葉山「俺と君が好きな人は同じみたいだな」八幡「!?」 (28)

八幡(その日、俺は葉山に呼び出されていた)

葉山「どうやら、俺と君が好きな人は同じみたいだな」

八幡「!?」

八幡(な、なんだと…)

葉山「俺は君を出し抜いたりせずに、対等でいたい」

葉山「だから、俺は君に宣言する」



葉山「俺は近日中に告白する!」

八幡「っ!?」


八幡(ま、まさか…こいつ、戸塚の事を!?)

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  *  *  *




■部室

雪乃「…」

八幡(い、いや、冷静になって考えるんだ。比企谷八幡)

八幡(そもそも葉山が戸塚を好きなはずがない)

八幡(…そ、そうだ。そもそも戸塚と葉山は接点が少なすぎる)


雪乃「…」

八幡「ハッ!!!!」

雪乃「!?」ビクッ

八幡(そ、そういえば、職場見学…一緒の班だった…)

八幡(よくよく考えたら、葉山はなんで俺と戸塚の班に入ってきたんだ…)

八幡(ん?いや、俺と葉山のグループに嫉妬した戸塚が入ってきたんだっけ?)

八幡(…)



八幡(あの時のやきもち焼いた戸塚…可愛かったな…)ニヤニヤ

雪乃「…?」



八幡(って、そうじゃない。考え方を変えるんだ)

八幡(そもそも、戸塚は葉山の事を好きじゃない!これは確定のはずだ)

雪乃「…」

八幡(い、いや、『確定』って言えるのか?)

八幡(感情なんて一番計算できないもの…)

八幡(も、もももも、もし、戸塚が葉山の事を気にしていたら…ぐぐぐぐぐぐっ!)

八幡(よくよく考えたら、戸塚と葉山は部長…よって繋がりがある…)

八幡(なんてことだ。こんな重要な繋がりがあるなんて…)

八幡(お、俺は…どうすれば…)




八幡(…)

八幡(考えろ…考えるんだ俺。俺と戸塚の幸せな未来を)

八幡(…)

☆妄想中~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

戸塚「八幡…大切な話があるんだけど、今時間ある?」

八幡「もちろんいいぜっ」キリッ

戸塚「実は、ぼく…小町ちゃんと結婚することになったんだ」

八幡「な、なんだと…」

戸塚「だから、これからは八幡の事…『お兄ちゃん』って呼ぶね」

八幡「!?」


戸塚「これからよろしくね。お兄ちゃん」


八幡「うおおおおおおおお!弟最高ーーーーっ!!」


☆妄想終了~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


八幡(なにそれ。すごくいい。はい。すごくいいです)ニヤニヤ

雪乃「はぁ…」

八幡「ん?」

雪乃「今日はどうかしたのかしら?いつも以上に気持ち悪い…いえ、形容しがたい…見るに耐えない表情をしているわよ?」

八幡「いや、ちょっと悩み事があってだな…」

雪乃「そう…」

八幡「…」

雪乃「…」ジー

八幡「…」

雪乃「…」ジー

八幡「…」

雪乃「悩み事があるのよね?」

八幡「ああ、そうだ」


雪乃「…」

八幡「…」

雪乃「…」ソワソワ

八幡(なんでこいつソワソワしているんだ?)


雪乃「はぁ…ほら話をしてみなさい。部員が困ってるのなら、それを解決するのも部長の役目よ」

八幡「お前…部長って自覚あったんだな」

八幡(原作で絶対に言わないセリフだな…。まぁ、話ぐらいしてみるか)

  *  *  *


八幡「…というわけだ」

雪乃「…」

八幡「…」

雪乃「…」

八幡「あ、あの、雪ノ下さん?」


雪乃(そ、そういえば、葉山くんから『明日、屋上で待ってます』的な手紙を貰ったわ…)

雪乃(ひきなんとかくんが話した内容から考えると…)

雪乃「…………………………」

雪乃「っ//」ボンッ

八幡「ど、どうした?風邪か?耳が真っ赤だぞ」

雪乃「い、いえ。どうということないわ」

八幡「そうか?」


雪乃(も、もももも、もしかしなくても…)

雪乃(比企谷くんは私の事が好きだというの!!!!!????)

雪乃(な、なんということ…。まさか私の事が好きだなんて…)

雪乃(そ、そうじゃないわ。まずは冷静になりなさい。比企谷雪乃)

雪乃(違う!そうじゃないわ!)

雪乃(やっぱり、家の事を考えて、雪ノ下八幡のほうがいいのかしら…?)

雪乃(これは一度姉さんに相談を…)

雪乃「って、そうじゃない!!」バンバン

八幡「っ!」ビクッ


雪乃「…」コホン

八幡「ど、どうかしたのか?」

雪乃(いきなり結婚の事とか…重い女がすることだわ)

雪乃(それよりも、まずはご家族にあいさつが基本よね)

雪乃(ええ、まずやる事は『ご家族にあいさつ』)

雪乃「ねえ。このことは小町さんは知っているの?」

八幡「いや、ついさっきの話だし…って、小町!?」

雪乃「ええ。やっぱり小町さんから話をするべきだと思って」

八幡「しまった。俺としたことが…葉山が小町の事を…くそっ。その可能性も考えるべきだった」ブツブツ


雪乃「?」

雪乃(ぶつぶつ何を言っているのかしら?)

八幡「…」ブツブツ

雪乃「…」


雪乃(って、そうじゃないわ!!!)

雪乃(そもそも、なんで私が比企谷くんを好きみたいな話になってるの!?)

八幡「…」ブツブツ

雪乃(くっ、この男。こう見えて案外策士ね。いつの間にか、私と比企谷くんが恋愛関係な話に誘導するなんて!)

八幡「…」ブツブツ

雪乃(そもそも比企谷くんを好きになるはずがないわ)

雪乃(そう…好きになんてなるはずがないのよ)

雪乃「…」


☆妄想中~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

八幡「ああ…人生おしまいだ…」

雪乃「どうしたの?比企谷くん?」キリッ

八幡「雪乃ちゃん…」


八幡「実は、就職に落ちちゃってな…。もうどこも就職できないんだ」

雪乃「あら?どこか忘れてないかしら?」キリリッ

八幡「え?」

雪乃「私のところで一生メイドをやりなさい。大丈夫。ずっと面倒を見てあげるわ」キリリリッ

八幡「雪乃様…」


☆妄想終了~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

雪乃(メイド姿の比企谷くん…すごく気持ち悪いわね)

雪乃(ま、まぁ、あくまでも私は比企谷くんの事が好きではないし)

雪乃(私と一生一緒にいる…こういう人生も悪くないわね)

雪乃「…」

雪乃「ふふっ♪」

ガラララッ


結衣「やっはろー」

雪乃「こんにちは♪」

八幡「…うす」


結衣「なんかすごい逆な光景…ゆきのんはすごい幸せそうな表情で、ヒッキーは…なんというか目が魚みたいに死んでる」

雪乃「あら。それじゃいつも通りじゃない。魚に失礼よ」

結衣「そっかー。ヒッキーいつも通りだったね」

八幡「はぁ…」


結衣「…あ、あれ?ヒッキー大丈夫?」

八幡「あ、ああ。ちょっと疲れててな」

結衣「ご、ごめんなさい!あたし変なこと言っちゃって…」

八幡「いや、いい。気にしてないから」

結衣「本当にごめんね。ヒッキー」

八幡「大丈夫だ。気にすんな」

雪乃「…」

雪乃「…」コホン

雪乃「さっきの話の続きなんだけど」

結衣「え?」

八幡「ん?」

雪乃「比企谷くんが先にアタックすればいいと思うわ。きっと相手も待ってると思う」

結衣「え?アタック?ばれー?こうげき?」

雪乃(由比ヶ浜さんにわからないように、遠回しな言い方をしたのだけれど、さすがに『アタック』は知っていたわね)



八幡「いや、それはないだろ…」

雪乃「どういうことかしら?」

八幡「相手が俺を待ってるだと?それは可能性0だ。なんならマイナスで相手が逃げ出すまである」

結衣「そうだよ!ゆきのん!どんな理由があったって、誰かを攻撃なんかしちゃだめだよ!」

雪乃「ちょっとあなたは黙ってて」

結衣「えっ………あっ、はい」

雪乃(よくよく考えたら、『葉山くんが私に告白』しようとしているということを、比企谷くんは知らない)

雪乃(だから、『比企谷くんが雪ノ下雪乃を好き』という事実に)

雪乃(私が気付いている事を、比企谷くんは知らないのよね)

結衣「(´・ω・`)」


雪乃(なるほど、それで比企谷くんは告白を恐れているのね)

雪乃(まぁ、それも仕方ないことね)

雪乃(普通に考えて、彼が告白すればフラれるのは当然)

雪乃(でもね。あなたを受け入れる寛大な人だっているのよ?)



雪乃「」フフン

八幡「いや、なんでドヤ顔なんだよ…」

結衣「(´・ω・`)」


雪乃「大丈夫。絶対にうまくいくわ。だから試しにやってみなさい」

八幡「いやいや。なんでそんなに自信満々なんだよ。そもそも相手はあの葉山隼人だぞ。俺が勝てる道理はない」

結衣「(´・ω・`)!?」



結衣「ちょっと待って!ちょっと待って!どういうこと!?」

八幡「いや、別に…」

結衣「隼人くんとケンカするの!?駄目だよヒッキー!」

雪乃「ゆ、由比ヶ浜さん?」

結衣「男子同士にしかわからないこともあると思うけど、駄目だよ…。お願いだから、やめて…ね?ヒッキー」

八幡「いや、ケンカしねーし。お前の勘違いだよ」

結衣「どうしてもっていうなら、あたしを倒して………………………………………………………………え?」

  *  *  *



結衣「ほへー」

八幡(由比ヶ浜に説明を行った…)

八幡(というか、なんで俺…奉仕部にこんな恥ずかしい恋愛話なんてしなきゃならんの!?)

雪乃「由比ヶ浜さん。事情はわかったかしら?」

結衣「え、えーと…それで…そのヒッキー…ううん、隼人くんの好きな人って…」

雪乃「そ、それは…その…あの…非常に言いにくいんだけど…」

八幡「小町だ」


雪乃「へ?」

八幡「いや、戸塚かもしれん…」

雪乃「は?」

結衣「そっかー。やっぱりそうなるよねー。あはははは…」

雪乃「…」プルプル

八幡(ん?雪ノ下が涙目でプルプルしてるぞ。どうしたんだ?こいつ)

結衣「…ゆきのん」


ダダダダダダ


八幡「雪ノ下!?」

結衣「ゆきのん!?廊下を走ってどこに行くの!?」


八幡(あいつ…泣いていた…?)

八幡「追いかけるぞ!由比ヶ浜!」

結衣「う、うん!」

雪乃「追ってこないで!!」


ダダダダダダ

ユキノシター ユキノンー



雪乃「あーもうっ!誰か殺して!!」






雪乃「やっぱり私の青春ラブコメはまちがってる!!!」







       終わり

■後日談

八幡「…ということだ」

雪乃「…」

八幡「なんだかんだ、葉山は小町にも戸塚にも告白しなかった」

雪乃(くっ…この男…)

八幡「一体、何がしたかったんだ…あいつ…」

雪乃(なぜ、毎晩毎晩毎晩毎晩、夢の中に出てくるのよ)

八幡「…」

雪乃(ま、まさか、私は比企谷くんの事が好…………)

八幡「ないと思うが、葉山が俺の好きな人をまちがって、小町でも戸塚でもない人間に告白した…とか」

雪乃「それはないわ!」

八幡「そ、そうだよな」


雪乃(ええ、絶対にない!私がこの人を好きになるなんて…絶対に)







これにて終わりになります。
読んでくれてありがとうございました!
また機会があればよろしくお願いします。

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