【艦これ】艦これ夏の陣 ~サマーウォーズ~ (117)

タイトル通りです
サマーウォーズのストーリーに艦娘を当てはめてみたパロディSSです
サマーウォーズを見たことがある人はすんなり読めるかもしれませんが見たことない人は良く分からない点があるかもですが、おつきあいください



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1445004971

~大本営 その一室~


健二「あーあ、もう少しだったのにな...」

佐久間「まだ言ってんのかよ?」

健二「だって、せっかく少佐に昇格して初めての新規提督着任試験だったのにさ...」

佐久間「なあもういいだろ?それよりさ、夏だし楽しまなきゃ損だって!」

佐久間「夏と言えばスイカと花火と女だろ?」

健二「なんだよそれ...」

健二「スイカと花火で十分だよ…」

佐久間「うっすい人生だな、おい」

健二「薄くたって軽くったっていいよ…」

バンッ!!


健二&佐久間「うわっ!」

赤城「あの!バイトしませんか!?」

佐久間「今...業務中ですけど...」

赤城「業務...?一体なんの?」

佐久間「大本営のサーバの保守点検ですよ」

赤城「ええ!?大本営の!すごいですね!」

佐久間「いえ、末端の末端の末端だから簡単ですよ」

赤城「そうですか…ほかにどなたかいらっしゃいませんかね…」

健二「あのぉ...僕でよろしければ...」

赤城「本当ですか!?」

佐久間「おい!こっちの仕事どーすんだよ!?」

健二「すみません...やっぱり無理です...」

赤城「そうですか...バイトと言ってますけど、私の所属する鎮守府で数日間私とご飯食べたりご飯食べたりご飯食べたりしてくれるだけでいいんですけど...」

佐久間「はい!俺やります!!」

健二「ええっ!?じゃあ僕も、はい!」

赤城「でも...二人じゃ多いですね...」

健二&佐久間「...え?」

赤城「募集人員1名なので」にっこり

~移動当日~


赤城「こちらです、ここ!ここです!」

健二「遅れてすみません!」

赤城「いえ、私も今来たところですので」

赤城「佐久間さんではこうはいきませんね」

健二「任せてください、なんでもやりますよ!」

赤城「では、とりあえずこれを…」どっさり...

健二「これ…は…?」

赤城「ええぇっと…お、お土産です…」

健二「はぁ…」

~移動中~


赤城「そういえば、新規提督着任試験は残念でしたね…」もぐもぐ

健二「ああ…はい…」

赤城「佐久間さんからいろいろお聞きしています」もぐもぐ

赤城「数学がお得意だとか」もぐもぐ

健二「ええっと…まぁ…」

赤城「もしよろしければ、なにかやっていただけませんか?」もぐもぐ

健二「そうですね…赤城さん、誕生日は?」

赤城「1920年、大正9年の12月6日です」

健二「水曜日です!」

健二「1920年の12月6日は水曜日でした」

赤城「もしかして…全部覚えてらっしゃるのですか…?」

健二「いえ、モジュロ演算と言うのを使って…当たってました!?」

赤城「えぇーっと…すみません、何曜日か知りません…」もぐもぐ

赤城「お弁当おいひいでひゅね」もぐもぐ

健二「ははっ…もう何個目ですか…」

健二「って、これってお土産なんじゃ…」

~到着~


健二「大きな鎮守府ですね!」

赤城「ええ、とりあえず現在提督代行である長門さんにご挨拶を…」

赤城「それと…」

健二「?」

赤城「私が何を話しても調子を合わせていただきたいのです」

健二「調子を…合わせる…?」

赤城「長門さん」

長門「赤城か、今帰ったのか?」

赤城「ええ、通信では体調が悪化して寝込まれているとお聞きしたのですが…」

長門「全く大淀め…心配はいらないと言ったのだが…」

長門「大丈夫だ、少し仕事を詰め過ぎただけだ、問題ない…む?」

赤城「約束を覚えてらっしゃいますか?」

長門「この人が…?」

赤城「小磯健二君です」

健二「どうも…」

赤城「私が探して来たこの鎮守府に新規着任することとなった提督です」

健二「え!?」

長門「この人がか?」

赤城「ええ、新規で着任してもらうことになりました」

長門「そうか…」

赤城「ちゃんと連れて参りましたよ」

健二「あの…これは…一体…どういう…」

長門「小磯提督よ」

健二「…ひゃい!?」

長門「この鎮守府にはわがままで世間知らずな者もいるが、ちゃんと守り通す自信はあるのか?」

健二「あっ、そのっ、えと…」

長門「覚悟はあるのかと聞いている」

健二「えっと、まあ…はい…」

長門「その命に代えてもか?」

健二「えっ…」

健二「は、はい…」

長門「…」

健二「…」

長門「ふむ…よかった」

長門「ああ、そうだそうだ…これを」

赤城「ええっと…おにぎりではなかったのですか…」

長門「ここは素直にアサガオ柄の浴衣を喜ぶところだ」

赤城「もちろん浴衣も嬉しいのですが…」

長門「小磯提督よ」

健二「ひゃい!?」

長門「どうぞよろしく頼むぞ」

健二「い、いえ!こ、こちらこそよろしくおねがいします…!!」

~鎮守府裏~


赤城「ごめんなさい」

健二「無理です」

赤城「改めてバイトの内容のご説明を…」

健二「無理無理無理無理、ぜっっったい無理!」

健二「大体僕、最近少佐に昇格したばかりで提督業とかの知識も…」

赤城「がっかりさせたくなかったのです…!」ガシッ

健二「…わぁ!?」///

赤城「前任の提督が行方不明になられて、長門さんが仕事を詰めすぎて体調を崩され…」

赤城「駆逐艦の子達には泣き出す子もいて…」

赤城「だから、私が新しい提督を連れてくるからって言い出して…」

赤城「わかっていただきませんか…?」

健二「わ、分かります…赤城さんの、気持ち…」

赤城「ほんと!?ありがとうございます!」

赤城「それではこれからは、赤城ちゃんとか呼んでもらっても構いませんよ」

健二「...え?」

赤城「設定があるのです」

健二「せ、設定…?」

赤城「ええ、大本営海軍学校出身で山本五十六提督の御子孫で、アメリカ留学から帰ってきたばかりとなっています」

健二「大本営の海軍学校出身で山本提督の子孫でアメリカ留学…って、僕と真反対じゃないですか!?」

赤城「覚えましたか?」

健二「やっぱ無理!無理無理無理…」

赤城「何でもすると仰いましたよね…?」

健二「ぬぐっ…」

赤城「数日間でよいので!後は、大本営から急遽戻ってくるように連絡があったことにしますので」

健二「ああぁ…はあ…」

~夕食~


赤城「それでは紹介しますね」

赤城「それではまず、駆逐艦睦月型の長女の睦月さんに次女の如月さん、三女の弥生さんに四女の卯月さん…(以下省略)」

赤城「次に吹雪型の長女の吹雪さんに次女の白雪さんと続き、三女の深雪さんに…(以下省略)」

赤城「そして綾波型の長女の綾波さんに次女の敷波さん、三女の朧さんに…(以下省略)」

健二「ちょっ…」

赤城「それでこちらが暁型の長女の暁さん、次女の響さんに…(以下省略)」

健二「ちょっ、まっ…」

赤城「さらには初春型の初春さんに子日さん、そして…(以下省略)」

健二「…」

赤城「ここから…ぺらぺらぺらぺらぺらぺら…(以下省略)」

健二「もう…勝手にしてください…」

赤城「そして最後に正規空母の加賀さんとなります」

加賀「…」ムスッ

赤城「どうです?覚えられました?」

健二「無理ですね」

陸奥「まぁまぁまぁまぁ、とりあえず…」

一同「かんぱぁぁぁーい!!」

一同「そしてよろしくぅー!!」

健二「よろしく…お願いします…」

天龍「んまぁー、それにしてもよく長門さんが許したもんだよなあー」

天龍「なんたって大本営の海軍学校出身で…」

飛龍「多聞丸の御子孫で…」

金剛「英国帰りの帰国子女デース!」

比叡「違いますお姉さま、アメリカ留学です」

電「すごい提督さんなのです」

暁「と、当然よ!暁がいる鎮守府なんだから!」

健二「うぐっ…」

川内「ところで提督っ!夜戦(意味深)の方は!?」

健二「へえ?」

川内「いや、だから夜戦…」

神通「姉さん…」

川内「えー、なに?まだ(夜戦)やってないの?」

川内「少佐なのにまだ(夜戦)やってないわけ!?」

健二「…」///

川内「やめてください姉さん…」

利根「足柄も赤城を見習うのじゃ!」

足柄「うるさいわね!あんたに関係ないでしょ!!」(泣)

羽黒「姉さん…」

加賀「私は絶対に認めません」

加賀「赤城さんも赤城さんです、この私になんの断りもなく…」

瑞鶴「はっwwなんでカッチカチ一航戦のあんたの許可がいるのよ」

翔鶴「やめなさい瑞鶴、こうやってみなさんで楽しく食事できるのも随伴艦のみなさんのおかげなのですから」

加賀「随伴...?」

加賀「ちょっと表に出なさい、そこの白いのと七面鳥」カチン

端鶴「七面鳥ですって!?冗談じゃないわ!」

陸奥「もう…二人とも落ち着いて」

加賀「そもそも長門さんが認められたと言うのは本当なのですか?」

長門「ああもちろんだ、小磯提督はうちの立派な提督だ」

長門「私の目に狂いはない」

長門「我が鎮守府に軟弱でひ弱な男などいらない、そうでなければ本土も国民も私たち艦娘も守れぬものか!」

利根「そうなのじゃ!」

利根「わしらの所属するこの鎮守府は第一線で活躍する主軸の鎮守府!」

天龍「まぁーった始まった…」

利根「時は昭和16年真珠湾沖で航空戦力を用いた大空襲!」

天龍「よっ!真珠湾攻撃作戦!」

利根「その通りなのじゃ!」

一同「うおー!!!」ぱちぱちぱちぱち

利根「完全に油断した敵軍の戦艦や重巡を次々と大破や轟沈に追い込むとぉぉぉぉ…」

~鎮守府 廊下~


佐久間「ったく、羨ましい奴だな...」

佐久間「あんな美人で強い空母の赤城さんのいる鎮守府に着任なんて...」

健二「着任じゃないよ、バイトだよ」

佐久間「まっ、どーせひとつ屋根の下なら隣の布団に寝かせてもらえよ!」

健二「な、なにを!?そそそ、そんなことあるわけないだろおおお!?」

佐久間「ま、せいぜい楽しめや」プツ...プープープー...

健二「切れた...って、あれ...」

健二「ここどこだろ...ん?」

健二「あのおー...」

夕張「…なにか御用ですか?」

健二「いや…なんか迷っちゃって…」

夕張「トイレなら右に行って左」

健二「あ、どうも...」

夕張「...」

健二「君は、みんなのところへは行かないの...?」

夕張「...」

500「でっちー!ろーちゃん、いい匂いになったよー!」

赤城「こら、ろーさんタオル巻いただけでまだ拭いてませ...」

赤城「キャぁぁぁぁ!!」

健二「うぉぉぉぁぁぁあああ!すすす、すみません!」///

赤城「お、お風呂...先に済ませちゃってください」

健二「えと、いや、僕、今日は、その、お風呂、遠慮して、その...」

健二「赤城さんが入ったお風呂...」スン...

健二「いい匂い...ん?」

ポコポコポコ...

バシャー!!

401&19「同時同時!!」キャッキャッキャッ

健二「どぅわぁぁぁ!!」

~数分後 休憩室~


健二「なんでお風呂で水着着てるんだ...」

健二「...?」

天龍「なにしに来た...?」

侘助「なにしにも何も、ここは俺の鎮守府だ」

曙「どこがあんたの鎮守府よ、このクソ提督!」

侘助「シシシッ、相変わらず変わらないな曙は」

利根「変わらんのはお前の方じゃ、いきなり帰ってきたと思ったらなんじゃその態度は」

侘助「どうして全員集合して、宴会してんだ?」

電「新しい提督さんが着任したのです...」

侘助「へえ...誰が...?」

長門「提督...」

侘助「よお長門、まだ生きてたか」

長門「ふっ...ビックセブンの力侮るなよ」

長門「提督こそ、どこぞでのたれ死んでるかと思ったぞ」

侘助「へっ、その調子じゃクロスロード作戦二日後までくたばらねえな」

長門「提督よ、ご飯...食べたのか?」

侘助「へっ、飯なんざいらねえよ」

侘助「ったく、やっぱろくでもねえはこの鎮守府は...」

侘助「とにっかく蒸し暑いし、道路は狭いし艦娘はやたら多いしさ...」ゴクッゴクッゴクッ...

侘助「...っあー、ビールだけはウメェわ...」

赤城「ていと...く...?侘助提督っ!?」

健二「えっ...?」

侘助「赤城?赤城か、しばらく見ねぇ間にまた練度を...」

赤城「いつおかえりになられたのですか!?」ギュッ

侘助「うぉっ...おい...!」

加賀「赤城さん離れてください、江草隊が向かいますので」

蒼龍「ちょっ、加賀さん格納庫をまさぐるのをやめてくだ...」

赤城「いいではありせんかー」

健二「なんだ...これ...」

~鎮守府 台所~


鳳翔「もう...10年ですね...」

龍驤「せやなー...」

隼鷹「ヒャッハー」

龍驤「お前、少し黙っときーや」

照月「あのお...侘助さんって...」

鳳翔「照月さんは初めてでしたね...」

龍驤「小磯提督の前任の提督や」

龍驤「前々任のじいさん提督の妾の子やで」

照月「ええぇー...」///

鳳翔「昔はよくある話だったのですよ」

龍驤「とにかくあいつは長門さんが一生懸命備蓄した資材を持ち逃げした勝手な奴ちゅーわけや」

鳳翔「前々任の提督が勇退され、侘助提督が着任されてはや10年になります...」

~同じ頃 休憩室~


赤城「提督は今どちらにいらっしゃるんですか?」ペシッ...

侘助「シシッ...内緒だ」ペシッ...

赤城「本土にいらっしゃるのですか?」ペシッ...

侘助「勝ったら教えてやる」

赤城「本当ですか!?」

赤城「佐世保でも呉でも横須賀でも舞鶴でもいいですよ」

赤城「皿うどんにちゃんぽん、お好み焼きにラーメン、八つ橋に中華...」じゅるる...

健二「赤城さん...よだれが...」

侘助「お前は相変わらずだな...」

赤城「よしっ!負けませんよ、それ!」ペシッ

赤城「やりました!三光です!」

侘助「あがっとくか?」

赤城「いえ、まだまだ!こいこい追撃です!」

侘助「あそ...じゃあ、俺...」ペシッ...

赤城「あ、残念ですね!」

侘助「カス三文」ニヤリ

赤城「そ、そんな!?こいこい追撃は!?」

侘助「しません、慢心してはダメ」

赤城「むぅ...」

侘助「勝ち逃げは俺の心情...はい、タッチ」

健二「あ、いえ、僕はまだルールが...」

赤城「提督待ってください」

健二「えぇー...」

~深夜 提督の寝室~


健二「僕…なにやってんだろ…」

大淀「提督」

健二「うわっ…!?」

大淀「驚かして申し訳ありません」

大淀「それに、夜分遅くお休みのところ大変申し訳ないのですが…」

健二「どうか…されましたか…?」

大淀「はい…鎮守府近海に謎の深海棲艦だと思われる艦が確認されました」

健二「ええっ!?それって…」

大淀「艦種は不明ですが、ただふらついているだけというか…」

大淀「攻撃の意思は無いかと思われます」

健二「そうですか…」

健二「特に...攻撃の意思も無いようなので、もし攻撃行動を取るようならすぐに連絡をお願いできますか?」

大淀「的確な指示ですね、了解です」

大淀「この時間、軽巡川内がいつでも出撃できます」

健二「わかりました、引き続き監視をお願いします」

大淀「了解しました、それでは失礼します」

健二「はあ...僕、何やってんだろ...」


ピロリン~ピロリン~


健二「メール…?」


814381625757888867669
235779923577997614666
120182967212423625362
561842935706935245733
897830597123563958705...


健二「これって…文字化け?…いや」スッ…


カリカリカリカリカリ…

サラサラサラサラサラ…


健二「…あっ、解けた!」

健二「はあ…」

ピロリン~ピロリン~

3…2…1…バンッ!

健二「うわっ…なんなんだよ…」

~翌朝~


健二「…zzz」

健二「…んっ」

暁「…っと」

健二「…んんっ」

暁「ちょっと!起きなさいよ!」

健二「うわっ!」

響「早く、こっちに」

健二「なになになになになになになに!?」

暁「ほら、私の言ったとおりでしょ?」

響「まあ、確かに似ているけど…まだ決まったわけじゃ…」

健二「これは…僕だっ!?」

TV「驚くべきことにこの青年、大本営のシステム内部に入り込み、一夜にして大本営ならび各地鎮守府を大混乱に陥れました」

TV「復旧には時間がかかるようで、復旧の目途は立っていません」

TV「愉快犯だね、これは…私も朝から鎮守府の資源倉庫が使えなくて困ってますよ…」

響「愉快犯って?」

暁「そ、それは…愉快なんじゃないのかしら?」

響「ハラショー」

暁「ふわああ…早起きしちゃったしもう一回寝ようかしら…」

響「ハラショー」

健二「これは…僕じゃない…僕じゃ…」

健二「あっ!」

健二「ええぇーっと…どこだっけ…」

夕張「提督!あれって提督が!?」

健二「いや僕じゃない!ってそれより大淀さんは!?」

夕張「昨夜は夜勤だったので、今は私が…」

健二「と、とりあえず僕じゃないんだ!」

夕張「それも大切ですが、鎮守府正面海域付近に深海棲艦が!」

健二「ええ!?」

夕張「早朝ですので、とりあえず私が偵察に…」

健二「出撃を…」

夕張「だめです」

健二「えっ?」

夕張「もっと取引先に言うみたいに言ってください」

健二「…」

健二「申し訳ないのですが、出撃をして偵察に行っていただけませんか…」

夕張「了解です」


ピロピロピロピロ~!!


健二「うわぁぁぁ!!」

夕張「落ち着いてください!」

佐久間「おい、まさかお前の仕業じゃないよな…?」

健二「違う!」

佐久間「だよな…動機も度胸もないよな…」

健二「わかってるんだったら、なんとかしてよ」

佐久間「無理、パスワードが書き換えられてて管理塔に入れない」

健二「大本営の管理は安全じゃなかったの!?」

佐久間「昨日、変なメールが日本中にばらまかれた…」

健二「変な…メール…?」

佐久間「大本営のセキュリティーは2056桁の暗号で守られてて、そう簡単に解ける暗号じゃないんだ…」

佐久間「それを誰かが一晩で解いちまった…」

健二「2056桁…最初の数字は…?」

佐久間「…8」

健二「…それ、僕です…僕がやりました…」

佐久間「なんだって…!?」

健二「何かの問題だと思ってつい…」

佐久間「解いたってかこの馬鹿っ!!」

健二「すいません…」

夕張「すっごい…」

佐久間「こっちも何とかしてみるから…じゃあ…」プツッ…プープープー…

健二「…とりあえず…偵察に…」

夕張「了解です、提督は通信室に…」

健二「あ、はい…通信室に向かう途中に誰かいたら支援を送ります…」

~出撃 鎮守府正面海域~


夕張「敵艦見ゆ!」

健二「艦種は!?」

夕張「未確認艦です!」

健二「未確認…艦…」

夕張「攻撃態勢に入りました、こちらも砲撃を!」

健二「無理をしないでください!こちらからの支援が間もなく到着するはずです…!」

夕張「大丈夫、いけます!」

夕張「敵艦大破炎上中!」

暁「あ、夕張さんみーっつけ!暁が来たからにはもう安心よ!」

響「ハラショー」

夕張「うわっ、ちょ、やだ、まっ…えっ…!?」

健二「ど、どうされました…!?」

暁「形が…」

響「変わった…」

健二「そんなっ!?だ、大至急撤退してください!!」

夕張「あれは…っ、46㎝砲っ!?うそでしょ!?」

暁「夕張さん!?前前まえぇぇぇぇぇ!!!」

夕張「えっ…きゃー!!」

健二「き、近況報告を!!」

響「暁と夕張さんが衝突、お互い中破…」

健二「そんなっ!敵艦は!?」

響「…っ!?いな…い…?」

健二「え…?」

夕張「電探にもソナーにも…敵艦は…」

暁「夕張さん…許さないんだからぁぁぁ!!」

健二「夕張さんも暁さんも帰還したら至急入渠で、高速修復材を準備しときます!」

~入渠後~


佐久間「大体真犯人わかってきたぞ!」

健二「人間じゃない!?人間じゃないってどういうこと…!?」

佐久間「試作艦だよ、試作艦!しかもAI搭載の、人口知能艦!」

佐久間「呉海軍工廠から開発中の実験試作艦が脱走したらしい」

健二「脱走…?」

佐久間「通称…」

健二「ゴクリ…」

佐久間「試作110型試作艦…」

健二「ひとひと…まる型…」

夕張「…」

ドタドタドタドタドタドタ…

大淀「いました!」

一同「いたぁぁぁぁぁぁっ!!」

健二「うわぁぁぁぁぁぁ!?」

赤城「えへへへへ…すみません、ばれちゃいました…」

~休憩室~


陸奥「どうしてこんな嘘をついたの?嘘までついて、長門が喜ぶと思ったの…?」

健二&赤城「…」

利根「プロフィール聞いた時から怪しいとはおもーとったんじゃが…」

足柄「んまあ、大本営海軍学校卒で、元提督の子孫でアメリカ帰りならうちにもいるけどね…」

赤城「…っ」

利根「うむ?待てよ…そういえば…」

足柄「赤城さんの初恋って…」

陸奥「確か、最近でこそ加賀と仲良しだけど…」

利根「加賀よりあやつにべったりじゃったの…」

足柄「そーそー!高レベルになってもわざと被弾して露出なんか増やしちゃって…」

赤城「そ、それは!関係ないです…というか…」

赤城「いやぁぁぁ…もうやめてくださぁぁぁい…全部忘れてくだひゃい…」

利根「なるほど、そういうわけじゃったか」

加賀「そんなことどうでもよいのですが、問題はこの提督なんじゃないのですか?」ギロッ

足柄「そ、そうですね…」ビクビク…

加賀「私が責任を持って大本営にお返しします」

長門「報告にあったこと…本当に提督なのか?」

健二「僕は無実です…」

加賀「言い訳なんて聞きたくありません…って、ちょっと」

健二「あのっ!こんなことになってあれですけど、ここに来れて楽しかったです」

加賀「あなた、なにを言っているの?」

長門「加賀、ちょっと待て」

加賀「…」

健二「僕は両親や友人と長い間会えていませんし、本土では大抵大本営に缶詰状態です…」

健二「大勢でご飯食べたり、花札やったり…」

健二「こんなに賑やかなのは初めてって言うか…嬉しくて…」

健二「とにかく、お世話になりました…みなさんもお世話になりました」

一同「お、おうー…」


加賀「港へ行きましょう」

健二「あ…」

健二「赤城さん…赤城さーん…ぐはっ」

加賀「無駄口はたたかないで」

赤城「…提督」

~そのころ…~

大淀「え?帰ってこれない?」

白露「はい…GPSが使えなくて、安全な経路が選択できなくて…」

白露「それに出撃を待つほかの鎮守府の艦娘たちでごった返しててとても…」

大淀「それなら仕方がありませんね…」

明石「ええ?引き返した?舞鶴にですか?」

朝潮「はい…出向して中ほど位に到達する直前に全員の艤装の調子が悪くなりまして…」

明石「うーん、艤装のメンテは完ぺきだったはずですが、仕方ありませんね」

翔鶴「艦載機がまともに着艦できない?」

瑞鳳「そうなんです…私の九九艦爆が龍鳳さんに着艦したり…私の卵焼きの調子も悪かったし…」

翔鶴「みなさんの命が何よりです、大淀さんに連絡しておきますので復旧まで待機を」

翔鶴「陸奥さん、先ほど瑞鳳さんから連絡がー…」

陸奥「第二艦隊も第三、第四も帰還できないっていったいどうなっているの!?」

陸奥「資材庫が使えないこの状況じゃ…」

~港~


加賀「さあ、大本営に行きましょう」

健二「はあ…」

加賀「鎧袖一触です、心配いりません」

健二「いや…そこじゃなくて…」

健二「輸送船じゃなくて、ボートなんですね…」

加賀「うるさい」

健二「す、すみません…」

加賀「…」

健二「…」

加賀「…」

健二「…」

加賀「…ちょっと」

健二「は、はい!?」

加賀「どうしてボートのエンジンも私の艤装もGPSも動かないのかしら?」イラッ

健二「す、すみません…」

赤城「加賀さあーん!」

加賀「赤城さん…?」

赤城「現在、全鎮守府に出撃を控えろとの伝達がありました」

赤城「艤装も使えないし、安全な航路を確認するためのGPSも使用できません」

赤城「とりあえず、戻りましょう」

加賀「大概にしてほしいものね」ギロッ

健二「…」ビクッ

赤城「何が起こっているのでしょうか…」

榛名「わかりません…ですが、榛名は大丈夫です」

~鎮守府~


利根「おかえりなのじゃー…」

利根&健二「あ」

利根「なんじゃい、なぜ戻ってきておる?」

健二「ええーっと…すいません、ちょっと…」

羽黒&健二「あ」

羽黒「なにか忘れものですか?」

健二「いえ、ちょっと…」

夕張「提督…?」

健二「あ、夕張さん」

夕張「先ほど佐久間さんから連絡がありましたが…」

健二「あ、すみません…」

健二「もしもし、佐久間…この状況、いったいどうなってるの?」

佐久間「試作110型の仕業に決まってんだろ」

佐久間「書き換えられたパスワードで全鎮守府をひっかきまわしてる」

佐久間「武器庫のパスワードを解かれたら、試作51㎝砲だって好き勝手ぶっ放せる」

健二「ええぇ…」

健二「僕のせいだ…僕の…」

加賀「あなた、今すぐ海に沈みなさい」

~休憩室~


長門「これはまるで…敵に攻め込まれているようじゃないか」

500「てきってーぇ?」

長門「下手をしたら、死人がでるかもしれんな…」

長門「…」

~長門の私室~

長門「よし…っ!」

白露「あれ?長門さん!?お体のほうは…!?」

長門「いいか白露、不安に思う者もいると思う、そんな者たちの支えになるのだ」

長門「朝潮、へこたれるな。我が鎮守府の意地を見せるんだ」

長門「いいか瑞鳳、これは戦だ。私も何とかしてみる」

瑞鳳「な、なんとかって…って、長門さん??」

長門「よし、次は呉だな…」

長門「伊勢、久しぶりだな。ところで昔共に戦ったよしみで聞くのだが…」

長門「今呉鎮守府の方はどんな手を打っておるのだ?」

長門「なに…?今から動こうとしていただと…?ふざけるのも休み休みにしろっ!」

長門「武蔵、引退した提督でも構わない。一人でも多くの提督、艦娘に声をかけろ」

長門「全員で協力してほしいのだ」

長門「大和よ、昔のように我々艦娘や人が手を取り合うことが大切だと思うのだ。」

長門「確かに多くの労力や苦労がかかる…」

長門「だが、我々の命…そして、人の命には代えられないだろう?」

長門「何千何万という者たちが困っている、ここで頑張らずいつ頑張るのだ!」

長門「そうだ、その意気だ!」

長門「これはお前にしかできないことなのだ」

長門「お前ならできる、できるのだ!」


加賀「今の電話の相手…大本営の大将ですよ…」

赤城「しゅごい…」

健二「みんな長門さんに励まされてるんだ…」

健二「…よし」

佐久間「大本営のエンジニアが総動員でことにあたってる」

佐久間「でも、まだ管理塔に入れないんだ」

佐久間「大本営に適当なパスワード送信してみ」

佐久間「間違ったパスワードを入力すると暗号が出てくる」

782594241559091078546374789264359121
278836820228090333760000036434126183
514792913779670946848758347524458407...

赤城「これが…暗号、ですか…」

健二「…んん」


健二は無心でペンを走らせた。

白紙の用紙がすぐに数字の羅列で埋まってゆく。

1枚、また1枚…次、そして次も。

びっしりと書き並べられたその数字たちは、普通の者ではその意味さえも理解できない。

加賀「この人…いったい何者なんです…」

赤城「最近少佐に上がった次期提督です」

健二「いえ、着任試験に落ちた者です…」

加賀「説明になってません」

健二「できた!」

夕張「すごいです!たった今、資材庫に入れたとの連絡が!」

佐久間「朗報だ健二」

健二「え?」

佐久間「セキュリティーのログによると、昨夜の暗号を解いた者は全国に55人もいる」

佐久間「だがな、なんとその中にお前は含まれていなぁーい」

健二「なっ、なんで!?」

佐久間「最後の一文字が間違ってまぁーす、ぶぶーぅ」

加賀「なんか頭にきました」

加賀「それに犯人ではないんですか…」

佐久間「でも、正解したパスワードで軒並み各鎮守府の資材が奪われたってわけ」

佐久間「おい喜べよ、今回はちゃんと正解したんだから」

健二「ははっ…」

~その夜~

白露「いやー、それにしても長門さんが関係各所にビシッと指示出してなかったら…」

朝潮「こんなに早くは収まりませんでしたね」

朝潮「そうですよね、長門さん!」

長門「フッ…私はなにもしていないさ」

陸奥「ふふ、長門ったら」

瑞鳳「さすが長門さんです、あとで卵焼き焼きますね」

長門「小磯提督よ、今日は頑張ってくれたそうだな」

健二「いえっ…僕はなにも…」

白露「なになに?赤城さんの彼氏?」

加賀「彼氏ではありません」

朝潮「どうして加賀さんが答えるんですか?」

瑞鳳「まだ少佐に上がりたてなのに、大本営の問題を解決したんですって」

白露&朝潮「やるなぁー、赤城さんの彼氏」

加賀「そこの駆逐艦二人、今すぐ表へ出なさい」

健二「あっ…」

TV「各地の鎮守府、また艦娘の艤装のトラブルの問題ですが」

TV「今現在でも、多数の艦娘の艤装が使用不可との情報が入っています」

TV「また資材も何者かに奪われた形跡があり、今後とも注意が必要です」

健二「でもまだ…」

夕張「試作110型を倒せたわけじゃない」

健二「その通り」

金剛「new face!デースかー!?」

夕張「試作艦で人工知能を搭載した新型艦」

瑞鳳「今日の原因はその110型なんですね…」

利根「しかしなぜじゃ?なぜ報道されないのじゃ」

夕張「時間の問題だと思います、各鎮守府で気づいている艦娘たちはすでに動き出しています」

夕張「報道され、倒されるのも時間の問題で、止められないわけがないですよ」

侘助「シシシッ…残念だけど、そいつぁ無理だねぇ…」

夕張「どうして無理だってわかるんですか!?」

侘助「なぜって?そりゃぁー…」

侘助「そいつの開発、設計、そして建造者…俺だもん」

一同「…!?」

夕張「試作110型を…建造した…!?」

侘助「ああ…俺が大和型をもとに設計、建造した…」

侘助「試作110型…またの名を…」

侘助「大和型三番艦、航空母艦…信濃だ」

侘助「俺がやったことはただ一つ…」

侘助「資材これくしょん…つまり資材をため込みたいという物欲を与えただけだ」

侘助「そしたら大本営の上層部がやってきて、実証実験次第では高く買うって言うじゃないか」

侘助「実験後はAIのプログラムをひたすら深海棲艦を駆逐するように書き換えれば終わりってわけ」

侘助「まあ、でも…日本を使った実験だとは思わなかったよ…」

侘助「だがどうだい…結果は良好…」

侘助「奴は本能の赴くまま、ありとあらゆる資材、装備を貯え続ける…」

侘助「それに不安視していた艦種のコンバートも上手くいって、46㎝砲をぶっ放してるそうじゃないか…」

侘助「今やたった一艦で何百と言う艦隊と同じさ」

侘助「いい?勝てないのはそういうわけ…」

利根「今日どれだけの人が迷惑した、どれだけの人が被害にあったと思っておるのじゃ!?」

侘助「はっ…俺のせい?まさか…信濃が勝手に…」

陸奥「あれのせいで世の中めちゃめちゃになっているのよ!?」

侘助「わからねぇやつらだな…信濃が勝手…に…っ!?」

天龍「子供みてぇーに言い逃れすんのか!?あぁ!?」

龍田「落ち着いて天龍ちゃん!!」

天龍「知らぬ存ぜぬじゃ通らねぇんだぞこらぁ!!」

北上「まあ、なんていうの?とりあえずさ、落ち着きなって」

侘助「だからぁ!俺はただの建造者で、あいつにああしろこおしろって言った覚えはねぇーの!!」

天龍「んだとこらぁ!」

陸奥「二人ともやめなさい、長門の前で…」

侘助「…っ!?」

長門「侘助提督よ…」

侘助「長門なら…わかってくれるよな…?」

侘助「じじいに比べて今まで大した戦果も上げられず、苦労ばっかかけてごめんな…」

侘助「挽回しようと思って俺…頑張ったんだよ…」

長門「…」

侘助「この鎮守府に胸張って帰って来れるようにさ…」

長門「…っ」

侘助「長門、これ見てよ…」

侘助「たった今、大本営から正式なオファーがあった…」

侘助「じじいが生きてた頃以上の戦果が、資材がこの鎮守府に入るんだぜ?」

侘助「これも長門のおかげさ…なんたって…」

侘助「長門が頑張って貯めてくれた資材のおかげで独自開発できたんだから!」

長門「…っ!?」

陸奥「長門…っ!?」

長門「侘助、今ここで海に散れっ!!」カシャ…カシャ…カシャ!

侘助「…!?」

侘助「…っ」

侘助「帰ってくるんじゃなかった…」タッタッタ…

赤城「侘助提督!?」

長門「赤城っ!!」

長門「いいかお前たち!我が鎮守府の者がしでかした間違いだ、我々で蹴りを付けるぞ!!」

赤城「…」すぅっ…タッタッタ…

健二「赤城さん…」

赤城「ついて来ないで…今…お腹いっぱいいっぱいですから…」

健二「赤城…さん…」

健二「…ん?」

~長門の私室~


長門「すまないな提督よ、この足と来たらてんで言うことを聞かなくてな…」

健二「仕事を詰めすぎて赤疲労なんですから、急にあんな無茶するからですよ…」

健二「それじゃ、僕も片づけに…」

長門「提督よ、花札は知っておるか?」

長門「昔はよく鎮守府総出でやったものだ…」

長門「今じゃなかなか相手もいなくてな…」

長門「提督の親でいいぞ」

健二「はい…」

長門「さっきはとんだ身内の恥をさらしてしまったな…」

健二「いえ…」

長門「赤城の馬鹿さ加減もな…」

健二「…こいこい追撃です」

長門「ふっ…やるな」

健二「ありがとうございます」

長門「だが、ビックセブンの力侮るなよ」

長門「それと、この勝負もし私が勝利したら…」

健二「…え?」

長門「何か賭けなければつまらぬではないか」

長門「そら、追撃だ!」

健二「はぁ…」

長門「よいな?ならばもし私が勝利したら…」

長門「赤城をよろしく頼むぞ…」

健二「…?」

長門「提督の代わりを頼む愚かな奴ではあるが、それでも提督が承知してくれるなら…」

長門「改めてお願いする」

長門「もちろん赤城だけじゃない、この鎮守府も…な」

健二「…」

健二「僕は…僕はまだ自分に自信が持てません…」

長門「提督ならできるさ」

健二「…っ……」

健二「…やってみます…としか、今は言えません…」

長門「フフッ…私の勝利だな…連合艦隊旗艦に比べれば微々たるものだが、よい勝負だった」

~深夜 提督の寝室~


布団に入るとゆっくりとした時間が流れる。
時折吹く海風が心地よい。
聞こえる音は虫の柔らかな音色、海風が草木を揺らす音、そしてきれいな波の音だけである。
昨日の夜遅くまで続いた大宴会が嘘のように静寂が静かに流れる。
瞳を閉じると、深海のごとく深い眠りに落ちていった…。

だがそれもいつまでも続くわけではなく、終わりは唐突にやってきた。


大淀「明石さんっ、早くっ!!」

明石「今…今行きますっ!!」

健二「浜…の方…?」

~浜辺~


大淀「返事をしてください…!!」

赤城「どうして…どうしてなの…」

利根「明石っ、早く!!」


目の前に広がる光景に目を疑った。
服は破れ、主砲は折れ曲がり、その原型をとどめていない。
直視するのも痛々しいアザや切り傷。

一同みな彼女の名を呼ぶが、うつろな瞳の彼女は声を発さない。
弱々しく砂浜に横たわるのは紛れもない長門だった。


長門「すま…ない…な…」

明石「長門さん…!大丈夫です、私が…私が必ず…」

長門「いや…明石よ…私自身の体だ…私がよく…わかって…いる…」

大淀「何を言っているんですか…!?まだ、まだ長門さんは…」

長門「もう…いいの…だ…」


虫の鳴くような小さな声を発して、長門はみなに看取られながら静かにその瞳を閉じた。

~鎮守府 休憩室~


大淀「朝日が昇る前のことです…近海に深海棲艦が確認されました」

大淀「その方角は侘助提督が逃げたと思われる方向で…単艦で大慌てで出撃されました…」

大淀「赤疲労のまま、そこを深海棲艦、そして…」

利根「信濃…か…」

大淀「はい…私の責任です…」

川内「私が遠征に行ってなければ…」

利根「あやつはどこじゃ!とっ捕まえて締め上げるのじゃ!」

足柄「行先なんて誰にも分らないわよ…」

利根「弔いじゃ…弔い合戦じゃ…!!」

足柄「なにを言っているの!?」

健二「あの…僕も賛成です…」

足柄「はぁ?あんたまで何言ってんの?」

健二「いえ、ですから…このまま信濃をほおっておくとほかの鎮守府の艦娘まで…」

足柄「人の鎮守府に来て何言ってんの、って言ってんのよ!」

足柄「なんで今、こんな状況なのにほかの鎮守府まで心配しなきゃいけないのよ…」

健二「いえ…しかし…」

~一同解散後~


利根「なんじゃい、どいつもこいつも…」

利根「それでもこの鎮守府の艦娘なのか…」

筑摩「気持ちはわかりますが姉さん、少し落ち着いてください」

利根「なんじゃい筑摩まで…」

健二「すみません…出過ぎた事を言って…」

鈴谷「いや、提督の意見は正しいとおもーよ」

鈴谷「他人を守ってこそ自分を守れるって言うじゃん」

筑摩「なんですかそれ…?」

鈴谷「いやぁー、鈴谷意外と物知りなもんで…」

鈴谷「七人の侍のセリフだよぉ~」

夕張「…」

夕張「提督、改修済みの20.3cm 砲って本土の鎮守府にあります?」

健二「ええ…確か、僕が担当する武器庫にはあったけど…」

夕張「五連装酸素魚雷は?」

健二「あったと思うけど…」

健二「夕張さん…?」

夕張「信濃とどう戦うかって話です、リベンジしましょう」

~数時間後~

利根「…と言うのがまだ僅かな戦力で大戦果を上げた時の前々任の提督の作戦じゃ」

利根「役に立つのかの?」

健二「そのアイディアいただきます」

鈴谷「んじゃ、そーゆう手はずで行くじゃん」

健二「はい」

健二「もしもし、佐久間?」

佐久間「何を…おっぱじめようってぇーの…?」

健二「合戦だよ」

~その数時間後~


暁「頼まれた装備、輸送完了したわよ」

響「ハラショー」

雷「もっと私に頼ってくれてもいいのよ」

電「なのです!」

健二「ありがとう!さすがですね!!」

暁「と、当然よ!」

天津風「これも貸してあげてもいいわよ」

健二「これって、高温高圧缶…!?」

利根「どくのじゃどくのじゃどくのじゃぁぁぁ~!!」

健二「あの…これって…?」

利根「借りてきたのじゃ、最新鋭の対空電探!」

利根「隣の鎮守府からぶっ飛ばして2時間じゃ!」

佐久間「あの…その…その鎮守府ってすごいんですね…」

夕張「いえ、そんなことありませんよ」

健二「果たし状を出したいんだ」

佐久間「果たし状…?」

健二「差出人は夕張さんで」

佐久間「ガチで…?」

~また数時間後~

利根「準備完了なのじゃ」

暁「こっちもと、当然万全よ!」

筑摩「姉さん無理をなさらずに」

鈴谷「気合い入れて、鈴谷にお任せ~」

健二「作戦通りに、不測の事態が発生した場合は即撤退を」

夕張「…」

夕張「しまっていきましょう」

12時まで、3…2…1…


健二「来ますよ!」

夕張「…」すうっ…

暁「夕張さん…瞳を閉じてなにを…」

夕張「静かに…」

夕張「…」

夕張「…っ!?」

夕張「信濃見ゆ!!」

佐久間「来やがった!!」

夕張「右舷に敵艦捕捉、砲撃よぉーい!!」

夕張「撃てぇーい!!」

暁「当たった!」

電「すごいのです!」

夕張「まだまだっ!いけるわ!」

響「敵の砲撃、来るよ」

夕張「遅いです!」

雷「早い…!すごく早い…!!」

夕張「…いける」

佐久間「撤退した!?」

健二「夕張さん、作戦通りポイントに誘い込んで!!」

夕張「大丈夫です!私が…っ!?」

夕張「3時の方向より、爆撃機!?」

佐久間「あれは!?艦爆機彗星!?奪った艦載機を発艦してる!」

雷「対空戦なら私たちに任せて!」

電「なのです!夕張さんは今のうちに、なのです!」

夕張「ありがとう!後で私の活躍の感想、聞かせてね」

響「もうすぐポイント」

夕張「わかってる、暁ちゃん!」

暁「準備は万全よ!」

佐久間「かかった!」

夕張「暁ちゃん!響ちゃん!鈴谷さん!」

暁「と、当然よ!」

響「実にハラショーな作戦」

鈴谷「あとでうーんと褒めてね!」

佐久間「特注の超頑丈ワイヤーでグルグル巻きにしさえすれば…」

健二「佐久間!利根さん、筑摩さん!」

佐久間「おっけぇー!水上に待機中の水上機で…」

筑摩「私たちも全機一斉発艦で…」

利根「一気に爆撃なのじゃ!…ぬっ、カタパルトが不調だと!?」

筑摩「姉さん…」

佐久間「完全に成功だ!後は煮ようが焼こうが…」

鈴谷「えっ!?うそっ、もー!テンション下がるぅー…」

暁「許さない…許さないんだから…!」

健二「そんな!佐久間どうなってんの!?」

佐久間「自分で自分を改造している…!?」

佐久間「こりゃもう、大和型とかそういうレベルの大きさじゃない!!」

健二「全艦、全速で撤退を…!!」

夕張「私が…私がやらなくちゃ…」

健二「夕張さーん!!!」

夕張「うああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

暁「夕張さん、だめぇぇぇー!!」

夕張「…っ」

夕張「…」

健二「そん…な…」

響「大丈夫…なんとか…」

利根「吾輩のカタパルトが不調でなければ…」

筑摩「なんですか、あの艦載機の量は!?」

佐久間「やつもスペックの限界だ、艦載機を操れていない!」

佐久間「今のうちに撤退を!」

健二「早く!」


ドゴォォォォーン…!!


佐久間「なんだ…あれっ!?」

健二「…えっ!?」

健二「……佐久間、この時間は…!?」

健二「なんの…カウントダウンだ…」

プッ…プッ…プッ…パァァァーン!


健二「なんで…なんで、各地の鎮守府の上空写真が送られて…」

大淀「大変です…」

大淀「各鎮守府の上空電探でアラームが鳴っています…」

大淀「先ほど放たれたのは試作超巨大三式弾と判明、そしてそれが落下中…」

大淀「試作三式弾はGPS誘導で任意の場所への着弾が可能になったとお聞きしています…」

大淀「もしその写真の鎮守府のどこかが標的とされ、誘導されているとしたら…」

健二「じゃあ、このカウントダウンは…」

大淀「標的とされた鎮守府へ…着弾するまでの…時間でしょう…」

健二「そん…な…」

~帰還ののち入渠後~


大淀「実証実験のつもりが、こんな事態を招くと想像もしていなかったことでしょう…」

大淀「仮に本土の鎮守府に三式弾が落下した場合、一般市民への被害は想像がつきません…」

夕張「じゃあ…いったいどうすれば…」

大淀「試作超巨大三式弾は次発装填する時間と資材が莫大であり、難があるとお聞きしています」

大淀「あと…あと2時間以内に、奪われた4億以上の資材を取返し、二発目を打たせないこと…」

大淀「そして、何らかの方法で落下中の三式弾を被害の無いところへ落とすしか…」

夕張「そんなの無理に決まってるでしょう!?」

大淀「ですが…ほかに方法は…」

五月雨「夕張さん…?」

夕張「…っ!?」

五月雨「夕張さん、それ嘘だよね…?秋雲ちゃんが書いた漫画の話だよね…ね?」

夕張「……っ!?」

夕張「ごめ…ごめんなさい…私っ、私…」ポロっ…

夕張「長門さん、ごめん…五月雨も鎮守府も…なんにも守れなかった…」ボロボロボロ…

一同「…」

健二「まだ負けてません」

一同「…!?」

夕張「もう…負けたじゃないですか…!」

健二「負けてませんって」

夕張「この状況でなんでそんなことが言えるんですか!?」

健二「だからまだ負けてませんって」

健二「なにかまだ必ず方法があるはずです」

天龍「なんだよ…なんの騒ぎかと思ってみんなして来てみりゃ、もう手なんてねぇーじゃねぇか…数学とは違うんだぜ…」

健二「同じです、諦めたら解けない…答えは出ないままです」

赤城「…っ」タッタッタッ…

健二「…」

~赤城の私室~

赤城「…」

侘助「…なんでこの番号がわかった、赤城…?」

赤城「今どこですか?」

侘助「それよりどうやって俺の通信機のパスコード解いた?」

赤城「お願いです…戻ってきてください…」

侘助「長門に言われたんだろ?そうだろ?俺は戻らねぇぞ」

赤城「提督…」

侘助「長門がその鎮守府にいる限り絶対に!」

赤城「なにが起こっているかなにも知らないくせに…!!」

侘助「…っ!?」

侘助「なんなんだよ…」

赤城「長門さんが轟沈したの…侘助提督が逃げた方向に深海棲艦が現れて心配で単艦で出撃して…」

侘助「……長門が…?」

赤城「提督がいなくて仕事を詰めすぎてずっと赤疲労だったのです…」

赤城「お願いしますもう一度戻って、長門さんにちゃんとお別れを言ってください…!」

侘助「長門が…長門が…轟沈…した…?」

~同じ頃 休憩室~


陸奥「これ…長門が自分に何かあったときにって渡されていたものなの…」

陸奥「それと、提督…これ…」

健二「これは…?」

陸奥「さっき島風が提督にって、なにかの手紙じゃないかしら…」

健二「はあ…」

陸奥「それは後で、ね…それじゃあ、読むわね…」


白い縦長の封筒に入れられた“それ”は真っ白な便箋だった。
寸分の狂いすらない折り方で、丁寧に納められていた。
みなに宛てられたであろうそれを丁寧に広げてゆく。

誰もがその内容を静かに待ち、静聴した。

陸奥「鎮守府のみんなへ…」


まあ、まずは落ち着くんだ
艦娘たるもの落ち着きが肝心だ
落ち着いたらあとはいつも通り過ごすことだ
お前たちのために資材はほとんど残せやしないが、共に戦った戦友たちが力になってくれるだろうから心配などするな
これからもみな、しっかりと働いてくれ
それと…

それともし、侘助提督が帰ってきたら…
もう帰ってくることもないかもしれないが、もし帰ってくることがあったら…
きっと腹を空かせているだろうから、夕張のメロンや第六駆逐隊が作った野菜なんかを思いっきり食べさせてやってくれ
初めてあの提督にあった時の事、よく覚えている
耳の形が前任の提督そっくりで驚いたものだ
鎮守府までの朝顔畑を歩きながら、「今日からよろしく頼むぞ」と言ったら、なにも言わなかったが、私の肩をポンッと叩いてな…
この人が我が鎮守府の提督になる、私の嬉しい気持ちが伝わったのだろうな

鎮守府全員、手を離さぬように…
己の運命、艦娘としての宿命に負けないように…
もし、辛いときや苦しいときがあっても、いつもと変わらず鎮守府全員が集まって補給をすること
一番いけないのは、腹が減っていることと一人でいることだ
私は、お前たちがいてくれたおかげで、連合艦隊旗艦に比べれば微々たるものだが…
いや、それとは比べ物にならないくらい幸せだった


陸奥「ありがとう…じゃあな…」

一同「…」


…ブオォォォォォォーギュイィィィィィィーンガチャァァァッァァァン!!!


雷「あ、あれって…」

電「鎮守府のハイエースなのです…!」

侘助「なが…と、長門っ!!」

陸奥「侘助提督、お帰り」

陸奥「それじゃあ、みんなでご飯食べましょう」

~その後 休憩室~


龍驤「どこかの鎮守府が狙われてるやて!?」

龍驤「飯なんか補給しとる場合とちゃうんじゃないん!?」

利根「長門の遺言なのじゃ…」

龍驤「相手は圧倒的とちゃうんか!?」

足柄「第二次世界大戦だってもともとは圧倒的な戦力差だったし…」

龍驤「それにもう負けたんとちゃうんか!?」

瑞鶴「こういうのは勝ちそうだから戦うとか、負けそうだから戦わないとかじゃないのよ…この甲板胸が…」

龍驤「誰が甲板胸じゃ、お前もやろぉぉぉがぁぁぁぁ!」

龍驤「そういえば、明石と島風が見当たらへんけど…」

赤城「ひりまひぇんよ、どーひぇこうひょうでひょくどを上げるよう改造ひてるんひゃないんでひゅか?」もぐもぐ…
  (知りませんよ、どーせ交渉で速度を上げるよう改造してるんじゃないんですか)
  
龍驤「探してきちゃりーや…」

那智「ほんっと馬鹿だな、私たち」

熊野「ふふっ、わたくしもその馬鹿の一人ですわ」

401「晴嵐は馬鹿友達だもーん」

龍驤「せ、せやかて…なにか策はあんやろ?」

侘助「今から信濃のAIをリモートで解体する…」

侘助「そして三式弾のGPS誘導を司るプログラムだけを残し、海へと誘導する…」

侘助「だが、間に合うかどうか五分五分だ…そこで」

健二「混乱の原因は大量に資材や武器が奪われていることによる補給ができないこの状況と…」

健二「落下中の三式弾…」

健二「有効な手段を用いて取り返すにはどうしたらいいか…」

夕張「有効な…手段…?」

健二「この作戦ですよ」

赤城「これって…」

佐久間「残りあと1時間!!」

健二「全艦出撃準備、鎮守府のありったけの装備と言う装備を集めてください!」

~鎮守府正面海域~


赤城「あなた、そんなに資材や武器がほしいの?」

信濃「…」

赤城「いいでしょう…いや、よくありません…でも…」

夕張「赤城さん、今はそんな時では…」

赤城「むう…仕方がありません、いいでしょう私たちの鎮守府のをあげます!」

赤城「ただし!私たちとの戦闘に勝てたらです!」

赤城「みなさん!いきます!」

一同「うぉぉぉぉっしゃぁぁぁぁぁ!」

赤城「みんなのごは…いえ、資材はお預かりします!」

龍驤「赤城、お前持ち逃げしたら許さへんぞ…」

健二「侘助さんは同時に解体をおねがいします!」

侘助「ああ」

利根「絶対に勝つのじゃ赤城っ、この鎮守府の…いや」

筑摩「日本の未来は…」

加賀「赤城さんにかかっているわ」

赤城「…ふぅ」

赤城「戦闘…開始ぃッ!!」

赤城「加賀さん、飛龍さん、蒼龍さん、翔鶴さん、瑞鶴さん!」

加賀「鎧袖一触よ」

飛龍「第二次攻撃も任せて!」

蒼龍「対空見張りも厳として、よろしくね!」

翔鶴「行くわよ、瑞鶴!」

瑞鶴「はいっ、翔鶴ねぇ!」

赤城「第一次攻撃隊っ、全機発艦っ!!」

加賀「みんな優秀な子たちですから」

夕張「よしっ、開幕戦を制しました!」

健二「今です!千歳さん、千代田さん、瑞穂さん、あきつ丸さん、阿武隈さん!」

阿武隈「私の指示にしたがってください…んもぅ、したがってくださぁぁぁーいぃ!」

天龍「相手が攻撃を受けてる隙に大発動艇で至近距離で資材を奪うって作戦か!」

飛龍「第二次攻撃の要を認めます、急いで!」

龍驤「うちがいるからこれが主力艦隊やね!」

隼鷹「ヒャッハー、者どもかかれぇー!」

佐久間「すごい…この短時間で30万以上の資材を取り返した!」

健二「でもまだ、二発目の三式弾を打つだけの余裕はある!」

赤城「次っ!金剛さん!」

金剛「やっと私たちの出番ネ、Follow me!」

比叡「気合い、入れて、行きます!」

榛名「榛名、全力でいきます!」

霧島「マイクチェックもじゅーぶん済みましたよ!それっ、ワン、ツー!」

扶桑「不幸だけれど…だけど、いけるわよね…!」

山城「姉さまと一緒ならどんな不幸でも乗り越えれます!」

健二「次ッ!北上さん、大井さん、木曾さん!」

北上「すーぱぁー北上様の登場だよーん!海の藻屑に」

大井「なりなさいな!」

木曾「ふっ…てめぇは無能だな!!」

赤城「重巡の皆さん!」

利根「この時のためにカタパルトは整備しておいたのじゃ!」

筑摩「姉さん、それってフラグが…」

鈴谷「ふっふーん、次こそ鈴谷にお任せっ!」

熊野「とぉぉぉぉおうぅぅぅ!」

妙高「もう、降参してください!!」

羽黒「こんな私ですが精一杯頑張りますね!」

赤城「水雷戦隊の皆さん、準備はいいですか!?」

神通「すでに次発装填済みです!」

川内「夜戦じゃないけど…まっ、いきますか!」

暁「やっと暁の出番ね、見てなさい!」

響「ハラショー!」

赤城「いける…いけます…」

健二「赤城さん、上っ…!!」

赤城「…爆撃っ!?」

赤城「千歳さんたちは!?」

千歳「ちょっと燃料が溢れちゃいます…」

千代田「派手にやられたなぁ…」

赤城「加賀さ…はっ!?」

加賀「赤城さん…あなたが無事ならそれで…」

飛龍「私ももう…発着艦は…」

蒼龍「やだぁもう、被弾…痛いじゃない…」

翔鶴「瑞鶴っ、大丈夫!?」

瑞鶴「私だってたまにはやられちゃうのね…」

赤城「そん…な…」

赤城「負け…る…?そんな…そんなの…」

赤城「そんな…」

赤城「…」

???「赤城っ!あきらめるな!!」

赤城「…っえ!?」

赤城「なが…と…さん…?」

長門「詳しい話は後だ赤城!」

明石「病み上がりでまだいつ轟沈してもおかしくないんですから、もう少し後ろに…!」

長門「私のことはいい!それよりも、明石!早く!」

明石「了解です、赤城さんこちらへ!」

夕張「ど…どういうことですか…これは…」

天龍「長門さんは轟沈したんじゃ…」

速吸「遅くなりました!みなさん!これっ!」

佐久間「今、横須賀、呉、佐世保、舞鶴…そのほか多数の鎮守府から支援物資だ!」

佐久間「今現状で奪われた資材を差し引いた、日本が最大で確保できる資材の18.73%10億5千万以上の資材が集まった!」

足柄「なんでこんなに…」

加賀「赤城さんが美人に決まっているからでしょう」

瑞鶴「翔鶴姉っ!あれって!?」

翔鶴「あれって、大本営が開発中の試作甲板カタパルト甲っ!?」

赤城「明石さんっ、これって…!?」

明石「提督が大本営にお願いして輸送してもらったんです!」

長門「頼んだぞ、我々の運命はお前に託した…赤城改二っ!」

赤城「…っ!!」

赤城「全艦載機…発艦っ!目標、敵艦信濃っ!」

飛龍「なにあの艦載機!?」

瑞鶴「見たことない、なんなのあれ!?」

明石「あれも大本営の隠し玉、橘花です!」

加賀「あの戦闘機ってもしかして…」

翔鶴「震電改…噂にはお聞きしていましたが、あれほどの能力とは…」

赤城「これで終わりです…」

一同「いっけぇぇぇぁぁぁぁああああ!!!!!!」

健二「赤城さん、いまです!」

侘助「ぶちかませっ!」

赤城「うおぉぉぉぁぁぁぁぁぁああああああ!!!!!」







夕張「かっ…た…?」

健二「とまっ…た…?カウントダウンが…とまった…?」

赤城「提督っ!」

健二「赤城さん!」

健二「至急全艦帰還してください!」

~鎮守府~


一同「よっ………しゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

赤城「提督っ」

健二「赤城さんっ!」

大淀「待ってください!何かが…何かがおかしいです!」

一同「…え?」

大淀「止まっていたはずのカウントダウンがまた…っ!」

一同「えええっ!?」

佐久間「そんな!こっちも含めて、全鎮守府のカウントダウンは止まっているのに…!?」

健二「画面に映し出されてる上空写真って…」

一同「この鎮守府…っ!?」

利根「この鎮守府に三式弾の標的にされたというわけなのじゃ!?」

足柄「それ以外になにがあるっていうのよ!?」

鈴谷「何とかして、あの三式弾を早く海に落とさなきゃ!」

北上「まぁ、そもそも信濃を轟沈させただけじゃだめだよねえ~」

曙「まだ解体終わらないの、このクソ提督っ!」

侘助「やってるっ!!」

佐久間「10分を切った!!」

大淀「もう落下地点の変更は不可能かと!」

神通「まずはみなさん冷静に…退避を最優先に!」

鳳翔「間宮さんや伊良湖さんへ通達を!」

500「鎮守府吹っ飛んじゃうの、でっち…?」

58「でっちじゃないでち…吹っ飛ぶくらいで済めばいいでちけど…」

加賀「赤城さん、早く」

赤城「…っ」

加賀「赤城さん!」

赤城「…」

健二「佐久間っ!三式弾の落下スピードは!?」

佐久間「っ!?お、おう…任せとけ!」

健二「夕張さん、対空砲火が行える…」

健二「秋月さん、照月さん、摩耶さん、鳥海さんの艤装を無線で接続してください!」

夕張「…っ!?まだ、なにかやる気ですか!?」

佐久間「出たぞ健二!秒速7kmで落下中だ!」

摩耶「おうっ!提督、摩耶様の出番か!?」

健二「無線接続でこちらから艤装を操作できるようにしたら、退避を優先してください」

鳥海「提督は!?」

健二「秒速7kmで落下する三式弾のコースを計算で予測し、対空砲火を行います」

健二「ただ、上手くいく保証はないので…先に退避を」

赤城「…提督」

陸奥「みんな早くっ!早く!」

赤城「まだ負けていませんっ!」

一同「…えっ?」

健二「落下速度…重さ…空気抵抗…それに…」

佐久間「上空の風向きが変わった!もう無理だあきらめろ!」

健二「そん…な…」

加賀「しゃんとしなさい、私たちがついてるわ」

利根「お主にしかできぬのじゃろう、これは!」

侘助「頼む…っ!!」

健二「…はいっ!!」


スラスラスラスラスラスラスラ…
カリカリカリカリカリカリカリ…


赤城「頑張れ!」

健二「はいっ!」

健二「解けたっ!」

島風「はっやぁーい!」

佐久間「だめだ!落下するごとに風速も風向きも変わってる…!」

健二「くそぅ…もう一度解きます!!」

侘助「夕張っ!」

夕張「…!?」

侘助「誰でもいい!水偵を発艦させて、風速と風向きのデータを!」

夕張「りょ…了解です!!」

健二「解けました!」

佐久間「駄目だ、また風が邪魔をしている!」

一同「またかっ…!?」

健二「はぁっぁぁぁ…ああぁあ…!?」

健二「あああぁぁぁあああぁぁぁ…」


カタッ…カタカタッ…カタタッ…


天龍「嘘だろ…あ、暗算…!?」

佐久間「あと一分!!」

健二「はああああ…あああ…あああぁぁぁ…あああ…」

夕張「小磯指令っ!上空の風力データ転送しますっ!」

健二「あああぁぁぁぁぁああああ…あああああああああぁぁっぁぁぁぁああ…」



カタカタカタッ…カタタタタッ…カタッ…


健二「…」

健二「よろしくおねがいしまぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁすっ!!」


カタンッ!!


鳥海「角度データ来ます!」

摩耶「うおっしゃぁぁぁー、いくぜぇぇぇぇぇ!」

秋月「この角度…一斉射っ!」

照月「照月も練度上がってます!」

鳥海「さぁ、行きましょう!!」


ドゴォォォォォォォォーン!!!


一同「うあぁぁぁぁぁぁぁぁ…」


そのあと一体何があったのかよくわからない。
ただ、強烈な爆風が鎮守府の開け放った窓から室内に入り込んできて、いろいろなものが吹き飛んだ。
だが、誰一人として負傷したものはいなかった。
誰もが死を覚悟し、目を閉じて、うずくまり、息をひそめた。
そんな空気は二人の潜水艦によって破られた。


500「でっち、温泉だ!温泉だよ!」

58「だからでっちじゃないでち!」

~数時間後~


佐久間「見ましたよ、侘助さんのニュース…名乗り出たんですね」


TV「しかし氏は試作艦110型信濃を建造したにすぎません」

TV「海に解き放ったのは大本営上層部です」

TV「今回の事件による死傷者は幸いにも報告されていませんが…」

TV「軍事上の実験に日本中の人々を巻き込んだ責任は重い、と言わざるを得ません」


佐久間「あ、健二に言っといてください」

佐久間「とーぶん帰ってくんなって」

赤城「帰ってこなくていいそうですよ、提督」

健二「いやあ、帰りますよ」

利根「ぬふふふふ…」

健二「うわぁぁぁぁぁ…」

利根「お主たちケッコンカッコカリしてはどうかのう…?」にやにや

足柄「まずは付き合ってからでしょう?ほら、どうなの赤城さん!?」にやにや

加賀「好きって言ったら雷撃処分です」

利根「赤城のことが嫌いなのかのう…?」にやにや

加賀「嫌いって言ったら、爆撃処分です」

健二「だっ…大好きですっ!!」

加賀「あなたっ!ちょっ…」

赤城「嬉しい…です…ありがとう、ございます…」

長門「提督」

健二「な、長門さん!?そういえばどうして、轟沈したんじゃ!?」

明石「いえ、それが…」

明石「大本営で試作中の応急修理女神改二甲の手配をお願いして…」

明石「高速艦に輸送を頼みました…」チラッ…

健二「あ…そういえば…それ開発されてましたね…」

健二「ど、どうして目をそらすんですか…」

長門「提督…これを…」

健二「これって…」

長門「ああ、書類と指輪だ」

一同「ヒューヒュー!!」

一同「チューしちゃえ、チュー!」

加賀「やめっ…やめてください!海に沈められたいので…ちょ…!」

赤城「提督…」

健二「あああぁぁぁ…」

一同「イケイケーっ!!」

一同「チューだ、チュー!!」

加賀「けっ、健二さぁぁぁん!!やめてください!!」

健二「うううぅぅぅ…」

健二「…あっ」

一同「…?」

一同「おいおい、どした?どした!?」

健二「は、鼻血が…」

赤城「もう…提督ったら…」チュッ!

一同「うぉぉぉぉぉぉぁぁぁぁぁああああ!!!」

健二「ふあぁぁぁぁああああ…///」バタン…

500「でっち、提督よわーい」

58「だからっ!でっちじゃないでちーっ!!」

一同「はははははっ!!」

~後日談~

事務員「失礼します」

健二「あれ、どうされたんですか?」

事務員「あの、お支払いの方がまだなのですが…?」

健二「おし…払い…?なんのことでしょう…?」

事務員「島風に請求書をお渡ししたはずですが…?」

健二「へっ…あっ!!」ガサゴソガサゴソ…

健二「あったっ!!」

佐久間「これって…」

健二「あああぁぁぁ…」

事務員「試作応急修理女神改二甲のこれまでの研究費用…」

事務員「そして、使用料です」

健二「ねえ佐久間…ゼロがさ…なんか多いよね…僕、疲れてるのかな…?」

佐久間「いや…たぶん正しいんだとは思うけど…」

健二「明石さぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんっ!!!」


明石「くしゅんっ!秋になりましたねぇ~」





       ~ 艦 こ れ  夏 の 陣 ~
         - S U M M E R W A R A -

         - E N D -

~あとがき~

つたないSSだったとは思いますが、最後までお付き合いいただきありがとうございました。
初めてのSS投稿と言うことで、読みにくい部分や難解な部分が多々あったと思いますが、おおめに見ていただけると幸いです。

長く暑苦しい夏も終わりに差し掛かったころ、誇り被った懐かしい作品のDVDを見つけました。
再生しながら黒髪ストレートって赤城っぽいなとか、ここのシーン曙ならクソ提督っ!って言ってるなとか、妄想が盛んになりまして…
普段艦これでは使わないキャラたちもちらほら作品の中には登場しており、wiki等で必死にいろいろ調べました。笑
SSとはなかなか難しいものでしたが、楽しかったのでこれからも書いていければなと思います。
またどこかでお見かけしたときは、ぜひ読んでいただけると嬉しいです。
あとがきなんて書くと、作家の真似事のようですが自己満です。笑

さて最後に、運営風にしめるのならば…

艦これ勝手にパロディSSの次回投稿作品を準備中です。
次回の投稿では、実践的な空母として計画・建造され、第二次ソロモン海戦で単艦で奮闘したある軽空母と淡く切ない少女の不思議な恋愛を描いた作品との勝手にパロディSSを投稿予定です。
もし、よろしければお楽しみに!

乙かれ
お、次は龍驤か?

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年11月07日 (土) 22:19:06   ID: ms3cByF7

ラストのオチww

原作に忠実なところもあったし何より赤城が先輩なのがいい!

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