比奈「世界レベルの思い出……スか」 (21)

比奈「おはようございまスー」

ヘレン「グッモーニン比奈」

比奈「ヘレンさんだけっスか?」

ヘレン「えぇ、Pは出かけているわ」

比奈「そースか、今見てるのってこの前の歌番組の映像っスよね?」

ヘレン「そうよ、見直してみると以外と反省点が多くてね」

比奈「すごいでスね、やっぱり」

ヘレン「世界レベルの先に向かうためよ、それにそのくらいなら比奈もやっているでしょう?」

比奈「そうだけどそうじゃないっス、なんというか、この映像とかでも存在感がすごいじゃないでスか」

ヘレン「それが世界レベルよ」

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比奈「ヘレンさんとか菜々さんとか、芸能界入らなかったら何してるんスかレベルの個性の持ち主じゃないっスか?」

ヘレン「まあそうね」

比奈「アタシみたいな日陰者が上手くアイドルできてるのかなって考えちゃうんスよ」

ヘレン「それではダメよ比奈、貴女も世界を狙えるレベルなんだから」

比奈「やっぱり自信持てなくてでスね…」

ヘレン「そうね、私がPにスカウトされた時の話をしようかしら」

比奈「何か関係あるんスか?それ」

ヘレン「聞けばわかるわ」


P(たまたま帰ってきたタイミングで非常に懐かしい話が始まった)

P(このまま隠れて聞いてよ)

ヘレン「そうね、どこから話そうかしら
やはりPと初めて会った時のことからかしらね
彼と会ったのは私がまだ世界を知らなかった頃だったわ」

昔P「あ、あの少しお時間よろしいですか?」

昔ヘレン(へ?何?何?何か怪しい宗教の勧誘とか?教祖様が貴女の事を気に入った的なやつ?)

昔P「あっ、怪しい者ではありませんよ」

昔ヘレン(ほらほらやっぱり宗教の人だよ、だって考えてる事筒抜けになってるもん)

昔P「あ、あのー?聞いてますか?」

昔ヘレン「な、何かしら?忙しいのだけど」

昔P「まあそう言わずに、少しだけですから」

昔ヘレン(ほらほら何らかの怪しい施設に連れて行く気だよ)

昔P「こういう者なんですけど…」

昔ヘレン「あ、アイドル事務所、よね?これって」

昔P「はい!今は忙しいとのことですので出来ればお名前と電話番号だけでも教えていただきたいのですが…」

昔ヘレン(あっアイドル!アイドルってあの?ムリムリムリムリ、偽名で、いいかな?もう会わないだろうしね)

昔P「あのー?」

昔ヘレン「私の名はヘレンよ、番号は必要ないわ、縁があればまた会う事になるでしょうしね」

比奈「もうすでに待ってくださいっス」

ヘレン「どうかしたの?比奈」

比奈「まずヘレンさんって偽名だったんスか」

ヘレン「そうね、今では偽名というよりは芸名の方がしっくりくるけれど」

比奈「そ、そうスか…あともう一ついいっスか?」

ヘレン「なにかしら?比奈」

比奈「話してる口調はアタシの知ってるヘレンさんなんスけど心の声がただの女の子じゃないでスか」

ヘレン「なかなか失礼な事を言うわね、まあいいわ、この口調はPに話しかけられた時に初めて使ったわ、変なやつだと思われれば諦めると思ってね」

比奈「今明かされるヘレンさんの裏側っスね」

ヘレン「隠すつもりはなかったのだけど」

P(俺怪しい宗教家に見られてたのか、そんなに胡散臭い顔してるのかな…)

とりあえず今日はここまで

ヘレン「続けましょうか、それから大体1ヶ月くらい経った頃だったかしら、Pの事も印象からは薄れていたわ」

昔P「あっ!へ、ヘレンさんーー!」

昔ヘレン(変わった名前の人だなぁ)

昔P「ちょっとー!止まってくださいヘレンさんーー!」

昔ヘレン(そういえば私がスカウトさんに名乗った名前も……あっ)

昔P「やっと追いつきましたよ、ヘレンさん」

昔ヘレン「ぐ、グッモーニン」

昔P「おはようございます、しかし本当に会えましたね」

昔ヘレン(なんか前会った時そんなような事言ったような……)

昔P「今お暇ですか?よければ事務所まで来てみません?ここからすぐですし」

昔ヘレン(や、やばいこれはやばいとにかくやばい)

昔P「なにかご用事でもありますか?」

昔ヘレン「貴方はまだそのレベルには達していないわ、私のレベル、そう世界レベルにたどり着いた時、また会いましょう」

昔ヘレン(どんどん奇抜な人になっていく私のイメージ)

比奈「とりあえず事務所に連れ込むってプロデューサーのスカウトの基本なんスね」

ヘレン「怖いわね」

比奈「それについて来ちゃう子しか居ないから個性が物凄いんスね、きっと」

ヘレン「そうなんでしょうね」

P(馬鹿にされている気がする、しかしこの方法を曲げる気はないぞ!例え警察を呼ばれる回数が3桁を越えようとも!)





ヘレン「まあそんな感じで何故かPと2回目の遭遇を果たしたわけだけれど、3回目会うのはそれからすぐあとの事だったわ」

昔ヘレン「あー、落ちちゃった、UFOキャッチャーはアームが強くなきゃ無理かなー?」

昔P「このヌイグルミですか?」

昔ヘレン「そうなんですよ、一目惚れしちゃって」

昔P「ぴにゃこら太って言うんですよ、これ」

昔ヘレン「そうなんですか」

昔P「うちの事務所にもこいつが好きな奴がいるんですけど来ませんか?」

昔ヘレン「へ?事務所?…………ひゃいや!」

昔P「お久しぶりですね、ヘレンさん」

昔ヘレン「い、何時から見てました?」

昔P「一万円札を全部100円玉に両替した辺りからです」

昔ヘレン「1時間位前ですよね?それ」

昔P「そうですね、ていうか話し方」

昔ヘレン(しまった油断した、いや油断というか急に話しかけられて口調変えれるわけないじゃない、いや私初めての時咄嗟に口調変えたっけ?)

昔P「それが貴女の本当の口調ですよね?」

昔ヘレン「ま、まあそうですよね」

昔P「ここじゃアレですし、事務所来ませんか?」

昔ヘレン「そう、ですね、お邪魔します」

比奈「ヘレンさんもぴにゃこら太好きなんスね」

ヘレン「ええ、アレは可愛いわ」

比奈「そ、そうっスか?」

ヘレン「あの子もまた世界レベルよ」

比奈「そ、そうっスか」

ヘレン「続けるわ、事務所に連れて行かれて応接室に通されたわ、その頃はまだ比奈はスカウトされてなかったわね」

昔P「どうですか?我が事務所」

昔ヘレン「なんというか……すごいですね」

昔P「ありがとうございます、でも今は箱だけ作りましたって状態なんですよね、お恥ずかしい話」

昔ヘレン「そうなんですか?」

昔P「そうなんですよ、今はまだ誰一人デビューをさせてないんですよ」

昔ヘレン「それはまたなんで?」

昔P「まず一つ目に社長が考えていた人材が揃っていない事ですね、まだ事務員さんもいませんし……あともう一つインパクトの為ですね」

昔ヘレン「と、言いますと?」

昔P「社長の人脈を使って一斉に売り出す予定なんですよね」

昔ヘレン「それを私に言っちゃって大丈夫なんですか?」

昔P「ええ、だって貴女、スカウト受けてくれるでしょう?」

昔ヘレン「すごい自信ですね」

昔P「じゃあちょっとだけ真面目にいきますよ?」

昔ヘレン「な、何をですか?」

昔P「まだ貴女の求めるレベル、世界には届かないかもしれません、届いていません
しかし貴女と共に世界を目指していける準備は出来ました」

昔ヘレン「わ、私には貴方が求めるほどの素質が私にあるとは思えません、貴方と話したのはキャラ作りした私ですし……」

昔P「俺が話しかけた時、貴女の性格なんて知りませんでした」

昔ヘレン「で、でも……」

昔P「貴女は作ったキャラと言いますが俺にはそうは思えません、普通の人が急に話しかけられた時あんなキャラを作れるとは思いませんし」

昔ヘレン(なんかバカにされた)

昔P「もし本当に心の底から嫌だというならもう諦めます、もし途中で疲れたのなら引退するのも止めません、けど少しでも違う自分を見たいなら、世界を目指してくれるなら、俺と一緒に進みませんか?」

昔ヘレン「…………お願いします」

昔P「はい!是非!」

ヘレン「こんな感じだったかしらね」

比奈「あの、一つ二つ聞いていいっスか?」

ヘレン「何かしら?」

比奈「ヘレンさんは今無理していませんか?」

ヘレン「それはこのキャラの事かしら?それなら無理なんてしていないわ、これはPに出会って生まれた新しい自分なのだから」

比奈「そう、でスか、じゃあもう一つ」

ヘレン「どんと来なさい」

比奈「やっぱりヘレンさんには素質があったんスよね?」

ヘレン「そうね確かに素質はあったかもしれないわ」

比奈「じゃあやっぱりアタシには……」

ヘレン「これはPに会わなければ生まれなかった事はなかった事だわ、それにね比奈」

比奈「なんスか?」

ヘレン「貴女だってPにスカウトされた子なのよ、自信を持ちなさい、いつか貴女だけのモノが見つかるわ、ね?P」

比奈「へ?プロデューサー?」

P「……い、いつから気付いてた?」

ヘレン「初めから、隠れるまでに時間が空きすぎよ」

P「これは参った」

比奈「プロデューサーにも一つ、聞いていいっスか?」

P「ん?どうした?」

比奈「アタシにも、見つけれまスか?アタシだけのモノ」

P「もちろんだぞ、ヘレンも言っていただろ?自信を持て」

比奈「そうでスか、ヘレンさん、プロデューサー、ありがとうございまス」

P「ところで、だ」

比奈「なんスか?」

P「これは俺のミスでもあるんだけど」

ヘレン「はっきり言いなさい」

P「お前らマストレさんのレッスン遅刻してる」

比奈「…………そ、そんな訳ないっスよ」

ヘレン「…………そんなに話していたのね」

P「俺も一緒に謝るから、な?行こ?」

比奈「……行きまスか、逝きまスか」

ヘレン「そうね、逝くわよ」

P「漢字がおかしい」

これにておしまい

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