【あたしンち恋愛小説】川島、ユズピと再会!?(30)

「あたしンち」よりユズヒコが高校生になったときのお話。

Y女子高等学校に入学した川島はまだユズヒコのことが忘れられずにいた…

ミーンミンミンミーン…

セミの鳴き声が聞こえる…

Y女に入学した川島の、高校生活初の夏休みであった。

山下「川島ー、川島!?」

川島「わわわっ!山下!!」

気が付くと目の前に山下がいた。

山下「もう、わわわじゃないよ。川島!!」

川島「ごめんごめん、ボーッとしてたんだぁ」

川島はハハハと笑いながら山下を見た。

山下は不思議そうに川島の顔を覗き込む。

山下「もしかして川島、ユズピのこと考えてた?」

川島「うっ…」

川島は息をのんだ。

山下「はー…」

山下はため息をついた。

山下「川島、卒業式に告白できなかったもんね」

川島「うん…」

桜の蕾が膨らみ始めた3月中旬。

無事、卒業式が終わってクラスごとに校庭で記念撮影となった。

過去に告白に成功した先輩たちによると、卒業式の告白はこのときが一番ベストらしい。

3年生になって川島とユズヒコは違うクラスになってしまった。

そのため、この1年間は特に話してもいないのだ。

校庭に出た川島はユズヒコを探した。

川島(ユズピは…!?ユズピはどこ?)

すると、

藤野「おーい!ユズピー!!」

ユズヒコの親友の藤野もユズヒコを探していた。

藤野「おお、川島!ユズピ見なかった?」

川島「う、ううんっ…」

川島は首を横に振った

藤野「そーかー、どこいったんだろう?」

藤野がキョロキョロあたりを見渡してると…

ナスオ「おーい、藤野ー!!大ニュース大ニュース!!」

ユズヒコと藤野の親友のナスオが校舎の裏から走ってきた。

藤野「おーナスオー、大ニュースってなんだよー!?」

そしてナスオはゆっくりと話した

ナスオ「じーつーはー…」

藤野「実は!?」

藤野が興奮しながら聞く。

ナスオ「ユズピがなー…」

川島(ユ…ユズピ!?)

川島の心臓が飛び跳ねた。

そしてドキドキしながらナスオたちの話に耳をすませた。

ナスオ「ユズピがー…」

ナスオ「河合に告白されてた!!」

川島(ええええーー!!!??ウソでしょ!?河合さん、ユズピに告ったの!?)

川島(ガーン、ショック…)

川島(河合さんはユズピと3年間クラスが同じなんだよね…そりゃあ、好きになるだろうなあ…)

川島(でも、問題はユズピの返事だよね!!ユズピはなんていうか…)

川島(YES?それともNO?)

川島は気になって校舎の裏へ走った。

校舎は静かだった。

池の水がチョロチョロと音を立てているだけ。

すると、柱のそばに2人の人影が見えた。

川島(ユズピと河合さんだー!!)

河合「タチバナくん、お願い…」

ユズヒコ「ええと…」

ユズヒコの声は戸惑っている。

河合の声は震えていた。

ユズヒコが息を吸った…

ユズヒコ「僕は…」

川島(僕は!?)

すると、そこへ藤野とナスオがやってきた。

川島(!!?)

ナスオ「あれー、川島じゃーん」

ナスオが川島を指さす。

藤野「なにしてんの?」

川島(うわっ!こーいーつーらー…!)

さらに、ユズヒコに気づかれてしまう!

ユズヒコ「おい!藤野、ナスオ!!なんでこんなとこにいるんだよっ!!??」

ユズヒコは顔を真っ赤にして怒っている。

川島「いやあああああーー!!」

川島は猛ダッシュでその場から逃げた。

その後、もちろんユズヒコとは話せず、河合の告白結果も知らないまま…


こうしてもう夏になってしまったのだ。

川島「はー、ユズピは何してるのかな…」

またため息が漏れた。

と、その時。

『ピロローン♪ ピロローン♪』

川島の携帯が鳴った

川島「もしもし」

須藤『あーもしもし?カーコ?あたし須藤!』

川島「あー!須藤さん!久しぶり!」

須藤も川島と山下と同じY女子高等学校に通っている。

川島「どうしたの?」

須藤『実はさー、合コンに誘われたんだけど、カーコもいかない?』

川島「合コン?どうしよう…」

須藤『お願い!カーコだけが頼りなの!!山下も一緒でいいからさぁ』

川島「んーじゃあいこうかな?」

須藤『よっしゃー!!ありがとう!じゃあ明日の5時に駅前で!』

川島「5時ね。了解!」

須藤『じゃーねー』

川島「うん、ばいばーい!!」


山下「誰?」

山下がキョトンとした。

川島「ああ、須藤さん。明日合コンの約束したから、山下もね!」

山下「ええ、あたしも!?」

山下が驚いて立ち上がる。

川島「うん、そだよー」

山下がぽかんとした


川島「もう、いいや!明日の合コンでユズピのことなんてきれいさっぱり忘れよう!」

川島は決心した。

次の日…

須藤からの電話を受けてた川島は山下とともに駅へと向かっていた。

淡いピンクのワンピにガーディガン。

赤のパンプスにゴールドのミニバッグ…


一方、山下は…

Tシャツにデニムのサロペット。

ちょっとヒールのあるサンダル…


山下「ねぇ、川島。言っとくけどパーティーじゃないからね…」

川島「わかってるよ~♪ やましたぁ~♪」

山下「はぁー…」

山下は深いため息をついた。

今日の川島は異常なほどハイテンション。

まるでユズヒコのことなんてまるっきり忘れたように。

山下「川島、なんで今日はそんなにハイテンションなの?」

山下が首をかしげて質問した。

川島「え~!だって今日合コンだよ!?男がいっぱいだよ!男が!!」

川島は目を輝かせた。

山下「ユズピはどこへいった…ユズピは…」

山下がぼそぼそつぶやいた。

川島「ん?山下なんか言った?」

山下「なんでもないよ…」

午後5時

須藤「カーコー!!」

川島「スドーさーん!!」

駅に着くと既に須藤は待っていた。

川島・山下「久しぶりー!!」

2人声を合わせてはしゃいでいる。

川島「ねえねえ須藤さん、」

須藤「なに?」

川島「今日はどんな男の子が来るの~!!??」

川島が鼻息を荒して質問した。

須藤「ん~とね…うちの中学の同級生の今の高校の友達!!」

川島「おお~!!!」

川島がまた目を輝かせている。

川島「どんな人たちかな…楽しみだね!山下!」

山下「え?う…うん」

川島「ちょっと山下~テンション低いよー…せっかくの合コンなんだから楽しもうよ!!」

山下「た…楽しむって…」

山下は川島のハイテンションさに正直あきれていた。

※ここからはあくまでも川島の妄想である。


川島「ええ!合コンの相手ってユズピたちだったの!?」

ユズヒコ「ええ、川島さんじゃないか!」

川島「ユズピ、久しぶりね♥」

ユズヒコ「うん、川島さんはさらに美人になったね…」

川島「ええ!そうかしら…♥」

ユズヒコ「そうだよ、それにしても会えてうれしいよ…」

川島「私もよ…ユズピ…♥」

ユズヒコ「川島さん…」

川島「ユズピ…」


― こうして私たちは愛の旅へと出かけて行った ―

川島「なーんちゃってえ~!!」

川島はバシバシと山下の肩をはたいた。

山下「痛い、痛いよ川島!!」

川島「ごっめーん!山下♥」

山下「ていうか川島、ユズピのこと忘れてなかったんだね…」

川島「当たり前じゃん!ユズピのこと…1秒も忘れたことないんだから!!」

山下「えええええええええええ!!!」

山下はその場からひっくり返った。

山下(絶対合コンの相手ユズピじゃないだろうな…)

そして合コンが始まった。

男子A「竜太でーす!」

男子B「純でーす」

男子C「飛鳥でーす…」

もちろんだが合コンの相手はユズヒコたちじゃなかった。

須藤「須藤でーす!!スドーって呼んでね!!」

山下「山下でーす」

川島「川島です…はあ…」

川島はというとさっきよりテンションダウン!!

完全に魂のぬけたミイラのようだ。

男子A「みんなは何部なの~」

竜太くんという男の子がさっそく女子に質問する

須藤「私は美術部だよ!」

須藤が答えた。

山下「あたしは華道部」

山下も答える。

川島「あたしは…」

川島はぽかんとして上の空状態だ。

須藤「こ、この子も華道部なの!」

須藤が代わりに答えた。

男子A「へー、やっぱY女だと文化部が多いんだな~」

竜太くんが1人で納得している!!

山下「ちょっと川島、トイレ行こう」

山下は放心状態の川島をトイレに連れて行った。

山下「川島、いくらなんでもテンション下がりすぎ!いったいどうしたの?」

山下が腕を組んで質問した。

川島「だって…ユズピがいなかったんだもん…」

山下「はあ?何言ってんの?まさか本当にユズピが来ると思ってたわけ?」

川島「思ってたよ…!!」

山下「えええ!ガチだったんだ!!でも、来るわけないよ…」

川島「ガチだったよ…来ると思ってたよ…」

川島は目に涙を浮かべた

山下「あのね川島、もう信じるのはやめよ…ユズピにはきっともう会えないよ…」

川島「山下!なんでそういうこと言うの!?」

山下「これは川島のことを思って…」

川島「あたしの事なんかどうでもいいんでしょ!!!」

川島が大声で叫んだ。

山下「ちょっと川島…」

まわりの人がこっちをじろじろ見ている。

山下「大声はやめなよ川島、もうあきらめなって…」

川島「あたしはあきらめない!あきらめないからね!!」

と、そのときだった


ウィーンとレストランの自動ドアが開いた。

藤野「ユズピー、俺超腹減ったよー!メシー!!」

ユズヒコ「まてよ藤野、大声出すなって!!」


川島(え…?)

一瞬時がとまった。

川島の目が見開いた。

川島「ユ…ユズピ…」

山下「うっそ…」

山下も驚いている。

須藤「え…ユズピ…藤野くん…!?」

合コン相手の男子たちとお話し中だった須藤ももちろん驚いていた。

藤野「ん?川島と山下じゃん!超久しぶり!!」

藤野がこっちへ向かって歩いてきた。

山下「ひ…久しぶり!!」

山下ががちがちになりながら対応する。

藤野「ん?おお!須藤ちゃんもいるじゃねえか!!知らない男らと一緒だけど、合コン中かー?」

藤野が男子たちと合コン中の須藤の方へと目を向けた。

須藤「えっ…あ、うん…本当に久しぶりね」

須藤もドキドキしながら対応した。

川島(ユズピ…背が高くなったね…髪も伸びた?男性って感じになったね…もう、あたしの知ってるユズピじゃないのかな…?)


気が付いたら、山下と藤野は消えていてふたりっきりになっていた。

川島「タ…タチバナくん…」

ユズヒコ「何?」

きゅん。

川島「あの、今、河合さんと…どう?」

ユズヒコ「はいいい?」

ユズヒコが首をかしげた

ユズヒコ「河合って…なんで河合?」

ユズヒコがちょっとだけ笑った。

川島「え…だって河合さん、ユズピに告ったじゃん。卒業式」

ユズヒコ「ああ、あれは断った」

川島「こ…断った?」

ユズヒコ「うん、だって俺、別に好きじゃなかったしさぁ」

川島(嬉しい。涙が出てきそう。半年間のモヤモヤがいっきに消えた)

川島は最高の笑顔だった。


山下「川島ー」

山下がトイレから出てきた。

川島「山下!」

山下「いこうか?」

川島「うん…」

一方で合コン中の須藤も突然立ち上がって川島と山下のところへ向かう。

男子A「おい君…どこ行くんだ?」

竜太くんが質問した。

須藤「あたしはもう帰るよ。それにもっといい合コン相手がいたよ」

そう言って須藤は男子たちの前から立ち去った。

男子B「おいこれってまさか…」

男子C「フラれたってこと…?」

純くんと飛鳥くんが竜太くんに言った。

男子A「そんなぁ、ガーン!!合コンでフラれる俺って…」

大ショックを受ける竜太くんだった。

ちょっと川島は心残りがあったけど、店のほうへ向かう。

川島「ちょっと待って」

山下・須藤「え?」

川島は足を止めた。

川島「タチバナくん、メアド教えてーー!!!」

川島の声は店内に響いた。

夜9時

セミの声がまだうるさい…

川島「ごめんね、山下。あたしカッとなっちゃって…」

山下「ううん川島、あたしこそゴメン。もう何も言えないよね本当のユズピに会えたんだから」

川島「でも、びっくりしたよ!あそこでユズピが出てくるとは!!」

須藤「本当にそうだよ!しかもユズピだけじゃなく藤野くんまで来るなんて思わなかったよ!!」

山下「あたしも!でも、川島の大声の方がびっくり!!」

3人で笑いあった。

須藤「それにしても、メアドよかったね」

川島「うん」

川島は無事ユズヒコのメアドをゲットしたのだ。

藤野経由だけど。

山下「で、ユズピってどんなメアドなの?」

山下と須藤が携帯を覗き込んだ。


yuzuhiko-0111maru@****


川島・山下・須藤「まる…?」

3人は首をかしげた。

そのころユズヒコは…

藤野「よかったなー、ユズピー!!川島のメアドゲットできて!!!」

ユズヒコ「お前なぁ…余計なことを…」

ユズヒコは完全に怒りモード…

藤野「まあまあ、ところで川島ってどんなメアドなの?」


ka-ko.love.yuzu-77@****


藤野「ん?ユズ…?ってこれ、ユズピのことじゃね!!??」

ユズヒコ「んなわけあるかー!!ほら行くぞ!!」

藤野「待てよー!ユズピー!」


こうして川島の長い長い夏は無事に幕を閉じた。

お し ま い

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