キヨシ「そ、そんなことあるはずないって! 急にどうしたの?」
千代「少し前から女子の間でそういう噂が広まってて……よく一緒にいるって。最初はお姉ちゃんの時と同じで、ただの噂かと思ってたんだけど……」
キヨシ「そう、その通りだよ! 事実無根の噂でしかない!」
千代「……でも、なんだかキヨシ君、私から見ても最近花さんと仲良いなって。どこか特別な関係……みたいな感じがするんだよね」
キヨシ「うっ……」
キヨシ(た、確かに特別な関係……というか、アブノーマルな関係ってのはあるけど、そんなこと千代ちゃんに言えるはずがない!)
千代「キヨシ君?」
キヨシ「あ、え、えっと、それは、その……まぁ、何というか、色々複雑な事情があって……」ダラダラ
千代「……あ!」ハッ
キヨシ「!?」ビクッ
キヨシ(な、何か気付かれた!? 万が一花さんとのことが千代ちゃんに知られたら全てがおしまいだぞ!!)
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千代「ご、ごめんね! う、うん、そうだよね、そういうことって人にはあんまり言いたくないよね!」アセアセ
キヨシ(やっぱりオシッコのことがバレたのか!? く、くそ、どうすれば……!)
千代「でも私、応援してるから! それじゃ!」
キヨシ「え、応援って……ち、千代ちゃん!?」
スタタタッ
キヨシ(……行っちまった。でも応援って…………あ)
キヨシ「まさか……本気で俺と花さんが付き合ってるって思われちゃったのか……?」ズーン
シンゴ「おーすキヨシ、千代ちゃんと何話してたんだよ。ったく、いいよなお前はいい感じでよ。こっちは全然進展しねえってのに」
ガクト「むっ、キヨシ殿? 顔色が悪いでゴザルよ?」
キヨシ「い、いや……そうだお前ら、なんか噂とか聞いてないか……?」
アンドレ「噂? うーん何も聞いてないなぁ」
ジョー「まず女子と会話する機会がそんなに多くない……からな……」ゴホッ
ガクト「何か気になる噂でも聞いたのでゴザルか?」
キヨシ「あ、ま、まぁちょっとな。でもいいんだ、大したことじゃないし」
キヨシ(いくら噂でも恋愛関係だ。こいつらに話して余計な反感を買うのは避けたい。とにかく、これは早く何とかしないと……!)
***
キヨシ「花さん! 少し話があるんですけどいいですか!」
花「はぁ?」
女子「……あーはいはい、じゃああたし達先に行ってるね花ちゃん!」ニヤニヤ
花「あ、うん、ごめんねー」
キヨシ(くっ、周りのこの反応……これじゃますます噂に信憑性が……いや、これは仕方ない!)
花「で、なによ」
キヨシ「あの、なんか学校で俺と花さんに関する噂が流れてるみたいで……」
花「あー、私とキヨシが付き合ってるとかってやつでしょ? それがどうした?」
キヨシ「ど、どうしたって……花さんは友達とかに噂について聞かれて何て説明してるんですか」
花「ん、適当に『ふふ、どうだろうね~?』みたいな感じに思わせぶりなこと言ってっけど」
キヨシ「なっ、ちゃんと否定してくださいよ!」
花「うっさい。なんで私がお前の得になることしなくちゃなんねえんだよ。肯定しなかっただけありがたいと思え」
キヨシ「で、でも花さんだって俺と付き合ってるって思われるのは嫌なんじゃ……」
花「お前にとって迷惑ならそのくらい構わないわ」
キヨシ「ぐっ」
キヨシ(俺が甘かった……! そういやこの人は捨て身で攻めてくる人だった!)
キヨシ「……いや待ってください。そういえば、もう花さんは俺にオシッコぶっかけてやり返したじゃないですか! あれで俺達の因縁も終わりでしょう!」
花「終わってねえよ! 私はまだお前がオシッコしてるところ見てないし!」
キヨシ「そ、それが残ってたか…………あっ、でも考えてみれば俺が花さんにぶっかけた時に見てるじゃないですか!」
花「あの時はちゃんと見てなかったんだよ! しかもぶっかけやがったんだからノーカンだ!」
キヨシ「…………」
花「分かったかクソキヨシ! 私にはまだやり返すことが残って……」
キヨシ「……いいでしょう花さん」
花「は?」
キヨシ「オシッコを見せます」キリッ
便所
キヨシ「ここなら誰も来ないです、たぶん」
花「え……あ、う、うん……」
キヨシ「ふっ!」スバッ!
花「っ!? だ、だからいきなり脱ぐんじゃねえよ!///」
キヨシ「いや、人気がないとは言え急ぐに越したことはないですよ」
キヨシ(何よりこれ以上噂の信憑性が深まる前に、花さんとの因縁に決着をつけて距離を置く必要がある!)
花(こ、こいつ、なんて堂々とした顔でパンツ脱いでんだよ……!)
キヨシ「じゃあオシッコします…………って花さん?」
花「な、なんだよ……///」ドキドキ
キヨシ「いや、ちゃんと見てくださいって。ほら」ブルン
花「そ、そんなもん近付けんじゃねえ!」ブン!
バキッ!!
キヨシ「ごほぁ!!」
花「はぁ……はぁ……///」
キヨシ「くっ……花さん! あなたはやられたらやり返す女じゃなかったんですか!」ヨロヨロ
花「っ!」
キヨシ「さぁ見てください俺のエリンギを! 目を逸らさないで!」
花「うっ……うぅ……///」チラチラ
キヨシ「そんなんでちゃんと見えるはずないでしょう! あなたは怖いんだ! お子様だからエリンギを見るのが怖くて怖くてたまらないんだ!」
花「なっ……こ、このクソキヨシ! 誰がお子様だコラァ!」
キヨシ「違うなら俺のエリンギを見てください!!!」
花「ぐぅ……うううぅぅっ……!!!///」ジー
キヨシ「その調子です花さん! そのまま俺のエリンギをガン見し続けてください! あなたならきっと出来ます!」
花「は、はは……そ、そんな貧相なもん、その気になればいくらでも見れるんだよ……っ!」ブルブル
キヨシ「ひ、ん……そう……」ガクッ
花「えっ!? あ、ごめっ……い、今のはその、こ、言葉のあやというか勢いというか……!」アセアセ
キヨシ「…………いや、貧相でも何でも構いません。大事なのはエリンギの大きさではなく、そこから放たれるオシッコなんですから!!」ドンッ!
花「!!」
花(こいつ……もはやエリンギやオシッコを見られることに何の躊躇いもない! どんな学園生活送ってればこんなことになるんだよ!!)ゾッ
キヨシ「さぁいきますよ花さん!」
花(……ダメだ押されるな花! 雰囲気に飲まれたら負けだぞ!)
花「いいわ、思いっきり出しなさいよ! この目に焼き付けてやるから!」
キヨシ「うっ、出るっ!」ブルッ
ジョボボボボボボボボボボボボボボ
花「!!!!?????」ビクッ
花(で、出てる……すっごい出てる!!!!! な、なに、こんなに勢い良く出るの!? う、わわぁ……///)
キヨシ「……ふぅ」ブルブル
花「…………お、おわり?」
キヨシ「え、はい、そうですけど」
花「ふ、拭いたりしないの?」
キヨシ「あー、男は適当にエリンギを何度か振って水気を切って終わりですね」
花「そう、なんだ……へぇ~……///」
キヨシ「とにかく、これで今度こそ全て終わりですね」
花「え……お、おわり……?」
キヨシ「はい、ついにやり遂げたんですよ俺達」フッ
花(な、なんて爽やかな笑顔浮かべてんだこいつ……! 下半身丸出しなのに! 今、女の子の目の前でオシッコしたばかりなのに!!)
キヨシ「それで今後ですが、お互いの為に俺達はなるべく近付かないようにしましょう。
俺はこれ以上周りに誤解されたくないですし、花さんだって俺を見て嫌なことを思い出したくないでしょう?」
花「……で、でも、えっと……その…………」
花(……なんか、納得いかない! 本当にこれで終わりでいいのか? 私がオシッコ見られた時は泣くほど嫌だったのに、今のこいつは清々しい達成感に溢れてやがる!)
キヨシ「それじゃあ花さん、今まで色々とありましたけど……」
花(……確かに本当に色々あった。オシッコ見られたところから始まって、次はオシッコかけられて、その後は…………あ)
花「待てよ」
キヨシ「はい?」
花「何勝手に満足してまとめようとしてんだよ。まだ終わっちゃいねえだろ」
キヨシ「え……い、いや終わりですって! 俺達今まで散々でしたけど、これで本当に……!」
花「まだお前が私にエリンギを押し付けてきた分が残ってんだろうが!!!!!!!!!!」
キヨシ「!!!!!!」
花「は……はは……そうだ、そうだよ。あれが一番最悪だった……やり返さないなんてありえない……!」
キヨシ「ちょ、ちょっと待ってください!」ブルブル
花「なんだよクソキヨシぃ! さっきまでの威勢の良さはどうした!? ぶるぶるビビっちまってなっさけねえなぁ!!」
キヨシ「は、花さん、自分で何言ってるのか分かってます……?」
花「はぁ?」
キヨシ「あれをやり返すってことはつまり…………花さんが俺にメデューサを押し付けるってことになりますよね…………?」
花「…………」
キヨシ「…………」
花「!!!!!!!!??????????????//////」ボンッ!!
ドカッ!! バキッ!!
キヨシ「いってえ! 痛いですって花さん!!」ボロボロ
花「きゅ、急に何言ってんだよこの変態!!!!!///」カァァァ
キヨシ「だってそういうことになるじゃないですか! エリンギをやり返すっていうならつまりメデューサを……」
花「言うなっつってんだろうがあああああああ!!!」ブンッ!
キヨシ「ぐほぁぁっ!」バキッ!!
花「はぁ……はぁ……あ、あんたホントに頭おかしいんじゃないの……///」
キヨシ「えぇ、そうですよ。初めから何もかも頭おかしいことばかりなんですよ! だから終わらせなければいけない!!」
花「!!」
キヨシ「さぁ花さん! メデューサを俺に!!!」ズイッ
花「あ……うぅ…………」モジモジ
キヨシ「さぁ!!!!!!」
花「~~っ!!」
花「できるかあああああああああああああああああああっ!!!!!!//////」
ドゴォ!!! ボキィッ!!!!!
キヨシ「がっ……は…………」ガクガク
花「と、とにかく、その辺りは私が考えておくから! 今日はもういい!///」
タッタッタ……
キヨシ(く……そ……俺はこんなところで倒れるわけには……少しでも早くこのイカれた戦いを終わらせない……と…………)ガクッ
とりあえず今日はここまで
昔の花ちゃんの髪型もかわいい
***
シンゴ「なー、キヨシの奴どこ行ったんだ?」キョロキョロ
ガクト「キヨシ殿は最近単独行動が多いでゴザル。体育祭でもそうでゴザった」
ジョー「はっ……どうせ、千代ちゃんとよろしくやってんじゃねえの……」ゴホッ
アンドレ「体育祭……あー、色々あったねー、ほんと」
シンゴ「お前は特にな……それより、このPBR様をどう生まれ変わらせるか考えようぜ!」
リサ「むっ、貴様らか。いいところに来た」
みつ子「あ、ほんとだー」
シンゴ「な、なんの用すか……」
リサ「そう警戒するな。見ての通りポスターを貼っていてな。少し高いところに貼りたかったから男手が欲しかったところだったんだ」
ジョー「まぁ……そのくらいなら……」ゴホッ
リサ「よし、じゃあアンドレ椅子になれ」
アンドレ「はいっ!」
みつ子「え、ちょ、ちょっとリサちゃん? 男子に貼ってもらうんじゃないの?」
リサ「こいつらに貼らせても傾いたりしてまともに貼れるとは思えないからな。よっ……と」ノシッ
アンドレ「はううっ!?」ビクッ
みつ子「リサちゃん靴は脱いだ方が……」
アンドレ「い、いえ、これでお願いします!!」
ガクト「リサ殿もすっかりアンドレ殿の扱いが分かってきたでゴザルな……」
みつ子「あ、そ、そうだみんな、あの噂のことなんだけど……どう思う?」
ガクト「噂……でゴザルか?」
シンゴ「そういやキヨシも噂がどうとか言ってたっけか」
みつ子「あれ、知らないんだ。えっとね、なんか、キヨシ君と花さんが付き合ってるって噂なんだけど……」
ジョー「は? キヨシと…………花さん、が……?」
ガクト「ははは、いやそれはないでゴザろう。そもそもキヨシ殿には他に好きな女子がいるでゴザル」
みつ子「え、そ、そうなの? うーん、じゃあやっぱり私の考え過ぎなのかな……」
ガクト「考え過ぎ、とは?」
みつ子「ほら、キヨシ君と裏生徒会の人がプリズンに入れられたことがあったでしょ? その時に、花さんが看守室でキヨシ君と二人でいた時があったの」
シンゴ「花さんが看守室に? でも花さんは看守じゃなかったんじゃ……」
みつ子「う、うん。花さんは仕事を忘れてた私の代わりにって言ってたんだけど、顔真っ赤で鼻血も出てて、逃げるように出て行ったんだよね」
リサ「……まぁ、言われてみれば花のやつ、キヨシのこととなると眼の色が変わることがあるな」
みつ子「だよね! やっぱりリサちゃんもそう思…………な、何やってるの?」
リサ「ん、アンドレの汗で靴が汚れたからな。舐めさせて綺麗にさせているところだが」
アンドレ「おいしいですっ!」ハァハァ
みつ子「や、やめなって!」
ジョー「あんみつ先生、創作において知識というのは多いに越したことはないですよ……」ゴホッ
みつ子「あ、そ、そう……なのかな……。ジョー君が言うならそうなんだよね……うん、私頑張って理解するよ!」
ガクト「い、いやそれは理解する必要はないのでは…………ふむ、しかしキヨシ殿が花殿と……でゴザルか」
ケイト「あらぁ? あなた達、仕事をサボって男子と楽しくおしゃべり?」
リサ「す、すみません会長!」
みつ子「あの、ごめんなさい、例の噂について少し聞いてみたくて……」
ケイト「噂? あぁ、キヨシと花ちゃんのあれか……」ニヤニヤ
ガクト「むっ、表会長は何か知っているのでゴザルか?」
ケイト「少しね。これは万里も知らないんじゃないかなぁ……教えてあげないけどね」ニヤニヤ
シンゴ「へぇ……花さん、裏会長にも隠してることとかあったんだな」
ジョー「まぁ、どんなに仲良くても隠し事の一つや二つはあるもんだろ……」
ガクト「…………」
***
シンゴ「で、どう思うよお前ら。あの噂」
アンドレ「噂って?」
ガクト「聞いていなかったのでゴザルか……キヨシ殿が花殿と付き合っているという噂でゴザル」
アンドレ「え、そうなの!?」
ジョー「まぁ……ただの噂だろどうせ……。キヨシのやつがあの女を落とせるわけがねえ」ゴホッ
シンゴ「千代ちゃんだっているしな。つか、花さんが恋愛なんてまともなことやってるのが想像できねえよ」
アンドレ「うーん、でも言われてみればキヨシくん、花さんとは何かただならない関係がありそうっていうのは思ってたんだよね」
ガクト「アンドレ殿もそう思うでゴザルか。小生も最初はありえないと思ったのでゴザルが、思い返せば最近は特にキヨシ殿と花殿が……」
万里「花がどうかしたのですか?」
アンドレ「うおおおおおおおおお会長おおおおおおおおおおおお!」ドタタタタタタ!!
芽衣子「会長に触るなブタめ!!!!!」ビシッ!!
アンドレ「ひぎいいいいいいいっ!」ビクンビクン!!
ジョー「さ、流石だなアンドレ……あえて裏会長に狙いをつけることで、確実に副会長からお仕置きを貰える……!」ゴホッ
万里「はぁ……相変わらずねあなた達は。まさか花にも何かするつもり?」
ガクト「ご、誤解でゴザル! 小生達はただ例の噂について話を……」
万里「噂……あぁ、あれ。まったく、そういったことを周りが騒ぎ立てるなんて品がないわね」ハァ
シンゴ「……ん? 裏会長って不純異性交遊がどうのこうのって言ってませんでしたっけ」
ガクト「むっ、言われてみれば。裏会長はその辺りは厳しかったはずでゴザルが……」
万里「そ、それは……まぁ、高校生ですし、あくまで不純でなければ問題はない……と思っただけよ」プイッ
ジョー「……はっ、随分と丸くなったもんだな裏会長さんよ」ゴホッ
シンゴ「なるほどな。あれだけキヨシと一緒にいたんだ、少しは…………ん、まさか裏会長もキヨシのことをってオチなのか……!?」
万里「なっ……何を言っているの! そんなわけないでしょう! そ、そのニヤついた目をやめなさい!」
ガクト「ふっふっふっ、こういった裏会長を見るのも中々オツなものでゴザル……」ニヤニヤ
芽衣子「貴様ら会長を困らせるな!!!!!」ビシィィィ!!!
ギャァァァァァァァァァァ!!!!!
アンドレ「あ、いいなぁ……」
万里「と、とにかく、人の恋愛事情に興味本位で首を突っ込むのはおやめなさい。大人しくそのペットボトル工作でも楽しんでいればいいでしょう」
ジョー「ペ、ペットボトルじゃねえ! PBR様だ!!」ゴホォォ!!
万里「はいはいPBR様ね。なんだかそれを見ているとケイトの時の脱獄計画のことを思い出して頭が痛くなるわね……」
芽衣子「まったく、あの時はせっかく会長が貴様ら如きを使ってやったというのに、あんなふざけたものを作りおって」
シンゴ「……でもあの時は副会長の方が役立たずだったじゃないすか」
芽衣子「ぐっ……!」ギリッ
シンゴ「ひぃ! すいません調子乗りましたぁ!!」
アンドレ「む、ムチなら僕にもください!!」
芽衣子「……いい。役立たずだったのは事実だ」ギリギリ
万里「そんなことはないわ芽衣子。あなたがいなかったら、私の心は早々に折れていたでしょう。いてくれるだけで助かったわ」ニコ
芽衣子「か、会長……!」ブワッ
ジョー「二人だけの世界に入っちまった……やっぱ裏会長って本当にレズなんじゃねえか……?」ゴホッ
ガクト「まぁまぁ、思い返してみればPBR様との出会いも裏会長がいなければ無かったのだから感謝でゴザル」
万里「そうなの? でもあなた達、DTOのデータを盗み出す際にもそれと似たようなものを作っていたじゃない」
ガクト「え?」
芽衣子「おい貴様ら言っておくがな、データを盗まれたのはあくまで私のミスであって、会長が負けたというわけではないからな!」
アンドレ「は、はい、負け犬は僕です! どうか罰を!!」ハッハッ
芽衣子「鬱陶しい!」ビシッ!!
アンドレ「ありがとうございますっ!!」ビクン!!
シンゴ「DTOの時にペットボトル……? 使ったっけ?」
ジョー「記憶にねえな……」
万里「でもあの最後の夜に私と芽衣子で見回りをした時、看守室に上部を切り取ったペットボトルが落ちていたわよ。脱獄に使ったのではなくて?」
ガクト「…………い、今、何と?」
万里「だから上部を切り取ったペットボトルよ」
シンゴ「じょ、上部を切り取った…………」
ガクト「ペットボトル……でゴザル……か?」
万里「え、えぇ……なに、どうしたの?」
ガクト・シンゴ「「…………」」
***
ジョー「おいガクト、シンゴ……さっきから何黙り込んでんだよ……」ゴホッ
アンドレ「そうだよ、せっかく副会長からご褒美貰えたのに」ホクホク
シンゴ「…………なぁガクト、まさかキヨシのやつマジで」
ガクト「可能性はあるでゴザルな……ただ、もう少し確証があれば…………あ、あれは!」
花「///」スタスタ
アンドレ「花さん……だね。何か様子がおかしくない?」
ジョー「あぁ、鼻血出してるな。顔真っ赤だしよ……」
シンゴ「……鼻血出して顔真っ赤って、みつ子さんも前にそんな花さんを見たことがあるとか言ってなかったか。おいガクト、これはひょっとするぜ」
ガクト「うむ。は、花殿!!! 少しお話できませぬか!!!」
花「あぁ? んだ、テメェらか。悪いけどそんな暇は……」
ガクト「ふっ、分かっているでゴザル。小生、練馬一の知将と呼ばれた男。ズバリ、その鼻血はキヨ」
バキィィィッ!!
ガクト「ゴザール!!!!!」ブシュゥゥゥ!!
シンゴ「ガクトおおおおおおおおおおおおお!!!」
ジョー「やっぱこの人の暴力が一番洒落になんねーな……」ゴホッ
アンドレ「何だかんだガクトくんがこの中で一番やられてるよね羨ましい」
花「キヨシの奴が何か言いやがったのか……? 返答次第じゃお前らとキヨシ殺して私も死んでやる!!!!!」ゴゴゴゴゴゴゴ
シンゴ「ち、違うんです! 今のは当てずっぽうというか何というか……ほ、ほら今妙な噂も流れてるじゃないっすか!!!」ダラダラ
花「噂ぁ? あー、あれか……」
花(他の女子達には思わせぶりなこと言えばいいけど、こいつらはどうすっかな……まぁ、念の為否定はしないでおくか……)
花「言っとくけど、あの噂について私は何も言うつもりないわよ。だから聞くな」
ガクト「ごほっ……で、では花殿、もしやその噂、表会長であれば何か知っているので」フラフラ
バキィィィッ!!
ガクト「ゴザアアアアアアアアアアアアアアアっ!!!!!」ブシュゥゥゥ
花「ケイトの奴が何か言ってやがったのか? 返答次第じゃ…………」ゴゴゴゴゴゴゴ
シンゴ「お、思わせぶりなだけで、何も言ってませんでした!!! 許してください!!!!!」
花「…………ふん」
花(噂程度ならいいけど、ケイトに見られたアレは流石に恥ずかしすぎる……! あいつにはちゃんと口止めする必要があるようね……)
ガクト「うぅ……は、花殿……」ヨロヨロ
ジョー「お、おい、もうよせガクト……本当に死んじまうぞ……!」
アンドレ「そうだよ! 殴られて嬉しいのは分かるけど、死なない程度にしておかないと次も楽しめないよ!」
ガクト「ま、まだでゴザル……花殿にはこれの感想を聞かねば……」スッ
花「感想? 一体な……ん…………の……」
ガクト「それはもちろん、このPBR様で」
ベキィィィィ!! ドカッ!! バキッ!!
ガクト「ゴ、ザ……ル…………」ガクッ
シンゴ「ガクト死ぬな!! ガクトおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
ジョー「こいつ……PBR様の為に……! おい!! ここまでしなくていいじゃねえか!!!」ゴホォォォ!!
アンドレ「だ、ダメだよジョーくん! 半殺しくらいがベストなのに、今の花さんだと全殺しされちゃうよ!」
花「やっぱりテメェらもう全部知ってんだろ……? もういい、おわりだ……全部、全部殺して……!!!」ブツブツ
シンゴ「な、何のことですか! 俺達は何も知りません! これの感想は他の女子にも聞いてて……ち、千代ちゃんにも聞きましたし!」
ジョー「あぁ……千代ちゃんはPBR様の素晴らしさを分かってくれたってのに……」ゴホッ
花「千代ちゃんにも……? ほんとでしょうね?」
シンゴ「ほ、ほんとです! 確認してもらっても構いません!!」
花「…………まぁ、いいわ。とにかく次それを私の前に出したら本当に殺すから。じゃあ私、もう行くわよ」
ガクト「ま、まだでゴザル!」ムクッ
アンドレ「が、ガクトくん……まだ立つことが……なんて耐久力なんだ! 君には真のMの才能があるよ!!」
ジョー「おいガクトもうやめろ……PBR様の良さが分からないこの人とは一生分かり合えねえよ……」
花「今度はなんだクソメガネ。そろそろ私も手加減できねえぞ」ギロ
シンゴ(……ガクトのやつ、まさか!)
ガクト「花殿に大事な話とお願いがあるでゴザル」キリッ
今日はここまでー
何気に今回はキヨシなし
でも追い詰められてる
放課後 男子部屋
ジョー「……なぁガクト、シンゴ。そろそろ話してくれてもいいんじゃねえか。何がどうなってんだ?」
アンドレ「僕も何が何だか全然分からないよ……」
ガクト「そうでゴザルな、皆にはきちんと説明しておくべきでゴザろう」
シンゴ「あぁ……俺も最初は信じらんなかったが、花さんのあの反応見て確信したぜ」
ジョー「確信?」
ガクト「まず結論から言うと、キヨシ殿と花殿は付き合っているでゴザル」
ジョー「……つ、つまり噂は本当だった……ってことか……?」ゴホッ
アンドレ「ど、どうしてそうだと分かるの?」
シンゴ「お前らキヨシの奴がキスしたことあるって話は覚えてるか?」
ジョー「そういや……そんな話もしたな……」
アンドレ「でもあれって嘘だったんじゃないの?」
シンゴ「あぁ、あの時はそう思った。けど違ったんだ」
ガクト「小生とシンゴ殿がキヨシ殿から聞き出したキスまでのレクチャーの中に……ペットボトルを切るという行程が出てくるのでゴザル……」
ジョー「ペットボトルを切る……それがどうし…………あ」ゴホッ
アンドレ「ど、どうしたの?」
シンゴ「アンドレは副会長に夢中で聞いてなかったんだったな。DTOのデータを盗み出したあの夜、看守室に切ったペットボトルが落ちてたらしいんだ」
ガクト「小生の作戦に、切ったペットボトル使うなんていうのは含まれていなかったでゴザル。そもそも囚人であるキヨシ殿に用意できるはずもないでゴザル」
ジョー「……それなら看守が持ち込んだんじゃねえのか。飲み物くらいは持って来るだろ」ゴホッ
シンゴ「あぁ……で、キヨシから教えてもらったキスまでの方法ってのも、女子の方がペットボトルを持って来てたらチャンスってのから始まる」
ジョー「なっ……お、おいまさかそれって……!」
アンドレ「え……ちょ、ちょっと待って。看守やってたのって大体がふ、副会長……」ブルブル
ガクト「アンドレ殿、落ち着くでゴザル。確かに看守を務めていたのは副会長が圧倒的に多かったでゴザルが、最後の夜は違ったでゴザろう」
ジョー「……そうだ、最後の夜の看守は…………花さんだった」ゴホッゴホッ
アンドレ「あ、それにあの夜はキヨシくんが看守室で花さんと二人きりになったよね……! じゃ、じゃあ……」
シンゴ「あぁ……」
シンゴ「キヨシの初チューの相手は……花さんだ」
ガクト「今思えば、看守室から帰ってきた花殿は覇気がないというか、大人し過ぎたでゴザル」
ジョー「それは花さんの方も初チューだったから……ってことなのか……。そういえば、鼻血も出してたな」
アンドレ「あれ、で、でもキヨシくんの方はボコボコにされてなかった?」
シンゴ「それもキヨシから教わったキスレクチャーの中にあったんだ。殴られるけど、それに耐えればキスできるってな!」
ジョー「マジかよ……キス未経験者には全く理解できねえが、そういうもんなのか……」ゴホッ
ガクト「い、いや、おそらくそれは花殿の方が特殊なだけでゴザルよ。シンゴ殿は同じことを杏子殿にやってこっ酷く失敗したでゴザル」
アンドレ「だけどそれって状況的にとんでもないよね……だってあの夜、看守室の近くには千代ちゃんもいたんだし……」
シンゴ「あぁ、相当やばいぜあいつ……まともな神経してりゃそんなことできるはずがねえ。でもやっちまうのがキヨシなんだ」
ジョー「……ん、いや待て。でもキヨシの奴、次の日に花さんに右手を折られたじゃねえか。キスまでした相手にそこまでするか……?」
ガクト「そこがまたややこしい所なのでゴザル。小生の考えでは、あの時点ではまだキヨシ殿と花殿は付き合っていないでゴザル」
アンドレ「……え? でもキスまでしたんだよね?」
ガクト「言い方が悪かったでゴザルな。確かにキヨシ殿はあの夜花殿を口説き落としてキスをした……だがそれは作戦の内だったのでゴザルよ」
ジョー「作戦……だと?」
シンゴ「要するに女で言う色仕掛け、ハニートラップってやつだ。俺が杏子にやられたのと変わんねえ」
アンドレ「つ、つまり、キヨシくんに恋愛感情とかは無くて、花さんの隙を作り出す為だけに口説いてキスをしたんだね!」
ガクト「そうなるでゴザル。花殿を惚れさせるという作戦は、小生も一度考え付きキヨシ殿の目の前で実行したこともあったでゴザル。その時は惜しくも失敗でゴザったが……」
ジョー「じゃあ……それを覚えていたキヨシが同じことを……それで成功した」ゴホッ
シンゴ「まぁ、ガクトよりキヨシの方が顔は良いしな」
ジョー「クソ漏らしでもないしな……」
ガクト「そ、その時はまだクソなんぞ漏らしていなかったでゴザル!!! というか今はクソの話よりもキヨシ殿のキスの話でゴザル!!!!!」
ジョー「けどよ……花さんがキヨシに惚れたってんなら、俺達に協力してもらってもっと楽に不正を暴けたんじゃねえのか……?」ゴホッ
シンゴ「花さんと裏会長の仲も深いからな。裏切れなかったんだろ。完全に落としたのがあの夜だとしたら時間もなかったしな」
ガクト「まぁ、互いに別の学校に通うことになっても交際を続けることはできるでゴザルしな」
アンドレ「えっと、つまり流れをまとめると……キヨシくん自身は全然そんな気はなかったけど、作戦のために花さんを自分に惚れさせてキスをした。
それで、DTOのことを暴いた時に花さんは自分が騙されたことに気付いて…………キヨシくんを思いっきり蹴った……ってこと?」
シンゴ「だろうな。ちょっと泣いてたしな花さん」
ジョー「俺もそれは見た……あの時は悔しくて泣いてるんだと思ったが……」
ガクト「これが真実というのであれば……そこには悲しみもあったでゴザろうな……」
シーン
ジョー「……あー、キヨシのお陰で退学を免れておいてこんなことを言うのもアレだけどよ…………ちょっと酷いなそれ」ゴホッ
シンゴ「しゃーねえよ。あの時は手段を選んじゃいられなかったんだろキヨシも」
ガクト「キヨシ殿が花殿に厳罰を求めなかったのも、その辺りの負い目を感じていたからでゴザろうな……」
アンドレ「うーん…………あれ、でもそれだとキヨシくんと花さんはそこでおしまいで、噂は嘘ってことにならない?」
シンゴ「それが、終わってなかったっぽいんだ」
ジョー「どういう……ことだ……? 普通そんなことがあったらもう修復不可能なんじゃねえのか……」
ガクト「よほど完璧に口説き落としていたということでゴザろうな。あのようなことがあった後でも、花殿がキヨシ殿に会うために看守室に行ったことはみつ子殿の証言から事実でゴザル」
シンゴ「しかも花さんは顔真っ赤で鼻血も出してたらしいから、たぶんまたチューしたんだろうぜ」
アンドレ「い、意外と一途なんだね花さん……」
ジョー「そういや表会長も何か知っている風だったが……あれは……?」ゴホッ
ガクト「花殿は一時期表会長と行動を共にすることが多かったでゴザルからな。表会長はその時に何か気付いたのでゴザろう」
シンゴ「で、そのことは裏会長にも話してない。そんだけひた隠しにしてるってことは、キヨシに関する何か決定的な証拠でも掴まれたのかもしれねえな」
アンドレ「花さんのあの反応を見ても、ガセとかそういうのじゃなさそうだったしね……」
ジョー「……いや、でもキヨシはどうなんだよ? 花さんがキヨシのことを好きになったってのは分かったが……キヨシは千代ちゃんが好きなんだろ……?」
ガクト「それはキヨシ殿を見ていれば分かることでゴザルよ。キヨシ殿は花殿とは何度かキスまでしたにも関わらず、千代殿とは一向に進展なしでゴザル」
シンゴ「しかもキヨシの奴、最近では千代ちゃんよりも花さんと何かこそこそしてる時が多くねえか? 実際そういう目撃があって噂も流れてるんだしよ」
アンドレ「え……そ、それって……!」
ガクト「左様」
ガクト「おそらくキヨシ殿の気持ちは、既に千代殿から花殿に移っていると考えるのが妥当でゴザろう」
ジョー「……マジかよ」ゴホッ
シンゴ「まぁ、気持ちは分からなくもねえけどな。あんだけ可愛い人に言い寄られたら、女と付き合ったこともねえ男はイチコロだ」
アンドレ「そういえば、初めは何とも思っていなくても、相手から好意を向けられている内に自分も好きになるっていうのはよくあるって聞いたことあるよ」
ジョー「ったく、なんだよ……それなら俺達に言ってくれてもいいじゃねえか……」
ガクト「照れくさかったのでゴザろう。キヨシ殿は千代殿のことも自分からは言い出さなかったでゴザル」
シンゴ「だからたぶん、噂が流れてるこの状況もキヨシにとっては嫌だろうな。それが本当だから余計によ」
アンドレ「う、うん……今までだって隠れて付き合ってきたのに、こんなに噂になっちゃったらもっと慎重になるだろうね」
ジョー「そういえば……キヨシが噂について聞いてきた時もなんか青ざめた顔してたな……」ゴホッ
ガクト「そしてそんな状況が続くのは良くないでゴザル。これまで以上に周りの目を気にして会う回数などを減らしたりすれば、関係が冷えてしまうことも考えられるでゴザル」
アンドレ「あっ、だからガクトくんはあんなことを……!」
時を戻して昼
花「で、大事な話とお願いってなんだよクソメガネ」
ガクト「ずばり、キヨシ殿とデートしてほしいのでゴザル!」
花「…………は?」
ジョー「なっ……!!」ゴホォォ!
アンドレ「が、ガクトくん!?」
シンゴ「…………」
ガクト「皆は少し黙っているでゴザル。それで花殿、いかがでゴザろう?」
花「ちょ、ちょっと待てって! なんで私がキヨシと……で、デート……なんかしなくちゃなんねえんだよ!///」
ガクト「それはもちろん、キヨシ殿に自分の気持ちに正直でいてもらうためでゴザルよ。このままでは良くないでゴザル」
花「あ、あいつの……気持ち……って?」
ガクト「ははは、それは花殿が一番良く分かっているでゴザろう」
ガクト「キヨシ殿が花殿を愛する気持ちでゴザルよ」
花「…………え???//////」ボンッ
ガクト「ん、聞こえなかったでゴザルか? だからキヨシ殿が花殿を愛」
花「き、聞こえてる! 聞こえてっから何度も言うんじゃねえよクソが!!///」ブンッ!
ガクト「ゴザール!!!!!!!」ベキィィィィ!!
花「はぁ……はぁ……え…………えっと……///」
花(な、なに!? なにこの展開!? あ、あのキヨシが……わ、わたっ、私のことが好き……!?///)ドキドキドキドキ
ガクト「ごほっ……キヨシ殿は周りの目を気にし過ぎでゴザル……。本当はもっと花殿と会いたいと思っているでゴザろうに」
花「なっ……あ……うぅ……そ、それ、キヨシから聞いたわけ? その、私のことを……ってのは!///」
ガクト「ふっ、本人は何も言わずとも、そのくらい共に苦難を乗り越えてきた仲間であればお見通しでゴザルよ」
花「そ、そういうもんなのか……///」
花(ま、まさか、オシッコをかけてきたのも、マーキングとかそういうつもりだったわけ!?
つ、つまり、あいつがあんなことをしてたのは……わ、私に気があったからってことなの!?///)
ガクト「それで花殿、デートには来ていただけるのでゴザルか?」
花「…………う、うん。別に……いい、けど///」コクン
ガクト「良かったでゴザル! では次の日曜の朝10時に駅前でいいでゴザルかな?」
花「わ、分かった……え、えと、この私とデートするんだから気合い入れろよって……キヨシに言っとけ……///」
ガクト「承知したでゴザル! 最高のデートにするよう、キヨシ殿にはちゃんとプランを練らせるでゴザルよ!」
夜 男子部屋
ジョー「いきなりあんなこと言い出しやがるから驚いたが、そういうことだったのか……」ゴホッ
ガクト「左様。小生、キヨシ殿と花殿の交際は応援しているでゴザルよ」
アンドレ「でもちょっと意外だな。ガクトくんは妬んで邪魔するかと思ったけど」
シンゴ「あぁ、そうだな。つか、そこまでしてやる義理あんのか? 結局キヨシばっかおいしい目見てんじゃねえか」
ガクト「ふっ、もちろん小生達にもメリットはあるでゴザルよ」ニヤ
シンゴ「メリット?」
ガクト「この学校において男子はまだまだ異質な存在でゴザル。味方も少ない。だから裏生徒会とのコネを作っておくことは大きなメリットになるでゴザろう」
ジョー「……なるほどな。キヨシが花さんと上手くやってくれれば、多少の問題も大目に見てくれる可能性も出てくるってわけか……」
アンドレ「また何かやらかしてプリズンに入れられた時もお仕置きが緩くなるかもね…………あれ、それは嫌だな……」
ガクト「その場合はアンドレ殿がもっとお仕置きが欲しいと頼めば通りやすくなるでゴザルよ」
アンドレ「あ、そうだね! よし、僕も全力で応援するよ!!」ハァハァ
シンゴ「……はぁ、ま、いいけどよ。確かにメリットはありそうだしな」
ガクト「シンゴ殿も他人事ではゴザらぬぞ。杏子殿も次の裏生徒会メンバーになる可能性がある故、二人のことも応援するでゴザルよ」
シンゴ「そ、そっか……へっ、ありがとよ」
バタン
キヨシ「はぁ、疲れた……あれ、どうしたん、みんな集まってさ」
ジョー「キヨシ……お前こそどこ行ってたんだ?」ゴホッ
キヨシ「え、あ、あー、まぁ、ちょっとな」
キヨシ(何とか女子達に話しかけて誤解を解こうとしたけど、面白がってて上手くいかなかったな……やっぱり花さんと決着をつけるしか……)
ガクト「……小生達は少々話をしていただけでゴザルよ」
キヨシ「ふーん、何の話?」
シンゴ「ちょっとした噂話をな」
キヨシ「へぇ、噂話…………え、噂……?」ダラダラ
アンドレ「あ、あのね、キヨシくん」
キヨシ「ちょっ、ま、待ってくれみんな! あれは……!」
ガクト「キヨシ殿、落ち着くでゴザル。心配無用、ここにいる皆は全員キヨシ殿の気持ちは分かっているでゴザル」フッ
キヨシ「え……?」
シンゴ「あったりめえだろ。俺達が分かってねえわけがねえだろ」ニッ
ジョー「ったく……少しは信用しろってんだ……」ゴホッ
アンドレ「うん……僕達、仲間だからね」ニコ
キヨシ「み、みんな……!」ウルッ
キヨシ(そうだ……こいつらは俺の千代ちゃんへの想いはよく分かってくれてる……! 仲間はちゃんといたんだ……っ!)グッ
ガクト「キヨシ殿、周りがあれこれ言っても気にするなでゴザル。キヨシ殿はその想いを貫けばいいでゴザろう」ポンッ
キヨシ「ガクト…………あぁ、そうだよな……その通りだ……!」
キヨシ(周りがどんな噂をしていようが、俺は千代ちゃんのことが好きだ! そうだ……それだけは忘れちゃいけない……!)
ガクト「それと小生達、不甲斐ないキヨシ殿の為に勝手ながらデートをセッティングしたでゴザルよ。思い切り楽しんで来るがいいでゴザル!」
キヨシ「……で、デート? それってまさか俺……の?」
シンゴ「へっ、他に誰がいるっつーんだよ」
ジョー「世話のやける奴だぜ……」
アンドレ「キヨシくん。僕達みんな、上手くいくことを祈ってるよ」
ガクト「既に相手側の許可も頂いているでゴザル。あとはキヨシ殿が良いデートにするだけでゴザルよ」
キヨシ「みんな……! 本当に……本当にありがとう……っ!!」
キヨシ(千代ちゃんとデート……千代ちゃんとデート!!!!! よっしゃああああああああああああああああああ!!!!!!!!)
ガクト「あ、それと相手から伝言を預かっているでゴザル。『気合い入れとけ』とのことでゴザルよ」
キヨシ「えっ……気合い……う、うん…………」
キヨシ(あ、あれ? 千代ちゃんってそんなキャラだっけ…………あ、でも、前の相撲デートは酷いことになったからな。今度こそ上手くやらないと!)
キヨシ「よしっ、気合い入れてデートプラン考えるぞ!!!」
裏生徒会室
花(キヨシとデート……かぁ。い、勢いでオッケーしちゃったけど、ど、どうしよ……///)ボー
ドサドサッ!!
花「わっ!」
芽衣子「大丈夫か花? 何かぼーっとしているようだが、どこか調子でも悪いのか?」
花「あ、ううん、大丈夫! ごめんね、心配させちゃって」
芽衣子「ふむ、それならいいのだが、無理はするなよ」
万里「……もしかしてあの噂が気になるの?」
花「えっ!? う、噂ってキヨシと私が……ってやつ!? 全然気にしてないよ!!!」ダラダラ
万里「そう……それならいいのだけど」
芽衣子「まったく、あんな信憑性の薄い噂を流して何がしたいのやら。まさか表の奴等がこちらの動揺を誘っているのか……?」
万里「ケイトが……確かに可能性としてはあるわね。何か知らないか今度聞いてみるわ」
花「ちょっ、だ、大丈夫だってば! それにほら、動揺を誘ってるなら無視が一番だよ!!」
万里「え……ま、まぁ、花が平気というのであれば構わないけれど…………」
芽衣子「しかし、キヨシの方は妙な勘違いを起こして接近してくる可能性もあるな。気を付けた方がいいぞ花」
花「う、うん、分かってる分かってる!」
万里「まぁ、根は悪い男ではないけれど、千代の一件もあったことだしね……」ハァ
花(……そういえば、キヨシって千代ちゃんのことが好きなんじゃ…………で、でもあいつ、私にキスしようとしてきた時もあったし……ああもう分かんない!)ブンブン
花「あ、そもそも男女交際ってダメなんだよね……?」チラ
芽衣子「いや、清純な交際であれば会長も寛大なお心で認めてくださるとのことだ。あの男共に限ってそんなことはありえんと思うが」
万里「流石に男女間の接触そのものを禁じるのはやり過ぎだと思ってね。取り締まるのはあくまで不純異性交遊です」
花(じゃ、じゃあデートは大丈夫か……キヨシとはオシッコかけたりかけられたりしたけど、せ、セックスとかはしてないから不純とかじゃないし……)ホッ
花(……って何ほっとしてんだ私!///)
コンコン
万里「どうぞ」
杏子「失礼します! 見回り終わりました、異常なしです!」
万里「そう、ご苦労様。お茶飲んでいく?」ニコ
杏子「は、はい! ありがとうございます! …………あ、そうだ、問題という程でもないんですけど」
芽衣子「何かあったのか? また男共か」
杏子「まぁ男子も関係あるっていうか……その、なんか、噂がちょっと……」チラチラ
花「……あー、知ってる知ってる」
万里「それについては無視することにしましたので、大丈夫です」
杏子「そ、そうですか。実際のところ本当だったりするんですか……?」
芽衣子「そんなはずないだろう。よく信じる気になるな」
万里「何か思い当たる節でも?」
杏子「あ、いえ、何だかんだ男子と一番関わりがあったのって裏生徒会の方達じゃないですか。それで、もしかしたら……と思って、あはは」
花「…………」
花(そういえば、杏子って……よし、ちょっと聞いてみるか)
杏子「えっと、は、花先輩? ごめんなさい、怒りました……?」
花「ううん、大丈夫大丈夫♪ あ、副会長、この書類私が持って行くよ」
芽衣子「ん、いや量が多いから私に任せてくれていいぞ」
花「いやいや、副会長はいっつも働き過ぎだって! このくらい私にやらせてよ。あ、そうだ杏子も手伝ってくれない?」
杏子「はい、もちろん!」
芽衣子「むっ、そ、そうか……なら頼もうか。ありがとう」
万里「確かに芽衣子は少し頑張り過ぎてしまうところもあるわね。ありがとう、花、杏子。お願いね」
杏子「そんな、このくらい親衛隊であれば当然です!」
花「よっし、それじゃ行こっか」
バタン
花「そうだ杏子ー、ちょっと聞いてもいい?」
杏子「はい、なんですか?」
花「杏子って何でシンゴに惚れたの?」
杏子「えっ!?///」カァァァァ
ドシャァァァァァ!!!
花「うわっ! ちょ、盛大にばら撒いたわねー」
杏子「ご、ごめんなさい! すぐ拾います!!」
花「あー、私も手伝うよ。ごめん、変なこと聞いて」
杏子「あ、い、いえ、別に構わないですけど……ど、どうして急に?」
花「んー、ほら、立場的には元々杏子とシンゴって敵同士みたいな感じだったじゃない? それでちょっと意外だなーって」
杏子「そう、ですね……初めはただの悪そうなガキくらいにしか思ってなかったんですけど、その、一緒にいる内に……///」
花「ふ、ふーん……一緒にいる内に……」
花(何だかんだ私もキヨシと一緒にいる時間長いよな……じゃ、じゃあ、あいつもそうやって私といる内に……ってわけ?///)
杏子「一緒にいるとカッコ悪いところも見えたりするんですけどね。でもそのカッコ悪さも、なんかいいなって思う時もあって」
花「カッコ悪い……ところ……」
花(わ、私もキヨシにはカッコ悪いところ見せまくってるな……オシッコとか……キヨシはそういうのもいいなとかって思ってんの!?///)
杏子「えっとつまり、相手の色んなところを見ている内に惹かれちゃった……みたいな感じですかね/// あ、あはは、何言ってんだろ私///」
花「な、なるほどね……こんな言いづらいこと答えてくれてありがと!」
杏子「いえいえ、花先輩になら大丈夫ですよ!」
花(相手の色んなところを見て…………わ、私もキヨシに色んなところ見せちゃってる! そ、それでキヨシも私のことを……///)
夜 花の部屋
ゴロゴロ
花「そ、そっかぁ……あんな堂々とエリンギやオシッコ見せつけてたのも、好きな子には平気ってことだったのかな……///」ブツブツ
花(……キヨシが私のこと好きなら……やっぱりいつか、そ、その、告白……とかしてくんのかな?///)
花(そうだ、今度のデートの日とか絶好のチャンスじゃん! う、わわ……やばっ、急に緊張してきた……お、落ち着け相手はキヨシだぞ!)ドキドキ
花(あ、あれ、でももし告白されたとして……わ、私は……どうすればいいんだ?)
花「…………~~っ!!!!!///」バタバタ
花「そ、そうだ! 何悩んでんのよもちろん断ればいいだけでしょうが!! だって相手はキヨシだぞ!? ありえねえし!!!!!///」
花「…………」
花(で、でも……なんか……そんなに、嫌じゃ…………ない? いやむしろ……///)
花「って何考えてんだ私いいいいいいいいいいいいいいいいっ!!!!!///」ジタバタ
花「…………」
ガサゴソ
花「と、とりあえず、服でも選んでおこう……かな。い、一応、デート……だし……///」
夜 千代の部屋
千代「…………」
千代(キヨシ君と花さんが……か。なんだろ、応援するって言ったのに……なんだか、ちょっと苦しいな……)
マユミ「ねぇ千代、あんた大丈夫?」
千代「え、だ、大丈夫だよ。なんで?」アセアセ
マユミ「いやなんか、キヨシ君との相撲デートの後みたいになってるよ? 凄く思い詰めてるみたいな。噂は噂だし、あんまり気にしない方がいいんじゃない?」
千代「えっ!? そ、そんな、私は別に…………あと、キヨシ君とはただ学生相撲見に行っただけで、デートとかじゃないってば!///」
マユミ「わ、分かったって。あ、じゃあそんだけ元気あるなら、次の日曜ちょっと駅前出ない? 新しいスイーツ店とかできたらしいよ」
千代「え、そうなんだ! 行く行くっ!」
マユミ「まぁ千代からすれば私じゃなくてキヨシ君と行きたいのかもしれないけどねー?」ニヤニヤ
千代「なっ……いじわる言わないでよマユミー!///」
マユミ「あはははははははは! ごめんごめん!」
千代「もうっ……」
千代(……でも、花さんはキヨシ君と二人で出かけたりしてるのかな…………それはなんだか……羨ましいな……)
今日はここまで
次回は緊迫のデート
花の部屋
花「デート……デート……っと」カタカタ
花(やっと頭が冷えてきたぞ……そうだ、デートといっても相手はクソキヨシ、これは戦いだ! あくまで主導権は私が握る!)
花(でも経験だけで言えば、初デートの私と比べて前に千代ちゃんとデートしたキヨシの方に分があることは認めないといけない。けど、その分は事前に色々調べて補おう!)
花「なになに、デートの定番と言えばショッピング、カラオケ、映画、ボウリング、ゲーセン…………ふーん、なんだ、普通に遊びに行くのとそんなに変わらないんじゃない」
花「日が暮れた後は夜景の綺麗な場所やホテル…………は? ほ、ホテル!?」
花(ま、まさかキヨシやつ、そ、そういうこと考えてんのか!?/// あ、なんか注意書きがある……)
『草食系が増えたと言われていますが、男は基本的に野獣です。
デートの最後にホテルに誘われることもあるかもしれませんが、雰囲気に流されることなくしっかりと考えてどうするか決めましょう』
花「や、やっぱりそういうもんなんだ……」ゴクッ
花(どうしよう、かな…………まぁ、別に興味がないわけでも…………いやいやいやいや! それじゃ完全に不純異性交遊じゃん!)
花「ったく、クソキヨシのくせに盛りやがって! 何か止める方法は…………あ」カチカチ
花「これだ!!!」ガタッ
デート当日 駅前
キヨシ「流石に一時間前は早く来過ぎたな……」ソワソワ
キヨシ(とにかく今日はまず千代ちゃんに例の噂は誤解だってちゃんと言う。あ、あと、できれば手繋いだり、チューとかまでいければベスト!)
キヨシ「…………ん? あれって」
花「……落ち着け落ち着け」スーハースーハー
花(シミュレーションなら頭の中で何度もしてきた! いける! 私はやればできる女!)ドキドキ
花(あれ、キヨシの奴もういる!? ふ、ふーん、そんなに私とのデートが楽しみだったんだ……///)
キヨシ(あれは花さん……? あの人も友達と待ち合わせとかなのかな…………ってこっち来てる?)
花「おはよ、キヨシ。ごめん待った?」
キヨシ「え、いや、別に待ってませんけど」
花「そう、ならいいけど」
花(ふっ、その会話の流れは予習済みよ! そんなんで主導権握れると思ったら大間違いだ!)
キヨシ(なんで勝ち誇った顔してんだこの人……? いや、そんなことより、花さんと二人でいるところを千代ちゃんに見られたりしたらマズイな)
キヨシ「…………」スタスタ
花「…………」スタスタ
キヨシ(なんでこの人ついてくんの!?)
花(あまり話しかけてこないわね……よし、これは攻めるチャンス!)
花「キヨシ、今日はどこ行くつもりなの?」
キヨシ「どこって、普通に映画とかカラオケとかに……」
花「はっ、ほんとに普通ね。まぁろくに女の子と付き合ったこともないキヨシからすれば、そのくらいが限界か」
キヨシ「っ!?」ビクッ
キヨシ(こ、この人、俺が今日デートだって知ってる……? じゃ、じゃあまさか…………何か邪魔しに来たのか!?)
花(キヨシのこの顔……これは明らかに動揺してる! ここは更に畳み掛ける!!)
花「それに本当に行きたい場所は他にあんだろ。分かってんぞ」ニヤ
キヨシ「え……ほ、本当に行きたい場所って……」
花「とぼけんなよ。どうせお前、最終的にホテルに連れ込もうと必死なんだろ?」
キヨシ「なっ……そ、そんなことないですって!!!!!」
花「その慌てっぷりが逆に怪しいっつの。ったく、これだから男は」
花(これで完全に場を呑み込んだ……! このデート、完全に私の勝ちだ!!)
キヨシ「ほ、ほんとに違いますって……まずは手を繋いだり……キスとかから……でしょう」
花「……は? 今更何言ってんの?」
キヨシ「え、今更!?」
キヨシ(ま、まだ千代ちゃんと出会ってから半年も経ってないのに……いや、でも、女の子にとっては今更なのか!? い、いきなり、エロいことしていいの!?)ハァハァ
花(こいつ、緊張し過ぎて頭回ってないのか? ふん、ちょっとでも警戒した私が馬鹿だったみたいね。それじゃ、このままこれを……)
千代「マユミ早く早くー!」
マユミ「もー、こんな朝っぱらから行かなくてもいいじゃんー」
キヨシ「あ、千代ちゃん! …………と、マユミさん?」
キヨシ(あれ、デート……なんだよな? なんでマユミさんも一緒にいるんだ……?)
花「……ねえちょっと」
キヨシ「すいません花さん、後にしてもらえますか。俺、今かなり混乱してて……」
花「おいコラこっち向け!」ガッ!
キヨシ「うわっ! な、なんですか?」ビクッ
花「テメェなにデートの最中に相手放ったらかしにして他の女見てんだよ。ナメてんのか?」ギロ
キヨシ「…………はい?」
キヨシ(なに言ってんだこの人……? むしろこの状況こそ相手に悪いような……)
花「クソメガネから聞いてなかったのか、気合い入れろってよ。お前、この私とデートさせてやってんだぞ?」
キヨシ「えっ!?」
キヨシ(一体どういう…………あっ!!! ま、まさかアイツら!!! くっ、だとしたらこの状況はかなりマズイ!!!!!)
キヨシ「は、花さん。ちょっと来てもらえますか!?」ガシッ
花「っ!?」
花(こ、こいついきなり手を……しまった、油断した……!///)カァァァ
キヨシ「こっちです!」グイッ
花「あ、う、うん……///」
千代「……あれ?」
マユミ「千代ー? どした?」
千代「なんか今キヨシ君の声が聞こえたような気がして」キョロキョロ
マユミ「千代あんた……ついに幻聴まで聞こえてきちゃってるわけ……?」ハァ
千代「ほ、ほんとだってば! うーん、おっかしいなー」
***
タッタッタッ……!!
キヨシ「はっ……はっ……!」
花「ちょ、ちょっと待ってって……どこまで行くのよ……」
キヨシ(とにかく千代ちゃんに見つからないように離れるんだ! こんなところ見つかったらもう終わりだ!!)
花(やっぱこいつの手ってゴツゴツしてるな……/// だ、ダメだ、このまま流されると完全に主導権を握られる!)
花「いい加減にしろ! いつまで走らせるつもりだっつの!!」バッ
キヨシ「あっ……す、すいません……」
キヨシ(まぁ、ここまで来れば大丈夫……か?)
花「恥ずかしいからってそんなに他の人に見られたくないわけ? 中学生か」
キヨシ「そ、それは……ていうか花さんこそいいんですか、俺とデートしてるところなんて見られて」
花「はっ、そんなん平気だし! 私はお前と違ってこういうことは慣れてるからな!」
キヨシ「……ほんとですか?」
花「な、なんだよその疑わしげな目は!!」
キヨシ「いや花さんってそういう経験皆無だと思ってたんでちょっと意外で」
花「は、はぁ!? んなわけねえだろ!!」アセアセ
キヨシ「まぁ別にそれはどっちでもいいんですけど……」
花「どっちでもいいって……なによ……」
キヨシ(それにしてもガクト達はどういうつもりだよ! なんで千代ちゃんじゃなくて花さんとのデートのセッティングなんか……)
キヨシ(……待てよ。あいつらは俺と花さんの間に何か因縁があるってのは知ってる。だからこの機会に決着をつけろっていうことなのか?)
キヨシ(といっても、決着をつける為には花さんにメデューサを押し付けてもらわないといけない……そんな状況どうやって…………あ!!!!!)
花「……まぁいいや。とりあえずキヨシ、どこか人目につかない所行くぞ」
キヨシ「えぇ、いいですよ。ホテルですね?」
花「……は?」
キヨシ(そうだホテルだ! デートコースでホテルっていうのは別におかしくもないし、そこなら花さんがメデューサを出すって流れも自然だ!!!)
キヨシ「花さん、どうしました? 早くホテルに行きましょう」キリッ
花「行かねえよ!!!!!」ブン!!
キヨシ「おごおおおおっ!!!!!」バキィィィッ!!
花「猿かお前は! やっぱヤることしか考えてねえんじゃねえか!」
キヨシ「ご、誤解です! 俺はただ花さんのメデューサを……」
花「こんなところでメデューサとか言うなああああああああ!!!!!!///」
ドカッ!! バキッ!!
キヨシ「ご……ごふっ……」ガクガク
花「はぁ……はぁ……やっぱりこれを用意してきて正解だったみたいだな……!」
キヨシ「え……な、なんですか、まさか凶器とか……」ゾッ
花「ちげーよ、そんなもん持ってたら捕まるでしょうが。とにかくどこか……あれ、こんなところにスイーツのお店なんてあったっけ」
キヨシ「新しくできたんじゃないですか。全体的に綺麗ですし」
花「……よし、ここでいいか。入るぞキヨシ」
キヨシ「は、はい……」
キヨシ(いきなりホテルってのは流石にダメか……花さんにデートを楽しんでもらって、上機嫌にさせてからならいけるか……?)
スイーツ店 女子トイレ
キヨシ「ま、まずいですって、女子トイレに男が入るとか!」
花「今更何言ってんのよ。学校じゃ普通に入ってるじゃない」
キヨシ「学校は男子トイレの数が圧倒的に少ないからまだいいんですよ! 外で女子トイレに侵入とか普通に通報もんですって!」
花「うっせーな、バレなきゃ問題ないだろ。個室入ってれば誰か来ても気付かれやしねーよ」
バタン
キヨシ「……そ、それでこんなところで何するつもりですか?」
花「えーと……あったあった」ガサゴソ
花「貞操帯……っていうの? お前これつけろ」スッ
キヨシ「なっ……!!! ちょ、な、何でそんなもん持ってんですか!!!」
花「ネットオークションで買ったのよ。いいから付けなさいよ。ヤることしか考えてない猿には枷をつけとかないとね」
キヨシ「だ、だから別に俺はそういうこと考えてるわけじゃ……」
花「だーうっさいわね。これはアンタへの復讐でもあんのよ?」
キヨシ「え、復讐? 貞操帯が?」
花「えぇ。今日一日これつけて過ごせたなら、私にエリンギを押し付けた件について許してやってもいいわ」
キヨシ「ほんとですか!? メデューサを押し付けなくてもいいんですか!?」
花「メデューサは無理だっつってんだろうが!/// 代案用意してやったんだから、早くつけろっての!」
キヨシ「…………いいでしょう。これが俺への罰というなら、この身にしかと受け止めましょう!」キリッ
キヨシ(これで因縁を終わらせることができるなら望むところだ! ……それにしても、本当にこれをつけてるだけでいいのか? 花さんにしてはやけに優しいような……)
キヨシ「ん……あれ、これはこうじゃないのか……?」カチャカチャ
花「なに手こずってんだよ早くしろよ」
キヨシ「い、いや、こんなの今まで一度もつけたことないですし、つけることになるとも思っていなかったんで……良かったら手伝ってもらえませんか?」
花「な、なんで私がそんなことしなくちゃなんねーんだよ! そんなことしたらお前のエリンギを見ることになるじゃねえか……///」
キヨシ「何を今更。そろそろエリンギくらい慣れてもいいじゃないですか」
花「人をヤリマンみたいに言ってんじゃねえ! ……ったく、しょうがねえな、ちょっと貸してみろよ」
カチャカチャ……ガチャン!
花「よし、これでオッケーかな」
キヨシ「……そういえば今気付いたんですけど、これ鍵開けてもらわないとオシッコできないタイプじゃないですか」
花「当たり前でしょ。私の許可無くオシッコできると思うなよ」
キヨシ「そ、そうですか分かりました……あとなんかチクチクしますよこれ」
花「ん、内側にトゲがあるからね。そのくらい我慢しなさい」
キヨシ「あぁ、なるほどそういう…………え、トゲ?」ダラダラ
花「うん。エリンギ大きくさせると刺さるから、せいぜい気を付けることね」
キヨシ「ま、待ってください花さん……冗談ですよね?」ダラダラ
花「なによ、まさかただの貞操帯だとか思ってたわけ? そんなわけないじゃない、言ったでしょこれは復讐だって」
キヨシ「俺のエリンギを潰すことが復讐なんですか……?」
花「潰れるかどうかはお前次第よ。お前がエリンギを大きくして私を苦しめた、それなら今度は同じことをしてお前自身が苦しめ」ニヤ
花(この童貞がこんなにカワイイ子とデートして勃たないわけがない! 見てろよキヨシ、私はやると言ったらやってみせる女!!)
キヨシ(くっ、俺が甘かった! そうだ花さんは基本的にとんでもなく頭がおかしいんだ!!)
キヨシ「…………」
花「流石に怖気づいた? まぁ今更外してほしいとか言っても外さないわよ」
キヨシ「……いいでしょう」
花「え?」
キヨシ「要は勃起しなければいいだけでしょう。紳士の俺にはこんなものは通用しないということをお見せしましょう」キリッ
花「……随分と余裕ぶってやがんな。何が紳士だ、エリンギ固くしてオシッコ出せなくなったりしたくせに」
キヨシ「ふっ、あれはあくまでメデューサの力です。パンツを履いている花さんで勃起する要素など一つもないんですよ!!!」ビシッ!!
花「なっ……」
キヨシ「もっと言うと、まだ万里さんや副会長の方が勃つ自信はある! あなたは気付いていないんだ、自分の色気の無さに!!」
バキィィィッ!!
キヨシ「がっ……は……」ヨロヨロ
花「ふざけんな! わ、私だって色気くらいあるだろうが!!」
キヨシ「ごほっ……それはこれからはっきりしますよ……」
花「ぐっ……いいわ……激痛にのたうち回りながら後悔しやがれ!」ギリギリ
ガチャ
キヨシ・花「「!?」」ビクッ
バタン
キヨシ(だ、誰か入ってきた……隣の個室か……?)
花「(音たてんなよ。じっとしてろ)」ヒソヒソ
キヨシ「(分かってます)」ヒソヒソ
「はぁー、確かにキヨシ君の声だったんだけどなー」
キヨシ「!!!???」
キヨシ(こ、この声千代ちゃんだ!!!!!)
花「(おいキヨシ聞け。私は外に出るけど、お前はここにいろ。私がトイレの外の様子を見て大丈夫そうになったら合図するから出てこい)」ヒソヒソ
キヨシ「(わ、分かり……)」ヒソヒソ
チョロロロロロロロ
キヨシ「!!!!!!!??????????」
キヨシ(こ、この音まさか……千代ちゃんが隣でオシッコしてるのか!? う、うわぁ……うわぁぁああああ!!!!!///)ドキドキドキドキ
千代「…………あ!」
千代(わ、わわっ! 考え事してて音消すの忘れちゃってたー!/// 隣に誰もいなければいいけど……)
花「(おいキヨシ。なにぼーっとしてんだよ分かったのか?)」ヒソヒソ
ムクッ
キヨシ(千代ちゃんが隣でオシッコ千代ちゃんが隣でオシッコ千代ちゃんが隣でオシッコ……!!!!!)
ムクムクッ……!
キヨシ(や、やばい!!!!!!)
花「(ちょっと? なに顔赤くして…………お前まさか!!!!!!!)」
グサッ!!!!!
キヨシ「ぎっ……んんんんんううううううううううううううぅぅぅっっ!!!!!!!」
ドンッ!! ガンッ!!
千代「えっ!?」ビクッ
千代(び、びっくりした……今の音なに……? 隣からだよね……)
キヨシ「~~~~っっ!!!!!!!!!!」ジタバタ!!
キヨシ(痛い痛い痛い痛い痛いいいいいいいいいいいいいいっ!!!!!!!!!!!! 死ぬ!!!!!! マジで死ぬ!!!!!!!!!!!!!!!)
花「(くっそ……お、大人しくしろバカキヨシ!)」ガシッ
花(マズイ……とりあえず一旦貞操帯を外して…………でも両手はこいつの口を押さえるので塞がってる!! 片手じゃ押さえきれないかもしれないし……)
キヨシ「んんんっ!!!!!! ん~~~~っ!!!!!!!!!!!!!!!」ジタバタ
花(何とか手を使わずにこいつの口を…………こ、これしかないっ!)
チュッ
キヨシ「むぐっ!? むぐううううぅぅっ!!!!!」
花「んっ……///」
花(は、恥ずかしがってる場合じゃない! とにかく口塞いでる間に鍵を外して……くそっ、手探りだからやりづらい!!!)ガチャガチャ
ガチャン!
キヨシ「んぐ……ん…………」ガクッ
花「ぷはっ///」
花(外れた…………けどキヨシも気絶しちゃったし……)
千代「…………」ドキドキ
千代(隣の人……何かうめき声みたいなのも聞こえたし……もしかして病気とか?)
千代「あ、あのー……大丈夫ですか? 誰か呼んできましょうか?」
花(うっ……やばい、怪しまれてる……こんなところ見られたら終わりだ!)
花「あ、え、えと……大丈夫大丈夫ー! ちょっと滑って体打っただけだからー!」
千代「そ、そうですかそれなら…………えっ、あれ、その声もしかして花さん!?」
花「ごめん千代ちゃん、隠れてるつもりはなかったんだけど……その、ほら音消し忘れてたみたいだから恥ずかしいかなって……」
千代「あっ、うぅ……///」
花「あはは、聞かなかったことにするから気にしないでいいよ!」
千代「う、うん、ありがと…………そうだ、花さん。実は、えっと、ちょっと聞きたいことがあって……」
花「聞きたいこと?」
千代「その……花さんってキヨシ君が他の女の子と仲良くしてたら気にしたりする……のかな? 例えば私、とか」
花「え、それって……」
花(まって、もしかしてキヨシの片想いじゃなくて、千代ちゃんもキヨシのこと……!?)
千代「あのね、私にとってキヨシ君はたった一人の……」
千代「相撲の話ができる友達なの」
花「……へ? 相撲? 友達?」
千代「うん……そんな友達キヨシ君以外にはいなくて……。
だからもっと相撲の話とか一緒に観戦とかしたかったんだけど、カノジョさんがいるならそういうのって遠慮した方がいいのかなって……」
花「あー…………ま、まぁ、あの噂が本当かどうかは置いといて、私だったらそこまで気にしない、かな。千代ちゃんが良い子だってのは私がよく知ってるし」
千代「ほんと!? ……あー、良かったー! 私ずっとそれで悩んでて……」
花「あ、あはは、そんな初めからそんなに気にすることないってー。それよりそろそろ戻った方がいいんじゃない? マユミさん待ってるよ」
千代「あ、うん、そうするね! ありがと、花さん!」
バタン
花「……はぁ、疲れた」
キヨシ「うっ……うう、ここは……千代ちゃんは…………」
花「起きたかキヨシ。いくら何でも大声出し過ぎだろうが、千代ちゃんにバレるところだったぞ」
キヨシ「大声って…………い、いや、あんな激痛で声出さないなんて無理ですって!!! マジで痛いんですよ!!!」
花「そりゃ痛めつける為に用意したんだから痛くなかったら困るわよ。じゃ、流石にもう萎んだだろうし、また鍵かけるわよ」ガチャン
キヨシ「え、あっ!! ちょ、な、何してんですか!!!」
花「何って、言ったでしょ。今日一日それつけて過ごせって」
キヨシ「やっぱ無理です! 想像以上に痛いっていうか、本気で洒落にならないんでやめてください!!」
花「はぁ? それを私が聞き入れるとでも思ってるわけ。それにアンタは私なんかで勃ったりしないんだろ? なら問題ないだろうが」
キヨシ「そ、それは……!」
花「覚悟しとけよキヨシ、デートはまだ始まったばかりだからな……」ニヤ
スタスタ……
キヨシ「くっ……!」
キヨシ(作戦変更だ……いくら何でも万が一勃起した時のダメージがでか過ぎる! 冗談抜きに俺のエリンギが使い物にならなくなっちまう!!!)
キヨシ(でも花さんは聞く耳を持ってくれない…………それなら俺が取るべき方法は一つ!)
キヨシ(このデートの間に、何とかして花さんから貞操帯の鍵を盗むんだ!!!)
今日はここまで
次の次くらいで終わり……だと思われ
スイーツ店 外
花「結構美味しかったわね、ここ。今度、会長や副会長にも教えてあげよっと」
キヨシ「そ、そうですね……それがいいと思います……」
キヨシ(こっちは貞操帯が気になってろくに味なんて分かんなかったけどな……あの激痛を知った後だと、通常時のこのチクチクする感じも恐怖でしかない)
キヨシ(とにかく鍵だ。一度あの鍵を手に入れて外してしまえば、あとは何言われても全力で拒否すればいい。これは無理矢理付けられるようなものじゃないし)
キヨシ(その為にはまず、花さんが鍵をどこに持っているのか知らないとな……バッグの中か、それとも身につけているのか)チラ
花「ねぇ、次カラオケ行かない?」
キヨシ「え、カラオケ……ですか? 別にいいですけど……」
花「よし、決まり。じゃあ行こ」ギュッ
キヨシ「っ!?」
キヨシ(手を……しかも恋人繋ぎ!?)
キヨシ「あ、あの、花さん?」
花「な、なによ、デートなんだから手を繋ぐことくらい普通でしょ……///」
花(どうだバカキヨシ……私の武器はメデューサだけじゃないってことを思い知らせてやる!)
キヨシ(うわぁ……やっぱ花さんの手やわらけー…………ってダメだダメだ! 雰囲気に呑まれるな、相手の思う壺だぞ!)
花「はぁ……にしても、あっついわねー」パタパタ
キヨシ「もう夏ですからね…………って、は、花さん? そんな服パタパタさせてると、えと、色々……」
花「……あ、うっ……み、見てんじゃねーよ///」
花(やっぱり恥ずかしい……!/// いや、頑張れ花! これはキヨシに勝つためなんだ!!)
キヨシ(花さんのパンツはもう何度も見たことあるけど、ブラはそんなにないな…………だが、甘いぜ花さん)
キヨシ「見ちゃってすいません……でも花さんも気を付けてくださいね。他の人の目もありますし」
花「え……あ、うん……分かった……」
花(な、なんだこの冷静な反応は! 私の胸に価値はないとでも言いたいわけ……!?)ギリギリ
キヨシ(こちとら散々副会長の爆乳や杏子さんの乳首チラ見えを経験してきた身だ。もはや花さん程度の胸などでいちいちうろたえる俺ではない!)
花(くそっ、私のこと色気がないとか言ったのはただの強がりじゃなかったってことか……?)
花(そもそもこいつ、本当に私のこと好きなんだろうな……クソメガネの奴、適当なこと言ったんじゃ……)
花(いやでも、好きだからこそ、エロい目で見られないとかそういうこともあるのか? ちっ、分かんねえなちくしょう)
キヨシ「どうしました、花さん? カラオケに行くんですよね?」
花「……あぁ、そうだよ。行くぞ」グイッ
花(まぁいい、まだ時間はある。じっくりとキヨシの弱点を探っていくだけだ)
カラオケ店
キヨシ「うわ、結構狭いですね」
花「二人なんだから大きい部屋通されてもしょうがないでしょ。いいからさっさと座りなさいよ」
キヨシ「あ、はい」ストン
花「…………」ストン
キヨシ「…………え?」
キヨシ(なんか近くないか……? いやメッチャ近い! 腕当たってるし!!)
キヨシ「あの、狭いといってもこんなにくっつく必要はないと思うんですけど……」
花「なによ、一応デートなんだからこのくらい普通でしょうが……///」プイッ
キヨシ「ふ、普通……なんですか……」
花(よし、動揺してる動揺してる。こんな薄暗い部屋に女の子と二人きり……思った通り、この場所は攻めるのに絶好の空間!)
花「アンタやっぱり女の子と二人でカラオケ来るのは初めて?」
キヨシ「そりゃもちろん……というか、女子とか関係なく、二人でカラオケってのが初めてですよ。大体は大勢で騒いでる感じですし」
花「はっ、女っ気のない悲しい青春送ってきたのね。まぁ、ウチの学校受けるくらいだからそんなもんか」
キヨシ「か、悲しくなんかないですよ皆で騒ぐのも楽しいですし! そういう花さんこそ、男と二人でカラオケなんて初めてでしょ」
花「なっ……そ、そんなわけねえし! つーか、普通に考えてこんな可愛い女の子、男が放っておくわけねえだろ!」
キヨシ「でも花さん、高校二年間は異性関係に厳しい女子校での生活だったんですから、そういうのは難しかったんじゃないですか?」
花「そ、それは……っ!」ギクッ
キヨシ「まぁ、確かに花さん可愛いですし、普通の共学の高校に通ってたらそれはモテたでしょうけど」
花「っ!!///」カァァァァ
花(こいつ、不意打ちで口説いてきやがった!/// や、やるじゃねえか……)
キヨシ(そう、花さんって可愛いんだよな。普段はアレなところが多過ぎて忘れちゃうけど)
キヨシ(でも仮に花さんが誰かと付き合うことになったとして、まともに相手できる男がいるのか……? いや、これは余計なお世話だな)
キヨシ(……と、今はそれよりこの貞操帯をどう外すかだ。まずは鍵の在り処から探らないと)
花「……ねぇキヨシ」
キヨシ「はい?」
花「アンタってさ、その……まだ千代ちゃんのことが好きなの?」
キヨシ「っ!!」ビクッ
キヨシ(まさか……千代ちゃんを使って何か仕掛けてくるつもりか!? それは絶対マズイ! くそ、流石は花さん……俺のエリンギの弱点を熟知しているのか!?)
花「ど、どうなのよ」
キヨシ「……あー、その、今は違う、というか…………」
キヨシ(千代ちゃんごめん……でも、この場はこう言わないと俺のエリンギが危ないんだ……)
花「へ、へぇ~、今は違う……かぁ……///」
花(やっぱりクソメガネの言ってた通りこいつ、私のことを……!? い、いや、落ち着け、結論を急ぐな……)
花「ま、まぁ、アンタが誰のこと好きだろうが私には関係ないけどな! それより、せっかくカラオケ来たんだから何か歌えよ!」
キヨシ「え、あ、はい……いいですけど……」
キヨシ(落ち着けキヨシ、鍵を手に入れるまでは穏便にデートを進めていくに越したことはない。それなら出来るだけ女の子ウケの良い曲を選ぶんだ)
キヨシ(といっても、どんなの歌えばいいんだ……やっぱセカオワとかワンオクとかなのか? 曲調は?)
キヨシ(くっそ、男同士ならとりあえずテンション上がるハイテンポな曲入れとけば間違いないのに、相手が女の子だとこんなにも悩むものなのか……!)
花「どうしたのよ、早くしなさいよ」
キヨシ「すいません、何歌おうか迷ってて……」
キヨシ(とりあえず最初はバラードよりもノリが良い曲の方がいいはず! あとたぶん、女子はラブソングが好きだ! もちろん、ある程度の知名度も求められる!)
キヨシ(それなら……これだ!!)ピッ
花「この曲……」
キヨシ「ほら、あなたにとって、大事な人ほど、すぐそばにいるの~♪」
花(古っ!! いや、まぁ、定番だけどさ…………つか無駄に上手いなこいつ)
花(それに……い、いきなりラブソングなのは何かあるのかな……///)
キヨシ「ただ、あなたにだけ、届いてほしい、響け恋の歌~♪」
花「……///」
キヨシ「……ふぅ。あの、花さん? 花さーん」
花「っ! な、なによ!!///」
キヨシ「いやもう終わったんですけど……」
花「……あ、そ、そう……。ま、まぁ意外と音痴ではなかったけど、いきなりこういう曲とか……///」
キヨシ「えっ、ま、まずかったですか……?」
花「まずいっていうか……ちょっと直球過ぎるっていうか……ああもういい!!///」
キヨシ「は、はい……」
キヨシ(言葉はあれだけど、なんか見た感じ結構好印象っぽくないか……? やっぱり女子はラブソングが好きなんだな!)
キヨシ「えーと、じゃあ次は花さんですか?」
花「っ……そ、そうね、順番的には私ね」
花(ど、どうする!? 予定ではエロい曲をエロく歌ってキヨシのエリンギを追い詰めようと思ってたけど……)
花(……ダメだ、ラブソングのあとにエロい曲とか誘ってるみたいじゃねえか!/// とにかく、この空気に乗っかるわけにはいかない……だから断ち切る!)ピッ
キヨシ「なっ……そ、その曲は……!!!」
花「あ、あーるーこー♪ あーるーこー♪ わたしはげんき~♪」
キヨシ(馬鹿な……まさかの童謡だと!!!??? それは完全にネタが尽きた後に到達する、言わばカラオケの墓場のようなもののはず!!! それをこんな序盤から!?)
キヨシ(な、なにを考えているんだ花さんは……くっ、まったく分からない!!!)
花「……ちょっとキヨシ、終わったんだけど。ノーリアクションってなによ」ジト
キヨシ「えっ、あ、すいません! その……か、可愛かったです……」
花「っ!?///」ボンッ
キヨシ(た、たぶん今のはそういうカワイイ系を狙った……んだよな? たぶんこの返答で間違いないはずだ!)
花(か、かわいいって……こいつ、さっきから……!///)
花「うっ……わ、私が可愛いってことくらい誰でも知ってんだよ!/// ほら、どんどん曲入れてけよ!」
キヨシ「あ、はい、分かりました!」
数時間後
キヨシ「…………なんかおかしくないですか、これ」
花「な、なにが? 別に何もおかしくないわよ」
キヨシ「そ、そうですか……」
キヨシ(俺はとにかく女の子ウケの良さそうなラブソング連発……そして花さんは童謡連発……お、女の子とのカラオケってこういうものなのか!?)
花(キヨシのやつ、ラブソングばっか歌いやがって……!/// いくら何でも積極的過ぎんだろうが!!)
花「あ、あー……そうだ、そろそろお腹すかない? 面倒だから、お昼はここで済ませちゃうわよ」
キヨシ「そうですね、じゃあ適当に頼みますか」
キヨシ(しまった、気付けばもう昼……まだ鍵の在り処さえ掴んでないのに!)
店員「お待たせしましたー」
花「どもー」
キヨシ「あ、いい匂い…………っ!?」
店員「? あの、どうなさいました?」キョトン
キヨシ「い、いえ……なんでも……ないです……」
キヨシ(ば、爆乳!!!!! すげえ、副会長レベルだ!!!!! し、しかも、机にお皿並べる時に前屈みになって……!!!!!)ゴクッ
グサッ!!
キヨシ「っっ!!!!????? おごぅぅぅううううぅううんんんんんっっっ!!!!!!!」
店員「っ!?」ビクッ
花(こいつまた……っ!!)
花「え、えと、き、気にしないでください! この人変にテンション上がってるみたいで!!」
店員「は、はぁ……それでは、ごゆっくり……」
バタン
花「こんのクソキヨシ!!! 毎回変なタイミングでデカくしてんじゃねえよ!!!!!」ゲシゲシ!!
キヨシ「ぐっ……す、すいま……せん……!」ズキズキ
キヨシ(油断してた……! でも千代ちゃんの時より痛みはマシだ……あの時はフル勃起だったからな……)
花「ちっ……また私以外の女で勃たせやがって……」イライラ
花(……でも見てろよ。ここからは私の攻撃だ!)
キヨシ(やっぱりこの貞操帯がある限り、何が起きるか分かったもんじゃない。俺のエリンギが再起不能になる前に何とかしないと……)
花「なにぼーっとしてんのよ。料理冷めるじゃない」
キヨシ「あ、はい、そうですね。食べましょう」
花「う、うん…………はい、あーん」スッ
キヨシ「……え?」
花「早く食えっての!///」ギュッ
キヨシ「いやあの、花さん? 一人で食べられますし、こんな密着してると逆に食べづらいんですけど……」
花「文句言うな! ほ、ほら、デートって言ったら、こういう……感じじゃない……///」
キヨシ「あー、まぁ、確かにそういう……感じかもしれないですけど……」
キヨシ(あんまり拒否して機嫌損なわれてもマイナスにしかならないし……ここは大人しく従っておこう)
キヨシ「あむっ」パクッ
花「……どう?」
キヨシ「普通に美味しいですよ」
花「……ふ、ふーん。そりゃ良かったわね」
キヨシ(なんだろう、前までは花さんとこんなに密着してたらドキドキしてたはずなのに、今はかなり落ち着いてる。貞操帯の恐怖のせいなのか、単に花さんに慣れたのか……)
花(くそっ、キヨシの奴、動揺してない! まさかもう千代ちゃんとこういうことしたことあるんじゃねえだろうな!?)
キヨシ(よし、歌ってる時は選曲に気を取られて余裕がなかったけど、今はまともに頭も回る。とにかく、鍵の場所を探るには、花さんにそれを取り出してもらう必要がある)
花「キヨシ。おいキヨシ聞いてんのか?」
キヨシ「……え、あー、なんですか?」ボー
キヨシ(馬鹿正直に鍵を見せてほしいなんて言ってもダメだ。むしろ警戒されちまう)
花「だから、今度はお前が私に食べさせろっつってんだよ」
キヨシ「いいですよ、はい」スッ
ガツッ!!
花「いってえなクソが!!!!!!」ブン!!
キヨシ「ごぶっ!!!」バキッ!!
キヨシ(やべっ、花さんの歯にスプーン思い切りぶち当てちまった!)
花「き、キヨシ……テメェ……」
キヨシ「す、すいません!! 少しぼーっとしてました!!!」
花「……デートなんだから…………ちゃんと私の相手しろよ…………」ムスッ
キヨシ「え、あ……すいません……」
花(なんだよこれ……ムカツクだけじゃなくて、なんか…………ちっ、くそっ)
花「もういいわよ。ほらやり直し」
キヨシ「あ、はい。今度はちゃんとやるんで!」
花「当たり前だろ。早く」
キヨシ「あーん」
花「……///」パクッ
キヨシ「ど、どうですか?」
花「ま、まぁまぁね」
花(……あれ? なんでこんなことしてんだっけ私)
キヨシ(確かに花さんを放っておくのは失礼だ……でも、今は何を置いてもこの貞操帯を何とかしないといけない……)
キヨシ(…………あ、そうだ!)
キヨシ「あの、花さん。ちょっとトイレに行きたいんですけど……」
花「……いいわ。漏らされても困るし。じゃあ行くわよ」
キヨシ(やっぱりついてくるよな……)
トイレ後
キヨシ「はぁ……」
キヨシ(一回トイレするのにも一苦労だ……案の定、女子トイレで周りの目を気にしながらだし)
花「トイレはなるべく最小限に抑えなさい。面倒だから」
キヨシ「分かりました……」
キヨシ(でも……花さんが鍵を出し入れする時をよく見て、場所は分かった。胸ポケットだ! 場所さえ分かれば、あとは……)
キヨシ「……あの、花さん。次なんですが、映画でも観ません?」
花「映画? んー、まぁ、デートの定番ね。いいわよ」
キヨシ(よし……次が勝負だ!)
映画館
花「そんなに人入ってないわね」キョロキョロ
キヨシ「メジャーな映画ではないですからね。でも安心してください。俺、良い映画を発掘するのが得意なんです!」
花「本当かよ……まぁいいわ、どこでもいいからさっさと座るわよ」
キヨシ「ここがいいです。ここにしましょう」
花「え……なんでそんな隅なのよ。真ん中空いてんじゃない」
キヨシ「いえ、実は映画ってこういう隅で観るのが一番なんですよ。光の当たり具合とかその辺の関係で」
花「そう、なの? じゃあいいわよここで」ストン
キヨシ(ここまではいい感じだ……いくら人が少ないとはいえ、流石に真ん中で変な動きしてたら目立つしな……)
ギュッ
キヨシ「……花さん?」
花「で、デートなら……手繋ぎながら観るのが普通でしょ……///」
キヨシ「そ、そう……ですね」
花(少しは動揺してるのか……? まぁ、どうせ恋愛映画だろうから、そういう雰囲気になって濡れ場でもあれば、こいつはまたエリンギを固くするはず!)
キヨシ(片手を塞がれたのは予想外だけど、大丈夫だ。花さんの胸ポケットから鍵を取ることくらい片手でもできる。問題はタイミングだ)
ブー
キヨシ「……始まるみたいですね」
花「うん……周りに迷惑だから話しかけたりすんじゃないわよ」
キヨシ「分かってますって」
キヨシ(間違っても俺が花さんに話しかけるようなことはない……これは無言の勝負!)
数十分後
花「…………」スースー
キヨシ「ぅ…………あ、れ……?」ウトウト
キヨシ(花さん……寝てる!? よ、よし、いいぞ予定通りだ!)
キヨシ(あぶねえ、あまりのつまらなさに俺も寝るところだった……まぁ、そういう映画を選んだんだけど)
キヨシ「…………」チラ
花「…………」スースー
キヨシ(ほんとに寝てる……よな? なら、あとは……胸ポケットから鍵を取るだけだ)
キヨシ(鍵を取ったあとは、この繋がれた手を解いて外のトイレで貞操帯を外す。
もし手を解く時に起きたとしても、花さんはすぐには鍵を取られたことには気付かないだろうから、何か理由をつけて一人で外に出ればいい)
キヨシ(よし……やるぞ!)ゴクッ
キヨシ「…………」ソロー
キヨシ(ゆっくり、ゆっくりだ。焦るな……花さんの様子もよく見ながら、慎重にやれ……)
キヨシ(ポケットの中……奥の方まで……手を……や、やばい、緊張して手汗が凄いことになってきたぞ……バレないだろうな……)ゴソゴソ
花「んっ……」モゾモゾ
キヨシ「っ!!」ピタッ
花「…………」スースー
キヨシ(あっぶねえ……心臓止まるかと思った……。でも、もう少し……もう少しだけ奥に手を……それにしても、さっきから何だこの柔らか…………あ)
フニュ
キヨシ(……ま、まて。待て待て。俺は今、花さんのどこをまさぐってる? そう、胸ポケットだ。じゃあ、この柔らかい感触は…………!?)
フニュフニュ
キヨシ(俺…………花さんのオッパイ揉んでる!!!!!????????)
ドクンッ!
キヨシ(っ……だ、だめだ! 意識するな、いくら何でもそれはマズイ!! 俺は花さんの胸ポケットから鍵を取ろうとしてるだけだ!!)ゴソゴソ
モニュモニュ
花「んんっ……///」ビクッ
キヨシ(え……な、なんだ花さんのこの反応…………ま、まさか、感じ…………)ゴクッ
グサッ!!
キヨシ「んぐぐぐぅぅぅうううっっっ!!!!!!」ガタンッ!!
花「えっ!?」パチッ
キヨシ「お、ごぉぉおお…………」ガクガク
花「ちょ、ちょっとアンタ何呻いてんのよ…………まさか」
花(こいつ……また勃起しやがったのか!? ま、まさか、私が寝てる間に何かしたの!?///)
花「ねぇ、アンタさっきまで何を……」
キヨシ「ぐっ……そ、その……映画……が……」
花「映画? あぁ、このくっそつまらない…………」チラ
オウ、イエース! アン、アン!!
花「っ///」
花(な、なるほど、映画の濡れ場見てこうなったわけね……まぁ、考えてみれば私に手を出すような度胸はキヨシにはないか……)
キヨシ(何とかごまかせたけど……貴重なチャンスを無駄にしちまった……。つか大丈夫なんだろうな俺のエリンギ……いってえ……)
ゲーセン
花「ったく、あんなクソ映画観せやがって。やっぱアンタに任せたのが間違いだったわ」
キヨシ「す、すいません……」
キヨシ(結局、退屈過ぎてあの後すぐに花さんが映画館から出ちまったからな……まずいぞ、早く他の案を考えないと俺のエリンギがもたない……)
花「……あ、これ可愛い」
キヨシ「え? あー、UFOキャッチャーのぬいぐるみですか。でもこういうのって中々取れないですよ」
花「んなもんやってみなきゃ分かんねーだろ。見てろよ」チャリン
ウィーン……ボトッ
花「くっそ……毎回思うけどアームの力弱過ぎんだろこれ!」
キヨシ「確か持ち上げようとするんじゃなくて、引っ掛けるイメージでやると上手くいきやすいって聞いたことありますけど」
花「なんだよ意外とコツとか知ってんのか。おいキヨシ、じゃあ次お前やってみろよ」
キヨシ「えっ……いや別に俺、ぬいぐるみとかいらないんですけど……」
花「こういう時男が取ってくれるのがデートってもんだろうが!」
キヨシ「あー、まぁ、そうかもしれないですけど……でも俺上手くないですし自信ないですよ?」
花「いいからやれっつの」
キヨシ「じゃあ……」チャリン
ウィーン……ガタン!
キヨシ「あれ、取れた」
花「なっ……い、一発で……!」
キヨシ「運が良かっただけですよ。どうぞ」スッ
花「え……く、くれるの?」
キヨシ「いや花さんが言ったんじゃないですか。デートなら男がこういうの取ってくれるって」
花「あ……うん。ありがと……///」
花(考えてみれば、これ男子からの初めてのプレゼントかも……///)
キヨシ「な、なんか今日一番嬉しそうですね。そんなに好きなんですかぬいぐるみ」
花「そ、そうだよ悪いか! それより負けっぱなしは腹立つから、次はエアホッケーで勝負しろ!」ビシッ!!
キヨシ「いいですけど……そもそもUFOキャッチャーに勝ち負けなんかあったんですか……?」
花「あ、あるだろ! 取れたら勝ち、取れなかったら負けだ! いいから行くぞ!!」
エアホッケー
カン!! カン!!
キヨシ「ぐっ……あの、は、花さん、本気出し過ぎじゃないですか!?」
花「そりゃ勝負なんだから本気に決まってんだろ! おらぁぁぁ!!」ブン!!
ビュン!!
キヨシ「あぶなっ! ちょ、今顔面に飛んできたんですけど!! 何場外に飛ばしてんですか!!」
花「え、相手をKOしても勝ちってゲームでしょこれ」
キヨシ「絶対違います」
ガンシューティング
バン!! バン!!
花「こ、の……! なんで当たんねえんだよこれ!! で、なんでクソキヨシはそんなに当たってんだよ!!!」ギリギリ
キヨシ「ふっ、こう見えても俺、練馬一のガンマンと呼ばれてましたから」ドヤァァァ
花「ウソつけ! くっ、こうなったら……」ゲシゲシ!!
キヨシ「いてっ、な、なんで足蹴ってくるんですか!」
花「うるせえ、こういう妨害も戦略の内だっつの!」
キヨシ「そもそもこれ、基本的に協力するゲームですからね!?」
太鼓の達人
ドドドドドカカカカカドドドドド……!!
キヨシ「あ、あの……花さん……」ゼェゼェ
花「な、なんだよ……集中してんだから話しかけんな……」ゼェゼェ
キヨシ「もっと……簡単な曲にしま……せん……? お互い……ほとんど叩けて……ませんし、疲れる……んですが……」
花「簡単な……曲にしたら……つまんねえだろうが! こういうのは……最高難易度に…………限るんだよ……!!」
キヨシ「ぐっ……い、いいでしょう……! 俺の適当に叩きまくるテクで勝ってみせますよ!!!」ドドドドドドドドドド!!!!!
花「はっ、それで体力が保てばいいけどなああああ!!!」ドドドドドドドドド!!!!!
「ママー、あのお兄ちゃんとお姉ちゃん、凄い顔で太鼓叩いてるー!」
「しっ、見ちゃいけません!」
数十分後
キヨシ・花「「…………」」グッタリ
キヨシ・花((なんか普通に遊んでしまった!))
キヨシ(落ち着け、冷静になれ。花さんのペースに乗せられちゃダメだ。俺の目的はあくまでもこの貞操帯を外すことだ)
花(考えてみれば、キヨシの奴、ここまで私以外で勃起してばっかじゃねえか! そろそろ私自身の力で勃たせねえとやり返したって感じがしねえ!)
キヨシ(でもどうやって鍵を取る……? 鍵は花さんの胸ポケットにあるから、余程のことがない限り、本人に気付かれずにってのは無理だ)
花(まずは……か、体を密着させるべきか……?/// いや、でもそれはこれまで何度か試した。それだけじゃない、もっとインパクトがあるやり方で……)
「次プリクラ撮ろープリクラー!」
「いいよいいよー」
「あはは、コスプレもできんだって! ウケる!!」
「いいじゃん、やってみようよー!」
「やだー!」
キヨシ「あ……」
花「……そうか」
キヨシ・花((これだ!!!!!))
プリクラ機内
花「ど、どう? メイド服なんて初めて着たんだけど……///」
キヨシ「よく似合ってると思いますよ。メッチャ可愛いです」
花「っ……はっ、そ、そりゃ、私だもんな! 何着ても可愛いよな!!///」
花(よし、反応も悪くないし、これならいける!)
キヨシ(花さんが元々着ていた服は……荷物と一緒に後ろのカゴの中か)
花「にしても、最近のゲーセンは凄いわね。更衣室まであるなんて」
キヨシ「元々コスプレって人気ですしね。そういえば体育祭でもあったじゃないですかコスプレ」
花「うっ……思い出させんなよそれ……」ズーン
キヨシ「す、すいません……そうですよね。じゃあもう撮っちゃいましょうか」
花「そ、そうだな……で、どんな感じに撮る? やっぱデートなんだし、腕とか組んだり……」
キヨシ「ちゅープリを撮りましょう」
花「……は?」
キヨシ「ちゅープリを撮りましょう」キリッ
花「…………ね、念の為に聞くけど、ちゅープリって」
キヨシ「チューしてプリクラを撮るんです。デートならこれが普通です間違いありません」
花「ふ、普通……か……///」
花(……待て、よく考えろ花! これはむしろチャンスだ!!)
花「えぇ、いいわよ。やってやろうじゃん、ちゅープリ」
キヨシ「ありがとうございます。花さんなら怖気づかないで承諾してくれると信じていました」
花「私をナメんなよ。お前とのチューくらい、もう何ともねえんだよ」ニヤ
キヨシ「流石は花さんです。では……さっそく撮っちゃいましょう」チャリン
キヨシ(ここまでくればこっちのもんだ……あとは前みたいにベロチューで気絶させるだけ!)
キヨシ「フレームは適当でいいですよね」ポチポチ
花「ばっ、んなわけあるか!! どけっ、私が選ぶ!!」
キヨシ「え……は、はい……」
キヨシ(なんだ、女子ってそこから結構拘るのか……? 張り切るのは最後の落書きくらいだと思ってたけど)
花「んーと……あ、これ可愛い。はい、いいわよ」
キヨシ「じゃあチューしますね」スッ
花「えっ!? ま、待って!!」ガシッ
キヨシ「どうしたんですか?」
花「どうしたんですかじゃねえよ! 流れ作業みたいに軽く済ませようとすんじゃねえ!!」
キヨシ「じゃあどうすれば……」
花「そ、それは……もっと、こう、さー……雰囲気とかさー……///」モジモジ
キヨシ「雰囲気……? そう言われても……あ、なんかもうカウント始まってますよ」
花「っ!? は、早くしろバカキヨシ!」
キヨシ「だから早くしようとしたら花さんが止めたんじゃないですか!」
花「だー、うっさい! もういいからさっさとするぞ!!」
キヨシ「はいっ!」スッ
ガツッ!! パシャ!!
花「ぐっ……いってえな!! 歯ァ当たったぞ!!」ゲシゲシ!!
キヨシ「す、すいません、急いでたんで……いってぇ……」
花「ったく、お前はほんとに…………ってもう次のカウント始まってる!」
キヨシ「花さん、一つ提案があります! 聞いてください!」
花「なんだよ早く言え!!」
キヨシ「撮るタイミングだけチューするんじゃなくて、もう終わるまでずっとチューした状態のままでいましょう! それが一番慌てなくて済みます!!」
花「あ……え、えぇ……それもそうね……///」
キヨシ「じゃあ花さん。いきますよ」ガシッ
花「……ゆ、ゆっくり、優しくしなさいよ。さっきみたいに歯ぶつけてきたら殴るから……」
キヨシ「分かってます」スッ
チュッ
花「んっ///」
キヨシ(……花さんには悪いけど、これは俺のエリンギを守るためだ!)
ズズッ
花「んんっ!? んんんんん!!!///」ビクッ
花(こいつ……また舌を!!! や、やばい……頭が……!!!)クラクラ
キヨシ(撮り終わるまでそんなに時間はない。それまでに花さんを……落とす!!)レロレロ
グサッ!!
キヨシ「んぐぅぅうう!!!?????」ズキン!!
キヨシ(い、いってええええええ!!! これは……まさか……!!!!!)ズキズキ
花「…………」ニヤ
花(キヨシの舌の勢いが止まった! やっぱり、流石にこんなことすれば勃つみたいだな!! この隙に……私が攻める!!!)レロ
クチャ……ジュル……
キヨシ「っっ!!」ゾクッ
キヨシ(バカな……花さんの方から舌を……!!!!! ぐっ……ぁぁああああ……や、やばい、どんどん……勃起が……!!)ガクガク
花(あの日みたいにやられっぱなしだと思うなよ! これで終わらせてやる!!)レロレロ
キヨシ「んぐっっ……ぅぅぅううっ…………!」レロ
花「んんんんっ!!///」ビクンッ!!
花(うそ……キヨシのやつ、まだ……!///)
キヨシ(痛い……痛い、けど!! ここは引けない!!!)
『撮影はおしまい! 次はラクガキをしてみよう!』
キヨシ・花「「ぷはっ!!」」
キヨシ「くっ……はぁ……」ズキズキ
花「ふ……ふふっ……///」フラフラ
キヨシ(あ、甘かった……花さんは何度も同じ手が通じるような相手じゃない……!)ハァハァ
花(キヨシのやつ……思ったより耐えるわね……!)ハァハァ
花「と、とりあえず……ラクガキするわよ……。でも、これで終わりじゃないから。まだまだやるから……!///」
キヨシ「……分かり、ました。ラクガキは……お任せ、しますね……ぐっ、いってぇ……」ズキズキ
キヨシ(マズイ……痛みでこっちの方が意識が朦朧としてきた…………でも)チラ
花「はぁ……はぁ……/// くっそ、描きづれえなこれ……」フラフラ
キヨシ(気絶までは持っていけなかったけど、明らかにフラフラしてるし確実にダメージは入ってる……今なら注意力も散漫になってるはず!!!)
花(……あ、あれ、でも、何て書こうかな。で、デートなんだし、『大好き!』とか……? ハートマークとか入れちゃう?///)
花「ね、ねぇ、ちょっとキヨシ。アンタも少しは何書くか考え…………」
ゴソゴソ……ピタッ
キヨシ「…………あ」ダラダラ
花「え、アンタ……なにやって…………」
キヨシ「くっ!!!!!」ダダッ!!!!!
花「おいっ!? あいつ、何いきなり飛び出して…………つか何漁ってやがっ…………あ」
花(まさか…………まさか!!!!!)ゴソゴソ
花「…………やられた。あいつ、鍵を…………最初からこのために…………」
花「…………」ブチッ
花「キヨシィィいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいっっっっ!!!!!!!!!!!!!!!!」ダダッ!!!!!
洋服店
マユミ「いいな千代は可愛くてー、何でも似合うじゃんー」
千代「そ、そんなことないってばー。それに本当に可愛かったとしても、服が酷いとやっぱり酷いもんだよ……」
マユミ「え、なに、どうしたのいきなり暗くなって。千代のセンスはそんなに酷くないって!」
千代「あはは、私じゃないんだけどね…………とにかく、服は大事だよ、ほんとに」
マユミ「そ、そっか……なんか大変なんだね千代も……。あ、そうだ、じゃあ気晴らしにこの後は上のゲーセンでも行ってみない? 何かスカッとするゲームでもやろうよ!」
千代「うん、いいね! やろうやろう! 相撲のゲームとかないかなー」
マユミ「それはないんじゃないかなぁ…………ん?」
千代「どうしたのマユミ?」
マユミ「なんか聞こえない? 遠くの方から…………いや、近付いてきてる……のかな」
千代「え、そう……?」
「このクソキヨシがああああああああああああああああああああ!!!!! ぶっ殺してやる!!!!!!!!!!!!!!!!」
マユミ「……き、聞こえた?」
千代「う、うん……今のは流石に……」
マユミ「なんか女の人がとんでもなく怒ってるみたいだったよね……カレシが何かやらかしたのかな。ていうかキヨシって…………あはは、まさかね」
千代「カレシ……クソキヨシ……」
千代(さっきの声……凄く怖かったけど、何となく花さんに似てたような…………気のせいかな?)
今日はここまでー
次でおしまい&ちょっとアレな場面があるから一応注意
***
ダダダダダダダダダッ!!!!!
キヨシ「はっ……はっ……!」
花「このクソキヨシがああああああああああああああああああああ!!!!! ぶっ殺してやる!!!!!!!!!!!!!!!!」
キヨシ「ひっ!」ビクッ
キヨシ(やっぱ花さん、完全にブチギレてる!! 捕まったら殺される!!!)
キヨシ(くそっ、花さんは慣れないメイド服着てるし、何とか逃げ切れると思ってたけど甘かった! 俺もまだ貞操帯の痛みが残ってて上手く走れないし……!)ズキズキ
キヨシ(とにかく、このままだと追いつかれる……一旦どこかに隠れてやり過ごさないと! でもどこに!? どこかないか!?)キョロキョロ
ガシッ!!
キヨシ「っ!?」
キヨシ(なんだこの手!? どっから…………え?)
バサッ!!
花「どこ行きやがったキヨシぃ……!」ギラッ
キヨシ「…………!」ゴクッ
キヨシ(試着室の中……そうか、ここなら隠れるにはちょうどいい…………でも)
千代「(しー、キヨシ君。大丈夫、静かにしてれば気づかれないよ)」ヒソヒソ
キヨシ「(ち、千代ちゃん……! あ、あの)」
千代「(安心して、詳しくは聞かないよ。でも、今は一旦距離を置いて二人共冷静になるべきだと思って)」
キヨシ「(……千代ちゃん。確かにここなら見つからないかもしれない。でも、これは……)」
千代「(え……ご、ごめん、狭いと思うけど我慢してね)」
キヨシ(違う……違うんだ千代ちゃん! 今、この状況で問題なのは…………)
キヨシ(千代ちゃんの…………その下着姿なんだ!!!!!!)
グサッ!!
キヨシ「んぐぅぅぅううううううっ!!」
ガンッ!! ドンッ!!
千代「(キヨシ君!? どうしたの!?)」
キヨシ「(がっ……うぅぅぅううううっ……だ、大丈夫…………!)」ガクガク
キヨシ(トゲ付き貞操帯を付けてるなんて千代ちゃんにだけは絶対に知られたくない!!)
千代「(で、でもそんなに辛そうなのに……)」
花「……そこか」ギロ
キヨシ・千代「「っ!!!」」ビクッ!!
キヨシ「(バレ……た…………。ご、ごめん、千代ちゃん、とにかく、その、服着て体隠して……)」
千代「(え、あ、う、うん…………でも、ど、どうしよ……花さんこっち来てる……)」
キヨシ「(俺……大人しく出て行くよ。これ以上千代ちゃんに迷惑かけられない……)」
ガシッ
キヨシ「(千代ちゃん?)」
千代「(…………待って、もしかしたらごまかせるかもしれない)」
キヨシ「(で、でもこの状況は流石に……!)」
千代「(やってみるだけやってみるよ。キヨシ君、ちょっと私に電話かけてくれないかな)」
キヨシ「(え、そんなことしたら音が……)」
千代「(大丈夫、私のケータイはサイレントモードにしたから)」ポチポチ
キヨシ「(そ、それじゃあ……)」ピッ
千代「(そのまま少し通話状態を続けた後に切って。私はちょっと花さんと話してくるね)」
キヨシ「(えっ!?)」
ヒョコ
千代「あれ、花さん? どうしたの?」
花「……千代ちゃん?」
キヨシ(な、なるほど。顔だけカーテンの外に出せば、中に他の誰かがいることを隠したまま自分の存在だけをアピールできる)
キヨシ(でも、花さんはそれだけでやり過ごせる程甘くないんじゃ……)
花「ねぇ、千代ちゃん。なんかその中からキヨシの声が聞こえたような気がしたんだけど」
千代「あ、う、うん、ほら、さっき電話がかかってきて。凄い大声でビックリしちゃったよ」スッ
花「……着信履歴、か。キヨシは何て?」
千代「なんか助けてほしいって……でも私が何か答える前に切れちゃったんだよね」
花「ふーん……」
千代「…………」ゴクッ
キヨシ(普通ならスピーカー越しの声と生声の違いは分かる。でも、花さんが俺の声を聞いたのはカーテン越しで、だ。それで判別できない可能性に賭けたのか……!)
キヨシ(ただ、それでも上手くいくかどうかは微妙…………頼む……!)
花「そ。ごめんね千代ちゃん、着替え中に」
千代「あ……う、ううん! 大丈夫だよ!」
キヨシ(やった……やったぞ……!)
花「それじゃ、私はキヨシ探さないと行けないから」スタスタ
千代「うん、分かった。私も見かけたら連絡するね!」
キヨシ「ありがとう千代ちゃん! 本当に助かったよ!」
千代「あはは、どういたしまして。でも、時間置いたらちゃんと話し合わないとダメだよ?」
キヨシ「う、うん……そうだね……」
キヨシ(ただ、その前に貞操帯だけは絶対に外さないといけない。流石に千代ちゃんの前ではできないし、一旦どこかの男子トイレにでも入ろう)
千代「それじゃ、そろそろ出よっか? 花さんももういないみたいだし」
キヨシ「あ、うん」
キヨシ(狭い空間に千代ちゃんと二人きりっていうのは捨てがたいけど、この貞操帯がある限りは避けたほうがいいよな)
キヨシ(花さんは……いない、な。よし、じゃあ千代ちゃんと別れて早くトイレに……)
バサッ
花「ようキヨシ。着替えは終わったのか?」ニヤ
キヨシ「っ!? は、花……さん……?」ガクガク
キヨシ(他の試着室に入ってたのか……やられた……!!!)
千代「あ……えと、花、さん……」
花「いいよ千代ちゃん、気にしなくて。どうせそこのバカに言われて仕方なくやったんでしょ?」
千代「……ううん。私は、その……もっと二人に冷静になって話し合ってほしかったの!」
花「…………」
千代「ごめんね、何も知らないくせに出しゃばって……でも、キヨシ君は何の理由もなしにここまで人を怒らせるようなことはしないと思う!」
キヨシ「千代ちゃん……」
千代「だから、お願い花さん……話だけでも聞いてあげて……暴力とかはダメだよ……」
花「…………千代ちゃんは優しいね」
花「でもごめん、これ私とキヨシの話だからさ」
千代「っ……そ、そう……だよね……」
キヨシ「……本当にありがとう、千代ちゃん。でも、もう十分だよ。あとは俺が話し合うから……これは、俺のせいだから……」
千代「……分かった。でも花さん、最後に一つだけいいかな」
花「なに?」
千代「キヨシ君は、花さんのことが好きだよ。それだけは忘れないで」
花「…………っっ!!!??//////」ボンッ
キヨシ「ち、千代ちゃん!?」
キヨシ(やっぱり勘違いされてた!!!!!)
千代「それじゃ、本当にもう行くね。マユミも待たせちゃってるし」
千代(いくら恋人でもケンカすることくらいあるよね……でも、好きっていう気持ちさえしっかり伝わっていれば、きっと仲直りできるはず……)
キヨシ「あ、ちょ、千代ちゃん!」
スタスタ……
キヨシ(行っちまった……くっ、一刻も早く誤解を解きたいのに!)
花「……あ、あの、さ……キヨシ……///」
キヨシ「…………」
キヨシ(そうだ、いくら千代ちゃんの誤解を解いたところで、花さんとの因縁に決着をつけない限り噂は止まらない……それならやっぱり)
キヨシ「……花さん。俺の話、聞いてもらえませんか? 大事なことなんです」
花「……うん」
キヨシ「……?」
キヨシ(な、なんだ? さっきまで本気で殺されるかと思うほど怒り狂ってたのに、随分と大人しいな……)
キヨシ(いや、油断するなキヨシ。嵐の前の静けさという言葉もある。まずは花さんと話し合って、この貞操帯だけは勘弁してほしいってことを何とか分かってもらわないと)
キヨシ(そして本来の方法……メデューサを押し付けてもらって花さんの復讐を終わらせるんだ!)
花「でもキヨシ……その話って、ここでするの? もっと二人きりになれる所とか……雰囲気ある所とか……」
キヨシ「あ、そ、そう、ですね……」
キヨシ(確かに真剣に話を聞いてもらいたいなら、場所も重要だ。それなら)
キヨシ「花さん、屋上行きませんか。ここの屋上から見える夜景は結構有名らしいですし」
花「っ!/// い、いいわね……うん、いこ」
キヨシ(よし。きっと綺麗な景色を見れば、花さんも少しは俺の話を聞いてくれる気にもなってくれるはずだ)
花(な、なんだよキヨシのやつ……ちゃんと準備してんじゃねえか……///)ドキドキ
屋上
ガヤガヤ……
花「へぇ、屋上でビアガーデンやってたんだ。でもこれだと二人きりになれなくない……?」キョロキョロ
キヨシ「大丈夫です、二人きりになれる場所は前もって調べてありますから。こっちです」
花「う、うん、分かった」
キヨシ(本当は千代ちゃんとのデートのためのとっておきだったんだけどな……でも、仕方ない!)
スタスタ……
花「……た、確かにここは静かで人気もないわね」
キヨシ「もともとカップルのために用意しているスペースみたいですからね。その分、場所代を多く取られるんですが……」
花「あ、そ、そうなの? じゃあ私もお金……」スッ
キヨシ「いいですって。こういうのは男が出すものでしょう?」
花「……そっか。ありがと///」
キヨシ(な、なんだ? 肝心なことはまだ何も話していないのに、既に花さんの怒りがすっかり消えてるような……)
キヨシ(いや、だから油断しちゃダメだ。元々花さんは感情の起伏が激しい人だ。あらゆる状況を想定して動かないといけない)
花「…………綺麗ね」
キヨシ「え、あー、夜景ですか」
花「うん。街の灯一つ一つが輝いてて、まるで宝石箱みたい」
キヨシ「そ、そうですね……この辺りだけわざと照明を抑えて夜景を見やすくしてるみたいですよ。喜んでもらえて良かったです」
キヨシ(花さんって結構こういうの好きだよな……女の子らしいというか……)
花(キヨシのやつ……私のためにこんな場所を……///)
花(そ、それにしても…………なかなか切り出してこないわね。それじゃあ……私から……き、聞いてみようかな///)
花「ねぇ、キヨシ。その、一つ聞いていい?」
キヨシ「えっ、も、もちろん! 何でも聞いてください!」
花「やっぱりアンタ……えっと……あの……す、好き、なの?///」
キヨシ「好きって…………あ」
キヨシ(千代ちゃんのこと……だよな。カラオケではもう好きじゃないって嘘ついたけど、試着室での出来事からその嘘を見破られたってわけか……)
キヨシ(ここは……正直に答えたほうがいいよな。下手に嘘を重ねて心象を悪くするのは避けたい)
花「ど、どうなのよ……///」
キヨシ「はい……好きです。大好きです」キリッ
花「っっ!!!//////」カァァァァァァ
花(そんな……真っ直ぐ見つめられて言われたら……///)ドキドキ
キヨシ「やっぱり花さんには隠し切れないですよね……」
花「いつから……好き、だったの……?」
キヨシ「四月からずっとです。意外なきっかけから共通の話題を持って、よく話すようになって……気がついたらもう好きになってました」
花「そ、そっか……///」
キヨシ(そうだ、あの雷電為五郎の消しゴムから全てが始まったんだ……もう遠い昔のことみたいだ)
花(意外なきっかけって……確かに考えてみればあの時オシッコ見られてから全部始まったんだ……)
キヨシ「…………」ジッ
花「…………///」
キヨシ(そろそろ切り出すべきだよな。落ち着け……大丈夫だ……)
キヨシ「花さん」
花「な、なに!?///」
キヨシ「この貞操帯を外させてください! お願いします!!」
花「…………え、あ、あぁ……貞操帯、か。ていうか、こんな所で土下座とか、や、やめなさいよ……」
キヨシ「やめません! 俺、俺……まだエリンギを失うわけにはいかないんです! さっきも言った通り、本当に好きな人がいるから!!」
花「っ/// そ、そっか……そうだよね……うん……」
キヨシ「だからお願いします! この貞操帯だけは勘弁して下さい!!」
花「分かった、いいよ」
キヨシ「……え? い、いいんですか!?」
花「だからいいって言ってんでしょ。その、本当にアンタのエリンギが潰れちゃったら……私も困るし……」
キヨシ「あ、ありがとうございます!!!!!」
キヨシ(やった、やったぞ! なんだ、話せば分かってくれるんだ花さんも!!)
ガチャン
キヨシ「やっと……やっと自由になれた……!」
キヨシ(あぁ、いくらでもエリンギを大きくしてもいいこの状態が、ここまで幸せなものだったとは……!)ウルウル
花「そ、そんなにキツかったんだ……」
キヨシ「はい、もう本当にあれは……でも、俺、花さんのこと誤解してました。俺の話を聞いてもらって、本当にありがとうございました」ペコリ
花「別に……いいわよ。…………だって、その、わ、わたっ……」
キヨシ「はい?」
花「私も……す、好き……だから……///」カァァ
キヨシ「好き……ですか」
花「うん……///」
花(そうだ……私も、キヨシのことが好き。大好き。今まで色んな感情のせいで気付けなかったけど、今なら……分かる……///)
キヨシ(……えっと、あー、花さんも千代ちゃんのことが好きってことか。もちろん俺と違って友達として、ってことだと思うけど)
キヨシ(つまり、千代ちゃんがああ言ってくれたから、花さんも俺の話を聞いてくれたのか。本当、千代ちゃんには助けられてばかりだな俺……)
花「あの、そ、それで、さ…………もちろん、好き……っていうだけで終わりじゃないんでしょ……? ほら、つ、付き合ったり……さ///」
キヨシ「へ? あ、も、もちろん。でもそれはまだ……」
花「いいわよ……」
キヨシ「……え?」
花「だ、だから付き合ってもいいって言ってんの!/// そのくらい分かれよバカキヨシ!!///」
キヨシ「は、はぁ。ど、どうも……」
キヨシ(……??? ど、どういうことだ? 確かに千代ちゃんとはお付き合いしたいと思ってるけど、なんでその許可を花さんが……)
キヨシ(…………あ! そ、そういうことか!!)
花「な、なによ、その返事は……付き合いたくないわけ……?」
キヨシ「いえ、そんなはずありません!! よろしくお願いします!!!」ガシッ
花「えっ!? あ、う、うん……///」
キヨシ(そうだ、本来であれば裏生徒会が男女交際なんて認めるはずがない! でも花さんが特別に許可してくれるってことか!)
キヨシ「本当にありがとうございます花さん……まさか許可をもらえるとは思っていませんでした……!」
花「何言ってんのよ、さっき言ったでしょ……そ、その、私も好きだって……///」
キヨシ「え、あー……」
キヨシ(……ん? えっと、花さんは友達として千代ちゃんのことが好き……だから俺との交際を認める……?)
キヨシ(それはつまり、俺と付き合うことが千代ちゃんにとっても良い事だと思っているということか……? でもそんなことは本人にしか分からな…………はっ!!!)
キヨシ(ま、まさか…………いや、これしか考えられない!!!!!)
キヨシ(千代ちゃんは…………俺のことが好きなんだ!!!!!!!!!!)
花「キヨシ? どうしたのよ、ぼーっとして」
キヨシ「あ、す、すいません、なんか色々現実味がなくて……」
花「……現実だっての、全部///」
キヨシ(そうだ、花さんが千代ちゃんのことを想って俺との交際を認めるっていうことは、そういうことだろ!)
キヨシ(本人はそんな素振りは今まで一度だって見せたことなかったけど、万里さんを始めとした裏生徒会の人達には話しているのかもしれない!)
キヨシ(……でもきっと、これは俺に知られちゃいけなかったことだろう。ここは知らない振りをしていくべきか……でも)
キヨシ「……花さん」
花「なに?」
キヨシ「俺、今日ほど幸せな時ってないです……!」ウルウル
花「っ……お、大袈裟なんだよ……ばかっ……///」プイッ
花(そんなに嬉しいんだ……わ、私も……嬉しいけどさ……///)
キヨシ(まさか千代ちゃんと両想いだったなんて……神様、ありがとうございます!!!!!!!!!!!)
大通り
花「もうそろそろ学校に戻った方がいいわね。あまり遅くなるとプリズンに入れられちゃうし」
キヨシ「そうですね」ボー
キヨシ(千代ちゃんと両想いなんて……俺は世界一の幸せ者だ……。あぁ、周りの景色もキラキラ輝いてて、まるで世界が変わったみたいだ……)
花「ま、まぁ、私はキヨシと一緒ならプリズンも悪くないけど///」ギュッ
キヨシ「そうですね」ボー
キヨシ(すぐにでも千代ちゃんと話して告白したい……今日のお礼も言いたいし…………ん?)
キヨシ(あれ、なんだ、何か忘れてないか俺……?)
花「キヨシ? どうしたの?」
キヨシ「え、あ、いや、なんでもないです……」
キヨシ(なんか花さんの声も妙に甘い感じがするし……というか、もう貞操帯もないのに何でこんなにくっついてるんだろう……これも何か花さんなりの復讐の一貫なのか?)
キヨシ(いや、それよりも今は千代ちゃんだ。なんだ…………何か忘れてる。決して無視できない何か……………)
キヨシ「あっ!!!!!!」
花「わっ! び、びっくりした……急に大声出さないでよ……」
キヨシ「す、すいません、さっきまで頭がぼーっとしてて、急に目覚めたというか……」
花「ふ、ふーん……浮かれるのは分かるけど、しっかりしてよ///」
キヨシ(そうだ、浮かれてばかりもいられない! 千代ちゃんは俺と花さんが付き合ってるって誤解しているんだ!!)
キヨシ(誤解は今すぐにでも解きたい……でも、そう簡単にはいかない。俺と花さんの因縁が続く限り、噂はどんどん出てくる!)
キヨシ(つまり……やはりここで決着をつけるしかない!)
キヨシ「花さん! デートはまだ終わってないです!!」
花「え、な、なによ急に! これからどこか行くの?」
キヨシ「ホテルに行きましょう!!」
花「っっ!!!!?????//////」ボンッ
キヨシ(そうだ、このデート、花さんの目的は元々復讐だったはず! でも結局貞操帯は外しちゃったし、まだ目的は達成できていないと言える!)
キヨシ(だからこの最後のチャンス……朝は断られたけど、もう時間がない今ならきっと乗ってくる!)
キヨシ(貞操帯が使えない今、俺に復讐するにはメデューサを押し付けるしかない! そしてそれを実行するとなればホテル一択!!)
花(い、いきなりホテル!? だって、まださっき付き合い始めたばかりなのに! でも……そ、そういうものなのかな?///)
花(…………いや、よく考えろ花! 私はそんなに軽い女じゃない!!)
花「い、いくらなんでもまだ早いでしょうが……また今度にしなさいよ……///」
キヨシ「また……今度……?」
キヨシ(…………ダメだ! 千代ちゃんは今この瞬間にも俺と花さんのことで心を痛めてる…………そんなの一分一秒ですら放っておけない!!)
キヨシ「俺……本当に好きなんです! こんなの我慢なんてできない!!」
花「っ!!///」
キヨシ「だから少しでも早く……俺……俺……!」
花「ま、待って! そんな大声で何言ってんのよ!!///」
花(ど、どうしよ……ここまで言われちゃったら……わ、私……!)
キヨシ「お願いします、花さん!!!」
花「…………わ、わかったわよ///」
キヨシ「えっ」
花「だから……ホ、ホテル……行ってもいいって言ってんのよ……///」カァァァァ
キヨシ「あ…………ありがとうございます!!!!!」
花(ま、まぁ、いずれはするんだし、いいよね…………それに、ここまで求められるのも悪い気はしないし……///)
キヨシ(これで……これで本当に決着がつく! よし、最後の戦いだ、気合い入れるぞ!!)
ホテル
キヨシ「……えっと、その、シャワー空きましたよ」
花「う、うん……じゃあ、ちょっと待ってて……///」
スタスタ
キヨシ「…………」
キヨシ(なんだろう、この落ち着かない感じは……慣れないバスローブのせいか? それともこのベッドか……)
キヨシ(は、花さんはどのくらいでシャワー浴び終えるんだろう……ただじっと待ってるのもおかしいか……?)
ザァァァァァァァァ
キヨシ「…………」ゴクッ
キヨシ(……ちょっと待て。もしかして今のこの状況って結構エロい方向に行ってないか!? ホテルの一室で女の子がシャワー浴び終えるのを待ってるんだぞ!?)
キヨシ(ち、違う違う! 勘違いするなキヨシ! これはあくまで花さんの復讐であって、ここは俺達の戦いの場! エロいことなんて何一つない!!)ブンブン
数十分後
花「お、お待たせ……///」
キヨシ「あ、はい……」
ストン
キヨシ「…………」
花「…………///」
キヨシ(な、なんだこの空気!!! 隣にはバスローブ一枚の花さん……なんか凄くいい香りするし……)ドキドキ
花(……も、もうちょっと近寄るべき……かな///)
ズリズリ
キヨシ「っ!?」
花「あ、アンタから誘ったんだから……リード……しろっての……///」
キヨシ「そ、そう……です、よね……」ゴクッ
キヨシ(マズイ……頭が……頭が欲望に支配される……! ダ、ダメだ!! しっかりしろ!!!)
キヨシ「……分かりました花さん。ではさっそく」
キヨシ「メデューサを俺に押し付けてください」キリッ
花「なっ……い、いきなり!?///」カァァ
キヨシ「はい。お願いします」
キヨシ(そうだ、冷静になれ。俺達は何もエロいことをするわけじゃないんだ。ただメデューサを押し付けてもらうだけだ)
キヨシ(これはあくまで花さんの復讐。因縁の決着。それ以上でもそれ以下でも…………ない!!!!!)ギンッ!!
花「っ!!」ゴクッ
花(なんて目してんのよこいつ……や、やっぱり男は獣になるっていうのは本当だったんだ……!)
花「……わ、分かった。じゃあ脱ぐ、ね……///」
スルッ……パサッ
キヨシ「うっ!!///」
キヨシ(これは……マズイ!!!)
花「ね、ねぇ、なんで目閉じてるの……? 脱いだ……けど」
キヨシ「気にしないでください。花さんも裸は見られたくはないでしょう」
花「えっ、ま、まぁ、確かに恥ずかしいけど……最後まで見ないっていうのは難しいんじゃ…………そ、それに、キヨシなら、いいよ///」
キヨシ「っ……!!」ビクッ
キヨシ(見ても……いいのか!? いや、ダメだダメだ!! 花さんの裸なんて見たら間違いなくエロ方向に暴走する!!!)
キヨシ「い、いえ、大丈夫ですお気遣いなく! それより、その、メデューサの方を……お願いします」
花「あ、う、うん……///」
花(すっごく恥ずかしい……けど、キヨシが望むなら……!///)
花(あれ、でもメデューサを押し付けるといっても、どこにすればいいんだろう。まさかいきなりアソコ…………い、いや、それなら別の言い方をするはず!)
花(そういえばキヨシ、前にもメデューサをどうこうしたいって言ってたような…………あれは確か体育祭の…………あ)
キヨシ「あの、花さん……?」
花「うん、大丈夫。分かってるから」
花(そうか……そういうことか! つまりキヨシはあの時やりたかったことを…………じゃ、じゃあ、メデューサを押し付ける所は……///)スッ
クチュ
キヨシ「むぐっ!!!!!!??????」
花「んんっ!!///」ビクッ
キヨシ「んぐぐぐぐっ!!! んんんんんっ!!!」
キヨシ(そんな……ま、まさか花さん…………俺の口にメデューサを押し当ててるのか!!!!!?????)
キヨシ(なんだこれ……なんだこの感触!!!!! つかこれってほとんどク…………い、いや違う!!!! これはそんなエロいことじゃない、花さんの復讐だ!!!!!!)
キヨシ(そうだ、場所はどこであれ、メデューサを押し付けてることには変わりない! これはあくまであのエリンギのやり返しに過ぎない!!!)
キヨシ(意識するな……意識するな……! なんか変な液体とか出てるっぽいけど意識するな!!!!!!!!!!!!!!!)
花「あっ……んん……はぁ……!///」ビクッビクッ
花(わ、わぁぁ/// アソコから、なんか……で、出てる……オシッコじゃ、ない……!///)
キヨシ「んぐぐっ!! んんんんん!!!」
花「あんっ……ん、ぁぁんっ……///」
花(やば……ちょ、ちょっと……気持ち、いい……かも……///)ポー
花(……はっ! ち、違う、一人で気持ち良くなってたらダメだ!)
キヨシ「んぐぐぐ…………ぷはっ!!! はぁ……はぁ……は、花……さん……?」
キヨシ(終わった……のか? 息とか理性がかなり辛くなってたし、これで終わりなら助かる……けど……)ゼェゼェ
花「キヨシ……く、口閉じてたらダメじゃん……ちゃんと開けなさいよ///」
キヨシ「えっ、く、口を…………? 分かりました……」
キヨシ(さっきまでみたいに固く口を閉じているよりも、開けていた方が息苦しくないってことか? あまり変わらなそうだけど……)
キヨシ(どちらにしろ、まだ終わってない……ってことか。よし、それなら気合いを入れ直すだけだ! 俺は今日、決着をつける!!)
花「じゃ、じゃあ……いくよ……///」
キヨシ「はい! お願いします!!」
グチュ
キヨシ「んんぐぐぐぐっ!!!!!!」
花「あっ……はぁ……んんぁっ……ふっ、ぁぁああんっ!!!///」ビクンッ!!
キヨシ(ちょっと……待て…………なんか……なんか口の中に入ってる!!!!!!!!!!)
花「あんっ……あっ……あああああっ!!!///」ビクッビクッ
花(くる……き、きちゃう……! ちゃんと……出る、かな……///)ゾクゾク
キヨシ「ごぼっ!!! ぶふっ、んんぐぐぐぐっ!!!!!」
キヨシ(これは、流石に……洒落にならない……!!! 息苦しさが和らぐどころか、余計に苦しく…………っっ!!!!!)ガクガク
花「んんんっ………………あ」ゾクッ
花「っっ~~~~~~!!!!!!!!!!!!!!!//////」ブルッ!!
プシャァァァァァァァァッッ!!!!!!
キヨシ「ごぼぼぼぼぼっ、ぶぶぶっ!!!!!!!!?????????」
ジョボ……ジョロロロロロロロロロロロロロ……
キヨシ「ごぼっ!? ぼっ、んんんんぶぶぶぶっっぐぐぐぐぅぅぅぅううぐぐぐぼぼぼぼぼぼぼごぼぼぼっっっっ!!!!!!!!!!」ガクガクガクガク
花「…………ふぅ///」
花(良かった……ちゃんと出た。へ、変なのも一杯出ちゃったけど……最後のはちゃんとオシッコだし……///)
花「まったく、いきなりオシッコを直飲みしたいなんて、本当に変態ねキヨシは…………まぁ、受け入れるけどさ……///」
キヨシ「…………」ガクッ
花「……?」
花「ねぇ、キヨシ? 私がここまでやってあげたんだから、何か感想くらい…………キヨシ?」
キヨシ「」
花「あ、あれ、大丈夫? キヨシ……キヨシ……?」ユサユサ
キヨシ「」シーン
学校
キヨシ「…………」
花「…………」チラ
花(結局あれからすぐにホテル出てきちゃったけど……どうしたんだろキヨシ……)
花「え、えっと、私、女子寮あっちだから……」
キヨシ「…………はい」
花「じゃあまた学校で……あ、そうだ、明日からお昼休みとか一緒にご飯食べない?///」
キヨシ「…………は、ははは……学校、ですか……」
花「ど、どうしたの……?」
キヨシ「学校はいいですよね。友達とふざけあって騒いだり、好きな女の子のために色々頑張っちゃったり、そういうの、青春って感じがして……いいですよね」
花「え、あ、う、うん、そうだね」
キヨシ「もちろん良い事ばかりでもなく、時には辛いこともあるのでしょうが、それでも皆いい顔をして笑っているんですよ。俺にはその表情が眩し過ぎる」
花「で、でもキヨシだって……ほら、ホテル行く前は凄く幸せそうな顔してたじゃん!」
キヨシ「そうでしたっけ…………何だかもう、あのホテルに入る前の俺の人生全てが……どこかとてつもなく遠いもののように感じます……」
花「……???」
キヨシ「本当に……全てが眩しくて眩しくて仕方ないんですよ。
路地裏でカツアゲしてるヤンキーも、仕事で疲れてフラフラになっているサラリーマンも、公園で縄張り争いしてる野良猫達だって……」
花「キヨシ……? さっきから何言って」
キヨシ「花さん、知っていますか。闇に生きるヴァンパイアは陽の光を浴びると灰になって死んでしまうんですよ」
キヨシ「俺はもう…………闇の中でしか生きられないんです」
花「……そんなことない。なんでキヨシがそんな生き方しなくちゃなんないのよ!」
キヨシ「なんでって……」
花「キヨシはヴァンパイアなんかじゃない! 血なんか吸わないし……まぁ、オシッコは吸った、というか飲んだけど……」
キヨシ「…………そう、ですよ」
花「え?」
キヨシ「俺はオシッコを飲んだんだ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
花「っ!!」ビクッ
キヨシ「それも誤ってちょっと口に入っちゃったとかそういうレベルじゃない! 直接口を付けてガブ飲みしたんだ!!!!!!!」
花「キ、キヨシ……」
キヨシ「そんな人間が……これからどうやって生きていけっていうんですか……! 俺は……俺はもう完全にまともな人間じゃないんですよ……!!」
キヨシ「赤ちゃんの世話をしていて誤ってオシッコをかけられてしまう人はいるでしょう。学校でウンコ漏らしてしまう人だっていることはいる!
これらはまだ、普通の人にも起こり得ることだって言えるはずだ…………でも、オシッコの直飲みは違うでしょう!!!!!」
キヨシ「それは決定的におかしい! 普通の人間がやることじゃない!!! 俺はもう、皆とは違うんだ!!!!!!!!!!!!!」
花「……普通じゃなくても、いいよ」
キヨシ「…………え?」
花「オシッコを直飲みする変態でも……私は構わないよ。そういうところも、受け入れてくれる人だって、いんのよ……」
キヨシ「な、なんでそこまで……」
花「……当たり前でしょ」
花「私は……キヨシのカノジョなんだから……///」
キヨシ「…………はい?」
花「だ、だから! 私はアンタのカノジョなんだから、そういうところも受け入れてやるっつってんだよ何度も言わせんな恥ずかしいんだから!!///」
キヨシ「い、いや、すいません、ちょっと良く分からないんですけど……」
キヨシ「俺達、別に付き合ってません……よね……?」
花「…………は?」
キヨシ「そもそも今日のデートだって、花さんにとっては復讐の為でしょう? 俺達の間にあるのって大体復讐とかその辺じゃないですか」
花「ちょ、ちょっと待ちなさいよ! アンタ、屋上のビアガーデンで私のこと好きって言ったじゃん! 付き合いたいって言ったじゃん!!」
キヨシ「え、屋上…………あっ、ち、違いますよ! あれは千代ちゃんのことですって!!」
花「……う、そ…………でも、だって……」
キヨシ「なんか……お互い誤解があるみたいですね……少し確認していきましょう」
答え合わせ中
花「……は、はは……なるほど、ね…………そういう、ことか……」ブルブル
キヨシ「どうやら最初の方からお互い認識の違いがあったみたいですね……」
キヨシ(それにしても、誤解とは言え何で花さんは俺の告白を了承したんだろう。それも何かの復讐なんだろうか)
キヨシ(……ありえる。なんたって、復讐のために大事なファーストキスすら捨てる人だし……)
花「…………うっ」ポロッ
キヨシ「え、は、花さ」
バキィィィィッッ!!!!!
キヨシ「がはっ……!!!」ズサァァァ
花「ぅぇ……ひっく……ぐすっ…………!!」ポロポロ
キヨシ「は、花……さん……?」ガクガク
花(は、ははは……私、バカみたい……勝手に浮かれて、付き合ってもいない男子にホテルであんな…………あ、あん……な…………っ!!)ブルブル
花「……あはは、あははははははははははははははははっ!!!」ユラユラ
ドカッ!!! バキッ!!! ドゴォォッ!!!!!
キヨシ「ぐっ……がぁぁっ!!!!!! ごほっ!!!!!」
花「おいクソキヨシ」ガシッ
キヨシ「は、い……」
花「お前、私のこと好きか? もちろん女子として」
キヨシ「…………すいません。俺は、千代ちゃんのことが好きです。こんな変質者にこんなこと言う資格はないのかもしれないけど……この気持ちは変わらないです」
花「だよな。じゃあ仕方ねえな。私の物にならねえってんなら……」
花「ここでお前を殺して私も死んでやる!!!!!!!!!!!!!」
ドカッ!!! グシャッ!! ボキィィッッ!!!
キヨシ「…………」ガクガク
花「あああああああああああああああああああああああああああああああああああっっっっ!!!!!!!!!!!」
キヨシ(……どんな形であれ、花さんの心を弄んだのは事実…………それに、俺はもうどこにも引き返せない完全な変質者だ…………)
キヨシ(このくらいの報いは……当然、か…………)ガクッ
「な、なにあれ、ケンカ!?」
「きゃあああっ!! ち、血塗れじゃん!!!!!!!!」
「だ、誰か……副会長呼んできた方がいいって!!!!!」
数日後 男子寮
千代「み、みんな……流石にそろそろ私もキヨシ君の様子見に行きたいんだけど……」
シンゴ「え……あー、いや、やっぱりやめておいた方が……」
ガクト「う、うむ……あの状態のキヨシ殿を見るのはやはり酷でゴザル……」
千代「そんなに怪我が酷いの!?」
ジョー「そういうわけじゃ……ないんだが……」ゴホッ
アンドレ「う、うん、怪我自体はもう大丈夫なんだけどね」
千代「それじゃあ会わせて、お願い! 本当に心配で……」
ガクト「……承知したでゴザル。ただし、相当な覚悟だけはお願いするでゴザル」
千代「うん……分かった!」
ガチャ
キヨシ「…………」ボー
ガクト「キ、キヨシ殿、お客さんでゴザルよ……」
千代「あの、キヨシ君……大丈夫?」
キヨシ「…………千代……ちゃん……?」
千代「うん、私だよ! あの、ね……私、あの日キヨシ君達に会ったのに、何も出来なくて……それで……」
キヨシ「うわあああああああああああああああああああああっっ!!!!!」ダダッ!!
千代「キヨシ君!? ね、ねぇ、どうしたの!?」
キヨシ「ダメだ……ダメだ千代ちゃん!!!!! 俺に近づいちゃいけない!!!!!! 俺の吐く空気を吸っちゃいけない!!!!!!!」
千代「えっ!?」
キヨシ「俺はもう普通じゃないんだ!!!!!! だから……だから千代ちゃんみたいな良い子が関わっていいような人間じゃないんだ!!!!!!!」
千代「……大丈夫、だから」ギュッ
キヨシ「っ!!」
千代「変わってる所の一つや二つ、誰だって持っているものだよ。私はそんなことで、キヨシ君を避けたりはしないよ」
キヨシ「千代……ちゃん……」
千代「……あっ、ご、ごめんね! カノジョさんがいるのにこんなことしちゃダメだよね、あはは……!」パッ
キヨシ「…………じゃあ、一つ聞いていいかな、千代ちゃん」
千代「うん?」
キヨシ「千代ちゃんは…………オシッコの直飲みについてどう思う?」
千代「…………え?」
キヨシ「オシッコの直飲みだよ……アソコに口を付けてガブガブ飲むんだ……。どう思う? ねぇ、千代ちゃん…………」ハァハァ
千代「あの、キ、キヨシ君……?」ジリジリ
キヨシ「はぁ……はぁ……オシッコ……俺は、オシッコ、直飲み…………あは、あははははは…………」ユラユラ
千代「ひっ!!!!!」ビクッ
シンゴ「くっ、ダメだ!! おい皆、押さえるぞ!!!」
ドガッ!!! ジタバタ!!!!!
ジョー「落ち着けっての……このスカトロ野郎……!!!」ゴホッ
アンドレ「女の子から出てくる物を求めるのは分かるけど、唾や汗くらいにしておかないとダメだって!!!」
キヨシ「あはははははは…………なんだよ、皆して俺に飲んでほしいのか……? 分かったよ、パックリしてやるから思う存分出せよ……」ガシッ
ガクト「ひぃぃぃっ!! 小生のズボンを脱がすのはやめるでゴザルゥゥうううううう!!!!!!」
シンゴ「やめろキヨシ!! キヨシいいいいいいいいい!!!!!!!」
千代「…………!!」パクパク
千代(どうして……こんなことに…………何があったの、花さん……!?)ブルブル
懲罰房
花「あっ、これおいしー! 囚人でも学食のメニューが食べられるのはいいよねー!」ニコニコ
芽衣子「あ、あぁ、そうだな……」
万里(なんだ、芽衣子が深刻な事態などと言うから心配したけれど、心も体も順調に良くなっているじゃない)ホッ
万里「元気そうで何よりだわ花。初めは食事もまともに摂っていないようだったから……」ニコ
花「うんっ、ご飯はちゃんと食べないとねー! なんたって」
花「もう私一人の体じゃないんだし……///」ポッ
万里「…………い、今、なんと?」ガクガク
花「え、も、もう……こういうこと何度も言わせないでよぉ……/// だ、だから、お腹に赤ちゃんいるんだからちゃんと食べなきゃってこと!」
万里「なっ……う、うそ…………!!」パクパク
芽衣子「(お、落ち着いてください会長! 大丈夫です、念の為検査しましたがそのような事実はありません)」ヒソヒソ
万里「(そ、そうなの? つまり、ど、どういうことなの?)」
芽衣子「(その、どうやら心の問題らしく……自分はキヨシとの子を妊娠していると思い込んでいるようです……)」
万里「(そん、な……)」
花「あ、そうだそうだ、ねぇ会長ー、今度お裁縫教えてー! 私、子供の服とか作ってみたかったんだー!」ニコニコ
万里「…………ねぇ、花。あなたのお腹には……子供はいないのよ……?」
花「えっ?」
芽衣子「!!」
万里「だ、だから、あなたは妊娠などしていないのよ……目を覚まして花……! そもそもあなた、キヨシと交際していたの? あの男は確か千代を……」
芽衣子「いけません会長!!!」
ベキッ!!!
花「お箸……お箸、割れちゃったぁ…………あはは、ダメだなぁ私……こんなんじゃ子供に持ち方……教え、られ、ない……」ブルブル
万里「っ」ゾクッ
花「えっと……キヨシ……え、キ、キヨシ…………千代……ちゃん……? あれぇ? あはは、なんだろ、これ…………」フラフラ
万里「ご、ごめんなさい!!! そうね、そのお腹の子は間違いなく花とキヨシの子よ!!! お裁縫も、もちろん教えてあげる!!!」
花「あ、ほんとにー!? ありがとー!! どんな柄にしようかなー、四つ葉のクローバーとか可愛いかもー」ニコニコ
万里「(…………これ、治る目処はついているの?)」
芽衣子「(心の問題ですので……何とも言えないようです)」
万里「(参ったわね……どちらにせよ、キヨシには早めに伝えておいて話を合わせてもらう必要がありそうね……)」
芽衣子「(それが……キヨシの方も精神的にかなり不安定な状態らしく……)」
万里「(そんな……一体、何があったのよ……)」
芽衣子「(未だに情報は二人がデートしていたという、千代さんによるものだけです……引き続き調査はしますが……)」
万里「(お願いね…………はぁ)」
万里(まさかこんなことになるなんて…………やはり、男女間の接触は認めるべきではなかったの……?)
花「キヨシはお昼何食べてるんだろうなー、早く会いたいなぁー///」
花(えへへ……出所したらキヨシと一緒に子供の名前考えよーっと!)
これでおしまい
気付いたらホラー映画か何かみたいな結末になっていたでゴザル
監獄学園のSS増えないかなー
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