新・恋姫†魔王譚【新・恋姫†無双シリーズ+魔界戦記ディスガイアシリーズ】 (22)


○魔界

エトナ「あのクソガキ! また仕事をさぼって!!」

魔王の職務室には積まれた書類が無造作に置かれている
その部屋の主であるラハールは今はいない。

エトナ「プリニー共! 殿下を見つけてきなさいッ。最初に見つけたプリニーにはイワシ3本と500ヘルをあげるわ!」

プリニー「マジッスか」

プリニー「殿下を見つけて報酬を得るのはオイラッス」

プリニー「いやいや、ワタシッスよ」

エトナの号令の元。
慌ただしくプリニー達は魔王城内へと散らばる

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○魔王城、裏宝物庫

ラハール「……」

ここは裏宝物庫
貴重なマジックアイテムやお宝などを仕舞っておく倉庫である。
表宝物庫は勇者達が来たときに強化する専用の倉庫だ。

ラハール「――隠れはしたが、見つかるのも時間の問題か」

ラハール「ええい。書類の整理など、魔王がする仕事では無い!」

壁を思いっ切り叩くと、棚から一枚の鏡が落ちてきて、ラハールの頭にぶつかり地面へと落ちた。

ラハール「……鏡か? ここに仕舞っている以上、なにかしらのマジックアイテムか……」

拾い上げると、突如として鏡は発光を始めた。

ラハール「――…………」

空間が歪み、光の渦にラハールはそのまま飲み込まれる


シシリー「うんしょ、うんしょ」

シシリーは裏宝物庫の扉を開けた

フロン「ここにもラハールさんはいませんねぇ」

シシリー「うん。お兄ちゃん、どこ行っちゃったんだろ」

フロン「メーヴェルさんには頼んでいないので城の中にいるとは思うんですけどね……」

シシリー「こっそりと抜け道を通って外に出たのかな?」

フロン「どうでしょう? とりあえずもう一度探してみましょう」

シシリー「うん――」

シシリーは裏宝物庫の扉を閉めた


○???

ラハール「……む。ここは何処だ」

先程までいた宝物庫と違い明るい光に包まれた場所だ。

???「ここは外史と正史の狭間だよ、魔王ラハール」

ラハール「何者だ! 姿を現せっ」

空間に声が響くだけで姿形どころか気配すらない

???「……そうしたいのは山々なんだけど、もうワタシには力がほとんど残ってないのさ」

???「そう。自分の姿すら保てないほどにね」


ラハール「その消えかけの存在が、オレ様に何のようだ」

???「魔翌力を分けて欲しい」

???「せめて物語が終わる瞬間まで永らえるるほどの魔翌力が」

ラハール「断る」

ラハール「なぜオレ様が理由も無く、貴様に魔翌力を分けなければならないのだ」

???「――。ま、そうだろうね。でも、コチラとしても引くわけにはいかないんだ」

???「すまないが、強制的に奪わせてもらうよ」

ラハール「なにッ」

ラハール「ぐわぁぁぁぁぁぁぁあああ」

>ラハールのレベルが9999から100まで下がった
>ステータスが軒並み大幅に低下した


ラハール「く――。おのれ……オレ様の、魔力を!」

???「対価は外史一つ」

???「その外史をどうするかは、魔王ラハール、キミに委ねよう」

???「できれば、より……よき、未、来――……を、、、」

ラハール「待て!」

空間は再び光に包まれ、ラハールは意識を失った


○外史

黄巾党「イテェェェェェ」

ラハール「む。なんだ、ここは」

目を覚ますと見慣れない場所にいた。

ラハール(魔界では無いな。特有の瘴気が無い。とはいえ、人間界ほど空気が汚れてはいない)

黄巾党「おい、ガキ。俺達は黄巾党だ! 命が惜しかったら金目の物をよこしな」

黄巾党「それと仲間が、てめぇの寝起きのずっつきで負傷したんだ。その分も払ってもらうぜ」

黄巾党「金がねぇなら宦官や金持ちにでも売っちまうぜ」

ラハール「……オレ様は今考え事をしている最中だ。雑魚は雑魚らしく黙っていろ」

黄巾党「なんだとっ。この俺達が雑魚だと!」

黄巾党「よっほど痛い目に遭いたいようだな!」


ラハール「魔王玉!」

魔力の塊が放たれ木々が折られる

黄巾党「」

黄巾党「」

黄巾党「」

ラハール「で、愚かにもオレ様に挑むのはどいつだ」

黄巾党「う、うわぁぁぁぁぁ」

黄巾党「……!」

黄巾党はラハールから逃げ出した


ラハール「しまった。1人捕らえて情報を聞き出すべきだったか」

ラハール「とりあえず森を抜けるか」

地面を蹴り、木々の枝をすり抜け、森の上へと出た。

ラハール(さっきのヤツラは人間だった。と、言う事は)

ラハール「……オレ様の魔界と繋がっている人間界とはまた別の人間界か」

ラハール「なんにしろ。情報が足らん。……向こうに街が見えるな。行ってみるか」


○涼州

ラハール「さっきオレ様に挑んできたヤツらと同じように、黄色い頭巾を被ってるな」

黄色い頭巾を被った兵士が城を攻めている。
しかし城門より少し離れた所に立つ、1人の少女により攻め倦ねていた。
褐色の肌に赤い髪。手には方天画戟を持つ。

呂布「……」

黄巾党「がぁぁぁ」

方天画戟を振る度に黄巾党が吹き飛ぶ

ラハール「ほう。人間のクセにやるではないか」


黄巾党「ば、化物だ。俺たち、一万の兵を1人で止めてやがる」

黄巾党「か……帰りてぇ」

黄巾党「ば、バカ言うな。ここで撤退すればあの方達にどう言えばいいんだ!」

黄巾党将軍「ええい。相手は1人だ。数で押し切れ! 相手は人間だ。無限には動けんッ」

黄巾党「……ぐわぁ」

呂布「お前が、大将か」

黄巾党将軍「な、ななな。まさか一万の兵士を突破して……」

黄巾党将軍「おのれぇぇぇ」

黄巾党将軍は槍を構えて呂布へと向かう。
呂布は方天画戟で槍ごと将軍を斃す。

黄巾党「しょ将軍がやられたぁぁぁ」

黄巾党「撤退だぁぁぁ」

黄巾党は撤退を始めた。


ラハール「ハァーハッハッハッハッ。一万の兵を単騎で撤退させるとは、人間のクセにやるではないか」

ラハールは黄巾党の陣地へと降り立つ。

呂布「……お前も黄巾党か?」

ラハール「コウキントウならどうする」

呂布「斃す」

呂布は方天画戟を振りラハールへと向かう。
対してラハールは、手に魔王剣を召喚して、方天画戟を受け止める。

ラハール「――ほぅ。なかなかの力強さだ」

ラハール「次はコチラから行くぞ!」

激しく鉄と鉄のぶつかる音が響き合う。


陳宮「れ、恋殿の互角ですと……」

陳宮「何者ですか、あの子供は」

賈駆「……恋に撤退する合図を送りなさい。今、恋に疲労されると戦略の修正が必要となるわ」

陳宮「恋殿は負けません!」

賈駆「ボクもそう思うけど、相手の実力からしてただではすまないわ」

賈駆「黄色い頭巾も被ってないようだし、黄巾党の可能性は低い」

陳宮「ぅぅぅ、わ、分かりました」

陳宮は撤退用の合図である花火を三発、上空へと上げた

パン パン パン


呂布「……!」

全力での攻撃の後で呂布は後ろへと飛ぶ

呂布「……」

ラハール「む。――さっきの音は撤退の合図か?」

呂布「……」

ラハールは手に持つ魔王剣を召還した。

ラハール(魔力を喪っている今の実力が試せただけで良しとするか)

ラハールは再び地面を蹴り、空中へと飛んだ。


城から少し離れた場所にある森。

その中で、ラハールはうつぶせで倒れていた。

ラハール「腹が減ったぞ」

書類などの職務から逃走を計ったため昨日から食事にありつけていない。

更に何者かにより魔力を奪われた事で、更に空腹度が増した。

ラハール「……野生動物でも来れば返り討ちにして喰ってやるのだが」

ラハール「鳥一匹も周りに来ないぞ」


護衛兵「董卓様。お逃げ下さい!」

護衛兵「あなた様に何かあれば、我々の名折れです」

董卓「で、でも……」

護衛兵「黄巾党の名を騙る山賊共です。獲物をとるためなら、なんでもする、ぐはぁ」

矢が背中に当たり護衛兵は倒れた

董卓「あ――」

山賊「へへへ。こんな黄巾党が攻めてきて商売があがったりだったが、久しぶりの上玉だぜぇ」

山賊「売る前に俺たちの相手をしてもらおうかな」

山賊「ウヘヘヘ。衣装からして金持ちだろうから、身代金をいただいてからの方がいいぜ」

護衛兵「……下衆共が。董卓様、コイツラはオレが引き受けます。貴方さまは、走って城へと向かって下さい」

董卓「――……」

董卓「わ、わかり、ました――」

董卓は護衛兵に背を向けて森を走り出す

山賊「逃がすか」

護衛兵「董卓さまの護衛兵の名にかけて、ここは通さない!」

董卓「ハァ、ハァ、ハァ、ハァハァ!」

董卓は必死で走る。

走っている最中、董卓は何かに足を取られてつまずいた。

董卓「――ッゥ」

ラハール「……」

董卓「――! この人も、死んで……」

ラハール「勝手にオレ様を殺すな」

董卓「生きてるん、ですか?」

ラハール「オレ様は殺しても死なん。腹が減って倒れているだけだ」

ラハール「おい。何か食べ物はもってないか?」

董卓「あ、いえ、今は持ってないです」

ラハール「そうか」


山賊「ようやく追いついたぜ」

山賊「手間をかけさせやがって……」

董卓「――!」

ラハール(……黄色い頭巾がこの世界では流行ってるのか?)

ラハール(小娘の方は高そうな衣装を着ている所を見ると金持ちか)

ラハール「おい貴様。助けて欲しいか」

董卓「え?」

ラハール「助けて欲しいかと聞いている。ただし、それなりの報酬はいただくがな」

董卓「報酬、ですか?」

ラハール「そうだ。飯をたらふく食べさせろ。それが出来るなら助けてやる」

董卓「わ、分かりました。私の真名に誓って約束します」

ラハール「いいだろう。ならば、助けてやる」

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