勇者「魔王との戦いをネット配信してたら火事起こした」 (32)

勇者「それじゃ、いよいよ魔王の部屋に乗り込みまーす」

勇者「視聴者の皆さん、応援よろしくお願いしまーす」

<ガンバレー

勇者「みんな、いくぞっ!」

戦士「おう!」

女魔法使い「準備オッケーよ!」

女僧侶「必ず魔王を倒しましょう!」

<ミンナカッコイー

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1445762461

魔王「ついに来たか、勇者ども!」

勇者「あれが魔王でーす。いわゆるラスボスになりまーす」

<マオーコエー

<チョーツヨソー

勇者「魔王、この美しい世界をお前などに渡すものか!」チャキッ

<カッケー

魔王「ふん、青二才め。かかってくるがよい!」

勇者「雷撃斬!」ブンッ

バリバリッ!

戦士「風鋭斬!」ブンッ

ビュアオッ!

魔王「ふっ……ぬるいぬるい」

<キイテネー

<コウカハイマヒトツノヨーダ

女魔法使い「“激怒せし大地よ、敵を貫け”!」

ズゴゴォンッ!

魔王「この程度か、勇者ども! そろそろ、こちらからいくぞ!」

魔王「“闇の波動よ、脆弱なる者どもに安らかな死を与えよ”!」

ズアァァァァァ……!

<ヤベー

勇者「ぐっ……!」ガクッ

女僧侶「皆さん、回復します!」パァァァァァ…

<アブネー

<ソウリョグッジョブ

<ドウヨ?

勇者「ちょっと……キツイです。挑むの早すぎたかも」

<ガンバレー

勇者「ありがとうございます。頑張ります」

勇者「だああああっ! 火炎斬!」ブンッ

ボワァッ!

魔王「おっと!」サッ

魔王「その胸を切り裂いてやる!」シャッ

ザシュッ!

<イタソー

<デモサッキ、マオーヨケタヨネ?

<モシカシテ…

勇者「!」ハッ

勇者「そうか! 魔王の弱点は“炎”なんだ!」

戦士「なるほどな! いかにも炎に強そうな外見してたから気づかなかったぜ!」

女魔法使い「そうと決まれば、炎による攻撃を中心にして攻めていくわよ!」

勇者&戦士「ダブル火炎斬!!!」ブンッ

ボワワワァッ!

女魔法使い「“悪しき者よ、煉獄の炎でその身を焼かれよ”!」

グワォッ!

魔王「ぐ、ぬ……!」

<イイゾイイゾー

勇者「教えてくれた人、ありがとうございます!」

<イエイエ

勇者「このままガンガン攻めるぞ!」

ザシュッ! ボワァッ! キィンッ! ゴォォッ! ズオッ!

魔王「ぬうう……! この程度でワシがやられるものかぁっ!」

<マオーシブテー

<オシテルオシテル



メラメラ……

<アレ?

勇者「はああっ! 火炎烈斬!」ブンッ

ズバシュッ!

<ウシロー

魔王「暗黒弾!」ボッ

ズドンッ!

<ウシロウシロー

勇者「ん?」

<カジー

勇者「あ、ホントだ。部屋の一部が燃えちゃってますね」



メラメラメラ……

メラメラメラ……



勇者「みんな、少し戦闘を中断しよう。あそこが燃えてる」

戦士「お、ホントだ」

女魔法使い「なぁんだ、ちっさい炎じゃない。あんなのすぐ消せるわよ」

女僧侶「そうですね、ボヤにすらなってませんよ」

魔王「あの程度の炎、どうってことあるまい」

<ハヤクケシテー

勇者「分かりましたよ。それじゃ消しまーす」

勇者「火って、上からなにか被せれば、酸素がなくなって消えるっていうし」

勇者「とりあえず、この余り物の木の盾でも乗せておくか」ポイッ

勇者「お、消えた」

<ナゼキノタテ

<ミズマホーツカエ

戦士「念のため、俺のも被せとこう」ポイッ

魔王「あっけない……あっさりと鎮火してしまったな」



メラメラメラメラメラ……!



勇者「!?」

勇者「まずいな。木の盾に火が移って、炎が大きくなっちゃった」

女魔法使い「だけど、まだまだ小さいわよ。この程度なら、魔法ですぐ消せるわ」

<ミズマホーミズマホー

<ミズマホウヲツカウンダ

女魔法使い「“突風よ、吹き飛ばせ”!」

魔王「“魔界の風よ、吹き荒れろ”!」

ビュアオッ!!!



ゴォワァァァァァ……!



<コレヤバクネ?

<ヒガヒロガッタ

<ナゼカゼマホーツカタシ

ゴォワァァァァァ……!



魔王「これ、まずいぞ」

勇者「どうしよう?」

魔王「あっちの部屋に水瓶があるから、そこから水を汲んでこよう」

勇者「そうだな」

<ミズマホーミズマホー

<ミズノマモノトカイナイノ?

勇者「みんな、水を汲んだな?」

勇者「えいっ!」バシャッ

戦士「てやっ!」バシャッ

女魔法使い「よっと」パシャッ

女僧侶「水です!」バシャッ

魔王「むんっ!」バシャッ

<ヤケイシニミズジャン

<ミズマホーミズマホー



ゴォワァァァァァ……! メラメラメラ……!

ゴォワァァァァァ……! メラメラメラ……! モクモクモク……



勇者「げほっ、げほっ、消えないな」

<ケムリスゴイ

<ナニモミエナイ

<ドウナッテルノ?

<ミズマホー



ゴォワァァァァァ……! メラメラメラ……! モクモクモク……

ゴォワァァァァァ……! メラメラメラ……! モクモクモク……



ガラガラガラ……!

??「あっちの壁が崩れ……」

??「……出口……なくなっ……」




ゴォワァァァァァ……! メラメラメラ……! モクモクモク……

ゴォワァァァァァ……! メラメラメラ……! モクモクモク……










――動画はここで途絶えた。

後日、全焼した魔王城を人間と魔物の合同チームで捜索したところ、

かろうじて勇者らと魔王の生存が確認された。

さすがの生命力である。

この合同捜索がきっかけで、人と魔族は和解への道を歩み出すことになる。



しかし、一連の動画は人間界と魔界を含めた全世界に発信されてしまったため、

勇者たちはとんだ恥を晒すことになってしまった。



なお、すでにこの事件が遠い過去の話になった現在においても、火遊びをする子供には、

「勇者さんみたいになっちゃうわよ!」と叱るのがお決まりとなっている。







― END ―

この物語はフィクションです
実在の人物や事件とは一切関係ありません

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom