(^ω^ )「王を……かお」
lw´- _-ノv「何をしたいのか、何をして欲しいのか、連れだして欲しいのか、そこに居たいのか」
lw´- _-ノv「聞かないと分からないなら聞くしかないじゃない。そのためにはどうしたって時間が必要。どれくらいかは別にしてもね。なら、王には悪いけど来てもらいましょう」
(^ω^ )「……でも、そこまでする必要があるのかお。少し発想が突飛すぎるんじゃないかお」
lw´- _-ノv「十や二十の素人集団で兵士を相手に時間を稼げるかしら」
ニシカワは黙って俯いた。
lw´- _-ノv「王都の民を装って王が近づくのを待つ。護衛の不意を突いて一気に連れ去る。手間取れば院家の兵士にやられて終わり。余裕は無いわ、必要な時間すら無いかもしれないけど」
(^ω^ )「王のために、それが必要ならやるお。でも、できるのかお」
lw´- _-ノv「どうせ、最初から万に一つなんだから大差ないでしょう。まぁ、深く考えた案でないのは確か。他に良い方法が浮かんだらいつでも良いから教えて」
ニシカワが「きっと何も浮かばないお」と頭を掻いている。
言われたシューの無表情は、いつもよりいくらか冷たい。
lw´- _-ノv「……これは必要ないかもしれないけど、王が戻りたいと言ったらすぐに戻さないとだめ」
(^ω^ )「当然、そのつもりだお」
lw´- _-ノv「あなたが思っているよりも、ずっと速やかにって事よ」
不思議そうな顔をして黙るニシカワを、シューは黙って見つめる。
続きを話し出したのは「教えて欲しいお」とニシカワが言ってからだった。
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lw´- _-ノv「王を邪魔だと思っている連中の、ろくでもない考えに利用されないため」
lw´- _-ノv「一晩も経てば、王はきっと戻れなくなる。のこのこ戻ればきっと偽物だなんだって言われて殺されるわよ」
lw´- _-ノv「王はまだ小さいから当然子供はいない。王自体が子供なんだしね。家族は妹と母親だけ。王位を継げる男は相当離れた傍流になる」
lw´- _-ノv「それならば自分がとか、息子を婿にって騎士が大勢出るわ。むしろ、そうしたくて仕方がないでしょう」
(^ω^ )「……王が望めばすぐに返すお」
ニシカワの声は消える様に小さくなっていた。
(^ω^ )「でも、シューはどうしてそこまで分かるんだお」
lw´- _-ノv「分かるわけじゃない。結果はきっと違うだろうし」
(^ω^ )「じゃあ、どうしてさっき言ったようになると思うんだお」
lw´- _-ノv「私が王に忠誠を誓っていなくて、一位や二位の騎士で、野心に溢れた男だったら。きっとそう考えるもの」
前スレが1000まで行きましたが色々読みにくいスレになってしまったので、
「小説家になろう」に人物の名前や気がついた範囲で誤字などを直しつつ、最初から書き直したものを載せていこうと思います。
並行で進めていくつもりなので、行ったり来たりで良く分からなくなるかと思いますが、お付き合いくださるとうれしいです。
1話目を投稿しましたらリンクを貼ります。
lw´- _-ノv「調べるのは、次の式典がいつなのか」
ニシカワの顔を見てシューが続ける。
lw´- _-ノv「……騎士の位を改めるのは四年に一度。これは変わらない。だから必ず決まった月に開かられるけど、日は一位が好きにして良いわ。というより、全員が集まれる日を調整しないといけないって事ね」
lw´- _-ノv「だから、式典が何日に行われるかまでは分からない」
(^ω^ )「そうなのかお」
難しい顔をしていたニシカワの表情が少し和らぐ。
lw´- _-ノv「それに、特にその日取りは秘密。良からぬ事を考えているのは、どこにでもいるでしょうから」
(^ω^ )「それだと困るお。いつかが分からないと王に会えないお」
lw´- _-ノv「決めるのは、誰が王都に潜り込むか」
また、難しい顔に戻ったのを見てシューが一つ息を吐く。ニシカワの言葉が聞こえていない様に、無反応だった。
(^ω^ )「どういう事だお。式典の日はどうするんだお」
lw´- _-ノv「王都に入った誰かがそれを調べて、教えてくれれば良いわ」
(^ω^ )「そんな危ない事をしないでも、王都から出てきた商人にでも聞けば良いお
シューが頷く。
lw´- _-ノv「良いわ。自分の頭で考えるのはすごく大事。それだけできっと命を落とす可能性はグッと減る」
ニシカワがそれを聞いて驚いた表情を浮かべる。その後、これまでシューに褒められた事があっただろうか、と出会ってからを思い出している様な思案顔になる。
lw´- _-ノv「でも、式典の日を商人が知るのは悪ければ当日、良ければ数日前。近隣の街から兵を連れ、大急ぎで向かっても間に合わない位の時期ね」
lw´- _-ノv「それから、王都の周りには見渡す限りの平野。身を隠す場所も無いから天幕なんて張ろうものならすぐに兵士に気付かれるわ」
lw´- _-ノv「何より、王を外へ連れだすのであれば絶対に必要になるアオ達が目立ちすぎる。当然、王都へ向かう間は全て野営。付いてくる彼らの体力も考えれば何日もっていうのはあまり得策じゃないでしょう」
(^ω^ )「本当に、王都の近くには村が無いのかお」
lw´- _-ノv「ないわね。馬を連れていけるような村は無いっていうのが正しいけど」
(^ω^ )「そうかお」
lw´- _-ノv「それを気にしなくて良いなら、半日位の距離に町がいくつかあるわ。あの地図がどれくらい正確なのか分からないけれど」
(^ω^ )「アオ達の脚無しで、王を連れだすのは多分いや、絶対無理かお」
lw´- _-ノv「でしょうね。王を抱えて、馬に乗った騎士から逃げられるとは思えないし。数は圧倒的に相手が上、隠れたところで大勢に捜されたらきっと無理。門の警備もより厳しくなるでしょうし」
(^ω^ )「……そうなると、馬連れでどこかの村に泊めてもらうのも危険かお」
lw´- _-ノv「騎士が王より下賜された馬を誰かに運ばせるなんて事はあり得ない。それだけで不敬だからと騎士の職は罷免されるし、最悪は首が飛ぶ事になるんだから」
(^ω^ )「なら、前みたいに騎士の振りをすれば」
lw´- _-ノv「前に失敗したのに? 前はまだ良かった。今度は内から外じゃなく、外から内。逃げ場はないわよ」
(^ω^ )「……おっおっ」
lw´- _-ノv「それに、前にどうして失敗したのかも分かっていない。何か決定的におかしな点があったのかもしれない。それが都市や村の間で共有されていたとしたら、間違いなく見破られる」
lw´- _-ノv「そうなれば、不意打ちで全滅も大いにあり得るわ。それでも試す?」
(^ω^ )「……試せないお」
lw´- _-ノv「あなたは誰かに危険な役目をさせたくないって考えているみたいだけど、今のところ潜入が一番安全だと思う」
lw´- _-ノv「早い方が良いけど、まだ時間はあるんだから良く考えましょう。きっと参加すれば全滅する策だけど、出来るだけ死なない方法を」
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