うまる「終末後の話」 (36)


切絵「……今日は曇りですか」

切絵「(あの日……ゾンビが発生した日から4日が過ぎた)」



切絵「(ゾンビ発生時、私は学校にいた)」

















うまる「デッドオアアライブだよお兄ちゃん!」
うまる「デッドオアアライブだよお兄ちゃん!」 - SSまとめ速報
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切絵「(いつも通り登校して、いつも通り授業を受けていた)」

切絵「(異変が起こったのは1時限目、なにやら廊下が騒がしかった)」

切絵「(先生たちの話を立ち聞きしてみると、隣のクラスの子が倒れたとのことだった)」

切絵「(うちの授業担任の先生も運ぶのを手伝うと言い、廊下に出て行った)」

切絵「(私は突っ伏した)」

切絵「(風も涼しく、太陽も暖かくてすぐに眠りにつきそうだった。頭がぼんやりし、目を閉じかけた時、廊下から大きな悲鳴があがった)」

切絵「(体を起こし、その方を見てみると、想像を絶するものが私の目に映った)」

切絵「(隣のクラスの授業担任であろう先生が1人の生徒に噛みつかれていた)」

切絵「(教室中が大パニックになった)」

切絵「(私も突然のことでパニックになり、一目散に逃げだした)」


切絵「(家庭科室に逃げ込んだ私は、ロッカーの中に隠れた)」

切絵「(どうしてロッカーの中に隠れたんだろう? と今更ながら思う)」

切絵「(その後はうまるさん、海老名さんと合流し、学校を脱出することに)」

切絵「(学校脱出時、うまるさんに危機が迫ったが、うまるさんのお兄さんによって、無事に学校を脱出することができた)」

切絵「(学校を出て、お兄さんの家に行くことになった。道中、アイツらがいたりして、迂回しつつ目的地に向かった)」

切絵「(道路には乗り捨てられた車、血だまり、息をしてない人が転がっていて)」

切絵「(慣れないものを見た私は口を押さえた。これは夢なんじゃないだろうか? と頬をつねったりもした)」

切絵「(でも、夢ではなく現実だった)」

切絵「(家に着いた私たちは一息ついた。でも、お兄さんは一息つく前に色々行動していた)」

切絵「(お兄さんは洗剤を持って外に。匂いの強い洗剤を遠くにまくことによって、ここから遠ざけることができるからだと)」

切絵「(お兄さんはとっても頼りになる存在だった)」


切絵「(お兄さんが外に出た後、私はうまるさんにこまる師匠とうまるさんが同一人物であることをカミングアウトされた)」

切絵「(最初は戸惑いがあったけど、うまるさんにあんな一面があるんだと知れて、嬉しかった)」

切絵「(このことがきっかけで、本当の友達になれた気がします)」

切絵「(1時間ほどして、お兄さんが帰ってきた。驚いたのが、お兄さんが私のクラスメイトである橘さんを、おんぶして帰ってきたからだ)」

切絵「(気を失っていた橘さんをすぐにベッドに寝かせた。橘さんを寝かせた後、今後について話し合いをすることに)」

切絵「(でも、みんな疲弊しきっていたため、話し合いは後日になった)」

切絵「(私は一切眠らず、カーテンの隙間から外を眺めていた)」

切絵「(電気が止まる恐れがあったけれど、電柱の明かりは付いていた。明かりのおかげで、外の感じは大体把握できていた)」

切絵「(時々、アイツらがいたりしたけど、ここに気づかず通り過ぎてった)」

切絵「(時間はあっという間にたち、朝の5時を回っていた)」


切絵「(5時を半分過ぎる頃、お兄さんが起きた。お兄さんは私に謝ってきた)」

切絵「(眠れなかったというのは半分くらいはホントで、もう半分は眠っている間に何かあったらどうしよう、という恐怖心があり眠れなかった)」

切絵「(でも、眠気には勝てず、私は寝転がってすぐに眠りについた)」

切絵「(私が起きたのは30分もしないうち、体の揺れで起きた。目を開け、最初に視界に映ったのはうまるさんだった)」

切絵「(最初は夢かと思ったけど、ドアを叩く音が耳に入り、現実に戻された)」

切絵「(アイツらにここがばれたのだ)」

切絵「(私たちは荷物をまとめ、ここからいち早く逃げることにした。ドアを叩く音が響き渡っており、いつアイツらが集まってきてもおかしくない状況だった)」

切絵「(だが問題が生じた。ここからどうやって脱出するのか)」

切絵「(ドアから出るのは論外、窓から飛び降りることもできない)」

切絵「(一刻を争うとき、お兄さんが脱出方法を思いついた。時間がないため、その案になった)」


切絵「(お兄さんは少し危険になる、と言った。でも、危険になるのはお兄さんだけだ)」

切絵「(私はこの方法に反対したかった。けど、他に案がないため反対できなかった)」

切絵「(……脱出計画が始まった。脱出は上手くいくはずだった。でも、遅かった)」

切絵「(脱出に移るまでに時間をかけすぎて、アイツらが道路に溢れかえっていたのだ)」

切絵「(完全に逃げ場がない状況だった)」

切絵「(その状況に絶望したのか、橘さんが座り込んでしまった。常に明るくポジティブな彼女が、あそこまで追い詰められてるなんて)」

切絵「(橘さんの手がアイツらに掴まれ、誰もが終わったと思った)」

切絵「(けど、遅れて出てきたお兄さんが、木刀で橘さんの手を掴んでいるゾンビを倒した。お兄さんによって、橘さんは救われた)」

切絵「(お兄さんは木刀でアイツらに応戦した。一体のゾンビが倒れ、隙が生まれた。その隙を狙って私たちは走った)」

切絵「(後ろを振り返らず、ただひたすらに)」

切絵「(遠く離れた私たちは一度息を整えるため、止まった)」

切絵「(……この時の私たちは気づいてなかった。誰か1人足りないことに)」



切絵「(気づく頃には、もう失っていた)」


切絵「(……今、私がいるのは橘さんの家。あの後、私たちは橘さんの家に立て篭っている)」

切絵「(橘さんの家の門は頑丈で、塀も高いため安全だった)」

切絵「(橘さんのご家族はもう脱出したのか、誰もいなかった)」



切絵「……そして、今日もまた始まる」

コンコンコン

切絵「? どうぞ」

海老名「きりえちゃん、ご飯できたよ」

切絵「はい」スタッ

海老名「今日は曇りかぁ。この様子だと、雨が降りそうだね」

切絵「雨、ですか」

海老名「橘さん呼んでくるから、きりえちゃんは先に降りてて」

切絵「……」

切絵「(雨はあまり好きじゃない。雨が降ると、陰鬱な気持ちになるから)」


海老名「いただきます」

切絵「いただきます」

シルフィン「いただきます!」シュバーンッ

切絵「(……おいしい)」モグモグ

シルフィン「このお味噌汁、とてもおいしいですわ! ご飯も暖かく、全身が暖まりますわ!」

海老名「少し残ってるけど、おかわりする?」

シルフィン「はい!」

切絵「ごちそうさまでした」

海老名「あ、きりえちゃん! これ、うまるちゃんに持ってってあげて」

切絵「……わかりました」

海老名「(……うまるちゃん)」

シルフィン「……」


コンコンコン

切絵「……」

切絵「うまるさん、朝ご飯置いておきますね」

シーン…

切絵「……」テクテク

切絵「(……あの日から、うまるさんは変わってしまった。ご飯を食べず、部屋に引きこもっている)」

切絵「(海老名さんは無理して明るく振舞っているけど、内心はきっと……)」

切絵「(私だって……)」

シルフィン「きりえさん!」

切絵「あ、橘さん」

シルフィン「……」ジーッ

切絵「な、何かようですか?」


シルフィン「きりえさんはどうして、わたくしのことを名前で呼んでくれませんの?」

切絵「え、えっと」

シルフィン「これからはシルフィンって呼んでください!」

切絵「わ、わかりました」

シルフィン「……」

切絵「ま、まだなにか?」

シルフィン「呼んでくださるまで、ここから離れませんわ」

切絵「ええっ」

シルフィン「さあ、さあ!」ワクワク

切絵「し、シルフィンさん」

シルフィン「はい!」ニパーッ

切絵「そ、それでは」テクテク


シルフィン「〜〜〜〜♪」クルクルクル

シルフィン「〜〜〜〜♪」カチャ

シルフィン「あら?」

シルフィン「……う、うまるさんの食事」



うまる『あなたのせいで……あなたのせいでお兄ちゃんは死んだんだ!!』



シルフィン「!」ブンブンブン

シルフィン「……」

シルフィン「(……わたくしのせいで、うまるさんのお兄さんは……)」

シルフィン「(うまるさんは、わたくしのことを恨んで……)」

シルフィン「わたくしは、どうすれば……」


切絵「……はぁ」

切絵「(……なにもすることがない)」

切絵「……暇だ」

切絵「(いくら安全だからと言っても、暇すぎる)」

切絵「んー」ゴロゴロ

切絵「……ラジオでも聴きますか。もしかしたら、有益な情報が」

『………ひな……に、つい……』

切絵「ん? 何か聴こえるな……」

『避難所につい……避難所場所……」

切絵「ひ、避難所!?」

『千葉け……浦安市……やす高等学校……』

切絵「千葉県浦安市の……うまく聞き取れない……!」

『……以上……放送は……』

切絵「ええ!? ちょ、ちょっと!」

切絵「……とりあえず、みんなに話してみよう」


ピピピピピピピピビッ カチッ

切絵「……」ボーッ

切絵「……いつもの癖で、目覚ましを……眠い」スクッ

シャッ

切絵「……今日も曇りですか」

切絵「アイツらは……ここから見る限りいない。どこに行ったんだろう」

切絵「別にいて欲しいとかではないけど……いや、なるべくいないで欲しい」

切絵「(昨日、海老名さんとシルフィンさんに避難所のことについて話した)」

切絵「(避難所に行くか行かないかの話し合いをした。結果、ここに立て篭り続けることになった)」

切絵「(ここから避難所まで最低丸2日はかかる。今の状況だともっとかかるだろう)」

切絵「(危険を犯してまで行く必要はない。それに、今現在ここは安全だから)」
























カン、カン、カン

ヒューーーーー

タイヘイ「静かだ……風の音しか聞こえない」

タイヘイ「まだ朝の6時なのに暗いな……前より道路が酷く……」

タイヘイ「……行こう、うまるたちを探しに」

タイヘイ「手がかりなんてないけど、なんとなくうまるたちに会える気がする」

タイヘイ「アイツらは……いない。音に反応して、どこかへ行ったか、匂いに引き攣られて……」

タイヘイ「……この前の木刀」

タイヘイ「血がついてるが……折れてはないな。持って行こう」

タイヘイ「……腹も減った。食料調達も必要だ」

タイヘイ「……なんで俺は、こんなに落ち着いてるんだ。自分でも不思議だ」


タイヘイ「(あれから、2時間以上歩いた)」

タイヘイ「(アイツらと遭遇することは、一度もなかったなかった)」

自分の家の近くを一通り歩いてみたけど、どこにいるか分からなかった)」

タイヘイ「(それとも、もうこの町にはいないのか、家に立て篭ってるのか)」

タイヘイ「(……家に立て篭っていたら、見つけようがない。一々、インターホンを鳴らしてたら日が暮れる)」

タイヘイ「どうするか……」

タイヘイ「(……そういえば、調べようと思ってて調べてなかった、避難所について)」

タイヘイ「(避難所は存在するのか? あれば、そこにいるはずだ)」

タイヘイ「(ネットは……使えるなな、よし)」

ゾロゾロゾロ…

タイヘイ「!?」

タイヘイ「(なんだ!? このゾッとするような感じは!?)」

タイヘイ「(……アイツらがここに接近してる!?)」

タイヘイ「(そんな馬鹿な! でも……!)」

タイヘイ「(……今は、自分を信じよう。どこか遠くへ!)」


タイヘイ「……もう、大丈夫そうだ」ハアハア

タイヘイ「……大きなマンションだな、20階ぐらいまでありそうだ」

タイヘイ「……あれ? なんだ、この感覚は……」

タイヘイ「俺は……ここを知ってる」

タイヘイ「……」ピッピ

ウィーン

タイヘイ「……」スタスタスタ

ガラッ

ピッ

『18階へ、上がります』

タイヘイ「……」


ウィーン

タイヘイ「……」スタスタスタ

タイヘイ「……」ピタッ

タイヘイ「この部屋……」

ガチャ

タイヘイ「! 開いてる」

タイヘイ「暗くて、なにも見えない……」

「カシオペア、アルタイル」

タイヘイ「誰かいるっ……!」スチャ

「デネブ、アルクトゥルス、スピカ」

タイヘイ「誰だ!?」

「……」クルッ

タイヘイ「!? 君は……!?」














金剛ヒカリ「久しぶり、タイヘイ」











タイヘイ「……」

金剛ヒカリ「……」

タイヘイ「(……えっと)」

金剛ヒカリ「……覚えてないの?」

タイヘイ「い、いや、覚えてるぞ!?」

金剛ヒカリ「声が裏返ってる」

タイヘイ「うっ」

金剛ヒカリ「……」ジーッ

タイヘイ「(俺はこの子を知っている、名前は……)」



『カシオペア、アルタイル、デネブ、アルクトゥルス、スピカ』

タイヘイ『あれ? なんか前にもこうやって星、教えた事なかったっけ?』

うまる『え? ないよ?』



タイヘイ「……ヒカリ、金剛ヒカリちゃん……」


金剛ヒカリ「……ちゃんと、覚えてるじゃん」ギュッ

タイヘイ「なっ! ひ、ヒカリちゃん!?」

金剛ヒカリ「なに?」

タイヘイ「ど、どうしてくっ付くんだ!?」

金剛ヒカリ「だめ?」

タイヘイ「だめと言うか……それより! なんで君がこんなところにいるんだ」

金剛ヒカリ「タイヘイが来ると思ったから」

タイヘイ「(り、理由になってない……)」

タイヘイ「……質問を変えよう。君はいつからここにいるんだ?」

金剛ヒカリ「5日前」

タイヘイ「5日前!? ということは……ゾンビが発生した日から!?」

金剛ヒカリ「うん」

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2016年09月14日 (水) 12:28:59   ID: obDMYgTU

2作目は駄作って法則は正しいんだね

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