を構えました」

ヨシュア「騎士の方は「ま、待ってk」と言いかけましたが、カティアさまの耳には届かず、容赦なく引き金を引かれました」

ヨシュア「放たれた座薬は弾丸となり、彼のお尻の穴を襲います」

ヨシュア「正確に、ひとつ残らず…」

ヨシュア「とてもとても長く感じた10秒間でした」

ヨシュア「室内に響きわたる銃声、薄暗い部屋を照らす銃口からの火花、硝煙の匂い」

ヨシュア「彼の体は衝撃なのか痛みなのか、座薬がお尻に入るたびにビクン!ビクン!と跳ねていました」

ヨシュア「恍惚の顔
     絶望の顔
     「俺の秩序がああぁぁ!!!」と叫び、白目を剥いた顔
     さまざまな顔がありました」

ヨシュア「すべての弾を打ち終えたカティアさまは無言で、手際よく、次の座薬を投薬器にセットします」

ヨシュア「インキュバスの方は頭を抱え、「今日はもうダメだ今日はもうダメだ…」と呟いていたのを覚えてます」

ヨシュア「ミレイユも泣き出し始め、自室に戻る姿をチラッと確認したカティアさまは引き金に指をかけました」

ヨシュア「優しく引き金を引いたのとは裏腹に、銃口からの爆音」

ヨシュア「彼もまた体を跳ねらせ、「今日はもうd」と言いかけて気を失いました」

ヨシュア「動かなくなった体になおも打ち続ける姿は、死体撃ちそのものです」

ヨシュア「すべての投薬が完了したカティアさまは


    「おっっっっっっほおおおおオオオオォォォォォーーー!!!!」
     

     と首を真上に曲げ、高らかに叫びました。この上ない歓喜の声でした」

ヨシュア「その後の2人はカティアさまによって近くの暗い路地に捨てられたそうです」

ヨシュア「薬の効果?元々投薬されていたのは”起きた時、初めて見る相手を恋人とみなす薬”だったようです」

ヨシュア「効果は3日ほどで切れるそうですが、今頃あの2人は…」ゾクッ

ヨシュア「まあ、恋人が欲しかったそうなのでよしとしましょう!」ニッコリ

ヨシュア「あ、僕らの血とか涙は全部嘘っぱちでした。カティアさまの粋なジョークだったみたいです」

ヨシュア「…今でもカティアさまを見ると冷や汗とお尻の穴がキュッとなるのがが続いています…」

ヨシュア「”怒ったカティアさまは怖い”改めてその事実を確認させられた僕ら双子でした」

まだ読みたいなら続けるぞ

またある日

ヨシュア「ぬおお…重いい…あ、ミレイユだ」ズルズル
エドガルド「ケ…ハ…」

ミレイユ「あ、あとちょっと…」ズルズル
マイ「」

研究室にて

カティア「双子に別々のお使い頼んだけど…2人とも帰りが遅いわねェ…」

研究室入口前

ミレイユ「や~っと帰れた~…あ、お兄ちゃんも?」ハアハア

ヨシュア「ただいま、ミレイユ…ってその女の人は?」ハアハア

マイ「」

ミレイユ「お兄ちゃんこそ…その海賊風の人は…?」

エドガルド「ふ…風じゃねェ…」

ヨシュア「なんか帰りに道端で見つけて…倒れてて…」

ヨシュア「見過ごすことも出来なかったから、引きずってカティアさまに診てもらおうかと…」

ミレイユ「あー…私と同じだ…」

ミレイユ「この人もう死にそうだし…」

マイ「」

ヨシュア「拾ってきたこと、カティアさまに怒られちゃうかな…」

ミレイユ「怒るだろうけど、ちゃんと診てくれるよ。きっと」

ヨシュア「そうだね。カティアさまだからね」

ヨシュア「…怒られたら一緒に謝ろうか」

ミレイユ「…うん!♪」

ガチャ

ヨシュア「た、ただいまで~す…」

カティア「あら、お帰りなさい2人ともって…え、えェ~…」

カティア「お使いは確かに頼んだけど…実験動物までは頼んでないわよォ…?」

ヨシュア「ごめんなさい!!カティアさま!!」
ミレイユ「ごめんなさい!!カティアさま!!」

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カティア「ふ~ん…それでこの死にぞこない2人を連れて来たってワケ」

ヨシュア「はい…」
ミレイユ「はい…」

エドガルド「ま、まだ死んでねェぞ…」

カティア「黙りなさい」ゲシッ

エドガルド「ゴハァ!」

カティア「ハァ…呆れて「むっきィ―!」にもならないわ…」

ヨシュア「すみません…」

カティア「前にも言ったでしょ。ここは病院じゃないって」

ミレイユ「はい…」

カティア「そんなにポンポン患者が来ても困るの!研究も進まないし!!」

ヨシュア「はい…」

カティア「…まあ、今回は初犯ってことで許しましょ」

ミレイユ「あ、ありがとうございます!」

カティア「た だ し!今回の治療費は来月分のアンタたちのお小遣いから引かせてもらうわねェ?」

ヨシュア「うぐ…わ、わかりました!」

カティア「ちゃんと反省しなさいねェ♪」

マイ「」

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カティア「さ、とっとと死体たちの診察でもしちゃいましょ。このままでも邪魔だし」

カティア「ヨシュア!聴診器!」

ヨシュア「はいっ!」

エドガルド「だから死ンでねェって…」

カティア「ウルッサイわねェ…少し黙って頂戴。音が聞こえないでしょ」

カティア「…」

カティア「………?」

カティア「…」

カティア「???」

カティア「…心臓、動いてないケド」

エドガルド「あ、悪ィ、オレ死ンでるから心臓動かねェのを忘れてたわ。ケハハ!」

ヨシュア「」
ミレイユ「」

カティア「ミレイユ、すぐさまこのバァカを火葬させてあげて」

エドガルド「アア?ちょっとやそっとの炎じゃァ、オレにすれば海風より涼しいぜェ?」

カティア「あら、この子には不死鳥とその力が合成されてるケドォ?」

エドガルド「…なにィ?たとえ火ィ出す力があっても、そんなガキがオレにかなうはずがァ」

ミレイユ「試してみます?」ゴゴゴゴ

エドガルド「アア!?……!」ビクッ

エドガルド(い、今…オレ、どうした…?こんなガキ相手にビビっちまったってェのか!?)

エドガルド(……イヤ、勘違いじゃねェ。大海賊であるこのオレの身体が、逃げろって叫んでやがる…)

カティア「ガキ相手に冷や汗をかいてんじゃないわよ。わかったならおとなしくしてなさい」

エドガルド「……チッ」

カティア「んで?どうして自分が道端にブッ倒れることになったのか海賊サマは当然知っているでしょ?」

エドガルド「ケッ…ンなもん解ってらァ…生きてた頃に何度も見た光景…壊血病だァ」

カティア「ご名答。歯茎からの出血、皮下出血、この衰弱ぶり。ただの壊血病よ」

ヨシュア「か、壊血病…?」

カティア「野菜を食べないバカな船乗りがかかる、ビタミンC不足が原因の病気よ」

ミレイユ「え…なら病気を知ってた海賊さんは予防できたハズなのでは…?」

エドガルド「あン?予防どころか死んだ体に病気がかかるワケねェと思ったからなァ」

ヨシュア「た、確かに…」

ミレイユ「死体でも病気にかかるんだぁ…」

エドガルド「おう。二日酔いにだってなるぜェ」

ミレイユ「えー…」

エドガルド「調子に乗って毎日肉と酒しか口にしなかったのがこのザマよ」

エドガルド「ハッ!赤髪の小僧に野菜食えって言った本人が壊血病になるとはザマァないぜ」

カティア「あーはいはい。後悔はいいから。ウザイから。早く出てきなさい。ビタミンC剤のボトルあげるから」ポーイ

エドガルド「おお、ありがとよォ。そこのボウズも拾ってくれて助かったぜェ」

ヨシュア「そんな…ってその身体で外に出るんですか!?」

エドガルド「ケハハ!あとは自分でなンとかするってなァ!」

エドガルド「じゃァな!世話になったわァ!ケハハハハハッ!」

ヨシュア「え、え~…」

カティア「放っときなさい、どうせ不死身なんだから」

カティア「それにしてもアンタたち、生きる屍にあんまり反応なかったわねェ」

ヨシュア「ま、まあ、自分たちには竜やら不死鳥やら合成されてますので…」

ミレイユ「不死身の人間がいてもおかしくはないかな~って」

カティア「それもそうね。さ、次々ィ~」

マイ「」

需要あると信じてるぞ

ミレイユ「結構放置してましたけど…この方は大丈夫でしょうか…?」

ミレイユ「最初見つけた時より呼吸が浅くなってる気がします」

カティア「そうねえ…心臓もこのままだと心不全になりそうな勢いだわ」

ヨシュア「えっ!?じゃあ早くなんとかしないと!」

カティア「落ち着きなさい。たとえ心臓が止まってもこの天ッ才の手にかかれば3日後に治療しても復活するわァ~」

ヨシュア「マジですか…」

カティア「それにしても足がひどく浮腫んでるわねェ…ミレイユ、ちょっとこのお嬢ちゃんの足が浮くぐらいまで太ももを持って頂戴」

ミレイユ「は、はい!」グググ…

カティア「はーい、そこでストップ。ヨシュア、嬢ちゃんの膝を思いっきり一発殴りなさい」

ヨシュア「え?膝を殴ればいいんですか…?しかも思いっきり…」

カティア「そう。これも診察なんだから、はよしなさいな」

ヨシュア「よーし、わかりました!いきますよぉ!

ゴンッ

マイ「」

カティア「…やっぱりね」

ミレイユ「…これでなにかわかったんですか?」

カティア「見ててわからなかった?膝を殴っても足が動かなかったことに」

カティア「足を上げたまま自分の膝を叩いてみなさい。通常なら足が勝手に跳ねるはずよ」

ガンッ
ヨシュア「あ、ホントだ」ビクン
ミレイユ「面白ーい!」ビクン

カティア「深部腱反射ってヤツね」

ヨシュア「じゃ、じゃあこの反応がない着物の方は…」

カティア「足の末梢神経が機能してないことになるわねェ」

カティア「おそらくこの嬢ちゃんの病気は脚気でほぼ確定だわァ~」

ミレイユ「脚気…?」

カティア「ビタミンB1の欠乏によって心不全と末梢神経障害をきたす病気よ」

カティア「ここまで重症化した脚気は稀に見る存在ねェ~」

ヨシュア「治療法はあるんですか…?」

カティア「ンなモン、不足したビタミンB1を体に入れればすぐに治るわよ」

カティア「とりあえずビタミンB1と特製強心剤でも注射で適当に入れときましょ」

カティア「あとヨシュア、メモに書いたこれを買ってきて頂戴」

ヨシュア「お使いですか?わかりました!」

ヨシュア「それじゃあ、いってきまーす!」

カティア「いってらっしゃい、気をつけてね」

ミレイユ「いってらっしゃい!お兄ちゃん!」

カティア「さて、ミレイユは私と昼食の準備をして頂戴」

ミレイユ「はい!今日は何にしますか?」

カティア「そうねえ…カレーにして夜の分のも作っときましょうか」

ミレイユ「カレーですか!?やったあ♪ ね?ね?カティアさまぁ!辛口のカレーにしましょうよ!!」

カティア「えー…あなたの辛口はもはや料理とは呼べない域を超えるのよねェ…」

ミレイユ「ちょっとだけ!ちょっとだけでいいんです!!少し!!辛く!!」

カティア「はいはい、ヨシュアでも食べられるぐらいの辛さにまでにしとくから」

ミレイユ「えーお兄ちゃん、舌は子供だしなぁ…」

カティア「まあまあ、私も食べるんだしィ、それで許して頂戴」

ミレイユ「う~…今日は我慢しますからね!今日は!!」

カティア「はいはい、明日は何か辛いの別に作ってあげるから」

ミレイユ「本当ですか!?ありがとうございます♪」

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ヨシュア「ただいま帰りましたあ!!ってあれ、また着物の患者さん診てるんですか?」

カティア「あらおかえりヨシュア。ついに心臓止まっちゃたわァ」

カティア「まあ、お昼食べてからでも治療は遅くはないしィ、先に食べちゃいましょ」

ヨシュア「え、え~…」

カティア「メニューはカレーよ」

ヨシュア「やったあ!!」

ミレイユ「あ、お兄ちゃんおかえり~って何それ」

ヨシュア「コレ?なんかね、おひつって言うらしいよ」

ミレイユ「おひつ?」

ヨシュア「要するにご飯を入れる容器だってさ」

ミレイユ「へえ~!でも、なんでおひつ?」

ヨシュア「ああ、カティアさまから頼まれたのが炊き立ての麦飯だったんだ」

ヨシュア「買ったときにお店の人から「拾ったから」って麦飯をこのおひつに入れてくれたんだ」

カティア「へえ、おひつねェ。聞いたことはあるケド、見たことはなかったわ。珍しい物が落ちてたのねェ」

ミレイユ「カティアさま、なんで白米じゃなくて麦飯なんですか?」

カティア「たまに食べたくなるのよ麦飯。それにこの際、脚気の予防にも知っておいて欲しいのよ」

ヨシュア「麦飯と脚気ってなにか関係あるんですか…?」

カティア「んー…白米と麦飯とビタミンB1と脚気の関係ってとこかしら」

カティア「むかしむかしあるところに白米を主食とする島がありましたー」

カティア「おかず少なく、白米を大量に食べて生活をしていた人々は昔から脚気でバッタバッタと死んでいきましたー」

カティア「白米を麦飯にしたところ、脚気が治まり、その後脚気はビタミンB1不足が原因だとわかったの」

カティア「白米にはビタミンB1がほとんど含まれなかったケド、白米よりビタミンB1が多い麦が不足分を補えるらしいわァ」

カティア「そんなことより、お腹減っちゃったから早く食べましょ。ヨシュア、アナタを待ってたんだから」

ヨシュア「はいっ! んじゃあ、とりあえずこのおひつを机に置いといて…」トテトテ

マイ「」ムクッ

ミレイユ「あ、起きた」

ミレイユ「…でも、生気が感じられないですよ?」

カティア「そうねェ…ちょっと首筋失礼」

マイ「コメ…ホシイ…」

カティア「やっぱり脈ないわねェ…こーゆーワケワカンナイの一番イライラするわァ~~!」

ミレイユ「す、すみません…」

マイ「マイ、オヒツ…」スタスタ

ヨシュア「えっ?こ、これですか?ダメですよ!これは僕たちのお昼ごは」

マイ「ドケ」スッ…

ヨシュア「え?」

ヨシュア「」

ミレイユ「お兄ちゃん!?お兄ちゃん!!」

カティア「見事に土に埋まったわね」

マイ「」ガツガツ

カティア「こっちはこっちでおひつのご飯だけ食べてるし…」

マイ「メシ…ウマ…」

-------------------------------------------------------

カティア「ハイハイ、そろそろ起きなさいよ。完食したらイキナリ倒れるんじゃないわよ」

マイ「う、うーん…こ、ここは?」

ヨシュア「カティアさまの研究室です。道端で倒れてたのを妹が拾ったんですよ」

マイ「そ、そういえば家を出てからの記憶が…助けて下さりありがとうございます!」

ミレイユ「いえいえ、ご無事でなりよりです♪」

カティア「そ!れ!よ!りィ!」

カティア「アナタ、ここ最近の食事の内容。このカレンダーに書いて頂戴」

マイ「は、はい…?いいですけど…正確な量とかは忘れてしまいまして…」

カティア「あーもう、だいたいでいいのよ早くして!!」

マイ「は、はいぃ…!」

-------------------------------------------------------------

マイ「できました!」

カティア「ふんふん………」

ミレイユ「…朝白米5合 昼白米8合 夜白米10合」

ヨシュア「朝たくあんと白米7合 昼おにぎり3個 夜5合分のおかゆ」

マイ「その日は風邪気味で…」

カティア「むっっっきいいいいぃぃィィィ――――!!!!!!」

カティア「1ヵ月、ほぼ!米だけじゃないの!!!」

マイ「だってお米おいしいですから…ちゃんと梅干しとかたくあんとか食べてましたよお」

カティア「微々たるものだわッ!!よくこんなんで他の病気にならなかったわねェ…」

マイ「オーマイガッ」

カティア「焼き殺したろか」

カティア「とにかく、栄養の偏りによって脚気を含めたいろんな欠乏症で倒れたの」

カティア「これからはご飯に玄米か麦混ぜて、おかずもキチンとバランスよく食べること」

マイ「はあい…」

ミレイユ「カティアさまの薬のおかげでもう足も大丈夫そうですね!」

カティア「おっほォ―!!あったりまえよォ!効果の高い特製薬なんだから!!」

マイ「ありがとうございます…この御恩はまたいつかに…」

カティア「あーはいはい、テキトーに炊いたお米でももらえれば結構よ」

マイ「はい!ぜひともおいしいお米を!!それではお邪魔しました…」

ヨシュア「あの、これもしかしてアナタのおひつですか?」

マイ「これはこれは!はい、間違いなく私のおひつです!」

ヨシュア「食べる前にマイおひつと言ってましたので…」

マイ「ありがとうございます!たぶん家を出たときに持って、そのまま落としていたのでしょう…」

ミレイユ(いつも持ち運んでるのかな…?)

マイ「今日は本当にありがとうございました」

カティア「食事のこと、守るのよ」

マイ「肝に銘じておきます…それでは!」

ヨシュア「そう言って彼女は研究室を後にしました」

ミレイユ「今度美味しいお米食べられるの楽しみ!」

ヨシュア「そうだね!また会えるのも楽しみだよ」

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またある日

ヨシュア「カティアさまー!またお客様ですよー!!」

カティア「むっきィ―――!!研究が進まないじゃあないのォ!!」

ミレイユ「お客様は快くは思ってないようですが…」

カティア「はあぁ…しょうがないわねェ~」

ミレイユ「拒むことはしないようようです♪」

ミレイユ「次に研究室を訪ねるのは………アナタですか?♪」

カティア「ちゃんちゃん♪」





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感想書いてくれればまたなんか書くぞお

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