橘純一『soldier game』 (847)

アマガミ×ラブライブです。

橘純一と絢瀬絵里のお話です。

大将にならどんな女の子でも任せられるという方以外は
気分を害する場合がありますので、ご注意ください。

また、アマガミ側の今回の主な登場人物は森嶋先輩と塚原先輩です。

超ゆっくり投下になりますので、読んでくださる方いらっしゃいましたらご容赦ください。

前作 橘純一『Snow halation』 橘純一×高坂穂乃果
橘純一『Snow halation』 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1436421962/)

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1441899053

~デアイ~
『いつもより早く目が覚めたぞ…今日は余裕をもって登校できそうだ!』

ピュゥゥ
橘(うぅ~…寒いなぁ)

橘(今日は珍しく早く目が覚めたからこんな時間に通学路を歩いているけど…)

橘(こんなに寒いならもう少し家で暖まってればよかったかも…)

橘「…」スタスタ

橘「…?」

橘(あれは…)

橘「…なにしてるんです?」

??「え?…橘君」

橘「おはようございます、森島先輩」

森島「うん!おはよう!今日は随分と早いね?」

橘「なんだか目が覚めちゃって。森島先輩は、いつもこの時間なんですか?」

森島「ううん、今日は特別!有名なアイドルが私のクラスに転校してくるらしいから、誰よりも早く見たくて!」

橘「あー!輝日東にスクールアイドルが来る、って話ですか。先輩のクラスだったとは…」

森島「そうなの!でもね、気付いちゃったの」

橘「? 何にですか?」

森島「いくら早く行ったって転校生には会えない、って…」

橘「…」

森島「だってそうでしょ?転校生って、先生に連れられて朝のHRで紹介するから」

森島「いくら早く登校したって教室にはいない…」

橘「…まぁ」

森島「こんなことに気付かなかったなんて…!」

橘「それで、こんなところで首をひねっていたわけですね?」

森島「ううん。それはもういいの」

橘「え?じゃあなにを…」

森島「早起きを無駄にしたくない私は思い出したの…!今日水泳部で朝練があるってひびきが言ってたことを…!」

橘「!」

森島「それでね、今日はどうやって覗こうかって迷ってたの。最近どこから行っても見つかっちゃうし…」

橘「なるほど…それは…」

森島「…ここで会ったのも何かの縁だし、橘君も行く?」

橘「はい!もちろん、ご一緒させていただきます!」

森島「オーキードーキー!いい返事ね!」

橘「ふふふ…それでは森島先輩。僕が最近見つけたとっておきの場所を森島先輩にお教えしましょう!」

森島「ええ!?そんな場所があるの!?教えて教えて!」

橘「慌てないで下さい!いくらとっておきでも、騒いでたらバレます」

森島「…!そうね。私としたことが、あまりの嬉しさにはしゃいじゃったわ…!」

橘「心意気は良しです!さぁ、行きましょう!」

森島「おー!」

―――――――――――

―――――――

――――

??「ふぅ」

??(早く来すぎちゃって校長先生へのご挨拶も終わったし、校内の見学でもしようと思ってうろうろしてたのはいいけれど…)

ピュゥゥゥ

??(ここどこなのかしら)

??(いや、決して私が方向音痴とかではなくて!)

??(知らない場所だから、適当に歩いたらどこかわからなくても当然よねっ)ウンウン

??「…」

??「はぁ…」

??(担任の先生がまだ来てらっしゃらないから適当な時間にまた戻ってご挨拶しないといけないのに…)

??(…)

??(かしこいかわいいはどこに行っちゃったのかしら…)

…センパイ!モウスコシツメナイトボクガミエマセン!

セマインダカラシカタナイシカタナイ!

??「…?」

??(声…ここの生徒?)

??「!」ピーン

??(恥ずかしいけれど…校長室までの道を聞きましょう!)

??(名案ね!)チカァ!

??「…」スタスタ

橘「ああっ、やっぱりスクール水着はいいですね!」

森島「ベリグー!ひびきみたいなスタイルで着こなされると、もうなんとも言えないわね!」

??「…」

??(この人たちは一体何を…)

??「あの…」

橘「いやー覗くなら上の窓からですよ!室内プール場が少し地下に作られてるのがポイントですよね!」

森島「うんうん!いいところに目をつけたわね橘君…!そのセンスに脱帽だわ…!」

??「…」

??「のぞき?」

森島「…?」クルッ

橘「え?」クルッ

??「あなたたち、こんなところで何をしているの?」

橘「え!?な、なにって、そのですね…」

森島「あー…うーんと…」

??「…」グイッ

橘「ああっ!その窓は…!」

??「…なるほど、ね」

森島「ど、どうか水泳部には内密に…」

??「…」コホン

??「みなさーん!ここに覗き魔がいますよー!」

橘「ひっ!」

森島「あ、ああ、あ…」

ノゾキ?…アッ!アンナトコロニ!マタアノフタリカァ…ザワザワ

??「まったく…転校して早々こんな場面に出くわしちゃうなんて」

橘「…転校?」

森島「…!もしかして」

??「…一応自己紹介しておこうかしら」

絵里「音ノ木坂学院から特別転校してきた、絢瀬絵里よ。覗き魔さんたち」

森島「…!音ノ木坂!スクールアイドルの子ね!」

橘「す、すごい!どうりで綺麗な人だと…」

絵里「…褒めていただけるのは嬉しいけど、ご自分の立場を考えて発言するべきよね?」

橘「へ…」

森島「…!」

??「…はるか、橘君」

橘「あ…!」

森島「ひ、ひびき…!」

塚原「…どなたか知りませんが、ありがとうございます。この2人覗きの常習犯で、まさかこんなところから見てたとは…」

絵里「そ、そうなの…」

森島「ご、後生だから!ひびき!もうしないからぁ!」

橘「僕も誓います!もう覗きなんてしません!」

塚原「その台詞も何度目よ…」ハァ

絵里「…ふふっ」

塚原「…?あの…」

絵里「あ、私、音ノ木坂から特別転校してきた、絢瀬絵里。よろしくね?」

塚原「ああ、あなたが噂の…私は3年生の塚原響。こっちが同級生の森島はるかで、そっちが2年生の橘純一君よ」

絵里「塚原さんに森島さんに橘君ね」

森島「はるかって呼んでいいのよ!」

橘「ぼ、僕も純一って呼んでください!」

塚原「こら、何調子に乗ってるの。これからお説教でしょ」

森島「ふぇぇん…」

橘「ふぐぅぅ…」

絵里「ふふふっ…覗き魔さんも形無しね。見た感じそんなに深刻な事件じゃなさそうで安心したわ」

塚原「そうね…いい加減反省はしてほしいんだけれど…。ところで、絢瀬さんはここで何を?」

絵里「え?あ…」

塚原「?」

絵里「その、えっと…」

橘「…?」

絵里「…校長室ってどう行けばいいのかしら…」カァ

森島「!」

橘「か、」

森島「かわいい!」

絵里「う…」

塚原「こーら、意地悪しない。校長室ね?ここを校庭側に出て…で…を…」

絵里「…わかったわ、ありがとう塚原さん!それじゃあ、私行かないと…」

塚原「ええ。また機会があったらよろしくね」

絵里「もちろん!そっちの覗き魔さん2人も、ね?」

森島「うん!よろしく!」

橘「よろしくお願いします!」

塚原「さ、行くわよはるか、橘君」

森島「う…」

橘「うぅ…」





橘(こうして朝から塚原先輩に怒られた…)

橘(けど、絢瀬絵里先輩か)

橘(…かわいかったな)

橘(ものすごくかわいかったな…)

橘(さすがアイドル…)

本日以上です。

前回に増して超スローペースですが完結に向けて頑張っていきますので、
読んでくださっている方いらっしゃいましたら、
キャラクター、口調、一人称等気になったところでも書き込んでいただけると幸いです。

また、感想もあればどんどん書き込んでください。
やる気出ます。

ではまた

『教室もアイドルが転校してくる話題で持ちきりだ!』

―――――教室
ガララッ

橘(や、やっと終わった…)

橘(せっかく早めに起きたのに教室につく時間はいつもと変わらないなんて…)

橘(…)

橘(次はもっとうまくやろう…)

ザワザワ…アイドルガ…ザワザワ…

橘(…聞き耳を立てていると、みんなやっぱり転校してくるアイドルが気になってるみたいだ)

橘(ふふふ…僕は一足先に拝ませてもらった!)バーン!

橘(すごくかわいかったなぁ…)ニヤニヤ

梅原「よう!大将。なにニヤついてるんだ?」

橘「ん、梅原。おはよう。そんなに顔に出てたか…?」

梅原「ああ。完全に悪い顔してたぜ…」

橘「気をつけるよ」

梅原「そうしろそうしろ!…にしても、朝からクラスが騒がしいな。やっぱりアレか?」

橘「だろうな。高校生活史上最大のニュース!だし」

梅原「なんだなんだ、大将まで興味津々かぁ?」

橘「梅原はそうでもないのか?」

梅原「んー、まぁ人並みには、ってところだな」

橘「ふーん…でもすごいかわいかったぞ」

梅原「なに!?大将、もう見たのか!?」

橘「あー…うん、偶然ね」

梅原「へぇ!さすがだぜ…なら俺が仕入れた情報もいらねぇかな?」

橘「な、なに!?なにか知ってるのか梅原!」

梅原「おうよ!転校の噂が出たときから確かなスジから集めた情報だ!」

橘「ふむ…」

梅原「でも実物を見たんならなぁ…」

橘「いや、名前と学校しか聞いてないぞ!教えてくれ!」

梅原「そうか?なら…知ってる通りだと思うがまず名前は絢瀬絵里。女子高の音ノ木坂学院3年生」

橘「うんうん。後から思ったけど、音ノ木坂って国立の伝統女子校だよなぁ」

梅原「そうだな。そしてなんと元生徒会長!凛とした雰囲気があるとかないとか」

橘「あぁ…たしかに、あるとかないとか…」

梅原「?…まぁいい。あとの情報は見た目についてなんだが…実際見たんだろ?」

橘「い、一応聞いておくよ」

梅原「おう。金髪、白い肌、グラマラスボディと3拍子揃ってて、ハーフじゃないかとも言われてるらしいぜ」ゴクリ

橘「ハーフ…」ゴクリ

橘「あんまりじっくり観察できなかったし、思い返すとそうだったかも…」

梅原「と、こんなもんだな。ここまで聞き出すのも苦労したんだが、やっぱり百聞は一見に勝てねぇもんだ」

橘「いや、ありがとう!話を聞いたらこれはもうなんとしてでも脳に焼き付けるくらい見ておかないとってなったぞ!」

橘「…というか梅原、そこまで調べておいて人並みにしか興味はないって…」

梅原「おっと、そろそろ麻耶ちゃんがくるなー!席つかないとなー!」クルッ

橘「おい!梅原!」

梅原「はっはっはっはー!」スタスタ

橘「…結構楽しみにしてたんじゃないか」

橘(でも、いい情報をきいたぞ!)

橘(なんとかしてもう少しじっくり見れないかな…)

『噂のスクールアイドル、絢瀬先輩を見に行こう!』

―――――昼休み

橘(さて)

橘(昼休みだし、3年生の教室まで行って遠くから見るだけでも…!)ガタッ

橘「梅原」

梅原「んぁ?どうした大将」

橘「3年生の教室行くけど一緒に行くか?」

梅原「…あー…やめとくよ」

橘「えっ?なんで…」

梅原「行けばわかるさ。とにかく俺はパスだ」

橘「?」

――――――

橘「うーん…」スタスタ

橘(梅原のヤツ、やけにノリが悪かったな…どうしたんだろう)

橘「…」

橘「お、そろそろ着くぞ…」スタ…

ワーワー!キャーキャー!オスナヨ!イタイイタイ!!ワー!

橘「…」

橘「?!」

橘(なんだこれは…あのクラスの周りだけ人が集まりすぎてる…)

橘(廊下までびっちりじゃないか!いったいなにが…)

橘(…)

橘(はっ!もしかして…)

橘(あの中心に絢瀬先輩がっ!?)

橘(たぶん間違いないだろう…イベントに飢えてる輝日東の学生のことだ…)

橘(…)

橘(さて、どうする)

橘(おそらくあんなところに突っ込んだらタダじゃ済まない)

橘(かといってこのまま引き下がるのか?)

橘(…)

橘「いや…」

橘(行くしかない!)キッ

橘(行動しないと何も始まらないじゃないか!)

橘(男を見せろ橘純一!)

橘「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」ダッ

――――――――――――――――――――――――――――――


―――――――――――――――――――

――――――――――――

――――――

ガラッ

梅原「お、大将!どうだっ…」ギョッ

橘「む、無理は…よくないな…」ボロ

梅原「もしかして特攻したのか?あの人だかりに…」

橘「ああ…でも悔いはない…僕は十分戦ったよ…」

梅原「…そうだな。今は休め。大将はよくやったよ」ポンポン

橘「うん…おやすみ梅原…」フラフラ







橘(…こうして、僕は放課後まで一回も起きることなかった)

橘(人の力を侮っていたよ…)

『今日は散々だった…帰ろう…』

橘(あー…まだ体中痛いよ…)

橘(梅原は家の手伝いで先に帰っちゃったし)

橘(1人で帰るか…)

――――――――――

――――帰り道、公園
橘(うう、動くと痛い…)

橘(公園で休憩していこう…)スタスタ

橘「…」トサッ

橘「ふぅ…」

橘(座ると少し楽だなぁ。家にたどり着けるといいけど…)

??「…あっ!」

橘「?」

??「キミ、輝日東高校の人?ちょっと聞きたいことがあるんだけど…」

橘「はい…?」チラッ

橘「…!」

橘「あ、絢瀬先輩!」

絵里「え?あ!朝の覗き魔の!」

橘「う、それは…」

絵里「冗談よ、冗談。橘君、よね?」

橘「はい!覚えてくださってたんですね!」

絵里「そりゃもう。忘れようとしても忘れられない出会いだったわよね?」

橘「うぐ…」

絵里「ふふふっ、ちゃんと塚原さんに絞られたみたいだったし、もうあんなことしちゃだめよ?」メッ!

橘「あはは…」

絵里「ところでこんなところで何を…」

橘「何ってわけじゃないんですが…」

絵里「?」

橘「…ちょっと休憩してまして」

絵里「休憩?橘君、部活でもやっていたの?」

絵里「にしては中途半端な時間よね…」

橘「はは…」

絵里「…?」

絵里「…」ジッ

絵里「…!」

絵里「よく見たらすごい怪我じゃない!大丈夫なの!?」

橘「あ、は、はい…なんとか…」

絵里「うーん…あ!そういえば…」ゴソゴソ

絵里「はい、これ。湿布と絆創膏!」

橘「ええっ!?そんな、悪いですよ!」

絵里「いいのよ。これも何かの縁、でしょ?」

橘「う、ありがとうございます…」

絵里「素直でよろしい。絆創膏貼ってあげるからじっとしててね?」ペリペリ

橘「…」

橘「は?」

絵里「よいしょ…」スッ

橘「うわっ!近い!近いですよ!」

絵里「あ、こら!動かないの!」ガシッ

橘「う、ぐぐ…」

絵里「いい子いい子。…ここね」ペタッ

橘(…なにが起きているんだ)

絵里「あとは…うわ、痛そうな痣…」ペタペタ

橘(どう考えたっておかしいぞこの状況は…)

橘(しかし言えることは1つ)

橘(絢瀬先輩は天使で、ここは天国ってことだ…)ジーン

絵里「よし、できた。なにしたらこんな怪我になるのかしら…」

橘「あっ、ありがとうございます!ちょっと色々ありまして…」

絵里「なに?聞かれたら困ることなのかしら?」クスッ

橘「そ、そんなところですね!はははっ!」

橘(ばれたらかっこ悪いしそういうことにしておこう…)

絵里「あ、またのぞきで失敗したとかじゃないでしょうね?」

橘「違いますよ!流石に今日の今日でのぞきは…」

絵里「その言い方だと、またいつかはやります!って言ってるようなものよ?」

橘「はっ!」ビクゥ!

絵里「クスッ…あなたって面白いわね。水泳部も慣れてたみたいだったし、私からとやかく言うのはやめておいてあげる」

橘「うぅ…ありがとうございます?」

絵里「どういたしまして」クスクス

橘(…)

橘(改めて見ると)

橘(かわいいと言うより美しいのかも…)ポーッ

絵里「…?」

橘「…」ポーッ

絵里「…橘君?どうかした?」

橘「へ?あ、いえ!なんでもないです!なんでも!」

絵里「そう?…もしかして、私に見惚れてた、とか?」

橘「え!?な、なんでわかったんですか!?」

絵里「っ!?」

絵里「も、もう、私だってアイドルだし、それに女の子はそういうのはわかるものよ!?」プイッ

橘「そうですか…すみません、すごく綺麗だったので…」

絵里「…」フー…

絵里「とにかく!…橘君はそういうの、特にわかりやすいタイプのようだから、気をつけるように!」

橘「ハイ…」

絵里「うん、よろしい」

橘「…?」

絵里「な、なに?」

橘「…絢瀬先輩、顔が赤いですよ」

絵里「!?」ビクゥ

橘「風邪とかじゃ…」

絵里「だ、大丈夫よ!心配しないで!」

橘「でも」

絵里「…っと!私そろそろ帰る時間が!」

橘「え?…もうこんな時間でしたか」

絵里「それじゃあ橘君、また会いましょう」シュタッ

橘「はぁ…あ!絆創膏と湿布、ありがとうございました!」

絵里「どういたしまして…じゃあね?」

橘「はい!また!」フリフリ

絵里「―――!」ブンブン

橘(…奇跡だ)

橘(これが、奇跡…)

橘(…)ムズムズ

橘(うおおおおおおおおおおおおおお!!!!)

橘(とりあえず帰ったらスクールアイドルについて調べよう!!!)グッ!

橘(絢瀬先輩のことをもっとよく知らないと!)

絵里「…あの~」ヒョコッ

橘「うわぁ!?」ビクッ

橘「あ、絢瀬先輩?」

絵里「そもそも私、道がわからなくて声をかけたんだったの…」

絵里「その…駅までの道、教えてくれない?」

橘「へ」


橘(…)

橘(…)

橘(…)

橘(…)

橘(…)

橘(…)

橘(…)

橘(…)

橘(…)

橘(…)




橘(…やっぱりかわいいです)

絵里「…橘君?」

橘「よろこんで!」バッ

絵里「そんな急に立つと!」

橘「あ、っつー…」ズキズキ

絵里「無理しなくても、口頭で教えてくれればいいのよ?」

橘「いえ!お供します!」

絵里「橘君、お家は駅の方なの?」

橘「いえ…違いますけど…」

絵里「ならだーめ!無理しないで?」

橘「うぐ…」

絵里「ね?」

橘「ハイ…」

絵里「それでよし。で、駅への道なんだけど…」

橘「はい、そこの道を…~で…~へ曲がって…」

――――――

絵里「…うん、わかったわ!ありがとう橘君!」

橘「いえいえ、このくらいはお安い御用ですよ!」

絵里「頼もしいわね」クスッ



橘(その後、絢瀬先輩は軽く会釈をして夕闇に消えていった)

橘(夢みたいな時間だったけど…)

橘(体中痛いし、現実なんだな…)

橘(…へへへ)

『やっと家だ…早く寝たい…』

橘「つ、着いたぞ…学校から家までこんなに遠かったっけ…」

橘(途中絢瀬先輩に会ってなかったら危ないところだったな…)

美也「…にぃに?」

橘「…美也か。ただいま」

美也「なにその怪我!大丈夫?」

橘「ああ…なんとかな」

美也「…すごい怪我なのになんでそんなにニヤついてるの?」

橘「え!?に、にやついてなんて…」

美也「あ、もしかしてかわいい女の子と知り合いになれたとか?」ニシシ

橘「…」

美也「図星なの!?ふぇー、わかりやすいねにぃに!」

橘「それがな、ただのかわいい女の子とはわけが違うんだ」

美也「え?それってどういう…」

橘「今日、スクールアイドルが転校して来ただろ?」

美也「うん!たしか3年生だー、って」

橘「なんと帰りに偶然話しかけられてな!」

美也「えぇーっ!?いいないいな!サインとかもらった!?」

橘「サインって…」

美也「もらってないのー?ダメだなぁにぃにはー!」

橘「むしろなんでサインを…美也、もしかして元々ファンだったとか?」

美也「ううん?今もらっておけば、有名になったときに価値が出るかもでしょ!」

橘「なんてヤツ…」

美也「あ、でも逢ちゃんとパソコンでμ’sの歌は見たよ!すごかった!」

橘「ミューズ?」

美也「えー?知らないのにぃに!転校してきた人のいるスクールアイドルグループだよ!」

橘「ふーん…で、パソコンに動画があるのか?」

美也「ゆーちゅーぶにあったよ!にぃにも見てみたら?」

橘「うん、そうしようかな」

美也「じゃあ、みゃーはお風呂に入ってくるのだ!覗かないでよ?にぃにっ」スタスタ

橘「覗くかっ!」

橘(…パソコンか)スクッ

――――――自室
橘「えーっと…」カチカチッ

〈ハロウィンイベント♪スクールアイドルライブ動画!〉

橘「これかな?」カチッ

イッツアマージカール!フシギガグウゼンヲマーネイーテールー

橘「…!」

橘(絢瀬先輩だ。本当にアイドルなんだな…)

橘(絢瀬先輩以外にも、こんなにかわいい子達が…)

モットモットーオードラセテー! ミンナミンナートーマラナイー!

橘(…すごい。こんな人が、うちの高校に…)

橘(…すごい。こんな人が、うちの高校に…)

橘「…」

橘(…ん?μ’sの紹介ページ?)カチッ

橘「絢瀬絵里…ロシア人のクォーター…元生徒会長…」

橘(クォーターかぁ…やっぱりなぁ。綺麗さが段違いだし…)

橘(あと、生徒会長。似合うなぁ…)

橘「…なになに?ダンス、歌はもちろん、衣装までグループ内で仕事を分けて手作りしてます…」

橘「ラブライブ出場、優勝に向けて頑張ります?ラブライブってなんだろ…」ハテ

橘「…」カタカタ

――――――――――――――――

―――――――――――

――――――

橘「…」

橘(なんてこった…)

橘(スクールアイドル…μ’s…)

橘(僕が思ったよりもアイドルって…すごいんだ)

橘(目標があって、努力して、有名になって…)

橘「すごい人と知り合ったんだなぁ…」

橘(でも音ノ木坂は女子校だし、男の友達は少ないはず)

橘(もっと近づけたら、唯一の男の仲良しの後輩…!?)

橘(…)

橘(無理かなぁ…)

橘(今日は偶然に偶然が重なって名前まで覚えてもらえたけど)

橘(休み時間の感じだと、近づくどころかまたお話しするだけでも大変そうだ…)

橘「…」ハァ

橘「…」ウーン

橘(道があるとするなら…)

橘(やはり森島先輩と塚原先輩…)

橘(朝の一件もあるし、あの2人が絢瀬先輩と仲良くなればもしかして…)

橘(森島先輩のことだ…せっかくのチャンス、放っておくわけがない)

橘(…もしかしたら同じクラスに転校してきた可能性もある)

橘(ひょっとしたらひょっとするかも…?)

橘「よーし!ちょっと無謀だけど、明日は森島先輩に話を聞こう!」

橘「やれるだけやってやるぞー!」オーッ!

パソコン<ハラショー!

初日が終わったところで今日はここまでです。

個人的にポンコツ気味な絢瀬さんが好きなのでこうなっちゃいました。

ご感想等ございましたらガンガンぶちまけてくださいね!

読んでくださってる方、書き込んでくださっている方
ありがとうございます。頑張ります。

『森島先輩に話を…聞けるかな…』

――――三年生教室前

ザワザワ…

橘(…昨日より増えてる)

橘(…しかも)チラッ

ザワザワ…モリシマハルカトアヤセエリノクミアワセナンテ…ザワザワ…

橘(周りの話から察するにこの真ん中にお2人ともいそうだ)

橘(もう突っ込んで怪我するのも嫌だし、なによりまだ治ってないし…)

橘(…)チラッ

橘(絢瀬先輩の貼ってくれた絆創膏…)

橘(これを無駄にしてまで突入することは僕にはできないっ…!)

橘(残念だけど出直そう…出直してどうにかなるわけじゃなさそうだけど…)

橘「はぁ…」トボトボ

『仕方ないとはいえ、情けなかったかなぁ…』

―――――昼休み、屋上

橘(…はー)ストッ

橘(やっぱり玉砕覚悟で突っ込めばよかったかなぁ)ガサガサ

橘(こんなんじゃお近づきになる前に転校期間が終わっちゃうんじゃないか…)バリッ

橘(…というかいつまで絢瀬先輩は輝日東にいるんだ!?)ハッ!?

橘(しまった、そこを気にしてなかった…)

橘(どうするかなぁ…)ウーン

??「…」ガチャ

橘「うーん…」モグモグ

??「…? 橘君?」

橘(高橋先生ならもしかしたら知ってたり…)

??「橘くーん?」

橘(聞いてみるだけでも…)

??「おーい!橘君!」

橘「ふあっ?」パチッ

絵里「やっと気付いた?」

橘「え」

橘「あ、あああ絢瀬先輩!?」

絵里「そんなに驚かなくてもいいじゃない…」

橘「す、すみません!でもどうしてここに!?」

絵里「それがねー…」

 森島『絢瀬さーん!一緒にお昼どう?』

 絵里『森島さん。いいわよ!どこで…』

 塚原『こら、はるか。進路相談今日でしょ?』

 森島『え!?そういえばそんなこともあったようななかったような…』

 塚原『連れてくるように言われてるのよ。じゃあ、悪いけど絢瀬さん、私たち職員室行かないといけないから…』

 森島『あーん!ひびきのいけずー!』

絵里「…ってことがあって」

橘「森島先輩…」

絵里「その後教室で食べようと思ったんだけどね…あんまり人が集まってきちゃって、迷惑そうだったから抜け出してきちゃった」

橘「大人気ですからね!」

絵里「私もここまでとは思わなかったわ…」

橘「ははは…でも、どうして屋上に?」

絵里「いつもアイドル活動の練習してるのが屋上で、この学校の屋上はどうなってるのかなって思って」

橘「屋上で練習を?」

絵里「ええ。運動部の活動があるし、場所がなくて」

橘「へー…」

絵里「最初はこんな場所で練習なんて、って思ったけど、慣れてくると特別に思えてくるものよ?」ニコッ

橘「!」ドキン

絵里「…? どうかした?」

橘「い、いえなんでも…」ドキドキ

絵里「そう…?」

絵里「あ、ここで一緒にお昼食べてもいいかしら?お邪魔だった?」

橘「いえ!とんでもない!」

絵里「じゃあ…お隣、失礼するわね」ヨイショ

橘「はい!」

橘(こ、こんなことがあってもいいのだろうか…)

橘(ああ、神様ありがとう…!)

絵里「~♪」パカッ

橘「あ、お弁当ですか!」

絵里「ええ。外で買うと食費もかさむし、前日の晩御飯の残りがあるときはお弁当なの」

橘「へぇ…家庭的ですね!」

絵里「たいしたことではないと思うけど…」

橘「いえいえ!なかなか朝起きて作ろうとは!しかも自分で用意なんて!」

絵里「ふふっそうかしら。両親がロシアに住んでて、家では妹と二人暮らしだから…もう慣れちゃったわね」

橘「ご両親がロシアに…」

絵里「そうそう。私、こんな見た目でしょ?実はロシア人のクォーターで…」

橘「あ、昨日見ましたよ!ラブライブ公式サイトで」

絵里「そうなの?なんだか恥ずかしいわ」

橘「ラブライブ、頑張ってください!応援してます!」

絵里「ありがとう!転校してみんなに迷惑をかけているし、その分きっちり練習していかないとね」

橘「最終予選が近いのに転校だなんて、なにかあったんですか?」

絵里「スクールアイドル転校プロジェクト、って言ってね。各校のスクールアイドルが所属する地域の周辺に行って、学校を活性化させる、ってお話だそうよ」

橘「へぇ…」

絵里「他のグループもやってるみたいだし、μ’sだけ不利、ってわけじゃなさそうだし」

絵里「なにより色々な人と出会ってふれあえるから私はいいと思ってるわ!」

橘「そうですね!僕も絢瀬先輩とこうしてお話できているのはそのプロジェクトのおかげですし、感謝します!」

絵里「…本当は別のメンバーが来たがってたんだけれど」

橘「そうなんですか?」

絵里「ええ。高坂穂乃果っていうμ’sのリーダーの子がね…」

橘「それならなんで絢瀬先輩が?」

絵里「…あの子、生徒会長なのよ」

橘「あー…」

絵里「と言ってもね、私も元生徒会長だし、『代わりに仕事をしてあげるから行かせてあげたら?』って提案したんだけど」

絵里「『そうやって甘やかすからつけあがるんです!』って他の子に言われちゃって…」

橘「なるほど…」

絵里「技術的にも、成績的にも多少無理が通る、って結局私が選ばれたの」

橘「ということは勉強もアイドル活動もすごい人なんですね、絢瀬先輩!」

絵里「そうでもないんだけどね…」

橘「またまた… ところで、転校期間はどのくらいなんですか?」

絵里「1ヶ月よ。最終予選の前には帰ることになるわね」

橘「1ヶ月…」

絵里「短い期間だけどできるだけいい刺激をもらって、アイドル活動に活かしていきたいわね」

橘「…立派ですね」

絵里「そうかしら」

橘「はい。僕も絢瀬先輩の刺激になれるよう頑張ります!」

絵里「ふふっ、なによそれ…でも、ありがとう橘君」






橘(絢瀬先輩と昼食を楽しんだ)

橘(昼休み、屋上に来てよかった…)

橘(それにしても1ヶ月か…)

橘(学年も違うし、絢瀬先輩も忙しそうだけど…)

橘(僕は僕なりにがんばろう!)

先輩後輩ってやり辛いですね…

久しぶりの投下も短めですが、次は早めにイケると思います。

次はもう少し展開があると思うので、読んでくださっている方はお待ちください…

期待されている方、嬉しいです!
クオリティに関しては、高坂さんよりも書いてて難しいので、ご了承ください…

『もうこんな時間か!今日は梅原と寄り道だ!』

橘(今日は絢瀬先輩とたっぷりおしゃべりしたし、なんだか気分がいいなぁ!)

橘(色々考えたけど2日目でこれなら1ヶ月あれば何とかなりそうな気までしてくるぞ!)

橘「~♪」

梅原「お、ご機嫌だな大将!」

橘「梅原。そうなんだよ~昼休みにさぁ…」

梅原「絢瀬先輩と昼飯食ったんだろ?もう何度も聞いたっての」

橘「あ、あれ…そんなに言ってたか…?」

梅原「無意識かよ…」

橘「ははは…」

梅原「嬉しいのはわかるからいいけどよ…まさか今日は新作がゲーセンに入るって話まで忘れちゃいないだろうなぁ?」

橘「それは大丈夫だ!帰りに寄っていくんだろ?」

梅原「おう!覚えてたな!早速行くとしようぜ!」

橘「ああ!」

―――――――――――――――――――――――――――――

――――――――――――――――――――――――

―――――――――――――――――

――――――――――――

――――ゲームセンター

橘「いやぁ…いいバランスの格闘ゲームだったな!」

梅原「そうだな。これからが楽しみだ!」

橘「あのキャラのパンチがもう少し使い勝手よければ…」

梅原「あれはあれでうまく使えばだな…」

橘「…」チラッ

橘「…ん?」

梅原「? どうした大将」

橘「いや、あそこ…」

梅原「ん?」ジッ

絵里「…」ジーッ

梅原「うわっ!すげぇ美人!」

橘「絢瀬先輩だ…」

梅原「なにぃ!?あれがか!大将、えらい人狙ってんなぁ…」

橘「狙ってるわけじゃないって!…でもあんなところでなにしてるんだろう」

梅原「ガンシューティングゲームを見つめて…」

絵里「…」ソワソワ

橘「…やろうかどうか迷ってるのかな」

絵里「…」ウーン

梅原「考え込んじまった…」

橘「…」

橘「…」タッ

梅原「あっ、おい大将!」タッ

絵里「…」ウーン

橘「絢瀬先輩!」

絵里「!」ハッ

絵里「橘君!と…お友達?」

梅原「は、はい!梅原と申します!」

絵里「梅原君ね!絢瀬絵里です。よろしくね?」

梅原「はい!よろしくっす!」

絵里「…それで、どうしたのこんなところで?」

橘「僕たちは寄り道で格闘ゲームをやりに来ただけですけど…」

梅原「絢瀬先輩は何してたんすか?」

絵里「え!?そ、それは…」

橘「このガンシューティングがなにか…」

絵里「う…」

絵里「ちょ、ちょっとね!やってみたいかな~って思ったんだけど、ほら、二人用みたいだったから!」

橘「あ、それなら僕たちと一緒にやってみませんか?」

絵里「え?」

橘「ほら、これ持ってください」ガチャ

橘「2Pは梅原がプレイして、絢瀬先輩は僕が横で教えながらプレイしましょう!」

梅原「おう!任せといてください!」スチャ

絵里「そ…そう?じゃあ、よろしくね、橘君、梅原君?」スチャ

橘「はい!ではいきますよー…」チャリン

絵里「橘君、私初めてだから…優しくしてね?」

橘「は…」

橘(ゲームの話ゲームの話ゲームの話ゲームの話ゲームの話ゲームの話ゲームの話ゲームの話ゲームの話…)

橘「はい!優しくします!」ビシィ

―――――――

梅原「お、敵ですよ絢瀬先輩!」

絵里「えっ!?どうすれば…」

橘「銃を向けるとカーソルが出ますから、敵に合わせて撃ってください!」

絵里「えっと…こうね!」バン!

橘「ナイスです!その調子で!」

絵里「ふぅ…どんどんいくわ!」バシュバシュ

梅原「あんまり撃ちまくると…」

絵里「あら?出なくなっちゃった…」カチカチ

橘「そういう時はですね、銃のカーソルを画面外に出すと弾がリロードされますから…」

絵里「こう?」サッ

カチャチャ

絵里「できたわ!」

橘「基本的にその繰り返しです!頑張ってください!」

絵里「ええ!行くわよ!」

梅原「はい!」

――――――――

絵里「橘君!あの敵はどうやって…」

橘「あの敵はですね、弱点しかダメージが行かないので頭を狙って…」

絵里「頭ね!覚悟しなさい!」バンバン!

橘「敵が仰け反ったときに粘液を出すので避けてください!」

絵里「きゃっ!」

橘「ああっ!」

絵里「もう…出るなら出るって言っておいてくれないと…べたべたじゃない」

橘「は…」

橘(ゲームの話ゲームの話ゲームの話ゲームの話ゲームの話ゲームの話ゲームの話ゲームの話ゲームの話…)

橘「はい!すみません!」

梅原(大将…)

―――――――

橘「その敵は丸呑みにされるので気をつけてください!」

絵里「気をつけるってどう…あっ!」

橘「ああっ!でも大丈夫です!体内で撃ちまくればすぐ出られます!」

絵里「もうっ!この!この!」バンバン!

絵里「全部入っちゃった…出しなさい!早く出して!」カチャチャ

橘「…」ゴクリ

梅原(大将…)

―――――――

絵里「これが最後のボス?」

橘「はい!遂に来ましたね」ゴクリ

梅原「俺は周りの雑魚を処理します!先輩はボスを!」バシュ!

絵里「わかったわ!」バンバン!

橘「ボスは触手で攻撃してきます!触手を出してきたら撃ち落としてください!」

絵里「! きたっ!これね!えいっ!」ババババ…

絵里「きゃっ!捕まっちゃったわ!」

絵里「あ…っん!やぁ…これ…全然終わらない…っ!」

橘「…」ハァハァ

梅原(大将…)

―――――――――

絵里「結局負けちゃったわね…」

梅原「でも初めてであそこまでいけるのはすごいっすよ!」

橘「はい!ありがとうございました絢瀬先輩!」

絵里「…? 何の感謝?」

梅原「…」

絵里「まぁいいけど…こっちこそありがとう!楽しかったわ!」

橘「それは何よりです!」

絵里「そういえばゲームのお金…」

橘「いえ!いいんですよ!」

絵里「そんな、悪いわ。つき合わせておいてお金までなんて」

橘「たいした金額でもないですし!いいものも見れましたし!」

絵里「…?」

橘「とにかくいいんです!」

絵里「そ、そう…」

橘「はい!」

梅原「…」

絵里「変な橘君…あ、もうこんな時間!私帰らないと…」

橘「駅まで送りますよ!」

絵里「すぐそこだし、大丈夫よ。じゃあね!今日は本当にありがとう!」

橘「いえいえ!全然ですよ!」

絵里「梅原君も、ありがとう!」

梅原「あ、はい!どういたしましてっす!」

絵里「ばいばい!」フリフリ

橘「はい!また!」ブンブン

梅原「…」

橘「はー…」

梅原「…大将」

橘「ああ…わかってる…何も言うな…」

梅原「…ああ」

橘「…」スッ

梅原「…」スッ

ピシパシガッグッ

『今日も早めに目が覚めたし、余裕をもって登校しよう!』

橘「ふんふんふ~ん」

橘(今日も目覚めバッチリで寒さすらさわやかに感じるぞ!)

橘(最近調子がいいなぁ!)

橘「~♪」スタスタ

橘「…」スタ…

絵里「…」ハァーッ…

橘「…?」

橘(あれは…絢瀬先輩?)

橘(連日運がいいなぁ…一生分の運を使い果たしてるんじゃ…)

橘(でも、坂のふもとで立ち止まって…何してるんだろう…)

橘「…」スタスタ

絵里「…」

橘「…絢瀬先輩?」

絵里「…!た、橘君!?」

橘「なにしてるんですか、こんなところで?」

絵里「…ふむ」ジッ

橘「…?」

絵里「…」ジーッ

橘(な、なんだ?見つめられて…)

絵里「…橘君」ジーッ

橘「は、はい?」

絵里「彼女とか、いる?」

橘「は!?い、いません…けど」

絵里「そう…」

橘「…?」

絵里「…」ウーン…

橘(考え込んでしまった)

橘(今の質問…なんなんだ…?)

絵里「…」ウーン…

橘「あの、絢瀬先輩?」

絵里「…」ウーン…

橘「あの…」

絵里「…」

絵里「…」ハッ

絵里「あ、ご、ごめんなさい!ちょっと考え事を…」

橘「見ればわかりますけど…」

絵里「そ、そうよね!あは、あははは…」

橘「?」

絵里「はは…」

絵里「…」

絵里「流石に…でも…」ブツブツ

橘「…?」

橘(どうしたんだろう…)

絵里「…」ウー…

橘「…」

橘「絢瀬先輩!」

絵里「はっ!な、なに!?」

橘「なにかお悩みがあるなら相談に乗りますよ!」

絵里「えっ…」

橘「お役に立てるかわかりませんけど…言うだけでも違うって言いますし!」

絵里「橘君…」

橘「はい!」グッ

絵里「…」

絵里「ありがとう、でも、そんなたいしたことじゃないから」

橘「え…」

絵里「ふふっ、本当よ?心配してくれてありがとう」ニコッ…

橘「そうですか…」

絵里「ええ!さ、学校に行きましょう!」タッ

橘「ああっ!待ってください絢瀬先輩!」タッ

絵里「遅いおそーい!」タッタッタッ…





橘(…朝から絢瀬先輩に会えたのはよかったけど)

橘(絶対何か悩んでたよ…)

橘(まだそこまで信頼されていないってことか…)

橘(歯がゆいなぁ…)

ようやく方向性が定まってきたので、
これからはもう少しサクサク投下していきたいです。

なんだかんだ忙しいのでスローペースではありますが、
お付き合いくださる方、気長によろしくお願いします。

感想等はモチベーションになります。ありがとうございます!
次からこそもう少しまとめて投下していきます。
がんばります!

『そういえばどうして絢瀬先輩は一人でゲームセンターにいたんだろう』

橘(なぜ絢瀬先輩は1人でゲームセンターにいたのか)

橘(…気になる)

橘(聞けたら聞いてみよう!ムダかもしれないけど3年生の教室に…)

―――――3年生教室前

橘「えーっと…」キョロキョロ

橘(どうしたんだろう…今日は人が集まっていない!)

橘(逆に見つけ辛いなぁ…)

橘「…あ!」

橘「森島先輩!」

森島「へ? …橘君!どうしたの?」

橘「今日は絢瀬先輩や塚原先輩と一緒じゃないんですね」

森島「ひびきは水泳部のミーティング、絵里は職員室かな?」

橘「職員室?というかいつの間に名前で…」

森島「同じクラスだからね、仲良しになるのに時間はいらないでしょ?」

橘「はぁ…」

森島「なに?…無理矢理じゃないからね!」

橘「そうですか…」

森島「信じてないな~!」

橘「信じてますって!すごいなぁ森島先輩はー!」

森島「むー…」

橘「それで、なんで絢瀬先輩は職員室に?」

森島「人が集まりすぎるから、学校側で対応するための話し合い、だって。私としてもおしゃべりしやすくなるからいいことよね!」

橘「…なるほど」

橘(確かにアレは異常だもんなぁ…)

森島「それで、橘君は何か用なの?」

橘「あ、それはですね…」


―――――――――――――

――――――――――

―――――――

――――

森島「えー!?ずるい!私も絵里と遊びたかったぁ!」

橘「それはまた今度誘ってみたらどうです?」

森島「絶対誘う!」

橘「それでですね、そもそもなんで絢瀬先輩がゲームセンターにいたのかなって聞きたくて…」

森島「うーん…私とひびきは用があってすぐ帰らなくちゃいけなかったから…」

森島「私にはわからないかな…」

橘「そうですか…」

森島「あ、今日、屋上で絵里とひびきとお昼ごはん食べるから橘君も来る?」

橘「え?いいんですか?」

森島「もちろんよ!そのときに絵里に聞いてみたら?」

橘「なら、お言葉に甘えさせていただきます!」

森島「うんうん!じゃあ、楽しみにしてるねー?」

橘「はい!ありがとうございます!」

『昼休みだ!屋上に急ごう!』

―――――屋上

森島「ん~♪絵里のお弁当おいしい!」モグモグ

塚原「本当…これ、自分で作ってるのよね?」モグ…

絵里「ええ。昨日の残りだけど、手作りは手作りよ」

森島「すごーい!私もひびきもお料理はちょっとだけへたっぴだもんね?」

塚原「ちょっとだけ、ね…」

森島「橘君も絵里のお弁当食べる?」

橘「えっ!いいんですか!」

塚原「人のお弁当を勝手に…」

絵里「いいのよ、たくさんあるから是非食べて?」

橘「はい!いただきます!」ヒョイパク

森島「どうどう?おいしいでしょ!」

橘「はい!好みの味付けです!」モグモグ

森島「ふふーん♪」

塚原「なんではるかが得意げなのよ」

絵里「でも気に入ってもらえたようでよかったわ」フフッ

橘「これなら毎日でも飽きずに食べられますね」モグモグ

森島「わお!橘君だいたん!」

橘「へ」

森島「キミの料理を毎日食べたい」キリッ

森島「ってやつでしょ?」

橘「なっ!」

絵里「え…」カァッ

橘「そそそそそういう意味で言ったわけじゃ…!」

塚原「クス…橘君も絢瀬さんも顔真っ赤よ?」

絵里「もう!からかうからでしょ!」

橘「そうですよ!」

森島「そんなにいい反応するとは思わなかったから♪」

絵里「むむ…」

森島「…あ、そういえば絵里」

絵里「?」

森島「1人でゲームセンター行ったって?」

絵里「…!」

塚原「絢瀬さんが?」

森島「うん!ね?橘君?」

橘「はい。梅原と寄ったらいらっしゃったので、一緒にゲームしましたよ!」

塚原「へぇ…」

森島「いいないいなー!ねね、今度私とも行こう?」

絵里「そ、そうね!その内…」

森島「でも、1人でゲームセンターなんて行ったりするのね!絵里って!」

絵里「あー…そうね…」

橘「それにしては割とどこにでもあるガンシューティングを初めて、って言ってたんで、いつも行ったりはしてないんですよね?」

絵里「…」

橘「…?」

絵里「あー…この前は、たまたまね、通りがかりにみたら楽しそうだったから…」

絵里「…!そう!それで様子を伺ってたら橘君と梅原君が現れたのよ!」

橘「そ、そうですか…」

塚原「…」

森島「それなら言ってくれれば案内したのに!」

塚原「はるかもそんなに詳しくないでしょ」

森島「それはそうだけど…」

絵里「また今度、お願いね?も…はるか?」

森島「うん!」





橘(昼休みはこうして終わった)

橘(やっぱり絢瀬先輩はなにか隠してると思うんだけどな…)

橘(うーん…)

『そういえば今日は大切な取引の日だった!あの教室に行かないと!』

―――――休み時間、教室

橘(さて…)

橘(絢瀬先輩は一旦置いておいて、今日の放課後は梅原と取引の約束がある…!)

橘(あの教室にあるお宝本を取って来ないと!)

橘(いざ!)ガタッ



――――――屋上

橘「~♪」ガチャ

橘(おっ、誰もいない!今日は簡単に済みそうだぞ!)スタスタ

橘(…)スタ…

橘(よし、ここをこう…)ガッ


―――――――――――――――――――

――――――――――――――

――――――――――

――――――

橘「ふー…」バタン

橘(お宝本、持ったな。あとはここをまた隠して…)ゴソゴソ

絵里「…」

橘(…うん!できた!教室に戻…)クルッ

絵里「…橘君?今、どこから…?」

橘「おあぁぁーーーーーー!?!??」

絵里「きゃっ!?」ビクッ

橘「あ、絢瀬先輩!!!???」

絵里「もう、びっくりさせないでよ…」

橘「な、ななななななんでここに!?」

絵里「屋上が落ち着くから来てただけよ?それよりキミ、今どこから…」

橘「!」ビックゥ!

絵里「あ!あの下?隠し階段でもあるのかしら?」ヒョイ

橘(まずい…過去最高にまずいぞ!)

橘(いつもなら出るときも警戒するのに…今日に限って僕はなんてミスを…!)

絵里「…?橘君?」

絵里「その手に持ってるのは…」

橘「えひゃい!?」サッ

絵里「なによその反応…もしかして見られたくないもの?」

橘「いえ!別にそういうわけじゃないんですが!!!」

橘(見られたくないです!!!!!!)

絵里「気になるわね…本みたいだったけど?」

橘「そうですね!漫画…とかですかねぇ…??」

絵里「む…」

橘「はは…は…」

絵里「…」

絵里「あっ!」ユビサシ

橘「え!?」バッ

絵里「スキあり!」パッ

橘「んなぁっ!?」

絵里「甘かったわね橘君!さて何を隠して…」パラ…

橘「あ…ああ…」

橘(終わった…終わりましたよ…嗚呼…)

絵里「…」

絵里「!?」ボッ!

絵里「…『桃色スナイパー』…!?『常夏水際ギリギリ特集』…!?」ワナワナ

橘「絢瀬先輩…?」

絵里「い、いかがわしいものを学校に持ってくるなんて言語道断よ!!!!これは処分します!」バッ

橘「ひぃぃ!それだけはご勘弁を!」

絵里「ダメに決まってるじゃない!」

橘「お願いします!その回はもう絶版で手に入らないんです!」バッ

絵里「ちょ、ちょっと、そんな土下座なんて…」

橘「大切なものなんです!」フカブカ

絵里「む…」

橘「お願いします!」

絵里「…」

絵里「…」ムムム…

絵里「…」

絵里「…わかったわよ」

橘「!!」パァッ

絵里「そんなに大切なものなら…今回だけは見逃してあげる」パサ

橘「ありがとうございます!ありがとうございます!」

絵里「ただし!もう学校にそういうものを持ってこないこと!」

橘「…」

橘「は、はい…」

橘「…」

橘「…」フム

橘「絢瀬先輩」

絵里「?」

橘「そういうものってどういうものですか?」

絵里「え?」

橘「もう少し具体的に言ってください!」

絵里「そ、そういうものは…そういうものよ」

橘「わかりません!」

絵里「え、あ、うー…」ウツムキ

橘「…」ワクワク

絵里「…」アワアワ

絵里「…」

絵里「ぇ…」

絵里「ぇっちな本…とか…」カァッ

橘「…!!」

橘「か、かわいい…」ボソッ

絵里「…!!」マッカッカ

絵里「な…なに調子乗ってるのっ!!!とにかく!次はないわよ!!」

橘「は、はいっ!」

絵里「まったくもう…男の子ってみんなこうなのかしら…調子狂うわね…」ブツブツ

橘「…」

橘(すみません絢瀬先輩たまりませんよこれは…)

絵里「…」

絵里「その…」

橘「…? はい?」

絵里「橘君は…」

橘「?」

絵里「…」

絵里「…なんでもない」

橘「え」

絵里「なんでもないわよっ!解散!」

橘「は、はい」

絵里「またねっ!!」ツカツカツカ…

橘「はい、また…」






橘(…)

橘(すごいことをやらかしたのになんだか距離が縮まった気がするぞ)

橘(…)

橘(それはそれとして)

橘(絢瀬先輩、最後になにか聞きたそうだったけど)

橘(なんだろうなぁ…)

はい

本日ここまでです

読んでくださっている方、ありがとうございます!

森島先輩が書いてると難しすぎてアへ顔になります

がんばりまぁす

『取引の時間だ!用も終わったし、梅原の家に行こう!』

橘(…お宝本も無事だし、梅原の家に向かうか)

橘(先生にプリントを運ぶように頼まれたから梅原には先に帰ってもらったけど…)

橘(割と早く終わったし待っててもらってもよかったかもなぁ)

橘(一応急ぐか…)スタッ

――――――校門

橘(…今日はどこも部活やってないんだな)

橘(こんな時間なのにほとんど人がいないし、珍しいこともある…)キョロキョロ

橘(…)

橘(…?)

橘(あれは…?)


絵里「…」

男子生徒「…!」


橘「絢瀬先輩?と…三年生の人かな」

橘(しかもあれはどう見たって…!)



絵里「…」ペコリ

男子生徒「…!」


橘「あー…」

橘(ふられたみたいだ…)ホッ

橘「…」

橘(いやいやいやいやいや)

橘(何を僕は安心してるんだ!)

橘(そういうのじゃない!そういうのじゃないぞ!)ヌオオ



絵里「…」

男子生徒「…」トボトボ


橘「…」

橘「…!」ハッ

橘(見つかる前に立ち去らなきゃ!)

橘(見知らぬ三年生の人、元気出してください…)クルッ

橘(さらば!)ダッ!

――――――――――――――――――――――――――――――

―――――――――――――――――――――

――――――――――――――

―――――――――

―――――梅原の部屋

梅原「…ほう」

橘「やっぱりモテるんだな、絢瀬先輩って」

梅原「それはそうだろうなぁ、美人だし」

橘「うんうん」

梅原「気さくだし、スタイルもいいし」

橘「そうだよなぁ」

梅原「…大将はどうなんだよ」

橘「ん?」

梅原「狙ってないのか?」

橘「なっ…僕はそういうのじゃないからな!」

梅原「でもよ、もたもたしてると誰かに取られちまうぞ?」

橘「う…」

梅原「やらない後悔よりやった後悔ってな!若いんだからいくら失敗してもいいからとりあえず行動するこった!」

橘「…いや、僕は本当にそんなんじゃない…から」

梅原「あー…そうかいそうかい」

橘「なんだよ」

梅原「…長年親友やってるとな、わかることもあるんだよ」

橘「はぁ…?」

梅原「ま、俺は大将がどういう選択しても味方だからな!忘れるなよ!」

橘「…はぁ」

梅原「で、例のモノは…」

橘「もちろんここにあるぞ!梅原こそちゃんと用意したんだろうな」

梅原「おうよ!当たり前だぜ!ここに…」

橘「おおっ!すごい!モモクリサンネン写真集伝説の11月号…!」

梅原「そうだろ?手に入れるの苦労したからな!」

橘「ああ!さすが梅原…」

梅原「ふふふ…」









橘(梅原との取引も無事終わった)

橘(それにしても梅原め、なんてことを言うんだ!)

橘(僕はそんなんじゃ…)

橘(…)

橘(ない…)

橘(…)

『帰ろうと思ったら、校門にいるのは森島先輩と塚原先輩じゃないか!話しかけてみよう!』

橘(帰り際に絢瀬先輩を見かけてから少し日が経った)

橘(学校側の配慮で、『絢瀬絵里さんへの干渉は通常の学校生活が送れる程度』とのおふれが出た)

橘(あとは…各学年に絢瀬先輩への撃沈報告が多数上がってるらしい)

橘(梅原調べだからある程度信憑性はあるし、本当のことなんだろうな…)

橘(僕は相変わらず森島先輩を介してお昼を一緒に食べるくらいの仲だ)

橘(いい感じいい感じ…)

橘(…)

橘(…帰ろう)

―――――校門

橘(…あれ、森島先輩に塚原先輩?)

橘(なにしてるんだろう…)

橘「…先輩!」

森島「あ、橘君!」

塚原「あら、今から帰り?」

橘「はい!お2人は何を…?」

森島「今ね、絵里を待ってて…」

絵里「おまたせ、遅くなったわね」

塚原「噂をすれば…ね。全然待ってないから、気にしないでいいわよ、絵里」

絵里「そう?…あれ、橘君。キミも今帰り?」

橘「はい。先輩方は今からどこか行くんですか?」

森島「あー…そうね!ちょっと買い物にね!」

橘「買い物…服とかですか?」

森島「そう…かな?」

塚原「まぁ…そんなところかしら」

絵里「…」

橘「…?」

橘「あ、僕この後暇なので、荷物持ちでついて行っても…」

絵里「ダメ!」

橘「へ!?」ビクッ

絵里「あ…」

森島「…」

塚原「…」

橘「あ、絢瀬先輩…?」

絵里「う…あの、その…」

橘「…」

橘(なんだろう…すごい拒絶だったぞ…)

橘(僕、なにかやったかな…)

橘「…」ショボン

絵里「うぅ…」

森島「…絵里、橘君がかわいそうでしょ?」

塚原「ちょっとはるか…」

森島「ひびきもそう思わない!?」

塚原「…まぁ、少しはかわいそう、かな」

森島「でしょ?…絵里、ちゃんと説明してあげて?」

絵里「ぅええ!?なんで私が…」

橘「いいんです…」

絵里「た、橘君?」

橘「理由なく絢瀬先輩がそんなこと言うわけないのはわかってますから…」

絵里「そ、そうよね!そうなのよ!これにはワケが…」

橘「なにか僕がやってしまったんですよね…」

絵里「え!?いや、そういうことじゃなくてね!?」

橘「気を使わなくてもいいんですよ…」

森島「ほら!絵里!」

塚原「…」

絵里「う、うう…」

橘「…」ショボン

絵里「…」

絵里「…」グッ

絵里「…を買いに行くから」

橘「…へ?」

絵里「ッ…だからね…」








絵里「…下着を買いに行くから、恥ずかしい…のよ…」カァッ


橘「ふぁ…」

橘(かっ…かわいい)

森島(かわいい)

塚原(…かわいい)

絵里「う…なによ!ほら、行くわよ!はるか!ひびき!」ツカツカツカ

森島「あーん!待ってよ絵里ぃー!」タッ

塚原「…そういうわけだから、またね?橘君」

橘「あ…はい」

塚原「ふふっ…待ちなさい!二人とも!」タッ





橘(…)

橘(このかわいさに言葉がいるかい、兄弟…)

橘(僕は必要ないと思うぜ…)

『3年生の教室前に…美也?なにしてるんだろう…』

――――――3年生教室のある階、廊下

美也「ふんふんふ~ん♪」

橘「…美也?」

美也「あれ?おにいちゃん!どうしたのこんなところで」

橘「こっちの台詞だ。ここ、3年生の階だぞ?」

美也「おにいちゃんだって2年生じゃん!」

橘「僕は森島先輩に用があって…」

美也「森島先輩に?…またのぞきの相談?逢ちゃんあきれてたよ…」

橘「違う!普通にお話をしにきただけだっ!」

美也「ふーん?怪しい…」

橘「くっ…そ、それで、美也はなんでいるんだよ!」

美也「えー?それはね…にしししし!」

橘「…?」

美也「どうしよっかなー?見せてあげよっかなー?」

橘「なんだよ…もったいぶって」

美也「ふっふっふっふー!じゃーん!これを貰ってきたのだ!」バッ

橘「…サイン?」

美也「絢瀬先輩直筆だよ!いいでしょー!」

橘「へー…よかったな美也」

美也「むむ…あんまりすごいって思ってないでしょ!」

橘「無理矢理書かせて迷惑かけたんじゃないだろうな」

美也「そんなことしないよ!ばかにぃに!」

橘「呼び方呼び方」

美也「はっ! …とにかく!このサインは宝物として部屋に飾っておくから、勝手に持ってったりしちゃダメだからね!」

橘「はいはい」

美也「にっしっしー♪逢ちゃんに自慢してこよーっと♪」

タッタッタッ…

橘「…我が妹ながら嵐のようなやつだな」

森島「美也ちゃーん!…あれ?行っちゃったの?」

橘「森島先輩。今走ってっちゃいましたよ」

森島「そう…声が聞こえたから抱きしめに来たのに…」

橘「…そんなにいいですか、美也」

森島「うん!ベリーキュートよね!」グッ

塚原「…そんなだから一時期嫌われてたじゃない」スタ…

橘「塚原先輩。…そんなことありましたっけ」

森島「あれは違うでしょ!私と仲良くしてて、橘君が取られると思った美也ちゃんが…」

森島「うーん!思い出しただけでかわいい!」

塚原「ふふっ、あんまりひどいことしてるとまた嫌われるわよ?」

森島「えー!?」

絵里「はるか、ひびき。なんの話してるの?」

橘「絢瀬先輩、こんにちは」

絵里「橘君。こんにちは」ニコッ

塚原「…橘君の妹の話よ、絵里」

絵里「ふーん?妹がいたのね」

橘「あ、さっきサイン貰ったらしいんですけど…」

絵里「え?あの子?どことなく凛に似てる…」

橘「凛…星空凛ちゃんですね!…あんなかわいくはないですよ…」

森島「なに言ってるの!美也ちゃんはかわいいでしょ!」

橘「ははは…」

絵里「あんなにサインを喜んでくれると、こっちも嬉しくなってきちゃうわね。妹さんはあんなにいい子なのに…」

塚原「兄はのぞき魔だものね…」

森島「この差はいったい…」

橘「森島先輩にのぞきのこと言われたくないですよ!」

塚原「反論もなんだか情けないわね…」

絵里「ふふふっ」

橘「う…」

森島「ファイトよ!橘君!」

橘「どっちの味方なんですか森島先輩…」

『休み時間だ!ちょっと屋上で風に当たろう』

――――――屋上

橘(ふぅ)

橘(冬が近くなって、教室を閉め切ってるからかなんだか息苦しいんだよなぁ…)

橘(こうやってたまに屋上でゆっくりするのもなかなかオツなものだよ!)

橘(…隠し階段も見張れるしね)

橘「…」チラッ


橘(まぁ見つからないとは思うけど!)

橘(いいところ見つけたよホントに…)



ガタ…


橘「…」

橘「!?」

橘(今…バリケードが動いたような…)

橘(…気のせい?)


ガサガサ…

橘「ひぃっ!?」

橘(だ、だれか中にいる!?まさかバレたのか!?)

橘(いや、落ち着け橘純一…ここで取り乱してはいけない…!)

橘(あの教室が使えなくなるのはたしかに悲しいが…)

橘(忍び込んでいたのが僕だとわかるような二次被害は避けなければ!)

橘(無関係を装うんだ…!)


ガッ!




橘(出てくるッ!)





絵里「ふぅ~…」

橘「」

絵里「…」パンパン

橘「」

絵里「…あら、橘君。ちょうどいいところに」

橘「」

絵里「このあいだ橘君が出てきたのを見ていたから、何があるのかと思って」

橘「」

絵里「細心の注意を払って入ってみたのだけど…出てくるところを見られちゃうなんてまだまだね私も」

橘「」

絵里「…さて」

絵里「放心してるところ悪いけど、お話聞かせてもらおうかしら…?」

橘「」

橘「」

橘「ァ…」

橘「…」

橘「…ハイ」

――――――――――――――――――――――――――――

――――――――――――――――――――

―――――――――――――――

――――――――――

絵里「そう。たまたまね…」

橘「はい…どうか…どうかお許しを…」

絵里「…」

絵里「橘君」

橘「ハイ」

絵里「私もね…鬼じゃないのよ」

橘「ハイ」

絵里「特に転校期間中は…元生徒会長って肩書きもないし、普通の女の子なの」

橘「…」

絵里「だからその…そんなに萎縮されるとね、ちょっと…思ってたのと違うというか…」

橘「は…」

絵里「…」

絵里「私ね」

絵里「実はやりたくて生徒会長をやってたわけじゃないのよ」

橘「え…?」

絵里「担任の先生に頼まれて、仕方なく引き受けた、って感じかな」

橘「…」

絵里「私自身はそんなにしっかりしてないし、努力も苦手だし、とてもじゃないけど生徒の模範なんてできる器じゃないと思ってた」

絵里「だから、生徒会長になったときに、少しだけ周りに冷たく接してた」

絵里「…不出来な分、自分1人でなんでもできるようにならなきゃ、って気負ってたのかもしれない」

橘「…」

絵里「でもね」

絵里「μ’sのメンバーのみんな…」

絵里「私の手を引っ張って、明るい場面に連れ出してくれたみんなのおかげで、私は変われた」

橘「…」

絵里「…」

絵里「…つまり、何が言いたいのか、って言うとね」

絵里「さっきのは別に、橘君を叱りつけようとか、そういう意味で話を聞かせて、なんていったわけじゃなくて…」

絵里「その…」

絵里「…ちょっといじめて、仲良くなれたらいいな、って思って…」

絵里「っ…」カァッ

橘「…!」

絵里「う…言葉にすると恥ずかしい…」

橘「…」

橘「…絢瀬先輩」

絵里「…?」

橘「不器用ですね」

絵里「なっ」

橘「でも、そういうところがかわいいです」

絵里「ふぁ…!?」カァァ

橘「…約束です」

絵里「え…?」

橘「あの教室!僕と絢瀬先輩、二人の秘密です!」

絵里「ぁ…」

橘「絶対誰にも言わないで下さいよ!?あそこにある物の事も!」

絵里「…」

絵里「…ふ」

絵里「ふふっ、了解」

橘「お願いしますね!」

絵里「はーい♪」

絵里「…」

絵里「…」ジッ

橘「…?」

橘「あの…?」

絵里「…」

絵里「…橘君って、不思議な人ね」

橘「へ?」

絵里「こんなこと、ちゃんと話したの初めてかも」

橘「…そうですか」

絵里「ええ。男の子とこんなに仲良くなったのも初めてだし、ね?」

橘「…!」

橘「光栄です!」

絵里「ふふ…これからも、よろしくね?」

橘「はい!こちらこそよろしくお願いします!」




橘(…まさかあの教室が見つかることでこんなことになるとは)

橘(絢瀬先輩との仲も、ぐっと深くなった気がするぞ!)

橘(神様ありがとう…!)

『絢瀬先輩とお話しよう!』

――――――屋上

橘「あ、絢瀬先輩!」

絵里「ん、橘君」

橘「屋上、お好きですね」

絵里「ええ。橘君と私の秘密の場所、だしね?」

橘「はは、は…」

絵里「それで、どうかしたの?」

橘「用は特にないんですけど、お暇でしたら少しお話しませんか?」

絵里「いいけど、変なことは聞かないでよ?」

橘「場合によります」

絵里「なによそれ!」

橘「冗談ですよ!では…」

〈世間話〉

橘「アイドルの活動って今はどうしてるんですか?」

絵里「授業が終わってからすぐに音ノ木坂に帰って…って感じかしら」

橘「…大変ですね」

絵里「まぁね。でも、好きでやってることだから」

橘「立派過ぎますよ」

絵里「そうかしら…」

橘「はい、尊敬します!」

絵里「ふふっ、ありがとう」

〈勉強〉

橘「絢瀬先輩は、勉強は…」

絵里「普通かしらね」

橘「…」

絵里「…なに?」

橘「普通…ですか」

絵里「ええ。ひびきよりちょっとできない、かな」

橘「…」

橘(塚原先輩って、国立の推薦志望じゃなかったっけ…)

橘「ははは…」

絵里「どうしたの?」

橘「なんでもないです…」

〈運動〉

橘「スポーツは何が好きですか?」

絵里「なにかしら…昔、バレエをやってたけれど…」

橘「へー!見てみたいです!」

絵里「…小学生のころの話よ。途中でやめちゃったわ」

橘「そうなんですか…」

絵里「ええ。ずーっと努力するのって苦手なのよ」

橘「意外です」

絵里「そう、意外と怠け者なの」

橘「かわいいですね」

絵里「なっ」カァッ

橘(…異性からの褒め言葉に耐性がなさ過ぎてかわいいなぁ)

絵里「あ、からかったわね!?」

橘「本当にかわいいと思ってますって!」

絵里「なぁっ!」

橘(…たまらん)

〈娯楽〉

橘「あの、ご趣味は…」

絵里「…わたくし、アクセサリーの製作をよくしますわね」

橘「へぇ!すごいですね!」

絵里「あら、お見合いごっこは終わり?」

橘「これ以上は雰囲気がわからないです」

絵里「そう…」

橘「それより、アクセサリーご自分で作るんですか?」

絵里「今はキットとか売られてて、結構簡単に作れるのよ?」

橘「そうなんですか」

絵里「私はあんまり使わないけど、初めて作る人にはおすすめかな」

橘「今度教えてください、一緒に作ってみたいです!」

絵里「ふーん?珍しいわね、男の子なのに」

橘「イマドキは男もそういうこともできないと!」

絵里「そういうものなのかしら…じゃあ、また時間があるときに、ね?」

橘「はい!お願いします!」

橘(作ったものをプレゼントなんてできたら素敵じゃあないのか!?)

橘(…)

橘(と思ったけど、受け取ってもらえなかったらどうしよう…)

橘(うあああああああ…!)

絵里「…?」

〈食べ物〉

橘「好きな食べ物はロシア料理ですか?」

絵里「好きだけど…特に好きな食べ物、って言われるとチョコレートかな」

橘「チョコ…」

絵里「あら?橘君は苦手なの?」

橘「苦手ってことはないですけど…」ハッ

橘「チョコ大好きです!」

絵里「え?な、なに今の変わり身の早さは…」

橘「え?僕は元々チョコレート大好きですよ?」

絵里「…?」

橘(…がんばって2月まで仲良くしていられる方法を考えないと)

絵里「??」

〈おしゃれ〉

橘「普段着とかおしゃれそうですよね」

絵里「それなりにね。どこでどう見られても恥ずかしくないようにはしてるつもりよ」

橘「はー…アクセサリーなんかはつけたりするんですか?」

絵里「ええ。それこそ自分で作ったものをその日の気分に合わせて身につけたりしてるわ」

橘「へー…一度ばっちり決めた絢瀬先輩を見てみたいですね!」

絵里「…それはキミのがんばり次第かな?なーんて」

橘「ふおおおお!頑張ります!!!」

絵里「あ、そ、そう?あはは…」

〈恋愛〉

橘「音ノ木坂って女子校じゃないですか」

絵里「ええ」

橘「その…女の子同士の恋愛とか…」

絵里「…ここだけの話ね」

橘「はい?」

絵里「私、結構告白されるのよ」

橘「それはそうでしょうね!モテそう、というより実際モテてますし」

絵里「…音ノ木坂にいるときは女の子によく言い寄られたものよ」

橘「ふぁ!?」

絵里「ありがたいけど、お断りしてるのよね…」

橘「あ、同性がお好きなワケではないと…」

絵里「…初恋がまだだから、わからないけどね?」

橘「な、なるほど…」

絵里「これでも男の子とこうやって1対1でじっくりお話なんて、初めてだから緊張してるのよ」

橘「そうなんですか!?」

絵里「ええ。橘君は私の初めての人ね♪」

橘「ゴハァ!!!!」

絵里「!?」

橘(わかっててやってるのか、この人は…)ゼェゼェ

絵里「大丈夫!?橘君!」

橘「だ、大丈夫…です…」

〈エッチ〉

橘「ぐへへ、お姉ちゃん何色のパンツ履いてるの?」

絵里「ふん!」スッパーン!

橘「へぶ!」

絵里「いくらなんでも乗れる話題とそうでない話題くらいはあるわよ、橘君」

橘「は、はい…申し訳ありませんでした…」ヒリヒリ

絵里「あ、ちなみに今日は白のTバックよ」

橘「ええっ!?本当ですか!?」

絵里「嘘に決まってるじゃない」

橘「ですよね…」

〈行動〉

橘(よし、ここは決め顔で様子を伺おう!)

絵里「…?どうしたの、橘君」

橘「…」

橘「…」

キリッ!

絵里「…?」

橘「…」キリッ

絵里「…もう少しこう、角度を変えて…」クイッ

橘「え?こ、このくらいですか?」

絵里「あと、眉を吊り上げすぎないで…」

橘「…」クッ

絵里「そうそう!うん、かっこいいわよ」

橘「…」キリッ

絵里「…」

絵里「あ、写真撮っといてあげる」パシャ

橘「…どうも(低音)」

絵里「ほら、いい感じでしょ?」

橘「…たしかに(低音)」

橘(…なんか思ったのと違うな)

橘(でも絢瀬先輩の写真フォルダに僕の写真が入ったしよしとするか!)

〈アタック〉シュインシュシュシュシュシュ…

橘(絢瀬先輩、やっぱり綺麗だな…)ボーッ

絵里「どうかした?橘君」

橘「あ、いえ!ちょっと見蕩れてまして」

絵里「…橘君ってそういうことすぐ言うわよね」

橘「え!?そんなことないですよ!絢瀬先輩だけですよ!」

絵里「っ…」

絵里「ほら、また…」

橘「あ、あの、これは、なんというか、思わず出てしまうというか、その…」

絵里「…ふふっ」

絵里「橘君はなぜだか、そういうことを言っても軽薄さがないから許せちゃうのかも」

橘「本気ですから!」

絵里「そっ…」

絵里「そう…ありがとう、橘君」

橘「え?えー…どういたしまして?」

絵里「うん…では、そんな橘君にご褒美をあげます」

橘「え?」

絵里「なにか1つ、お願いを聞いてあげる♪」

橘「え」

橘「ええぇぇぇぇえええええ!!!!?」

絵里「あ、えっちなことはだめよ?限度を考えてね?」

橘「は、はい…!」ドキドキ

橘(…どうすればいいんだ!引かれず呆れられず尚且つ攻められるギリギリ…!)

橘(うーーーーーーん…)

橘「…」

絵里「…」

橘「…」

橘「…!」ティン

橘「絢瀬先輩」

絵里「はい、なんでしょうか」

橘「うなじの…」

絵里「うなじ?」

橘「うなじの匂いを嗅がせてください!」ドーーーン!

絵里「…」

絵里「そ、れは…」

橘「…」ドキドキ

絵里「う…」

橘「…」ドキドキ

絵里「…」ウー

絵里「…」アー

絵里「…」ウーン…

絵里「…」

絵里「…」

絵里「…ぃいわよ」

橘「!!!」パァッ

絵里「なんでも、って言ったのは私だし…それくらいなら…」ゴニョゴニョ

橘「ありがとうございます!では失礼して…」

絵里「ひゃ!?ちょ、ちょっと待って!」

橘「はい!待ちます!」ビシッ

絵里「…すぅーっ…はぁーっ…すぅーっ…」

絵里「…」

絵里「…」

絵里「…」

絵里「…ど、」

絵里「どうぞ…!」ファサッ

橘「し、失礼します!」ゴクリ

絵里「~~~~っ!!」カァァ

橘(綺麗なうなじだなぁ…)スッ

橘(真っ白な肌が真っ赤になってる…相当恥ずかしいんだ)

橘(どれ…)

スンスン

絵里「!」ビクッ

スンスンスン

橘「…」

橘(これはまずいぞ)

橘(いい匂いなんてもんじゃない!)スンスンスン

橘(脳がとろけそうだよ!)ハー

絵里「…!」ビビクゥ

橘(女の子のシャンプーの香りと…先輩特有の甘い匂い…)

橘(ほんのり汗も混じって…)

橘(こんなの、反則…)スゥーッ

橘(…)フー

絵里「きゃっ!」

橘「あ、すみません!息継ぎが…」

絵里「~~~~~~~!!!!」

絵里「はい!終わり!」バッ

橘「ああっ!そんな!」

絵里「恥ずかしすぎるわよ!もう!」

橘「うぅ…」

絵里「…」

絵里「その…」

橘「…?」

絵里「…どう、だった?」カァ

橘「!!」

橘「はい!最高でした!シャンプーの香りと先輩の甘い香りとほんのり汗の…」

絵里「そっ!そこまできいてない!」

橘「そうですか…」

絵里「っ…とにかく!喜んでくれたなら、よかった、かな」

橘「はい!!!!ありがとうございました!!!!」

絵里「…」

絵里「どう、いたしまして」









橘(こうして、絢瀬先輩と至福のひとときを過ごした)

橘(人生のピークかもしれない…)

橘(幸せだったなぁ…)

本日以上です

だいたい私の好みの絢瀬先輩に寄り過ぎてきてるのがわかると思いますが、
ご了承ください!

前作もそうだったんですが
会話イベントとご褒美イベント考えるのがいろいろな意味で一番疲れます
しかも納得いく出来になりにくいという

とはいえ全力で完結に向けて投下していきますので、
まだお付き合いくださる方、よろしくお願いします!

次くらいでデアイが終わるかと思われます

読んでくださっている方、書き込みをくださる方、
ありがとうございます!
とても嬉しいです!

ではまた

『あれは…絢瀬先輩?と…誰だろう…』

―――――校舎間、渡り廊下

橘(はー…)

橘(理科の実験の片付けが長引いてしまった…)

橘(教室にカバンも取りに行かないとだし)

橘(急がないと、結構な時間になっちゃったよ…)スタスタスタ

橘(…)スタスタ…

橘(…?)スタ…

橘(…あれは?)



絵里「~…~!」

男子生徒「~!」


橘「絢瀬先輩?と…」

橘(誰かわからないけど…上履きからして3年生かな…)

橘(なにを話してるんだろう…)


絵里「…」ペコリ

男子生徒「…!」


橘(お辞儀…?違うな…あの感じ…)

橘(…!)ピーン

橘(もしかして、オコトワリシマスってやつか…!)

橘(うわー…すごいところに遭遇してしまったぞ…)



男子生徒「…!~!!!」

絵里「…」


橘(…わかるよ、諦めきれないよ…なに言ってるのかは聞こえないけど、すがりついてるんだろうなぁ…)


絵里「…」

男子生徒「…」

絵里「…」チラッ

絵里「…!」ハッ


橘「…!」

橘(しまった!目が合った!)

橘(…?)

橘(なんだろう、こっちに歩いてきて…)

絵里「橘君」

橘「へぁっ!」

橘「ごめんなさい!決してのぞくつもりは…」

絵里「…ちょっとこっちに来て」ギュッ

橘「へ?な、え?」

絵里「…」ツカツカ

橘「な、なんです!?わわっ、引っ張らなくても行きます!行きますから!」タタッ


男子生徒「…」

絵里「ごめんなさい、お待たせして」

橘「…?」

橘「…?」

男子生徒「なんです、誰なんですかそいつは…」

絵里「…」

絵里「この人は」

絵里「…」グッ

絵里「…私の好きな人、よ」

男子生徒「…!!」

橘「…」

橘「…」

橘「…」

橘「…」

橘「…」

橘「…」

橘「…」

橘「!!!!?!?!?!?!?!?!?!!!?!!?!?!!?!?」

絵里「だから、ごめんなさい。あなたとは付き合えません」ペコリ

男子生徒「な…!だ…うぐ…」

橘「あ、絢瀬先輩!?それってどういう!?」

男子生徒「…」プルプル

絵里「…」

男子生徒「ア、アイドルが恋愛なんて、どうなるか…」

絵里「…」

男子生徒「そうだ!ファンを裏切ることになるんだぞ!」

絵里「…」

男子生徒「大きな大会だって控えてるんだろ!?それでいいのか…!?」

絵里「…」

男子生徒「うぐぐ…」

橘(…自分だって告白したのに、無茶苦茶だなぁ)

橘(でもわかりますよ…絢瀬先輩綺麗でかわいいし…)

男子生徒「…」

男子生徒「なんだよ…そんな冴えない、特別かっこよくもないヤツ…」

絵里「…!」

絵里「…あなた」

男子生徒「…」

絵里「今、橘君を馬鹿にした?」

男子生徒「…」

橘「…絢瀬先輩?」

絵里「私だって人間よ。あなたがどれだけの覚悟を持って告白してきたか…」

絵里「ちゃんとわかってるつもり。だから矛盾した意見も何も言わずに受け止めたのに…」

絵里「今、あなたは私の大切な人を目の前で馬鹿にしたわね!?」

男子生徒「…!」

橘「ちょ…」

絵里「よく知りもしないのに!かっこよくない?冴えないですって?」

絵里「悔し紛れに人を貶めることがなんになるって言うの!?あなたに橘君の何がわかるって言うのよ!!」ガ…

男子生徒「ひっ…!」

橘「絢瀬先輩!」ガシッ

男子生徒「な…なんて女だよ!関わるんじゃなかった…!」

絵里「あなた…!」ググッ

橘「…!なに刺激してるんですか!早く行ってください!」

男子生徒「…けっ!」ダダダッ

絵里「待ちなさい!まだ終わってないわよ!」ジタバタ

橘「先輩!落ち着いてください!そんなに暴れると…」








プニ








橘「…」

橘「…?この感触は…?」





プニプニ





絵里「ひゃっ!?」

橘「は…」

絵里「…橘君」

橘「…はい」

絵里「どこ触ってるのよっ!!!!」バチーン!

橘「ありがとうございますッ!」ビターン!

絵里「はぁ…はぁ…」

絵里「…」

絵里「はっ!」

橘「」

絵里「橘君…?」

橘「」

絵里「…」

絵里「気絶してる…」


――――――――――――――――――――――――


――――――――――――――――――


―――――――――――


―――――――



橘「…」

橘「…」ムクリ

橘「…」

橘「…」ボーッ

橘「…」

橘「やわらかかったなぁ」ボソ

絵里「…」プルプル

橘「…」

橘「!?」ビクッ

絵里「…おはよう橘君」

橘「お、おはようございます!」

絵里「よく眠れたかしら」

橘「はい!おかげさまで…?」

橘「ここは…?」

絵里「保健室よ。先生に無理言って完全下校時刻までならって開けてもらったわ」

橘「なるほど…」

絵里「まだ時間もあるし…」

絵里「もう少し眠っていく?」ニコリ

橘「ひぃっ!ごめんなさい!」ガバッ

絵里「…」

絵里「…」

絵里「ふふっ…」

橘「…?」

絵里「はは、あはははははははは!」

橘「絢瀬先輩…?」

絵里「はぁ…冗談よ。私こそごめんね?痛かったでしょ?」

橘「いえ!ぜんぜん平気ですっ!」

絵里「そう?…よかった」ニコ…

橘「…!」ドキッ

橘「…先輩、そういえばなんだったんです?僕、何がなんだか…」

絵里「あ…えーっと…あの…」

橘「…?」

絵里「…」

絵里「…あの人、前から私のことをすごく見ていて…たぶん今日になって決心して告白してきたと思うんだけど…」

絵里「ほら、私もアイドルじゃない?そう言って断ったのよ」

橘「はぁ」

絵里「そしたら、『俺の何がダメなんだ!』って興奮しちゃって…」

絵里「…!」

絵里「そう!そこでたまたま橘君がいたからね?好きな人がいます、って言えば諦めがつくかと思って…」

絵里「…」

橘「?」

絵里「…ごめんなさい、よく考えると最低ね私…橘君の気持ちも考えずに勝手なことを…」

橘「へ?いえいえ!いいんですよ!たしかに少しびっくりしましたけど!」

絵里「流石にダメよ。自分勝手すぎるわ…」

橘「…うーん」

橘「あ!でも、僕は嬉しかったですよ!」

絵里「え…?」

橘「好きな人だって言われて嬉しかったです!僕も絢瀬先輩のこと…」

絵里「え…あ…」カァッ

橘「は…」

橘(しまった!僕は何を…!)

絵里「う…」

橘「すみません!つい…」

絵里「…ぁ」

絵里「…」

絵里「…ありがとう」

橘「…?」

絵里「わざわざそんなことまで言って、橘君、優しいのね?」

橘「え、そ、そんな、そういうつもりじゃ…!」

絵里「いいのよ、無理しなくても…」

絵里「…」

橘「…?」

絵里「さ、もういい時間だし、帰りましょう!…途中まで一緒に帰る?」

橘「…」

橘「…はい、お供します!」



橘(こうして、絢瀬先輩と帰路についた)

橘(短時間で濃すぎる出来事だったからか、家に帰るとどっと疲れが出てきた…)

橘(あー…)

橘(…)

橘(僕は…)

橘(…)

今日はこれだけで…
すみません
次回、デアイ終わりです

もう少し考えて書ければいいなと思います

頑張ります

『何もする気が起きない。屋上で風に当たろう…』

――――――屋上

橘(絢瀬先輩が告白されているのを見てしまって、ビンタで気絶してから少しだけ経った)

橘(特に変わりなく過ごしてるけど…)

橘(最近絢瀬先輩の様子がなんだかおかしいんだよなぁ…)

橘(そわそわしてるというか…たまにボーっとしてるというか…)

橘(…)

橘(もしかしてあのときのことが原因なのかな…)

橘(…)

橘(たしかに僕も、あれからよくこうして用もないのに屋上で風に当たってる)

橘(梅原にはらしくないって笑われたけど)

橘(たまにはセンチメンタルになるときもあるのさ…)フッ

橘(…)

ヒュゥゥ…

橘「はぁーっ…」

カチャ…

森島「…」ソロリ

森島「…いたいた」コソッ

橘「…」ボーッ

森島「…」ササッ

橘「…」ボーッ…

森島「…」

森島「ねぇねぇ」トントン

橘「ふぁっ」プニッ

森島「あっ、ひっかかったひっかかった!」

橘「…なんですか、森島先輩」

森島「むー?元気ないなぁ」

橘「…僕もそういうときくらいありますよ」

森島「そう?…最近プールのぞいてないもんね。なるほどなるほど」

橘「なっ、違いますよ!」

森島「結局新しいポイント教えてもらってないし…約束が違うじゃない!」

橘「う…」

森島「…まぁいいわ!今はそんなことどうでもよくて…」

橘「…?」

橘「そういえば、どうしてここに?僕に何か用ですか?」

森島「良くぞ聞いてくれた!橘君を探しに探して早5分…!」

橘「完全に直感で屋上にいるって当てたじゃないですか!」

森島「遂に見つけたわよ!覚悟しなさい!」ビシィ

橘「…はぁ」

森島「…と、いうわけでね、橘君にお話があります」

橘「なんですか」

森島「…」

森島「絵里についてなんだけど」

橘「!」ピクッ

森島「…橘君」

橘「…はい」

森島「…」

森島「絵里のこと、好きでしょ?」

橘「え…」

森島「…って、ひびきが言ってた。私は全然わかんなかったけど」

橘「…」

森島「どう?」

橘「…」

橘「…それは」

橘「…っ」

橘「…好き、なんでしょうね」

森島「!」

橘「…」

橘「一緒にいて楽しいですし、かわいくて、綺麗で…」

森島「…」

橘「…まだ会って日も浅いですし、知らないことのほうが多いですけど」

橘「年上なのに話しやすくて、どこか無邪気で、素敵な人で」

橘「…でも」

橘「僕なんかが…好きになっていい相手じゃない…」

森島「…」

橘「こんな僕が…どうこうしていいような人じゃないんです…」

森島「…」

森島「それは違うと思うけどな」

橘「…」

森島「私も、まだスキって気持ちがなんなのか…わからないけどさ」

森島「橘君のソレは、自分の気持ちをごまかすために言ってるようにしか聞こえないよ?」

橘「っ」

橘(そんなの…)

森島「…」

橘「…」グッ

森島「答えは…出てるんじゃないかな」

橘「…!」

橘「…ッ」

橘「僕だってッ!」

森島「!」

橘「わかってますよ…わかってます…」

橘「でも…こんな気持ちは…」

橘「…」

森島「…」

森島「…」フム

森島「…よーし!」

橘「…?」

森島「大切な後輩と、大切な友達のため!」

森島「はるかおねーさんに任せておきなさい!」ドンッ!

橘「…へ」

森島「何とかしてあげる!」

橘「…いや」

森島「遠慮しないの!ふふふ…恋のキューピッドなんて、素敵よね!」

橘「ちょ」

森島「じゃあ橘君!また放課後に屋上でね!」ビシッ!

橘「な」

森島「ばいばーい!」フリフリ

橘「森島先輩!? …行っちゃった」

橘(…)

橘(…ああ)

橘(余計なことをやらかす予感がビンビンするよ…)

橘(でもああなったら塚原先輩でもないと止められそうにないし…)

橘(…)

橘(絢瀬先輩…)

☆『授業も終わったし、屋上へ行ってみようかな…』

橘(さて…)

橘(森島先輩に言われてるし、屋上に行かないとな)

橘(…)

橘(あんまりいい予感はしないなぁ…)

――――――――屋上

バーン!

絵里「ちょっと、はるか!そんなに引っ張らないでよ!」

森島「いいからいいから!この間の相談、いい解決策が浮かんだの!」グイグイ

絵里「え?…本当に?」

森島「うん!私に任せなさい!」

塚原「また無茶苦茶なこと言い出すんじゃないでしょうね」

森島「大丈夫大丈夫!名案だから!」

絵里「不安しかないわ…」

塚原「同じく…」

森島「失礼しちゃうなぁもう」

ガチャ

橘「…森島先輩、来ましたよ」

森島「あ、橘君!こっちこっち!」

絵里「!」

塚原「橘君…はるかが呼んだの?」

森島「そうよ。橘君はとても大切な、いわばキーマン!」

塚原「…」

絵里「…橘君」

橘「あ、絢瀬先輩…」

絵里「はるかになに言われたの?」コソコソ

橘「それが僕にもさっぱり…」ヒソヒソ

森島「はいはい!注目注目!」

塚原「…」

森島「…」コホン

森島「早速ですが本題に入ります!」

絵里「…」

森島「絵里と橘君!」

橘「…?」

絵里「なに…?」

森島「あなたたち二人は、これから絵里の転校期間が終わるまで!」

森島「~~!」

森島「じゃじゃーん!恋人として過ごしてもらいまーす!」

橘「…」

絵里「…」

橘「…ん?」

絵里「…え?」

橘「…」

絵里「…」

橘・絵里「「はああああああああああああああ!!?!?!?!???」」

森島「グー!いい反応ね!」

塚原「ちょっとはるか、いくらなんでも…」

橘「そうですよ!急にそんな…!」

絵里「…」ゼック

森島「あのね、橘君。絵里は最近、ちょっとした悩みを相談してくれたの」

橘「…悩み?」

絵里「…」

絵里「…!ちょ」

森島「恋愛経験がないのにラブソングを作らなきゃいけない…どうしたらいいか、っていうね!」

絵里「…」

絵里「…あ」

橘「…」

森島「もちろん力になりたかったんだけど、私もひびきも恋愛経験はない」

森島「それなら、やっぱり実際にお付き合いしてみるしかないじゃない?」

橘「…でも、そんな、絢瀬先輩の意思に関係なく付き合うだなんて…」

森島「だから、付き合ってるフリ?みたいな!恋人っぽいことをするだけ!」

橘「同じことですって!」

森島「もー、なに?橘君は絵里とそういうことするのは嫌?」

橘「なっ、ぼ、僕は、そんな…嫌では…」ゴニョゴニョ

塚原「…」

塚原「…」クスッ

塚原「はるか。さすがにやりすぎよ」

森島「えー?いい案だと思うんだけど…」

塚原「二人の気持ちを無視して、勝手にやっていいことと悪いことがあるでしょ」

森島「むむ…絵里は?」

絵里「え!?わ、私は…」

森島「寄ってくる男の子もいなくなって、悩み事も一発解決!…ダメかな?」

絵里「…」チラ

橘「僕が…でも…うーん…」ブツブツ

絵里「…」

絵里「私は…」

絵里「…」

絵里「…っ」グッ

絵里「…橘君」

橘「は!?はい!」ビクッ

絵里「…」

絵里「…」

絵里「…」タラリ

絵里「…」

絵里「…」フッ…

絵里「橘君さえよかったら…」

橘「…」ゴクリ

絵里「その…」

絵里「…」

絵里「…っ」











絵里「こ、恋人役、やって…くれないかしら…」カァッ










橘「!」

橘「へ…」

森島「…」ゴクリ

塚原「…」ゴクリ

絵里「…」

絵里「ダメ、かな」

橘「…」

橘(なんだこれは…現実か…?)

橘(あの絢瀬先輩が…僕に恋人役を…?)

橘(…)

橘「…」ムニ

橘「…」

橘(ダメだ…痛いのかどうかもわからない)

橘(夢…?)

絵里「…」

絵里「たちばな、くん?」

橘「…!」

橘「…」

橘「ぼっ」

橘「僕で…よければ、おねがい、します…」

絵里「!」

森島「!」

塚原「!」

絵里「ふぁ…」

絵里「こ、こちらこそ…」

絵里「よろしく、ね?」カァッ

森島「…」

塚原「…」

森島「~~~~!」

森島「うふ、うふふふふ…」

塚原「…はるか?」

森島「ふふふ…」

森島「~~~~~…」

森島「…」スクッ

森島「ひびき、後は若い者に任せて私たちは行きましょうか」キリッ

塚原「…そうね」

絵里「え?」

橘「なっ」

森島「じゃあお2人とも、私たちは行くから、ごゆっくりね?」

塚原「…ほどほどにね?」

絵里「はるか!?ひびきも!ほどほどってなによぉ!」

森島「またねー!」ヒラヒラ

塚原「ふふ…」スタスタ

絵里「…もう」

橘「…」

橘「…」

橘「…あの」

絵里「ひゃ!?」

橘「わっ!?あ、ご、ごめんなさい!」

絵里「いえっ!?なななななにか用だったかしら!?」

橘「いや!用、といいますか!あの、その…」

橘「…」

橘「…」スーッ

橘「…」ハーッ

橘「…」

橘「…よかったんですか、僕がそんな…恋人役、なんて」

絵里「…」

絵里「…」フゥーッ…

絵里「…」

絵里「勇気を出した女の子に、そんなことを聞くのはマナー違反」スッ

橘「!…」

絵里「でしょ?」ウィンク!

橘「」

絵里「…橘君?」

橘「」

絵里「おーい」フリフリ

橘「」

絵里「…」

絵里「気絶してる…?」

橘「」

絵里「…」

絵里「ふふっ」

絵里「…よろしく、ダーリン?」

橘「」






橘(気がつくと日はすっかり傾いていて)

橘(僕と絢瀬先輩は、恋人同士という設定で過ごすことになった)

橘(一緒に帰り道を歩く中、お互い何を話せばいいのかわからず)

橘(明日からもよろしくと言って別れた)

橘(…)

橘(森島先輩の思いつき、思ったよりもすごいことになってしまったけど)

橘(今回ばかりは感謝しよう…)

橘(…あー)

橘(…にやける)

『一方その頃…』

――――――絢瀬家絵里の部屋

絵里(はぁ)トスッ

絵里(はるかも無茶苦茶やってくれるわね…)

絵里(…)

絵里(ダーリンはちょっと調子に乗りすぎたかしら…)カァッ

絵里(…)

絵里(恋人…か…)パタッ

絵里(…)

絵里「…」ウーン

絵里「…」

絵里「…」ボフッ!

絵里「~~~!!」マッカッカ

絵里「…!…~~!」バタバタ

絵里「…」バタ…

絵里「…」

絵里「ハァ…」スクッ

絵里(橘君の貴重な学生生活の…)

絵里(一部を私のために使わせてもらうんだから)

絵里(せめて、楽しいとか、嬉しいとか)

絵里(いい思い出になってくれないとね…!)

絵里(…)

絵里「おもいで…か…」

絵里「…」

絵里「…!」

絵里「だ、ダメよ絵里!私はアイドル!アイドルなんだから!」ブンブン

絵里「~~~~!!!」

亜里沙「…」ドアノカゲチラッ

亜里沙(晩ごはんできたから呼びに来たら…)

亜里沙(どうしたんだろうお姉ちゃん…)

亜里沙(…)

亜里沙(楽しそうだし、まぁいいかな♪)

本日以上です

次からアコガレです

頑張ります
オス

『こ、恋人って、何をすればいいんだろう…うーん…』

――――――通学路

橘(役、とはいえ…)

橘(絢瀬先輩と恋人同士になってまた少し経った)

橘(森島先輩や塚原先輩も含めて4人で過ごす時間が増えたけど…)

橘(あの2人が僕と絢瀬先輩を2人きりにさせることがあるんだよなぁ…)

橘(しかも結構な頻度で)

橘(僕としては、恋人っぽいことをしたいのはヤマヤマなんだけど…)

橘(…)

橘「…うーん」

橘(具体的に、何をすればいいのか…)

橘(やっぱり、デートとか…)

橘(…)

橘「…」ヌーン…

橘「…」ウムム…

絵里「…」ハァーッ

絵里「…」サスサス

橘「…ムー」スタスタ

絵里「…!」

橘「ンー…」スタスタ

絵里「橘君!」

橘「…え!?絢瀬先輩!?」

絵里「よかった!もう学校行っちゃってたらどうしようかと思ったわ」

橘「どうしてこんなところに…?」

絵里「…何回か、一緒に帰ったとき、いつもここで別れてたでしょ?」

橘「はい」

絵里「ここで待ってれば橘君、通るかなって…」

橘「へ」

絵里「…一緒に登校、って、恋人っぽくないかしら…」

橘「…!」

絵里「っ!ほ、ほら、こうやって待ってたりする時間も!新曲のヒントになるかもしれないでしょ!?」

橘「あ、そっ、そうですね!…って、どのくらい待ってたんですか?」

絵里「えっ…と、15分くらいかしら。そんな、大して待ってないわよ?」

橘「十分長いですよ!寒いのに、すみません…」

絵里「謝らないの!私が勝手にやったことだし、言ったでしょ?新曲のヒントになるかも、って」

橘「うぐ…」

絵里「ふふっ…じゃあ、登校してる間、お話でもして楽しませてくれる?」

橘「! はい!お任せください!」

絵里「うん、お任せします!」





橘(…朝からいい時間を過ごした)

橘(まさか待っててくれてるなんて…)

橘(反省するべきは、冷たくなった手をぎゅっと握って…)

橘(暖めてあげる、ってやればよかった…!)クッ

橘(…)

橘(ちょっとキザかな…)

入れ忘れました

~アコガレ~ です!

『体育の授業だ!3年生が向こうにいるぞ…!』

―――――グラウンド

梅原「あ゛ー、疲れた…」ドサッ

橘「おつかれ、梅原」

梅原「サッカーはいいけどよ、一回あたりの出番が長すぎるのは問題だよなぁ」

橘「ああ、そうだな」

梅原「で、どうだ?3年生は!バレーなんて最高だろ?」

橘「ああ!やっぱりレベルが高いよ、3年生!」

梅原「そりゃあそうだろ!森島先輩と塚原先輩、それに絢瀬先輩が加わってもう…」

橘「ますます手を付けられないな…!」

梅原「しかし、アレだな。あーやって並んでると、森島先輩もアイドル並にかわいいのかもしれないな」

橘「ああ。絢瀬先輩に遜色ない美人ではあるかも」

梅原「絢瀬先輩の登場に隠れちゃいるが、未だに森島先輩人気も根強い」

梅原「更には塚原先輩にもコアなファンはいるし、まさに輝日東3年生戦国時代!」

橘「森島先輩も、中身がなぁ…」

梅原「あれがいいんじゃねぇか!お堅いわけでもなく、かといって隙だらけでもない!」

梅原「それに比べると、少しお堅いイメージが強い絢瀬先輩と塚原先輩だが…」

橘「…」

梅原「…」

梅原「…大将、俺が何を聞きたいのか、わかるな?」

橘「…さぁ?」プイッ

梅原「この!とぼけやがって!どうやって絢瀬先輩を落としやがったっ!!!」ブンブン

橘「あがががが…」グラグラグラ

梅原「森島先輩がふれ回ってるぞ!『絵里に彼氏が出来たわよ~~!!』って!!」

橘「おかげさまでみんなの目が怖いし冷たいぜ…」

梅原「そりゃそうだろ!ちくしょー!!!おめでとう大将!」バシバシ!

橘「ははは…痛い痛い…」

梅原「…」キョロキョロ

ワイワイ…ボールイッタゾー!ザワザワ…

梅原「…」ガッ

梅原「…で、恋人のフリってどういうことだよ」ボソッ

橘「ん、ああ、それがな…」

ボソボソゴニョゴニョ

梅原「…なるほど。新曲のため、なぁ」

橘「そうなんだよ。まぁ僕としてはありがたい話だから…」

梅原「…」

橘「…なんだよ」

梅原「…いや、大将って変なところでへタレだよな」

橘「なっ」

梅原「ま、そこがいいところなのかもなー」

橘「どういうことだよ!」

梅原「はっはっは!」

―――――――――――――――――――――――――――――――

―――――――――――――――――――――――

―――――――――――――――――

―――――――――――

橘「ふぅ、体育やっと終わった…」

橘「梅原…は先に行ったんだったな。僕も早く着替えないと…」

橘「…」

橘(しかし梅原め、僕がへタレだって…?)

橘(…)

橘(…うーん)

橘(…)

??「…」キョロキョロ

??「…」キョロ…

??「あ、いたいた」タッタッタッ

橘「…?」クルッ

絵里「こんにちは、橘君」

橘「絢瀬先輩!こんにち…は…」

橘(…!!)カッ!

橘(ジャージなし…だと…?)

絵里「…?」

橘(ブルマから伸びる大胆な太もも…ウエストの細さ故に強調されるその発達した胸…!)

絵里「あの…」

橘(鍛えられて尚柔らかさを残すふくらはぎから引き締まった足首のライン…!)

橘(完璧だ…なんてこった…!)

絵里「…橘君」

橘「…」ジーン…

絵里「橘君!」

橘「はっ!はい!」ビシッ!

絵里「どうしたの?なんだか変だったけど…」

橘「なんでもないです!」ビシッ!

絵里「…?」

橘「!」ビシッ!

絵里「…まぁいいわ。さっきの時間、体育だったわよね?」

橘「はい!先輩たちとは逆側のグラウンドでサッカーでした」

絵里「それでね…はい、これ」サッ

橘「へ?…タオル?」

絵里「頑張ってたみたいだから…汗、かいたかなって」

橘「…!」

橘「ありがとうございます!嬉しいです!」ギュッ

絵里「ふふ…よかった、喜んでくれて」

橘「でも、僕が走り回ってたのよくわかり…」ハッ

橘「…」

橘「もしかして、見てました?体育のとき…」

絵里「なっ!」カァッ

橘「いやー照れますね!見られてるならあともう少し頑張れば…」

絵里「…橘君」ワナワナ

橘「…?」

絵里「そういうことは、気がついても言っちゃだめ…」

橘「へ」

絵里「…恥ずかしい、でしょ…!」カァァァッ

橘「…!!!!!」

絵里「もうっ!行くからね!またね!」ツカツカツカ

橘「ふぁ、先輩!…行ってしまった」

橘(…恋人っぽいことをしようと思ったのかな)

橘(絢瀬先輩はかわいいなぁ!)ゴシゴシ

橘(…!)

橘(…このタオル)

橘(絢瀬先輩の匂いがする…!)

橘(ううっ、一生包み込まれててもいい!!)クンクン

橘(うおおおおおおおお!!)クンクンクン

――――――――――――

高橋「橘君、授業遅刻よ!怪我でもしてたの!?」

橘「あ、いえ、なんでもないです、ハイ…」

梅原「…なにやってたんだ大将」ボソッ

橘「…」

橘「ちょっと道に迷ってたんだ…」

梅原「…そうか」

本日以上…だと思います。暇があったらまだ今日中に投下するかもですが…

書き込んでくださっている方、読んでくださっている方
ありがとうございます!

気が向きましたら感想等じゃんじゃん書き込んでくださると嬉しいです!

書いてて思いますがアコガレとは思えないですね!
スキルートかナカヨシルートかも決めたいので、
お手数でなかったらどちらがいいのか徐々に書き込んでいってください!
まだ先だと思いますけどね

ではまた

『今日もやっと放課後だ…』

橘(帰ろう…と思ったけど、お宝本をあそこにしまってからにしようかな)

橘(梅原もケンもマサも大絶賛だったなぁ。さすが限定版桃スナ…)

橘(特にこの金髪美女特集なんてもう…)

橘(…)

橘(…)ジュルリ

橘(…!)

橘(おっと…危ない危ない。まためくるめく金髪ビーチの世界に入り込んでしまうところだった…)

橘(完全下校時間になる前にしまいに行こう…)

――――――――屋上

橘「…あれ?」

橘(絢瀬先輩がいる…参ったな。あそこのことはバレてるからいいとして…)

橘(僕が入っていくということはどういうことなのかも知ってるからなぁ…)

橘(…)

絵里「ハッ…!フッ…!」ババッ!

橘(それにしても、ダンスの練習かな?…邪魔すると悪いし、今日のところは諦めて帰った方が…)

絵里「はっ…はっ…」

橘「…」

橘(…)ダッ

――――――――――――――――――

絵里「ふぅ…ちょっと休憩しようかしら…」

絵里「タオルは、っと…」ガサゴソ

橘「絢瀬先輩!」ガチャ

絵里「きゃっ!?橘君!?」ビクッ

絵里「な、なんでここに…?」

橘「たっ、たまたまですよ!それより、これどうぞ!」

絵里「スポーツドリンク…」

橘「はい!差し入れです!」

絵里「…ふふっ、ありがとう」パシッ

橘「お一人で、ダンス練習ですか?」

絵里「ええ、今日は全体練習がないから。みんなに遅れをとらないように、ね」ゴクゴク

橘「大変ですね」

絵里「そう?…でも、転校のおかげではるかやひびきとも出会えたし」

絵里「…こうして橘君とお話もできるわけだし」

絵里「私としては、いい経験になってると思うけどな」

橘「っ…」

絵里「…? どうしたの、橘君」

橘「い、いえ、なんでも…」

絵里「?」

橘(そういうことをさらっと言っちゃうあたり、自分でわかってるのかなぁ…)

橘(…僕がたまにやるのは狙ってやってるから良しとして)

橘「ハァ…」

絵里「なに?」

橘「あ、いえ!本当になんでもないです!」

絵里「そう…?」

橘「はい!…そういえば、今思い出した話なんですけど…」

――――――――――――――――――――――――――――――――

――――――――――――――――――――――――

―――――――――――――――――

―――――――――――

絵里「―――――――そんなことないでしょ?」

橘「どうでしょうね…僕はあるとおもうんですけど…」

絵里「ふふふっ…はぁー…橘君とお話してると楽しいわね」

橘「それはなによりです!」

絵里「ふふっ…あ、もうこんな時間」

橘「えっ?あ、す、すみません!練習の邪魔を…!」

絵里「いいのよ。恋人とこういう時間を過ごすのも大切…でしょ?」ニコッ

橘「!!」ドキッ

橘(な、なんだこの破壊力は…!うう、僕はこれから耐え続けなければならないのか…?)ドキドキ

絵里「さ、帰りましょう!…一緒に帰ってくれる、よね?」

橘「!!!!!」

橘「は、ハイ!!!!もちろんです!!」

絵里「じゃあ、着替えて行くから、先に校門で待ってて?」

橘「はい!!!!いつまででも待ちます!!!!!!」

絵里「なによそれ…」クスッ

橘(ふおおおおおおお!!!!!!!か、かわいいいい!!!!)

橘(たまりません…たまりませんよこれは…)

橘(…)

橘(これで本当に、恋人だったら…)

橘(…)

橘(…ハッ)

橘(ダメだダメだ!なにを考えているんだ!)ブンブン

橘(…)

橘(…行くか)



――――――――――帰路

橘「今日は時間に余裕があるので、駅まで送っていきますよ」

絵里「そんな、悪いわ」

橘「だいぶ遅いですし…それに、恋人なら普通だと思います!」

絵里「っ」

絵里「こ、恋人なら…普通…」

橘「はい!」

絵里「…そうね。お願いしようかしら」

橘「!!」

絵里「駅まで…ね?」

橘「ありがたきしあわせっ!」

絵里「もうっ、なによそれ」クスクス

――――――――――――――――――――――

――――――――――――――――――

―――――――――――――

―――――――――

――――――ゲームセンター前

橘「…あっ」

絵里「? どうしたの、橘君」

橘「ここ、あのときのゲームセンターですね」

絵里「…!!」

橘「…あれ?そういえば、通りがかり見かけたゲームに興味があるって言ってましたけど…」

橘「外からだとあんまりあのゲームって見えませんね…」

絵里「…」

橘「…絢瀬先輩?」

絵里「…橘君」

橘「へ?」

絵里「あの…」

橘「…?」

絵里「…」

橘「どうかしましたか…?」

絵里「…」

絵里「…っ」

絵里「…よしっ!」

橘「!?」ビクッ

絵里「駅まで競争!負けた方がジュースおごりね!」

橘「え!?な、なんですか急に!」

絵里「スタートッ!」ダッ!

橘「ちょっ、絢瀬先輩!」ダッ!




橘(…こうして、絢瀬先輩と下校した)

橘(あの反応、絶対なにか隠してる…気になるなぁ)

橘(ちなみに、圧勝だったはずの絢瀬先輩は駅まで3mのところですっ転んだ)

橘(コンビニで絆創膏とココアを買ってあげたら涙目ながらも喜んでくれた)

橘(…毎回毎回、僕をどうしたいんだこの人は…)

短いですが、久しぶりに投下できました。
本日ここまでです。

まだ読んでくださっている方がいらっしゃるのでしたら、
ありがとうございます。

ルートはスキ濃厚っぽいですね!
両方はちょっと妄想限界が来そうなんですみません…

ペースは落ちてますが頑張りますので、今後ともよろしくお願いします…

『暇だしちょっと校内をぶらついてみるか…』

橘(絢瀬先輩とぐんぐん仲良くなってきて、僕はなんて幸せ者なんだろう!)

橘(この喜びを誰かと分かち合いたい!)

橘(…ん、あれは)

橘「森島先輩!」

森島「んんっ?橘君。どうしたの?」

橘「どうしたってことはないんですけど…」

森島「あ、絵里とは仲良くしてる?」

橘「はい!おかげさまで!」

森島「あんな美人とワキアイアイなんて、うらやましいわね!このこの!」ウリウリ

橘「うへへ…それほどでも~」デレデレ



絵里「あ…橘く…」

絵里「…はるか?」


森島「それで、恋人らしいことって何をしてるの?」コソコソ

橘「そうですね、具体的には…」コソコソ


絵里「…!!」カオガチカイカオガ!


森島「…わお!それは素晴らしいわね…!」ヒソヒソ

橘「そうでしょうそうでしょう!」ヒソヒソ



絵里「…」ナニハナシテルノカシラ…


橘「…で…って…なんですよ!」

森島「それはベリーキュートね!ぜひ写真を…」

橘「だ、だめですよ!」

森島「え~!?お願い!橘君!」ギュッ


絵里「!?」


橘「う…し、仕方ないですね…」

森島「わーい!橘君大好き!」ガバッ

橘「あ、危ない!急にハグしてこないでください!」


絵里「!?」ギョッ

絵里「~~~~!!」バッ


絵里「橘君!」

橘「おわっ!?絢瀬先輩!?」

森島「絵里!どうしたの?」パッ

絵里「はるか、橘君借りるから」

森島「えっ?うん…?」

絵里「…」グイグイ

橘「ちょ、な、なんです?痛っ!引っ張らないで下さい!ああぁぁぁぁぁ…」

森島「…」

森島「なんだったの…?」

―――――――屋上

ガチャン!

絵里「…」ツカツカ

橘「せ、先輩!どうしたんですか!急に屋上まで引っ張ってきて…」

絵里「…」ピタッ

橘「…?」

絵里「…ふん!」

橘「?」

絵里「はるかと随分仲がいいのね!」

橘「それは…まぁ…」

絵里「橘君は!」

橘「はいっ!?」ビクッ

絵里「…私の…その…一応…」

橘「…」ドキドキ

絵里「コ、コイビト…なんだ、から…」

橘「へ…」

絵里「っ」

絵里「だからっ!…その…」

橘「…」

絵里「…」

橘(…もしかして)

絵里「…」

橘(…)

絵里「…楽しそうに、はるかとこそこそ何してたの?」

橘(…)

橘(間違いない、完全にやきもちだっ!)

絵里「…」ムッ

橘「…」

橘「絢瀬先輩が、どれだけかわいいのかを話してただけですよ」

絵里「」

絵里「…!」

絵里「そ、そう…」

橘「はい」

絵里「ふ、ふーん…」

橘「…」

絵里「…ぇへへ」





橘(こうして、絢瀬先輩にやきもちを焼かれた)

橘(…なんというか、そのうち僕は後ろから刺されるんじゃないだろうか…)

橘(幸せだなぁ)

『絢瀬先輩がうたた寝なんて珍しいな…上着をかけてあげよう』

橘(最近は絢瀬先輩と帰るのが日課になってきてて)

橘(授業が終わると3年生の教室まで行って、先輩と落ち合う)

橘(教室にいなかったら屋上へ行って)

橘(練習を見た後に一緒に帰る)

橘(今日はどうかな…っと)



絵里「…」

橘「…あれ、絢瀬先輩?」

絵里「…」

橘(机に突っ伏して…)

絵里「スゥ…スゥ…」

橘「寝てる…?」

絵里「スゥ…スゥ…」

橘(きっと色々あって疲れてるんだな…)

橘(…)

絵里「スヤ…」

橘(しかし)

橘(絢瀬先輩の寝顔…)

橘(…)

橘(最高です!)グッ

橘(…あ、風邪ひいちゃわないかな)

橘(上着を…)ファサ

絵里「ん…」

橘「あっ」

絵里「んぅ…」ノビーッ

絵里「はぁ… あら、橘君」

橘「す、すみません。起こすつもりはなかったんですけど…」

絵里「ふぁ…私、いつの間にか寝てたのね…」

絵里「ん、これ…」サワ…

橘「僕の上着です。寒くないかなって…」

絵里「そう…ありがとう、橘君」ニッ

橘「は、はい!このくらいはなんでもないですけど!」

絵里「ふふっ…」クンクン

絵里「…橘君の匂い」

橘「へっ」

絵里「…なんだか落ち着く匂い」

橘「…」

橘(なんだこれは…まさか、試されているのかっ!?)

橘(あまりにも僕が何もアクションを起こさないから…)

橘(…)

橘(だとすれば、今の僕にできる最高の一手を…!)

絵里「…? 橘君?」

橘「…」

橘「それっ!」

ギュッ

絵里「!!???」モガッ

橘「ど、どうですか絢瀬先輩!」ギュッ

橘(座っている絢瀬先輩の頭を抱くように包む…)

橘(これが僕の攻めの最高手…!)

絵里「な、もう、どうって…」

絵里「どうって…」

絵里「…」スンスン

橘(ああっ!絢瀬先輩が僕の匂いを嗅いでる!それも直接!)

橘(なんて日だ…なんて日だ!)

絵里「…落ち着く」

橘「それは、なにより、です…」

絵里「…」

絵里「…!」ハッ

絵里「って違う!教室でこんなこと、ダメでしょ橘君!」バッ

橘「あっ、す、すみません!調子に乗りました!」

絵里「もう…」

橘「…」

橘「…?」

橘「あの…」

絵里「何?」

橘「さっきの…教室じゃなきゃ、いいってことですか?」

絵里「え?」

橘「教室でこんなことダメ、ってことは…」

絵里「なっ…!」

絵里「そういうわけじゃ…」

絵里「…」

絵里「…ふむ」

橘「…?」

絵里「…」

絵里「橘君次第、かな」

橘「!!」

絵里「…さ、帰りましょ?遅くなっちゃう」

橘「ぅあ…はい!」

絵里「ふふっ、いい返事ね!」




橘(絢瀬先輩と下校した)

橘(余裕がある絢瀬先輩…)

橘(これはこれでいいな…!)

『お昼だ!屋上へ急ごう!』

橘「お弁当!?」

絵里「うん、作ってきたの」

橘「ぼ、僕のためにですか!?」

絵里「そうよ?はい♪」スッ

橘「~~~~!」

橘(生きてて良かった…!僕のためにお弁当を作ってきてくれるなんて…!)ジーン

橘「いただきます!」パカッ

絵里「昨日の残りとかじゃなくて、ちゃんと作ったの久しぶりだから…あんまり自信はないんだけど」

橘「…!!」モグモグ

橘「…」ゴクン

絵里「…どう、かしら?」

橘「…」

絵里「…?」

橘「…」

橘「…すごく美味しいです」ツゥーッ

絵里「泣くほど!?」

橘「もう、なんか…感無量です…」モムモム

絵里「それはよかったけど…」

橘「卵焼きも…からあげも…おひたしも…最高においしいです…」

絵里「ハラショー!それはよかったわ!全部の料理にちゃんと隠し味を入れておいたのよ♪」

橘「隠し味ですか…?」

絵里「ええ!もちろんそのプチトマトにも、ね」

橘「ええっ!?トマトにも!?いったい何を…」

絵里「それはね…」スッ

橘(…?なんでこっちに近づいて…)

絵里「あ・い・じょ・う」ミミモトボソッ

橘「」

絵里「…こ、これ思ったよりも恥ずかしいわね」カァッ

橘「」

絵里「はるかは妙に推してたけど…うーん…」ブツブツ

橘「」

絵里「…はっ」

絵里「た、橘君?」

橘「」

絵里「橘君!」ユサユサ

橘「」

『今日は個人練習日って言ってたけど、さっき屋上に森島先輩が行くのを見たぞ…』

橘(絢瀬先輩は屋上で練習…)

橘(森島先輩はなにをしに屋上に…?)

橘(…)

橘(考えてたってわからないか…行こう)

――――――――――屋上

絵里「そうそう!そこでターン!」

森島「ここで?えいっ!――――きゃっ!」ドサッ

絵里「あっ!はるか、大丈夫?」

森島「うん、大丈夫!ダンスって難しいのね…」ムクリ

絵里「そんな簡単に出来ちゃったら私たちの立つ瀬がないわ」フフッ

橘「…なにやってるんですか、お二方」

森島「橘君!遅い!」ビシッ

絵里「橘君。はるかにダンスを教えてるの。アイドルに興味があるみたい」

橘「森島先輩がアイドルですか」

森島「うん!楽しそうじゃない?」

橘「それはまぁ…」

森島「でも、やってみると難しいのよ…橘君、腕立て伏せできる?」

橘「え?できますけど」

森島「やってみて!」

橘「はぁ…こうですか?」ググッ

森島「オーケー!次に、腕立て伏せを続けながら笑顔!」

橘「ええっ!?ぐぐぐ…」ニヘラ

橘「ふぐぐ…」グッ…グッ…

橘「ぐえっ」バタッ

森島「ね?難しいでしょ、アイドルって」

橘「な、なるほど…ダンスしてたり歌ってたりするときも笑顔ですもんね…なるほど…」

絵里「なーに、はるか。橘君もアイドルにしたいの?」

森島「うーん…それはそれで面白そうだけど…」

森島「絵里が困るでしょ?橘君が大人気になったら、もうモテモテになって…」

絵里「わーっ!わーっ!」ガバッ

森島「ムググ」

橘「へ…?どうしたんですか?今なにか…」

絵里「なんでもない、なんでもないわよ!?」

森島「むぐー!」ジタバタ

橘「はぁ…?」

絵里「はるか!変なこと言わない約束!」

森島「ぷはっ!はー…ごめんごめん…」

絵里「もう…」

橘「??」

本日以上です
細かいイベントを考えるの好きです

あと多分スキになりますね!
書き込んでくださった方、ありがとうございます

読んでくださっている方も、本当にありがとうございます

ぜひ感想等ありましたら書き込んでくださると嬉しいです

ではまた

『絢瀬先輩とお話しよう!』

―――――――屋上

橘「絢瀬先輩!」

絵里「橘君。元気そうね」

橘「はい!先輩お手製のお弁当のおかげでやる気満々です!」フンス

絵里「ふふっ、それはよかった」

橘「今日は練習しないんですか?」

絵里「んー…日直のお仕事が長引いちゃって…ちょっとだけ時間も遅いし、ナシにしようっかなって」

橘「あ、じゃあ下校時間までお話しませんか?」

絵里「いいわね!ただし、面白いお話でお願いね?」

橘「任せといてください!」

〈世間話〉

橘「先輩ってあだ名とかないんですか?」

絵里「あだ名?」

橘「ほら、アイドルってあだ名で呼ばれたりするじゃないですか。にこにーとか」

絵里「ああ…にこを引き合いに出されると…まぁ…」

橘「そういうの、絢瀬先輩にはないのかなぁって」

絵里「うーん…」

絵里「そうね、小さい頃のあだ名なんだけど…」

橘「はい」

絵里「おばあさまには『かしこいかわいいエリーチカ』、なんて呼ばれてたかしら」

橘「かしこいかわいい…」

絵里「子どものころね?」

橘「エリーチカ…!」

絵里「…?」

橘「エリーチカ先輩!」

絵里「やめて!」

〈勉強〉

橘「先輩は大学行くんですよね?」

絵里「ええ。受験勉強とアイドル活動の両立は難しいけど、頑張ってるつもりよ」

橘「…全然怠け者じゃないですよね」

絵里「そうかしら…でもアイドル活動は楽しくて仕方ないから、辛くないもの」

橘「はー…すごいですね…」

絵里「ふふっ、ありがとう。橘君も、勉強はしっかりしないとダメよ?」

橘「は、はい…」

〈運動〉

橘「アイドルのダンスって、バレエやってた先輩から見てどうだったんですか?」

絵里「えっ」

橘「レベルの違いみたいな…」

絵里「そっ、そんなに変わらないんじゃないかしらね!?」

橘「そうなんですか?」

絵里「ええ!スクールアイドルってみんながんばってるから!」

橘「それはそうですけど…」

絵里「そうよ!」

橘「はぁ…?」

絵里「!!」フンス

〈娯楽〉

橘「ゲームセンターとか、あんまり行かないんですよね先輩」

絵里「そうね…あ、プリクラなら撮ったことあるわよ!」

橘「μ’sのメンバーと撮ったんですか?」

絵里「ええ。そのとき初めて撮ったから、びっくりしちゃった」

橘「今ないんですかそのプリクラ」

絵里「あっても見せてあげない」

橘「えぇー…」

絵里「だってなんだか恥ずかしいじゃない!」

橘(…恥ずかしい撮られ方をしたんだなぁ)

絵里「…なに?」

橘「いえ、なんでも…」

〈食べ物〉

橘「ファーストフードって食べるんですか?」

絵里「ハンバーガーとか?…恥ずかしながら、高校三年生で初めて食べたかな」

橘「えっ!?珍しい…」

絵里「外食もそんなにしなかったし…でも、おかげで色んなものに出会わせてくれたμ’sに本当に感謝してるわ」

橘「今度僕とも行きましょうよ」

絵里「ええ!もちろん!」

橘「ファーストフードって他にも色々あるんですよ。牛丼とかドーナツとかサンドイッチとか…」

絵里「ギュウドン…?」

橘「えっ、知りませんか?」

絵里「…知ってるわよ」

橘「…」

絵里「あれよね?ギュウドン。どん!って感じの…」

橘「…おいしいですよね」

絵里「ええ!ハラショーよね!」

橘「…」

絵里「ハラショー!」

橘「…ごまかしてないですか?」

絵里「な、なんのことかしらー?」

〈おしゃれ〉

橘「やっぱり一緒にいる男性もおしゃれな方がいいですか?」

絵里「え?…それって橘君のこと?」

橘「うぐ…まぁ…現状ではそうなりますけど…」

絵里「ふふっ、そうね。よっぽど変な格好じゃなければなんでもいいかな」

橘「変…」

絵里「女装とか、全身タイツとか…」

橘「流石にそんな突き抜けた格好で隣にいたら僕でも嫌ですよ」

絵里「あら、橘君ならやりかねないと思ったんだけど」

橘「しませんって!」

絵里「そう?よかった♪」

橘(先輩の中で僕はどんな人になってるんだろう…)

〈恋愛〉

橘「まだ告白とかされてます?」

絵里「え?…気になるの?」

橘「それはもう。恋人ですから」

絵里「っ…」

絵里「そうね…橘君とそうなってからはなくなったわ」

橘「へぇ…」

絵里「…安心した?」

橘「それはもう!恋人ですから!」

絵里「もう…」

〈エッチ〉

橘「先輩、胸が水に浮くって本当ですか?」

絵里「なっ!?」カァッ

橘(赤くなったぞ!最近あんまり赤面しないから、珍しありがたかわいい…)

絵里「っ…」コホン

絵里「それはもう、私くらいの大きさになると浮き輪いらずよ」

橘「えっ!?それはすごい…!やはりそこには夢が詰まって…」ジーッ

絵里「…」

橘「夢と…現実と…ほんの少しの欲望が…」ジーッ

絵里「…」プルプル

橘「…ごくり」ジッ

絵里「もう!橘君!見すぎよ!」チカァ!

橘「はっ!?す、すみません!!!」

絵里「もう…」

橘「うぅ…」

絵里「あとさっきのも嘘よ」

橘「なっ!?」

〈行動〉

橘(先輩ってしっかりしてそうだけど案外小動物みたいなところがあるよね…)

絵里「?」

橘(…よし、思い切って頭を撫でてみよう!)

絵里「ちょっと、どうかしたの?橘君」

橘「…」スススッ

絵里「?」

橘「…」

橘「失礼します…!」

絵里「え?」


ナデナデ…


絵里「ふあっ!?」

橘(おおっ!髪の毛がさらさらと…さらに体温を感じる!)

絵里「うぅ~…」カァッ

橘(顔を赤くして状況が飲み込みきれていない表情で僕を見ている…)

橘(…いい)

絵里「橘君!」バッ

橘「あっ…」

絵里「な、何か言ってよ!急に恥ずかしいのよっ!?」

橘「すみません…そこに絢瀬先輩の頭があったので…」

絵里「なによそれ…」

橘(しまった!機嫌を損ねちゃったかな…?)

絵里「もう…」イジイジ

橘(…いや、満更でもなさそうだ!グッジョブ僕!)

〈アタック〉シュインシュシュシュシュシュ…

橘「今日もいつの間にかこんな時間ですし、そろそろ帰りますか?」

絵里「そうね…橘君とお話してると、いつもあっという間ね!」

橘「恐縮ですお嬢様!」

絵里「ふふっ、よくってよダーリン♪」

橘「!」ズキューン!

橘(もう何回撃ち殺されたんだろう僕は…)

絵里「私、カバンが教室だから校門で待ち合わせね?」

橘「あ、はい!いつまででも待ちます!」

―――――――――――――――――――――――――――――

―――――――――――――――――――――

――――――――――――――

―――――――――

―――――――帰路

橘(今日は天気がいいなぁ。この調子なら、夕焼けが綺麗に…)

橘(…!)

橘(…そうだ!)

橘「…先輩、今日って早く帰らなきゃいけなかったりします?」

絵里「え?…時間の余裕はあるけど」

橘「ならちょっとだけ遠回りしましょう。いいですか?」

絵里「ええ。かまわないわよ」

橘「ありがとうございます!ではこっちに…」

―――――――

橘「ここの角を曲がって…」

絵里「なんだか細い道を来たけど、どこに出るのこの道…?」

橘「―――――はい!ここです!」

絵里「…!」

橘「この河原、夕焼けのときに来ると遮るものがないので綺麗なんですよ」

絵里「ハラショー…!川に夕日が映って…」

橘「僕が長年かけて見つけた隠れスポットです!」

絵里「すごい…綺麗」

橘「天気がいいときはここでこうやって…」トサッ

橘「座りながらボーッと風景を眺めると最高なんです」

絵里「はー…」

絵里「…」トサッ

橘(…!)

橘(絢瀬先輩が腕が触れるか触れないかぐらいの距離に座った!)

橘(うぅ…来てよかった…!)

絵里「…」ホゥ…

絵里「…」ポーッ

絵里「…」

絵里「…」

絵里「…」

絵里「…」

絵里「――――――――――橘君」

橘「はい?」

絵里「…こうして、ただ綺麗な景色を眺めるのでも」

橘「…」

絵里「大切な人といると、こんなにも違うものなのね…」

橘「え…」

絵里「…」





絵里「…ありがとう」

絵里「私、橘君が恋人で…」







橘「…」

橘(ぁ…)








絵里「本当に、よかった…」ニコッ









橘「絢瀬、先輩…」

絵里「…」フフッ

絵里「ごめんなさい、急にこんなこと…」

絵里「でも、こんな綺麗な夕焼けを見てると、つい…ね?」

橘「…」

橘(僕は…)

橘(僕は、なんて言えば…)

橘(言いたいこと…)

橘(僕が一番、先輩に伝えたいことは…)

橘「…」

橘「…」

橘「…」

橘「先輩」

絵里「んー?」

橘「…夕焼けも綺麗ですけど」

絵里「…?」

橘「――――――――先輩の方が、綺麗ですよ」

絵里「え…っ」

橘「お世辞とか、冗談じゃなくて、本気で」

橘「…綺麗、です」

絵里「っ」ドキ…

絵里「それ、って…」

橘「…」

橘(…)

橘(…!)ハッ

橘(僕は…)

橘(僕は何を言ってるんだッ!!!!)

橘(いや本当にそう思ったから言ったんだけど…!)

橘(そのまま考えなしに口に出すなんてっ!)

橘(大丈夫だろうか、先輩ヒいてないだろうか…)

橘(ううっ…顔を見るのが怖い…)

絵里「…」

絵里「…ぅぅ」

絵里「…」グッ

絵里「…」ジッ

橘「…」ウー…

絵里「…」

絵里「…もうっ」

橘「…?」

絵里「はいっ」

ギュッ

橘「えっ!?せ、先輩、手を…」

絵里「…そろそろ帰らないと」

橘「あ…」

絵里「道がわからないから、はぐれないように手を繋いで行きましょう?…絶対に離さないで、ね?」

橘「…は」

橘「はい…!」ギュッ

絵里「うん、頼もしいわ!最後まできっちり、エスコートよろしく♪」

橘「はい!任せてください!」







橘(こうして、絢瀬先輩と夕焼けを見て帰った)

橘(『恋人じゃなくて、恋人役だったわね』なんて言いながら、)

橘(手を繋いで歩き出したときに見た先輩の顔が真っ赤だったのは)

橘(夕焼けのせいだったのだろうか)

橘(それとも…)

橘(…)

橘(先輩…)

本日ここまでです

ちょびちょび進んでるアコガレもそろそろ畳んでいきたいです

書き込み、読んでくださってる方
ありがとうございます

ではまた

『うーん…何か愉快なできごとはないかなぁ…』

橘「マサとケンといつもの宝物ゲームをする…」

橘「退屈だったし、受けてたったのはいいけど」

橘「校内のどこも暖房がやけに効いてて眠いなぁ…」ファァ…

橘(…マサのことだ、たぶんあそこに…)

――――――体育館、器具倉庫

橘「ここが怪しい…」

橘(マサも案外ワンパターンだからなぁ)

橘「…う」

橘「ふぁ~ぁ…」ムググ

橘(眠い…ボーっとしてきた…)

橘「…」

橘「…!」ハッ

橘(だめだだめだ!)

橘(お宝はもう目の前!こんなところで諦めては…!)

橘(よし…!)

橘(この跳び箱が…)

橘(よっと…)ガパッ

橘「…!」

橘(やっぱり!ふふふ…悪いなマサ!僕の勝ちだっ!)

橘「…」キョロキョロ

橘(幸い周りに人影はなし…)

橘(せっかくだし、跳び箱の中でお宝の確認と洒落込むか!)

橘「よいしょ…」

橘(よし、入れた!)

橘(…それにしても、跳び箱の中は結構居心地がいいぞ。自宅の押入れにいるみたいだ)

橘(そしてこの表紙…なかなかに…)

橘(…)

橘(…ぐぅ)

―――――――――――――――――――――――――――

―――――――――――――――――――――

―――――――――――――――

―――――――――

キーンコーンカーンコォーン…

橘「…」

橘「…!」ハッ

橘(…?いつの間にか寝ちゃってたのか)

橘(って、まずい!授業始まってるんじゃ…!)

橘(隙を見て脱出しないと…)

??「えーっと…点数板と…空気入れと…」

橘(う…誰か来たぞ!とりあえず静かにしてやり過ごすしか…)

??「空気入れってどこにあるのかしら…うーん…」ガタッ

橘「………」

??「…それにしても、少し暖房効きすぎよ。ジャージ脱いじゃいましょ…」ゴソゴソ

橘(ジャージを…脱ぐ!?)

橘(それって、ブルマに…)

橘(…)

橘(そ、外の様子を確認するのも大事だよね…)

橘(…)

橘(どれ…)ソーッ

チラッ

橘(おおっ!ブルマだ…!)

橘(こんなに近くに…)

橘(ううっ、誰だろう…他の段も…)

橘(…よし、下の段…)

チラッ

橘(…)

橘(うおおっ!白い肌にハリのある太もも!ブルマから伸びていることによってより扇情的に…)

橘(…)

橘(でも、どこかで見たことあるような…)

??「あ、あれかしら…よいしょ…」

??「…あっ!」

ガシャン!

橘「うわぁっ!?」

??「!?」

橘「あっ…!」

橘(しまった、声が!)

??「今、声が…」

??「…跳び箱の中からね」

橘(う…)

??「跳び箱からのぞきなんていい度胸してるわね。どれどれ…」

橘(…!上段の穴からこっちを覗き込んで…)

??「うーん…薄暗くてよく見えない…」

橘「…!!!!!」

橘(こっちからはよく見える!あれは…)

橘「絢瀬先輩!」

絵里「えっ!?その声…」

絵里「…もしかして、橘君…?」

橘「はい!橘純一です!」

絵里「…」

絵里「橘君…のぞきはやめたって言ってなかったかしら…」ジトッ

橘「ち、違うんですよ!これには訳がっ!」

絵里「ふーん?訳、ねぇ?」

橘「うぅ…」

絵里「…ま、言い訳ならまた聞いてあげる。誰にも言わないでおくから、この時間はじっとしてなさい」

橘「は、はい…」

絵里「いい子にしてなさいよー?」

橘「はーい…」





橘(…次の休み時間、お宝本のことを隠しながら理由を説明した)

橘(『かくれんぼ?楽しそうじゃない!』なんてノリノリになってくれたのは予想外だったけど、)

橘(助かった…のかな?)

『帰ろうと思ったら校門のところに誰かいるぞ…関わらないように通り抜けよう…』

橘(絢瀬先輩とこんなに仲良くなって)

橘(こんな関係になれるなんて)

橘(僕は間違いなく幸せ者だ)

橘(…)

橘(さて)

橘(今日は先輩はいないし、1人で帰ろうかな)

橘「…ん?」

??「…」ササッ

橘「…」

橘(校門の陰に誰かいる…)

橘(なにか、写真みたいなものを持って通る人の顔と見比べてるみたいだけど)

橘(あきらかに怪しい…)

橘「…」スタスタ

??「…」サッサッ

??「…!!」

??「ちょっとあんた!」バッ

橘「ええっ!?まさかの僕!?」

??「話があるの。面貸しなさい!」グイッ

橘「え?え?な、なにを…」

??「いいから!早く!」グイグイ

橘「わかりました!わかりましたから引っ張らないで!」

―――――公園

橘(連れてこられたけど…一体僕に何の用が…)

橘(というか誰だろう…)

??「この辺なら変装しないでも大丈夫そうね…」キョロキョロ

橘「あの…僕に何の用で…」

??「とりあえず自己紹介するわ」バサッ

橘「…!!」

??「私は音ノ木坂の…」

橘「にこにー!矢澤にこさんじゃないですか!!!!」

にこ「えっ?」

橘「銀河系ナンバーワンアイドルの!すごい!本物だ!」

にこ「!!」

にこ「も、もー!あんまり大声で言わないの!お忍びなんだからぁ♪」キャルン

橘「うおおおおおおおおおおおおおお!にこにー!!!」

にこ「仕方ないなぁー!特別だよ?せーの!」

橘・にこ「「にっこにっこにー♪」」

にこ「あなたのハートににこにこにー♪笑顔届ける矢澤にこニコ!にこにーって呼んでらぶにこっ♪」バチン!

橘「すごいぞ!今日はどうなってるんだ!」

にこ「ありがとー!」フリフリ

橘「にこにー!!!!」

にこ「…」フリフリ

にこ「…」

にこ「…」ハッ

にこ「って、違ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁう!!!」

橘「わっ!?」

にこ「扱いが嬉しすぎて危うく脱線し続けるところだったわ…」

橘(嬉しかったんだ…)

にこ「アンタ、橘純一よね」

橘「あ、はい…」

にこ「単刀直入に言うわ。これ以上絵里に近づくのをやめなさい」

橘「!」

にこ「μ’sは今、あのA-RISEのライバルとして世間に認められつつある…そのメンバーから男の匂いがしたら…」

にこ「ラブライブの結果にも関わる。その男が例え誰だとしても、ね」

橘「…」

にこ「悪いことは言わないわ。にこのことも知ってたみたいだし、あんたもファンならわかるでしょ?」

橘「…」

にこ「…それにね」

にこ「ラブライブのことだけじゃない」

橘「…」

にこ「スキャンダルを理由に引退するアイドルがファンにどう言われ続けるか…わかるはずよ」

にこ「絵里のためを思うなら…」

にこ「…恋人のフリなんてバカなこと、やめなさい」

橘「…!」

にこ「絵里がね、1年と2年に内緒で私と希にだけ話すのよ」

にこ「今日は橘君がどうとか、明日は橘君とどうとか…」

にこ「…聞いてみれば、ラブソングを作るために迷惑をかけてるだなんだって」

にこ「聞いててあきれたわ。本当に恋人ならまだしも…」

橘「っ…」

にこ「…」

にこ「この際、はっきり言っとくわね」

橘「…」

にこ「…中途半端な覚悟でアイドルに関わってくるんじゃないわよ」

橘「…!」

にこ「…っ、責任をとる覚悟もないのに!ウチのメンバーにちょっかい出すなってのよっ!」

橘「…」

にこ「…」

にこ「…なにがあったのかはよく知らないけど」

にこ「私の言いたいことはこれだけ」

橘「…」

にこ「…悪いわね。そういうことだから――――」

橘「…」

橘(僕はなんだ)

橘(矢澤先輩の言うことは正しい)

橘(覚悟…)

橘(どうしたい…?どう思われたい?)

橘(僕の気持ちは…)

橘(…)

橘(僕は―――――!)

橘「…!」バッ!

橘「待ってください!」

にこ「…なによ」

橘「僕は…」

にこ「…」

橘「…っ!」

橘「…僕は、絢瀬先輩が好きです!」

にこ「…!」

橘「わかってました…」

橘「僕がこうやって、隣にいるだけでどうなるのか」

橘「周りにどう思われて、それがどんな結果を生むのか!」

にこ「わかってるなら…!」

橘「だから!!」

にこ「!」

橘「…僕が守ります」

橘「僕が隣で、支えきります!」

にこ「…」

橘「どう言われたって!どう思われたっていいように!」

橘「僕さえいればいいって思われるように!!!」

にこ「…」

橘「…」

にこ「…」

にこ「ふん」

橘「…」

にこ「…そういうことは付き合ってから言いなさいよね」

橘「…はっ」

にこ「それでフられたらダサいなんてもんじゃないわよ~?」

橘「そ、そう言われると…」

にこ「…」

にこ「ま」

橘「?」

にこ「頑張ってみなさいよ。どうせ無駄だから!」

橘「ぐっ…」

にこ「絵里があんたみたいなへたれに惚れるわけないにこ~♪」

橘「へ、へたれ…」

にこ「…でも、一応勝負ね」

橘「…!」

橘「…はい」

にこ「私は…アイドルを」

橘「僕は、恋人を」

にこ「無謀ね」

橘「同感です」

にこ「負けないわよ」

橘「こっちこそ。負けませんよ!」

にこ「…」フゥ…

にこ「…じゃ、私は帰るわ」

橘「はい。すみませんお時間使わせちゃって」

にこ「…」

にこ「ふん!」スタスタ

橘「…」ペコリ







橘(…)

橘(まさかの展開だったけど)

橘(…いい先輩なんだな、矢澤先輩って)

橘(…)

橘(さて、いいかげん本気を出すか!!)

橘(具体的な計画を立てないと…!)

矢澤襲来

お話書くのって難しいですね

ではまた

『せっかくの休日だけど、何をしようかな…』

橘「ふぁ~~あ」ノビー

橘「日曜日…か。今日はなにも予定がないし、どうしようかな…」

橘「…」

橘「絢瀬先輩と付き合うための作戦を考えようかな…」

橘(でもそれにはまず僕が絢瀬先輩と並べるくらいの人間にならないと…)

橘(…)

橘(えっこれ無理じゃないか?)

橘(抜群のプロポーション、文武両道、優しくてキリッとしててどこか天然で…)

橘(…)

橘(つりあう気がしない…!)

橘「うぅ…一体どうすれば…」

橘「…」

橘「…だけど、ここで諦めたらそれこそへタレじゃないか!」

橘「矢澤先輩に笑われる…!」

橘「よし!やるぞ!まずはたるんだ身体を鍛えなおす!」スクッ

橘「ランニングだ!うおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」バッ!

――――――――――――――――――――――――――――――

―――――――――――――――――――――――

――――――――――――――――――

――――――――――――――

――――――――公園

橘「ハァッ…ハァッ…」

橘(う…ちょっと調子に乗りすぎた…疲れた…)ゼェゼェ

橘(公園で水でも飲もう…!)スタスタ

橘(…)キュッ

橘(…)ゴクゴクゴク…


橘「…ふぅ」

橘「…」

橘「ベンチ…」ドサッ

橘「…」

橘(なんだか、走って頭がすっきりしたな)

橘(思えば、まだ僕ははっきりと想いを伝えてないじゃないか!)

橘(これはへたれって言われても仕方ないなぁ…)

橘(…)

橘(恋人のフリ)

橘(森島先輩は僕が本気で絢瀬先輩のことを好きなのがわかっててあの案を出した…)

橘(だとしたらあれは、森島先輩のアシスト…のはず)

橘(…)

橘(ああ)

橘(僕の真っ先にやるべきことが)

橘(…わかった気がする)

橘(…)

橘(…よし)スクッ

橘「覚悟を決めろ…橘純一…!」グッ

『…絢瀬先輩に想いを伝えるために!』

―――――――――――休み時間、3年生教室前

橘(…そうだよ)

橘(いいかげん勇気を出そうじゃないか、橘純一!)

橘(…告白されてるところも、それを断るところも見てるし)

橘(すごくドキドキするけど…)

橘(いつもいつも良い雰囲気…まではいくし、なにも勝率がそこまで低いわけじゃない…)

橘(と、言い聞かせよう…!)

橘(…よし!まずはアポイントメントを…)

絵里「あら、橘君」

橘「うひゃあ!?」バッ

絵里「え!?どうかしたの!?」

橘「あ、絢瀬先輩…」ドキドキ

橘(びっくりした…心臓に悪いよ…)

絵里「うん?…こんな時間に教室まで来るなんて、なにか用だった?」

橘「…」

橘「は、い。絢瀬先輩にお話があって」

絵里「…改まって、どうしたの?」

橘「ここではちょっと…あの、今日、放課後に屋上で、いいですか?」

絵里「…?いいもなにも、いつも通りってことでいいのよね」

橘「…はっ」

橘(そう言われるとそうだ…わざわざ言わなくても最近はいつもそうじゃないか!)

橘(…でもたまに全体練習とかで帰っちゃうし)

橘(というか、いつもと違う雰囲気を感じ取ってもらえない!)

橘(…まぁ絢瀬先輩だし、それはあんまり予想外ってほどでもないかな)

絵里「??」

絵里「…橘君?」

橘「あっ、はい。お願いします!」

絵里「ん、わかったわ。今日は1人で練習の予定だったから、その後でもいいかしら」

橘「はい!問題ないです!」

絵里「…それだけ?」

橘「はい!」

絵里「変な橘君」クスッ

橘「へへへ…」

絵里「じゃあ、私お手洗い行きたいから…」

橘「あ、お供しましょうか?」

絵里「橘君がそれでいいならいいけど」

橘「うっ」

絵里「ふふっ…またね?」

橘「はい、また…」

橘(手ごわくなってしまって…悲しいやら嬉しいやら…)

橘(…)

――――――3年生教室影

森島「…」

塚原「…」

森島「ねぇひびき、今のって…」

塚原「橘君も覚悟を決めたのかしらね」

森島「今日の放課後、屋上かぁ」

塚原「…まさか見に行ったりしないわよね」

森島「…」

塚原「…」

森島「…」

塚原「はるか」

森島「で、でもまだそうと決まったわけでもないし!」

塚原「…」ジトッ

森島「その目はなによひびきちゃん!」

塚原「別に、なんでもないけど…」

森島「…うー」

森島「もうっ!いいでしょ少しくらい!橘君のためにきっかけあげたんだから、どうなるか知る権利があるでしょ!?」

塚原「…絵里の話も聞いてやったことなんだし、結果はわかってると思うけど」

森島「それでも!見たいの!」

塚原「…」ハァ

塚原「…まぁ私も気にならない訳じゃないし、今回ははるかも一枚噛んでるし」

塚原「…絶対バレないように、こっそりね?」

森島「!」パァッ!

森島「さっすがひびき!話がわかる!」

塚原「調子がいいんだから…」

森島「もちろんひびきも一緒に見るでしょ?屋上ののぞきポイント見つけとかなきゃ…!」

塚原「え?わ、私はいいわよ。後ではるかが教えてくれれば…」

森島「ダメダメ!臨場感が人間を成長させるのよ!ひびき!」フンス

塚原「わけのわからないことを…」
森島「とにかく!放課後空けといてね!」ビシッ

塚原「わかったわよ…こうなったら聞かないものね…」

森島「!」フンス

お話書くのゲロ難いっすね
私、根はほのキチですしね!

あといつも休み時間を放課って書きそうになります
方言怖いですね。
スノコのことざら板って言わないんですもんね他府県

余談でした
ではまた

『絢瀬先輩に想いを伝えよう!』

橘「…」スーッ

橘「…」

橘「…」

橘「…」フーッ…

橘「…」

橘「…」

橘「…」

橘「…」

橘(あー…緊張するなぁ…)

橘(屋上の扉の前…ここにもう結構な時間いるけど)

橘(…この扉を開けたら絢瀬先輩がいる)

橘(…)

橘(ぁぁぁぁあ~!緊張するなぁ~!)

橘(でも音楽は聞こえないし、もしかしたら練習が終わって僕を待ってくれてるのか…?)

橘(だとしたら早く行かないと失礼だ!)ガシッ

橘(…)

橘(…)

橘(うあぁぁ~!ダメだ、開けられない!)バッ

橘(ううう…やっぱり矢澤先輩の言ってたへたれっていうのは合ってるのかも…)

橘(こんなんじゃ告白なんて到底…)

ススス…

橘(でも行かなきゃ…!覚悟、したじゃないか!)ガシッ

橘(…)

橘(…)

橘(…う)

ドンッ!

橘「あ…っ!?」

ガチャ!

橘(なっ、誰か押し…!?)ヨロッ

橘「っとっと…」ピタッ

絵里「…あ、橘君」

橘「絢瀬…先輩…」

絵里「遅かったじゃない。なにかあったの?」ニコッ

橘「あ、い、いえ、特にそういうわけじゃ…」

絵里「そう?」

橘(…夕焼けが真っ赤に染める屋上で)

橘(絢瀬先輩がこちらを振り向く)

橘(…この画だけでも伝わる。やっぱり先輩は、綺麗だ)

絵里「それで、お話、っていうのは…」

橘「っ」

橘「は、はい…その…」ドキドキ

絵里「…?」

橘「…」

橘「…」


  頑張ってみなさいよ。どうせ無駄だから!

橘「…っ!」

  絵里があんたみたいなへたれに惚れるわけない

橘「…」

橘(そう、だよ)

橘(僕みたいなやつが…)

橘(…)

橘(今で十分じゃないか)

橘(仲が良くて、十分特別じゃ…)


…中途半端な覚悟でアイドルに関わってくるんじゃないわよ

橘(…!)

  責任をとる覚悟もないのに!ウチのメンバーにちょっかい出すなってのよっ!

橘「…」

橘(…なにを考えてるんだ、僕は)

橘(…決めたじゃないか)

橘(橘純一…!)

橘(…!!!)

絵里「…橘君?」

橘「…」

橘「先輩」

絵里「?」











橘「好きです」









絵里「…!」

橘「僕は、絢瀬絵里先輩のことが好きです」

絵里「ぇ…」

絵里「…」

絵里「ぁ…っと、それは、恋人、役、として…」

橘「違います」

絵里「っ」

橘「やさしくて、どこか抜けてて」

橘「綺麗で、かわいくて、不器用で」

橘「…自分のことなんかそっちのけで、他人のことばかり考えていて」

絵里「…!」

橘「…僕はそんな先輩の、支えになりたいんです」

絵里「ぁ…」

橘「…先輩、僕と…」

橘「付き合ってくださいっ!」バッ!

絵里「ぅ…」

橘「…」

絵里「ぁの…ぅ…」

橘「…」

絵里「~~~~!!」

絵里「ご…」

絵里「ごめんなさいっ!」ダッ!

橘「あっ…先輩!?どこへ!」

橘(…)

橘(ん…?)

橘(今、ごめんなさいって…?)

橘(…ふられた?)

橘(…)

橘(そっか)

橘(…そっか)

橘「…」

橘「はは」ヨロッ

橘「…はは」ヨロヨロ…ドサッ

橘「っ…」ポロ…

橘「うぁ…」ポロポロ…

橘「ふぅっ…」ゴシゴシ

橘「…」

橘「はぁ…」ポロッ…

橘「…終わった、なぁ」

橘「…」

橘「…グスッ」

ちょっと引っ張ってみたいので、
明日というか今日の夜、また続き投下します。

次でアコガレ終わる予定です。

出身は愛知です。

ではまた








――――――橘君






橘「…?」

塚原「…」

橘「つ、塚原先輩…?どうしてここに…」

塚原「…ごめんなさい、全部見させてもらったわ」

橘「え…」

塚原「はるかと一緒に。カッコいい告白だったわよ」

橘「…ありがとうございます」

橘「…でも、ふられちゃいました」

塚原「…」

橘「…」

橘「…なにか」

橘「自分の中で、自信はあったんです」

橘「恥ずかしい話ですけど…もしかしたら、絢瀬先輩は受け入れてくれるんじゃないかって」

橘「僕が踏み出せば、断りはしないんじゃないかって…」

橘「…」

橘「全部勘違い、でしたけど、」

橘「…」

橘「…幸せな時間でした」

塚原「…」

橘「ぅ…」ポロ

塚原「…橘君」

橘「…」

塚原「…絵里が」

橘「…?」

塚原「橘君と恋人役をする前…」

塚原「最初私とはるかになんて相談してきたのか。知ってる?」

橘「は…」

橘「…」

橘「…ラブソングのために、ってやつですか」

塚原「そう、それ」

橘「…だから、なんだっていうんです?」

塚原「…実はね。ラブソングを作りたいから、っていう話」

塚原「これは私たちが聞いた話の半分でしかないのよ」

橘「半分…?」

塚原「橘君には言わなかった話がある…ってこと」

橘「え…」

塚原「…あのとき」

塚原「絵里が言ってたのは――――――――――――」












     「気になる男の子がいるの」










――――――――――――――――――――――――――――――――

――――――――――――――――――――――――――

―――――――――――――――――――

―――――――――――――

森島「わお!それは素敵ね!」

絵里「そ、そうかしら…」

森島「それで、誰なの?もしかして私たちの知ってる人?」

絵里「…うん」

絵里「えー!?誰かしら…クラスの男の子は…」

塚原「みんなもう断られてるんじゃなかった?」

森島「え?そうだっけ」

絵里「そんなに告白されてないわよっ!」

塚原「冗談よ、冗談。でも、本当にそうなりそうな勢いよ」

森島「うんうん!絵里ってばモテモテだもんねー」

絵里「そ、そんなこと…」

塚原「ふふっ…」

森島「それで?モテモテの絵里ちゃんは誰が気になるのかな~?」

絵里「う…」

塚原「私たちが知ってる人で…男の…子…?」

塚原「…男の子って言い方だと、年下?」

森島「おおっ!名探偵ひびきちゃん!?」

絵里「ぁぅ…」

森島「当たりなのね?すごいすごい!」

塚原「結構当てずっぽうだったんだけど…」

森島「うーん、年下で、私たちも知ってて、それだと…」

森島「…!」

森島「まさか、橘君!?」

絵里「…!」カァッ

塚原「…どうやら当たりみたいね」

森島「へー!橘君かぁ…」

塚原「…まぁ」

森島「いい子よね!わんちゃんみたいで」

塚原「…それ褒めてるの?」

森島「もちろん!」

絵里「ぁの!」

森島「ん?どうしたの絵里?」

絵里「…それで、相談なんだけど」

塚原「?」

絵里「その…私ね」

森島「うんうん?」

絵里「…初恋、がまだなの」

森島「ふむふむ」

絵里「それで、この気持ちが…何なのかわからなくて…」

森島「…」

絵里「だから、気になってる、っていうのが合ってるのかどうかも…」

森島「…」

絵里「…?」

塚原「…はるか?」

森島「よし!」

塚原(あ、余計なことするときの顔…)

森島「絵里!」ガシッ

絵里「な、なに!?」

森島「任せて!」グッ

絵里「え!?」

森島「!!」グッ

塚原「ちょっとはるか、一体何を…」

森島「さーて、こうなったら早く行動しないと!行ってくるね!」ダッ

絵里「ちょっ、はるか!?」

塚原「…行っちゃったわね」

絵里「もう…」

塚原「…」

塚原「絵里」

絵里「…ぅん?何、ひびき」

塚原「…本当にその気持ち、恋かどうかわからない?」

絵里「…!」

塚原「橘君といるときの絵里、横から見てきたけど…」

塚原「私には、答えが出てるような気がする」

絵里「…」

絵里「むー…」

塚原「どうかしら」

絵里「…」

絵里「ひびきには敵わないわね…」

塚原「ふふっ、これでも女の子なのよ?そういうことには敏感なの」

絵里「…まさか見抜かれるなんて」

塚原(…案外わかりやすいっていうのは黙っておいた方がよさそうね)

絵里「…」

絵里「最近、橘君のことを考える時間が増えて」

絵里「橘君のことがどんどん知りたくなって」

絵里「…ふと、触れたところが熱くなったり」

絵里「それが嫌じゃないどころか、もっと触れたいとか…」

絵里「…」

絵里「って、ごめんなさい!私は何を…!」

塚原「クスッ…絵里、とってもかわいいわよ?そのままを橘君に見せればイチコロだと思うけど…」

絵里「そっ、そんなの恥ずかしくてできるわけないじゃない!」

塚原「それもそうね。できたらはるかや私に相談なんてしないだろうし」

絵里「…はるか、なにを考えてるのかしら」

塚原「…さぁ…心配、よね…」

絵里「…うん」

――――――――――――――――――――――――――――――――――

――――――――――――――――――――――――――――

――――――――――――――――――――――

――――――――――――――――

塚原「と、こんなことが…」

橘「…」

塚原「だから、まさか断るなんて」

橘「…」

塚原「…橘君?」

橘「…」

塚原「…?」

橘「…じゃあ」

橘「絢瀬先輩は僕のこと…」

塚原「…そういうこと」

橘「…」

橘「だったら、どうして…」

塚原「…」

塚原「…今、はるかが絵里を追いかけて話を聞いてる」

塚原「3年生の教室にいるんじゃないかしら」

橘「…!」

塚原「ここからどうするのか、橘君。あなたの自由よ」

橘「…」

塚原「…恋人ごっこは、効いたでしょ?」

橘「…はい」

橘「ありがとうございます、塚原先輩」

塚原「どういたしまして」

橘「行ってきます…!」ダッ!

塚原「…」フリフリ

塚原「…」

塚原「…お節介がすぎるけど」

塚原「本当に幸せになってほしい」

塚原「絵里も橘君も、不思議な人…」

塚原「…」

塚原「…頑張ってね、橘君」

☆『絢瀬先輩の想いを――――――――――――!』

―――――――――――3年生教室前

橘(三年生の教室…)タッタッタッ…

橘(…絢瀬、先輩!)

橘「あっ!?」ピタッ

森島「…来たわね、橘君」

橘「森島先輩…」

森島「ひびき、ちゃんとお話した?」

橘「はい…!僕は―――――!」

森島「しーっ!…それは私じゃなくて、絵里に言ってあげて?」

橘「ぁ…」

森島「中にいるから。もう、逃げないってさ」

橘「…」ゴクリ

森島「じゃあ、橘君…」

森島「ファイトっ!」

橘「はいっ!」

森島「うん!いい返事!」

橘「行ってきます!」

森島「ゴーゴー♪」

ガラッ

――――――――――

絵里「…」

橘「絢瀬先輩!」

絵里「…橘…君」

橘「…すみません、塚原先輩に全部聞きました」

絵里「…そう」

橘「先輩…」

絵里「…」

橘「…告白の返事、まだもらってません」

絵里「…」

橘「…それとも、あの『ごめんなさい』が、返事だったんですか」

絵里「…」

橘「なら、理由を教えてください」

橘「僕が…先輩の隣にために何か足りないものがあるのか」

橘「ちゃんと、教えてください…!」

絵里「…」

橘「じゃないと、諦めるに諦めきれません!」

絵里「…」

橘「――――――先輩!」グイッ

絵里「ぁ…」

ポタッ…

橘「ぇ…」

絵里「ぅ…」ポロポロ

橘「せ、先輩…」

絵里「ご…」ポロ…

絵里「ごめんなさい、橘君…」グスグス

橘「…」

絵里「私…」

絵里「私っ!」

絵里「橘君が好き――!」

橘「!」

絵里「―――――でも」

絵里「…でも、私はアイドルで」

絵里「恋愛なんて、ご法度で」

絵里「…それに、本当にそうなったら」

絵里「橘君にも迷惑が…!」

橘「…」ギュッ

絵里「ふぁっ…」

橘「…先輩」

橘「僕は先輩がいれば、他になにもいりません」

絵里「――――!」

橘「先輩になにかあったら、僕が守ります!必ず僕がそばにいます!」

橘「…だから」

橘「どうか僕と、付き合ってください」

絵里「…」グスッ

絵里「…」

絵里「…」ゴシゴシ

絵里「…もう」

絵里「…ずるい」ボソッ

橘「えっ…?」

絵里「…橘君」ギュゥ

橘「…はい」

絵里「…さっきの」

橘「?」

絵里「…聞こえなかった」

橘「…え」

絵里「…」グッ…

絵里「そんなに遠くじゃ聞こえない」

スッ

絵里「でしょ?」

橘「ぁ…」

絵里「ん…」チュッ

橘「…んむ」チュゥ…

絵里「ぁ…んっ」チュ

橘「ふっ…ん」チュゥゥ…

絵里「…ん」チュゥッ…

橘「…」チュムッ…

絵里「…ぷはっ」

橘「は…」

絵里「…」

絵里「…好き、橘君」ギュッ

橘「…はい、僕も好きです」

絵里「ふふっ、両思いね」

橘「そう、ですね」

絵里「…」パッ

絵里「改めて、よろしくね。ダーリン♪」

橘「こちらこそ、よろしく、お願いします…!」

絵里「うふふ♪」

橘「ふふふっ…」





橘(…こうして、絢瀬先輩と本物の恋人同士となった)

橘(帰り道、顔を赤くさせている絢瀬先輩を見ると)

橘(今まで感じたことのない幸せが全身を襲ってきた)

橘(僕は、絢瀬先輩の恋人なんだ)

橘(周りから見れば、実に今更なことに)

橘(顔が熱くなるのを、感じた)

『一方その頃…』

―――――――絢瀬家 絵里の部屋

絵里「…」

絵里「かんっぜんに調子乗りすぎたわぁ…」トサッ

絵里(なによ、遠すぎて聞こえないって…)

絵里(もしかして、橘君ヒいてなかった!?)

絵里(結構無理矢理キスしちゃったし!)

絵里(ああああああ!なんであんなことしたの!あのときの自分!)ゴロゴロ

絵里「…」

絵里「キス、か…」

絵里(…ファーストキス)

絵里(あげちゃったなぁ)

絵里「…」

亜里沙「…」

絵里「…」

亜里沙「…」

絵里「…ふふふ」

亜里沙「お姉ちゃん?」

絵里「きゃぁあ!?」ビクッ

亜里沙「ふぇっ?ど、どうしたの、そんな驚いて…」

絵里「あ、ありありあり亜里沙!?いつからそこに…」

亜里沙「さっき、かな…なんだか嬉しそうだけど、なにかあったの?」

絵里「い、いえ!?なんでもないのよ!なんでも!」

亜里沙「そう…?」

絵里「ええ!」

亜里沙「…?」

絵里「あ…そういえば、新曲ができるかもしれないわね」

亜里沙「ハラショー!μ’sの新曲?楽しみにしてるね!」

絵里「きっといい曲になるわ!」

亜里沙「ふふーん♪どんなのかなー?楽しみだなー♪」

絵里「クスッ…さ、晩御飯にしましょう、亜里沙」

亜里沙「うん!」

以上、アコガレでした

次回からスキルート突入になります。

キスシーン告白シーンはもうちょっと長かったんですが、
短めになりました。
読んでて恥ずかしかったので…

前回もこのあたりが書いてて一番死にそうでした
もうひと頑張りしますので、お付き合いくださる方、よろしくお願いします。

読んでくださっている方、書き込んでくださる方ありがとうございます!
また、感想等ありましたら書き込みまくってください。テンション上がります。

ではまた

~スキ~
『屋上で絢瀬先輩と昼食だ。森島先輩と塚原先輩もいるけど…』

森島「よかったね!二人とも!」

橘「え?あ、ありがとうございます…」

塚原「ごめんね、絵里。橘君にあの話しちゃって」

絵里「ちょっと恥ずかしかったけど…おかげでその、…本物の、恋人同士になれたし…」

森島「かわいい!」

塚原「本当にね」クスッ

絵里「茶化さないでよっ!…感謝してるんだから」

森島「うんうん!作戦がうまくいったみたいでよかったわ!」

塚原「急に恋人のフリなんて言い出したときにはどうなるかと思ったけど…」

森島「ばっちりだったでしょ」

塚原「珍しく、ね」

森島「なによー!ひびきちゃんの意地悪!」

橘「ははは…」

絵里「ふふっ…」

絵里「…あ、そういえば…」

絵里「橘君。はい!」スッ

橘「ありがとうございます!」ヒョイ

塚原「…手作りのお弁当、ね」

森島「あ、いいないいなー!恋人の手作り…素敵!」

絵里「そ、そんなにたいしたことじゃないわよ」

橘「何を言ってるんですか!絢瀬先輩のお弁当がこうやって毎日のように食べられる…」

橘「これがたいしたことじゃなくてなんだって言うんですか!」

森島「わお!言うわね橘君~」

橘「当たり前ですよ!」

絵里「なんだか恥ずかしいわね…」

塚原「いいじゃない、仲がいい証拠よ」

橘「ムグムグ…ああ、絢瀬先輩の卵焼き…絢瀬先輩のきんぴら…」

絵里「いつもそんなつぶやきしてないじゃない!やめて!」

森島「いつも、ねぇ…」

塚原「微笑ましいわね」

絵里「もう…」

森島「…ところで、橘君はいつまで絵里のことを名字で呼ぶの?」

橘「え?」

森島「絵里も…橘君のこと名字で呼んでるよね」

絵里「え、ええ、そうだけど…」

森島「恋人同士、って…ラブラブに下の名前で呼び合うんじゃないの?もしくはハニーとダーリンとか!」

橘「あ、ダーリンならたまにありましたよ」

絵里「ばっ…!」

塚原「そうなんだ…絵里も案外やるわね」

森島「じゃあじゃあ、ダーリンとハニーって呼び合うの?」

絵里「そんなわけないじゃない!橘君もなにさらっと言ってるのよっ!」

橘「いやぁつい」

絵里「ついってなによぉっ!」

塚原「まぁまぁ、落ち着いて、絵里」

絵里「むー…」

塚原「でも…それなら名前で呼びあうのがいいんじゃない?」

絵里「ひ、ひびきまでそんな…」

森島「絵里は嫌なの?」

絵里「…嫌、ってわけじゃないけど」

森島「橘君は?」

橘「えっ!?ぼ、僕も嫌ってわけじゃないです…」

森島「ほら!これを期に名前で呼ぶようにしたら?」

絵里「そ、そんな急に…」

橘「…」

絵里「…橘君?」

橘「え…」

絵里「え…?」

橘「絵里!」

絵里「ひゃっ!?」カァッ

橘「…先輩」

森島「うーん…及第点ね」

橘「さすがに呼び捨ては…」

塚原「それで、絵里は?」

絵里「う…」

絵里「…」

絵里「ぁ…」

絵里「…」モゴモゴ

絵里「…」

絵里「じゅ…」

絵里「じゅんいち…くん」

橘「!」ズキューン!

森島「!」ズキューン!

塚原「!」ズキューン!

絵里「…」プルプル

橘(照れて頬を赤らめながら僕の名前を…)

橘(…破壊力抜群、見た感じ塚原先輩までやられてるみたいだし…)

橘(恐るべし、絵里先輩)

絵里「…」カァッ

絵里「な、なにか言いなさいよっ!」ウガー!

橘「さ、最高です…」グッ!

森島「…」グッ!

絵里「え、ええぇ…ひびきぃ…」

塚原「ごめんなさい、私も負けたわ…」グッ

絵里「そんなぁ…」





橘(こうして、付き合い始めて初の昼休みが終わった)

橘(結局、絵里先輩、純一君と呼び合うことになったけど…)

橘(いつか慣れる日が来るんだろうか…)

橘(…)

橘(平然と名前で呼び合う…)

橘(それはそれでいいな!)

『今日は風もおだやかで陽気が気持ちいいなぁ…テラスで一息つこう』

橘「んーっ!」ノビーッ

橘「はぁ…」グデー…

橘(もう冬なのに、今日は暖かいなぁ…)

橘(こうやって陽に当たってると、嫌なことなんて全部忘れられるような)

橘(…そもそも嫌なことなんてあんまりない気がするんだけど)

橘(…)

橘(たぶん陽の光が全て持って行ってくれたんだろう、うんうん)

橘(しかし、こんなに暖かいのに外に出てる人はいない…)

橘(おかげでテラスが独り占めできていいけど、ちょっと寂しいな…)

橘「…ん?」

橘(今、あのお手洗いから出てきたのは…)

橘「あや…絵里先輩!」タッタッタッ…

絵里「…?」

絵里「あら、橘君」

橘「え?」

絵里「ぐ…じゅ、純一、くん」

橘「はい、純一です!」

絵里「もう、調子に乗って…」

橘「せっかくですからね!へへへ…」

絵里「…まぁ、確かに端から見ても名前で呼んだ方が仲よさそうだし…」ブツブツ

絵里「…純一君が余所見しないならそれでも…」ブツブツ

橘「…なんです?何か言いましたか?」

絵里「え!?なんでもない、なんでもないのよ!」

橘「はぁ…」

絵里「あは、あはははは…」

橘「ところで、先輩はここで何を?」

絵里「ん、今日は暖かそうだったからちょっとひなたぼっこにね」

橘「僕と同じですね!こんなに天気がいいのにテラスに人がいなくて、寂しかったんですよ」

絵里「それはちょうどよかったわ。一緒にのんびりしよっか」

橘「はい!」

橘(あぁ、いいなぁ…約束もしてないのにこうして2人で…)

橘(生きててよかった…)ジーン

絵里「えーっと…」

絵里「テラスは、あっちよね」クルッ

橘「あ、はい。そうで…す…ね…」

橘「…」

橘「…」

橘「!?」

橘(なんてこった!)

橘(なんてこった!!!!)

橘(絵里先輩…)











橘(パ、パンツの中にスカートを入れてしまってるぞ!)ズガーン!











橘(…お手洗いのあとはああなってしまうことがあるのは聞いたことあるけど)

橘(実際にやらかしてるのは初めて見た…)

橘(…)

絵里「~♪」スタスタ

橘(…白か)

橘(…)

橘(…)ゴクリ

橘(…)

橘(じゃなくて!)

橘(このままじゃ不特定多数に絵里先輩の痴態が丸見えじゃないか!)

橘(それは嫌だ!)

橘(…)

橘「せ、先輩!」

絵里「? どうかした?」

橘「あの…すごく言いにくいんですけど…」

絵里「?」

橘「パ…」

絵里「パ…?」

橘「…パンツ、見えてます」

絵里「え!?」バッ

絵里「はっ…」カァッ

絵里「ぅ…」ナオシナオシ…

橘「…」

絵里「…ぅぅ」

絵里「…ぁりがとう、た…」

絵里「…じゅんいち、くん」

橘「へ!?いえ、そんな、こちらこそ、いいものを見せていただいて、ありがとうございます!!??」

絵里「…!」カァッ

橘「…はっ!な、なにを僕は…!」

絵里「…」

橘「あ、あの…その…」

絵里「…」

橘「白、似合ってました!」グッ!

絵里「!!」

絵里「…」プルプル

絵里「純一君の…」

橘「へっ」

絵里「ばかぁぁぁぁ!!!!」パッチーン!

橘「へぶっ!」

絵里「うわーん!エリチカおうちに帰るぅー!」ダッ!

橘「あ、え、絵里先輩!」

絵里「うわーん!!」








橘(…その後結局、しばらく追いかけっこをして)

橘(屋上で追いついてココアをあげた)

橘(…涙目で『今回だけよっ!』なんて言って許してくれたけど)

橘(正直たまらなかったのでまたいつか…)

橘(…)

橘(ダメかな…)

スキルート入りました

神風イベントは考えてて楽しいです
むしろもう9人分考えてあります
むしろもう神風やりたいから書き始めたようなものなのです

ではまた

『梅原に報告してやるか…』

橘(呼び方が変わって1日経ってしまった)

橘(梅原には本当のことをいち早く言おうと思ったのに)

橘(…まぁそれでも早い方か)

―――――――――二年生教室

橘「梅原」

梅原「お、大将。なんか久しぶりだな!」

橘「そ、そうか?」

梅原「絢瀬先輩に首ったけなんだろ?しっかし、恋人のフリってのも難儀なモンだよまったく…」

橘「そのことなんだけど…」

梅原「あ?まさか、本当に付き合い始めたとかか?いやー大将がそこまで進む覚悟があるとは!」

橘「…」

梅原「…」

橘「…」

梅原「…え?ほ、本当にそうなのか…?」

橘「あ、ああ…梅原にはしっかり報告しようと思って…」

梅原「…」

梅原「…」

梅原「大将…」

橘「…?」

梅原「…」

梅原「…」ポン

梅原「この…」

梅原「裏切り者ぉぉぉぉぉぉ!!!!」ダッ!

橘「梅原!?うめはらぁああああああああ!!!!」

森島「きゃっ!?…梅原君?」

橘「森島先輩…」

森島「あ、橘君。今日、絵里が職員室に呼び出されてるからお昼一緒には食べられないって」

橘「へ…あ、わざわざありがとうございます」

森島「それで、これ。お弁当ね」サッ

橘「どうも」スッ

森島「…梅原君、どうかしたの?」

橘「どうかしたってほどでもないんで、大丈夫ですよ。たぶん…」

森島「ふーん?」







橘(この後梅原は、昼休みも手作りの弁当を見て発狂した)

橘(慰謝料とか言ってとっておきのお宝本をむしり取られたのは厳しかった…)

橘(それにしても、絵里先輩が職員室に呼び出されるなんて)

橘(なにかあったのかな…)

『職員室に呼ばれたことについて、絵里先輩に聞いてみよう!』

―――――――屋上

橘「あや…絵里先輩!」

絵里「ん、た、…純一君」

橘「練習ですか?」

絵里「まぁ…そんなところね」

橘「なんだか歯切れが悪いですね。何かあったんですか?」

絵里「…そうね。お昼、担任の先生に呼び出されたんだけど…」

橘「はい…」

絵里「校長室に連れて行かれてね。頼みがあるって」

橘「校長先生からですか!?」

絵里「ええ…私も何事かと思ったけど…」

橘「い、いったいなにを…」

絵里「それがね…」

橘「…」ゴクリ

絵里「…ライブをやってほしいって」

橘「…へ?」

絵里「私の転校期間中に、輝日東高校でライブをやってくれないか、って」

橘「またなんで…」

絵里「生徒からの要望が多かったみたいで、1曲でいいからどうですか、って」

橘「なるほど…」

絵里「それでね…私自身も、お世話になった学校に対してなにかしたいっていうのもあるし」

橘「…」

絵里「それに、その…」

橘「…?」

絵里「…」モゴモゴ

絵里「…」

絵里「…」アー…

絵里「…」ウー…

絵里「…」

絵里「…純一君に、かっこいいところ見せられるかなって」

橘「…!!」ズガンボン

橘(…)

橘(最早語るまい)

絵里「そ、そういうわけだから!やることにしたのっ!」プイッ

橘「それは、なんというか、その…」

絵里「…」

橘「…死ぬほど楽しみです」

絵里「…ほんと?」

橘「もちろん。最悪死にます」

絵里「…それは悲しいわね」クスッ

橘「でも、本当にいいんですか?最終予選近いのに…」

絵里「最終予選についてはなんとも言えないけど…1曲だけだし、なんとかしたいと思うの」

橘「…無茶はしないでくださいね」

絵里「善処するわ。幸い新曲のラブソングも出来上がってきたし、このペースでいけば大丈夫」

橘「輝日東のライブは既存曲でやるんですよね…?」

絵里「それも予定と相談ね。とにかく、たちっ…純一君は楽しみにしてるといいわ!」

橘「楽しみですけど…心配です」

絵里「もう、平気だってば」

橘「でも…」

絵里「…」ギュッ

橘「へ…」

絵里「…私は、純一君がいれば、大丈夫」

橘「!」カァッ

絵里「…ね?」

橘「は。はひ…」

絵里「ふふっ、そろそろいい時間だし、帰りましょうか!」パッ

橘「あっ…」

絵里「真っ赤でかわいい♪純一君でもそんな風になるのね♪」

橘「あ、あはは…」

絵里「ほら、置いてっちゃうわよ~」

橘「あ、ま、待ってください!」

絵里「待ちません~♪」






橘(こうして、今日も1日が終わった)

橘(…絵里先輩)

橘(ああいうタイプの人は、たぶん見た目じゃ疲労がわからない)

橘(気をつけて、ちゃんとフォローしよう!)

『よし!今日も1日、頑張るぞ!』

橘(少し時間は流れて)

橘(僕も絵里先輩もすんなりとお互いの名前を呼ぶことができるようになった)

橘(森島先輩も塚原先輩も相変わらず暖かく見守ってくれてるし…)

橘(とてもいい感じだ)

橘「…」ブルルッ

橘「うぅ…今日は寒いなぁ…」

橘「朝だからか特に…」

絵里「おーい。おはよう、純一君」

橘「絵里先輩。おはようございます」

絵里「今日は風が冷たくて一段と寒いわね…」

橘「家のコタツから出るのに時間がかかりました…」

絵里「コタツ!いいわね!あれは人をダメにするわ…」

橘「ですよねー…」ハァーッ

橘「…」ゴシゴシ…

絵里「寒いの苦手なのね…」

橘「はい…先輩はやっぱり、ロシアの血が流れてるんで平気ですか?」

絵里「そんなことはないわよ。寒いものは寒いわ」

橘「そうですか…」

絵里「…」

橘「うぅっ、寒いなぁ…」

絵里「あ、そうだ」ピーン

橘「? どうかしましたか?」

絵里「ふふふ…」スル

絵里「はい、これ!」スッ

橘「右手の手袋…?」

絵里「純一君、つけていいわよ」

橘「え!?そんな、悪いですよ!」

絵里「いいからいいから!その代わり…」


ギュッ

橘「ふぁっ!?」

絵里「手袋がなくなった右手は、純一君が暖めて、ね?」

橘「は…」

橘「はいっ!!!!!」

絵里「ふふっ、元気出たわね!今日も1日頑張りましょう!」

橘「はい!!!!!!!!」




橘(朝からすごい経験をしてしまったぞ!)

橘(もう思い残すことはないよ…)

『トイレもすませたし教室に戻ろう』

橘「ふぅ~」

橘「トイレもすんですっきりしたし、教室に戻ろうかな」

スッ…

橘「!?な、なんだ!?」

???「だーれだっ?」

橘「…!」

橘(この声は…)

ピロリン

橘「>>559!」

梨穂子

橘「梨穂子だ!」

???「む…」

絵里「残念、不正解」パッ

橘「あっ…デスヨネ」

絵里「…誰?梨穂子って」

橘「お、同い年の…幼馴染です…」

絵里「ふーん?声や口調が似てたとか?」

橘「…」

橘「…」

 梨穂子『え~!?幼馴染の顔も忘れちゃったの?梨穂子ですよ、桜井梨穂子!』

 梨穂子『いっつぁとってもくり~み~♪クラブとホワイトソースです~』

 梨穂子『あーい がっちゃ!』

橘「…」

橘「似てないです…」

絵里「そう。ならキミは私じゃなくてその梨穂子さんにこういうことがされたかったってことかしら?じゅ・ん・い・ち・くん?」

橘「そ、そういうわけじゃ…」

絵里「どうかしらねっ!」プイッ!

橘(しまった…すっかり機嫌を損ねてしまった。そういえば結構やきもち焼きだもんなぁ絵里先輩…)

橘(…ここは正直に言っておこう)

橘「先輩」

絵里「…なに」

橘「すみません、いじける先輩が見たくてちょっと意地悪しちゃいました」

絵里「…!」

橘「でもやきもちを焼く絵里先輩がかわいかったのでそんなに後悔してなくてごめんなさい!」

絵里「なっ!」

絵里「も、もう!そんな言い訳で言いくるめられると思ったら大間違いよっ!」ニコニコ

絵里「…仕方ないから、今回は許してあげるけど、次はないからね!」ニマニマ

橘「は、はい…」

橘(わかりやすい…絵里先輩はかわいいなぁ!!!)

やり返してみよう

>>567さん、いただきます

『…あれは、絵里先輩!さっきのお返しをしよう』

橘(前を歩くのは絵里先輩…)

橘(さっきは『だーれだ?』をされたから、次は僕が…)

橘「…」ソロリ…

橘「…」

橘(今だっ!)バッ

橘「だーれだっ!」

絵里「きゃっ!?」

絵里「…」

絵里「…」フム

橘「…?」

橘(な、なんだ…目隠しされたまま考えごとを…?)

絵里「…えいっ!」クルッ

橘「え?うわわ!」

橘(こっちに振り向いて…?)

橘(…って!この状態で振り向かれたら…!)

絵里「ふふっ、驚いた?すごく近くに純一君がいるわね」

橘「は、はひぃ!?」

橘(め、目の前に絵里先輩の顔が!頭を抱きしめてるみたいになってしまったぞ!)

絵里「もう、こんないたずらしちゃだめじゃない。びっくりするでしょ」

橘「あ、え、は、はぁ」

絵里「もうしない?」

橘「え」

絵里「しないならご褒美、あげちゃおっかな?」

橘「ご褒美…!?」

橘「はい!二度としません!神に誓って!」

絵里「現金ね…まぁいいわ。はい、目を閉じて?」

橘「はい…え!?目ですか!?」

絵里「ええ」

橘(…これってあれだよね)

橘(期待してもいいんだよね)

橘「…」ドキドキ

橘「…」パチッ

絵里「うん、いい子ね。それじゃ…」

橘「…」ドキドキ

絵里「…」スッ

橘「…」ドキドキ

絵里「…」

絵里「…」

絵里「んっ!」

チュッ

絵里「ふぅ…」パッ

橘「あっ…?」

絵里「ふふっ、唇かと思った?残念、そんなに軽々しくするものじゃないの」

橘「頬に…」

絵里「さ、もう授業始まるわよ?教室戻らないと!」

橘「あ?へぁ、はい!」







橘(この休み時間はてごわい方の絵里先輩だった…)

橘(先輩、絶対考え方とか行動に波があるよなぁ…)

『絵里先輩、そろそろ最終予選も近いし忙しいんだろうな…』

橘(またしばらく経って)

橘(絵里先輩は見るからに忙しそうだった)

橘(それを見た塚原先輩が『頑張りすぎ』と言ってたのも気になるし…)

橘(…)


――――――屋上

絵里「はっ、はっ、はっ、はっ!」バッバッバッバ!

絵里「ふっ…!」ビシッ

絵里「…はー」ヘタリ

橘「お疲れ様です!タオルです!」サッ

絵里「純一君…ありがとう」

橘「今の、見たことないダンスでしたね。新曲ですか?」

絵里「ええ。最終予選で歌うラブソングができたから、そのダンスの練習よ」フキフキ

橘「! できたんですね!ラブソング!」

絵里「すごいのができたのよ。最終予選、見に来てね?」

橘「はい!絶対行きます!」

絵里「ありがとう…さて、もう少しだけ確認しないと」タッ

橘「え…まだ休憩した方が…」

絵里「そんなに休んでいられないわよ。時間もないし、まだステップも不安なところがあるし」

橘「見た感じ、そんなできてないってほどでもない気がするんですけど…」

絵里「ううん、まだまだ。純一君、メトロノーム動かしてくれる?」

橘「…はい」

絵里「はっ…1、2、3、4、…」

橘「…」

絵里「1、2、3、しっ…!」フラッ

橘「先輩!」バッ

ガシッ

絵里「ぁ…」

橘「今日はもうここまでにしましょう。飲み物を…」

絵里「ぅ、ぅう…」

橘「…?」

絵里「ぅええ…」ポロポロ

橘「え、絵里先輩!?」

絵里「っ…っ…」ポロポロ

橘「…」

橘「…」ギュッ

絵里「!」

橘「…」ポンポン

絵里「ヒック…ふぇ…」グスグス

絵里「うぁぁぁぁぁん!」ボロボロ

―――――――――――――――――――――――――――――

―――――――――――――――――――――――

――――――――――――――――

―――――――――――

絵里「ヒック…」グスッ…

橘「…」ポン…ポン…

絵里「…」ズズッ

絵里「…」

絵里「ぅ…」

橘「…」ギュッ

絵里「…ぁ」

絵里「…」グイッ

橘「…大丈夫ですか」

絵里「うん…もう、大丈夫」ゴシゴシ

絵里「…ありがとう、純一君」

橘「このくらい、お安い御用ですよ」

絵里「…」

絵里「私ね」

橘「はい」

絵里「やっぱりちょっと無理してるみたい」

橘「はい」

絵里「全体練習に行くと、みんなもうある程度までダンスや歌ができてて」

絵里「遅れてる私に合わせてくれるのが申し訳なくて」

絵里「…寝る時間を削って歌の練習したり」

絵里「ダンスも多めに練習したり」

橘「…」

絵里「…」

絵里「どうしてこう上手くいかないのかしら、って」

絵里「たまに自分が嫌になるの」

絵里「そんなときに、どうしても…」

絵里「…」グッ

絵里「涙が出ちゃうのかもね。なんていっても、女の子だもの♪」

橘「…」

絵里「…さ、帰りましょうか。時間が――――」

橘「絵里先輩」

絵里「…」

橘「僕は、そんな先輩だから好きになったんです」

絵里「…ぇ」

橘「絵里先輩は…」

橘「すごく優しくて、やっぱり自分のことなんか後回しで」

絵里「…」

橘「人のことばかり考えていて、限界が来るまで追い込んで…」

橘「…」

橘「…そんな先輩の支えになりたいんです」

絵里「…!」

橘「何度だって言います。僕は先輩の隣を歩いていきたいんです!」

絵里「純一…君…」

橘「先輩が、他の人の前で完璧な自分を見せるなら」

橘「僕の前ではせめてわがままでいてください」

橘「自分のことだけを考えてください!」

橘「できることはなんでもします!」

橘「だって僕は…」

橘「…僕は先輩の恋人、ですから」

絵里「…」

橘「…」

橘(…)

橘(…)

橘(あれ、これはもしかして調子に乗った!?)

橘(うう、どうしよう…すごくキザじゃなかったか今!)

橘(ヒかれてない、よね…?)

絵里「…」

絵里「…ね」

橘「は、はい!?」

絵里「…わがまま」

橘「へ…?」

絵里「っ」

絵里「わがまま!言って、いいんでしょ…?」

橘「は、はい!なんでも言ってください!」

絵里「…」

絵里「今週の日曜日」

橘「はい!空いてます!」

絵里「家に来て」

橘「…はい?」

絵里「だっ!だからね…」

絵里「…家に、来てほしいの」

橘「…」

橘「は、へ、も、もちろんいいですよ!」

絵里「…ほんとに?」

橘「はい!行きます!」

絵里「…無理してない?」

橘「してないです!」

絵里「そう…?」

橘「はい!」

絵里「…ふふっ」

橘「!」

絵里「本当に、ありがとう。純一君…」









橘(こうして、週末の予定が決まった)

橘(…週末の予定が決まった以外にも思うことはたくさんあるけど)

橘(今日の出来事が全てどうでもよくなるくらいびっくりした…)

橘(…)

橘(お土産とか持って行った方がいいんだろうか…)

いやぁ
「だーれだ」の安価出しながら思ったんですけど
もう600近いんですね。

あと
会話、ご褒美、誕生日、μ'sサイド、休日デート
くらいを目安にエピローグに移りたいです。
ほのキチなのに高坂編よりも長いなんて…

読んでくださってる方ありがとうございます。
もう少し、お付き合いしてくださると嬉しいです。

ではまた

『絵里先輩とお話しよう!』

橘(あっ、あの後姿は…)

橘(…後ろから近づくとまた目隠しをしたくなるし、ここは)

橘「絵里せんぱーい!」ブンブン

絵里「ん、純一く…」クルッ

絵里「…」

絵里「なんでそんな遠くにいるのよ…」

橘「いたずらしないためです!」

絵里「は…?」

橘「いえ、なんでもないです!」

絵里「ふーん…?」スタスタ…

絵里「それにしてもちょうどよかったわ。純一君、今暇?」

橘「はい。暇ですよ」

絵里「じゃあ、少しお話しない?」

橘「もちろんオッケーですよ!どんとこいです!」

絵里「よかった。断られたらどうしようかと思ったわ」クス

橘「そんなこと僕がするわけないじゃないですか」

絵里「どうかしらね」

橘「恋人との時間は大切にする派ですから」

絵里「っ…もう…」

橘「へへ…では、お話を」

〈世間話〉

橘「にっこにっこにー♪」

絵里「!」

橘「あなたのハートににこにこにー♪」

絵里「…」

橘「…あの、先輩?」

絵里「純一君はにこがお気に入りなのね…」

橘「あ、えっと、そういうわけじゃ…」

絵里「にこ、かわいいものね…小さいし、ラブリーだし…」

橘「え、あ、あの」

絵里「流石にこね…」ショボン

橘「ぼ、僕の一番は絵里先輩ですから!絶対!」

絵里「!」

絵里「…仕方ないわね」ニマニマ

橘(今日はかわいい方の絵里先輩か…)

橘(カッコいい方も好きだけど、僕はこっちの絵里先輩も好きだなぁ)

〈勉強〉

橘「ロシア語って元から話せたんですか?」

絵里「そうね…昔はおばあさまと暮らしてたから、自然と話してたわ」

橘「カッコいいですね!日本語とロシア語が使えるなんて」

絵里「ふふっ、そうかしら。でも最近、妹に発音を注意されるのよ…」

橘「日本語に近づいてきてる感じですか…」

絵里「そうなの。あとは、ハラショーの使い方もおかしいって…」

橘「あー…」

絵里「…そんなにおかしいかしら」

橘「へ?いえ!そんなことないですよ!」

絵里「むー…」

橘「はは、は…」

〈運動〉

橘「寒い日の体育って嫌になりませんか…」

絵里「そうね…特にマラソンなんかだとちょっと…」

橘「そういえば、体操服は輝日東のを着てますよね」

絵里「ええ。今時ブルマなんて履く学校があるなんてびっくりしたわ」

橘「あー…」

絵里「…」

橘「…」

橘「…なんですか」

絵里「まさか純一君、それでこの高校受験したとかじゃないわよね…?」

橘「…」

絵里「なんで黙るのよ」

橘「へへっ」

絵里「なに笑ってるのよ」

〈娯楽〉

橘「この間、駅前で森島先輩にばったり会ったんですけど」

絵里「はるかに?」

橘「『わんちゃんを撫でてたら泥まみれになっちゃった!』って言って服を買うのにつき合わされたんですよ」

絵里「…ふーん」

橘「色々見て回ってたので疲れました…」

絵里「そう?はるかとショッピングなんて、楽しそうじゃない」

橘「楽しくなくはないですけど…」

絵里「…ふーん」ツーン

橘(…しまった、やきもち焼いてる!)

橘(恋人に他の異性と遊んだ話…確かによくなかったかも…)

〈食べ物〉

橘「先輩、どうぞ」スッ

絵里「え?ココア?」

橘「好きじゃないですか」

絵里「好きだけど…どうしたの、唐突に?」

橘「朝、自販機でコーヒーを買ったときについでに買ったんですよ」

絵里「純一君飲めばいいじゃない」

橘「絵里先輩の喜ぶ顔が浮かんできて買っちゃったんで、差し上げます」

絵里「ぅ…そ、そう…」

橘「照れてます?」

絵里「照れてない!」

橘「ココアどうぞ」

絵里「あ、ありがとう…」

橘「…僕はいつも先輩のことを考えてますよ」

絵里「わっ、わざわざ言わなくてもいいの!」カァッ

〈おしゃれ〉

橘「ポニーテール、似合ってますね!」

絵里「ありがとう♪特にこだわりがあるわけじゃないんだけど…」

橘「え、そうなんですか?」

絵里「ええ。上げておくと動きやすいから…」

橘「…ちょっと下ろしてみてください」

絵里「へ…まぁ、いいけど」スル

橘「!」

絵里「…どう?」

橘(髪を下ろした先輩…)

橘(元々お姉さんオーラがあるのに、さらにぐっと大人っぽくなって)

橘(…色気まで倍増してる気がする)

橘「…」ゴクリ

絵里「あの…純一君?」

橘「…ハッ」

絵里「…また変なこと考えてたでしょ」

橘「そ、そんなことは!」

絵里「ふーん?」

橘「うぅ…」

絵里「♪」

橘(…なぜか上機嫌になってるな先輩)

橘(全然わからない…)

〈恋愛〉

絵里「純一君は、その…」

橘「はい?」

絵里「…あの」

橘「?」

絵里「い、今まで…」

橘「…?」

絵里「…」モゴモゴ

橘「な、なんですか?」

絵里「ぁぅ…」

絵里「…」ググッ

絵里「…!」

絵里「かっ、彼女は今までいたことあるの!?」

橘「へ!?」ビクッ

絵里「あ、わ、私は初めてだけど、純一君はどうなのかしら…って…」

橘「…」

絵里「…?」

橘「…どうなんでしょう。たぶん、初めてです、か、ね…」

絵里「えっ…」

橘「…」

絵里「そう…」

橘「は、はい…」

絵里「…ごめんなさい、聞いちゃいけないことだったみたいで…」

橘「あ、そんな、とんでもないです!平気ですよ!」

絵里「でも…」

橘「あー!スクール水着姿の絵里先輩が見たいなぁ!!!!」

絵里「ちょ、何言ってるのよっ!」

橘「きっと素晴らしいんでしょうね!!」

絵里「やめなさい!」

〈エッチ〉

橘「先輩は銭湯って行ったことあります?」

絵里「銭湯…ないわね。一度行ってみたいんだけど、機会がなくて」

橘「そうですか…銭湯って、小さい子どもなら男湯に女の子が入れたり女湯に男の子が入れたりするんですよ」

絵里「えっ!?そうなの!?」チカァ!?

橘「幼稚園児とかですけど…」

絵里「そ、それくらいなら…」

橘「あと、最近は家族風呂って言って、予約すれば貸切で大き目のお風呂に入れたりとか」

絵里「…」

絵里「純一君は、私と一緒にお風呂入りたい?」

橘「へぇっ!?はい!!!」

絵里「力強く返事しすぎよ…」

橘「す、すみません…」

絵里「もう…」

橘「…」

絵里「…そのうち、ね?」

橘「え」

絵里「ふふっ♪」

橘「」

〈行動〉

橘(さりげなく手を握って、いい雰囲気に出来ないかな…)

橘(よーし…)

橘「…」

スススッ

絵里「…?」

橘(…今だっ!)

ギュッ

絵里「きゃっ!?きゅ、急にどうしたの?」

橘「さりげなく手を握っていい雰囲気にしようかと…」

絵里「…思ってても言わなくていいことまで言ってるわよ純一君」

橘「う…あえてです!」

絵里「…仕方ない人ね」

橘「へ…」

ギュッ

橘「!」

絵里「せっかくだから、両手繋げば、倍暖かいわ」

橘「そ、そうですね」

絵里「どうかした?」

橘「い、いえ…」

絵里「うふふっ♪」

橘(敵わないなぁ…)

〈アタック〉シュインシュシュシュシュシュ…

橘「今日は練習は…」

絵里「お休み、かな。あんまり詰めすぎても効率がよくないし」

橘「では、帰りましょうか。駅までご一緒します!」

絵里「ふふっ、ありがとう」

――――――――

―――――駅前、ゲームセンター前

絵里「…あ」ピタッ

橘「? どうかしましたか、先輩」

絵里「…ちょっと、寄っていいかしら」

橘「ゲームセンター…今日はなんですか?」

絵里「それは見てのお楽しみ♪」スタスタ

橘「?」

絵里「…これね!」

橘「…プリクラ、ですか?」

絵里「この間見た雑誌に、カップルで撮るプリクラについての記事が載っててね?」

橘「なるほど、それで撮ってみたいってわけですか」

絵里「ええ!えーっと、たくさん種類があるのね…」

橘「あ、こっちのは最新らしいですよ!」

絵里「ハラショー!じゃあ、それにしましょう!」

――――プリクラ機
絵里「よいしょ…」チャリンチャリン

橘「先輩、お金なら僕が…」

絵里「いいの。私が撮りたいって言ったんだし、これくらい出させて?」

橘「でも…」

絵里「いつもココアおごってくれるじゃない?そのお返し、ってことで、ね?」

橘「…では、お言葉に甘えさせてもらいます。ありがとうございます!」

絵里「いいのよ、これくらい。…さて、操作は…」

絵里「…明るさは抑え目で…背景は…この青色素敵ね。これで…」

橘「…絵里先輩?」

絵里「フレーム?フレーム…あ、ハートがあるわね。ラブラブっぽく…」

橘「…」

絵里「はい!撮るわよ!」

橘「ふぁ、はい!」ビクッ

橘「ポーズとかって、どうします?こうしたい、みたいな…」

絵里「ポーズは…その…」

橘「?」

絵里「…ぅぅ」

絵里「いくらなんでも…こんなの恥ずかしすぎるじゃない…でもそう書いてあったし…」ブツブツ

橘「あの…?」

絵里「~~~~!!」

絵里「それっ!」チュッ

橘「わっ!?」

パシャ

絵里「ふ、ふふ、ふ…」

橘「せ、先輩、今ほっぺに…!」

絵里「落書き!スタンプ!印刷!」ピピッ

橘「はやっ!?」

絵里「さ、行きましょう!」ダッ

橘「な、え、ちょっと!なにがなんだか…!」ダッ

――――――ゲームセンター外

絵里「ふー…」

橘「先輩…どうしたっていうんですか…」

絵里「…その、」

絵里「…雑誌に載ってたのがかわいくて、やってみたかったんだけど」

橘「言ってくれればノリノリでやりますよ!」

絵里「…思った以上に恥ずかしかったのよっ」

橘「は…」

絵里「き、キスなら何回かしてるし、ほっぺなら平気かと思ったけど…」

絵里「写真に撮られるって…耐えられなかったわ…」カァァ

橘「先輩…」

絵里「…はい、これ」

橘「あ、プリクラ…」

絵里「…ふふっ、かわいい顔してるわね、純一君」

橘「うっ…もっとかっこよく写りたかった…」

絵里「それはまた今度にしましょう?何もこれっきりってことは…」

橘「…?」

絵里「…ない、わよね」

橘「…もちろんですよ」

絵里「!」

橘「今度は先輩のかわいい顔を激写しますからね!覚えといてくださいよ!」

絵里「純一君…」

絵里「…」クスッ

絵里「ええ、受けて立つわ!」




橘(絵里先輩とプリクラを撮った)

橘(相変わらずかわいい)

橘(…また必ず撮ろう)

『今日は絵里先輩とデート…粗相のないようにしないと!』

橘(今日は日曜日)

橘(絵里先輩との初デート)

橘(そして、初お家デート)

橘(…)

橘(すごい)

橘(ドッキドキする)バクバク

橘(お家って!僕、格好変じゃないよなっ!?お土産も持ったし…)ババッ

橘(…朝、美也に『何その格好?お見合いでもするのにぃに』なんて言われたけど)

橘(お見合いなんかより緊張するよ…)

橘(…お見合いなんてやったことないけど)

―――――絢瀬家周辺

橘「えーっと…この辺り…」キョロキョロ

???「じゃあお姉ちゃん、雪穂のお家に行ってくる!」

??「ええ。ご迷惑をかけないようにね?」

???「大丈夫だよ!いってきまーす!」タッ

橘「…ん?」

???「わわっ!?」

ボスッ

橘「お…っと、大丈夫?」

???「は、はい…すみません、ぶつかっちゃって…」サスサス

橘(金髪碧眼…どことなく見たことあるような…)

橘「…」ジーッ

???「…? あの…」

橘(…はっ)

橘(しまった!初対面なのに変に見つめてしまった!)

橘(こういうときは平静を装って…)

橘「ごめん、急いでたかな?」

???「そういうわけじゃ、ないんですけど…」ジッ

橘「…?」

???「…もしかして、橘純一さん?」

橘「え!?なんで僕の名前を…」

亜里沙「やっぱり!私、絢瀬亜里沙って言います。お姉ちゃんがお世話になってます!」

橘「え…」

橘「絵里先輩の妹!?」

亜里沙「はい♪」

橘「それは…なんというか…その…」ゴクリ

亜里沙「?」

橘(話によると中学生…綺麗な子だなぁ)ジロジロ

橘(いい子そうだし…美也に見習わせたいくらいだよ…)ウンウン

亜里沙「…あっ」

??「…」

橘(やっぱり成長すると先輩みたいになるのかな…)

橘(だとすると将来性までばっちり…)

??「…キミ」

橘「へぁっ!?」ビクッ

??「人の妹を随分といやらしい目でみてるのね」

亜里沙「いやらしっ!?」

橘「いえっ!そんなつもりはまったく!これっぽっちも!全然!」ババッ

橘「…ん?妹?」チラッ

??「…おはよう。純一君」

橘「!!」

橘「絵里先輩!」

絵里「亜里沙、変なことされてない?」

亜里沙「うん…?何もされてないよ?」

絵里「そう?気をつけたほうがいいわよ。この人ちょっとおかしいから」

亜里沙「おかしい?」

橘「うぐ…」

絵里「ええ。水泳部の練習をのぞいちゃったりするのよ?」

亜里沙「? 水泳、お好きなんですか?」

絵里「…」ハァ

橘「そ、そうなんだよ!僕って水泳マニアで!」

絵里「…」ギロリ

橘「はは…は…」

亜里沙「?」

亜里沙「そういえば、最近お家でも橘さんのお話を本当に楽しそうにお話しするんですよ!」

絵里「!」ピクッ

橘「!」ピクッ

橘「へー!そうなんですね?」

亜里沙「うん!この前も一緒にプリクラ?撮ったとか…」

絵里「ああああ、ありさ!雪穂ちゃんのお家に行くんじゃなかったの!?」

亜里沙「あ!そうだった!ごめんなさい橘さん、またお話しましょう!」

橘「うん、是非!」

亜里沙「じゃあ、今度こそ本当に行ってきます!」タッ

絵里「き、気をつけてね…」フリフリ

橘「…」フリフリ

絵里「…」

橘「…」ニヤニヤ

絵里「…」

絵里「さ、入りましょうか」キリッ

橘「はーい」ニヤニヤ

絵里「…」グヌヌ

絵里「もうっ!なによっ!いいじゃないお話くらいしてたって!」

橘「いやー嬉しいんですよ?楽しくお話してくれてるようで…」

絵里「ぅぅ…」

橘「えへへ…」

――――――絢瀬家絵里の部屋

橘(さて)

橘(こうして今先輩の部屋にいるんだけど)

橘(すごくいい香りがするし)スーッ…

橘(正直たまりません)ハーッ…

橘(…お土産のクッキーを見せたら、紅茶を淹れてきてくれるって先輩は出てっちゃったけど)

橘(落ち着かないなぁ…)ソワソワ

橘(…ここは仕方がない)スクッ

橘(深呼吸でもして先輩の部屋の香りを嗅ぎだめしておくか…)スーッ…

橘(…)ハーッ

橘(…なんだろう)スーッ

橘(まるで森林浴でもしているかのような)ハーッ

橘(肺が先輩の部屋の空気で満たされたときのこの満足感は…)スゥゥゥゥ…

絵里「おまたせ、砂糖はどのくらい…」ガチャ

橘「あっ」ハァァァ…

絵里「…何してるのよ」

橘「ちょっと深呼吸を…」トスッ

絵里「はぁ…?」

橘「あ、紅茶ですね。あんまり飲んだことないのでおまかせします」

絵里「…そう」カチャ

橘(…ごまかせ、た?)

絵里「…」トサッ

橘「…」

絵里「…」

橘「…」

橘(どうしたんだろう、先輩。黙っちゃってるけど、なんだか緊張してるような…)

絵里「…」ゴクリ

絵里「…」

絵里「ね」

橘「は、はい!?」

絵里「…隣、行っていい?」

橘「どうぞ!」バッ

絵里「…ありがと」スッ

橘「…」

絵里「…」ギュッ

橘「…今日は」

絵里「…?」

橘「なんで家に招待してくださったんです?」

絵里「…」

橘「あ、その!嫌とかじゃなくてですね、不思議というか、なんというか…」

絵里「…」

絵里「ふふっ」

絵里「そうよね。急に家に来てだなんて、意味わからないわよね」

橘「…」

絵里「…今日はね」

絵里「…」

絵里「…今日は、頑張ってない私を純一君に見てほしくて」

橘「頑張ってない…?」

絵里「…ええ。綺麗じゃない、余所行きじゃない、ただの絢瀬絵里を…」

絵里「…純一君になら、見せられるかなって」

橘「…」

絵里「…ね、しばらくこうしてていい?」ギュッ

橘「…はい。むしろこっちから頼みたいくらいですよ。好きなだけしがみついててください」

絵里「…」ギューッ

橘「…」

絵里「…」

橘「…」ナデナデ

絵里「!」

橘「…」ポンポン…

絵里「…」

絵里「…」スンスン

絵里「…落ち着く、匂い…」

絵里「…」

絵里「…」スヤ…

――――――――――――――――――――――――――

―――――――――――――――――――――

――――――――――――――――

――――――――――――

絵里「…」

絵里「んぅ…」

絵里「…」

絵里「…!」

絵里「あっ…!寝ちゃった…?」バッ

橘「おはようございます、先輩」

絵里「…純一君」

橘「気持ち良さそうに寝てたので、起こしませんでしたけど…」

絵里「…ごめんなさい、いつのまに…」

橘「いいんですよ、これくらい。それより先輩」

絵里「?」

橘「よだれ、跡ついてますよ」チョンチョン

絵里「へ…っ」カァッ

絵里「…」フキフキ

橘「かわいい寝顔でした」

絵里「…恥ずかしいわ」

橘「学校で寝てるのを見たときよりも無防備でしたね」

絵里「当たり前じゃない…誰に見られるかわからないのに」

橘「今はいいんですか?」

絵里「純一君しかいないでしょ」ギュッ

橘「…そうでした」ナデナデ

絵里「えへへ…」スリスリ

橘「…」

橘(なんだこれ)

橘(なんだこれ!!!)

橘(かわいすぎる!これが噂のかしこいかわいいエリーチカ…!)

橘(まずいぞ…余裕ぶってるのがいつまで持つのか…)

絵里「あ、もうお昼の時間ね…」

橘「は…もうそんな時間ですか」

絵里「…お昼ご飯、作ろうと思ったけど面倒」

橘「僕が作りましょうか!」

絵里「え、いいの?純一君、料理できる?」

橘「簡単になら…」

絵里「ハラショー!じゃあお願いして…いい?」

橘「任せてください!」

橘(さらには甘えんぼーチカ…たまらん…)グッ

すみません
中途半端ですが今日はここまでです
あとちょっとデートします

超スロー超不定期なのにまだ読んでくださってる方がいらっしゃるみたいで
すごく嬉しいです

ではまた

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絵里「ごちそうさま!純一君、チャーハン上手なのね」

橘「これくらいしか作れないんですけど…お口に合ったようなら幸いです」

絵里「美味しかったわ。褒めてつかわす」

橘「はっ!ありがたき幸せっ!」

絵里「…」

橘「…」

絵里「ふふっ」

橘「ははっ」

橘・絵里「「あはははははははははははっ!」」

絵里「はぁ…面白いわね、純一君は」

橘「絵里先輩には負けますよ!」

絵里「それは褒めてるのかしら…」

橘「もちろんです!」

絵里「ふーん…?」

橘「!」フンス

絵里「…」

絵里「…前から気になってたんだけど」

橘「はい?」

絵里「私と純一君は恋人同士じゃない?」

橘「は、はい」

絵里「…先輩、って距離を感じるの」

橘「へぇっ!?」

絵里「ほら、μ’sでも先輩禁止だし…こんな密接な関係になってるのに、まだ先輩って呼ばれるのは、その…」

絵里「…ちょっと、寂しいかなって」

橘「ってことは、呼び捨てですか!?」

絵里「それは任せるけど…ちょっと呼んでみない?」

橘「は、はぁ…」ゴクリ

橘(急にそんな、なんて呼べば…)

橘(絵里ちゃんはおかしいし…絵里さん?もしっくりこないなぁ)

橘(…ここはやはり呼び捨てで…!)

絵里「…だめ、かな」

橘「あぅ…よ、呼びます!呼びますよ!」

絵里「!」パァッ

橘「あー…うー…」モゴモゴ

絵里「…」ドキドキ

橘「…」

橘「…」グッ

橘「…ぇ」

橘「…絵里」

絵里「!!」ビクッ

橘「っ…」

絵里「…」プルプル

橘「…」

橘「…あの?」

絵里「…だめ」

橘「?」

絵里「呼び捨ては、やめましょう」

橘「あっ、い、嫌でしたか!?すみません!調子に乗って…」

絵里「違うの…嫌とかじゃなくて…」

橘「え?」

絵里「…好きな人に名前を呼ばれるって、思ったより、その…」

橘「…!」

橘(絵里先輩、顔が真っ赤だ!それに、なんだかにやけて…)

絵里「…っとにかく!」

橘「はい!?」

絵里「いつも通り、先輩で、おねがいね…」

橘「は、はい…」

絵里「…」

橘(…なんだろう、呼ぶのは結構勇気が必要だったけど)

橘(呼ぶなって言われると少し残念かな…)

橘「…」シュン

絵里「…!」

絵里「…」

絵里「ぅ…」

絵里「…」

絵里「…たまになら」ボソッ

橘「…?」

絵里「っ…」

絵里「たまになら、呼び捨てでいいわよっ!」

橘「えっ」

絵里「あんまりいつもだと、私がもたないから…」

絵里「というか、なんというか…」モゴモゴ

橘「…」

絵里「恥ずかしい…いや、照れくさい…とか…」モゴモゴ

橘「…わかりました」

絵里「…」

橘「ここぞというときだけにしますね!」

絵里「…ええ!そうして…」

橘「了解です!」

絵里「…ふふっ」

橘「…ははっ」

絵里「はぁ…緊張で喉が渇いたわね。純一君も何か飲む?」

橘「いいんですか?」

絵里「ええ。お茶でよければ持ってきてあげる♪」

橘「はい!お願いします!」

絵里「はーい♪」スタスタ

橘「…」

橘(先輩、機嫌良いようでよかった…)

橘(今日はいつにも増してかわいさ増量エリーチカだし)

橘(恋人としてもこれだけ心を開いてくれると嬉しいものだよ!)ウンウン

絵里「おまたせ…きゃっ!」コケッ

橘「うわぁ!?」

バシャァ

絵里「ぅう…あ、ご、ごめんなさい!お茶が…!」

橘「だっ、大丈夫です!でも、なにか拭くものをください…」ビッチョリ

絵里「そうね!タオル、タオル…」

絵里「はい、これ使って!」バッ

橘「ありがとうございます」フキフキ

絵里「ごめんね…まさか何もないところで転ぶなんて…」シュン

橘「気にしないで下さい。転ぶ瞬間の先輩の顔、すごいかわいかったので」

絵里「なっ!」カァァ

橘「ふふふ」

絵里「もう…」

橘「…あー、拭けましたけど、服が」グショ…

絵里「ぁ…」

橘「仕方ないですから、今日はこのままで…幸いお家デートなので問題ないですよ!」

絵里「でも…」

橘「!」フンス

絵里「…」

絵里「あ!」ピーン

橘「?」

絵里「そういえば、家の洗濯乾燥機、最近新しくしたからすごく早く終わるのよ!」

橘「へ」

絵里「ちょっと純一君、服のタグを…」グイッ

橘「なっ、ちょっ」

絵里「えーっと…」ペラッ

橘(…!!)

橘(先輩が僕の服を至近距離で捲って…)

橘(わき腹に吐息が…!)

絵里「うん!洗濯も乾燥もできそうね。というわけで服を…」

橘「はいぃ!?ふ、服を…?」

絵里「…あ、せっかくだからお風呂にも入っていって!拭いたとはいえ、気持ち悪いでしょ?」

橘「お風呂ォ!?」

絵里「帰るまでには服も乾くだろうし、お風呂の間に着替えを用意しとくから、ね?」

橘「き、着替えですか…」

絵里「お父様の昔使ってたパジャマだけど…嫌?」

橘「い、嫌じゃないんですが…」

絵里「ハラショー♪よかったわ。さ、お風呂はこっちよ!」グイグイ

橘「え?え?ま、待ってください!話が進みすぎてて…引っ張らないで!」

―――――浴室

カポーン…

橘「…」

橘「なぜ僕は絢瀬家の風呂に…?」

橘「…考えても仕方ないのか」

橘「…」ウムム

橘「…」

橘「とりあえず、頭を洗おう…」ストッ

橘(今日はいろんなことが起こるなぁ…)ジャァァ

橘(お家デートなのに、アクションが多いというかなんというか…)シュコシュコ

橘(…)ガシガシガシ

橘(まさか、『背中を流しに…』なんてことは…!)ガシ…

橘(…)

橘(…ないない、そりゃあ来てくれたら嬉しいけども)

橘(…)

橘(も、もうちょっと念入りに頭を…)

絵里『純一くーん』

橘「は、はいぃ!?」ビクゥ

絵里『バスタオルと着替え、置いておいたわよー』

橘「はい!ありがとうございます!」

絵里『どういたしましてー』

橘「…」

橘(あぁ、わかってるさ。来るわけないよね…)

橘(僕はなんて欲望に忠実な思考を…)

絵里『あ、あと…ね…?』

橘「はい?」

選択肢

1.絵里『お父様の着替えがなかったから私のパジャマで我慢してほしいんだけど…』

2.絵里『お詫びをかねて背中を流したいんだけど…』


お選びください
寝て起きてぱっと見たとき多い方を書きます
誰もなにもなかったら気分で書きます

おはようございます
どっちも書きたいのはヤマヤマなんですが、
両方だと私の紳士力が大将に追いついていかないので
絢瀬さんお風呂突入パターンで行きます

プリーズ紳士力

絵里『お詫びをかねて背中を流したいんだけど…いい?』

橘「…」

橘「へぁぁあ!!!!???」ガタタッ

絵里『ダメ、かな』

橘(かっ、考えてたことが現実になるなんて…!)ゴクリ

橘(…落ち着け、橘純一。ここは紳士的に…)

橘「も、もちろんいいですよ!ご好意は断りませんから!」

絵里『そ、そう?じゃあ、お邪魔する…わね…』スルスル

橘「…!」

橘(衣擦れの音…!ああ、なんて扇情的で甘美な音なんだろう!)

橘(…先輩がもうすぐここに)

橘(…)

橘(うわぁぁぁ!!!ドキドキしてきた!朝なんて目じゃない!)バクバク

絵里『…純一君』

橘「は、はいぃ!!!」

絵里『…ちゃんと前、隠してる?』

橘「は…」

橘「…」マキマキ

橘「もちろんですとも!」グッ!

絵里『…』

絵里『失礼します…』

ガラッ

橘(ふぉっ)

橘(ふぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおお!!!!)

絵里「ぅ…あんまりじろじろ見ちゃダメよ!前向いて!」

橘「ふぁい…」

橘(大き目のバスタオルで身体を隠し)

橘(顔を赤くしてモジモジする先輩…)

橘(…言われなくても、これ以上見てたら倒れちゃうよ)

絵里「…それじゃあ、お背中流すわね…」ゴクリ

橘「お、お願い、します…」

絵里「…」シュコシュコ

橘(ああ、僕の背後から前にあるボディーソープのボトルに手が伸びて…)

橘(…)

橘(…ん?)

橘「せ、先輩?」

絵里「なに?」

橘「…なんでボディソープを手に?」

絵里「ぁ…たっ、タオルだと肌が傷つくから!ね?」

橘「ええっ!?素手で洗ってくれるんですか!?」

絵里「そのつもりだけど」

橘「…」

橘(い、生きて浴室から出られるかな…)

絵里「あっ、嫌だったかしら!?ごめんなさい、ならタオルに…」

橘「!」

橘「いえっ!大丈夫です!むしろ手で!」

絵里「っ…そ、そう?」

橘「はい!」

絵里「…なら、洗う、わね?」

橘「はい!!!」

絵里「…」

ヌル…

橘「!!!!!!!!!!!!!!」

ヌリヌリ…

絵里「ん…意外と大きい…」

ヌルヌル…

橘「」

橘( )

橘「」

絵里「んしょ…」

ヌル…

橘「…」

橘(…はっ!)

橘(…)

橘(き、気持ちよすぎる…!)

絵里「~♪」

橘(柔らかい先輩の手が、背中を滑らかに動き回り…)

橘(その間、上機嫌な美しい鼻歌が僕の耳を通り抜ける…)

橘(こんなの、こんなのって…)

絵里「…かゆいところはないかしら?」

橘「だっ、大丈夫です…」

絵里「はーい♪」

橘(あぁぁぁぁぁ…この時間が一生続いたとしても、何一つ後悔はないよ…)

絵里「んしょ…っと。はい、終わり!流すからシャワーを…」

橘「あ、ありがとうございます…」シュウゥ…

絵里「…なんだか燃え尽きてるけど、どうかしたの?」

橘「いえ、なにも…」

絵里「?」

絵里「よっ…とぉ!?」ツルン

ビターン!

橘「うわっ!」クルッ

橘「先輩!?大丈夫で…す…か…」

絵里「っててて…!?」

絵里「きゃあっ!?」バッ

橘(滑って後ろに転んだ先輩のタオルがはだけかけててその豊満なバストが露になりかけてる姿を僕はこの数秒で網膜と脳に焼き付けることしかできないというか手を差し伸べたいけれど身体が全くと言っていいほどに動かないので見ていることしか出来ない無力な僕をどうか許してほしいというかきっと全世界の男性諸君なら許してくれるはずだよね)

絵里「…見た?」

橘「それはもう!」グッ!

絵里「…」ムクリ

橘「…!」ビクッ!

橘(この展開は…!殺られる…!?)

絵里「…」

橘「ひっ!ごっ、ごめんなさい!」ババッ

絵里「…もう」

橘「…?」

絵里「今のは私も悪かったわよ…急に転んだらびっくりして見ちゃうと思うし…」

橘「…!」

絵里「だから、そんなに怖がらなくても…」

橘「せ、先輩…!」

絵里「っ…」カァッ

絵里「でも、その、み、見たんでしょ!?む、胸を…」

橘「は…」

絵里「…責任、とってよね」マッカッカ

橘「…」

橘「はい。もちろんですよ」

絵里「!」

絵里「ぅう…もうだめ!恥ずかしすぎる!」バッ

絵里「先に出てるわ!」ガラッ

橘「あっ…行っちゃったか」

橘(…厳密に言えば、胸全体を見たわけじゃないし、一番大切なところは見えなかったというかなんというか)

橘(…)

橘(そんなことはどうでもよくなるような出来事だったなぁ…)

――――――――――――――――――――――――――――――

――――――――――――――――――――――――――

――――――――――――――――――――――

――――――――――――――――――

―――――夕方

絵里「はい、これ。ちゃんと乾いたわよ?」スッ

橘「ありがとうございます!」

絵里「もうこんな時間なのね…時間が過ぎるのは早いわ」

橘「そうですね…やっぱり、好きな人といるからですかね」

絵里「…ふふっ、そうかも」

橘「…」

絵里「…」

絵里「純一君」

橘「はい?」

絵里「今日は本当にありがとう」

橘「いえ、僕は特になにも」

絵里「そんなことないわ。最近とても忙しいから、いい息抜きになった」

橘「…そうですか」

絵里「…」

絵里「それでね」

絵里「最後に、純一君にお話があるの」

橘「…」

絵里「…もうすぐ、私の転校期間が終わるわ」

橘「…」

絵里「それに、ラブライブの最終予選も近づいてきて」

橘「…」

絵里「…」

絵里「つまりね…」

橘「っ…」グッ

絵里「…ラブライブが終わるまで、距離を置いてほしいの」

橘「…」

橘「え?」

絵里「アイドルは恋愛禁止…だなんて、今更だけど…」

絵里「…やっぱり、それは大切なことだと思うの」

橘「…」

絵里「都合がいいのはわかってる」

絵里「…でも」

橘「ちょ、ちょっと待ってください」

絵里「?」

橘「あの…別れ話じゃ、ないんですよね?」

絵里「えっ…純一君…別れ話がしたいの…?」ジワッ

橘「い、いやいや!違いますよ!こんなに好きなのにそんなわけないじゃないですか!」

絵里「そっ!?」

絵里「…そう…よかった」

橘「…」

橘「先輩」

絵里「…?」

橘「…がんばってください」

絵里「!」

橘「ラブライブ、絶対優勝してくださいね!」

絵里「…ええ」

絵里「優勝して…」

絵里「必ず、純一君の元に戻ってくると誓うわ」ギュッ

橘「…はい」ギュッ

絵里「…待ってて、ね」

橘「いつまででも」

絵里「ふふっ…いい返事」




橘(…こうして、絢瀬家お家デートは終わった)

橘(いろいろあったけど、楽しかった)

橘(…)

橘(また、必ず…)

『サイド/μ’s 輝日東高校でするライブの曲を作りましょう!』

―――――――部室

真姫「…今日は練習、休みじゃなかった?」

海未「そのはずですが…」

真姫「エリーが呼び出すなんて、何かあったのかしら」

海未「…何か悪いことではないといいのですが」

ガチャ

絵里「…あら、二人とも。もう集まってくれてたのね。練習もないのにありがとう」

真姫「別に、これくらいはいいわよ。予定があったわけでもないし」

海未「はい。それより、どんな用件でしょうか?真姫と私を呼ぶあたり、この前できた新曲の話ですか?」

絵里「…それがね、相談なんだけど」

真姫「?」

海未「相談、ですか?」

絵里「その…」

――――――――――――――――――――――――――――――――

―――――――――――――――――――――――――――

――――――――――――――――――――――

―――――――――――――――――

絵里「…と、いうわけで…」

真姫「今から新曲!?」

海未「む、無理ですよ!だいたい、最終予選も近いのにそんな…」

絵里「そこをなんとか!お願い!」ペコリ!

真姫「…どれだけ頭を下げられても、できることとできないことがあるわよ」

絵里「…」

真姫「今大切なのは、ラブライブの優勝に向けてできることを全力でやること。でしょ?」

真姫「エリーがお世話になった人たちにお礼をしたいのはわかるけど…」

真姫「それで新曲を作る、っていうのはいくらなんでも無茶よ」

絵里「っ…」

海未「…それに、まだ最終予選のパフォーマンスも完璧ではありません」

海未「厳しいようですが、追加で何か他をしている場合では…」

絵里「…」

絵里「そう、よね…」

真姫「…」

絵里「ごめんなさい、無理言って。今日のことは、忘れてもらって構わないから…」

海未「絵里…」

真姫「…」

真姫「…ライブは、するんでしょ?」

絵里「え?」

真姫「その、転校先の高校で。もうある曲でやるんでしょ?」

絵里「…そうなるわね」

真姫「…それなら、手伝ってもいいわよ」

絵里「!」

真姫「エリー1人じゃ、できる曲なんてないじゃない。1曲だけなら、出てあげる」

絵里「真姫…!」

海未「…私も同じです」

絵里「海未…」

海未「礼儀を尽くす、といった趣旨は素晴らしいことです」

海未「できることがあれば、お手伝いをさせていただきますよ」ニコッ

絵里「…二人とも」

絵里「~~~っ」バッ

絵里「ありがとうっ!」ギューッ!

真姫「きゃっ!?もうっ、急に抱きつかないでっ!」

海未「はぷっ!?え、絵里…!苦しいです…!」

絵里「ふふふっ、優しくてかわいい後輩がいて、私は幸せよ?」

真姫「なっ」カァァ

海未「か、かわいいだなんて、そんな…」

絵里「さて、今日は迷惑もかけたことだし、クレープでも食べに行かない?奢っちゃうわよ!」パッ

海未「…クスッ、それでは、ご馳走になりますね」

真姫「…断る理由はないわ」プイッ

絵里「ふふふ♪」クルッ

ポロ…

海未「…? 絵里、ポケットから何か…」カサッ

真姫「なによ、それ?…歌詞?」

海未「…『soldier game』」

絵里「え?あっ!そ、それは!」

真姫「…」ムムム

真姫「…これ」

海未「…」ムムム

真姫「…エリー」

絵里「へ…」

海未「こ、この歌詞は…」

真姫・海未「「好きな人でもできたの(ですか)っ!!!???」」

絵里「え?え?えぇぇっ!?」

真姫「だってそうでしょ!?この前ラブソングを作ったときにはなかったこの発想!」

海未「かわいらしさとかっこよさを兼ね備え、絵里の良さを存分に引き出し…」

海未「明確に恋心を指し示した素晴らしい歌詞…!」

絵里「そ、そんなに褒められると照れるわね…」

絵里「じゃなくて!返して!」

海未「だめです!質問に答えてください!」

絵里「っ!」

真姫「そうよ!どうなの!?」

絵里「そ、それは…」

真姫「…」ジッ

絵里「ぅぅ…」

海未「…」ジッ

絵里「う…」

絵里「…」

絵里「た、大切な人なら…できた、かも?」

真姫「!」

海未「なっ!ななな…」

絵里「…」カァァ

真姫「…どうやら本気みたいね」

海未「そんな、まさか絵里が、こ、こここ恋人なんて…!」

真姫「…」

真姫「…なるほど、ね」

絵里「…真姫?」

真姫「…海未。この歌詞、手直ししておいて頂戴」カサッ

海未「は…」

真姫「私はすぐに曲をつけるから…」

絵里「!」

海未「…」

海未「…そうですね」

絵里「え!?」

海未「そうと決まれば、早速行動しましょう!音楽室なら手直ししつつも曲が付けられませんか?」

真姫「そうね…じゃあ音楽室に」

絵里「ちょっと待って!?なんでそんな急に…」

真姫「そうね…強いて言うなら」

真姫「この歌詞に曲をつけてみたくなったから、かしら」

絵里「…!」

海未「そうですね。私もそうです」

海未「この曲は、埋もれさせてはいけない…そんな気がするのです」

絵里「でも、最終予選が…」

真姫「私を誰だと思ってるのよ」

絵里「え?」

真姫「天才作曲女子高生アイドルマッキーよ?何とかならないことなんてないんだから!」

海未「…だそうですよ?絵里」

絵里「…ふふっ、なによそれ」

真姫「っ…」カァッ

真姫「とにかく!やることはたくさんあるんだから、はやく音楽室行くわよっ!」ダッ

海未「あっ、待ってください真姫!」タッ

絵里「あ、もうっ、置いてかないでよ!」タッ






絵里(こうして、転校最終日に歌う曲もできた)

絵里(…アイドルを始めて、本当にいい友達を持ったわね)

絵里(感謝してもしきれない)

絵里(…)

絵里(…ありがとう、真姫、海未)

絵里(必ず成功させて見せる!)

駆け足ですが、そろそろ畳みに入ります

長すぎるのはだらだらやりすぎたせいです
お話を書くのは本当に難しいですね

ではまた

☆『ついに絵里先輩の転校期間が終わる。今日は輝日東高校で例のライブだ…』

橘(デートが終わり、数日経った)

橘(絵里先輩は、最終予選と今日のライブのために、相当忙しかったみたいで)

橘(距離をおく、といっても昼食なんかは一緒に食べたりしたけど)

橘(疲れをごまかすために化粧が濃くなっていったのを気がつかないわけもなかった)

橘(…無理、してるんだ)

橘(…でも、だからってそれを言ってしまうのは)

橘(僕にはできなかった…)

橘(…)

橘(今日で転校期間が…終わる)

橘(あっという間だったな…)

――――――――3年生教室

絵里「…」ペコリ

絵里「私の特別転校期間が今日で終わります」

絵里「輝日東高校で過ごした日々、1ヶ月という短い期間でしたが」

絵里「とてもいい経験となりました」

絵里「ここで学んだこと、出会った人たちのことは決して忘れません!」

絵里「ありがとうございました!」

パチパチパチ…

森島「絵里…」ウルッ

絵里「はるか…もう、なんて顔してるのよ。今生の別れでもないでしょ?」

塚原「…そういう絵里も、ね」

絵里「へ…っ」ゴシゴシ

森島「うわーん!絵里ぃー!」ガバッ

絵里「わぷっ!?」ダキッ

森島「絶対大会見に行くから!」エグエグ

絵里「…うん…うん…!」グスグス

塚原「…」ホロリ

絵里「…ひびきも!」ガバッ

塚原「きゃっ!?」ガシッ

森島「ひびきちゃーん!」ダキッ

塚原「…もう、しかたないわね…2人とも…」サスサス

森島「うえぇぇーん!」ボロボロ

絵里「ぐすっ…」

塚原「…」ポムポム

―――――――――――――――――――――――――――――――――

――――――――――――――――――――――――――――

―――――――――――――――――――――――

――――――――――――――――――

――――――――体育館

絢辻『臨時全体集会を始めます』

絢辻『1ヶ月前、この輝日東高校に、1人のスクールアイドルが特別転校してきてくださいました』

絢辻『3年生の絢瀬絵里先輩。今日は、その転校期間最終日ということで…』

絢辻『特別にライブをしていただけることになっています』

ワァァァアアアアアアア!!

絢辻『それでは絢瀬先輩、どうぞ』スッ

絵里「…」スタスタ…

絵里『あー、あー、…』

絵里『輝日東高校のみなさん、こんにちは!』

絵里『スクールアイドルμ’sのメンバー、絢瀬絵里です』

ヒューヒュー!ワァァアァアアアアア!!

絵里『本日はお世話になった皆様のために、歌わせていただきます』

絵里『たった1曲だけではありますが…』

絵里『今日、このために作った新曲です』

ザワザワ…シンキョク…?スゲェ…ザワザワ…

絵里『そして、特別ゲストも来ています』

絵里『今回、曲作り、ダンス、本番の出演を快諾してくれた、私の大切な仲間』

絵里『μ’sメンバー、西木野真姫、園田海未!』

バッ!

エェェ!?ウミチャンニマキチャンダッテ!?スゲー!ホントカヨ!ウワァァァアァアア!!!

海未『ど、どうも!そっ、園田海未と、申します!』カクカク

真姫『なに緊張してるのよ!…あ、西木野真姫よ。よろしく』

絵里『…海未、大丈夫?』

海未『だっ、大丈夫です!いつものことですからっ!』

カワイイー!ガンバレー!

海未『かっ、かわいいなんて!そんなこと…!』ムグッ

真姫『はいはい、ストップ。今日はトークショーしに来たわけじゃないんだからね』

海未『…!』モガモガ

絵里『そうね。時間もそんなにないみたいだし、さっそくではあるけど始めましょうか』

真姫『さ、位置つくわよ、海未』パッ

海未『プハッ、うぅ…今日はどうしたんでしょうか…』トボトボ

絵里『照明!』

バチン!

キャッ!?マックラ…ザワザワ…

絵里『…』

絵里(1曲)

絵里(この、たった1曲に…)

絵里(新しくなった私を…)

絵里(…新しい私に導いてくれた人への気持ちを…!)

絵里(…)

絵里(純一君…)

絵里『聞いてください!』

絵里『soldier game!!!』

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

――――――――――――――――――――――――――――――――――

―――――――――――――――――――――――――――――

―――――――――――――――――――――――――

――――――――――ライブも終わり、放課後、屋上

橘「…」ボー

橘「…」

橘(絵里先輩のライブ)

橘(最高だったな)

橘(…僕は、すごい人と付き合っているんだな)

橘(…)

橘(…)ボー…

ガチャ

橘「…?」

??「ふーん…これがこの高校の屋上ね」

??「そんなに音ノ木坂と変わりませんね。少しだけこちらの方が狭いでしょうか」

橘(…この声は)

??「で、こんなところでなにやってるのかしら」

橘(…!)

真姫「橘純一先輩?」

海未「!」

橘「にっ、西木野真姫と園田海未!!??」

真姫「驚くのはいいわよ。こんなところで何してるのって聞いてるの」

橘「な、なにって…」

海未「…こんにちは、橘さん」ペコリ

橘「え?こ、こんにちは」

真姫「ちょっと、海未!のん気に挨拶なんてしてる場合?」

海未「挨拶は礼儀の基本です。突然話しかけては失礼ですよ」

真姫「それはそうだけど…!」

海未「さ、真姫も」

真姫「~~~~!!」

真姫「…こんにちは、橘先輩!」

橘「どうも…」

真姫「ふん!これでいいんでしょ?」

海未「ええ。それでは本題に入りましょうか」

橘「本題…?」

海未「橘さん。率直に伺いますが…」

橘「…?」

海未「…あなたは絵里の、こっ…恋人、なのですか?」

橘「!」ビクッ

真姫「…その反応は、図星みたいね」

海未「やはり…」

橘「…」

海未「…橘さん」

橘「…はい」

海未「絵里は、最近変だったんです」

橘「…」

海未「急に曲を作りたいと言ったり、練習も少し厳しくなったり…」

海未「はっきり言って、無理をしすぎるようになったのです」

橘「…」

海未「今までも、確かに絵里は無理をすることがありました」

海未「…しかし、それは周りがとても注意していないとわからないものでした」

橘「…!」

真姫「…もう、わかるでしょ」

真姫「最近の絵里は、誰がどう見てもわかるような無理をしてるのよ」

橘「ぁ…」

真姫「…だから、今日のライブ、本当は断る気だったの」

海未「断る、といっても新しく曲を作るのを、ですが」

橘「で、でも今日は新曲で…」

真姫「…それは、ね…」

海未「…あんな詩を見せられて、断る人はたぶんいません」

橘「詩…?」

海未「…今日歌った『soldier game』。作詞はほぼ完全に絵里なのですが…」

真姫「はじめて見たとき、それはもうびっくりしたわ」

海未「きっと、大切な人がいて、その人のために作ったのだろう、と」

海未「見てすぐわかりました。それほどに、あの歌には絵里の気持ちが乗っていた…」

橘「絵里先輩…」

真姫「…ま、これで絵里の無茶も終わるだろうし、特に先輩に文句があるわけでもないわ」

橘「へ…」

海未「そうですね。別にそれを咎めたくてこうしてお話をしているわけではありません」

橘「だったらどうして…」

海未「感謝しているんです。あの詩を生み出すきっかけになったあなたに…」

真姫「そうね。あんな歌、そうそうできるものではないわ。いい経験になったし」

橘「それでわざわざ探してきてくれたんですか」

海未「はい。絵里も来るはずだったんですが…」

真姫「先に帰るって聞かなかったのよね」マッタクー

橘「え、じゃあ先輩は今どこに…?」

海未「そろそろ校門のあたりに着く頃でしょうか」

真姫「そのくらいかしら。絵里も気が早いったらないわね」

橘「…!」ダッ

海未「あっ、橘さん!?」

真姫「ちょっ、どうしたのよ!?」

橘「…」ピタッ

橘「今の話を聞いたら、やっぱりあの曲は僕のためでもあったって…」

橘「そういうことですよね?」

海未「は、はい。そうですが…」

橘「だったら、言わなきゃ…!」ガシャン!

真姫「言わなきゃって…」

橘「すみません、急がなきゃ…!」

真姫「!」

海未「待ってください!」

橘「なんです!?」

海未「…ひとつだけ、聞かせてください」

海未「あなたは、絵里を…愛していますか」

橘「もちろん!」バッ

橘「全身全霊で愛してるに決まってるよ!」ダッ!

真姫「あっ!?…行っちゃったわね」

海未「…ふふふっ」

真姫「なによ、その笑いは」

海未「ふふ…いえ、絵里を誑かしたのはどこの馬の骨かと思ってたのですが」

海未「なかなかどうして、いい人に捕まったみたいで安心しました」

真姫「…そうね。悪い人じゃなさそうね」

海未「あれだけ愛していると即答する方もそういませんよ。照れも迷いもなく」

真姫「なによ海未、うらやましいの?」

海未「…そうですね、恋愛とは疎遠な人生でしたから」

海未「少し、いいなと思ったのかもしれません」

真姫「…そ」

海未「さて、絵里の幸せを願いつつ帰りましょうか」

真姫「ええ。そうしましょうか」

真姫「…お幸せに、絵里」

―――――帰り道、公園前

橘「はぁっ、はぁっ、はぁっ…」キョロキョロ

橘「いない、かな…」ゼェゼェ

橘(そんなに差は開いてないと思ったけど…)

橘(この道じゃなかったかな…)

橘(…っ)ゲホッゲホ

橘(あー…こんなことならもう少し体力をつけとくべきだったかな)

橘(喉が…)

橘(…)

橘(…いや、だめだ、まだ諦めちゃ!)

橘(公園で水を飲んで、すぐに駅まで走れば先回りできるかも…)

橘(水…)タッ…

橘(…)ジャー

橘(ゴクゴク…)

橘「ぷはっ、さてもう一走り…」

??「だーれだ?」パッ

橘「あっ!?え!?」

??「…残念、時間切れ」パッ

絵里「正解は、かしこいかわいいエリーチカでした!」

橘「え、絵里先輩!!!」

絵里「純一君、そんなに急いでどうしたのよ」

橘「せ、先輩に追いつこうと思って…!」

絵里「えっ?それは…悪いことしたわね…」

橘「園田さんと西木野さんから、先に出たって聞いて走ってきたんですけど…」

絵里「海未と真姫に会ったの!?」

橘「は、はい」

絵里「…変なこと、言われてないわよね?」

橘「変なこと…ですか?」

絵里「あ、なにもないならいいの!うん!」

橘「はぁ…」

橘「ところで先輩こそ、こんなところでどうしたんですか?」

絵里「え…?」

橘「先に帰った、って話だったのに、なんで公園に…」

絵里「…」

橘「…」

橘「…っそもそも」

絵里「?」

橘「僕に会いたくなかったんですよね…?」

絵里「…!?」

橘「園田さんと西木野さんが言ってました。『本当は絵里も一緒に来るはずだった』って」

絵里「…っ」

橘「だから…先輩は僕を…」

絵里「違うの!」バッ

ギュッ

橘「先輩!?」ダキッ

絵里「…ちがうのよ」

橘「…」ポム

絵里「…まだこれから、ラブライブが終わるまで3ヶ月ある」

橘「…」

絵里「なのにここで会っちゃったら…」

絵里「…我慢、できなくなっちゃうかもしれない」

橘「!」

絵里「だから…何も言わずに行こうって」

橘「先輩…」

絵里「…だめね、こうして実際に純一君を見ちゃったら、声かけちゃった」

橘「…うれしかったです」

絵里「ふふっ…そう…」

絵里「…この公園」

橘「え?」

絵里「覚えてる?絆創膏あげたの」

橘「あー…ありましたね、そんなこと」

絵里「通りかかったら、懐かしくてつい寄っちゃって。そしたら純一君がいたから」

橘「…なるほどです」

絵里「…ね、あのときどうしてあんなに怪我してたの?」

橘「先輩を見に行って、人だかりに蹴飛ばされまくったんです」

絵里「なにそれ、かっこ悪い」クスクス

橘「ははっ…そうですね」

絵里「…でも、そのおかげでここで出会えたのよね」

橘「はい。たまには蹴飛ばされるのも悪くないって思いました」

絵里「ふふっ…」

橘「ははは…」

絵里「…」

橘「…」

橘「…絵里先輩」ギュッ

絵里「絵里って呼んで?」ギュゥッ

橘「…絵里」

絵里「…はい」

橘「今日の新曲、最高でした。ありがとうございました」

絵里「…当然じゃない、あの曲には、純一君への想いがたっぷり入ってるんだもの」

橘「痛いほど伝わってきました。だから、直接どうしても言いたくて」

絵里「お礼を?」

橘「それだけじゃなくて」グイッ

橘「…」

橘「好きです」

絵里「っ…」

絵里「…ふふっ」

絵里「知ってる!」

チュッ

橘「…ぷはっ」

絵里「えへへ…」

橘「…絵里」

絵里「ん?」

橘「ラブライブ、がんばって」

絵里「…ええ。もちろん!」




橘(こうして、僕と絵里は公園で分かれて帰った)

橘(お互いの区切りとして…)

橘(…)

橘(『どうか、μ’sが優勝しますように』)

橘(帰りに見えた一番星に、強く願った)

○『エピローグでありプロローグ』

―――――3月のある日

橘「…」ドキドキ

森島「…」ドキドキ

塚原「…」ドキドキ

森島「みっ、見るわよ?」

塚原「ええ…」

橘「い、いいですよ…」

森島「~!」

森島「えいっ!」カチッ

パッ

森島「わーっ!?だめ!ドキドキして見れない!どうだった!?どうだったひびき~!」ジタバタ

塚原「…!これは…」

橘「!!」

森島「え!?え!?なにー!?」

橘「や…」

橘「ったぁぁぁあぁあああああああ!!!!」グッ!

森島「!?」

塚原「…おめでとう、絵里…」

森島「…ということは」

塚原「ええ。μ’s、ラブライブ優勝ね」

森島「わお!すごいすごい!やったわね!!!絵里ぃー!!!」

塚原「卒業式の後にパソコン室集合って言われたときはびっくりしたけど、早く知れてよかったわ」

橘「はい!最終予選は見に行けましたけど、決勝は動画でしか見れませんでしたもんね!」

森島「まぁあのパフォーマンスなら?優勝かなって思ってたけど!」

塚原「調子のいいこと言って…」

森島「それで、この結果っていつから出てたの?」

橘「一昨日ですね!」

森島「へー!…橘君もまだ見てなかったの?」

橘「はい、どうせなら先輩方と喜びたかったので!」

森島「泣けることいってくれるじゃない!このこのー!」ウリウリ

塚原「…それにしても、すごいわね、絵里。本当に優勝しちゃって」

橘「…がんばってましたから。ものすごく」

塚原「…ふふっ、それもそうかな」

??「でも、ラブライブ出場校はみーんながんばってるのよ?」

橘・森島・塚原「「「!?」」」クルッ

絵里「こんにちは♪」

橘「え…」

森島「えりぃー!!!!!」ガバッ

絵里「きゃっ!?」ダキッ

森島「優勝おめでとうぅぅ!!!!!」グリグリ

絵里「ありがとう、はるか」

塚原「おめでとう、絵里」

絵里「ひびきも、ありがとう」

橘「せっ、先輩、どうしてここに!?」

絵里「はるかとひびきの卒業式に駆けつけたのよ。少し遅かったせいで式には間に合わなかったけど」

橘「そうですか…あ、優勝、おめでとうございます!」

絵里「ありがとう、純一君♪」

森島「卒業式に来てくれるなんて…なんて友情にアツい…」

絵里「卒業おめでとう、はるか、ひびき」クスッ

森島「ありがとう~…」グスグス

塚原「ありがとう。はるか、あんまり引っ付いてると迷惑でしょ?」ガシッ

森島「うぅ~…」

絵里「懐かしいわね、この感じも」

塚原「絵里がいなくなったおかげでまた1人ではるかの世話しなきゃいけなくて、大変なのよ?」

絵里「それは申し訳ないわね」クスクス

森島「あ、ひどい!絵里もひびきも~!」

絵里「ふふふっ!」

塚原「ふふっ…」

森島「もー…」

橘「…」

森島「…あ、お邪魔かな?」

絵里「え?」

橘「え?」

塚原「はるかにしてはよく気がついたわね。2人にしてあげましょう」

橘「は、そ、そんな、いいですよ!せっかく久しぶりなのに!」

森島「いいのいいの♪じゃ、絵里もまた連絡してね?遊びにいこ?」

絵里「え、ええ…?それはもちろんだけど…」

塚原「それじゃあ、お二人ともまたね」フリフリ

森島「バーイ♪」フリフリ

橘「え、ちょ」

絵里「…行っちゃった、わね」

橘「…」

絵里「…」

橘「こ、こんなところにいるのもなんですし、場所移しましょうか!」

絵里「そ、そうね!久しぶりに屋上でも…」

橘「いいですね!そうしましょう!」

―――――――屋上

橘「…先輩、よくパソコン室がわかりましたね」

絵里「たまたま会った梅原君が教えてくれたのよ。彼はもう結果知ってたみたいで、おめでとうございます、って」

橘「はは、そうですか…」

絵里「…」

橘「…」

絵里「…ここからの景色も、久しぶり」

橘「…はい、そうですね。3ヶ月ぶり…」

絵里「…」

絵里「純一君」

橘「…はい」

絵里「…終わったわ、ラブライブ」

橘「…はい」

絵里「…その」

橘「…?」

絵里「…まだ、私は」

絵里「純一君の、恋人…よね」

橘「え…違うんですか…?」

絵里「ち、違わない!…けど、こんなに放っといたから…不安で…」

橘「先輩…」

絵里「…」

橘「…僕が」

絵里「…」

橘「裏切るわけがないじゃないですか」ギュッ

絵里「ぁ…」

橘「この3ヶ月…」

橘「僕も不安でした。もしかして、忘れられてるんじゃないかって」

絵里「そんなこと…!」

橘「でも、こうしてるとわかります」

絵里「…!」ギュッ

橘「絵里先輩」

絵里「…」

橘「…絵里!」

絵里「…はい」

橘「…愛してる」

絵里「っ…」ポロッ

橘「好きです」

絵里「うん…うん!」

絵里「私も…」

絵里「私も、純一君が大好き…!」ボロボロ

橘「…」ギュゥッ

絵里「ぅっ…ごめんね…嬉しすぎて、なみだが、とまらない…」グスグス

橘「…」ポム

絵里「グスッ…ヒッグ…」ギュゥッ

――――――――――――――――――――――――――――――

―――――――――――――――――――――――――

――――――――――――――――――――

―――――――――――――――

絵里「…」

橘「…落ち着きました?」

絵里「…うん、ありがとう」

橘「どういたしまして」

絵里「…」

絵里「純一君」

橘「はい?」

絵里「問題です」

橘「?」

絵里「私は…誰でしょう」

橘「…絢瀬絵里先輩ですよね」

絵里「…ふふっ」

絵里「残念、はずれ」

橘「えっ?」

絵里「私はね…」タッ…











絵里「…あなたの恋人、あなたの…大切な人」










橘「…!」

絵里「もちろん…私と一緒に、来てくれるわよね…?」スッ

橘「…」

橘「はい」タッ

橘「隣に並んで、どこへでも」ギュッ

絵里「ふふっ…」

絵里「せーかいっ」ギュッ





橘純一『soldier game』


おわり




以上、絢瀬さん編でした

おまけなしでこの長さ…
へこたれましたわ

おまけはほんのちょっと書きたいですが、
本編は全く関係ないものを予定してます。

反省は色々ありますが、
誕生日をまたすっかり忘れてたことがアカンですね

ここまで読んでくださった方、ありがとうございました。
おまけはまた別日に書きます。

おまけ『…絵里はあいつを選んだ。けど…仲間の門出を祝福しないはずがないじゃない』

―――――卒業後、3月某日

にこ「…」

希「おめでとう、えりち」

絵里「ありがとう、希」

希「いやー、仲いいとは言ってたけど、まさか本当に付き合うとはなぁ」

絵里「私も自分でびっくりしてるわ…恋愛なんて、してこなかったし…」

希「お相手がそれだけいい人、ってことやな!」

絵里「そうね。私にはもったいないくらい」

希「あ、惚気?惚気?ええなー!ええなー!!」

絵里「もう、からかわないでよ!」

にこ「…」

希「…?にこっち?」

絵里「にこ…?」

にこ「…ふん」

絵里「…?」

にこ「なんでもないわよっ!幸せそうでいいわね!」

希「あれー?にこっちも欲しくなった?こ・い・び・と」

にこ「なぁに言ってんのよ!にこにーはぁ、みんなのも・の♪でしょ?」キャルン

希「それいくつになるまでやるんや…」

にこ「年齢なんて関係ないわよっ!にこは生涯アイドルなんだからっ!」

希「はいはいそうやね。いい歳になったらウチがもらったるからな」ヨシヨシ

にこ「あやしてんじゃないわよっ!」ビシッ

絵里「…ふふっ」

にこ「もー…」

希「にこっちは芸人さんやねー」

にこ「誰が芸人よっ!ア・イ・ド・ル!」

絵里「にこならなんでもやっていけるわよ。人をひきつける魅力がいっぱいだもの!」

にこ「ちょっと、芸人も視野に入れてるみたいな言い方やめてくれる!?」

希「せっかく褒めてるのに、素直やないなぁにこっち」

絵里「そこがにこのいいところなのよ」

希「そうなんやろうなー」

にこ「何の話よっ!」

絵里「うふふふっ」

希「あははははっ」

にこ「…」フフッ

にこ「…」

にこ「…絵里」

絵里「ん?」

にこ「…」

にこ「…おめでとう。幸せにね」

絵里「!」

絵里「…」ワナワナ

希「えりち…?」

絵里「!!」ガバッ

絵里「にこー!!!!」ギュッ

にこ「うわっ!?」ガシッ

絵里「にこにこにこー!!」スリスリスリ

にこ「わっぷ、な、なにすんのよ!むぐぐ…」

希「!」

希「ずるいやんえりち!ウチもー!」ダキッ

にこ「ぬわー!!!!!ち、窒息する!落ち着きなさいよあんたたちっ!!」

絵里「うぅ~…愛くるしい…」モフモフ

希「いい匂いする~」モフモフ

にこ「…」ヤレヤレ

にこ「…しょうがないわねぇ」ナデナデ

絵里「…」

絵里「にこ」

にこ「?」

絵里「希」

希「はいはい?」

絵里「…ありがとう、大好きよ」

希「!」

にこ「!」

希「ふふふっ…ウチもやで、えりち」

にこ「…ふんっ」

絵里「うふふ…」





にこ(こうして、絵里の幸せ報告は終わった)

にこ(完敗…だったけど、案外悪くないじゃない)

にこ(なんてったって、あの絵里が見てられないほどのだらしない笑顔だったもの)

にこ(…お幸せに、絵里)


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

―――――――――――――――――――――――――――――――――――

――――――――――――――――――――――――――――――

――――――――――――――――――――――――――

――――――――――――――――――――――

―――――――――――――――――

おまけ2 『もうこんな時間じゃないか!早く帰らないと…』

橘「たっ、ただいまっ!」ガチャ

絵里「あら、おかえりなさーい。早かったわね」

橘「そりゃもう、だって今日は」

絵里「結婚記念日だから?」

橘「けっこ…って、先に言わないでよ…」

絵里「ふふっ、ごめんなさい。でも、ちゃんと覚えてたのね。あなた」

橘「忘れるわけないだろっ!…はい、これ」スッ

絵里「え?…ハラショー!素敵な花束…!」

橘「絵里」ギュッ

絵里「わっ!もう…なに?」

橘「絵里と知り合って、結婚して、色々あったけど…」

橘「…今までありがとう、これからもよろしくっ」

絵里「…うん!」

絵里「こちらこそ、よろしくね」クスッ

?「わっ、こら凛ちゃん、もう少し引っ込まんとばれるで!」コソコソ

?「しゃらくさいにゃー!凛だってあまあまの雰囲気見たいもん!」コソコソ

??「声が大きいっての!もう少し抑えなさいよっ!」コソコソ

???「にこちゃんも声大きいよっ!ばれちゃうって!」コソコソ

??「ほ、穂乃果ちゃんもだよ…というか、私の場所狭い…」ダレカタスケテー

???「うぅ~…小窓からちょっとしか見えないよぉ…」セノビー

??「ことり、もう少し下にいてください!そこは私の場所です!」

??「みんな必死すぎよ、意味わかんない」クルクル

橘「…あはは」

絵里「もう、あの子達は…」

橘「来てるんだね?」

絵里「ええ。一緒に祝いたい、って。せっかくあなたをびっくりさせようと思ったのに…」

橘「十分びっくりしたよ。でも、そうだな…」

絵里「?」

橘「オーディエンスの期待には応えるべきだよね」

絵里「え?それってどういう…」

バッ













8人「「「「「「「「あーーーーーーーーっ!?!!!?!??」」」」」」」」






















チュッ


おわり

これにて
絢瀬絵里編完全終了です。

長々だらだらとしてしまい、すみませんでした。
ここまで見てくださった方、ありがとうございました。

ラブライブ!×アマガミ、次回は誰にするのか未定です。
たぶんまだやってない一年生でやりますので、
また見かけたら読んでいただけると幸いです。
誰のが見たい!とかあれば書き込んでいただけると参考にします!

では、いつになるかわかりませんがまたお会いできたら。

超おまけ 『大将に落とされちまった座談会』

穂乃果「…」

絵里「…」

橘「…」ダラダラ

田中「あの…座談会…」

穂乃果・絵里「「…」」ギロリッ

田中「ひぃっ!?」ビクビク

田中「な、なんで私が司会進行なの…?薫とか森島先輩とか塚原先輩とか…いたじゃん…」

橘「田中さん…なんか、ごめん…」

穂乃果「…絵里ちゃん」

絵里「…なにかしら」

穂乃果「純一くんが困ってるよ?」

絵里「そのようね。私のだ・ん・なが、困ってるみたいね」

穂乃果「っ!」ギリィ

橘「あの…お2人とももう少し穏やかに…」

穂乃果・絵里「「純一くん(あなた)は黙ってて!」」

橘「は、はひぃ…」

田中「ほ、穂乃果ちゃん怖いよぅ…」

絵里「…で、穂乃果は私の夫のなんなの?」

穂乃果「むむ!絵里ちゃん、ちょーっと結婚したからって調子に乗ってない?」

絵里「ちょっと結婚したって何よ!ラブラブ円満新婚さんだったじゃない!」

穂乃果「あーっ!そうやって自慢するんだー!へー!」

穂乃果「いいもんいいもん!絵里ちゃん、デートに遊園地とか行ってないでしょ!校庭から熱烈雄叫びラブコールされてないでしょ!」フフン!

絵里「くっ…で、でも新婚旅行は行ったわよ!北海道4泊5日!純一ったら毎晩毎晩…」ポッ

穂乃果「あ、あだるてぃーな自慢まで…だったら穂乃果も初めてお泊りしたときのことを…」カァッ

田中「…」ジトッ

橘「は…いやいやいや田中さん!そんな目で見られても!僕は悪いことは何も…」

穂乃果「何も!?悪いことはしてない!?純一くん!」

橘「へっ!?」ビクゥ

絵里「ならはっきりさせましょうか!」

橘「な、なにを!?」ビククッ

穂乃果・絵里「「どっちの方が好きなのっ!?」」

橘「は…」

橘「へぇぇぇぇぇぇぇえええええええっ!?!?」

田中「おおっ!ほ、本物の修羅場っ!」ゴクリ

穂乃果「答えてよ純一くん!穂乃果と絵里ちゃん…どっちを選ぶの!?」

絵里「あなた…まさか、浮気なんてしないわよね…」ウルルッ

橘「え、え、ぼ、僕は…」

穂乃果「…」

絵里「…」

田中「…」キラキラ

橘「…ぼ、僕は…」

穂乃果「…」ジッ

絵里「…」ジィッ

橘「ううっ…」

棚町「こらっ」ビシッ

穂乃果「あてっ!」

森島「なーにしてるのよ絵里!」ダキッ

絵里「きゃっ!?」

塚原「はぁ…こんなことだろうと思った」

田中「か、薫ー!」

棚町「恵子、よく頑張ったわね」ヨシヨシ

橘「薫…森島先輩…塚原先輩…」

穂乃果「薫ちゃん…」

絵里「モガモガ…」

森島「かわいい喧嘩だけど、仲良くしなきゃメッ!でしょ!」ギュゥッ

棚町「森島先輩の言う通りよ。穂乃果、あなたらしくもない」

穂乃果「う…だって…」

塚原「絵里も、仲良くしなさい。橘君も怖がってるし、嫌われちゃうわよ?」

絵里「むぐ…!?」

森島「あ、ごめんごめん。離してあげる!」パッ

絵里「はぁ…はぁ…た、たしかに少し大人気なかったかしら…」

穂乃果「…」

絵里「穂乃果、ごめんなさい。…穂乃果がちょっと羨ましかったから、意地を張っちゃって…」

穂乃果「…」

棚町「ほら、穂乃果?」トン…

穂乃果「ぁぅ…」

穂乃果「…」

穂乃果「…穂乃果も…絵里ちゃんに嫉妬してたよ…ごめんね…」

絵里「…仲直り、しましょう」スッ

穂乃果「…うん」ギュッ

森島「うんうん!一件落着ね!」

棚町「世話が焼けるんだから…」

塚原「…これってそもそも比べようがないわよね、橘君…」

橘「ははは…」

田中「…あっ!?そ、それじゃあ仲直りもしたし本来の企画進行を始めてもいいかな!?」

穂乃果「恵子ちゃん…うん!おねがい!」

絵里「ごめんなさいね、田中さん。それで、どんな企画なのかしら…」

田中「えーっとね、お2人にはテーマに沿ってトークをしてもらって…」

田中「最初のテーマは、『橘君のどこが好き…』」

棚町「ちょーっと待った!そんなことより聞きたいことがあったわよねぇ?」

穂乃果「?」

絵里「な、なにかしら?」

棚町「穂乃果の初めてのお泊りと…絢瀬先輩の新婚旅行」

穂乃果「へぇっ!?」

絵里「なっ!?」

棚町「くわしーく喋ってもらおうかしら…?その方が純一のいい所延々と聞くくだらない企画よりも楽しそうだし…」

橘「くだらないって…というかそんな恥ずかしいこと!」

田中「はい!トークテーマは『新婚旅行とお泊りについて』です!」キラキラ

橘「田中さん!?」

森島「うーん…」

絵里「は、はるかぁ…」

森島「気になる…」

絵里「へ」

森島「私も?女の子だし?嫌いじゃないかなって…」

絵里「そ、そんな…」

塚原「…」

絵里「ひびきぃ~…」

塚原「…観念しなさい、絵里」

絵里「!」ガーン

橘「ま、待った!絶対ダメ!反対反対!」バッ

棚町「ふん!」ゴスッ

橘「へぶっ!」バタン

穂乃果「純一くーーーん!!!!」

棚町「さて…邪魔者はいなくなった」

森島「ここからは、大人の時間よ!」

塚原「…」フフッ

田中「お2人とも、はりきってどうぞ!」キラキラ

穂乃果「うぅ…」

絵里「ひぃぃ…」



『だ…』



『だれかたすけてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!』





超おまけ 完

最後までだらだらとすみません
これでこのスレマジで終わります。

見てくださった方ありがとうございました。

引き続き、次回誰のなら見てみたいのかご意見ありましたら書き込んでくださると幸いです。
小泉さん1票 YAZAWA1票 星空2票
承っております。矢澤は〆にしたいので、
矢澤やるっていったらこのクロスオーバーを私が書くのはたぶん最後になりますかね…

長々と付き合ってくださって、本当にありがとうございました!
ではまた…

予想以上に書き込んでくださっていてありがとうございます

書きたいキャラ、となると全部書きたいんで、
数えた感じ僅差で西木野さんにしますね。

次回、橘純一『Daring!!』 橘純一と西木野真姫のお話

を書いてみます。
投下時期はなんとも言えませんすみません。
他にも書きたいことがあったらそっちを書く上に
やる気に任せて書いているので…

今度こそ、ではまた…

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年11月12日 (木) 14:39:27   ID: HJnhnhje

このシリーズ最高!!!

頑張ってほしい!

2 :  SS好きの774さん   2017年06月28日 (水) 19:24:16   ID: qLIfZs2m

めちゃくちゃ面白い!

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