牛「今日もよく働いたなぁ。こういう日はやっぱりドンブリに限るよ」

豚「おうよ！　ちまちまオカズだメシだと食うより、ガーッとかきこみたいよな！」

ニワトリ「その点、この店は安い、早い、美味い、が三拍子揃ってて素晴らしいね！」

店員「へへへっ、そういわれると嬉しいねえ」

豚「ところで、今日店長は？」

店員「ああ、今日は風邪ひいちまってねえ。鬼のかくらんってやつだね」

牛「風邪、流行ってるもんねえ」

豚「豚インフルエンザとかな」

ニワトリ「鳥インフルエンザとかね」

店員「さてと、ご注文は？」

牛「牛丼で」

豚「カツ丼頼むぜ」

ニワトリ「親子丼ちょーだい」

店員「あいよー！」

店員「今日も最高のドンブリをごちそうしてやるからな！」

牛「楽しみにしてるよ」

豚「気合入ってるねえ！」

ニワトリ「ヒューヒュー！」

豚「ん？　なんか変な匂いしねえか？」ｸﾝｸﾝ

店員「もしかしたら、牛さんがゲップしちまったんじゃないのかい？」

豚「おいおーい、食べる前にゲップはやめてくれよ」

ニワトリ「ハハッ！　歩くのは遅いけど、こういう時は早いんだね」

牛「んもう、参ったなぁ」

店員「みんな、景気はどうだい？」

牛「ウチのミルク屋は、おかげさまで繁盛してるよ」

豚「オレの真珠店も、なかなか好調だぜ！」

ニワトリ「ボクの音楽バンドもバッチリさ！　ロバ、犬、猫も頑張ってるしね！」

店員「お客の景気がいいと、こっちも元気になるねえ！」

店員「はいよっ！　牛丼、カツ丼、親子丼、できあがり！」ﾄﾞﾝｯ



牛「おいしそうだ！」ﾌﾞﾓｯ

豚「待ってました！」ﾌﾞﾋｯ

ニワトリ「ワァオ！」ｺｹｯ

牛「いただきます」ﾓｸﾞｯ…

牛「うん、おいしい！」

牛「柔らかくジューシィな牛肉を噛むごとに、肉汁が口の中に広がっていく！」

牛「そして、汁が混ざった白米を一気にかきこむのがたまらないんだよなぁ～」ｶﾞﾂｶﾞﾂ

牛「あぁ、牛丼って最高だなぁ……」ﾌﾞﾓｯ

豚「いっただっきまぁす！」ｻｸｯ…

豚「っくぅ～、このふんわりした卵の中にある、カツのサクサクさがたまらねえ！」

豚「んでもって、カツと一緒にご飯を頬張ると……」ﾊﾑｯ…

豚「うおおお！　飲み込むと同時に、カツとメシが血肉になっていく感がすげえぜ！」

豚「やっぱりカツ丼は最高だぜ！」ﾌﾞﾋｯ

ニワトリ「いただくよ！」ﾊﾟｸｯ…

ニワトリ「いいね、いいね！　この親子のハーモニー！」

ニワトリ「とろりとした卵が、引き締まった鶏肉のうまみを引き立てる！」

ニワトリ「だけど全体的な味はサッパリ！　重みはまるでナッシング！」

ニワトリ「親子丼、サイコー！」ｺｹｯ

牛「ごちそうさまでした」ﾌﾞﾓｯ

豚「ごっそーさん！」ﾌﾞﾋｯ

ニワトリ「ゴチでーす！」ｺｹｯ



店員「毎度ー！」

店員「いやー、いつもながら変わったお客さんたちだ」

店員「牛が牛丼、豚がカツ丼、ニワトリが親子丼ってねえ」

店員「ま、お客の好みにとやかく言う趣味はないがね」

店員「それにおかげで、いいヒントをもらえたしな」

店員「どうすればいいか迷ってたけど、やっと解決法が見つかったよ」